JP2002338882A - 化学プラント機器 - Google Patents

化学プラント機器

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JP2002338882A
JP2002338882A JP2001142152A JP2001142152A JP2002338882A JP 2002338882 A JP2002338882 A JP 2002338882A JP 2001142152 A JP2001142152 A JP 2001142152A JP 2001142152 A JP2001142152 A JP 2001142152A JP 2002338882 A JP2002338882 A JP 2002338882A
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chemical plant
coating material
plant equipment
coating
surface coating
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JP2001142152A
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English (en)
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Atsushi Tsunoda
角田  敦
Koichi Tsukamoto
光一 塚本
Kazuhiko Kosuge
一彦 小菅
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Du Pont Toray Co Ltd
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Du Pont Toray Co Ltd
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  • Protection Of Pipes Against Damage, Friction, And Corrosion (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 本発明は、実質的に厚さムラを生じるこ
となく被覆でき、かつ経時的に被膜のクラックが実質的
に生じることのない化学プラント機器の内面被覆材、お
よびかかる内面被覆材で内面が被覆された耐熱水性、耐
食性、耐薬品性および耐久性に優れた化学プラント機器
を提供することを目的とする。 【解決手段】 ポリエーテルケトンケトンを含有するこ
とを特徴とする化学プラント機器の内面被覆材、および
かかる内面被覆材で内面が被覆された化学プラント機
器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエーテルケト
ンケトンを含有する化学プラント機器の内面被覆材、お
よび該内面被覆材で内面が被覆されている化学プラント
機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】耐熱性、耐薬品性、耐水性および機械的
強度など優れた特性を有するポリエーテルエーテルケト
ン(以下、PEEKと略称する)を金属体に被覆する
と、特に耐熱水性、耐薬品性および耐食性に優れた樹脂
被膜金属体が得られることが知られている。しかし、P
EEKは結晶性ポリマーであるので、金属体に被覆する
際に厚さムラが生じたり、時間の経過とともに結晶の配
向と異なる向きにおいて被膜にクラックが生じたりする
という問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、実質的に厚
さムラを生じることなく被覆でき、かつ経時的に被膜の
クラックが実質的に生じることのない化学プラント機器
の内面被覆材、およびかかる内面被覆材で内面が被覆さ
れた耐熱水性、耐食性、耐薬品性および耐久性に優れた
化学プラント機器を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成せんものと、多種多様の樹脂について化学プラント
機器の内面被覆材としての有用性を種々検討の結果、ポ
リエーテルケトンケトン(以下、PEKKと略称する)
を用いれば、上記従来の問題点が一挙に解決できること
を知見した。すなわち、PEKKを含有する内面被覆材
で被覆された化学プラント機器は、例えば高温水、種々
の反応性を有する化学物質または腐食物質などと絶えず
接触するという厳しい条件下で使用されるにもかかわら
ず、時間の経過とともに被膜にクラックが生じたりする
ことが実質上なく、長期に渡って優れた耐久性を示す。
またさらに、PEEKを含有する内面被覆材で化学プラ
ント機器の内面を被覆する際には厚さムラが実質上生じ
ることがなく施工が容易である。本発明者らは、さらに
検討を重ねて本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、(1) ポリエーテ
ルケトンケトンを含有することを特徴とする化学プラン
ト機器の内面被覆材、(2) さらに充填材を含有する
ことを特徴とする前記(1)に記載の内面被覆材、
(3) 充填材が、カーボン、炭素繊維、アラミド、ガ
ラス繊維またはフッ素樹脂であることを特徴とする前記
(3)に記載の内面被覆材、(4) 前記(1)〜
(3)に記載の内面被覆材で内面が被覆されていること
を特徴とする化学プラント機器、および、(5) 化学
プラント機器が、タンク、管、熱交換器、ポンプまたは
バルブである前記(4)に記載の化学プラント機器、に
関する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において化学プラント機器
とは、工業用化学プラントにおいて使用されている機器
をいい、その形状または用途などは特に限定されない。
中でも、耐薬品性、耐水性および耐食性等が要求される
機器が好ましく、より具体的には、例えば、タンク、
管、熱交換器、ポンプ、バルブ、反応塔、反応槽、貯留
槽、輸送及び貯留用タンク類、液体用コンテナ、化学薬
品や電子部品用の容器などが挙げられる。
【0007】本発明に係る化学プラント機器は、約10
年以上にも及ぶ長期間使用しても、実質上被膜にクラッ
クが入らず、さらに機械的強度、絶縁耐力、耐熱性、耐
薬品性、耐水性、難燃性、耐浸透性などに優れているこ
とが特長である。そのような優れた特長を有する本発明
に係る化学プラント機器は、その内面がPEKKを含む
内面被覆材で被覆されている。かかる内面被覆材に含有
されているPEKKは、下記一般式で表される化合物で
ある。
【化1】
【0008】本発明に係る内面被覆材(以下、単に内面
被覆材ともいう)は、上記PEKK以外に、さらに充填
材を含有していてもよい。充填材としては、金属を含む
無機物または有機物のいずれも使用できる。これら充填
材は、1種類を単独で用いてもよいし、複数種類を併用
して用いてもよい。また、これら充填材の形状は特に問
わず、粉状、板状および繊維状等であってよい。
【0009】無機系充填材としては、例えば、二硫化モ
リブデン、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、リン酸
カルシウム、ピロリン酸カルシウム、水酸化カルシウ
ム、チタン酸カリウム、フッ化黒鉛、ブロンズ、タル
ク、マイカ、クレー、セリサイト、シリカ、アルミナ、
グラファイト、チタン酸カリウムウィスカー、炭化ケイ
素ウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、アルミナウィス
カー、カーボン、炭素繊維、チタン繊維、ガラス繊維、
ガラスビーズ、中空ガラスビーズ、アルミニウムパウダ
ー、ニッケルパウダー、プラチナパウダー、金パウダ
ー、銀パウダー、銅パウダー、ステンレスフレークまた
は黄銅もしくはニッケル合金などの合金などが挙げられ
る。また、タングステン、モリブデンもしくはボロンの
単体、またはこれらの複合体なども挙げられる。
【0010】有機物の充填材としては、例えば、アラミ
ド、ポリイミド、ポリアミドイミド、全芳香族ポリエス
テル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケト
ン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホ
ンまたはポリテトラフロロエチレンなどのフッ素樹脂等
が挙げられる。
【0011】充填材を含有する内面被覆材は、充填材が
含有されていない内面被覆材と比べて熱膨張率が低下
し、被覆される化学プラント機器を構成する基材(以
下、単に基材という)の熱膨張率との差が少なくなる。
その結果、焼き付け処理時の熱応力の発生が抑止され、
基材と被膜とのより強い接着力を得ることができるとい
う利点がある。また、充填材は、膜厚方向のガスや水蒸
気などの浸透を抑える働きをする場合がある。
【0012】これら充填材の中でも、アラミドまたは/
およびフッ素樹脂を用いるのが好ましい。内面被覆材に
アラミドが含有されていれば、被膜の耐磨耗性が向上
し、被膜のクラックがより生じにくく、さらに焼き付け
処理時の熱応力の発生が抑止され、基材と被膜とのより
強い接着力を得ることができるという利点がある。ま
た、内面被覆材にフッ素樹脂が含有されていれば、内面
被覆材の流動性が増加し、化学プラント機器の内面によ
り被覆しやすくなるという利点がある。
【0013】充填材の種類および/または含有量を調整
することにより、無充填の内面被覆材を用いる場合に比
し、化学プラント機器の内面の物理的、化学的または電
気的特性を改善することができる。上記充填材の配合割
合は、約1〜50重量%であることが好ましく、約1〜
30重量%程度がより好ましく、約5〜30重量%程度
が最も好ましい。本発明に係る内面被覆材には、難燃化
剤などの他の成分がさらに含有されていてもよい。
【0014】本発明に係る内面被覆材により被覆される
化学プラント機器を構成する基材の素材としては、特に
限定されないが、通常は金属である。該素材としては、
ステンレス、チタン、鉄、アルミニウムもしくは銅の単
体またはそれらの合金が好ましい。
【0015】本発明において、内面被覆材で化学プラン
ト機器の内面を被覆する方法は、自体公知の方法に従っ
てよい。具体的には、例えば、本発明に係る内面被覆材
を含むシート状体を用いる被覆方法、または本発明に係
る内面被覆材の粉粒体を用いる被覆方法という2つの被
覆方法が大きくは挙げられる。以下に、それぞれの方法
について詳述する。
【0016】本発明に係る内面被覆材を含むシート状体
を用いる被覆方法としては、接着ライニングまたはルー
ズライニングが挙げられる。接着ライニングとしては、
予め公知の方法で本発明に係る内面被覆材を含むシート
状体を作製し、化学プラント機器内面に接着剤を用いて
かかるシート状体を接着させる方法が挙げられる。ま
た、ルーズライニングとしては、化学プラント機器内面
に上記シート状体を、接着剤を用いずに密着させる方法
が挙げられる。この際にシート状物の適宜箇所を接着剤
で接着してもよい。なお、上記方法において用いられる
接着剤としては、特に限定されず、自体公知の接着剤を
用いることができる。具体的には、例えば、SBSもし
くはSEBSなどのゴム系接着剤、ポリエステル系もし
くは変性ポリオレフィン系などの熱溶融性接着剤などが
挙げられる。
【0017】また、化学プラント機器が管の場合は、引
張挿入法により管の内面を被覆することができる。具体
的には、予め公知の方法で、本発明に係る内面被覆材を
含む管状体を作製し、該管状体を若干延伸させて小径化
しこれを管内に引き込んだ後延伸力を解放し、所望によ
り該管状体内部を加圧して、該管状体を管内径に密着さ
せることにより、管内面を被覆する。
【0018】本発明に係る内面被覆材の粉粒体を用いた
被覆方法としては、まず、(a)基材に前処理を施す工
程と、(b)中間層を設ける工程と、(c)基材の表面
または中間層を設けた場合は中間層の表面に、本発明に
係る内面被覆材を塗装する工程と、(d)該内面被覆材
を溶融させ、基材に該内面被覆材を融着させる焼き付け
工程と、(e)該内面被覆材で内面が被覆された化学プ
ラント機器を冷却する工程とからなる方法が好ましい例
として挙げられる。ここで、上記(a)および(b)の
工程は、所望により行えばよい。また、上記(c)塗装
工程と、(d)焼き付け工程とは、後述するパウダーコ
ーティングのように同時に行ってもよい。
【0019】基材に施す前処理は、基材表面を粗面化ま
たは表面改質することによって、基材表面と内面被覆材
が物理的な方法で強力に結合できるようにするために行
われるものであり、自体公知の処理手段を用いてよい。
該前処理としては、例えば、ブラスト、脱脂、酸洗い、
溶射、化成処理または鍍金などの処理が挙げられる。特
に、ブラスト処理は、表面のスケールを除去し、さらに
表面を粗面化でき、その結果として内面被覆材との結合
が強力になるので好ましい。かかるブラスト処理として
は、グリッドブラスト処理、ショットブラスト処理また
はサンドブラスト処理などが挙げられる。グリッドブラ
スト処理またはショットブラスト処理に用いる研掃材の
材質としては、炭素鋼、アルミニウムまたはステンレス
などの合金などが用いられる。
【0020】本発明においては、基材と内面被覆材との
接着性を向上させるべく、所望により前処理した基材の
表面に中間層を予め設けてもよい。該中間層としては、
例えば、Ni、CrおよびMoからなる群から選ばれる
1種以上の金属で形成された金属被膜層が挙げられる。
さらに、その表面をクロメート処理して酸化被膜層を設
けてもよい。
【0021】また、上記中間層として、CrもしくはM
oまたはこれらの合金からなるまだらな金属溶射層も挙
げられる。「まだら」とは、上記金属で被覆されている
部分の面積が全内面積に対し約5〜70%程度であっ
て、島の最大直径が約0.5〜5mm程度である状態が
好ましい。上記金属を基材にまだらに溶射する方法とし
ては、特に限定されないが、溶射時に溶射ガンから発射
する溶融金属粒を基材表面に吹き散らす方法や、溶射に
より得た平滑な金属溶射面を上述したブラスト処理によ
りまだらにする方法などが挙げられる。
【0022】また、上記中間層として、フィラー(例え
ば、金属酸化物、ガラス、カーボン)が配合されている
合成樹脂からなるプライマー層も挙げられる。かかる合
成樹脂としては、例えば、エポキシ系、ポリエステル
系、フッ素系、シリコン系、ポリウレタン系またはフェ
ノール樹脂系などの合成樹脂が挙げられる。かかるプラ
イマー層を設けるには、自体公知の方法に従ってよい。
【0023】さらに上記中間層として、金属アルコキシ
ドまたはその初期縮合物からなるプライマー層が挙げら
れる。該金属アルコキシドとしては、Al(OCH
、Al(OC、Al(iso−OC
、Ga(OCH、Ga(OC
、Ga(OC、Ge(OCH、Ge
(OC、Ge(OC、In(OC
、In(OC、In(iso−OC
、Nb(OCH、Nb(OC
、Nb(OC、Si(OCH、Si
(OC、Si(iso−OC、C
O(Si(OCHO)CH、Ti(OC
、Ti(OC、Ti(OC
、CO(Ti(OCO)10
、CO(Ti(OCO)10
、Sn(OCH、Sn(OC、Sn
(iso−OC、Zr(OCH、Zr
(OC、Zr(OCなどが挙げら
れる。上記金属アルコキシドの初期縮合物としては、上
記のような金属アルコキシドを部分的に加水分解し、重
縮合させることにより得ることができる。重合度は、1
0程度以下であることが好ましい。
【0024】上述のようなプライマー層を設けるには、
金属アルコキシドまたはその初期縮合物を含有するプラ
イマー組成物を所望により前処理が施された基材表面に
塗布し、次いで焼き付けを行えばよい。その結果、金属
アルコキシドまたはその初期縮合物が空気中の水分によ
り架橋硬化し、プライマー層が形成される。上記プライ
マー組成物としては、金属アルコキシドまたはその初期
縮合物を適当な有機溶媒に溶解したものが用いられる。
該有機溶媒としては特に限定されないが、例えばメタノ
ール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘ
キサン、ベンゼン、トルエンまたはキシレンなどが挙げ
られる。また、金属アルコキシドまたはその初期縮合物
が液状の場合は、上記プライマー組成物としてそのまま
使用することができる。
【0025】上記プライマー層の焼付けは、自体公知の
方法に従ってよく、通常100℃以上、好ましくは約2
00〜400℃程度の温度で行われる。以上のようにし
て形成されるプライマー層の厚さは、約5〜100μm
程度が好ましく、約10〜30μm程度がより好まし
い。
【0026】基材の表面または中間層の表面に本発明に
係る内面被覆材を塗装する方法としては、特に限定され
ず、自体公知の塗装方法を用いてよい。該塗装方法とし
ては、具体的に、例えば静電粉体塗装、流動浸漬または
溶射による方法などが挙げられる。なかでも、静電粉体
塗装または溶射による方法が好ましい。
【0027】本発明に係る内面被覆材の焼付けは、内面
被覆材が内面に塗布された上記化学プラント機器の内面
または該化学プラント機器自体を加熱処理することによ
り行われる。加熱することにより、内面被覆材が溶融
し、化学プラント機器の内面に該内面被覆材が融着す
る。加熱処理方法としては、特に限定されず、例えば、
真空炉、電気炉もしくはガス炉などの焼成炉を用いる加
熱、または高周波誘導加熱やバーナーを用いる加熱など
が挙げられる。また、上記のように基材の表面または中
間層の表面に該内面被覆材を塗装する前に、予め化学プ
ラント機器またはその内面を上記のような方法で加熱し
ておき、その後、内面被覆材でその内面を塗装し、予熱
で内面被覆材を溶融・融着させるという方法も採用され
得る。
【0028】上記のような焼付け時の加熱温度として
は、約450℃以下、好ましくは約420℃以下、より
好ましくは約380〜420℃程度が好適である。ま
た、塗装する前に予め化学プラント機器またはその内面
を加熱しておく場合は、化学プラント機器またはその内
面を上記温度よりも高めの温度、具体的には約500℃
以下、好ましくは約470℃以下に加熱しておくのが好
ましい。
【0029】内面被覆材の塗装工程と、内面被覆材の焼
付け工程とを同時に行ってもよい。かかる2工程を同時
に行う内面被覆方法として、パウダーコーティング法
(溶融被覆法)が挙げられる。具体的に、パウダーコー
ティング法としては、例えば、内面被覆材のパウダー
(粒状物または粉状物)を化学プラント機器内に入れ、
このパウダーを加熱溶融させた状態で化学プラント機器
を自転させて内面を被覆するという方法が挙げられる。
より具体的には、化学プラント機器内に内面被覆材のパ
ウダーを入れ、これを加熱炉に挿入する。次いで、化学
プラント機器を回転させながら外部より加熱する。その
際に、内面被覆材が溶融して化学プラント機器の内面を
覆う。さらに、十分に加熱回転を続け、均一な被膜を形
成させる。
【0030】内面被覆された化学プラント機器の冷却
は、放冷により冷却させてよい。特に、被膜のクラック
や被膜表面に細かいしわが入る危険性をより少なくする
ために、徐冷するのが好ましい。さらに、下記のように
降温速度を調節しながら冷却すると、PEKKの結晶化
度を低くすることができ、基材と内面被覆材の接着性が
向上するという利点がある。より具体的には、毎秒約1
〜6℃程度の範囲、好ましくは毎秒約2〜5℃程度の範
囲に降温速度を調節し、外気温度+10〜30℃程度、
好ましくは外気温度+15〜25℃程度まで冷却するの
が好ましい。
【0031】被覆する内面被覆材の厚さ(膜厚)は、被
覆方法または化学プラント機器の種類もしくは用途など
により異なるので一概には言えない。約100〜300
μm程度に薄く被覆することもあれば、約500〜20
00μm程度に比較的厚く被覆することもある。また、
約5〜15mm程度と肉厚に被覆することもある。
【0032】
【実施例】〔実施例1〕ステンレススチールのテストピ
ース(100mm×50mm×2mm)をアセトンで脱
脂処理を行った。その後、#60のアルミナを使用した
ブラスト処理方法により金属基材表面の粗面化を行っ
た。この金属基材にPEEK樹脂(商品名Declar サイ
テックファイバーライト株式会社製)を静電粉体塗装機
を使用して塗着させて、膜厚約800μmのPEEK樹
脂層を形成した。かかるテストピースを、加熱温度40
0℃、加熱時間20分で加熱し、その後20℃/分の冷
却速度で徐冷した。
【0033】〔実施例2〕被覆樹脂として、PEKK樹
脂の代わりに、アラミド短繊維を10重量%含有したP
EKK樹脂を用いた以外は、実施例1と全く同様に行っ
た。なお、アラミド短繊維は、ポリパラフェニレンテレ
フタルアミド繊維(商品名ケブラー 東レ・デュポン株
式会社製)を5mm以下に裁断したものを用いた。
【0034】〔試験例〕実施例1〜3で得られたテスト
ピースを、35℃、100℃、150℃の異なった温度
にそれぞれ保持された薬品中に常圧または加圧下で浸漬
して、3ヶ月樹脂皮膜の侵食の度合を試験したところ、
下記表に記載するような良好な結果が得られた。
【表1】
【0035】〔実施例3〕アルミニウム粉体を使用し
て、内径2インチ、長さ1mのステンレス製パイプの内
面をショットブラスト処理した。処理後アセトンで脱脂
し、400℃に予備加熱した。このパイプの内面に、3
mm以下に裁断したアラミド短繊維(商品名ケブラー
東レ・デュポン株式会社製)を10重量%含有したPE
KK樹脂粉体(商品名Declar サイテックファイバーラ
イト株式会社製)を溶融被覆させ、450℃で焼き付け
た。この時の被覆の厚さは約1mmであった。この後、
5℃/分の割合で40℃まで徐冷させた。このパイプの
片面にフッ素樹脂からなるパッキンで保護されたステン
レス製のフランジを取り付け、内部に10重量%フッ化
水素水を充填し、他端も同様にフランジを取り付けた。
これを外部から100℃に3ヶ月間加熱したが、被覆材
のクラック、ステンレスパイプの腐食は発生しなかっ
た。
【0036】
【発明の効果】本発明に係る化学プラント機器は、PE
KKを含む内面被覆材で内面が覆われているので、高温
水、種々の反応性を有する化学物質または腐食物質など
と絶えず接触する厳しい条件下で使用することができ
る。加えて、本発明に係る化学プラント機器は、かかる
厳しい条件下で使用されるにもかかわらず、耐久性に優
れている。すなわち、本発明に係る化学プラント機器に
おいては、時間の経過とともに被膜にクラックが生じる
ことが実質的になく、その結果、実用的な環境下での長
期間(約10年以上)の使用によっても、熱水または化
学物質または腐食物質等が被膜と基材の間に侵入し、基
材が腐食して被膜に多数のブリスターや剥離が生じるこ
とが実質的にない。
【0037】また、PEKKを含む本発明に係る内面被
覆材を用いれば、化学プラント機器の内面を被覆すると
きに厚さムラが実質的に生じないため、施工がしやす
い。また、本発明において用いるPEKKは、従来化学
プラント機器の内面被覆材として従来用いられていたP
EEKに比し材料、被服加工ともに安価であるため、化
学プラント機器を製造する際のコストダウンを図ること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16L 58/10 F16L 58/10 F28F 19/04 F28F 19/04 Z (72)発明者 小菅 一彦 東京都中央区日本橋本町1丁目5番6号 東レ・デュポン株式会社内 Fターム(参考) 3H024 EA01 EB08 EC07 ED07 4F100 AB01B AD11A AG00A AK17A AK47A AK56A BA02 CA23A DA01 DA11 DD31 DG01A JB01 JJ03 JK01 4J002 BD152 CF162 CH091 CH092 CL062 CM042 CN012 CN032 DA016 DA026 DA076 DA086 DA096 DA116 DC006 DD006 DE086 DE146 DE186 DE236 DG026 DG036 DH046 DJ006 DJ016 DJ036 DJ046 DJ056 DK006 DL006 FA046 FA086 FA096 FD012 FD016 4J038 DF051 DJ042 HA026 HA036 HA066 HA246 HA486 KA08 KA19 NA03 NA04 NA11 NA14 PB06 PC02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエーテルケトンケトンを含有するこ
    とを特徴とする化学プラント機器の内面被覆材。
  2. 【請求項2】 さらに充填材を含有することを特徴とす
    る請求項1に記載の内面被覆材。
  3. 【請求項3】 充填材が、カーボン、炭素繊維、アラミ
    ド、ガラス繊維またはフッ素樹脂であることを特徴とす
    る請求項3に記載の内面被覆材。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3に記載の内面被覆材で内面
    が被覆されていることを特徴とする化学プラント機器。
  5. 【請求項5】 化学プラント機器が、タンク、管、熱交
    換器、ポンプまたはバルブである請求項4に記載の化学
    プラント機器。
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Cited By (6)

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JP2008139021A (ja) * 2008-01-24 2008-06-19 Kurita Water Ind Ltd 食品プロセス用熱交換器
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JP2010095613A (ja) * 2008-10-16 2010-04-30 Kaneka Corp ポリエーテルエーテルケトン系樹脂組成物
JP2013164247A (ja) * 2012-02-13 2013-08-22 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 耐食性被覆層、当該耐食性被覆層を有する伝熱管及び当該伝熱管を備えた熱交換器
US8813332B2 (en) 2005-08-26 2014-08-26 Victrex Manufacturing Limited Polymeric materials
CN106280938A (zh) * 2016-08-31 2017-01-04 山东凯盛新材料股份有限公司 聚醚酮酮水性分散液及其制备方法

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