JP7063313B2 - 積層基板および剥離方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層基板および剥離方法に関する。
太陽電池;液晶パネル(LCD);有機ELパネル(OLED);電磁波、X線、紫外線、可視光線、赤外線等を感知する受信センサーパネル;等の電子デバイスを製造する際に、特許文献1に記載されるように、ポリイミド樹脂層を基板として用いる態様が開示されている。ポリイミド樹脂層は、ガラス基板上に設けられた積層基板の状態で用いられ、積層基板が電子デバイスの製造に提供されている。電子デバイスを形成した後、電子デバイスの基板であるポリイミド樹脂層と、支持基材であるガラス基板とが剥離等により分離される。
特開2015-104843号公報
上述したように、積層基板中のポリイミド樹脂層上には、電子デバイスを構成する各種電子デバイス用部材が形成されるため、電子デバイスを形成した後、電子デバイスの基板であるポリイミド樹脂層とガラス基板とが分離される。この分離の際に、電子デバイスおよびガラス基板はいずれも破損しないことが望ましい。電子デバイスが破損しても、ガラス基板が破損しても、製造歩留まりが悪くなる。
しかしながら、特許文献1では、上述のポリイミド樹脂層とガラス基板との分離について何ら考慮されていない。
電子デバイスを製造した際には、電子デバイスを保護する保護フィルムが貼合される。本発明者らは、この保護フィルムと、上述のポリイミド樹脂層とガラス基板との分離との関係に着目して、分離時の電子デバイスおよびガラス基板の破損について検討したところ、使用する保護フィルムの種類によって、上述のポリイミド樹脂層とガラス基板との分離時に、電子デバイスおよびガラス基板が破損する場合があることを知見した。
そこで、本発明は、支持基材の分離時における電子デバイスおよび支持基材の破損を抑制した積層基板および剥離方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下の構成により上述の目的を達成できることを見出した。
本発明の第1の態様は、ガラス製の支持基材と、ポリイミド樹脂層と、デバイス層と、樹脂層とが積層された積層基板であって、樹脂層の厚みが50~200μmであり、樹脂層の引張弾性率が1~5GPaである、積層基板を提供するものである。
支持基材とポリイミド樹脂層との間に、粘着層が設けられていることが好ましい。
支持基材の表面に直接、ポリイミド樹脂層が設けられており、樹脂層の厚みが100~200μmであり、樹脂層の引張弾性率が3~5GPaであることが好ましい。
粘着層は、シリコーン樹脂層であることが好ましい。
樹脂層は、光学機能性層を有することが好ましい。
本発明の第2の態様は、第1の態様の積層基板のうち、粘着層を有する積層基板において、粘着層とポリイミド樹脂層との間を境にして、支持基材上の粘着層からポリイミド樹脂層とデバイス層と樹脂層とを剥離する、剥離方法を提供するものである。
本発明の第3の態様は、第1の態様の積層基板のうち、粘着層が設けられていない構成の積層基板において、支持基材とポリイミド樹脂層との間を境にして、支持基材からポリイミド樹脂層とデバイス層と樹脂層とを剥離する、剥離方法を提供するものである。
樹脂層は、光学機能性層を有することが好ましい。
本発明によれば、支持基材の分離時における電子デバイスおよび支持基材の破損が抑制された積層基板を提供できる。また、電子デバイスおよび支持基材の破損を抑制して支持基材を分離することができる。
本発明の積層基板における樹脂層の厚みと、樹脂層の引張弾性率との範囲を示すグラフである。 本発明の実施形態の積層基板の第1の例を模式的に示す平面図である。 本発明の実施形態の積層基板の第1の例を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態の積層基板の支持基材の分離を説明する断面図である。 本発明の実施形態の積層基板の第1の例の樹脂層を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態の積層基板の第2の例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態は本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す実施形態に制限されることはない。なお、本発明の範囲を逸脱することなく、以下の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の積層基板の特徴点としては、ガラス製の支持基材と、ポリイミド樹脂層と、デバイス層と、樹脂層とが積層されており、デバイス層に積層された樹脂層の厚みと、引張弾性率とを調整することにより、デバイス層への破損、および支持基材の破損を抑制する所望の効果を得ている。
本発明者らは、上述の積層基板において、ガラス製の支持基材と、ポリイミド樹脂層との間で剥離して、支持基材を分離する際に、樹脂層の厚みが薄く、かつ引張弾性率が小さい場合、支持基材の分離に必要な樹脂層の引上げ荷重は小さいが、樹脂層が大きく変形してしまい、樹脂層の曲率半径が小さくなり、デバイス層が大きく変形し、デバイス層にかかる応力が大きくなり、デバイス層に破損が生じることを知見している。
また、樹脂層の厚みが厚く、かつ引張弾性率が大きい場合、分離の際に、樹脂層の変形が小さく平行剥離に近い状態となり、支持基材の分離に必要な樹脂層の引上げ荷重が大きくなる。これにより、デバイス層にかかる応力は小さくなるが、支持基材にかかる応力が大きくなって支持基材に破損が生じたり、また、樹脂層の引上げ荷重が大きくなるため、樹脂層が伸びたりすることを知見している。
以上の点を考慮して、樹脂層の厚みと、引張弾性率とが調整されている。
樹脂層の厚みと、引張弾性率との規定について、具体的には、樹脂層の厚みが50~200μmであり、樹脂層の引張弾性率が1~5GPaである。図1において領域Dで示される範囲である。
以下、積層基板について説明する。
<積層基板>
[積層基板の第1の例]
図2は本発明の実施形態の積層基板の第1の例を模式的に示す平面図であり、図3は本発明の実施形態の積層基板の第1の例を模式的に示す断面図である。図4は本発明の実施形態の積層基板の支持基材の分離を説明する断面図である。
第1の例の積層基板10は、ガラス製の支持基材12と、粘着層13と、ポリイミド樹脂層14と、デバイス層15と、樹脂層16とを積層されたものである。例えば、樹脂層16は、支持基材12上のデバイス層15を覆って配置されている。
図2に示すように、支持基材12の表面12aに粘着層13が設けられ、この粘着層13の表面13aにポリイミド樹脂層14が設けられ、ポリイミド樹脂層14の表面14aにデバイス層15が設けられている。粘着層13とポリイミド樹脂層14とは同じ大きさであるが、支持基材12の表面12aに比べて小さい。
図3に示すように樹脂層16とデバイス層15との間に密着層19が設けられている。密着層19はデバイス層15の表面15aおよび支持基材12の表面12aのうち外縁部12cと接する。樹脂層16は密着層19によりデバイス層15に貼合される。樹脂層16は、デバイス層15を利用する際には剥がされる。樹脂層16とデバイス層15との間に密着層19を設けたが、これに限定されるものではなく、密着層19が設けることなく、樹脂層16をデバイス層15に貼合してもよい。
支持基材12は、ポリイミド樹脂層14を支持する部材であり、ポリイミド樹脂層14は粘着層13を介して支持基材12に設けられている。また、支持基材12はポリイミド樹脂層14を補強する補強板として機能する。さらに、支持基材12は、積層基板10の搬送の際の搬送基板としても機能する。
積層基板10においては、支持基材12と粘着層13との間で剥離される。積層基板10の剥離方法では、支持基材12とポリイミド樹脂層14とを引き剥がす方向に力を加えると、粘着層13とポリイミド樹脂層14との間を境にして、図4に示すように、樹脂層16とデバイス層15とポリイミド樹脂層14とを一体に、支持基材12上の粘着層13から剥離して、支持基材12を分離する。剥離方法では、支持基材12の分離時における電子デバイスおよび支持基材の破損を抑制することができる。
ポリイミド樹脂層14は、後述する電子デバイスの製造のために用いられる基板である。ポリイミド樹脂層14の表面14aに、デバイス層15が設けられている。デバイス層15は、特定の機能を発揮する電子デバイスを有する。例えば、デバイス層15の表面15aを複数の領域に区画し、各区画に電子デバイスを形成する、いわゆる多面付けとすることもできる。
樹脂層16は、支持基材12およびデバイス層15を保護するものであり、特に外部からの受けた力による打痕、およびキズ等がデバイス層15に生じないように保護する。樹脂層16は、例えば、図2に示す積層基板10では支持基材12の表面12a全域を覆っている。
樹脂層16は、上述のように保護層として機能する以外に、デバイス層15が、例えば、有機EL素子、LED素子、またはLD素子を有する構成の場合、偏光フィルムのような光学機能性層として機能するものでもよい。樹脂層16が光学機能性層として機能する場合、光学機能性層の量を減らすために、樹脂層16はデバイス層15と同じ大きさであることが好ましい。
樹脂層16は、単層構造でも多層構造でもよく、単層の場合、例えば、樹脂フィルムで構成される。また、樹脂層16は光学機能性層を有する構成でもよい。光学機能性層としては、上述のように偏光フィルムが挙げられる。偏光フィルムのような光学機能性層は、単層でも、多層でもよい。多層の場合、光学機能性層間に接着層が設けられるが、これらをまとめて樹脂層16とし、密着層19とは区別される。
また、樹脂層16の厚みT(図5参照)には密着層19の厚みが含まれない、
粘着層13は、例えば、シリコーン樹脂層である。
粘着層13がシリコーン樹脂層である場合、積層基板10に加熱処理が施された際に、シリコーン樹脂層とポリイミド樹脂層14との間の密着力よりも、支持基材12とシリコーン樹脂層との間の密着力の方が大きくなることが好ましい。これは、加熱処理によって、支持基材12のヒドロキシ基とシリコーン樹脂層のヒドロキシ基とが結合すること等によって生じ得る。その結果、支持基材12とポリイミド樹脂層14とを引き剥がす方向に力が加えられると、シリコーン樹脂層とポリイミド樹脂層14との間で剥離する。これにより、ポリイミド樹脂層14を分離できる。
積層基板10では、樹脂層16の厚みが50~200μmであり、樹脂層16の引張弾性率が1~5GPaである。樹脂層16の厚みと引張弾性率は、図1に示す領域Dである。樹脂層16の厚みと、樹脂層16の引張弾性率とが図1に示す領域Dにあれば、支持基材の分離時における電子デバイスおよび支持基材の破損を抑制することができる。
樹脂層16の厚みが50μm未満では、樹脂層16と支持基材12との剥離時に、支持基材12の分離に必要な樹脂層16の引上げ荷重は小さいが樹脂層16が大きく変形して、樹脂層の曲率半径が小さくなり、デバイス層15が大きく変形し、デバイス層15が破損する。
樹脂層16の厚みが200μmを超えると、樹脂層16と支持基材12との剥離時に、樹脂層16の変形が小さく平行剥離に近い状態となり、支持基材12の分離に必要な樹脂層の引上げ荷重が大きくなり、支持基材12に作用する応力が大きくなり、支持基材12が破損する。また、樹脂層16の引上げ荷重が大きくなるため、樹脂層16が伸びてしまうこともある。
樹脂層16の引張弾性率が1GPa未満では、樹脂層16と支持基材12との剥離時に、支持基材12の分離に必要な樹脂層16の引上げ荷重は小さいが樹脂層16が大きく変形して、樹脂層の曲率半径が小さくなり、デバイス層15が大きく変形し、デバイス層15が破損する。
樹脂層16の引張弾性率が5GPaを超えると、樹脂層16と支持基材12との剥離時に、樹脂層16の変形が小さく平行剥離に近い状態となり、支持基材12の分離に必要な樹脂層16の引上げ荷重が大きくなり、支持基材12に作用する応力が大きくなり、支持基材12が破損する。また、樹脂層16の引上げ荷重が大きくなるため、樹脂層16が伸びてしまうこともある。
特に、樹脂層16の厚みが50μm未満であり、かつ引張弾性率が1GPa未満の場合、樹脂層16と支持基材12との分離時に、樹脂層16の曲率半径がさらに小さくなり、デバイス層がさらに大きく変形して、デバイス層15の破損の程度が増す。
また、樹脂層16の厚みが200μmを超え、かつ引張弾性率が5GPa超える場合、樹脂層16と支持基材12との分離時に必要な樹脂層16の引上げ荷重がさらに大きくなり、支持基材12に作用する応力がさらに大きくなり支持基材12の破損の程度が増す。
[積層基板の第1の例の製造方法]
第1の例の積層基板10において、支持基材12上、粘着層13およびポリイミド樹脂層14を形成する場合、ポリイミド樹脂層14の裏面(デバイス層15が配置される側とは反対側の面)に、粘着層13としてシリコーン樹脂層を形成する方法が好ましい。具体的には、硬化性シリコーンを含む硬化性組成物をポリイミド樹脂層14上に塗布し、得られた塗膜に対して硬化処理を施して、粘着層13としてシリコーン樹脂層を得た後、シリコーン樹脂層の裏面(ポリイミド樹脂層14側とは反対側の表面)に支持基材12を積層する方法が好ましい。
より詳細には、硬化性シリコーンの層をポリイミド樹脂層14の裏面に形成し、ポリイミド樹脂層14の裏面にシリコーン樹脂層を形成する工程(樹脂層形成工程)と、シリコーン樹脂層の裏面に支持基材12を積層する工程(積層工程)とを、少なくとも有する。以下、上述の各工程について説明する。
(樹脂層形成工程)
樹脂層形成工程は、硬化性シリコーンの層をポリイミド樹脂層14の裏面に形成し、ポリイミド樹脂層14の裏面に、粘着層13としてシリコーン樹脂層を形成する工程である。本工程によって、ポリイミド樹脂層14とシリコーン樹脂層とをこの順で備えるシリコーン樹脂層付き基板が得られる。
シリコーン樹脂層付き基板は、ロール状に巻いたポリイミド樹脂層14の裏面にシリコーン樹脂層を形成してから再びロール状に巻き取る、いわゆるロール・ツー・ロール方式での製造が可能であり、生産効率に優れる。
本工程において、ポリイミド樹脂層14の裏面に硬化性シリコーンの層を形成するためには、上述した硬化性組成物を、ポリイミド樹脂層14の裏面に塗布する。次いで、硬化性シリコーンの層に対して硬化処理を施すことにより硬化層を形成することが好ましい。
ポリイミド樹脂層14の裏面に硬化性組成物を塗布する方法の具体例としては、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スクリーン印刷法、およびグラビアコート法が挙げられる。
次いで、ポリイミド樹脂層14の裏面に塗布された硬化性シリコーンを硬化させて、シリコーン樹脂層を形成する。
シリコーン樹脂層を形成するための硬化の方法は特に制限されず、使用される硬化性シリコーンの種類によって適宜最適な処理が実施される。例えば、縮合反応型シリコーンおよび付加反応型シリコーンを用いる場合は、硬化処理としては熱硬化処理が好ましい。
熱硬化処理の条件は、ポリイミド樹脂層14の耐熱性の範囲内で実施され、例えば、熱硬化させる温度条件は、50~400℃が好ましく、100~300℃がより好ましい。加熱時間は、10~300分が好ましく、20~120分がより好ましい。
シリコーン樹脂層については後に説明する。
(積層工程)
積層工程は、シリコーン樹脂層の表面に支持基材12を積層する工程である。支持基材12をシリコーン樹脂層の裏面上に積層する方法の具体例としては、常圧環境下でシリコーン樹脂層の裏面上に支持基材12を重ねる方法が挙げられる。必要に応じて、シリコーン樹脂層の裏面上に支持基材12を重ねた後、ロールやプレスを用いてシリコーン樹脂層に支持基材12を圧着させてもよい。ロールまたはプレスによる圧着により、シリコーン樹脂層と支持基材12との間に混入している気泡が比較的容易に除去されるので好ましい。
真空ラミネート法または真空プレス法により圧着すると、気泡の混入が抑制され、かつ、良好な密着が実現でき、好ましい。真空下で圧着することにより、微小な気泡が残存した場合でも、加熱処理により気泡が成長しにくいという利点もある。
支持基材12を積層する際には、シリコーン樹脂層に接触する支持基材12の表面を十分に洗浄し、クリーン度の高い環境で積層することが好ましい。
(デバイス層形成工程)
積層基板10を製造する場合、ポリイミド樹脂層14にデバイス層15を形成する形成工程を有する。形成工程では、形成する電子デバイスに応じた、種々の製造条件にて各工程が実施される。例えば、450℃以上の高温条件に、20分間以上曝されてデバイス層15が形成される場合もある。電子デバイス上に、電子デバイスを酸化または硫化等から保護するバリア層を形成してもよい。バリア層としては、例えば、窒化珪素膜が挙げられる。ポリイミド樹脂層14の表面14aに、窒化珪素膜を形成し、この窒化珪素膜上に電子デバイスを作製してもよい。
ポリイミド樹脂層14に電子デバイスを形成した後、樹脂層16をデバイス層15の表面に貼り付ける工程(貼合工程)を有する。
(貼合工程)
貼合工程は、支持基材12の表面12aに密着層19を向けて樹脂層16を配置し、デバイス層15を覆って樹脂層16を支持基材12に貼り付ける。これにより、例えば、図2に示す積層基板10が得られる。
[積層基板の第2の例]
図6は本発明の実施形態の積層基板の第2の例を模式的に示す断面図である。図6に示す第2の例の積層基板10において、図2および図3に示す第1の例の積層基板10と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図6に示す第2の例の積層基板10は、図2および図3に示す積層基板10と比べて、支持基材12とポリイミド樹脂層14との間の粘着層13がなく、支持基材12の表面12aに直接、ポリイミド樹脂層14が設けられていること以外は、図2および図3に示す積層基板10と同じ構成である。
なお、支持基材12の表面12aに、ポリイミド樹脂層14を接着させるためにシランカップリング剤を設けることがあるが、この場合でも、支持基材12の表面12aに直接、ポリイミド樹脂層14が設けられているとする。
第2の例の積層基板10では、支持基材12と、ポリイミド樹脂層14とがこの順で積層されている。支持基材12がポリイミド樹脂層14を補強する補強板として機能し、かつ搬送基板として機能する。
第2の例の積層基板10では、樹脂層16は、第1の例の積層基板10と同じ構成とすることができる。
第2の例の積層基板10は、第1の例の積層基板10に比して粘着層13がない構成である。この構成の違いより、好適な、樹脂層16の厚みと、引張弾性率との範囲が異なる。第2の例の積層基板10では、樹脂層16の厚みが100~200μmであり、樹脂層16の引張弾性率が3~5GPaであることが好ましく、樹脂層16の厚みと引張弾性率は図1に示す領域Dである。領域Dは領域Dに含まれる。
第2の例の積層基板10では、樹脂層16の厚みと、樹脂層16の引張弾性率とが図1に示す領域Dにあれば、支持基材の分離時における電子デバイスおよび支持基材の破損を抑制することができる。
図6に示す粘着層13がない構成の積層基板10においては、支持基材12とポリイミド樹脂層14との間で剥離される。
図6に示す粘着層13がない構成の積層基板10の剥離方法では、支持基材12からポリイミド樹脂層14を引き剥がす方向に力を加えると、支持基材12とポリイミド樹脂層14との間を境にして、ポリイミド樹脂層1とデバイス層15と樹脂層16とを一体に、支持基材12から剥離して、支持基材12を分離する。この剥離方法でも、支持基材12の分離時における電子デバイスおよび支持基材の破損を抑制することができる。
[積層基板の第2の例の製造方法]
第2の例の積層基板10においては、第1の例の積層基板10に比して、粘着層13がない構成である。
第2の例である積層基板10を製造する際、支持基材12の表面12a上に、ポリイミド樹脂層14を積層させる場合、支持基材12の表面12a上にポリイミド樹脂層14を積層させる前に、支持基材12の表面12a上に公知のシランカップリング剤を塗布し、その後、シランカップリング剤が塗布された支持基材12の表面12a上にポリイミド樹脂層14を積層することが好ましい。
支持基材12にポリイミド樹脂層14を設けた以降は、第1の例の積層基板10と同様にして、積層基板10を製造することができる。このため、製造方法について詳細な説明は省略する。
以下、積層基板10を構成する支持基材12、粘着層13、ポリイミド樹脂層14、および樹脂層16について詳述する。
<支持基材>
支持基材12は、例えば、ガラス板で構成される。
ガラスの種類としては、無アルカリホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、高シリカガラス、その他の酸化ケイ素を主な成分とする酸化物系ガラスが好ましい。酸化物系ガラスとしては、酸化物換算による酸化ケイ素の含有量が40~90質量%のガラスが好ましい。
ガラス板として、より具体的には、無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(AGC株式会社製商品名「AN100」)が挙げられる。
ガラス板の製造方法としては、通常、ガラス原料を溶融し、溶融ガラスを板状に成形する方法が挙げられる。このような成形方法は、一般的なものであってよく、例えば、フロート法、フュージョン法、およびスロットダウンドロー法が挙げられる。
支持基材12の厚みは、ポリイミド樹脂層14よりも厚くてもよいし、薄くてもよい。積層基板10の取り扱い性の点から、支持基材12の厚みはポリイミド樹脂層14よりも厚いことが好ましい。
支持基材12は、補強板および搬送基板としての機能が要求されるものであることから、フレキシブルではないことが好ましい。そのため、支持基材12の厚みは、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましい。一方、支持基材12の厚みは1.0mm以下が好ましい。
<ポリイミド樹脂層>
ポリイミド樹脂層14は、ポリイミド樹脂からなり、例えば、ポリイミドフィルムが用いられる。ポリイミドフィルムの市販品の具体例としては、東洋紡株式会社製の「ゼノマックス」、宇部興産株式会社製の「ユーピレックス25S」が挙げられる。
電子デバイスを構成する高精細な配線等を形成するために、ポリイミド樹脂層14の表面14aは平滑であることが好ましい。具体的には、ポリイミド樹脂層14の表面14aの表面粗度Raは、50nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましく、10nm以下がさらに好ましい。表面粗度Raの下限としては、0.01nm以上が挙げられる。
ポリイミド樹脂層14の厚みは、製造工程でのハンドリング性の点から、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましい。柔軟性の点から、ポリイミド樹脂層14の厚みは1mm以下が好ましく、0.2mm以下がより好ましい。
ポリイミド樹脂層14の熱膨張係数と支持基材12との熱膨張係数差は、小さい方が加熱後または冷却後の反りを抑制できるため好ましい。具体的には、ポリイミド樹脂層14と支持基材12との熱膨張係数の差は、0~90×10-6/℃が好ましく、0~30×10-6/℃がより好ましい。
ポリイミド樹脂層14の面積(表面14aの面積)は、特に制限されないが、樹脂層16を配置するため、支持基材12よりも小さいことが好ましい。一方、ポリイミド樹脂層14の面積は、電子デバイスの生産性の点から、300cm以上が好ましい。
ポリイミド樹脂層14の形状は、特に制限されず、矩形状であっても円形状であってもよい。ポリイミド樹脂層14には、オリエンテーションフラット(基板の外周に形成された平坦部分)、およびノッチ(基板の外周縁に形成された、少なくとも1つのV型の切欠き)が形成されていてもよい。
<シリコーン樹脂層>
シリコーン樹脂層は、粘着層を構成する層も一例である。シリコーン樹脂層は、主に、シリコーン樹脂からなるものである。シリコーン樹脂の構造は特に制限されない。シリコーン樹脂は、通常、硬化処理によってシリコーン樹脂となり得る硬化性シリコーンを硬化(架橋硬化)して得られる。
硬化性シリコーンの具体例としては、その硬化機構により、縮合反応型シリコーン、付加反応型シリコーン、紫外線硬化型シリコーン、および電子線硬化型シリコーンが挙げられる。硬化性シリコーンの重量平均分子量は、5,000~60,000が好ましく、5,000~30,000がより好ましい。
シリコーン樹脂層の製造方法としては、ポリイミド樹脂層14の表面14aに上述のシリコーン樹脂となる硬化性シリコーンを含む硬化性組成物を塗布して、必要に応じて溶媒を除去して、塗膜を形成して、塗膜中の硬化性シリコーンを硬化させて、シリコーン樹脂層とする方法が好ましい。
硬化性組成物は、硬化性シリコーンの他に、溶媒、白金触媒(硬化性シリコーンとして付加反応型シリコーンを用いる場合)、レベリング剤、および金属化合物等を含んでいてもよい。金属化合物に含まれる金属元素の具体例としては、3d遷移金属、4d遷移金属、ランタノイド系金属、ビスマス、アルミニウム、およびスズが挙げられる。金属化合物の含有量は、適宜調整される。
シリコーン樹脂層の厚みは、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。一方、シリコーン樹脂層の厚みは、1μm超が好ましく、4μm以上がより好ましい。上述の厚みは、5点以上の任意の位置におけるシリコーン樹脂層の厚みを接触式膜厚測定装置で測定し、それらを算術平均したものである。
<デバイス層>
デバイス層は、電子デバイスを有する。電子デバイスは、特に限定されるものではなく、トランジスタ、コイルおよび抵抗等の電子素子、ならびに信号線等が挙げられる。上述のもの以外に、電子デバイスとしては、後述の表示デバイス、受信センサーパネル、太陽電池、薄膜2次電池、および集積回路等が挙げられる。ポリイミド樹脂層が大気雰囲気下にて、例えば、450℃以上の高温条件に、20分間以上曝されてデバイス層15が形成される場合もある。
表示デバイスの具体例としては、LCD、OLED、電子ペーパー、プラズマディスプレイパネル、フィールドエミッションパネル、量子ドットLEDパネル、マイクロLEDディスプレイパネル、およびMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)シャッターパネルが挙げられる。
受信センサーパネルの具体例としては、電磁波受信センサーパネル、X線受光センサーパネル、紫外線受光センサーパネル、可視光線受光センサーパネル、および赤外線受光センサーパネルが挙げられる。受信センサーパネルに用いる場合、樹脂等の補強シート等によってポリイミド樹脂層が補強されていてもよい。
デバイス層15は、樹脂層16を設ける前に、支持基材とポリイミド樹脂層とを含む積層体を用いて、ポリイミド樹脂層に電子デバイスを形成する。電子デバイスの形成後に、電子デバイスの保護のために、樹脂層16をデバイス層15の表面に設ける。
<樹脂層>
樹脂層16の厚みT(図5参照)は50~200μmであり、本発明の効果がより優れる点で、100~200μmが好ましい。
樹脂層16の引張弾性率は1~5GPaであり、本発明の効果がより優れる点で、3~5GPaが好ましい。
樹脂層16の厚みは、外部から受けた力の影響を低減するためにも50μm以上である。
樹脂層16の厚みとは、5点以上の任意の位置における厚みを接触式膜厚測定装置で測定し、それらを算術平均したものである。
樹脂層16は、引張弾性率が1~5GPaであれば、特に限定されるものではない。樹脂層16を構成する材料としては、例えば、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン(PE)、およびポリプロピレン(PP)等)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)が好ましい。
樹脂層16の引張弾性率は、JIS K7127に基づいて測定されて得られた値である。
また、樹脂層16が偏光フィルム等の光学機能性層を有する場合、光学機能性層を含む複合体を樹脂層16として扱い、この複合体の引張弾性率を樹脂層16の引張弾性率とする。
樹脂層16は、デバイス層15に貼合される際、例えば、図5に示すように密着層19が積層される。
密着層19は、特に限定されるものではなく、公知の粘着層を用いることができる。粘着層を構成する粘着剤の具体例としては、(メタ)アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤が挙げられる。
また、密着層19は樹脂で構成されていてもよく、樹脂の具体例としては、酢酸ビニル樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレンエラストマーが挙げられる。
なお、(メタ)アクリルとは、アクリルとメタクリルとを含む概念である。
以下に、実施例等により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって制限されるものではない。後述する例1~15は実施例であり、例16~24は比較例である。
<評価>
(剥離不良)
剥離不良の評価においては、各例において、ポリイミド樹脂層に、電子デバイスとして複数の有機EL素子を形成した後、有機EL素子上に下記表1に示す樹脂層を厚み15μmの粘着剤を用いて貼り合わせた。有機EL素子が形成されていない端部のポリイミドフィルムをガラス基板から部分的に剥がした。部分的に剥がした箇所を機械的に引き上げることにより、基板全面の有機EL素子付ポリイミドフィルムをガラス基板(支持基材)から剥離し、フレキシブルな有機EL素子を得ることを試みた。ガラス基板が割れることなく剥離できたものを、剥離不良なしとし、「A」と評価した。
一方、ガラス基板が割れた場合には、剥離不良があるとし、「B」と評価した。この場合、表1の剥離不良の欄に「B(支持基材割れ)」と記した。
(電子デバイスの破損の評価)
電子デバイスの破損の評価においては、各例において、ポリイミド樹脂層に、電子デバイスとして複数の有機EL素子を形成した後、有機EL素子上に下記表1に示す樹脂層を厚み15μmの粘着剤を用いて貼り合わせた。有機EL素子が形成されていない端部のポリイミドフィルムをガラス基板から部分的に剥がした。部分的に剥がした箇所を機械的に引き上げることにより、基板全面の有機EL素子付ポリイミドフィルムをガラス基板から剥離し、フレキシブルな有機EL素子を得ることを試みた。ガラス基板が割れることなく剥離できた、有機EL素子について発光品位を目視判定した。目視判定の結果、100cm当たりの黒点(ダークスポット)の数が1個以下である場合を「A」とし、1個超え5個以下である場合を「B」とし、5個超える場合を「C」と評価した。その結果を下記表1に、ダークスポットの数と一緒に示す。表1の電子デバイスの破損」の欄の括弧内の数値は、100cm当たりのダークスポットの数である。
なお、剥離の際に、ガラス基板が割れたものについては、発光品位を目視判定しなかった。発光品位を目視判定しないものについては、下記表1の「電子デバイスの破損」の欄に「-」と記した。
以下、例1~24について説明する。
<例1>
(硬化性シリコーンおよび硬化性組成物の調製)
1Lのフラスコに、トリエトキシメチルシラン(179g)、トルエン(300g)、酢酸(5g)を加えて、混合物を25℃で20分間撹拌後、さらに、60℃に加熱して12時間反応させた。得られた反応粗液を25℃に冷却後、水(300g)を用いて、反応粗液を3回洗浄した。洗浄された反応粗液にクロロトリメチルシラン(70g)を加えて、混合物を25℃で20分間撹拌後、さらに、50℃に加熱して12時間反応させた。得られた反応粗液を25℃に冷却後、水(300g)を用いて、反応粗液を3回洗浄した。洗浄された反応粗液からトルエンを減圧留去し、スラリー状態にした後、真空乾燥機で終夜乾燥することにより、白色のオルガノポリシロキサン化合物である硬化性シリコーンを得た。硬化性シリコーンは、M単位、T単位のモル比が13:87、有機基は全てメチル基、OX基数が0.02であった。
硬化性シリコーン(50g)と、金属化合物としてジルコニウムテトラノルマルプロポキシド(「オルガチックスZA-45」、マツモトファインケミカル株式会社製、金属含有率21.1%)(0.24g)と、2-エチルヘキサン酸セリウム(III)(Alfa Aesar社製、金属含有率12%)(0.42g)、溶媒としてIsoper G(東燃ゼネラル石油株式会社製)(75g)とを混合し、得られた混合液を、孔径0.45μmのフィルタを用いてろ過することにより、硬化性組成物を得た。
(硬化性組成物を用いたポリイミドフィルム-ガラス積層体の作製)
調製した硬化性組成物を、厚み0.015mmのポリイミドフィルム(東洋紡株式会社製商品名「ゼノマックス」)上に、加熱後のシリコーン樹脂層の膜厚が8μmとなるように塗布し、ホットプレートを用いて140℃で10分間加熱することで、シリコーン樹脂層を形成した。続いて、470×370mm、厚み0.5mmのガラス基板「AN Wizus」(支持基材)を水系ガラス洗浄剤(株式会社パーカーコーポレーション製 「PK―LCG213」)で洗浄後、純水で洗浄した。ポリイミドフィルム上に形成したシリコーン樹脂層の上に支持基材を置き、貼合装置を用いて貼り合わせ、ポリイミドフィルム-ガラス積層体を作製した。
(有機EL素子の作製)
作製した積層体のポリイミドフィルム上に、プラズマCVDを用いて窒化珪素薄膜(膜厚500nm)を形成した。窒化珪素薄膜の上に有機EL素子を作製し、プラズマCVDを用いて、有機EL素子の上にガスバリア層(窒化珪素薄膜)を形成した。このようにして、デバイス層を形成した。
(積層基板の作製)
得られた積層体のデバイス層上に、厚み15μmの粘着剤を用いて、樹脂層を貼り合わせて、積層基板を得た。
使用した樹脂層としては、厚みが50μm、引張弾性率が5GPaのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ルミラー(登録商標)S10(製品名) 東レ株式会社製)を用いた。
<例2~8、16~24>
樹脂層の種類を変更したこと以外は、例1と同様の手順に従って、積層基板を得た。
例2では樹脂層に厚みが188μm、引張弾性率が5GPaのPTEフィルム(ルミラー(登録商標)S10(製品名) 東レ株式会社製)を用いた。
例3では樹脂層に厚みが50μm、引張弾性率が1GPaの二軸延伸ナイロンフィルムを用いた。
例4では樹脂層に厚みが200μm、引張弾性率が5GPaの二軸延伸ナイロンフィルムを用いた。
例5では樹脂層に厚みが60μm、引張弾性率が3.8GPaの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(パイレン(登録商標)フィルム-OTP2161(製品名) 東洋紡株式会社製)を用いた。
例6では樹脂層に厚みが125μm、引張弾性率が2.4GPaのポリカーボネートフィルム(パンライト(登録商標)シート PC-2151(製品名) 帝人株式会社製)を用いた。
例7では樹脂層に厚みが180μm、引張弾性率が2.4GPaのポリカーボネートフィルム(パンライト(登録商標)シート PC-2151(製品名) 帝人株式会社製)を用いた。
例8では樹脂層に厚みが125μm、引張弾性率が3GPaのポリイミドフィルム(カプトン(登録商標)H(製品名) 東レ・デュポン株式会社製)を用いた。
例16では樹脂層に厚みが50μm、引張弾性率が5.8GPaのポリイミドフィルム(カプトン(登録商標)EN(製品名) 東レ・デュポン株式会社製)を用いた。
例17では樹脂層に厚みが210μm、引張弾性率が5GPaのPTEフィルム(ルミラー(登録商標)S10(製品名) 東レ株式会社製)を用いた。
例18では樹脂層に厚みが250μm、引張弾性率が2.4GPaのポリカーボネートフィルム(パンライト(登録商標)シート PC-2151(製品名) 帝人株式会社製)を用いた。
例19では樹脂層に厚みが38μm、引張弾性率が5GPaのPTEフィルム(ルミラー(登録商標)S10(製品名) 東レ株式会社製)を用いた。
例20では樹脂層に厚みが25μm、引張弾性率が1GPaの二軸延伸ナイロンフィルム(ハーデン(登録商標)フィルム N1100(製品名) 東洋紡式会社製)を用いた。
例21では樹脂層に厚みが50μm、引張弾性率が0.7GPaの無延伸ポリプロピレンフィルム(パイレン(登録商標)フィルム-CT P1011(製品名) 東洋紡式会社製)を用いた。
例22では樹脂層に厚みが100μm、引張弾性率が0.6GPaの無延伸ナイロンフィルム(レイファン(登録商標)NO(1401) 東レフィルム加工株式会社製)を用いた。
例23では樹脂層に厚みが100μm、引張弾性率が0.2GPaのリニアーローデンシティポリエチレン(LLDPE)フィルム(リックス(登録商標)フィルム LIX-NP(製品名) 東洋紡式会社製)を用いた。
例24では樹脂層に厚みが200μm、引張弾性率が0.2GPaの軟質PVC(ポリ塩化ビニル)フィルムを用いた。
<例9(シランカップリング剤を用いたポリイミドフィルム-ガラス積層体の作製)>
例9では、以下に示すように、粘着層がない構成とした。
470×370mm、厚み0.5mmのガラス基板「AN Wizus」(支持基材)を水系ガラス洗浄剤(株式会社パーカーコーポレーション製 「PK―LGC213」)で洗浄後、純水で洗浄した。コロナ処理装置を用いて、支持基材表面の活性化処理を行った。シランカップリング剤(3-アミノプロピルトリメトキシシラン)を満たしたシャーレの上方に支持基材の活性化処理した面が向くように支持基材を配置し、シャーレをホットプレートで100℃に加熱し、支持基材をシランカップリング剤に3分間暴露した。その後、シランカップリング剤に暴露した基板を120℃のオーブンで1分間加熱し、シランカップリング剤処理した。
厚み0.015mmのポリイミドフィルム(東洋紡株式会社製 商品名「ゼノマックス」)の表面を枚葉式の真空プラズマ装置用いて活性化処理を行った。
シランカップリング剤処理を行った支持基板の表面と、真空プラズマ装置で活性化処理を行ったポリイミドフィルム表面を重ねあわせ、貼合装置を用いて仮積層した後、150℃のオーブンで3分間熱処理を行い、ポリイミドフィルム-ガラス積層体を作製した。
また、例9では樹脂層に厚みが50μm、引張弾性率が5GPaのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ルミラー(登録商標)S10(製品名) 東レ株式会社製)を用いた。
<例10~15>
樹脂層の種類を変更したこと以外は、例9と同様の手順に従って、積層基板を得た。
例10では樹脂層に厚みが188μm、引張弾性率が5GPaのPETフィルム(ルミラー(登録商標)S10(製品名) 東レ株式会社製)を用いた。
例11では樹脂層に厚みが50μm、引張弾性率が1GPaの二軸延伸ナイロンフィルムを用いた。
例12では樹脂層に厚みが200μm、引張弾性率が5GPaの二軸延伸ナイロンフィルムを用いた。
例13では樹脂層に厚みが125μm、引張弾性率が3GPaのポリイミドフィルム(カプトン(登録商標)H(製品名) 東レ・デュポン株式会社製))を用いた。
例14では樹脂層に厚みが125μm、引張弾性率が2.4GPaのポリカーボネートフィルム(パンライト(登録商標)シート PC-2151(製品名) 帝人株式会社製))を用いた。
例15では樹脂層に厚みが180μm、引張弾性率が2.4GPaのポリカーボネートフィルム(パンライト(登録商標)シート PC-2151(製品名) 帝人株式会社製))を用いた。
Figure 0007063313000001
<評価結果のまとめ>
上述の表1に示すように、所定の要件を満たす例1~15では所望の効果が得られた。
なお、例1~15においては、樹脂層の厚みが50~200μmであり、かつ引張弾性率が1~5GPaであるため、支持基材を剥離した際に、支持基材の割れが生じることがなく、かつ電子デバイスの破損も抑制された。
例16~24において、所望の効果が得られなかった。
具体的には、例16は引張弾性率が5.8GPaと大きく、ダークスポット数が多くなった。
例17は樹脂層の厚みが210μmであり、例18は樹脂層の厚みが250μmと厚いため、剥離時にガラス基板にかかる応力が大きくなり、ガラス基板に割れが発生した。
例19は樹脂層の厚みが38μmであり、例20は樹脂層の厚みが25μmと薄いため、剥離時にデバイス層にかかる応力が大きくなり、ダークスポット数が多くなった。
例21は樹脂層の引張弾性率が0.7GPa、例22は樹脂層の引張弾性率が0.6GPa、例23は樹脂層の引張弾性率が0.2GPa、例24は樹脂層の引張弾性率が0.2GPaと小さいため、剥離時にデバイス層にかかる応力が大きくなり、ダークスポット数が多くなった。
10 積層基板
12 支持基材
12a 表面
12c 外縁部
13 粘着層
13a 表面
14 ポリイミド樹脂層
14a 表面
16 樹脂層
19 密着層

Claims (8)

  1. ガラス製の支持基材と、ポリイミド樹脂層と、デバイス層と、樹脂層とが積層された積層基板であって、
    前記樹脂層の厚みが50~200μmであり、前記樹脂層の引張弾性率が1~5GPaである、積層基板。
  2. 前記支持基材と前記ポリイミド樹脂層との間に、粘着層が設けられている、請求項1に記載の積層基板。
  3. 前記支持基材の表面に直接、前記ポリイミド樹脂層が設けられており、
    前記樹脂層の前記厚みが100~200μmであり、前記樹脂層の前記引張弾性率が3~5GPaである、請求項1に記載の積層基板。
  4. 前記粘着層は、シリコーン樹脂層である、請求項2に記載の積層基板。
  5. 前記樹脂層は、光学機能性層を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層基板。
  6. 請求項2または4に記載の積層基板において、前記粘着層と前記ポリイミド樹脂層との間を境にして、前記支持基材上の前記粘着層から前記ポリイミド樹脂層と前記デバイス層と前記樹脂層とを剥離する、剥離方法。
  7. 請求項3に記載の積層基板において、前記支持基材と前記ポリイミド樹脂層との間を境にして、前記支持基材から前記ポリイミド樹脂層と前記デバイス層と前記樹脂層とを剥離する、剥離方法。
  8. 前記樹脂層は、光学機能性層を有する、請求項6または7に記載の剥離方法。
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