JP7057951B2 - 冷間圧延の前処理用組成物及び冷間圧延方法 - Google Patents

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Description

本発明は、冷間圧延の前処理用組成物及び冷間圧延方法に関する。
金属の加工方法として、圧延による金属加工が知られている。圧延手段として、熱間圧延と冷間圧延とに大別される。
熱間圧延は、材料金属を強く加熱して実施される圧延方法であり、一方、冷間圧延は、加熱を行うことなく室温で圧延する方法である。自動車の車体等の見た目の美しさと厚みの均一性とが求められる鋼板の製造には、冷間圧延が適している。しかしながら、この冷間圧延を実施するに際しては、強い圧力を加えながら圧延する必要があるため、鋼板表面に高い潤滑性が求められる。
鋼板表面の潤滑性を高める方法として、プレコート油と呼ばれる潤滑剤を鋼板表面に塗布したうえで冷間圧延を実施する方法が挙げられる。
しかしながら、今日までプレコート油として、鉱物油又は植物油が使用されてきたが、潤滑性が不足したり、作業性の面で問題があったりするという欠点があった。
例えば、特許文献1には、植物油としてパーム油を使用したプレコート油が開示されている。しかしながら、パーム油は融点が高いため、冬季にパーム油を使用すると、パーム油を塗布するための静電塗油装置のノズルが、パーム油により詰まることが多く、その都度ノズルを清掃する必要が生じる。また、このようなノズルの詰まりに起因し、その他のトラブルも発生しやすくなる。
一方、鉱物油は植物油と比べて、比較的低い融点を有するため、鉱物油をプレコート油として使用してもノズルの詰まり等の発生は危惧されない。しかしながら、植物油と比し鉱物油は潤滑性能に劣るという問題がある。
このため、プレコート油として鉱物油を使用すると、冷間圧延に必要とされるだけの潤滑性能を得ることが難しく、鋼板に対する荷重が過多となることに起因する圧延トラブルが発生しやすいという問題がある。
この問題解消のため、鉱物油をプレコート油として用いる場合、鉱物油の潤滑性能不足を補う目的で、タンデム冷間圧延機1スタンド目において、エマルジョン状態の圧延油を噴霧して圧延を行う必要がある。
このように、植物油には固化によるノズルトラブルの発生という課題、鉱物油には潤滑性能が不十分であるという課題が存在する。
一方、プレコート油として合成エステルをベースとする油を使用することも提案されている。合成エステルをベースとする油を使用することにより、上記の融点及び潤滑性能に関連する問題はクリアできる一方で、合成エステルは高価格であることから、コスト面での問題が存在する。
特許文献2及び3には、圧延の前工程でプレコート油を鋼板表面に付着させ、その後の圧延工程においてタンデム冷間圧延機1スタンド目のロールで圧延する際に、鋼板にさらなる潤滑性を付与するための圧延油を鋼板表面にエマルジョン噴霧し、冷間圧延を行うことが開示されている。しかしながら、圧延油をエマルジョン噴霧する作業が必要となる。
このように、圧延油をエマルジョン噴霧する必要がなく、コスト面及び潤滑性能にも優れたプレコート油の開発が求められている。
特開2003-266115号公報 特開昭58-16706号公報 特開昭53-135860号公報
上記のような事情に鑑み、本発明の目的とするところは、圧延油を冷間圧延機1スタンド目にエマルジョン噴霧する必要がなく、コスト面及び潤滑性能にも優れた冷間圧延の前処理用組成物を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、植物油と鉱物油とを所定の割合で含有する組成物とすることにより、上記課題を解決できることを見出した。本発明者らは、かかる知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の冷間圧延の前処理用組成物を提供する。
項1.
鉱物油及び植物油を含有し、
前記鉱物油と前記植物油との質量比が、鉱物油:植物油=32:68~82:18である、冷間圧延の前処理用組成物。
項2.
さらに極圧剤を含み、
前記極圧剤の含有量は、前記鉱物油、前記植物油及び前記極圧剤の合計100質量%中に0.01~3質量%である、項1に記載の組成物。
項3.
前記極圧剤がリン系極圧剤である、項1又は2に記載の組成物。
項4.
項1~3の何れかに記載の組成物を鋼板表面に付着させた後、冷間圧延する冷間圧延方法。
本発明の冷間圧延の前処理用組成物は、圧延機1スタンド目において圧延油をエマルジョン噴霧する必要がなく、コスト面及び潤滑性能にも優れる。
また、本発明の冷間圧延の前処理用組成物は、冬季においても固化しづらいため、使用に際して塗油装置の詰まり発生のリスクも低減される。
プレコート油における鉱物油量と融点・摩擦係数との関係を示す図。 バウデン試験における鋼板へのプレコート油を塗油する方法の説明図。 バウデン試験機の概略図。 各実施例及び比較例の低温固化試験後の状態を示す写真。 低炭素鋼を使用したタンデム圧延機による荷重比較試験結果。 中炭素鋼を使用したタンデム圧延機による荷重比較試験結果。
(1.冷間圧延用の前処理用組成物)
本発明の冷間圧延用の前処理用組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう。)は、鉱物油及び植物油を含有し、鉱物油と植物油との質量比は、鉱物油:植物油=32:68~82:18である。本発明の組成物はそれ自体を、或いは酸化防止剤等適宜の成分をさらに添加したものを、冷間圧延工程の前段階におけるプレコート油として好適に利用することが可能であり、充分な潤滑性能を有することから、圧延時に圧延油をエマルジョン噴霧しなくとも冷間圧延における圧延トラブルの発生を抑制することができる。
(1.1.鉱物油及び植物油)
本発明の組成物は、鉱物油及び植物油を含んで構成され、当該組成物のベース油は、好ましくは鉱物油及び植物油のみからなる。ベース油としての40℃における粘度は、15~30mm/sであることが好ましい。尚、本明細書においてベース油とは、組成物の中で大多数を占める油であると定義される。ここでの大多数とは、組成物の質量(但し、組成物に溶剤が含まれる場合は、組成物から溶剤を除いた組成物質量)に対して60質量%以上100質量%以下であるものと定義される。
本発明の組成物が冬季に固化したり、静電塗油装置のノズルが詰まったりすることを防止するため、ベース油の融点は10℃以下であることが好ましく、5℃以下であることがより好ましい。当該融点の下限値としては特に限定はなく、例えば-20℃であることが好ましい。
また、バウデン試験機により測定されるベース油の摩擦係数は0.12未満であることが好ましい。当該係数を0.12未満とすることにより、冷間圧延機の1スタンド目での圧延の際における荷重が過多となることがなく、圧延トラブル発生のリスクを低減することが可能である。ベース油の下限値としては特に限定されず、例えば0.0001であることが好ましく、0.01であることがより好ましく、0.04であることがさらに好ましい。また、ベース油の摩擦係数を0.04以上とすることにより、低融点の前処理用組成物を得ることができる。
ベース油に使用する鉱物油としては、プレコート油に使用される公知の鉱物油を、広く使用することが可能であり、特に限定はない。具体的には、スピンドル油、マシン油、タービン油、シリンダー油等を例示することが可能である。これらは一種のみを単独で使用してもよいし、二種以上を混合して使用してもよい。
同様に、ベース油に使用する植物油としても、プレコート油に使用される公知の植物油を広く採用することが可能であり、特に限定はない。具体的には、ナタネ油、ヒマシ油、ヌカ油、パーム油、ヤシ油等を例示することができる。これらは一種のみを単独で使用してもよいし、二種以上を混合して使用してもよい。
図1にも示すとおり、ベース油の融点を考慮し、鉱物油と植物油との配合比は、質量比で鉱物油:植物油が32:68~82:18とする。当該配合比を外れると、ベース油の融点が高くなってしまい、本発明の組成物を圧延油として使用した際に、ノズルの詰まり又は圧延時のトラブルの発生のリスクがある。また、鉱物油と植物油の配合比(質量比)は、鉱物油:植物油を45:55~82:18とすることが好ましく、60:40~82:18とすることがより好ましく、70:30~82:18とすることがさらに好ましい。
(1.2.極圧剤)
本発明の組成物は、極圧剤を含むことが好ましい。極圧剤を使用することにより、圧延時の荷重を軽減し、圧延トラブル発生のリスクを低減することが可能である。
極圧剤としては、冷間圧延のプレコート油に配合される公知の極圧剤を広く使用することが可能である。例えば、リン系極圧剤、硫黄系極圧剤など使用できる。
リン系極圧剤として、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリ(p-クレジル)ホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリステアリルホスファイト等の第3級ホスファイト類、ジ-2-エチルヘキシルハイドロゼンホスファイト、ジオレイルハイドロゼンホスファイト、ジラウリルハイドロゼンホスファイト等の第2級ホスファイト類、メチルアシッドホスフェイト、エチルアシッドホスフェイト、2-エチルヘキシルアシッドホスフェイト、ラウリルアシッドホスフェイト、オレイルアシッドホスフェイト、ジ-2-エチルヘキシルアシッドホスフェイト等の酸性リン酸エステル類、トリアルキル(炭素原子数1~18)チオホスフェイト等のチオホスフェイト類、ヒドロキシメチルホスホン酸ジ-2-エチルヘキシル、トリエチル-3-ホスホノプロピオネイト等のホスホネイト類を例示することが可能である。
硫黄系極圧剤として、具体的には、硫化ラード、硫化牛脂や硫化植物油エステル等の硫化油脂、硫化オレフィン、硫化鉱油のそれぞれ活性型および不活性型、ジベンジルジサルファイド、ジターシャルブチルジサルファイド、亜鉛-ジアルキルジチオホスフェート等を例示することができる。
上記した極圧剤の中でも、作業環境及びコスト面の観点から、リン系極圧剤を使用することが好ましい。
極圧剤の配合量については、鉱物油、植物油、及び極圧剤の合計100質量%中に、0.01~3質量%とすることが好ましく、0.1~1質量%とすることがより好ましい。鉱物油、植物油及び極圧剤の合計100質量%中の極圧剤を0.01質量%以上配合することにより、圧延時の圧延機による荷重を低減し、圧延トラブル発生のリスクを低減することができる。一方、当該配容量を3質量%より多く配合してもそれ以上の効果が見込めないことから、コスト面を考慮し、極圧剤の配合量を3質量%以下とすることが好ましい。本発明の組成物を、鉱物油、植物油及び極圧剤のみからなる態様とする場合には、本発明の組成物100質量%中における極圧剤の量を、0.01~3質量%とすることが好ましく、0.1~1質量%とすることがより好ましい。
(1.3.その他の成分)
本発明の組成物は、その目的又は効果を損なわない範囲内で、その他の成分を含んでいてもよい。かかる成分として特に限定はなく、例えば、酸化防止剤、防錆剤、油焼け防止剤、キレート剤及び油性向上剤を例示することができる。これらの成分としては、公知のものを広く採用することが可能である。
酸化防止剤としては、本技術領域で使用される公知の酸化防止剤を広く使用することが可能であり、特に限定はない。具体的には、2,4-ジ-t-ブチル-p-クレゾール等のフェノール系化合物及びフェニルα-ナフチルアミン等の芳香族アミン等を挙げることができる。
防錆剤としても、本技術領域で使用される公知の防錆剤を使用することが可能であり、特に限定はない。具体的には、アルケニルコハク酸及びその誘導体、オレイン酸等の脂肪酸、ソルビタンモノオレエート等のエステル、その他アミン等を例示することができる。
酸化防止剤の配合量としては、その添加する目的等に応じて適宜決定することが可能であり、特に限定はない。具体的には、本発明の組成物全体100質量%中に、0.01~3.0質量%とすることが好ましく、0.1~1.0質量%とすることがより好ましい。
防錆剤の配合量としては、その添加する目的等に応じて適宜決定することが可能であり、特に限定はない。具体的には、本発明の組成物全体100質量%中に、0.01~5.0質量%とすることが好ましく、0.1~3.0質量%とすることがより好ましい。
尚、本発明の組成物は、常法により得ることが可能であり、例えば、上述した成分を混合することにより得ることができる。
(2.冷間圧延方法)
本発明は、上記した本発明の組成物を鋼板表面に付着させた後に、冷間圧延する冷間圧延方法に関する発明を包含する。
本発明の冷間圧延方法では、上述した本発明の組成物をプレコート油として冷間圧延(タンデム冷間圧延機による冷間圧延)の前工程において、鋼板に塗布(塗油)される。この際、本発明の組成物に溶剤が含まれない場合には、当該組成物に適宜溶剤を添加してプレコート油とすることも好ましい。本発明の組成物を鋼板に塗油する方法としては公知の方法を広く採用することが可能であり、特に限定はない。具体的には、静電塗油装置を使用して塗油する方法を例示することができる。
ここで、冷間圧延の前工程において塗油するプレコート油の塗油量は、鋼板の厚み及び鋼板の幅等に応じて適宜決定される。例えば、200~2000mg/mとすることが好ましく、300~2000mg/mとすることがより好ましく、400~2000mg/mとすることがさらに好ましい。
プレコート油の塗油量を200mg/m以上とすることにより、鋼板表面に充分な潤滑性を付与すると共に、鋼板表面における錆の発生を抑制することが可能となる。また、2000mg/m以下とすることにより、圧延工程におけるスリップの発生を低減することが可能であり、且つ、コスト面でも効率的である。
従来の冷間圧延方法においては、上記プレコート油を鋼板に塗油した後、圧延機(タンデム圧延機)の1スタンド目において、さらに圧延油をエマルジョン噴霧して圧延が実施される。従来の冷間圧延方法においては、タンデム圧延機の1スタンド目において圧延油をエマルジョン噴霧しない場合、鋼板表面における充分な潤滑性を得ることができず、圧延トラブル発生のリスクが高くなる。
一方、本発明の冷間圧延方法においては、上記した本発明の組成物が極めて優れた潤滑性を有しているため、圧延機の1スタンド目においてさらに圧延油をエマルジョン噴霧する工程が不要である。
また、本発明の冷間圧延方法は、融点の低いプレコート油(上述した本発明の組成物)を使用することから、冬季においても塗油装置のノズルにおける詰まりに関する問題がなく、冷間圧延操作を安定操業することが可能である。
タンデム圧延機による冷間圧延において、2スタンド目以降の圧延については、必要に応じて圧延油を噴霧などの方法により鋼板表面に塗油して圧延を実施してもよい。2スタンド目以降の圧延において使用する圧延油としては特に限定はなく、公知の圧延油を広く使用することができる。具体的には植物油ベース、より具体的にはパーム油ベースの圧延油を使用することが好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
下記表1に示す組成(表中における組成に関する数値の単位は、組成物全体100質量%中における「質量%」である。)で各成分を混合し、各実施例及び比較例の組成物を得た。また、各実施例及び比較例の融点は、JIS0065-1992に準拠した凝固点測定方法により得た。
Figure 0007057951000001
リン系極圧剤:ジオレイルハイドロゼンホスファイト
防錆剤:9-オクタデセン酸
酸化防止剤:2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール
(バウデン試験)
冷間圧延機1スタンド目での圧延を模擬し、バウデン試験を実施して摩擦係数を比較した。まず、各実施例及び比較例の組成物を、濃度5.5質量%でN-ヘキサンに溶かし、プレコート油を得た。その後、図2に示すとおり、試験片としての鋼板(80mm×100mm×0.8mm)を各実施例及び比較例を使用して得たプレコート油に浸漬した。その後、鋼板を引き上げて一昼夜風乾させた。風乾後の各鋼板における組成物の付着量(片面)は、下記表2の通りであった。尚、当該付着量については、各実施例及び比較例について5つの試験片を用意して試験を実施し、その平均値を算出して平均付着量として評価した。
Figure 0007057951000002
表2に示すとおり、各実施例及び比較例において約1000mg/mの付着量となった。各実施例及び比較例の間で付着量にごく僅かの相違が見られるが、粘度の違いに起因するものと考えられる。
図3に示したバウデン試験機を用いて、各実施例及び比較例から得られたプレコート油についてバウデン試験を実施した。この際の試験条件は、下記の通りとした。
摺動速度:3.88mm/s
摺動回数:5回
試験片:SPCC―SD
試験球:SUJ-2
温度:室温(10~25℃)
負荷重量:1kgf
下記表3に示すとおり、N=3でバウデン試験を実施し、平均摩擦係数を得た。
Figure 0007057951000003
(低温固化試験)
実施例1、比較例1及び比較例2より得られたプレコート油を、それぞれ約8mLずつ容量10mLのスクリュー管に入れ、0℃の恒温恒湿槽で静置した。そして、室温(約15℃)下において各プレコート油をスクリュー管に移した直後、1日後、3日後の時点におけるプレコート油の状態を観察した(図4に写真を示す)。評価基準としては、スクリュー管を30度傾けて、流動しないものを固化したと評価した。尚、図4の3つの写真は、それぞれ実施例1、比較例1及び比較例2のスクリュー管を左から順に並べて撮影したものである。
比較例1については、スクリュー管に移した直後から固化していた。実施例1及び比較例については、スクリュー管に移した直後を含め、1日後、3日後の時点においても固化が確認できず、流動性を保っていることが確認された。
融点は分子同士が配向し、凝集した状態から分かれる温度であると推察される。このため、実施例の1のように融点が互いに異なる物質を混ぜ合わせた場合には、融点の低い物質が融点の高い物質の配向を阻害することにより、全体の融点を低くすることができると考えられる。その結果、実施例1より得られるプレコート油のほうが比較例1より得られるプレコート油よりも融点が低いと考えられる。
(冷間圧延機を使用した評価試験)
実施例1、比較例1及び比較例2より得られるプレコート油を、静電塗油装置を用いて鋼板(低炭素鋼)に塗油し、タンデム冷間圧延機を使用して冷間圧延を行った。尚、圧延の前処理として実施例1、比較例1及び比較例2より得られるプレコート油を鋼板表面に塗油する際に、実施例1及び比較例1では700mg/mの塗油量で、比較例2では1500mg/mの塗油量で塗油した。また、実施例1、比較例1及び比較例2より得られるプレコート油を使用する全ての場合において、冷間圧延機の1スタンド目における圧延油の円ルジョン噴霧は実施しなかった。その上で、タンデム冷間圧延機の1スタンド目において、圧延することにより、鋼板にかかる荷重を測定した。その結果を下記表4及び図5に示した。表4に示す結果は、図5に示すグラフの荷重平均値である。荷重平均値が小さいほど良好な潤滑性が得られていることから、圧延機にかかる負担が小さい。
Figure 0007057951000004
実施例1と比較例1との荷重平均値は同等レベルであったが、比較例2のそれは顕著に大きな値を示した。
同様の冷間圧延機を使用した評価試験を、中炭素鋼の鋼板を使用して実施した。実施例1、比較例1及び比較例2により得られるプレコート油を使用した。実施例1及び比較例1では700mg/mの塗油量で鋼板にプレコート油を塗油し、エマルジョン噴霧による、更なる圧延油の塗油は行わなかった。試験結果を、下記表5及び図6に示した。表5に示す結果は、図6に示すグラフの荷重平均値である。荷重平均値が小さいほど良好な潤滑性が得られていることから、圧延機にかかる負担が小さい。
Figure 0007057951000005
実施例2については、圧延の際の荷重が高くなりすぎるため、圧延が不可能であった。一方、実施例1及び比較例1については、同等レベルの荷重が確認された。
表3、4及び5から冷間圧延機を使用した評価結果とバウデン試験の結果とが相関していることが分かる。実施例4については、バウデン試験の結果が実施例1と比較例1の間に位置することから低炭素鋼の圧延は可能で、中炭素鋼の圧延についても実施例1よりも若干荷重平均値は高くなるものの圧延出来ると推測出来る。
尚、実施例1、2及び比較例1より得られるプレコート油を使用して冷間圧延を実施する際の評価を下記表6に示す。
実施例1、2、及び比較例1を11月後半~1月の気温が低くなる時期にかけて、冷間圧延の前工程において、主に防錆目的でプレコートに用いた際にどのような状態であったかを確認した結果を下記表6に示す。
静電塗油装置でプレコート油を鋼板に噴霧した際に、鋼板以外のテーブルやロール等の設備に付着したプレコート油の状態について、ミスト化された後に設備に付着したプレコート油が気温の影響で固化するかどうかが良否判定の基準とした。具体的な判定基準については、下記の通りとした。
○:液状で固化はしない。
△:液状だが周辺設備に付着した一部が固化している。
×:噴霧は可能だが、ノズルや周辺設備に付着したほとんどが固化している。
Figure 0007057951000006
本発明の冷間圧延の前処理用組成物は、圧延油をエマルジョン噴霧する必要がないため、コスト面及び潤滑性能にも優れる。

Claims (5)

  1. 鉱物油及び植物油を含有し、
    前記鉱物油と前記植物油との質量比が、鉱物油:植物油=32:68~82:18であり、
    前記鉱物油はナフテン系鉱物油であり、前記植物油はパーム油である、冷間圧延の前処理用組成物(但し、該前処理用組成物は、下記A~Fに示す成分を含有しない)。
    A:α―オレフィン-無水マレイン酸共重合体の部分エステル(分子量10,000~50,000)
    B:石油スルホン酸ナトリウム
    C:界面活性剤
    D:炭素数16~20の高級脂肪族不飽和酸のダイマー酸及びポリマー酸からなる群より選ばれる1種以上と、ポリオール類とから得られるエステル
    E:乳化剤
    F:無機固体粉末
  2. さらに極圧剤を含み、
    前記極圧剤の含有量は、前記鉱物油、前記植物油及び前記極圧剤の合計100質量%中に0.01~3質量%である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記極圧剤がリン系極圧剤である、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 請求項1~3の何れか1項に記載の組成物を鋼板表面に付着させる工程(1)、及び冷間圧延する工程(2)を含む、冷間圧延方法。
  5. 前記工程(2)において、圧延機の1スタンド目において圧延油をエマルジョン噴霧しない、請求項4に記載の冷間圧延方法。
JP2020076585A 2020-04-23 2020-04-23 冷間圧延の前処理用組成物及び冷間圧延方法 Active JP7057951B2 (ja)

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