以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、第1実施形態に係る駐車支援装置が適用された車1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、車1は、駐車支援ECU(Electronic Control Unit)2、右サイドカメラ31、左サイドカメラ32、フロントカメラ33、リアカメラ34、各種センサ4、シート位置検知センサ91、操作装置5、スピーカ6、ディスプレイ7、およびEPS(Electric Power Steering)-ECU8を備えている。なお、車1はその他の構成も備えているが、図1においては記載を省略している。
右サイドカメラ31、左サイドカメラ32、フロントカメラ33、およびリアカメラ34は、それぞれ、車1周辺の画像を撮影する撮影装置であり、例えば、CCDやCMOSなどの撮像素子を備え、所定の撮影領域を所定のフレームレートで撮影する。右サイドカメラ31は、右ドアミラー(例えばその底面)に取り付けられており、車1の右側面および路面を含めて、車1の右側の画像を撮影する。左サイドカメラ32は、左ドアミラー(例えばその底面)に取り付けられており、車1の左側面および路面を含めて、車1の左側の画像を撮影する。フロントカメラ33は、車1の前部の車幅方向中央付近に取り付けられており、車1の前面および路面を含めて、車1の前方の画像を撮影する。リアカメラ34は、例えばバックドアの車幅方向中央付近に取り付けられており、車1の後面および路面を含めて、車1の後方の画像を撮影する。なお、これらのカメラの取り付け位置は限定されない。各カメラ31~34が撮影した画像データは、駐車支援ECU2に出力される。
各種センサ4は、各種検出値を検出して、駐車支援ECU2に出力する。各種センサ4には、ステアリングの操舵角を検出する舵角センサ、車1の各車輪の車輪速を検出する車速センサ、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキセンサ、アクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサなどが含まれる。
シート位置検知センサ91は、運転シートの前後方向の位置を検知するセンサである。運転シートは、車体の前後方向に延びるスライドレールに沿って、前後方向に移動可能に構成されている。運転者は、運転しやすい位置に運転シートを移動させて固定することができる。なお、運転者を識別して、運転シートをあらかじめ設定された位置に自動で移動させるようになっていてもよい。シート位置検知センサ91は、スライドレール上における運転シートの固定位置を検知し、当該位置を示す検知信号を駐車支援ECU2に出力する。本実施形態では、運転シートを最も前に移動させた状態から最も後ろに移動させた状態まで、10段階の配置位置がある場合を例に説明する。なお、シート位置検知センサ91は、スライドレールに対する運転シートの位置を検知してもよいし、車体に対する運転シートの位置を検知してもよい。また、運転シートを自動で移動させる構成の場合は、設定された位置の情報を用いるようにしてもよい。シート位置検知センサ91は、運転シートの前後方向の位置を検知できるものであれば、検出方法、配置位置、構造などは限定されない。シート位置検知センサ91は、運転シートの前後方向の位置を検知することで、運転者の視点位置を間接的に検知している。したがって、本実施形態においては、シート位置検知センサ91が、本発明の「検知センサ」に相当する。
スピーカ6は、音声を出力するものであり、駐車支援ECU2より入力される音声信号に基づいて、音声を出力する。
ディスプレイ7は、例えばLCD(液晶表示装置)によって構成されており、車1のセンターコンソール部分に設置される。なお、ディスプレイ7は、LCDに限定されず、有機ELディスプレイやプラズマディスプレイなどであってもよい。また、設置位置もセンターコンソール部分に限定されず、運転者から見ることができる範囲にあればよい。ディスプレイ7は、駐車支援時に、駐車支援ECU2より入力される画像信号に基づいて、俯瞰画像を表示する。なお、ディスプレイ7は、ナビゲーションシステムなどのディスプレイと兼用してもよい。この場合、操作装置5より駐車支援の開始を指示する操作信号が入力された場合に、ナビゲーション画面から駐車支援画面(俯瞰画像)に切り替えるようにすればよい。
操作装置5は、運転者(または同乗者)によって操作されて、操作に応じた操作信号を駐車支援ECU2に出力するものである。本実施形態では、操作装置5は、ディスプレイ7の画面上に配置されたタッチパネルである。ディスプレイ7の画面上に表示されたボタンなどが指先で操作されると、タッチパネルがタッチ位置を読み取って、対応した操作信号を出力する。なお、操作装置5はこれに限定されず、操作ボタンやジョイスティックなどの入力デバイスであってもよい。運転者(または同乗者)は、操作装置5の操作によって、駐車支援ECU2に、駐車支援の開始を指示したりすることができる。
EPS-ECU8は、操舵機構を制御する電子制御ユニットである。EPS-ECU8は、通常時は、運転者によるハンドル操作に応じて操舵機構を制御する。また、駐車支援時は、駐車支援ECU2より操舵角を入力され、当該操舵角に応じて操舵機構を制御する。
駐車支援ECU2は、駐車支援を行うための電子制御ユニットであり、CPUおよびメモリを備えたマイクロコンピュータによって実現されている。駐車支援ECU2は、各カメラ31~34より画像データを入力され、俯瞰画像を作成する。そして、当該俯瞰画像、各種センサ4より入力される各信号、および、操作装置5より入力される操作信号に基づいて、駐車支援のための制御を行う。例えば、駐車支援ECU2は、駐車のための理想的な軌道を作成し、操舵角をEPS-ECU8に出力することでハンドル操作を支援し、駐車支援のための画像を作成してディスプレイ7に表示させ、駐車支援のための音声をスピーカ6から出力させる。駐車支援ECU2が、本発明の「駐車支援装置」に相当する。
駐車支援ECU2は、機能ブロックとして、俯瞰画像作成部21、駐車枠検出部22、目標駐車位置設定部23、軌道作成部24、自車位置推定部25、誘導制御部26、および画像音声制御部27を備えている。
俯瞰画像作成部21は、俯瞰画像を作成する。俯瞰画像作成部21は、各カメラ31~34より入力される画像データから、所定の画像処理により、車1の上方の仮想視点から見下ろしたように表示される俯瞰画像を作成する。
駐車枠検出部22は、俯瞰画像作成部21が作成した俯瞰画像から、複数の駐車枠を検出する。駐車枠検出部22は、例えば白線を検出し、白線によって形成された矩形状の領域を駐車枠として検出する。本実施形態では、車1(左サイドカメラ32)に近い2つの駐車枠が検出される。例えば図7の場合、車1に近い駐車枠F1および駐車枠F2が検出される。なお、車1の左側にも右側にも駐車枠が存在する場合、左側の駐車枠を検出するか、右側の駐車枠を検出するかは、運転者が操作装置5の操作により設定する。なお、駐車枠を検出する方法は限定されない。パターンマッチングなどの画像認識処理によって、駐車枠を検出するようにしてもよい。駐車枠を形成する線は、白線に限られず、黄線やその他の色の線の場合があるし、また、破線の場合もある。また、駐車枠は、矩形状に形成されている場合に限られず、平行四辺形の形状に形成されている場合や、2本の平行線のみで形成されている場合などもある。これらの場合にも、駐車枠として検出できるのが望ましい。
目標駐車位置設定部23は、目標駐車位置および駐車方向を設定する。目標駐車位置設定部23は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠の中から、車1を駐車するための駐車枠を選択し、選択した駐車枠の位置および方向を目標駐車位置および駐車方向として設定する。車1を駐車するための駐車枠は、駐車枠検出部22が検出した2つの駐車枠の中から、自動的に選択される。本実施形態では、目標駐車位置設定部23は、シート位置検知センサ91より入力される検知信号に基づいて駐車枠を選択する。具体的には、目標駐車位置設定部23は、運転シートの位置が10段階の配置位置のうち前方から1~5段階目であることを示す検出信号を入力された場合は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠のうち前方にある駐車枠を選択する。一方、運転シートの位置が10段階の配置位置のうち前方から6~10段階目であることを示す検出信号を入力された場合は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠のうち後方にある駐車枠を選択する。
図2は、目標駐車位置設定部23による駐車枠の選択方法について説明するための図である。図2(a)は、運転者が運転シート101を前方(例えば、10段階の配置位置のうち前方から2段階目)に移動させた状態で固定している場合を示している。この場合、運転者の視点と、左ドアミラー102の底面に取り付けられた左サイドカメラ32との、前後方向の距離Dは短いので、運転者の視野は左サイドカメラ32の視野に比較的近い。したがって、運転者が見ている(駐車しようと考えている)駐車枠は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠のうち、前方の駐車枠である可能性が高い。シート位置検知センサ91は、運転シート101の固定位置を検知し、運転シート101が前方から2段階目の位置にあることを示す検出信号を出力する。そして、目標駐車位置設定部23は、入力された検出信号に基づいて、前方にある駐車枠を選択する。
図2(b)は、運転者が運転シート101を後方(例えば、10段階の配置位置のうち前方から9段階目)に移動させた状態で固定している場合を示している。この場合、運転者の視点と、左ドアミラー102の底面に取り付けられた左サイドカメラ32との、前後方向の距離Dは長いので、運転者の視野と左サイドカメラ32の視野とは比較的離れている。したがって、運転者が見ている(駐車しようと考えている)駐車枠は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠のうち、後方の駐車枠である可能性が高い。シート位置検知センサ91は、運転シート101の固定位置を検知し、運転シート101が前方から9段階目の位置にあることを示す検出信号を出力する。そして、目標駐車位置設定部23は、入力された検出信号に基づいて、後方にある駐車枠を選択する。
なお、前方の駐車枠を選択するか後方の駐車枠を選択するかの境界は、必ずしも運転シート101の移動可能範囲の中央とする必要はない。例えば、運転シート101の位置が10段階の配置位置のうち前方から1~3段階目の場合に前方の駐車枠を選択し、前方から4~10段階目の場合に後方の駐車枠を選択するようにしてもよい。また、当該境界は固定されていなくてもよく、例えば、検出された2つの駐車枠と車1(左サイドカメラ32)との位置関係によって、境界を変更するようにしてもよい。例えば、車1が前方の駐車枠の正面に位置する場合、運転シート101がよほど後方に配置されていない限り、運転者の希望する駐車枠は前方の駐車枠である可能性が高い。したがって、この場合は、前方から1~8段階目の場合に前方の駐車枠を選択し、前方から9~10段階目の場合に後方の駐車枠を選択するようにしてもよい。
軌道作成部24は、車1の現在位置から、目標駐車位置設定部23によって設定された目標駐車位置に駐車するための理想的な軌道を作成する。理想的な軌道の作成方法は、限定されない。以下では、軌道作成部24が作成した理想的な軌道を「理想軌道」と記載する。
自車位置推定部25は、車1の現在の位置を推定する。自車位置推定部25は、駐車支援を開始したときの車1の位置(以下では、「開始位置」と記載する)を基準として、各種センサ4より逐次入力される検出信号から、車1の現在の位置を推定する。以下では、推定された車1の現在の位置を、「推定位置」と記載する。
誘導制御部26は、自車位置推定部25が推定した推定位置と、軌道作成部24が作成した理想軌道とから、車1が理想軌道を移動できるように誘導する。具体的には、誘導制御部26は、推定位置において、車1が理想軌道を移動できるような操舵角を算出し、EPS-ECU8に出力する。
画像音声制御部27は、駐車支援のための画像を作成してディスプレイ7に表示させ、駐車支援のための音声をスピーカ6に出力させる。なお、画像音声制御部27がディスプレイ7に表示させる画像や、スピーカ6に出力させる音声は限定されない。例えば、一例として、俯瞰画像に、目標駐車位置を示す枠の表示、および、理想軌道を示す軌道の表示を重畳させた画像を表示させるようにしてもよい。
次に、駐車支援ECU2が行う駐車支援処理を、図3に示すフローチャートを参照して、以下に説明する。
図3(a)は、駐車支援処理の開始処理を説明するためのフローチャートの一例である。当該処理は、駐車支援処理の開始時に実行され、例えば、操作装置5より駐車支援の開始を指示する操作信号が入力された場合に実行される。なお、シフト操作によりRレンジ(後進レンジ)が選択された場合など、駐車を行う意思を示す動作があった場合に実行されるようにしてもよい。
まず、駐車支援を開始したときの車1の位置(開始位置)が設定される(S1)。以下の処理では、当該開始位置を基準(原点)として、各位置が座標により表される。次に、各カメラ31~34から画像データが入力され(S2)、俯瞰画像作成部21によって、俯瞰画像が作成される(S3)。次に、目標駐車位置設定処理が実行されて目標駐車位置が設定される(S4)。そして、軌道作成部24によって開始位置から目標駐車位置までの理想軌道が作成され(S5)、開始処理が終了される。理想軌道は、開始位置を基準とした位置情報の集合として記憶される。なお、理想軌道を複数作成して、運転者によって選択させるようにしてもよい。
図3(b)は、目標駐車位置設定処理を説明するためのフローチャートの一例である。当該処理は、図3(a)に示すフローチャートのステップS4に示すサブルーチンである。
まず、駐車枠検出部22によって、俯瞰画像から2つの駐車枠が検出される(S41)。次に、運転シートのシート位置が検出される(S42)。具体的には、シート位置検知センサ91より検知信号が入力される。次に、シート位置が前方であるか否かが判別される(S43)。具体的には、検知信号が、運転シートの位置が前方(例えば10段階の配置位置のうち前方から1~5段階目)であることを示す検出信号であるか否かが判別される。シート位置が前方である場合(S43:YES)、前方の駐車枠が選択され、当該駐車枠の位置および方向が目標駐車位置および駐車方向として設定され(S44)、シート位置が前方でない(後方である)場合(S43:NO)、後方の駐車枠が選択され、当該駐車枠の位置および方向が目標駐車位置および駐車方向として設定され(S45)て、目標駐車位置設定処理は終了される。目標駐車位置および駐車方向の情報(開始位置を基準とした位置および方向)は記憶される。
図3(c)は、駐車支援処理の繰り返し処理を説明するためのフローチャートの一例である。当該処理は、開始処理(図3(a)参照)の終了後から、操作装置5より駐車支援の終了を指示する操作信号が入力されるまで、繰り返し実行される。
まず、各種センサ4から検出信号が入力され(S11)、自車位置推定部25によって、車1の現在の位置(推定位置)が推定される(S12)。推定位置は開始位置を基準とした位置として算出される。次に、誘導制御部26によって誘導処理が行われる(S13)。誘導処理は、推定位置と理想軌道とに基づいて、車1が理想軌道を移動できるような操舵角を算出し、EPS-ECU8に出力する処理である。そして、画像音声制御部27によって、画面表示処理(S14)および音声出力処理(S15)が行われる。画面表示処理は、各カメラ31~34から入力される画像データに基づいて駐車支援のための画像を作成し、ディスプレイ7に表示させる処理である。音声出力処理は、推定位置と理想軌道とに基づいて、駐車支援のための音声をスピーカ6に出力させる処理である。
図3のフローチャートに示す各処理は一例であって、駐車支援処理は上述したものに限定されない。
次に、本実施形態に係る駐車支援ECU2の作用および効果について説明する。
本実施形態によると、駐車枠検出部22は、俯瞰画像作成部21が作成した俯瞰画像から、2つの駐車枠を検出する。シート位置検知センサ91は、運転シートの位置を検知し、当該位置を示す検知信号を出力する。運転シートの位置で運転者の視点位置を間接的に検知していることから、シート位置検知センサ91が本発明の「検知センサ」に相当する。目標駐車位置設定部23は、シート位置検知センサ91より入力される検知信号が、運転シートの位置が前方であることを示す検出信号の場合は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠のうち前方にある駐車枠を選択する。一方、目標駐車位置設定部23は、検知信号が、運転シートの位置が後方であることを示す検出信号の場合は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠のうち後方にある駐車枠を選択する。これにより、運転シートの位置が前方である場合は前方にある駐車枠が選択され、運転シートの位置が後方である場合は後方にある駐車枠が選択されて、目標駐車位置が設定される。運転シートの位置が前方である場合は、運転者の視野は左サイドカメラ32の視野に比較的近いので、運転者が見ている(駐車しようと考えている)駐車枠は前方の駐車枠である可能性が高い。一方、運転シートの位置が後方である場合は、運転者の視野と左サイドカメラ32の視野とは比較的離れているので、運転者が見ている(駐車しようと考えている)駐車枠は後方の駐車枠である可能性が高い。したがって、運転者の希望する駐車枠を目標駐車位置に設定できる可能性が高い。また、運転者は、操作を行うことなく、目標駐車位置を設定することができる。
なお、本実施形態では、駐車枠検出部22が、各カメラ31~34より入力される画像データから作成された俯瞰画像から駐車枠を検出する場合について説明したが、これに限られない。例えば車1の左側の駐車枠に駐車するのであれば、左サイドカメラ32より入力される画像データから作成された俯瞰画像を用いるようにしてもよい。また、俯瞰画像を作成せずに、左サイドカメラ32より入力される画像データから駐車枠を検出するようにしてもよい。
本実施形態では、駐車枠検出部22が左サイドカメラ32に近い2つの駐車枠を検出し、目標駐車位置設定部23が、シート位置検知センサ91より入力される検知信号に基づいて駐車枠を選択する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、駐車枠検出部22が画像に含まれる駐車枠を全て検出し、目標駐車位置設定部23が、シート位置検知センサ91より入力される検知信号に基づいて運転者の視点位置(左サイドカメラ32に対する前後方向の相対位置)を算出し、画像に含まれる駐車枠を当該視点位置に応じて移動させ(画像を相対移動させ)、画像の中央に位置する駐車枠を選択するようにしてもよい。目標駐車位置設定部23は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠のなかから、シート位置検知センサ91より入力される検知信号に基づいて、所定のアルゴリズムで駐車枠を選択することができればよい。
本実施形態では、目標駐車位置設定部23が、シート位置検知センサ91より入力される検知信号に基づいて目標駐車位置を設定する場合について説明したが、これに限られない。他の実施形態について、以下に説明する。
図4は、第2実施形態に係る駐車支援装置を説明するための図である。図4(a)は、第2実施形態に係る駐車支援装置が適用された車1’の構成を示すブロック図である。図4(a)において、第1実施形態に係る車1(図1参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。図4(b)および図4(c)は、第2実施形態に係る駐車枠の選択方法について説明するための図である。
図4(a)に示すように、車1’は、シート位置検知センサ91に代えてリクライニング検知センサ92を備えており、検知されたリクライニング角度に応じて目標駐車位置を設定する点で、第1実施形態に係る車1と異なる。
リクライニング検知センサ92は、運転シート101のリクライニング角度を検知するセンサである。運転シート101は、シートの座面部となるシートクッション101aと、シートクッション101aの背側に設けられており、シートの背もたれ部となるシートバック101bとを備えている。シートクッション101aに対するシートバック101bの角度は調整可能になっている。リクライニング角度は、シートバック101bがシートクッション101aに直交している状態を基準(0°)として、シートバック101bが後ろ側に傾斜されている角度を示す。運転者は、運転しやすい状態となるようにリクライニング角度を変更して固定することができる。なお、運転者を識別して、運転シート101をあらかじめ設定されたリクライニング角度に自動で変更するようになっていてもよい。リクライニング検知センサ92は、リクライニング角度を検知し、当該角度を示す検知信号を駐車支援ECU2に出力する。本実施形態では、シートバック101bを最も立てた状態(リクライニング角度が0°)から最も寝かせた状態(リクライニング角度が90°)まで、10段階の角度調整が可能な場合を例に説明する。現実的には、最も寝かせた状態で運転することはないと考えられる。なお、リクライニング検知センサ92は、シートクッション101aに対するシートバック101bの角度からリクライニング角度を検知してもよいし、車体に対するシートバック101bの角度からリクライニング角度を検知してもよい。また、リクライニング角度を自動で変更する構成の場合は、設定されたリクライニング角度の情報を用いるようにしてもよい。リクライニング検知センサ92は、リクライニング角度を検知できるものであれば、検出方法、配置位置、構造などは限定されない。また、リクライニング検知センサ92は、リクライニング角度ではなく、シートクッション101aに対するシートバック101bの角度を検出するようにしてもよい。リクライニング検知センサ92は、運転シート101のリクライニング角度を検知することで、運転者の視点位置を間接的に検知している。したがって、本実施形態においては、リクライニング検知センサ92が、本発明の「検知センサ」に相当する。
第2実施形態に係る駐車支援ECU2の目標駐車位置設定部23は、リクライニング検知センサ92より入力される検知信号に基づいて駐車枠を選択する。具体的には、目標駐車位置設定部23は、リクライニング角度が10段階の角度のうち小さい方から1~5段階目であることを示す検出信号を入力された場合は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠のうち前方にある駐車枠を選択する。一方、リクライニング角度が10段階の角度のうち小さい方から6~10段階目であることを示す検出信号を入力された場合は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠のうち後方にある駐車枠を選択する。
図4(b)は、運転者がリクライニング角度を小さく(例えば、10段階の角度のうち最も小さい1段階目である0°)した状態で固定している場合を示している。この場合、運転者の視点と、左ドアミラー102の底面に取り付けられた左サイドカメラ32との、前後方向の距離Dは短いので、運転者の視野は左サイドカメラ32の視野に比較的近い。したがって、運転者が見ている(駐車しようと考えている)駐車枠は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠のうち、前方の駐車枠である可能性が高い。リクライニング検知センサ92は、運転シート101のリクライニング角度を検知し、リクライニング角度が最も小さい1段階目であることを示す検出信号を出力する。そして、目標駐車位置設定部23は、入力された検出信号に基づいて、前方にある駐車枠を選択する。
図4(c)は、運転者がリクライニング角度を大きく(例えば、10段階の角度のうち最も小さい方から7段階目)した状態で固定している場合を示している。この場合、運転者の視点と、左ドアミラー102の底面に取り付けられた左サイドカメラ32との、前後方向の距離Dは長いので、運転者の視野と左サイドカメラ32の視野とは比較的離れている。したがって、運転者が見ている(駐車しようと考えている)駐車枠は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠のうち、後方の駐車枠である可能性が高い。リクライニング検知センサ92は、運転シート101のリクライニング角度を検知し、リクライニング角度が最も小さい方から7段階目であることを示す検出信号を出力する。そして、目標駐車位置設定部23は、入力された検出信号に基づいて、後方にある駐車枠を選択する。
なお、前方の駐車枠を選択するか後方の駐車枠を選択するかの境界は、必ずしも運転シート101のリクライニング角度の変更範囲の中央とする必要はない。例えば、運転シート101のリクライニング角度が10段階の角度のうち最も小さい方から1~3段階目の場合に前方の駐車枠を選択し、最も小さい方から4~10段階目の場合に後方の駐車枠を選択するようにしてもよい。また、当該境界は固定されていなくてもよく、例えば、検出された2つの駐車枠と車1(左サイドカメラ32)との位置関係によって、境界を変更するようにしてもよい。例えば、車1が前方の駐車枠の正面に位置する場合、運転シート101のリクライニング角度がよほど大きくない限り、運転者の希望する駐車枠は前方の駐車枠である可能性が高い。したがって、この場合は、最も小さい方から1~7段階目の場合に前方の駐車枠を選択し、最も小さい方から8~10段階目の場合に後方の駐車枠を選択するようにしてもよい。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて、目標駐車位置設定部23が、シート位置検知センサ91より入力される検知信号と、リクライニング検知センサ92より入力される検知信号とに基づいて、目標駐車位置を設定するようにしてもよい。
図5は、第3実施形態に係る駐車支援装置を説明するための図である。図5(a)は、第3実施形態に係る駐車支援装置が適用された車1”の構成を示すブロック図である。図5(a)において、第1実施形態に係る車1(図1参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。図5(b)および図5(c)は、第3実施形態に係る駐車枠の選択方法について説明するための図である。
図5(a)に示すように、車1”は、シート位置検知センサ91に代えて車内カメラ35を備えており、車内カメラ35で運転者を撮影した画像から運転者の頭の位置を検知し、検知された頭の位置に応じて目標駐車位置を設定する点で、第1実施形態に係る車1と異なる。
図5(b)および図5(c)に示すように、車内カメラ35は、ハンドル103に配置されており、運転者を撮影している。図5(b)に示すように、運転者が体を起こしてハンドル103に近づいた場合、車内カメラ35で撮影された画像において、運転者の頭は大きく表示される。一方、図5(c)に示すように、運転者が運転シート101に体をあずけてハンドル103から遠ざかった場合、車内カメラ35で撮影された画像において、運転者の頭は小さく表示される。したがって、車内カメラ35で撮影された画像を画像処理して、画像全体にしめる運転者の頭の割合から、運転者の頭の位置(車体の前後方向の位置)を検知することができる。
第3実施形態に係る駐車支援ECU2の目標駐車位置設定部23は、車内カメラ35より入力される画像データから運転者の頭の位置を検知し、検知した運転者の頭の位置に基づいて駐車枠を選択する。具体的には、目標駐車位置設定部23は、検知した運転者の頭の位置が前方寄りである場合は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠のうち前方にある駐車枠を選択する。一方、頭の位置が後方寄りである場合は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠のうち後方にある駐車枠を選択する。なお、第1および第2実施形態と同様に、頭の位置を例えば10段階で表して、その段階数に応じて駐車枠を選択するようにしてもよい。目標駐車位置設定部23は、車内カメラ35より入力される画像データに基づいて運転者の頭の位置を検知することで、運転者の視点位置を間接的に検知している。したがって、本実施形態においては、車内カメラ35および目標駐車位置設定部23が、本発明の「検知センサ」に相当する。
図5(b)は、運転者が体を起こして、前のめりになって駐車枠を探している場合を示している。この場合、運転者の視点と、左ドアミラー102の底面に取り付けられた左サイドカメラ32との、前後方向の距離Dは短いので、運転者の視野は左サイドカメラ32の視野に比較的近い。したがって、運転者が見ている(駐車しようと考えている)駐車枠は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠のうち、前方の駐車枠である可能性が高い。目標駐車位置設定部23は、車内カメラ35より入力される画像データから、運転者の頭の位置が前方寄りであると判断し、前方にある駐車枠を選択する。
図5(c)は、運転者が運転シート101に深く体をあずけた状態で駐車枠を探している場合を示している。この場合、運転者の視点と、左ドアミラー102の底面に取り付けられた左サイドカメラ32との、前後方向の距離Dは長いので、運転者の視野と左サイドカメラ32の視野とは比較的離れている。したがって、運転者が見ている(駐車しようと考えている)駐車枠は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠のうち、後方の駐車枠である可能性が高い。目標駐車位置設定部23は、車内カメラ35より入力される画像データから、運転者の頭の位置が後方寄りであると判断し、後方にある駐車枠を選択する。
図5(b)および図5(c)に示すように、運転シート101のリクライニング角度が同じであっても、運転者は前のめりになって駐車枠を探す場合(図5(b)参照)もあるし、運転シート101に深く体をあずけた状態で駐車枠を探す場合(図5(c)参照)もある。また、運転シート101の位置が同じであっても、運転者によっては浅く座る者もいれば、深く座る者もいる。第3実施形態では、シート位置やリクライニング角度に関係なく、運転者の頭の位置を直接検出するので、運転者の視点の位置をより正確に把握することができる。したがって、第3実施形態においては、運転者の希望する駐車枠を目標駐車位置に設定できる可能性がより高くなる。
なお、車内カメラ35は、ハンドル103以外の場所に配置されていてもよく、運転者の姿を撮影できればよい。また、運転者の頭の位置を検知する方法は限定されない。2台のカメラによる立体視から運転者の頭の位置を検知するようにしてもよいし、運転者の側方から運転者を撮影して撮影した画像における頭の位置から検知するようにしてもよい。また、超音波センサやレーダーを用いるようにしてもよい。また、運転者の頭の位置を検知するのではなく、運転者の目の位置を検知することで、直接的に視点位置を検知するようにしてもよい。
上記第1ないし第3実施形態では、駐車枠検出部22が2つの駐車枠を検出して、目標駐車位置設定部23が2つの駐車枠から一方の駐車枠を選択する場合について説明したが、これにかぎられない。駐車枠検出部22が3つ以上の駐車枠を検出して、目標駐車位置設定部23がこれらの駐車枠から駐車枠を選択するようにしてもよい。
図6は、駐車枠検出部22が3つの駐車枠を検出する場合の一例を説明するための図である。図6においては、駐車枠の幅(図において上下方向の寸法)が狭くなっているので、車1の位置に対して、運転者が希望する駐車枠は、F1~F3のいずれかである可能性がある。この場合であれば、駐車枠検出部22が3つの駐車枠F1~F3を検出し、目標駐車位置設定部23が、シート位置検知センサ91より入力される検知信号に基づいて、駐車枠を選択する。具体的には、目標駐車位置設定部23は、運転シートの位置が10段階の配置位置のうち前方から1~2段階目であることを示す検出信号を入力された場合は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠のうち前方にある駐車枠F2を選択する。また、運転シートの位置が前方から3~8段階目であることを示す検出信号を入力された場合は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠のうち中央にある駐車枠F1を選択する。また、運転シートの位置が前方から9~10段階目であることを示す検出信号を入力された場合は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠のうち後方にある駐車枠F3を選択する。第2実施形態および第3実施形態でも同様である。
また、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて、目標駐車位置設定部23が、シート位置検知センサ91より入力される検知信号と、リクライニング検知センサ92より入力される検知信号とに基づいて、目標駐車位置を設定する場合は、例えば以下のように選択すればよい。すなわち、スライド位置が10段階の配置位置のうち前方から1~5段階目であり、かつ、リクライニング角度が10段階の角度のうち最も小さい方から1~5段階目の場合、駐車枠F2を選択する。また、スライド位置が前方から1~5段階目であり、かつ、リクライニング角度が最も小さい方から6~10段階目の場合、または、スライド位置が前方から6~10段階目であり、かつ、リクライニング角度が最も小さい方から1~5段階目の場合、駐車枠F1を選択する。また、スライド位置が前方から6~10段階目であり、かつ、リクライニング角度が最も小さい方から6~10段階目の場合、駐車枠F3を選択する。
本発明に係る駐車支援装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る駐車支援装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。