JP7054709B2 - アンフェタミンの乱用抑止製剤 - Google Patents

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Description

関連出願
[0001] 本願は、2017年2月6日に出願された米国仮特許出願第62/455,227号及び2017年5月10日に出願された米国特許出願第15/591,677の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
[0001] 本発明は一般的に、乱用抑止経口製剤に関する。
[0002] 乱用抑止製剤の設計及び開発には、許容可能な溶解速度及び生物学的利用能の維持しながら、操作/乱用可能性の制限の均衡を取ることが含まれる。さらに製剤は、投薬単位の商業的生産を可能にする処理特性を有しなければならない。このような課題のため、適切な乱用抑止製剤が必要となる。
[0003] 本願は、薬剤と、少なくとも2種の賦形剤とを含む乱用抑止製剤を提供する。薬剤は、通常、統制薬物である。統制薬物は中枢神経系を標的とする物質であってもよく、及び/又は精神障害の治療に用いられる物質であってもよい。好ましい薬剤は、デキストロアンフェタミンなどのアンフェタミン、又はその薬学的に許容される塩である。
[0004] 特定の実施形態において、薬剤は、
Figure 0007054709000001

又はその薬学的に許容される塩を有する。さらに特定の実施形態において、薬剤は、S鏡像異性体、又はその薬学的に許容される塩である。
[0005] 賦形剤としては、例えば、PEGエステル、ポロキサマー、水溶性アニオン性多糖類、カルボキシメチルセルロースが挙げられる。
[0006] 好ましくは、乱用抑止製剤はカプセル形である。
[0007] 乱用抑止製剤は、以下の性質のうち少なくとも1つの性質を有する。
(a)薬剤の少なくとも80%が45分以内に溶液中に放出される溶解プロファイルを有する。
(b)26ゲージ針を介して乱用抑止製剤を押し出すピーク力が、26ゲージ針を介して非乱用抑止製剤を注入するピーク力より1桁大きい。
(c)26ゲージ針を介して乱用抑止製剤を押し出すときの力対時間曲線下面積は、26ゲージ針を介して濾過済みの試料である非乱用抑止製剤を押し出すときの力対時間曲線下面積より約4倍大きい。
(d)乱用抑止製剤の粘度は、未濾過の試料である非乱用抑止製剤より約3桁大きい。
(e)乱用抑止製剤と水の混合物は注射することができない。
(f)約5分間粉砕した後、乱用抑止製剤の5重量%未満が、目開き1mmのふるいを通過する。
(g)乱用抑止製剤の単位用量から薬剤の10%未満が10mLの水で抽出される。
[0008] 一部の実施形態において、乱用抑止製剤は(a)から(g)の性質のうち少なくとも3つ以上を有する。一部の実施形態において、乱用抑止製剤は(a)から(g)の性質のうち少なくとも4つ以上を有する。一部の実施形態において、乱用抑止製剤は(a)から(g)の性質のうち少なくとも5つ以上を有する。一部の実施形態において、乱用抑止製剤は(a)から(g)の性質のうち少なくとも6つ以上を有する。
[0009] 乱用抑止製剤は、経口で体内に吸収可能であり、非乱用抑止製剤のプロファイルと同様の溶解プロファイルを有することができる。一部の実施形態において、乱用抑止製剤は、溶液中の薬剤の放出が45分以内に完了する溶解プロファイルを有する。
[0010] 一部の実施形態において、乱用抑止製剤は、薬剤の少なくとも93%が45分以内に溶液中に放出される溶解プロファイルを有する。一部の実施形態において、乱用抑止製剤は、薬剤の少なくとも80%が20分以内に溶液中に放出される溶解プロファイルを有する。一部の実施形態において、乱用抑止製剤は、薬剤の少なくとも80%が10分以内に溶液中に放出される溶解プロファイルを有する。特定の実施形態において、本願は、薬剤の少なくとも80%が45分以内に溶液中に放出される溶解プロファイルを有するデキストロアンフェタミン含有製剤を開示する。
[0011] 乱用抑止製剤は、化学物質の抽出や注入に対して耐性を持つ。例えば、製剤は、乱用者が投薬単位の活性成分を、場合によっては加熱した溶媒中から抽出してその混合物を飲み込むか注入するような、化学物質の抽出や注入に耐性を持つ。一例として、製剤を溶媒と組み合わせて混合物を得たところで、混合物は注射器で目詰まりを起こすか、とにかく注射できないものである。一部の実施形態において、製剤は溶媒と供に、注射器で引き上げることも、注射器から押し出すことも困難にする粘性のゲルを形成する。他の実施形態において、抽出を試みても得られる濾液の量は非常に少なく、乱用者は、所望の活性成分を不十分な量でしか入手することができない。
[0012] 一部の実施形態において、乱用抑止製剤と水の混合物は注射することができない。一部の実施形態において、乱用抑止製剤の単位用量と水とを組み合わせるとゲルが形成される。
[0013] 他の実施形態において、乱用抑止製剤と水の混合物から体積の20%未満を注射することができる。さらに特定の実施形態において、乱用抑止製剤と水の混合物から体積の10%未満を注射することができる。別の実施形態において、乱用抑止製剤の単位用量から薬剤の10%未満が10mLで抽出される。特定の実施形態において、水の温度は約90℃である。他の実施形態において、水の温度は周囲温度である。
[0014] 乱用抑止製剤の物性により、乱用者は製剤を粉砕又は切断して、粉砕済みの材料を吸引することが抑止される。粉砕又は同様の物理的操作により、製剤は粘着性、又はろう質の特性を有してもよい。それによって、タルクや塩化ナトリウムなどの流動促進剤の存在下でも、吸込性粉末や吸引性物質の形成を防止することができる。
[0015] 一部の実施形態において、約5分間粉砕した後、乱用抑止製剤の5重量%未満が、目開き1mmのふるいを通過する。特定の実施形態において、粉砕中に流動促進剤を乱用抑止製剤と組み合わせる。
[0016] 一部の実施形態において、乱用抑止製剤は、薬剤と、PEGエステルと、ポロキサマーと、水溶性アニオン性多糖類とを含む。特定の実施形態において、PEGエステルはステアリン酸ポリオキシルであり、ポロキサマーはポロキサマー124であり、水溶性アニオン性多糖類はジェランガムである。一部の実施形態において、ポロキサマー:多糖類:PEGエステルの比は約40:30:30である。
[0017] 一部の実施形態において、乱用抑止製剤は、薬剤と、PEGエステルと、水溶性アニオン性多糖類とを含む。特定の実施形態において、PEGエステルはステアリン酸ポリオキシルであり、水溶性アニオン性多糖類はジェランガムである。さらに特定の実施形態において、PEGエステル:水溶性アニオン性多糖類の比は約70:30である。
[0018] また別の実施形態において、乱用抑止製剤は、薬剤と、PEGエステルと、カルボキシメチルセルロースとを含む。特定の実施形態において、PEGエステルはステアリン酸ポリオキシルである。さらに特定の実施形態において、PEGエステルとカルボキシメチルセルロースの比は約70:30である。
[0019] 具体的には、本発明は、薬剤と、ポロキサマーと、水溶性アニオン性多糖類と、PEGエステルとを含む乱用抑止製剤を提供する。薬剤は、
[0020]
Figure 0007054709000002

又はその薬学的に許容される塩である。
[0021] あるいは、アンフェタミンのS鏡像異性体、又はその薬学的に許容される塩である。
[0022] 特に薬剤は、デキストロアンフェタミン、又はその薬学的に許容される塩である。
[0023] 薬学的に許容される塩は、例えば硫酸塩である。製剤中における薬剤の単位用量は約10mg~約50mgである。好ましくは、乱用抑止製剤はカプセル形である。カプセルは、例えばゼラチンである。
[0024] ポロキサマーはポロキサマー124である。水溶性アニオン性多糖類はジェランガムである。
[0025] PEGエステルはステアリン酸ポリオキシルである。ポロキサマー:水溶性アニオン性多糖類:PEGエステルの比は約40:30:30である。
[0026] 乱用抑止製剤には、ポロキサマー33~43重量%、水溶性アニオン性多糖類24~32重量%、PEGエステル24~32重量%を含み、ポロキサマー124:ジェランガム:ステアリン酸ポリオキシルの比は約40:30:30である。
[0027] ポロキサマーはKollisolv P124であり、水溶性アニオン性多糖類はKelcogel CGHAであり、PEGエステルはGelucire 48/16である。
[0028] 好ましい製剤は、
Figure 0007054709000003

又はS鏡像異性体(デキストロアンフェタミン)又は薬学的に許容される塩を薬剤として含み、ポロキサマー124、ジェランガム、ステアリン酸ポリオキシルをさらに含む。ポロキサマー124:ジェランガム:ステアリン酸ポリオキシルの比は約40:30:30である。一部の実施形態において、ポロキサマー124はKollisolv P124であり、ジェランガムはKelcogel CGHAであり、ステアリン酸ポリオキシルはGelucire 48/16である。
[0029] 一部の実施形態において、薬剤の少なくとも80%は45分以内に溶液中に放出される。
[0030] 一部の態様において、乱用抑止製剤と水とを組み合わせると、ゲルが形成される。
[0031] 他の態様において、薬剤の少なくとも80%は45分以内に溶液中に放出される。
[0032] さらなる態様において、26ゲージ針を介して乱用抑止製剤を押し出すピーク力は、26ゲージ針を介して非乱用抑止製剤を注入するピーク力より少なくとも8倍大きい。
[0033] 26ゲージ針を介して乱用抑止製剤を押し出すときの力対時間曲線下面積は、26ゲージ針を介して非乱用抑止製剤を押し出すときの力対時間曲線下面積より少なくとも3倍大きい。非乱用抑止製剤は、濾過済みの試料である。
[0034] さらに別の態様において、乱用抑止製剤の粘度は、非乱用抑止製剤より少なくとも約2桁大きい。
[0035] さらなる態様において、乱用抑止製剤と水の混合物は注射することができない。
[0036] 別の態様において、約5分間粉砕した後、乱用抑止製剤の5重量%未満が目開き1mmのふるいを通過する。
[0037] 一部の態様において、乱用抑止製剤の単位用量から薬剤の10%未満が10mLの水で抽出される。
[0038] 本発明には、本発明の乱用抑止製剤を投与することで、被験者の注意欠陥・多動性障害(ADHD)を治療する方法も含まれ、この場合、薬剤はデキストロアンフェタミンなどのアンフェタミンである。
[0039] 特に定義されない限り、本明細書において用いられる技術用語及び科学用語の全ては、本発明に関する技術分野の当業者に一般に理解される用語と同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似又は同等の方法及び物質を本発明の実施に使用することはできるが、以下に適合な方法及び物質を記載する。本明細書が言及する出版物、特許出願、特許、その他の参考文献は、全て本文に援用されている。矛盾が生じる場合、定義を含み、本明細書を優先とする。加えて、本明細書に記載されている物質、方法、実施例はあくまで例示に過ぎず、請求の内容を限定するためのものではない。
[0040] 本発明の他の特徴及び利点を、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲にて明確に明かし、その内容を、明細書及び請求の範囲の一部として見なす。
[0041] プロトタイプ2の溶解プロファイルを示す。 [0042] プロトタイプ3の溶解プロファイルを示す。 [0043] プロトタイプ6の溶解プロファイルを示す。 [0044] プロトタイプ7の溶解プロファイルを示す。 [0045] プロトタイプ10の溶解プロファイルを示す。 [0046] プロトタイプ2、3、6、7、10の抽出データを示す。 [0047] 振とう期間後のプロトタイプ3(1ラウンド)の画像を示す。 [0048] 温水中の振とう期間後のプロトタイプ7(1ラウンド)の画像を示す。 [0049] (図9A)粉砕後のプロトタイプ2、(図9B)振とう後のプロトタイプ2の画像を示す。 [0050] (図10A)粉砕後の比較群製剤、(図10B)目開き1mmのふるいによる採集量、(図10C)目開き500μmのふるいによる採集量、(図10D)目開き250μm(但し、画像では1mmと誤記されている)のふるいによる採集量、(図10E)目開き106μmのふるいによる採集量、(図10F)基部ふるいの採集量の画像を示す。 [0051] (図11A)タルクで粉砕後のプロトタイプ2、(図11B)振とう後、目開き1mmのふるい上に残留したカプセル内容物の画像を示す。 [0052] (図12A)塩化ナトリウムで粉砕後のプロトタイプ2、(図12B)カプセルの内容物が主に目開き1mmのふるい上に残留した、振とう後のプロトタイプ2の画像を示す。 [0053] (図13A)周囲水、(図13B)周囲温度の酢酸、(図13C)周囲温度の0.2%重炭酸ナトリウム、(図13D)周囲温度のエタノール(95%)、(図13E)周囲温度の炭酸清涼飲料水中におけるプロトタイプ2の画像を示す。 [0054] (図14A)周囲水、(図14B)周囲温度の0.2%重炭酸ナトリウム、(図14C)周囲温度のエタノール(95%)、(図14D)周囲温度の炭酸清涼飲料水中における比較群製剤の画像を示す。 [0055] (図15A)破砕後の比較群製剤及びプロトタイプ2、(図15B)温水で均質化した後の比較群製剤及びプロトタイプ2の画像を示す。 [0056] 温水で振とうした後の(図16A)比較群製剤の濾液、(図16B)プロトタイプ2の濾液の画像を示す。 [0057] すり潰した比較群製剤、周囲温度のエタノール(40%)中の比較群製剤、振とう後の濾液の画像を示す。 [0058] (図18A)比較群製剤と(図18B)プロトタイプ2の、周囲水中における26ゲージ針を取り付けた注射器による採取の画像を示す。 [0059] (図19A)比較群製剤と(図19B)プロトタイプ2の、温水中における26ゲージ針を取り付けた注射器による採取の画像を示す。 [0060] (図20A)18ゲージ針、(図20B)0.2μmナイロンフィルタ、(図20C)脱脂綿、(図20D)タバコフィルタを用いた、周囲水中における比較群製剤の注射器による採取の画像を示す。 [0061] (図21A)18ゲージ針、(図21B)0.2μmナイロンフィルタ、(図21C)脱脂綿、(図21D)タバコフィルタを用いた、周囲水中におけるプロトタイプ2の注射器による採取の画像を示す。 [0062] (図22A)18ゲージ針、(図22B)0.2μmナイロンフィルタ、(図22C)脱脂綿、(図22D)タバコフィルタを用いた、温水中における比較群製剤の注射器による採取の画像を示す。 [0063] (図23A)18ゲージ針、(図23B)0.2μmナイロンフィルタ、(図23C)脱脂綿、(図23D)タバコフィルタを用いた、温水中におけるプロトタイプ2の注射器による採取の画像を示す。 [0064] (図24A)20ゲージ針、(図24B)0.2μmナイロンフィルタ、(図24C)タバコフィルタを用いた、周囲水中における比較群製剤の注射器による採取の画像を示す。 [0065] (図25A)比較群製剤と(図25B)プロトタイプ2の、温水中における20ゲージ針を取り付けた注射器による採取の画像を示す。 [0066] (図26A)23ゲージ針、(図26B)タバコフィルタを用いた、周囲水中における比較群製剤の注射器による採取の画像を示す。 [0067] (図27A)23ゲージ針、(図27B)0.2μmナイロンフィルタ、(図27C)脱脂綿、(図27D)タバコフィルタを用いた、温水中における比較群製剤の注射器による採取の画像を示す。 [0068] (図28A)18ゲージ針、(図28B)20ゲージ針、(図28C)23ゲージ針、(図28D)26ゲージ針を取り付けた注射器による、周囲水中におけるプロトタイプ2の採取の画像を示す。 [0069] (図29A)18ゲージ針、(図29B)20ゲージ針、(図29C)23ゲージ針、(図29D)26ゲージ針を取り付けた注射器による、温水中における比較群製剤の採取の画像を示す。 [0070] (図30A)18ゲージ針、(図30B)20ゲージ針、(図30C)23ゲージ針、(図30D)26ゲージ針を取り付けた注射器による、温水中におけるプロトタイプ2の採取の画像を示す。 [0071] 図31Aから図31DはLDを操作する画像を示している。(図31A及び図31B)完全な錠剤3つに10mLの飲料水を添加する。(図31D)共に粉砕して注射器に充填できる液体内粉末を形成する。 [0072] 図32Aから図32Dは、ADAIR製剤を操作する画像を示している。(図32A)10mgADAIRカプセル6つの相当量を乳鉢と乳棒に分注する。(図32B)飲料水20mLを添加する。(図32C)物質を均質になるまで粉砕する。(図32D)粘性のゲル状物質が生成される。 [0073] 図33Aから図33Dは、プラシーボ製剤を操作する画像を示している。(図33A及び図33B)水20mLを乳鉢と乳棒に加える。(図33C)共に均質になるまで粉砕する。(図33D)粘性の生成物を得る。 [0074] 図34Aから図34Fは、テクスチャアナライザ注射性試験方法の開発のための設定を示す画像を示す。(図34A)5mL注射器からプランジャを取り除き、試験対象の物質を後ろから充填する。(図34B)気泡を除去し、>3mLを均質に充填する。(図34C)充填した注射器をテクスチャアナライザの注射器試験装置に載置する。(図34D)プランジャを3mLに設定する。(図34E及び図34F)針を取り付ける。試験を実施し、適用可能であれば、注射器のプランジャを目盛りの3mLから2mLまで(9mm)移動させ、針から物質を押し出す。 [0075] 方法開発試料のテクスチャアナライザ注射器プロファイルを示すグラフである。操作済みの乱用抑止製剤・26ゲージ針(緑)、操作済みの乱用抑止製剤・18ゲージ針(紺青)、空の5mL注射器・18ゲージ針(黒)、水・5mL注射器・26ゲージ針(水色)、水・5mL注射器・18ゲージ針(赤)、空の5mL注射器・26ゲージ針(ピンク)。時点1と2の間の最大力は対静止摩擦力(stiction)、時点2と3の間の最大力は水平力(plateau force)、時点3と4の間の最大力は最終拘束力(end constraint)と呼ばれる。 [0076] 18ゲージ針と26ゲージ針を取り付けた場合の、テクスチャアナライザを用いて得た空の注射器、操作済みのプラシーボ(MADF)、水の対静止摩擦力、水平力、最終拘束力の平均を示す棒グラフである。 [0077] 空の注射器(18ゲージ針付き)(赤)、空の注射器(26ゲージ針付き)(青)、空の注射器(針なし)(黒)に対するテクスチャ分析プロファイルを示すグラフ(n=3)である。 [0078] 水(26ゲージ針)(紺青)と水(18ゲージ針)(水色)に対するテクスチャ分析プロファイルを示すグラフ(n=3)である。 [0079] 未濾過LD(26ゲージ針)に対するテクスチャ分析プロファイルを示すグラフ(n=3)である。複数の鋭いピークとトラフ(谷)は、すり潰した錠剤の粒子が、一時的に針の目詰まりを引き起したためと思われる(n=3)。 [0080] 未濾過・操作済みのLD(18ゲージ針)に対するテクスチャ分析を示すグラフ(n=3)である。 [0081] 未濾過・操作済みのADAIR(26ゲージ針:緑)(18ゲージ針:オレンジ)に対するテクスチャ分析を示すグラフ(n=3)である。 [0082] 操作済みのプラシーボ(18ゲージ針:ピンク)(26ゲージ針:緑)に対するテクスチャ分析を示すグラフ(n=3)である。 [0083] 操作・濾過済みのLD(18ゲージ針:緑、n=3)(26ゲージ針:赤、n=2)に対するテクスチャ分析を示すグラフである。 [0084] 18ゲージ針を用いてテクスチャアナライザで測定した操作済みの試料全てに対して記録した平均ピーク力を示す棒グラフである。誤差棒は標準偏差を表す(n=3)。 [0085] 26ゲージ針を用いてテクスチャアナライザで測定した操作済みの試料全てに対して記録した平均ピーク力を示す棒グラフである。誤差棒は標準偏差を表す(n=3、但し濾過済みのLD/26ゲージ針はn=2)。 [0086] 18ゲージ針を用いてテクスチャアナライザで測定した操作済みの試料全てに対して記録した平均力対時間曲線下面積(単位Ns)を示す棒グラフである。誤差棒は標準偏差を表す(n=3)。 [0087] 26ゲージ針を用いてテクスチャアナライザで測定した操作済みの試料全てに対して記録した平均力対時間曲線下面積(単位Ns)を示す棒グラフである。誤差棒は標準偏差を表す(n=3、但し濾過済みのLD/26ゲージ針はn=2)。 [0088] 18ゲージ針を用いてテクスチャアナライザで測定した操作済みADAIR試料及び操作・濾過済みLD試料に対して記録した平均ピーク力を示す棒グラフである。誤差棒は標準偏差を表す(n=3)。 [0089] 18ゲージ針を用いてテクスチャアナライザで操作済みADAIR試料及び操作・濾過済みLD試料に対して測定した平均ピーク力対時間曲線下面積(単位Ns)を示す棒グラフである。誤差棒は標準偏差を表す(n=3)。 [0090] 26ゲージ針を用いてテクスチャアナライザで測定した水、操作済みADAIR試料及び操作・濾過済みLD試料に対して記録した平均ピーク力を示す棒グラフである。誤差棒は標準偏差を表す(n=3、但し濾過済みのLD/26ゲージ針はn=2)。 [0091] 26ゲージ針を用いてテクスチャアナライザで測定した水、操作済みADAIR試料及び操作・濾過済みLD試料に対して記録した平均力対時間曲線下面積(単位Ns)を示す棒グラフである。誤差棒は標準偏差を表す(n=3、但し濾過済みのLD/26ゲージ針はn=2)。 [0092] 水/26ゲージ針(紺青)、水/18ゲージ針(水色)、濾過済みのLD/18ゲージ針(オレンジ)、濾過済みのLD/26ゲージ針(赤)に対するテクスチャ分析プロファイルを示すグラフである。測定値の桁数は全て類似している。赤の網掛けは、LD/18ゲージ針の1回目に対する曲線下面積を表す。 [0093] Leur-Lok5mL注射器のプランジャを9mm押し下げて試験対象の物質を26ゲージ針を介して押し出したときの、水(青)、濾過・操作済みのLD(赤)、操作済みのADAIR(緑)に対するテクスチャ分析プロファイルを示すグラフである。 [0094] 操作済みのLDにおける(図54A及び図54B)未濾過時と(図54C及び図54D)濾過時の粘度・せん断応力とせん断速度の関係を示すグラフである。(図54E)は対照群の水(1回のみ)である。 [0095] 操作済みのADAIR試料2種に対する粘度・せん断応力とせん断速度の関係を示すグラフである。 [0096] 操作済みのプラシーボ試料2種に対する粘度・せん断応力とせん断速度の関係を示すグラフである。 [0097] プラシーボ製剤の65℃、55℃、45度における粘度とせん断速度の関係を示すグラフである。 [0098] ADAIR製剤の65℃、55℃、45度における粘度とせん断速度の関係を示すグラフである。 [0099] 装置1における0.01M HCL中のLD10mgの溶解度を示すグラフである。 [0100] カラム間の保持時間の差を示すクロマトグラムの図である。 [0101] 装置1における0.01M HCl中のプロトタイプ1 10mgを示すクロマトグラム(5分目)の図である。 [0102] 装置1における0.01M HCl中のプロトタイプ1 10mgを示すクロマトグラム(10分目)の図である。 [0103] 装置1における0.01M HCl中のプロトタイプ4 10mgを示すクロマトグラム(45分目)の図である。 [0104] 装置1における0.01M HCl中のプロトタイプ5 10mgを示すクロマトグラム(45分目)の図である。 [0105] 装置1における0.01M HCl中のプロトタイプ6 10mgを示すクロマトグラム(45分目)の図である。 [0106] 30DPMにおけるプロトタイプ2 30mgとLDの平均放出率(%)溶解プロファイルの比較結果を示すグラフである。 [0107] 5DPMで装置3を用いた場合の、30DPM 0.01M HCLの、プロトタイプ2 30mgとLDの平均放出率(%)溶解プロファイルの比較結果を示すグラフである。 [0108] 5DPMでGeminiカラムを装備した装置3を用いた場合の、0.01M HCL中のサイズ00号被膜入りLD10mgの平均溶解度(n=6)を示すグラフである。 [0109] 5DPMで装置3を用いた場合の、0.01M HCl中のADAIR10mgの平均放出率(%)の比較結果を示すグラフである。 [0110] 30DPMで装置3を用いた場合の、0.01M HCl中のADAIR10mgと、5DPMにおけるLDの平均放出率(%)の比較結果を示すグラフである。 [0111] 初期と40℃、75%RHの調製2回における、装置1を用いた場合の0.01M HCl中のADAIR10mgの溶解プロファイルと、LDの溶解プロファイルを比較した結果を示すグラフである。
[00112] 本発明は、即時放出製剤であり、乱用抑止のための様々な障壁を有する乱用抑止製剤を提供する。具体的には、破砕、切断、又は粉砕による薬物の吸入を防止することで、製剤の乱用を抑止する。また製剤は、注射に対する障壁により、注入による乱用も抑止する。同時に、製剤は、単位投薬量を調製する商業的生産プロセスに適用することができる。
[00113] 乱用抑止製剤には、通常は統制薬物である薬剤が含まれる。統制薬物は中枢神経系を標的とする物質であってもよく、及び/又はADHDなどの精神障害の治療に用いられる物質であってもよい。好ましい統制薬物としては、デキストロアンフェタミンなどのアンフェタミンが挙げられる。また、本発明には、デキストロアンフェタミンなどのアンフェタミンを含有する乱用抑止製剤を投与することで被験者のADHDを治療する方法も含まれる。被験者は小児科の患者である。あるいは、被験者は成人である。
[00114] 特定の実施形態において、薬剤は、
Figure 0007054709000004

又はその薬学的に許容される塩を有する。さらに特定の実施形態において、薬剤はS鏡像異性体、又はその薬学的に許容される塩である。
[00115] 薬剤、例えばアンフェタミン又はデキストロアンフェタミンの単位用量は、約10~50mgである。例えば、単位用量は5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、又は50mgである。
[00116] 製剤は1種以上の賦形剤を含有する。賦形剤として、薬剤の乱用を防止できる物質が選ばれる。
[00117] 適切な乱用抑止賦形剤は、以下の性質のうち1つ以上を示してもよい。
耐加熱性であり、注入を防止する高融点賦形剤;
密かに行われる投与、吸引、過剰摂取を防止する味改質剤;
耐抽出性であり、飲料への不純物混入を防止する非水溶性物質;
吸引を防止するろう質の賦形剤;
耐溶解性であり、注入及び過剰摂取を防止する粘度調整剤;
飲料への不純物混入を防止する低密度賦形剤;
薬剤の乱用を示す染料。
[00118] 賦形剤の例示としては、ろう、ポロキサマー、マクロゴールグリセリド、PEG、グリセロールモノオレエート又はモノステアレート、ステアリン酸ポリオキシルなどのPEGエステル、水素化又は部分水素化グリセリド、蜜蝋などの硬脂肪、ポロキサマー188、ポロキサマー124、Gelucires(商標)ポリエチレン6000、グリセロールモノステアレート、硬化パーム核油、硬化綿実油、Softisan(商標)138、Gelucire 40/01(商標)、ヘキサデカン-1-オールを含む熱軟化性医薬基剤;粘度増強を目的とする、フュームドシリカや微粉砕アタパルジャイトなどのチキソトロープ、ヒドロキシルプロピルメチルセルロースやジェランガム(商標)などの粘度調整剤、又は、分留ヤシ油、大豆油などの粘度低減を目的とする標準薬用・食用オイルが挙げられる。
[00119] 好ましくは、乱用抑止賦形剤には、ポロキサマー、水溶性アニオン性多糖類、及びPEGエステルが含まれる。好ましくは、ポロキサマーはKollisolvなどのポロキサマー124である。好ましくは、水溶性アニオン性多糖類はKelcogel CGHAなどのジェランガムである。好ましくは、PEGエステルは、Gelucire 48/16などのステアリン酸ポリオキシルである。
[00120] 乱用抑止製剤は、ハードシェル液体充填カプセルなどのカプセル形であってもよい。例えば、カプセルはゼラチンを含む。あるいは、カプセルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、プルラン、又はその他の硬質皮膜材を含む。
[00121] 本発明の製剤は、乱用者が投薬単位の活性成分を、場合によっては加熱した溶媒中から抽出してその混合物を飲み込むか注入するような、化学物質の抽出や注入に耐性を持つ。一例として、製剤を溶媒と組み合わせて混合物を得たところで、混合物は注射器で目詰まりを起こすか、とにかく注射できないものである。他の態様において、製剤は溶媒と供に、注射器で引き上げることも、注射器から押し出すことも困難にする粘性のゲルを形成する。あるいは、抽出を試みても得られる濾液の量は非常に少なく、乱用者は、所望の活性成分を不十分な量でしか入手することができない。
[00122] 一部の実施形態において、乱用抑止製剤と水の混合物は注射することができない。一部の実施形態において、乱用抑止製剤の単位用量と水を組み合わせるとゲルが形成される。
[00123] 本発明の重要な態様は、乱用抑止製剤の薬剤が意図通りに摂取された場合に正常に機能することである。例えば、乱用抑止製剤は経口で体内に吸収可能であり、同じ薬剤を用いた非乱用抑止製剤のプロファイルと同様の溶解プロファイルを有する。一部の実施形態において、乱用抑止製剤は、溶液中の薬剤の放出が45分以内に完了する溶解プロファイルを有する。
[00124] 本発明の製剤は、乱用者が投薬単位の活性成分を、場合によっては加熱した溶媒中から抽出してその混合物を飲み込むか注入するような、化学物質の抽出や注入に耐性を持つ。一例として、製剤を溶媒と組み合わせて混合物を得たところで、混合物は注射器で目詰まりを起こすか、とにかく注射できないものである。一部の実施形態において、製剤は溶媒と供に、注射器で引き上げることも、注射器から押し出すことも困難にする粘性のゲルを形成する。他の実施形態において、抽出を試みても得られる濾液の量は非常に少なく、乱用者は、所望の活性成分を不十分な量でしか入手することができない。
[00125] 乱用抑止製剤の物性により、乱用者は製剤を粉砕又は切断して、粉砕済みの材料を吸引することが抑止される。粉砕又は同様の物理的操作により、製剤は粘着性、又はろう質の特性を有してもよい。それによって、タルクや塩化ナトリウムなどの流動促進剤の存在下でも、吸込性粉末や吸引性物質の形成を防止することができる。
[00126] 従って、本発明は、薬剤と、PEGエステル、ポロキサマー、水溶性アニオン性多糖類、カルボキシメチルセルロースから選ばれた少なくとも2種の賦形剤とを有する乱用抑止製剤を提供する。一部の乱用抑止製剤は、以下の性質からなる群から選ばれる少なくとも1つの性質を有する。
(a)薬剤の少なくとも80%が45分以内に溶液中に放出される溶解プロファイルを有する。
(b)26ゲージ針を介して乱用抑止製剤を押し出すピーク力が、26ゲージ針を介して非乱用抑止製剤を注入するピーク力より1桁大きい。
(c)26ゲージ針を介して乱用抑止製剤を押し出すときの力対時間曲線下面積は、26ゲージ針を介して濾過済みの試料である非乱用抑止製剤を押し出すときの力対時間曲線下面積より約4倍大きい。
(d)乱用抑止製剤の粘度は、未濾過の試料である非乱用抑止製剤より約3桁大きい。
(e)乱用抑止製剤と水の混合物は注射することができない。
(f)約5分間粉砕した後、乱用抑止製剤の5重量%未満が、目開き1mmのふるいを通過する。
(g)乱用抑止製剤の単位用量から薬剤の10%未満が10mLの水で抽出される。
製粉
[00127] 製粉又は粉砕は、投薬単位の物理的な分解を伴うことであり、様々な方法により成し遂げることができる。粉砕は、固体表面により投薬単位に力を加えることにより行われる。例えば、コーヒーグラインダー、乳鉢と乳棒、又はスプーンとボウルの使用が関わり得る。一部の実施形態において、乱用抑止製剤を粉砕するとペーストになる。
[00128] 一部の実施形態において、本開示の乱用抑止製剤は、流動促進剤で粉砕された場合でも、吸込可能な粉末の形成に対して耐性を有する。流動促進剤の例としては、タルクや塩化ナトリウムが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。一部の実施形態において、乱用抑止製剤を流動促進剤で粉砕するとペーストになる。
[00129] 一部の実施形態において、約5分間粉砕した後、乱用抑止製剤の5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、又は0.5重量%未満が、目開き1mmのふるいを通過する。
[00130] 一部の実施形態において、約5分間粉砕した後、乱用抑止製剤の5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、又は0.5重量%未満が、目開き0.5mmのふるいを通過する。
[00131] 一部の実施形態において、約5分間粉砕した後、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、又は99重量%を超える量の乱用抑止製剤が、目開き1mmのふるい上に保持される。一部の実施形態において、約5分間粉砕した後、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、又は99重量%を超える量の乱用抑止製剤が、目開き0.5mmのふるい上に保持される。
抽出/注射性
[00132] 一部の実施形態において、乱用抑止製剤と溶媒を組み合わせると、混合物が濾過し難くなる。一部の実施形態において、乱用抑止製剤と溶媒を組み合わせると、粘性ゲルを形成するため、注射することができなくなる。
[00133] 一部の実施形態において、製剤を約10mLの溶媒と組み合わせると、結果として得られる溶液の50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、又は10%未満を注射器で引き上げることができる。
[00134] 一部の実施形態において、製剤の単位用量を約10mLの溶媒で抽出して、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、又は10%未満の薬剤を回収する。前述した実施形態の一部において、乱用抑止製剤の単位用量を1つ以上10mLの溶媒で抽出する。
[00135] 特定の実施形態において、溶媒は水、又は40%エタノール溶液である。水は周囲温度であってもよく、沸騰していてもよく、又は、90~95℃であってもよい。
[00136] 前述した実施形態の一部において、溶液は、注射器に引き上げられる間に濾過される。フィルタの例としては、0.2ミクロンフィルタ、5.0ミクロンホイールフィルタ、含み綿、タバコのフィルタチップ、綿棒、タンポン、布地素材、又は家庭で使用する一般的な素材のうちフィルタとして利用できるものが含まれる。
[00137] 注射器には、26ゲージ、23ゲージ、又は18ゲージの針が取り付けられる。26ゲージ針は、挿入や取り外しが簡単で使用しやすく、皮膚や血管への損傷が少ないため、乱用者はこのサイズを好む傾向にある。それより直径の大きい針は、使い心地が悪く、特に繰り返して使用すると、皮膚や血管が損傷を受ける可能性がある。特定の実施形態において、乱用抑止製剤は、26ゲージ針を介して押し出される。
[00138] 特定の実施形態において、周囲温度の水10mLにより乱用抑止製剤の単位用量を抽出し、10%未満のデキストロアンフェタミンを回収する。特定の実施形態において、温水10mLにより乱用抑止製剤の単位用量を抽出しても、その結果物を濾過することはできない。特定の実施形態において、デキストロアンフェタミンの15%未満、10%未満、又は5%未満が、水10mLにより、乱用抑止製剤の単位用量から抽出される。特定の実施形態において、デキストロアンフェタミンの15%未満、10%未満、又は5%未満が、水10mLにより、乱用抑止製剤の単位用量から抽出され、濾過を行われる。
[00139] 特定の実施形態において、26ゲージ針を使用して、5mLの水で乱用抑止製剤の単位用量から5%未満、又は2.5%未満のデキストロアンフェタミンを抽出する。特定の実施形態において、23ゲージ針を使用して、5mLの水で乱用抑止製剤の単位用量から20%未満、又は15%未満のデキストロアンフェタミンを抽出する。特定の実施形態において、20ゲージ針を使用して、5mLの水で乱用抑止製剤の単位用量から30%未満、又は25%未満のデキストロアンフェタミンを抽出する。特定の実施形態において、18ゲージ針を使用して、5mLの水で乱用抑止製剤の単位用量から50%未満のデキストロアンフェタミンを抽出する。
[00140] 特定の実施形態において、26ゲージ針又は23ゲージ針を使用して、90~95℃の水5mLで乱用抑止製剤の単位用量から5%未満のデキストロアンフェタミンを抽出する。特定の実施形態において、20ゲージ針又は18ゲージ針を使用して、90~95℃の水5mLで乱用抑止製剤の単位用量から20%未満のデキストロアンフェタミンを抽出する。
[00141] 特定の実施形態において、0.2%重炭酸ナトリウム溶液5mLで乱用抑止製剤の単位用量から25%未満のデキストロアンフェタミンを抽出及び濾過する。特定の実施形態において、デキストロアンフェタミンを含む乱用抑止製剤の単位用量は、0.2%重炭酸ナトリウム溶液2mLにより、不濾過性のゲルを形成する。特定の実施形態において、デキストロアンフェタミンを含む乱用抑止製剤の単位用量は、0.2%重炭酸ナトリウム溶液5mLにより、不濾過性のゲルを形成する。
加熱
[00142] 統制薬物の乱用者は、物質を加熱して得た液体を注入する場合がある。しかしながら、熱源から離して針で引き上げようとすれば製剤が固化してしまうため、本願に開示された乱用抑止製剤の融解物の注入を試みても、成功しない。
[00143] 一部の実施形態において、乱用抑止製剤の融解温度は60℃を超える。一部の実施形態において、乱用抑止製剤の融解温度は約70℃である。
溶解
[00144] 乱用抑止製剤及び比較群製剤の溶解プロファイルの調査法、溶解プロファイルのデータについては、実施例を参照されたい。
[00145] 一部の実施形態において、乱用抑止製剤は、薬剤の少なくとも93%が45分以内に溶液中に放出される溶解プロファイルを有する。一部の実施形態において、乱用抑止製剤は、薬剤の少なくとも80%が20分以内に溶液中に放出される溶解プロファイルを有する。一部の実施形態において、乱用抑止製剤は、薬剤の少なくとも80%が10分以内に溶液中に放出される溶解プロファイルを有する。特定の実施形態において、本発明は、薬剤の少なくとも80%が45分以内に溶液中に放出される溶解プロファイルを有するデキストロアンフェタミン含有製剤を提供する。
粘度
[00146] 粘度測定により乱用抑止製剤の特徴を把握し、非乱用抑止製剤との比較データとして有用なデータを提供してもよい。操作済みの製剤に関するデータや方法論については、実施例を参照されたい。操作済みの製剤はより高い粘度を表し、さらに注入し難くなり、よって乱用者は製剤を容易に利用できなくなる。一部の実施形態において、乱用抑止製剤の粘度は、非乱用抑止製剤より約3桁大きい。一部の実施形態において、乱用抑止製剤の粘度は、非乱用抑止製剤より約2桁大きい。前述した実施形態の一部において、非乱用抑止製剤の粘度は、未濾過状態の試料から測定される。
[00147] 一部の実施形態において、乱用抑止製剤の粘度は6000cPより大きい。一部の実施形態において、乱用抑止製剤の粘度は5000cPより大きい。一部の実施形態において、乱用抑止製剤の粘度は4000cPより大きい。一部の実施形態において、乱用抑止製剤の粘度は3000cPより大きい。
注入性
[00148] 乱用抑止製剤を押し出すピーク力と力対時間曲線下面積により、製剤の特徴を把握し、非乱用抑止製剤との比較データとして有用なデータを提供してもよい。乱用抑止製剤と比較群製剤の押し出しに必要な力を比較する方法論の説明については、実施例4を参照されたい。データによると、26ゲージ針を介して操作済みの乱用抑止製剤を押し出すためには、同サイズの針で操作・濾過済みの比較群製剤を押し出すときより、大きな力が必要である。つまり、比較群の非乱用抑止製剤より、乱用抑止製剤の注射性は著しく低い。
[00149] 一部の実施形態において、26ゲージ針を介して乱用抑止製剤を押し出す平均ピーク力は、26ゲージ針を介して非乱用抑止製剤を注入する平均ピーク力より約10倍、9倍、8倍、7倍、6倍、5倍、又は4倍大きい。一部の実施形態において、26ゲージ針を介して乱用抑止製剤を押し出す平均ピーク力は、40N、35N、30N、25N、又は20Nより大きい。
[00150] 一部の実施形態において、26ゲージ針を介して乱用抑止製剤を押し出すときの力対時間曲線下面積の平均は、26ゲージ針を介して非乱用抑止製剤を押し出すときの力対時間曲線下面積の平均より約4倍、3倍、又は2倍大きい。一部の実施形態において、力対時間曲線下面積の平均は、250Ns、200Ns、150Ns,又は100Nsより大きい。
特定の製剤
[00151] 一部の実施形態において、乱用抑止製剤は、Kollisolv P124、KolliphorEL、Kolliphor RH40、Tween 20、Gelucire 48/16、Gelucire 44/14、超精製コーン油、Aerosil200、Luxura、Xantural 75、Kelcogel CGHA、CMC 7H3SF、Methocel A4CP、Bタイプゼラチン220 Bloom、PEG6000から選ばれた少なくとも2種の賦形剤を含む。
[00152] 一部の実施形態において、乱用抑止製剤は、薬剤と、PEGエステルと、ポロキサマーと、水溶性アニオン性多糖類とを含む。特定の実施形態において、PEGエステルはステアリン酸ポリオキシルであり、ポロキサマーはポロキサマー124であり、水溶性アニオン性多糖類はジェランガムである。一部の実施形態において、ポロキサマー:多糖類:PEGエステルの比は約40:30:30である。
[00153] 一部の実施形態において、乱用抑止製剤は、薬剤と、PEGエステルと、水溶性アニオン性多糖類とを含む。特定の実施形態において、PEGエステルはステアリン酸ポリオキシルであり、水溶性アニオン性多糖類はジェランガムである。さらに特定の実施形態において、PEGエステル:水溶性アニオン性多糖類の比は約70:30である。
[00154] また別の実施形態において、乱用抑止製剤は、薬剤と、PEGエステルと、カルボキシメチルセルロースとを含む。特定の実施形態において、PEGエステルはステアリン酸ポリオキシルである。さらに特定の実施形態において、PEGエステルとカルボキシメチルセルロースの比は約70:30である。
[00155] 一部の実施形態において、乱用抑止製剤は、薬剤と、Kollisolv P124と、Kelcogel CGHAと、Gelucire 48/16とを含む。さらに特定の実施形態において、Kollisolv P124、Kelcogel CGHA、Gelucire 48/16の比は約40:30:30である。
[0156] 一部の実施形態において、乱用抑止製剤は、薬剤と、Gelucire 48/16と、Kelcogel CGHAとを含む。さらに特定の実施形態において、Gelucire 48/16とKelcogel CGHAの比は約70:30である。
[0157] 一部の実施形態において、乱用抑止製剤は、薬剤と、KolliphorELと、CMC 7H3SFとを含む。さらに特定の実施形態において、KolliphorELとCMC 7H3SFの比は約70:30である。
[0158] 前述した実施形態の一部において、薬剤は統制薬物である。統制薬物は中枢神経系を標的とする物質であってもよく、及び/又は精神障害の治療に用いられる物質であってもよい。好ましくは、統制薬物は、アンフェタミン、又はその薬学的に許容される塩である。さらに好ましくは、薬剤は、デキストロアンフェタミン、又はその薬学的に許容される塩である。
[0159] 「約(about)」と言う用語は、値、又はパラメータそのものを含む。例えば、「約X」と言うと、X自体が含まれる。一部の実施形態において、測定に関して、又は値、単位、定数、又は値の範囲を変更するために「約」という用語を使用した場合、±5%、又は±10%の誤差を指すことになる。
[00160] 本明細書における「アンフェタミン」は、以下の式を有する。
Figure 0007054709000005
[00161] 本明細書における「デキストロアンフェタミン」は、アンフェタミンのS鏡像異性体であり、以下の式を有する。
Figure 0007054709000006
[00162] 一部の実施形態において、乱用抑止製剤は、糖酸デキストロアンフェタミン、アスパラギン酸アンフェタミン、硫酸デキストロアンフェタミン及び硫酸アンフェタミンからなる群から選ばれる1種以上の薬剤を含む。一部の実施形態において、乱用抑止製剤は、糖酸デキストロアンフェタミン、アスパラギン酸アンフェタミン、硫酸デキストロアンフェタミン及び硫酸アンフェタミンからなる群から選ばれる2種の薬剤を含む。一部の実施形態において、薬剤は硫酸デキストロアンフェタミンである。
[00163] 好ましい実施形態において、乱用抑止製剤は、薬剤と、ポロキサマーと、水溶性アニオン性多糖類と、PEGエステルとを含む。
[00164] 薬剤は、
Figure 0007054709000007

又はその薬学的に許容される塩である。
[00165] あるいは、デキストロアンフェタミンなど、アンフェタミンのS鏡像異性体、又はその薬学的に許容される塩である。製剤中における薬剤の単位用量は約10mg~約50mgである。乱用抑止製剤はカプセル形である。カプセルは、例えばゼラチンである。ポロキサマーはポロキサマー124である。水溶性アニオン性多糖類はジェランガムである。PEGエステルはステアリン酸ポリオキシルである。ポロキサマー:水溶性アニオン性多糖類:PEGエステルの比は約40:30:30である。乱用抑止製剤には、ポロキサマー33~43重量%、水溶性アニオン性多糖類24~32重量%、PEGエステル24~32重量%を含み、ポロキサマー124:ジェランガム:ステアリン酸ポリオキシルの比は約40:30:30である。ポロキサマーはKollisolv P124であり、水溶性アニオン性多糖類はKelcogel CGHAであり、PEGエステルはGelucire 48/16である
[00166] さらに好ましい製剤は、
Figure 0007054709000008

又はS鏡像異性体(デキストロアンフェタミン)、又は薬学的に許容される塩を薬剤として含み、ポロキサマー124、ジェランガム、ステアリン酸ポリオキシルをさらに含む。ポロキサマー124:ジェランガム:ステアリン酸ポリオキシルの比は約40:30:30である。一部の実施形態において、ポロキサマー124はKollisolv P124であり、ジェランガムはKelcogel CGHAであり、ステアリン酸ポリオキシルはGelucire 48/16である。
その他の実施形態
[00167] 発明の詳細な説明と併せて本発明を説明したが、前述の説明は、添付の請求の範囲により定義される本発明の範囲を例示するものに過ぎず、限定するものではない。他の態様、発明の利点、変更は、下記の請求の範囲に含まれるものとして見なされる。
実施例
[00168] 以下の実施例は、本願に開示される実施形態の理解をさらに深めるためのものであり、実施例が関係する技術分野の当業者による周知の従来方法の理解を前提とする。次に記載する特定の物質や条件は、本明細書に開示される実施形態の特定の態様を例示するためのものに過ぎず、物質や条件の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
実施例1:プロトタイプ1~10
[00169] 本明細書における実施例には、硫酸デキストロアンフェタミンの即放性乱用抑止製剤10種が記載されている。
物質と機器
賦形剤と原薬
[00170] 本研究に用いられる賦形剤及びその製造社を、表1に詳細にまとめる。
Figure 0007054709000009
カプセル被膜
[00171] カプセル被膜の適合性試験に用いられるカプセル被膜の詳細を、表2にまとめる。
Figure 0007054709000010
封緘材
[00172] 本研究に用いられる物質及びその製造社を、表3に詳細にまとめる。
Figure 0007054709000011
方法
バルク混合体の調製
[00173] 有効成分(API)5.455w/w%を含むプロトタイプ製剤を30g単位で調製した。(至適用量を1カプセル当たり30mgにするためである)。賦形剤の比を表4に示す。分注に先立ってKolliphor RH40をオーブンに入れ、50℃で加熱した。プロトタイプ1、2、6、7、9、10は、室温で混合充填を行った。プロトタイプ3、4、5は、混合充填の前に、45~55℃に加熱してPEGとGelucireを溶解した。プロトタイプ8は75~85℃で混合充填を行った。有効成分の分注に先立って、ボルテックス混合により賦形剤を混和した。有効成分の分注に続き、全プロトタイプに短時間再度ボルテックス混合を施して有効成分に湿気を与えた。次に、Silversonミキサーを用いてプロトタイプのバルク混合体に高せん断混合を1分間行った。
Figure 0007054709000012
[00174] プロトタイプ9及び10にはそれぞれTween 20又はコーン油を添加して調製し、取扱性と充填性を改善した。そのため、効能が通常より弱くなった。
カプセルの充填及び封緘
[00175] 充填前にバルク混合体を真空チャンバーで脱気した。熱軟化プロトタイプは、乾熱滅菌器で加熱した後、脱気を行った。バルク混合体をゼラチンとHPMCからなるカプセルに至適重量550mg(±7.5%)になるように注射器で充填した。充填中は、水浴を用いて熱軟化性物質の温度を維持した。適切な封緘溶液(ゼラチン又はHPMC)を用いて充填済みのカプセルを封緘し、トレー上で一晩乾燥させた。
カプセル被膜の互換性調査
[00176] 封緘乾燥後、カプセルを白紙の上に広げ、-22.5‘‘Hgで20分間真空状態にした。漏れが生じたカプセルをバッチから取り除き、残りに対して、脆化や割れの兆候の検査を行った。分析開発用のカプセルを取り出した後、各バッチの残りのカプセルを琥珀色のガラス瓶に入れ、パラフィン薄膜で密封し、40℃/75%RHの安定キャビネットで2週間熟成させた。その後、カプセルを室温に平衡化して、脆化の兆候について検査した。
溶解
[00177] USP装置IIIでプロトタイプ1~10の予備溶解試験を実施した(表5)。プロトタイプ1及び4は、3回の試験を行った。残りに対しては2回又は1回のみ分析を行った。それ以上試料を調製せず、試料2mLをシステムに分注した。溶解分析におけるHPLC条件は、Agilent Eclipse XDB-C18 4.6mm×250mm(5μm)カラム、流速1.5mL/分、カラム温度40℃、注入容積100μL、UV検出波長210nm、室温での自動試料採取、水:酢酸:pH3.3のメタノールの比が575:25:400である1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム1.1gの移動相、を含む。
Figure 0007054709000013
粘度
[00178] Rheocalc v3.3 Build 49.0(BrookfieldLabs,1999)及びスピンドルCP-52により動作するBrookfield DV-III Ultraプログラム化レオメータを用いて、粘度評価を実施した。この装備を、~5000cPの粘度標準物質(RRM5907、バッチ110514、BrookfieldLabs、有効期限2016年5月10日)を用いて、25℃で較正した。各測定に先立って、1分当たりの回転数(rpm)の適切な勾配(ramp)を定めた。超高粘度に関する分析上の問題により、試料を50℃で分析したが、1003/057/08のみは80℃で分析を行った。
結果と考察
バルク混合体の調製
[00179] 理論量、実際の分注量、賦形剤比の実測値、それによるカプセル用量を、以下の表6から表15に詳細にまとめた。調製の後、バルク混合体をそれぞれ1分間高せん断混合した。高せん断混合に前後して温度を記録し、表16に詳細にまとめた。バルク混合体の調製の際に、プロトタイプ9及び10は粘性が高すぎて効率的に高せん断混合ができないことが分かり、処理可能な混合物が得られるまで、それぞれTween 20とコーン油の一定分量を添加した。有効成分の量は、この時点では調整されていないことに留意されたい(それぞれ1カプセル当たり22.3及び22.9mg)。プロトタイプ4も、この時点で非常に高い粘度を有していたが、混合に特に問題はなく、注射器により充填できるため、混合比は調整されなかった。
Figure 0007054709000014

Figure 0007054709000015

Figure 0007054709000016

Figure 0007054709000017

Figure 0007054709000018

Figure 0007054709000019

Figure 0007054709000020

Figure 0007054709000021

Figure 0007054709000022

Figure 0007054709000023

Figure 0007054709000024
カプセルの充填及び封緘
[00180] 乱用抑止製剤が非常に高粘性であるため(また、界面活性剤の存在も影響を及ぼす)、脱気中に問題が生じる可能性が高く、特に撹拌、加熱、脱気を並行して行うことができないベンチスケールの機器では、トラブルが生じやすい。一方、スケールアップ機器の場合、真空を印加して温度を調整し、撹拌を行うジャケット付き混合容器では同様の問題がさほど生じない。特に製剤1、4、7は、高粘度のため、処理が容易ではなかった。脱気中に気泡が膨張して破裂してもいいようにヘッドスペースを十分に確保するためには、大型混合容器(バルク混合体の規模を考慮して決定する)を前方に移動させて使用することが勧められる。
[00181] 注射器を用いて、手作業で至適重量の550mg(±7.5%)までサイズ0号のゼラチン・HMPCカプセルに製剤を充填した。困難ではあったが、前述の手法により全ての製剤を充填することができた。プロトタイプ1及び7は最も充填し難く、これらの製剤については、工夫を施さない限り半自動Hibarカプセル充填機では十分に充填できない可能性が予想された。ただし、プロトタイプ4は、熱軟化性であるにも係わらず手作業による充填は困難であったが、加熱ホッパーを用いれば取扱いがより容易になると思われる。
[00182] 充填後、ベンチスケールの半自動Qualiseal封緘機を使用して、ゼラチン封緘溶液でカプセルを封緘し、周囲実験室条件下で一晩硬化させた。
溶解
[00183] プロトタイプ1~10を溶解装置にかけ、45分に渡ってHPLCにより分析を行った。表18に45分での初期溶解結果をまとめた。
[00184] プロトタイプ1は、45分以内に完全に溶解したかのように見えたが、HPLC分析中に問題が生じた(数回注入した後、カラムの目詰まりが生じた)。HPLC試料バイアルを遠心分離にかける単純処理の後、より長い針で再注入を試みたが、再度、HPLCカラムがすぐ詰まり、完全なデータセットは得られなかった。このプロトタイプに対しては、HPLC法をさらに開発する必要がある。
[00185] プロトタイプ2の場合、45分後の放出率は99.5%に達した。
[00186] プロトタイプ3のシリンダに残留物が残ったが、測定された放出率は45分で100.4%であった。
[00187] プロトタイプ4では相当の発泡が観測され、溶解装置から溢れた。よって、定量データを取得することができなかった。同様に、このプロトタイプを選択して以降の手順を進めたい場合は、このカプセルに対する処理方法をさらに開発する必要があり、また、消泡剤の添加が求められる。
[00188] プロトタイプ5の場合、溶解試験の終了時に相当量の残留物が残り、45分が経過した後に測定された放出率は低度(31.3%及び25.9%)だった。
[00189] プロトタイプ6は45分で低度の放出率を示した(59.0%及び65.5%)が、試験終了の時点で一部の残留物が残った。製剤中のXantural 75の濃度を下げれば、残留物の持続性が低下し、放出率の改善が予想される。
[00190] プロトタイプ7は完全に溶解していないように見え、ゲル状の残留物が残ったが、45分で94.6%の放出率が測定された。
[00191] プロトタイプ8は、45分後に測定した結果、溶解不良(20.3%、28.9%)を示し、試験終了の時点にカプセル状のプラグを残した。
[00192] 最後に、プロトタイプ9及び10は、調合中に担体賦形剤をさらに追加したため、通常より効力が弱まった。その調整の際に、プロトタイプ9及び10の放出率は、それぞれ107.0%及び101.4%であった。
Figure 0007054709000025
粘度
[00193] プロトタイプ製剤10種に対して予備粘度測定を行った。製剤の粘度試験は、試料の粘度が非常に高いため、25℃ではなく50℃を実施した。プロトタイプ8の試験温度は、PEG6000を含有するので、80℃であった。
[0100] 一般的に、プロトタイプはせん断減粘特性(せん断の増加による粘度の低下)を有するが、これは乱用抑止製剤の典型的な特性である。プロトタイプ1は、他の分析試料に比べて非常に粘度が高く、低速でしか検査ができず、速度の範囲も限定的であった(表19)。プロトタイプ2及び3は、同様の勾配において、互いにほぼ同じくらいの粘度を有していることが確認された(表20及び21)。プロトタイプ8及び9は、勾配の上限でプロトタイプ2及び3と同じくらいの粘度を示した(表23及び24)。しかしながら、低rpmではプロトタイプ2及び3よりもむしろ粘度が高い。よって、プロトタイプ8及び9は、最初は高粘度であるが、せん断の印加の際に粘度が他の試料より大幅に低下すると結論を出せる。プロトタイプ6は、速度の勾配において、2、3、6、9より高い粘度を記録した(表22)。
[0101] プロトタイプ4及び7については、分析が容易ではなく、使用可能な少量の試料に対して適切な方法を探し出すことができなかった。プロトタイプ4は粒子が粗く、凝集性が低いため、分析を試みたが、すぐ流動特性を失った。プロトタイプ7は粘度が著しく高いので、次の開発ラウンドでは、賦形剤比を変更して対処する必要があると思われる。プロトタイプ5は、カプセル充填後に僅かしか残らず、粘度評価を行うには量が不十分であった。最後に、プロトタイプ10についても、分析は容易でなかった。プロトタイプ10から有用な流動性データを得るためには、手法をさらに展開し、試料の量も増やす必要がある。
Figure 0007054709000026

Figure 0007054709000027

Figure 0007054709000028

Figure 0007054709000029

Figure 0007054709000030

Figure 0007054709000031

Figure 0007054709000032
まとめ
[0102] 上述した結果の検討に続き、次の開発ラウンドに進むため、プロトタイプ製剤2、3、6、7、10を選択した。これは、初期溶解度、及び、混合、脱気、充填時の取扱いの容易性を考慮して決定したものである。
[0103] さらに、選別したプロトタイプにおいて、ゲル化材の範囲をできるだけ広く定義した。このため、粘度調整剤Xantural 75の含有が許容対象となり、これを含むプロトタイプ6(プロトタイプ2、3、7、10は含有していない)も、次の最適化段階に適用すべきプロトタイプとして選ばれた。ここで非常に好ましい溶解プロファイルを示したプロトタイプ9を選択すると、Kelcogelの使用が必要となるが、この成分は既にプロトタイプ3に用いられているため、やはり後続段階の適用対象として選ばれた。所望の放出プロファイルを得るためにプロトタイプ6の粘度調整剤の濃度を多少下げても、高粘度と乱用抑止特性は維持できることが予想できた。
[0104] プロトタイプ7の賦形剤比を調整し、製剤中の粘度調整剤(CMC 7H3SF)の割合を下げることが勧められる。プロトタイプ7の放出率は、他に比べてあまり優れないが、非常に粘度が高いことを考慮すると、CMC 7H3SFの濃度を多少下げても問題ないと思われる。それによって、溶解プロファイルの改善が期待される。
実施例2:プロトタイプ2、3、6、7、10
[0105] 本実施例では、5種の優秀プロトタイプ2、3、6、7、10に対して最適化作業と試験を行った。
[0106] プロトタイプ2、3、6、7、10をより大きなスケール(100g、50g、30g)で調製し、製剤の取扱いと充填のやり方をよりよく理解できるようにした。これらのプロトタイプ製剤に対して、40%EtOH3mLによる溶解試験及び抽出を試み(注入用に少量を調製した場合をシミュレートするため)、溶媒抽出性(乱用抑止挙動に関する要因)の初期評価を行った。続いて、評価結果に基づいて賦形剤の比を調整し、及び/又は賦形剤を他のものに置換して、所望の溶解プロファイルと乱用抑止プロファイルを得ることで、製剤の最適化を講じた。
[0107] 同試験の結果により、各プロトタイプのラウンド別に、優れたものを簡易乱用抑止試験の対象として選択した。試験の結果に基づいて、製剤及びその取扱性/処理性を観測したところ、プロトタイプ2(3ラウンド)、プロトタイプ3(1ラウンド)、プロトタイプ7(1ラウンド)が非常に優れた溶解特性と乱用抑止製剤特性を有していることが実証された。
[0108] ここで、プロトタイプ6及び10は次の開発段階の適用対象から除外された。プロトタイプ6は、いずれのラウンドでも45分以内に完全に溶解できず、3ラウンドでは、周囲水に対して著しく高い注射性/抽出性を示した。この製剤の溶解性を改善すると、大規模の再配合を行わない限り、乱用抑止製剤として特性を損じる可能性が高い。優れた溶解性にも関わらず、プロトタイプ10は非常に扱い難い。放置すると分離する上に、最も好ましい3ラウンドでも、温水と周囲水に対して著しく高い注射性/抽出性を示した。粘度調整剤の含有量を減らして取扱性を改善しようとすると、抽出性がさらに向上する可能性がある。
物質と機器
原料
[0109] 本研究に用いられる物質につき、原料(RRM)番号、製造社のバッチ番号、製造社、有効期限を表28に詳細にまとめた。
Figure 0007054709000033
方法
バルク混合体の調製
[0110] プロトタイプ2、3、6、7、10に対して最適化フェーズの3ラウンドをそれぞれ実施した。最適化の各ラウンドにおける賦形剤の比については、表27を参照されたい。ラベル付きの琥珀色ガラス瓶賦形剤を分注し、目視での観察により均質になるまで高せん断混合を施した。高せん断混合に前後して温度を混合時間と共に記録した。Gelucire 48/16を固体として室温で分注(ペレット化)し、混合前に60℃のオーブンで溶解した。一度均質になると、混合体を真空チャンバーで脱気した後、カプセルに充填した。
Figure 0007054709000034
カプセルの充填及び封緘
[0111] バルク混合体を、至適重量550mg(±7.5%)、硫酸デキストロアンフェタミンの至適重量30mgになるようにカプセル被膜に詰めた。1ラウンド製剤を100gスケールで調製し、半自動Hibarカプセル充填機を使用して充填した。1ラウンド製剤の半分をゼラチンカプセルに、残りの半分をHPMCカプセルに入れた。
[0112] 2ラウンドと3ラウンドの製剤は、ゼラチンカプセル被膜のみに充填された。2ラウンド製剤は30gスケールで、3ラウンド製剤は50gスケールで調製した。針のない注射器本体を用いて、手作業で2ラウンド製剤及び3ラウンド製剤をカプセルに詰めた。プロトタイプ2の3ラウンドについては、一旦実行を保留し、利用可能なデータを検討した後に実施した。
[0113] 本研究では、SOP-MAN-0513に従い、複数のゼラチン封緘溶液とHPMC封緘溶液を用いた。ベンチトップ半自動Qualiseal封緘機を使用して、充填済みカプセルのキャップ/ボディの嵌合部に封緘を施し、一晩硬化させた。封緘乾燥後、カプセルを白紙の上に広げ、<-7.4‘‘Hgで20分間真空試験を行った。漏れが確認されたカプセルは、バッチから取り除いた。いずれの場合でも、漏れは、手作業による充填中にカプセル本体の外側が製剤で汚染されたことによる封緘の欠陥に起因するものであり、製剤自体の機能ではない。
溶解
[0114] USP装置III溶解浴(n=6)を用いて、各ラウンドのプロトタイプ製剤を溶解させた。適用した溶解条件の概要を表28に、使用した分析試薬の概要を表29にまとめた。移動相は、1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム1.1gをUHQ水575mLに溶解して調製した。希釈氷酢酸(UHQ水100mLに酢酸14mLを希釈して調製)25mLとメタノール400mLを添加し、氷酢酸を用いてpHを3.3±0.1に調整した。有効成分の作業標準物質を、溶解媒質150mLに硫酸デキストロアンフェタミン8mgを溶解し、超音波処理を10分間施した後、250mLにして調製した。
Figure 0007054709000035

Figure 0007054709000036
抽出
[0115] 各バッチからカプセルを1つ取り出して簡単な抽出評価を実施した。乳鉢と乳棒によりカプセルをすり潰し、室温で5分間、40%EtOH2mLで粉にした。結果物をシンチレーションバイアルに移し、さらに溶媒1mL(合計3mL)を用いて乳鉢と乳棒をすすぎ、バイアルに入れた。周囲条件の振とう台により120分間室温で振とうさせた後、0.45μm注射器フィルタに通した。生成された濾液を全て回収し、HPLCによる有効成分の定量化を目的とする分析開発フェーズに移行した。
[0116] 試料を調製するために、希釈剤15mLを加え、手で完全に振とうさせた後、0.45μm注射器フィルタで濾過した。次いで、結果物の濾液3mLを、希釈剤と共に25mLメスフラスコに入れた。
[0117] HPLC分析のために、水酸化アンモニウムでpH2.2(±0.1)に調整する前に、トリフルオロ酢酸5mを水900mLに溶解して移動相Aを調製した。次に、アセトニトリル(100mL)を加えて混合した。使用前に、溶液を室温に平衡化させた。HPLC条件の詳細を表30にまとめ、適用したHPLC勾配法の詳細を表31にまとめた。最後に、使用した試薬の詳細を表32にまとめた。
Figure 0007054709000037

Figure 0007054709000038

Figure 0007054709000039
簡易乱用抑止製剤スクリーニング
[0118] 乱用抑止製剤スクリーニングには、(1)物理的操作により吸入(insuffilation)に適した形に加工されたプロトタイプの効力、(2)化学的に抽出された有効成分の量、(3)注射可能な量、(4)注射性を得るために必要な希釈量の評価が含まれる。試験における合格基準については、表33を参照されたい。
Figure 0007054709000040
[0119] 注射性。注射性試験において、脱脂綿フィルタを用いたが試料を注射器で引き上げることができなかった場合、2番目の調製のタバコフィルタを使用した。タバコフィルタでもできなければ、フィルタを使用せず、フィルタや針のない状態の注射器で試料をバレルへ引き上げ、針を取り付けて、内容物を分析のためにメスフラスコに押し出す手法を試みた。上記の抽出方法に従い、HPLCにより分析を行った。
[0120] 物理的操作。吸入可能な形に試料を調製した。カプセルを家庭用冷凍庫で冷凍し、さらに家庭用コーヒーグラインダーですり潰した後、すり潰したカプセルを重力によりふるい(106μm)に通し、通過した物質の重量を測定した。
(ゼラチン・HPMC被膜を用いたカプセル被膜適合性評価)
[0121] 1ラウンドの各バッチから20個のカプセルを取り出し、琥珀色のガラス瓶に詰め、パラフィン薄膜で密封した。次に、瓶を40℃/75%RHの安定キャビネットで2週間載置した。所要の保管期間が経過した後、カプセルを取り出して、目視での観察で不適合の兆候を検査した。
結果
バルク混合体の調製、カプセル充填、カプセル封緘
[0122] プロトタイプの1ラウンドにおける分注量の詳細を、表34から表38にまとめた。溶解データと初期抽出データを検討した後、2ラウンド及び3ラウンドの調製のために、分注量を調製した(2ラウンドについては表39から表43、3ラウンドは表44から表48を参照されたい)。本来予定した比率を各表の最初の列に記載し、さらに、取扱性のために調製中に調整した結果である、賦形剤比の実測値を最後の列に記載した。高せん断に前後した混合体の温度は、記録可能であれば、表49に記載した。
[0123] 封緘と硬化に続き、カプセルに対して真空試験を行い、漏れのあるカプセルを全て排除した。漏れのあるカプセルを全て検査し、カプセル被膜の外側が製剤で汚染されたため、封緘に欠陥が生じて漏れを起こしていることを確認した。これは、技術的規模の製造工程では、要求される手作業のレベルのため、一般的に生じるエラーである。1ラウンドのプロトタイプに対して物性検査をかけ、t=0でカプセル脆化の兆候がないことを確認した。
Figure 0007054709000041

Figure 0007054709000042

Figure 0007054709000043

Figure 0007054709000044

Figure 0007054709000045

Figure 0007054709000046

Figure 0007054709000047

Figure 0007054709000048

Figure 0007054709000049

Figure 0007054709000050

Figure 0007054709000051

Figure 0007054709000052

Figure 0007054709000053

Figure 0007054709000054

Figure 0007054709000055

Figure 0007054709000056
ゼラチン・HPMC被膜による、カプセル被膜適合性評価
[0124] 40℃/75%RHのガラス瓶に2週間保管した後、1ラウンドのゼラチンカプセルとHPMCカプセルを取り出し、不適合の兆候を検査した。プロトタイプ6(ゼラチン)で僅かな漏れが1箇所観察されたが、検査の結果、不適合ではなく、ゼラチン封緘内に生じた気泡に起因するものであることが確認された。その他のカプセルは、ゼラチンかHPMCかを問わず、いずれにも不適合の兆候はなかった。初期のカプセル被膜適合性試験で脆化したカプセルが見つかったため、適合性評価をここで再度行うことにした。本調査の時点で、この結果は、封緘乾燥中の開発実験室の著しい湿度偏差によるものであると予想された。最新の結果から、製剤と、ゼラチン又はHPMC被膜との間に不適合の兆候がないことが確認できた。
最適化試験の結果及び考察
溶解
[0125] USP装置III溶解浴を用いて溶解プロファイルを取得し、図1から図5に示した。さらに、比較群製剤の同等の溶解プロファイル(Barrの10mgIR錠剤)を情報として記載した。適切な用量を得るために、3つの錠剤をゼラチン被膜(未封緘)に入れたものを、30mgの投薬剤形とした。
[0126] プロトタイプ2は、図1に示されているように、全ラウンドで45分以内に完全に放出されたが、熱軟化性賦形剤のGelucire 48/16を添加した後、3ラウンドの放出プロファイルはよりゆるやかなものになり、溶解浴で徐々に侵食されるプラグを生成した。
[0127] プロトタイプ3において、Kelcogelの内容物が僅かに減少した後にも、1ラウンドと2ラウンドの溶解プロファイルに有意な差は現れなかった(放出率92.9%対91.5%、図2)。ミグリオール812でGelucire 48/16担体賦形剤の一部を置換すると、放出率が僅かながら減少した(83.9%)。
[0128] プロトタイプ6の場合、3ラウンドで最も優れた溶解を示した。つまり、1ラウンド・2ラウンドではそれぞれ56.8%と56.2%であったが、3ラウンドでは45分後に86.2%の放出率を示した。図3を参照されたい。Migylol812N(中鎖トリグリセリド)に対してXantural(キサンタンガム)の含有量を下げることで、溶解度の改善を講じたが、この条件下でも、45分時点の溶解度は比較群製剤に対して大きく劣るので、このプロトタイプには、さらなる製剤最適化が必要となる。
[0129] プロトタイプ7の場合、1ラウンド~3ラウンドの45分後の放出率はそれぞれ79.5%、82.6%、74.4%に留まった。図4を参照されたい。
[0130] 最後に、プロトタイプ10を調整した結果、溶解度が改善され、1ラウンドの90.4%が2ラウンドの105.5%及び3ラウンドの102.5%まで上昇した(図5)。2ラウンドの場合、この上昇はコーン油(長鎖トリグリセリド)とMethocelの含有量を減らし、KolliphorELをより高い割合のKolliphor RH40で置換した結果である(詳細は表27を参照)。3ラウンドにおいて、製剤中の沈降を防止するためにAerosil200を添加したが、そのため取扱性に問題が生じたので、処理中にコーン油を添加した。プロトタイプ10の安定懸濁液を維持しながら製剤粘度を成し遂げることはできず、よって、さらなる開発が求められる。
抽出
[0131] 乱用抑止力の評価を目的として、40%エタノールで少量を抽出した。プロトタイプのいずれも、40%EtOH3mLでは、完全に抽出することはできなかった。操作において、プロトタイプ6、7、10は、取扱いし辛い高粘度のゲルを形成した。プロトタイプ6はすぐ注射器のフィルタに詰まり、いずれのラウンドからも濾液は得られなかった。プロトタイプの1ラウンド及び2ラウンドでは、少量の混濁した濾液を得た。プロトタイプ7の場合、2ラウンドにおいて濾液を少量生成したが、有効成分の相当量が回収されなかった。3ラウンドでは、濾液を生成したのはプロトタイプ3のみであった。
[0132] 表50に抽出データをまとめ、さらに同データを図6の棒グラフで示した。一般的に、プロトタイプ6、7、10は、全ラウンドにおいて、この試験で優れた結果が得られた。
Figure 0007054709000057
[0133] プロトタイプ3(1ラウンド)とプロトタイプ7(1ラウンド)に対しては、抽出試験の繰り返し回数(n=3)を増やし、完全乱用抑止製剤スクリーニングの適用対象を選択する前に、本来の評価の信頼性を査定した。試験の抽出結果を表51にまとめる。分析を繰り返して得た結果は、元のデータ(n=1)と一致した。
Figure 0007054709000058
簡易乱用抑止製剤スクリーニング
[0134] 各プロトタイプの最も優れた製剤に対して、一連の簡易乱用抑止力試験を行い、乱用抑止製剤の効力を確認した。ここで試験を受けた適用対象の製剤は、プロトタイプ2(2ラウンド)、プロトタイプ3(2ラウンド)、プロトタイプ6(3ラウンド)、プロトタイプ7(3ラウンド)、プロトタイプ10(3ラウンド)である。プロトタイプは全て、質量の30%未満のみがふるいを通過することで、物理的操作試験(吸入用の調製が如何に容易であるか)に合格している。これは、液体や半固体の性質により、この製剤が吸入用の調製に対して固有の耐性を有していることを示唆する。
[0135] 水10mLにおける抽出性/注射性試験の概要を表53にまとめた。これらの結果に続いて、プロトタイプ2(3ラウンド)、プロトタイプ3(1ラウンド)、プロトタイプ7(1ラウンド)に対して簡易乱用抑止製剤試験を行い、このラウンドの製剤がより優れた乱用抑止製剤特性を有しているか否かを定めた。
[0136] 抽出性/注射性について、プロトタイプ2(2ラウンド)は、周囲水(n=2)において測定できるほどの回収率を示さなかったが、温水の場合は、13.2mg(44%)と5.7mg(19%)が回収された(表52)。同プロトタイプの3ラウンドでは、温水でも、脱脂綿、タバコフィルタ、フィルタなしの場合において、回収率が0.33mg(1.1%)、0.25mg(0.8%)、測定不可まで改善された(表53)。同製剤の3ラウンドは、40%EtOH抽出試験でも、1ラウンドと2ラウンドに比べ優れた耐性を示した(3.2.2.を参照)。
[0002] プロトタイプ3(2ラウンド)において、一方の周囲水試料では回収が観測されず、他方からは1.2mgが回収された。温水試料では、3.7mgと5.8mgの回収率を示した(表52)。プロトタイプ3の1ラウンドに戻り、注射性/抽出性試験を繰り返しても、測定できるほどの有効成分を回収することはできなかった(表53)。図7は、振とう期間後の試料の画像を示しており、これによってプロトタイプ3(1ラウンド)の好ましい乱用抑止挙動が分かる。同製剤の1ラウンドは、40%EtOH抽出試験でも、1ラウンドと2ラウンドに比べ優れた耐性を示した(3.2.2.を参照)。
[0137] プロトタイプ7の場合、温水試料の一方からは測定できるほどの有効成分を抽出できず、他方からは13.8mgが回収され、結果に一貫性がない。これは、製剤の分離による不均質性のためであろう。同プロトタイプの冷水試料からは、測定できるほどの有効成分は抽出できなかった。上記の結果、並びに溶解データを検討し、プロトタイプ7の1ラウンド製剤に簡易乱用抑止製剤スクリーニングを行うことを決定した。このプロトタイプの場合、周囲水(n=3)からは有効成分を回収できず、温水試料は、綿フィルタ、タバコフィルタ、フィルタなしの場合においてそれぞれ0.5%、0.5%、0%の有効成分が回収された。プロトタイプ7の1ラウンドは、乱用抑止効力に優れていることが分かる。
[0138] プロトタイプ10の3ラウンドは、温水と冷水の両方である程度有効成分が抽出されたため、本試験において最も乱用抑止効力が低い製剤と判断される。
[0139] プロトタイプ6の温水試料からは測定できるほどの有効成分が抽出されなかったが、周囲水試料では15.1mgと9.2mgの有効成分が回収されたため、乱用抑止製剤としてはあまり好ましくない。
Figure 0007054709000059


Figure 0007054709000060

結果のまとめ及び考察
Figure 0007054709000061
Figure 0007054709000062
実施例3:プロトタイプ2と非乱用抑止性錠剤の比較
[0140] 本実施例では、乱用抑止製剤のプロトタイプ2と、参照製品であるBarrの10mg硫酸デキストロアンフェタミン錠剤とを比較し、操作又は乱用に対する相対感受性を評価した。また、破砕、抽出、注射性に対する障壁を評価した。この試験は、別添A及びBに記載の方法とプロトコルに準じて実施した。
破砕、切断、粉砕による乱用を防止する物理障壁
[0141] プロトタイプ2は、カプセルごとに、硫酸デキストロアンフェタミン10mg、ポロキサマー124 70mg、Gelucire 48/16 52.5mg、Kelcogel GCHA 52.5mgを含有し、総充填重量は185mgである。サイズ3号のゼラチンカプセルを使用した。
[0142] プロトタイプ2カプセルの内容物を粉砕したが、ほとんどの粉砕物が最上部のふるい(1mm)すら通過できないことが確認された。タルクや塩化ナトリウムなどの流動促進剤を添加しても、結果に変化はなかった。よって、プロトタイプ2が、アンフェタミン乱用の通常手法である吸入による乱用を防止できることが実証された。一方、粉砕された比較群製剤錠は、全てのふるい層で収集することができた。つまり、比較群製剤錠には、吸入により乱用の可能性がある。
[0143] プロトタイプ2カプセルと、比較群製剤錠に対してさらに物性試験を行い、95%エタノールで粉砕して、エタノールで蒸発させた。本試験では、カプセルと錠剤のいずれも、結果的に得た混合物が非粉末状態であり、吸入性評価を実施できなかった。
化学物質抽出を含む乱用の防止
[0144] 各種の溶媒を用いて、プロトタイプ2と比較群製剤錠に対して化学物質抽出性の評価を行った。フェーズ1の試験は、水、8%酢酸、0.2%重炭酸ナトリウム、95%エタノール、炭酸清涼飲料水を使用して実施された。周囲温度で溶媒10mLを用いたところ、5分後に、プロトタイプ2と比較群製剤錠の両方の試料から、90%を超える有効成分が検出された。唯一の例外は水による抽出であり、両方とも、試料を濾過することができなかった。
[0145] 温水10mLの場合も評価した。プロトタイプ2の場合、試料を濾過できなかったため、それ以上の分析は不可能であった。一方、比較群製剤錠は、5分後に有効成分が全て抽出された。よって、温水を抽出手段に用いる場合、プロトタイプ2の乱用はできないことが分かった。
[0146] 周囲条件40%エタノール10mLを用いて、さらなる化学抽出性の評価を実施した。プロトタイプ2については、実験プロセス全体(180分)を通して、試料において66~81%の有効成分が検定された。一方、比較群製剤錠は、5分後に有効成分が全て抽出された。この結果から、プロトタイプ2から抽出された有効成分の量が比較群製剤錠より少なく、抽出に時間がかかることが分かった。
研究:フェーズ1
注射障壁
[0147] フェーズ1の注射性評価は、乱用者が通常使用する26ゲージ針を用いて実施した。プロトタイプ2の場合、水の温度は試料の注射性に影響を及ぼさないと思われ、周囲水と温水の両方について、検定された有効成分の量は10%%未満であった。一方、比較群製剤錠は、温水(46%)に比べて周囲水(66%)からより多くの有効成分を取得したため、水の温度によって、検定される有効成分に20%程度の差が生じることが分かった。つまり、プロトタイプ2は、比較群製剤錠に比べて、注入による乱用に対する感受性が低いということになる。
研究:フェーズ2
水により調製した後の、様々なゲージの針に対する注射性の検討
[0148] フェーズ2の調査では、様々な針ゲージの効果と、多様な濾過材(0.2μmフィルタ、脱脂綿、タバコフィルタ)の効果を評価した。周囲水と18ゲージ針を使用して、プロトタイプ2試料から検定された有効成分は、比較群製剤錠より遥かに少なかった(プロトタイプ2は、針のみ使用した場合、17%の有効成分、比較群製剤錠は、針のみ使用した場合、52%の有効成分が検定された)。一般的に、フィルタを導入すればその分有効成分量が下減少するが、タバコフィルタによる比較群製剤錠の試料の濾過は、その限りではない。
[0149] 温水で調製した試料について18ゲージ針のみを使用した場合、比較群製剤錠とプロトタイプ2の試料に存在する有効成分の量はほぼ同じであった(比較群製剤は52%、プロトタイプ2は46%)。脱脂綿とタバコフィルタによりプロトタイプ2の試料を濾過した結果、試料に存在する有効成分の量が減少した。比較群製剤錠を濾過した結果、0.2μmフィルタと脱脂綿では有効成分の量が減少したが、ここでもタバコフィルタでは何の変化も生じなかった。
[0150] 周囲水と温水における有効成分の回収率は、20ゲージ針で採取した場合、プロトタイプ2と比較群製剤錠の試料でほぼ同等であった。プロトタイプ2の試料を、脱脂綿のみで濾過すると、有効成分の回収率が低下した。比較群製剤の試料を0.2μmフィルタと脱脂綿で濾過したときも同様の結果が得られた。しかしながら、確認されているように、タバコフィルタで濾過した比較群製剤錠の試料から、有効成分の回収率の減少を観測することはできなかった。
[0151] 周囲水において、23ゲージ針で採取した場合、プロトタイプ試料2より比較群製剤錠の試料の方が高い有効成分の回収率を示した。今回は、比較群製剤錠の試料のみを濾過した。全てのフィルタ(0.2μmフィルタ、脱脂綿、タバコフィルタで有効成分の回収率の低下が観察されたが、脱脂綿を使用した場合に減少幅が一番大きかった。温水で調製した試料は、周囲水で調製した試料と、全般的に同様の傾向を示した。ただし、比較群製剤錠の試料の濾過ステップにおいて、回収率を最も減少させたのは、0.2μmフィルタと確認された。
[0152] 直径の小さい26ゲージ針の方が静脈注射に向いている上、針交換も遥かに容易であるため、18ゲージ、20ゲージ、23ゲージなど、より直径の大きい針は乱用にはあまり使われないことに注意されたい。さらに、フィルタを使用したところで、注射液の「浄化」はおろか、乱用できるアンフェタミンの量を減らすだけである。いずれの場合でも、プロトタイプ2の有効成分の回収率は比較群製剤に比べて遥かに少なく、よって、比較群製剤より注入による乱用がより難しくなる上に、薬物の収率も低いことが実証された。
加熱:融解温度
[0153] すり潰したプロトタイプ2カプセル又は比較群製剤錠を加熱し、内容物が融解した場合、様々なゲージの針を用いて注射器による混合物の採取率を評価した。比較群製剤錠を200℃に加熱したが、粉末への変化は見られなかった。
[0154] 加熱の後、プロトタイプ2の内容物が溶解したので、様々なゲージの針を用いて試験を実施した。製剤を熱源から取り出して注射器で採取すると、内容物が固化した。18ゲージ針と26ゲージ針を用いて試験を行うと、いずれの場合でもプロトタイプ2の製剤は融解したが、固化して注射器まで引き上げることができなかった。
[0155] プロトタイプ2製剤を融解することはできたが、針で引き上げると固化し、注入が不可能となるので、乱用に用いられる可能性は低いと思われる。
水による調製、マルチパス濾過後の注射性
[0156] プロトタイプ2カプセル又は比較群製剤錠を粉砕して注射性を確認した後、タバコフィルタで繰り返し濾過したところ、プロトタイプ2試料のうち、分析に適すると思われるものは一つもなかった。比較群製剤錠の試料を分析した結果、回収率38%が観測された。
[0157] 前述のように、プロトタイプ2はフィルタを通過する際に、パスごとに相当の量を損失しているため、注射器による乱用には適していないことが分かる。それに対して、比較群製剤錠を用いて同様の手順を踏むと、有効成分をある程度回収することができた。
周囲水及び温水により調製した後の、様々なゲージの針における注射性の検討
[0158] 5mLの周囲水と温水により調製したプロトタイプ2と比較群製剤錠の試料における注射性を比較した。試験に使用したいずれのゲージの針でも、比較群製剤錠の試料における有効成分の回収率は、プロトタイプ2の試料より大きかった。
[0159] 最も一般的に用いられる26ゲージ針による試験で、薬物の収率が低く、製剤の注射器による採取が難しいため、プロトタイプ2が乱用される可能性はあまりないということが実証された。比較群製剤錠は、薬物の収率がより高く、26ゲージ針のデータに至っては、周囲水で調製したプロトタイプ2の試料と、より直径の大きい針とを用いた場合にひけをとらない結果を出している。
少量の0.2%重炭酸ナトリウム溶液による抽出
[0160] プロトタイプ2カプセルと比較群製剤錠を粉砕した後、周囲温度と高温の0.2%重炭酸ナトリウムを5mLと2mL使用して、有効成分の抽出率を評価した。
[0161] 周囲温度の0.2%重炭酸ナトリウムを用いると、比較群製剤錠の試料における回収率がプロトタイプ2の試料より大きくなる。周囲温度の0.2%重炭酸ナトリウム2mLを用いて調製したプロトタイプ2の試料については、分析に適するものではなかった。
[0162] 高温の0.2%重炭酸ナトリウムを抽出に用いた結果、比較群製剤錠の試料では有効成分が完全に抽出された。プロトタイプ2の試料は分析に適するものではなかった。
[0163] これらの結果から、プロトタイプ2からは薬物を抽出し難く、よって、乱用には適切でないことが分かった。一方、比較群製剤錠からは、温度と量に関係なく、有効成分が重炭酸ナトリウムにより容易に抽出された
エタノール抽出試験
[0164] プロトタイプ2及び比較群製剤錠の試料を、95%エタノール10mLにより粉砕する。結果として得た混合物を加熱してエタノールを蒸発させ、それで得た残留物を調べた。両方の製剤において、試料は粉末状にならず、吸入の可能性を評価する物性試験を行うことができなかった。
[0165] これにより、プロトタイプ2を粉末状に転換できないことが実証された。これにより、吸入による乱用が防止される。
破砕、切断又は粉砕による乱用を防止する物理障壁
[0166] 経口医薬品の誤用の常例として、吸引による乱用がある。つまり乱用者は、粉末状の投薬単位を吸込(吸入)する。
研究:フェーズI
熱前処理の要件の確立
[0167] 全用量単位の被膜を取り除き、カプセルの内容物をコーヒーグラインダーに入れて5分間粉砕した。結果物を1mmを超える大きさまで製粉した。その後の分析のために、使用前にカプセルを24時間凍結することで熱前処理を施した。
コーヒーグラインダーによる製粉
[0168] 全投薬単位(24時間凍結されていた)5つについて被膜を取り除き、カプセルの内容物をバイアルに移して計量を行った。カプセルの内容物をコーヒーグラインダーに入れて1分間粉砕した(比較群製剤錠はさらに粉砕することもできたが、適格に比較するため、プロトタイプ2のカプセルの同じ時間粉砕した)。カプセル内容物を入れたコーヒーグラインダーの重量を測定し、内容物をアレイの最上部にある目開き1mmのふるいに移した。グラインダーを再計量し、ふるいアレイに移したカプセル内容物の量を確認した。目開き1mm、0.5mm、0.25mm、0.016mmのふるいを使用し、粒度分布を定めた。
[0169] 各ふるいに保持された有効成分の量をHPLCで分析し、物理的操作中に有効成分/賦形剤の分別が生じたのか否かを定めた。
Figure 0007054709000063

Figure 0007054709000064

Figure 0007054709000065

Figure 0007054709000066
[0170] プロトタイプ2の場合、粉砕されたカプセルの内容物が凝集し、目開き1mmのふるいに留まった(図9Bを参照)。よって、HPLC検定は省かれた。
[0171] 比較群製剤錠の場合、試料は両方とも目開き1mmのふるいに最も多く残り、目開き0.106mmのふるいまで降りて同じくらいの量を残したが、基部では量が減少した(図10を参照)。これは、より長く粉砕するとより微細な粉末が得られるため、比較群製剤錠をプロトタイプ2カプセルと同じ時間だけ粉砕したことに起因すると思われる。しかしながら、同等の評価のためには、同程度の粉砕時間を両方に適用する必要があった。
[0172] 各層から得た比較群製剤の粉末を50mlのメスフラスコに移し、プロトコルに記載されている希釈剤で容積を増やした。0.45μmフィルタで濾過した後、メスフラスコ内の溶液に対してHPLC検定を実施した。ふるいの目開きが小さくなるにつれ、存在する有効成分の量も基部まで減少し続けるが、基部では僅かな増加が観察された。
研究:フェーズII
[0173] フェーズ2の研究は、プロトタイプ製剤を全て使用して実施した。
溶剤(流動促進剤)を用いた粉砕
[0174] 全投薬単位(24時間凍結されていた)5つの被膜を除去した。カプセルの内容物を乳鉢と乳棒に載置し、流動促進剤0.2gを加え、その後すぐ、5分間粉砕した。フェーズIに従って、目開き1mm、0.5mm、0.25mm、0.016mmのふるいを使用し、粒度分布を定めた。
Figure 0007054709000067

Figure 0007054709000068
[0175] プロトタイプ2の場合、タルクを加えて粉砕した後、試料の両方とも粘着性のある灰白色のペーストになった(図11Aを参照)。目視検査とふるいによる計量の後、カプセル内容物は目開き1mmのふるいに留まった(図11Bを参照)。ふるいアレイの0.5mm層、0.25mm層、基部層からカプセル内容物が観測されなかったため、この層から回収された重量に関するデータは、天秤のバラツキによるものと思われる。カプセル内容物が目開き1mmのふるいすら通過できなかったため、HPLC検定は省かれた。
Figure 0007054709000069

Figure 0007054709000070
[0176] プロトタイプ2の場合、塩化ナトリウムを加えて粉砕した後、試料の両方とも粘着性のある灰白色のペーストになった(図12Aを参照)。目視検査とふるいによる計量の後、カプセル内容物は目開き1mmのふるいに留まった(図12Bを参照)。ふるいアレイの0.5mm層、0.25mm層、基部層からカプセル内容物が観測されなかったため、この層から回収された重量に関するデータは、天秤のバラツキによるものと思われる。カプセル内容物が目開き1mmのふるいすら通過できなかったため、HPLC検定は省かれた。
化学物質抽出を伴う乱用を防止する障壁
[0177] 一般的な乱用の手法として、また注入や摂取が挙げられる。乱用者は、単位を粒子に変換させ、加熱溶媒中で投薬単位の内容物を抽出するか、又は溶解させる。それで得た液体を飲み込み又は注入により体に投与する。
[0178] フェーズ1では1級溶媒を、フェーズ2では2級溶媒を用いて研究を実施した。
1級溶媒:水、酢酸(8%)、0.2%重炭酸ナトリウム、エタノール(95%)、炭酸清涼飲料水(コーラ、酸性pH)
2級溶媒:ミネラル(白)蒸留水、エタノール(40%)、イソプロピルアルコール、メタノール、アセトン、0.1N HCl、0.1N NaOH
研究:フェーズI
少量の1級溶媒による抽出
[0179] カプセルをすり潰して容量の粒子サイズを小さくし、1級溶媒10mLで5分間、又は均質になるまで粉砕した。結果として得た懸濁液をシンチレーションバイアルに移し、蓋をパラフィン薄膜で覆い、周囲温度の水浴で振とうを行った。5分、15分、60分、180分で試料を取り出し、0.45μmフィルタで濾過してフラスコに入れて、標準の検定希釈剤を用いてある容積まで希釈した。
[0180] 存在する有効成分の定量化のために、濾過済みの試料をHPLCで分析した。
[0181] 図13及び図14は、1級溶媒を用いたプロトタイプ2及び比較群製剤の溶媒抽出結果を写真で観察したものである。
Figure 0007054709000071

Figure 0007054709000072
少量の温水による抽出
[0182] 周囲条件における酢酸、0.2%重炭酸ナトリウム、炭酸清涼飲料水、95%エタノールの他のプロトタイプに対する抽出性能を既に得ているため、ここでは温水のみを用いて分析を行った。
[0183] プロトコルで概説されているように、水は90℃の抽出温度に予熱した。
[0184] カプセルをすり潰して用量の粒子サイズを小さくし、温水10mLで5分間、均質になるまで粉砕した。結果として得た懸濁液をシンチレーションバイアルに移し、蓋をパラフィン薄膜で覆い、90℃の水浴で振とうした。5分、15分、60分、180分で試料を取り出し、可能であれば、0.45μmフィルタで濾過してフラスコに入れ、標準の検定希釈剤を用いてある容積まで希釈した。
[0185] 存在する有効成分の定量化のために、濾過済みの試料をHPLCで分析した。図15及び16は、高温溶媒を用いた比較群製剤及びプロトタイプ2の溶媒抽出結果を写真で観察したものである。
[0186]
Figure 0007054709000073
研究:フェーズII
[0187] カプセルをすり潰して容量の粒子サイズを小さくし、40%エタノール10mLで5分間、均質になるまで粉砕した。結果として得た懸濁液をシンチレーションバイアルに移し、蓋をパラフィン薄膜で覆い、周囲温度の水浴で振とうを行った。5分、15分、60分、180分で試料を取り出し、0.45μmフィルタで濾過してフラスコに入れて、標準の検定希釈剤を用いてある容積まで希釈した。
[0188] 存在する有効成分の定量化のために、濾過済みの試料をHPLCで分析した。図17は、周囲条件のエタノールを用いた比較群製剤及びプロトタイプ2の溶媒抽出結果を写真で観察したものである。
Figure 0007054709000074
注射障壁
研究:フェーズI
[0189] カプセルをすり潰して容量の粒子サイズを小さくし、周囲温度の水10mLで最大30分間均質になるまで粉砕した。溶液を26ゲージ針を介して注射器に引き上げ、引き上げた液体のおおよその量を記録した。1mL以上が引き上げられ、針から押し出せるほどの流動性を有していた場合、注射器の内容物を適切なサイズのメスフラスコに分注し、標準検定希釈剤を用いてHPLC分析用を調製した。
[0190] 室温で試験基準(収率<5%)を満たした試料は、90~95℃に加熱した水を用いて試験を繰り返した。図18及び19は、それぞれ、26ゲージ針を用いた場合の、比較群製剤とプロトタイプ2の周囲水及び温水における注射性を写真で観察したものである。
Figure 0007054709000075

Figure 0007054709000076
研究:フェーズII
[0191] プロトタイプ製剤を全て用いて、II段階の研究を実施した。
水により調製した後の、様々なゲージの針における注射性の検討
[0192] カプセルをすり潰して容量の粒子サイズを小さくし、周囲温度の水10mLで5分間、又は均質になるまで粉砕した。溶液を18ゲージ針を介して注射器に引き上げ、引き上げた液体のおおよその量を記録した。1mL以上が引き上げられ、針から押し出せるほどの流動性を有していた場合、注射器の内容物を適切なサイズのメスフラスコに分注し、標準検定希釈剤を用いてHPLC分析用を調製した。
[0193] 上記のプロセスを繰り返し、0.2μmフィルタ、脱脂綿の詰め物、タバコフィルタのチップを介して溶液の引き上げを試みた。使用したフィルタごとに新しい試料を調製した。
[0194] 有効成分の回収量が回収用量の5%を超える場合には、18ゲージ針で注射可能である試料に対してゲージ数の大きい針を用いて上記の実験を繰り返し、20ゲージ針及び23ゲージ針を用いて試験を進めた。
[0195] 室温で試験基準(収率<5%)を満たした試料は、90~95℃に加熱した水を用いて試験を繰り返した。
[0196] 図20及び21は、それぞれ、18ゲージ針を使用し、且つ様々な種類のフィルタを使用した場合と使用しない場合において、周囲水における比較群製剤及びプロトタイプ2の注射性について写真で観察したものである。図22及び23は、それぞれ、18ゲージ針を使用し、且つ様々な種類のフィルタを使用した場合と使用しない場合において、温水における比較群製剤及びプロトタイプ2の注射性について写真で観察したものである。図24は、20ゲージ針を使用し、且つフィルタを使用した場合と使用しない場合において、周囲水における比較群製剤の注射性について写真で観察したものである。図25は、20ゲージ針を使用した場合において、温水における比較群製剤及びプロトタイプ2の注射性について写真で観察したものである。図26は、23ゲージ針を使用し、且つフィルタを使用した場合と使用しない場合において、周囲水における比較群製剤の注射性について写真で観察したものである。図27は、23ゲージ針を使用し、且つフィルタを使用した場合と使用しない場合において、温水における比較群製剤の注射性について写真で観察したものである。
Figure 0007054709000077

Figure 0007054709000078

Figure 0007054709000079

Figure 0007054709000080

Figure 0007054709000081

Figure 0007054709000082
加熱:融解温度
[0197] カプセルをすり潰して容量の粒子サイズを小さくした。すり潰したカプセルの内容物を時計皿に入れ、ホットプレートを用いて溶解するまで加熱した。融解温度を記録した。18ゲージ、20ゲージ、26ゲージ、又は28ゲージの針を介して注射器で引き上げることができた混合体については、さらに調査を進めた。注射器に入った割合を測定するため、事前に注射器の重量を計量し、混合体を引き上げた後、再度重量を計量した。
Figure 0007054709000083

Figure 0007054709000084

Figure 0007054709000085
[0198] プロトタイプ2の融点は、試験対象の試料両方とも70℃であった。
[0199] 融解後、プロトタイプ2の試料両方における製剤を18ゲージ針へ引き上げた。製剤は熱源から離れ、針に引き上げられたときに固化し、注射器内まで入ることができなかった。
[0200] プロトタイプ2の押出試験において、針の中にはごくわずかな量しかなく、いずれも注射器の内部まで入ることができなかった。両方の試料において、製剤は針の中で固化してしまい、圧力を加えても何も押し出されなかった。
[0201] プロトタイプ2の試料を26ゲージ針で引き上げようと試みたが、製剤は針や注射器の中に入ることができなかった。
[0202] 比較群製剤錠の場合、粉末を200℃まで加熱したが、採取できるほどの流動性を有するまで融解することができなかった。
水による調製、マルチパス濾過後の注射性
[0203] カプセルをすり潰して容量の粒子サイズを小さくし、周囲温度の水10mLで最大30分間均質になるまで粉砕した。18ゲージ針を介して注射器で溶液を引き上げた。タバコフィルタを乳鉢に入れ、残りの液体を全て吸収した。針をタバコフィルタに入れ、引き上げた液体を移した。1mL以上が引き上げられ、針から押し出せるほどの流動性を有していた場合、注射器の内容物を適切なサイズの容器に分注した。濾過プロセスをさらに2回、あるいは、液体が半透明になるまで繰り返した。半透明の溶液が生成された場合、この溶液を適切なサイズのメスフラスコに分注し、標準検定希釈剤を用いてHPLC分析用を調製した。半透明の溶液が生成されなかった場合は、試料の分析を省略した。
Figure 0007054709000086
[0204] プロトタイプ2の試料製剤1及び2の場合、第1のフィルタで5mlが注射器に引き上げられたが、得られた溶液は不透明であった。第2のフィルタでは0.5mlが引き上げられたが、溶液は相変わらず不透明であったので、検定対象から除外した。
[0205] プロトタイプ2の試料製剤3の場合、第1のフィルタで3mlが注射器に引き上げられたが、得られた溶液は不透明であった。第2のフィルタでは1.5mlが引き上げられたが、溶液は相変わらず不透明であったので、検定対象から除外した。
[0206] 比較群製剤の試料製剤1の場合、第1のフィルタで5mlが注射器に引き上げられたが、得られた溶液は不透明であった。第2のフィルタでは4.5mlが引き上げられたが、溶液は不透明であった。第3のフィルタでは4mlが引き上げられたが、溶液は不透明であった。回収量を考慮して、この試料に対してHPLCにより分析を行った。
[0207] 比較群製剤の試料製剤2の場合、第1のフィルタで4mlが注射器に引き上げられたが、得られた溶液は不透明であった。第2のフィルタでは3mlが引き上げられたが、溶液は不透明であった。第3のフィルタでは3mlが引き上げられたが、溶液は不透明であった。回収量を考慮して、この試料に対してHPLCにより分析を行った。
[0208] 比較群製剤の試料製剤3の場合、第1のフィルタで4mlが注射器に引き上げられたが、得られた溶液は不透明であった。第2のフィルタでは3.5mlが引き上げられたが、溶液は不透明であった。第3のフィルタでは3mlが引き上げられたが、溶液は不透明であった。回収量を考慮して、この試料に対してHPLCにより分析を行った。
注射性の検討(プロトタイプ2と比較群製剤のみ)
[0209] 注射性と化学物質抽出の試験に適用される方法の詳細については、別添Bを参照されたい。
[0210] カプセルをすり潰して容量の粒子サイズを小さくし、周囲温度の水5mLで最大30分間均質になるまで粉砕した。この混合体が26ゲージ針を介してLuer-lok注射器で引き上げられるほどの流動性を有しているか否かを確認した。注射器のプランジャを目盛り5mLまで引き戻し、30秒間、あるいは注射器の圧力が平衡化するまで、最大圧力を維持した。約1mL以上が引き上げられ、針から押し出せるほどの流動性(注入用)を有していた場合は、注射器の内容物を適切なサイズのメスフラスコに分注し、標準検定希釈剤を用いてHPLC分析用を調製した。
[0211] ゲージ数の小さい針(18ゲージ、20ゲージ、23ゲージ)及び90~95℃に加熱した水を用いて、以上のプロセスを繰り返した。
Figure 0007054709000087
観察結果
[0212] 比較群製剤錠/周囲水/18ゲージ針の場合:試料3つにおいて、引き上げと押し出しを容易に行うことができた。
[0213] 比較群製剤錠/周囲水/20ゲージ針の場合:試料3つにおいて、引き上げは容易であったが押し出しは容易でなかった。
[0214] 比較群製剤錠/周囲水/23ゲージ針の場合:試料3つにおいて、引き上げは容易であったが押し出しは容易でなかった。
[0215] 比較群製剤錠/周囲水/26ゲージ針の場合:試料1及び3は引き上げも押し出しも容易でなかった。試料2は押し出すことができなかった。
[0216] 図28は、様々なゲージの針を使用した場合において、周囲水におけるプロトタイプ2の注射性について写真で観察したものである。図29及び30は、それぞれ、様々なゲージの針を使用した場合において、温水における比較群製剤及びプロトタイプ2の注射性について写真で観察したものである。
Figure 0007054709000088
化学物質抽出を伴う乱用(プロトタイプ2及び比較群製剤のみ)
[0217] 化学物質抽出の試験に適用される方法の詳細については、別添Bを参照されたい。
少量の周囲温度の0.2%重炭酸ナトリウム溶液による抽出(各試料ごとに3回ずつ実施)
[0218] カプセルをすり潰して容量の粒子サイズを小さくし、0.2%重炭酸ナトリウム溶液5mLで5分間、又は均質になるまで粉砕した。結果として得た懸濁液をシンチレーションバイアルに移し、蓋をパラフィン薄膜で覆い、周囲温度の水浴で振とうを行った。60分で試料を取り出し、0.45μmフィルタで濾過してフラスコに入れて、標準の検定希釈剤を用いてある容積まで希釈した。
[0219] 存在する有効成分の定量化のために、濾過済みの試料をHPLCで分析した。
[0220] 周囲温度の0.2%重炭酸ナトリウム溶液2mLを用いて、実験を繰り返した。
Figure 0007054709000089
[0221] プロトタイプ2の場合、周囲温度の0.2%重炭酸ナトリウム5mLで粉砕すると、高濃度の不透明な溶液が得られた。60分間の振とうで内容物の濃度が高くなり、回収した濾液約1mlを濾過することが困難になった。
[0222] プロトタイプ2の場合、周囲温度の0.2%重炭酸ナトリウム2mLで粉砕すると、高濃度のゲル状半溶液混合物が得られた。振とうを施したが、濾過できず、HPLC分析を行うことができなかった。
[0223] 比較群製剤錠の場合、周囲温度の0.2%重炭酸ナトリウム5mLで粉砕すると、サーモンピンクの溶液が得られ、60分間の振とうで濾過が容易となった。
[0224] 比較群製剤錠の場合、すり潰した試料は、粉砕及び振とう中に、周囲温度の0.2%重炭酸ナトリウム2mLを吸収した。振とうの後、1mL未満の濾液を回収した。
少量の高温の0.2%重炭酸ナトリウム溶液による抽出(各試料ごとに3回ずつ実施)
[0225] カプセルをすり潰して容量の粒子サイズを小さくし、予熱した0.2%重炭酸ナトリウム溶液5mLで5分間、又は均質になるまで粉砕した。結果として得た懸濁液をシンチレーションバイアルに移し、蓋をパラフィン薄膜で覆い、周囲温度の水浴で振とうを行った。60分で試料を取り出し、0.45μmフィルタで濾過してフラスコに入れて、標準の検定希釈剤を用いてある容積まで希釈した。
[0226] 予熱した0.2%重炭酸ナトリウム溶液2mLを用いて、実験を繰り返した。
Figure 0007054709000090
[0227] プロトタイプ2の場合、高温の0.2%重炭酸ナトリウム5mLで粉砕すると、粘性のある不透明な軟性固溶体が得られた。濾過ができなかったので、HPLC分析の適用対象から除外された。
[0228] プロトタイプ2の場合、高温の0.2%重炭酸ナトリウム2mLで粉砕すると、半固体溶液が得られ、振とうの後、固体となった。混合物を濾過することができなかったので、HPLC分析の適用対象から除外された。
[0229] 高温の0.2%重炭酸ナトリウム5mLで比較群製剤錠を粉砕したが、観察結果を記録することはできなかった。
[0230] 比較群製剤錠の場合、粉砕及び振とう中に、高温の0.2%重炭酸ナトリウム2mLは吸収され、その結果として、1mL未満の濾液を回収した。
エタノールによる抽出試験(プロトタイプ2及び比較群製剤のみ、3回ずつ調製)
[0231] 化学物質抽出の試験に適用される方法の詳細については、別添Bを参照されたい。
[0232] カプセルをすり潰して容量の粒子サイズを小さくし、95%エタノール溶液10mLで5分間、又は均質になるまで粉砕した。結果として得た試料を0.45μmナイロンフィルタを用いて丸底フラスコに濾過した。フラスコをホットプレート上の水を入れたビーカーに移して、エタノールを蒸発させた。結果として得た混合物の性質を記録した。
[0233] プロトタイプ2の場合、蒸発後の濾液は注射器で採取できないものであったため、HPLC分析の適用対象から除外された。
[0234] 比較群製剤の場合、蒸発後の濾液は注射器で採取できないものであったため、HPLC分析の適用対象から除外された。
[0235] プロトタイプ2及び比較群製剤につき、それぞれの丸底フラスコに残った残留物をへらで撹拌し、へらに貼り付けた。
[0236] 上記の結果に基づいて、プロトタイプ2は比較群製剤群に比べて、乱用に対する耐性が強いとの結論を出すことができる。カプセル内容物では、吸入用として物理的に粉砕することも、化学出物質抽出と乾燥により粉末状の残留物を生成することもできないためである。さらに、薬物の回収率が比較群製剤より遥かに低いので、その分、注入による乱用のリスクが低減する。また、結果として得たプロトタイプ2溶液では、注射器による引き上げや押し出しが比較群製剤錠より遥かに困難である。
実施例4:プロトタイプ2、プラシーボ、非乱用抑止錠剤の比較-テクスチャアナライザと流動性
[0237] 本実施例は、乱用抑止製剤のプロトタイプ2(ADAIR)、プラシーボ、Barrの10mg即放性錠剤(記載薬物、以下LD)を、テクスチャアナライザとレオメータを用いて比較する。
[0238] 本実施例によると、26ゲージ針を介して操作済みのADAIRを押し出すためには、同サイズの針で操作・濾過済みのLDを押し出すときより、大きな力が必要である。さらにデータによると、注射性の観点から、乱用抑止製剤プロトタイプ2とプラシーボの方が、LDより乱用抑止力に優れていることが分かる。
[0239] ADAIR、プラシーボ、LDの操作済みの製剤に対して、レオメータを用いて流動性を測定した。操作済みのLDは水と同様の粘度プロファイルを有していた。一方、操作済みのADAIRとプラシーボは、粘度が非常に高く、注入が容易ではないことが伺える。
[0240] プラシーボとADAIRのバルク製剤を様々な温度で検査した結果、この温度で安定性の問題がない限り、推奨充填温度は55±10℃と確定された。
[0241] 前書き
[0242] プロトタイプ2はデキストロアンフェタミンの即放性(IR)乱用抑止製剤(ADF)であり、現在臨床試験ではADAIR(乱用抑止性即放性アンフェタミン)と呼ばれている。ADAIRは、非乱用抑止性の記載薬物(LD、Barrの10mg硫酸デキストロアンフェタミン含有IR錠剤)にひけをとらない所望の即時放出プロファイルを有する、硫酸デキストロアンフェタミンの10mg錠剤である。
[0243] ADAIRは、Kollisolv P124(ポロキサマー124)、Gelucire 48/16(ステアリン酸ポリオキシル)、Kelcogel CGHA(ジェランガム)を用いて製剤し、用量は10mg、カプセルとしてはサイズ3号の封緘型ゼラチンカプセルを使用している(以前の名称は「プロトタイプ2」)。バルク混合体を55℃でカプセルに充填した。
[0244] 再現性のある注射力に対して注射性を定量化できる方法を以下に説明する。注射器試験装置を備えたテクスチャアナライザ(TA)を用いて、適切な方法に従い、注射器から操作済みの製剤を排出するために必要な力を定量化した。
[0245] テクスチャアナライザ注射性(TAS)の試験と並行して、BrookfieldDV-III UltraProgrammableレオメータを用いて試料に対して粘度評価を行い、注射力と流動挙動の相関関係を究明した。操作済みのADAIR及びそのプラシーボの場合、26ゲージ針を介して押し出すためには、濾過済みのLDより強い力が必要であり、これは高い粘度に起因するものと思われる。
[0246] 最後に、バルクADAIR製剤の粘度を、適切なプラシーボと共に、25~65℃範囲の様々な温度で測定して、55℃における充填適合性を実証し、適切な範囲を定めた。プラシーボ製剤については、有効成分をAvicel PH101に置き換え、スケールアップの試行において、硫酸デキストロアンフェタミンの代用として用いた。推奨充填温度は、この温度で熱安定性に関する問題が生じない限り、ADAIRとプラシーボの両方に対して55±10℃であった。
[0247] 物質と機器
[0248] 本研究に用いられる物質につき、Capsugel Edinburghの原料(RRM)番号、製造社のバッチ番号、製造社、有効期限を表83に詳細にまとめた。
Figure 0007054709000091
本研究において用いられる針について、表84に詳細にまとめた。
Figure 0007054709000092
機器
本研究において用いられる機器について、表85に詳細にまとめた。
Figure 0007054709000093
方法
3.プラシーボ製剤の調製
方法開発に用いられるプラシーボバルク混合体製剤を調製すべく、物質を60mLの琥珀色瓶に分注し(量については下記の表を参照)、オーブンで加熱して融解させた。バルク材に1分間高せん断混合をかけ、その間、温度は59.1℃から51.2℃に下がった。次いで、バルク混合体を真空チャンバーで脱気し、気泡を除去した。物質の入手容易性を考慮して、本作業では、その後の技術的製造で用いられるPH101の代わりに、AvicelPC101を使用している。両方の物質は物理化学的には等価であるが、PCは個人医療に、PHは医薬品に用いられる等級である。
Figure 0007054709000094
分析用のプラシーボバルク混合体を調製すべく、物質を60mL瓶に分注し(表86を参照)、オーブンに載置した後、高せん断混合を施した。バルク材に総じて1分間高せん断混合を行い、その間、温度は50℃から42℃に落ちた。
Figure 0007054709000095
ADAIR製剤の調製
活性ADAIR製剤を調製すべく、Kollisolv P124、Gelucire 48/16、Kelcogel CGHAを60mL琥珀色瓶に分注し(表88を参照)、オーブン(53℃)に載置してGelucire 48/16を融解した。次いで、有効成分を瓶に分注し、へらで混合して粉末に湿気を与え、バルク材をオーブンに10分間戻して流動性を高めた後、高せん断混合を施した。高せん断混合を合計1分間行い、その間、温度は43℃から36~37℃まで低下した。物質は混合時間の終了の間際から硬化しはじめたが、硬化する前までは、均質な混合状態を維持していた。
Figure 0007054709000096
操作済み試料の調製
注射性及び粘度評価に用いられる操作済みのプラシーボ及びADAIR製剤の試料を調製すべく、~1.11g(充填材6カプセルに相当)を、乳鉢と乳棒を用いて、室温の飲料水20mLで均質になるまで粉砕した。操作済みの物質を、分析まで琥珀色のガラス瓶に保存した。操作済みの活性物質の試料に対してPVDF0.45μm注射器フィルタによる濾過を試みたが、フィルタが目詰まりとなる前に、濾液数滴を得る程度に留まった。
操作済みの記載薬物(LD)の試料を調製すべく、完全な錠剤3つを室温の飲料水10mLで均質になるまで粉砕した。
テクスチャアナライザ注射性
汎用性注射器装置と30kg負荷セルを装備したテクスチャアナライザTAXTPlusを使用した。使用前に、高さと重量について較正を行い、開始位置を3mL、目標距離を9mmに設定した。本方法における設定については、88を参照されたい。5mLのLeur-Lok(商標)注射器を使用して、試験中に注射器から針が飛び出さないようにした。18ゲージ針と26ゲージ針を用いて、試料を評価した(回数は、使用可能な試料に応じて2又は3回)。
方法開発フェーズにおいて、水と操作済みのプラシーボ製剤を、さらに、空の注射器、及び針を取り付けた空の注射器を、対照群として分析した(n=2又は3)。試料分析では、操作済みのプラシーボ、操作済みのADAIR、操作済みのLD(n=2又は3)に加え、上記の対照群も含まれる。注射器は、自由流動性を有する液体(水とLD試料)を除き、後ろから充填した。自由流動性を有する液体は、試験対象の物質を、針を取り付けていない状態で、先端を介して引き上げて注射器に充填した。
Figure 0007054709000097
粘度
Brookfield RVDV-III UltraCone and Plateレオメータを用いて、形状CP40及びCP52で粘度を評価した。操作済みのADAIR、操作済みのプラシーボ、操作済みのLDを25℃で分析した。プラシーボとADAIRバルク混合体は、25℃、35℃、45℃、55℃、65℃で分析し、充填温度を評価した。各試料のタイプに適した方法を開発し、各試料について速度勾配を増減させながら、せん断応力を測定した。
結果及び考察
4.1 ADAIR製剤とプラシーボ製剤の調製
ADIAR製剤とプラシーボ製剤は問題なく調製された。使用前にステンレス鋼製へらと高せん断ヘッドを予熱して、処理を補助した。高温においてバルク製剤は、粘性でありながらもベンチスケールの混合/分注(aliquoting)を促進するほどの処理性を示した。
3.2.操作済み試料の調製
比較群製剤錠剤を乳鉢と乳棒で粉砕すると、ピンク/茶色の粗い粉末/液体混合物が生成された。錠剤を乳鉢と乳棒で素早くすり潰して、溶媒による粉砕を補助してもよい。
プラシーボとADAIRの場合、製剤を加熱して乳鉢への分注を促進した(図32及び図33)。これは使用前の加熱とは異なるもので、物質は急速に固化した。固体充填材のろう質には変化がないため、乳棒による処理が多少困難であった。水で粉砕すると、ゲル状の物質が形成された。プラシーボ製剤は、見かけの粘度がより高いゲルを形成した。これは、硫酸デキストロアンフェタミンの代替として添加されたAvicel PH101に原因があると思われる。
操作に用いられた物質の量と、それが用いられた試験を、表90にまとめた。
Figure 0007054709000098
3.3.テクスチャ分析の開発
18ゲージ針を取り付けた空の注射器、26ゲージ針を取り付けた空の注射器、水(18ゲージ針と26ゲージ針の両方)、操作済みの乱用抑止製剤プラシーボ(18ゲージ針と26ゲージ針の両方)の注入に係る力を測定できる方法を開発した。操作済みの乱用抑止製剤が有する粘性を考慮して、先端から注射器の中に液体を吸い込まず、後ろから注射器バレルに充填した。設定の例として、テクスチャアナライザソフトウェアを用いて、対静止摩擦力、水平力、最終拘束力を算出した。そのため、プロファイルを3つの時間領域に分割した(下記の35における1-2、2-3、3-4)。本試験では、ボタントリガーを用いるため、試験の開始時点からデータを取得する。注射器のプランジャが動き始め、注射器の内容物も動き始めると、力に初期ピークが生じる。この静止摩擦を相殺するほどの力を対静止摩擦力と呼ぶ。これは、分析の最初の1/3(1-2)において最大力として見なされる。次いで、プランジャが注射器バレルの中央部分まで移動すると、力は水平状態になる。水平力は、第2点と第3点の間における最大力として見なされる(図5)。最後のピーク力を、最終拘束力として記録する。平均を図6に示した。
テクスチャアナライザ注射性
注射器バレルの形状により試料の分析中に生じ得る制約を取り除くために、プランジャを動かして注射器から物質を完全に押し出す代わりに、プランジャを3mLの位置から2mLの位置まで移動させて試験を行った。これは、結果をより明確にするために、注射器の形状による影響を抑止するという意味であり、また、「最終拘束力」は適用できなくなったことを意味する。
調査の開始時、空の注射器、18ゲージ針を取り付けた注射器、26ゲージ針を取り付けた注射器を分析して(図37及び図38)、試験に用いられる機器(つまり、5mL注射器と針)固有の動きに対する抵抗のデータを確保した。空の注射器の平均ピーク力は3.043Nであり、18ゲージ針付きは平均4.146N、26ゲージ針付きは平均3.208Nであった。各プロファイルでは、試験を開始して最初の1秒以内に、静止摩擦力に係る最初の最大点(プランジャの移動に必要な力)が生じた。これは、図37の18ゲージ針と26ゲージ針を用いた水のプロファイルからも見られる。
試験結果に干渉する機器の静止摩擦力の影響を最小限に抑えるため、データの分析に静止摩擦最大点は使用しないこととした。また、乱用抑止製剤と操作済みの錠剤の性質のため、水平力に達するまでの時間にバラツキがあり、滑らかな水平状態が得られないこともある。つまり、テクスチャアナライザソフトウェアを用いて水平力を算出するのは、実用的とはいえない。
結果的に、注射器プロファイルの特徴付けと、集めたデータの比較に、対静止摩擦力、水平力、最終拘束力を用いるのはあまり実用的ではないとの結論が下された。データ分析には、その代わりに、ピーク力(N)と、力対時間曲線下面積(Ns、プランジャが物質を針から押し出しながら9mmを移動した「作業完了」状態を表す)の2種のパラメータを用いることとした。静止摩擦最大点でピーク力に達した場合は、データを手動で再処理し、試験の後半における最大点を取得した。ただし、これは、空の注射器(ピーク力を2.558Nから2.518Nに調整)で1回、操作・濾過済みのLD(ピーク力を4.744Nから4.215Nに調整)で1回のみ適用されていることに留意されたい。本調査では、各試験セットで繰り返した試験全てに対する平均ピーク力と平均曲線下面積を用いることで、対静止摩擦力、水平力、最終拘束力より完全性と関連性を備えたデータセットを提供することができると判断した。
ピーク力と力対時間曲線下面積を算出し、ピーク力が「静止摩擦」領域にある場合は、データを手動で再処理し、試験の本場でピーク力を取得できるようにした。ただし、これは空の注射器と、濾過済みのLDにのみ適用されている。
未濾過の操作済みLDの場合、テクスチャアナライザプロファイルから、多数の鋭いピークとトラフ(谷)を確認できる(図39)。これは、すり潰された錠剤の粒子が、試験中に断続的に針の目詰まりを引き起こすためであると思われる。これらを取り除くためには、より大きな力が必要となる(テクスチャアナライザは、一定の力を維持せず、力を調整して一定の試験速度を維持するようにプログラムされている)。18ゲージ針を使用して同等の試料を分析する場合(図40)は、針の直径が大きいため、同様の現象は生じない。この現象は、作業者による粉砕の程度に影響を受けるものと予測される。さらに、乱用者が、最初に物質を濾過せず、操作済みのLDをそのまま注入するとは考え難い。これらの試料に対する18ゲージ針と26ゲージ針のデータは、明確性のために別途に記載した。
操作済みのADAIRと、操作済みのプラシーボについて取得したプロファイルを、それぞれ図41及び図42に示した。両方の試料において、26ゲージ針を用いた試験では、注射器による採取に対する抵抗の増加を示す、ピークありの不均一なプロファイルを得たが、それに比べて、18ゲージ針(直径がより大きい)を用いた試験のプロファイルは、注射器の試験でよく見られる滑らかな線を描いている。
注入のために固形経口投薬剤形を操作するとき、乱用者は通常、粉末状の賦形剤を含有する溶液をそのまま注入せず、溶液をまず濾過する。よって、操作済みのLDを濾過し、これを分析することにした(図43)。26ゲージ針を用いた濾過済みのLDによる3回目の試験は、試験の準備中に試料が溢れたため、行うことができなかった。比較分析のために、操作済みのADAIRの濾過を試みたが、この試験を実施できるほどの物質を得ることができなかった(n=1)。全試料のピーク力(N)と曲線下面積(Ns)を、算出平均値、標準偏差、変動係数と共に表91にまとめた。
Figure 0007054709000099
Figure 0007054709000100
Figure 0007054709000101
18ゲージ針と26ゲージ針を用いて測定した試料の平均ピーク力のグラフを、それぞれ図44及び図45に示す。18ゲージ針と26ゲージ針を用いて測定した試料の平均曲線下面積のグラフを、それぞれ図46及び図47に示す。
TAデータの考察
18ゲージ針のデータによると、平均ピーク力(図48)と平均曲線下面積(図49)において、ADAIR製剤と水の間に有意な差が存在しない。しかしながら、18ゲージ針は直径が大きく、静脈注射による硫酸デキストロアンフェタミンの乱用に使用される可能性はあまり高くない。
26ゲージ針を用いて得たデータの場合、操作済みのADAIRは、平均ピーク力(図50)と平均曲線下面積(図51)において、水及び濾過済みのLDの両方に対し、より顕著な差を示している。上記の結果は、より常用される直径サイズの針の場合、このような条件では、ADAIR製剤の方が、濾過済みのLDよりも注射器による採取を効果的に防止することを示唆している。また、操作済みのADAIRから、濾過済みの試料に対する試験を実施できるほどの濾液を得ることはできなかった。ADAIRの賦形剤による、濾過に対する固有の障壁は、乱用者のほとんどに対して、本物質の注入を試みる動機を低減すると思われる。乱用者が、濾過なしに操作済みのADAIRをそのまま注入しようとしても、この物質は、濾過・操作済みのLDより遥かに注入し難い(濾過済みのLDの平均ピーク力4.191Nに対して42.188N、濾過済みのLDの平均曲線下面積71.137Nsに対して290.816Ns)。試料のテクスチャアナライザプロファイルを比較すると、濾過・操作済みのLDは、飲料水同様、力対時間プロファイルが滑らかである(大きさが同様)。一方、操作済みのLDは、試験中、水と濾過・操作済みのLD両方より、プランジャの押し下げに大きな力を必要とした。この物質のプロファイルには複数のピークがあり、注入向けでないことを示している。つまり、乱用者にはあまり「魅力的」ではないと思われる。
操作済み試料の流動性
速度勾配の増減中におけるせん断応力を測定し、試料の流動性を調べた。操作済みのADAIRとプラシーボは、高粘度の試料用である小型スピンドル(CP-52)を使用し、水と操作済みのLDは、低粘度の試料用である大型スピンドル(CP-40)を使用した。各試料から取得したデータを表92から表100にまとめた。
未濾過・操作済みのLDの試料2つを、濾過済みのLDの試料2つ、水の試料1つと共に分析した(図54)。未濾過・操作済みのLDは、対照群の水より高い最大測定粘度を示したが(166.7RPMで前者は2.16cP及び2.35cP、後者は1.33cP)、それでも水の試料と大きさにあまり差はなく、両方のプロファイルは類似していた。未濾過LDは、ある程度のヒステリシスを示したが、これは、試験中に試料内の固形物質が移動や整列をしたことに起因する可能性がある。濾過済みのLDは、プロファイルは類似しているが、ヒステリシスが少なく、水の試料にさらに近い粘度を示した(前者は83.33RPMで1.53cP及び1.45cP、後者は166.7RPMで1.33cP)。これは、操作済みのLDは水と同様の流動性を有し、未濾過状態では粘度が若干増加することを示唆している。上記の結果は、操作済みのLDの採取に大きな力が必要であったが、これは操作済み物質の高粘度のためではなく、溶解し切れていない粉砕投薬剤形の微粒子が注射器の目詰まりを起こしたためであるという仮説を裏付ける。
Figure 0007054709000102

Figure 0007054709000103

Figure 0007054709000104

Figure 0007054709000105

Figure 0007054709000106
操作済みのADAIRとプラシーボ試料の場合、各試料は、流動挙動におけるバラツキの度合いを示す、異なる速度勾配を必要とする。これは、賦形剤の性質と、乱用抑止製剤の操作に係る変動性に鑑みれば、想定内であると言える。
操作済みのADAIRの試料2つを分析した(表97及び表98)。操作済みのADAIRはせん断減粘挙動(せん断増加につれ流動抵抗性が減少する)を示しているが、測定した粘度は未濾過・操作済みのLDより高く、前者の最大粘度は1RPMで6052.42cP及び8334.48cP、後者は2.16cP及び2.35cPであった。さらに、操作済みのADAIRの粘度測定結果の両方にヒステリシスがあり、下降勾配の読取値が高くなったが、これは、操作済みのADAIRの粘度が時間に応じて増加していることを示唆する。この場合、操作時間が長くなるほど(例えば、粉砕に時間がかかるなど)、粘度が増すという仮説を立てることができる。この仮説は、速度勾配を適用せず、一定のせん断速度でより長時間操作することによって、検証することができる。
Figure 0007054709000107

Figure 0007054709000108
操作済みのプラシーボ試料も、せん断減粘挙動と、時間に応じた粘度の増加を示している(図56Aから図56B)。一般的に、プラシーボ試料の粘度は非常に高く、最大測定粘度は0.50RPMで12501.72cP、0.01RPMで1478378.00cPであった。操作中に水和マトリックスに分散させたAvicel PH101粒子が、粘度増加に寄与していると思われる。さらに、これらの試料において、速度勾配の上端で、せん断応力が傾向外の減少を示す原因は、試験中のプレート/試料の滑りである可能性もある。プラシーボ試料の検査を試験の最後に行ったとき、試料がコーンとプレートに対して移動していたことも上記の仮説を支持する。つまり、スピンドルの動きにより、スピンドルの上部で回転するプレートではなく、試料の位置がずれている可能性がある。試料内の高い凝集力も原因であると思われる。
Figure 0007054709000109

Figure 0007054709000110
充填温度の判定
ADAIR製剤とプラシーボ製剤のバルク混合体の流動挙動を調査し、推奨充填温度を判定すべく、両方のバルク混合体を様々な温度で調べた。プラシーボの65℃、55℃、45℃における流動性データを、下記の表にまとめた。ADAIR製剤の65℃、55℃、45℃における流動性データを、下記の表にまとめた。ADAIR製剤の粘度プロットを図58に示した。35℃でプラシーボ試料を測定しようと試みたが、最大トルクレベルをすぐに超過してしまい、この物質は固体又はそれに近い状態であることが伺える。
このデータから、プラシーボ製剤とADAIR製剤の両方が、液体充填型硬カプセル製剤用の、相対的に高い粘度を有していることが分かる。実際に、プラシーボ製剤の最大測定粘度は5099.91cP、ADAIR製剤は4504.59cPである(両方とも5.00RPM、45℃で測定した)。製剤は両方とも熱軟化性であり、温度が上昇すると粘度が下がる。せん断速度の増加に伴う粘度の低下は、両方ともせん断減粘性であることを示している。結果として、流動特性と処理性を最適化するために、充填プロセス中にバルク混合体を撹拌したままにしておくことが勧められる。さらに、プラシーボとADAIR製剤の両方とも、上昇勾配で得た測定結果と、下降勾配で得た測定結果との間にヒステリシスを示す。操作済みの製剤とは異なり、上昇勾配に比べ、下向きの速度勾配では粘度が低下する。これは、撹拌時間が長くなるほど粘度が低下する時間依存性作用を示唆している。この現象はチキソトロピーと呼ばれ、懸濁液で一般的に生じる挙動である。上記のデータによると、水で操作したときに製剤の取扱性が優れなくても(処理性の低下)、熱と撹拌によりバルク混合体の処理性を高めることができることが伺える。安定性の問題がない限り、プラシーボとADAIR製剤の両方に適する目標充填温度は55±10℃である。この場合、充填機のホッパーで撹拌し続けることがさらに勧められる。
Figure 0007054709000111

Figure 0007054709000112

Figure 0007054709000113

Figure 0007054709000114

Figure 0007054709000115

Figure 0007054709000116
5mL注射器のプランジャを9mm押し下げて、試験対象物質を~1mL押し出すときに必要な力を測定する方法が確定された。この方法は、操作済みのADAIR、操作済みのプラシーボ、操作済みのLDを、注射器で採取するときに必要な力を測定するために用いられた。操作済みのADAIRを26ゲージ針から押し出すためには、操作・濾過済みのLDより遥かに大きな力をかけなければならないことが、既に確認されている(濾過済みのLDの平均ピーク力4.191Nに対して42.188N、濾過済みのLDの平均曲線下面積71.137Nsに対して290.816Ns)。つまり、乱用者が操作済みのADAIRを注入しようとすれば、操作・濾過済みのLDより手間がかかる可能性が高く、よってADAIR製剤の乱用抑止特性が実証される。一方、操作済みのADAIRを濾過したが、TAS試験を行えるほどの濾液を得ることはできなかった。つまり、乱用者が操作済みのADAIR製剤を濾過しようとするとかなり苦労する可能性が高く、よってADAIR製剤の乱用抑止特性が実証される。
レオメータを用いて操作済みの製剤を調べ、操作・濾過済み及び未濾過のLDは水と類似する流動挙動を有していることが分かった。未濾過LD中に未溶解物質が存在すると、速度勾配の増減中に測定された粘度にヒステリシスが現れる。このデータは、TA評価において26ゲージ針を用いて測定したところ、注射器による採取時、未濾過物質はかなりの力を必要としたが、これは、高粘度が原因ではなく、むしろ溶解し切れてない大きな微粒子(錠剤粉砕の結果)が針の目詰まりを起こしたためであるという仮定を裏付ける。操作済みのADAIR製剤は、未濾過・操作済みのLDよりも粘度が高く、最大粘度は1RPMで6052.42cP及び8334.48cPであった。一方、未濾過・操作済みのLDは、2.16cP及び2.35cPの最大粘度を記録した。操作済みのADAIRと操作済みのプラシーボは、両方ともせん断減念性(shear thinning)(せん断速度の増加につれ粘度が低下する)を示したが、操作時間が長くなるほど粘度が増加する可能性を示唆する証拠がある。必要であれば、一定のスピンドル速度を維持しながら、長時間粘度を測定することで、上記の可能性を検証することができる。
様々な充填温度でプラシーボ製剤とADAIR製剤の流動性を評価し、推奨充填温度として55±10℃を確立した。この場合、流動特徴を最適化するために、連続撹拌が勧められる。また、技術的製造中にて熱保持に関する研究(後に報告)を行ったので、バルク混合体を充填温度で保持して試料採取を行うことができた。推奨充填温度の信頼性をより高めるため、充填温度範囲の上限値65℃で熱保持研究を行うことが勧められる。
実施例5:プロトタイプ2と非乱用抑止錠剤の比較:溶解性の研究
[0249] 本実施例では、乱用抑止製剤プロトタイプ2、あるいは乱用抑止性即放性アンフェタミン(ADAIR)である硫酸デキストロアンフェタミンの10mgカプセルと、基準記載薬物(LD)である硫酸デキストロアンフェタミンの10mg錠剤の溶解プロファイルを比較する。
1.前書き
本実施例では、選択されたプロトタイプ製剤の溶解評価に用いられる方法パラメータを、LDの方法パラメータと共に説明する。方法開発に用いられたプロトタイプ製剤について、表106に記載する。
Figure 0007054709000117
2.分析方法論
硫酸デキストロアンフェタミン錠剤の分析に用いられるUSP法のUSP39(別添Aを参照)で指定されている分析条件を、LDとプロトタイプ1、2、4、5、6の分析及び比較に適した溶解法の開発において、開始点として適用した。
上記の初期開発活動に続いて、溶解法のパラメータセットを確立し、別添Fに記載した。本草案に記載されている移動相や試薬の調製については、次の章で別途の記載がない限り、開発活動においてそのまま適用する。
3.方法開発
3.1.装置1を用いた、0.01M HClにおけるLD10mgの溶解(n=6)
USP溶解装置1と、LD(Barrの硫酸デキストロアンフェタミン含有IR錠剤10mg)を用いて、初期方法開発の分析を行った。
3.1における溶解条件は、以下のとおりである。
溶解装置 USP装置I
フィルタの種類 40μmプローブフィルタ
媒質の種類 0.01M HCl
媒質の容積 500ml
試料の観測時点 5分、10分、15分、20分、30分、45分
試料の容積 1.5ml(フィルタ未交換)(バイアルへ直行)
容器温度 37℃±0.5℃
速度 100rpm
溶解中の観察の結果:試験の終了時に、少量の錠剤残留物が残った。
3.1におけるHPLC条件は、以下のとおりである。
カラム -Agilent Zorbax Eclipse XDB-C18 5μm 4.6×250mm、
SN/USHR009398(開発カラム)
流速 -1.5ml/分
注入容積 -100μl
カラム温度 -40℃
検出波長 -210nm
移動相 -100%移動相
実行時間 -20分
Figure 0007054709000118
3.2.HPLC条件方法の開発
3.1における装置1の溶解試験の最初の結果は、開発カラムを使用して得たものである。HPLC法の開発における次のステップは、新規プロジェクト用の特定カラムを購入し、方法条件の適合性と再現性を検討することであった。
3.2におけるHPLC条件は、以下のとおりである。
カラム -Agilent Zorbax Eclipse XDB-C18 5μm 4.6×250mm、
SN/USNH041812(#632)
流速 -1.5ml/分
注入容積 -100μl
カラム温度 -40°C
検出波長 -210nm
移動相 -100%移動相1
実行時間 -20分
新規カラムのクロマトグラフィー評価により、新規カラムの方が使用に適合であることが分かった。開発カラムと新規カラムの唯一の違いは、主ピークの保持時間である、前者は11分、後者は約14分である。
3.3.装置1を用いた0.01M Hclにおけるプロトタイプ1、4、5、6の溶解
プロトタイプに対する初期方法開発分析を、USP溶解装置1とプロトタイプ1、4、5、6を用いて実施した。
3.1における溶解条件は、以下のとおりである。
溶解装置 USP装置I
フィルタの種類 40μmプローブフィルタ
媒質の種類 0.01M HCl
媒質の容積 500ml
試料の観測時点 5分、10分、15分、20分、30分、45分
試料の容積 1.5ml(フィルタ未交換)(バイアルへ直行)
容器温度 37℃±0.5℃
速度 100rpm
説明
各プロトタイプに対する分析を3回ずつ行った。
プロトタイプ1
溶解プロセスが終わる頃には、カプセル被膜と、カプセル内容物のほとんどが溶解しているように見えた。従って、分析対象として全時点を選択した。しかしながら、グァーガムがカラムに目詰まりを起こすため、5分目と10分目でのみHPLCを実行した。
プロトタイプ4、5、6
溶解プロセスが終わる頃には、カプセルのごく一部しか溶解していなかったので、45分の時点に対してのみ分析を行った。
3.1におけるHPLC条件は、以下のとおりである。
カラム -Agilent Zorbax Eclipse XDB-C18 5μm 4.6×250mm、
SN/USHR009398(開発カラム)
流速 -1.5ml/分
注入容積 -100μl
カラム温度 -40℃
検出波長 -210nm
移動相 -100%移動相
実行時間 -20分
Figure 0007054709000119

Figure 0007054709000120

Figure 0007054709000121

Figure 0007054709000122
3.4.装置3を使用した場合、30DPMにおける0.01M HCl中のLD10mg、及びプロトタイプ2 30mgの溶解
ADAIRの溶解試験は、往復シリンダを備えた装置3を用いて行われた。初期浸漬速度の30DPM(1分当たりの浸漬回数)は、以前の使用経験に基づいて再度選択された回数である。
3.4における溶解条件は、以下のとおりである。
溶解装置 USP装置III
フィルタの種類 40/35μmプローブフィルタ
媒質の種類 0.01M HCl
媒質の容積 250ml
試料の観測時点 5分、10分、15分、20分、30分、45分
試料の容積 2ml(フィルタ未交換)
容器温度 37℃±0.5℃
浸漬速度 1分当たり30回
メッシュ網の寸法 840ミクロン
溶解中の観察の結果:ポット内の錠剤は、全て5~10分で溶解し、オレンジ色の微細粉末となってポットの底に沈澱した。
3.4におけるHPLC条件は、以下のとおりである。
カラム -Agilent Zorbax Eclipse XDB-C18 5μm 4.6×250mm、
SN/USNH041816(#661)
流速 -2ml/分
注入容積 -100μl
カラム温度 -50℃
検出波長 -210nm
移動相 -100%移動相
実行時間 -16分
Figure 0007054709000123

Figure 0007054709000124
3.5.装置3を使用した場合、5DPMにおける0.01M HCl中のLD10mg、及びプロトタイプ2 30mgの溶解(n=6)
3.4に続いて、浸漬速度を30DPMから5DPMにし、浸漬速度が溶解速度と回収率(%)に及ぼす影響をさらに評価した。5DPMでLDを分析し、また、サイズ0号のゼラチンカプセル被膜にLDを入れ、溶解速度と回収率(%)に対するカプセル被膜の効果を再現した。
3.5における溶解条件は、以下のとおりである。
溶解装置 USP装置III
フィルタの種類 40/35μmプローブフィルタ
媒質の種類 0.01M HCl
媒質の容積 250ml
試料の観測時点 5分、10分、15分、20分、30分、45分
試料の容積 2ml(フィルタ未交換)
容器温度 37℃±0.5℃
浸漬速度 1分当たり5回
メッシュ網の寸法 840ミクロン
溶解中の観察の結果:5分~15分で微細分散が観察された。
15分でポット1、2、6は完全に溶解し、他のポットには少量の残留物が残っていた。
20分でポット3及び4も完全に溶解した。
ポット5には30~45分の時点で少量の残留物が残っていた。
3におけるHPLC条件は、以下のとおりである。
カラム -Agilent Zorbax Eclipse XDB-C18 5μm 4.6×250mm、
SN/USNH041816(#661)
流速 -2.0ml/分
注入容積 -100μl
カラム温度 -50℃
検出波長 -210nm
移動相 -100%移動相1
実行時間 -15分
Figure 0007054709000125

Figure 0007054709000126

Figure 0007054709000127
3.6.Geminiカラムを装備した装置3を使用した場合、5DPMにおける0.01M HCl中の10mg錠剤(被膜サイズ00号、n=6)
3.9で実施した実験を、新規のGeminiカラムを用いて繰り返した。
3.10における溶解条件は、以下のとおりである。
溶解装置 USP装置III
フィルタの種類 40/35μmプローブフィルタ
媒質の種類 0.01M HCl
媒質の容積 250ml
試料の観測時点 5分、10分、15分、20分、30分、45分
試料の容積 2ml(フィルタ未交換)
容器温度 37℃±0.5℃
浸漬速度 1分当たり5回
メッシュ網の寸法 840ミクロン
溶解中の観察の結果:カプセル被膜は2分で崩れ出した。5分が経過したとき、カプセル被膜が部分的に溶解して、錠剤の内容物が晒された。10分で被膜は完全に溶解し、錠剤の大きさが減少した。15分で錠剤はさらに小さくなった。20分でポット4及び5は完全に溶解した。30~45分でポット1、2、3、6も完全に溶解した。
3.10におけるHPLC条件は、以下のとおりである。
カラム -Phenomenex、GeminiC18 5μm、110A、150mm×4.6mm、
SN:557080-5 BN:5520-87(開発カラム)
流速 -1.5ml/分
注入容積 -20μl
カラム温度 -50℃
検出波長 -210nm
移動相 -100%移動相
実行時間 -10分
Figure 0007054709000128
3.7.5DPMにおけるLDとADAIRの溶解試験結果の比較
LDとADAIRの比較研究を5DPMで行った。
Figure 0007054709000129

Figure 0007054709000130

Figure 0007054709000131
3.8.LD及びADAIRの溶解試験結果の比較
試験対象の異なる製剤の比較には装置III法が最適であったため、装置1を用いて実施された3.3の研究には、当時は分析対象の乱用抑止性プロトタイプ製剤の1つでなかったADAIRが含まれていない。
ADAIR製剤について以降の手順を進めるべきと決定して、装置I法を用いて試験を行った。初期条件下、及び、40℃、75%相対湿度で8週間保存した後のADAIRの溶解プロファイルを得た。各条件下で溶解を2回ずつ行い、合計12個の投薬単位の試験が実施された。結果を以下の表にまとめ、図13にグラフで表した。
装置1を用いた0.01M HCl中のADAIR 10mgの溶解(n=6)
3.1における溶解条件は、以下のとおりである。
溶解装置 USP装置I
フィルタの種類 35μmプローブフィルタ
媒質の種類 0.01M HCl
媒質の容積 500ml
試料の観測時点 5分、10分、15分、20分、30分、45分
試料の容積 1.5ml(フィルタ未交換)(バイアルへ直行)
容器温度 37℃±0.5℃
速度 100rpm
溶解中の観察の結果:試験の終了時点で、塊状の白色残留物が残っていた。
3.8におけるHPLC条件は、以下のとおりである。
カラム -Agilent Zorbax Eclipse XDB-C18 5μm 4.6×250mm
流速 -1.5ml/分
注入容積 -100μl
カラム温度 -40℃
検出波長 -210nm
移動相 -100%移動相
実行時間 -20分
Figure 0007054709000132

Figure 0007054709000133

Figure 0007054709000134

Figure 0007054709000135

Figure 0007054709000136
4.結論
本研究及び以前の乱用抑止性(AD)に関する研究によって、装置1より装置3を使用する方が幅広い範疇の乱用抑止製剤の分析に適合していることが証明されたため、プロジェクトの開発フェーズでは、装置3を用いて、以降の手順を進めるべき好ましい製剤を判定した。別添Fに記載の方法パラメータを開発した。
以降の手順を進めるべき製剤としてADAIRを選択した後、装置1を用いてADAIRの試験を行い、プロファイルをLDのプロファイルと比較した。データによると、ADAIR製剤は45分で、LDは30分で有効成分が完全に放出される。製剤を放出するためにはまずADAIRのカプセル被膜が崩れなければならないため、若干の時間ズレは想定内である。
装置1を用いてADAIRを溶解して得た結果はLDと一致しており、また、同程度の溶解プロファイルを示していた。この方法について別添Gに記載する。
別添A
プロトコル:硫酸デキストロアンフェタミンの乱用抑止性即放性製剤の評価
1.前書き
本プロトコルは、様々な条件下の抽出、注入、破砕に対する感受性を含み、乱用を防止する物理的・化学的障壁(吸引防止用)を評価するためのものである。同評価の結果に基づいてより優れた特性を有し、最終的に乱用抑止性即放性デキストロアンフェタミンとなるプロトタイプを選択する。
2.目的
即放性デキストロアンフェタミンの液体充填カプセル10mgの新規のプロトタイプ(Abusolve(商標)の技術を適用)の操作/乱用に対する相対的な感受性を、必要であれば関連参照製品と比較して、評価する。
非オピオイド系薬物についてFDAは特定の関連規制指針を発行していないため、本プロトコルに含まれる試験については、オピオイド系薬物に関するFDAの指針を適宜修正して採用していることに留意されたい(参照:FDA指針:乱用抑止性オピオイド系薬物-評価及びラベル付け、2015年4月)。また、2016年3月発行のFDA指針「後発固形経口オピオイド系製剤の乱用抑止性を評価する一般原則」からも、適用できる部分を採用している。
3.物質
使用された物質は全て実験ノートに記録し、最終レポートに結果と共に報告しなければならない。記録すべき情報には、必要に応じて、物質名、供給者、供給元、バッチ番号、有効期限、原料番号などが含まれる。
4.機器
・A等級の実験用ガラス器具
・コーヒーグラインダー
・5/6place分析用天秤
・超音波振とう水浴
・ふるい(各種のサイズ)及び振動ふるい
・ドラフトチャンバー
・乳鉢と乳棒
・Luer-lok注射器(黒色又はゴム製隔壁付きの注射器は使用しないこと)
・18~29ゲージの注射器針
・各種のフィルタ
分析機器について、使用前に現場の手順に従って認定、較正、保守を行わなければならない。使用機器の詳細事項(メーカとモデルを含む)を実験ノート又はワークシートに記録する。必要に応じて追加の機器を使用してもよく、その機器についても同様に記録する。
5.記録の保存
分析作業は全て、プロジェクト専用の実験ノートに記録する。レポートは各結果の詳細事項と、その後の受入基準に対する評価とを含み、発行前に転記及び計算について再検討を行う。さらに、可能であれば、投薬剤形の操作(注射性の確認など)を含む全試験について動画や写真を撮り、レポートに添付する。
6.分析方法
一部の評価は、目視での観察/物性評価に基づいて行われる。その他は、原薬の量の分析を必要とする。使用される分析方法は、選択性が検証されたデキストロアンフェタミンの公定法に基づくものであり、場合によっては、開発の後期により限定的な検証を必要とする。該当する場合は、この方法を使用し(また必要であれば変更を加えて)、デキストロアンフェタミンの検定(%)又は放出率(%)プロファイルを判定する。
硫酸デキストロアンフェタミンの抽出法は、即放性乱用抑止製剤プロトタイプに関する補足資料Iに記載のHPLCにより判定し、比較群製剤のBarrの硫酸デキストロアンフェタミン10mgについては既存のUSP錠剤法を適用した。
7.評価計画
本プロトコルにおける物理的/化学的抑止方法を、次のプロトタイプ製剤に対して評価した。
Figure 0007054709000137
Barrの硫酸デキストロアンフェタミン錠剤10mgを比較群製剤とし、同様の試験方式により評価を行う。
全ての分析において段階的にアプローチをかけ、即放性乱用抑止製剤プロトタイプ3種と比較群製剤について「フェーズ1」の分析を行い、該当する場合は、適合な乱用抑止特性を示したプロトタイプについての「フェーズ2」の分析において、機械的・化学的操作の破壊度を徐々に上げていく(評価基準については8.を参照)。両フェーズで実行した試験の概要を次の表にまとめた。
Figure 0007054709000138
乱用に対する物理的・化学的耐性の試験
試験では、全用量単位を使用する。物性試験は2回ずつ、その他の試験は3回ずつ行う。
物性試験の再現性がよくない場合は、3回目の試験を行うこととする。
7.1.破砕、切断、粉砕による乱用に対する物理的障壁の試験
本章における各試験は、5つの全用量単位に対して行う。全てのプロトタイプと比較群製剤について、フェーズI研究において試験を実施する。ろう質の特性、あるいは他の物性により物質を粉砕できない、又は物質がふるいを通過できない、などの観察結果を記録する。可能な限り、動画/写真による記録も含めるとよい。
A.研究:フェーズI
1.熱前処理要件の確立
方法:全用量単位1つを使用する。メスでできるだけ素早く被膜を取り外し、その直後に、コーヒーグラインダーで5分間粉砕する。原薬が1mm未満のサイズになった場合、熱前処理は省略とする。そうでなければ、その後の分析において全て熱前処理を施す。
2.コーヒーグラインダーによる製粉
方法:熱前処理が求められる場合は、家庭用冷凍庫で投薬単位を24時間凍結する。メスでできるだけ素早く被膜を取り外し、その直後に、コーヒーグラインダーで1分間粉砕する。1000ミクロン、500ミクロン、250ミクロン、106ミクロンのふるいに注いで、カプセル5つの内容物の粒度分布を判定する。大きな粒を指で押しつぶし、サイズをさらに減らしてもよい。
ふるいを機械により5分間振り続けて、ふるいを通過したものがあるか否かを確認する。各ふるいを通過した物質を計量する。
必要であれば、有効成分/賦形剤を分別する。各ふるい上の物質を検定する。十分な物質がふるいを通過すると、分析をさらに容易に行えるよう、おおよその総カプセル重量と有効成分の回収率(%)を算出する。
B.研究:フェーズII
8.で詳述した評価基準を満たすプロトタイプ製剤、そうでなければAlcobraとの合意によるプロトタイプ製剤に対してのみフェーズIIの研究を実行する。比較群製剤に対する評価は不要である。
1.融剤(流動促進剤)による粉砕
方法:熱前処理が求められる場合は、家庭用冷凍庫で投薬単位を24時間凍結する。メスでできるだけ素早く被膜を取り外し、内容物を可能な限り溢れさせず乳鉢と乳棒に移す。流動促進剤0.2gを添加し、その後すぐ5分間粉砕する。使用される流動促進剤は、塩化ナトリウムとタルクである。粒子サイズを再度判定し、有効成分/賦形剤を上記のように分別する。
7.2.化学物質抽出を伴う乱用に対する障壁の試験
各試験では全用量単位を用いる。全てのプロトタイプと比較群製剤を対象として、フェーズIの研究を行う。物性などのため物質を濾過できない、などの観察結果を記録する。可能な限り、動画/写真による記録も含めるとよい。
Figure 0007054709000139
A.研究:フェーズI
1)周囲温度の1級溶媒を少量使用する抽出(各試料を3回ずつ調製)
方法:乳鉢と乳棒ですり潰す、あるいは他の方法により投薬量の粒子サイズを減らす。その後、1級溶媒10mLにより5分間、又は均質になるまで粉砕する。結果として得た懸濁液をシンチレーションバイアルに移し、蓋をパラフィン薄膜で覆い、周囲温度の水浴で振とうを行った後、5分、15分、60分、180分で試料を採取する。0.45μmフィルタで試料を濾過してフラスコに入れて、標準の検定希釈剤を用いて適切な濃度に希釈した。HPLCにより有効成分の濃度を定量化する。まず比較群製剤から始め、その後、プロトタイプ製剤を分析する。有効成分の濃度が比較群製剤以上であるプロトタイプ製剤は、高温の溶媒による抽出法の分析(8.を参照)の適用対象から除外する。
0.45μmフィルタに目詰まりが生じた場合はWhatmanフィルタ紙(例えば4等級)を用いる中間濾過ステップを導入してもよい。この場合、開放型の漏斗や容器を、濾過中にパラフィン薄膜で覆って蒸発を最小限に抑えなければならず、上記の方法により製剤を調製したがWhatmanフィルタで濾過する蒸発標準を、検定標準に加えて、あるいは検定標準の一部として確立する必要がある。
2)高温の1級溶媒を少量使用する抽出(各試料を3回ずつ調製)
方法:乳鉢と乳棒ですり潰す、あるいは他の方法により投薬量の粒子サイズを減らす。その後、予熱した溶媒10mLにより5分間、又は均質になるまで粉砕する。結果として得た懸濁液をシンチレーションバイアルに移し、蓋をパラフィン薄膜で覆い、別添IIの表Iに記載の温度の水浴で振とうを行った後、5分、15分、60分、180分で試料を採取する。0.45μmフィルタで試料を濾過してフラスコに入れて、標準の検定希釈剤を用いて適切な濃度に希釈した。HPLCにより有効成分の濃度を定量化し、まず比較群製剤から始め、それに続いて本段階の適用対象として選ばれたプロトタイプ製剤を、180分で採取した試料から分析する。180分で採取した試料において、有効成分の濃度が比較群製剤以上であれば、それ以上の試験は不要である。
前述したとおり、0.45μmフィルタに目詰まりが生じた場合はWhatmanフィルタ紙(例えば4等級)を用いる中間濾過ステップを導入してもよい。
3)周囲温度の1級溶媒100mLを使用する抽出(各試料を3回ずつ調製)
方法:乳鉢と乳棒ですり潰す、あるいは他の方法により投薬量の粒子サイズを減らす。その後、1級溶媒約10mLにより5分間、又は均質になるまで粉砕する。結果として得た懸濁液をメスフラスコ又はその他の適切な容器に移し、溶媒をさらに添加して総量を100mLにして、蓋をパラフィン薄膜で覆い、周囲温度の撹拌プレートに載置し、撹拌速度を50rpmに設定して、5分、15分、60分、180分で試料を採取する。0.45μmフィルタで試料を濾過してフラスコに入れて、標準の検定希釈剤を用いて適切な濃度に希釈した。HPLCにより有効成分の濃度を定量化する。まず比較群製剤から始め、その後、プロトタイプ製剤を分析する。有効成分の濃度が比較群製剤以上であるプロトタイプ製剤は、高温の溶媒による抽出法の分析(8.を参照)の適用対象から除外する。
前述したとおり、0.45μmフィルタに目詰まりが生じた場合は、Whatmanフィルタ紙(例えば4等級)を用いる中間濾過ステップを導入してもよい。
4)高温の1級溶媒100mLを使用する抽出(各試料を3回ずつ調製)
試料が室温で試験基準を満たしていると(3.を参照)、補足資料IIの表Iに記載の適切な温度で予熱した溶媒を用いて試験を繰り返す。
B.研究:フェーズII
基準を満たす、あるいはAlcobraとの合意によるプロトタイプと比較群製剤化合物を用いて、2級溶媒全種に対して、I段階で概説した手順と指示事項に従って、試験を繰り返す。
7.3.注射障壁の試験
各試験では、比較群製剤とプロトタイプ製剤両方の全用量単位を使用する。物性などのため物質を引き上げることができない、などの観察結果を記録する。可能な限り、動画/写真による記録も含めるとよい。
針ゲージをまとめた表は、補足資料IIIの表Iに含まれている。
A.研究:フェーズI
1)周囲水及び温水における調製による注射性(各試料を3回ずつ調製)
方法:乳鉢と乳棒ですり潰す、あるいは他の方法により投薬量の粒子サイズを減らす。その後、周囲温度の水10mLにより最大30分間、又は溶液が均質になるまで粉砕する。この混合体が26ゲージ針を介してLuer-lok注射器で引き上げられるほどの流動性を有しているか否かを確認する。注射器のプランジャを目盛り5mLまで引き戻し、30秒間、あるいは注射器の圧力が平衡化するまで、最大圧力を維持する。約1mL以上が注射器に引き上げられ、針から押し出せるほどの流動性を有している(注入用)場合は、注射器の内容物を適切なサイズのメスフラスコに分注し、検定希釈剤で適当な濃度まで希釈する。HPLCで注入可能な有効成分の量を定量化する。
試料が8.に指定されているように室温で試験基準(収率<5%)を満足すれば、90~95℃に加熱した水を用いて試験を繰り返す。
B.研究:フェーズII
Alcobraとの別途の合意がない限り、I段階の研究で基準を満たしたプロトタイプ製剤のみを2段階の研究で分析する。
1)水による調製後の、様々なゲージの針における注射性の検討(各試料を3回ずつ調製)
方法:乳鉢と乳棒ですり潰す、あるいは他の方法により投薬量の粒子サイズを減らす。その後、周囲温度の溶媒10mLを用いて、周囲温度の溶液により5分間、又は溶液が均質になるまで粉砕する。この混合体が18ゲージ針を介してLuer-lok注射器で引き上げられるほどの流動性を有しているか否かを確認する。注射器のプランジャを目盛り5mLまで引き戻し、30秒間、あるいは注射器の圧力が平衡化するまで、最大圧力を維持する。約1mL以上が注射器に引き上げられ、針から押し出せるほどの流動性を有している(注入用)場合は、注射器の内容物を適切なサイズのメスフラスコに分注し、標準検定希釈剤で適当な濃度まで希釈する。HPLCで注入可能な有効成分の量を定量化する。
上記のプロセスを繰り返し、0.22μmフィルタ、脱脂綿の詰め物、タバコフィルタのチップを介して溶液の引き上げを試みる。使用するフィルタごとに新しい試料を調製する。
有効成分の回収量が5%を超える場合に限って、18ゲージ針で注射可能である試料に対してゲージ数の大きい針を用いて上記の実験を繰り返し、20ゲージ針及び23ゲージ針を介して試験を進める。
試料が室温で試験基準を満たす場合は、溶媒を90~95℃に加熱して試験を繰り返す。
2)加熱:融解温度(各試料を2回ずつ調製)
方法:すり潰した投薬単位の内容物を時計皿に入れ、ホットプレートを用いて溶解するまで加熱し、できれば温度を読み取る。融解温度を判定し、この混合体が18ゲージ、20ゲージ、26ゲージ、又は28ゲージの針を介してLuer-lok注射器で引き上げられるほどの流動性を有しているか否かを確認する。混合体を注射器で引き上げられない場合は、ゲージ数の大きい針による以降の実験は不要である。事前に注射器の重量を計量して、注射器のプランジャを目盛り5mLまで引き戻し、30秒間、あるいは注射器の圧力が平衡化するまで、最大圧力を維持する。計量により、注射器に入る割合を測定する。
3)水による調製、マルチパス濾過後の注射性(各試料を3回ずつ調製)
方法:乳鉢と乳棒ですり潰す、あるいは他の方法により投薬量の粒子サイズを減らす。その後、周囲温度の水10mLにより最大30分間、又は溶液が均質になるまで粉砕する。この混合体が18ゲージ針を介してLuer-lok注射器で引き上げられるほどの流動性を有しているか否かを確認する(あるいは、前の研究に基づいてAlcobraと合意する)。タバコフィルタを乳鉢に入れ、残りの液体を吸収する。針をタバコフィルタに入れ、注射器のプランジャを目盛り5mLまで引き戻し、30秒間、あるいは注射器の圧力が平衡化するまで、最大圧力を維持する。約1mL以上が注射器に引き上げられ、針から押し出せるほどの流動性を有している(注入用)場合は、タバコフィルタを取り除いて注射器の内容物を適切なサイズの容器に分注する。濾過プロセスをさらに2回、あるいは、液体が半透明になるまで繰り返す。これにより半透明の溶液が生成される場合、この溶液を適切なサイズのメスフラスコに分注し、検定希釈剤を用いて適切な濃度まで希釈する。(HPLCで)注入可能な有効成分の量を定量化する。濾過ステップを3回繰り返しても半透明の溶液が生成されない場合は、試験を中止し、試料の分析を省略する。
8.目標評価基準
Figure 0007054709000140
補足資料I
方法条件
重量及び容積は単なるガイドとして提示するものであり、最終作業濃度と成分の比が同じであれば、変更してもよい。
注意:HPLCシステムの損傷を防止し、方法の有効範囲内の結果を出すべく、追加の濾過ステップ、希釈、ガードカラムが必要となる場合があるので留意されたい。
1.試薬
トリフルオロ酢酸 HPLC等級(>99.0%)、又はその同等品
水 HPLC等級、又はその同等品
アセトニトリル HPLC等級、又はその同等品
水酸化アンモニウム 分析試薬等級、又はその同等品
2.安全性
硫酸デキストロアンフェタミン COSHH A010を参照
アセトニトリル COSHH R008を参照
トリフルオロ酢酸 COSHH R041を参照
アンモニア COSHH R070を参照
3.クロマトグラフィー条件
カラム PhenomenexProdigyC18、150×3.0mm(5μm)
ガードカラム C18ガードカラム(必要に応じて)
流速 0.7mL/分
注入容積 20μL
カラム温度 40℃
検出波長 257nm
移動相A TFA:水:アセトニトリル=90/0.5/10v/v/v(pH2.2)
移動相B 100%アセトニトリル
勾配 時間(分) A(%) B(%)
0 100 0
15 65 35
20 0 100
22 0 100
23 100 0
30 100 0
実行時間 30分
予想実行時間(硫酸デキストロアンフェタミン):約6~7分
4.移動相A/希釈剤の調製
・900mLの水にトリフルオロ酢酸5mLを溶解させる。
・水酸化アンモニウムを添加してpH2.2(±0.1)に調整する。
・アセトニトリル100mLを添加して混合する。
・使用前に室温に平衡化させる。
5.移動相Bの調製
HPLC等級のアセトニトリル1000mLを適切な容器に移す。
6.参照標準の調製(2回調製)
・約25mgの硫酸デキストロアンフェタミン参照標準を100mLメスフラスコに正確に計量する。
・希釈剤約80mLを添加し、原薬が完全に溶解するまで超音波処理を施す。
・希釈剤である容積まで希釈し、よく混ぜる。これを、硫酸デキストロアンフェタミン標準液(0.25μg/mL)とする。
7.試料溶液の調製(2回調製)
用量10mg
・カプセル5つを200mlメスフラスコに入れる。
・約160mLの希釈剤を添加して37℃で2時間振とうする。
・冷却し、希釈剤である容積まで希釈する。
・0.45μmのナイロンフィルタ又はGHPフィルタを用いて濾過と分割を行い、3.で指定された条件を適用して分析する。
8.手順
平衡化して一貫した基準線が得られるまで、移動相をシステムに通過させる。
8.1.システム精度
硫酸デキストロアンフェタミン標準液1を6回注入して、硫酸デキストロアンフェタミンのピーク面積の相対標準偏差(RSD(%))を算出する。RSD(%)は2.0%以下でなければならない。
実行中の各挟み込み標準に対する硫酸デキストロアンフェタミンのピーク面積の相対標準偏差(RSD(%))を算出する。RSD(%)は2.0%以下でなければならない。
システム検証
標準1の最後の注入2回に対する標準2の注入2回について、硫酸デキストロアンフェタミンのピーク面積の応答係数を検証する。標準2は、必ず標準1の98.0~102.0%でなければならない。
硫酸デキストロアンフェタミンに干渉する可能性があり、標準1の観察面積の0.5%より大きい面積を有する希釈ブランクのいずれからもピークが検出されてはいけない。
9.通常の順序
ブランク (×2)干渉の有無を確認する
標準1 (×6)システム精度/標準検証を算出する
標準2 (×2)標準検証/挟み込み標準
試料1 (×1)単一の試料溶液を一回注入
試料2 (×1)単一の試料溶液を一回注入
試料3 (×1)単一の試料溶液を一回注入
試料4 (×1)単一の試料溶液を一回注入
標準2 (×1)単一の標準セットで試料注入を最大4回まで挟み込みする
その他
10.算出
Figure 0007054709000141

ここで、以下のように定義される。
R sample 試料クロマトグラムにおける硫酸デキストロアンフェタミンの面積応答(mAU*s)
R standard 硫酸デキストロアンフェタミン挟み込み標準の平均面積応答(mAU*s)
W std 挟み込み標準重量(mg)
P std 標準の純度(%)
Sample DF 試料フラスコの容積(mL)
Standard DF 標準フラスコの容積(mL)
N 試料調製に用いられたカプセルの数
補足資料II
Figure 0007054709000142
補足資料III
Figure 0007054709000143
別添B
補足プロトコル:硫酸デキストロアンフェタミンの乱用抑止性即放性製剤の評価
1.前書き
この補足プロトコルは、元のプロトコルで特定された試験に加え、その他の試験を確定することを目的とする。この評価の結果と、元のプロトコルの結果とを合わせ、さらに優れた特性を有し、最終的に乱用抑止性即放性デキストロアンフェタミンとなるプロトタイプを選択する。
2.目的
即放性デキストロアンフェタミンの液体充填カプセル10mgの新規のプロトタイプ(Abusolve(商標)の技術を適用)の操作/乱用に対する相対的な感受性を、必要であれば基準製品と比較して、評価する。非オピオイド系薬物についてFDAは特定の関連規制指針を発行していないため、この補足プロトコルに含まれる試験については、オピオイド系薬物に関するFDAの指針を適宜修正して採用していることに留意されたい(参照:FDA指針:乱用抑止性オピオイド系薬物-評価及びラベル付け、2015年4月)。また、2016年3月発行のFDA指針「後発固形経口オピオイド系製剤の乱用抑止性を評価する一般原則」からも、適用できる部分を採用している。
3.物質
使用された物質は全て実験ノートに記録し、最終レポートに結果と共に報告しなければならない。記録すべき情報には、必要に応じて、物質名、供給者、供給元、バッチ番号、有効期限、原料番号などが含まれる。
4.機器
・A等級の実験用ガラス器具
・5/6place分析用天秤
・超音波振とう水浴
・ふるい(各種のサイズ)及び振動ふるい
・ドラフトチャンバー
・乳鉢と乳棒
・Luer-lok注射器(黒色又はゴム製隔壁付きの注射器は使用しないこと)
・18~26ゲージの注射器針
・各種のフィルタ
分析機器について、使用前に現場の手順に従って認定、較正、保守を行わなければならない。使用機器の詳細事項(メーカとモデルを含む)を実験ノート又はワークシートに記録する。必要に応じて追加の機器を使用してもよく、その機器についても同様に記録する。
5.記録の保存
分析作業は全て、プロジェクト専用の実験ノートに記録する。レポートは各結果の詳細事項と、その後の受入基準に対する評価とを含み、発行前に転記及び計算について再検討を行う。さらに、可能であれば、投薬剤形の操作(注射性の確認など)を含む全試験について動画や写真を撮り、レポートに添付する。
6.分析方法
一部の評価は、目視での観察/物性評価に基づいて行われる。その他は、原薬の量の分析を必要とする。使用される分析方法は、選択性が検証されたデキストロアンフェタミンの公定法に基づくものであり、場合によっては、開発の後期により限定的な検証を必要とする。必要に応じてこの方法を使用し(また必要であれば変更を加えて)、デキストロアンフェタミンの検定(%)又は放出率(%)プロファイルを判定する。
硫酸デキストロアンフェタミンの抽出は、即放性乱用抑止製剤プロトタイプに関する補足資料Iに詳述されているHPLC法により判定する。
7.評価計画
本プロトコルにおける物理的/化学的抑止方法を、次のプロトタイプ製剤に対して評価した。
Figure 0007054709000144

適用可能であれば、Barrの硫酸デキストロアンフェタミン錠剤10mgを比較群製剤とし、同様の試験方式により評価を行う。
乱用に対する物理的・化学的耐性の試験
試験では、プロトタイプ2の全用量単位を使用する。物性試験は2回ずつ、その他の試験は3回ずつ行う。物性試験の再現性がよくない場合は、3回目の試験を行うものとする。
7.1.注射性試験
プロトタイプ2製剤と比較群製剤のみ対象とする周囲水及び温水による調製後の、様々なゲージの針における注射性の検討(各試料を3回ずつ調製)
方法:乳鉢と乳棒ですり潰す、あるいは他の方法により投薬量の粒子サイズを減らす。その後、周囲温度の水5mLにより最大30分間、又は溶液が均質になるまで粉砕する。この混合体が26ゲージ針を介してLuer-lok注射器で引き上げられるほどの流動性を有しているか否かを確認する。注射器のプランジャを目盛り5mLまで引き戻し、30秒間、あるいは注射器の圧力が平衡化するまで、最大圧力を維持する。約1mL以上が引き上げられ、針から押し出せるほどの流動性を有している(注入用)場合は、注射器の内容物を適切なサイズのメスフラスコに分注し、標準検定希釈剤で適当な濃度まで希釈する。HPLCで注入可能な有効成分の量を定量化する。
90~95℃に加熱した水を用いて7.1.を繰り返す。
ゲージ数の小さい針(18ゲージ、20ゲージ、23ゲージ)を用いて周囲水及び温水に対して上記の実験を繰り返す。
7.2.化学物質抽出を伴う乱用に関する試験
プロトタイプ2製剤と比較群製剤のみ対象とする
1)少量の周囲温度の0.2%重炭酸ナトリウム溶液による抽出(各試料ごとに3回ずつ実施)
方法:乳鉢と乳棒ですり潰す又は他の方法により投薬量の粒子サイズを減らす。その後、0.2%重炭酸ナトリウム溶液溶媒5mLにより5分間、又は均質になるまで粉砕する。結果として得た懸濁液をシンチレーションバイアルに移し、蓋をパラフィン薄膜で覆い、周囲温度の水浴で振とうを行った後、60分で試料を採取する。0.45μmフィルタで試料を濾過してフラスコに入れて、標準の検定希釈剤を用いて適切な濃度に希釈した。HPLCにより有効成分の濃度を定量化する。
0.45μmフィルタに目詰まりが生じた場合は、Whatmanフィルタ紙(例えば4等級)を用いる中間濾過ステップを導入してもよい。この場合、開放型の漏斗や容器を、濾過中にパラフィン薄膜で覆って蒸発を最小限に抑えなければならず、上記の方法により製剤を調製したがWhatmanフィルタで濾過する蒸発標準を、検定標準に加えて、あるいは検定標準の一部として確立する必要がある。
周囲温度の0.2%重炭酸ナトリウム溶液2mlを用いて、実験を繰り返す。
2)少量の高温の0.2%重炭酸ナトリウム溶液による抽出(各試料ごとに3回ずつ実施)
方法:乳鉢と乳棒ですり潰す、あるいは他の方法により投薬量の粒子サイズを減らす。その後、予熱した0.2%塩化ナトリウム溶液5mLにより5分間、又は均質になるまで粉砕する。結果として得た懸濁液をシンチレーションバイアルに移し、蓋をパラフィン薄膜で覆い、補足資料IIの表Iに記載の温度の水浴で振とうを行った後、60分で試料を採取する。0.45μmフィルタで試料を濾過してフラスコに入れて、標準の検定希釈剤を用いて適切な濃度に希釈する。HPLCにより有効成分の濃度を定量化する。
前述したとおり、0.45μmフィルタに目詰まりが生じた場合は、Whatmanフィルタ紙(例えば4等級)を用いる中間濾過ステップを導入してもよい。
加熱した0.2%重炭酸ナトリウム溶液2mlを用いて、実験を繰り返す。
7.3.エタノール抽出試験
プロトタイプ2製剤のみ対象とする
方法:乳鉢と乳棒ですり潰す、あるいは他の方法により投薬量の粒子サイズを減らす。その後、95%エタノール溶液10mLにより5分間、又は均質になるまで粉砕する。この試料を0.45μmナイロンフィルタを用いて丸底フラスコに濾過する。溶液を入れた丸底フラスコを、ホットプレート上の水で満杯になっているビーカーに加え、エタノールを蒸発させる。
結果として得た混合物を観察し、その内容を記録し、写真を撮る。
結果として得た混合物が粉末のような粘稠度を示す場合、吸入評価に移行する。
別添C
補足プロトコル:硫酸デキストロアンフェタミンの乱用抑止性即放性製剤の評価
1.前書き
AlcobraはEncap Drug Delivery(Encap)と、承認を受けているBarrのデキストロアンフェタミン即放性(IR)錠剤10mgにひけをとらない溶解プロファイルを目標とする、硫酸デキストロアンフェタミン(d-amph)の新規乱用抑止製剤(ADF)の開発サービスの提供に関する契約を締結した。予備開発作業と初期評価に基づいて、優れた特性を有し、乱用抑止性質についてさらに広範囲に評価すべき最も有望なプロトタイプ製剤3種を特定した。この補足プロトコルは、元のプロトコルで特定された試験に加え、その他の試験を確定することを目的とする。この評価の結果と、元のプロトコルの結果とを合わせ、さらに優れた特性を有し、最終的に乱用抑止性即放性デキストロアンフェタミンとなるプロトタイプを選択する。
2.目的
即放性デキストロアンフェタミンの液体充填カプセル10mgの新規のプロトタイプ(Abusolve(商標)の技術を適用)の操作/乱用に対する相対的な感受性を、必要であれば基準製品と比較して、評価する。
非オピオイド系薬物についてFDAは特定の関連規制指針を発行していないため、この補足プロトコルに含まれる試験については、オピオイド系薬物に関するFDAの指針を適宜修正して採用していることに留意されたい(参照:FDA指針:乱用抑止性オピオイド系薬物-評価及びラベル付け、2015年4月)。また、2016年3月発行のFDA指針「後発固形経口オピオイド系製剤の乱用抑止性を評価する一般原則」からも、適用できる部分を採用している。
3.物質
使用された物質は全て実験ノートに記録し、最終レポートに結果と共に報告しなければならない。記録すべき情報には、必要であれば、物質名、供給者、供給元、バッチ番号、有効期限、原料番号などが含まれる。
4.機器
・A等級の実験用ガラス器具
・5/6place分析用天秤
・超音波振とう水浴
・ふるい(各種のサイズ)及び振動ふるい
・ドラフトチャンバー
・乳鉢と乳棒
・Luer-lok注射器(黒色又はゴム製隔壁付きの注射器は使用しないこと)
・18~26ゲージの注射器針
・各種のフィルタ
・家庭用おろし金
・電子レンジ
・オーブン
分析機器について、使用前に現場の手順に従って認定、較正、保守を行わなければならない。使用機器の詳細事項(メーカとモデルを含む)を実験ノート又はワークシートに記録する。必要に応じて追加の機器を使用してもよく、その機器についても同様に記録する。
5.記録の保存
分析作業は全て、プロジェクト専用の実験ノートに記録する。レポートは各結果の詳細事項と、その後の受入基準に対する評価とを含み、発行前に転記及び計算について再検討を行う。さらに、可能であれば、投薬剤形の操作(注射性の確認など)を含む全試験について動画や写真を撮り、レポートに添付する。
6.分析方法
一部の評価は、目視での観察/物性評価に基づいて行われる。その他は、原薬の量の分析を必要とする。使用される分析方法は、選択性が検証されたデキストロアンフェタミンの公定法に基づくものであり、場合によっては、開発の後期により限定的な検証を必要とする。必要に応じてこの方法を使用し(また必要であれば変更を加えて)、デキストロアンフェタミンの検定(%)又は放出率(%)プロファイルを判定する。
硫酸デキストロアンフェタミンの抽出は、即放性乱用抑止製剤プロトタイプに関する補足資料Iに詳述されているHPLC法により判定する。
7.評価計画
本プロトコルにおける物理的/化学的抑止方法を、次のプロトタイプ製剤に対して評価した。
Figure 0007054709000145

適用可能であれば、Barrの硫酸デキストロアンフェタミン錠剤10mgを比較群製剤とし、同様の試験方式により評価を行う。
乱用に対する物理的・化学的耐性の試験
試験では、プロトタイプ2の全用量単位を使用する。物性試験は2回ずつ、その他の試験は3回ずつ行う。物性試験の再現性がよくない場合は、3回目の試験を行うこととする。
7.1.破砕、切断、粉砕による乱用に対する物理的障壁の試験
本章における各試験は、5つの全用量単位に対して行う。プロトタイプ2と比較群製剤について、試験を実施する。ろう質の特性、あるいは他の物性により物質を粉砕できない、又は物質がふるいを通過できない、などの観察結果を記録する。可能な限り、動画/写真による記録も含めるとよい。
1)加熱前処理の効果
方法:105℃に設定したオーブンで投薬単位に前処理を24時間施す。メスでできるだけ素早く被膜を取り外し、その直後に、コーヒーグラインダーで1分間粉砕する。粉砕1分後にカプセルを観察し、粒径をさらに小さくできると思われる場合は、最大合計5分間コーヒーグラインダーで粉砕し続け、実験ノートに正確な時間を記録する。
1000ミクロン、500ミクロン、250ミクロン、106ミクロンのふるいに注いで、カプセル5つの内容物の粒度分布を判定する。大きな粒を指で押しつぶし、サイズをさらに減らしてもよい。
ふるいを機械により5分間振り続けて、ふるいを通過したものがあるか否かを確認する。各ふるいを通過した物質を計量する。
必要であれば、有効成分/賦形剤を分別する。各ふるい上の物質を検定する。十分な物質がふるいを通過すると、分析をさらに容易に行えるよう、おおよその総カプセル重量と有効成分の回収率(%)を算出する。
上記の実験を繰り返し、最大電力(700~800W)の電子レンジで4分間、投薬単位に前処理を施す(必要に応じてカプセルが電子レンジ内に置かれる時間が4分より長くなる場合、あるいは短くなる場合、これを実験ノートに記載する)。
2)様々な家庭用器具を使用する効果
方法:家庭用冷凍庫で投薬単位を24時間凍結する。メスでできるだけ素早く被膜を取り外し、その直後に、カプセルの内容物を小型の家庭用おろし金ですりおろす。1000ミクロン、500ミクロン、250ミクロン、106ミクロンのふるいに注いで、カプセル5つの内容物の粒度分布を判定する。大きな粒を指で押しつぶし、サイズをさらに減らしてもよい。
ふるいを機械により5分間振り続けて、ふるいを通過したものがあるか否かを確認する。各ふるいを通過した材料を計量する。
必要であれば、有効成分/賦形剤を分別する。各ふるい上の物質を検定する。十分な物質がふるいを通過すると、分析をさらに容易に行えるよう、おおよその総カプセル重量と有効成分の回収率(%)を算出する。
メスの刃を使用して上記の実験を繰り返し、カプセルの内容物を細かく切断する。
3)コーヒーグラインダーによる製粉(粉砕時間の延長)
方法:家庭用冷凍庫で投薬単位を24時間凍結する。メスでできるだけ素早く被膜を取り外し、その直後に、コーヒーグラインダーで5分間粉砕する。1000ミクロン、500ミクロン、250ミクロン、106ミクロンのふるいに注いで、カプセル5つの内容物の粒度分布を判定する。大きな粒を指で押しつぶし、サイズをさらに減らしてもよい。
ふるいを機械により5分間振り続けて、ふるいを通過したものがあるか否かを確認する。各ふるいを通過した材料を計量する。
必要であれば、有効成分/賦形剤を分別する。各ふるい上の物質を検定する。十分な物質がふるいを通過すると、分析をさらに容易に行えるよう、おおよその総カプセル重量と有効成分の回収率(%)を算出する。
4)ドライアイスによる冷却の効果
方法:ドライアイスを用いて投薬単位を10分間凍結する。メスで慎重にできるだけ素早く被膜を取り外し、その直後に、内容物を低温に保持できるほどのドライアイスペレットを投入したコーヒーグラインダーで1分間粉砕する。1000ミクロン、500ミクロン、250ミクロン、106ミクロンのふるいに注いで、カプセル5つの内容物の粒度分布を判定する。大きな粒を指で押しつぶし、サイズをさらに減らしてもよい。
ふるいを機械により5分間振り続けて、ふるいを通過したものがあるか否かを確認する。各ふるいを通過した材料を計量する。
必要であれば、有効成分/賦形剤を分別する。各ふるい上の物質を検定する。十分な物質がふるいを通過すると、分析をさらに容易に行えるよう、おおよその総カプセル重量と有効成分の回収率(%)を算出する。
5)グラインダー冷却の効果
方法:カプセルを載置するグラインダーの部位を冷蔵庫で1時間冷却する。家庭用冷凍庫で投薬単位を24時間凍結する。メスで慎重にできるだけ素早く被膜を取り外し、その直後に、コーヒーグラインダーで1分間粉砕する。1000ミクロン、500ミクロン、250ミクロン、106ミクロンのふるいに注いで、カプセル5つの内容物の粒度分布を判定する。大きな粒を指で押しつぶし、サイズをさらに減らしてもよい。
ふるいを機械により5分間振り続けて、ふるいを通過したものがあるか否かを確認する。各ふるいを通過した材料を計量する。
必要であれば、有効成分/賦形剤を分別する。各ふるい上の物質を検定する。十分な物質がふるいを通過すると、分析をさらに容易に行えるよう、おおよその総カプセル重量と有効成分の回収率(%)を算出する。
7.2.注射性試験
プロトタイプ2製剤と比較群製剤のみ対象とする
1)水による調製後の、様々なゲージの針における注射性の検討(各試料を3回ずつ調製)
方法:乳鉢と乳棒ですり潰す、あるいは他の方法により用量単位の粒子サイズを減らす。その後、周囲温度の水10mLにより5分間、又は溶液が均質になるまで粉砕する。この混合体をテストし、18ゲージ針を介してLuer-lok注射器で引き上げられるほどの流動性を有しているか否かを確認する。注射器のプランジャを目盛り10mLまで引き戻し、注射可能な溶液が全て注射器に引き上げられるまで最大圧力を維持する。定量可能な量が注射器に引き上げられ、針から押し出せるほどの流動性を有している(注入用)場合は、注射器の内容物を適切なサイズのメスフラスコに分注し、検定希釈剤で適当な濃度まで希釈する。HPLCで注入可能な有効成分の量を定量化する。
上記のプロセスを繰り返し、タバコフィルタのチップを介して溶液の引き上げを試みる。使用するフィルタごとに新しい試料を調製する。
有効成分の回収量が5%を超える場合に限って、18ゲージ針で注射可能である試料に対してゲージ数の大きい針を用いて上記の実験を繰り返し、20ゲージ針、23ゲージ針、26ゲージ針を介して試験を進める。
90~95℃に加熱した水で注射性試験を繰り返す。
2)複数のカプセルを用いた、水における注射性の検討
方法:乳鉢と乳棒ですり潰す、あるいは他の方法により用量単位3つの粒子サイズを減らす。その後、周囲温度の水10mLにより5分間、又は溶液が均質になるまで粉砕する。この混合体をテストし、18ゲージ針を介してLuer-lok注射器で引き上げられるほどの流動性を有しているか否かを確認する。注射器のプランジャを目盛り10mLまで引き戻し、注射可能な溶液が全て注射器に引き上げられるまで最大圧力を維持する。定量可能な量が注射器に引き上げられ、針から押し出せるほどの流動性を有している(注入用)場合は、注射器の内容物を適切なサイズのメスフラスコに分注し、検定希釈剤で適当な濃度まで希釈する。HPLCで注入可能な有効成分の量を定量化する。
90~95℃に加熱した水で実験を繰り返す。
3)投薬単位をさらに粉砕した後の水における注射性
方法:乳鉢と乳棒ですり潰す、あるいは他の方法により用量単位1つの粒子サイズを減らす。その後、周囲温度の水10mLにより30分間粉砕しながら、5分ごとに混合物の写真を撮影する。この混合体が26ゲージ針を介してLuer-lok注射器で引き上げられるほどの流動性を有しているか否かを確認する。注射器のプランジャを目盛り10mLまで引き戻し、注射可能な溶液が全て注射器に引き上げられるまで最大圧力を維持する。
定量可能な量が注射器に引き上げられ、針から押し出せるほどの流動性を有している(注入用)場合は、注射器の内容物を適切なサイズのメスフラスコに分注し、検定希釈剤で適当な濃度まで希釈する。HPLCで注入可能な有効成分の量を定量化する。
7.3.化学物質抽出を伴う乱用に関する試験
プロトタイプ2製剤と比較群製剤のみ対象とする
1)周囲温度の40%エタノール及びエタノール95%を少量使用する抽出(各試料3回ずつ調製)
方法:
乳鉢と乳棒ですり潰す、あるいは他の方法により投薬量の粒子サイズを減らす。その後、40%エタノール5mLにより5分間、又は均質になるまで粉砕する。結果として得た懸濁液をシンチレーションバイアルに移し、蓋をパラフィン薄膜で覆い、周囲温度の水浴で振とうを行った後、60分で試料を採取する。0.45μmフィルタで試料を濾過してフラスコに入れて、標準の検定希釈剤を用いて適切な濃度に希釈した。HPLCにより有効成分の濃度を定量化する。
0.45μmフィルタに目詰まりが生じた場合は、Whatmanフィルタ紙(例えば4等級)を用いる中間濾過ステップを導入してもよい。この場合、開放型の漏斗や容器を、濾過中にパラフィン薄膜で覆って蒸発を最小限に抑えなければならず、上記の方法により製剤を調製したが、Whatmanフィルタで濾過する蒸発標準を検定標準に加えて、あるいは検定標準の一部として確立する必要がある。
95%エタノールで上記の実験を繰り返す。
7.4.テレビン油及び/又は0.2%重炭酸ナトリウムによる抽出試験
プロトタイプ2製剤と比較群製剤のみ対象とする
方法:乳鉢と乳棒ですり潰す、あるいは他の方法により投薬量の粒子サイズを減らす。その後、テレビン油10mLにより5分間、又は均質になるまで粉砕する。この試料を0.45μmナイロンフィルタを用いて丸底フラスコに濾過する。溶液を入れた丸底フラスコを、ホットプレート上の水で満杯になっているビーカーに加え、テレビン油を蒸発させる。
結果として得た混合物を観察し、その内容を記録し、写真を撮る。
結果として得た混合物が粉末のような粘稠度を示す場合、吸入評価に移行する。
0.2%重炭酸ナトリウム溶液で投薬単位を抽出する実験を繰り返す。
別添D
補足プロトコル:硫酸デキストロアンフェタミンの乱用抑止性即放性製剤の発煙性の評価
1.前書き
本プロトコルは、喫煙による乱用を防止するプロトタイプ2の物理的障壁を評価するためのものである。この評価の結果に基づいて、さらに優れた特性を有し、最終的に乱用抑止性即放性デキストロアンフェタミンとなるプロトタイプを選択する。
2.目的
即放性デキストロアンフェタミンの液体充填カプセル10mgの新規のプロトタイプの操作/喫煙による乱用に対する相対的な感受性を、必要であれば基準製品と比較して、評価する。
非オピオイド系薬物についてFDAは特定の関連規制指針を発行していないため、本プロトコルに含まれている試験については、オピオイド系薬物に関するFDAの指針を適宜修正して採用していることに留意されたい(参照:FDA指針:乱用抑止性オピオイド系薬物-評価及びラベル付け、2015年4月)。また、2016年3月発行のFDA指針「後発固形経口オピオイド系製剤の乱用抑止性を評価する一般原則」からも、適用できる部分を採用している。
3.物質
使用された物質は全て実験ノートに記録し、最終レポートに結果と共に報告しなければならない。記録すべき情報には、必要であれば、物質名、供給者、供給元、バッチ番号、有効期限、原料番号などが含まれる。
4.機器
・A等級の実験用ガラス器具
・5/6place分析用天秤
・ドラフトチャンバー
・各種のフィルタ
・砂浴
・加熱マントル
・較正済み温度計
・冷却装置
分析機器について、使用前に現場の手順に従って認定、較正、保守を行わなければならない。使用機器の詳細事項(メーカとモデルを含む)を実験ノート又はワークシートに記録する。必要に応じて追加の機器を使用してもよく、その機器についても同様に記録する
5.記録の保存
分析作業は全て、プロジェクト専用の実験ノートに記録する。レポートは各結果の詳細事項と、その後の受入基準に対する評価とを含み、発行前に転記及び計算について再検討を行う。さらに、可能であれば、投薬剤形の操作を含む全試験について動画や写真を撮り、レポートに添付する。
6.分析方法
一部の評価は、目視での観察/物性評価に基づいて行われる。その他は、原薬の量の分析を必要とする。使用される分析方法は、選択性が検証されたデキストロアンフェタミンの公定法に基づくものであり、場合によっては、開発の後期により限定的な検証を必要とする。必要に応じてこの方法を使用し(また必要であれば変更を加えて)、デキストロアンフェタミンの検定(%)を判定する。
硫酸デキストロアンフェタミンの抽出法は、即放性乱用抑止製剤プロトタイプに関する補足資料Iに記載のHPLCにより判定し、比較群製剤のBarrの硫酸デキストロアンフェタミン10mgについては既存のUSP錠剤法を適用した。
7.評価計画
本プロトコルにおける物理的/化学的抑止方法を、次のプロトタイプ製剤に対して評価した。
Figure 0007054709000146

Barrの硫酸デキストロアンフェタミン錠剤10mgを比較群製剤とし、同様の試験方式により評価を行った。
乱用に対する物理的耐性の試験
試験では、全用量単位3つを使用する。試験は2回実施する。試験の再現性がよくない場合は、3回目の試験を行うこととする。
7.1.発煙性障壁の試験(デキストロアンフェタミン錠剤及びカプセル製剤を喫煙による乱用できるか否かを判定する)
薬物を「喫煙」するプロセスは、薬物の一部を局所的に昇華させ、結果として生じる蒸気を吸い込めるようにすることができる熱源の使用を伴う。ただし、このような形の乱用に対する明確な試験方法は存在しないため、実験室で実行可能性を評価すべく、有効成分の密閉容器における揮発可能性を把握できるように次の実験を設計した。
回収容器と元の加熱容器の内容物を検定し、存在する有効成分の量を定量化し、有効成分が分解しているか否かを判定する。紙の発火温度である233℃を適用温度として選択した。
試験では、比較群製剤とプロトタイプ2両方の全用量単位をそれぞれ3つずつ使用する。試験における観察結果を記録する。可能な限り、動画/写真による記録も含めるとよい。
発煙性障壁(2回調製):
プロトタイプ2:
メスでプロトタイプ2の全用量単位3つを開き、50ml丸底フラスコに入れる。図1に示す装置に接続された砂浴にフラスコを載置する。
比較群製剤:
比較群製剤の全用量単位3つを50ml丸底フラスコに入れる。図1に示す装置に接続された砂浴にフラスコを載置する。
プロトタイプ2及び比較群製剤:
砂浴を233℃に加熱し、15分間保持する。その15分間投薬単位を観察し、可能であれば写真又は動画を撮影する。
プロトタイプ2:
カプセルが入っている元のフラスコに希釈剤30mlを添加し、よく混ぜる。必要に応じて、超音波処理を施して試料の溶解を促進する。この溶液の一定分量を0.45μmナイロンフィルタで濾過し、最初の2mlは廃棄して、結果として得た濾液1mlを10mlメスフラスコにピペットで入れ、希釈剤である容積まで希釈する。
25ml丸底回収フラスコを調査し、蒸発・凝縮により有効成分が昇華した証拠を探す。残留物が明確に判別される場合は、適量の検定希釈剤(例えば2~5ml)をフラスコに添加し、よく混ぜる。
比較群製剤:
比較群製剤錠が入っている元のフラスコに希釈剤30mlを添加し、よく混ぜる。必要に応じて、超音波処理を施して試料の溶解を促進する。この溶液の一定分量を0.45μmナイロンフィルタで濾過し、最初の2mlは廃棄して、結果として得た濾液2mlを10mlメスフラスコにピペットで入れ、希釈剤である容積まで希釈する。
25ml丸底回収フラスコを調査し、蒸発・凝縮により有効成分が昇華した証拠を探す。残留物が明確に判別される場合は、適量の検定希釈剤(例えば2~5ml)をフラスコに添加し、よく混ぜる。
各溶液をHPLC分析により検定し、存在するデキストロアンフェタミンを定量化する。
Encapの分析方法
2.3 溶解条件
2.3.1溶解装置
溶解装置 USP装置III
フィルタの種類 40/35μmプローブフィルタ
媒質の種類 0.01M HCl
媒質の容積 250ml
試料の観測時点 5分、10分、15分、20分、30分、45分
試料の容積 2ml(フィルタ未交換)
容器温度 37℃±0.5℃
浸漬速度 1分当たり30回
メッシュ網の寸法 840ミクロン
2.3.2 HPLC条件
カラム -GeminiC18 5μm 110A 150mm×4.6mm
流速 -1.5ml/分
注入容積 -20μl
カラム温度 -50℃
検出波長 -210nm
移動相 -100%移動相(2.4.2参照)
実行時間 -10分
予想実行時間 -4.6分
2.4 試薬の調製
重量及び容積は単なるガイドとして提示すものであり、最終作業濃度と成分の比が同じであれば、変更してもよい。
2.4.1 溶解媒質:0.01M HCI
塩酸8.5mlをUHQ水800mlに溶解し、よく混ぜて、1000mlメスフラスコで容積を調整して0.1M HCIを調製する。
0.1M HCIをUHQ水900mlに溶解してよく混ぜると、0.01M HCI 1リットルを得ることができる。
2.4.2 移動相の調製
移動相1リットルの調製:
・1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム1.1gをUHQ水575mLに溶解する。
・希釈氷酢酸(UHQ水100mLに酢酸14mLを入れる)25mLを添加する。
・メタノール400mlを添加する。
・この溶液のpHを測定する。pHの滴定範囲は3.3±0.1である。必要であれば、氷酢酸を滴下してpHを調整する。
2.5 標準溶液の調製(2回調製)
注意:重量及び容積は単なるガイドとして提示するものであり、最終作業濃度とが同じであれば、変更してもよい。
硫酸デキストロアンフェタミン8mgを正確に計量して200mlメスフラスコに入れる。溶解媒質150mlを添加し、超音波処理を10分間施して溶解させる。冷却し、溶解媒質である容量まで希釈する。これを、硫酸デキストロアンフェタミンの作業標準溶液とする。
参照標準溶液は、透明なガラス器具に入れて周囲条件又は冷蔵条件に置いた場合、4日間安定状態を維持する。
2.6 溶解手順
分析前に、各カプセルの重量を計量する(情報提供のみを目的とする)。
各容器に溶解媒質250mlをデカントし、37℃±0.5℃に平衡化する。
試料ホルダーに取り付けて容器に入れる前に、カプセル1つをサンプル内側管に載置する。
40/35μmプローブフィルタを取り付けたカニューレを用いて、5分、10分、15分、20分、30分、45分の各時点で2mlずつ取り除く。
分析のために、濾過した試料溶液をHPLCバイアルに移す。
2.7 HPLC手順
平衡化して一貫した基準線が得られるまで、移動相をシステムに通過させる。
2.7.1 システム精度
標準1の注入6回に対する硫酸デキストロアンフェタミンの平均ピーク面積の相対標準偏差(RSD)を算出する。相対標準偏差は2%以下である。
2.7.1 標準検証
標準1の最後の注入2回の応答計数に対する標準2の注入2回の平均ピーク面積応答係数を検証する。標準2は、必ず標準1の98~102%でなければならない。
2.7.3 実行中の再現性
実行中の挟み込み標準全てに対するピーク面積の相対標準偏差(%RSD)を算出する。相対標準偏差は2%以下である。
2.7.4 特異度
ピーク保持時間におけるブランク注入では、平均参照標準ピーク面積の1.0%以上の干渉があってはならない。
2.7.5 通常注入順序
ブランク (×2)干渉の有無を確認する
標準1 (×6)システム精度を算出する
標準2 (×1)標準検証を算出する
試料1a (×1)単一の試料溶液を一回注入
試料1b (×1)単一の試料溶液を一回注入
試料1c (×1)単一の試料溶液を一回注入
試料1d (×1)単一の試料溶液を一回注入
試料1e (×1)単一の試料溶液を一回注入
試料1f (×1)単一の試料溶液を一回注入
標準2 (×1)各標準の間に試料を6回挟み込みする
試料2a (×1)単一の試料溶液を一回注入
試料2b (×1)単一の試料溶液を一回注入
試料2c (×1)単一の試料溶液を一回注入
試料2d (×1)単一の試料溶液を一回注入
試料2e (×1)単一の試料溶液を一回注入
試料2f (×1)単一の試料溶液を一回注入
標準2 (×1)各標準の間に試料を6回挟み込みする
試料3a (×1)単一の試料溶液を一回注入
その他
2.8 算出
次の式を用いて、参照標準物質に対する各製剤の放出率(%)を判定する。
Figure 0007054709000147

ここで、以下のように定義される。
Asam 試料クロマトグラムにおける硫酸デキストロアンフェタミンに対する面積応答
Astd 挟み込み標準の平均面積応答
Wstd 挟み込み標準重量(mg)
Pstd 標準の純度(10進数又はmg/mg)
Vol smp ある時点における溶解媒質の容積(ml)
Vol std 参照標準の希釈係数(ml)
Dose 単一カプセルにおける硫酸デキストロアンフェタミンの理論的含有量(mg)
各溶解時点で取り除いた媒質の量を修正する。各ポットの放出率(%)を小数点以下1桁まで報告する。
3. 改訂履歴
3.1 2016年6月新設
Encap分析方法EAM0297vs.01より
別添E
1.目的
この方法は、10mgカプセルの硫酸デキストロアンフェタミンを溶解試験及び分析を行うためのものである。これは、逆相C18カラムと210nmUV検出を用いるHPLC法である。
2.方法条件
2.1.試薬
1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム -分析等級、又はその同等品
水 -HPLC等級、又はその同等品
氷酢酸 -HPLC等級、又はその同等品
メタノール -HPLC等級、又はその同等品
塩酸 -分析等級、又はその同等品
硫酸デキストロアンフェタミン -USP参照標準
2.2.安全性
1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム -COSHH評価R027を参照
水 -COSHH評価R143を参照
氷酢酸 -COSHH評価R032を参照
メタノール -COSHH評価R035を参照
塩酸 -COSHH評価R031を参照
硫酸デキストロアンフェタミン -COSHH評価A010を参照
2.3.方法条件
2.3.1.溶解装置
溶解装置 -USP装置I
フィルタの種類 -35μmプローブフィルタ
媒質の種類 -0.01M HCl
媒質の容積 -500ml
試料の観測時点 -5分、10分、15分、20分、30分、45分
試料の容積 -1.5ml(フィルタ未交換)
容器温度 -37℃±0.5℃
速度 -100rpm
2.3.2 HPLC条件
カラム -Zorbax Eclipse XDB-C18 5μm 250mm×4.6mm
流速 -1.5ml/分
注入容積 -100μl
カラム温度 -40℃
検出波長 -210nm
移動相 -100%移動相
実行時間 -20分
予想実行時間 -12分
2.4.試薬の調製
重量及び容積は単なるガイドとして提示するものであり、最終作業濃度と成分の比が同じであれば、変更してもよい。
2.4.1.溶解媒質:0.01M HCl
塩酸8.5mlをUHQ水9000mlに添加し、よく混ぜ、UHQ水を用いて0.01M HCl10リットルを調製する。
2.4.2.移動相の調製
移動相1リットルの調製:
・1-ヘプタンスルホン酸ナトリウム1.1gをUHQ水575mLに溶解する。
・希釈氷酢酸(UHQ水100mLに酢酸14mLを入れる)25mLを添加する。
・メタノール400mlを添加する。
・この溶液のpHを測定する。pHの滴定範囲は3.3±0.1である。必要であれば、氷酢酸を滴下してpHを調整する。
2.5.標準溶液の調製(2回調製)
注意:重量及び容積は単なるガイドとして提示するものであり、最終作業濃度とが同じであれば、変更してもよい。
・硫酸デキストロアンフェタミン6mgを正確に計量して10mlメスフラスコに入れる。
・溶解媒質7mlを添加し、超音波処理を10分間施して溶解させる。
・冷却し、溶解媒質である容量まで希釈する。
・これを、硫酸デキストロアンフェタミンの作業標準溶液(600μg/ml)とする。
・保存溶液2mlを20mlメスフラスコに移し、溶解媒質である容量まで調整する。これを60μg/ml標準溶液とする。
参照標準溶液は、透明なガラス器具に入れて周囲条件又は冷蔵条件に置いた場合、4日間安定状態を維持する。
2.6.溶解手順
分析前に、各カプセルの重量を計量する。
使用前に試料採取システムが清潔で乾燥した状態であり、残留水分がないことを確認する。各カニューレに35μmプローブチップフィルタを取り付ける。
各容器に溶解媒質500mlをデカントし、37℃±0.5℃に平衡化する。
カプセル1つを篭に入れて容器の中に降ろし、溶解試験を開始する。パドルの速度を100rpmに設定する。
5分、10分、15分、20分、30分、45分の各時点で1.5mlずつ取り除く。全ての試料は、分析のためにラベル付きHPLCバイアルに直接分注する。
2.7.HPLC手順
平衡化して一貫した基準線が得られるまで、移動相をシステムに通過させる。
2.7.1.システム精度
標準1の注入6回に対する硫酸デキストロアンフェタミンの平均ピーク面積の相対標準偏差(RSD)を算出する。相対標準偏差は2%以下である。
2.7.2.標準検証
標準1の最後の注入2回の応答計数に対する標準2の注入2回の平均ピーク面積応答係数を検証する。標準2は、必ず標準1の98~102%でなければならない。
2.7.3.実行中の再現性
実行中の挟み込み標準全てに対するピーク面積の相対標準偏差(%RSD)を算出する。相対標準偏差は2%以下である。
2.7.4.特異度
ピーク保持時間におけるブランク注入では、平均参照標準ピーク面積の1.0%以上の干渉があってはならない。
2.7.5.通常注入順序
ブランク (×2)干渉の有無を確認する
標準1 (×6)システム精度を算出する
標準2 (×2)標準検証を算出する
試料1a (×1)単一の試料溶液を一回注入
試料1b (×1)単一の試料溶液を一回注入
試料1c (×1)単一の試料溶液を一回注入
試料1d (×1)単一の試料溶液を一回注入
試料1e (×1)単一の試料溶液を一回注入
試料1f (×1)単一の試料溶液を一回注入
標準2 (×1)各標準の間に試料を6回挟み込みする
その他
2.8.算出
次の式を用いて、参照標準物質に対する各製剤の放出率(%)を判定する。
放出率(%)
Figure 0007054709000148

ここで、以下のように定義される。
Asam 試料クロマトグラムにおける硫酸デキストロアンフェタミンに対する面積応答
Astd 挟み込み標準の平均面積応答
Wstd 挟み込み標準重量(mg)
Pstd 標準の純度(10進数又はmg/mg)
Vol smp ある時点における溶解媒質の容積(ml)
Vol std 参照標準の希釈係数(ml)
Dose 単一カプセルにおける硫酸デキストロアンフェタミンの理論的含有量(mg)
各溶解時点で取り除いた媒質の量を修正する。各ポットの放出率(%)を小数点以下1桁まで報告する。

Claims (14)

  1. 薬剤と、
    ポロキサマーと、
    水溶性アニオン性多糖類と、
    PEGエステルとを含み、
    前記薬剤が、
    Figure 0007054709000149

    又はその薬学的に許容される塩であ
    前記ポロキサマーがポロキサマー124であり、前記水溶性アニオン性多糖類がジェランガムであり、前記PEGエステルがステアリン酸ポリオキシルであり、
    ポロキサマー124:ジェランガム:ステアリン酸ポリオキシルの比が約40:30:30である、乱用抑止製剤。
  2. ポロキサマーを33~43重量%、水溶性アニオン性多糖類を24~32重量%、PEGエステルを24~32重量%含む、請求項1に記載の乱用抑止製剤。
  3. 約10mg~約50mgの薬剤を含む、請求項1又は2に記載の乱用抑止製剤。
  4. 5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、又は50mgの単位用量の薬剤を含む、請求項1又は2に記載の乱用抑止製剤。
  5. 前記薬剤の少なくとも80%は45分以内に溶液中に放出される、請求項1~4のいずれか一項に記載の乱用抑止製剤。
  6. 前記薬剤がS鏡像異性体、又はその薬学的に許容される塩である、請求項1~のいずれか一項に記載の乱用抑止製剤。
  7. 前記薬剤がデキストロアンフェタミン、又はその薬学的に許容される塩である、請求項1~6のいずれか一項に記載の乱用抑止製剤。
  8. 前記薬剤が硫酸塩である、請求項1~のいずれか一項に記載の乱用抑止製剤。
  9. カプセルの形態である、請求項1~のいずれか一項に記載の乱用抑止製剤。
  10. カプセルがゼラチンを含む、請求項に記載の乱用抑止製剤。
  11. 被験者の注意欠陥・多動性障害(ADHD)の治療に用いるための、請求項1~10のいずれか一項に記載の乱用抑止製剤。
  12. 前記被験者が成人である、請求項11に記載の乱用防止剤。
  13. 前記被験者が小児科の患者である、請求項11に記載の乱用防止剤。
  14. 請求項又は10に記載の乱用抑止製剤の製造方法であって、
    (1)前記薬剤と、前記ポロキサマー、水溶性アニオン性多糖類及びPEGエステルとを混合すること、
    (2)前記工程(1)で作成した混合物でカプセルを充填すること、及び
    (3)前記カプセルを乾燥すること、
    を含む、方法。
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