JPH0740506A - 金属表面の腐食防止コーティング構成と腐食防止コーティング方法 - Google Patents
金属表面の腐食防止コーティング構成と腐食防止コーティング方法Info
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- JPH0740506A JPH0740506A JP19099193A JP19099193A JPH0740506A JP H0740506 A JPH0740506 A JP H0740506A JP 19099193 A JP19099193 A JP 19099193A JP 19099193 A JP19099193 A JP 19099193A JP H0740506 A JPH0740506 A JP H0740506A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】熱や物理的衝撃に強く、耐アルカリ性に優れ、
薬液を汚染せず、また、膜厚が薄くても耐腐食性、耐衝
撃性に優れた皮膜を形成することができる金属表面の腐
食防止コーティング構成とそのコーティング方法を提供
する。 【構成】金属表面に、10〜30重量%のクロム又は10〜30
%のモリブデンと、8〜80重量%のニッケル又は10〜65
%のコバルトを含む合金を、溶射皮膜の貫通気孔率1%
以下で、その膜厚が30〜200 μmの範囲で溶射して形成
された溶射層に、フッ素樹脂プライマーを塗装含浸さ
せ、これを溶融焼成して封孔した溶射含浸層上に、上塗
りフッ素樹脂を塗装して溶融焼成した1層もしくは複数
層のフッ素樹脂層を形成した金属表面の腐食防止コーテ
ィング構成。
薬液を汚染せず、また、膜厚が薄くても耐腐食性、耐衝
撃性に優れた皮膜を形成することができる金属表面の腐
食防止コーティング構成とそのコーティング方法を提供
する。 【構成】金属表面に、10〜30重量%のクロム又は10〜30
%のモリブデンと、8〜80重量%のニッケル又は10〜65
%のコバルトを含む合金を、溶射皮膜の貫通気孔率1%
以下で、その膜厚が30〜200 μmの範囲で溶射して形成
された溶射層に、フッ素樹脂プライマーを塗装含浸さ
せ、これを溶融焼成して封孔した溶射含浸層上に、上塗
りフッ素樹脂を塗装して溶融焼成した1層もしくは複数
層のフッ素樹脂層を形成した金属表面の腐食防止コーテ
ィング構成。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化学工業、石油化学、
製薬、製紙、その他合成、輸送等の分野での混合槽、加
熱槽、反応器、ストレージタンク、ホッパー、フィルタ
ーハウジング、蒸留塔、配管等の設備において、腐食性
ガス、薬液等に接する金属表面の腐食防止コーティング
構成とそのコーティング方法に関するものである。
製薬、製紙、その他合成、輸送等の分野での混合槽、加
熱槽、反応器、ストレージタンク、ホッパー、フィルタ
ーハウジング、蒸留塔、配管等の設備において、腐食性
ガス、薬液等に接する金属表面の腐食防止コーティング
構成とそのコーティング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に上記のような設備は、通常、鉄や
ステンレス鋼等の鉄系金属が使用され、腐食性ガス、薬
液等に接する表面には、グラスライニング、ゴムライニ
ング、フッ素樹脂ライニング・コーティング等が行われ
ている。
ステンレス鋼等の鉄系金属が使用され、腐食性ガス、薬
液等に接する表面には、グラスライニング、ゴムライニ
ング、フッ素樹脂ライニング・コーティング等が行われ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしグラスライニン
グは、酸、溶剤を含む薬液に対して、低温域から高温域
まで使用できることから多用されているが、ガラスで出
来ているために、熱や物理的衝撃に弱くて割れ易く、か
つ、アルカリ性の薬液に対して侵される欠点がある。
グは、酸、溶剤を含む薬液に対して、低温域から高温域
まで使用できることから多用されているが、ガラスで出
来ているために、熱や物理的衝撃に弱くて割れ易く、か
つ、アルカリ性の薬液に対して侵される欠点がある。
【0004】また、ゴムライニングは、薬液の輸送に使
用するタンクローリーやストレージタンク等に使用され
ているが、有機溶剤、強酸化物等が含まれた薬液に対し
て耐薬品性が低く、高温域での使用が困難で、かつ、ゴ
ムに含まれる加硫剤残渣や充填物が溶出して薬液を汚染
し易い欠点がある。
用するタンクローリーやストレージタンク等に使用され
ているが、有機溶剤、強酸化物等が含まれた薬液に対し
て耐薬品性が低く、高温域での使用が困難で、かつ、ゴ
ムに含まれる加硫剤残渣や充填物が溶出して薬液を汚染
し易い欠点がある。
【0005】さらに、フッ素樹脂ライニングは、その優
れた耐薬品性、溶出イオンによる汚染が回避できる高純
度性、薬液の残留・付着が発生しにくい優れた撥水撥油
性、スラリー等の摩耗に強い耐摩耗性等により、耐食性
に適した材料であるが、フッ素樹脂はごくわずかではあ
るが、ガス透過性を有するために、厳しい腐食環境で長
時間使用するうちに、耐腐食性のガスが徐々にフッ素皮
膜を透過し、金属を腐食させる欠点があり、また、残留
応力が残りやすく接着性に乏しいことから、ガス透過を
少なくし耐食性を向上させるために、いたずらにライニ
ング膜厚を厚くすると剥れやすくなり、樹脂自体が柔ら
かいために、カッターナイフやスパナ等の衝突等によっ
て傷付きやすく、容易にライニング皮膜に孔が開きやす
い欠点がある。
れた耐薬品性、溶出イオンによる汚染が回避できる高純
度性、薬液の残留・付着が発生しにくい優れた撥水撥油
性、スラリー等の摩耗に強い耐摩耗性等により、耐食性
に適した材料であるが、フッ素樹脂はごくわずかではあ
るが、ガス透過性を有するために、厳しい腐食環境で長
時間使用するうちに、耐腐食性のガスが徐々にフッ素皮
膜を透過し、金属を腐食させる欠点があり、また、残留
応力が残りやすく接着性に乏しいことから、ガス透過を
少なくし耐食性を向上させるために、いたずらにライニ
ング膜厚を厚くすると剥れやすくなり、樹脂自体が柔ら
かいために、カッターナイフやスパナ等の衝突等によっ
て傷付きやすく、容易にライニング皮膜に孔が開きやす
い欠点がある。
【0006】さらにまた、フッ素樹脂を用いたシートラ
イニングの場合は、設備形状に合わせたフッ素樹脂シー
トを原反より切り取り、該シートを接着剤で設備に接着
し、シート相互の繋ぎ目をすべて溶接しなければなら
ず、また、焼付けライニング・コーティングにおいて
も、所定の膜厚に達するまで、フッ素樹脂塗装とフッ素
樹脂の溶融焼付けを十数回も繰り返さなければならず、
非常に手間とコストを必要とする欠点がある。
イニングの場合は、設備形状に合わせたフッ素樹脂シー
トを原反より切り取り、該シートを接着剤で設備に接着
し、シート相互の繋ぎ目をすべて溶接しなければなら
ず、また、焼付けライニング・コーティングにおいて
も、所定の膜厚に達するまで、フッ素樹脂塗装とフッ素
樹脂の溶融焼付けを十数回も繰り返さなければならず、
非常に手間とコストを必要とする欠点がある。
【0007】本発明は、熱や物理的衝撃に強く、耐アル
カリ性に優れ、薬液を汚染せず、また、膜厚が薄くても
耐腐食性、耐衝撃性に優れた皮膜を形成することができ
る金属表面の腐食防止コーティング構成とそのコーティ
ング方法を提供することを目的としている。
カリ性に優れ、薬液を汚染せず、また、膜厚が薄くても
耐腐食性、耐衝撃性に優れた皮膜を形成することができ
る金属表面の腐食防止コーティング構成とそのコーティ
ング方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属表面に、
10〜30重量%のクロム又は10〜30重量%のモリブデン
と、8〜80重量%のニッケル又は10〜65重量%のコバル
トを含む合金を、溶射皮膜の貫通気孔率1%以下で、そ
の膜厚が30〜200 μmの範囲で溶射して形成された溶射
層に、フッ素樹脂プライマーを塗装含浸させ、これを溶
融焼成して封孔した溶射含浸層上に、上塗りフッ素樹脂
を塗装して溶融焼成した1層もしくは複数層のフッ素樹
脂層を形成した金属表面の腐食防止コーティング構成
と、金属表面を高温空焼きして脱脂した後、ブラスト処
理して酸化皮膜を除去し、次いで金属表面に、10〜30重
量%のクロム又は10〜30重量%のモリブデンと、8〜80
重量%のニッケル又は10〜65重量%のコバルトを含む合
金を、溶射皮膜の貫通気孔率1%以下で、その膜厚が30
〜200 μmの範囲で溶射した後、その溶射層にフッ素樹
脂プライマーを塗装含浸させ、これを溶融焼成して封孔
し、その後、1回もしくは複数回にわたり上塗りフッ素
樹脂を塗装して溶融焼成することによりフッ素樹脂皮膜
を形成することを特徴とする金属表面の腐食防止コーテ
ィング方法とからなる。
10〜30重量%のクロム又は10〜30重量%のモリブデン
と、8〜80重量%のニッケル又は10〜65重量%のコバル
トを含む合金を、溶射皮膜の貫通気孔率1%以下で、そ
の膜厚が30〜200 μmの範囲で溶射して形成された溶射
層に、フッ素樹脂プライマーを塗装含浸させ、これを溶
融焼成して封孔した溶射含浸層上に、上塗りフッ素樹脂
を塗装して溶融焼成した1層もしくは複数層のフッ素樹
脂層を形成した金属表面の腐食防止コーティング構成
と、金属表面を高温空焼きして脱脂した後、ブラスト処
理して酸化皮膜を除去し、次いで金属表面に、10〜30重
量%のクロム又は10〜30重量%のモリブデンと、8〜80
重量%のニッケル又は10〜65重量%のコバルトを含む合
金を、溶射皮膜の貫通気孔率1%以下で、その膜厚が30
〜200 μmの範囲で溶射した後、その溶射層にフッ素樹
脂プライマーを塗装含浸させ、これを溶融焼成して封孔
し、その後、1回もしくは複数回にわたり上塗りフッ素
樹脂を塗装して溶融焼成することによりフッ素樹脂皮膜
を形成することを特徴とする金属表面の腐食防止コーテ
ィング方法とからなる。
【0009】なお、金属表面に溶射する合金としては、
10〜30重量%のクロム又は10〜30重量%のモリブデン
と、8〜80重量%のニッケル又は10〜65重量%のコバル
トを含む合金が必要である。これら組成の合金は、耐食
金属やスーパーアロイと呼ばれているもので、Carpente
r 20等の20合金、HastelloyB,C ,22等のハステロイ合
金、Monel 、Inconel 等の合金が該当し、また、前記合
金を粉末や線状に溶射した後、得られた溶射皮膜が、耐
食金属と呼ばれている組成になるものも好ましく、Diam
alloy1003 (SUS-316 タイプ)、Diamalloy1005 (Inco
nel 625 タイプ)、Diamalloy1006 (Inconel 718 タイ
プ)・・第一メテコ(株)製・・がある。
10〜30重量%のクロム又は10〜30重量%のモリブデン
と、8〜80重量%のニッケル又は10〜65重量%のコバル
トを含む合金が必要である。これら組成の合金は、耐食
金属やスーパーアロイと呼ばれているもので、Carpente
r 20等の20合金、HastelloyB,C ,22等のハステロイ合
金、Monel 、Inconel 等の合金が該当し、また、前記合
金を粉末や線状に溶射した後、得られた溶射皮膜が、耐
食金属と呼ばれている組成になるものも好ましく、Diam
alloy1003 (SUS-316 タイプ)、Diamalloy1005 (Inco
nel 625 タイプ)、Diamalloy1006 (Inconel 718 タイ
プ)・・第一メテコ(株)製・・がある。
【0010】また、溶射手段としては、ガスワイヤー及
びガス溶射手段、アーク溶射手段、プラズマ溶射手段、
ガス高速溶射手段があるが、溶射皮膜の貫通気孔率1%
以下とする要件を充足する手段は、現在のところガス高
速溶射手段であり、他の手段では貫通気孔率が5%以上
となるため適当でない。
びガス溶射手段、アーク溶射手段、プラズマ溶射手段、
ガス高速溶射手段があるが、溶射皮膜の貫通気孔率1%
以下とする要件を充足する手段は、現在のところガス高
速溶射手段であり、他の手段では貫通気孔率が5%以上
となるため適当でない。
【0011】さらに、貫通気孔率が本発明の条件よりも
高くなると、フッ素樹脂プライマーを塗装含浸し溶融焼
成しても、完全に封孔ができず、耐食性が得られない。
特に5%以上の貫通気孔率になると、フッ素樹脂プライ
マー後も、完全に封孔が出来ていないため、溶射層内に
気孔が残り、上塗りフッ素樹脂を塗装し溶融焼成する
と、この気孔内にある空気が、高温の溶融焼成時に膨張
し、上塗りフッ素樹脂層に孔を開けたり、膨れ状の突起
(気泡)を作ってしまい、良好なコーティングが作れな
い。
高くなると、フッ素樹脂プライマーを塗装含浸し溶融焼
成しても、完全に封孔ができず、耐食性が得られない。
特に5%以上の貫通気孔率になると、フッ素樹脂プライ
マー後も、完全に封孔が出来ていないため、溶射層内に
気孔が残り、上塗りフッ素樹脂を塗装し溶融焼成する
と、この気孔内にある空気が、高温の溶融焼成時に膨張
し、上塗りフッ素樹脂層に孔を開けたり、膨れ状の突起
(気泡)を作ってしまい、良好なコーティングが作れな
い。
【0012】また、溶射層の膜厚は望ましくは50〜100
μmの範囲が良く、30μm以下となると、連続の溶射層
が得られず、実質的な貫通気孔率が1%以上になり、ま
た200 μmを越しても、特性的には変化はないが、溶射
材料がコストアップとなるため実用的でなく、400 μm
程度になってくると、溶射層自体の残留応力によって溶
射層に剥離の危険性が生じてくる。
μmの範囲が良く、30μm以下となると、連続の溶射層
が得られず、実質的な貫通気孔率が1%以上になり、ま
た200 μmを越しても、特性的には変化はないが、溶射
材料がコストアップとなるため実用的でなく、400 μm
程度になってくると、溶射層自体の残留応力によって溶
射層に剥離の危険性が生じてくる。
【0013】本発明においてフッ素樹脂プライマーを使
用する理由は、この後に行う上塗りフッ素樹脂と溶射層
を密着させる必要があるためであり、フッ素樹脂デイス
パージョン塗料若しくは微粉と接着性のバインダーとそ
の他顔料等の添加物を含むもので、多くは液体であり、
溶射層に含浸させる目的から、液体状が好ましい。
用する理由は、この後に行う上塗りフッ素樹脂と溶射層
を密着させる必要があるためであり、フッ素樹脂デイス
パージョン塗料若しくは微粉と接着性のバインダーとそ
の他顔料等の添加物を含むもので、多くは液体であり、
溶射層に含浸させる目的から、液体状が好ましい。
【0014】フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフル
オロアルキルビニールエーテル共重合体(PFA )、テト
ラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合
体(FEP )、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合
体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE
)、ポリクロロトリフルオロエチレン−エチレン共重
合体(EcTFE )、ポリビニリデンフルオライド(PVd
F)、その他非晶質フッ素樹脂があり、望ましくは、ク
ロム酸−リン酸系を含む酸性フッ素樹脂用ディスパージ
ョンが、粘度が低く、溶射層に特に含浸されやすく、封
孔の効果が高く、耐薬品性が高いことから好ましい。
エチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフル
オロアルキルビニールエーテル共重合体(PFA )、テト
ラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合
体(FEP )、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合
体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE
)、ポリクロロトリフルオロエチレン−エチレン共重
合体(EcTFE )、ポリビニリデンフルオライド(PVd
F)、その他非晶質フッ素樹脂があり、望ましくは、ク
ロム酸−リン酸系を含む酸性フッ素樹脂用ディスパージ
ョンが、粘度が低く、溶射層に特に含浸されやすく、封
孔の効果が高く、耐薬品性が高いことから好ましい。
【0015】特に、10重量%以上のガラスもしくはセラ
ミック等の無機物を充填したフッ素樹脂を70μm以上コ
ーティングすることによって、より耐食性を向上させる
ことができる。
ミック等の無機物を充填したフッ素樹脂を70μm以上コ
ーティングすることによって、より耐食性を向上させる
ことができる。
【0016】また、導電性の充填材を含んだ導電性フッ
素樹脂塗料(例えば、カーボンファイバー、カーボンブ
ラック或は、導電性酸化チタン等のウィスカー、酸化亜
鉛、酸化銅等の導電性金属酸化物を、単独または複合で
含む場合)を使用すると、耐食性と帯電防止効果のある
コーティングが可能となり、さらに、熱伝導性の良い充
填材、ステンレス、真鍮等の金属や炭化珪素、タングス
テンカーバイト等のセラミックを多量にフッ素樹脂内に
充填した塗料を使用すると、耐食性と熱伝導度の高いコ
ーティングを得ることができる。
素樹脂塗料(例えば、カーボンファイバー、カーボンブ
ラック或は、導電性酸化チタン等のウィスカー、酸化亜
鉛、酸化銅等の導電性金属酸化物を、単独または複合で
含む場合)を使用すると、耐食性と帯電防止効果のある
コーティングが可能となり、さらに、熱伝導性の良い充
填材、ステンレス、真鍮等の金属や炭化珪素、タングス
テンカーバイト等のセラミックを多量にフッ素樹脂内に
充填した塗料を使用すると、耐食性と熱伝導度の高いコ
ーティングを得ることができる。
【0017】
【作用】上記の腐食防止コーティング方法によれば、溶
射皮膜の貫通気孔率1%以下で、その膜厚が30〜200 μ
mの範囲で溶射した後、その溶射層にフッ素樹脂プライ
マーを塗装含浸させ、これを溶融焼成して封孔し、その
後、1回もしくは複数回にわたり上塗りフッ素樹脂を塗
装して溶融焼成することによりフッ素樹脂皮膜を形成す
るから、溶射皮膜の貫通気孔が完全に塞がれた上に、フ
ッ素樹脂皮膜が形成されるから、フッ素樹脂の特性が最
大限に発揮されて、熱や物理的衝撃に強く、耐アルカリ
性に優れ、薬液を汚染せず、また、膜厚が薄くても耐腐
食性、耐衝撃性に優れた皮膜を形成することができる。
射皮膜の貫通気孔率1%以下で、その膜厚が30〜200 μ
mの範囲で溶射した後、その溶射層にフッ素樹脂プライ
マーを塗装含浸させ、これを溶融焼成して封孔し、その
後、1回もしくは複数回にわたり上塗りフッ素樹脂を塗
装して溶融焼成することによりフッ素樹脂皮膜を形成す
るから、溶射皮膜の貫通気孔が完全に塞がれた上に、フ
ッ素樹脂皮膜が形成されるから、フッ素樹脂の特性が最
大限に発揮されて、熱や物理的衝撃に強く、耐アルカリ
性に優れ、薬液を汚染せず、また、膜厚が薄くても耐腐
食性、耐衝撃性に優れた皮膜を形成することができる。
【0018】
【実施例1】 [第1工程]軟鉄板(SS-400,t6×500 ×500mm )を熱
風循環式ガス炉を使用して420 ℃で2時間の条件で高温
空焼きして脱脂した後、アルミナ研削材を使用してエア
ー圧6kgf /cm2 の条件でブラスト処理して酸化皮膜を
除去する。 [第2工程]第一メテコ(株)製の溶射材料;ダイアマ
ロイ4006(クロム約20重量%&ニッケル約重量57%を含
む)をガス高速溶射機(第一メテコ(株)製のダイヤモ
ンドジェット溶射装置series 1000 )にて、膜厚30μm
の仕様で溶射する。 [第3工程]フッ素樹脂プライマー(ジュポン・ジャパ
ン(株)製850-314 &VM-7799 (二液性プライマー))
を、850-314 とVM-7799 を100 :35の体積比で混合し、
30分間放置後攪拌し、100 メッシュのナイロン製ストレ
ーナーを通し、第2工程の溶射後2時間以内に、エアー
スプレーガンで、溶射層表面に塗装含浸させ、表面が平
滑な軟鉄板に対して、焼成後膜厚が7〜10μmとなるよ
うに塗装膜厚を形成した。 [第4工程]熱風循環式ガス炉を使用して250 ℃で30分
間の条件で乾燥させた後、400 ℃、1時間の条件で溶融
焼成する。 [第5工程]冷却後、静電塗装用PFA フッ素樹脂粉体塗
料(三井デュポンフロロケミカル(株)製のMP-501)を
静電粉体塗装機を用いて、約100 μm程度塗装した後、
熱風循環式ガス炉にて、380 ℃で1時間の条件で溶融焼
成する。 [第6工程]同様に塗装後、360 ℃で1時間の条件で溶
融焼成し、フッ素樹脂層の膜厚を200 μm(総膜厚を23
0 μm)のコーティングを得た。
風循環式ガス炉を使用して420 ℃で2時間の条件で高温
空焼きして脱脂した後、アルミナ研削材を使用してエア
ー圧6kgf /cm2 の条件でブラスト処理して酸化皮膜を
除去する。 [第2工程]第一メテコ(株)製の溶射材料;ダイアマ
ロイ4006(クロム約20重量%&ニッケル約重量57%を含
む)をガス高速溶射機(第一メテコ(株)製のダイヤモ
ンドジェット溶射装置series 1000 )にて、膜厚30μm
の仕様で溶射する。 [第3工程]フッ素樹脂プライマー(ジュポン・ジャパ
ン(株)製850-314 &VM-7799 (二液性プライマー))
を、850-314 とVM-7799 を100 :35の体積比で混合し、
30分間放置後攪拌し、100 メッシュのナイロン製ストレ
ーナーを通し、第2工程の溶射後2時間以内に、エアー
スプレーガンで、溶射層表面に塗装含浸させ、表面が平
滑な軟鉄板に対して、焼成後膜厚が7〜10μmとなるよ
うに塗装膜厚を形成した。 [第4工程]熱風循環式ガス炉を使用して250 ℃で30分
間の条件で乾燥させた後、400 ℃、1時間の条件で溶融
焼成する。 [第5工程]冷却後、静電塗装用PFA フッ素樹脂粉体塗
料(三井デュポンフロロケミカル(株)製のMP-501)を
静電粉体塗装機を用いて、約100 μm程度塗装した後、
熱風循環式ガス炉にて、380 ℃で1時間の条件で溶融焼
成する。 [第6工程]同様に塗装後、360 ℃で1時間の条件で溶
融焼成し、フッ素樹脂層の膜厚を200 μm(総膜厚を23
0 μm)のコーティングを得た。
【0019】このコーティングされた鉄板より、200 ×
200mm の試験用パネルを切り出し、薬液浸漬テスト(AS
TM C 868-77 )を行った。浸漬テストは、浸漬テスト装
置(山崎精機研究所(株)製のライニングテスターLA-1
5 型)を使用し、条件を5%塩酸−100 ℃(外部は自然
冷却)とした。
200mm の試験用パネルを切り出し、薬液浸漬テスト(AS
TM C 868-77 )を行った。浸漬テストは、浸漬テスト装
置(山崎精機研究所(株)製のライニングテスターLA-1
5 型)を使用し、条件を5%塩酸−100 ℃(外部は自然
冷却)とした。
【0020】その結果、1200時間で、φ0.5mm 程度の数
個のブリスターが発生したが、ピール密着力は、初期と
同じく2.5kgf/5mm 以上(皮膜破断)で、低下は認めら
れなかった。
個のブリスターが発生したが、ピール密着力は、初期と
同じく2.5kgf/5mm 以上(皮膜破断)で、低下は認めら
れなかった。
【0021】なおピール密着力測定は、コーティング皮
膜に、下地金属に達する切れ込みを長さ1000mm、幅5mm
の寸法をナイフで平行に入れ、一方の端部の樹脂を約20
mm剥して、材料試験機治具に固定し、ついで治具を垂直
方向に一定速度(200mm /min )で引き上げ、平均的な
剥離時の力(kgf /幅5mm )を測定する方法で実施し
た。
膜に、下地金属に達する切れ込みを長さ1000mm、幅5mm
の寸法をナイフで平行に入れ、一方の端部の樹脂を約20
mm剥して、材料試験機治具に固定し、ついで治具を垂直
方向に一定速度(200mm /min )で引き上げ、平均的な
剥離時の力(kgf /幅5mm )を測定する方法で実施し
た。
【0022】
【実施例2】 [第1工程]と[第2工程]は実施例1と同一である。 [第3工程]フッ素樹脂プライマー(ダイキン工業
(株)製のEK-1083GB )第2工程の溶射後、2時間以内
に、エアースプレーガンで、溶射層表面に塗装含浸さ
せ、表面が平滑な軟鉄板に対して、焼成後膜厚が7〜10
μmとなるように塗装膜厚を形成した。 [第4工程]熱風循環式ガス炉を使用し、90℃で30分間
の条件で乾燥させた後、380 ℃、30分間の条件で溶融焼
成する。 [第5工程]冷却後、静電塗装用PFA フッ素樹脂粉体塗
料(ダイキン工業(株)製のNC-1539 )を静電粉体塗装
機を用いて、約70μm程度塗装した後、熱風循環式ガス
炉にて、360 ℃で1時間の条件で溶融焼成し、フッ素樹
脂層の膜厚70μm(総膜厚100 μm)のコーティングを
得た。
(株)製のEK-1083GB )第2工程の溶射後、2時間以内
に、エアースプレーガンで、溶射層表面に塗装含浸さ
せ、表面が平滑な軟鉄板に対して、焼成後膜厚が7〜10
μmとなるように塗装膜厚を形成した。 [第4工程]熱風循環式ガス炉を使用し、90℃で30分間
の条件で乾燥させた後、380 ℃、30分間の条件で溶融焼
成する。 [第5工程]冷却後、静電塗装用PFA フッ素樹脂粉体塗
料(ダイキン工業(株)製のNC-1539 )を静電粉体塗装
機を用いて、約70μm程度塗装した後、熱風循環式ガス
炉にて、360 ℃で1時間の条件で溶融焼成し、フッ素樹
脂層の膜厚70μm(総膜厚100 μm)のコーティングを
得た。
【0023】これを実施例1と同様の条件で薬液浸漬テ
ストを行った結果、1000時間でφ0.5mm 程度の数個のブ
リスターが発生したが、ピール密着力は、初期と同じく
2.5kgf/5mm 以上(皮膜破断)で、低下は認められなか
った。
ストを行った結果、1000時間でφ0.5mm 程度の数個のブ
リスターが発生したが、ピール密着力は、初期と同じく
2.5kgf/5mm 以上(皮膜破断)で、低下は認められなか
った。
【0024】
【実施例3】 [第1工程]は実施例1と同じである。 [第2工程]第一メテコ(株)製の溶射材料;ダイアマ
ロイ2001(クロム約17%&ニッケル約71%を含む)をガ
ス高速溶射機(第一メテコ(株)製のダイヤモンドジェ
ット溶射装置series 1000 )にて、膜厚50μmの仕様で
溶射する。 [第3工程][第4工程]は実施例1と同じである。 [第5工程]冷却後、FEP フッ素樹脂粉体エナメル塗料
(デュポン・ジャパン(株)製の856-204 )をエアース
プレーガン用いて、約10〜15μm程度塗装した後、熱風
循環式ガス炉にて、390 ℃で1時間の条件で溶融焼成し
た。 [第6工程]同様に、FEP フッ素樹脂粉体エナメル塗料
(デュポン・ジャパン(株)製の856-200 )を塗装し、
熱風循環式ガス炉にて、360 ℃で1時間の条件で溶融焼
成し、フッ素樹脂層の膜厚30μm(総膜厚80μm)のコ
ーティングを得た。
ロイ2001(クロム約17%&ニッケル約71%を含む)をガ
ス高速溶射機(第一メテコ(株)製のダイヤモンドジェ
ット溶射装置series 1000 )にて、膜厚50μmの仕様で
溶射する。 [第3工程][第4工程]は実施例1と同じである。 [第5工程]冷却後、FEP フッ素樹脂粉体エナメル塗料
(デュポン・ジャパン(株)製の856-204 )をエアース
プレーガン用いて、約10〜15μm程度塗装した後、熱風
循環式ガス炉にて、390 ℃で1時間の条件で溶融焼成し
た。 [第6工程]同様に、FEP フッ素樹脂粉体エナメル塗料
(デュポン・ジャパン(株)製の856-200 )を塗装し、
熱風循環式ガス炉にて、360 ℃で1時間の条件で溶融焼
成し、フッ素樹脂層の膜厚30μm(総膜厚80μm)のコ
ーティングを得た。
【0025】これを実施例1と同様の条件で薬液浸漬テ
ストを行った結果、600 時間でφ0.5mm 程度の数個のブ
リスターが発生したが、ピール密着力は、初期と同じく
2.5kgf/5mm 以上(皮膜破断)で、低下は認められなか
った。
ストを行った結果、600 時間でφ0.5mm 程度の数個のブ
リスターが発生したが、ピール密着力は、初期と同じく
2.5kgf/5mm 以上(皮膜破断)で、低下は認められなか
った。
【0026】
【実施例4】実施例1において、溶射層の膜厚 t30μm
をt50 μmとしたほかは、同様の方法を実施した。
をt50 μmとしたほかは、同様の方法を実施した。
【0027】
【実施例5】実施例1において、溶射層の膜厚 t30μm
をt100μmとしたほかは、同様の方法を実施した。
をt100μmとしたほかは、同様の方法を実施した。
【0028】これらを各実施例と同様に、薬液浸漬テス
トを行ったところ、実施例4が1200時間で、実施例5が
1350時間で、φ0.5mm 程度の数個のブリスターが発生し
たが、ピール密着力は、初期と同じく2.5kgf/5mm 以上
(皮膜破断)で、低下は認められなかった。
トを行ったところ、実施例4が1200時間で、実施例5が
1350時間で、φ0.5mm 程度の数個のブリスターが発生し
たが、ピール密着力は、初期と同じく2.5kgf/5mm 以上
(皮膜破断)で、低下は認められなかった。
【0029】
【実施例6】実施例1の[第3工程]において、フッ素
樹脂プライマーとして、ポリエーテルサルフォン樹脂バ
インダー型フッ素樹脂プライマー(デュポン・ジャパン
(株)製の959-503 )をエアスプレーガンで、焼成後の
膜厚が10〜25μmとなるように塗装し、熱風循環式ガス
炉にて、250 ℃で30分間乾燥焼成した他は実施例1と同
様の方法を採用した。
樹脂プライマーとして、ポリエーテルサルフォン樹脂バ
インダー型フッ素樹脂プライマー(デュポン・ジャパン
(株)製の959-503 )をエアスプレーガンで、焼成後の
膜厚が10〜25μmとなるように塗装し、熱風循環式ガス
炉にて、250 ℃で30分間乾燥焼成した他は実施例1と同
様の方法を採用した。
【0030】これを各実施例と同様に、薬液浸漬テスト
を行ったところ、850 時間で、φ0.5mm 程度の数個のブ
リスターが発生したが、ピール密着力は、初期と同じく
2.5kgf/5mm 以上(皮膜破断)で、低下は認められなか
った。
を行ったところ、850 時間で、φ0.5mm 程度の数個のブ
リスターが発生したが、ピール密着力は、初期と同じく
2.5kgf/5mm 以上(皮膜破断)で、低下は認められなか
った。
【0031】
【実施例7】実施例1の[第3工程]と[第4工程]
を、導電性のフッ素樹脂プライマー(ダイキン工業
(株)製のED-1939BDN)を、t7〜12μm 分塗装し、120
℃で30分間乾燥し、冷却後、導電性の上塗りフッ素樹脂
エナメル塗料(ダイキン工業(株)製のAD-2308GYD)を
エアスプレーガンを用いて、約15〜20μm塗装した後、
100℃で20分間乾燥し、さらに380 ℃で30分間溶融焼成
し、フッ素樹脂の皮膜が70μmになるまで、この後3
回、上塗り用フッ素樹脂エナメル塗料を塗装し、100 ℃
で20分間乾燥し、360 ℃で30分間溶融焼成することを繰
り返した他は実施例1と同様の方法を採用した。
を、導電性のフッ素樹脂プライマー(ダイキン工業
(株)製のED-1939BDN)を、t7〜12μm 分塗装し、120
℃で30分間乾燥し、冷却後、導電性の上塗りフッ素樹脂
エナメル塗料(ダイキン工業(株)製のAD-2308GYD)を
エアスプレーガンを用いて、約15〜20μm塗装した後、
100℃で20分間乾燥し、さらに380 ℃で30分間溶融焼成
し、フッ素樹脂の皮膜が70μmになるまで、この後3
回、上塗り用フッ素樹脂エナメル塗料を塗装し、100 ℃
で20分間乾燥し、360 ℃で30分間溶融焼成することを繰
り返した他は実施例1と同様の方法を採用した。
【0032】これを各実施例と同様に、薬液浸漬テスト
を行ったところ、1200時間で、φ0.5mm 程度の数個のブ
リスターが発生したが、ピール密着力は、初期と同じく
2.5kgf/5mm 以上(皮膜破断)で、低下は認められなか
った。
を行ったところ、1200時間で、φ0.5mm 程度の数個のブ
リスターが発生したが、ピール密着力は、初期と同じく
2.5kgf/5mm 以上(皮膜破断)で、低下は認められなか
った。
【0033】また、このコーティングの体積抵抗率を、
労働省産業安全研究所技術指針「静電気安全指針;1988
年:RIIS-TR-87-1」の「4.5 固体の抵抗率の測定」に基
づき測定したところ、1.1 ×105 Ωcmであった。実施例
2を測定したところ1013Ωcm以上であった。
労働省産業安全研究所技術指針「静電気安全指針;1988
年:RIIS-TR-87-1」の「4.5 固体の抵抗率の測定」に基
づき測定したところ、1.1 ×105 Ωcmであった。実施例
2を測定したところ1013Ωcm以上であった。
【0034】
【実施例8】実施例1の[第5工程]において、上塗り
用フッ素樹脂として、静電塗装用PFA フッ素樹脂粉体塗
料(三井デュポンフロロケミカル(株)製のMP-030(Si
C を30重量%充填))を、静電粉体塗装機を用いて塗装
した後、熱風循環式ガス炉にて、390 ℃で1時間の条件
で溶融焼成した後、再度塗装し、360 ℃で1時間溶融焼
成し、70μmの膜厚(溶射層を含む総膜厚は100 μm程
度)とした他は、実施例と同様の方法を採用した。
用フッ素樹脂として、静電塗装用PFA フッ素樹脂粉体塗
料(三井デュポンフロロケミカル(株)製のMP-030(Si
C を30重量%充填))を、静電粉体塗装機を用いて塗装
した後、熱風循環式ガス炉にて、390 ℃で1時間の条件
で溶融焼成した後、再度塗装し、360 ℃で1時間溶融焼
成し、70μmの膜厚(溶射層を含む総膜厚は100 μm程
度)とした他は、実施例と同様の方法を採用した。
【0036】これを各実施例と同様に、薬液浸漬テスト
を行ったところ、1200時間で、φ0.5mm 程度の数個のブ
リスターが発生したが、ピール密着力は、初期と同じく
2.5kgf/5mm 以上(皮膜破断)で、低下は認められなか
った。
を行ったところ、1200時間で、φ0.5mm 程度の数個のブ
リスターが発生したが、ピール密着力は、初期と同じく
2.5kgf/5mm 以上(皮膜破断)で、低下は認められなか
った。
【0037】また、このコーティング層の熱伝導度を、
JIS A 1412に基づき測定したところ、0.2cal/sec・℃
(熱伝導率:14×10-4cal /sec・℃)であった。同様に
実施例1を測定したところ、1.7 ×10-2cal /sec・℃
(熱伝導率:6.6 ×10-4cal /sec・℃)であった。・
JIS A 1412に基づき測定したところ、0.2cal/sec・℃
(熱伝導率:14×10-4cal /sec・℃)であった。同様に
実施例1を測定したところ、1.7 ×10-2cal /sec・℃
(熱伝導率:6.6 ×10-4cal /sec・℃)であった。・
【0038】(比較例1)実施例1の[第2工程]にお
いて、溶射層として、第一メテコ(株)製の溶射材料;
メテコロイ#4 (クロム約重量18%&ニッケル約重量12
%を含む)をガスワイヤー溶射機(第一メテコ(株)製
の万能型メタライジングガン メテコ12E型)にて、膜
厚15μmの仕様で溶射した他は実施例1と同一の方法で
ある。
いて、溶射層として、第一メテコ(株)製の溶射材料;
メテコロイ#4 (クロム約重量18%&ニッケル約重量12
%を含む)をガスワイヤー溶射機(第一メテコ(株)製
の万能型メタライジングガン メテコ12E型)にて、膜
厚15μmの仕様で溶射した他は実施例1と同一の方法で
ある。
【0039】これについて薬液浸漬テストを行ったとこ
ろ、100 時間でφ1〜2mmの無数のブリスターが発生
し、ピール密着力はほぼ0kgf/5mm であり、コーティン
グ皮膜と下地金属の間には、斑点状に赤錆が発生してい
た。
ろ、100 時間でφ1〜2mmの無数のブリスターが発生
し、ピール密着力はほぼ0kgf/5mm であり、コーティン
グ皮膜と下地金属の間には、斑点状に赤錆が発生してい
た。
【0040】(比較例2)実施例1の[第2工程]にお
いて、溶射層として、第一メテコ(株)製の溶射材料;
68F NS-1(クロム約17重量%&コバルト約52重量%を含
む)をプラズマ溶射機(第一メテコ(株)製のメテコM2
プロセス)にて、膜厚400 μmの仕様で溶射した他は実
施例1と同一の方法である。
いて、溶射層として、第一メテコ(株)製の溶射材料;
68F NS-1(クロム約17重量%&コバルト約52重量%を含
む)をプラズマ溶射機(第一メテコ(株)製のメテコM2
プロセス)にて、膜厚400 μmの仕様で溶射した他は実
施例1と同一の方法である。
【0041】この比較例においては、溶射層の表面にク
ラックが入って溶射皮膜が剥れたため、「第3工程」以
下を中止した。
ラックが入って溶射皮膜が剥れたため、「第3工程」以
下を中止した。
【0042】(比較例3)実施例1の[第2工程]にお
いて、溶射層として、第一メテコ(株)製の溶射材料;
ダイアマロイ1008(クロム約17%&ニッケル5 %以下、
コバルトは不純物程度を含む)をガス高速溶射機にて、
膜厚100 μmの仕様で溶射した他は実施例1と同一の方
法である。
いて、溶射層として、第一メテコ(株)製の溶射材料;
ダイアマロイ1008(クロム約17%&ニッケル5 %以下、
コバルトは不純物程度を含む)をガス高速溶射機にて、
膜厚100 μmの仕様で溶射した他は実施例1と同一の方
法である。
【0043】これについても同様に薬液浸漬テストを行
ったところ、300 時間で、φ1〜2mmの無数のブリスタ
ーが発生し、ピール密着力は、全てほぼ0kgf/5mm であ
り、コーティング皮膜と下地金属の間には、斑点状に赤
錆が発生していた。
ったところ、300 時間で、φ1〜2mmの無数のブリスタ
ーが発生し、ピール密着力は、全てほぼ0kgf/5mm であ
り、コーティング皮膜と下地金属の間には、斑点状に赤
錆が発生していた。
【0044】(比較例4)実施例1において、フッ素樹
脂プライマーの塗装含浸を行わない方法を採用したが、
薬液浸漬テストにおいて、50時間でフッ素樹脂皮膜が膨
れて剥離した。フッ素樹脂皮膜をめくると、溶射層表面
には、軟鉄板から発生した赤錆が斑点状に噴き出してい
た。
脂プライマーの塗装含浸を行わない方法を採用したが、
薬液浸漬テストにおいて、50時間でフッ素樹脂皮膜が膨
れて剥離した。フッ素樹脂皮膜をめくると、溶射層表面
には、軟鉄板から発生した赤錆が斑点状に噴き出してい
た。
【0045】(比較例5)実施例1において、溶射層の
形成までの工程まで実施しただけとして、薬液浸漬テス
トを行ったところ、浸漬開始と同時に、表面で反応を始
め、気泡が発生してきた。一日後、溶射皮膜が剥れ、激
しく腐食した軟鉄板が露出した。
形成までの工程まで実施しただけとして、薬液浸漬テス
トを行ったところ、浸漬開始と同時に、表面で反応を始
め、気泡が発生してきた。一日後、溶射皮膜が剥れ、激
しく腐食した軟鉄板が露出した。
【0046】以上説明した実施例と比較例の耐食テスト
結果(5 %HCl-100 ℃)をまとめると以下の通りであ
る。 ブリスター 備 考(腐食状況) 発生時間hr 実施例1 1200 ブリスター発生以外に異常なし 実施例2 1000 同 上 実施例3 600 同 上 実施例4 1200 同 上 実施例5 1350 同 上 実施例6 850 同 上 実施例7 1200 同 上 実施例8 1200 同 上 比較例1 100 母材に斑点状の腐食発生 比較例2 −−− 皮膜剥離のため溶射層の形成工程で中止 比較例3 300 母材に斑点状の腐食発生 比較例4 50 フッ素樹脂皮膜の剥離及び溶射層に赤錆が付着 比較例5 −− 浸漬開始と同時に反応。1日後に溶射層剥離
結果(5 %HCl-100 ℃)をまとめると以下の通りであ
る。 ブリスター 備 考(腐食状況) 発生時間hr 実施例1 1200 ブリスター発生以外に異常なし 実施例2 1000 同 上 実施例3 600 同 上 実施例4 1200 同 上 実施例5 1350 同 上 実施例6 850 同 上 実施例7 1200 同 上 実施例8 1200 同 上 比較例1 100 母材に斑点状の腐食発生 比較例2 −−− 皮膜剥離のため溶射層の形成工程で中止 比較例3 300 母材に斑点状の腐食発生 比較例4 50 フッ素樹脂皮膜の剥離及び溶射層に赤錆が付着 比較例5 −− 浸漬開始と同時に反応。1日後に溶射層剥離
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、フッ素樹脂の特性が十
分に生かされて、著しく耐腐食性が向上し、腐食性ガ
ス、薬液等に接する鉄やステンレス鋼等の金属表面の腐
食防止が達成される。
分に生かされて、著しく耐腐食性が向上し、腐食性ガ
ス、薬液等に接する鉄やステンレス鋼等の金属表面の腐
食防止が達成される。
【0048】また本発明方法によれば、コーティング膜
厚が薄く、コーティング工程も短いため、生産能率が高
く、納期の短縮が図れ、耐傷付き性を向上させることが
できる。
厚が薄く、コーティング工程も短いため、生産能率が高
く、納期の短縮が図れ、耐傷付き性を向上させることが
できる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年8月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】また、このコーティング層の熱伝達係数
を、JIS A 1412に基づき測定したところ、0.2cal/cm2・
sec・℃(熱伝導率:14×10-4cal /cm・sec・ ℃)であっ
た。同様に実施例1を測定したところ、3.3 ×10-2cal
/cm2・sec・℃(熱伝導率:6.6×10-4cal /cm・sec・
℃)であった。・
を、JIS A 1412に基づき測定したところ、0.2cal/cm2・
sec・℃(熱伝導率:14×10-4cal /cm・sec・ ℃)であっ
た。同様に実施例1を測定したところ、3.3 ×10-2cal
/cm2・sec・℃(熱伝導率:6.6×10-4cal /cm・sec・
℃)であった。・
Claims (7)
- 【請求項1】 金属表面に、10〜30重量%のクロム又は
10〜30重量%のモリブデンと、8〜80重量%のニッケル
又は10〜65重量%のコバルトを含む合金を、溶射皮膜の
貫通気孔率1%以下で、その膜厚が30〜200 μmの範囲
で溶射して形成された溶射層に、フッ素樹脂プライマー
を塗装含浸させ、これを溶融焼成して封孔した溶射含浸
層上に、上塗りフッ素樹脂を塗装して溶融焼成した1層
もしくは複数層のフッ素樹脂層を形成した金属表面の腐
食防止コーティング構成。 - 【請求項2】 金属表面を高温空焼きして脱脂した後、
ブラスト処理して酸化皮膜を除去し、次いで金属表面
に、10〜30重量%のクロム又は10〜30重量%のモリブデ
ンと、8〜80重量%のニッケル又は10〜65重量%のコバ
ルトを含む合金を、溶射皮膜の貫通気孔率1%以下で、
その膜厚が30〜200 μmの範囲で溶射した後、その溶射
層にフッ素樹脂プライマーを塗装含浸させ、これを溶融
焼成して封孔し、その後、1回もしくは複数回にわたり
上塗りフッ素樹脂を塗装して溶融焼成することによりフ
ッ素樹脂皮膜を形成することを特徴とする金属表面の腐
食防止コーティング方法。 - 【請求項3】 フッ素樹脂プライマーとして、クロム酸
−リン酸系を含む酸性フッ素樹脂ディスパージョン塗料
を使用したことを特徴とする請求項2記載の金属表面の
腐食防止コーティング方法。 - 【請求項4】 上塗りフッ素樹脂として、10重量%以上
のガラスもしくはセラミック等の無機物を充填したフッ
素樹脂を、フッ素樹脂の膜厚で70μm以上の皮膜を形成
することを特徴とする請求項2記載の金属表面の腐食防
止コーティング方法。 - 【請求項5】 上塗りフッ素樹脂として、20重量%以上
の炭化珪素を充填したフッ素樹脂を、フッ素樹脂の膜厚
で70μm以上の皮膜を形成することを特徴とする請求項
2記載の金属表面の腐食防止コーティング方法。 - 【請求項6】 上塗りフッ素樹脂として、導電性フッ素
樹脂塗料を使用したことを特徴とする請求項2記載の金
属表面の腐食防止コーティング方法。 - 【請求項7】 溶射皮膜の貫通気孔率1%以下とする手
段として、ガス高速溶射機を使用する請求項2記載の金
属表面の腐食防止コーティング方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19099193A JPH0740506A (ja) | 1993-08-02 | 1993-08-02 | 金属表面の腐食防止コーティング構成と腐食防止コーティング方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19099193A JPH0740506A (ja) | 1993-08-02 | 1993-08-02 | 金属表面の腐食防止コーティング構成と腐食防止コーティング方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0740506A true JPH0740506A (ja) | 1995-02-10 |
Family
ID=16267052
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19099193A Pending JPH0740506A (ja) | 1993-08-02 | 1993-08-02 | 金属表面の腐食防止コーティング構成と腐食防止コーティング方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0740506A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09310409A (ja) * | 1996-05-22 | 1997-12-02 | Oiles Ind Co Ltd | 球面滑り支承装置 |
JP2000342657A (ja) * | 1999-03-30 | 2000-12-12 | Taisho Pharmaceut Co Ltd | ミノキシジル製剤製造設備 |
DE102006006025B3 (de) * | 2005-04-12 | 2006-12-14 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. | Komponente für eine Rotationsmaschine |
CN100372616C (zh) * | 2005-10-12 | 2008-03-05 | 吴德明 | 涂料表面制造工艺 |
US7947381B2 (en) | 2005-09-02 | 2011-05-24 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. | Rotating machine and parts of the same |
JP2011173244A (ja) * | 2010-02-23 | 2011-09-08 | Dowa Thermotech Kk | 積層皮膜被覆部材およびその製造方法 |
JP2013164247A (ja) * | 2012-02-13 | 2013-08-22 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 耐食性被覆層、当該耐食性被覆層を有する伝熱管及び当該伝熱管を備えた熱交換器 |
JP2015157474A (ja) * | 2014-01-23 | 2015-09-03 | ダイキン工業株式会社 | 被覆物品、及び、耐食性塗膜の形成方法 |
-
1993
- 1993-08-02 JP JP19099193A patent/JPH0740506A/ja active Pending
Cited By (9)
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