JP2013515715A - ゼラチンカプセル及びカプセル皮膜成形用ゼラチン組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
低下を招くという問題点があり(特許文献5)、必ずしも満足のできるものではなかった。
0重量%配合したゼラチン組成物を原料として、硬質カプセル、軟質カプセルを製造すると、不溶化誘起物質によるカプセルの不溶化を防止することができ、特に硬質カプセルにおいては機械的強度を損なうことが無いという理想的なカプセルを提供することができる。
本発明のカプセルは、以下に示す通常のゼラチンに低分子量ゼラチンを配合した組成物を基本原料とし、所望のカプセルが硬質であるか、軟質であるかにより、添加物、製造方法が選択される。最初に、製造原料について説明する。
1.原料
(1)ゼラチン
通常のカプセル製造用のゼラチンには、豚皮などを酸処理して製造した酸処理ゼラチンや牛骨などをアルカリ処理して製造したアルカリ処理ゼラチンがあり、分子量約10万のポリペプチド鎖(α鎖)とその二量体(β鎖)、三量体(γ鎖)およびそれらが加水分解したポリペプチド鎖で構成され、平均分子量は20万程度である。
本発明のカプセル製造には、酸、アルカリ処理のいずれによって得られたゼラチンでも使用可能であり、それらの混合物を使用してもよい。
本発明における低分子量ゼラチンとはゼラチン分解物であって、ゲル浸透クロマトグラフィーで分析した場合、6,000〜26,000の範囲の分子量分布を有するゼラチンをいい、好ましくは6,000〜24,000、さらに好ましくは12,000〜24,000の範囲の分子量分布を有するゼラチンをいう。
低分子量ゼラチンは、コラーゲンを加熱分解、酸、アルカリ分解あるいはタンパク質分解酵素により酵素的に分解し、上記の分子量範囲のゼラチンを分離精製することによって製造することができる。
また、低分子量ゼラチンはゲル化能を有する。ここで「ゲル化能」とは、水溶液の温度を下げた時にゾル−ゲル転移によりゼリー状に固める能力を意味する。
低分子量ゼラチンの含有率はゼラチン総量(通常のゼラチンと低分子量ゼラチンの重量の合計量)に対して5〜25重量%の範囲、好ましくは5〜10重量%の範囲であって、5重量%未満の場合は、不溶化を防ぐ効果が小さくなり、25重量%を超える場合はゼラチン溶液の粘度が低下し、既存のカプセル製造機の規格の厚みでカプセルを製造するには適さないため、上記の範囲が好ましい。
本発明はポリエチレングリコール(PEG)を添加しても不溶化を生じさせにくく、低水分時であっても機械的強度が低下しにくい理想的な硬質カプセルを提供することができる。ゼラチン原料に添加するPEGは特に制限されるものではないが、カプセルの機械的強度を顕著に向上させることができることから、平均分子量は2,600〜9,300とすることが好ましく、2,600〜3,800を用いることがより好ましい。
本発明のカプセルの製造するにあたり、外皮原料であるゼラチンにさらに通常添加される添加物を添加することができる。例えば硬質ゼラチンの場合は、食用色素、二酸化チタン、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸エステル類などの界面活性剤、ソフトカプセルの場合は、食用色素、グリセリン、ソルビトール、パラオキシ安息香酸エチルなどの安息香酸エステル類などが必要に応じて添加される。
本発明のゼラチンカプセルは医薬または食品分野におけるカプセル材料として好適に利用されうるが、これに限定されるものではない。該カプセルは、例えば医薬部外品、化粧品に対しても同様に使用されうる。
本発明のカプセルの製造は、低分子量ゼラチンを含有するカプセル皮膜成形用ゼラチン組成物を使用し、通常のカプセル製造方法を適用することにより行うことができる。硬質カプセルは、ゼラチンおよびゲル化能を有する低分子量ゼラチンを溶解し色素等を混合した皮膜溶液に金型を浸漬してゼラチン液を付着させ水分が15〜18%になるまで乾燥して調製する浸漬法などを用いることができる。軟質カプセルは、ゼラチンおよびゲル化能を有した低分子量ゼラチンを溶解した液に可塑剤としてグリセリンやソルビトールを加えた基剤で液状の薬剤を被包し、一定の形状に成形するロータリー法、二重ノズル法を用いることができる。
平均分子量が約20万のアルカリ処理ゼラチンに低分子量ゼラチン(分子量6,000〜26,000の範囲)を各々0、5、10、25重量%の割合で配合したゼラチン1.5kgに80℃の水を2.9kg加えて完全に溶解させて濃度34%の均一なゼラチン溶液を作成する。これを50℃に保ち、十分に脱泡したのち回転式粘度計を使い回転数4000rpmで各々の溶液粘度を測定した。その結果を表1に示す。
実施例1で調製した低分子量ゼラチンの含有率が0、5、10%のゼラチン水溶液に加水して、各々の溶液粘度が硬質カプセル試作機でカプセルを成型するのに都合の良い粘度にまで粘度調整を行った。該カプセル調製液にカプセル成型用金型を浸漬してサイズ2号の硬質カプセルを製造した。該カプセルにアセトアミノフェン粉末を充填し、日本薬局方の溶出試験(パドル法、50rpm、水、37℃)によりカプセルの溶解性を測定した。その結果を表2に示す。
残りのカプセル1個あたりにアルデヒド類である乳糖粉末を充填し、無包装にて40℃、75%RHの環境で3週間保管して不溶化を促進した。保管後のカプセルの充填物をアセトアミノフェン粉末に詰め替えた後、日本薬局方の溶出試験(パドル法、50rpm、水、37℃)によりカプセルの溶解性を測定した。その結果を表3に示す。
実施例2で調製したカプセル調製液を平滑な塩ビ板上にフィルム形成用のアプリケーターを用いて乾燥時のフィルムの厚さが0.1mmのゼラチンフィルムを調製し、カプスゲル社製振り子式の衝撃試験器を使って皮膜の破れるエネルギーを測定した(n=10測定の平均値)。さらに、市場で多用される酸化チタンが配合された白色カプセルを再現するため、ゼラチン溶液に2%の酸化チタン色材を加えて同様の手順で参考品−2のフィルムを調製し試験に加えた。
試験に供すフィルムは予め10%RH〜50%RHの湿度に保たれた箱の中に1週間置いてフィルム中の水分含有量を低下させた。その結果を表4に示す
通常のゼラチンのみ(参考品−3)、通常のゼラチンに局方マクロゴール4000を2.5%又は5%の割合で配合したもの(参考品−4および参考品−5)、通常のゼラチンに実施例1で使用した低分子量ゼラチンを含有率が5重量%又は10重量%で配合したものにさらに局方マクロゴール4000を2.5%の割合で配合したもの(カプセルCおよびカプセルD)を用いて、実施例2に記載の方法によりカプセル調製液を調製し、カプセル成型用金型を各カプセル調製液に浸漬して硬質カプセルを製造した。該カプセルにトコフェロールニコチン酸エステル製剤(エーザイ製ユベラ−N(登録商標)細粒同等品)を充填して50℃、75%RHの環境で4週間保管した。保管前後のカプセルの崩壊時間を日本薬局方の崩壊試験により測定した。その結果を表5および表6に示す。
Claims (8)
- 分子量が6,000〜26,000の低分子量ゼラチンの含有率がゼラチン総量の5〜10重量%であるカプセル皮膜成形用ゼラチン組成物。
- 色素、界面活性剤、可塑剤およびポリエチレングリコールから群より選択される少なくとも1種の添加物を含む、請求項1記載のカプセル皮膜成形用ゼラチン組成物。
- 分子量が6,000〜26,000の低分子量ゼラチンの含有率がゼラチン総量の5〜10重量%であるゼラチンカプセル。
- ゼラチンカプセルが硬質ゼラチンカプセルである、請求項3記載のゼラチンカプセル。
- ゼラチンカプセルが軟質ゼラチンカプセルである、請求項3記載のゼラチンカプセル。
- ポリエチレングリコールを含む、請求項4記載のゼラチンカプセル。
- ポリエチレングリコールの平均分子量が2,600〜3,800である、請求項6記載のゼラチンカプセル。
- ポリエチレングリコールの含有率がゼラチン総量の2〜5重量%である、請求項7記載のゼラチンカプセル。
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