JP7062057B2 - 切削インサート、切削工具及び切削加工物の製造方法 - Google Patents

切削インサート、切削工具及び切削加工物の製造方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2018年6月1日に出願された日本国特許出願2018-106134号の優先権を主張するものであり、この先の出願の開示全体を、ここに参照のために取り込む。
本態様は、一般的には、切削加工において用いられる切削インサートに関する。具体的には、転削加工において用いられる切削インサートに関する。
金属などの被削材を切削加工する際に用いられる切削インサートとして、例えば国際公開第2004/050283(特許文献1)に記載の切削インサートが知られている。特許文献1に記載の切削インサートは、2つの端面と、周囲側面と、切削刃とを備える。2つの端面は、長方形状であって互いに対向する。周囲側面は、これらの端面の間に延在する。切削刃は、各端面及び周囲側面の交差部分に形成される。また、端面における切削刃に沿った領域には、ランド面が位置する。
本開示における限定されない一面の切削インサートは、第1面、第2面、第3面及び切刃を備える。第1面は、第1辺、第2辺及び第1角を有する。第1角は、第1辺及び第2辺の間に位置する。第2面は、第1面の反対側に位置する。第3面は、第1面及び第2面の間に位置する。切刃は、第1面及び第3面が交わる稜線の少なくとも一部に位置する。
第1面の中心及び第2面の中心を通る仮想直線が中心軸である。第1面及び第2面の間に位置して中心軸に対して直交する仮想平面が基準面である。第1面は、ランド面及び傾斜面をさらに有する。ランド面は、第1辺、第2辺及び第1角に沿って位置する。傾斜面は、ランド面に沿って位置し、且つ、ランド面から離れるにしたがって基準面に近づく。ランド面は、第1ランド面、第2ランド面及びコーナランド面を有する。第1ランド面は、第1辺に沿って位置する。第2ランド面は、第2辺に沿って位置する。コーナランド面は、第1角に沿って位置する。
基準面に対する第1ランド面の傾斜角が第1ランド角、基準面に対する第2ランド面の傾斜角が第2ランド角、基準面に対するコーナランド面の傾斜角がコーナランド角である。第1ランド面は、第1角から離れるにしたがって第1ランド角が大きくなる部分を有し、且つ、コーナランド面は、第1辺から離れるにしたがってコーナランド角が大きくなる部分を有する。
本開示における限定されない一面の切削インサートを示す斜視図である。 図1に示す切削インサートにおける第1面の平面図である。 図2に示す切削インサートをB1方向から見た側面図である。 図2に示す切削インサートをB2方向から見た側面図である。 図1に示す領域A1の拡大図である。 図2に示す領域A2の拡大図である。 図2に示す切削インサートと同じ平面図である。 図7に示す切削インサートにおけるVIII断面の断面図である。 図7に示す切削インサートにおけるIX断面の断面図である。 図7に示す切削インサートにおけるX断面の断面図である。 図7に示す切削インサートにおけるXI断面の断面図である。 図7に示す切削インサートにおけるXII断面の断面図である。 図7に示す切削インサートにおけるXIII断面の断面図である。 図7に示す切削インサートにおけるXIV断面の断面図である。 図7に示す切削インサートにおけるXV断面の断面図である。 図7に示す切削インサートにおけるXVI断面の断面図である。 本開示における限定されない一面の切削工具を示す斜視図である。 図17に示す領域A3の拡大図である。 本開示における限定されない一面の切削加工物の製造方法における一工程を示す概略図である。 本開示における限定されない一面の切削加工物の製造方法における一工程を示す概略図である。 本開示における限定されない一面の切削加工物の製造方法における一工程を示す概略図である。
一般的に、ランド面の傾斜角が小さい場合には切刃の強度が高く、ランド面の傾斜角が大きい場合には切削性が良好である。また、被削加工物を製造するための被削材の切削加工時に、ランド面に直交する方向に主分力が加わる。そのため、ランド面の傾斜角が大きい場合には、切削インサートを外方へ押し出すような負荷が加わり易い。その結果、切削インサートの位置がずれることに起因する加工精度の低下が生じるおそれがある。
以下、複数の実施形態の切削インサート1について、それぞれ図面を用いて詳細に説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、各実施形態を説明する上で必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。したがって、以下に開示する切削インサート1は、参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
<インサート>
本開示における限定されない一面の切削インサート1(以下、単にインサート1とも言う。)は、例えば図1に示すように、第1面3、第2面5、第3面7及び切刃9を有してもよい。第1面3は、図2に示すように、複数の角及び辺を有する多角形状であってもよい。図2に示す一例のように、第1面3が概ね長方形であってもよい。第2面5は、第1面3の反対側に位置してもよく、第1面3と同様に複数の角及び辺を有する多角形状であってもよい。第2面5は、第1面3と同様に概ね長方形であってもよい。図1に示すように、インサート1は四角板形状であってもよい。
なお、多角形状とは、厳密に多角形の形状であることを意味しない。例えば、第1面3における4つの辺は、それぞれ厳密な直線ではなく、第1面3の平面視において僅かに湾曲してもよい。また、第1面3における4つの角は、それぞれ厳密な角でなくてもよい。
図2に示すように、第1面3は、長方形であってもよく、4つの角及び4つの辺を有してもよい。第1面3が有する複数の辺の一つを第1辺11としてもよい。図2に示すように、第1面3における長辺の一つが第1辺11であってもよい。また、図2に示すように、第1面3における短辺の一つが第2辺13であってもよい。
第1面3における第1辺11及び第2辺13の間に位置する角が第1角15であってもよい。ここで、第1辺11及び第2辺13は、それぞれ第1角15から延びている、と言い換えてもよい。図2に示す一例においては第1面3が長方形であることから、第1面3を平面視した場合において、第1辺11の延長線及び第2辺13の延長線がなす角度は、概ね90°であってもよい。
第1面3の中心及び第2面5の中心を通る仮想直線が中心軸O1であってもよい。また、第1面3及び第2面5の間に位置して、中心軸O1に対して直交する仮想平面が基準面S1であってもよい。図1に示すように、第1面3における対角線の交点が第1面3の中心であってもよい。なお、対角線の起点となるのは、長方形状を構成する各辺の延長線の交わった部分であってもよい。
同様に、第2面5における対角線の交点が第2面5の中心であってもよい。なお、第1面3が長方形ではない場合において、第1面3の中心は、例えば、第1面3の平面視における第1面3の重心位置によって特定されてもよい。
第1面3における4つの角及び4つの辺は、第1面3を平面視した場合において、中心軸O1を中心に180°の回転対称であってもよい。また、第2面5は、平面視した場合において中心軸O1を中心に180°の回転対称であってもよい。
第1面3及び第2面5の形状は、上記の形状に限定されない。図1に示すように、第1面3の形状が略四角形であってもよい。第1面3及び第2面5が、例えば、それぞれ三角形、五角形、六角形又は八角形であってもよい。
本開示における限定されない一面における第3面7は、第1面3及び第2面5の間に位置してもよい。以下、第3面7を側面7とする。図3及び図4に示すように、側面7は、第1面3及び第2面5に接続されてもよい。また、図3及び図4に示すように、側面7は、第1側面17、第2側面19及び第1コーナ側面21を有してもよい。第1側面17は、第1辺11に沿って位置してもよい。第2側面19は、第2辺13に沿って位置してもよい。第1コーナ側面21は、第1角15に沿って位置してもよい。
第1面3を平面視した場合における最大幅は、例えば6~25mmであってもよい。また、第1面3から第2面5までの高さは、例えば5~20mmであってもよい。第1面3から第2面5までの高さとは、第1面3及び第2面5の間における中心軸O1に平行な方向での間隔の最大値を意味しており、中心軸O1に沿った方向での側面7の幅と言い換えてもよい。
本開示における限定されない一面のインサート1は、第1面3及び側面7が交わる稜線の少なくとも一部に位置する切刃9を備えてもよい。切刃9は、インサート1を用いて切削加工物を製造する際に、被削材を切削するために用いることが可能である。切刃9は、上記の稜線の全体に位置してもよく、また、上記の稜線の一部のみに位置してもよい。また、インサート1は、第2面5及び側面7が交わる稜線の少なくとも一部に位置する別の切刃をさらに備えてもよい。
切刃9が稜線の少なくとも一部に位置する場合には、第1面3及び側面7の一方がすくい面領域を有してもよい。また、切刃9が稜線の少なくとも一部に位置する場合には、第1面3及び側面7のもう一方が逃げ面領域を有してもよい。図1に示すように、第1面3がすくい面領域を有し、且つ、側面7が逃げ面領域を有してもよい。
図5及び図6に示すように、切刃9は、第1刃23、第2刃25及びコーナ刃27を有してもよい。第1刃23は、第1辺11に位置してもよい。第2刃25は、第2辺13に位置してもよい。コーナ切刃27は、第1角15に位置してもよい。コーナ刃27は、第1角15の全体に位置してもよく、また、第1角15の一部のみに位置してもよい。図5及び図6に示すように、第1角15の全体にコーナ刃27が位置してもよい。
第1刃23は、第1辺11の全体に位置してもよく、また、第1辺11の一部のみに位置してもよい。図1に示すように、第1刃23は、第1辺11における第1角15の側の端部から第1角15から離れた側の端部に向かって延びてもよい。第2刃25は、第2辺13の全体に位置してもよく、また、第2辺13の一部のみに位置してもよい。図1に示すように、第2刃25は、第2辺13における第1角15の側の端部から第1角15から離れた側の端部に向かって延びてもよい。
例えば、本開示における限定されない一面のインサート1を用いて被削材を切削加工する際において、第2刃25を被削材の加工面(仕上げ面)に沿って位置する底刃として用いることが可能である。また、第1刃23を外周刃として用いることが可能である。上記のように、第2刃25を底刃、第1刃23を外周刃として用いる場合においては、第1刃23が主として切削加工に寄与する。そのため、第1刃23は主切刃として呼ばれる場合がある。
第1面3は、図5及び図6に示すように、ランド面29及び傾斜面31を有してもよい。ランド面29は、第1辺11、第2辺13及び第1角15に沿って位置してもよい。ランド面29は、第1刃23、第2刃25及びコーナ刃27に沿って位置すると言い換えてもよい。第1面3がランド面29を有する場合には、切刃9の耐久性が高い。
傾斜面31は、ランド面29に沿って位置してもよい。傾斜面31は、ランド面29よりも第1面3の内側に位置してもよい。傾斜面31は、ランド面29から離れるにしたがって基準面S1に近づいてもよい。第1面3における傾斜面31が、上記した、すくい面領域であってもよい。
すくい面として機能することが可能な傾斜面31を第1面3が有する場合には、切削加工時に切刃9で生じた切屑の進行方向をコントロールし易い。そのため、切屑排出性が高い。傾斜面31の傾斜角は、ランド面29の傾斜角より大きくてもよい。なお、ランド面29及び傾斜面31の傾斜角とは、基準面S1に対する角度を意味する。
ランド面29は、図5及び図6に示す一例のように、第1ランド面33、第2ランド面35及びコーナランド面37を有してもよい。第1ランド面33は、第1辺11に沿って位置してもよい。第2ランド面35は、第2辺13に沿って位置してもよい。コーナランド面37は、第1角15に沿って位置してもよい。ここで、図8~図10に示すように、基準面S1に対する第1ランド面33の傾斜角を第1ランド角ψ1とする。図11~図13に示すように、基準面S1に対する第2ランド面35の傾斜角を第2ランド角ψ2とする。図14~図16に示すように、基準面S1に対するコーナランド面37の傾斜角をコーナランド角ψ3とする。
ここで、第1ランド角ψ1及びコーナランド角ψ3は一定であってもよく、また、変化してもよい。例えば、第1ランド面33は、第1角15から離れるにしたがって第1ランド角ψ1が大きくなる部分を有してもよい。また、コーナランド面37は、第1辺11から離れるにしたがってコーナランド角ψ3が大きくなる部分を有してもよい。
被削材の切削加工時において、第1刃23及びコーナ刃27の境界近くには大きな切削負荷が加わり易い。第1ランド面33が、第1角15から離れるにしたがって第1ランド角ψ1が大きくなる部分を有する場合には、第1ランド面33における第1角15の近くに位置する部分での第1ランド角ψ1が相対的に小さくなり易い。
そのため、第1刃23及びコーナ刃27の境界近くに大きな切削負荷が加わった場合においても、インサート1を外方へ押し出す方向(図2における右方向)の力が掛かりにくい。従って、ホルダに対するインサート1の位置ずれが抑えられる。これにより、高い精度で切削加工を行うことが可能である。
また、第1ランド面33が、第1角15から離れるにしたがって第1ランド角ψ1が大きくなる部分を有する場合には、第1ランド面33における第1角15から離れて位置する部分での第1ランド角ψ1が相対的に大きくなり易い。そのため、少なくとも第1ランド面33における第1角15から離れて位置する部分での切削負荷が抑えられる。従って、インサート1全体に加わる切削負荷が小さく抑えられる。結果として、上記構成を満たすインサート1は、耐久性が高い。
また、コーナランド面37が、第1辺11から離れるにしたがってコーナランド角ψ3が大きくなる部分を有する場合には、コーナランド面37における第1辺11の近くに位置する部分でのコーナランド角ψ3が相対的に小さくなり易い。
そのため、第1刃23及びコーナ刃27の境界近くに大きな切削負荷が加わった場合においても、インサート1を外方へ押し出す方向(図2における右下方向)の力が掛かりにくい。従って、ホルダに対するインサート1の位置ずれが抑えられる。これにより、高い精度で切削加工を行うことが可能である。
また、コーナランド面37が、第1辺11から離れるにしたがってコーナランド角ψ3が大きくなる部分を有する場合には、コーナランド面37における第1辺11から離れて位置する部分でのコーナランド角ψ3が相対的に大きくなり易い。そのため、少なくともコーナランド面37における第1辺11から離れて位置する部分での切削負荷が抑えられる。従って、インサート1全体に加わる切削負荷が小さく抑えられる。結果として、上記構成を満たすインサート1は、耐久性が高い。
第1ランド角ψ1、第2ランド角ψ2及びコーナランド角ψ3は、特定の値に限定されない。第1ランド角ψ1の値は、例えば、0°~10°に設定できる。第2ランド角ψ2の値は、例えば、0°~5°に設定できる。コーナランド角ψ3の値は、例えば、0°~15°に設定できる。
図8~図10に示すように、第1ランド面33は、第1角15から離れるにしたがって第1ランド角ψ1が大きくなる部分を有してもよい。このとき、第1ランド角ψ1の最大値及び最小値の値の差δψ1は、例えば、5°以上であってもよい。δψ1が5°以上である場合には、上記したインサート1の位置ずれの抑制及びインサート1の高い耐久性の両方が良好に得られ易い。また、コーナランド角ψ3の最大値及び最小値の値の差δψ3は、例えば、5°以上であってもよい。δψ3が5°以上である場合には、上記したインサート1の位置ずれが抑制され、且つ、インサート1は、耐久性が高い。
また、第2ランド角ψ2の最大値が、第1ランド角ψ1の最大値より大きくてもよい。例えば、第2刃25が底刃として用いられる際に、第2ランド角ψ2の最大値が第1ランド角ψ1の最大値よりも大きい場合には、被削材の加工面の面精度が高い。
なお、第2刃25が底刃として用いられる場合には、第2刃25で生じる切屑が薄く、第1刃23及び第1コーナ刃27と比較して第2刃25に加わる負荷が小さい。そのため、第2ランド角ψ2の最大値が相対的に大きい場合であっても、インサート1の位置ずれが生じるおそれが小さい。
このとき、第2ランド角ψ2は、一定であってもよく、また、変化してもよい。例えば、第2ランド面35は、図11~図13に示すように、第1角15から離れるにしたがって第2ランド角ψ2が大きくなる部分を有してもよい。
被削材の切削加工時において、第1刃23及びコーナ刃27の境界近くには大きな切削負荷が加わり易い。第2ランド面35が、第1角15から離れるにしたがって第2ランド角ψ2が大きくなる部分を有する場合には、第2ランド面35における第1角15の近くに位置する部分での第2ランド角ψ2が相対的に小さくなり易い。
そのため、第1刃23及びコーナ刃27の境界近くに大きな切削負荷が加わった場合においても、インサート1を外方へ押し出す方向(図2における下方向)の力が掛かりにくい。従って、ホルダに対するインサート1の位置ずれが抑えられる。これにより、高い精度で切削加工を行うことが可能である。
また、第2ランド面35が、第1角15から離れるにしたがって第2ランド角ψ2が大きくなる部分を有する場合には、第2ランド面35における第1角15から離れて位置する部分での第2ランド角ψ2が相対的に大きくなり易い。そのため、少なくとも第2ランド面35における第1角15から離れて位置する部分での切削負荷が抑えられる。従って、インサート1全体に加わる切削負荷が小さく抑えられる。結果として、上記構成を満たすインサート1は、耐久性が高い。
図2に示す一例においては、上記した通り、第1面3における長辺の一つが第1辺11である。また、第1面3における短辺の一つが第2辺13である。すなわち、第1面3を平面視した場合に、第1面3が長方形状であって、第1辺11が長辺であるとともに第2辺13が短辺であってもよい。
第1面3が上記の構成である場合には、図8~図10に示す一例のインサート1が有する、第1ランド面33が、第1角15から離れるにしたがって第1ランド角ψ1が大きくなる部分を有する、という構成が特に有効である。
第1辺11が長辺である場合には、第2刃25及びコーナ刃27と比較して、第1刃23が長くなり易く、且つ、第1刃23に沿って位置する第1ランド面33における第1辺11に沿った方向の長さもまた長くなり易い。第1ランド面33における上記の長さが長い場合において、第1ランド角ψ1が一定であると、高い精度での切削加工と、インサート1の高い耐久性の両立が難しい。しかしながら、第1ランド面33が、第1角15から離れるにしたがって第1ランド角ψ1が大きくなる部分を有する場合、この構成を満たすインサート1は、切削加工における高い精度と、高い耐久性とを兼ね備える。
第1面3を平面視した場合における、第1ランド面33、第2ランド面35及びコーナランド面37の幅は、特定の値に限定されない。また、第1ランド面33、第2ランド面35及びコーナランド面37の幅は、一定であっても、変化してもよい。
例えば、第1面3を平面視した場合に、第2ランド面35が、コーナランド面37から離れるにしたがって幅が小さくなる部分を有してもよい。第2ランド面35が上記の構成である場合、この構成を満たすインサート1は、仕上げ面の面精度が高い。
なお、ここで第2ランド面35の幅とは、第1面3を平面視した場合に、第2辺13のうち、第2ランド面35における測定対象とする領域に沿った部分に直交する方向での第2ランド面35の長さを意味してもよい。第1ランド面33の幅及びコーナランド面37の幅についても、同様の手順で評価すればよい。
また、第2ランド面35における、第2辺13に沿った方向で等間隔となる5箇所において、それぞれ第2ランド面35の幅を測定し、これらの幅がコーナランド面37から離れるにしたがって小さくなる場合には、第2ランド面35の幅が、コーナランド面37から離れるにしたがって小さくなると見做してもよい。
図3に示す一例のように、第1辺11の少なくとも一部に位置する第1刃23は、第1角15から離れるにしたがって基準面S1に近づく部分を有してもよい。例えば、図8に示すように、第1刃23の、基準面S1からの高さをh11とする。図9に示すように、第1刃23の、基準面S1からの高さをh12とする。図10に示すように、第1刃23の、基準面S1からの高さをh13とする。図8~図10に示すように、h11>h12>h13であってもよい。
第1刃23が上記の構成を有する場合には、第1刃23に加わる切削負荷が小さい。そのため、第1刃23に加わる切削負荷に起因する、インサート1を外方へ押し出す方向(図2における右方向)の力が掛かりにくい。従って、ホルダに対するインサート1の位置ずれが抑えられる。
なお、第1刃23が第1角15から離れるにしたがって基準面S1に近づくとは、少なくとも第1刃23が第1角15から離れるにしたがって基準面S1から遠ざかってはいないことを意味してもよい。従って、第1刃23が部分的に基準面S1からの高さが一定である部位を有してもよい。
ただし、第1刃23が部分的に基準面S1からの高さが一定である部位を有する構成ではなく、第1刃23の全体が第1角15から離れるにしたがって基準面S1に近づく構成の場合には、インサート1を外方へ押し出す方向(図2における右方向)の力がさらに掛かりにくい。そのため、ホルダに対するインサート1の位置ずれがさらに抑えられる。
図4に示す一例のように、第2辺13の少なくとも一部に位置する第2刃25は、第1角15から離れるにしたがって基準面S1に近づく部分を有してもよい。図11に示すように、第2刃25の、基準面S1からの高さをh21とする。図12に示すように、第2刃25の、基準面S1からの高さをh22とする。図13に示すように、第2刃25の、基準面S1からの高さをh23とする。図11~図13に示すように、h21>h22>h23であってもよい。
第2刃25が上記の構成を有する場合には、第2刃25に加わる切削負荷が小さい。そのため、第2刃25に加わる切削負荷に起因する、インサート1を外方へ押し出す方向(図2における下方向)の力が掛かりにくい。従って、ホルダに対するインサート1の位置ずれが抑えられる。
なお、第2刃25が第1角15から離れるにしたがって基準面S1に近づくとは、少なくとも第2刃25が第1角15から離れるにしたがって基準面S1から遠ざかってはいないことを意味してもよい。従って、第2刃25が部分的に基準面S1からの高さが一定である部位を有してもよい。
第2刃25の全体が第1角15から離れるにしたがって基準面S1に近づく構成の場合には、インサート1を外方へ押し出す方向(図2における下方向)の力がさらに掛かりにくい。そのため、ホルダに対するインサート1の位置ずれがさらに抑えられる。
第1角15は、第1辺11及び第2辺13が交わることによって形成される厳密な意味での角である必要はない。例えば、第1角15は、第1面3の平面視において、外側に向かって凸となる凸曲線形状であってもよい。また、第1角15は、図6に示す一例のように、直線及び曲線を組み合わせた構成であってもよい。
第1角15は、一つの曲線部によって構成されてもよい。図6に示すように第1面3を平面視した場合に、第1角15が、第1曲線部39、第2曲線部41及び接続部43によって構成されてもよい。第1曲線部39は、第1角15のうち第1辺11の側に位置し、外側に向かって凸となる凸曲線形状である。第2曲線部41は、第1角15のうち第2辺13の側に位置し、外側に向かって凸となる凸曲線形状である。また、接続部43は、第1曲線部39及び第2曲線部41に接続され、直線形状である。
第1角15が上記の接続部43を有する場合には、コーナ刃27に加わる切削負荷が低減されるためコーナ刃27の耐久性が高い。第1角15が上記の第1曲線部39を有する場合には、第1角15及び第1辺11の境界付近に切削負荷が集中しにくい。また、第1角15が上記の第2曲線部41を有する場合には、第1角15及び第2辺13の境界付近に切削負荷が集中しにくい。
第1面3を平面視した場合における第1曲線部39及び第2曲線部41の形状は、それぞれ凸曲線形状であれば特に限定されない。図6に示すように、第1曲線部39及び第2曲線部41が、それぞれ円弧形状であってもよい。
また、第1角15が円弧形状の第1曲線部39及び第2曲線部41を有する場合において、第1曲線部39及び第2曲線部41の曲率半径は、特定の値に限定されない。例えば、第1曲線部39の曲率半径が、第2曲線部41の曲率半径より大きくてもよい。
例えば、第1刃23が外周刃、第2刃25が底刃として用いられる場合においては、第1角15及び第2辺13の境界付近よりも第1角15及び第1辺11の境界付近に大きな切削負荷が加わり易い。
第1曲線部39の曲率半径が第2曲線部41の曲率半径より大きい場合には、第2曲線部41よりも第1曲線部39の耐久性が高い。そのため、第1角15及び第1辺11の境界付近に比較的大きな切削負荷が加わった場合においてもインサート1の耐久性が高い。このように、第1刃23を優れた外周刃、第2刃25を優れた底刃としてそれぞれ用いることも可能であるため、インサート1の汎用性が高い。
また、第2曲線部41の曲率半径が、第1曲線部39の曲率半径より小さい場合には、切削加工時に第2刃25に加わる切削負荷が小さい。そのため、加工面の面精度が向上する。
第1面3を平面視した際に、第1辺11を引き延ばした仮想線及び接続部43を引き延ばした仮想線のなす角度を第1仮想角度φ1とする。また、第2辺13を引き延ばした仮想線及び接続部43を引き延ばした仮想線のなす第2仮想角度φ2とする。
このとき、図6に示す一例のように、第1仮想角度φ1が第2仮想角度φ2より小さくてもよい。この場合には、第1角15に加わる切削負荷が小さい。そのため、インサート1を外方へ押し出す方向(図2における右下方向)の力が掛かりにくい。従って、ホルダに対するインサート1の位置ずれがさらに抑えられる。
図4に示す一例のように、接続部43は、第1曲線部39の側から第2曲線部41の側に向かうにしたがって基準面S1から遠ざかってもよい。図4に示すように、接続部43は、第1曲線部39の側から第2曲線部41の側に向かうにしたがって上方に向かうように傾斜してもよい。
接続部43が上記の構成である場合には、接続部43に対して図2における左方向に向かって切削負荷が加わり易い。これにより、上記したインサート1を外方へ押し出す方向(図2における右方向)の力と相殺されることから、ホルダに対するインサート1の位置ずれがさらに抑えられる。
ここで、側面視した場合に、第1曲線部39は、基準面S1に対して近づく方向に凹の曲線形状であってもよい。第1曲線部39が上記の構成である場合には、接続部43及び第1辺11が滑らかに接続され易い。そのため、第1刃23及びコーナ刃27の境界近くに大きな切削負荷が加わりにくい。
また、側面視した場合に、第2曲線部41は、基準面S1に対して遠ざかる方向に凸の曲線形状であってもよい。接続部43が上記のように傾斜している場合には、接続部43及び第2辺13の間に位置する第2曲線部41が上方に向かって突出してもよい。この場合には、切削加工時において、第2曲線部41が被削材に食いつく部分になり易く、第2曲線部41に大きな切削負荷が加わり易い。第2曲線部41が上記の構成である場合には、第2曲線部41の強度が高いため、インサート1の耐久性が高い。
傾斜面31は、図5及び図6に示す一例のように、第1傾斜面45、第2傾斜面47及びコーナ傾斜面49を有してもよい。第1傾斜面45は、第1辺11に沿って位置してもよい。第2傾斜面47は、第2辺13に沿って位置してもよい。コーナ傾斜面49は、第1角15に沿って位置してもよい。傾斜面31が、第1傾斜面45、第2傾斜面47及びコーナ傾斜面49を有する場合には、第1刃23、第2刃25及びコーナ刃27で生じた切屑の進行方向がコントロールされ易い。
第1傾斜面45、第2傾斜面47及びコーナ傾斜面49は、それぞれ1つの面領域によって構成されても、また、複数の面領域によって構成されてもよい。例えば図5及び図6に示すように、第1傾斜面45、第2傾斜面47及びコーナ傾斜面49が、それぞれ2つの面領域によって構成されてもよい。
図5及び図6に示すように、第1傾斜面45が、第1外側傾斜面45a及び第1内側傾斜面45bを有してもよい。第1外側傾斜面45aは、第1ランド面33に沿って位置してもよい。第1内側傾斜面45bは、第1外側傾斜面45aに沿って位置してもよい。図8~図10に示すように、第1内側傾斜面45bの傾斜角が、第1外側傾斜面45aの傾斜角より大きくてもよい。
第1外側傾斜面45aの傾斜角θ11が相対的に小さい場合には、第1刃23の強度が高い。また、第1内側傾斜面45bの傾斜角θ12が相対的に大きい場合には、第1傾斜面45における切屑の接触が少ない。図5及び図6に示す一例のように、第1外側傾斜面45a及び第1内側傾斜面45bの境界部分に稜線が存在してもよい。
図5及び図6に示す一例のように、第2傾斜面47が、第2外側傾斜面47a及び第2内側傾斜面47bを有してもよい。第2外側傾斜面47aは、第2ランド面35に沿って位置してもよい。第2内側傾斜面47bは、第2外側傾斜面47aに沿って位置してもよい。図11~図13に示すように、第2内側傾斜面47bの傾斜角が、第2外側傾斜面47aの傾斜角より大きくてもよい。
第2外側傾斜面47aの傾斜角θ21が相対的に小さい場合には、第2刃25の強度が高い。また、第2内側傾斜面47bの傾斜角θ22が相対的に大きい場合には、第2傾斜面47における切屑の接触が少ない。図5及び図6に示す一例のように、第2外側傾斜面47a及び第2内側傾斜面47bの境界部分に稜線が存在してもよい。
図5及び図6に示す一例のように、コーナ傾斜面49が、コーナ外側傾斜面49a及びコーナ内側傾斜面49bを有してもよい。コーナ外側傾斜面49aは、コーナランド面37に沿って位置してもよい。コーナ内側傾斜面49bは、コーナ外側傾斜面49aに沿って位置してもよい。図14~図16に示すように、コーナ内側傾斜面49bの傾斜角が、コーナ外側傾斜面49aの傾斜角より大きくてもよい。
コーナ外側傾斜面49aの傾斜角θ31が相対的に小さい場合には、コーナ刃27の強度が高い。また、コーナ内側傾斜面49bの傾斜角θ32が相対的に大きい場合には、コーナ傾斜面49における切屑の接触が少ない。図5及び図6に示す一例のように、コーナ外側傾斜面49a及びコーナ内側傾斜面49bの境界部分に稜線が存在してもよい。
第1外側傾斜面45a、第1内側傾斜面45b、第2外側傾斜面47a、第2内側傾斜面47b、コーナ外側傾斜面49a及びコーナ内側傾斜面49bは、それぞれ平面であっても曲面であってもよい。これらの傾斜面31が曲面であって特定の断面において曲線で示される場合には、基準面S1に対する角度の最大値を傾斜角としてもよい。例えば図14~図16に示す断面図には、凹曲線形状のコーナ外側傾斜面49aにおける基準面S1に対する角度の最大値が傾斜角θ31として示されている。
第1外側傾斜面45aの傾斜角θ11、第1内側傾斜面45bの傾斜角θ12、第2外側傾斜面47aの傾斜角θ21、第2内側傾斜面47bの傾斜角θ22、コーナ外側傾斜面49aの傾斜角θ31及びコーナ内側傾斜面49bの傾斜角θ32は、それぞれ特定の値に限定されない。
傾斜角θ11の値は、例えば、5°~35°に設定できる。傾斜角θ12の値は、例えば、15°~65°に設定できる。傾斜角θ21の値は、例えば、10°~40°に設定できる。傾斜角θ22の値は、例えば、15°~65°に設定できる。傾斜角θ31の値は、例えば、15°~45°に設定できる。傾斜角θ32の値は、例えば、15°~65°に設定できる。
図8及び図9に示す一例のように、第1外側傾斜面45aは、第1角15から離れるにしたがって傾斜角θ11が小さくなる部分を有してもよい。第1ランド面33が、第1角15から離れるにしたがって第1ランド角ψ1が大きくなる部分を有するとともに、第1外側傾斜面45aの傾斜角θ11が上記の状態である場合には、第1刃23の耐久性が低下しにくい。そのため、第1刃23に耐久性が求められる場合には、上記の構成が有効である。
また、図9及び図10に示す一例のように、第1外側傾斜面45aは、第1角15から離れるにしたがって傾斜角θ11が大きくなる部分を有してもよい。第1ランド面33が、第1角15から離れるにしたがって第1ランド角ψ1が大きくなる部分を有するとともに、第1外側傾斜面45aの傾斜角θ11が上記の状態である場合には、第1刃23の切れ味が高い。そのため、第1刃23に切削性が求められる場合には、上記の構成が有効である。
さらに、図8~図10に示す一例のように、第1外側傾斜面45aが、第1角15から離れるにしたがって傾斜角θ11が小さくなる部分と、第1角15から離れるにしたがって傾斜角θ11が大きくなる部分と、を有してもよい。図8~図10に示す一例においては、第1傾斜面45が上記した2つの部分を有し、第1刃23に沿った方向において第1外側傾斜面45aが凸形状である。そのため、第1刃23で生じた切屑の進行方向が安定する。
図8~図10に示す一例のように、第1内側傾斜面45bは、第1角15から離れるにしたがって傾斜角θ12が小さくなる部分を有してもよい。言い換えれば、第1内側傾斜面45bは、第1角15に近づくにしたがって傾斜角θ12が大きくなる部分を有してもよい。
第1内側傾斜面45bにおける第1角15に近い領域には、第1刃23で生じた切屑に加えてコーナ刃27及び第2刃25で生じた切屑が流れてくる場合がある。第1内側傾斜面45bが第1角15に近づくにしたがって傾斜角θ12が大きくなる部分を有する場合には、第1内側傾斜面45bにおける第1角15に近い領域において切屑が流れるスペースが確保され易い。そのため、切屑が詰まりにくい。
第2外側傾斜面47a及び第2内側傾斜面47bは、第1角15から離れるにしたがって傾斜角θ21、θ22が小さくなる部分を有してもよい。また、第2外側傾斜面47a及び第2内側傾斜面47bは、第1角15から離れるにしたがって傾斜角θ21、θ22が大きくなる部分を有してもよい。一方、図11~図13に示す一例のように、第2外側傾斜面47a及び第2内側傾斜面47bの傾斜角θ21、θ22がそれぞれ一定であってもよい。
例えば第2刃25が底刃として用いられる場合においては、第2刃25で生じる切屑は厚みが薄くなり易い。第2外側傾斜面47a及び第2内側傾斜面47bの傾斜角θ21、θ22がそれぞれ一定である場合には、第2刃25で生じた切屑の進行方向が安定し易い。このように、図11~図13に示す一例におけるインサート1は、第2刃25を優れた底刃として用いることも可能である。
なお、「第2外側傾斜面47a及び第2内側傾斜面47bの傾斜角θ21、θ22が一定である」とは、これらの傾斜角θ21、θ22が厳密に一定である必要はない。傾斜角θ21、θ22が2°~3°程度のバラつきを有していたとしても、第2外側傾斜面47a及び第2内側傾斜面47bの傾斜角θ21、θ22が一定であると評価して問題ない。
コーナ外側傾斜面49aは、図14~図16に示す一例のように、第1辺11に近づくにしたがって傾斜角θ31が小さくなる部分を有してもよい。上記した通り、第1角15及び第1辺11の境界付近に大きな切削負荷が加わり易い。コーナ外側傾斜面49aが、第1辺11に近づくにしたがって傾斜角θ31が小さくなる部分を有する場合には、コーナ外側傾斜面49aにおける大きな切削負荷が加わり易い部分に対応する領域でのコーナ刃27の肉厚が確保され易い。そのため、上記構成を満たすインサート1は、耐久性が高い。
同様の理由から、コーナ内側傾斜面49bは、第1辺11に近づくにしたがって傾斜角θ32が小さくなる部分を有してもよい。
インサート1は、図1に示す一例のように、側面7における互いに反対側に位置する領域においてそれぞれ開口する貫通孔51を有してもよい。貫通孔51の中心軸は、インサート1の中心軸O1に対して傾斜してもよく、また、中心軸O1に直交してもよい。
貫通孔51は、インサート1をホルダに固定する際に、例えばネジを挿入するために用いることが可能である。インサート1をホルダに固定する際には、ネジの代わりに例えばクランプ部材を用いてもよい。図1に示す一例における貫通孔51は、側面7における互いに反対側に位置する領域においてそれぞれ開口しているが、貫通孔51はこのような構成に限定されない。例えば、第1面3の中心から第2面5の中心に向かって形成されてもよい。
第1面3は、上記したランド面29及び傾斜面31以外の面領域を有してもよい。例えば、第1面3が貫通孔51の開口を囲むように位置する平らな面領域3aを有してもよい。また、第2面5が、第1面3が有する平らな面領域に対応する平らな面領域を有してもよい。第2面5が上記の面領域を有する場合には、インサート1をホルダに安定して固定できる。
このとき、第2面5における上記の面領域が中心軸O1に対して直交してもよい。この面領域が、中心軸O1に対して直交する場合には、インサート1をホルダにより安定して固定できる。
なお、上記の平らな面領域は、厳密な意味での平らな面である事には限られない。この面領域は、概ね平らであればよく、インサート1を全体的に見た場合においては分からない程度に、僅かに湾曲している、或いは、僅かな凹凸を有してもよい。具体的には、例えば、面領域が数十μm程度の僅かな凹凸を有してもよい。
インサート1の材質としては、例えば、超硬合金及びサーメットなどが挙げられる。超硬合金の組成としては、例えば、WC-Co、WC-TiC-Co及びWC-TiC-TaC-Coが挙げられる。ここで、WC、TiC及びTaCは硬質粒子であり、Coは結合相である。
また、サーメットは、セラミック成分に金属を複合させた焼結複合材料である。サーメットの一例として、炭化チタン(TiC)又は窒化チタン(TiN)を主成分としたチタン化合物が挙げられる。ただし、インサート1の材質が上記の組成に限定されないことは言うまでもない。
インサート1の表面は、化学蒸着(CVD)法又は物理蒸着(PVD)法を用いて被膜でコーティングされてもよい。被膜の組成としては、炭化チタン(TiC)、窒化チタン(TiN)、炭窒化チタン(TiCN)及びアルミナ(Al23)などが挙げられる。
<切削工具>
次に、本開示における限定されない一面の切削工具101について図17及び図18を用いて説明する。図17及び図18は、図1に示すインサート1がホルダ103のポケット105にネジ107によって取り付けられた状態を示す。なお、図17などにおいて、切削工具101の回転軸Y1を二点鎖線で示す。
本開示における限定されない一面の切削工具101は、転削加工に用いられる。切削工具101は、図17に示すように、ホルダ103及びインサート1を備える。ホルダ103は、回転軸Y1に沿って第1端から第2端にかけて延びた円柱形状であってもよい。また、ホルダ103は、第1端の側に位置するポケット105を有してもよい。インサート1は、上記のポケット105に位置してもよい。
ポケット105は、1つのみであってもよく、また、図17に示す一例のように複数であってもよい。ホルダ103が複数のポケット105を有する場合には、切削工具101が複数のインサート1を備え、各ポケット105にインサート1が1つずつ位置してもよい。
ポケット105は、ホルダ103の外周面及び第1端の側の端面に開口してもよい。ホルダ103が複数のポケット105を有する場合において、これらのポケット105は、回転軸Y1の周りにおいて等間隔で位置しても不等間隔で位置してもよい。ホルダ103は、ポケット105を有することなどから明らかであるように、厳密な円柱形状ではない。
インサート1は、切刃の少なくとも一部がホルダ103から突出するようにポケット105に装着されてもよい。具体的には、本開示における限定されない一面におけるインサート1は、第1切刃がホルダ103における外周面よりも外方に位置するとともに、第2切刃がホルダ103から被削材に向かって突出するようにホルダ103に装着されてもよい。
本開示における限定されない一面の切削工具101においては、インサート1の、第2面における平らな面領域、及び側面が少なくともホルダ103に当接してもよい。
インサート1は、ネジ107によって、ポケット105に装着されてもよい。すなわち、インサート1の貫通孔にネジ107を挿入し、このネジ107の先端をポケット105に形成されたネジ孔(不図示)に挿入して、ネジ107をネジ孔に固定させることによって、インサート1がホルダ103に装着されてもよい。なお、ホルダ103としては、鋼、鋳鉄などを用いることができる。特に、これらの材質の中で鋼を用いる場合には、ホルダ103の靱性が高い。
<切削加工物の製造方法>
次に、本開示における限定されない一面の切削加工物の製造方法について図19~図21を用いて説明する。図19~図21は、上記の切削工具を用いて切削加工を行った場合の切削加工物の製造方法を示す。図19~図21において、切削工具101の回転軸Y1を二点鎖線で示す。切削加工物203は、被削材201を切削加工することによって作製される。本開示における限定されない一面における製造方法は、以下の工程を備えてもよい。すなわち、
(1)上記した実施形態に代表される切削工具101を回転させる工程と、
(2)回転している切削工具101を被削材201に接触させる工程と、
(3)切削工具101を被削材201から離す工程と、
を備えている。
より具体的には、まず、図19に示すように、切削工具101を回転軸Y1の周りでY2方向に回転させながら被削材201に相対的に近付けてもよい。次に、図20に示すように、切削工具101における切刃を被削材201に接触させて、被削材201を切削してもよい。そして、図21に示すように、切削工具101を被削材201から相対的に遠ざけてもよい。
本開示における限定されない一面においては、被削材201を固定するとともに切削工具101を近付けてもよい。また、図19~図21に示すように、被削材201を固定するとともに切削工具101を回転軸Y1の周りで回転させてもよい。また、図21に示すように、被削材201を固定するとともに切削工具101を遠ざけてもよい。なお、本開示における限定されない一面の製造方法における切削加工では、それぞれの工程において、被削材201を固定するとともに切削工具101を動かしているが、当然ながらこのような形態に限定されない。
例えば、(1)の工程において、被削材201を切削工具101に近付けてもよい。同様に、(3)の工程において、被削材201を切削工具101から遠ざけてもよい。切削加工を継続する場合には、切削工具101を回転させた状態を維持して、被削材201の異なる箇所にインサートの切刃を接触させる工程を繰り返せばよい。
被削材201の材質の代表例としては、炭素鋼、合金鋼、ステンレス、鋳鉄及び非鉄金属などが挙げられる。
1・・・切削インサート(インサート)
3・・・第1面
5・・・第2面
7・・・第3面(側面)
9・・・切刃
11・・・第1辺
13・・・第2辺
15・・・第1角
17・・・第1側面
19・・・第2側面
21・・・コーナ側面
23・・・第1刃
25・・・第2刃
27・・・コーナ刃
29・・・ランド面
31・・・傾斜面
33・・・第1ランド面
35・・・第2ランド面
37・・・コーナランド面
39・・・第1曲線部
41・・・第2曲線部
43・・・接続部
45・・・第1傾斜面
45a・・第1外傾斜面
45b・・第1内傾斜面
47・・・第2傾斜面
47a・・第2外傾斜面
47b・・第2内傾斜面
49・・・コーナ傾斜面
49a・・コーナ外傾斜面
49b・・コーナ内傾斜面
51・・・貫通孔
101・・・切削工具
103・・・ホルダ
105・・・ポケット
107・・・ネジ
201・・・被削材
203・・・切削加工物
O1・・・中心軸

Claims (13)

  1. 1面と、
    該第1面の反対側に位置する第2面と、
    前記第1面及び前記第2面の間に位置する第3面と、
    前記第1面及び前記第3面の間に位置する第1辺及び第2辺と、
    前記第1辺及び前記第2辺の間に位置し、且つ、前記第1辺及び前記第2辺と接続する第1角と、
    前記第1辺、前記第2辺及び前記第1角に位置する切刃と、を備え、
    前記第1面の中心及び前記第2面の中心を通る仮想直線が中心軸、前記第1面及び前記第2面の間に位置して前記中心軸に対して直交する仮想平面が基準面であり、
    前記第1面は、
    前記第1辺、前記第2辺及び前記第1角に沿って位置するランド面と、
    該ランド面に沿って位置するとともに、前記ランド面から離れるにしたがって前記基準面に近づくすくい面と、をさらに有し、
    前記ランド面は、
    前記第1辺の全体に沿って位置する第1ランド面と、
    前記第2辺の全体に沿って位置する第2ランド面と、
    前記第1角の全体に沿って位置するコーナランド面と、を有し、
    前記基準面に対する前記第1ランド面の傾斜角が第1ランド角、前記基準面に対する前記第2ランド面の傾斜角が第2ランド角、前記基準面に対する前記コーナランド面の傾斜角がコーナランド角であり、
    前記第1ランド角、前記第2ランド角及び前記コーナランド角は、それぞれ正の角度であって、
    前記第1ランド面は、前記第1角から離れるにしたがって前記第1ランド角が大きくなり、
    前記コーナランド面は、前記第1辺から離れるにしたがって前記コーナランド角が大きくなる、切削インサート。
  2. 前記第2ランド角の最大値が、前記第1ランド角の最大値よりも大きい、請求項1に記載の切削インサート。
  3. 前記第2ランド面は、前記第1角から離れるにしたがって前記第2ランド角が大きくなる、請求項1又は2に記載の切削インサート。
  4. 前記第1面を平面視した場合に、前記第1面が長方形状であって、前記第1辺が長辺であるとともに前記第2辺が短辺である、請求項1~3のいずれか1つに記載の切削インサート。
  5. 前記第1面を平面視した場合に、前記第2ランド面は、前記コーナランド面から離れるにしたがって幅が小さくなる、請求項1~4のいずれか1つに記載の切削インサート。
  6. 前記第1面を平面視した場合に、前記第1角は、
    前記第1辺の側に位置し、凸曲線形状である第1曲線部と、
    前記第2辺の側に位置し、凸曲線形状である第2曲線部と、
    前記第1曲線部及び前記第2曲線部に接続され、直線形状である接続部と、を有する、請求項1~5のいずれか1つに記載の切削インサート。
  7. 前記第1面を平面視した場合に、
    前記第1曲線部及び前記第2曲線部は、それぞれ円弧形状であって、
    前記第1曲線部の曲率半径が、前記第2曲線部の曲率半径よりも大きい、請求項6に記載の切削インサート。
  8. 前記第1面を平面視した場合に、
    前記第1辺を引き延ばした仮想線及び前記接続部を引き延ばした仮想線のなす第1仮想角度が、前記第2辺を引き延ばした仮想線及び前記接続部を引き延ばした仮想線のなす第2仮想角度よりも小さい、請求項6又は7に記載の切削インサート。
  9. 前記接続部は、前記第1曲線部の側から前記第2曲線部の側に向かうにしたがって前記基準面から遠ざかる、請求項6~8のいずれか1つに記載の切削インサート。
  10. 前記第3面を平面視した場合に、前記第1曲線部は、前記基準面に対して近づく方向に凹の曲線形状である、請求項9に記載の切削インサート。
  11. 前記第3面を平面視した場合に、前記第2曲線部は、前記基準面に対して遠ざかる方向に凸の曲線形状である、請求項9又は10に記載の切削インサート。
  12. 回転軸に沿って第1端から第2端にかけて延びた円柱形状であって、前記第1端の側に位置するポケットを有するホルダと、
    前記ポケット内に位置する、請求項1~11のいずれか1つに記載の切削インサートと、を有する切削工具。
  13. 請求項12に記載の切削工具を回転させる工程と、
    回転している前記切削工具を被削材に接触させる工程と、
    前記切削工具を前記被削材から離す工程と、を備えた切削加工物の製造方法。
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