添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。図1は、処理装置2の斜視図である。処理装置2は、各構成要素を支持する基台4を備える。基台4の前方の角部には、開口4aが設けられている。
開口4a内には、昇降機構(不図示)によって昇降するカセットエレベータ6aが設けられている。カセットエレベータ6aの上面には、複数の被加工物11を収容するためのカセット6bが載せられる。なお、図1では、説明の便宜上、カセット6bの輪郭を破線にて示している。
被加工物11は、例えば、シリコン等の半導体材料でなる円盤状のウェーハである。この被加工物11の表面側は、互いに交差する複数の分割予定ライン(ストリート)によって複数の領域に区画されており、各領域には、IC(Integrated Circuit)等のデバイスが形成されている。
なお、被加工物11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、他の半導体、セラミックス、樹脂、金属等の材料でなる基板等を被加工物11として用いることもできる。同様に、デバイスの種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。被加工物11には、デバイスが形成されていなくてもよい。
被加工物11の裏面側には、被加工物11よりも面積の大きいダイシングテープ(粘着テープ)13が貼り付けられている。ダイシングテープ13の外周部分は、環状のフレーム15に固定されている。即ち、フレーム15の開口にはダイシングテープ13が張られている。
ダイシングテープ13は、例えば、紫外線硬化型の樹脂を含む粘着層を有する。この粘着層は、被加工物11及びフレーム15に対して強力な粘着力を発揮する一方で、紫外線が照射されると硬化して粘着力が低下する。
ダイシングテープ13により板状の被加工物11が支持されることで、被加工物ユニット17が形成されている。被加工物11は、この被加工物ユニット17の状態でカセット6bに収容される。
カセットエレベータ6aの側方には、X軸方向(加工送り方向)に長い開口4bが形成されている。開口4b内には、テーブルカバー10及び蛇腹状カバー12が配置されている。テーブルカバー10及び蛇腹状カバー12の下方には、図示されていないボールねじ式のX軸移動機構(加工送りユニット)が配置されている。
テーブルカバー10及び蛇腹状カバー12により、テーブルカバー10上の加工室とX軸移動機構が配置される領域とが空間的に分離される。X軸移動機構は、X軸移動テーブル26a(図9から図12を参照)に接続しており、X軸移動テーブル26aは、X軸移動機構によりX軸方向に移動可能である。
X軸移動テーブル26a上には、チャックテーブル16がテーブルカバー10の上方に露出する態様で設けられている。チャックテーブル16は、X軸移動機構によりX軸移動テーブル26aと共にX軸方向に移動できる。なお、チャックテーブル16は、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されており、Z軸方向(鉛直方向)に概ね平行な回転軸の周りに回転できる。
チャックテーブル16は、細孔を有するポーラスセラミックス等で形成された円盤状のポーラス板16b(図9から図12を参照)を有する。ポーラス板16bの細孔は流路16dに接続しており、流路16dはバルブ等(不図示)を介して真空ポンプ等の吸引手段(不図示)に接続されている。
吸引手段の負圧により、ダイシングテープ13を介して被加工物11は、ポーラス板16bの保持面16aに吸引保持される。それゆえ、ポーラス板16bの上面の一部は、被加工物11を保持するための保持面16aとして機能する。保持面16aは、X軸方向(加工送り方向)及びY軸方向(割り出し送り方向)に対して概ね平行に形成されている。
チャックテーブル16は、ステンレス鋼等の導電性の金属から形成された金属枠体16c(図9から図12を参照)を更に有する。金属枠体16cは上面側に凹部を有し、この凹部にはポーラス板16bが設けられている。凹部は、ポーラス板16bの周囲を囲む。
なお、本実施形態の金属枠体16cは接地(earth)されるが、フレーム・グランド(frame ground)されてもよい。また、金属枠体16cの周囲には、フレーム15を四方から固定するための4個のクランプ18が設けられている。
チャックテーブル16よりも上方の基台4上には、水供給ユニット22が設けられている。水供給ユニット22は、開口4bをY軸方向に跨ぐように設けられた金属製の導管を有する。この導管の長手方向はY軸方向に沿っており、長手部の両端は基台4の上面から上方に突出する部材に接続している。
水供給ユニット22の導管は、開口4bと対向する位置にスリット22a(図9を参照)を有する。スリット22aから噴射された水は、水供給ユニット22の下方にY-Z平面に略平行な水の壁であるウォーターカーテンを形成できる。なお、水供給ユニット22の導管は、スリット22aに代えて、チャックテーブル16の保持面16aに対向する様に且つY軸方向に沿って一定の間隔を開けて配置された複数の微細な開口を有してもよい。当該複数の微細な開口から水を噴射することによって、ウォーターカーテンを形成できる。
水供給ユニット22よりもX軸方向の手前に位置し、カセット6bに隣接する位置には、Y軸方向に略平行な一対のガイドレール(不図示)が設けられる。この一対のガイドレールは、カセット6bから取り出される被加工物ユニット17の移動経路となる。
水供給ユニット22に対して一対のガイドレールとはX軸方向の反対側に、門型の支持体4dが設けられている。支持体4dは、開口4bをX軸方向に跨ぐように基台4上に設けられている。支持体4dの前面には、被加工物ユニット17を搬送する搬送ユニット14及び搬送ユニット24が設けられている。
搬送ユニット14は、支持体4dの前面に設けられた移動機構14eを有する。移動機構14eは、Y軸方向に略平行なレールを含み、搬送ユニット14の腕部をY軸方向に沿って移動可能に支持できる。
搬送ユニット14の腕部は、支持体4dの前面から下方に沿って設けられたエアシリンダ14aを有する。また、この腕部は、エアシリンダ14aの下方の端部から突出するロッド14bを有する。ロッド14bは、エアシリンダ14aの空気圧制御により、Z軸方向に沿って上下移動できる。
ロッド14bの下端には保持体14cが接続されている。保持体14cは、ロッド14bの下端に固定されたX方向板部と、X方向板部に接続されたY方向板部と、Y方向板部のY軸方向の各端部に設けられた幅広部とを含む。
保持体14cの一対の幅広部間の距離は、被加工物ユニット17の直径に対応する大きさに形成されている。保持体14cの幅広部の下方には、フレーム15を吸着可能な複数の吸着パッド14dが設けられている。
保持体14cのY方向板部のうちカセット6b側の幅広部は、カセットエレベータ6a側の端部に、被加工物ユニット17を把持する把持機構14fを有する。把持機構14fは、カセット6bに収容された被加工物ユニット17のフレーム15の端部を摘まむことができる。
ここで、搬送ユニット14が、被加工物ユニット17をカセット6bからチャックテーブル16に搬出する流れについて説明する。まず、把持機構14fが被加工物ユニット17を摘まんだ状態で、移動機構14eをY軸方向に沿って移動させることで、搬送ユニット14は被加工物ユニット17をカセット6bから引き出す。
被加工物ユニット17は、一対のガイドレールに沿って引き出され、チャックテーブル16に対してY軸方向の位置が調整される。その後、搬送ユニット14の把持機構14fは、摘まんでいた被加工物ユニット17を離す。
そして、一対のガイドレールは、X軸方向に互いに近づくように移動することで、被加工物ユニット17のX軸方向の端部に接触する。これにより、一対のガイドレールは、被加工物ユニット17のX軸方向の位置を調整する。
次いで、搬送ユニット14は、このようにX及びY軸方向にプリアライメントされた被加工物ユニット17をチャックテーブル16へ移動する。まず、搬送ユニット14は、保持体14cを一対のガイドレール上の被加工物ユニット17上に移動させる。
さらに、エアシリンダ14aを動作させることでロッド14b下の保持体14cを降下させて、保持体14cのY軸方向の両端部の幅広部に設けられた吸着パッド14dにより被加工物ユニット17を吸着する。その後、エアシリンダ14aの動作により保持体14cと共に被加工物ユニット17を、チャックテーブル16よりも高い位置に移動させる。
そして、エアシリンダ14aの動作及び保持体14cの吸着パッドの吸着解除により被加工物ユニット17は搬送ユニット14からチャックテーブル16へ降ろされる。このとき、テーブルカバー10下のX軸移動機構によりチャックテーブル16はX軸方向に移動し、一対のガイドレールの間の下方に位置する。
なお、カセット6bに隣接する一対のガイドレールは、被加工物ユニット17をチャックテーブル16に下降させるときに、被加工物ユニット17のZ軸方向の移動を妨げない。例えば、一対のガイドレールは、X軸方向において互いに離れる方向に移動できる。
搬送ユニット14を支持する支持体4dに対して搬送ユニット14の反対側には、開口4bを跨いで門型の支持体4eが設けられている。支持体4eの前面上部には、一対の加工ユニット移動機構(割り出し送りユニット、切り込み送りユニット)(不図示)が設けられている。
一対の加工ユニット移動機構は、支持体4eの前面に配置されY軸方向に概ね平行な一対のY軸ガイドレール(不図示)を備えている。一対のY軸ガイドレールには、各加工ユニット移動機構を構成するY軸移動プレート26bがスライド可能に取り付けられている。
Y軸移動プレート26bの裏面側(即ち、支持体4e側)には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Y軸ガイドレールに概ね平行なY軸ボールネジ(不図示)が回転可能な形態で連結されている。
Y軸ボールネジの一端部には、Y軸パルスモータ(不図示)が連結されている。Y軸パルスモータでY軸ボールネジを回転させれば、Y軸移動プレート26bは、Y軸ガイドレールに沿ってY軸方向に移動する。
Y軸移動プレート26bの表面側(即ち、支持体4d側)には、Z軸方向に概ね平行なZ軸ガイドレール(不図示)が設けられている。Z軸ガイドレールには、Z軸移動プレート(不図示)がスライド可能に取り付けられている。
Z軸移動プレートの裏面側(即ち、支持体4e側)には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Z軸ガイドレールに平行なZ軸ボールネジ(不図示)が回転可能な形態で連結されている。
Z軸ボールネジ(不図示)の一端部には、Z軸パルスモータ26cが連結されている。Z軸パルスモータ26cでZ軸ボールネジを回転させれば、Z軸移動プレートは、Z軸ガイドレールに沿ってZ軸方向に移動する。
Z軸移動プレートの下部には、被加工物11に対して切削等の加工を施す加工ユニット(処理ユニット)20が設けられている。本実施形態では、一対の加工ユニット20が、Y軸方向に沿って向かい合うように設けられている。
加工ユニット20は、Y軸方向に対して平行な回転軸となるスピンドル20b(図11を参照)と、当該スピンドルを部分的に収容する筒状のスピンドルハウジングとを備える。スピンドルハウジングは、いわゆるエアベアリングによってスピンドルを回転可能に支持できる。
加工ユニット20は、スピンドルハウジングの外部に露出するスピンドルの一端側に、ブレードマウントを介して装着される切削ブレード20a(図11を参照)を有する。また、加工ユニット20は、スピンドルに連結されたモータを含む回転駆動源(不図示)を有する。この回転駆動源は、ブレードマウントとは反対側であるスピンドルの他端側に位置する。
また、加工ユニット20に隣接する位置には、被加工物11を撮像するための撮像ユニット(カメラユニット)38が設けられている。撮像された被加工物11の画像は、被加工物11と加工ユニット20との位置合わせ等に利用される。
開口4bに対して開口4aと反対側の位置には、洗浄チャンバとして機能する開口4cが設けられている。開口4cには、加工後の被加工物11等を洗浄するための洗浄ユニット30が配置されている。
開口4bのチャックテーブル16と開口4cの洗浄ユニット30との間で、被加工物ユニット17は、搬送ユニット24により搬送される。搬送ユニット24は、支持体4dにY軸方向に沿って移動可能に支持されている。搬送ユニット24の腕部は、支持体4dの前面からX軸方向に突出する突出部と、この突出部から下方に沿って設けられたエアシリンダ24aとを含む。
また、搬送ユニット24の腕部は、エアシリンダ24aの下方の端部から突出するロッド24bを有する。ロッド24bも、ロッド14bと同様に、Z軸方向に沿って上下移動できる。ロッド24bの下端には保持体24cが接続されている。保持体24cは、ロッド14bの下端に固定されX軸方向に沿った長手部を有するX方向板部を含む。
保持体24cのX方向板部は、被加工物ユニット17の直径に対応する大きさに形成されている。保持体24cのX方向板部のX軸方向の各端部には幅広部が設けられ、各幅広部の下方には複数の吸着パッド24dが設けられている。
搬送ユニット24の動作について説明すると、搬送ユニット24は、移動機構24eにより開口4bのカセット6bに隣接する位置まで移動させられる。そして、搬送ユニット24は、X軸移動機構により開口4bのカセット6bに隣接する位置まで移動させた加工後の被加工物ユニット17を保持体24cにより吸着して、エアシリンダ24aの動作により持ち上げる。
再び、移動機構24eにより搬送ユニット24はY軸方向に移動し、被加工物ユニット17は開口4c上に移動する。再び、エアシリンダ24aの動作により、被加工物ユニット17は、開口4cのチャックテーブル(スピナーテーブル)36(図2を参照)へ降ろされる。
このようにして、加工ユニット20により加工された被加工物17は、搬送ユニット24により開口4bのチャックテーブル16から、開口4cの洗浄ユニット(処理ユニット)30のチャックテーブル36へ搬出される。
水供給ユニット22に加えて、搬送ユニット14及び搬送ユニット24等の処理装置2の各構成要素の動作は、制御ユニット40により制御される。制御ユニット40は、例えばコンピュータであり、ホスト・コントローラを介して相互に接続されるCPU、RAM、ハードディスクドライブ、入出力装置等を有する。
CPUは、RAM、ハードディスクドライブ等の記憶部分に格納されたプログラム、データ等に基づいて演算処理等を行う。また、CPUは、ホスト・コントローラに接続された入出力コントローラを介して、キーボード・ポート、マウス・ポート等の入出力装置に接続することもできる。CPUが記憶部分に格納されたプログラムを読み込むことにより、制御ユニット40は、ソフトウェアと上述のハードウェア資源とが協働した具体的手段として機能できる。
次に、洗浄ユニット30の構成を、図2を用いて説明する。図2は、処理装置2の洗浄ユニット30の拡大斜視図である。なお、図2では、洗浄ユニット30に被加工物ユニット17が配置されていない状態を示す。洗浄ユニット30は、開口4cの下方の洗浄チャンバ内に設けられる。洗浄ユニット30は、被加工物11を吸引保持して回転する円盤状のチャックテーブル36を有する。
チャックテーブル36は、チャックテーブル16と類似の構造を有する。チャックテーブル36は、上面に保持面36aを含むポーラス板36bと、ポーラス板36bの周囲を囲む金属枠体36cとを含む。なお、金属枠体36cは、接地されているが、フレーム・グランドされていてもよい。
保持面36aは、チャックテーブル36内部の細孔に接続する流路36dを介して真空ポンプ等の吸引手段と接続されている。被加工物11は、この吸引手段の負圧によりダイシングテープ13を介して保持面36aに吸引保持される。
チャックテーブル36の下部には、Z軸方向に平行な回転軸を構成するスピンドル36eが設けられている。スピンドル36eのチャックテーブル36とは反対側の端部にはモータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。
チャックテーブル36は、この回転駆動源の回転力により、スピンドル36eの軸心周りに回転できる。なお、チャックテーブル36には、被加工物ユニット17の環状のフレーム15を四方から挟持して固定する4個のクランプ34が設けられている。
チャックテーブル36の上方には、概略L字形状のアーム32c,32dが設けられる。アーム32c,32dの各一端側には、第1ノズル32a及び第2ノズル32bが接続されている。洗浄ノズル32(32a,32b)は、チャックテーブル36に対向するよう配置された噴射口を有する。
第1ノズル32aは、高圧ポンプを介して洗浄水供給源に接続された高圧洗浄用のノズルであり、例えば5MPaから10MPaの予め定められた値に加圧された純水を噴射口から柱状に噴射する。第2ノズル32bは、気体供給源に接続されたエアーノズルであり、洗浄水噴射後の被加工物11に残留している洗浄水を乾燥又は除去するためにエアーを噴射する。
洗浄ノズル32が設けられたアーム32c及び32dの他端側には、揺動機構(不図示)が連結されている。被加工物11の洗浄(即ち、洗浄水の噴射、及び、洗浄水の乾燥又は除去)時に、洗浄ノズル32は、チャックテーブル36の上方においてチャックテーブル36の径方向に揺動される。
このようにして、洗浄ユニット30は、被加工物11上の加工屑等を除去して被加工物11を洗浄する。洗浄後の被加工物ユニット17は、搬送ユニット14により洗浄ユニット30のチャックテーブル36から搬出され、カセット6bへ格納される。次に、加工ユニット20及び洗浄ユニット30による被加工物11の処理方法について説明する。
図3から図7では、被加工物11の処理の一例である、被加工物11を洗浄する例を説明する。図3は、被加工物11を洗浄する各ステップを説明するフロー図である。S10からS40の各ステップは、各構成要素に実行させるために制御ユニット40のCPUが読み込むプログラムのアルゴリズムに対応する。
図4は、洗浄ユニット30のチャックテーブル36に水を供給する水供給ステップS10を示す図である。水供給ステップS10では、被加工物11を開口4c内のチャックテーブル36に搬入する前に、第1ノズル32aからポーラス板36bの保持面36aに水(純水)を供給する。例えば、チャックテーブル36の直径が12インチ(即ち、30.48cm)の場合に、100mlから200ml程度の水を供給する。
水供給ステップS10では、チャックテーブル36を回転させつつ、揺動機構によりアーム32cをチャックテーブル36の径方向に揺動させる。これにより、第1ノズル32aは、保持面36aの全体に水を供給できる。保持面36aに供給された水は、ポーラス板36bの細孔を通ってポーラス板36bの平面方向及び厚さ方向に行き渡る。
水供給ステップS10の後に、搬送ユニット24により被加工物ユニット17をチャックテーブル36に搬送し、吸引手段及びクランプ34により被加工物ユニット17をチャックテーブル36に固定する。これにより、ダイシングテープ13を介して被加工物11をチャックテーブル36で吸引保持する。図5は、洗浄ユニット30のチャックテーブル36で被加工物ユニット17を保持する保持ステップS20を示す図である。
保持ステップS20の後に、被加工物11が保持面36aに吸引保持された状態で、被加工物11を洗浄ユニット30で洗浄する。図6は、洗浄ユニット30で被加工物11を洗浄する処理ステップS30を示す図である。
被加工物11の洗浄では、水供給ステップS10と同様に、チャックテーブル36を回転させ、且つ、揺動機構によりアーム32cをチャックテーブル36の径方向に揺動させながら、第1ノズル32aから洗浄水(洗浄液ともいう。なお、本実施形態では純水)を噴射する。これにより、被加工物11上の加工屑を除去できる。
処理ステップS30の後に、被加工物11及びダイシングテープ13をチャックテーブル36から剥離する。図7は、洗浄ユニット30に設けられたチャックテーブル36から被加工物ユニット17を剥離する剥離ステップS40を示す図である。
剥離ステップS40では、搬送ユニット24の吸着パッド24d等を用いて、被加工物ユニット17をチャックテーブル36から離すように持ち上げる。この持ち上げる速度(剥離速度)は、例えば100mm/sに設定されることがある。ただし、剥離時の帯電量は剥離速度に応じて増加するので、帯電量を低減するためには剥離速度を抑えることが望ましい。本実施形態では、剥離速度を10mm/s以下とする。
上述の水供給ステップS10を経てポーラス板36bの保持面36a及び細孔内に行き渡った水は、剥離ステップS40までの間、完全には無くならない。ポーラス板36bに供給された水は、ポーラス板36bに接続された真空ポンプを動作させても、水供給ステップS10から剥離ステップS40までの間、少なくとも部分的に残存する。
例えば、ポーラス板36bに供給された水は、ポーラス板36bの保持面36aと、ポーラス板36b及び金属枠体36cの接触面とを接続する経路を構成するように、水供給ステップS10から剥離ステップS40までの間、少なくとも部分的に残存する。
一般に、ポーラス板36b自体の電気抵抗は金属枠体36cに比べて高い。しかしながら、ポーラス板36bに供給された水等が、保持面36aと金属枠体36cとを接続する導電性の経路を形成できる。それゆえ、剥離ステップS40時には、水供給ステップS10を経ていないポーラス板36bよりも静電気を金属枠体36cへ逃がしやすい。
ダイシングテープ13をポーラス板36bから剥離するときに発生する静電気は、ポーラス板36bに残存する水、接地されている金属枠体36c等を介して、部分的に除去される。これにより、放電が発生しない程度に剥離時の静電気を低減できる。
なお、水供給ステップS10前のポーラス板36bには、被加工物11の切削屑及び切削屑に含まれる電解質等の不純物が存在していてもよい。また、本実施形態の水供給ステップS10では、ポーラス板36bに純水が供給されるが、上述の不純物が純水に混入してポーラス板36bに供給されてもよい。
不純物を含む水は、純水に比べて、電気抵抗が低くなる。ポーラス板36bが不純物及び水を含有することにより、ダイシングテープ13の剥離時に発生する静電気は、金属枠体36c等を介して除去され易くなるので、剥離時の静電気をさらに低減できる。
図8から図12では、被加工物11の処理の一例である、被加工物11を加工する例を説明する。図8は、被加工物11を加工する各ステップを説明するフロー図である。S15、S25、S35及びS45の各ステップは、各構成要素に実行させるために制御ユニット40が読み込むプログラムのアルゴリズムに対応する。
図9は、テーブルカバー10上のチャックテーブル16に水を供給する水供給ステップS15を示す図である。水供給ステップS15では、被加工物11を開口4bのチャックテーブル16に搬入する前に、水供給ユニット22からポーラス板16bの保持面16aに水(純水)を供給する。例えば、チャックテーブル16の直径が12インチ(即ち、30.48cm)の場合に、100mlから200ml程度の水を供給する。
水供給ステップS15では、X軸移動機構によりチャックテーブル16を水供給ユニット22の下方でX軸方向に移動させつつ、水供給ユニット22のスリット22aから水を噴射させる。水供給ユニット22は、下方にウォーターカーテンを形成するので、水供給ユニット22の下方を移動するチャックテーブル16の保持面16aの全体に水が供給される。保持面16aに供給された水は、少なくともポーラス板16bの上面全体に行き渡る。
水供給ステップS15の後に、X軸移動機構によりチャックテーブル16を、カセット6bに隣接する一対のガイドレールの間の下方に動かす。そして、被加工物ユニット17を搬送ユニット14により一対のガイドレール上からチャックテーブル16上に搬送する。図10は、テーブルカバー10上のチャックテーブル16で被加工物ユニット17を保持する保持ステップS25を示す図である。
そして、吸引手段及びクランプ18により被加工物ユニット17をチャックテーブル16に固定する。これにより、ダイシングテープ13を介して被加工物11をチャックテーブル16で吸引保持する。
保持ステップS25の後に、被加工物11が保持面16aに吸引保持された状態で、被加工物11を加工ユニット20で加工する。図11は、加工ユニット20で被加工物11を加工する処理ステップ35を示す図である。
高速に回転させた切削ブレード20aをチャックテーブル16上に吸引保持された被加工物11に対して切り込ませながら、切削ブレード20aとチャックテーブル16とを相対的に移動させることで、この移動の経路に沿って被加工物11は切削される。
処理ステップS35の後に、被加工物11及びダイシングテープ13をチャックテーブル16から剥離する。図12は、テーブルカバー10上のチャックテーブル16から被加工物ユニット17を剥離する剥離ステップS45を示す図である。
剥離ステップS45でも、搬送ユニット24の吸着パッド24d等を用いて、被加工物ユニット17をチャックテーブル16から離すように持ち上げる。
上述の様に、被加工物ユニット17をチャックテーブル16から剥離する速度は、10mm/s以下とすることが好ましい。但し、10mm/s以下とすることが必須ではない。剥離後に、搬送ユニット24は、被加工物ユニット17を洗浄ユニット30で洗浄するべく、被加工物ユニット17を開口4cに搬送する。
被加工物11を加工する場合においても、水供給ステップS15でポーラス板36bに供給された水等が、導電性の経路を形成するので、ダイシングテープ13とポーラス板16aとの剥離時に発生する静電気が金属枠体16c等を介して部分的に除去される。これにより、被加工物11のデバイスが破壊されない程度に、剥離時の静電気を低減できる。
なお、上述の様に、ポーラス板16bは、被加工物11の切削屑及び切削屑に含まれる電解質等の不純物を含んでいてもよい。また、上述の不純物が、ポーラス板36bに供給するまでの間に純水に混入してもよい。その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。