JP2010260812A - ソフトカプセル - Google Patents

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穰 山中
Toshitaka Yamanaka
利恭 山中
Wataru Suhara
渉 須原
Hideyuki Umemura
英行 梅村
Tomohiro Morooka
智弘 諸岡
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Abstract

【課題】カプセル被膜の皮膜形成能や強度を損なうことなく、かつ、内容物の充填量に影響を及ぼすことなく、カプセル皮膜の崩壊性の経時的な低下を抑制することができると共に、成形後のカプセル皮膜が短時間で乾燥するソフトカプセルを提供する。
【解決手段】ソフトカプセルは、カプセル被膜に、皮膜基剤として分子量が5千〜5万でゲル化能を有するゼラチン加水分解物を16質量%〜75質量%含有する。また、上記構成において、皮膜基剤として、前記ゼラチン加水分解物のみをカプセル被膜に対して70質量%〜75質量%含有しているものとすることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、医薬品や食品等を内容物として充填させるソフトカプセルに関するものである。
ソフトカプセルの皮膜基剤として一般的に用いられているゼラチンは、温度変化により可逆的にゾル・ゲル変化すること、ゲル化温度が常温であること、皮膜形成能に優れると共に形成された皮膜の機械的強度が高いこと、体内で崩壊又は溶解し易いこと、それ自体が栄養的価値を有し体内に吸収され易いこと等、ソフトカプセルの皮膜基剤としての利点を多く有している。
ところが、ゼラチンによるカプセル皮膜は、カプセルに充填された内容物と反応して経時的に崩壊性が低下する現象、すなわち、崩壊遅延を生じることがある。このような崩壊遅延は、例えば、ソフトカプセルの内容物として需要の高いDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)等、酸化し易い高級不飽和脂肪酸を充填させた場合に顕著である。また、カプセル皮膜を着色するためにゼラチンに添加されることが多いカラメル色素などの着色料によっても、ゼラチンの崩壊性が大きく低下することが指摘されている。そして、医薬品や食品が内容物として充填されているソフトカプセルを内用した際、カプセル皮膜に崩壊遅延が生じていると、内容物を体内に十分に吸収させることができない。
この崩壊遅延を抑制することを目的として、従来、ゼラチン皮膜にイノシトール6リン酸(フィチン酸)が添加されたソフトカプセルが提案され(特許文献1参照)、実施されている。これは、ゼラチン被膜の崩壊遅延は、内容物または内容物の分解物とゼラチンとの相互作用によって、ゼラチンが架橋して高分子化することに起因するとの考えのもと、フィチン酸の作用で架橋反応を抑制しようというものである。
また、カプセルに充填される内容物に、ゼラチンまたはゼラチンと類似するアミノ化合物を配合したソフトカプセルも提案されている(特許文献2参照)。これは、内容物に含有される物質であってゼラチンを難溶化させる要因となる物質を、カプセル皮膜のゼラチンより先に内容物に含有されているアミノ化合物と反応させることにより、難溶化の要因物質と皮膜のゼラチンとの反応を抑制しようというものである。
しかしながら、上記の従来のソフトカプセルは、何れも、カプセル皮膜の崩壊遅延を十分に抑制できるものではなかった。また、特許文献1のソフトカプセルは、皮膜基剤以外の物質をカプセル皮膜に添加することになるため、崩壊遅延を抑制する効果を十分に発揮させようと添加量を増加させると、カプセルの皮膜形成能や被膜強度が損なわれるおそれがあった。一方、特許文献2のソフトカプセルでは、添加するアミノ化合物の量だけ、充填できる内容物の量が少なくなる。そのため、崩壊遅延を抑制する効果を十分に発揮させようと添加量を増加させると、一つのカプセルに有意な量の内容物を充填できなくなるおそれがあった。
一方、ゼラチンを皮膜基剤としたソフトカプセルの製造では、粘度を調整したゼラチン水溶液を用いてカプセル皮膜を成形した後、所定の水分含有率となるまでカプセル皮膜を乾燥させる。通常この乾燥工程には一日から一日半を要し、ソフトカプセルの製造工程における律速となっている。そのため、ソフトカプセルの製造の効率化を図るために、カプセル皮膜の乾燥時間を短縮することへの要請があった。
そこで、崩壊性の経時的な低下の抑制と、カプセル皮膜の乾燥時間の短縮に関して、それぞれ本発明者らが検討を続けてきた結果、一つの手段でこれらの二つの課題を共に解決できることを見出し、本発明に至ったものである。
従って、本発明は、上記の実情に鑑み、カプセル被膜の皮膜形成能や強度を損なうことなく、かつ、内容物の充填量に影響を及ぼすことなく、カプセル皮膜の崩壊性の経時的な低下を抑制することができると共に、成形後のカプセル皮膜が短時間で乾燥するソフトカプセルの提供を、課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかるソフトカプセルは、「カプセル被膜に、皮膜基剤として分子量が5千〜5万でゲル化能を有するゼラチン加水分解物を16質量%〜75質量%含有している」ものである。
ゼラチンは、主に牛、豚、魚などの骨、皮を原料とし、酸やアルカリで処理したのち温水で抽出することにより得られるコラーゲンの変性体である。コラーゲンは分子量約10万のポリペプチド鎖(α鎖)の三本が、らせん状に絡み合った構造をしている。ゼラチンは、このらせん構造がほぐされることにより生成したα鎖を主成分とし、これにα鎖の二量体(β鎖)、三量体(γ鎖)、及びα鎖が切断されたポリペプチド鎖が含まれているため、平均分子量は10万〜20万である。このゼラチンを、更に酸やアルカリで加水分解して低分子化すると、平均分子量が数百〜5千のコラーゲンペプチドが生成される。このコラーゲンペプチドは、ゼラチンとは異なり温度変化によりゾル・ゲル変化する性質を有しないため、ソフトカプセルの被膜基剤として用いることはできない。
本発明者らは、ゼラチンの加水分解物ではあるがコラーゲンペプチドほどは低分子化されていない「分子量が5千〜5万のゼラチン加水分解物」が、カプセル被膜を形成できるゲル化能を有すること、前記ゼラチン加水分解物をカプセル被膜の全質量に対して16〜75質量%含有させることにより、従来のゼラチン被膜に比べて崩壊遅延を大幅に抑制できること、及び、形成されたカプセル被膜が実用的な強度を有することを見出した。ここで、「ゲル化能」とは、温度変化によってゾル・ゲル転移する性質を指している。
「分子量が5千〜5万でゲル化能を有するゼラチン加水分解物」は、ゼラチンを酵素で加水分解することにより得ることができる。ゼラチンを酸やアルカリで加水分解する場合は、ゼラチンが小さな単位まで分解されて、より低分子化されたコラーゲンペプチドが生成される。これに対し、酵素で分解することにより、コラーゲンペプチドより分子量の大きい加水分解物を得ることができる。
ここで、「分子量が5千〜5万でゲル化能を有するゼラチン加水分解物」の平均分子量は約2万であり、「最大の分子量が5万」という点でゼラチンと区別でき、「ゲル化能を有する」という点でコラーゲンペプチドと区別することができる。なお、コラーゲンペプチドのゼリー強度はほぼゼロであるのに対し、前記ゼラチン加水分解物のゼリー強度は20〜50gである。ここで、ゼリー強度の測定は、JIS K6503による。
前記ゼラチン加水分解物の原料となるゼラチンとしては、コラーゲンを酸、アルカリ、酸及びアルカリ、または、酵素で分解して得たものを、何れも使用することができる。
従って、上記構成の本発明によれば、常温でゾル・ゲル変化する性質を失わない程度にゼラチンよりも低分子化されたゼラチン加水分解物を被膜基剤として用い、被膜基剤の経時的な高分子化を抑制することにより、崩壊遅延を抑制することができる。そして、本発明においては、被膜基剤自体が崩壊遅延を抑制する効果を発揮するため、カプセル被膜に被膜基剤とは異なる添加剤(フィチン酸)を含有させる従来のソフトカプセルと異なり、崩壊遅延を抑制する効果を高めるために添加量を増加させても、被膜形成能や被膜強度が損なわれるおそれがない。加えて、本発明は、内容物に何らかの添加物を加えることなく、カプセル被膜のみによって崩壊遅延が抑制される構成であるため、カプセルに十分な量の内容物を充填することができる。
また、前記ゼラチン加水分解物の水溶液は粘度が低いため、カプセル皮膜を成形するための水溶液(以下「カプセル皮膜液」と称する)における水分含有量を、ゼラチンを皮膜基剤として用いた従来のカプセル皮膜液より低減しても、問題なくカプセル皮膜を成形することが可能である。例えば、ゼラチンを皮膜基剤として用いた常法では、ゼラチン100重量部に対して80〜100重量部の水を使用してカプセル皮膜液が調製されるのに対し、本発明のソフトカプセルのカプセル皮膜は、ゼラチン加水分解物100重量部に対して30〜50重量部の水を使用して調製されたカプセル皮膜液から成形することが可能である。そのため、本発明のソフトカプセルでは、成形直後のカプセル皮膜における水分含有率を、ゼラチンを皮膜基剤として用いた従来のソフトカプセルに比べてかなり小さくすることができ、短時間で乾燥する。これにより、本発明のソフトカプセルは、乾燥時間が短縮された製造工程によって、効率良く製造することが可能である。
更に、前記ゼラチン加水分解物を皮膜基剤として用いることにより、水分含有量の少ないカプセル皮膜液から成形可能であることにより、厚みの大きいカプセル皮膜を成形することができ、内容物の保護に優れたソフトカプセルとすることができる。
加えて、前記ゼラチン加水分解物を皮膜基剤として用いることにより、成形直後のカプセル皮膜における水分含有率を小さくすることが可能であり、短時間で乾燥することから、本発明のソフトカプセルは、カプセル皮膜に含有される水分によって活性が失われやすい、酵素や生菌を充填させるソフトカプセルとして好適であるという利点も有する。
本発明にかかるソフトカプセルは、「皮膜基剤として、前記ゼラチン加水分解物のみをカプセル被膜に対して70質量%〜75質量%含有している」ものとすることができる。
本発明者らは、前記ゼラチン加水分解物のみを皮膜基剤として、実用的な強度を有するカプセル被膜を形成できることを見出した。従って、上記構成のソフトカプセルでは、カプセル被膜において、経時的に高分子化しにくい物質の割合が極めて高いため、より効果的に崩壊遅延を抑制することができる。
加えて、前記ゼラチン加水分解物のみを皮膜基剤として用いる場合は、カプセル皮膜液の水分含有量をより少なくしてカプセル皮膜を成形することが可能となる。そのため、上記構成のソフトカプセルは、乾燥時間をより短縮して、より効率良く製造することができる。
本発明にかかるソフトカプセルは、「皮膜基剤として、前記ゼラチン加水分解物及びゼラチンを含有し、カプセル被膜に対して前記ゼラチン加水分解物を16質量%〜36質量%、ゼラチンを36質量%〜55質量%含有している」ものとすることができる。
カプセル被膜にゼラチンを含有させ、その含有率を増加させれば、カプセル被膜の強度は増加するが、その反面でゼラチンの経時的な高分子化による崩壊遅延を生じ易くなると共に、カプセル皮膜液の水分含有量を増加させなくては製造できないため、成形後のカプセル皮膜が乾燥しにくくなる。一方、カプセル被膜における前記ゼラチン加水分解物の含有率を増加させれば、崩壊遅延を抑制する効果、及び、カプセル皮膜が乾燥し易くなるという効果は高くなるが、コストアップにつながり易い。
これに対し、本発明によれば、皮膜基剤として前記ゼラチン加水分解物とゼラチンとを併用し、カプセル被膜における前記加水分解物の含有率を上記範囲まで低減させることにより、崩壊遅延が抑制される効果、及び、カプセル皮膜が乾燥し易くなるという効果を失うことなく、カプセル被膜の強度が高められていると共に、価格の抑えられたソフトカプセルを提供することができる。
以上のように、本発明の効果として、カプセル被膜の皮膜形成能や強度を損なうことなく、かつ、内容物の充填量に影響を及ぼすことなく、カプセル皮膜の崩壊性の経時的な低下を抑制することができると共に、成形後のカプセル皮膜が短時間で乾燥するソフトカプセルを提供することができる。
実施例D及び対照例R5のソフトカプセルについて、乾燥時間の経過に伴う水分含有率の変化を示すグラフである。
以下、本発明の第一実施形態であるソフトカプセル、及び、その製造方法について説明する。第一実施形態のソフトカプセルは、皮膜基剤として、ゼラチン加水分解物のみを使用したものであり、前記ゼラチン加水分解物をカプセル被膜に対して70質量%〜75質量%含有している。
本実施形態のソフトカプセルを上記構成とした根拠を示すために、実施例A1〜A3を対照例R1と対比して、以下に示す。ここで、実施例A1〜A3は、被膜基剤として分子量が5千〜5万でゲル化能を有するゼラチン加水分解物のみを使用した例であり、対照例R1は被膜基剤としてゼラチンのみを使用した従来のソフトカプセルの例である。また、実施例A1〜A3及び対照例1のソフトカプセルのカプセル皮膜は、それぞれ皮膜基剤に加えて、所定量の可塑剤と乾燥後に残留する少量の水分(6〜7重量%)を含有している。なお、可塑剤としては、実施例A1〜A3,対照例R1ともにグリセリンを使用した。各皮膜組成を表1に示す。
Figure 2010260812
実施例A1〜A3,対照例R1のソフトカプセルは、それぞれ、被膜基剤、可塑剤、及び、水から調製されたカプセル皮膜液から製造した。ここで、本実施形態の分子量が5千〜5万でゲル化能を有するゼラチン加水分解物は、常温の水に溶解するため、カプセル皮膜液を容易に調製することができる。また、ゼラチン加水分解物は、3質量%未満の濃度ではゲル化しないこと、及び、水溶液の粘度(15質量%水溶液の40℃における粘度が5〜7mPa・s)がゼラチン水溶液に比べて小さいことから、成形性良くカプセル被膜を形成可能なカプセル被膜液の濃度を検討した結果、前記ゼラチン加水分解物100重量部に対し、水を30〜35重量部としてカプセル被膜液を調製した。一方、対照例R1のカプセル被膜液は、常法に従い、ゼラチン100重量部に対して水100重量部の割合で調製した。
実施例A1〜A3,対照例R1のカプセル被膜液から、それぞれロータリーダイ式成形装置を用いてソフトカプセルを成形し、その後乾燥させた。内容物としては、何れもDHAを充填した。なお、実施例A1〜A3のカプセル被膜液は何れも十分な被膜形成能を有しており、ソフトカプセルの成形に当たり何ら不都合はなかった。
成形された実施例A1〜A3,対照例R1のソフトカプセルについて、経時的に崩壊性に変化が生じるか否かを、次の方法で試験した。すなわち、通常の保存条件より過酷な条件下で保存し、所定期間の経過後に、日本薬局方に規定された崩壊試験法に則り崩壊性を評価した(加速試験)。保存条件は、ICH(日米EU医薬品規制調和国際会議)の合意に基づく「安定性試験ガイドライン」に規定された温度40±2℃、湿度75%RH±5%の条件と、温度が10℃上昇する毎に反応速度は2倍になるという経験則に基づいて設定し、温度を50±2℃、湿度を75%RH±5%とし、保存期間は1週間、2週間、1カ月(常温保存1年に相当)、2カ月(常温保存2年に相当)とした。
また、対照例R2として、ゼラチン被膜にフィチン酸が添加された市販のソフトカプセル(特許文献1のソフトカプセル)についても、同様にDHAを充填し、同一条件で加速試験を行った。結果を表2に示す。
Figure 2010260812
その結果、対照例R1の従来のソフトカプセルでは、崩壊時間は時間の経過に伴って延長し、1カ月保存後には60分経過しても崩壊しなくなり、崩壊遅延が著しく生じていることが示された。一方、対照例R2の市販のソフトカプセル及び実施例A1〜A3のソフトカプセルは、1週間保存後から2カ月保存後まで崩壊時間に変化がなく、ともに崩壊遅延が抑制されていると考えられた。ここで、対照例R2の市販のソフトカプセルでは、1週間保存後から崩壊時間は10分以内であったのに対し、実施例A1〜A3のソフトカプセルでは、5分以内というより短い時間で崩壊した。このことから、本実施形態の実施例A1〜A3のソフトカプセルの方が、元々の崩壊性に優れていると共に、その優れた崩壊性が経時的に保持されていることが示された。
また、実施例A1〜A3のソフトカプセルには、2カ月保存後まで通して、カプセル被膜の割れや破れによる内容物の漏出などは見られなかった。従って、前記ゼラチン加水分解物のみを被膜基剤として使用しても、可塑剤の添加量をゼラチン加水分解物100重量部に対して25〜35重量部とし、崩壊遅延が抑制されていると共に実用的な強度を有する被膜基剤を、形成することができることが示された。なお、前記ゼラチン加水分解物100重量部に対する可塑剤の添加量が20重量部の場合は、カプセル被膜液の乾燥に伴いカプセル被膜に割れが生じた。また、前記ゼラチン加水分解物100重量部に対する可塑剤の添加量が40重量部の場合は、形成された皮膜の粘着性が強く、カプセルどうしが付着する傾向がみられた。
次に、本発明の第二実施形態のソフトカプセルは、皮膜基剤として前記ゼラチン加水分解物及びゼラチンを含有し、カプセル被膜に対して前記ゼラチン加水分解物を16質量%〜36質量%、ゼラチンを36質量%〜55質量%含有しているものである。
本実施形態のソフトカプセルを上記構成とした根拠を示すために、実施例B1〜B7について説明する。実施例B1〜B7は被膜基剤として、前記ゼラチン加水分解物とゼラチンとを併用した場合である。各実施例の被膜組成を表3に示す。なお、可塑剤としてはグリセリンを使用した。
各被膜組成について上記と同様にカプセル被膜を製造し、上述と同一条件で崩壊性に関する加速試験を行った。その結果を表3に併せて示す。
Figure 2010260812
表3に示したように、何れの実施例も良好な被膜形成性を示したが、そのうち、ゼラチン100重量部に対して前記ゼラチン加水分解物を30重量%以上含有するカプセル被膜(実施例B1〜B5)では、1週間保存後から2カ月保存後まで通して20分以内に崩壊し、経時的な崩壊性の低下は見られなかった。すなわち、カプセル被膜の全質量に対し、前記ゼラチン加水分解物の含有率を16〜36質量%、及び、ゼラチンの含有率を36〜55質量%の範囲とすることにより、前記ゼラチン加水分解物とゼラチンとを被膜基剤として併用して、崩壊遅延の抑制されたソフトカプセルを製造できると考えられた。なお、カプセル皮膜の成形時のハンドリングのし易さを考慮すると、前記ゼラチン加水分解物はゼラチン100重量部に対して50重量部以上、すなわち、カプセル被膜の24質量%以上含まれることが望ましい。
一方、カプセル被膜に対する前記ゼラチン加水分解物の割合がより小さな実施例B6及びB7では、2週間の保存で崩壊遅延が生じていた。これは、前記ゼラチン加水分解物より分子量が大きく、経時的に高分子化し易いゼラチンの含有率が高いためと考えられた。
なお、前記ゼラチン加水分解に代替して、平均分子量2千のコラーゲンペプチドを含有させた対照例R3について、上記と同様の方法でカプセル被膜の成形を試みた。ここでは、ゼラチンと前記ゼラチン加水分解物とを併用することによって崩壊遅延を抑制する効果を良好に発揮できた上記の含有率と、同程度の含有率でコラーゲンペプチドを含有させることとし、その組成は、ゼラチン100重量部に対してコラーゲンペプチド50重量部とした。しかしながら、対照例R3では、カプセル被膜液の乾燥に伴い被膜に割れが生じ、カプセル被膜を正常に成形することができなかった。これにより、ゲル化能を有しないコラーゲンペプチドでは、ゼラチンと併用したとしてもカプセル被膜の成形は困難であることが示された。
以上は、カプセルの内容物としてDHAを充填する場合について、崩壊遅延の抑制効果を検討したものであるが、次に、カプセル被膜にカラメル色素を添加した場合についての検討結果を示す。
ゼラチンと前記ゼラチン加水分解物とを、上述の望ましい範囲で被膜基剤として併用した実施例Cと、被膜基剤としてゼラチンのみを使用した対照例R4について、表4に示す組成でカラメル色素を添加し、上記と同様の方法でカプセル被膜を成形した。そして、得られた実施例C及び対照例R4のカプセル被膜について、上述と同一条件で崩壊性に関する加速試験を行った。その結果を表4に併せて示す。
Figure 2010260812
表4に示したように、対照例R4では1週間保存後に既に60分程度の崩壊時間を要しており、崩壊時間は時間の経過に伴って更に延長して、1カ月保存後には実質的に崩壊性が失われた。これに対し、実施例Cでは、1週間保存後から1カ月保存後まで10分以内で崩壊し、2カ月保存後にも15分以内で崩壊した。上述のように、この加速試験の条件下における2カ月は常温保存の2年に相当し、栄養補助食品などを充填したソフトカプセルの賞味期限は2年である。従って、実施例Cでは十分実用的な程度に崩壊遅延が抑制されていると考えられた。すなわち、本実施形態のソフトカプセルでは、カラメル色素に起因する崩壊遅延も有効に抑制されることが示された。
以上の結果から、実施例A1〜A3,実施例B1〜B5、及び実施例Cを考え合わせると、分子量が5千〜5万でゲル化能を有するゼラチン加水分解物をカプセル被膜に16質量%〜75質量%含有させることにより、カプセル皮膜の崩壊性の経時的な低下が有効に抑制されたソフトカプセルとすることができる。そして、本実施形態では、被膜基剤自体によってカプセル皮膜の崩壊遅延を抑制する作用が発揮されるため、崩壊遅延を抑制する効果を高めるために添加量を増加させても、カプセル被膜の皮膜形成能や強度が損なわれることがないばかりか、崩壊遅延を抑制するゼラチン加水分解物をカプセル被膜の主成分とすることができる。
次に、皮膜基剤として前記ゼラチン加水分解物を使用することにより、カプセル皮膜が乾燥し易いソフトカプセルを製造できることを示す。皮膜基剤として前記ゼラチン加水分解物のみを使用した実施例Dのソフトカプセル、及び、皮膜基剤としてゼラチンのみを使用した対照例R5のソフトカプセルについて、カプセル皮膜を成形するためのカプセル皮膜液の組成を表5に示す。なお、対照例R5は、従来のソフトカプセルを常法により製造する際のカプセル皮膜液の組成である。
Figure 2010260812
これらのカプセル皮膜液について、粘度を測定した結果を表5に併せて示す。ここで、粘度測定は、B型粘度計(ロータNo.4,回転速度6rpm)を使用し、測定温度60℃で行った。実施例Dのカプセル皮膜液は、対照例R5のカプセル皮膜液より水分含有量がかなり少なく、可塑剤の添加量も少ないにも関わらず粘度が低い。これは、前記ゼラチン加水分解物の水溶液の粘度が、ゼラチンの水溶液の粘度よりかなり小さいことが反映されているものと考えられた。
実施例D及び対照例R5のソフトカプセルについて、乾燥時間の経過に伴う水分含有率の変化を測定した結果を図1に示す。ここで、乾燥は、ソフトカプセルの成形直後から180分が経過するまでは、温度25度,相対湿度25%に保持された回転通風式乾燥機を用いて行い、その後は、温度25度,相対湿度25%に保持された環境下でソフトカプセルを棚上に静置して行った。また、水分含有率の測定は、試料1gを温度130℃で40分間加熱し、その操作の前後で測定した質量から算出した。
図1から、実施例Dのソフトカプセルは、成形直後(0分)の水分含有率が約25%と少なく、約360分後には水分含有率は6〜7%となり平衡に達した。一方、対照例R4のソフトカプセルは、成形直後(0分)の水分含有率が約40%と高く、実施例Dと同程度まで乾燥させるためには、一日から一日半を要した。以上のことから、本実施例のソフトカプセルは、乾燥時間を短縮して効率良く製造することが可能であることが示された。また、皮膜基剤として前記ゼラチン加水分解物を用いることにより、カプセル皮膜のひび割れ等を防止するために通常添加される可塑剤の添加量を、従来のソフトカプセルの場合より低減しても、ひび割れ等を生じることなく良好にカプセル皮膜が成形できることが確認された。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、上記では、可塑剤としてグリセリンを単独で使用した場合を例示したが、これに限定されず、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、ポリエチレングリコール等を、単独又は併用して使用することができる。また、カプセル皮膜には、上記の可塑剤、着色料のほか、ソフトカプセルの用途に応じて、甘味料や香料を含有させることができる。
なお、本発明は、医薬品や食品を充填して体内で崩壊させるソフトカプセルだけではなく、体外で崩壊させるソフトカプセルにも適用することができる。例えば、調味料や栄養成分を充填して鍋や炊飯器に投入して崩壊させる調理用カプセルや、入浴剤を充填し湯中で崩壊させるカプセルとした場合も、長期の保存によっても崩壊遅延を生じにくく、使用時にカプセル皮膜が完全に溶解し易いという利点を有する。また、入浴剤を充填するカプセルなど内容物に香料が含まれる場合、従来のゼラチン皮膜では香料中のアルデヒド基の存在により崩壊遅延を生じ易いという問題があったところ、皮膜基剤として前記ゼラチン加水分解物を用いる本発明では、香料に起因する崩壊遅延も抑制される。
特許第3790258号公報 特開2003−55263号公報

Claims (3)

  1. カプセル被膜に、皮膜基剤として分子量が5千〜5万でゲル化能を有するゼラチン加水分解物を16質量%〜75質量%含有していることを特徴とするソフトカプセル。
  2. 皮膜基剤として、前記ゼラチン加水分解物のみをカプセル被膜に対して70質量%〜75質量%含有していることを特徴とする請求項1に記載のソフトカプセル。
  3. 皮膜基剤として、前記ゼラチン加水分解物及びゼラチンを含有し、カプセル被膜に対して前記ゼラチン加水分解物を16質量%〜36質量%、ゼラチンを36質量%〜55質量%含有していることを特徴とする請求項1に記載のソフトカプセル。
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