JP2004256630A - 圧延用潤滑剤組成物と熱間圧延方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】潤滑性に優れ、高温かつ多量の冷却水がかかるワークロール表面に効率よく付着せしめ流れ落ちず、圧延材料とワークロール間との焼付き防止に優れ、かつ排水処理が容易な圧延用潤滑剤組成物の提供と、その組成物を用いる圧延材料の熱間圧延方法の提供。
【解決手段】潤滑剤基油、無機固体粉末ならびに有機チタン化合物および/または有機シラン化合物を含有する圧延用潤滑剤組成物であり、好ましくはさらに有機ベントナイトを含有する組成物。
【選択図】なし
【解決手段】潤滑剤基油、無機固体粉末ならびに有機チタン化合物および/または有機シラン化合物を含有する圧延用潤滑剤組成物であり、好ましくはさらに有機ベントナイトを含有する組成物。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼材の熱間圧延加工において、圧延材料とワークロールの焼付きを防止し、ワークロール表面の摩耗を抑制するとともに、圧延材料の表面の品質を向上させることを目的とした圧延用潤滑剤組成物およびそれを用いて圧延材料を熱間圧延する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼材の熱間圧延加工においては、800〜1100℃に加熱した圧延材料をワークロールで圧延するため、その摩擦面の温度は極めて高温になり、冷却のために多量の冷却水を放水するが、このような高温かつ多量の冷却水がかかっている圧延材料とワークロールとの摩擦面に潤滑剤を供給するためには、オリフィス径を利用して高圧の水で潤滑剤の濃度が数%となるように噴射させるウォーターインジェクション給油方式が採られている。
【0003】
このような高温かつ多量の冷却水がかかる摩擦面に供給し効果を有する潤滑剤組成物としては、従来、鉱物油、油脂、脂肪酸、合成エステル、イオウ系極圧添加剤およびリン系極圧添加剤などを配合した潤滑剤組成物や、これらの潤滑剤基油に高塩基性カルシウムスルホネートを加えたり(特許文献1)、炭酸カルシウムを分散させたり(特許文献2〜特許文献5)したものなどが提案されている。
【0004】
高塩基性カルシウムスルホネートを加えた系においては、原液安定性に欠け、貯蔵中にカルシウム分が析出し、給油配管やノズルなどを詰める問題がある。
【0005】
炭酸カルシウムの結晶は剪断抵抗が小さいために、耐焼付き性が優れており、かつCaCO3 =CaO+CO2 −42kcal(解離圧1atm/898 ℃)の反応式で示されるように、圧延時の材料温度である1000℃程度の高温においては、生石灰と二酸化炭素に分解し、その反応は吸熱反応であるため、摩擦温度が上昇した場合には、この反応が生じて吸熱し、冷却して摩擦温度を下げ、焼付き状態に至るのを防止する作用を有する。しかし、単に基油に炭酸カルシウムを分散させた系においては、ワークロール表面への付着性が乏しく、給油後にワークロール冷却水によって流れ落ち、熱間圧延時には潤滑剤が存在せず、さらに油水分離槽において炭酸カルシウムが水相に沈降するため、排水処理などの問題がある。
【0006】
また、従来の潤滑剤組成物において、効率的に潤滑剤を付着せしめる目的で、少量の界面活性剤やダイマー酸、無水アルケニルコハク酸などの脂肪酸類やその金属塩などの併用によりW/O型エマルジョンを形成させる方法や、ポリマー(ポリメタクリレート、ポリブテン、ポリイソブチレンなど)により増粘させ、その粘性により、ワークロール表面へ付着せしめる方法が採られているが、付着むらが生じ、その効果は不十分であり、油水分離槽において、乳化状態となり容易に分離せず、排水処理などの問題がある。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−231943号公報
【特許文献2】
特開昭53−5211号公報
【特許文献3】
特開昭53−127352号公報
【特許文献4】
特開昭54−48666号公報
【特許文献5】
特開2000−160181号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、潤滑性に優れ、高温かつ多量の冷却水がかかるワークロール表面に効率よく付着せしめ、流れ落ちず、圧延材料とワークロール間との焼付き防止に優れ、かつ容易な排水処理が可能な熱間圧延用潤滑剤組成物を提供することである。特に、熱間圧延の場合に採用されているインジェクション給油方式において、流れ落ちることなく、効率よくワークロール表面に付着し、安定した圧延を可能にする熱間圧延用潤滑剤組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、潤滑剤基油、無機固体粉末ならびに有機チタン化合物および/または有機シラン化合物を含有することを特徴とする圧延用潤滑剤組成物である。
【0010】
本発明の圧延用潤滑剤組成物の成分含有量は、無機固体粉末が基油100質量%に対して2〜100質量%、特に5〜80質量%であり、有機チタン化合物および/または有機シラン化合物が該組成物全量に対して0.05〜10質量%、特に0.1〜8質量%であることが好ましい。
【0011】
本発明の圧延用潤滑剤組成物は、有機チタン化合物が有機チタネート系カップリング剤であることが好ましい。
【0012】
本発明の圧延用潤滑剤組成物は、有機シラン化合物が有機シラン系カップリング剤であることが好ましい。
【0013】
本発明の圧延用潤滑剤組成物は、無機固体粉末が炭酸カルシウムであることが好ましい。
【0014】
本発明の圧延用潤滑剤組成物は、さらに有機ベントナイトを含有することが好ましい。
【0015】
本発明の潤滑剤基油は、鉱物油を含有することが好ましい。
【0016】
本発明の潤滑剤基油は、鉱物油、ならびに油脂および/または合成エステルを含有することが好ましい。
【0017】
本発明の潤滑剤基油は、鉱物油、油脂および/または合成エステル、および極圧添加剤を含有することが好ましい。
【0018】
本発明の潤滑剤組成物は、熱間圧延用であることが好ましい。
【0019】
また、本発明は、熱間圧延用潤滑剤組成物を、ウォーターインジェクション給油方式により水に分散させ、得られた分散液をロール表面に噴霧し、圧延材料をロール圧延することを特徴とする熱間圧延材料の熱間圧延方法である。
【0020】
本発明の熱間圧延材料は、鋼材であるのが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の圧延用潤滑剤組成物は、潤滑剤基油と添加剤を含有し、基油は鉱物油、または鉱物油と油脂および/または合成エステルを含有する。潤滑剤組成物の基油の組成は20〜98質量%、好ましくは25〜80質量%である。
基油の鉱物油は、マシン油、モーター油、シリンダー油、ニュートラル油などの粘度が5〜500mm2/sec (40℃)のものが好ましい。油脂は、牛脂、ラード、パーム油、ヤシ油、ナタネ油、ヒマシ油、大豆油、米ぬか油、綿実油などの動植物油などである。合成エステルは、前記油脂を構成する各種脂肪酸のエステルなどである。
【0022】
基油には、必要に応じて、極圧添加剤を含有させることが好ましい。極圧添加剤としては、イオウ系またはリン系のものが好ましい。イオウ系極圧添加剤は、硫化油脂、硫化エステル、硫化オレフィン、ジアルキルポリサルファイド、ジアリールポリサルファイド、粉末イオウなどである。リン系極圧添加剤は、リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性リン酸エステルなどである。
【0023】
本発明に使用される潤滑剤基油の鉱物油と、油脂および/または合成エステルと、極圧添加剤の組成は、鉱物油100質量%に対して、油脂および/または合成エステルと極圧添加剤を合わせて80質量%以下であるが、基油の40℃の動粘度が5〜500mm2/sec 、好ましくは20〜400mm2/sec になるように調整される。5mm2/sec 未満であると、ワークロールへの付着性と高温付着耐性に問題が生じ、500mm2/sec 超であると、作業性が悪くなる。油脂および/または合成エステルと極圧添加剤の割合は0〜100質量%の範囲で、必要に応じて決めればよく、特に制限されない。
【0024】
本発明に使用される無機固体粉末は、炭酸カルシウムなどの炭酸塩;雲母、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、グラファイトなどの固体潤滑剤;モンモリロナイト、カオリン、タルクなどの粘土鉱物、酸化鉄、シリカなどであり、これらを併用することもできる。中でも、炭酸カルシウムが特に好ましい。無機固体粉末の粒径は10μm以下であるのが好ましく、5μm以下がより好ましく、1μm以下がさらに好ましい。
無機固体粉末は、基油の種類により異なるが、基油100質量%に対し2〜100質量%、好ましくは5〜80質量%の割合で配合される。2質量%未満であると耐焼付き性が不十分であり、100質量%超であると給油性などの作業性が悪くなる。
【0025】
炭酸カルシウムには、製造方法から、天然炭酸カルシウムである重質炭酸カルシウムと合成炭酸カルシウムである沈降炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム)があり、結晶学的には、アラゴナイト、カルサイト、バテライトに分類されるが、それらのいずれも使用することができる。また、炭酸カルシウムの分散性を良好にするために、樹脂酸、脂肪酸、界面活性剤などで表面処理した表面処理炭酸カルシウムも使用することができる。無論、未表面処理炭酸カルシウムも使用することができる。
【0026】
本発明に使用される有機チタン化合物および有機シラン化合物(両者を有機カップリング剤とも称す)は、加水分解性基を有し、カップリング作用を有するものである。加水分解性基が無機固体粉末の表面と共有結合、イオン結合、水素結合、酸塩基結合およびファンデルワールス結合により縮合し、有機カップリング剤が無機固体粉末の表面に結合する(Y−Ti−O−M、Y−Ti−O−M;Yは有機官能基、Mは無機固体粉末の表面)。好ましいのは、有機チタネート系カップリング剤または有機シラン系カップリング剤として知られるものである。
【0027】
一方、有機カップリング剤の有機官能基は、基油との共有結合またはファンデルワールス結合により、無機固体粉末を基油中に均一分散させ、かつ冷却水がかかるワークロール表面に対しても無機固体粉末を効率的に付着させる作用をする。すなわち、有機カップリング剤は、耐熱性を有し、ワークロールの焼付きを防止する無機固体粉末の表面を疎水化し、無機固体粉末を基油中に均一に分散させ、効率的にワークロール表面に付着せしめ、かつ油水分離槽においても基油中に存在し、排水処理を容易にする。
【0028】
本発明に使用される有機カップリング剤は、無機固体粉末の種類、比表面積、極性基の数、表面の水量などにより異なるが、潤滑剤組成物の0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜8質量%の割合で使用される。0.05質量%未満であると、効果が不十分であり、10質量%超であると高価であり、実用的ではない。有機チタン化合物も有機シラン化合物も併用することができる。
【0029】
本発明に使用される有機チタン化合物は、チタンアルコキシドTi(OR)4−n (OR’) n 、チタンアシレートTi(OCOR)4−n (OR’) n 、チタンキレートTi(OR)2 (HOYO)2 またはTi(OR)2 (H2NYO)2の3群に分類される。なお、R、R’およびYは炭化水素基、nは0または1〜4の整数を示す。
チタンアルコキシドとしては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、テトラメチルチタネートなどのテトラアルコキシチタンが挙げられる。チタンアシレートとしては、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。チタンキレートとしては、チタンアセチルアセテートTi(OPr)2 C3H7O2)2 、チタンエチルアセトアセテートTi(OPr)2 C6H9O3)2 、水溶性チタンラクテートTi(OH)2 (C3H7O2)2 、チタントリエタノールアミネートTi(OPr)2 C6H14O3N)2 などが挙げられる。特に好ましいのはチタニウムステアレート、ジイソプロポキシチタンジイソステアレート、テトライソプロポキシチタン、ジイソプロポキシチタンビスアセチルアセテートなどである。
【0030】もちろん、有機チタネート系カップリング剤として知られるアシレートTi(OCOR)4−n (OR’) n 、ホスフェートTi[OP(OR)2]4−n(OR’)n およびアルコラートTi(OR)4−n (OR’) n が好ましく使用される。なお、RおよびR’は炭化水素基、nは0または1〜4の整数を示す。
【0031】
具体的には、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ−n−ドデシルベンゼンスルホニルチタネートなどのアシレート;イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネートなどのホスフェート;イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリロイルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネートなどのアルコラート;イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チタネートなどが例示される。
【0032】
特に好ましいのはイソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネートなどのホスフェート;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ−n−ドデシルベンゼンスルホニルチタネートなどのアシレートである。
有機チタン化合物、有機シラン化合物はもちろん、併用することができる。
【0033】
本発明に使用される有機シラン化合物は、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−[2−(ビニルベンジルアミノ)エチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩などが例示される。
【0034】
特に好ましいのはメチルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどである。
【0035】
有機ベントナイトは、無機固体粉末の安定化、沈降防止、および皮膜改質を目的として含有される。有機ベントナイトは、モンモリロナイトにトリアルキルベンジルアンモニウム、ジメチルジアルキルアンモニウム、トリメチルアルキルアンモニウムなどの第四級アンモニウムを複合させた親有機性変性ベントナイトである。
有機ベントナイトの配合割合は、圧延潤滑剤組成物の0.2〜20質量%、好ましくは0.5〜15質量%である。0.2質量%未満では、沈降防止が不十分であり、20質量%超では、潤滑剤組成物の粘度が著しく高くなる恐れがあり、高価となる。
【0036】
本発明の圧延用潤滑剤組成物には、必要に応じて、少量の溶媒和促進剤としてジメチルフタレート、メタノール、エタノール、アセトン、プロピレンカーボネート、非イオン界面活性剤などの低分子量高極性有機化合物を加え混合することによって、基油に分散させた有機ベントナイトを効率的に膨潤させ安定なゲルを生成させることができ、その粘度はチクソトロピー性流体粘度となり、無機固体粉末の沈降を防止するとともに、潤滑剤組成物の効率的な付着に寄与する。
【0037】
本発明の潤滑剤組成物は、基油を構成する鉱物油、油脂および/または合成エステルと、無機固体粉末を混合攪拌することにより調製される。もちろん、その際、極圧添加剤、分散剤、その他の添加剤を随時添加混合することができる。
混合にはミキサーなどの常套手段が適宜使用される。混合は各成分が均一に分散するまで、十分な時間を掛けるのが好ましい。
【0038】
本発明の潤滑剤組成物の供給方法としては、従来より公知の各種方法で実施できる。例えば、一対のワークロールの間を圧延材料が通過する際に、材料表面、ロール表面に潤滑剤組成物を水と混合して供給するウォーターインジェクション給油方式や、予め攪拌機などにより潤滑剤組成物を水に分散させ供給するプレミックス給油方式、さらに圧縮空気により噴霧状にして供給するエアートマイズ給油方式や加熱蒸気で噴霧化して供給するスチームアトマイズ給油方式等がある。もちろん、本発明の潤滑剤組成物は原液のまま供給する直接給油方式においても使用することができる。特に熱間圧延の場合に採用されているウォーターインジェクション給油方式が好適である。
【0039】
給油条件は、ウォーターインジェクション給油方式の場合は、例えば、潤滑剤組成物の濃度が0.1〜20質量%程度となるように水と混合させ、供給量はスタンド当たり0.1〜100L/min 程度である。
【0040】
圧延に使用された潤滑剤組成物は冷却水とともに集液され、油水分離槽において、油水分離される。圧延に使用された潤滑剤組成物は油水分離性が良好であり、分離された排水には、油分の混入がないので、冷却水として再利用することもできる。
【0041】
本発明の圧延用潤滑剤組成物は、各種金属の圧延材料に適用できるが、鋼材への適用に適している。圧延材料の形状は板状でも、管状でも差支えない。通常の圧下率で圧延可能である。
【0042】
【実施例】
以下、実施例に従い、本発明を具体的に説明する。
(発明例1〜20、比較例1〜10)
表1〜3に示す基油(鉱物油、油脂、合成エステル)、極圧添加剤(ポリサルファイト、硫化油脂、硫化エステル、酸性リン酸エステル)、無機固体粉末(微粉末炭酸カルシウム、炭酸カルシウム1,2、二硫化モリブデン、シリカ、酸化鉄、高塩基性カルシウムスルホネート)、有機カップリング剤(有機チタネート系カップリング剤、有機チタネート1,2、有機シラン1,2)、有機ベントナイト、溶媒和促進剤(ジメチルフタレート)、増粘剤(ポリメタクリレート)、乳化剤(非イオン界面活性剤)を、表1〜3に示す割合で、ブレンドタンクに入れ、30分間混合攪拌して、均一に分散した潤滑剤組成物を調製した。
【0043】
鉱物油: ニュートラル油(40℃粘度26mm2/sec )
油脂: 精製ナタネ油
硫化油脂: 硫化ラード(S=15)
合成エステル: オレイン酸ペンタエリスリトールテトラエステル
ポリサルファイド: ジターシャリードデシルポリサルファイド
(S=32)
硫化エステル: 硫化オレイン酸メチル(S=10)
【0044】
酸性リン酸エステル: 2−エチルヘキシルアシッドホスフェイト
炭酸カルシウム1: 沈降性炭酸カルシウム(平均粒径0.17μm)
炭酸カルシウム2: ロジン酸表面処理沈降性炭酸カルシウム(平均粒径0.14μm)
高塩基性カルシウムスルホネート: 塩基価400
二硫化モリブデン: 平均粒径0.4μm
酸化鉄 : 平均粒径1.0μm
シリカ: 平均粒径30nm
【0045】
有機チタネート系カップリング剤: イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート
有機チタネート1 : チタニウムステアレート
有機チタネート2: ジイソプロポキシチタンジイソステアレート
有機シラン1: ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン
有機シラン2: メチルトリメトキシシラン
有機ベントナイト: 精製モンモリロナイト四級アンモニウム複合体
非イオン系界面活性剤: ポリオキシエチレンモノオレエート(HLB=7.9)
【0046】
潤滑剤組成物の熱間リング圧縮試験による耐焼付き性および摩擦係数、ウォーターインジェクション給油方式によるステンレス鋼板への潤滑剤組成物の付着性、エアースプレー給油方式によるステンレス鋼板への潤滑剤組成物の付着量に対するウォーターインジェクション給油方式による同付着量の付着効率、無機固体粉末の潤滑剤組成物における分散安定性、および噴射後の廃液の油水分離性を測定した。各測定方法と結果を、表1〜3に示した。
【0047】
(熱間リング圧縮試験による耐焼付け性および摩擦係数)
上下ダイス(SKD−61、HRC=58)に、潤滑剤組成物を塗布し(付着量10g/m2)、1000℃に5分間加熱したリング試験片(SUS−403、30φ×15φ×10mm)を圧縮した(圧縮率30〜40%)場合のダイスへの焼付き性および潤滑性としての摩擦係数を測定した。なお、上ダイスの落下高さは45mm、荷重は40tである。
【0048】
圧縮後の上部ダイスへの焼付き程度を下記A〜Eの5段階評価し、摩擦係数については、リング試験片の圧縮率、内径変化率を測定して算出した。
A: 焼付き全くなし
B: 焼付きが僅かにあり
C: 焼付きが少ない
D: 焼付きが多い
E: 焼付きが極めて多い
【0049】
(ウォーターインジェクション給油方式によるステンレス鋼板への潤滑剤組成物の付着性)
ステンレス鋼板SUS−304の試験片1(120×120×1mm)の表面を#1000研磨紙で磨き、脱脂洗浄した。図1に示すウォーターインジェクション給油方式(水圧0.5MPa 、油圧0.8MPa )により、タンク8に貯蔵した潤滑剤組成物とタンク6に貯蔵した水を、それぞれポンプ7および5により混合器4に供給し、混合して得た混合液(濃度5質量%)を、固定したスプレーノズル3(短径0.3mm、長径0.7mm)から、直前に水で濡らした試験片1を滑車2を利用して1回通過させ、その試験片1に噴射した(吐出量80g/min 、スプレー速度2m/sec 、スプレー距離20mm、パターン幅20mm)。
【0050】
5分間静置後に、試験片に付着した潤滑剤組成物の付着状態を観察した。
潤滑剤組成物の付着状態を下記の◎〜×の4段階で評価した。
◎: パターン幅上に均一に付着
○: パターン幅上にほぼ均一に付着
△: パターン幅上に疎に付着または僅かに付着
×: パターン幅上にほとんど付着しない
また、潤滑剤組成物の付着量は試験片を105℃の乾燥機に30分間入れ、乾燥後に測定した。
【0051】
(ウォーターインジェクション給油方式によるステンレス鋼板への潤滑剤組成物の付着効率)
ステンレス鋼板SUS−304の試験片1(120×120×1mm)の表面を#1000研磨紙で磨き、脱脂洗浄した。図2に示すエアースプレー給油方式(エアー圧0.5MPa 、油圧0.1MPa )により、減圧弁11を通して減圧されたエアー圧0.1MPa で、圧送タンク12に貯蔵された潤滑剤組成物を送り、電磁弁10を通して供給されるエアー(0.5MPa ) を利用してスプレーノズル9(2mmφ)から試験片1を滑車2を利用して、1回通過させ、その試験片1に噴射した(吐出量4g/min 、スプレー速度2m/sec 、スプレー距離20mm、パターン幅20mm)。試験片1を105℃の乾燥機に30分間入れて乾燥し、潤滑剤組成物の付着量は乾燥後に測定した。この付着量を100%とし、先のウォーターインジェクション給油方式により試験片1に付着した潤滑剤組成物の付着量を付着効率として計算した。
【0052】
(無機固体粉末の潤滑剤組成物における分散安定性)
潤滑剤組成物100mlを、100mlメスシリンダーに採取し、40℃に維持して静置し、14日後の無機固体粉末の沈降状態を目視観察した。上層部の分離した油分量を測定した。
【0053】
(噴射後の廃液の油水分離性)
潤滑剤組成物80mlと、30℃の水道水720mlを1000mlビーカーに採取し、直径50mmの4枚羽攪拌機を液相部中央に設置し、回転数1000rpm で15分間攪拌した後、そのままの状態で1時間静置し分離した下層部の水道水への無機固体粉末の沈降状態を観察した。無機固体粉末を配合していないものについては、水道水の縣濁状態を観察した。
【0054】
無機固体粉末の沈降状態および水道水の縣濁状態を下記の◎〜×の4段階で評価した。
無機固体粉末の沈降状態
◎: 全く沈降していない
○: 極く僅かに沈降している
△: 多少沈降している
×: 多量に沈降している
水道水の縣濁状態
◎: 全く縣濁していない
○: 極く僅かに縣濁している
△: 多少縣濁している
×: 酷く縣濁している
【0055】
表1〜3から次のことがわかる。
(1)本発明の圧延潤滑剤組成物は、有機チタン化合物および/または有機シラン化合物を含有するため、ウォーターインジェクション給油方式における潤滑剤組成物の付着状態および付着効率が著しく良好であり、また油水分離性が良好である。
(2)本発明の圧延潤滑剤組成物は、耐焼付き性および摩擦係数がともに良好である。
(3)本発明の圧延潤滑剤組成物は、有機ベントナイトを含有する場合には、無機固体粉末の安定性、沈降防止が著しく良好であり、潤滑剤組成物の付着状態および耐焼付き性にも寄与している。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
(表1〜3の成分)
鉱物油 ニュートラル油(40℃粘度26mm2/sec )
油脂 精製ナタネ油
合成エステル オレイン酸ペンタエリスリトールテトラエステル
ポリサルファイド ジターシャリードデシルポリサルファイド(S=32)
硫化油脂 硫化ラード(S=15)
炭酸カルシウム1 沈降性炭酸カルシウム(平均粒径0.17μm)
炭酸カルシウム2 ロジン酸表面処理沈降性炭酸カルシウム(平均粒径0.14μm)
硫化エステル 硫化オレイン酸メチル(S=10)
酸性リン酸エステル 2−エチルヘキシルアシッドホスフェイト
高塩基性カルシウムスルホネート 塩基価400
二硫化モリブデン 平均粒径0.4μm
酸化鉄 平均粒径1.0μm
シリカ 平均粒径30nm
有機チタネート系カップリング剤 イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート
有機チタネート1 チタニウムステアレート
有機チタネート2 ジイソプロポキシチタンジイソステアレート
有機シラン1 ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン
有機シラン2 メチルトリメトキシシラン
有機ベントナイト 精製モンモリロナイト四級アンモニウム複合体
非イオン系界面活性剤 ポリオキシエチレンモノオレエート(HLB=7.9)
【0060】
【発明の効果】
本発明の圧延潤滑剤組成物は、従来の加工油では抑制できなかった圧延材料とワークロールの焼付きを防止することができ、焼付きによるワークロールの交換、修繕の手間が省け、操業性、生産性の向上となり、かつ圧延材料の表面の品質向上に寄与する。また、本発明の圧延潤滑剤組成物は、ウォーターインジェクション給油方式において、効率的にワークロール表面へ付着させることができるため、少ない使用量(噴射量)で効果を発揮し、また油水分離性が良好なので、排水処理が容易になる。なお、本発明は、冷間圧延にも十分に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウォーターインジェクション給油方式の概略図である。
【図2】エアースプレー給油方式の概略図である。
【符号の説明】
1.圧延材料
2.滑車
3.スプレーノズル
4.混合器
5.水用ポンプ
6.水用タンク
7.潤滑剤組成物用ポンプ
8.潤滑剤組成物用タンク
9.エアースプレーノズル
10.電磁弁
11.減圧弁
12.潤滑剤組成物用圧送タンク
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼材の熱間圧延加工において、圧延材料とワークロールの焼付きを防止し、ワークロール表面の摩耗を抑制するとともに、圧延材料の表面の品質を向上させることを目的とした圧延用潤滑剤組成物およびそれを用いて圧延材料を熱間圧延する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼材の熱間圧延加工においては、800〜1100℃に加熱した圧延材料をワークロールで圧延するため、その摩擦面の温度は極めて高温になり、冷却のために多量の冷却水を放水するが、このような高温かつ多量の冷却水がかかっている圧延材料とワークロールとの摩擦面に潤滑剤を供給するためには、オリフィス径を利用して高圧の水で潤滑剤の濃度が数%となるように噴射させるウォーターインジェクション給油方式が採られている。
【0003】
このような高温かつ多量の冷却水がかかる摩擦面に供給し効果を有する潤滑剤組成物としては、従来、鉱物油、油脂、脂肪酸、合成エステル、イオウ系極圧添加剤およびリン系極圧添加剤などを配合した潤滑剤組成物や、これらの潤滑剤基油に高塩基性カルシウムスルホネートを加えたり(特許文献1)、炭酸カルシウムを分散させたり(特許文献2〜特許文献5)したものなどが提案されている。
【0004】
高塩基性カルシウムスルホネートを加えた系においては、原液安定性に欠け、貯蔵中にカルシウム分が析出し、給油配管やノズルなどを詰める問題がある。
【0005】
炭酸カルシウムの結晶は剪断抵抗が小さいために、耐焼付き性が優れており、かつCaCO3 =CaO+CO2 −42kcal(解離圧1atm/898 ℃)の反応式で示されるように、圧延時の材料温度である1000℃程度の高温においては、生石灰と二酸化炭素に分解し、その反応は吸熱反応であるため、摩擦温度が上昇した場合には、この反応が生じて吸熱し、冷却して摩擦温度を下げ、焼付き状態に至るのを防止する作用を有する。しかし、単に基油に炭酸カルシウムを分散させた系においては、ワークロール表面への付着性が乏しく、給油後にワークロール冷却水によって流れ落ち、熱間圧延時には潤滑剤が存在せず、さらに油水分離槽において炭酸カルシウムが水相に沈降するため、排水処理などの問題がある。
【0006】
また、従来の潤滑剤組成物において、効率的に潤滑剤を付着せしめる目的で、少量の界面活性剤やダイマー酸、無水アルケニルコハク酸などの脂肪酸類やその金属塩などの併用によりW/O型エマルジョンを形成させる方法や、ポリマー(ポリメタクリレート、ポリブテン、ポリイソブチレンなど)により増粘させ、その粘性により、ワークロール表面へ付着せしめる方法が採られているが、付着むらが生じ、その効果は不十分であり、油水分離槽において、乳化状態となり容易に分離せず、排水処理などの問題がある。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−231943号公報
【特許文献2】
特開昭53−5211号公報
【特許文献3】
特開昭53−127352号公報
【特許文献4】
特開昭54−48666号公報
【特許文献5】
特開2000−160181号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、潤滑性に優れ、高温かつ多量の冷却水がかかるワークロール表面に効率よく付着せしめ、流れ落ちず、圧延材料とワークロール間との焼付き防止に優れ、かつ容易な排水処理が可能な熱間圧延用潤滑剤組成物を提供することである。特に、熱間圧延の場合に採用されているインジェクション給油方式において、流れ落ちることなく、効率よくワークロール表面に付着し、安定した圧延を可能にする熱間圧延用潤滑剤組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、潤滑剤基油、無機固体粉末ならびに有機チタン化合物および/または有機シラン化合物を含有することを特徴とする圧延用潤滑剤組成物である。
【0010】
本発明の圧延用潤滑剤組成物の成分含有量は、無機固体粉末が基油100質量%に対して2〜100質量%、特に5〜80質量%であり、有機チタン化合物および/または有機シラン化合物が該組成物全量に対して0.05〜10質量%、特に0.1〜8質量%であることが好ましい。
【0011】
本発明の圧延用潤滑剤組成物は、有機チタン化合物が有機チタネート系カップリング剤であることが好ましい。
【0012】
本発明の圧延用潤滑剤組成物は、有機シラン化合物が有機シラン系カップリング剤であることが好ましい。
【0013】
本発明の圧延用潤滑剤組成物は、無機固体粉末が炭酸カルシウムであることが好ましい。
【0014】
本発明の圧延用潤滑剤組成物は、さらに有機ベントナイトを含有することが好ましい。
【0015】
本発明の潤滑剤基油は、鉱物油を含有することが好ましい。
【0016】
本発明の潤滑剤基油は、鉱物油、ならびに油脂および/または合成エステルを含有することが好ましい。
【0017】
本発明の潤滑剤基油は、鉱物油、油脂および/または合成エステル、および極圧添加剤を含有することが好ましい。
【0018】
本発明の潤滑剤組成物は、熱間圧延用であることが好ましい。
【0019】
また、本発明は、熱間圧延用潤滑剤組成物を、ウォーターインジェクション給油方式により水に分散させ、得られた分散液をロール表面に噴霧し、圧延材料をロール圧延することを特徴とする熱間圧延材料の熱間圧延方法である。
【0020】
本発明の熱間圧延材料は、鋼材であるのが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の圧延用潤滑剤組成物は、潤滑剤基油と添加剤を含有し、基油は鉱物油、または鉱物油と油脂および/または合成エステルを含有する。潤滑剤組成物の基油の組成は20〜98質量%、好ましくは25〜80質量%である。
基油の鉱物油は、マシン油、モーター油、シリンダー油、ニュートラル油などの粘度が5〜500mm2/sec (40℃)のものが好ましい。油脂は、牛脂、ラード、パーム油、ヤシ油、ナタネ油、ヒマシ油、大豆油、米ぬか油、綿実油などの動植物油などである。合成エステルは、前記油脂を構成する各種脂肪酸のエステルなどである。
【0022】
基油には、必要に応じて、極圧添加剤を含有させることが好ましい。極圧添加剤としては、イオウ系またはリン系のものが好ましい。イオウ系極圧添加剤は、硫化油脂、硫化エステル、硫化オレフィン、ジアルキルポリサルファイド、ジアリールポリサルファイド、粉末イオウなどである。リン系極圧添加剤は、リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性リン酸エステルなどである。
【0023】
本発明に使用される潤滑剤基油の鉱物油と、油脂および/または合成エステルと、極圧添加剤の組成は、鉱物油100質量%に対して、油脂および/または合成エステルと極圧添加剤を合わせて80質量%以下であるが、基油の40℃の動粘度が5〜500mm2/sec 、好ましくは20〜400mm2/sec になるように調整される。5mm2/sec 未満であると、ワークロールへの付着性と高温付着耐性に問題が生じ、500mm2/sec 超であると、作業性が悪くなる。油脂および/または合成エステルと極圧添加剤の割合は0〜100質量%の範囲で、必要に応じて決めればよく、特に制限されない。
【0024】
本発明に使用される無機固体粉末は、炭酸カルシウムなどの炭酸塩;雲母、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、グラファイトなどの固体潤滑剤;モンモリロナイト、カオリン、タルクなどの粘土鉱物、酸化鉄、シリカなどであり、これらを併用することもできる。中でも、炭酸カルシウムが特に好ましい。無機固体粉末の粒径は10μm以下であるのが好ましく、5μm以下がより好ましく、1μm以下がさらに好ましい。
無機固体粉末は、基油の種類により異なるが、基油100質量%に対し2〜100質量%、好ましくは5〜80質量%の割合で配合される。2質量%未満であると耐焼付き性が不十分であり、100質量%超であると給油性などの作業性が悪くなる。
【0025】
炭酸カルシウムには、製造方法から、天然炭酸カルシウムである重質炭酸カルシウムと合成炭酸カルシウムである沈降炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム)があり、結晶学的には、アラゴナイト、カルサイト、バテライトに分類されるが、それらのいずれも使用することができる。また、炭酸カルシウムの分散性を良好にするために、樹脂酸、脂肪酸、界面活性剤などで表面処理した表面処理炭酸カルシウムも使用することができる。無論、未表面処理炭酸カルシウムも使用することができる。
【0026】
本発明に使用される有機チタン化合物および有機シラン化合物(両者を有機カップリング剤とも称す)は、加水分解性基を有し、カップリング作用を有するものである。加水分解性基が無機固体粉末の表面と共有結合、イオン結合、水素結合、酸塩基結合およびファンデルワールス結合により縮合し、有機カップリング剤が無機固体粉末の表面に結合する(Y−Ti−O−M、Y−Ti−O−M;Yは有機官能基、Mは無機固体粉末の表面)。好ましいのは、有機チタネート系カップリング剤または有機シラン系カップリング剤として知られるものである。
【0027】
一方、有機カップリング剤の有機官能基は、基油との共有結合またはファンデルワールス結合により、無機固体粉末を基油中に均一分散させ、かつ冷却水がかかるワークロール表面に対しても無機固体粉末を効率的に付着させる作用をする。すなわち、有機カップリング剤は、耐熱性を有し、ワークロールの焼付きを防止する無機固体粉末の表面を疎水化し、無機固体粉末を基油中に均一に分散させ、効率的にワークロール表面に付着せしめ、かつ油水分離槽においても基油中に存在し、排水処理を容易にする。
【0028】
本発明に使用される有機カップリング剤は、無機固体粉末の種類、比表面積、極性基の数、表面の水量などにより異なるが、潤滑剤組成物の0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜8質量%の割合で使用される。0.05質量%未満であると、効果が不十分であり、10質量%超であると高価であり、実用的ではない。有機チタン化合物も有機シラン化合物も併用することができる。
【0029】
本発明に使用される有機チタン化合物は、チタンアルコキシドTi(OR)4−n (OR’) n 、チタンアシレートTi(OCOR)4−n (OR’) n 、チタンキレートTi(OR)2 (HOYO)2 またはTi(OR)2 (H2NYO)2の3群に分類される。なお、R、R’およびYは炭化水素基、nは0または1〜4の整数を示す。
チタンアルコキシドとしては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、テトラメチルチタネートなどのテトラアルコキシチタンが挙げられる。チタンアシレートとしては、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。チタンキレートとしては、チタンアセチルアセテートTi(OPr)2 C3H7O2)2 、チタンエチルアセトアセテートTi(OPr)2 C6H9O3)2 、水溶性チタンラクテートTi(OH)2 (C3H7O2)2 、チタントリエタノールアミネートTi(OPr)2 C6H14O3N)2 などが挙げられる。特に好ましいのはチタニウムステアレート、ジイソプロポキシチタンジイソステアレート、テトライソプロポキシチタン、ジイソプロポキシチタンビスアセチルアセテートなどである。
【0030】もちろん、有機チタネート系カップリング剤として知られるアシレートTi(OCOR)4−n (OR’) n 、ホスフェートTi[OP(OR)2]4−n(OR’)n およびアルコラートTi(OR)4−n (OR’) n が好ましく使用される。なお、RおよびR’は炭化水素基、nは0または1〜4の整数を示す。
【0031】
具体的には、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ−n−ドデシルベンゼンスルホニルチタネートなどのアシレート;イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネートなどのホスフェート;イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリロイルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネートなどのアルコラート;イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チタネートなどが例示される。
【0032】
特に好ましいのはイソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネートなどのホスフェート;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ−n−ドデシルベンゼンスルホニルチタネートなどのアシレートである。
有機チタン化合物、有機シラン化合物はもちろん、併用することができる。
【0033】
本発明に使用される有機シラン化合物は、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−[2−(ビニルベンジルアミノ)エチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩などが例示される。
【0034】
特に好ましいのはメチルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどである。
【0035】
有機ベントナイトは、無機固体粉末の安定化、沈降防止、および皮膜改質を目的として含有される。有機ベントナイトは、モンモリロナイトにトリアルキルベンジルアンモニウム、ジメチルジアルキルアンモニウム、トリメチルアルキルアンモニウムなどの第四級アンモニウムを複合させた親有機性変性ベントナイトである。
有機ベントナイトの配合割合は、圧延潤滑剤組成物の0.2〜20質量%、好ましくは0.5〜15質量%である。0.2質量%未満では、沈降防止が不十分であり、20質量%超では、潤滑剤組成物の粘度が著しく高くなる恐れがあり、高価となる。
【0036】
本発明の圧延用潤滑剤組成物には、必要に応じて、少量の溶媒和促進剤としてジメチルフタレート、メタノール、エタノール、アセトン、プロピレンカーボネート、非イオン界面活性剤などの低分子量高極性有機化合物を加え混合することによって、基油に分散させた有機ベントナイトを効率的に膨潤させ安定なゲルを生成させることができ、その粘度はチクソトロピー性流体粘度となり、無機固体粉末の沈降を防止するとともに、潤滑剤組成物の効率的な付着に寄与する。
【0037】
本発明の潤滑剤組成物は、基油を構成する鉱物油、油脂および/または合成エステルと、無機固体粉末を混合攪拌することにより調製される。もちろん、その際、極圧添加剤、分散剤、その他の添加剤を随時添加混合することができる。
混合にはミキサーなどの常套手段が適宜使用される。混合は各成分が均一に分散するまで、十分な時間を掛けるのが好ましい。
【0038】
本発明の潤滑剤組成物の供給方法としては、従来より公知の各種方法で実施できる。例えば、一対のワークロールの間を圧延材料が通過する際に、材料表面、ロール表面に潤滑剤組成物を水と混合して供給するウォーターインジェクション給油方式や、予め攪拌機などにより潤滑剤組成物を水に分散させ供給するプレミックス給油方式、さらに圧縮空気により噴霧状にして供給するエアートマイズ給油方式や加熱蒸気で噴霧化して供給するスチームアトマイズ給油方式等がある。もちろん、本発明の潤滑剤組成物は原液のまま供給する直接給油方式においても使用することができる。特に熱間圧延の場合に採用されているウォーターインジェクション給油方式が好適である。
【0039】
給油条件は、ウォーターインジェクション給油方式の場合は、例えば、潤滑剤組成物の濃度が0.1〜20質量%程度となるように水と混合させ、供給量はスタンド当たり0.1〜100L/min 程度である。
【0040】
圧延に使用された潤滑剤組成物は冷却水とともに集液され、油水分離槽において、油水分離される。圧延に使用された潤滑剤組成物は油水分離性が良好であり、分離された排水には、油分の混入がないので、冷却水として再利用することもできる。
【0041】
本発明の圧延用潤滑剤組成物は、各種金属の圧延材料に適用できるが、鋼材への適用に適している。圧延材料の形状は板状でも、管状でも差支えない。通常の圧下率で圧延可能である。
【0042】
【実施例】
以下、実施例に従い、本発明を具体的に説明する。
(発明例1〜20、比較例1〜10)
表1〜3に示す基油(鉱物油、油脂、合成エステル)、極圧添加剤(ポリサルファイト、硫化油脂、硫化エステル、酸性リン酸エステル)、無機固体粉末(微粉末炭酸カルシウム、炭酸カルシウム1,2、二硫化モリブデン、シリカ、酸化鉄、高塩基性カルシウムスルホネート)、有機カップリング剤(有機チタネート系カップリング剤、有機チタネート1,2、有機シラン1,2)、有機ベントナイト、溶媒和促進剤(ジメチルフタレート)、増粘剤(ポリメタクリレート)、乳化剤(非イオン界面活性剤)を、表1〜3に示す割合で、ブレンドタンクに入れ、30分間混合攪拌して、均一に分散した潤滑剤組成物を調製した。
【0043】
鉱物油: ニュートラル油(40℃粘度26mm2/sec )
油脂: 精製ナタネ油
硫化油脂: 硫化ラード(S=15)
合成エステル: オレイン酸ペンタエリスリトールテトラエステル
ポリサルファイド: ジターシャリードデシルポリサルファイド
(S=32)
硫化エステル: 硫化オレイン酸メチル(S=10)
【0044】
酸性リン酸エステル: 2−エチルヘキシルアシッドホスフェイト
炭酸カルシウム1: 沈降性炭酸カルシウム(平均粒径0.17μm)
炭酸カルシウム2: ロジン酸表面処理沈降性炭酸カルシウム(平均粒径0.14μm)
高塩基性カルシウムスルホネート: 塩基価400
二硫化モリブデン: 平均粒径0.4μm
酸化鉄 : 平均粒径1.0μm
シリカ: 平均粒径30nm
【0045】
有機チタネート系カップリング剤: イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート
有機チタネート1 : チタニウムステアレート
有機チタネート2: ジイソプロポキシチタンジイソステアレート
有機シラン1: ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン
有機シラン2: メチルトリメトキシシラン
有機ベントナイト: 精製モンモリロナイト四級アンモニウム複合体
非イオン系界面活性剤: ポリオキシエチレンモノオレエート(HLB=7.9)
【0046】
潤滑剤組成物の熱間リング圧縮試験による耐焼付き性および摩擦係数、ウォーターインジェクション給油方式によるステンレス鋼板への潤滑剤組成物の付着性、エアースプレー給油方式によるステンレス鋼板への潤滑剤組成物の付着量に対するウォーターインジェクション給油方式による同付着量の付着効率、無機固体粉末の潤滑剤組成物における分散安定性、および噴射後の廃液の油水分離性を測定した。各測定方法と結果を、表1〜3に示した。
【0047】
(熱間リング圧縮試験による耐焼付け性および摩擦係数)
上下ダイス(SKD−61、HRC=58)に、潤滑剤組成物を塗布し(付着量10g/m2)、1000℃に5分間加熱したリング試験片(SUS−403、30φ×15φ×10mm)を圧縮した(圧縮率30〜40%)場合のダイスへの焼付き性および潤滑性としての摩擦係数を測定した。なお、上ダイスの落下高さは45mm、荷重は40tである。
【0048】
圧縮後の上部ダイスへの焼付き程度を下記A〜Eの5段階評価し、摩擦係数については、リング試験片の圧縮率、内径変化率を測定して算出した。
A: 焼付き全くなし
B: 焼付きが僅かにあり
C: 焼付きが少ない
D: 焼付きが多い
E: 焼付きが極めて多い
【0049】
(ウォーターインジェクション給油方式によるステンレス鋼板への潤滑剤組成物の付着性)
ステンレス鋼板SUS−304の試験片1(120×120×1mm)の表面を#1000研磨紙で磨き、脱脂洗浄した。図1に示すウォーターインジェクション給油方式(水圧0.5MPa 、油圧0.8MPa )により、タンク8に貯蔵した潤滑剤組成物とタンク6に貯蔵した水を、それぞれポンプ7および5により混合器4に供給し、混合して得た混合液(濃度5質量%)を、固定したスプレーノズル3(短径0.3mm、長径0.7mm)から、直前に水で濡らした試験片1を滑車2を利用して1回通過させ、その試験片1に噴射した(吐出量80g/min 、スプレー速度2m/sec 、スプレー距離20mm、パターン幅20mm)。
【0050】
5分間静置後に、試験片に付着した潤滑剤組成物の付着状態を観察した。
潤滑剤組成物の付着状態を下記の◎〜×の4段階で評価した。
◎: パターン幅上に均一に付着
○: パターン幅上にほぼ均一に付着
△: パターン幅上に疎に付着または僅かに付着
×: パターン幅上にほとんど付着しない
また、潤滑剤組成物の付着量は試験片を105℃の乾燥機に30分間入れ、乾燥後に測定した。
【0051】
(ウォーターインジェクション給油方式によるステンレス鋼板への潤滑剤組成物の付着効率)
ステンレス鋼板SUS−304の試験片1(120×120×1mm)の表面を#1000研磨紙で磨き、脱脂洗浄した。図2に示すエアースプレー給油方式(エアー圧0.5MPa 、油圧0.1MPa )により、減圧弁11を通して減圧されたエアー圧0.1MPa で、圧送タンク12に貯蔵された潤滑剤組成物を送り、電磁弁10を通して供給されるエアー(0.5MPa ) を利用してスプレーノズル9(2mmφ)から試験片1を滑車2を利用して、1回通過させ、その試験片1に噴射した(吐出量4g/min 、スプレー速度2m/sec 、スプレー距離20mm、パターン幅20mm)。試験片1を105℃の乾燥機に30分間入れて乾燥し、潤滑剤組成物の付着量は乾燥後に測定した。この付着量を100%とし、先のウォーターインジェクション給油方式により試験片1に付着した潤滑剤組成物の付着量を付着効率として計算した。
【0052】
(無機固体粉末の潤滑剤組成物における分散安定性)
潤滑剤組成物100mlを、100mlメスシリンダーに採取し、40℃に維持して静置し、14日後の無機固体粉末の沈降状態を目視観察した。上層部の分離した油分量を測定した。
【0053】
(噴射後の廃液の油水分離性)
潤滑剤組成物80mlと、30℃の水道水720mlを1000mlビーカーに採取し、直径50mmの4枚羽攪拌機を液相部中央に設置し、回転数1000rpm で15分間攪拌した後、そのままの状態で1時間静置し分離した下層部の水道水への無機固体粉末の沈降状態を観察した。無機固体粉末を配合していないものについては、水道水の縣濁状態を観察した。
【0054】
無機固体粉末の沈降状態および水道水の縣濁状態を下記の◎〜×の4段階で評価した。
無機固体粉末の沈降状態
◎: 全く沈降していない
○: 極く僅かに沈降している
△: 多少沈降している
×: 多量に沈降している
水道水の縣濁状態
◎: 全く縣濁していない
○: 極く僅かに縣濁している
△: 多少縣濁している
×: 酷く縣濁している
【0055】
表1〜3から次のことがわかる。
(1)本発明の圧延潤滑剤組成物は、有機チタン化合物および/または有機シラン化合物を含有するため、ウォーターインジェクション給油方式における潤滑剤組成物の付着状態および付着効率が著しく良好であり、また油水分離性が良好である。
(2)本発明の圧延潤滑剤組成物は、耐焼付き性および摩擦係数がともに良好である。
(3)本発明の圧延潤滑剤組成物は、有機ベントナイトを含有する場合には、無機固体粉末の安定性、沈降防止が著しく良好であり、潤滑剤組成物の付着状態および耐焼付き性にも寄与している。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
(表1〜3の成分)
鉱物油 ニュートラル油(40℃粘度26mm2/sec )
油脂 精製ナタネ油
合成エステル オレイン酸ペンタエリスリトールテトラエステル
ポリサルファイド ジターシャリードデシルポリサルファイド(S=32)
硫化油脂 硫化ラード(S=15)
炭酸カルシウム1 沈降性炭酸カルシウム(平均粒径0.17μm)
炭酸カルシウム2 ロジン酸表面処理沈降性炭酸カルシウム(平均粒径0.14μm)
硫化エステル 硫化オレイン酸メチル(S=10)
酸性リン酸エステル 2−エチルヘキシルアシッドホスフェイト
高塩基性カルシウムスルホネート 塩基価400
二硫化モリブデン 平均粒径0.4μm
酸化鉄 平均粒径1.0μm
シリカ 平均粒径30nm
有機チタネート系カップリング剤 イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート
有機チタネート1 チタニウムステアレート
有機チタネート2 ジイソプロポキシチタンジイソステアレート
有機シラン1 ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン
有機シラン2 メチルトリメトキシシラン
有機ベントナイト 精製モンモリロナイト四級アンモニウム複合体
非イオン系界面活性剤 ポリオキシエチレンモノオレエート(HLB=7.9)
【0060】
【発明の効果】
本発明の圧延潤滑剤組成物は、従来の加工油では抑制できなかった圧延材料とワークロールの焼付きを防止することができ、焼付きによるワークロールの交換、修繕の手間が省け、操業性、生産性の向上となり、かつ圧延材料の表面の品質向上に寄与する。また、本発明の圧延潤滑剤組成物は、ウォーターインジェクション給油方式において、効率的にワークロール表面へ付着させることができるため、少ない使用量(噴射量)で効果を発揮し、また油水分離性が良好なので、排水処理が容易になる。なお、本発明は、冷間圧延にも十分に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウォーターインジェクション給油方式の概略図である。
【図2】エアースプレー給油方式の概略図である。
【符号の説明】
1.圧延材料
2.滑車
3.スプレーノズル
4.混合器
5.水用ポンプ
6.水用タンク
7.潤滑剤組成物用ポンプ
8.潤滑剤組成物用タンク
9.エアースプレーノズル
10.電磁弁
11.減圧弁
12.潤滑剤組成物用圧送タンク
Claims (11)
- 潤滑剤基油、無機固体粉末ならびに有機チタン化合物および/または有機シラン化合物を含有する圧延用潤滑剤組成物。
- 有機チタン化合物が有機チタネート系カップリング剤であることを特徴とする請求項1に記載の圧延用潤滑剤組成物。
- 有機シラン化合物が有機シラン系カップリング剤であることを特徴とする請求項1に記載の圧延用潤滑剤組成物。
- 無機固体粉末が炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧延用潤滑剤組成物。
- 圧延用潤滑剤組成物が、さらに有機ベントナイトを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧延用潤滑剤組成物。
- 潤滑剤基油が、鉱物油を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の圧延用潤滑剤組成物。
- 潤滑剤基油が、鉱物油、ならびに油脂および/または合成エステルを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の圧延用潤滑剤組成物。
- 潤滑剤基油が、鉱物油、油脂および/または合成エステル、および極圧添加剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の圧延用潤滑剤組成物。
- 潤滑剤組成物が、熱間圧延用であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の圧延用潤滑剤組成物。
- 請求項10に記載の熱間圧延用潤滑剤組成物を、ウォーターインジェクション給油方式により水に分散させ、得られた分散液をロール表面に噴霧し、圧延材料をロール圧延することを特徴とする熱間圧延材料の熱間圧延方法。
- 圧延材料が鋼材であることを特徴とする請求項10に記載の熱間圧延材料の熱間圧延方法。
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