JP7103163B2 - 積層体、導通チェック方法、および、電子デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
より具体的には、ポリイミド樹脂基板上の電子デバイス用部材から外部に延びる配線をスパッタにより形成し、テスタを用いて、導通チェックを行なった。
その結果、本発明者は、スパッタにより形成される配線がポリイミド樹脂基板の端面において薄くなったり断線したりしやすいこと、および、それにより、導通チェックが正確に行なわれず、精度が不十分である場合があることを見出した。
さらに、本発明は、上記積層体を用いた導通チェック方法および電子デバイスの製造方法を提供することも目的とする。
[2]上記傾斜面と、上記第1主面とのなす角度が、10°以上である、上記[1]に記載の積層体。
[3]上記支持基材の厚さが、0.3mm以上である、上記[1]または[2]に記載の積層体。
[4]上記支持基材と上記ポリイミド樹脂基板との間に、さらに、シリコーン樹脂層を備える、上記[1]~[3]のいずれかに記載の積層体。
[5]上記[1]~[4]のいずれかに記載の積層体の上記ポリイミド樹脂基板の上記第2主面の上に電子デバイス用部材を形成する工程と、上記電子デバイス用部材から外部に延びる配線をスパッタまたは蒸着により形成する工程と、上記配線をテスタに接続し、上記電子デバイス用部材の導通チェックを行なう工程と、を備え、上記配線は、上記電子デバイス用部材から延びて、上記ポリイミド樹脂基板の上記第2主面、上記ポリイミド樹脂基板の上記傾斜面、および、上記支持基材の表面に沿って形成される、導通チェック方法。
[6]上記[1]~[4]のいずれかに記載の積層体の上記ポリイミド樹脂基板の上記第2主面の上に電子デバイス用部材を形成し、電子デバイス用部材付き積層体を得る部材形成工程と、上記電子デバイス用部材付き積層体から、上記ポリイミド樹脂基板および上記電子デバイス用部材を有する電子デバイスを得る分離工程と、を備える電子デバイスの製造方法。
さらに、本発明によれば、上記積層体を用いた導通チェック方法および電子デバイスの製造方法を提供することもできる。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の積層体10を模式的に示す断面図である。
第1の実施形態の積層体10は、ガラス製の支持基材12、および、支持基材12の上に配置されるポリイミド樹脂基板16(以下、単に「基板16」と記載する場合がある)を備える。
基板16は、支持基材12側の第1主面16a、第1主面16aとは反対側の第2主面16b、および、第1主面16aと第2主面16bとに接続する端面16cを有する。
基板16の端面16cの少なくとも一部は、第2主面16bから第1主面16aに向かうに従い突出する傾斜面16dである。
第1の実施形態の積層体10においては、基板16の第1主面16aが、支持基材12に接する。支持基材12は、基板16を補強する補強板として機能する。第1の実施形態の積層体10に、支持基材12と基板16とを引き剥がす方向の応力を加えると、支持基材12と基板16とに分離する。
電子デバイスを製造する途中過程において、電子デバイス用部材が正常に作動するか否かを確認するために、導通チェックを行なう。
配線40は、より詳細には、図2に示すように、電子デバイス用部材20から延びて、基板16の第2主面16b、傾斜面16d、および、支持基材12の表面に沿って形成される。配線40を、図示しないテスタに接続し、電子デバイス用部材20の導通チェックを行なう。
図3は、導通チェックの別の一例を示す断面図である。図3に示すように、垂直面である端面16cに沿って、配線40をスパッタ等により形成する場合がある。この場合、図3に示すように、垂直面である端面16cに対しては、配線40が付着しにくく、配線40が部分的に薄くなったり断線したりしやすい。配線40が部分的に薄くなったり断線したりした状態においては、電子デバイス用部材20の導通チェックが正確に行なわれず、精度が不十分となる場合がある。
図4は、第2の実施形態の積層体10を模式的に示す断面図である。第1の実施形態と同じ部分については、同じ符号で示し、説明も省略する(以下、同様)。
第2の実施形態の積層体10は、支持基材12と、シリコーン樹脂層14と、基板16と、をこの順で備える。換言すれば、第2の実施形態の積層体10は、支持基材12と基板16との間に、さらに、シリコーン樹脂層14を備える。シリコーン樹脂層14は、一方の面(第1主面14a)が支持基材12に接し、他方の面(第2主面14b)が基板16の第1主面16aに接する。
図4に示すように、シリコーン樹脂層14の端面についても、基板16の傾斜面16dと連続する端面である場合には、傾斜面16dと同様に傾斜した傾斜面14dであることが好ましい。
第2の実施形態においても、配線40は、垂直面ではない傾斜面16dに沿って形成されるので、部分的に薄くなったり断線したりしにくい。このため、電子デバイス用部材20の導通チェックは正確に行なわれ、精度は良好となる。
その結果、支持基材12と基板16とを引き剥がす方向の応力が加えられると、シリコーン樹脂層14と基板16との間で剥離する。
図5は、ポリイミド樹脂基板16の端部を拡大して示す断面図である。基板16において、傾斜面16dと第1主面16aとのなす角度θ1は、傾斜面16dは垂直面ではないことから、当然に、90°未満である。
なお、基板16の傾斜面16dは、刃物を用いて基板16を切断して形成される切断面であることが好ましい。この場合、例えば、塗布液が平面上で広がって形成される面と比較して、上記角度が得られやすい。
θ1=arctan(AC/AB)
支持基材12は、基板16を支持して補強する部材であり、例えば、ガラス板である。
支持基材12は、ガラス製であることから、表面にヒドロキシ基を有する。
ガラスの種類は特に制限されないが、無アルカリホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、高シリカガラス、その他の酸化ケイ素を主な成分とする酸化物系ガラスが好ましい。酸化物系ガラスとしては、酸化物換算による酸化ケイ素の含有量が40~90質量%のガラスが好ましい。
ガラス板として、より具体的には、無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(AGC株式会社製商品名「AN100」)が挙げられる。
ガラス板の製造方法は特に制限されず、通常、ガラス原料を溶融し、溶融ガラスを板状に成形して得られる。このような成形方法は、一般的なものであってよく、例えば、フロート法、フュージョン法、スロットダウンドロー法等が挙げられる。
支持基材12は、フレキシブルでないことが好ましい。そのため、支持基材12の厚さは、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましい。
一方、支持基材12の厚さは、1.0mm以下が好ましい。
基板16は、ポリイミド樹脂基板である。
ポリイミド樹脂基板は、ポリイミド樹脂からなる基板であり、例えば、ポリイミドフィルムが用いられ、その市販品としては、東洋紡株式会社製の「ゼノマックス」、宇部興産株式会社製の「ユーピレックス25S」などが挙げられる。
ポリイミド樹脂基板上に電子デバイスの高精細な配線等を形成するために、ポリイミド樹脂基板の表面は平滑であることが好ましい。具体的には、ポリイミド樹脂基板の表面粗度Raは、50nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましく、10nm以下がさらに好ましい。
ポリイミド樹脂基板の厚さは、製造工程でのハンドリング性の観点から、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましい。柔軟性の観点からは、1mm以下が好ましく、0.2mm以下がより好ましい。
ポリイミド樹脂基板の熱膨張係数は、電子デバイスや支持基材との熱膨張係数差が小さい方が加熱後または冷却後の積層体の反りを抑制できるため好ましい。具体的には、ポリイミド樹脂基板と支持基材との熱膨張係数の差は、0~90×10-6/℃が好ましく、0~30×10-6/℃がより好ましい。
基板16の形状も特に制限されず、矩形状であっても、円形状であってもよい。基板16には、オリエンテーションフラット(いわゆるオリフラ。基板の外周に形成された平坦部分)や、ノッチ(基板の外周縁に形成された一つまたはそれ以上のV型の切欠き)が形成されていてもよい。
基板16において、傾斜面16dと第1主面16aとのなす角度についても、上述したとおりである。
シリコーン樹脂層14は、主に、シリコーン樹脂からなる。シリコーン樹脂の構造は特に制限されない。シリコーン樹脂は、通常、硬化処理によってシリコーン樹脂となり得る硬化性シリコーンを硬化(架橋硬化)して得られる。
硬化性シリコーンは、その硬化機構により縮合反応型シリコーン、付加反応型シリコーン、紫外線硬化型シリコーンおよび電子線硬化型シリコーンに分類されるが、いずれも使用することができる。硬化性シリコーンの重量平均分子量(Mw)は、5,000~60,000が好ましく、5,000~30,000がより好ましい。
硬化性組成物は、硬化性シリコーンのほかに、溶媒、白金触媒(硬化性シリコーンとして付加反応型シリコーンを用いる場合)、レベリング剤、金属化合物などを含んでいてもよい。金属化合物に含まれる金属元素としては、3d遷移金属、4d遷移金属、ランタノイド系金属、ビスマス(Bi)、アルミニウム(Al)、および、スズ(Sn)などが挙げられる。金属化合物の含有量は、特に制限されず、適宜調整される。
第1の実施形態の積層体10を製造する方法は、支持基材12の表面上に、基板16を積層させる方法が好ましい。
このとき、例えば、支持基材12上に基板16を積層させてから、支持基材12上の基板16の端部を斜めに切断(刃を傾けて切断)することにより、基板16の傾斜面16dを形成する(態様A)。態様Aの場合、支持基材12に固定された状態で基板16を切断するため、良好な寸法精度を得やすい。
また、あらかじめ基板16に傾斜面16dを形成しておき、傾斜面16dが形成された基板16を、支持基材12の表面上に積層させてもよい(態様B)。態様Bの場合、切断した基板16の端材(捨て材)を処理する工程を途中に設ける必要がないため、時間的な制約を受けにくい。
なお、態様Aであっても態様Bであっても、支持基材12に基板16を積層させる前に、支持基材12の表面上に公知のシランカップリング剤を塗布し、その後、シランカップリング剤が塗布された支持基材12の表面上に基板16を積層できる。
第2の実施形態の積層体10を製造する方法は、基板16の第1主面16aにシリコーン樹脂層14を形成する方法が好ましい。
具体的には、硬化性シリコーンを含む硬化性組成物を基板16の第1主面16aに塗布し、得られた塗膜に対して硬化処理を施してシリコーン樹脂層14を得た後、シリコーン樹脂層14の表面に支持基材12を積層して、積層体10を製造する方法が好ましい。
以下、上記各工程の手順について詳述する。
樹脂層形成工程は、硬化性シリコーンの層を基板16の第1主面16aに形成し、基板16の第1主面16aにシリコーン樹脂層14を形成する工程である。本工程によって、基板16とシリコーン樹脂層14とをこの順で備えるシリコーン樹脂層付き基板が得られる。
シリコーン樹脂層付き基板は、ロール状に巻いた基板16の第1主面16aにシリコーン樹脂層14を形成してから再びロール状に巻き取る、いわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll)方式での製造が可能であり、生産効率に優れる。
本工程において、基板16の第1主面16aに硬化性シリコーンの層を形成するためには、上述した硬化性組成物を、基板16の第1主面16aに塗布する。次いで、硬化性シリコーンの層に対して硬化処理を施すことにより硬化層を形成することが好ましい。
基板16の第1主面16aに硬化性組成物を塗布する方法は特に制限されず、公知の方法が挙げられる。例えば、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スクリーン印刷法、グラビアコート法が挙げられる。
次いで、基板16の第1主面16aにおける硬化性シリコーンを硬化させて、硬化層(シリコーン樹脂層14)を形成する。
硬化の方法は特に制限されず、使用される硬化性シリコーンの種類によって適宜最適な処理が実施される。例えば、縮合反応型シリコーンおよび付加反応型シリコーンを用いる場合は、硬化処理としては熱硬化処理が好ましい。
熱硬化処理の条件は、基板16の耐熱性の範囲内で実施され、例えば、熱硬化させる温度条件は、50~400℃が好ましく、100~300℃がより好ましい。加熱時間は、通常、10~300分が好ましく、20~120分がより好ましい。
形成されるシリコーン樹脂層14の態様は、上述した通りである。
積層工程は、シリコーン樹脂層14の表面に支持基材12を積層することにより積層体10を得る工程である。積層工程は、シリコーン樹脂層付き基板と、支持基材12とを用いて積層体10を形成する工程である。
支持基材12をシリコーン樹脂層14の表面上に積層する方法は特に制限されず、公知の方法が挙げられる。
例えば、常圧環境下でシリコーン樹脂層14の表面上に支持基材12を重ねる方法が挙げられる。必要に応じて、シリコーン樹脂層14の表面上に支持基材12を重ねた後、ロールやプレスを用いてシリコーン樹脂層14に支持基材12を圧着させてもよい。ロールまたはプレスによる圧着により、シリコーン樹脂層14と支持基材12との間に混入している気泡が比較的容易に除去されるので好ましい。
真空ラミネート法や真空プレス法により圧着すると、気泡の混入が抑制され、かつ、量良好な密着が実現でき、好ましい。真空下で圧着することにより、微小な気泡が残存した場合でも、加熱処理により気泡が成長しにくいという利点もある。
支持基材12を積層する際には、シリコーン樹脂層14に接触する支持基材12の表面を十分に洗浄し、クリーン度の高い環境で積層することが好ましい。
第2の実施形態の積層体10を製造する際には、例えば、シリコーン樹脂層14が形成された基板16と、支持基材12とを積層させてから、支持基材12上の基板16およびシリコーン樹脂層14の端部を斜めに切断(刃を傾けて切断)することにより、基板16の傾斜面16dおよびシリコーン樹脂層14の傾斜面14dを形成する。この場合、支持基材12に固定された状態で基板16およびシリコーン樹脂層14を切断するため、良好な寸法精度を得やすい。
また、あらかじめ、シリコーン樹脂層14が形成された基板16について、基板16の傾斜面16dおよびシリコーン樹脂層14の傾斜面14dを形成しておき、これを、支持基材12に積層させてもよい。この場合、切断した基板16およびシリコーン樹脂層14の端材(捨て材)を処理する工程を途中に設ける必要がないため、時間的な制約を受けにくい。
積層体10は、種々の用途に使用でき、例えば、後述する表示装置用パネル、PV、薄膜2次電池、表面に回路が形成された半導体ウエハ、受信センサーパネル等の電子部品を製造する用途が挙げられる。これらの用途では、積層体が大気雰囲気下にて、高温条件(例えば、450℃以上)で曝される(例えば、20分以上)場合もある。
表示装置用パネルは、LCD、OLED、電子ペーパー、プラズマディスプレイパネル、フィールドエミッションパネル、量子ドットLEDパネル、マイクロLEDディスプレイパネル、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)シャッターパネル等を含む。
受信センサーパネルは、電磁波受信センサーパネル、X線受光センサーパネル、紫外線受光センサーパネル、可視光線受光センサーパネル、赤外線受光センサーパネル等を含む。受信センサーパネルに用いる基板は、樹脂などの補強シートなどによって補強されていてもよい。
積層体10を用いて、基板16および電子デバイス用部材20を含む電子デバイスが製造される。
電子デバイスの製造方法は、例えば、積層体10の基板16の第2主面16bの上に電子デバイス用部材20を形成し、電子デバイス用部材付き積層体を得る部材形成工程と、電子デバイス用部材付き積層体から、基板16および電子デバイス用部材20を有する電子デバイスを得る分離工程と、を備える方法である。
以下、電子デバイス用部材20を形成する工程を「部材形成工程」、部材付き基板24とシリコーン樹脂層付き支持基材18とに分離する工程を「分離工程」という。
部材形成工程は、積層体10の基板16上に電子デバイス用部材を形成する工程である。より具体的には、図6に示すように、基板16の第2主面16b(露出表面)上に電子デバイス用部材20を形成し、電子デバイス用部材付き積層体22を得る。
まず、本工程で使用される電子デバイス用部材20について詳述し、その後工程の手順について詳述する。
電子デバイス用部材20は、積層体10中の基板16上に形成され電子デバイスの少なくとも一部を構成する部材である。より具体的には、電子デバイス用部材20としては、表示装置用パネル、太陽電池、薄膜2次電池、または、表面に回路が形成された半導体ウエハ等の電子部品、受信センサーパネル等に用いられる部材(例えば、LTPSなどの表示装置用部材、太陽電池用部材、薄膜2次電池用部材、電子部品用回路、受信センサー用部材)が挙げられ、例えば、米国特許出願公開第2018/0178492号明細書の段落[0192]に記載された太陽電池用部材、同段落[0193]に記載された薄膜2次電池用部材、同段落[0194]に記載された電子部品用回路が挙げられる。
上述した電子デバイス用部材付き積層体22の製造方法は特に制限されず、電子デバイス用部材の構成部材の種類に応じて従来公知の方法にて、積層体10の基板16の第2主面16b上に、電子デバイス用部材20を形成する。
電子デバイス用部材20は、基板16の第2主面16bに最終的に形成される部材の全部(以下、「全部材」という)ではなく、全部材の一部(以下、「部分部材」という)であってもよい。シリコーン樹脂層14から剥離された部分部材付き基板を、その後の工程で全部材付き基板(後述する電子デバイスに相当)とすることもできる。
シリコーン樹脂層14から剥離された、全部材付き基板には、その剥離面(第1主面16a)に他の電子デバイス用部材が形成されてもよい。さらに、全部材付き積層体を2枚用いて組み立て、その後、全部材付き積層体から2枚のシリコーン樹脂層付き支持基材18を剥離して、2枚の部材付き基板24を製造することもできる。
分離工程は、図7に示すように、上記部材形成工程で得られた電子デバイス用部材付き積層体22から、シリコーン樹脂層14と基板16との界面を剥離面として、電子デバイス用部材20が積層した基板16(部材付き基板24)と、シリコーン樹脂層付き支持基材18とに分離して、電子デバイス用部材20および基板16を含む部材付き基板24(電子デバイス)を得る工程である。
好ましくは、電子デバイス用部材付き積層体22を、支持基材12が上側、電子デバイス用部材20側が下側となるように定盤上に設置し、電子デバイス用部材20側を定盤上に真空吸着し、この状態でまず刃物状のものを基板16とシリコーン樹脂層14との界面に侵入させる。その後、支持基材12側を複数の真空吸着パッドで吸着し、刃物状のものを差し込んだ箇所付近から順に真空吸着パッドを上昇させる。そうすると、シリコーン樹脂層付き支持基材18を容易に剥離できる。
上述した電子デバイス(部材付き基板24)の製造方法は、例えば、米国特許出願公開第2018/0178492号明細書の段落[0210]に記載された表示装置の製造に好適であり、部材付き基板24としては、例えば、同段落[0211]に記載されたものが挙げられる。
また、以下では、基板(ポリイミド樹脂基板)として、ポリイミドフィルム(東洋紡株式会社製商品名「ゼノマックス」)を使用した。
以下、例1~例2は実施例であり、例3は比較例である。
(硬化性シリコーン1の調製)
オルガノハイドロジェンシロキサンとアルケニル基含有シロキサンとを混合することにより、硬化性シリコーン1を得た。硬化性シリコーン1の組成は、M単位、D単位、T単位のモル比が9:59:32、有機基のメチル基とフェニル基とのモル比が44:56、全アルケニル基と全ケイ素原子に結合した水素原子とのモル比(水素原子/アルケニル基)が0.7、平均OX基数が0.1であった。平均OX基数は、Si原子1個に平均で何個のOX基(Xは水素原子または炭化水素基)が結合しているかを表した数値である。
なお、M単位は、(R)3SiO1/2で表される1官能オルガノシロキシ単位を意味する。D単位は、(R)2SiO2/2(Rは、水素原子または有機基を表す)で表される2官能オルガノシロキシ単位を意味する。T単位は、RSiO3/2(Rは、水素原子または有機基を表す)で表される3官能オルガノシロキシ単位を意味する。M単位、D単位およびT単位の数(モル量)の割合は、29Si-NMRによるピーク面積比の値から計算した。
硬化性シリコーン1に、Platinum(0)-1,3-divinyl-1,1,3,3-tetramethyldisiloxane(CAS No. 68478-92-2)を白金元素の含有量が60ppmとなるように加えて、混合物Aを得た。混合物A(200g)と、2-エチルヘキサン酸ビスマス(「プキャット25」、日本化学産業株式会社製、金属含有率25%)(0.08g)と、溶媒としてジエチレングリコールジエチルエーテル(「ハイソルブEDE」、東邦化学工業株式会社製)(84.7g)とを混合し、得られた混合液を、孔径0.45μmのフィルタを用いてろ過することにより、硬化性組成物1を得た。
調製した硬化性組成物1を、ポリイミド樹脂基板としての厚さ0.038mmのポリイミドフィルム(東洋紡株式会社製商品名「ゼノマックス」)に塗布し、ホットプレートを用いて140℃で10分間加熱することにより、シリコーン樹脂層を形成した。シリコーン樹脂層の厚さは、10μmであった。
続いて、水系ガラス洗浄剤(株式会社パーカーコーポレーション製「PK―LGC213」)で洗浄後、純水で洗浄した200×200mm、厚さ0.5mmのガラス板「AN100」(支持基材)をシリコーン樹脂層上に置き、貼合装置を用いて貼り合わせ、積層体を作製した。
なお、顕微赤外分光分析により硬化後のシリコーン樹脂層にヒドロキシ基(OH基)が存在することを確認した。
作製した積層体において、支持基材(ガラス板)上のポリイミド樹脂基板およびシリコーン樹脂層の端部を、刃物を傾けて斜めに切断することにより、傾斜面を形成した。ポリイミド樹脂基板の傾斜面と、シリコーン樹脂層の傾斜面とを、互いに連続した連続面とした。ポリイミド樹脂基板における傾斜面と第1主面とのなす角度θ1、および、シリコーン樹脂層における傾斜面と第1主面とのなす角度θ2を、ともに10°とした。
ポリイミド樹脂基板における傾斜面と第1主面とのなす角度θ1、および、シリコーン樹脂層における傾斜面と第1主面とのなす角度θ2をともに60°とした。これ以外は、例1と同様にして、積層体を作製した。
ポリイミド樹脂基板における傾斜面と第1主面とのなす角度θ1、および、シリコーン樹脂層における傾斜面と第1主面とのなす角度θ2をともに90°とした。これ以外は、例1と同様にして、積層体を作製した。
作製した積層体を用いて、以下の評価を行なった。評価結果を下記表1に示す。
作製した積層体において、ポリイミド樹脂基板の第2主面上に形成される電子デバイス用部材の導通チェックを模擬した試験を行なった。
具体的には、ポリイミド樹脂基板の第2主面、ポリイミド樹脂基板の傾斜面(例3では傾斜面ではない垂直面である端面)、および、支持基材(ガラス板)の表面に連続して沿う線状の配線(金属種:Al/Nd合金、線幅:100μm、厚さ:50nm)を、積層体ごとに100本ずつ形成した。
各配線について、市販のテスタを用いて導通チェックを行なった。全ての配線で導通が確認された場合には「A」を、配線が1本でも導通しなかった場合には「B」を、下記表1に記載した。
「A」であれば、実際に、ポリイミド樹脂基板の第2主面上に電子デバイス用部材を形成し、この電子デバイス用部材から延びる配線をスパッタ等により形成して導通チェックを行なう場合にも、精度良く行なうことができると評価できる。
作製した積層体において、ポリイミド樹脂基板と支持基材(ガラス板)との間に、厚さ0.1mmのステンレス製の刃物を差し込む作業を10回行なった。なお、刃物を差し込む位置は、各回で異ならせた。
全ての作業回で刃物がポリイミド樹脂基板と支持基材との間に入り込んだ場合には「A」を、1回でも刃物がポリイミド樹脂基板と支持基材との間に入り込まなかった場合には「B」を下記表1に記載した。
「A」であれば、支持基材からポリイミド樹脂基板を分離(剥離)する際に、支持基材とポリイミド樹脂基板との間に刃物を差し込みやすく、剥離性に優れると評価できる。
上記表1に示すように、例1~例2では、導通チェックの精度は良好であったが、例3では、導通チェックの精度は不十分であった。
12 支持基材
14 シリコーン樹脂層
14a シリコーン樹脂層の第1主面
14b シリコーン樹脂層の第2主面
14d シリコーン樹脂層の傾斜面
16 基板(ポリイミド樹脂基板)
16a 基板の第1主面
16b 基板の第2主面
16c 基板の端面
16d 基板の傾斜面
18 シリコーン樹脂層付き支持基材
20 電子デバイス用部材
22 電子デバイス用部材付き積層体
24 部材付き基板(電子デバイス)
40 配線
Claims (5)
- ガラス製の支持基材と、前記支持基材の上に配置されるシリコーン樹脂層と、前記シリコーン樹脂層上に配置されるポリイミド樹脂基板と、を備え、
前記シリコーン樹脂層は、前記支持基材側の第1主面と、前記ポリイミド樹脂基板側の第2主面と、前記第1主面と前記第2主面とに接続する端面とを有し、
前記ポリイミド樹脂基板は、前記シリコーン樹脂層側の第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、前記第1主面と前記第2主面とに接続する端面とを有し、
前記シリコーン樹脂層の前記端面と前記ポリイミド樹脂基板の前記端面は同一平面を形成し、
前記同一平面を形成する前記シリコーン樹脂層の前記端面と前記ポリイミド樹脂基板の前記端面は、前記ポリイミド樹脂基板の前記第2主面から前記シリコーン樹脂層の前記第1主面に向かうに従い突出する傾斜面である、積層体。 - 前記傾斜面と、前記シリコーン樹脂層の前記第1主面とのなす角度が、10°以上である、請求項1に記載の積層体。
- 前記支持基材の厚さが、0.3mm以上である、請求項1または2に記載の積層体。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体の前記ポリイミド樹脂基板の前記第2主面の上に電子デバイス用部材を形成する工程と、
前記電子デバイス用部材から外部に延びる配線をスパッタまたは蒸着により形成する工程と、
前記配線をテスタに接続し、前記電子デバイス用部材の導通チェックを行なう工程と、
を備え、
前記配線は、前記電子デバイス用部材から延びて、前記ポリイミド樹脂基板の前記第2主面、前記ポリイミド樹脂基板の前記傾斜面、前記シリコーン樹脂層の前記傾斜面、および、前記支持基材の表面に沿って形成される、導通チェック方法。 - 請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体の前記ポリイミド樹脂基板の前記第2主面の上に電子デバイス用部材を形成し、電子デバイス用部材付き積層体を得る部材形成工程と、
前記電子デバイス用部材付き積層体から、前記ポリイミド樹脂基板および前記電子デバイス用部材を有する電子デバイスを得る分離工程と、を備える電子デバイスの製造方法。
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