JP7055561B2 - 車両の床板固定構造 - Google Patents

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本発明は、自動車等の車両の床板固定構造に関する。
図5は、従来の技術による車両の後部座席及び荷室ボードの構成を示す図である。図5に示すように、従来の後部座席100に組み付けられる荷室ボード110は、車体前後方向に延びる板形状をなす部材であって、前端部両側には、例えば先端がフロア側(下側)に逆L字形に折り曲げられた帯板状の一対のフック111が突設されており、後部座席100のシートバック120の後面に係止するための係止部112を構成する。シートバック120の後面には係止部112を受ける受部121が形成される。受部121は開口122を有し、係止部112のフック111の先端が開口122の縁に係止されることにより、荷室ボード110はシートバック120に組み付けられる。
これにより、荷室ボード110は車両後部の床面を形成するとともに、シートバック120の傾動又は前後動に連動して、後部座席100背後の隙間を覆った状態で車体前後方向に変位可能にとなっている(例えば特許文献1を参照)。
特開平9-169286号公報
しかしながら、上記従来の技術には、以下のような課題があった。すなわち、特許文献1に記載の技術においては、車両後部の床面の荷重は、荷室ボード110及びフック111と開口122の係止部分に加わることとなるのに対して、ボードや係止部分が充分な強度を保つとは言えなかった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、車両後部の床面の剛性を向上させた車両の床板固定構造を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の側面は、車両のシートクッションのフレームから車長方向後方に位置する荷室に向かって延出してなるブラケットに固定され、前記荷室の床板を支持する単一の支持部材を備え、前記支持部材は、前記床板の車両の車長方向に沿った中心線と交差するとともに、前記床板の幅方向に沿って延在しており、前記床板は、前記床板の幅方向に沿って延在するとともに間隔をおいて配置された一対の接続部であって、前記床板の他の部分よりも肉薄の一対の接続部を有し、前記支持部材は、前記一対の接続部の間で前記床板を支持している、車両の床板固定構造である。
これにより、車両後部の床面の剛性を向上させることが可能となる。
また、本発明の他の側面は、車両のシートと前記シートのシートバックの車長方向後方に位置する荷室との間を覆うとともに、前記荷室の床面を形成する床板ボードを備え、前記床板ボードは、前記シートのシートクッションのフレームから車長方向後方に位置する荷室に向かって延出してなるブラケットに固定された支持部材に載置される載置部を有し、前記支持部材及び前記載置部には、前記載置部の前記支持部材への載置位置に対応した同軸の貫通孔がそれぞれ設けられている、車両の床板固定構造である。
これにより、組み付けの作業工程を簡易・単純化して生産性を向上させることが可能となる。
なお、本発明は更に他の側面として、支持部材として上記本発明の側面の車両の床板固定構造の前記支持部材を備える、上記本発明の他の側面の車両の床板ボードであってもよい。
以上のような本発明は、車両後部の床面の剛性を向上させることが可能になるという効果を奏する。
本発明の実施の形態に係る車両の床板固定構造及びその近傍の構成を示す斜視図 本発明の実施の形態に係る車両の床板固定構造及びその近傍の構成を示す側面図 本発明の実施の形態に係る車両の床板固定構造の要部の構成を示す平面図 図3のA-A直線による要部断面図 従来の技術による後部座席及び荷室ボードの構成を示す図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る車両の床板固定構造1の構成を示す斜視図であり、図2は側面図である。また、図3は本発明の実施の形態に係る車両の床板固定構造の要部の構成を示す平面図である。
各図に示すように、本実施の形態の車両の床板固定構造1は、車両のリヤフロア10上に配設された後部座席20、後部座席20の車長方向後方に位置するスライドボード30の両方にまたがって形成される。
後部座席20は、ヘッドレスト21、シートバック22及びシートクッション23を有し、シートクッション23は、リヤフロア10上に固定された、車長方向に延在する一対のシートレール24上を移動可能に固定される。
また、一対のシートレール24の車長方向後端には、これらシートレール間を繋いで車幅方向に延出してなるブラケットサポート25が設けられ、ブラケットサポート25には車長方向後方に延出してなる一対のブラケット26が固定される。更に、一対のブラケット26のそれぞれの先端には、後述するスライドボード30が載置される載置部材27が固定される。シートレール24、ブラケット26、一対のブラケット26及び載置部材27は鋼製その他金属製の部材である。載置部材27は主面が車高方向と略直交してリヤフロア10と略平行となる向きに位置決めされた平面形状矩形の部位であって、図3に示すように、スライドボード30の車長方向に沿った中心線CLに対して対称となる位置に形成された貫通孔33xが設けられている。更に、載置部材27は、図4の要部断面図に示すように、横断面形状コの字の形状を有することで剛性が高められている。
次に、スライドボード30は、合成樹脂製の部材であって、それぞれ平面形状矩形のボード本体31、目隠し板32、及びガイド固定部33を主要な構成として備える。
ボード本体31はリヤフロア10上の後部座席20の後方に設けられたデッキボックス40の直上に位置して、デッキボックス40の開口を閉塞する部位である。目隠し板32は後部座席20のシートバック22の背面に位置して、先端の縁部32aがシートバック22の表面に接触することで、後部座席20とデッキボックス40との間の空間Sを覆って外部から遮蔽する部位である。また、ガイド固定部33は、載置部材27に位置合わせして、固定されることにより、スライドボード30を後部座席20に組み付けるための部位であって、図1、図3、図4に示すように、載置部材27の平面形状に対応した矩形状の平面形状を有するとともに、載置部材27上に載置された際に載置部材27の貫通孔27xと同軸をなす位置に形成された貫通孔33xが設けられている。
更に、ボード本体31とガイド固定部33との間は、これら部位よりも肉薄で可撓性を有する接続部34により、目隠し板32とガイド固定部33との間は、接続部34と同様の構成の接続部35により、それぞれ接続されることで、ボード本体31、目隠し板32及びガイド固定部33はそれぞれ接続部34及び35を支点として角度自在に揺動させることができる。なお、ボード本体31、目隠し板32、ガイド固定部33並びに接続部34及び35は、図4に示すようにインジェクション成形等により継ぎ目なく一体成形されるものであってもよいし、各部を独立した部品として組み合わせる構成であってもよい。
次に、後部座席20へのスライドボード30の組み付け状態について説明する。図2~4に示すように、載置部材27の主面上に、スライドボード30のガイド固定部33を、互いの貫通孔27xと33xとが同軸配置となるよう重ね合せた後に、貫通孔33xに締結用のクリップCが車高方向上方から嵌入されることで、載置部材27とガイド固定部33とが固定される。
これにより、ボード本体31及び目隠し板32は載置部材27とガイド固定部33との固定位置を実質的な中心として回動自在に固定される。したがって、ボード本体31の先端の縁部32aは、後部座席20のシートバック22の角度の変更やヘッドレスト21の車長方向の前後動に連動して常にシートバック22の表面に接触した状態が保たれ、シートバック22とデッキボックス40との間の空間Sが常時覆われることとなる。また、ボード本体31はデッキボックス40の開口を開閉自在に閉塞するとともに、車両の荷室の床面を構成することとなる。
以上の構成において、車両の床板固定構造1は本発明の車両の床板固定構造に相当し、一対のブラケット26は本発明のブラケットに相当し、載置部材27は本発明の支持部材に相当する。また、スライドボード30のボード本体31は本発明の床板又は床板ボードに相当し、スライドボード30のガイド固定部33は本発明の載置部に相当し、貫通孔27xは本発明の支持部材の貫通孔に、貫通孔33xは本発明の載置部の貫通孔に、それぞれ相当する。
このような構成を有する本発明の実施の形態の車両の床板固定構造1は、スライドボード30のガイド固定部33を載置している、横断面形状コの字の形状を有する金属製の載置部材27が、図3に示すように、スライドボード30の車長方向に沿った中心線CLに直交して、スライドボード30の全幅に近い寸法にて延在する構成を備えたことにより、スライドボード30のリインフォースとして働く。これによりスライドボード30は剛性が向上し、荷室の床面に加わる荷重に対して充分な強度を獲得している。
更に、本発明の実施の形態の車両の床板固定構造1は、後部座席20へのスライドボード30の組み付けを、載置部材27の貫通孔27xとスライドボード30のガイド固定部33の貫通孔33xとが位置合わせに基づき行うようにしたことで、以下の効果を奏する。すなわち、図5に示す従来の荷室ボード110の後部座席100への組み付けは、荷室ボード110の一対の係止部112に対応してシートバック120に一対の受部121を組み付けるため、各々の係止部112と受部121毎に位置合わせ及び組み付けの作業が発生することから、作業工程が煩わしく、また工程数も増加し、生産性に乏しいものものとなっていた。
これに対し、本実施の形態によれば、単一の載置部材27及びスライドボード30を車高方向に直交する水平な面上で位置合わせすることができ、作業工程を簡略化し、また工程数を削減することが可能となっている。
更に、本発明の実施の形態の車両の床板固定構造1は、スライドボード30と載置部材27との固定を、車長方向上方から嵌入するクリップCにより行うことで、外れ易さを解消することが可能となっている。
以上のように、本発明の実施の形態の車両の床板固定構造1によれば、車両後部の床面の剛性を向上させることが可能になる。また、作業工程を簡略化し、工程数を削減して、生産性を向上させることが可能になる。
しかしながら、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。上記の説明においては、載置部材27は、スライドボード30のガイド固定部33の貫通孔33xと位置合わせ及び固定するための貫通孔27xを有するとしたが、貫通孔を設けず他の構成により位置合わせ、固定する構成としてもよい。この場合でも、本発明の車両後部の床面の剛性を向上させる効果を奏する。
以上のように、本発明は、車両の床板固定構造であって、車両のシートクッションのフレームから車長方向後方に位置する荷室に向かって延出してなるブラケットに固定され、前記荷室の床板を支持する単一の支持部材を備え、前記支持部材は、前記床板の車両の車長方向に沿った中心線と交差するとともに、前記床板の幅方向に沿って延在しており、前記床板は、前記床板の幅方向に沿って延在するとともに間隔をおいて配置された一対の接続部であって、前記床板の他の部分よりも肉薄の一対の接続部を有し、前記支持部材は、前記一対の接続部の間で前記床板を支持している、ものであればよく、その他の具体的な目的、用途、構成によって限定されるものではない。
更に、上記の説明においては、載置部材27は、スライドボード30の車長方向に沿った中心線CLに直交して、スライドボード30の全幅に近い寸法にて延在するものとしたが、本発明の支持部材は、少なくともスライドボード30に例示される床板の、車両の車長方向に沿った中心線と交差するとともに、その幅方向に沿って延在していればよい。したがってスライドボード30の幅より短い寸法であってもよい。
以上のように、本発明は、車両の床板固定構造であって、車両のシートクッションの背後から車長方向後方に位置する荷室に向かって延出してなるブラケットに固定され、前記荷室の床板を支持する支持部材を備え、前記支持部材は、前記床板の車両の車長方向に沿った中心線と交差するとともに、前記床板の幅方向に沿って延在しているものであればよく、その他の具体的な目的、用途、構成によって限定されるものではない。
更に、本発明は、車両の床板固定構造であって、車両のシートと前記シートのシートバックの車長方向後方に位置する荷室との間を覆うとともに、前記荷室の床面を形成する床板ボードを備え、前記床板ボードは、前記シートのシートクッションのフレームから車長方向後方に位置する荷室に向かって延出してなるブラケットに固定された支持部材に載置される載置部を有し、前記支持部材及び前記載置部には、前記載置部の前記支持部材への載置位置に対応した同軸の貫通孔がそれぞれ設けられているものであればよく、その他の具体的な目的、用途、構成によって限定されるものではない。
したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内であれば、以上説明したものを含め、上記実施の形態に種々の変更を加えたものとして実施してもよい。
以上のような本発明は、車両後部の床面の剛性を向上させることが可能となり、例えば乗用車等の車両への適用において有用である。
1 車両の床板固定構造
10 リヤフロア
20 後部座席
21 ヘッドレスト
22 シートバック
23 シートクッション
24 シートレール
25 ブラケットサポート
26 ブラケット
27 載置部材
27x、33x 貫通孔
30 スライドボード
31 ボード本体
32 板
32a 縁部
33 ガイド固定部
34、35 接続部
40 デッキボックス

Claims (1)

  1. 車両のシートクッションの背後から車長方向後方に位置する荷室に向かって延出してなるブラケットに固定され、前記荷室の床板を支持する支持部材を備え、
    前記支持部材は、
    前記床板の車両の車長方向に沿った中心線と交差するとともに、前記床板の幅方向に沿って延在しており、
    前記床板は、前記床板の幅方向に沿って延在するとともに間隔をおいて配置された一対の接続部であって、前記床板の他の部分よりも肉薄の一対の接続部を有し、
    前記支持部材は、前記一対の接続部の間で前記床板を支持している、
    車両の床板固定構造。
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