JP7057666B2 - リチウムイオン電池用正極合剤ペースト及びその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン電池用正極合剤ペースト及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン電池用正極合剤ペースト及びその製造方法、当該リチウムイオン電池用正極合剤ペーストを用いて製造された正極合剤層を含む、リチウムイオン電池用電極及びリチウムイオン電池、並びにリチウムイオン電池用正極合剤ペーストの保存安定性向上方法に関する。
リチウムイオン電池は、鉛蓄電池やニッケル水素電池等に比べ、重量や体積当たりのエネルギー密度が高いため、搭載電子機器の小型化、軽量化に寄与している。近年、自動車のゼロエミッションにむけた取り組みとして、ハイブリッド自動車や電機自動車が普及してきており、その燃費向上や走行距離の延長にリチウムイオン電池の性能アップが重要なカギとなっている。
リチウムイオン電池は、一般的に、正極、セパレータ、負極の3層構造に非水系電解液が満たされた構造を有している。正極及び負極は、例えば、活物質と導電材とバインダーを混合した合剤ペーストを集電体に塗工して製造される。現在、負極の製造方法としては、集電体となる銅箔に水系スラリー(合剤ペースト)を塗工乾燥する水系プロセスが主流であり、正極の製造方法としては、溶媒としてN-メチルピロリドン等の有機溶媒を用いて正極合剤ペーストを作製し、集電体となるアルミニウム箔に塗工する非水系プロセスが主流である。
近年、高容量のリチウムイオン二次電池を得ることを目的として、ニッケルやマンガンを多く含むアルカリ性の高い正極活物質が使用されるようになってきているが、そのような正極活物質を使用した場合、正極合剤ペーストが、徐々に流動性を失い、増粘し、ゲル化するという問題が生じる。正極合剤ペーストが流動性を失うと、均質な塗工厚さを得ることが困難となるだけでなく、場合によっては、塗布が行えなくなり材料の無駄が生じてしまうことにもつながる。特に、リチウムニッケル遷移金属複合酸化物はこの問題が顕著に表れる。
この問題を解決するため、例えば、特許文献1には、水に分散しても強いアルカリ性を示さないように正極合剤ペーストの調製を行うことで、正極合剤ペーストのゲル化を抑制する技術等が開示されている。
特開2000-90917公報
しかし、特許文献1に記載の方法で、強いアルカリ性を示さないように正極合剤ペーストを調製することは、厳格なpH管理が必要となるだけでなく、正極活物質を一度水に分散し、分散液から濾過して正極活物質を取り出し乾燥をするという処理が必要であり、作業の煩雑さや歩留まりの低下を招いてしまう。また、前記のような処理を行うことで、正極活物質自体の性能低下も引き起こしてしまう可能性もある。
本発明は、簡便な方法により、増粘及びゲル化を抑制して、保存安定性が向上し且つ固形分の高濃度化が可能な、リチウムイオン電池用正極合剤ペーストを提供する。
本発明は、一態様において、正極活物質、導電材、バインダー、有機ポリマー、及びNメチルピロリドンを含有し、前記有機ポリマーが、その濃度が0.001質量%以上3質量%以下であり液温が25℃のNメチルピロリドン溶液中で、曳糸性を示す有機ポリマーである、リチウムイオン電池用正極合剤ペーストに関する。
本発明は、別の態様において、有機ポリマーとNメチルピロリドンを含み、前記有機ポリマーがNメチルピロリドンに溶解しており、前記有機ポリマーが、その濃度が0.001質量%以上3質量%以下であり液温が25℃のNメチルピロリドン溶液中で、曳糸性を示す有機ポリマーである、添加剤組成物に関する。
本発明は、別の態様において、リチウムイオン電池用正極合剤ペーストの製造方法であり、正極活物質と、導電材と、バインダーと、有機ポリマーと、Nメチルピロリドンとを混合する工程を含み、前記有機ポリマーは、その濃度が0.001質量%以上3質量%以下であり液温が25℃のNメチルピロリドン溶液中で、曳糸性を示す有機ポリマーである、リチウムイオン電池用正極合剤ペーストの製造方法に関する。
本発明は、更に別の態様において、正極活物質と導電材とバインダーとNメチルピロリドンとを含むリチウムイオン電池用正極合剤ペーストの保存安定性の向上方法であり、前記リチウムイオン電池用正極合剤ペーストの製造過程で、正極活物質と、導電材と、バインダーと、有機ポリマーと、Nメチルピロリドンとを混合する工程を含み、前記有機ポリマーは、その濃度が0.001質量%以上3質量%以下であり液温が25℃のNメチルピロリドン溶液中で、曳糸性を示す有機ポリマーである、リチウムイオン電池用正極合剤ペーストの保存安定性の向上方法に関する。
本発明は、更に別の態様において、本発明のリチウムイオン電池用正極合剤ペーストを用いて形成された正極合剤層を含む、リチウムイオン電池用電極に関する。
本発明は、更に別の態様において、本発明のリチウムイオン電池用正極合剤ペーストを用いて形成された正極合剤層を含む、リチウムイオン電池に関する。
本発明によれば、簡便な方法により、増粘及びゲル化を抑制して、保存安定性が向上し且つ固形分の高濃度化が可能な、リチウムイオン電池用正極合剤ペーストを提供できる。また、正極合剤ペーストの増粘及びゲル化が抑制されるので、正極合剤ペースト中における、正極活物質及び導電材等の固形分の分散性が良好となり、均質な正極合剤層を形成することが可能となるので、リチウムイオン電池用電極及びリチウムイオン電池の品質向上が期待できる。
本発明は、リチウムイオン電池用正極合剤ペーストが、下記の曳糸性を示す有機ポリマーを含むことで、リチウムイオン電池用正極合剤ペーストの、増粘及びゲル化等の経時劣化が抑制される結果、保存安定性が向上し且つ固形分の高濃度化も可能となる、という知見に基づく。
すなわち、本発明は、一実施形態において、正極活物質と、導電材と、バインダーと、有機ポリマーと、Nメチルピロリドンとを含むリチウムイオン電池用正極合剤ペーストであって、有機ポリマーが、その濃度が0.001質量%以上3質量%以下であり液温が25℃のNメチルピロリドン溶液中で、曳糸性を示す有機ポリマー(以下「曳糸性有機ポリマー」と略称する場合もある。)である、リチウムイオン電池用正極合剤ペースト(以下、「正極合剤ペースト」と略称する場合もある。)に関する。「有機ポリマーが、その濃度が0.001質量%以上3質量%以下であり液温が25℃のNメチルピロリドン溶液中で、曳糸性を示す有機ポリマー」であるとは、前記有機ポリマーの濃度が0.001質量%以上3質量%以下のいずれかの濃度であり且つ液温が25℃のNメチルピロリドン溶液が曳糸性を示すことを意味する。
本発明の効果発現のメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のことが推定される。本発明では、正極合剤ペーストに曳糸性有機ポリマーが含まれていることにより、曳糸性有機ポリマーが、その溶媒であるNメチルピロリドン中に含まれる微量の水との相互作用(例えば水素結合)により高分子ネットワークを形成して、水を拘束し、正極活物質であるリチウム金属複合酸化物に含まれるLiO2等のアルカリ成分と水との反応を抑制することによって、増粘及びゲル化の抑制が可能となり、保存安定性を向上したものと考えられる。このように、正極合剤ペーストの増粘及びゲル化が抑制されるので、正極合剤ペースト中における、正極活物質及び導電材等の固形分の分散性が良好となるので、均質な正極合剤層を形成することが可能となる。また、正極合剤ペーストにおける固形分の濃度を向上することも可能となる。このように、本発明によれば、正極合剤ペーストの製造過程で、曳糸性有機ポリマーを添加し混合するという簡単な方法により、正極合剤ペーストの保存安定性を向上できるし、正極合剤ペーストにおける固形分の高濃度化も可能となる。したがって、本発明の正極合剤ペーストをリチウムイオン電池用電極(正極)の作製に用いた場合、リチウムイオン電池の製造におけるコスト低減を図ることができると考えられる。正極合剤ペーストにおける固形分の濃度を上げられるため、Nメチルピロリドンの使用量を低減でき、更にそれを除去するための乾燥に必要なエネルギーを低減でき、コスト低減を図ることができる。但し、これらは推定であって、本発明はこれらメカニズムに限定して解釈されない。
本発明の正極合剤ペーストは、正極活物質と、導電材と、バインダーと、曳糸性有機ポリマーと、Nメチルピロリドンと、必要に応じて添加されるその他の成分とを含有する。本発明の正極合剤ペーストに含まれる正極活物質、導電材、及びバインダー(結着材)の質量比は、従来公知の電池の場合と同じでよく、電池の使用適性に応じて任意に調整できる。前記その他の成分としては、例えば増粘剤、補強材、酸化防止剤、電解液の分解を抑制する機能を有する添加剤などが例示され、これらの他の成分は、公知のものを使用することができる。
[正極活物質]
正極活物質としては、リチウムを吸蔵、放出可能であって、充放電反応が可能である活物質であればよく、例えば、LiCoO2、LiNiO2、Li2MnO4、Liリッチ形(Li(LixMe1-x)O2(Me=Co,Ni,Mn)等のリチウム金属複合酸化物が挙げられる。これら化合物は部分的に元素置換したものであってもよい。特に、LiO2等のアルカリ成分を多く含む、LiNiO2を主成分とするリチウムニッケル含有複合酸化物(LiNiO2系)やLiリッチ形を主成分とするリチウム金属複合酸化物を正極活物質として用いる場合に、本発明は有効に利用されうる。正極活物質は粒状物として用いられる。その平均粒径としては、例えば、2μm以上40μm以下とすることができる。
本発明の正極合剤ペーストにおける正極活物質の含有量は、正極合剤ペーストの全固形分量に対し、高容量化の観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、そして、正極合剤層の集電体への結着力向上の観点から、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。
[導電材]
導電材は、充放電反応を効率的に行い、電気伝導性を高めるためのものであり、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛、CNT(カーボンナノチューブ)等の炭素材料が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して用いることができる。
本発明の正極合剤ペーストにおける導電材の含有量は、正極合剤ペーストの全固形分量に対し、導電性向上の観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、そして、電池容量向上の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
[バインダー]
バインダーは、正極合剤層と集電体との間の接着機能を持たせるものであり、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)が一般的に用いられる。PVDFは、アルカリ成分によってゲル化がおこりやすい。また、Nメチルピロリドンには微量の水が含まれるため、当該水と正極活物質由来のアルカリ成分によってバインダーのゲル化を引き起こしやすい。したがって、バインダーとしてPVDFを用いる系において、本発明は顕著に有効である。
本発明の正極合剤ペーストにおけるバインダーの含有量は、正極合剤ペーストの全固形分量に対し、正極合剤層と集電体との結着力向上の観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、そして、電池容量向上の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
[Nメチルピロリドン]
本発明の正極合剤ペーストは、正極活物質や導電材を分散可能とする分散媒として、そして、バインダーや曳糸性有機ポリマーを溶解可能とする溶媒として、Nメチルピロリドンを含む。本発明の正極合剤ペーストにおけるNメチルピロリドンの含有量は、正極合剤ペーストの塗工性の向上の観点から、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
[曳糸性有機ポリマー]
本発明の正極合剤ペーストは、保存安定性向上及び正極合剤ペーストにおける固形分の高濃度化の観点から、曳糸性有機ポリマーを含有する。
〔曳糸性の定義〕
ここで、曳糸性とは、物体の伸張特性が現れる、所謂、「糸を曳く」性質であり、例えば「納豆の糸曳き」等がその顕著な例として挙げられる。曳糸性は液状組成物を低速度で滴下又はその一端を保持して伸張した際に、破断して液滴を形成することなく連続した糸状構造体を呈する性質であり、例えば「動植物の粘液の糸曳き」等が例として挙げられる。ちなみに曳糸性は液状組成物の弾性的緩和現象のひとつであり、表面張力や粘度とは全く独立の物性であることが知られている。ここで、通常のポリマー溶液であっても、例えば濃度が100g/L以上の高濃度であれば、上記の曳糸性挙動を呈することはしばしばあるが、懸かる系は極めて粘度が高く、ポリマー溶液は著しく流動性に欠ける。本発明でいう曳糸性とは、特殊な有機ポリマーの非水系液状組成物が、極めて稀薄な濃度下で高い流動性を保ちながら発現し得る曳糸性を指す。
〔曳糸性有機ポリマーの定義〕
本発明でいう曳糸性有機ポリマーは、そのNメチルピロリドン溶液が前記の曳糸性を呈する有機ポリマーのことである。この曳糸性有機ポリマーは、一般に、高分子量の有機高分子が発現する所謂「増粘性有機ポリマー」とは異なる。本発明において曳糸性有機ポリマーは、その濃度が3質量%以下のNメチルピロリドン溶液が曳糸性を呈する有機ポリマーであり、好ましくはその濃度が1質量%以下のNメチルピロリドン溶液が曳糸性を呈する有機ポリマーであり、より好ましくはその濃度が0.5質量%以下のNメチルピロリドン溶液が曳糸性を呈する有機ポリマーである。そして、その濃度が0.001質量%以上のNメチルピロリドン溶液中で曳糸性を呈する有機ポリマーであり、好ましくはその濃度が0.01質量%以上のNメチルピロリドン溶液中で曳糸性を呈する有機ポリマーである。
本発明において、有機ポリマーの曳糸性の有無は、以下の方法で判定する。有機ポリマー1重量部をNメチルピロリドン99重量部に溶解させて得た有機ポリマーのNメチルピロリドン溶液を用いて、下記〔曳糸性判定法〕に準じた方法で判定し、曳糸性を有する場合、曳糸性有機ポリマーとする。
〔曳糸性判定法〕
先端内径1mmのパスツールピペット(ガラス、例えばASAHITECHNO GLASS、IK-PAS-5P)より静かに滴下操作をした際に、糸を曳いたNメチルピロリドン溶液を、本発明において曳糸性を示すNメチルピロリドン溶液とする。長く糸を曳く溶液を強い(又は高い)曳糸性を持つNメチルピロリドン溶液とする。Nメチルピロリドン溶液は25℃で、よく攪拌して判定に用い、少なくともパスツールピペットの先端を落下地点から5mm離して滴下操作を行うこととする。曳糸性の強いNメチルピロリドン溶液に関しては、より高い位置から滴下操作を行うと、より確認しやすい。滴下操作は複数回行って確認しても構わない。通常、滴下操作の際に確認される「糸」は、1mmより幅が細いものである。
曳糸性の付与効果が高いものほど、すなわち高曳糸性の有機ポリマーほど、より低濃度で目的とする、保存安定性の向上及び正極合剤ペーストにおける固形分の高濃度化を実現できる。
曳糸性有機ポリマーとしては、架橋型のポリマーと非架橋型ポリマーが挙げられ、中でも、非架橋型ポリマーほど高曳糸性であり、本発明において好ましい。
曳糸性有機ポリマーは、保存安定性の向上及び正極合剤ペーストにおける固形分の高濃度化の観点から、好ましくはエチレンオキサイド(EO)に由来の構成単位を含むポリマーであり、より好ましくは、高い曳糸性を示すポリエチレンオキサイド(PEO)である。
曳糸性有機ポリマーの重量平均分子量は、正極合剤ペーストの電池の初期容量低下の抑制と保存安定性向上の観点から、好ましくは220万以上、より好ましくは250万以上、更に好ましくは300万以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは3000万以下、より好ましくは2000万以下、更に好ましくは1000万以下である。なお、曳糸性有機ポリマーの重量平均分子量は、後述の実施例に記載の方法により測定できる。
本発明の正極合剤ペーストにおける曳糸性有機ポリマーの含有量は、正極合剤ペーストの全固形分量に対して、正極合剤ペーストの保存安定性向上の観点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上であり、そして、電池の初期容量低下抑制の観点から好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.03質量%以下である。
本発明の正極合剤ペーストにおける全固形分の濃度は、リチウムイオン電池の製造におけるコスト低減の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは65質量%以上、更により好ましくは70質量%以上であり、ペーストの良好な塗工性の確保の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
[正極合剤ペーストの製造方法]
本発明は、一実施形態において、本発明の正極合剤ペーストの製造方法(以下、「本発明の製造方法」と略称する場合もある。)に関する。
本発明の製造方法は、正極活物質と導電材とバインダーと曳糸性有機ポリマーとNメチルピロリドンとを混合する工程を含み、高濃度化の観点から、好ましくは、曳糸性有機ポリマー以外の固形分とNメチルピロリドンとを含む混合物、例えば、正極活物質と導電材とバインダーとNメチルピロリドンとを含む混合物に、曳糸性有機ポリマーのNメチルピロリドン溶液(添加剤組成物)を添加する工程を含む。本発明の正極合剤ペーストは、例えば、導電材とバインダーのNメチルピロリドン溶液を混合し、これらが均質になるまで攪拌してスラリー[1]を作製し、当該スラリー[1]に正極活物質と必要に応じてNメチルピロリドンを加えて均質になるまで攪拌してスラリー[2]とし、当該スラリー[2]に曳糸性有機ポリマーのNメチルピロリドン溶液を加え、均質になるまで攪拌することにより得ることができる。各成分の混合、スラリー[1]及びスラリー[2]の攪拌の手段には拘らない。例えば、自公転式攪拌機を用いることができる。
[添加剤組成物]
本発明は、一実施態様において、正極合剤ペーストの調製に使用される添加剤組成物である。当該添加剤組成物は、有機ポリマーとNメチルピロリドンを含み、前記有機ポリマーがNメチルピロリドンに溶解した態様のものである。当該添加剤組成物における曳糸性有機ポリマーの含有量は、例えば、前記スラリー[2]との混合により、本発明の正極合剤ペーストを調製できるように設定されるが、添加剤組成物について高い曳糸性を示す観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、そして、有機ポリマーの溶解性の確保の観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。本発明の添加剤組成物には、任意成分として、例えば増粘剤、補強材、酸化防止剤、電解液の分解を抑制する機能を有する添加剤等が含まれていてもよく、これらの成分は、公知のものを使用することができる。本添加剤組成物中の任意成分の量は、正極合剤ペーストの保存安定性の観点から、10質量%以下が好ましく、より好ましくは、5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下が好ましい。
[リチウムイオン電池用電極]
本発明は、一実施形態において、本発明の正極合剤ペーストを用いて形成された正極合剤層を含む、リチウムイオン電池用電極(以下、「本発明の電極」ともいう)に関する。本発明の電極は、本発明の正極合剤ペーストを用いること以外は公知の電極の製造方法により製造でき、例えば、本発明の正極合剤ペーストを集電体に塗布、乾燥した後、必要に応じてプレスして所定の寸法に加工することにより得られる。前記集電体には、従来から公知の集電体を用いることができる。
[リチウムイオン電池]
本発明は、一実施形態において、本発明の電極を含む、リチウムイオン電池(以下、「本発明の電池」ともいう)に関する。
本発明の電池の形状としては、コイン型、円筒型、角型、及び積層型等のいずれの形状であってもよい。
本発明の電池は、本発明の電極を用いること以外は公知のリチウムイオン電池の製造方法により製造できる。リチウムイオン電池の製造方法の一実施形態としては、例えば、本発明の電極(正極)と負極を、セパレータを介して重ね合わせ、電池形状に捲回あるいは積層させて、電池容器あるいはラミネート容器に挿入し、該容器に電解液を注入して封口する方法が挙げられる。
セパレータは、一実施形態において、正極と負極間の絶縁、さらには電解液を保持するなどの機能を持つ部材である。セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはそれら積層品等の薄い微多孔膜を用いることができる。
電解液としては、通常、有機溶媒に電解質を溶解した溶液が用いられる。有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート;ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等の鎖状カーボネート;等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を併用してもよい。電解質とは、有機溶媒に溶解して電気を伝導する働きを有するイオン性化合物を示す。電解質としては、例えば、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiCF3CO2、LiCl、LiBr、LiSCN等のリチウム塩を単独又は2種以上を併用してもよい。
本願は、さらに下記発明を開示する。
[1] 正極活物質、導電材、バインダー、有機ポリマー、及びNメチルピロリドンを含有し、
前記有機ポリマーは、その濃度が0.001質量%以上3質量%以下であり液温が25℃のNメチルピロリドン溶液中で、曳糸性を示す有機ポリマーである、リチウムイオン電池用正極合剤ペースト。
[2] 前記正極合剤ペーストの全固形分量に対する、前記有機ポリマーの含有量が、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上であり、そして、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.03質量%以下である、前記[1]に記載の正極合剤ペースト。
[3] 前記有機ポリマーの重量平均分子量が、好ましくは220万以上、より好ましくは250万以上、更に好ましくは300万以上であり、そして、好ましくは3000万以下、より好ましくは2000万以下、更に好ましくは1000万以下である、前記[1]又は[2]に記載の正極合剤ペースト。
[4] 前記曳糸性有機ポリマーが、好ましくはエチレンオキサイドに由来の構成単位を含むポリマーであり、より好ましくはポリエチレンオキサイドである、前記[1]から[3]のいずれかに記載の正極合剤ペースト。
[5] 前記正極合剤ペーストにおける全固形分の濃度は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは65質量%以上、更により好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である、前記[1]から[4]のいずれかに記載の正極合剤ペースト。
[6] 正極活物質が、リチウムニッケル含有複合酸化物である前記[1]から[5]のいずれかに記載の正極合剤ペースト。
[7] 有機ポリマーとNメチルピロリドンとを含み、前記有機ポリマーがNメチルピロリドンに溶解しており、前記有機ポリマーは、その濃度が0.001質量%以上3質量%以下であり液温が25℃のNメチルピロリドン溶液中で、曳糸性を示す有機ポリマーである、添加剤組成物。
[8] 前記[1]から[6]のいずれかに記載の正極合剤ペーストを用いて形成された正極合剤層を含む、リチウムイオン電池用電極。
[9] 前記[1]から[6]のいずれかに記載の正極合剤ペーストを用いて形成された正極合剤層を含む、リチウムイオン電池。
[10] 正極活物質と、導電材と、バインダーと、有機ポリマーと、Nメチルピロリドンとを混合する工程を含み、
前記曳糸性有機ポリマーは、その濃度が0.001質量%以上3質量%以下であり液温が25℃のNメチルピロリドン溶液中で、曳糸性を示す有機ポリマーである、リチウムイオン電池用正極合剤ペーストの製造方法。
[11] 正極活物質と、導電材と、バインダーと、Nメチルピロリドンとを混合する工程1と、
前記工程1で得られたスラリーと、前記[7]に記載の添加剤組成物とを混合する工程とを含む、リチウムイオン電池用正極合剤ペーストの製造方法。
[12] 前記[7]に記載の添加剤組成物のリチウムイオン電池用正極合剤ペーストの調製への使用。
[13] 前記[1]から[6]のいずれかに記載のリチウムイオン電池用正極合剤ペーストの、リチウムイオン電池用電極の形成のための使用。
[14] 正極活物質と導電材とバインダーと水とを含むリチウムイオン電池用正極合剤ペーストの保存安定性の向上方法であって、
前記正極合剤ペーストの製造過程で、正極活物質と、導電材と、バインダーと、有機ポリマーと、Nメチルピロリドンとを混合物する工程を含み、
前記有機ポリマーは、その含有量が0.001質量%以上3質量%以下であり液温が25℃のNメチルピロリドン溶液中で、曳糸性を示す有機ポリマーである、リチウムイオン電池用正極合剤ペーストの保存安定性向上方法。
以下、実施例により本開示を説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
〔重量平均分子量の定義〕
有機ポリマーの重量平均分子量は、下記測定条件のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)測定により決定できる。標準サンプルにはポリエチレンオキサイド(PEO)を使用し、PEO換算の重量平均分子量を用いる。
〔GPC法測定条件〕
カラムとしてPW/GMPWXL/GMPWXL(東ソー(株)製)、溶離液として0.2Mリン酸バッファー(KH2PO4、Na2HPO4、pH=7)/CH3CN=9/1(重量比)を用い、カラム温度は40℃、流速は1.0mL/min、サンプル濃度は1~100μg/mLとした。検出器は、RALLS(90°光散乱解析計)を用いた。尚、RID(示差屈折計)を用いても重量平均分子量の概算値を見積もることができる。RIDを用いたGPC分析は、例えば、カラム:GMPWXL+GMPWXL、溶離液:0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=9/1(重量比)、カラム温度:40℃、流速:0.5mL/min、濃度:0.05mg/mLとして測定する。
[正極合剤ペースト及び各成分の固形分濃度]
正極合剤ペーストの全固形分濃度、及び各成分の固形分濃度は、150℃で24時間乾燥し重量減量を測定することにより算出した。
[正極合剤ペーストの作製]
(1)実施例1の正極合剤ペースト
導電材(アセチレンブラック、デンカ社製、「HS-100」)0.65g、バインダー(ポリフッ化ビニリデンのNメチルピロリドン溶液(固形分12質量%)、クレハ社製、「KFポリマーL#1120」)5.42gを混合して、スラリー[1]を調製し、次いで、当該スラリー[1]に正極活物質(NCA、日本化学産業社製 「NC-02」)を15g、及び溶剤(Nメチルピロリドン、和光純薬製)4.31gを入れて混合して、スラリー[2]を調製した。スラリー[2]における固形分は、正極活物質、導電材、及びバインダーであり、非水系正極合剤ペースト中の全固形分濃度は64.2質量%であり、正極活物質、導電材、バインダーの質量比率は92:4:4(固形分換算)である。
次に、スラリー[2]へ、ポリエチレンオキサイド(重量平均分子量:400万、和光純薬社製)の1重量%Nメチルピロリドン溶液を、0.26g添加し混合することで、実施例1の正極合剤ペーストを調製した。正極合剤ペーストの全固形分濃度は、63.6質量%であり、正極活物質、導電材、バインダー、ポリエチレンオキサイドの質量比率は、92:4:4:0.016(固形分換算)である。
(2)実施例2の正極合剤ペースト(実施例1の高濃度品)
実施例1と同様の手法でスラリー[1]を調製し、次いで、当該スラリー[1]に正極活物質(NCA、日本化学産業社製 「NC-02」)を15g、及びポリエチレンオキサイド(重量平均分子量:400万、和光純薬社製)の1重量%Nメチルピロリドン溶液を、0.21g添加し混合することで、実施例2の正極合剤ペーストを調製した。正極合剤ペーストの全固形分濃度は、76.6質量%であり、正極活物質、導電材、バインダー、ポリエチレンオキサイドの質量比率は、92:4:4:0.013(固形分換算)である。
(3)比較例1の正極合剤ペースト
実施例1で調整したスラリー[2]を、比較例1の正極合剤ペーストとした。
(4)比較例2の正極合剤ペースト
実施例1と同様の方法でスラリー[2]を調製し、次にスラリー[2]へ、ポリアクリル酸(重量平均分子量:400万、アルドリッチ社製)の1重量%Nメチルピロリドン溶液を、0.26g添加し混合することで、比較例2の正極合剤ペーストを調製した。正極合剤ペーストの全固形分濃度は、63.6質量%であり、正極活物質、導電材、バインダー、ポリアクリル酸の質量比率は、92:4:4:0.016(固形分換算)である。
(5)比較例3の正極合剤ペースト
実施例1と同様の手法でスラリー[1]を調製し、次いで、当該スラリー[1]に正極活物質(NCA、日本化学産業社製 「NC-02」)を15g、及びポリアクリル酸(重量平均分子量:400万、アルドリッチ社製)の1重量%Nメチルピロリドン溶液を、0.21g添加し混合したが、湿った粉体状のままで、ペーストにならなかった。
[曳糸性判定]
実施例1~3、比較例2~3の正極合剤ペーストの調製に用いた有機ポリマーを、各々、Nメチルピロリドンに溶解させ、それぞれ1質量%の有機ポリマーのNメチルピロリドン溶液を調製した。これらの有機ポリマーのNメチルピロリドン溶液について本文記載の曳糸性判定法に基づき、曳糸性の有無の判定を行った結果を表1に示す。
Figure 0007057666000001
1.正極合剤ペーストの保存安定性試験
実施例1~2、比較例1~3の正極合剤ペーストを、各々サンプル瓶に入れて密封し、室温で3日間静置した。3日後の状態を観察し、その結果を下記基準により評価して、その結果を表2に示している。
A:ゲル化せずに良好なペーストの状態を保っている。
B:増粘して塗工が困難である。
C:ゲル化又は固化して塗工が非常に困難である。
2.電極(正極)及び電池の作製
厚さ20μmのアルミ箔上に、正極容量密度が1.0~1.2mAh/cm2となるように、正極合剤ペーストを塗工し、真空乾燥器を用いて100℃で12時間乾燥し、集電体上に正極合剤層が形成された電極材料を作製した。この正極材料を直径13mmに打ち抜きプレスして電極(正極)を得た。当該正極上に、直径19mmのセパレータ、直径15mm厚さ0.5のコイン状金属リチウムを配置して、2032型コインセルを作製した。電解液には、1M LiPF6 EC/DEC(体積比)=3/7を用いた。正極合剤層の形成には、実施例1~3、比較例1~3の正極合剤ペーストとして、各々、調製直後の正極合剤ペースト、及び25℃の雰囲気下ポリエチレン製容器内で1週間保存後の正極合剤ペーストを用いた。
3.充放電試験
コインセルを用いて、次に記載する条件で3サイクル充放電試験を行い、3サイクル目の放電容量を表2に示した。正極合剤層の形成に、調製直後の正極合剤ペーストを用いたコインセルの放電容量は、表2中の「初期放電容量」に示した。
[充放電条件]
30℃、0.1CA、充電4.3V CC/CV 1/10Cカットオフ
放電CC2.0Vカットオフ
Figure 0007057666000002
表2に示されるように、曳糸性有機ポリマーを含む実施例1~2の正極合剤ペーストの保存安定性は、曳糸性の無い有機ポリマーを含む比較例1~3の正極合剤ペーストと比較して、良好であった。一方、曳糸性の無い有機ポリマーを含む比較例3の正極合剤は、固形分濃度が76.6%と高濃度であるためペースト状にならず集電体への塗工自体が困難であった。しかしながら、実施例2の曳糸性有機ポリマーを含む正極合剤は、ペースト状になり、集電体への塗工が可能であった。このことから、曳糸性有機ポリマーを用いると、固形分の濃度が高い正極合剤ペーストを調製可能であることがわかる。
本発明は、簡単な方法により、ペーストにおける固形分濃度を上げることができ、且つ、保存安定性が良好であるので、リチウムイオン電池の製造におけるコストダウンに寄与し得る。

Claims (9)

  1. 正極活物質、導電材、バインダー、有機ポリマー、及びNメチルピロリドンを含有するリチウムイオン電池用正極合剤ペーストであって
    前記有機ポリマーは、有機ポリマー1重量部をNメチルピロリドン99重量部に溶解させて得た、液温が25℃のNメチルピロリドン溶液を用いて滴下操作を行ったときに曳糸性を示す有機ポリマーであり、
    前記有機ポリマーの重量平均分子量が、220万以上3000万以下であり、
    前記正極合剤ペーストの全固形分量に対する、前記有機ポリマーの含有量が、0.001質量%以上0.03質量%以下である、リチウムイオン電池用正極合剤ペースト。
  2. 前記有機ポリマーの重量平均分子量が、300万以上1000万以下である、請求項1に記載の正極合剤ペースト。
  3. 前記有機ポリマーがエチレンオキサイドに由来の構成単位を含む、請求項1又は2に記載の正極合剤ペースト。
  4. 前記正極活物質の含有量は、前記正極合剤ペーストの全固形分量に対し、80質量%以上である、請求項1から3のいずれかの項に記載の正極合剤ペースト。
  5. 前記正極活物質が、リチウムニッケル含有複合酸化物である請求項1から4のいずれかの項に記載の正極合剤ペースト。
  6. 請求項1から5のいずれかの項に記載の正極合剤ペーストを用いて形成された正極合剤層を含む、リチウムイオン電池用電極。
  7. 請求項1から5のいずれかの項に記載の正極合剤ペーストを用いて形成された正極合剤層を含む、リチウムイオン電池。
  8. 正極活物質、導電材、バインダー、有機ポリマー、及びNメチルピロリドンを含有するリチウムイオン電池用正極合剤ペーストの製造方法であって、
    正極活物質と、導電材と、バインダーと、有機ポリマーと、Nメチルピロリドンとを混合する工程を含み、
    前記有機ポリマーは、有機ポリマー1重量部をNメチルピロリドン99重量部に溶解させて得た、液温が25℃のNメチルピロリドン溶液を用いて滴下操作を行ったときに曳糸性を示す有機ポリマーであり、
    前記有機ポリマーの重量平均分子量が、220万以上3000万以下であり、
    前記正極合剤ペーストの全固形分量に対する、前記有機ポリマーの含有量が、0.001質量%以上0.03質量%以下である、リチウムイオン電池用正極合剤ペーストの製造方法。
  9. 正極活物質と導電材とバインダーと水とを含むリチウムイオン電池用正極合剤ペーストの保存安定性の向上方法であって、
    前記正極合剤ペーストの製造過程で、正極活物質と、導電材と、バインダーと、有機ポリマーと、Nメチルピロリドンとを混合物する工程を含み、
    前記有機ポリマーは、有機ポリマー1重量部をNメチルピロリドン99重量部に溶解させて得た、液温が25℃のNメチルピロリドン溶液を用いて滴下操作を行ったときに曳糸性を示す有機ポリマーであり、
    前記有機ポリマーの重量平均分子量が、220万以上3000万以下であり、
    前記正極合剤ペーストの全固形分量に対する、前記有機ポリマーの含有量が、0.001質量%以上0.03質量%以下である、リチウムイオン電池用正極合剤ペーストの保存安定性向上方法。
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