JP5972594B2 - 耐食性被覆層を有する伝熱管、当該伝熱管を備えた熱交換器、当該伝熱管の製造方法 - Google Patents

耐食性被覆層を有する伝熱管、当該伝熱管を備えた熱交換器、当該伝熱管の製造方法 Download PDF

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本発明は、ボイラ等から排出される燃焼ガス中で使用される金属部材の表面に施されて耐食性及び伝熱性を有する耐食性被覆層、当該耐食性被覆層を有する伝熱管及び当該伝熱管を備えた熱交換器に関する。
一般的に、ボイラ等の熱効率を高めるために、火炉で発生した高温の燃焼ガスから熱回収してボイラ水を加熱する熱交換器が使用されている。燃焼ガス中には、水蒸気、硫黄酸化物(SOx)等が含まれており、燃焼ガス中の水蒸気量、硫黄酸化物の濃度等にもよるが、約160℃以下の雰囲気下では、結露が生じて腐食性の強い硫酸が生成されて熱交換器に付着する(以下、硫酸が生成される温度を硫酸露点温度という)。これにより、熱交換器は腐食、いわゆる低温腐食を受けることとなる。そこで、硫酸が生じることを防止するために、硫酸露点温度よりも高い温度(例えば180℃以上)で運用することで、硫酸が生成されることを防止し、低温腐食が生じることを回避している。
ところで、ボイラ等の効率化を図るために、硫酸露点温度以下での運用が強く望まれていた。そこで、フッ素樹脂やガラスを含む耐食性被覆層を有する熱交換器が用いられている。しかし、フッ素樹脂やガラスを含む耐食性被覆層は伝熱性が低いため、熱回収率が低下してしまう。そこで、熱回収率を向上させるために、熱交換器の表面積を広くしたり、フィン付管を採用したりして伝熱面積を拡大することにより、熱回収率を向上させていた。
しかしながら、伝熱面積を拡大すると、製造コストが増大するとともに、ボイラシステム全体の小型化が困難になるという問題があった。
そこで、例えば特許文献1には、熱回収率を損なうことの無い耐食性被覆層を有する節炭器が開示されている。
特許文献1に記載の節炭器は、カーボンナノチューブ等の炭素樹脂を含む耐食性被覆層を有している。この耐食性被覆層は、電着性物質である合成高分子樹脂中に炭素樹脂を分散させた電着液を電着により金属管の表面に付着させた後、加熱硬化することにより、形成される。電着性の合成高分子樹脂として、アニオン性合成高分子樹脂を用いた場合には、トリメチルアミン、ジエチルアミン等の無機アルカリで中和して水に可溶化された状態、或いは水分散状態で電着に供される。また、カチオン性合成高分子樹脂を用いた場合には、ギ酸、酢酸等の酸で中和して、水に可溶化された状態、或いは水分散状態で電着に供される。
特開2011−2110号公報
しかしながら、特許文献1に記載の耐食性被覆層を形成するには、上述したように、合成高分子樹脂を無機アルカリや酸で中和して水に可溶化した状態、或いは水分散状態にしなけれればならず、多くの作業工程と多大な時間を要すること、更には長尺管への施工が困難という問題点があった。
そこで本発明は、上述したような従来技術の状況の下になされた発明であって、手間をかけることなく長尺管にも形成可能で、且つ伝熱性に優れた耐食性被覆層、当該耐食性被覆層を有する伝熱管(フィン付き管を含む)、及び当該伝熱管を有する熱交換器を提供することを目的としている。
本発明は、上述したような従来技術における課題を解決するために発明されたものであって、本発明の耐食性被覆層は、水分及び硫黄酸化物を含む燃焼ガス中で使用される金属部材の表面に付着して、当該金属部材の腐食を防止する耐食性被覆層であって、
フッ素樹脂と、炭素繊維と、低融点合金(例えば、はんだ材料)とを含むフッ素樹脂混合物からなり、
前記フッ素樹脂、前記炭素繊維及び前記低融点合金が分散されていることを特徴とする。
上記耐食性被覆層によれば、フッ素樹脂を含んでいるため、硫酸に対する耐食性を有している。
また、炭素繊維、黒鉛及び低融点合金を含んでいるため、フッ素樹脂のみからなる耐食性被覆層よりも熱伝導率を高くすることができる。これにより優れた伝熱性を有することができる。さらに、フッ素樹脂、炭素繊維及び低融点合金は、金属の表面に分散された状態で付着している。これにより、金属の表面全体にわたって耐食性及び熱伝導率を均質にすることができる。
また、フッ素樹脂混合物は、フッ素樹脂に炭素繊維、低融点合金を混合するだけなので手間をかけることなく短時間で作成することができる。そして、長尺管への施工も容易となる。
また、上記発明において、前記フッ素樹脂混合物は、静電塗装され後、焼付けられることにより前記金属の表面に付着され、
前記低融点合金は、前記焼付け温度よりも低い融点を有することとしてもよい。
このように、焼付け温度よりも低い融点の低融点合金を用いるため、焼付けを実施する際に、低融点合金が溶融することにより金属の表面全体に広がり、かつ被覆層中の厚さ方向へも広がるため、金属の表面全体にわたって熱伝導率を均質に高めることができる。
また、上記発明において、前記フッ素樹脂混合物は、前記フッ素樹脂を40〜60重量%、前記炭素繊維を10〜40重量%、前記低融点合金を10〜40重量%含むこととしてもよい。
このように、耐食性被覆層は、フッ素樹脂を40〜60重量%、炭素繊維を10〜40重量%、低融点合金を10〜40重量%含んでいるため、フッ素樹脂のみからなる耐食性被覆層よりも耐食性を向上させるとともに、熱伝導率を高くすることができる。
また、上記発明において、前記フッ素樹脂混合物は、黒鉛及び炭化ケイ素の少なくとも何れか一方を含むこととしてもよい。
黒鉛を含む場合には、熱伝導率及び耐食性を更に向上させることができる。また、炭化ケイ素を含む場合には、耐食性を更に向上させることができる。
また、上記発明において、前記フッ素樹脂混合物は、前記黒鉛を0〜15重量%、前記炭化ケイ素を0〜15重量%含むこととしてもよい。
このように、耐食性被覆層は、黒鉛を0〜15重量%、炭化ケイ素を0〜15重量%含んでいるため、フッ素樹脂のみからなる耐食性被覆層よりも耐食性を向上させるとともに、熱伝導率を高くすることができる。
また、本発明の伝熱管は、上述したフッ素樹脂混合物からなる耐食性被覆層を表面に有することを特徴とする。
上記伝熱管によれば、上述した耐食性被覆層を表面に有しているため、従来のフッ素樹脂のみからなる耐食性被覆層よりも効率良く熱交換することができる。即ち、熱回収率を向上させることができる。さらに、熱回収率が優れているため、従来の熱回収率を高めるために大型化された伝熱管よりも小型化することができる。
また、上述した耐食性被覆層を表面に有しているため、従来の耐食性被覆層よりも硫酸に対する耐食性が向上されており、従来の伝熱管よりも腐食を低減することができる。
また、本発明の熱交換器は、上述した伝熱管を、水分及び硫黄酸化物を含む燃焼ガスが冷却されて露点以下となり硫酸が発生する部位に備えることを特徴とする。
上記熱交換器によれば、水分及び硫黄酸化物を含む燃焼ガスが冷却されて露点以下となり硫酸が発生する部位に、上述した伝熱管を備えているため、従来の伝熱管よりも硫酸に対する耐食性が向上されており、従来の伝熱管よりも腐食量を低減することができる。
また、上述した伝熱管を硫酸が発生する部位にのみ用いるため、上述した伝熱管を全ての部位に設けた場合に比べて安価に熱交換器を製作することができる。
そして、上述した伝熱管を備えているため、従来の熱交換器よりも熱回収率を向上させつつ、長期間使用することができる。
さらに、上述した伝熱管を備えているため、従来の熱回収率を高めるために大型化された熱交換器を小型化することができる。
また、硫酸露点温度以下でもボイラ等を運転することが可能となるため、ボイラの効率を向上させることができる。
本発明によれば、手間をかけることなく長尺管にも形成可能で、且つ伝熱性に優れた耐食性被覆層、当該耐食性被覆層を有する伝熱管(フィン付き管を含む)、及び当該伝熱管を有する熱交換器を提供することができる。
本発明の実施形態に係るボイラの排熱回収装置を示す図である。 本発明に係る耐食性被覆層を有する伝熱管の側断面図である。 耐食性被覆層内に分散されたフッ素樹脂、炭素繊維、黒鉛、炭化ケイ素、低融点合金を示す模式図である。 黒鉛の配合量と熱伝導率との関係を示す図である。 耐食被覆層に含まれる材料と熱伝達率との関係を示す図である。 本発明による効果を示す概念図である。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいてより詳細に説明する。
ただし、本発明の範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限り、本発明の範囲をそれにのみ限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明の実施形態に係るボイラの排熱回収装置を示す図である。
図1に示すように、ボイラ1のバーナ2にて火炉4に供給された燃料は、空気ダクト6から供給された空気と混合し、火炉4内で高温の燃焼ガスを生成する。高温の燃焼ガスは、火炉4内や排ガス通路8内に設置された過熱器10、再熱器12及び節炭器14で熱回収される。燃焼ガスの温度は、過熱器10、再熱器12及び節炭器14を通過するにしたがって次第に低くなる。
汽水ドラム16で蒸発した水蒸気は過熱器10へ送給される。そして、過熱器10で加熱された水蒸気は高圧タービンへ供給される。
また、高圧タービンで仕事をした水蒸気は再熱器12へ送給される。そして、再熱器12で加熱された水蒸気は中圧タービンへ供給される。
また、復水ポンプから供給されたボイラ水は給水ポンプ22にて節炭器14へ送給される。そして、節炭器14で加熱されたボイラ水は汽水ドラム16へ供給される。
節炭器14の伝熱管24の周囲を通過する燃焼ガスと伝熱管24内のボイラ水とが熱交換することにより、伝熱管24内のボイラ水が加熱される。
節炭器14は、上段ブロック14a、中段ブロック14b、下段ブロック14cから構成されている。給水ポンプ22からの供給されるボイラ水は、下段ブロック14c下端の伝熱管24の端部に設けられた給水口32から伝熱管24内に供給される。そして、下段ブロック14c内、中段ブロック14b内及び上段ブロック14a内を通過した後、上段ブロック14a上端の伝熱管24の端部に設けられた給水口32から汽水ドラム16へ供給される。
ボイラ水は、下段ブロック14cから上段ブロック14aへ移動するにつれて徐々に加熱される。したがって、燃焼ガスの温度は、上段ブロック14aから下段ブロック14cへむかうにしたがって次第に低くなる。
例えば、節炭器14の上端付近を通過する燃焼ガスの温度は約373℃で、節炭器14を通過した後の燃焼ガスの温度は約163℃である。また、節炭器14に供給されるボイラ水の温度は約145℃とした。したがって、中段ブロック14b又は下段ブロック14c内では、硫酸露点温度(約160℃)以下となり、硫酸が生成される部位が発生する。硫酸が生成されると、伝熱管24は低温腐食を受ける。そこで、硫酸露点温度以下となる部位に、後述する本発明に係る耐食性被覆層を有する伝熱管24を配置する。配置箇所は、予め設計等により硫酸露点温度以下となる位置を算出することにより決定される。本実施形態では、例えば、下段ブロック14cの伝熱管24に本発明に係る耐食性被覆層を施した。したがって、上段ブロック14a及び中段ブロック14bは、一般的な伝熱管を配置した。
なお、本実施形態では、節炭器14の上端付近を通過する燃焼ガスの温度を約373℃、節炭器14を通過した後の燃焼ガスの温度を約163℃、節炭器14に供給されるボイラ水の温度を約145℃としたが、これらの値に限定されるものではない。
図2は、本発明に係る耐食性被覆層40を有する伝熱管24の側断面図である。
図2に示すように、伝熱管24は、円筒形の伝熱管本体26の外周面にフィン28が所定のピッチ間隔で固設されている。伝熱管本体26及びフィン28の表面は、本発明に係る耐食性被覆層40で覆われている。
図3は、耐食性被覆層40内に分散されたフッ素樹脂42、炭素繊維43、黒鉛45、炭化ケイ素46、低融点合金44を示す模式図である。
図3に示すように、耐食性被覆層40はフッ素樹脂混合物から形成される。このフッ素樹脂混合物は、炭素繊維43、スズを含む低融点合金44、黒鉛45及び炭化ケイ素46をフッ素樹脂42に混合することにより形成される。フッ素樹脂42、炭素繊維43、低融点合金44、黒鉛45及び炭化ケイ素46は、全て粉末状、繊維状およびペースト状のものを用いる。
フッ素樹脂混合物には、フッ素樹脂42が40〜60重量%、炭素繊維43が10〜40重量%、低融点合金44が10〜40重量%、黒鉛45が0〜15重量%、炭化ケイ素46が0〜15重量%含まれている。
本実施形態では、フッ素樹脂42として粉末状のテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビリニデンフルオライド(PVDF)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等を用いても良い。
また、炭素繊維43は、石油ピッチやコールタールピッチを原料とする粉末状のピッチ系炭素繊維43を用いた。ピッチ系炭素繊維43は、耐食性、伝熱性に優れ、且つ高剛性を有するからである。
また、低融点合金44として、例えば、鉛フリーはんだ合金を用いた。鉛フリーはんだ合金とは、スズを主成分とし、これに銅、銀、アルミニウム、ビスマス、亜鉛等を添加したものである。詳細は後述するが、粉体静電塗装後、フッ素樹脂混合物を150〜200℃程度で焼付ける際に溶融可能なSn−Ag−Cu、Sn−Al、Sn−Bi、Sn−Bi−Ag等の低融点合金を用いる。なお、本実施形態では、粉末状の鉛フリーはんだ合金を用いたが、ペースト状のものを用いてもよい。
そして、黒鉛45として、粉末状のダイヤモンドライクカーボン(DLC)を用いた。なお、DLCに限定されるものではなく、一般的な黒鉛45を用いてもよい。
フッ素樹脂42のみならず、硬度が高い黒鉛45及び炭化ケイ素46が、図3に示すように、分散された状態で耐食性被覆層40内に存在しているので、耐食性を向上させることができる。また、熱伝達率の高い炭素繊維43及び黒鉛45が、分散され、低融点合金44により線に結びついた状態で耐食性被覆層40内に存在しているので伝熱性を向上させることができる。粉末状の炭素繊維43、低融点合金44、黒鉛45、炭化ケイ素46、フッ素樹脂42を混合することで、耐食性被覆層40内に分散させることができる。
粉末状の黒鉛45を含むことによる熱伝導率への影響について検討した結果について以下で説明する。
図4は、黒鉛45の配合量と熱伝導率との関係を示す図である。
図4に示すように、黒鉛45の配合量が異なる複数種の混合物を用いて、それぞれの熱伝導率を計測した。具体的には、黒鉛45とポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂42とを溶融して混合した混合物(以下、溶融混合物という)、粉末状の黒鉛45と粉末状のポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂42とを粉体状に混合した混合物(以下、粉体混合物という)、黒鉛45とポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂42とを溶液中で混合した混合物(以下、溶液混合物という)、黒鉛45とポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂42とをロールで加圧して混練した混合物(以下、ロール混練物という)を用いた。
すべての混合物において、黒鉛45の含有量が増加すると熱伝達率は増加することが確認できた。また、粉体混合物が他の混合物よりも最も熱伝導率が高い値を示すことが確認できた。例えば、黒鉛45の含有量が20重量%の場合、粉体混合物の熱伝達率が最も高い値を示す。そして、溶液混合物、ロール混合物、溶融混合物の順番で熱伝導率は低くなっている。したがって、粉末状の黒鉛45を混合することにより、高い熱伝導率を得ることができることが確認できた。
ところで、フッ素樹脂混合物は、粉体静電塗装にて伝熱管24に付着される。フッ素樹脂混合物が付着した伝熱管24は、焼付乾燥炉に入れられて、約150〜200℃で焼付けられる。焼付けによって、フッ素樹脂混合物に含まれる低融点合金44の粉末の粒子が溶融して伝熱管24の表面全体に分散した後、硬化することで、耐食性被覆層40が形成される。
炭素繊維43、低融点合金44、黒鉛45及び炭化ケイ素46は、それぞれ粉末状の粒子なので、伝熱管24の表面に分散された状態で耐食性被覆層40が形成される。
次に、炭素繊維43、低融点合金44、黒鉛45等を含むことにより、伝熱性を向上させることができた結果について説明する。
図5は、耐食被覆層に含まれる材料と熱伝達率との関係を示す図である。
図5に示すように、配合材料の異なる複数種類の耐食性被覆層(以下、試料という)を作成し、各試料の熱伝導率を計測した。なお、比較検討のために、一般的に実施されている配合材料からなる試料1〜5も作成した。最初に、一般的に実施されている試料1〜5について説明し、次に、本発明に係る配合材料からなる試料6〜8について説明する。
まず、フッ素樹脂42のみからなる試料1、フッ素樹脂42に窒化ホウ素を20容量%混合した試料2、フッ素樹脂42に黒鉛45を30容量%混合した試料3、フッ素樹脂42に銅を30容量%混合した試料4、フッ素樹脂42にアルミニウムを50容量%混合した試料5を作成した。これら試料1〜5に配合された配合材や配合割合は、耐食性や伝熱性を高める場合に一般的に実施されているものである。
次に、フッ素樹脂42のPFAに黒鉛45及び炭化ケイ素46を混合した試料6、PFAに黒鉛45、炭化ケイ素46及び鉛フリーはんだ合金を混合した試料7、PFAに黒鉛45、炭化ケイ素46、鉛フリーはんだ合金及び炭素繊維43を混合した試料8を作成した。これら試料6〜8に配合された配合材料の組合せ及び配合割合等は、耐食性や伝熱性を高めるために、今回新たに発明したものである。
試料1の熱伝導率は0.2(W/mK)となり、全試料の中で最も小さい値となった。また、試料2、3、4、5の熱伝導率は、それぞれ0.5、1.0、0.6、2.6(W/mK)となり、試料1の熱伝達率よりも高い値となった。特にアルミニウムを含む試料5では、高い熱伝達率が得られたが、アルミニウムを50容量%も含むため、高コストになってしまう。
そして、試料6の熱伝達率は1.5(W/mK)となり、試料1の7倍以上の熱伝達率を有している。
また、試料7の熱伝達率は13.9(W/mK)となり、今回の試料の中では2番目に高い熱伝達率を有している。
最後に、試料8の熱伝達率は28.5(W/mK)となり、今回の試料の中では最も高い熱伝達率を有している。
これらの結果より、黒鉛45、炭素繊維43、鉛フリーはんだ合金を含むことにより、熱伝導率を高くすることができる事を確認できた。特に、炭素繊維43、鉛フリーはんだ合金を含むことにより、高い熱伝導率を得ることができる。
上述した本発明に係る耐食性被覆層40によれば、フッ素樹脂42を40〜60重量%含んでいるため、硫酸に対する耐食性を有している。そして、炭化ケイ素46を0〜15重量%含んでいるため、耐食性を更に向上させることができる。
また、炭素繊維43を10〜40重量%、低融点合金44を10〜40重量%含んでいるため、フッ素樹脂42のみからなる耐食性被覆層40よりも熱伝導率を高くすることができる。そして、黒鉛45を0〜15重量%含んでいるため、熱伝導率を更に高くするとともに、耐食性を更に向上させることができる。
また、フッ素樹脂42、炭素繊維43及び低融点合金44は、伝熱管24の表面に分散された状態で付着している。これにより、伝熱管24の表面全体にわたって耐食性及び伝熱性を均質にすることができる。
そして、焼付け温度よりも低い融点を有する低融点合金44を用いるため、焼付けを実施する際に、低融点合金44が溶けてフッ素樹脂混合物を伝熱管24の表面に強固に付着させることができる。また、低融点合金44が溶融することにより高い熱伝導性を有する炭素繊維、炭化ケイ素などを結びつける作用により、伝熱管24の表面全体に広がる。これにより、伝熱管24の表面全体にわたって熱伝導率を均質にすることができる。
さらに、フッ素樹脂混合物は、フッ素樹脂42に炭素繊維43、低融点合金44等を混合するだけなので手間をかけることなく短時間で作成することができる。そして、長尺管への施工も容易となる。
また、本発明に係る伝熱管24によれば、従来のフッ素樹脂42のみからなる耐食性被覆層よりも熱伝導率が高い本発明に係る耐食性被覆層40を有しているため、効率良く熱交換することができる。即ち、熱回収率を向上させることができる。さらに、熱回収率が優れているため、図6に示すように、従来の熱回収率を高めるために大型化された伝熱管よりも小型化することができる。
そして、従来の耐食性被覆層よりも耐食性に優れた本発明に係る耐食性被覆層40を有しているため、硫酸に対する耐食性が向上されており、従来の伝熱管よりも腐食を低減することができる。
また、本発明に係る伝熱管24を備える節炭器14によれば、燃焼ガスが冷却されて露点以下となり硫酸が発生する部位、例えば下段ブロック14cに、従来の伝熱管よりも耐食性に優れた本発明に係る伝熱管24を備えているため、従来の伝熱管よりも腐食量を低減することができる。
また、本発明に係る伝熱管24を硫酸が発生する部位にのみ用いるため、本発明に係る伝熱管24を全ての部位、例えば、上段ブロック14a、中段ブロック14b及び下段ブロック14cに設けた場合に比べて安価に節炭器14を製作することができる。
また、本発明に係る伝熱管24を備えているため、従来の節炭器よりも熱回収率を向上させつつ、長期間使用することができる。
さらに、本発明に係る伝熱管24を備えているため、従来の熱回収率を高めるために大型化された節炭器を小型化することができる。
また、硫酸露点温度以下でもボイラ1を運転することが可能となるため、ボイラ1の効率を向上させることができる。
1 ボイラ
2 バーナ
4 火炉
6 空気ダクト
8 排ガス通路
10 過熱器
12 再熱器
14 節炭器
14a 上段ブロック
14b 中段ブロック
14c 下段ブロック
16 汽水ドラム
22 給水ポンプ
24 伝熱管
26 伝熱管本体
28 フィン
32 給水口
40 耐食性被膜層
42 フッ素樹脂
43 炭素繊維
44 低融点合金
45 黒鉛
46 炭化ケイ素

Claims (4)

  1. 水分及び硫黄酸化物を含む燃焼ガス中で使用される伝熱管であって、
    前記伝熱管の外表面には、耐食性被覆層が形成され、
    前記耐食性被覆層は、
    フッ素樹脂と、炭素繊維と、鉛フリーはんだ合金と、黒鉛と、炭化ケイ素とを含むフッ素樹脂混合物からなり、
    前記フッ素樹脂、前記炭素繊維、前記鉛フリーはんだ合金、前記黒鉛、及び前記炭化ケイ素が分散された状態で前記耐腐食性被覆層内に存在し、且つ、分散された前記炭素繊維および前記黒鉛が、前記鉛フリーはんだ合金により線状に結びついた状態で前記耐腐食性被覆層内に存在していることを特徴とする伝熱管。
  2. 前記フッ素樹脂混合物は、前記フッ素樹脂を40〜60重量%、前記炭素繊維を10〜40重量%、前記鉛フリーはんだ合金を10〜40重量%、前記黒鉛を0〜15重量%(ただし、0重量%は除く)、前記炭化ケイ素を0〜15重量%(ただし、0重量%は除く)含むことを特徴とする請求項1に記載の伝熱管。
  3. 請求項1又は2に記載の伝熱管を、水分及び硫黄酸化物を含む燃焼ガスが冷却されて露点以下となり硫酸が発生する部位に備えることを特徴とする熱交換器。
  4. 請求項1又は2に記載の伝熱管の製造方法であって、
    粉末状の前記フッ素樹脂、前記炭素繊維、前記鉛フリーはんだ合金、前記黒鉛、前記炭化ケイ素のそれぞれを粉体状に混合した混合物を前記伝熱管の外表面に粉体静電塗装した後、焼付けることにより、前記フッ素樹脂混合物を前記伝熱管の外表面に付着させる工程を備え、
    前記鉛フリーはんだ合金は、前記焼付け温度よりも低い融点を有することを特徴とする伝熱管の製造方法。
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