JP2008164564A - ボイラーの水位測定装置及びその防食方法 - Google Patents

ボイラーの水位測定装置及びその防食方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 手間をかけず、かつ、中断することなく継続的に、さらに、ランニングコストの大幅な上昇も生じさせることなく、ボイラーの水位測定装置の防食を図る。
【解決手段】 ボイラー水Wと水蒸気Sとが混在する気水分離用のドラム200に、上下一対の連絡管30,31によって取り付けられ、気水分離用のドラム200中の水位を測定するボイラーの水位測定装置100において、連絡管30,31を含めたボイラー水Wと水蒸気Sとに接触する部分E,Kの外面の少なくとも一部を、この部分からの放熱を防止して、内部の水蒸気Sの凝縮に起因して生じる腐食を防止する放熱防止手段Hで覆ったことである。放熱防止手段Hにより水蒸気Sの凝縮を防止するだけで、腐食原因物質となる水蒸気S中の酸素や二酸化炭素が、水蒸気Sに接触する部分Kに蓄積して濃縮するのが防止でき、これらに起因する内部腐食が防止できる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、ボイラー胴や気水分離用のドラムに取り付けられて、ボイラー水の水位を測定するボイラーの水位測定装置、及びこのボイラーの水位測定装置の防食方法に関するものである。
例えば、水管ボイラーの蒸気ドラムには、内部のボイラー水の水位をチェックするために水位測定装置が取り付けられ、ボイラーの空焚き等が防止されている。この水位測定装置は、内部の上部側が蒸気ドラム内の水蒸気で満たされ、内部の下部側がボイラー水で満たされるが、時間の経過とともに内部に腐食性の高い水環境が形成され、水蒸気との接触面側や、この水蒸気近くのボイラー水との接触面側に腐食が生じやすく、腐食による破孔によって、ボイラーの緊急停止等を招いてしまうという問題があった。
このため、ボイラーの水面測定装置では、内部が腐食性の高い水環境にならないように、バルブ操作によって、ボイラー水や水蒸気の入れ替えを頻繁に行ったり、材質にステンレス鋼等の耐食性材料を使用したり、内面に防食ペンキを塗布するといった対策がとられていた。
また、水面測定装置のみではなく、ボイラー全体の腐食を防止することにもなるが、ボイラー給水を機械的に脱気したり(例えば、特許文献1)、ボイラー給水中に脱酸素剤(薬品)を加えて(例えば、特許文献2)、ボイラー水中の酸素濃度を低下させるという措置や、ボイラー補給水をイオン交換処理して純水化したり、軟水給水ボイラーではドレン回収率を上げて補給水の量を減少させて、ボイラー水中で二酸化炭素を発生させる重炭酸イオン量を減少させる(例えば、特許文献3)という措置がとられていた。
特開2001−129304号公報 特開平6−240476号公報 特開2003−47950号公報
しかしながら、頻繁にバルブ操作を行うという対策では、操作に手間がかかりすぎ、ステンレス材等の耐食性材料を使用するという対策では、ボイラーの初期コストがアップするだけでなく、高温使用とボイラーの発停に伴う温度変化によって、耐食性材料に応力割れを生じさせやすいという問題があった。また、防食ペンキを用いる対策では、これが使用中に剥がれやすく効果が長続きしないため、頻繁に塗布する必要があるという問題があった。さらに、脱気器や脱酸素剤を使用したボイラー給水の処理や、ボイラーへの補給水を軟水からイオン交換水(純水)に切り替えるといった措置は、ボイラーの初期コスト以外に、ランニングコストの大幅な引き上げを招いてしまうという問題があった。
この発明は、以上の点に鑑み、内部腐食の防止に当たり、操作に手間がかからず、かつ、防食効果が不都合なく継続できるとともに、ランニングコストの大幅な上昇も生じないボイラーの水位測定装置、及びボイラーの水位測定装置の防食方法を提供することを目的とする。
この発明の請求項1記載の発明は、ボイラー水と水蒸気とが混在するボイラー胴又は気水分離用のドラムに、上下一対の連絡管によって取り付けられ、前記ボイラー胴又は前記気水分離用のドラム中の水位を測定するボイラーの水位測定装置において、前記連絡管の部分を含めた前記ボイラー水と前記水蒸気とに接触する部分の外面の少なくとも一部を、この部分からの放熱を防止して、内部の前記水蒸気の凝縮に起因して生じる腐食を防止する放熱防止手段で覆っていることを特徴とする。
この発明では、外面の少なくとも一部を放熱防止手段で覆って、水位測定装置からの放熱を抑えることにより、水位測定装置の上部側にある水蒸気が放熱によって凝縮するのを防止している。このことにより、水位測定装置の下部側のボイラー水のpHが凝縮水による希釈によって低下することを防止でき、かつ、水蒸気中に含まれる、腐食原因物質である酸素や二酸化炭素が水位測定装置の上部側に蓄積されて濃縮されるのを防止できるとともに、濃縮された酸素や二酸化炭素が、水位測定装置の下部側にあるボイラー水に溶解するのが防止できる。
この発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の場合において、前記放熱防止手段で覆われている部分が、主として前記水蒸気と接する部分であることを特徴とする。
この発明では、水蒸気がある部分(水位測定装置の上部側)からの放熱を防止できるので、水位測定装置内の水蒸気の凝縮を効果的に防止できる。
この発明の請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の場合において、前記連絡管、この連絡管に接続される水柱管、この水柱管に接続される接続管、及び、この接続管を介して前記水柱管に接続される水面計の視認部を除いた部分のうちの少なくとも1つが、前記放熱防止手段で覆われていることを特徴とする。
この発明の請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明の場合において、前記連絡管、及び、この連絡管に接続される水面計の視認部を除いた部分のうちの少なくとも1つが、前記放熱防止手段で覆われていることを特徴とする。
この発明の請求項5記載の発明は、ボイラー水と水蒸気とが混在するボイラー胴又は気水分離用のドラムに、上下一対の連絡管によって取り付けられ、前記ボイラー胴又は前記気水分離用のドラム中の水位を測定するボイラーの水位測定装置の防食方法であって、前記連絡管の部分を含めた前記ボイラー水と前記水蒸気とに接触する部分の外面の少なくとも一部からの放熱を防止して、前記水位測定装置内の前記水蒸気の凝縮に起因して生じる腐食を防止することを特徴とする。
この発明の請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の場合において、前記放熱を防止する部分が、主として前記水蒸気と接する部分であることを特徴とする。
この発明の請求項7記載の発明は、請求項5記載の発明の場合において、前記放熱を防止する部分が、前記連絡管、この連絡管に接続される水柱管、この水柱管に接続される接続管、及び、この接続管を介して前記水柱管に接続される水面計の視認部を除いた部分のうちの少なくとも1つであることを特徴とする。
この発明の請求項8記載の発明は、請求項5記載の発明の場合において、前記放熱を防止する部分が、前記連絡管、及び、この連絡管に接続される水面計の視認部を除いた部分のうちの少なくとも1つであることを特徴とする。
この発明の請求項1乃至8記載の発明によれば、外面を放熱防止手段で覆うだけで、水蒸気中の酸素や二酸化炭素に起因した水位測定装置内の腐食を簡単に防止できるので、腐食の防止に当たり、バルブ操作によって水位測定装置内のボイラー水や水蒸気の頻繁な入れ替えを行う必要が無く、かつ、耐食性材や防食ペイントを使用する必要が無く、これらに起因するトラブルを生じさせることは無いとともに、脱気器や脱酸素剤を使用したボイラー給水の処理や水の補給水を軟水からイオン交換水(純水)に切り替えるといった措置で生じるランニングコストの大幅な上昇を生じさせることもない。なお、この発明では、水位測定装置からの放熱を防止できる分、ボイラーの熱効率の向上を達成できるとともに、ボイラーの作業者が、水位測定装置の高温の金属面に触れにくくなるので、作業者のやけど防止効果も達成できる。
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
まず、従来の水位測定装置と同様な、金属面がむき出しになった水位測定装置100について説明し、つぎに本願発明の一実施の形態に係る水位測定装置1について説明する。
図3は水管ボイラー用の蒸気ドラム200に設けられた水位測定装置100を示している。水位測定装置100は、水柱管10と、水面計20と、蒸気ドラム200と水柱管10とを連通するように接続する上下一対の連絡管30,31と、水柱管10と水面計20とを連通するように接続する上下一対の接続管32,33と、水柱管10の下端と下側の接続管33に取り付けられ、水蒸気Sやボイラー水Wの排出を行うブロー管34,35とから構成されている。
ここで、接続管32,33は、バルブV1,V2を有しており、ブロー管34,35は、バルブV3,V4を有している。バルブV1,V2,V3,V4は、水柱管10や水面計20内部等のボイラー水Wや水蒸気Sを外部に排出したり、ボイラの運転中に水面計20等のメンテナンスを行うためのものである。なお、蒸気ドラム200の外周面は、放熱による熱損失を小さくするために、所定材質、所定厚さの保温材201によって覆われている。
水柱管10は、太めの管本体11の上下端を板材12,13で覆ったものであり、下部の板材13に、バルブV3が設けられたブロー管34が取り付けられている。
水面計20は、図4で示されるように、流体の通過孔21aを有するゲージ本体21と、ゲージ本体21の通過孔21a側面を塞いで視認部Mを形成する一対のゲージグラス22,22と、ゲージグラス22,22を、ボルト25とナット26とにより、ゲージ本体21側に加圧する一対のカバー23,23と、複数のパッキン24等とから構成されている。この水面計20では、透過式のものであり、視認部Mとなるカバー23の開口部23aとゲージグラス22,22を通して、ゲージ本体21の通過孔21a内の液面レベルを目で見て確認できる。
連絡管30,31は、配管材のみから形成されており、一端側が蒸気ドラム200の最大及び最小水位が測定できる位置に取り付けられ、他端側が水柱管10の胴部の上部側と下部側とに取り付けられている。
接続管32,33は、L字型に形成されており、上部側の接続管32は、一端側が水面計20の上端に取り付けられ、他端が水柱管10の上部に取り付けられた配管中に、バルブV1が設けられたものであり、下部側の接続管33は、一端側が水面計20の下端に取り付けられ、他端が水柱管10の下部に取り付けられた配管中に、バルブV2が設けられたものである。ブロー管35は、下部側の接続管33の屈曲部に下向きに取り付けられた配管中に、バルブV4が設けられたものである。
つぎに、この水位測定装置100に腐食を生じさせる作用について説明する。
まず、ボイラーの運転開始時には、バルブV1,V2,V3,V4を使用したブローがなされておれば、水位測定装置100の水柱管10や液面計20内等の上部側、すなわち、水蒸気が存在する部分(以下、気相部分Kという)は、蒸気ドラム200内の水蒸気Sで満たされ、下部側、すなわち、ボイラー水が存在する部分(以下、液相部分Eという)は、蒸気ドラム200内のボイラー水Wで満たされる。したがって、水位測定装置100の気相部分K及び液相部分Eとも、蒸気ドラム200内の温度と圧力が維持されており、液相部分Eのボイラー水も所定pHにアルカリ処理されたボイラー水Wで満たされている。
ボイラー運転が継続されてくると、水位測定装置100は、外表面からの大気への放熱によって冷やされ、気相部分Kにある水蒸気Sが凝縮して液相部分Eに移動し、この凝縮水によって液相部分Eにあるボイラー水のpHが低下してくる。この場合、気相部分Kにある水蒸気Sが凝縮しても、圧力に変化は無いため、この気相部分Kには、蒸気ドラム200内の新たな蒸気が補給されるとともに、凝縮水によって増加した液相部分Eのボイラー水Wの一部は、蒸気ドラム200内に押し出され、液面には変化は生じない。
ところが、蒸気ドラム200中の水蒸気Sには、ボイラー水W中に含まれる溶存酸素や二酸化炭素が移行しており、かつ、この水蒸気Sが凝縮水となった場合、水蒸気S中の酸素や二酸化炭素は、高温の凝縮水中には含まれにくく分離されやすい。したがって、水位測定装置100の気相部分K内には、水蒸気Sの凝縮が進めば進むほど、水蒸気S中の酸素や二酸化炭素が蓄積されて濃縮される。そして、濃度が大きくなった気相部分K内の酸素や二酸化炭素は、液相部分E内のボイラー水Wと接触して、この液相部分E内のボイラー水W中に溶け込むこととなる。そして、水位測定装置100の気相部分Kにおける酸素や二酸化炭素の濃度が大きくなれば、その分水蒸気Sの分圧が低下し、水蒸気の飽和温度に維持される気相部分K内の水蒸気Sの温度が低下し、これに従って、液相部分E内のボイラー水Wも温度が低下する。このボイラー水Wの温度低下は、酸素や二酸化炭素が液相部分E内のボイラー水W中に溶け込む原因の1つとなる。また、気相部分K内において水蒸気圧が減少することに伴い、気相部分K側からの水蒸気Sの凝縮量も減少し、液相部分E側から蒸気ドラム200内に押し出されるボイラー水Wの量が減少して、液相部分E側におけるボイラー水Wの循環速度も減少する。
すなわち、ボイラー給水の水処理が不十分で、ボイラー水W中に腐食原因物質である溶存酸素や二酸化炭素が溶け込んでいると、ボイラー運転の継続に伴い、これらが水位測定装置100の気相部分K内に蓄積されて、この気相部分K内において酸素や二酸化炭素の濃度(分圧)が上昇し、水位測定装置100の気相部分Kに酸素や二酸化炭素に起因する腐食を生じさせる。また、水位測定装置100の気相部分Kで濃度が上昇した酸素や二酸化炭素が、その液相部分E内のボイラー水Wに溶解し、水蒸気Sの凝縮水によってpHが低下したボイラー水W中の酸素や二酸化炭素に起因して、水位測定装置100の液相部分Eにも腐食を生じさせる。
図1はこの発明の一実施の形態に係る水位測定装置1を示している。
この水位測定装置1は、図1で示されるように、水位測定装置100のほぼ全外面を放熱防止手段である保温材Hで覆ったものである。金属面がむき出しの水位測定装置100では、外表面からの放熱によって、気相部分Kの水蒸気Sが凝縮し、この気相部分Kに水蒸気S中の酸素や二酸化炭素が蓄積して、この水位測定装置100に腐食を生じさせている。したがって、この水位測定装置1では、水位測定装置100の外表面を保温材Hで覆うことにより、外表面からの放熱を抑えて(防止して)、気相部分Kからの水蒸気Sの凝縮量を減少させ、その分、気相部分Kにおける水蒸気S中の酸素や二酸化炭素の蓄積を防止することにより、これらに起因した水柱管10や水面計20等の腐食を防止している。
保温材Hは、図1で示されるように、水蒸気Sとボイラー水Wに接する部分(気相部分Kや液相部分E)のすべて、すなわち、水柱管10全体、水面計20の視認部Mを除いた部分全体(図2参照)、連絡管30,31や接続管32,33の全体、ブロー管34,35のバルブV3,V4を含めた上流側全体に施工するのが最もよい。液相部分Eの保温は、腐食の作用から言えば、あまり意味の無いようにも考えられるが、液相部分Eの保温が無ければ、放熱によって液相部分Eのボイラー水Wの温度低下を生じさせ、このボイラー水Wと接する気相部分K中の水蒸気Sの凝縮を促進するからである。なお、操作性を考慮して、バルブV1,V2,V3,V4のハンドル部分には保温材Hを施工しない。また、連絡管30,31の蒸気ドラム200側端部は、蒸気ドラム200用の保温材201で覆われているで、この部分には保温材Hを施工しない。さらに、連絡管30,31や接続管32,33等がフランジ部を有す場合には、フランジ部の全外面の保温は必ずしも行わなくてよい。例えば、フランジ部の外周面からの放熱は比較的小さく、かつ、外周面の保温はかさばるので、この外周面に対する保温材Hの施工は場合によっては除外してもよい。
もちろん、腐食の作用からも明らかなように、水位測定装置1の気相部分Kに保温材Hを施工して、この気相部分Kの放熱を防止することが最も重要である。また、水位測定装置100からの放熱を少しでも防止すれば、これに伴って、気相部分Kからの水蒸気Sの凝縮が防止でき、その分、腐食も防止できることとなるので、水位測定装置100の保温は、例えば、水柱管10、水面計20、連絡管30,31、又は接続管32,33の何れかのみ行う等、水位測定装置100の一部のみについて行うものであってもよい。
保温材Hの施工厚さは、厚ければ保温効果が大きいが、装置がかさばるとともに、コスト高になるので、厚さの割には保温効果がでる厚さ、すなわち、放熱ロスを考慮した一般の配管等に施工される厚さでよい。
保温材Hの材質は、保温効果が大きく、長時間の使用に対して変質せず、保温施工面を腐食させず、かつ、施工が容易なものであればどのようなものでもよい。例えば、人工鉱物繊維保温材や無機多孔質保温材が好ましい。人工鉱物繊維保温材には、石灰、けい酸を主成分とする鉱物を溶融し、繊維化したロックウールや、ガラスを溶融して繊維化したガラスウールがある。無機多孔質保温材には、補強材として繊維を混合したけい酸カルシウム水和物の成形物であるけい酸カルシウム保温材や、パーライト・バインダー・補強繊維・はっ水剤からなる成形物であるはっ水性パーライト保温材がある。なお、発泡プラスチック保温材は、比較的使用可能温度が低いため好ましくない。
保温材Hには、板状に成形した保温板、又は、保温板を一定幅にカットしたものをそろえて縦に並べ、これに紙や布等を片面に貼って仕上げた保温帯、又は、保温板を金網、メタルラスなどの外皮材で補強したブランケットが使用できる。このような保温材Hは、メンテナンスを考慮して、簡単な操作で取り付け及び取り外しができるように加工されているものが好ましい。例えば、水柱管10、水面計20、連絡管30,31、及び、接続管32,33等の外面を、複数枚の保温板で一度に覆えるように、これらの保温板を成形し、これらの成形保温板同士を、係止部材を介してワンタッチで水柱管10等に固定するようにすればよい。なお、屋外設置のボイラーでは、保温材Hの外面側に防水処理を施す必要がある。
なお、水位測定装置100には、例えば、水柱管10を有せず、水面計20が連絡管(バルブV1,V2を有する)を介して直接蒸気ドラムに接続されているものでもよいし、水柱管10に複数の水面計が取り付けられたものでもよい。もちろん、水位測定装置100には、ドラム水位の低・高等の信号を発するために設けられたもの等を有するものでもよい。
また、水面計20のタイプは、透視式のもの以外に、例えば、ガラス管式のもの、反射式のもの、二色式のもの等どのようなものであってもよい。だだし、水面計の視認部Mを保温材によって覆わないことが条件となる。
さらに、放熱防止手段は、単なる保温材の他、保温材とスチームジャケットや電気ヒータのような加温手段を組み合わせたものであってもよい。これらによっても、水位測定装置100の気相部分Kにおける水蒸気Sの凝縮を防止できるからである。
つぎに、この水位測定装置1により、その腐食防止が効果的になされ得るボイラー等の条件について説明する。
ボイラーの形式は、気液分離手段として蒸気ドラムを有する水管ボイラーや排熱ボイラーの他、ボイラー胴(ボイラー本体)が気液分離手段を兼ねている、例えば炉筒煙管ボイラーのような丸ボイラー、気液分離手段として気液分離ドラムを有する小型貫流ボイラーなど、水位測定装置が設けられるボイラーであれば、どのようなタイプのボイラーであってもよい。このようなボイラーでは、メンテナンスの容易化を考慮して水位測定装置の外面(ボイラー胴用の保温材で覆われる連絡管のボイラー胴側端部を除く)に保温が施工されていないからである。ただし、例えば蒸発量が2.5t/Hr程度以下の小型ボイラーは、水位測定装置からの放熱ロスが無視できず、熱効率の観点から水位測定装置の保温がなされているものも多いので、これらのボイラーは除外されるべきである。
ボイラー給水やボイラーへの補給水は、例えば軟水化処理しかなされていないものが最も適している。もちろん、ボイラー給水等が、純水化処理されたもの、脱炭酸処理されたもの、脱酸素薬品処理されたものでも、この中に酸素や二酸化炭素が僅かに存在するので、この水位測定装置1によって防食効果を得ることができる。
ボイラーは、例えば、ほぼ1年間連続運転されるものが最も適している。長期の連続運転によって、水位測定装置の気相部分に酸素や二酸化炭素が蓄積されて、濃縮されるからである。もちろん、ボイラーは、毎日運転停止を繰り返し、例えば、運転毎に水位測定装置のブローがなされるものであってもよい。短期の運転であっても水位測定装置の気相部分に酸素や二酸化炭素が蓄積され得るからである。
水位測定装置の金属材の材質は、一般の炭素鋼材が好ましい。特別な防食材料を使用する必要がないからであり、逆に、ステンレス材等を使用すれば応力割れの心配があるからである。
つぎに、具体的に運転されたボイラーについて、水位測定装置に生じる腐食の状況やこれに対する保温の効果について説明する。
第1の実施例は、水管ボイラを模擬した蒸発量7.5Kg/hr、圧力1.0MPaの小型の試験ボイラに関するものである。このボイラーは、軟水化処理した市水を補給水とし、給水温度40℃、ドレン回収率約20%、ブロー率10%で連続運転された。このボイラーでは、炭素鋼材で作られた水位測定装置の水柱管等に半年から1年に1回程度、内部からの腐食による破孔が発生し、その都度、溶接肉盛による補修や新品のものとの交換が必要であった。定期検査時に内面に防食ペイント(ボイラーペイント)を塗布する対策を講じたが、破孔の発生頻度はほとんど改善されなかった。そこで、水柱管等に保温材を施工して、これらの保温を行ったところ、以降、防食ペイントの塗布なしで、3年間経過した後も、水柱管等に腐食による破孔は発生せず、保温材の施工に、水柱管等に対する腐食抑制効果があるものと判断された。
第2の実施例は、蒸発量5t/hr、圧力0.7MPaの水管ボイラーに関するものである。このボイラーは、軟水化処理した酸消費量pH4.8(Mアルカリ度)が約60mgCaCO3/Lである市水を補給水とし、給水温度約25℃、ドレン回収なし、ブロー率10%で運転された。そして、運転開始から1年後に水柱管等の内部を検査したところ、茶色の錆こぶを伴う激しい腐食が認められ、近いうちに貫通破孔することが懸念された。このとき、水柱管等の各部位における残肉厚を超音波肉厚計で計測したところ、水柱管の底板部が最も薄く、その厚さは2.14mmであった。
このボイラーでの水処理は、皮膜形成処理用薬品(脱酸素しないタイプの薬品)を使用した処理であり、給水温度は常温であるため、給水からボイラーに持ち込まれる酸素濃度は約8mg/Lと高く、今回の給水の酸消費量pH4.8も国内では高い方であり、ボイラーを経由して水柱管等に持ち込まれた酸素や、酸消費量pH4.8成分の熱分解によりボイラー内で発生する二酸化炭素濃度も高くなっていた。
水位測定装置の水柱管等の防食対策として、まず、酸素を除去するために脱酸素剤による水処理に変更したが、処理変更後の1年後の検査時に前述の最も薄い水柱管底部の肉厚は1.77mmであり、腐食の進行は充分に抑制されているとは言い難い状況であった。そこで、さらに、水柱管等に保温材を施工して、翌年の検査時に同じ箇所の肉厚を測定したところ、その値は1.73mmであり、前年と比べてほとんど減肉が進行しておらず、腐食進行速度が大幅に抑制されていることが確認できた。
この発明の一実施の形態に係る水位測定装置の断面図である。 図1のAーA矢視断面図である。 保温材で覆う前の水位測定装置の断面図である。 図3のBーB矢視断面図である。
符号の説明
1,100 水位測定装置
10 水柱管
20 水面計
30,31 連絡管
32,33 接続管
E 液相部分(ボイラー水と接触する部分)
H 保温材(放熱防止手段)
K 気相部分(水蒸気と接触する部分)
S 水蒸気
W ボイラー水

Claims (8)

  1. ボイラー水と水蒸気とが混在するボイラー胴又は気水分離用のドラムに、上下一対の連絡管によって取り付けられ、前記ボイラー胴又は前記気水分離用のドラム中の水位を測定するボイラーの水位測定装置において、
    前記連絡管の部分を含めた前記ボイラー水と前記水蒸気とに接触する部分の外面の少なくとも一部を、この部分からの放熱を防止して、内部の前記水蒸気の凝縮に起因して生じる腐食を防止する放熱防止手段で覆っていることを特徴とするボイラーの水位測定装置。
  2. 前記放熱防止手段で覆われている部分が、主として前記水蒸気と接する部分であることを特徴とする請求項1記載のボイラーの水位測定装置。
  3. 前記連絡管、この連絡管に接続される水柱管、この水柱管に接続される接続管、及び、この接続管を介して前記水柱管に接続される水面計の視認部を除いた部分のうちの少なくとも1つが、前記放熱防止手段で覆われていることを特徴とする請求項1記載のボイラーの水位測定装置。
  4. 前記連絡管、及び、この連絡管に接続される水面計の視認部を除いた部分のうちの少なくとも1つが、前記放熱防止手段で覆われていることを特徴とする請求項1記載のボイラーの水位測定装置。
  5. ボイラー水と水蒸気とが混在するボイラー胴又は気水分離用のドラムに、上下一対の連絡管によって取り付けられ、前記ボイラー胴又は前記気水分離用のドラム中の水位を測定するボイラーの水位測定装置の防食方法であって、
    前記連絡管の部分を含めた前記ボイラー水と前記水蒸気とに接触する部分の外面の少なくとも一部からの放熱を防止して、前記水位測定装置内の前記水蒸気の凝縮に起因して生じる腐食を防止することを特徴とするボイラーの水位測定装置の防食方法。
  6. 前記放熱を防止する部分が、主として前記水蒸気と接する部分であることを特徴とする請求項5記載のボイラーの水位測定装置の防食方法。
  7. 前記放熱を防止する部分が、前記連絡管、この連絡管に接続される水柱管、この水柱管に接続される接続管、及び、この接続管を介して前記水柱管に接続される水面計の視認部を除いた部分のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項5記載のボイラーの水位測定装置の防食方法。
  8. 前記放熱を防止する部分が、前記連絡管、及び、この連絡管に接続される水面計の視認部を除いた部分のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項5記載のボイラーの水位測定装置の防食方法。
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