JP7057215B2 - 研磨パッドおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体基板、半導体デバイス、化合物半導体基板、化合物半導体デバイス等の各種デバイスを研磨するための研磨パッドであって被研磨物面内を均一に研磨できる研磨パッドおよびその製造方法に関する。
近年、集積回路の高集積化および多層配線化に伴い、集積回路が形成される半導体ウエハ等には、高度の平坦性が求められている。そして、かかる半導体ウエハ等を研磨するための研磨方法として、ケミカルメカニカル研磨(CMP)が知られている。ケミカルメカニカル研磨は、砥粒のスラリーを滴下しながら、研磨パッドにより被加工物の表面を研磨する方法である。また、半導体ウエハ等を研磨する際、加工が困難であるため研磨時間が長くなり、加工コストが大きくなるという問題があった。
このような理由から、被加工物の優れた平坦性と高研磨レートとを実現可能な研磨パッドが求められている。また同時に、研磨パッドには、長寿命であることが求められている。
しかしながら、被加工物の優れた平坦性と高研磨レートとは相反する要求項目であり、両者を両立させることは極めて困難であった。すなわち、被加工物の優れた平坦性を実現するためには、柔らかく平滑な面を有する研磨パッドが有利である。一方、高研磨レートを実現するためには、硬く凹凸の大きい表面を有する研磨パッドが有利である。
例えば、特許文献1では、極細繊維と高分子弾性体を用いた研磨パッドが提案されている。しかしながら、基材に高分子弾性体を含浸した後に海島型複合繊維を極細繊維にしているため、研磨パッド内に空隙が多く、柔らかすぎるという問題があった。かかる研磨パッドは高硬度になりにくいため、被加工物の優れた平坦性や長寿命化を達成することが困難であった。
また、特許文献2には、極細繊維を用いて緻密な不織布と高分子弾性体からなる研磨パッドが提案されている。かかる研磨パッドでは、長繊維の極細繊維からなる繊維束により高い剛性を維持している。しかしながら、研磨パッドが緻密化されて空隙率が低いため、十分に研磨砥粒を溜めることが困難であり、高研磨レートを実現しにくいという問題があった。
特開2012-071415号公報 特開2015-063782号公報
本発明は、半導体基板、半導体デバイス、化合物半導体基板、化合物半導体デバイス等の各種デバイスを研磨するための研磨パッドであって被研磨物面内を均一に研磨できる研磨パッドおよびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、研磨パッドの圧縮率を測定するときの沈み込み量を特定範囲とすることにより、研磨回転下における被研磨物と研磨パッドの密着性が向上し、被研磨物面内を均一に研磨できる研磨パッド得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「研磨パッドであって、繊維径が10~2500nmの極細繊維と、バインダー繊維と、高分子弾性体とを含み、下記に定義する研磨パッド沈み込み量が100~400μmの範囲内であることを特徴とする研磨パッド。」が提供される。
(研磨パッド沈み込み量)
サンプル3枚を重ねてJIS L1096により圧縮率を測定するときのT0-T1を研磨パッド沈み込み量とする。
T0:標準圧力(4.9kPa)を加えた時の厚さ
T1:一定圧力(29.4kPa)を加え1分間放置後の厚さ
その際、前記極細繊維が、ポリアミドまたはポリエステルからなることが好ましい。また、研磨パッドの厚みが0.5~3.0mmの範囲内であることが好ましい。また、研磨パッドの目付けが300~600g/mの範囲内であることが好ましい。また、表面を起毛してなることが好ましい。
また、本発明によれば、海成分と島成分からなる海島型複合繊維と、バインダー繊維とを含む不織布から、前記海成分を除去することにより極細繊維不織布とした後、高分子弾性体を付与する、前記の研磨パッドの製造方法が提供される。その際、前記不織布がニードルパンチ不織布であることが好ましい。また、前記不織布の目付けが100~600g/mの範囲内であることが好ましい。
本発明によれば、半導体基板、半導体デバイス、化合物半導体基板、化合物半導体デバイス等の各種デバイスを研磨するための研磨パッドであって被研磨物面内を均一に研磨できる研磨パッドおよびその製造方法が提供される。
本発明の研磨パッドは、繊維径が10~2500nmの範囲内の極細繊維(以下、単に「極細繊維」ということもある。)と、バインダー繊維と、高分子弾性体とを含む。
ここで、前記極細繊維は、可溶性樹脂を海成分とした海島型複合繊維から海成分を溶解除去して得られるものであることが好ましい。
前記極細繊維を構成するポリマーとしては、いかなるポリマーであってもよいが、特に繊維形成性に優れた、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイドなどが好適な例として挙げられる。
ここで、ポリアミド系樹脂としては、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸やε-カプロラクタム、ω-ラウロラクタムなどのラクタムを主たる原料とするポリアミドのほか、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、更にはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等をジアミン成分とする共重合ポリアミドなどが例示される。
またポリエステル樹脂としては、製糸性、極細繊維の物性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが好ましい。
該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で、共重合成分が含まれていても良い。共重合可能な化合物は、酸成分として、例えばイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマー酸、セバシン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸類、グリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを挙げることができるが、これらに限られるものではない。
ポリフェニレンサルファイド樹脂としては、その構成単位として、例えばp-フェニレンスルフィド単位、m-フェニレンスルフィド単位、o-フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルフィドスルホン単位、フェニレンスルフィドケトン単位、フェニレンスルフィドエーテル単位、ジフェニレンスルフィド単位、置換基含有フェニレンスルフィド単位、分岐構造含有フェニレンスルフィド単位、等よりなるものを挙げる事ができ、その中でも、p-フェニレンスルフィド単位を70モル%以上、特に90モル%以上含有しているものが好ましく、さらにポリ(p-フェニレンスルフィド)がより好ましい。
前記極細繊維において、繊維径が10~2500nmの範囲内であることが必要である。繊維径が10nm未満の場合は単糸あたりの強力が小さくなり、摩擦による単糸切れが発生してしまい、使用困難になるおそれがある。一方、2500nmを超えると極細繊維特有の緻密性に劣り、被研磨物の表面粗さを小さく抑えることができないため、近年要求されているレベルに対して性能は不足するおそれがある。極細繊維の繊維径としては200~1000nmの範囲であることが好ましく、特には400~700nmの範囲であることが好ましい。このような範囲では繊維間の空隙間隔が丁度良く、砥粒を多く保持することが可能となる。繊維径が大きすぎると繊維空隙間隔が広くなり、作用砥粒数が下がり研磨レートが低くなるおそれがある。繊維径が小さすぎると繊維空隙が小さくなり砥粒の保持性が悪くなるおそれがある。
前記の繊維径は、透過型電子顕微鏡TEMで、倍率30000倍で単繊維断面写真を撮影し測定することができる。その際、測長機能を有するTEMでは、測長機能を活用して測定することができる。また、測長機能の無いTEMでは、撮った写真を拡大コピーして、縮尺を考慮した上で定規にて測定すればよい。
その際、単繊維の横断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には、繊維径は、単繊維の横断面の外接円の直径を用いるものとする。
本発明において、前記極細繊維が集合して繊維束の形状を取ることが好ましい。その際、一本の繊維束を構成する極細繊維の数としては200~20000本であることが好ましく、さらには400~1000本であることが最適である。適度の柔軟性を確保しやすくなるためである。
前記極細繊維の長さとしては30~100mm、さらには40~80mmの範囲であることが好ましい。このような範囲であることにより極細繊維束間やバインダー繊維との間に良好な絡み合いが起きやすくなる。
さらに本発明の研磨パッドは、バインダー繊維を含むことが必要である。バインダー繊維の繊維径(単繊維径)としては、前記極細繊維よりも大きいことが好ましく、1~20μmの範囲内であることがさらに好ましい。該繊維径が小さすぎると、引張強度が低く、製造工程においてシワ発生の原因となるおそれがある。逆に繊維径が大きすぎると、極細繊維とバインダー繊維とからなる構造体の地合いが悪くなるおそれがある。
なお、バインダー繊維の単繊維の断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には、本発明では外接円の直径を繊維径とする。また、このような繊維径は、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定できる。
またバインダー繊維の長さとしては、極細繊維の長さと同等であることが好ましく、具体的には30~100mm、さらには40~80mmの範囲の長さであることが好ましい。このような範囲であることにより極細繊維間(極細繊維束間)やバインダー繊維との間に良好な絡み合いが起きやすくなるからである。
前記バインダー繊維としては、芯に高融点の熱可塑性樹脂が存在し、鞘部に低融点の熱可塑性樹脂が存在する芯鞘型の繊維であることが好ましい。そのような樹脂の組み合わせとしては、芯を構成する樹脂としては、ポリエステル樹脂やポリアミド樹脂であることが好ましく、さらにはポリエステル樹脂、特にはポリエチレンテレフタレート樹脂であることが好ましい。また鞘部の低融点の熱可塑性樹脂としては、ポレオレフィン樹脂であることが好ましく、特にはポリエチレン、中でも高密度ポリエチレンであることが好ましい。
また、前記バインダー繊維は未延伸繊維でもよい。かかる未延伸繊維としては、紡糸速度が600~1500m/分で紡糸された未延伸ポリエステル繊維が好ましい。ポリエステルとは、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレタレート、ポリブチレンテレフタレートが挙げられ、好ましくは生産性、水への分散性などの理由から、ポリエチレンテレフタレートやそれを主成分とする共重合ポリエステルが好ましい。
そして本発明の研磨パッドでは、極細繊維がバインダー繊維に拘束されていることが好ましい。特には極細繊維からなる繊維束がその形状のまま、バインダー繊維に拘束されていることが好ましい。バインダー繊維によって点で接着することにより、柔軟性に優れながら形態保持性にも優れる研磨パッドとなる。
このような本発明の研磨パッドに用いられる極細繊維とバインダー繊維との重量比は、50/50~97/3であることが好ましい。このよう極細繊維の比率を50%以上にすることによって、極細繊維とバインダー繊維とから構成される構造体の厚みや硬さが保持されやすくなり、工程でのシワ発生を抑制でき、研磨パッド内の繊維の密度分布が安定する効果がある。極細繊維の重量割合が小さすぎる場合、砥粒を保持性が不十分となる傾向にある。逆に、極細繊維の重量割合が大きすぎると、繊維構造体が柔らかくなりすぎ、途中工程でのシワの発生の誘因となるおそれがある。
本発明の研磨パッドにおいて、繊維(極細繊維とバインダー繊維)のみの密度(嵩密度)としては0.09g/cm以上であることが好ましく、特には0.10~0.15g/cmの範囲であることが好ましい。該密度が小さすぎる場合には、研磨パッド表面への極細繊維の露出が少なくなり、砥粒の保持量が少なくなる傾向にあり、研磨レートが低下しやすい。
さらに本発明の研磨パッドは、上記の極細繊維やバインダー繊維と高分子弾性体を含むことを必須とする。
前記高分子弾性体としては、ポリウレタンエラストマー、アクリロニトリル、ブタジエンラバー、天然ゴム、ポリ塩化ビニルなどを使用することができる。中でも、ポリウレタンエラストマーが加工性の上から好ましい。かかる高分子弾性体の付与方法としては、該高分子弾性体を塗布あるいは含浸後、湿式または乾式で凝固させる方法、あるいはエマルジョン、ラテックス状で塗布あるいは含浸して乾式で乾燥、固着させる方法など種々の方法を採用することができる。
本発明の研磨パッドでは、その樹脂比率は研磨パッド重量対比40~80重量%であることが好ましい。樹脂比率が少なすぎると、研磨パッドの硬度が低くなり、加工基板を研磨したときの、平坦性が悪くなる傾向にある。逆に樹脂比率が大きくなりすぎると、研磨パッドの空隙率が小さくなり、加工基板を研磨する際に、砥粒の入れ替わりが悪くなり、研磨レートが低くなる傾向にある。
また高分子弾性体は極細繊維が構成する繊維束の内部にも存在すると、形状保持性が向上するため好ましい。
さらに研磨パッドの表面粗さ(KES表面粗さSMD)は1~10μmであることが好ましい。表面粗さが小さすぎると、研磨の際に、研磨パッドと加工基板との間に砥粒が入りづらく、作用砥粒数が下がり、研磨レートが下がり、表面粗さも悪くなるおそれがある。逆に該表面粗さが大きすぎると、研磨後の加工基板の平坦性が悪くなるおそれがある。
また、前記研磨パッドの硬度が、タイプAデュロメータで測定した際に80以下であることが好ましい。さらには50~70の範囲であることが好ましい。該硬度が小さすぎると、加工基板を研磨したときの、平坦性が悪くなるおそれがある。また大きすぎると追従性が悪くなり被研磨物と研磨パッドの密着性が悪くなり、面内を均一に研磨できない。
本発明の研磨パッドは、例えば、以下の製造方法により得ることができる。すなわち、海成分と島成分からなる海島型複合繊維と、バインダー繊維とを含む不織布から、前記海成分を除去することにより極細繊維不織布とし、高分子弾性体を付与することを特徴とする研磨パッドの製造方法である。
海島型複合繊維を構成する島成分の樹脂は、先の極細繊維を構成する樹脂と同一であり、いかなるポリマーであってもよいが、特に繊維形成性に優れた、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイドなどが好適な例として挙げられる。
一方、海成分を構成する可溶性樹脂としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属化合物水溶液や、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤で溶出可能なポリマーを用いることができる。ただし、本発明の製造方法ではこのような海島型複合繊維を一旦バインダー繊維と絡合不織布にした後、高分子弾性体を付与する前に、海成分を除去する。高分子弾性体を付与する前の絡合不織布は単に絡合とバインダー繊維との結合のみでその形態を保っているために、緩やかな条件の抽出処理であることが好ましく、アルカリ減量法や熱水抽出法で海成分を溶解除去する方法が好ましい。
そのため海成分としては、5-ナトリウムスルホイソフタル酸およびイソフタル酸を特定量共重合した共重合ポリエステル、5-ナトリウムイソフタル酸、イソフタル酸およびポリアルキレングリコールもしくはその誘導体を特定量共重合した共重合ポリエステル、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、イソフタル酸および脂肪族ジカルボン酸を特定量共重合した共重合ポリエステルなどが好ましい。さらに海成分にはポリエチレングリコールを共重合することも好ましい。
かかる海島型複合繊維は、国際公開第2005/095686号パンフレットや国際公開第2008/130019号パンフレットに開示された方法により製造することができる。すなわち、溶融紡糸に用いられる口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群(ピンレス)を有するものなど任意のものを用いることができる。例えば、中空ピンや微細孔より押し出された島成分とその間を埋める形で流路を設計されている海成分流とを合流し、これを圧縮することにより海島断面が形成されるといった紡糸口金でもよい。吐出された海島型複合繊維は冷却風により固化され、所定の引き取り速度に設定した回転ローラーあるいはエジェクターにより引き取られ未延伸糸(複屈折率Δnが0.05以下であることが好ましい。)を得る。この引き取り速度は特に限定されないが、200~5000m/分であることが好ましい。200m/分以下では生産性が低下するおそれがある。また、5000m/分以上では紡糸安定性が低下するおそれがある。
得られた未延伸糸は、必要に応じてそのままカット工程あるいはその後の抽出工程(アルカリ減量加工)に供してもよいし、延伸工程や熱処理工程を経由して延伸糸とした後、カット工程あるいはその後の抽出工程(アルカリ減量加工)に供してもよい。その際、延伸工程は紡糸と延伸を別ステップで行う別延方式でもよいし、一工程内で紡糸後直ちに延伸を行う直延方式を用いてもよい。カット工程と抽出工程の順番は逆にしてもよい。
かかるカットは、未延伸糸または延伸糸をそのまま、または数十本~数百万本単位に束ねたトウにしてギロチンカッターやロータリーカッターなどでカットすることが好ましい。
次いで、かかる海島型複合繊維と前記のようなバインダー繊維を用いて、不織布を得る。その際、前記海島型複合繊維とバインダー繊維との単繊維繊度比が(海島型複合繊維:バインダー繊維)1:0.49~1:0.70の範囲内であると、不織布の密度斑を低減することができ好ましい。
また、絡合方法はニードルパンチや水流等公知の方法を使用することができる。特に、物理的な絡み合いが生じやすいニードルパンチによる機械絡合を行う方法であることが好ましい。
次いで、不織布から、海島型複合繊維に含まれる海成分を除去する。海成分を抽出する方法は、特に制限はないが、バインダー繊維を傷つけないマイルドなアルカリ減量処理や熱水抽出処理であることが好ましい。
かかる処理により、不織布に含まれる海島型複合繊維は極細繊維となる。かかる不織布(含浸処理前)において、熱処理を行って繊維の嵩密度を0.09g/cm以上とすることが好ましい。さらには0.10~0.15g/cmの繊維密度であることが好ましい。また、不織布の目付けが100~600g/mの範囲内であることが好ましい。
次いで、不織布に、高分子弾性体を付与する。かかる高分子弾性体としては、ポリウレタンエラストマー、アクリロニトリル、ブタジエンラバー、天然ゴム、ポリ塩化ビニルなどを使用することができる。中でも、ポリウレタンエラストマーが加工性の上から好ましい。かかる高分子弾性体の付与方法としては、該高分子弾性体を塗布あるいは含浸後、湿式または乾式で凝固させる方法、あるいはエマルジョン、ラテックス状で塗布あるいは含浸して乾式で乾燥、固着させる方法など種々の方法を採用することができる。
高分子弾性体の付与方法としては、2段階の付与であることが好ましい。特に1段目に柔らかい樹脂を付着させ、2段目に硬い樹脂を付着させて、表面に高いモジュラスを有する高分子弾性体を付与することが好ましい。あるいは1段目に多孔質となる湿式含浸ポリウレタン等を付与し、2段目に充実層となる乾式高分子弾性体処理を行うことが好ましい。
次いで、表面を研磨することにより表面を起毛させることが好ましい。起毛は主に極細繊維に由来するものである。
かくして得られた研磨パッドは、研磨回転下における被研磨物と研磨パッドの密着性が向上し、被研磨物面内を均一量研磨できる研磨パッドを
となる。
以下実施例により、本発明を具体的に説明する。しかしながら本発明はこれによって限定されるものではない。なお、以下の実施例における評価および特性値は、以下の測定法により求めた。
(1)不織布の物性
目付け(g/m)および強伸度(N/cm、%)はJIS L1913、厚さ(mm)はJIS L1085、により求め、その値から目付け/厚さである嵩密度(g/cm3)を計算した。さらに通気度(cm/cm・sec)についてはJIS L1096-Aにより求めた。
(2)研磨パッドの物性
不織布の物性と同様に目付(g/m)はJIS L1913、厚さ(mm)はJIS L1085により求め、その値から目付け/厚さである嵩密度(g/cm)を計算した。
空隙率(%)は下記式により算出した。
空隙率(%)=(1-(嵩密度/理論密度))×100
ただし、理論密度とは、構成材料の加重平均密度であり、下記式により算出した。
理論密度(g/cm3)=1÷((樹脂比率(%)/100/樹脂密度)+(繊維比率(%)/100/繊維密度))
なお、ナイロン6繊維の密度を1.222g/cm、バインダー(ポリエステル)繊維の密度を1.360g/cm、ポリウレタン樹脂の密度を1.180g/cmとした。
研磨パッドの硬度は、JIS K6253に従い、高分子計器株式会社製DD2‐A型を用いて測定した。圧縮・弾性率(%)はJIS L1096より求めた。
(2-1)研磨パッド沈み込み量(μm)
JIS L1096にて圧縮率を測定するときのT0-T1にて求めた。サンプルは3枚を重ねて測定した。
T0:標準圧力(4.9kPa)を加えた時の厚さ
T1:一定圧力(29.4kPa)を加え1分間放置後の厚さ
(3)KES表面粗さSMD(μm)
0.5mm径5mm幅のピアノ線を10gf(9.8cN)で試料に圧着し、0.1cm/secで試料を動かした際の表面粗さの平均偏差として求めた。
(4)研磨性能
(4-1)研磨レート(μm/h)
直径920mmの研磨パッドを使用し、4inch(10.16cm)サファイアウェハの1時間当たりの研磨量を、片面研磨機を用いて下記条件にて測定した。
スラリー濃度:20wt%
スラリー量 :1300ml/min
圧力 :300g/cm
研磨時間 :60min
定盤回転数 :60rpm
使用スラリー:シリカ(フジミインコーポレ-テッド社製「コンポール80」)
(4-2)面内厚みバラつき(μm)
基準面と測定エリア内の各測定点データとの差の最大値と最小値の差を求めた。
[実施例1]
島成分としてナイロン6、海成分として5-ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合したポリエチレンテレフタレートを用い、紡糸、延伸して、海:島=30:70、島数=836、繊度5.6dtexの海島型複合繊維を得て44mmの長さに切断した。
この海島型複合繊維70wt%と直径14.4μm、長さ51mmのPET/非晶性co‐PET(融点130℃)(芯/鞘重量比=50/50)のバインダー短繊維30wt%をニードルパンチにて機械的に絡合し、熱処理(140℃、1分)を行って海島型複合繊維がバインダー繊維にて保持されたシートを得た。
その後、濃度5g/lの水酸化ナトリウム溶液中にて90℃で60分間処理(アルカリ減量処理)し、海島型複合繊維の海成分を抽出除去し、ナイロン6ナノファイバー短繊維束(繊維径0.7μm×836本)62wt%とその繊維束を固定するバインダー短繊維38wt%からなる不織布を作製した。
次いで得られた不織布にポリウレタン樹脂を湿式工程にて含浸した。最後に両面をバフ加工して立毛を形成すると同時に表面を平滑にし、厚みを1.3mmとし、裏面に粘着テープを貼付けて研磨パッドとした。この研磨パッドの物性および研磨性能を表1に示した。
[実施例2]
実施例1と同様に湿式工程でポリウレタン樹脂を含浸したときの含浸量以外は、実施例1と同様にして、研磨パッドを得た。この研磨パッドの物性および研磨性能を表1に併せて示した。
[比較例1]
実施例1と同様に湿式工程でポリウレタン樹脂を含浸後、次いでポリウレタン樹脂を乾式工程にて2次含浸した以外は、実施例1と同様にして、研磨パッドを得た。この研磨パッドの構成および研磨性能を表1に併せて示した。
[比較例2]
実施例1と同様に湿式工程でポリウレタン樹脂を含浸後、次いでポリウレタン樹脂を乾式工程にて2次含浸した以外は、実施例1と同様にして、研磨パッドを得た。この研磨パッドの構成および研磨性能を表1に併せて示した。
Figure 0007057215000001
本発明によれば、半導体基板、半導体デバイス、化合物半導体基板、化合物半導体デバイス等の各種デバイスを研磨するための研磨パッドであって被研磨物面内を均一に研磨できる研磨パッドおよびその製造方法が提供され、その工業的価値は極めて大である。

Claims (8)

  1. 研磨パッドであって、繊維径が10~2500nmの極細繊維と、バインダー繊維と、高分子弾性体とを含み、下記に定義する研磨パッド沈み込み量が100~400μmの範囲内であることを特徴とする研磨パッド。
    (研磨パッド沈み込み量)
    サンプル3枚を重ねてJIS L1096により圧縮率を測定するときのT0-T1を研磨パッド沈み込み量とする。
    T0:標準圧力(4.9kPa)を加えた時の厚さ
    T1:一定圧力(29.4kPa)を加え1分間放置後の厚さ
  2. 前記極細繊維が、ポリアミドまたはポリエステルからなる、請求項1に記載の研磨パッド。
  3. 研磨パッドの厚みが0.5~3.0mmの範囲内である、請求項1または請求項2に記載の研磨パッド。
  4. 研磨パッドの目付けが300~600g/mの範囲内である、請求項1~3のいずれかに記載の研磨パッド。
  5. 表面を起毛してなる、請求項1~4のいずれかに記載の研磨パッド。
  6. 海成分と島成分からなる海島型複合繊維と、バインダー繊維とを含む不織布から、前記海成分を除去することにより極細繊維不織布とした後、高分子弾性体を付与する、請求項1に記載の研磨パッドの製造方法。
  7. 前記不織布がニードルパンチ不織布である、請求項6に記載の研磨パッドの製造方法。
  8. 前記不織布の目付けが100~600g/mの範囲内である、請求項6または請求項7に記載の研磨パッドの製造方法。
JP2018096332A 2018-05-18 2018-05-18 研磨パッドおよびその製造方法 Active JP7057215B2 (ja)

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