本開示の概要
本願は、モノエチレングリコールおよび1つまたは複数の3炭素化合物の生成のための1つまたは複数の生合成経路を有する組換え微生物に関する。
本開示は、実施が容易な、キシロースからMEGを生成する高収率のC2分枝経路と、実施が容易な、DHAPまたはピルベートから1つまたは複数の3炭素化合物を生成するC3分枝経路の組み合わせを提供する。
MEGおよび1つまたは複数の3炭素化合物を同時生成する本開示のプロセスは、C2分枝経路のNADH要求を満たすためにC3分枝経路で生成された余分なNADHを利用することによって相乗効果を発揮する。
1つの局面において、本願は、モノエチレングリコール(MEG)および1つまたは複数の3炭素化合物を同時生成する組換え微生物を提供する。1つの態様において、MEGおよび1つまたは複数の3炭素化合物は、キシロースから同時生成される。別の態様において、組換え微生物は、D-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子および/またはグリコアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入または機能喪失変異を含む。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子は、xylBである。いくつかの態様において、グリコアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子は、aldAである。いくつかの態様において、MEGは、C2分枝経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じて生成され、1つまたは複数の3炭素化合物は、C3分枝経路におけるDHAPまたはピルベートの変換を通じて生成される。他の態様において、C3分枝経路で生成された余分なNADHの少なくとも一部は、C2分枝経路において還元当量の供給源として使用される。さらなる態様において、C3分枝経路で生成された余分なNADHの少なくとも一部は、ATPを生成するために使用される。なおさらなる態様においては、余分なバイオマス形成が最小化され、MEGおよび1つまたは複数の3炭素化合物の生成が最大化される。
1つの態様において、MEGは、キシロースからリブロース-1-リン酸を通じて生成される。別の態様において、MEGは、キシロースからキシルロース-1-リン酸を通じて生成される。さらなる態様において、MEGは、キシロースからキシロネートを通じて生成される。
1つの態様において、1つまたは複数の3炭素化合物は、アセトンである。別の態様において、1つまたは複数の3炭素化合物は、イソプロパノールである。さらなる態様において、1つまたは複数の3炭素化合物は、プロペンである。
1つの好ましい態様において、MEGおよびアセトンは、キシロースからMEGへの変換のためにリブロース-1-リン酸経路およびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)からアセトンへの変換のためにC3分枝経路を用いてキシロースから同時生成される。
1つの局面において、本願は、外来性D-キシロースからモノエチレングリコール(MEG)およびアセトンを同時生成することができる組換え微生物であって、
(a)D-キシルロースからD-リブロースへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(b)(a)由来のD-リブロースからD-リブロース-1-リン酸への変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(c)(b)由来のD-リブロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(d)(c)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(e)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(f)(e)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;ならびに/または
(g)(f)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子、
の1つまたは複数を発現し、
生成された中間体DHAPが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつMEGおよびアセトンが同時生成される、前記微生物に関する。
1つの態様において、D-キシルロースからD-リブロースへの変換を触媒する酵素は、D-タガトース3-エピメラーゼである。さらなる態様において、D-キシルロースからD-リブロースへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、D-キシルロースからD-リブロースへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、シュードモナス(Pseudomonas)属の種、メソリゾビウム(Mesorhizobium)属の種およびロドバクター(Rhodobacter)属の種から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるD-タガトース3-エピメラーゼである。いくつかの態様において、D-タガトース3-エピメラーゼをコードする核酸分子は、シュードモナス・シコリイ(Pseudomonas cichorii)、シュードモナス属種ST-24、メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)およびロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)から選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、D-タガトース3-エピメラーゼをコードする核酸分子は、dte、C1KKR1またはそれらのホモログである。いくつかの態様において、1つまたは複数の核酸分子は、FJ851309.1またはそのホモログである。さらなる態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、SEQ ID NO:3および5からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、SEQ ID NO:1、2および4からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、D-リブロースからD-リブロース-1-リン酸への変換を触媒する酵素は、D-リブロキナーゼである。さらなる態様において、D-リブロースからD-リブロース-1-リン酸への変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、D-リブロースからD-リブロース-1-リン酸への変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、大腸菌(E.coli)から得られる核酸分子によってコードされるD-リブロキナーゼである。いくつかの態様において、D-リブロキナーゼをコードする核酸分子は、fucKまたはそのホモログである。さらなる態様において、D-リブロキナーゼは、SEQ ID NO:8に示されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、D-リブロキナーゼは、SEQ ID NO:6および7からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、D-リブロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒する酵素は、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼである。さらなる態様において、D-リブロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびDHAPへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、D-リブロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびDHAPへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、大腸菌から得られる核酸分子によってコードされるD-リブロース-1-リン酸アルドラーゼである。いくつかの態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする核酸分子は、fucAまたはそのホモログである。さらなる態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼは、SEQ ID NO:11に示されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼは、SEQ ID NO:9および10からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、グリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒する酵素は、グリコールアルデヒドレダクターゼまたはアルデヒドレダクターゼである。さらなる態様において、グリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、グリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、大腸菌または出芽酵母(S.cerevisiae)から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるグリコアルデヒドレダクターゼまたはアルデヒドレダクターゼである。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼまたはアルデヒドレダクターゼをコードする核酸分子は、fucO、yqhD、dkgA(yqhE)、dkgB(yafB)、yeaE、yghZ、gldA、GRE2またはそれらのホモログから選択される。別の態様において、1つまたは複数の核酸分子は、yqhDである。いくつかの態様において、yqhDは、G149E変異を含む。さらなる態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、SEQ ID NO:13、15、17、20、23、25、28、30および32からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、SEQ ID NO:12、14、16、18、19、21、22、24、26、27、29および31からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒する酵素は、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼである。さらなる態様において、アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、クロストリジウム(Clostridium)属の種、バチルス(Bacillus)属の種、大腸菌、サッカロミセス(Saccharomyces)属の種およびマリノバクター(Marinobacter)属の種から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるチオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼである。いくつかの態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼをコードする核酸分子は、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)、クロストリジウム・サーモサッカロリチカム(Clostridium thermosaccharolyticum)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、大腸菌、出芽酵母およびマリノバクター・ヒドロカルボノクラスチカス(Marinobacter hydrocarbonoclasticus)から選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼをコードする核酸分子は、thlA、atoBおよび/もしくはERG10、またはそれらのホモログである。さらなる態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:35、37および40からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:33、34、36、38および39からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、アセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酵素は、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼである。いくつかの態様において、このトランスフェラーゼは、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼである。さらなる態様において、アセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、アセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、クロストリジウム属の種および大腸菌から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされる酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼである。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼをコードする核酸分子は、クロストリジウム・アセトブチリカムから得られる。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼをコードする核酸分子は、大腸菌から得られる。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼサブユニットをコードする核酸分子は、atoAおよびatoDまたはそれらのホモログである。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼサブユニットをコードする核酸分子は、ctfAおよびctfBまたはそれらのホモログである。さらなる態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、SEQ ID NO:43、46、97、99、101および103からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、SEQ ID NO:41、42、44、45、96、98、100および102からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、アセト酢酸からアセトンへの変換を触媒する酵素は、アセト酢酸デカルボキシラーゼである。さらなる態様において、アセト酢酸からアセトンへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、アセト酢酸からアセトンへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、クロモバクテリウム(Chromobacterium)属の種およびシュードモナス属の種から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるアセト酢酸デカルボキシラーゼである。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする核酸分子は、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・ベイジェリンキイ(Clostridium beijerinckii)、クロストリジウム・セルロリティカム(Clostridium cellulolyticum)、バチルス・ポリミキサ(Bacillus polymyxa)、クロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)およびシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)から選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする核酸分子は、adcまたはそのホモログである。さらなる態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、SEQ ID NO:49および52からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに別の態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、SEQ ID NO:47、48、50および51からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、組換え微生物はさらに、
(a)D-キシルロースからD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒する酵素をコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
(b)グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒する酵素をコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、および
(c)ピルベートからラクテートへの変換を触媒する酵素をコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
からなる群より選択される1つまたは複数の改変を含む。
1つの態様において、D-キシルロースからD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒する酵素は、D-キシルロース-5-キナーゼである。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、大腸菌由来である。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、xylB遺伝子またはそのホモログによってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび3炭素化合物を生成する組換え微生物は、D-キシルロースからD-キシルロース-5-リン酸への変換を防ぎ、代わりにその反応をD-キシルロースからD-キシルロース-1-リン酸への変換に向けるよう、D-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入または機能喪失変異を含む。
1つの態様において、グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒する酵素は、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼである。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、大腸菌由来である。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、aldA遺伝子またはそのホモログによってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび3炭素化合物を生成する組換え微生物は、グリコールアルデヒドからのグリコール酸の生成を防ぎ、代わりにその反応をグリコールアルデヒドからMEGへの変換に向けるよう、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入または機能喪失変異を含む。
1つの態様において、ピルベートからラクテートへの変換を触媒する酵素は、乳酸デヒドロゲナーゼである。特定の態様において、この酵素は、ピルベートをラクテートに変換する。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、大腸菌由来である。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、ldhA遺伝子またはそのホモログによってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび3炭素化合物を生成する組換え微生物は、ピルベートからのラクテートの生成を防ぎ、代わりにその反応を3炭素化合物の生成に向けるよう、乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入または機能喪失変異を含む。
1つの態様において、組換え微生物はさらに、D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒する内在性酵素を含む。
1つの好ましい態様において、MEGおよびアセトンは、キシロースをMEGに変換するためのキシルロース-1-リン酸経路およびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)をアセトンに変換するためのC3分枝経路を使用してキシロースから同時生成される。
別の局面において、本願は、外来性D-キシロースからモノエチレングリコール(MEG)およびアセトンを同時生成することができる組換え微生物であって、
(a)D-キシルロースからD-キシルロース-1-リン酸への変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(b)(a)由来のD-キシルロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(c)(b)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(d)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(e)(d)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;ならびに/または
(f)(e)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子、
の1つまたは複数を発現し、
生成された中間体DHAPが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつMEGおよびアセトンが同時生成される、前記微生物に関する。
1つの態様において、D-キシルロースからD-キシルロース-1-リン酸への変換を触媒する酵素は、D-キシルロース-1-キナーゼである。さらなる態様において、D-キシルロースからD-キシルロース-1-リン酸への変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、D-キシルロースからD-キシルロース-1-リン酸への変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、ホモ・サピエンス(Homo sapiens)から得られる核酸分子によってコードされるD-キシルロース-1-キナーゼである。1つの態様において、ホモ・サピエンスD-キシルロース-1-キナーゼは、ケトヘキソキナーゼCである。いくつかの態様において、ヒトケトヘキソキナーゼCをコードする核酸分子は、khk-Cまたはそのホモログである。別の態様において、D-キシルロース-1-キナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:55に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、D-キシルロース-1-キナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:53および54からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、D-キシルロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒する酵素は、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼである。さらなる態様において、D-キシルロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびDHAPへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、D-キシルロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびDHAPへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、ホモ・サピエンスから得られる核酸分子によってコードされるD-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼである。1つの態様において、ホモ・サピエンスD-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼは、アルドラーゼBである。いくつかの態様において、ヒトアルドラーゼBをコードする核酸分子は、ALDOBまたはそのホモログである。いくつかの態様において、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:58に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:56および57からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、グリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒する酵素は、グリコールアルデヒドレダクターゼまたはアルデヒドレダクターゼである。さらなる態様において、グリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、グリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、大腸菌または出芽酵母から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるグリコールアルデヒドレダクターゼまたはアルデヒドレダクターゼである。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼまたはアルデヒドレダクターゼをコードする核酸分子は、fucO、yqhD、dkgA(yqhE)、dkgB(yafB)、yeaE、yghZ、gldA、GRE2またはそれらのホモログから選択される。別の態様において、1つまたは複数の核酸分子は、yqhDである。いくつかの態様において、yqhDは、G149E変異を含む。さらなる態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、SEQ ID NO:13、15、17、20、23、25、28、30および32からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、SEQ ID NO:12、14、16、18、19、21、22、24、26、27、29および31からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒する酵素は、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼである。さらなる態様において、アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、大腸菌、サッカロミセス属の種およびマリノバクター属の種から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるチオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼである。いくつかの態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼをコードする核酸分子は、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・サーモサッカロリチカム、バチルス・セレウス、大腸菌、出芽酵母およびマリノバクター・ヒドロカルボノクラスチカスから選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼをコードする核酸分子は、thlA、atoBおよび/もしくはERG10、またはそれらのホモログである。さらなる態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:35、37および40からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:33、34、36、38および39からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、アセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酵素は、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼである。いくつかの態様において、このトランスフェラーゼは、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼである。さらなる態様において、アセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、アセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、クロストリジウム属の種および大腸菌から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされる酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼである。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼをコードする核酸分子は、クロストリジウム・アセトブチリカムから得られる。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼをコードする核酸分子は、大腸菌から得られる。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼサブユニットをコードする核酸分子は、atoAおよびatoDまたはそれらのホモログである。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼサブユニットをコードする核酸分子は、ctfAおよびctfBまたはそれらのホモログである。さらなる態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、SEQ ID NO:43、46、97、99、101および103からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、SEQ ID NO:41、42、44、45、96、98、100および102からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、アセト酢酸からアセトンへの変換を触媒する酵素は、アセト酢酸デカルボキシラーゼである。さらなる態様において、アセト酢酸からアセトンへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、アセト酢酸からアセトンへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、クロモバクテリウム属の種およびシュードモナス属の種から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるアセト酢酸デカルボキシラーゼである。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする核酸分子は、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・ベイジェリンキイ、クロストリジウム・セルロリティカム、バチルス・ポリミキサ、クロモバクテリウム・ビオラセウムおよびシュードモナス・プチダから選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする核酸分子は、adcまたはそのホモログである。さらなる態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、SEQ ID NO:49および52からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに別の態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、SEQ ID NO:47、48、50および51からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、組換え微生物はさらに、
(a)D-キシルロースからD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒する酵素をコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
(b)グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒する酵素をコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、および
(c)ピルベートからラクテートへの変換を触媒する酵素をコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
からなる群より選択される1つまたは複数の改変を含む。
1つの態様において、D-キシルロースからD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒する酵素は、D-キシルロース-5-キナーゼである。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、大腸菌由来である。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、xylB遺伝子またはそのホモログによってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび3炭素化合物を生成する組換え微生物は、D-キシルロースからD-キシルロース-5-リン酸への変換を防ぎ、代わりにその反応をD-キシルロースからD-キシルロース-1-リン酸への変換に向けるよう、D-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入または機能喪失変異を含む。
1つの態様において、グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒する酵素は、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼである。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、大腸菌由来である。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、aldA遺伝子またはそのホモログによってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび3炭素化合物を生成する組換え微生物は、グリコールアルデヒドからのグリコール酸の生成を防ぎ、代わりにその反応をグリコールアルデヒドからMEGへの変換に向けるよう、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入または機能喪失変異を含む。
1つの態様において、ピルベートからラクテートへの変換を触媒する酵素は、乳酸デヒドロゲナーゼである。特定の態様において、この酵素は、ピルベートをラクテートに変換する。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、大腸菌由来である。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、ldhA遺伝子またはそのホモログによってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび3炭素化合物を生成する組換え微生物は、ピルベートからのラクテートの生成を防ぎ、代わりにその反応を3炭素化合物の生成に向けるよう、乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入または機能喪失変異を含む。
1つの態様において、組換え微生物はさらに、D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒する内在性酵素を含む。
別の局面において、本願は、外来性D-キシロースおよびグルコースからモノエチレングリコール(MEG)およびアセトンを同時生成することができる組換え微生物であって、
(a)D-キシロースからキリトールへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸分子、およびキシリトールからD-キシルロースへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(b)D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸分子、
の1つまたは複数を発現し、さらに
(c)(a)もしくは(b)由来のD-キシルロースからD-リブロースへの変換を触媒するD-タガトース3-エピメラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(d)(c)由来のD-リブロースからD-リブロース-1-リン酸への変換を触媒するD-リブロキナーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(e)(d)由来のD-リブロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-リブロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(f)(e)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼもしくはメチルグリオキサールレダクターゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(g)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(h)(g)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;および/または
(i)(h)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子、
の1つまたは複数を発現し、
生成された中間体DHAPが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつMEGおよびアセトンが同時生成される、前記微生物に関する。
1つの態様において、D-キシロースからキリトールへの変換を触媒する酵素は、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼである。さらなる態様において、D-キシロースからキリトールへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、D-キシロースからキリトールへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、ヒポクレア(Hypocrea)属の種、シェフェルソミセス(Scheffersomyces)属の種、サッカロミセス属の種、パキソレン(Pachysolen)属の種、ピキア(Pichia)属の種、カンジダ(Candida)属の種、アスペルギルス(Aspergillus)属の種、ニューロスポラ(Neurospora)属の種およびクリプトコッカス(Cryptococcus)属の種から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるキシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼである。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする核酸分子は、ヒポクレア・ジェコリナ(Hypocrea jecorina)、シェフェルソミセス・スチピチス(Scheffersomyces stipitis)、出芽酵母、パキソレン・タンノフィルス(Pachysolen tannophilus)、ピキア・スチピチス(Pichia stipitis)、ピキア・クエルカム(Pichia quercuum)、カンジダ・シェハテ(Candida shehatae)、カンジダ・テヌイス(Candida tenuis)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)およびクリプトコッカス・ラクタチボルス(Cryptococcus lactativorus)から選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする核酸分子は、xyl1、GRE3またはそれらのホモログである。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:84および87からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:82、83、85および86からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、キシリトールからD-キシルロースへの変換を触媒する酵素は、キシリトールデヒドロゲナーゼである。さらなる態様において、キシリトールからD-キシルロースへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、キシリトールからD-キシルロースへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、シェフェルソミセス属の種、トリコデルマ(Trichoderma)属の種、ピキア属の種、サッカロミセス属の種、グルコノバクター属の種、ガラクトカンジダ(Galactocandida)属の種、ニューロスポラ属の種およびセラチア(Serratia)属の種から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるキシリトールデヒドロゲナーゼである。いくつかの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼをコードする核酸分子は、シェフェルソミセス・スチピチス、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、ピキア・スチピチス、出芽酵母、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)、ガラクトカンジダ・マストターミチス(Galactocandida mastotermitis)、ニューロスポラ・クラッサおよびセラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)から選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、xyl2、xdh1またはそれらのホモログである。いくつかの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:90および92からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:88、89および91からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒する酵素は、D-キシロースイソメラーゼである。さらなる態様において、D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、大腸菌から得られる核酸分子によってコードされるD-キシロースイソメラーゼである。別の態様において、キシロースイソメラーゼは、ピロミセス(Pyromyces)属の種から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、D-キシロースイソメラーゼをコードする核酸分子は、xylAまたはそのホモログである。さらに別の態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:95に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:93および94からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、D-キシルロースからD-リブロースへの変換を触媒する酵素は、D-タガトース3-エピメラーゼである。さらなる態様において、D-キシルロースからD-リブロースへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、D-キシルロースからD-リブロースへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、シュードモナス属の種、メソリゾビウム属の種およびロドバクター属の種から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるD-タガトース3-エピメラーゼである。いくつかの態様において、D-タガトース3-エピメラーゼをコードする核酸分子は、シュードモナス・シコリイ、シュードモナス属種ST-24、メソリゾビウム・ロティおよびロドバクター・スフェロイデスから選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、D-タガトース3-エピメラーゼをコードする核酸分子は、dte、C1KKR1またはそれらのホモログである。いくつかの態様において、1つまたは複数の核酸分子は、FJ851309.1またはそのホモログである。さらなる態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、SEQ ID NO:3および5からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、SEQ ID NO:1、2および4からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、D-リブロースからD-リブロース-1-リン酸への変換を触媒する酵素は、D-リブロキナーゼである。さらなる態様において、D-リブロースからD-リブロース-1-リン酸への変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、D-リブロースからD-リブロース-1-リン酸への変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、大腸菌から得られる核酸分子によってコードされるD-リブロキナーゼである。いくつかの態様において、D-リブロキナーゼをコードする核酸分子は、fucKまたはそのホモログである。さらなる態様において、D-リブロキナーゼは、SEQ ID NO:8に示されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、D-リブロキナーゼは、SEQ ID NO:6および7からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、D-リブロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒する酵素は、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼである。さらなる態様において、D-リブロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびDHAPへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、D-リブロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびDHAPへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、大腸菌から得られる核酸分子によってコードされるD-リブロース-1-リン酸アルドラーゼである。いくつかの態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする核酸分子は、fucAまたはそのホモログである。さらなる態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼは、SEQ ID NO:11に示されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼは、SEQ ID NO:9および10からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、グリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒する酵素は、グリコールアルデヒドレダクターゼまたはアルデヒドレダクターゼである。さらなる態様において、グリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、グリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、大腸菌または出芽酵母から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるグリコールアルデヒドレダクターゼまたはアルデヒドレダクターゼである。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼまたはアルデヒドレダクターゼをコードする核酸分子は、fucO、yqhD、dkgA(yqhE)、dkgB(yafB)、yeaE、yghZ、gldA、GRE2またはそれらのホモログから選択される。別の態様において、1つまたは複数の核酸分子は、yqhDである。いくつかの態様において、yqhDは、G149E変異を含む。さらなる態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、SEQ ID NO:13、15、17、20、23、25、28、30および32からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、SEQ ID NO:12、14、16、18、19、21、22、24、26、27、29および31からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒する酵素は、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼである。さらなる態様において、アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、大腸菌、サッカロミセス属の種およびマリノバクター属の種から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるチオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼである。いくつかの態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼをコードする核酸分子は、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・サーモサッカロリチカム、バチルス・セレウス、大腸菌、出芽酵母およびマリノバクター・ヒドロカルボノクラスチカスから選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼをコードする核酸分子は、thlA、atoBおよび/もしくはERG10、またはそれらのホモログである。さらなる態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:35、37および40からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:33、34、36、38および39からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、アセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酵素は、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼである。いくつかの態様において、このトランスフェラーゼは、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼである。さらなる態様において、アセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、アセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、クロストリジウム属の種および大腸菌から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼである。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼをコードする核酸分子は、クロストリジウム・アセトブチリカムから得られる。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼをコードする核酸分子は、大腸菌から得られる。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼサブユニットをコードする核酸分子は、atoAおよびatoDまたはそれらのホモログである。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼサブユニットをコードする核酸分子は、ctfAおよびctfBまたはそれらのホモログである。さらなる態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、SEQ ID NO:43、46、97、99、101および103からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、SEQ ID NO:41、42、44、45、96、98、100および102からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、アセト酢酸からアセトンへの変換を触媒する酵素は、アセト酢酸デカルボキシラーゼである。さらなる態様において、アセト酢酸からアセトンへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、アセト酢酸からアセトンへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、クロモバクテリウム属の種およびシュードモナス属の種から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるアセト酢酸デカルボキシラーゼである。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする核酸分子は、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・ベイジェリンキイ、クロストリジウム・セルロリティカム、バチルス・ポリミキサ、クロモバクテリウム・ビオラセウムおよびシュードモナス・プチダから選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする核酸分子は、adcまたはそのホモログである。さらなる態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、SEQ ID NO:49および52からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに別の態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、SEQ ID NO:47、48、50および51からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、組換え微生物はさらに、
(a)D-キシルロースからD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒する酵素をコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、および
(b)D-キシルロース-5-リン酸からD-キシルロースへの変換を触媒する酵素をコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
からなる群より選択される1つまたは複数の改変を含む。
1つの態様において、D-キシルロースからD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒する酵素は、D-キシルロース-5-キナーゼである。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、出芽酵母由来である。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、XKS1遺伝子またはそのホモログによってコードされる。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、ピキア・スチピチス由来である。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、XYL3遺伝子またはそのホモログによってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび3炭素化合物を生成する組換え微生物は、D-キシルロースからD-キシルロース-5-リン酸への変換を防ぎ、代わりにその反応をD-キシルロースからD-キシルロース-1-リン酸への変換に向けるよう、D-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入または機能喪失変異を含む。
1つの態様において、D-キシルロース-5-リン酸からD-キシルロースへの変換を触媒する酵素は、アルカリホスファターゼである。いくつかの態様において、アルカリホスファターゼは、出芽酵母由来である。いくつかの態様において、アルカリホスファターゼは、PHO13遺伝子またはそのホモログによってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび3炭素化合物を生成する組換え微生物は、D-キシルロース-5-リン酸からのD-キシルロースの生成を防ぐよう、アルカリホスファターゼをコードする遺伝子に欠失、挿入または機能喪失変異を含む。
1つの態様において、外来性D-キシロースおよびグルコースからモノエチレングリコール(MEG)およびアセトンを同時生成することができる組換え微生物は、真菌である。
1つの好ましい態様において、MEGおよびアセトンは、キシロースをMEGに変換するためのキシロネート経路およびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)をアセトンに変換するためのC3分枝経路を使用してキシロースから同時生成される。
別の局面において、本願は、外来性D-キシロースからモノエチレングリコール(MEG)およびアセトンを同時生成することができる組換え微生物であって、
(a)D-キシロースからD-キシロノラクトンへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(b)(a)由来のD-キシロノラクトンからD-キシロネートへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(c)(b)由来のD-キシロネートから2-ケト-3-デオキシ-キシロネートへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(d)(c)由来の2-ケト-3-デオキシ-キシロネートからグリコールアルデヒドおよびピルベートへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(e)(d)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(f)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(g)(f)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;ならびに/または
(h)(g)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸分子、
の1つまたは複数を発現し、
生成された中間体ピルベートが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつMEGおよびアセトンが同時生成される、前記微生物に関する。
1つの態様において、D-キシロースからD-キシロノラクトンへの変換を触媒する酵素は、キシロースデヒドロゲナーゼである。さらなる態様において、D-キシロースからD-キシロノラクトンへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、D-キシロースからD-キシロノラクトンへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、カウロバクター(Caulobacter)属の種、ハロアルキュラ(Haloarcula)属の種、ハロフェラックス(Haloferax)属の種、ハロルブラム(Halorubrum)属の種およびトリコデルマ属の種から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるキシロースデヒドロゲナーゼである。いくつかの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする核酸分子は、カウロバクター・クレセンタス(Caulobacter crescentus)、ハロアーキュラ・マリスモーツイ(Haloarcula marismortui)、ハロフェラックス・ボルカニイ(Haloferax volcanii)、ハロルブラム・ラクスプロファンディ(Halorubrum lacusprofundi)およびトリコデルマ・リーゼイから選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする核酸分子は、xylB、xhd(HVO_B0028)、xyd1またはそれらのホモログから選択される。さらなる態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:61、63および65からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに別の態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:59、60、62および64からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、D-キシロノラクトンからD-キシロネートへの変換を触媒する酵素は、キシロノラクトナーゼである。さらなる態様において、D-キシロノラクトンからD-キシロネートへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、D-キシロノラクトンからD-キシロネートへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、カウロバクター属の種およびハロフェラックス属の種から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるキシロノラクトナーゼである。いくつかの態様において、キシロノラクトナーゼをコードする核酸分子は、カウロバクター・クレセンタス、ハロフェラックス・ボルカニイおよびハロフェラックス・ギボンシイ(Haloferax gibbonsii)から選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、キシロノラクトナーゼをコードする核酸分子は、xylCまたはそのホモログである。さらなる態様において、キシロノラクトナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:67に示されるアミノ酸配列を含む。さらに別の態様において、キシロノラクトナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:66に示される核酸分子によってコードされる。
1つの態様において、D-キシロネートから2-ケト-3-デオキシ-キシロネートへの変換を触媒する酵素は、キシロン酸デヒドラターゼである。さらなる態様において、D-キシロネートから2-ケト-3-デオキシ-キシロネートへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、D-キシロネートから2-ケト-3-デオキシ-キシロネートへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、カウロバクター属の種、ハロフェラックス属の種、スルホロブス(Sulfolobus)属の種および大腸菌から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるキシロン酸デヒドラターゼである。いくつかの態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする核酸分子は、カウロバクター・クレセンタス、ハロフェラックス・ボルカニイ、大腸菌およびスルホロブス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)から選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする核酸分子は、xylD、yjhG、yagF、xadまたはそれらのホモログから選択される。さらなる態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:69、72および75からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに別の態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:68、70、71、73および74からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、2-ケト-3-デオキシ-キシロネートからグリコールアルデヒドおよびピルベートへの変換を触媒する酵素は、2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼである。さらなる態様において、2-ケト-3-デオキシ-キシロネートからグリコールアルデヒドおよびピルベートへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、2-ケト-3-デオキシ-キシロネートからグリコールアルデヒドおよびピルベートへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、シュードモナス属の種および大腸菌から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされる2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼである。いくつかの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼをコードする核酸分子は、yjhH、yagEまたはそれらのホモログから選択される。さらなる態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:78および81からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに別の態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:76、77、79および80からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、グリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒する酵素は、グリコールアルデヒドレダクターゼまたはアルデヒドレダクターゼである。さらなる態様において、グリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、グリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、大腸菌または出芽酵母から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるグリコールアルデヒドレダクターゼまたはアルデヒドレダクターゼである。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼまたはアルデヒドレダクターゼをコードする核酸分子は、fucO、yqhD、dkgA(yqhE)、dkgB(yafB)、yeaE、yghZ、gldA、GRE2またはそれらのホモログから選択される。別の態様において、1つまたは複数の核酸分子は、yqhDである。いくつかの態様において、yqhDは、G149E変異を含む。さらなる態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、SEQ ID NO:13、15、17、20、23、25、28、30および32からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、SEQ ID NO:12、14、16、18、19、21、22、24、26、27、29および31からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒する酵素は、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼである。さらなる態様において、アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、大腸菌、サッカロミセス属の種およびマリノバクター属の種から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるチオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼである。いくつかの態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼをコードする核酸分子は、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・サーモサッカロリチカム、バチルス・セレウス、大腸菌、出芽酵母およびマリノバクター・ヒドロカルボノクラスチカスから選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼをコードする核酸分子は、thlA、atoBおよび/もしくはERG10、またはそれらのホモログである。さらなる態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:35、37および40からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:33、34、36、38および39からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、アセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酵素は、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼである。いくつかの態様において、このトランスフェラーゼは、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼである。さらなる態様において、アセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、アセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、クロストリジウム属の種および大腸菌から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼである。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼをコードする核酸分子は、クロストリジウム・アセトブチリカムから得られる。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼをコードする核酸分子は、大腸菌から得られる。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼサブユニットをコードする核酸分子は、atoAおよびatoDまたはそれらのホモログである。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼサブユニットをコードする1つまたは複数の核酸分子は、ctfAおよびctfBまたはそれらのホモログである。さらなる態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、SEQ ID NO:43、46、97、99、101および103からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、SEQ ID NO:41、42、44、45、96、98、100および102からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、アセト酢酸からアセトンへの変換を触媒する酵素は、アセト酢酸デカルボキシラーゼである。さらなる態様において、アセト酢酸からアセトンへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、アセト酢酸からアセトンへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、クロモバクテリウム属の種およびシュードモナス属の種から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされるアセト酢酸デカルボキシラーゼである。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする核酸分子は、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・ベイジェリンキイ、クロストリジウム・セルロリティカム、バチルス・ポリミキサ、クロモバクテリウム・ビオラセウムおよびシュードモナス・プチダから選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする核酸分子は、adcまたはそのホモログである。さらなる態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、SEQ ID NO:49および52からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに別の態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、SEQ ID NO:47、48、50および51からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、組換え微生物はさらに、
(a)D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒する酵素をコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
(b)グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒する酵素をコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、および
(c)ピルベートからラクテートへの変換を触媒する酵素をコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
からなる群より選択される1つまたは複数の改変を含む。
1つの態様において、D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒する酵素は、D-キシロースイソメラーゼである。いくつかの態様において、D-キシロースイソメラーゼは、大腸菌由来である。いくつかの態様において、D-キシロースイソメラーゼは、xylA遺伝子またはそのホモログによってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび3炭素化合物を生成する組換え微生物は、D-キシロースからD-キシルロースへの変換を防ぎ、代わりにその反応をD-キシロースからD-キシロネートへの変換に向けるよう、D-キシロースイソメラーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入または機能喪失変異を含む。
1つの態様において、グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒する酵素は、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼである。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、大腸菌由来である。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、aldA遺伝子またはそのホモログによってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび3炭素化合物を生成する組換え微生物は、グリコールアルデヒドからのグリコール酸の生成を防ぎ、代わりにその反応をグリコールアルデヒドからMEGへの変換に向けるよう、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入または機能喪失変異を含む。
1つの態様において、ピルベートからラクテートへの変換を触媒する酵素は、乳酸デヒドロゲナーゼである。特定の態様において、この酵素は、ピルベートをラクテートに変換する。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、大腸菌由来である。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、ldhA遺伝子またはそのホモログによってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび3炭素化合物を生成する組換え微生物は、ピルベートからのラクテートの生成を防ぎ、代わりにその反応を3炭素化合物の生成に向けるよう、乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入または機能喪失変異を含む。
別の局面において、本願は、外来性D-キシロースからモノエチレングリコール(MEG)およびアセトンを同時生成することができる組換え微生物であって、
(a)D-キシロースからD-キシロネートへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(b)(a)由来のD-キシロネートから2-ケト-3-デオキシ-キシロネートへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(c)(b)由来の2-ケト-3-デオキシ-キシロネートからグリコールアルデヒドおよびピルベートへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(d)(c)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(e)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(f)(e)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;ならびに/または
(g)(f)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの外来性核酸分子、
の1つまたは複数を発現し、
生成された中間体ピルベートが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつMEGおよびアセトンが同時生成される、前記微生物に関する。
1つの態様において、D-キシロースからD-キシロネートへの変換を触媒する酵素は、キシロースデヒドロゲナーゼである。さらなる態様において、D-キシロースからD-キシロネートへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、D-キシロースからD-キシロネートへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、カウロバクター属の種、ハロアルキュラ属の種、ハロフェラックス属の種、ハロルブラム属の種およびトリコデルマ属の種から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるキシロースデヒドロゲナーゼである。いくつかの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする核酸分子は、カウロバクター・クレセンタス、ハロアーキュラ・マリスモーツイ、ハロフェラックス・ボルカニイ、ハロルブラム・ラクスプロファンディおよびトリコデルマ・リーゼイから選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする核酸分子は、xylB、xdh(HVO_B0028)、xyd1またはそれらのホモログから選択される。さらなる態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:61、63および65からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに別の態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:59、60、62および64からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、D-キシロネートから2-ケト-3-デオキシ-キシロネートへの変換を触媒する酵素は、キシロン酸デヒドラターゼである。さらなる態様において、D-キシロネートから2-ケト-3-デオキシ-キシロネートへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、D-キシロネートから2-ケト-3-デオキシ-キシロネートへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、カウロバクター属の種、ハロフェラックス属の種、スルホロブス属の種および大腸菌から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるキシロン酸デヒドラターゼである。いくつかの態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする核酸分子は、カウロバクター・クレセンタス、ハロフェラックス・ボルカニイ、大腸菌およびスルホロブス・ソルファタリカスから選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする核酸分子は、xylD、yjhG、yagF、xadまたはそれらのホモログから選択される。さらなる態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:69、72および75からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに別の態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:68、70、71、73および74からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、2-ケト-3-デオキシ-キシロネートからグリコールアルデヒドおよびピルベートへの変換を触媒する酵素は、2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼである。さらなる態様において、2-ケト-3-デオキシ-キシロネートからグリコールアルデヒドおよびピルベートへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、2-ケト-3-デオキシ-キシロネートからグリコールアルデヒドおよびピルベートへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、シュードモナス属の種および大腸菌から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされる2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼである。いくつかの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼをコードする核酸分子は、大腸菌から選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼをコードする核酸分子は、yjhH、yagEまたはそれらのホモログから選択される。さらなる態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:78および81からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに別の態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:76、77、79および80からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、グリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒する酵素は、グリコールアルデヒドレダクターゼまたはアルデヒドレダクターゼである。さらなる態様において、グリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、グリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、大腸菌または出芽酵母から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるグリコールアルデヒドレダクターゼまたはアルデヒドレダクターゼである。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼまたはアルデヒドレダクターゼをコードする核酸分子は、fucO、yqhD、dkgA(yqhE)、dkgB(yafB)、yeaE、yghZ、gldA、GRE2またはそれらのホモログから選択される。別の態様において、1つまたは複数の核酸分子は、yqhDである。いくつかの態様において、yqhDは、G149E変異を含む。さらなる態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、SEQ ID NO:13、15、17、20、23、25、28、30および32からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、SEQ ID NO:12、14、16、18、19、21、22、24、26、27、29および31からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒する酵素は、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼである。さらなる態様において、アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、大腸菌、サッカロミセス属の種およびマリノバクター属の種から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるチオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼである。いくつかの態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼをコードする核酸分子は、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・サーモサッカロリチカム、バチルス・セレウス、大腸菌、出芽酵母およびマリノバクター・ヒドロカルボノクラスチカスから選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼをコードする核酸分子は、thlA、atoBおよび/もしくはERG10、またはそれらのホモログである。さらなる態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:35、37および40からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:33、34、36、38および39からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、アセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酵素は、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼである。いくつかの態様において、このトランスフェラーゼは、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼである。さらなる態様において、アセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、アセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、クロストリジウム属の種および大腸菌から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼである。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼをコードする核酸分子は、クロストリジウム・アセトブチリカムから得られる。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼをコードする核酸分子は、大腸菌から得られる。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼサブユニットをコードする核酸分子は、atoAおよびatoDまたはそれらのホモログである。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼサブユニットをコードする核酸分子は、ctfAおよびctfBまたはそれらのホモログである。さらなる態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、SEQ ID NO:43、46、97、99、101および103からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、SEQ ID NO:41、42、44、45、96、98、100および102からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、アセト酢酸からアセトンへの変換を触媒する酵素は、アセト酢酸デカルボキシラーゼである。さらなる態様において、アセト酢酸からアセトンへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、アセト酢酸からアセトンへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。別の態様において、この酵素は、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、クロモバクテリウム属の種およびシュードモナス属の種から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされるアセト酢酸デカルボキシラーゼである。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする核酸分子は、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・ベイジェリンキイ、クロストリジウム・セルロリティカム、バチルス・ポリミキサ、クロモバクテリウム・ビオラセウムおよびシュードモナス・プチダから選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする核酸分子は、adcまたはそのホモログである。さらなる態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、SEQ ID NO:49および52からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに別の態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、SEQ ID NO:47、48、50および51からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
1つの態様において、組換え微生物はさらに、
(a)D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒する酵素をコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
(b)グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒する酵素をコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、および
(c)ピルベートからラクテートへの変換を触媒する酵素をコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
からなる群より選択される1つまたは複数の改変を含む。
1つの態様において、D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒する酵素は、D-キシロースイソメラーゼである。いくつかの態様において、D-キシロースイソメラーゼは、大腸菌由来である。いくつかの態様において、D-キシロースイソメラーゼは、xylA遺伝子またはそのホモログによってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび3炭素化合物を生成する組換え微生物は、D-キシロースからD-キシルロースへの変換を防ぎ、代わりにその反応をD-キシロースからD-キシロネートへの変換に向けるよう、D-キシロースイソメラーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入または機能喪失変異を含む。
1つの態様において、グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒する酵素は、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼである。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、大腸菌由来である。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、aldA遺伝子またはそのホモログによってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび3炭素化合物を生成する組換え微生物は、グリコールアルデヒドからのグリコール酸の生成を防ぎ、代わりにその反応をグリコールアルデヒドからMEGへの変換に向けるよう、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入または機能喪失変異を含む。
1つの態様において、ピルベートからラクテートへの変換を触媒する酵素は、乳酸デヒドロゲナーゼである。特定の態様において、この酵素は、ピルベートをラクテートに変換する。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、大腸菌由来である。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、ldhA遺伝子またはそのホモログによってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび3炭素化合物を生成する組換え微生物は、ピルベートからのラクテートの生成を防ぎ、代わりにその反応を3炭素化合物の生成に向けるよう、乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入または機能喪失変異を含む。
上記局面および態様のいずれにおいても、組換え微生物はさらに、アセトンからイソプロパノールへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの核酸分子を含み得る。1つの態様において、アセトンからイソプロパノールへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、アセトンからイソプロパノールへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。1つの態様において、アセトンからイソプロパノールへの変換を触媒する酵素は、二級アルコールデヒドロゲナーゼ(S-ADH)である。別の態様において、この酵素は、バークホルデリア(Burkholderia)属の種、アルカリゲネス(Alcaligenes)属の種、クロストリジウム属の種、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacter)属の種、フィトモナス(Phytomonas)属の種、ロドコッカス(Rhodococcus)属の種、メタノバクテリウム(Methanobacterium)属の種、メタノゲニウム(Methanogenium)属の種、エントアメーバ(Entamoeba)属の種、トリコモナス(Trichomonas)属の種およびトリトリコモナス(Tritrichomonas)属の種から選択される微生物から得られる核酸分子によってコードされる二級アルコールデヒドロゲナーゼである。いくつかの態様において、二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする核酸分子は、バークホルデリア属種AIU652、アルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)、クロストリジウム・ラグスダレイ(Clostridium ragsdalei)、クロストリジウム・ベイジェリンキイ、クロストリジウム・カルボキシジボランス(Clostridium carboxidivorans)、サーモアナエロバクター・ブロッキイ(Thermoanaerobacter brockii)、サーモアナエロバクター・エタノリカス(Thermoanaerobacter ethanolicus)(クロストリジウム・サーモヒドロスルフリカム(Clostridium thermohydrosulfuricum))、ロドコッカス・ルーバー(Rhodococcus ruber)、メタノバクテリウム・パルストレ(Methanobacterium palustre)、メタン生成古細菌メタノゲニウム・リミナタンス(Methanogenium liminatans)、寄生性原生生物エントアメーバ・ヒストリティカ、(Entamoeba histolytica)、寄生性原生動物トリトリコモナス・フィータス(Tritrichomonas foetus)およびヒト寄生生物トリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis)から選択される微生物から得られる。いくつかの態様において、二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、adh、adhB、EhAdh1またはそれらのホモログである。いくつかの態様において、S-ADHは、相同性から予測され、サーモアナエロバクター・マスラニイ(Thermoanaerobacter mathranii)、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)、ノカルディオプシス・アルバ(Nocardiopsis alba)、マイコバクテリウム・ハッシアカム(Mycobacterium hassiacum)、ヘリコバクター・スイス(Helicobacter suis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・オルトプシローシス(Candida orthopsilosis)、カンジダ・メタプシローシス(Candida metapsilosis)、グロスマンニア・クラビゲラ(Grosmannia clavigera)およびシェフェルソミセス・スチピチス由来であり得る。さらなる態様において、このアルコールデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:106および108からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに別の態様において、このアルコールデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:104、105および107からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
上記局面および態様のいずれにおいても、組換え微生物はさらに、イソプロパノールからプロペンへの変換を触媒する酵素をコードする少なくとも1つの核酸分子を含み得る。1つの態様において、イソプロパノールからプロペンへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の内在性核酸分子によってコードされる。代替の態様において、イソプロパノールからプロペンへの変換を触媒する酵素は、1つまたは複数の外来性核酸分子によってコードされる。1つの態様において、イソプロパノールからプロペンへの変換を触媒する酵素は、デヒドラターゼである。
1つの態様において、C2分枝経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じてMEGが生成され、C3分枝経路におけるDHAPまたはピルベートの変換を通じてアセトンが生成される。別の態様において、C2分枝経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じてMEGが生成され、C3分枝経路におけるDHAPまたはピルベートの変換を通じてIPAが生成される。さらなる態様において、C2分枝経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じてMEGが生成され、C3分枝経路におけるDHAPまたはピルベートの変換を通じてプロペンが生成される。
1つの態様において、C3分枝経路で生成された余分なNADHの少なくとも一部は、C2分枝経路において還元当量の供給源として使用される。別の態様において、C3分枝経路で生成された余分なNADHの少なくとも一部は、ATPを生成するために使用される。
1つの態様において、同時生成されるMEGおよびアセトンは、炭素固定なしでの理論上の最大生産力の90%を超える生産力を示す。別の態様において、同時生成されるMEGおよびIPAは、炭素固定なしでの理論上の最大生産力の90%を超える生産力を示す。さらなる態様において、同時生成されるMEGおよびプロペンは、炭素固定なしでの理論上の最大生産力の90%を超える生産力を示す。
1つの態様において、余分なバイオマス形成が最小化され、MEGおよびアセトンの生成が最大化される。別の態様において、余分なバイオマス形成が最小化され、MEGおよびIPAの生成が最大化される。さらなる態様において、余分なバイオマス形成が最小化され、MEGおよびプロペンの生成が最大化される。
さらに別の局面において、本願は、上記の組換え微生物を用いてMEGおよび3炭素化合物を生成する方法であって、MEGおよび3炭素化合物が生成されるまで炭素源を供給する原料を含む培養培地中で該組換え微生物を培養する工程を含む方法を提供する。いくつかの態様において、3炭素化合物は、アセトン、イソプロパノールおよびプロペンから選択される。
さらに別の局面において、本願は、MEGおよび3炭素化合物を同時生成、生成または蓄積する組換え微生物を作製する方法を提供する。いくつかの態様において、3炭素化合物は、アセトン、イソプロパノールおよびプロペンから選択される。
さらに別の局面において、本願は、モノエチレングリコール(MEG)および3炭素化合物を同時生成する組換え微生物を提供する。いくつかの態様において、3炭素化合物は、アセトン、イソプロパノールおよびプロペンから選択される。
[本発明1001]
モノエチレングリコール(MEG)および3炭素化合物を同時生成する組換え微生物。
[本発明1002]
3炭素化合物がアセトンである、本発明1001の組換え微生物。
[本発明1003]
3炭素化合物がイソプロパノールである、本発明1001の組換え微生物。
[本発明1004]
3炭素化合物がプロペンである、本発明1001の組換え微生物。
[本発明1005]
外来性D-キシロースを含む原料からモノエチレングリコール(MEG)およびアセトンを同時生成することができる組換え微生物であって、
(a)D-キシルロースからD-リブロースへの変換を触媒するD-タガトース3-エピメラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(b)(a)由来のD-リブロースからD-リブロース-1-リン酸への変換を触媒するD-リブロキナーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(c)(b)由来のD-リブロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-リブロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(d)(c)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(e)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(f)(e)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;ならびに/または
(g)(f)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子、
の1つまたは複数を発現し、
生成された中間体DHAPが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつ
MEGおよびアセトンが同時生成される、
前記微生物。
[本発明1006]
前記原料が外来性グルコースを含む、本発明1005の組換え微生物。
[本発明1007]
外来性D-キシロースを含む原料からモノエチレングリコール(MEG)およびアセトンを同時生成することができる組換え微生物であって、
(a)D-キシルロースからD-キシルロース-1-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース1-キナーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(b)(a)由来のD-キシルロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(c)(b)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(d)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(e)(d)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;ならびに/または
(f)(e)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子、
の1つまたは複数を発現し、
生成された中間体DHAPが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつ
MEGおよびアセトンが同時生成される、
前記微生物。
[本発明1008]
内在性または外来性D-キシロースイソメラーゼが、D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒する、本発明1005または1007の組換え微生物。
[本発明1009]
D-キシロースからキシリトールへの変換を触媒するキシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子と、キシリトールからD-キシルロースへの変換を触媒するキシリトールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子とをさらに発現する、本発明1005または1007の組換え微生物。
[本発明1010]
外来性D-キシロースを含む原料からモノエチレングリコール(MEG)およびアセトンを同時生成することができる組換え微生物であって、以下の(a)~(c):
(a)D-キシロースからD-キシロノラクトンへの変換を触媒するキシロースデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの内在性または外来性核酸分子;
(b)(a)由来のD-キシロノラクトンからD-キシロネートへの変換を触媒するキシロノラクトナーゼをコードする少なくとも1つの内在性または外来性核酸分子;
(c)D-キシロースからD-キシロネートへの変換を触媒するキシロースデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの内在性または外来性核酸分子、
の1つまたは複数を発現し、さらに、以下の(d)~(i);
(d)(b)もしくは(c)由来のD-キシロネートから2-ケト-3-デオキシ-キシロネートへの変換を触媒するキシロン酸デヒドラターゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(e)(d)由来の2-ケト-3-デオキシ-キシロネートからグリコールアルデヒドおよびピルベートへの変換を触媒する2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(f)(e)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(g)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(h)(g)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;ならびに/または
(i)(h)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子、
の1つまたは複数を発現し、
生成された中間体ピルベートが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつ
MEGおよびアセトンが同時生成される、
前記微生物。
[本発明1011]
アセトンからイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの内在性または外来性核酸分子をさらに含む、本発明1005、1007または1010のいずれかの組換え微生物。
[本発明1012]
イソプロパノールからプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1つの内在性または外来性核酸分子をさらに含む、本発明1011の組換え微生物。
[本発明1013]
(a)D-キシルロースからD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
(b)グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、および
(c)ピルベートからラクテートへの変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
(d)D-キシルロース-5-リン酸からD-キシルロースへの変換を触媒するアルカリホスファターゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、および
(e)D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒するD-キシロースイソメラーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
からなる群より選択される1つまたは複数の改変をさらに含む、本発明1005、1007または1010のいずれかの組換え微生物。
[本発明1014]
D-タガトース3-エピメラーゼが、シュードモナス・シコリイ(Pseudomonas cichorii)DTEおよび/またはロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)C1KKR1である、本発明1005の組換え微生物。
[本発明1015]
D-タガトース3-エピメラーゼが、SEQ ID NO:3および5から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1005の組換え微生物。
[本発明1016]
D-リブロキナーゼが、大腸菌(E.coli)fucKである、本発明1005の組換え微生物。
[本発明1017]
D-リブロキナーゼが、SEQ ID NO:8に示されるアミノ酸配列を含む、本発明1005の組換え微生物。
[本発明1018]
D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼが、大腸菌fucAである、本発明1005の組換え微生物。
[本発明1019]
D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼが、SEQ ID NO:11に示されるアミノ酸配列を含む、本発明1005の組換え微生物。
[本発明1020]
グリコールアルデヒドレダクターゼが、大腸菌gldA、出芽酵母(S.cerevisiae)GRE2、出芽酵母GRE3、大腸菌yqhD、大腸菌ydjg、大腸菌fucO、大腸菌yafB(dkgB)、大腸菌yqhE(dkgA)、大腸菌yeaEおよび/または大腸菌yghZである、本発明1005、1007または1010のいずれかの組換え微生物。
[本発明1021]
グリコールアルデヒドレダクターゼが、SEQ ID NO:13、15、17、20、23、25、28、30および32から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1005、1007または1010のいずれかの組換え微生物。
[本発明1022]
チオラーゼが、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)thlA、大腸菌atoBおよび/または出芽酵母ERG10である、本発明1005、1007または1010のいずれかの組換え微生物。
[本発明1023]
チオラーゼが、SEQ ID NO:35、37および39から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1005、1007または1010のいずれかの組換え微生物。
[本発明1024]
酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼが、大腸菌atoA、大腸菌atoD、クロストリジウム・アセトブチリカムctfAおよび/またはクロストリジウム・アセトブチリカムctfBである、本発明1005、1007または1010のいずれかの組換え微生物。
[本発明1025]
酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼが、SEQ ID NO:43、46、97および99から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1005、1007または1010のいずれかの組換え微生物。
[本発明1026]
アセト酢酸デカルボキシラーゼが、クロストリジウム・アセトブチリカムadcおよび/またはクロストリジウム・ベイジェリンキイ(Clostridium beijerinckii)adcである、本発明1005、1007または1010のいずれかの組換え微生物。
[本発明1027]
アセト酢酸デカルボキシラーゼが、SEQ ID NO:49および52から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1005、1007または1010のいずれかの組換え微生物。
[本発明1028]
D-キシルロース1-キナーゼが、ホモ・サピエンス(Homo sapiens)khk-Cである、本発明1007の組換え微生物。
[本発明1029]
D-キシルロース1-キナーゼが、SEQ ID NO:55に示されるアミノ酸配列を含む、本発明1007の組換え微生物。
[本発明1030]
D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼが、ホモ・サピエンスaldoBである、本発明1007の組換え微生物。
[本発明1031]
D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼが、SEQ ID NO:58に示されるアミノ酸配列を含む、本発明1007の組換え微生物。
[本発明1032]
キシロースイソメラーゼが、大腸菌xylAから得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、本発明1008の組換え微生物。
[本発明1033]
キシロースイソメラーゼが、SEQ ID NO:95に示されるアミノ酸配列を含む、本発明1008の組換え微生物。
[本発明1034]
キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼが、シェフェルソミセス・スチピチス(Scheffersomyces stipitis)xyl1および/または出芽酵母GRE3である、本発明1009の組換え微生物。
[本発明1035]
キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼが、SEQ ID NO:84および87から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1009の組換え微生物。
[本発明1036]
キシリトールデヒドロゲナーゼが、シェフェルソミセス・スチピチスxyl2および/またはトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)xdh1である、本発明1009の組換え微生物。
[本発明1037]
キシリトールデヒドロゲナーゼが、SEQ ID NO:90および92から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1009の組換え微生物。
[本発明1038]
キシロースデヒドロゲナーゼが、カウロバクター・クレセンタス(Caulobacter crescentus)xylB、ハロフェラックス・ボルカニイ(Haloferax volcanii)xdh1および/またはトリコデルマ・リーゼイxyd1である、本発明1010の組換え微生物。
[本発明1039]
キシロースデヒドロゲナーゼが、SEQ ID NO:61、63および65から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1010の組換え微生物。
[本発明1040]
キシロノラクトナーゼが、カウロバクター・クレセンタスxylCである、本発明1010の組換え微生物。
[本発明1041]
キシロノラクトナーゼが、SEQ ID NO:67に示されるアミノ酸配列を含む、本発明1010の組換え微生物。
[本発明1042]
キシロン酸デヒドラターゼが、カウロバクター・クレセンタスxylD、大腸菌yjhGおよび/または大腸菌yagFである、本発明1010の組換え微生物。
[本発明1043]
キシロン酸デヒドラターゼが、SEQ ID NO:69、72および75から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1010の組換え微生物。
[本発明1044]
2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼが、大腸菌yjhHおよび/または大腸菌yagEである、本発明1010の組換え微生物。
[本発明1045]
2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼが、SEQ ID NO:78および81から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1010の組換え微生物。
[本発明1046]
二級アルコールデヒドロゲナーゼが、クロストリジウム・ベイジェリンキイadhおよび/またはクロストリジウム・カルボキシジボランス(Clostridium carboxidivorans)adhである、本発明1011の組換え微生物。
[本発明1047]
二級アルコールデヒドロゲナーゼが、SEQ ID NO:106および108から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1011の組換え微生物。
[本発明1048]
前記本発明のいずれかの組換え微生物を用いてMEGおよび3炭素化合物を生成する方法であって、MEGおよび3炭素化合物が生成されるまで炭素源を提供する原料を含む培養培地中で該組換え微生物を培養する工程を含む、前記方法。
[本発明1049]
外来性D-キシロースを含む原料からMEGおよびアセトンを生成または蓄積する組換え微生物を作製する方法であって、
(a)D-キシルロースからD-リブロースへの変換を触媒するD-タガトース3-エピメラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(b)(a)由来のD-リブロースからD-リブロース-1-リン酸への変換を触媒するD-リブロキナーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(c)(b)由来のD-リブロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-リブロース-1Pアルドラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(d)(c)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(e)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(f)(e)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;ならびに/または
(g)(f)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子、
の1つまたは複数を組換え微生物に導入するおよび/または組換え微生物内で過剰発現させる工程を含み、
生成された中間体DHAPが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつ
MEGおよびアセトンが同時生成される、
前記方法。
[本発明1050]
前記原料が外来性グルコースを含む、本発明1049の方法。
[本発明1051]
外来性D-キシロースからMEGおよびアセトンを生成または蓄積する組換え微生物を作製する方法であって、
(a)D-キシルロースからD-キシルロース-1-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース1-キナーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(b)(a)由来のD-キシルロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(c)(b)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(d)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(e)(d)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;ならびに/または
(f)(e)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子、
の1つまたは複数を組換え微生物に導入するおよび/または組換え微生物内で過剰発現させる工程を含み、
生成された中間体DHAPが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつ
MEGおよびアセトンが同時生成される、
前記方法。
[本発明1052]
内在性D-キシロースイソメラーゼが、D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒する、本発明1049または1051の方法。
[本発明1053]
D-キシロースからキシリトールへの変換を触媒するキシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子と、キシリトールからD-キシルロースへの変換を触媒するキシリトールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子とを、組換え微生物に導入するおよび/または組換え微生物内で過剰発現させる工程をさらに含む、本発明1049または1051の方法。
[本発明1054]
外来性D-キシロースからMEGおよびアセトンを生成または蓄積する組換え微生物を作製する方法であって、以下の(a)~(c):
(a)D-キシロースからD-キシロノラクトンへの変換を触媒するキシロースデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの内在性または外来性核酸分子;
(b)(a)由来のD-キシロノラクトンからD-キシロネートへの変換を触媒するキシロノラクトナーゼをコードする少なくとも1つの内在性または外来性核酸分子;
(c)D-キシロースからD-キシロネートへの変換を触媒するキシロースデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの内在性または外来性核酸分子、
の1つまたは複数を組換え微生物に導入するおよび/または組換え微生物内で過剰発現させる工程を含み、さらに、以下の(d)~(i):
(d)(b)もしくは(c)由来のD-キシロネートから2-ケト-3-デオキシ-キシロネートへの変換を触媒するキシロン酸デヒドラターゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(e)(d)由来の2-ケト-3-デオキシ-キシロネートからグリコールアルデヒドおよびピルベートへの変換を触媒する2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(f)(e)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(g)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(h)(g)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;ならびに/または
(i)(h)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子、
の1つまたは複数を組換え微生物に導入するおよび/または組換え微生物内で過剰発現させる工程を含み、
生成された中間体ピルベートが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつ
MEGおよびアセトンが同時生成される、
前記方法。
[本発明1055]
アセトンからイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子を組換え微生物に導入するおよび/または組換え微生物内で過剰発現させる工程をさらに含む、本発明1049、1051または1054の方法。
[本発明1056]
イソプロパノールからプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子を組換え微生物に導入するおよび/または組換え微生物内で過剰発現させる工程をさらに含む、本発明1055の方法。
[本発明1057]
(a)D-キシルロースからD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
(b)グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、および
(c)ピルベートからラクテートへの変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
(d)D-キシルロース-5-リン酸からD-キシルロースへの変換を触媒するアルカリホスファターゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、および
(e)D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒するD-キシロースイソメラーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
からなる群より選択される1つまたは複数の改変を組換え微生物に導入する工程をさらに含む、本発明1049、1051または1054の方法。
[本発明1058]
D-タガトース3-エピメラーゼが、シュードモナス・シコリイDTEおよび/またはロドバクター・スフェロイデスC1KKR1である、本発明1049の方法。
[本発明1059]
D-タガトース3-エピメラーゼが、SEQ ID NO:3および5から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1049の方法。
[本発明1060]
D-リブロキナーゼが、大腸菌fucKである、本発明1049の方法。
[本発明1061]
D-リブロキナーゼが、SEQ ID NO:8に示されるアミノ酸配列を含む、本発明1049の方法。
[本発明1062]
D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼが、大腸菌fucAである、本発明1049の方法。
[本発明1063]
D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼが、SEQ ID NO:11に示されるアミノ酸配列を含む、本発明1049の方法。
[本発明1064]
グリコールアルデヒドレダクターゼが、大腸菌gldA、出芽酵母GRE2、出芽酵母GRE3、大腸菌yqhD、大腸菌ydjg、大腸菌fucO、大腸菌yafB(dkgB)、大腸菌yqhE(dkgA)、大腸菌yeaEおよび/または大腸菌yghZである、本発明1049、1051または1054のいずれかの方法。
[本発明1065]
グリコールアルデヒドレダクターゼが、SEQ ID NO:13、15、17、20、23、25、28、30および32から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1049、1051または1054のいずれかの方法。
[本発明1066]
チオラーゼが、クロストリジウム・アセトブチリカムthlA、大腸菌atoBおよび/または出芽酵母ERG10である、本発明1049、1051または1054のいずれかの方法。
[本発明1067]
チオラーゼが、SEQ ID NO:35、37および39から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1049、1051または1054のいずれかの方法。
[本発明1068]
酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼが、大腸菌atoA、大腸菌atoD、クロストリジウム・アセトブチリカムctfAおよび/またはクロストリジウム・アセトブチリカムctfBである、本発明1049、1051または1054のいずれかの方法。
[本発明1069]
酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼが、SEQ ID NO:43、46、97および99から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1049、1051または1054のいずれかの方法。
[本発明1070]
アセト酢酸デカルボキシラーゼが、クロストリジウム・アセトブチリカムadcおよび/またはクロストリジウム・ベイジェリンキイadcである、本発明1049、1051または1054のいずれかの方法。
[本発明1071]
アセト酢酸デカルボキシラーゼが、SEQ ID NO:49および52から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1049、1051または1054のいずれかの方法。
[本発明1072]
D-キシルロース1-キナーゼが、ホモ・サピエンスkhk-Cである、本発明1051の方法。
[本発明1073]
D-キシルロース1-キナーゼが、SEQ ID NO:55に示されるアミノ酸配列を含む、本発明1051の方法。
[本発明1074]
D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼが、ホモ・サピエンスaldoBである、本発明1051の方法。
[本発明1075]
D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼが、SEQ ID NO:58に示されるアミノ酸配列を含む、本発明1051の方法。
[本発明1076]
キシロースイソメラーゼが、大腸菌xylAから得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、本発明1052の方法。
[本発明1077]
キシロースイソメラーゼが、SEQ ID NO:95に示されるアミノ酸配列を含む、本発明1052の方法。
[本発明1078]
キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼが、シェフェルソミセス・スチピチスxyl1および/または出芽酵母GRE3である、本発明1053の方法。
[本発明1079]
キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼが、SEQ ID NO:84および87から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1053の方法。
[本発明1080]
キシリトールデヒドロゲナーゼが、シェフェルソミセス・スチピチスxyl2および/またはトリコデルマ・リーゼイxdh1である、本発明1053の方法。
[本発明1081]
キシリトールデヒドロゲナーゼが、SEQ ID NO:90および92から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1053の方法。
[本発明1082]
キシロースデヒドロゲナーゼが、カウロバクター・クレセンタスxylB、ハロフェラックス・ボルカニイxdh1および/またはトリコデルマ・リーゼイxyd1である、本発明1054の方法。
[本発明1083]
キシロースデヒドロゲナーゼが、SEQ ID NO:61、63および65から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1054の方法。
[本発明1084]
キシロノラクトナーゼが、カウロバクター・クレセンタスxylCである、本発明1054の方法。
[本発明1085]
キシロノラクトナーゼが、SEQ ID NO:67に示されるアミノ酸配列を含む、本発明1054の方法。
[本発明1086]
キシロン酸デヒドラターゼが、カウロバクター・クレセンタスxylD、大腸菌yjhGおよび/または大腸菌yagFである、本発明1054の方法。
[本発明1087]
キシロン酸デヒドラターゼが、SEQ ID NO:69、72および75から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1054の方法。
[本発明1088]
2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼが、大腸菌yjhHおよび/または大腸菌yagEである、本発明1054の方法。
[本発明1089]
2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼが、SEQ ID NO:78および81から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1054の方法。
[本発明1090]
二級アルコールデヒドロゲナーゼが、クロストリジウム・ベイジェリンキイadhおよび/またはクロストリジウム・カルボキシジボランスadhである、本発明1055の方法。
[本発明1091]
二級アルコールデヒドロゲナーゼが、SEQ ID NO:106および108から選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1055の方法。
配列
SEQ ID NO:1~SEQ ID NO:120の配列表は、本願の一部であり、参照により本明細書に組み入れられる。配列表は、本明細書の最終項に提供される。
詳細な説明
定義
以下の定義および略語が、本開示の解釈のために使用されるべきである。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、そうでないことを前後関係が明白に指示しない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「3炭素化合物」への言及には、複数のそのような3炭素化合物が含まれ、「微生物」への言及には、1種類または複数種類の微生物への言及が含まれ、他も同様である。
本明細書において使用されるように、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含有している(contains)」、「含有している(containing)」という用語、またはそれらの他の語尾変化は、非排他的な包含をカバーするものとする。要素のリストを含む組成物、混合物、過程、方法、物体、または装置は、必ずしも、それらの要素のみに限定されず、明示的にリストされていない、またはそのような組成物、混合物、過程、方法、物体、もしくは装置に固有でない他の要素を含んでいてもよい。さらに、反対のことが明示されない限り、「または」とは、包括的な「または」をさし、排他的な「または」をさすのではない。
「約」および「およそ」という用語は、数値を修飾するために本明細書において使用されるように、その明示的な値の周りの近い範囲を示す。「X」が値である場合、「約X」または「およそX」は、0.9X~1.1Xの値、または、いくつかの態様において、0.95X~1.05Xの値を示すであろう。「約X」または「およそX」への言及は、具体的には、値X、0.95X、0.96X、0.97X、0.98X、0.99X、1.01X、1.02X、1.03X、1.04X、および1.05Xを少なくとも示す。従って、「約X」および「およそX」とは、例えば、「0.98X」の、特許請求の範囲の限定のための記載サポートを教示し提供するものとする。
本明細書において使用されるように、「微生物の」、「微生物(microbial organism)」、および「微生物(microorganism)」という用語には、古細菌、細菌、または真核生物のドメインに含まれる微視的な細胞として存在する任意の生物が含まれ、後者には、酵母および糸状菌、原虫、藻類、または高等原生生物が含まれる。従って、その用語には、微視的なサイズを有する原核細胞もしくは真核細胞、または原核生物もしくは真核生物が包含されるものとし、全ての種の細菌、古細菌、および真正細菌が含まれ、酵母および真菌のような真核微生物も含まれる。化学物質の生成のために培養され得る任意の種の細胞培養物も含まれる。
本明細書中に記載されるように、いくつかの態様において、組換え微生物は、原核微生物である。いくつかの態様において、原核微生物は、細菌である。「細菌」または「真正細菌」とは、原核生物のドメインをさす。細菌には、以下のような少なくとも11の別個の群が含まれる:(1)次の2つの主要な亜群が存在するグラム陽性(グラム+)菌:(1)高G+C群(放線菌(Actinomycetes)、マイコバクテリア(Mycobacteria)、ミクロコッカス(Micrococcus)他)、(2)低G+C群(バチルス(Bacillus)、クロストリジウム(Clostridia)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、ブドウ球菌(Staphylococci)、連鎖球菌(Streptococci)、マイコプラズマ(Mycoplasmas));(2)プロテオバクテリア(Proteobacteria)、例えば、紅色光合成+非光合成グラム陰性菌(大部分の「一般的な」グラム陰性菌を含む);(3)シアノバクテリア(Cyanobacteria)、例えば、酸素発生型光栄養生物;(4)スピロヘータ(Spirochetes)および近縁種;(5)プランクトマイセス(Planctomyces);(6)バクテロイデス(Bacteroides)、フラボバクテリア(Flavobacteria);(7)クラミジア(Chlamydia);(8)緑色硫黄細菌;(9)緑色非硫黄細菌(嫌気性光栄養生物も);(10)放射線抵抗性ミクロコッカスおよび近縁種;(11)サーモトガ(Thermotoga)およびサーモシホ・サーモフィレス(Thermosipho thermophiles)。
「グラム陰性菌」には、球菌、非腸内桿菌、および腸内桿菌が含まれる。グラム陰性菌の属には、例えば、ナイセリア(Neisseria)、スピリルム(Spirillum)、パスツレラ(Pasteurella)、ブルセラ(Brucella)、エルシニア(Yersinia)、フランシセラ(Francisella)、ヘモフィルス(Haemophilus)、ボルデテラ(Bordetella)、エシェリキア(Escherichia)、サルモネラ(Salmonella)、シゲラ(Shigella)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、ビブリオ(Vibrio)、シュードモナス(Pseudomonas)、バクテロイデス(Bacteroides)、アセトバクタ-(Acetobacter)、アエロバクター(Aerobacter)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、アゾトバクター(Azotobacter)、スピリルム(Spirilla)、セラチア(Serratia)、ビブリオ(Vibrio)、リゾビウム(Rhizobium)、クラミジア(Chlamydia)、リケッチア(Rickettsia)、トレポネーマ(Treponema)、およびフソバクテリウム(Fusobacterium)が含まれる。
「グラム陽性菌」には、球菌、非胞子形成桿菌、および胞子形成桿菌が含まれる。グラム陽性菌の属には、例えば、アクチノマイセス(Actinomyces)、バチルス、クロストリジウム(Clostridium)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、エリシペロスリクス(Erysipelothrix)、ラクトバチルス、リステリア(Listeria)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、ミキソコッカス(Myxococcus)、ノカルジア(Nocardia)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、およびストレプトマイセス(Streptomyces)が含まれる。
「組換え微生物」および「組換え宿主細胞」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、内在性酵素を発現するかもしくは過剰発現するよう遺伝学的に改変された微生物、ベクターに含まれるもの、組み込み構築物に含まれるもののような異種酵素を発現するよう遺伝学的に改変された微生物、または内在性遺伝子の発現の変化を有する微生物をさす。「変化」とは、発現、レベル、または活性が、変化の非存在下で観察されるものより大きくまたは小さくなるよう、遺伝子の発現、または1種類もしくは複数種類のポリペプチドもしくはポリペプチドサブユニットをコードするRNA分子もしくは等しいRNA分子のレベル、または1種類もしくは複数種類のポリペプチドもしくはポリペプチドサブユニットの活性が、アップレギュレートされるかまたはダウンレギュレートされることを意味する。例えば、「変化する」という用語は、「阻害する」を意味することができるが、「変化する」という単語の使用は、この定義に限定されない。「組換え微生物」および「組換え宿主細胞」という用語は、特定の組換え微生物のみならず、そのような微生物の子孫または可能性のある子孫もさすことが理解される。変異または環境的影響のいずれかによって、ある特定の改変が、後続世代において起こり得るため、そのような子孫は、実際、親細胞と同一でない場合もあるが、それでも、本明細書において使用されるその用語の範囲内に含まれる。
遺伝子配列に関する「発現」という用語は、遺伝子の転写をさし、適宜、得られたmRNA転写物のタンパク質への翻訳もさす。従って、前後関係から明らかであるように、タンパク質の発現は、オープンリーディングフレーム配列の転写および翻訳に起因する。宿主細胞における所望の産物の発現のレベルは、細胞内に存在する対応するmRNAの量または選択された配列によってコードされた所望の産物の量のいずれかに基づき決定され得る。例えば、選択された配列から転写されたmRNAは、qRT-PCRまたはノーザンハイブリダイゼーションによって定量化され得る(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)を参照すること)。選択された配列によってコードされたタンパク質は、様々な方法によって、例えば、ELISAによって、タンパク質の生物学的活性についてアッセイすることによって、またはタンパク質を認識しそれに結合する抗体を使用したウエスタンブロットもしくはラジオイムノアッセイのようなそのような活性に依存しないアッセイを利用することによって定量化され得る。Sambrook et al.,1989(前記)を参照すること。
「ポリヌクレオチド」という用語は、「核酸」という用語と交換可能に本明細書において使用され、任意の長さの一本鎖または二本鎖のセンスまたはアンチセンスのデオキシリボ核酸(DNA)を含み、適宜、siRNAを含む任意の長さの一本鎖または二本鎖のセンスまたはアンチセンスのリボ核酸(RNA)も含むが、これらに限定されるわけではない、ヌクレオチド、ヌクレオシド、またはそれらの類似体を含む、2個以上の単量体から構成された有機ポリマーをさす。「ヌクレオチド」という用語は、プリン塩基またはピリミジン塩基およびリン酸基に接合されたリボース糖またはデオキシリボース糖からなり、核酸の基本的な構造単位である数個の化合物のうちのいずれかをさす。「ヌクレオシド」という用語は、デオキシリボースまたはリボースと化合したプリン塩基またはピリミジン塩基からなり、特に、核酸に見出される(グアノシンまたはアデノシンとしての)化合物をさす。「ヌクレオチド類似体」または「ヌクレオシド類似体」という用語は、それぞれ、1個または複数個の個々の原子が異なる原子または異なる官能基に交換されたヌクレオチドまたはヌクレオシドをさす。従って、ポリヌクレオチドという用語には、任意の長さの核酸、DNA、RNA、それらの類似体および断片が含まれる。3ヌクレオチド以上のポリヌクレオチドは、ヌクレオチドオリゴマーまたはオリゴヌクレオチドとも呼ばれる。
本明細書中に記載されたポリヌクレオチドには、「遺伝子」が含まれ、本明細書中に記載された核酸分子には、「ベクター」または「プラスミド」が含まれることが理解される。従って、「構造遺伝子」とも呼ばれる「遺伝子」という用語は、1種類または複数種類のタンパク質または酵素の全部または一部を含み、例えば、遺伝子が発現される条件を決定するプロモーター配列のような制御性(非転写)DNA配列を含んでいてもよい、アミノ酸の特定の配列をコードするポリヌクレオチドをさす。遺伝子の転写される領域には、コード配列のみならず、イントロン、5'非翻訳領域(UTR)、および3'-UTRを含む非翻訳領域も含まれ得る。
「酵素」という用語は、本明細書において使用されるように、1種類または複数種類の化学的または生化学的な反応を触媒するかまたは促進する任意の物質をさし、一般的には、完全にまたは部分的にポリペプチドから構成された酵素を含むが、ポリヌクレオチドを含む異なる分子から構成された酵素も含み得る。
本明細書において使用されるように、「天然に存在しない」という用語は、本開示の微生物または酵素活性に関して使用される時、言及された種の野生型株を含む言及された種の天然に存在する株に通常見出されない少なくとも1つの遺伝的変化を、微生物または酵素が有することを意味するものとする。遺伝的変化には、例えば、代謝ポリペプチドをコードする発現可能核酸を導入する改変、その他の核酸付加、核酸欠失、および/または微生物の遺伝材料のその他の機能的破壊が含まれる。そのような改変には、例えば、言及された種についての、異種ポリペプチド、相同ポリペプチド、または異種ポリペプチドおよび相同ポリペプチドの両方についての、コード領域およびその機能性断片が含まれる。さらなる改変には、例えば、改変が遺伝子またはオペロンの発現を変化させる非コード制御領域が含まれる。例示的な天然に存在しない微生物または酵素活性には、前記のヒドロキシル化活性が含まれる。
「外来性」という用語は、様々な分子、例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、酵素等に関して本明細書において使用されるように、自然界の所定の酵母、細菌、生物、微生物、または細胞において、通常または天然には見出されずかつ/または生成されない分子をさす。
他方、「内在性」または「ネイティブ」という用語は、様々な分子、例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、酵素等に関して本明細書において使用されるように、自然界の所定の酵母、細菌、生物、微生物、または細胞において、通常または天然に見出されかつ/または生成される分子をさす。
「異種」という用語は、改変された宿主細胞に関して本明細書において使用されるように、以下の少なくとも一つに当てはまる様々な分子、例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、酵素等をさす:(a)分子が、宿主細胞に対して外来(「外来性」)である(即ち、天然に見出されない);(b)分子が、所定の宿主微生物もしくは宿主細胞において天然に見出される(例えば、「内在性」である)が、細胞内で非天然の位置においてもしくは非天然の量で生成される;および/または(c)分子が、内在性のヌクレオチド配列もしくはアミノ酸配列と、ヌクレオチド配列もしくはアミノ酸配列が異なっており、そのため、内在性に見出される内在性のヌクレオチドもしくはアミノ酸と、ヌクレオチド配列もしくはアミノ酸配列が異なる分子が、細胞内で非天然の(例えば、天然に見出されるより大きい)量で産生される。
「相同体」という用語は、第1の科または種の最初の酵素または遺伝子に関して本明細書において使用されるように、機能的分析、構造的分析、またはゲノム分析によって、第1の科または種の最初の酵素または遺伝子に相当する第2の科または種の酵素または遺伝子であると決定された第2の科または種の別個の酵素または遺伝子をさす。相同体は、最もしばしば、機能、構造、またはゲノムの類似性を有する。酵素または遺伝子の相同体を、遺伝子プローブおよびPCRを使用して容易にクローニングすることができる技術が、公知である。クローニングされた配列の相同体としての同一性は、機能的アッセイを使用して、かつ/または遺伝子のゲノムマッピングによって、確認され得る。
遺伝子によってコードされたアミノ酸配列が、第2の遺伝子のものと類似のアミノ酸配列を有する場合、そのタンパク質は、第2のタンパク質との「相同性」を有するかまたは第2のタンパク質と「相同」である。あるいは、2種類のタンパク質が「類似の」アミノ酸配列を有する場合、そのタンパク質は、第2のタンパク質との相同性を有する。従って、「相同タンパク質」という用語は、2種類のタンパク質が類似のアミノ酸配列を有することを意味するものとする。ある特定の場合において、2種類のタンパク質の間の相同性は、進化によって関連しているその共通の祖先を示す。「相同配列」または「相同体」という用語は、機能的に関連していると考えられているか、信じられているか、または公知である。機能的関係は、(a)配列同一性の程度、および/または(b)同一もしくは類似の生物学的機能を含むが、これらに限定されるわけではない、多数の方式のうちのいずれかで示され得る。好ましくは、(a)および(b)の両方が示される。配列同一性の程度は、変動し得るが、一つの態様において、(当技術分野において公知の標準的な配列アライメントプログラムを使用した時)少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも98.5%、または少なくとも約99%、または少なくとも99.5%、または少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%である。相同性は、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987)Supplement 30,section 7.718,Table 7.71に記述されたもののような当技術分野において容易に入手可能なソフトウェアプログラムを使用して決定され得る。いくつかのアライメントプログラムは、MacVector(Oxford Molecular Ltd,Oxford,U.K.)およびALIGN Plus(Scientific and Educational Software,Pennsylvania)である。他の非限定的なアライメントプログラムには、Sequencher(Gene Codes,Ann Arbor,Michigan)、AlignX、およびVector NTI(Invitrogen,Carlsbad,CA)が含まれる。類似の生物学的機能には、以下のものが含まれ得るが、これらに限定されるわけではない:同一または類似の酵素反応を触媒すること;基質もしくは補助因子に対して同一もしくは類似の選択性を有すること;同一もしくは類似の安定性を有すること;様々な発酵条件(温度、pH等)に対して同一もしくは類似の耐性を有すること;および/または様々な代謝基質、生成物、副生成物、中間体等に対して同一もしくは類似の耐性を有すること。生物学的機能の類似性の程度は、変動し得るが、一つの態様において、所定の生物学的機能を決定するための当業者に公知の1種類または複数種類のアッセイによって、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも98.5%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%、または少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%である。
「バリアント」という用語は、本明細書中に記載された任意のポリペプチドまたは酵素をさす。バリアントには、多量体の1種類または複数種類の成分、個々の成分を含む多量体、複数の個々の成分を含む多量体(例えば、参照分子の多量体)、化学的分解生成物、および生物学的分解生成物も包含される。具体的な非限定的な態様において、リナロールデヒドラターゼ/イソメラーゼ酵素は、参照リナロールデヒドラターゼ/イソメラーゼ酵素をコードするポリペプチド配列の任意の部分における変化によって、参照リナロールデヒドラターゼ/イソメラーゼ酵素に対して「バリアント」であり得る。参照リナロールデヒドラターゼ/イソメラーゼ酵素のバリアントは、参照リナロールデヒドラターゼ/イソメラーゼ酵素の調製物の酵素活性を測定するために使用された標準的なアッセイにおいて、少なくとも10%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも105%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、またはそれ以上の酵素活性を有していてよい。いくつかの態様において、バリアントとは、本開示の全長のまたはプロセシングを受けていないリナロールデヒドラターゼ/イソメラーゼ酵素との少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドもさすことができる。いくつかの態様において、バリアントとは、本開示の成熟型のまたはプロセシングを受けたリナロールデヒドラターゼ/イソメラーゼ酵素との少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドもさすことができる。
「シグナル配列」という用語は、本明細書において使用されるように、細胞内の位置へ、または細胞外環境へ、ペプチドおよびポリペプチドをターゲティングするアミノ酸配列をさす。シグナル配列は、典型的には、ポリペプチドのN末端部分にあり、典型的には、酵素的に除去される。シグナル配列を有するポリペプチドは、全長でありかつ/またはプロセシングを受けていないと呼ばれる。シグナル配列が除去されたポリペプチドは、成熟型でありかつ/またはプロセシングを受けていると呼ばれる。
「生産力」という用語は、本明細書において使用されるように、生合成経路からの生成物の収率をさす。一つの態様において、生産力は、出発化合物の重量当たりの最終生成物の重量パーセントとして表され得る。
「熱力学的最大収率」という用語は、本明細書において使用されるように、原料と比較した生成物のエネルギー値に基づく、グルコースのような所定の原料の発酵から入手される生成物の最大収率をさす。例えば、光、水素ガスまたはメタンまたは電気のような付加的なエネルギー源を使用しない、通常の発酵において、生成物は、原料より多くのエネルギーを含有し得ない。熱力学的最大収率とは、原料からの全てのエネルギーおよび質量が生成物へ変換される生成物収率を意味する。この収率は、計算可能であり、具体的な経路に依存しない。生成物への特定の経路が、熱力学的最大収率より低い収率を有する場合、それは質量を失っており、生成物へのより効率的な経路によって改善され得るか、または該経路に置き換えられ得る可能性が最も高い。
「酸化還元バランスがとれている」という用語は、それらが消費するのと同量の酸化還元補助因子を全体として生成する1セットの反応をさす。酸化還元補助因子のバランスがとれているかまたはほぼとれているよう、代謝経路を設計し、生物を操作することによって、一般的には、所望の化合物のより効率的なより高い収率での生成がもたらされる。酸化還元反応は、一方が酸化反応であり、他方が還元反応である、同時に起こる2種類の半反応として常に共に起こる。酸化還元過程においては、還元体が酸化体に電子を移す。従って、反応中、還元体または還元剤は、電子を失い酸化され、酸化体または酸化剤は、電子を獲得し還元される。一つの態様において、酸化還元反応は、生物系において起こる。生物学的エネルギーは、酸化還元反応によって、保管され、放出される場合が多い。光合成は、二酸化炭素の糖への還元および水の分子状酸素への酸化を含む。逆反応である呼吸は、糖を酸化して二酸化炭素および水を生成する。中間段階として、還元された炭素化合物が、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を還元するために使用され、次いで、それが、アデノシン三リン酸(ATP)の合成を駆動し、酸素の還元によって維持される、プロトン勾配の作出に寄与する。酸化還元状態という用語は、細胞または器官のような生物系におけるGSH/GSSG、NAD+/NADH、およびNADP+/NADPHのバランスを記載するためにしばしば使用される。酸化還元状態は、相互変換がこれらの比に依存する、代謝物のいくつかのセット(例えば、ラクテートおよびピルベート、βヒドロキシ酪酸およびアセト酢酸)のバランスに反映される。異常な酸化還元状態は、低酸素、ショック、および敗血症のような多様な有害な状況において発生し得る。
「C2経路」、「C2分枝経路」、または「C2ストリーム」という用語は、本明細書において使用されるように、MEGがグリコールアルデヒドを介して生成され得る生化学的経路をさす。
「C3経路」、「C3分枝経路」、または「C3ストリーム」という用語は、本明細書において使用されるように、MEGまたは1種類もしくは複数種類の3炭素化合物が、ピルベートまたはジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)を介して生成され得る生化学的経路をさす。
序論
本開示は、異なる宿主におけるモノエチレングリコール(MEG)および1種類または複数種類の3炭素化合物の生成を組み合わせる。いくつかの態様において、3炭素化合物は、イソプロパノール(IPA)である。本開示は、それによって、これまでに証明された公知のMEG経路およびIPA経路についての経路工学の最大の課題のうちのいくつかを回避する。驚くべきことに、MEG生成のための経路と、3炭素化合物の生成のための経路との組み合わせは、相互を補完し、高度に相乗的であり、単独での各経路の最大の課題および欠点を回避するかまたは克服し、良好な酸化還元バランスを確立するのみならず、過剰のATPを生成することなく、必要とされるATPも送達する。
リブロース-1-リン酸を介したキシロースからのMEGの証明された発酵的生成(その全体が本明細書において参照されるWO2013126721A1)は、高い生産力を有する(82wt%=0.82g MEG/gキシロース)。MEGは、並行して活性である2種類の異なる経路である2炭素(C2)ストリーム(グリコールアルデヒドを介する)および3炭素(C3)ストリーム(ジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)を介する)を介して生成される。C2ストリームを高い効率で実行することは容易であるが、C3ストリームを代謝工学を介して高い効率で実行することは、極めて困難である。DHAP→MEGのためのいくつかの経路オプションが存在するが、それらは全て実行するのが困難である。さらに、過程全体がATP中性である。従って、細胞の増殖および維持のために必要とされるいくらかの余剰のATPを入手するため、一部のグルコースが失われ、従って、収率が失われるであろう。
キシルロース-1-リン酸を介したキシロースからのMEGのさらなる証明された発酵的生成(Alkim et al.,Microb Cell Fact(2015)14:127)は、WO2013126721A1によって記載された経路に極めて類似している。それは同じ高い生産力(82wt%)を有するが、DHAPを介したMEG生成のためのC3ストリームは、実行するのが困難であり、ATP不足が起こる。
グルコースからのMEGのさらなる発酵的生成が証明された(Chen et al.,Met.Eng.(2016)33:12-13)。それは、DHAPを介して進み、次いで、エタノールアミン、グリセルアルデヒド、MEGへと進む、WO2013126721A1のC3ストリーム解決策のうちの一つと同一の経路を排他的に使用する。このケースにおいてのみ、DHAPは、キシロースではなくグルコースに由来する。従って、DHAPからMEGへの高い生産力および高い収率の経路を実行することは、技術的にさらに困難である。さらに、それは、グルコースに由来する生成物MEGの熱力学的最大収率(82wt%)に対して、69wt%という低下した全生産力を有する。その経路は、さらに、ATP中性であり、細胞が増殖および維持のために必要とするATPを生成しない。また、この経路は、酸化還元バランスがとれておらず、消費されるグルコース1mol当たり2molという高過剰のNADHを有し、細胞が生存可能であるためには、その全部が再酸化される必要がある。好気的発酵において、このNADHは、ATPを作成するために使用され得るが、それは高過剰(2 NADH→6 ATP)であり、生成期中の過剰バイオマス形成をもたらし、従って、低下した生成物の形成および収率をもたらすであろう。グルコースからのMEG生成についての生産力の損失のための唯一の記載されている解決策は、高い生産力を有するキシロースからのMEGの生成である。グルコースからMEGへの過程における過剰NADH生成のための唯一の記載されている解決策は、酸化還元中性であり得るキシロースからのMEGの生成である。
アセトアセチルCoAを介したIPAの証明された発酵的生成(その全体が本明細書において参照されるUS2010/0311135)は、過剰のNADH(消費されるグルコース1mol当たり2mol)および低い生産力(34wt%)を有する。この経路は、生成期に細胞維持のために必要とされるより多くの過剰のATP(消費されるグルコース1mol当たり2mol)を有し、従って、生成よりバイオマス形成に有利である。NADHが炭素固定を介して利用されない場合、細胞が生存可能であり続けるには、それが再酸化される必要があり、この過程において、さらにグルコースを失う。あるいは、NADHは、ATP生成を通して酸化され得るが、それは、さらに多くの望まれない過剰のATPをもたらすであろう。
NADH過剰を低下させIPA生産力(熱力学的最大収率=47wt%)を増加させるため、発酵中に過剰に生成されたCO2を再捕獲し、その際に過剰のNADHも再酸化する(CO2固定)という、他の可能性のある解決策が存在する。または、より多くのアセチルCoA、より少ないCO2およびNADHを作成するため、一部のフラックスを解糖経路からホスホケトラーゼ(PK)/ホスホトランスアセチラーゼ(PTA)経路へ転向させることによって、過剰のCO2およびNADHの放出を全て回避する。しかしながら、これまでのところ、これらのオプションのいずれも、IPA生成に関して技術的に証明されておらず、一般に、極めて難題であることが公知である。
本開示は、キシロースからのMEG生成のための実行が容易な3種類の高収率C2ストリームのうちの1種類を、DHAP経路を介した実行が容易なIPA生成ストリームと組み合わせる。驚くべきことに、IPA経路の問題である過剰のNADHの生成は、NADHを必要とするMEG生成のC2部分を補完する。これらの経路の組み合わせは、61wt%という高い全生産力をもたらし、それは、これらの生成物が2:1比で生成されると仮定した場合のキシロースのMEGおよびIPAへの分解についての65wt%という最大エネルギー収率に近い。この高い生産力は、キシロースからのMEG生成のC2ブランチとのIPA経路のカップリングの相乗作用に起因する。
提唱された経路は、その基本的な形態においては、酸化還元中性でないが、消費されるキシロース1mol当たり0.5molという小過剰のNADHを有する。好気的発酵において、NADHの酸化は、生成物形成に有意に負の影響を及ぼすことなく、生成期の間の増殖および維持のために必要とされる、十分であるが過剰でないATPを入手するため、ちょうど十分なATPを送達することができる。
本開示は、MEGおよび/またはIPAの生成に関連した多数の問題を解決する。一つの態様において、キシロースからのMEGの生成におけるC3経路の実行が困難であるという問題が、解決される。もう一つの態様において、キシロースからのMEGの生成におけるATP不足の問題が、解決される。もう一つの態様において、グルコースからのMEGの生成における生産力の損失の問題が、解決される。もう一つの態様において、グルコースからのMEGの生成におけるATP不足の問題が、解決される。もう一つの態様において、グルコースからのMEGの生成における過剰のNADHの生成の問題が、解決される。もう一つの態様において、グルコースからのIPAの生成における生産力の損失の問題が、解決される。もう一つの態様において、グルコースからのIPAの生成における過剰のNADHの生成の問題が、解決される。
一つの態様において、大腸菌におけるMEG+IPA同時生成のための経路は、IPA生成のための以下の酵素を含む:チオラーゼ、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼ、アセト酢酸デカルボキシラーゼ、および二級アルコールデヒドロゲナーゼ。リブロース-1-リン酸を介したMEG経路は、以下の酵素を含む:D-タガトース3-エピメラーゼ、D-リブロキナーゼ、D-リブロースリン酸アルドラーゼ、およびグリコールアルデヒドレダクターゼ。所望の経路への炭素フラックスを増加させるため、炭素フラックスを転向させることができる3種類の特定の遺伝子を同定し欠失させた:キシルロキナーゼ(この酵素は炭素フラックスをペントースリン酸経路へ転向させることができる)をコードするxylB遺伝子、アルデヒドデヒドロゲナーゼA(グリコールアルデヒドからの炭素フラックスをMEGの代わりにグリコール酸へ転向させることができる)をコードするaldA遺伝子、および乳酸デヒドロゲナーゼ(この酵素はピルベートからの炭素フラックスをアセチルCoAの代わりにラクテートへ転向させることができる)をコードするldhA遺伝子。
経路(図1)の第1段階は、D-キシロースのD-キシルロースへの自然変換である。D-キシルロースは、通常、エネルギーおよびバイオマスの生成のためにペントースリン酸経路に入るが、それは、xylB遺伝子の欠失によって阻害される。操作された経路においては、全ての炭素が、D-タガトース3-エピメラーゼ酵素によって、D-リブロースへ向け直されるであろう。次いで、D-リブロースは、ネイティブの大腸菌酵素D-リブロキナーゼによってD-リブロース-1-リン酸へ変換される。D-リブロース-1-リン酸は、D-リブロースリン酸アルドラーゼによってグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)に切断される。DHAPのさらなる分解は、C3ブランチと呼ばれ、IPA生成をもたらす。C2ブランチと呼ばれるグリコールアルデヒドの分解は、エチレングリコールまたはグリコール酸の形成をもたらし得る。グリコール酸は、aldA遺伝子産物によって生成され得る望まれない副生成物である。エチレングリコールは、酵素グリコールアルデヒドレダクターゼを使用して、グリコールアルデヒドから生成され得る。(グリセルアルデヒド-3-リン酸およびピルベートを通した)DHAPのアセチルCoAへの変換は、天然の大腸菌代謝の一部である。1個のアセチルCoA分子が、酵素チオラーゼによって、もう1個のアセチルCoA分子と縮合し、アセトアセチルCoAが生成される。アセトアセチルCoA由来のCoAは、アセチルCoAおよびアセト酢酸を生成する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼによって、酢酸分子に再利用される。アセト酢酸は、アセト酢酸デカルボキシラーゼによってアセトンへ脱カルボキシルされ、それが、二級アルコールデヒドロゲナーゼ酵素によってIPAへさらに還元される。IPAは、デヒドラターゼによってさらにプロペンへ変換され得る(図4)。
もう一つの態様において、大腸菌におけるMEG+IPA同時生成のための経路は、IPA生成のための以下の酵素を含む:チオラーゼ、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼ、アセト酢酸デカルボキシラーゼ、および二級アルコールデヒドロゲナーゼ。D-キシルロース-1-リン酸を介したMEG経路は、以下の酵素を含む:D-キシルロース1-キナーゼ、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ、およびグリコールアルデヒドレダクターゼ。所望の経路への炭素フラックスを増加させるため、炭素フラックスを転向させることができる3種類の特定の遺伝子を同定し欠失させた:キシルロキナーゼ(この酵素は炭素フラックスをペントースリン酸経路へ転向させることができる)をコードするxylB遺伝子、アルデヒドデヒドロゲナーゼA(グリコールアルデヒドからの炭素フラックスをMEGの代わりにグリコール酸へ転向させることができる)をコードするaldA遺伝子、および乳酸デヒドロゲナーゼ(この酵素はピルベートからの炭素フラックスをアセチルCoAの代わりにラクテートへ転向させることができる)をコードするldhA遺伝子。
経路(図2)の第1段階は、D-キシロースのD-キシルロースへの自然変換である。D-キシルロースは、通常、エネルギーおよびバイオマスの生成のためにペントースリン酸経路に入るが、それはxylB遺伝子の欠失によって阻害される。操作された経路においては、全ての炭素が、D-キシルロース1-キナーゼ酵素によってD-キシルロース-1-リン酸に向け直されるであろう。次いで、D-キシルロース-1-リン酸は、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼによってグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)へ切断される。グリコールアルデヒドからのMEGの生成、ならびにDHAPからの3炭素化合物(例えば、アセトン、IPA、および/またはプロペン)の生成は、図1について記載されたように進行する。
もう一つの態様において、大腸菌におけるMEG+IPA同時生成のための経路は、IPA生成のための以下の酵素を含む:チオラーゼ、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼ、アセト酢酸デカルボキシラーゼ、および二級アルコールデヒドロゲナーゼ。D-キシロネートを介したMEG経路は、以下の酵素を含む:キシロースデヒドロゲナーゼ、任意で、キシロノラクトナーゼ、キシロン酸デヒドラターゼ、2-ケト-3-デオキシ-D-キシロン酸アルドラーゼ、およびグリコールアルデヒドレダクターゼ。所望の経路への炭素フラックスを増加させるため、炭素フラックスを転向させることができる3種類の特定の遺伝子を同定し欠失させた:D-キシロースイソメラーゼ(この酵素はD-キシロースからの炭素フラックスをD-キシロネートまたはD-キシロノラクトンの代わりにD-キシルロースへ転向させることができる)をコードするxylA遺伝子、アルデヒドデヒドロゲナーゼA(グリコールアルデヒドからの炭素フラックスをMEGの代わりにグリコール酸へ転向させることができる)をコードするaldA遺伝子、および乳酸デヒドロゲナーゼ(この酵素はピルベートからの炭素フラックスをアセチルCoAの代わりにラクテートへ転向させることができる)をコードするldhA遺伝子。
経路(図3)の第1工程は、D-キシロースをD-キシロノラクトンへ変換するためにキシロースデヒドロゲナーゼを使用し、続いて、D-キシロノラクトンをキシロノラクトナーゼ酵素によってD-キシロネートへ変換する2段階過程、またはD-キシロースを直接D-キシロネートへ変換するためにキシロースデヒドロゲナーゼを使用する1段階過程のいずれかによる、D-キシロースのD-キシロネートへの変換である。D-キシロースのD-キシルロースへの変換は、xylA遺伝子の欠失によって阻害される。次いで、D-キシロネートは、キシロン酸デヒドラターゼによって2-ケト-3-デオキシキシロネートへ変換される。次いで、2-ケト-3-デオキシキシロネートは、2-ケト-3-デオキシ-D-キシロン酸アルドラーゼによってグリコールアルデヒドおよびピルベートへ切断される。グリコールアルデヒドからのMEGの生成、ならびにピルベートからの3炭素化合物(例えば、アセトン、IPA、および/またはプロペン)の生成は、図1について記載されたように進行する。
出芽酵母におけるMEG+IPA同時生成のための経路(図5)は、IPA生成のための以下の酵素を含む:チオラーゼ、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼ、アセト酢酸デカルボキシラーゼ、および二級アルコールデヒドロゲナーゼ。D-リブロース-1-リン酸を介したMEG経路は、以下の酵素を含む:D-タガトース3-エピメラーゼ、D-リブロキナーゼ、D-リブロースリン酸アルドラーゼ、およびグリコールアルデヒドレダクターゼ。2種類の主要な経路の他に、出芽酵母はキシロースを消費することができない。従って、2種類の異なる経路を、キシロース消費について試験した。経路1は、2種類の遺伝子を含み:Xyl1は、D-キシロースをキシリトールへ変換し、Xyl2は、キシリトールをD-キシルロースへ変換する。経路2は、1種類の遺伝子:D-キシロースを直接D-キシルロースへ変換するXylAのみを含む。所望の経路への炭素フラックスを増加させるため、炭素フラックスを転向させることができる2種類の特定の遺伝子を同定し欠失させた:キシルロキナーゼ(この酵素は炭素フラックスをペントースリン酸経路に転向させることができる)をコードするXKS1遺伝子およびアルカリホスファターゼ(ペントースリン酸経路からの炭素を転向させることができる)をコードするPHO13遺伝子。
経路の第1工程は、直接の、または中間体キシリトールを介した、D-キシロースのD-キシルロースへの変換である。D-キシルロースは、D-タガトース3-エピメラーゼ酵素によってD-リブロースへ変換される。次いで、D-リブロースは、D-リブロキナーゼによってD-リブロース-1-リン酸へ変換される。D-リブロース-1-リン酸は、D-リブロースリン酸アルドラーゼによってグリコールアルデヒドおよびDHAPへ切断される。DHAPは、IPA生成のためのC3ブランチに入り、グリコールアルデヒドは、グリコールアルデヒドレダクターゼを使用して、エチレングリコールへ変換され得る。(グリセルアルデヒド3-リン酸およびピルベートを通した)DHAPのアセチルCoAへの変換は、天然出芽酵母代謝の一部である。1個のアセチルCoA分子が、チオラーゼによって、別のアセチルCoA分子と縮合し、アセトアセチルCoAが生成される。アセトアセチルCoA由来のCoAは、1個のアセチルCoA分子および1個のアセト酢酸分子を生成する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼによって、酢酸の分子に再利用される。アセト酢酸は、アセト酢酸デカルボキシラーゼによってさらにアセトンへ脱カルボキシルされ、それが、二級アルコールデヒドロゲナーゼ酵素によってさらにIPAへ変換される。IPAは、デヒドラターゼ-イソメラーゼによってさらにプロペンへ変換され得る(図4)。
驚くべきことに、IPA経路の主要な問題である過剰のNADHの生成は、過剰のATPを生成することなく、好気過程において必要されるATPを作成するためにちょうど十分なNADHを残しながら、C2ブランチのNADHの必要性を補完するため、MEG生成のためのC2ストリームと高度に相乗的である。
炭素固定を含まない、US 2010/0311135およびその他の出願の記載されたIPA過程は、47wt%というエネルギー的最大生産力に対して34wt%しか達成することができない。従って、このIPA経路は、完全に実行されたとしても、エネルギー的最大収率の72%しか達成することができない。本開示において、IPA生成のMEG生成とのカップリングの相乗作用は、CO2固定の必要なしに、組み合わせられた生成物の61wt%という生産力が、65wt%というエネルギー的(=理論上の、経路に依存しない)最大生産力に極めて近くなる(94%)ようなものである。
さらなる態様において、キシロースからの本発明の同時生成経路は、過剰の還元剤を使用してCO2を固定する天然のまたは付加された能力を有する生物において実行され、それによって、さらに高い生産力を提供する。様々なCO2固定経路が公知であり、大腸菌またはその他の宿主において実行されている。クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)のようなアセトゲンは、中間体アセチルCoAを生成するためウッド・リュングダル(Wood-Ljungdahl)経路において放出されたCO2を再捕捉するために特に効率的な提示されたキシロース発酵経路において作成された過剰のNADHを天然に利用することができ、次いで、それは、より多くのアセトンまたは関連生成物を生成するために使用され得る。CO2は、例えば、ピルベート+CoA+NAD+→アセチルCoA+CO2+2 NADHまたはアセトアセトン→アセトン+CO2の反応において放出される。さらに、水素ガス(H2)または合成ガス(H2、CO、CO2の組成物)またはメタノールのような第2の原料の添加は、より多くの還元剤を提供し、さらに、アセトゲンまたは同様の能力を与えられた生物が、キシロース発酵経路において放出されたCO2または第2の原料に存在するCO2を全て再捕捉することを可能にすることができる。従って、そのような混合栄養発酵は、生産力をさらに増加させることができる。キシロースからのMEG+アセトンのケースにおいて、CO2固定は、25%相対アセトンまたは8%全MEG+アセトンという生成物収率の増加をもたらすことができる。全てのキシロース炭素の完全な捕捉のために計算された外部から添加された還元剤によって、アセトンについての生産力は、+100%となり、それは、+32%の全生成物収率と等しい。
CO2固定がない場合の生産力:
1キシロース→1 MEG+1/2アセトン+3/2 CO2+1 NADH
1キシロース→1 MEG+1/2 IPA+3/2 CO2+1/2 NADH
CO2固定がある場合の生産力:
1キシロース→1 MEG+5/8アセトン+9/8 CO2
1キシロース→1 MEG+10/18 IPA+4/3 CO2
キシロース発酵中に放出される全てのCO2と等しいCO2の固定について計算された、外部から添加された還元剤による生産力:
1キシロース→1 MEG+1アセトン
1キシロース→1 MEG+1 IPA
本開示は、理論的に適切であり相乗的であるが、驚くべきことに、MEGおよびIPAの発酵過程:C3ストリームMEG発酵およびIPA過程のための炭素固定の両方の最大の代謝工学的および技術的難題も回避する。
一つの態様において、MEGが、C-2分枝経路においてグリコールアルデヒドの変換を通して生成され、アセトンが、C-3分枝経路においてDHAPまたはピルベートの変換を通して生成される。もう一つの態様において、MEGが、C-2分枝経路においてグリコールアルデヒドの変換を通して生成され、IPAが、C-3分枝経路においてDHAPまたはピルベートの変換を通して生成される。さらなる態様において、MEGが、C-2分枝経路においてグリコールアルデヒドの変換を通して生成され、プロペンが、C-3分枝経路においてDHAPまたはピルベートの変換を通して生成される。
一つの態様において、C-3ブランチにおいて生成された過剰のNADHの少なくとも一部分は、C-2ブランチにおいて還元当量の起源として使用される。もう一つの態様において、C-3ブランチにおいて生成された過剰のNADHの少なくとも一部分は、ATPを生成するために使用される。
一つの態様において、同時生成されるMEGおよびアセトンは、炭素固定なしに理論上の最大生産力の90%を超える生産力を含む。もう一つの態様において、同時生成されるMEGおよびIPAは、炭素固定なしに理論上の最大生産力の90%を超える生産力を含む。さらなる態様において、同時生成されるMEGおよびプロペンは、炭素固定なしに理論上の最大生産力の90%を超える生産力を含む。
一つの態様において、過剰のバイオマス形成が最小化され、MEGおよびアセトンの生成が最大化される。もう一つの態様において、過剰のバイオマス形成が最小化され、MEGおよびIPAの生成が最大化される。さらなる態様において、過剰のバイオマス形成が最小化され、MEGおよびプロペンの生成が最大化される。
モノエチレングリコール(MEG)
モノエチレングリコール(MEG)は、産業的適用のための重要な原材料である。MEGの主な用途は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、フィルム、および繊維の製造である。さらに、MEGは、不凍液、冷却水、航空機の防氷装置および除氷装置、ならびに溶媒の生成において重要である。MEGは、エタン-1,2-ジオールとしても公知である。
エチレングリコールは、例えば、自動車および液冷コンピュータにおいて、対流熱伝達媒体としても使用される。
高い沸点および水に対する親和性のため、エチレングリコールは、有用な乾燥剤である。エチレングリコールは、遠隔ガス田からガス処理施設まで天然ガスを運搬する長い多相パイプラインにおいて天然ガスクラスレート(水和物)の形成を阻害するために広く使用されている。エチレングリコールは、天然ガスから回収され、水および無機塩を除去する精製処理の後に阻害剤として再使用され得る。
エチレングリコールのマイナーな用途には、コンデンサーの製造における用途、1,4-ジオキサンの製造における化学的中間体としての用途、およびパソコンのための液冷系における腐食を防止するための添加剤としての用途が含まれる。エチレングリコールは、いくつかのワクチンの製造においても;靴ずみ、インク、および色素の微量成分としても;森のための腐敗および真菌処理としても;生物学的標本のための保存剤としても、使用される。
アセトン
(プロパノンとしても公知である)アセトンは、式(CH3)2COを有する有機化合物である。それは、無色、揮発性、可燃性の液体であり、最も単純なケトンである。
アセトンは、水と混和性であり、典型的には、実験室における洗浄のための重要な溶媒として役立つ。主として、溶媒として使用するため、そしてメタクリル酸メチルおよびビスフェノールAの生成のため、670万トン超が世界中で生成されている。それは、有機化学における一般的なビルディングブロックである。アセトンの周知の家庭用の用途は、除光液の活性成分としての用途、およびペンキ希釈剤としての用途である。
イソプロパノール
イソプロパノールとも呼ばれるイソプロピルアルコール(IUPAC名2-プロパノール)は、化学式C3H8OまたはC3H7OHまたはCH3CHOHCH3を有する化合物である。それは、強い臭いを有する無色の可燃性の化学的化合物である。それは、(CH3)2CHOHとして時に示される、2個の他の炭素原子にアルコール炭素原子が付着した二級アルコールの最も単純な例である。それは、プロパノールの構造異性体である。それは、多様な産業用および家庭用の用途を有する。
プロピレンまたはメチルエチレンとしても公知のプロペンは、化学式C3H6を有する不飽和有機化合物である。それは、1個の二重結合を有し、アルケンクラスの炭化水素の2番目に単純なメンバーである。
プロペンは、化石燃料(石油、天然ガス)から生成され、はるかに少ない程度に、石炭から生成される。プロペンは、油精製および天然ガス処理の副生成物である。
プロペンは、石油化学工業においてエチレンに続いて2番目に重要な出発生成物である。それは、多様な生成物のための原材料である。プラスチックポリプロピレンの製造業者は、全ての需要のほぼ3分の2を占める。ポリプロピレンは、例えば、フィルム、パッケージング、キャップ、およびクロージャーの作製、ならびにその他の適用のために必要とされる。プロペンは、プロピレンオキシド、アクリロニトリル、クメン、ブチルアルデヒド、およびアクリル酸のような重要な化学物質の生成のためにも使用される。8500万トンを超えるプロペンが、世界中で処理されている。
酵素
本明細書中に開示されたMEGおよび3炭素化合物の同時生成経路において使用され得る例示的な酵素は、表1にリストされる。
D-タガトース3-エピメラーゼ(EC 5.1.3.31)
本開示は、様々なケトースのC-3位のエピマー化を触媒し、DフルクトースとD-プシコース、D-タガトースとD-ソルボース、D-リブロースとD-キシルロース、およびL-リブロースとL-キシルロースを相互変換することができる酵素を記載する。特異性は種に依る。シュードモナス・シコリイおよびロドバクター・スフェロイデスに由来する酵素は、Mn
2+を必要とする。一つの態様において、酵素は、D-タガトース3-エピメラーゼ(dte)である。もう一つの態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、D-キシルロースのD-リブロースへの変換を触媒する。
いくつかの態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、シュードモナス属の種に由来する。もう一つの態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、シュードモナス・シコリイに由来する。もう一つの態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、シュードモナス属種ST-24に由来する。もう一つの態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、メソリゾビウム・ロティに由来する。もう一つの態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、ロドバクター・スフェロイデス(C1KKR1)に由来する。
一つの態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、シュードモナス属の種、メソリゾビウム属の種、およびロドバクター属の種からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、シュードモナス・シコリイ、シュードモナス属種ST-24、メソリゾビウム・ロティ、およびロドバクター・スフェロイデスからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、1種類または複数種類の核酸分子は、dteおよび/もしくはFJ851309.1またはそれらの相同体である。さらなる態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、SEQ ID NO:3および5からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、SEQ ID NO:1、2、および4からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
D-タガトース3-エピメラーゼは、L-リブロース3-エピメラーゼまたはケトース3-エピメラーゼとしても公知であり得る。
D-リブロキナーゼ(EC 2.7.1.16)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
L-フクロース+ATP→L-フクロース1-リン酸+ADP+H+
D-リブロース+ATP→D-リブロース1-リン酸+ADP+H+
D-リブロキナーゼは、L-フクロキナーゼ、フクロキナーゼ、ATP:L-フクロース1-ホスホトランスフェラーゼ、またはL-フクロースキナーゼとしても公知であり得る。
従って、いくつかの態様において、本開示は、フコース分解経路、フコースおよびラムノースの分解のスーパーパスウェイ、ならびに/またはD-アラビノース分解I経路において役割を果たす酵素を提供する。
いくつかの態様において、酵素は、それぞれ、L-フコースおよびD-アラビノースの分解経路の第2の酵素であるL-フクロキナーゼおよびD-リブロキナーゼの両方として機能することができる。
具体的な態様において、酵素は、D-リブロースをD-リブロース-1-リン酸へ変換する。いくつかの態様において、D-リブロキナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、D-リブロキナーゼは、fucK遺伝子によってコードされる。一つの態様において、D-リブロキナーゼは、大腸菌から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、1種類または複数種類の核酸分子は、fucKまたはその相同体である。さらなる態様において、D-リブロキナーゼは、SEQ ID NO:8に示されたアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、D-リブロキナーゼは、SEQ ID NO:6および7からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ(EC 4.1.2.17)
本開示は、以下の可逆反応を触媒することができる酵素を記載する:
D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼは、L-フクロースリン酸アルドラーゼ、L-フクロース1-リン酸アルドラーゼ、またはL-フクロース-1-リン酸(S)-ラクトアルデヒドリアーゼとしても公知であり得る。
従って、いくつかの態様において、本開示は、フコース分解経路、フコースおよびラムノースの分解のスーパーパスウェイ、ならびに/またはD-アラビノース分解I経路において役割を果たす酵素を提供する。一つの態様において、酵素は、補助因子としてZn2+を使用し得る。もう一つの態様において、この酵素の阻害剤は、ホスホグリコロヒドロキサム酸であり得る。
いくつかの態様において、酵素は、それぞれ、L-フコースおよびD-アラビノースの分解経路の第3の酵素、L-フクロースリン酸アルドラーゼおよびD-リブロースリン酸アルドラーゼの両方として機能することができる。
酵素の基質特異性は、大腸菌株から部分精製された調製物によって試験されている。
酵素および多数の点変異体の結晶構造が解析されている。変異体の構造データおよび酵素活性の組み合わせは、酵素の触媒機序のモデリングおよび改良を可能にした。酵素の鏡像異性体選択性が研究されている。
具体的な態様において、酵素は、D-リブロース-1-リン酸をグリコールアルデヒドおよびDHAPへ変換する。いくつかの態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼは、fucA遺伝子によってコードされる。一つの態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼは、大腸菌から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、1種類または複数種類の核酸分子は、fucAまたはその相同体である。さらなる態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼは、SEQ ID NO:11に示されたアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼは、SEQ ID NO:9および10からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
グリコールアルデヒドレダクターゼ(EC 1.1.1.77)
本開示は、以下の可逆反応を触媒することができる酵素を記載する:
グリコールアルデヒドレダクターゼは、ラクトアルデヒドレダクターゼ、プロパンジオールオキシドレダクターゼ、(R)[もしくは(S)]-プロパン-1,2-ジオール:NAD+オキシドレダクターゼ、またはL-1,2-プロパンジオールオキシドレダクターゼとしても公知であり得る。
従って、いくつかの態様において、本開示は、エチレングリコール分解経路、グリコールの代謝および分解のスーパーパスウェイ、嫌気的L-ラクトアルデヒド分解経路、ならびに/またはフコースおよびラムノースの分解のスーパーパスウェイにおいて役割を果たす酵素を提供する。一つの態様において、酵素は、補助因子としてFe2+を使用し得る。
L-1,2-プロパンジオールオキシドレダクターゼは、鉄依存性III群デヒドロゲナーゼである。それは、L-フコースおよびL-ラムノースの両方の異化経路の生成物、L-ラクトアルデヒドを、L-1,2-プロパンジオールへ嫌気的に還元し、次いで、それは細胞から排出される。
酵素の結晶構造が解析され、金属、補助因子、および基質の結合部位が位置し得るドメインスワッピングによる二量体(domain-swapped dimer)が示されている。1個のアスパラギン酸残基および3個の保存されたヒスチジン残基が、Fe2+結合および酵素活性のために必要とされる。
インビトロで、酵素は、高濃度のNAD+によって不活化され、Fe3+およびアスコビル酸またはFe2+およびH2O2の混合物によって効率的に再活性化され得る。保存されたHis277残基の金属によって触媒される酸化は、不活化の原因となることが提唱されている。
FucOの発現は、β酸化サイクルの操作された1回転の逆転を可能にする。FucO活性は、操作された株において、イソブチルアルデヒドのイソブタノールへの変換に寄与する。
具体的な態様において、酵素は、グリコールアルデヒドをMEGへ変換する。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、fucO遺伝子によってコードされる。一つの態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、大腸菌および出芽酵母より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、1種類または複数種類の核酸分子は、gldA、GRE2、GRE3、yqhD、ydjG、fucO、yafB(dkgB)、および/もしくはyqhE(dkgA)、またはそれらの相同体より選択される。もう一つの態様において、1種類または複数種類の核酸分子は、yqhDである。いくつかの態様において、yqhDは、G149E変異を含む。さらなる態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、SEQ ID NO:13、15、17、20、23、25、28、30、および32からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、SEQ ID NO:12、14、16、18、19、21、22、24、26、27、29、および31からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
アルデヒドレダクターゼ
多数のアルデヒドレダクターゼが、グリコールアルデヒドをMEGへ変換するために使用され得る。
NADPH依存性アルデヒドレダクターゼ(YqhD)は、以下の反応を触媒することができる:
アルデヒド+NADP++H2O→カルボン酸+NADPH+2H+(EC 1.2.1.4)
YqhDは、グリオキサール解毒に関与することができ、かつ/または脂質過酸化に対するグルタチオン非依存性応答の一部である、NADPH依存性アルデヒドレダクターゼである。
様々なアルコール、アルデヒド、アミノ酸、糖、およびαヒドロキシ酸が、YqhDの基質として試験されたことが報告されている。精製されたタンパク質のみが、C(3)より長いアルコールを好み、NADP依存性アルコールデヒドロゲナーゼ活性を示すが、Km値はミリモル範囲であり、そのことから、それらが生理学的基質ではないことが示唆される。対照的に、YqhDは、プロパンアルデヒド、アセトアルデヒド、およびブタンアルデヒド、ならびにアクロレインおよびマロンジアルデヒドのような基質で短鎖アルデヒドレダクターゼ活性を示す。代謝的に操作された株において、フェニルアセトアルデヒドおよび4-ヒドロキシフェニルアセトアルデヒドは、内在性アルデヒドレダクターゼYqhD、YjgB、およびYahKによって、2-フェニルエタノールおよび2-(4-ヒドロキシフェニル)エタノールへ還元される。
YqhDの過剰発現は、細胞の1,3-プロパンジオールオキシドレダクターゼ活性を増加させる。1,3-プロパンジオールの産業的生成のため、YqhDを発現するよう大腸菌が操作されている。YqhD活性は、イソブタノール、1,2-プロパンジオール、1,2,4-ブタントリオール、およびアセトールの生成にも同様に寄与する。yqhDの変異は、β酸化サイクルの操作された1回転の逆転によるブタノールの生成を可能にする。
YqhDは、フルフラールレダクターゼ活性を有し、リグノセルロースバイオマスからアルコールを生成する代謝的に操作された株において、NADPHの枯渇による増殖阻害を引き起こすようである。
YqhDの結晶構造は、2Åの解像度で解析された。YqhDは、二量体の非対称二量体であり、活性部位はZn2+イオンを含有している。NADPH補助因子は、ニコチンアミド環の5位および6位においてヒドロキシル基によって修飾される。
yqhDの過剰発現は、過酸化水素、パラコート、クロム酸、およびテルル酸カリウムのような活性酸素発生化合物に対する増加した耐性をもたらす。yqhD欠失変異株は、これらの化合物およびグリオキサールに対する増加した感受性を示し、脂質過酸化において作成される反応性アルデヒドの増加したレベルを含有している。反対に、yqhD欠失は、増加したフルフラール耐性をもたらす。
具体的な態様において、NADPH依存性アルデヒドレダクターゼは、グリコールアルデヒドをMEGへ変換する。いくつかの態様において、NADPH依存性アルデヒドレダクターゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、NADPH依存性アルデヒドレダクターゼは、yqhD遺伝子によってコードされる。
多機能性メチルグリオキサールレダクターゼ(DkgA)は、以下の反応を触媒することができる:
2-ケト-L-グロン酸+NADP+←2,5-ジデヒドロ-D-グルコン酸+NADPH+H+(反応は逆方向が有利である、EC 1.1.1.346)
DkgA(YqhE)は、アルド・ケトレダクターゼ(AKR)ファミリーに属し、メチルグリオキサールレダクターゼ活性およびβケトエステルレダクターゼ活性を有することが示されている。
dkgAは、大腸菌における2種類の25DKGレダクターゼのうちの1種類、2,5-ジケト-D-グルコン酸レダクターゼ(25DKGR)Aをコードすることが報告されている。酵素は、好ましい電子ドナーとしてNADPHを使用し、ケトグルコン酸代謝に関与していると考えられる。2,5-ジケト-D-グルコン酸に対する酵素の比活性は、メチルグリオキサールに対する活性よりほぼ1000倍低いことが報告されている。
NADPHに対する低いKmのため、DkgAによるフランの還元は、NADPHプールを枯渇させ、それによって、細胞の生合成を制限することができる。アルデヒドレダクターゼの広範な調査は、DkgAが、代謝工学の所望のアルデヒド最終生成物の分解に寄与する数種類の内在性アルデヒドレダクターゼのうちの1種類であることを示した。
DkgAの結晶構造は、2.16Åの解像度で解析された。
具体的な態様において、多機能性メチルグリオキサールレダクターゼは、グリコールアルデヒドをMEGへ変換する。いくつかの態様において、多機能性メチルグリオキサールレダクターゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、多機能性メチルグリオキサールレダクターゼは、dkgA遺伝子によってコードされる。
多機能性メチルグリオキサールレダクターゼ(DkgB)は、以下の反応を触媒することができる:
2-ケト-L-グロン酸+NADP+←2,5-ジデヒドロ-D-グルコン酸+NADPH+H+(反応は逆方向が有利である、EC 1.1.1.346)
DkgB(YafB)は、アルド・ケトレダクターゼ(AKR)サブファミリー3Fのメンバーである。DkgBは、2,5-ジケト-D-グルコン酸レダクターゼ活性、メチルグリオキサールレダクターゼ活性、および4-ニトロベンズアルデヒドレダクターゼ活性を有することが示された。
dkgBは、大腸菌における2種類の25DKGレダクターゼのうちの1種類、2,5-ジケト-D-グルコン酸レダクターゼ(25DKGR)Bをコードすることが報告されている。酵素は、好ましい電子ドナーとしてNADPHを使用し、ケトグルコン酸代謝に関与すると考えられている。しかしながら、2,5-ジケト-D-グルコン酸に対する酵素の比活性は、メチルグリオキサールに対する活性よりほぼ1000倍低いことが報告されている。
具体的な態様において、多機能性メチルグリオキサールレダクターゼは、グリコールアルデヒドをMEGへ変換する。いくつかの態様において、多機能性メチルグリオキサールレダクターゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、多機能性メチルグリオキサールレダクターゼは、dkgB遺伝子によってコードされる。
メチルグリオキサールレダクターゼ(YeaE)は、以下の反応を触媒することができる:
YeaEは、メチルグリオキサールレダクターゼ活性を有することが示されている。
YeaEのサブユニット構造は決定されていないが、アルド・ケトレダクターゼDkgA(YqhE)およびDkgB(YafB)とのアミノ酸配列類似性は、それが単量体であることを示唆する。
具体的な態様において、メチルグリオキサールレダクターゼは、グリコールアルデヒドをMEGへ変換する。いくつかの態様において、メチルグリオキサールレダクターゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、メチルグリオキサールレダクターゼは、yeaE遺伝子によってコードされる。
L-グリセルアルデヒド3-リン酸レダクターゼ(yghZ)は、以下の反応を触媒することができる:
L-グリセルアルデヒド3-リン酸+NADPH+H+→sn-グリセロール3-リン酸+NADP+(EC 1.1.1.-)
YghZは、L-グリセルアルデヒド3-リン酸(L-GAP)レダクターゼである。酵素は、低い速度でメチルグリオキサールを解毒することもできる。YghZは、AKR14(アルド・ケトレダクターゼ14)タンパク質ファミリーを定義する。
L-GAPは、天然の代謝物でなく、大腸菌に対して毒性である。L-GAPは、大腸菌K-12のグリセロール-3-リン酸輸送系およびヘキソースリン酸輸送系の両方の基質である。YghZの生理学的役割は、GAPの非酵素的ラセミ化または未知の細胞過程によって形成され得るL-GAPの解毒であると仮定されている。
大腸菌酵素の結晶構造は、決定されており、四量体であることが示唆されている。しかしながら、他の者は、ゲルろ過および電子顕微鏡研究に基づき、タンパク質が八量体を形成することを見出している。
具体的な態様において、L-グリセルアルデヒド3-リン酸レダクターゼは、グリコールアルデヒドをMEGへ変換する。いくつかの態様において、L-グリセルアルデヒド3-リン酸レダクターゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、L-グリセルアルデヒド3-リン酸レダクターゼは、yghZ遺伝子によってコードされる。
L-1,2-プロパンジオールデヒドロゲナーゼ/グリセロールデヒドロゲナーゼ(GldA)は、以下の反応を触媒することができる:
アミノアセトン+NADH+H+→(R)-1-アミノプロパン-2-オール+NAD+(EC 1.1.1.75)
GldA酵素の生理学的機能は、長い間、不明であった。酵素は、グリセロールデヒドロゲナーゼおよびD-1-アミノ-2-プロパノール:NAD+オキシドレダクターゼとして無関係に単離された。当時、D-1-アミノ-2-プロパノールは、ビタミンB12の生合成の中間体であると考えられおり、大腸菌は新たにビタミンB12を合成することができないが、この化合物の合成を触媒する酵素が求められた。その後、GldAは両方の活性を担うことが見出された。
GldAの主なインビボの役割は、グリセロールへの変換によるジヒドロキシアセトンの除去であることが最近提唱された。しかしながら、グリセロールの発酵における二重の役割も最近確立された。大腸菌におけるグリセロール異化は、2種類の異なる経路によって達成され得る。グリセロールおよびグリセロホスホジエステルの分解経路は、終末電子アクセプターの存在を必要とし、グリセロールをグリセロール-3-リン酸へリン酸化するGlp系のATP依存性キナーゼを利用する。しかしながら、キナーゼの不活化およびグリセロールでの増殖についての選択によって、NAD+関連デヒドロゲナーゼGldAが、グリセロール発酵を支持し得ることが見出された。最近、GldAは、ジヒドロキシアセトンを生成するグリセロールデヒドロゲナーゼとしても、アセトールから1,2-プロパンジオールを生成することによってNAD+を再生させる1,2-プロパンジオールデヒドロゲナーゼとしても、グリセロール発酵に関与していることが示された。
酵素は、2種類の触媒活性形態、8サブユニットの大きい形態および2サブユニットの小さい形態で見出される。大きい形態が、主要な種であるようである。
具体的な態様において、L-1,2-プロパンジオールデヒドロゲナーゼ/グリセロールデヒドロゲナーゼは、グリコールアルデヒドをMEGへ変換する。いくつかの態様において、L-1,2-プロパンジオールデヒドロゲナーゼ/グリセロールデヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、L-1,2-プロパンジオールデヒドロゲナーゼ/グリセロールデヒドロゲナーゼは、gldA遺伝子によってコードされる。
出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)に由来するNADPH依存性メチルグリオキサールレダクターゼ(GRE2)は、以下の反応を触媒することができる:
Gre2は、補助因子としてNADPHを使用して、脂肪族および芳香族のケトン、ジケトン、およびアルデヒドを含む広範囲の基質の立体選択的な還元を触媒する多用途の酵素である。
出芽酵母に由来するGre2の結晶構造は、アポ型については2.00Å、NADPH複合体化型については2.40Åの解像度で解析されている。Gre2は、同種二量体を形成し、そのサブユニットは、各々、N末端ロスマンフォールドドメインおよび基質認識に関与する可変性のC末端ドメインを含有している。補助因子NADPHとの結合時に誘導される適合は、2個のドメインを相互に向かってシフトさせ、基質によりよく適合するドメイン間間隙を生成する。部位特異的変異誘発および酵素活性分析と組み合わせられた計算的シミュレーションは、触媒作用のためのストリンジェントな基質立体選択性を決定する、可能性のある基質結合ポケットの特徴決定を可能にした。
Gre2は、グリオキサラーゼI GLO1によるMGの解毒の代わりに、細胞傷害性化合物メチルグリオキサール(MG)の(S)-ラクトアルデヒドへの不可逆的還元を触媒する。MGは、ジヒドロキシアセトンリン酸から解糖のバイパスを介して合成され、細胞周期制御およびストレス適応において役割を果たすと信じられている。GRE2は、イソバレルアルデヒドのイソアミルアルコールへの還元も触媒する。酵素は、細胞がフィラメント形成によって応答するシグナル、イソバレルアルデヒドのレベルをモジュレートすることによって、イソアミルアルコールによって誘導されるフィラメント形成を抑制するよう機能する。GRE2は、エルゴステロール代謝にも関与している。
具体的な態様において、NADPH依存性メチルグリオキサールレダクターゼは、グリコールアルデヒドをMEGへ変換する。いくつかの態様において、NADPH依存性メチルグリオキサールレダクターゼは、出芽酵母に由来する。いくつかの態様において、NADPH依存性メチルグリオキサールレダクターゼは、GRE2遺伝子によってコードされる。
チオラーゼ/アセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ(EC 2.3.1.9)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
チオラーゼ/アセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、アセチルCoA-C-アセチルトランスフェラーゼ、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセチルCoA:アセチルCoA C-アセチルトランスフェラーゼ、またはチオラーゼIIとしても公知であり得る。
従って、いくつかの態様において、本開示は、(アセチルCoAへの)アセト酢酸分解において役割を果たす酵素を提供する。一つの態様において、この酵素の阻害剤は、アセトアセチルCoAである。
具体的な態様において、酵素は、アセチルCoAをアセトアセチルCoAへ変換する。いくつかの態様において、チオラーゼ/アセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、クロストリジウム属の種に由来する。いくつかの態様において、チオラーゼ/アセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、クロストリジウム・アセトブチリカムに由来する。いくつかの態様において、チオラーゼ/アセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、クロストリジウム・サーモサッカロリチカムに由来する。いくつかの態様において、チオラーゼ/アセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、バチルス・セレウスに由来する。いくつかの態様において、チオラーゼ/アセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、マリノバクター・ヒドロカルボノクラスチカスATCC 49840に由来する。いくつかの態様において、チオラーゼ/アセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、thlA遺伝子によってコードされる。いくつかの態様において、チオラーゼ/アセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、チオラーゼ/アセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、atoB遺伝子によってコードされる。
一つの態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、大腸菌、サッカロミセス属の種、およびマリノバクター属の種からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・サーモサッカロリチカム、バチルス・セレウス、大腸菌、出芽酵母、およびマリノバクター・ヒドロカルボノクラスチカスからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、1種類または複数種類の核酸分子は、thlA、atoB、および/もしくはERG10、またはそれらの相同体である。さらなる態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:35、37、および40からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:33、34、36、38、および39からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼ(EC 2.8.3.-)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼは、アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはアセチルCoA: アセト酢酸CoAトランスフェラーゼとしても公知であり得る。
従って、いくつかの態様において、本開示は、(アセチルCoAへの)アセト酢酸分解において役割を果たす酵素を提供する。一つの態様において、この酵素の阻害剤には、アセチルCoAおよび補酵素Aが含まれ得る。
短鎖脂肪酸(C3~C6)での大腸菌の増殖は、それぞれのチオエステルへの酸の活性化を必要とする。この活性化は、アセトアセチルCoAトランスフェラーゼによって触媒される。その反応は、共有結合性の酵素-CoAを含む2種類の半反応において起こる。酵素は、反応中に2個の検出可能なコンフォメーション変化を受ける。反応はピンポン機序によって進行する可能性が高いと考えられる。酵素は、多様な短鎖アシルCoA基質およびカルボン酸基質を利用することができるが、直鎖状の基質および3-ケト基質で最大活性を示す。
具体的な態様において、酵素は、アセトアセチルCoAをアセト酢酸へ変換する。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼは、クロストリジウム属の種に由来する。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼは、クロストリジウム・アセトブチリカムに由来する。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼは、atoA遺伝子およびatoD遺伝子によってコードされる。もう一つの態様において、アセトアセチルCoAトランスフェラーゼのサブユニット組成は、[(AtoA)2][(AtoD)2]であり、(AtoA)2がβ複合体であり、(AtoD)2がα複合体である。一つの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼは、融合酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼ:αサブユニット/βサブユニットである。もう一つの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼは、ydiF遺伝子によってコードされる。
酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ(EC 3.1.2.11)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、アセトアセチル補酵素Aヒドロラーゼ、アセトアセチルCoAデアシラーゼ、またはアセトアセチル補酵素Aデアシラーゼとしても公知であり得る。
この酵素は、ヒドロラーゼのファミリー、具体的には、チオエステル結合に作用するものに属している。
具体的な態様において、酵素は、アセトアセチルCoAをアセト酢酸へ変換する。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、クロストリジウム属の種に由来する。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、クロストリジウム・アセトブチリカムに由来する。もう一つの態様において、アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、ctfA(サブユニットA)遺伝子および/またはctfB(サブユニットB)遺伝子によってコードされる。
さらなる態様において、アセチルCoA: アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、SEQ ID NO:43、46、97、99、101、および103からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、アセチルCoA: アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、SEQ ID NO:41、42、44、45、96、98、100、および102からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
アセト酢酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.4)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
アセト酢酸+H+→アセトン+CO2
アセト酢酸デカルボキシラーゼは、ADC、AADC、またはアセト酢酸カルボキシリアーゼとしても公知であり得る。
従って、いくつかの態様において、本開示は、イソプロパノール生合成、ピルベートのアセトンへの発酵、クロストリジウム・アセトブチリカムの酸生成発酵およびソルベント生成発酵のスーパーパスウェイ、ならびに/またはクロストリジウム・アセトブチリカムのソルベント生成発酵のスーパーパスウェイにおいて役割を果たす酵素を提供する。
アセト酢酸デカルボキシラーゼ(ADC)は、クロストリジウム・アセトブチリカムにおけるソルベント生成において重要な役割を果たす。増殖の酸生成期においては、酸が蓄積し、ソルベント生成への代謝シフトを引き起こす。この期においては、酸が、再同化され、代謝され、アセトン、ブタノール、およびエタノールが生成される。
酵素の予備精製および結晶化は、リジン残基が活性部位に関与することを明らかにした。酵素は、単一の型のサブユニットの12コピーから構成される大きい複合体である。
クロストリジウム・アセトブチリカムATCC 824の酵素が精製され、それをコードするadc遺伝子がクローニングされている。関連株クロストリジウム・アセトブチリカムDSM 792からも酵素が精製され、遺伝子がクローニングされ配列決定されている。脱カルボキシル反応は、シッフ塩基中間体の形成によって進行する。
ADCは、CoAトランスフェラーゼ反応をアセト酢酸形成の方向に効果的に引き寄せる、酸取り込みにおいて重要な酵素である。
具体的な態様において、酵素は、アセト酢酸をアセトンへ変換する。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、クロストリジウム属の種に由来する。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、クロストリジウム・アセトブチリカムに由来する。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、クロストリジウム・ベイジェリンキイに由来する。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、クロストリジウム・セルロリティカムに由来する。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、バチルス・ポリミキサに由来する。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、クロモバクテリウム・ビオラセウムに由来する。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、シュードモナス・プチダに由来する。もう一つの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、adc遺伝子によってコードされる。
一つの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、クロモバクテリウム属の種、およびシュードモナス属の種からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・ベイジェリンキイ、クロストリジウム・セルロリティカム、バチルス・ポリミキサ、クロモバクテリウム・ビオラセウム、およびシュードモナス・プチダからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、adcまたはその相同体である。さらなる態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、SEQ ID NO:49および52からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、SEQ ID NO:47、48、50、および51からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
アルコールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.-)
本開示は、一級アルコールまたは二級アルコールの、それぞれ、アルデヒドまたはケトンへの可逆的酸化を触媒することができる酵素を記載する。一つの態様において、酵素は、二級アルコールデヒドロゲナーゼ(S-ADH)であり、アセトンのようなケトンの、2-プロパノール(イソプロパノール)のような二級アルコールへの還元を触媒する。
いくつかの態様において、S-ADHは、バークホルデリア属の種に由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、バークホルデリア属種AIU 652に由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、アルカリゲネス属の種に由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、アルカリゲネス・ユートロファスに由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、クロストリジウム属の種に由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、クロストリジウム・ラグスダレイに由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、クロストリジウム・ベイジェリンキイに由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、サーモアナエロバクター属の種に由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、サーモアナエロバクター・ブロッキイに由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、サーモアナエロバクター・エタノリカス(クロストリジウム・サーモヒドロスルフリカム)に由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、adhB遺伝子によってコードされる。いくつかの態様において、S-ADHは、トリパノソーマ、フィトモナス属の種に由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、ロドコッカス属の種に由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、ロドコッカス・ルーバーに由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、メタノバクテリウム・パルストレに由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、メタン生成古細菌メタノゲニウム・リミナタンスに由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、寄生性原生生物エントアメーバ・ヒストリティカ、(EhAdh1)に由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、寄生性原生動物トリトリコモナス・フィータスに由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、ヒト寄生虫トリコモナス・バギナリスに由来する。
いくつかの態様において、S-ADHは、相同性から予測され、サーモアナエロバクター・マスラニイ、ミクロコッカス・ルテウス、ノカルディオプシス・アルバ、マイコバクテリウム・ハッシアカム、ヘリコバクター・スイス、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・パラプシローシス、カンジダ・オルトプシローシス、カンジダ・メタプシローシス、グロスマンニア・クラビゲラ、およびシェフェルソミセス・スチピチスに由来し得る。
さらなる態様において、アルコールデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:106および108からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、アルコールデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:104、105、および107からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
デヒドラターゼ(EC 4.2.1.-)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
D-キシルロース1-キナーゼ(EC 2.7.1.-)
本開示は、D-キシルロースのD-キシルロース-1-リン酸への変換を触媒することができる酵素を記載する。いくつかの態様において、変換は、フルクトキナーゼとしても公知のヒトケトヘキソキナーゼC(khk-C)によって触媒され得る。
ケトヘキソキナーゼまたはフルクトキナーゼは、フルクトースをフルクトース-1-リン酸へリン酸化する。酵素は、炭水化物代謝の一部であるフルクトース代謝に関与する。それは、肝臓、腸、および腎皮質に見出される。
ヒト肝臓において、精製されたフルクトキナーゼは、アルドラーゼと共役した時に、キシリトールからシュウ酸を生成する代替機序に寄与することが発見された。共役したシーケンスにおいて、フルクトキナーゼおよびアルドラーゼは、D-キシルロースから、D-キシルロース1-リン酸を介して、シュウ酸の前駆物質であるグリコールアルデヒドを生成する。
具体的な態様において、酵素は、D-キシルロースをD-キシルロース-1-リン酸へ変換する。いくつかの態様において、D-キシルロース1-キナーゼは、ケトヘキソキナーゼCである。いくつかの態様において、ケトヘキソキナーゼCは、ホモ・サピエンスに由来する。いくつかの態様において、ヒトケトヘキソキナーゼCは、khk-C遺伝子によってコードされる。
一つの態様において、D-キシルロース1-キナーゼは、ホモ・サピエンスから入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、D-キシルロース1-キナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、ケトヘキソキナーゼC(khk-C)またはその相同体である。もう一つの態様において、D-キシルロース1-キナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:55に示されたアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、D-キシルロース1-キナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:53および54からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ(EC 4.1.2.-)
本開示は、D-キシルロース-1-リン酸のグリコールアルデヒドおよびDHAPへの変換を触媒することができる酵素を記載する。いくつかの態様において、変換は、フルクトースビスリン酸アルドラーゼBまたは肝臓型アルドラーゼとしても公知であるヒトアルドラーゼBによって触媒され得る。
アルドラーゼBは、クラスIフルクトース1,6-ビスリン酸アルドラーゼ酵素(EC 4.1.2.13)の3種類のアイソザイム(A、B、およびC)のうちの1種類であり、解糖および糖新生の両方において重要な役割を果たす。一般的なフルクトース1,6-ビスリン酸アルドラーゼ酵素は、フルクトース1,6-ビスリン酸(FBP)のグリセルアルデヒド3-リン酸およびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への可逆的な切断を触媒し、フルクトース1-リン酸(F1P)のグリセルアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸への可逆的な切断も触媒する。哺乳動物において、アルドラーゼBは、肝臓において優先的に発現されるが、アルドラーゼAは、筋肉および赤血球において発現され、アルドラーゼCは、脳において表現される。アイソザイム構造のわずかな違いは、2種類の基質分子:FBPおよびフルクトース1-リン酸に対する異なる活性をもたらす。アルドラーゼBは、好みを示さず、従って、両方の反応を触媒するが、アルドラーゼAおよびCは、FBPを好む。
アルドラーゼBは、4個のサブユニットから構成される同種四量体酵素である。各サブユニットは、36kDaの分子量を有し、リジン229(触媒作用のために重要であるシッフ塩基形成アミノ酸)を囲む8本鎖α/βバレルを含有している。
具体的な態様において、酵素は、D-キシルロース-1-リン酸をグリコールアルデヒドおよびDHAPへ変換する。いくつかの態様において、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼは、アルドラーゼBである。いくつかの態様において、アルドラーゼBは、ホモ・サピエンスに由来する。いくつかの態様において、ヒトアルドラーゼBは、ALDOB遺伝子によってコードされる。
一つの態様において、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼは、ホモ・サピエンスから入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、アルドラーゼB(ALDOB)またはその相同体である。いくつかの態様において、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:58に示されたアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:56および57からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
D-キシロースイソメラーゼ(EC 5.3.1.5)
本開示は、以下の可逆反応を触媒することができる酵素を記載する:
D-キシロースイソメラーゼは、キシロースイソメラーゼまたはD-キシロースケトールイソメラーゼとしても公知であり得る。
従って、いくつかの態様において、本開示は、キシロース分解において役割を果たす酵素を提供する。
キシロースイソメラーゼは、D-キシロースの異化における最初の反応を触媒する。
2個の保存されたヒスチジン残基H101およびH271が、触媒作用のために必須であることが示された。2個の保存されたトリプトファン残基W49およびW188の蛍光は、キシロースの結合において消光され、W49が触媒作用のために必須であることが示された。Mg2+、Mn2+、またはCo2+の存在は、熱変性から酵素を保護する。
サブユニット組成は、実験的に確立されていない。
具体的な態様において、酵素は、D-キシロースをD-キシルロースへ変換する。いくつかの態様において、D-キシロースイソメラーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、D-キシロースイソメラーゼは、xylA遺伝子によってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび3炭素化合物を生成する組換え微生物は、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を防止し、代わりに、D-キシロースのD-キシロネートへの変換に反応を向けるため、D-キシロースイソメラーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入、または機能喪失型変異を含む。
一つの態様において、組換え微生物は、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を触媒する内在性または外来性のキシロースイソメラーゼを含む。一つの態様において、キシロースイソメラーゼは、外来性である。もう一つの態様において、キシロースイソメラーゼは、ピロマイセス(Pyromyces)属の種から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xylAまたはその相同体である。さらにもう一つの態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:95に示されたアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:93および94からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
D-キシルロース-5-キナーゼ/キシルロキナーゼ
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
D-キシルロース+ATP→D-キシルロース5-リン酸+ADP+H+(EC 2.7.1.17)
ATP+1-デオキシ-D-キシルロース→1-デオキシ-D-キシルロース5-リン酸+ADP+H+(EC 2.7.1.-)
D-キシルロース-5-キナーゼは、キシルロースキナーゼまたはキシルロキナーゼとしても公知であり得る。
キシルロキナーゼは、キシロース分解経路の第2段階、D-キシルロースのリン酸化を触媒して、ペントースリン酸経路の中間体、D-キシルロース-5-リン酸を生成する。
基質の非存在下で、キシルロキナーゼは、弱いATPアーゼ活性を有する。キシルロキナーゼは、1-デオキシ-D-キシルロースのリン酸化も触媒することができる。これは、テルペノイド、チアミン、およびピリドキサールの生合成において使用するための1-デオキシ-D-キシルロース5-リン酸の生成のための可能性のあるサルベージ経路を可能にするであろう。1-デオキシ-D-キシルロースのリン酸化の速度は、D-キシルロースのリン酸化の速度より32倍低い。
細菌酵素の動力学的機序が研究されており、主に秩序のある反応機序が示唆された。酵素は、基質およびATPの結合時に有意なコンフォメーション変化を受ける。2個の保存されたアスパラギン酸残基D6およびD233が、触媒活性のために必須であることが見出され、触媒機序が提唱された。
細菌キシルロキナーゼのアポ型およびD-キシルロース結合型の結晶構造は、それぞれ、2.7Åおよび2.1Åの解像度で決定されている。
具体的な態様において、酵素は、D-キシルロースをD-キシルロース-5-リン酸へ変換する。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、xylB遺伝子によってコードされる。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、出芽酵母に由来する。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、XKS1遺伝子によってコードされる。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、ピキア・スチピチスに由来する。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、XYL3遺伝子によってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび3炭素化合物を生成する組換え微生物は、D-キシルロースのD-キシルロース-5-リン酸への変換を防止し、代わりに、D-キシルロースのD-キシルロース-1-リン酸への変換に反応を向けるため、D-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入、または機能喪失型変異を含む。
キシロースデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.175またはEC 1.1.1.179)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
アルデヒド-D-キシロース+NAD++H2O→D-キシロネート+NADH+2H+
キシロースデヒドロゲナーゼは、D-キシロースデヒドロゲナーゼ、D-キシロース1-デヒドロゲナーゼ、(NAD+)関連D-キシロースデヒドロゲナーゼ、NAD+-D-キシロースデヒドロゲナーゼ、D-キシロース:NAD+ 1-オキシドレダクターゼとしても公知であり得る。
D-キシロースデヒドロゲナーゼは、D-キシロースのD-キシロノラクトンへのNAD+依存的な酸化を触媒する。これは、カウロバクター・クレセンタスにおけるD-キシロースの分解のための酸化的非リン酸化経路の最初の反応である。この経路は、アゾスピリルム・ブラジレンス(Azospirillum brasilense)におけるL-アラビノース分解のための経路と類似している。C.クレセンタス酵素のアミノ酸配列は、古細菌ハロアーキュラ・マリスモーツイに由来するキシロースデヒドロゲナーゼまたはアゾスピリルム・ブラジレンスのL-アラビノース1-デヒドロゲナーゼのものに関連していない。
D-キシロースは、カウロバクター・クレセンタスに由来する組換えD-キシロースデヒドロゲナーゼのための好ましい基質である。酵素は、L-アラビノースを使用することができるが、それは不十分な基質である。L-アラビノースに対するKmは166mMである。D-アラビノース、L-キシロース、D-リボース、D-ガラクトース、D-グルコース、およびD-グルコース-6-リン酸のような他の基質は、NADH生成によって測定されるように、アッセイにおいてほとんどまたは全く活性を示さなかった。C.クレセンタスD-キシロースデヒドロゲナーゼは、D-キシロースを直接D-キシロネートへ変換することができる。
C.クレセンタスから部分精製されたネイティブのD-キシロースデヒドロゲナーゼは、D-キシロースに対して70μMというKmを有していた。この値は、組換えのHisタグ付き酵素に対する760μMというKmより低かった。
いくつかの態様において、D-キシロースデヒドロゲナーゼは、好塩性古細菌ハロフェラックス・ボルカニイに由来する。ハロフェラックス・ボルカニイD-キシロースデヒドロゲナーゼは、好塩性古細菌ハロフェラックス・ボルカニイの酸化的キシロース分解経路の最初の反応を触媒する。H.ボルカニイD-キシロースデヒドロゲナーゼは、ハロアーキュラ・マリスモーツイに由来する機能的に特徴決定されたキシロースデヒドロゲナーゼとの59%のアミノ酸配列同一性を示し、ハロルブラム・ラクスプロファンディにおけるオルソログとの56%の同一性を示すが、カウロバクター・クレセンタスCB15に由来する細菌NAD+依存性キシロースデヒドロゲナーゼとは11%しか同一でない。
具体的な態様において、酵素は、D-キシロースをD-キシロノラクトンへ変換する。いくつかの態様において、D-キシロースデヒドロゲナーゼは、カウロバクター・クレセンタスに由来する。いくつかの態様において、D-キシロースデヒドロゲナーゼは、xylB遺伝子によってコードされる。いくつかの態様において、D-キシロースデヒドロゲナーゼは、ハロフェラックス・ボルカニイに由来する。いくつかの態様において、D-キシロースデヒドロゲナーゼは、ハロアーキュラ・マリスモーツイに由来する。いくつかの態様において、D-キシロースデヒドロゲナーゼは、ハロルブラム・ラクスプロファンディに由来する。いくつかの態様において、D-キシロースデヒドロゲナーゼは、xdh遺伝子によってコードされる。
一つの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼは、カウロバクター属の種、ハロアーキュラ属の種、ハロフェラックス属の種、ハロルブラム属の種、およびトリコデルマ属の種からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼは、カウロバクター・クレセンタス、ハロアーキュラ・マリスモーツイ、ハロフェラックス・ボルカニイ、ハロルブラム・ラクスプロファンディ、およびトリコデルマ・リーゼイからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xylB、xdh1(HVO_B0028)、および/もしくはxyd1、またはそれらの相同体より選択される。さらなる態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:61、63、および65からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:59、60、62、および64からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
キシロノラクトナーゼ(3.1.1.68)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
この酵素は、ヒドロラーゼ、具体的には、カルボン酸エステル結合に作用するもののファミリーに属する。この酵素は、ペントースおよびグルクロン酸の相互変換に関与する。
キシロノラクトナーゼは、D-キシロノラクトナーゼ、キシロノ-1,4-ラクトナーゼ、キシロノ-γ-ラクトナーゼ、またはD-キシロノ-1,4-ラクトンラクトノヒドロラーゼとしても公知であり得る。
具体的な態様において、酵素は、D-キシロノラクトンをD-キシロネートへ変換する。いくつかの態様において、D-キシロノラクトナーゼは、ハロフェラックス属の種に由来する。いくつかの態様において、D-キシロノラクトナーゼは、ハロフェラックス・ボルカニイに由来する。いくつかの態様において、D-キシロノラクトナーゼは、ハロフェラックス・ギボンシイに由来する。いくつかの態様において、D-キシロノラクトナーゼは、カウロバクター・クレセンタスに由来する。いくつかの態様において、D-キシロノラクトナーゼは、xylC遺伝子によってコードされる
一つの態様において、キシロノラクトナーゼは、カウロバクター属の種およびハロフェラックス属の種より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロノラクトナーゼは、カウロバクター・クレセンタス、ハロフェラックス・ボルカニイ、およびハロフェラックス・ギボンシイからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロノラクトナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xylCまたはその相同体である。さらなる態様において、キシロノラクトナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:67に示されたアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、キシロノラクトナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:66に示された核酸配列によってコードされる。
キシロン酸デヒドラターゼ(EC 4.2.1.82)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
この酵素は、炭素-酸素結合を切断するリアーゼ、具体的には、ヒドロリアーゼのファミリーに属する。この酵素は、ペントースおよびグルクロン酸の相互変換に関与する。
キシロン酸デヒドラターゼは、D-キシロン酸ヒドロリアーゼ、D-キシロアルドン酸デヒドラターゼ、またはD-キシロン酸デヒドラターゼとしても公知であり得る。
具体的な態様において、酵素は、D-キシロネートを2-ケト-3-デオキシD-キシロネートへ変換する。いくつかの態様において、キシロン酸デヒドラターゼは、カウロバクター・クレセンタスに由来する。いくつかの態様において、キシロン酸デヒドラターゼは、xylD遺伝子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロン酸デヒドラターゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、キシロン酸デヒドラターゼは、yjhG遺伝子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロン酸デヒドラターゼは、yagF遺伝子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロン酸デヒドラターゼは、ハロフェラックス・ボルカニイに由来する、いくつかの態様において、キシロン酸デヒドラターゼは、xad遺伝子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロン酸デヒドラターゼは、スルホロブス・ソルファタリカスに由来する。
一つの態様において、キシロン酸デヒドラターゼは、カウロバクター属の種、スルホロブス属の種、および大腸菌からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロン酸デヒドラターゼは、カウロバクター・クレセンタス、スルホロブス・ソルファタリカス、および大腸菌からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xylD、yjhG、および/もしくはyagF、またはそれらの相同体より選択される。さらなる態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:69、72、および75からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:68、70、71、73、および74からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼ(4.1.2.28)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
この酵素は、炭素-炭素結合を切断するリアーゼ、具体的には、アルデヒドリアーゼのファミリーに属する。この酵素は、ペントースおよびグルクロン酸の相互変換に関与する。
2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼは、2-デヒドロ-3-デオキシ-D-ペントン酸グリコールアルデヒドリアーゼ(ピルベート形成)、2-デヒドロ-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼ、3-デオキシ-D-ペンツロソン酸アルドラーゼ、および2-デヒドロ-3-デオキシ-D-ペントン酸グリコールアルデヒドリアーゼとしても公知であり得る。
YjhHは、2-デヒドロ-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼであるようである。遺伝学的証拠は、YagEも、2-デヒドロ-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼとして機能し得ることを示唆する。yagEは、プロファージCP4-6の一部である。
yjhH yagE二重変異体は、唯一の炭素源としてD-キシロネートを使用することができず、粗細胞抽出物は、2-デヒドロ-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼ活性を含有していない。両方の表現型が、プラスミド上のyjhHを提供することによって補完される。
ArcAは、嫌気生活下でのyjhH遺伝子発現を活性化するようである。この遺伝子の211bp上流および597bp上流に2個の推定ArcA結合部位が同定されたが、その上流にプロモーターは同定されていない。
YagEの結晶構造は、タンパク質が同種四量体であることを示唆する。ピルベートおよび2-ケト-3-デオキシガラクトン酸の存在下でのYagEの共結晶構造が解析されている。
具体的な態様において、酵素は、2-ケト-3-デオキシキシロネートをグリコールアルデヒドおよびピルベートへ変換する。いくつかの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼは、シュードモナス属の種に由来する。いくつかの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼは、yjhH遺伝子によってコードされる。いくつかの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼは、yagE遺伝子によってコードされる
一つの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼは、シュードモナス属の種および大腸菌より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼは、大腸菌から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、yjhHおよび/もしくはyagEまたはそれらの相同体より選択される。さらなる態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:78および81からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:76、77、79、および80からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ(1.2.1.21)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
この酵素は、オキシドレダクターゼ、具体的には、NAD+またはNADP+をアクセプターとして、ドナーのアルデヒド基またはオキソ基に作用するもののファミリーに属する。この酵素は、グリオキシル酸およびジカルボン酸の代謝に関与する。
グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、グリコールアルデヒド:NAD+オキシドレダクターゼまたはグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼとしても公知であり得る。
大腸菌において、アルデヒドデヒドロゲナーゼA(AldA)は、小さいαヒドロキシアルデヒド基質に対する比較的広い基質特異性を有する酵素である。従って、それは、いくつかの代謝経路において利用される。
L-フコースおよびL-ラムノースは、平行な経路を通して代謝されるが、対応するアルドラーゼ反応の後に収束して、同一の生成物:ジヒドロキシアセトンリン酸およびL-ラクトアルデヒドを与える。好気的に、アルデヒドデヒドロゲナーゼAは、L-ラクトアルデヒドをL-ラクテートへ酸化する。
同一の酵素を利用する平行な経路において、D-アラビノースおよびL-キシロースは、ジヒドロキシアセトンリン酸およびグリコールアルデヒドへ代謝され、それが、アルデヒドデヒドロゲナーゼAによってグリコール酸へ酸化される。
単独の酵素、三元複合体、および二元複合体の結晶構造が解析されている。
アルデヒドデヒドロゲナーゼAは、好気条件下でのみ存在し、フコース、ラムノース、またはグルタミン酸の存在によって最も高度に誘導される。酵素は、ラクトアルデヒドの酸化から、プロパンジオールオキシドレダクターゼによる還元へシフトするためのスイッチとして機能し得るNADHによって阻害される。AldAは、グルコース制限への短期順応においてアップレギュレートされる。
配列類似性に基づき、AldAは、コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼであると予測された。
aldA発現の制御は、調査されている。遺伝子は、異化産物抑制、ArcAを介した嫌気条件下での抑制、および炭素源による誘導によって制御される。
具体的な態様において、酵素は、グリコールアルデヒドをグリコール酸へ変換する。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、aldA遺伝子によってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび3炭素化合物を生成する組換え微生物は、グリコールアルデヒドからのグリコール酸の生成を防止し、代わりに、グリコールアルデヒドのMEGへの変換に反応を向けるため、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入、または機能喪失型変異を含む。
乳酸デヒドロゲナーゼ(1.1.1.28)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
(R)-ラクテート+NAD+←ピルベート+NADH+H+
乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)は、動物、植物、および原核生物のようなほぼ全ての生細胞に見出される酵素である。LDHは、NADHからNAD+へおよびその逆の変換と同様に、ラクテートからピルビン酸へおよびその逆の変換を触媒する。デヒドロゲナーゼは、ある分子からもう一つの分子へ水素化物を移す酵素である。
LDHは4種類の別個の酵素クラスに存在する。最も一般的なものは、NAD(P)依存性L-乳酸デヒドロゲナーゼである。他のLDHは、D-ラクテートに作用し、かつ/またはシトクロムc:D-乳酸デヒドロゲナーゼ(チトクロム)およびL-乳酸デヒドロゲナーゼ(チトクロム)に対して依存性である。
LDHは、血球および心筋のような身体組織に広範に見出されるため、医学的に重要である。それは、組織傷害において放出されるため、一般的な損傷および心不全のような疾患のマーカーである。
ラクテートデヒドロゲナーゼは、乳酸デヒドロゲナーゼ、(R)-ラクテート:NAD+オキシドレダクターゼ、またはD-乳酸デヒドロゲナーゼ(発酵的)としても公知であり得る。
大腸菌において、乳酸デヒドロゲナーゼ(LdhA)は、D-ラクテートの生成に特異的な可溶性NAD関連乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)である。LdhAは、同種四量体であり、より高いpH条件の下で正のホモトロピック協同性を示す。
大腸菌は、2種類の他の乳酸デヒドロゲナーゼ:D-乳酸デヒドロゲナーゼおよびL-乳酸デヒドロゲナーゼを含有している。いずれも、ラクテートでの好気増殖のために必要とされる膜結合型黄色酵素である。
LdhAは、好気条件下で存在するが、大腸菌が、酸性pHで嫌気条件下で多様な糖で増殖する時に誘導される。無気呼吸に関与する遺伝子の大部分と異なり、ldhAは、Fnrによって活性化されず;むしろ、ArcAB系ならびに炭水化物代謝の調節に関与する数種類の遺伝子(csrABおよびmlc)が、発現を制御するようである。ldhAの発現は、転写制御因子ArcAによって負の影響を受ける。ldhAはσ32レギュロンに属する
ldhA遺伝子は、しばしば、代謝工学における変異の標的となり、それは、望ましくない発酵副生成物の生成を排除するためである場合が最も多いが、D-ラクテートを特異的に生成するためでもあり得る。
具体的な態様において、酵素は、ピルベートをラクテートへ変換する。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、ldhA遺伝子によってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび3炭素化合物を生成する組換え微生物は、ピルベートからのラクテートの生成を防止し、代わりに、3炭素化合物の生成に反応を向けるため、乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入、または機能喪失型変異を含む。
キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼ(EC 1.1.1.21)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
アルドースレダクターゼは、アルジトール:NAD(P)+ 1-オキシドレダクターゼ、ポリオールデヒドロゲナーゼ、またはアルデヒドレダクターゼとしても公知であり得る。
アルドースレダクターゼは、単糖を含む多様なアルデヒドおよびカルボニルの還元を触媒するサイトゾルオキシドレダクターゼである。
アルドースレダクターゼは、アルド・ケトレダクターゼ酵素スーパーファミリーの原型酵素と見なされ得る。酵素は、315アミノ酸残基を含み、8本の平行なβ鎖から構成されるβ/αバレル構造モチーフに折り畳まれている。隣接した鎖は、逆平行向きの8個の外側αヘリカルセグメントによってβシートに接続されている。触媒活性部位は、バレルコアに位置している。NADPH補助因子は、β/αバレルの最上部に位置しており、ニコチンアミド環がバレルの中心において下へ突き出し、ピロリン酸がバレルリップにまたがっている。
アルデヒド還元の方向におけるアルドースレダクターゼの反応機序は、NADPHが結合し、続いて、基質が結合する、連続的な秩序のあるパスに従う。NADPHの結合は、安全ベルトと同様にNADPHの一部をカバーするための表面ループ(残基213~217)のヒンジ様移動を含むコンフォメーション変化(酵素・NADPH→酵素*・NADPH)を誘導する。基質のカルボニル炭素の面への、NADPHのプロR水素化物の転移を介して、アルコール生成物が形成される。アルコール生成物の放出の後、NADP+を放出するため、もう一つのコンフォメーション変化が起こる(E*・NAD(P)+→E・NAD(P)+)。動力学的研究は、NADP+の放出を可能にするこのループの再配向が、アルデヒド還元の方向における律速段階を表すようであることを示した。補酵素放出の速度が触媒速度を制限するため、補酵素結合を安定化する相互作用の妨害は、最大速度(Vmax)に対して劇的な効果を及ぼし得ることが分かる。
D-キシロース発酵性のピキア・スチピチスおよびカンジダ・シェハテは、NADPHおよびNADHの両方で活性を有する単一のアルドースレダクターゼ(ALR)を産生することが示された。パキソレン・タンノフィルスおよびC.トロピカリスのようなその他の酵母は、異なる補酵素特異性を有するALRの複数の型を合成する。有意な二重補酵素特異性は、哺乳動物または微生物の起源からこれまでに単離された大部分の他のALRと、P.スチピチスおよびC.シェハテの酵素を区別する。酵母カンジダ・テヌイスCBS 4435は、D-キシロースでの増殖中に、比較可能なNADHおよびNADPHに関連したアルデヒド還元活性を生成する。
具体的な態様において、酵素は、D-キシロースをキシリトールへ変換する。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、ヒポクレア・ジェコリナに由来する。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、xyl1遺伝子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、出芽酵母に由来する。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、GRE3遺伝子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、パキソレン・タンノフィルスに由来する。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、ピキア属の種に由来する。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、ピキア・スチピチスに由来する。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、ピキア・クエルカムに由来する。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、カンジダ属の種に由来する。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、カンジダ・シェハテに由来する。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、カンジダ・テヌイスに由来する。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、カンジダ・トロピカリスに由来する。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、アスペルギルス・ニガーに由来する。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、ニューロスポラ・クラッサに由来する。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、クリプトコッカス・ラクタチボルスに由来する。
いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、ヒポクレア属の種、シェフェルソマイセス属の種、サッカロミセス属の種、パキソレン属の種、ピキア属の種、カンジダ属の種、アルペルギルス属の種、ニューロスポラ属の種、およびクリプトコッカス属の種からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、ヒポクレア・ジェコリナ、シェフェルソミセス・スチピチス、出芽酵母、パキソレン・タンノフィルス、ピキア・スチピチス、ピキア・クエルカム、カンジダ・シェハテ、カンジダ・テヌイス、カンジダ・トロピカリス、アスペルギルス・ニガー、ニューロスポラ・クラッサ、およびクリプトコッカス・ラクタチボルスからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xyl1および/もしくはGRE3またはそれらの相同体である。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:84および87からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:82、83、85、および86からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
キシリトールデヒドロゲナーゼ(1.1.1.9)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
キシリトールデヒドロゲナーゼは、D-キシルロースレダクターゼ、NAD+依存性キシリトールデヒドロゲナーゼ、エリスリトールデヒドロゲナーゼ、2,3-cis-ポリオール(DPN)デヒドロゲナーゼ(C3-5)、ペンチトール-DPNデヒドロゲナーゼ、キシリトール-2-デヒドロゲナーゼ、またはキシリトール:NAD+ 2-オキシドレダクターゼ(D-キシルロース形成)としても公知であり得る。
キシリトールデヒドロゲナーゼ(XDH)は、真核生物代謝へのキシロースの同化を担う数種類の酵素のうちの1種類であり、エタノールを生成するための、農業副生成物に含有されているキシロースの発酵のために有用である。高いフラックス速度での効率的なキシロース利用のためには、NAD+特異的XDHと、経路のもう一つの酵素であるNADPHを好むキシロースレダクターゼとの間で、共基質が再利用されるべきである。
具体的な態様において、酵素は、キシリトールをD-キシルロースへ変換する。いくつかの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼは、酵母に由来する。いくつかの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼは、ピキア属の種、サッカロミセス属の種、グルコノバクター属の種、ガラクトカンジダ属の種、ニューロスポラ属の種、またはセラチア属の種に由来する。いくつかの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼは、ピキア・スチピチス、出芽酵母、グルコノバクター・オキシダンス、ガラクトカンジダ・マストターミチス、ニューロスポラ・クラッサ、またはセラチア・マルセッセンスに由来する。いくつかの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼは、xyl2またはxdhlによってコードされる。
一つの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼは、シェフェルソマイセス属の種、トリコデルマ属の種、ピキア属の種、サッカロミセス属の種、グルコノバクター属の種、ガラクトカンジダ属の種、ニューロスポラ属の種、およびセラチア属の種からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼは、シェフェルソミセス・スチピチス、トリコデルマ・リーゼイ、ピキア・スチピチス、出芽酵母、グルコノバクター・オキシダンス、ガラクトカンジダ・マストターミチス、ニューロスポラ・クラッサ、およびセラチア・マルセッセンスからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xyl2および/もしくはxdh1またはそれらの相同体である。いくつかの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:90および92からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:88、89、および91からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
アルカリホスファターゼ(EC 3.1.3.1)
アルカリホスファターゼは、ヌクレオチド、タンパク質、およびアルカロイドを含む多くのタイプの分子からのリン酸基の除去を担うヒドロラーゼ酵素である。その名称が示唆するように、アルカリホスファターゼは、アルカリ環境において最も有効である。それは、時に、塩基性ホスファターゼと同義に使用される。
出芽酵母Pho13アルカリホスファターゼ酵素は、60kDaの分子量を有する単量体タンパク質であり、p-ニトロフェニルリン酸を加水分解し、pH 8.2における最大活性は、Mg2+イオンに強く依存し、3.6×10(-5)Mという見かけのKmを有する。リン酸化されたヒストンII-Aおよびカゼイン以外の試験された他の基質は、有意な速度で加水分解されなかった。これらのデータは、p-ニトロフェニルリン酸に特異的なホスファターゼの生理学的役割が、可逆的なタンパク質リン酸化への関与を含み得ることを示唆する。
具体的な態様において、酵素は、D-キシルロース-5-リン酸をD-キシルロースへ変換する。いくつかの態様において、アルカリホスファターゼは、酵母に由来する。いくつかの態様において、アルカリホスファターゼは、サッカロミセス属の種に由来する。いくつかの態様において、アルカリホスファターゼは、出芽酵母に由来する。いくつかの態様において、アルカリホスファターゼは、PHO13遺伝子によってコードされる
いくつかの態様において、MEGおよび3炭素化合物を生成する組換え微生物は、D-キシルロース-5-リン酸のD-キシルロースへの変換を防止するため、アルカリホスファターゼをコードする遺伝子に欠失、挿入、または機能喪失型変異を含む。
可溶型ピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼ(EC 1.6.1.1.)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
可溶型ピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼは、NAD(P)+トランスヒドロゲナーゼ(B特異的)、STH、ピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼ、またはトランスヒドロゲナーゼとしても公知であり得る。
大腸菌は、可溶型および膜結合型の両方のピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼを含有している。可溶型ピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼは、sthA遺伝子またはudhA遺伝子の産物である;その主な生理学的役割は、NADPHの再酸化であるようである(Canonaco F.et al.(2001) Metabolic flux response to phosphoglucose isomerase knock-out in Escherichia coli and impact of overexpression of the soluble transhydrogenase UdhA. FEMS Microbiol Lett 204(2):247-252;Sauer U.et al.(2004) The soluble and membrane-bound transhydrogenases UdhA and PntAB have divergent functions in NADPH metabolism of Escherichia coli. J Biol Chem 279(8):6613-6619)。膜結合型のプロトン輸送トランスヒドロゲナーゼは、pntAB遺伝子産物であり;PntABはNADPHの主要な起源である(Sauer et al.2004)。
UdhAは、非共有結合的に結合したFADを含有しており、7個または8個の単量体からなる形態で存在する(Boonstra B.et al.(1999) The udhA gene of Escherichia coli encodes a soluble pyridine nucleotide transhydrogenase. J Bacterioi 181(3):1030-1034)。
UdhA(SthA)の中程度の過剰発現は、ホスホグルコースイソメラーゼ変異体の増加した最大増殖速度を可能にし(Canonaco et al.2001)、pgi sthA二重変異体は生存可能でない(Sauer et al.2004)。これらの表現型は、過剰のNADPH形成の条件下で細胞の酸化還元バランスを回復させるUdhAの能力による可能性がある(Canonaco et al.2001;Sauer et al.2004)。sthAにおける変異は、グルコース最小培地での増殖へのpgi変異体株の順応において出現する(Charusanti P.et al.(2010) Genetic basis of growth adaptation of Escherichia coli after deletion of pgi,a major metabolic gene. PLoS Genet 6(11):e1001186)。
sthAの転写は、グリセロールでの増殖によってダウンレギュレートされる(Sauer et al.2004)。
いくつかの態様において、トランスヒドロゲナーゼの発現は、NADPH依存性アルコールデヒドロゲナーゼの活性を増加させ、アセトンの2-プロパノールへの変換の改善をもたらし得る。一つの態様において、可溶型ピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼは、大腸菌から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、可溶型ピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、udhAまたはその相同体である。いくつかの態様において、可溶型ピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:110に示されたアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、可溶型ピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:109に示された核酸配列によってコードされる。
組換え微生物を使用したMEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物の生合成
上述のように、本願は、モノエチレングリコール(MEG)および1種類または複数種類の3炭素化合物を同時生成する組換え微生物を提供する。一つの態様において、MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物は、キシロースから同時生成される。もう一つの態様において、組換え微生物は、D-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子および/またはグリコアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入、または機能喪失型変異を含む。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子は、xylBである。いくつかの態様において、グリコアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子は、aldAである。
一つの態様において、MEGは、キシロースからリブロース-1-リン酸を介して生成される。もう一つの態様において、MEGは、キシロースからキシルロース-1-リン酸を介して生成される。さらなる態様において、MEGは、キシロースからキシロネートを介して生成される。
一つの態様において、1種類または複数種類の3炭素化合物は、DHAPまたはピルベートから生成される。一つの態様において、1種類または複数種類の3炭素化合物は、アセトンである。もう一つの態様において、1種類または複数種類の3炭素化合物は、イソプロパノールである。さらなる態様において、1種類または複数種類の3炭素化合物は、プロペンである。
一つの好ましい態様において、MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物は、キシロースのMEGおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換のため、リブロース-1-リン酸経路を使用し、DHAPの1種類または複数種類の3炭素化合物への変換のため、C3分枝経路を使用して、キシロースから生成される。
上述のように、第1の局面において、本開示は、
(a)D-キシルロースのD-リブロースへの変換を触媒するD-タガトース3-エピメラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(b)(a)由来のD-リブロースのD-リブロース-1-リン酸への変換を触媒するD-リブロキナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(c)(b)由来のD-リブロース-1-リン酸のグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-リブロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(d)(c)由来のグリコールアルデヒドのMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(e)アセチルCoAのアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1種類の外来性の核酸分子;
(f)(e)由来のアセトアセチルCoAのアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;ならびに/または
(g)(f)由来のアセト酢酸のアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子、
のうちの一つまたは複数を発現する、外来性のD-キシロースからモノエチレングリコール(MEG)およびアセトンを同時生成することができる組換え微生物に関し;本微生物において、生成された中間体DHAPは、微生物における内在性の解糖経路を通してアセチルCoAへ変換され、かつMEGおよびアセトンが、同時生成される。
一つの態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、シュードモナス属の種、メソリゾビウム属の種、およびロドバクター属の種からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、シュードモナス・シコリイ、シュードモナス属種ST-24、メソリゾビウム・ロティ、およびロドバクター・スフェロイデスからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、1種類または複数種類の核酸分子は、dteおよび/もしくはFJ851309.1またはそれらの相同体である。さらなる態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、SEQ ID NO:3および5からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、SEQ ID NO:1、2、および4からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、D-リブロキナーゼは、大腸菌から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、1種類または複数種類の核酸分子は、fucKまたはその相同体である。さらなる態様において、D-リブロキナーゼは、SEQ ID NO:8に示されたアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、D-リブロキナーゼは、SEQ ID NO:6および7からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼは、大腸菌から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、1種類または複数種類の核酸分子は、fucAまたはその相同体である。さらなる態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼは、SEQ ID NO:11に示されたアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼは、SEQ ID NO:9および10からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、組換え微生物は、(g)由来のアセトンのイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子をさらに含む。
もう一つの態様において、組換え微生物は、イソプロパノールのプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子をさらに含む。
もう一つの態様において、組換え微生物は、
(a)D-キシルロースのD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異;
(b)グリコールアルデヒドのグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異;および
(c)ピルベートのラクテートへの変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異、
からなる群より選択される1種類または複数種類の改変をさらに含む。
一つの態様において、内在性のD-キシロースイソメラーゼは、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を触媒する。一つの態様において、キシロースイソメラーゼは、外来性である。もう一つの態様において、キシロースイソメラーゼは、ピロマイセス属の種から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xylAまたはその相同体である。さらにもう一つの態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:95に示されたアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:93および94からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの好ましい態様において、MEGおよびアセトンは、キシロースのMEGへの変換のためのキシルロース-1-リン酸経路およびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)のアセトンへの変換のためのC3分枝経路を使用して、キシロースから同時生成される。
上述のように、第2の局面において、本開示は、
(a)D-キシルロースのD-キシルロース-1-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース1-キナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(b)(a)由来のD-キシルロース-1-リン酸のグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(c)(b)由来のグリコールアルデヒドのMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(d)アセチルCoAのアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(e)(d)由来のアセトアセチルCoAのアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;ならびに/または
(f)(e)由来のアセト酢酸のアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子、
のうちの一つまたは複数を発現する、外来性のD-キシロースからモノエチレングリコール(MEG)およびアセトンを同時生成することができる組換え微生物に関し;本微生物において、生成された中間体DHAPは、微生物における内在性の解糖経路を通してアセチルCoAへ変換され、かつMEGおよびアセトンが、同時生成される。
一つの態様において、D-キシルロース1-キナーゼは、ホモ・サピエンスから入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、D-キシルロース1-キナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、ケトヘキソキナーゼC(khk-C)またはその相同体である。もう一つの態様において、D-キシルロース1-キナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:55に示されたアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、D-キシルロース1-キナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:53および54からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼは、ホモ・サピエンスから入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、アルドラーゼB(ALDOB)またはその相同体である。いくつかの態様において、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:58に示されたアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:56および57からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、組換え微生物は、(f)由来のアセトンのイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子をさらに含む。
もう一つの態様において、組換え微生物は、イソプロパノールのプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼイソメラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子をさらに含む。
もう一つの態様において、組換え微生物は、
(a)D-キシルロースのD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異;
(b)グリコールアルデヒドのグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異;および
(c)ピルベートのラクテートへの変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異、
からなる群より選択される1種類または複数種類の改変をさらに含む。
上に開示された任意の局面のいくつかの態様において、MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成する組換え微生物は、D-キシルロースのD-キシルロース-5-リン酸への変換を防止し、代わりに、D-キシルロースのD-キシルロース-1-リン酸への変換に反応を向けるため、D-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入、または機能喪失型変異を含む。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、xylB遺伝子またはその相同体によってコードされる。
上に開示された任意の局面のいくつかの態様において、MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成する組換え微生物は、グリコールアルデヒドからのグリコール酸の生成を防止し、代わりに、グリコールアルデヒドのMEGへの変換に反応を向けるため、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入、または機能喪失型変異を含む。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、aldA遺伝子またはその相同体によってコードされる。
上に開示された任意の局面のいくつかの態様において、MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成する組換え微生物は、ピルベートからのラクテートの生成を防止し、代わりに、1種類または複数種類の3炭素化合物の生成に反応を向けるため、乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入、または機能喪失型変異を含む。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、ldhA遺伝子またはその相同体によってコードされる。
一つの態様において、内在性のD-キシロースイソメラーゼは、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を触媒する。一つの態様において、キシロースイソメラーゼは、外来性である。もう一つの態様において、キシロースイソメラーゼは、ピロマイセス属の種から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xylAまたはその相同体である。さらにもう一つの態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:95に示されたアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:93および94からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
上述のように、第3の局面において、本願は、
(a)D-キシロースのキシリトールへの変換を触媒するキシロースレダクターゼもしくはアルドースレダクターゼをコードする少なくとも1種類の外来性の核酸分子およびキシリトールのD-キシルロースへの変換を触媒するキシリトールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1種類の外来性の核酸分子;
(b)D-キシロースのD-キシルロースへの変換を触媒するD-キシロースイソメラーゼをコードする少なくとも1種類の外来性の核酸分子、
のうちの一つまたは複数を発現し、
(c)(a)もしくは(b)由来のD-キシルロースのD-リブロースへの変換を触媒するD-タガトース3-エピメラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(d)(c)由来のD-リブロースのD-リブロース-1-リン酸への変換を触媒するD-リブロキナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(e)(d)由来のD-リブロース-1-リン酸のグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-リブロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(f)(e)由来のグリコールアルデヒドのMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼもしくはメチルグリオキサールレダクターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(g)アセチルCoAのアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(h)(g)由来のアセトアセチルCoAのアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;ならびに/または
(i)(h)由来のアセト酢酸のアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子、
のうちの一つまたは複数をさらに発現する、外来性のD-キシロースおよびグルコースからモノエチレングリコール(MEG)およびアセトンを同時生成することができる組換え微生物に関し;本微生物において、生成された中間体DHAPは、微生物における内在性の解糖経路を通してアセチルCoAへ変換され、かつMEGおよびアセトンが、同時生成される。
いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、ヒポクレア属の種、シェフェルソマイセス属の種、サッカロミセス属の種、パキソレン属の種、ピキア属の種、カンジダ属の種、アスペルギルス属の種、ニューロスポラ属の種、およびクリプトコッカス属の種からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、ヒポクレア・ジェコリナ、シェフェルソミセス・スチピチス、出芽酵母、パキソレン・タンノフィルス、ピキア・スチピチス、ピキア・クエルカム、カンジダ・シェハテ、カンジダ・テヌイス、カンジダ・トロピカリス、アスペルギルス・ニガー、ニューロスポラ・クラッサ、およびクリプトコッカス・ラクタチボルスからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xyl1および/もしくはGRE3またはそれらの相同体である。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:84および87からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:82、83、85、および86からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼは、シェフェルソマイセス属の種、トリコデルマ属の種、ピキア属の種、サッカロミセス属の種、グルコノバクター属の種、ガラクトカンジダ属の種、ニューロスポラ属の種、およびセラチア属の種からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼは、シェフェルソミセス・スチピチス、トリコデルマ・リーゼイ、ピキア・スチピチス、出芽酵母、グルコノバクター・オキシダンス、ガラクトカンジダ・マストターミチス、ニューロスポラ・クラッサ、およびセラチア・マルセッセンスからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xyl2および/もしくはxdh1またはそれらの相同体である。いくつかの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:90および92からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:88、89、および91からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、内在性のD-キシロースイソメラーゼは、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を触媒する。一つの態様において、キシロースイソメラーゼは、外来性である。もう一つの態様において、キシロースイソメラーゼは、ピロマイセス属の種から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xylAまたはその相同体である。さらにもう一つの態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:95に示されたアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:93および94からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、組換え微生物は、(i)由来のアセトンのイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子をさらに含む。
もう一つの態様において、組換え微生物は、イソプロパノールのプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子をさらに含む。
もう一つの態様において、組換え微生物は、以下のものからなる群より選択される1種類または複数種類の改変をさらに含む:
(a)D-キシルロースのD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異;および
(b)D-キシルロース-5-リン酸のD-キシルロースへの変換を触媒するアルカリホスファターゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異。
一つの態様において、D-キシルロースのD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒する酵素は、D-キシルロース-5-キナーゼである。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、出芽酵母に由来する。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、XKS1遺伝子またはその相同体によってコードされる。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、ピキア・スチピチスに由来する。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、XYL3遺伝子またはその相同体によってコードされる。
さらなる態様において、微生物は、真菌である。
一つの好ましい態様において、MEGおよびアセトンは、キシロースのMEGへの変換のためのキシロネート経路およびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)のアセトンへの変換のためのC3分枝経路を使用して、キシロースから同時生成される。
上述のように、第4の局面において、本願は、
(a)D-キシロースのD-キシロノラクトンへの変換を触媒するキシロースデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(b)(a)由来のD-キシロノラクトンのD-キシロネートへの変換を触媒するキシロノラクトナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(c)(b)由来のD-キシロネートの2-ケト-3-デオキシ-キシロネートへの変換を触媒するキシロン酸デヒドラターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(d)(c)由来の2-ケト-3-デオキシ-キシロネートのグリコールアルデヒドおよびピルベートへの変換を触媒する、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(e)(d)由来のグリコールアルデヒドのMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(f)アセチルCoAのアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1種類の外来性の核酸分子;
(g)(f)由来のアセトアセチルCoAのアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;ならびに/または
(h)(g)由来のアセト酢酸のアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1種類の外来性の核酸分子、
のうちの一つまたは複数を発現する、外来性のD-キシロースからモノエチレングリコール(MEG)およびアセトンを同時生成することができる組換え微生物に関し;本微生物において、生成された中間体ピルベートは、微生物における内在性の解糖経路を通してアセチルCoAへ変換され、かつMEGおよびアセトンが、同時生成される。
一つの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼは、カウロバクター属の種、ハロアーキュラ属の種、ハロフェラックス属の種、ハロルブラム属の種、およびトリコデルマ属の種からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼは、カウロバクター・クレセンタス、ハロアーキュラ・マリスモーツイ、ハロフェラックス・ボルカニイ、ハロルブラム・ラクスプロファンディ、およびトリコデルマ・リーゼイからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xylB、xdh1(HVO_B0028)、および/もしくはxyd1、またはそれらの相同体より選択される。さらなる態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:61、63、および65からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:59、60、62、および64からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、キシロノラクトナーゼは、カウロバクター属の種およびハロフェラックス属の種より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロノラクトナーゼは、カウロバクター・クレセンタス、ハロフェラックス・ボルカニイ、およびハロフェラックス・ギボンシイからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロノラクトナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xylCまたはその相同体である。さらなる態様において、キシロノラクトナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:67に示されたアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、キシロノラクトナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:66に示された核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、キシロン酸デヒドラターゼは、カウロバクター属の種、スルホロブス属の種、および大腸菌からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロン酸デヒドラターゼは、カウロバクター・クレセンタス、スルホロブス・ソルファタリカス、および大腸菌からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xylD、yjhG、および/もしくはyagF、またはそれらの相同体より選択される。さらなる態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:69、72、および75からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:68、70、71、73、および74からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼは、シュードモナス属の種および大腸菌より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼは、大腸菌から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、yjhHおよび/もしくはyagEまたはそれらの相同体より選択される。さらなる態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:78および81からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:76、77、79、および80からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、組換え微生物は、(h)由来のアセトンのイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子をさらに含む。
もう一つの態様において、組換え微生物は、イソプロパノールのプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子をさらに含む。
もう一つの態様において、組換え微生物は、
(a)D-キシロースのD-キシルロースへの変換を触媒するD-キシロースイソメラーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異;
(b)グリコールアルデヒドのグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異;および
(c)ピルベートのラクテートへの変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異、
からなる群より選択される1種類または複数種類の改変をさらに含む。
いくつかの態様において、MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成する組換え微生物は、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を防止し、代わりに、D-キシロースのD-キシロネートへの変換に反応を向けるため、D-キシロースイソメラーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入、または機能喪失型変異を含む。一つの態様において、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を触媒する酵素は、D-キシロースイソメラーゼである。いくつかの態様において、D-キシロースイソメラーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、D-キシロースイソメラーゼは、xylA遺伝子またはその相同体によってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成する組換え微生物は、グリコールアルデヒドからのグリコール酸の生成を防止し、代わりに、グリコールアルデヒドのMEGへの変換に反応を向けるため、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入、または機能喪失型変異を含む。一つの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、aldA遺伝子またはその相同体によってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成する組換え微生物は、ピルベートからのラクテートの生成を防止し、代わりに、1種類または複数種類の3炭素化合物の生成に反応を向けるため、乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入、または機能喪失型変異を含む。一つの態様において、ピルベートのラクテートへの変換を触媒する酵素は、乳酸デヒドロゲナーゼである。具体的な態様において、酵素は、ピルベートをラクテートへ変換する。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、ldhA遺伝子またはその相同体によってコードされる。
上述のように、第5の局面において、本願は、
(a)D-キシロースのD-キシロネートへの変換を触媒するキシロースデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(b)(a)由来のD-キシロネートの2-ケト-3-デオキシ-キシロネートへの変換を触媒するキシロン酸デヒドラターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(c)(b)由来の2-ケト-3-デオキシ-キシロネートのグリコールアルデヒドおよびピルベートへの変換を触媒する2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(d)(c)由来のグリコールアルデヒドのMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1種類の外来性の核酸分子;
(e)アセチルCoAのアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1種類の外来性の核酸分子;
(f)(e)由来のアセトアセチルCoAのアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;ならびに/または
(g)(f)由来のアセト酢酸のアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1種類の外来性の核酸分子、
のうちの一つまたは複数を発現する、外来性のD-キシロースからモノエチレングリコール(MEG)およびアセトンを同時生成することができる組換え微生物に関し;本微生物において、生成された中間体ピルベートは、微生物における内在性の解糖経路を通してアセチルCoAへ変換され、かつMEGおよびアセトンが、同時生成される。
一つの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼは、カウロバクター属の種、ハロアーキュラ属の種、ハロフェラックス属の種、ハロルブラム属の種、およびトリコデルマ属の種からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼは、カウロバクター ・クレセンタス、ハロアーキュラ・マリスモーツイ、ハロフェラックス・ボルカニイ、ハロルブラム・ラクスプロファンディ、およびトリコデルマ・リーゼイからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xylB、xdh1(HVO_B0028)、および/もしくはxyd1、またはそれらの相同体より選択される。さらなる態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:61、63、および65からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:59、60、62、および64からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、キシロン酸デヒドラターゼは、カウロバクター属の種、スルホロブス属の種、および大腸菌からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロン酸デヒドラターゼは、カウロバクター・クレセンタス、スルホロブス・ソルファタリカス、および大腸菌からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xylD、yjhG、および/もしくはyagF、またはそれらの相同体より選択される。さらなる態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:69、72、および75からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:68、70、71、73、および74からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼは、シュードモナス属の種および大腸菌より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼは、大腸菌から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、yjhHおよび/もしくはyagEまたはそれらの相同体より選択される。さらなる態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:78および81からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:76、77、79、および80からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、組換え微生物は、(g)由来のアセトンのイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子をさらに含む。
もう一つの態様において、組換え微生物は、イソプロパノールのプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子をさらに含む。
もう一つの態様において、組換え微生物は、
(a)D-キシロースのD-キシルロースへの変換を触媒するD-キシロースイソメラーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異;
(b)グリコールアルデヒドのグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異;および
(c)ピルベートのラクテートへの変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異、
からなる群より選択される1種類または複数種類の改変をさらに含む。
いくつかの態様において、MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成する組換え微生物は、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を防止し、代わりに、D-キシロースのD-キシロネートへの変換に反応を向けるため、D-キシロースイソメラーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入、または機能喪失型変異を含む。一つの態様において、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を触媒する酵素は、D-キシロースイソメラーゼである。いくつかの態様において、D-キシロースイソメラーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、D-キシロースイソメラーゼは、xylA遺伝子またはその相同体によってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成する組換え微生物は、グリコールアルデヒドからのグリコール酸の生成を防止し、代わりに、グリコールアルデヒドのMEGへの変換に反応を向けるため、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入、または機能喪失型変異を含む。一つの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、aldA遺伝子またはその相同体によってコードされる。
いくつかの態様において、MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成する組換え微生物は、ピルベートからのラクテートの生成を防止し、代わりに、1種類または複数種類の3炭素化合物の生成に反応を向けるため、乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入、または機能喪失型変異を含む。一つの態様において、ピルベートのラクテートへの変換を触媒する酵素は、乳酸デヒドロゲナーゼである。具体的な態様において、酵素は、ピルベートをラクテートへ変換する。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、ldhA遺伝子またはその相同体によってコードされる。
上に開示された任意の局面の一つの態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、大腸菌および出芽酵母より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、1種類または複数種類の核酸分子は、gldA、GRE2、GRE3、yqhD、ydjG、fucO、yafB(dkgB)、および/もしくはyqhE(dkgA)、またはそれらの相同体より選択される。もう一つの態様において、1種類または複数種類の核酸分子は、yqhDである。いくつかの態様において、yqhDは、G149E変異を含む。さらなる態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、SEQ ID NO:13、15、17、20、23、25、28、30、および32からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、SEQ ID NO:12、14、16、18、19、21、22、24、26、27、29、および31からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
上に開示された任意の局面の一つの態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、大腸菌、サッカロミセス属の種、およびマリノバクター属の種からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・サーモサッカロリチカム、バチルス・セレウス、大腸菌、出芽酵母、およびマリノバクター・ヒドロカルボノクラスチカスからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、1種類または複数種類の核酸分子は、thlA、atoB、および/もしくはERG10、またはそれらの相同体である。さらなる態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:35、37、および40からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:33、34、36、38、および39からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
上に開示された任意の局面の一つの態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、クロストリジウム属の種および大腸菌より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、大腸菌から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、atoAおよび/もしくはatoDまたはそれらの相同体である。もう一つの態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、クロストリジウム・アセトブチリカムから入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、ctfAおよび/もしくはctfBまたはそれらの相同体である。さらなる態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、SEQ ID NO:43、46、97、99、101、および103からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、SEQ ID NO:41、42、44、45、96、98、100、および102からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
上に開示された任意の局面の一つの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、クロモバクテリウム属の種、およびシュードモナス属の種からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・ベイジェリンキイ、クロストリジウム・セルロリティカム、バチルス・ポリミキサ、クロモバクテリウム・ビオラセウム、およびシュードモナス・プチダからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、adcまたはその相同体である。さらなる態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、SEQ ID NO:49および52からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、SEQ ID NO:47、48、50、および51からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
上に開示された任意の局面の一つの態様において、アセトンのイソプロパノールへの変換を触媒する酵素は、二級アルコールデヒドロゲナーゼ(S-ADH)である。もう一つの態様において、酵素は、バークホルデリア属の種、アルカリゲネス属の種、クロストリジウム属の種、サーモアナエロバクター属の種、フィトモナス属の種、ロドコッカス属の種、メタノバクテリウム属の種、メタノゲニウム属の種、エントアメーバ属の種、トリコモナス属の種、およびトリトリコモナス属の種より選択される微生物から入手される核酸分子によってコードされる二級アルコールデヒドロゲナーゼである。いくつかの態様において、二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする核酸分子は、バークホルデリア属種AIU 652、アルカリゲネス・ユートロファス、クロストリジウム・ラグスダレイ、クロストリジウム・ベイジェリンキイ、クロストリジウム・カルボキシジボランス、サーモアナエロバクター・ブロッキイ、サーモアナエロバクター・エタノリカス(クロストリジウム・サーモヒドロスルフリカム)、ロドコッカス・ルーバー、メタノバクテリウム・パルストレ、メタン生成古細菌メタノゲニウム・リミナタンス、寄生性原生生物エントアメーバ・ヒストリティカ、寄生性原生動物トリトリコモナス・フィータス、およびヒト寄生虫トリコモナス・バギナリスより選択される微生物から入手される。いくつかの態様において、二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、adh、adhB、EhAdh1、またはそれらの相同体である。いくつかの態様において、S-ADHは、相同性から予測され、サーモアナエロバクター・マスラニイ、ミクロコッカス・ルテウス、ノカルディオプシス・アルバ、マイコバクテリウム・ハッシアカム、ヘリコバクター・スイス、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・パラプシローシス、カンジダ・オルトプシローシス、カンジダ・メタプシローシス、グロスマンニア・クラビゲラ、およびシェフェルソミセス・スチピチスに由来し得る。さらなる態様において、アルコールデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:106および108からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、アルコールデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:104、105、および107からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
組換え微生物
本開示は、様々な内在性または外来性の酵素を発現するよう操作され得る微生物を提供する。
本明細書中に記載された様々な態様において、組換え微生物は、真核微生物である。いくつかの態様において、真核微生物は、酵母である。例示的な態様において、酵母は、ヤロウイア(Yarrowia)、カンジダ、サッカロミセス、ピキア、ハンゼヌラ(Hansenula)、クリベロミセス(Kluyveromyces)、イサチェンキア(Issatchenkia)、ジゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)、デバリオミセス(Debaryomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、パキソレン、クリプトコッカス、トリコスポロン(Trichosporon)、ロドトルラ(Rhodotorula)、およびミキソザイマ(Myxozyma)からなる群より選択される属のメンバーである。
いくつかの態様において、組換え微生物は、原核微生物である。例示的な態様において、原核微生物は、エシェリキア、クロストリジウム、ザイモモナス(Zymomonas)、サルモネラ、ロドコッカス、シュードモナス、バチルス、ラクトバチルス、エンテロコッカス、アルカリゲネス、クレブシエラ、パエニバチルス(Paenibacillus)、アルスロバクター(Arthrobacter)、コリネバクテリウム、およびブレビバクテリウム(Brevibacterium)からなる群より選択される属のメンバーである。
いくつかの態様において、組換え微生物は、本明細書中に開示されたモノエチレングリコール(MEG)を生成するために使用される。
従って、もう一つの局面において、本発明は、本明細書中に記載された組換え微生物を使用して、MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成する方法を提供する。一つの態様において、方法は、MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物が生成されるまで、炭素源を提供する原料を含有している培養培地において組換え微生物を培養する工程を含む。さらなる態様において、MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物が回収される。回収は、蒸留、膜に基づく分離、ガスストリッピング、溶媒抽出、およびエクスパンデッドベッド(expanded bed)吸着のような当技術分野において公知の方法によってなされ得る。例示的な態様において、3炭素化合物は、アセトン、イソプロパノール、およびプロペンより選択される。
いくつかの態様において、原料は、炭素源を含む。本明細書中に記載された様々な態様において、炭素源は、糖、グリセロール、アルコール、有機酸、アルカン、脂肪酸、リグノセルロース、タンパク質、二酸化炭素、および一酸化炭素より選択され得る。例示的な態様において、炭素源は、糖である。さらに例示的な態様において、糖は、D-キシロースである。代替的な態様において、糖は、グルコース、フルクトース、およびショ糖からなる群より選択される。
MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成するかまたは蓄積する組換え微生物を作製する方法
上述のように、本願は、MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成するかまたは蓄積する組換え微生物を作製する方法を提供する。一つの態様において、MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物は、キシロースから同時生成される。もう一つの態様において、外来性のD-キシロースからMEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成するかまたは蓄積する組換え微生物を作製する方法は、D-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子および/またはグリコアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異を組換え微生物へ導入する工程を含む。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子は、xylBである。いくつかの態様において、グリコアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子は、aldAである。
一つの態様において、MEGは、キシロースからリブロース-1-リン酸を介して生成される。もう一つの態様において、MEGは、キシロースからキシルロース-1-リン酸を介して生成される。さらなる態様において、MEGは、キシロースからキシロネートを介して生成される。
一つの態様において、1種類または複数種類の3炭素化合物は、DHAPまたはピルベートから生成される。一つの態様において、1種類または複数種類の3炭素化合物は、アセトンである。もう一つの態様において、1種類または複数種類の3炭素化合物は、イソプロパノールである。さらなる態様において、1種類または複数種類の3炭素化合物は、プロペンである。
上述のように、一つの局面において、本開示は、
(a)D-キシルロースのD-リブロースへの変換を触媒するD-タガトース3-エピメラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(b)(a)由来のD-リブロースのD-リブロース-1-リン酸への変換を触媒するD-リブロキナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(c)(b)由来のD-リブロース-1-リン酸のグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-リブロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(d)(c)由来のグリコールアルデヒドのMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(e)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1種類の外来性の核酸分子;
(f)(e)由来のアセトアセチルCoAのアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;ならびに/または
(g)(f)由来のアセト酢酸のアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子、
のうちの一つまたは複数を組換え微生物に導入しかつ/または過剰発現させる工程を含む、外来性のD-キシロースからMEGおよびアセトンを生成するかまたは蓄積する組換え微生物を作製する方法を提供し;本方法において、生成された中間体DHAPは、微生物における内在性の解糖経路を通してアセチルCoAへ変換され、かつMEGおよびアセトンが、同時生成される。
一つの態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、シュードモナス属の種、メソリゾビウム属の種、およびロドバクター属の種からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、シュードモナス・シコリイ、シュードモナス属種ST-24、メソリゾビウム・ロティ、およびロドバクター・スフェロイデスからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、1種類または複数種類の核酸分子は、dteおよび/もしくはFJ851309.1またはそれらの相同体である。さらなる態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、SEQ ID NO:3および5からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、SEQ ID NO:1、2、および4からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、D-リブロキナーゼは、大腸菌から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、1種類または複数種類の核酸分子は、fucKまたはその相同体である。さらなる態様において、D-リブロキナーゼは、SEQ ID NO:8に示されたアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、D-リブロキナーゼは、SEQ ID NO:6および7からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼは、大腸菌から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、1種類または複数種類の核酸分子は、fucAまたはその相同体である。さらなる態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼは、SEQ ID NO:11に示されたアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼは、SEQ ID NO:9および10からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、方法は、(g)由来のアセトンのイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子を組換え微生物へ導入しかつ/または過剰発現させる工程をさらに含む。
もう一つの態様において、方法は、イソプロパノールのプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子を組換え微生物へ導入しかつ/または過剰発現させる工程をさらに含む。
もう一つの態様において、方法は、
(a)D-キシルロースのD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異;
(b)グリコールアルデヒドのグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異;および
(c)ピルベートのラクテートへの変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異、
からなる群より選択される1種類または複数種類の改変を組換え微生物へ導入する工程をさらに含む。
一つの態様において、内在性のD-キシロースイソメラーゼは、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を触媒する。一つの態様において、キシロースイソメラーゼは、外来性である。もう一つの態様において、キシロースイソメラーゼは、ピロマイセス属の種から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xylAまたはその相同体である。さらにもう一つの態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:95に示されたアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:93および94からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
上述のように、もう一つの局面において、本開示は、
(a)D-キシルロースのD-キシルロース-1-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース1-キナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(b)(a)由来のD-キシルロース-1-リン酸のグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(c)(b)由来のグリコールアルデヒドのMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(d)アセチルCoAのアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(e)(d)由来のアセトアセチルCoAのアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;ならびに/または
(f)(e)由来のアセト酢酸のアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子、
のうちの一つまたは複数を組換え微生物に導入しかつ/または過剰発現させる工程を含む、外来性のD-キシロースからMEGおよびアセトンを生成するかまたは蓄積する組換え微生物を作製する方法を提供し;本方法において、生成された中間体DHAPは、微生物における内在性の解糖経路を通してアセチルCoAへ変換され、かつMEGおよびアセトンが、同時生成される。
一つの態様において、D-キシルロース1-キナーゼは、ホモ・サピエンスから入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、D-キシルロース1-キナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、ケトヘキソキナーゼC(khk-C)またはその相同体である。もう一つの態様において、D-キシルロース1-キナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:55に示されたアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、D-キシルロース1-キナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:53および54からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼは、ホモ・サピエンスから入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、アルドラーゼB(ALDOB)またはその相同体である。いくつかの態様において、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:58に示されたアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:56および57からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、方法は、(f)由来のアセトンのイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性または外来性の核酸分子を組換え微生物へ導入しかつ/または過剰発現させる工程をさらに含む。
もう一つの態様において、方法は、イソプロパノールのプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子を組換え微生物へ導入しかつ/または過剰発現させる工程をさらに含む。
もう一つの態様において、方法は、
(a)D-キシルロースのD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異;
(b)グリコールアルデヒドのグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異;および
(c)ピルベートのラクテートへの変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異、
からなる群より選択される1種類または複数種類の改変を組換え微生物へ導入する工程をさらに含む。
一つの態様において、内在性のD-キシロースイソメラーゼは、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を触媒する。一つの態様において、キシロースイソメラーゼは、外来性である。もう一つの態様において、キシロースイソメラーゼは、ピロマイセス属の種から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xylAまたはその相同体である。さらにもう一つの態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:95に示されたアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:93および94からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
上に開示された任意の局面のいくつかの態様において、外来性のD-キシロースからMEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成するかまたは蓄積する組換え微生物を作製する方法は、D-キシルロースのD-キシルロース-5-リン酸への変換を防止し、代わりに、D-キシルロースのD-キシルロース-1-リン酸への変換に反応を向けるため、D-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異を組換え微生物へ導入する工程を含む。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、xylB遺伝子またはその相同体によってコードされる。
上に開示された任意の局面のいくつかの態様において、外来性のD-キシロースからMEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成するかまたは蓄積する組換え微生物を作製する方法は、グリコールアルデヒドからのグリコール酸の生成を防止し、代わりに、グリコールアルデヒドのMEGへの変換に反応を向けるため、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異を組換え微生物へ導入する工程を含む。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、aldA遺伝子またはその相同体によってコードされる。
上に開示された任意の局面のいくつかの態様において、外来性のD-キシロースからMEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成するかまたは蓄積する組換え微生物を作製する方法は、ピルベートからのラクテートの生成を防止し、代わりに、1種類または複数種類の3炭素化合物の生成に反応を向けるため、乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異を組換え微生物へ導入する工程を含む。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、ldhA遺伝子またはその相同体によってコードされる。
上述のように、もう一つの局面において、本開示は、
(a)D-キシロースのキシリトールへの変換を触媒するキシロースレダクターゼもしくはアルドースレダクターゼをコードする少なくとも1種類の外来性の核酸分子、およびキシリトールのD-キシルロースへの変換を触媒するキシリトールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1種類の外来性の核酸分子;
(b)D-キシロースのD-キシルロースへの変換を触媒するD-キシロースイソメラーゼをコードする少なくとも1種類の外来性の核酸分子、
のうちの一つまたは複数を組換え微生物に導入しかつ/または過剰発現させる工程を含み、
(c)(a)もしくは(b)由来のD-キシルロースのD-リブロースへの変換を触媒するD-タガトース3-エピメラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(d)(c)由来のD-リブロースのD-リブロース-1-リン酸への変換を触媒するD-リブロキナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(e)(d)由来のD-リブロース-1-リン酸のグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-リブロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(f)(e)由来のグリコールアルデヒドのMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼもしくはメチルグリオキサールレダクターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(g)アセチルCoAのアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(h)(g)由来のアセトアセチルCoAのアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;ならびに/または
(i)(h)由来のアセト酢酸のアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子、
のうちの一つまたは複数を組換え微生物に導入しかつ/または過剰発現させる工程をさらに含む、外来性のD-キシロースおよびグルコースからMEGおよびアセトンを生成するかまたは蓄積する組換え微生物を作製する方法を提供し:本方法において、生成された中間体DHAPは、微生物における内在性の解糖経路を通してアセチルCoAへ変換され、かつMEGおよびアセトンが、同時生成される。
いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、ヒポクレア属の種、シェフェルソマイセス属の種、サッカロミセス属の種、パキソレン属の種、ピキア属の種、カンジダ属の種、アスペルギルス属の種、ニューロスポラ属の種、およびクリプトコッカス属の種からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、ヒポクレア・ジェコリナ、シェフェルソミセス・スチピチス、出芽酵母、パキソレン・タンノフィルス、ピキア・スチピチス、ピキア・クエルカム、カンジダ・シェハテ、カンジダ・テヌイス、カンジダ・トロピカリス、アスペルギルス・ニガー、ニューロスポラ・クラッサ、およびクリプトコッカス・ラクタチボルスからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xyl1および/もしくはGRE3またはそれらの相同体である。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:84および87からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:82、83、85、および86からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
上に開示された任意の局面の一つの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼは、シェフェルソマイセス属の種、トリコデルマ属の種、ピキア属の種、サッカロミセス属の種、グルコノバクター属の種、ガラクトカンジダ属の種、ニューロスポラ属の種、およびセラチア属の種からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼは、シェフェルソミセス・スチピチス、トリコデルマ・リーゼイ、ピキア・スチピチス、出芽酵母、グルコノバクター・オキシダンス、ガラクトカンジダ・マストターミチス、ニューロスポラ・クラッサ、およびセラチア・マルセッセンスからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xyl2および/もしくはxdh1またはそれらの相同体である。いくつかの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:90および92からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:88、89、および91からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、内在性のD-キシロースイソメラーゼは、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を触媒する。一つの態様において、キシロースイソメラーゼは、外来性である。もう一つの態様において、キシロースイソメラーゼは、ピロマイセス属の種から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xylAまたはその相同体である。さらにもう一つの態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:95に示されたアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:93および94からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、方法は、(i)由来のアセトンのイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子を組換え微生物へ導入しかつ/または過剰発現させる工程をさらに含む。
もう一つの態様において、方法は、イソプロパノールのプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子を組換え微生物へ導入しかつ/または過剰発現させる工程をさらに含む。
もう一つの態様において、方法は、
(a)D-キシルロースのD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異;および
(b)D-キシルロース-5-リン酸のD-キシルロースへの変換を触媒するアルカリホスファターゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異、
からなる群より選択される1種類または複数種類の改変を組換え微生物へ導入する工程をさらに含む。
一つの態様において、D-キシルロースのD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒する酵素は、D-キシルロース-5-キナーゼである。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、出芽酵母に由来する。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、XKS1遺伝子またはその相同体によってコードされる。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、ピキア・スチピチスに由来する。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、XYL3遺伝子またはその相同体によってコードされる。
さらなる態様において、微生物は、真菌である。
上述のように、もう一つの局面において、本願は、
(a)D-キシロースのD-キシロノラクトンへの変換を触媒するキシロースデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(b)(a)由来のD-キシロノラクトンのD-キシロネートへの変換を触媒するキシロノラクトナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(c)(b)由来のD-キシロネートの2-ケト-3-デオキシ-キシロネートへの変換を触媒するキシロン酸デヒドラターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(d)(c)由来の2-ケト-3-デオキシ-キシロネートのグリコールアルデヒドおよびピルベートへの変換を触媒する2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(e)(d)由来のグリコールアルデヒドのMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(f)アセチルCoAのアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1種類の外来性の核酸分子;
(g)(f)由来のアセトアセチルCoAのアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;ならびに/または
(h)(g)由来のアセト酢酸のアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1種類の外来性の核酸分子、
のうちの一つまたは複数を組換え微生物に導入しかつ/または過剰発現させる工程を含む、外来性のD-キシロースからMEGおよびアセトンを生成するかまたは蓄積する組換え微生物を作製する方法を提供し;本方法において、生成された中間体ピルベートは、微生物における内在性の解糖経路を通してアセチルCoAへ変換され、かつMEGおよびアセトンが、同時生成される
一つの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼは、カウロバクター属の種、ハロアーキュラ属の種、ハロフェラックス属の種、ハロルブラム属の種、およびトリコデルマ属の種からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼは、カウロバクター・クレセンタス、ハロアーキュラ・マリスモーツイ、ハロフェラックス・ボルカニイ、ハロルブラム・ラクスプロファンディ、およびトリコデルマ・リーゼイからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xylB、xdh1(HVO_B0028)、および/もしくはxyd1、またはそれらの相同体より選択される。さらなる態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:61、63、および65からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:59、60、62、および64からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、キシロノラクトナーゼは、カウロバクター属の種およびハロフェラックス属の種より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロノラクトナーゼは、カウロバクター・クレセンタス、ハロフェラックス・ボルカニイ、およびハロフェラックス・ギボンシイからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロノラクトナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xylCまたはその相同体である。さらなる態様において、キシロノラクトナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:67に示されたアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、キシロノラクトナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:66に示された核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、キシロン酸デヒドラターゼは、カウロバクター属の種、スルホロブス属の種、および大腸菌からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロン酸デヒドラターゼは、カウロバクター・クレセンタス、スルホロブス・ソルファタリカス、および大腸菌からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xylD、yjhG、および/もしくはyagF、またはそれらの相同体より選択される。さらなる態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:69、72、および75からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:68、70、71、73、および74からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼは、シュードモナス属の種および大腸菌より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼは、大腸菌から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、yjhHおよび/もしくはyagEまたはそれらの相同体より選択される。さらなる態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:78および81からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:76、77、79、および80からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、方法は、(h)由来のアセトンのイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子を組換え微生物へ導入しかつ/または過剰発現させる工程をさらに含む。
もう一つの態様において、方法は、イソプロパノールのプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子を組換え微生物へ導入しかつ/または過剰発現させる工程をさらに含む。
もう一つの態様において、方法は、
(a)D-キシロースのD-キシルロースへの変換を触媒するD-キシロースイソメラーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異;
(b)グリコールアルデヒドのグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異;および
(c)ピルベートのラクテートへの変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異、
からなる群より選択される1種類または複数種類の改変を組換え微生物へ導入する工程をさらに含む。
いくつかの態様において、外来性のD-キシロースからMEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成するかまたは蓄積する組換え微生物を作製する方法は、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を防止し、代わりに、D-キシロースのD-キシロネートへの変換に反応を向けるため、D-キシロースイソメラーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異を組換え微生物へ導入する工程を含む。一つの態様において、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を触媒する酵素は、D-キシロースイソメラーゼである。いくつかの態様において、D-キシロースイソメラーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、D-キシロースイソメラーゼは、xylA遺伝子またはその相同体によってコードされる。
いくつかの態様において、外来性のD-キシロースからMEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成するかまたは蓄積する組換え微生物を作製する方法は、グリコールアルデヒドからのグリコール酸の生成を防止し、代わりに、グリコールアルデヒドのMEGへの変換に反応を向けるため、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異を組換え微生物へ導入する工程を含む。一つの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、aldA遺伝子またはその相同体によってコードされる。
いくつかの態様において、外来性のD-キシロースからMEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成するかまたは蓄積する組換え微生物を作製する方法は、ピルベートからのラクテートの生成を防止し、代わりに、1種類または複数種類の3炭素化合物の生成に反応を向けるため、乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異を組換え微生物へ導入する工程を含む。一つの態様において、ピルベートのラクテートへの変換を触媒する酵素は、乳酸デヒドロゲナーゼである。具体的な態様において、酵素は、ピルベートをラクテートへ変換する。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、ldhA遺伝子またはその相同体によってコードされる。
上述のように、もう一つの局面において、本願は、
(a)D-キシロースのD-キシロネートへの変換を触媒するキシロースデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(b)(a)由来のD-キシロネートの2-ケト-3-デオキシ-キシロネートへの変換を触媒するキシロン酸デヒドラターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(c)(b)由来の2-ケト-3-デオキシ-キシロネートのグリコールアルデヒドおよびピルベートへの変換を触媒する2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;
(d)(c)由来のグリコールアルデヒドのMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1種類の外来性の核酸分子;
(e)アセチルCoAのアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1種類の外来性の核酸分子;
(f)(e)由来のアセトアセチルCoAのアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子;ならびに/または
(g)(f)由来のアセト酢酸のアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1種類の外来性の核酸分子、
のうちの一つまたは複数を組換え微生物に導入しかつ/または過剰発現させる工程を含む、外来性のD-キシロースからMEGおよびアセトンを生成するかまたは蓄積する組換え微生物を作製する方法を提供し;本方法において、生成された中間体ピルベートは、微生物における内在性の解糖経路を通してアセチルCoAへ変換され、かつMEGおよびアセトンが、同時生成される。
一つの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼは、カウロバクター属の種、ハロアーキュラ属の種、ハロフェラックス属の種、ハロルブラム属の種、およびトリコデルマ属の種からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼは、カウロバクター・クレセンタス、ハロアーキュラ・マリスモーツイ、ハロフェラックス・ボルカニイ、ハロルブラム・ラクスプロファンディ、およびトリコデルマ・リーゼイからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xylB、xdh1(HVO_B0028)、および/もしくはxyd1、またはそれらの相同体より選択される。さらなる態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:61、63、および65からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:59、60、62、および64からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、キシロン酸デヒドラターゼは、カウロバクター属の種、スルホロブス属の種、および大腸菌からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロン酸デヒドラターゼは、カウロバクター・クレセンタス、スルホロブス・ソルファタリカス、および大腸菌からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、xylD、yjhG、および/もしくはyagF、またはそれらの相同体より選択される。さらなる態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:69、72、および75からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:68、70、71、73、および74からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼは、シュードモナス属の種および大腸菌より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼは、大腸菌から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、yjhHおよび/もしくはyagEまたはそれらの相同体より選択される。さらなる態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:78および81からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、SEQ ID NO:76、77、79、および80からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
一つの態様において、方法は、(g)由来のアセトンのイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子を組換え微生物へ導入しかつ/または過剰発現させる工程をさらに含む。
もう一つの態様において、方法は、イソプロパノールのプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1種類の内在性もしくは外来性の核酸分子を組換え微生物へ導入しかつ/または過剰発現させる工程をさらに含む。
もう一つの態様において、方法は、
(a)D-キシロースのD-キシルロースへの変換を触媒するD-キシロースイソメラーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異;
(b)グリコールアルデヒドのグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異;および
(c)ピルベートのラクテートへの変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異、
からなる群より選択される1種類または複数種類の改変を組換え微生物へ導入する工程をさらに含む。
いくつかの態様において、外来性のD-キシロースからMEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成するかまたは蓄積する組換え微生物を作製する方法は、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を防止し、代わりに、D-キシロースのD-キシロネートへの変換に反応を向けるため、D-キシロースイソメラーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異を組換え微生物へ導入する工程を含む。一つの態様において、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を触媒する酵素は、D-キシロースイソメラーゼである。いくつかの態様において、D-キシロースイソメラーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、D-キシロースイソメラーゼは、xylA遺伝子またはその相同体によってコードされる。
いくつかの態様において、外来性のD-キシロースからMEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成するかまたは蓄積する組換え微生物を作製する方法は、グリコールアルデヒドからのグリコール酸の生成を防止し、代わりに、グリコールアルデヒドのMEGへの変換に反応を向けるため、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異を組換え微生物へ導入する工程を含む。一つの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、aldA遺伝子またはその相同体によってコードされる。
いくつかの態様において、外来性のD-キシロースからMEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成するかまたは蓄積する組換え微生物を作製する方法は、ピルベートからのラクテートの生成を防止し、代わりに、1種類または複数種類の3炭素化合物の生成に反応を向けるため、乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入、または機能喪失型変異を組換え微生物へ導入する工程を含む。一つの態様において、ピルベートのラクテートへの変換を触媒する酵素は、乳酸デヒドロゲナーゼである。具体的な態様において、酵素は、ピルベートをラクテートへ変換する。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、ldhA遺伝子またはその相同体によってコードされる。
上に開示された任意の局面の一つの態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、大腸菌および出芽酵母より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、1種類または複数種類の核酸分子は、gldA、GRE2、GRE3、yqhD、ydjG、fucO、yafB(dkgB)、および/もしくはyqhE(dkgA)、またはそれらの相同体より選択される。もう一つの態様において、1種類または複数種類の核酸分子は、yqhDである。いくつかの態様において、yqhDは、G149E変異を含む。さらなる態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、SEQ ID NO:13、15、17、20、23、25、28、30、および32からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、SEQ ID NO:12、14、16、18、19、21、22、24、26、27、29、および31からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
上に開示された任意の局面の一つの態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、大腸菌、サッカロミセス属の種、およびマリノバクター属の種からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・サーモサッカロリチカム、バチルス・セレウス、大腸菌、出芽酵母、およびマリノバクター・ヒドロカルボノクラスチカスからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、1種類または複数種類の核酸分子は、thlA、atoB、および/もしくはERG10、またはそれらの相同体である。さらなる態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:35、37、および40からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:33、34、36、38、および39からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
上に開示された任意の局面の一つの態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、クロストリジウム属の種および大腸菌より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、大腸菌から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、atoAおよび/もしくはatoDまたはそれらの相同体である。もう一つの態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、クロストリジウム・アセトブチリカムから入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、ctfAおよび/もしくはctfBまたはそれらの相同体である。さらなる態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、SEQ ID NO:43、46、97、99、101、および103からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、SEQ ID NO:41、42、44、45、96、98、100、および102からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
上に開示された任意の局面の一つの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、クロモバクテリウム属の種、およびシュードモナス属の種からなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・ベイジェリンキイ、クロストリジウム・セルロリティカム、バチルス・ポリミキサ、クロモバクテリウム・ビオラセウム、およびシュードモナス・プチダからなる群より選択される微生物から入手される1種類または複数種類の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、adcまたはその相同体である。さらなる態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、SEQ ID NO:49および52からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、SEQ ID NO:47、48、50、および51からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
上に開示された任意の局面の一つの態様において、アセトンのイソプロパノールへの変換を触媒する酵素は、二級アルコールデヒドロゲナーゼ(S-ADH)である。もう一つの態様において、酵素は、バークホルデリア属の種、アルカリゲネス属の種、クロストリジウム属の種、サーモアナエロバクター属の種、フィトモナス属の種、ロドコッカス属の種、メタノバクテリウム属の種、メタノゲニウム属の種、エントアメーバ属の種、トリコモナス属の種、およびトリトリコモナス属の種より選択される微生物から入手される核酸分子によってコードされる二級アルコールデヒドロゲナーゼである。いくつかの態様において、二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする核酸分子は、バークホルデリア属種AIU 652、アルカリゲネス・ユートロファス、クロストリジウム・ラグスダレイ、クロストリジウム・ベイジェリンキイ、クロストリジウム・カルボキシジボランス、サーモアナエロバクター・ブロッキイ、サーモアナエロバクター・エタノリカス(クロストリジウム・サーモヒドロスルフリカム)、ロドコッカス・ルーバー、メタノバクテリウム・パルストレ、メタン生成古細菌メタノゲニウム・リミナタンス、寄生性原生生物エントアメーバ・ヒストリティカ、寄生性原生動物トリトリコモナス・フィータス、およびヒト寄生虫トリコモナス・バギナリスより選択される微生物から入手される。いくつかの態様において、二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする1種類または複数種類の核酸分子は、adh、adhB、EhAdh1、またはそれらの相同体である。いくつかの態様において、S-ADHは、相同性から予測され、サーモアナエロバクター・マスラニイ、ミクロコッカス・ルテウス、ノカルディオプシス・アルバ、マイコバクテリウム・ハッシアカム、ヘリコバクター・スイス、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・パラプシローシス、カンジダ・オルトプシローシス、カンジダ・メタプシローシス、グロスマンニア・クラビゲラ、およびシェフェルソミセス・スチピチスに由来し得る。さらなる態様において、アルコールデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:106および108からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、アルコールデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:104、105、および107からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
酵素工学
組換え微生物の酵素は、基質から生成物への変換の1種類または複数種類の局面を改善するため、操作されていてよい。本開示の方法において使用するためにさらに操作され得る酵素の非限定的な例には、アルドラーゼ、アルデヒドレダクターゼ、アセトアセチル補酵素Aヒドロラーゼ、キシロースイソメラーゼ、キシリトールデヒドロゲナーゼ、およびそれらの組み合わせが含まれる。これらの酵素は、改善された触媒活性、改善された選択性、改善された安定性、様々な発酵条件(温度、pH等)に対する改善された耐性、または様々な代謝基質、生成物、副生成物、中間体等に対する改善された耐性のために操作され得る。「改善された触媒活性」という用語は、特定の酵素活性に関して、本明細書において使用されるように、比較可能な操作されていない酵素について測定されたものより高レベルの酵素活性をさす。
例えば、アルドラーゼの安定性、基質特異性、および立体特異性を変化させて、生体触媒プロセス用の優れた酵素を作製するために、操作手法が使用されてきた。フルクトース-1,6-ビスリン酸アルドラーゼ(FBP-アルドラーゼ)の耐熱性および溶媒耐性は、大腸菌およびエドワージエラ・イクタルリ(Edwardsiella ictaluri)に由来するfda遺伝子のファミリーDNAシャフリングの使用により増加した。53℃においていずれの親よりも平均280倍高い半減期を示す第4世代のバリアントが同定された。同バリアントは、様々な極性および非極性の有機溶媒においても増強された活性を示した(Hao and Berry 2004 Protein Eng Des Sel 17:689-697)。
もう一つの例として、アセトアセチル補酵素Aヒドロラーゼは、アセトアセチルCoAをアセト酢酸へ変換することができる。しかしながら、ヒドロラーゼは、酵素チオラーゼによるアセトアセチルCoA形成のために必要とされる基質であるアセチルCoAともほぼ同じ大きさで反応するという点で非特異的である。従って、より効率的なアセトアセチルCoAヒドロラーゼを作出するため、触媒作用のために重要な酵素βサブユニット内の数個のグルタミン酸残基を交換することによって、アセチルCoA基質より少なくとも10倍高い活性をアセトアセチルCoA基質に対して有するよう、これらの酵素は操作された(WO 2015/042588)。
もう一つの例として、大腸菌YqhD酵素は、10種を超えるアルデヒド基質に対してNADPH依存性レダクターゼ活性を有する広基質アルデヒドレダクターゼであって、再生可能バイオ燃料および化学物質を生成するための有用な酵素である(Jarboe 2010 Applied Microbiology and Biotechnology 89:249)。YqhD酵素活性は、毒性アルデヒドの除去を通して有益であるが、酵素は、NADPH依存性でもあり、NADPH枯渇および生物の増殖阻害に寄与する。3-ヒドロキシプロピオンアルデヒド(3-HPA)からの1,3-プロパンジオール生成を改善するため、YqhDのエラープローンPCRが実施された。この定方向の操作は、ある特定のアルデヒド、具体的には、3-HPAに対する減少したKmおよび増加したkcatを有する2種類の変異体、D99QN147HおよびQ202Aを与えた(Li et al.2008 Prog.Nat.Sci.18(12):1519-1524)。残基Asp99およびAsn147は両方ともNADPHと相互作用するため、D99QN147H変異体の改善された触媒活性は、YqhDの構造について公知のものと一致している(Sulzenbacher et al.2004 J.Mol.Biol.342(2):489-502)。D99QN147H変異体の使用は、3-HPAからの1,3-プロパンジオール生成を2倍増加させた。NADPHに対する増加した触媒効率(増加したKcat/Km)を有する変異体YqhD酵素は、その全体が本明細書に組み入れられるWO 2011012697 A2にも記載されている。
もう一つの例として、キシロースイソメラーゼは、アルドース糖とケトース糖、主として、キシロースとキシルロースおよびグルコースとフルクトースの間の相互変換を触媒する金属依存性酵素である。それは、リキソース糖、アラビノース糖、およびマンノース糖に対してより低い親和性を有する。糖のヒドロキシル基が、糖イソメラーゼの基質の好みを定義し得る。サームス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)キシロースイソメラーゼの残基256のアスパラギン酸が、アルギニンに交換された(Patel et al.2012 Protein Engineering,Design & Selection vol.25 no.7 pp.331-336)。この変異体キシロースイソメラーゼは、D-リキソース、L-アラビノース、およびD-マンノースに対する特異性の増加を示した。D256Rキシロースイソメラーゼ変異体の、これらの3種類の基質に対する触媒効率も、野生型酵素と比較して高かった。変異体酵素における残基256のアルギニンは、触媒反応において役割を果たすか、または基質配向の変化に影響する可能性があると仮定された。
もう一つの例として、酵素キシリトールデヒドロゲナーゼは、キシロースレダクターゼと共に、キシロースの利用において役割を果たす。キシロースレダクターゼ(XR)が、キシロースをキシリトールに還元し、次いで、キシリトールデヒドロゲナーゼ(XDH)が、キシリトールを再酸化してキシルロースを形成させる。しかしながら、XRは共基質としてNADPHを好むが、XDHは共基質として排他的にNAD+を使用するため、共基質再利用問題に遭遇する。一つの解決策は、共基質特異性がNAD+からNADP+へ変化するよう、XDHを操作することである(Ehrensberger et al.,2006 Structure 14:567-575)。グルコノバクター・オキシダンスのホロ酵素の結晶構造は、Asp38がXDHのNAD+特異性を概して担うことを明らかにした。Asp38が、アデノシンリボースのヒドロキシルと相互作用し、Met39が、プリン環下に積み重なり、2'ヒドロキシルの近くにも位置する。酵素活性を失うことなく、NADP+を排他的に使用する二重変異体(D38S/M39R)XDHが構築された。
代謝工学-経路フラックスの増加のための酵素過剰発現または酵素ダウンレギュレーション/欠失
本明細書中に記載された様々な態様において、本明細書中に記載された生合成経路に関与する外来性および内在性の酵素を、組換え微生物において過剰発現させることができる。
「過剰発現された」または「過剰発現」という用語は、基底レベルのmRNAを発現するかまたは基底レベルのタンパク質を有する類似の対応する未改変細胞と比較した、タンパク質をコードするmRNAのレベルの上昇(例えば、異常レベル)、および/または細胞内のタンパク質のレベルの上昇をさす。具体的な態様において、mRNAまたはタンパク質は、遺伝子、mRNA、タンパク質、および/または活性の増加を示すよう操作された微生物において、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、8倍、10倍、12倍、15倍、またはそれ以上、過剰発現され得る。
いくつかの態様において、本開示の組換え微生物は、D-キシルロース、D-リブロース、D-リブロース-1-リン酸、D-キシルロース-1-リン酸、D-キシロノラクトン、D-キシロネート、2-ケト-3-デオキシ-キシロネート、グリコールアルデヒド、DHAP、ピルベート、アセトアセチルCoA、またはアセト酢酸のような基質を合成する酵素能力を含有している宿主から作製される。いくつかの態様において、MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物の生成を増加させるため、例えば、D-キシルロース、D-リブロース、D-リブロース-1-リン酸、D-キシルロース-1-リン酸、D-キシロノラクトン、D-キシロネート、2-ケト-3-デオキシ-キシロネート、グリコールアルデヒド、DHAP、ピルベート、アセトアセチルCoA、またはアセト酢酸の合成または蓄積を増加させることが有用であり得る。
いくつかの態様において、例えば、D-キシルロース、D-リブロース、D-リブロース-1-リン酸、D-キシルロース-1-リン酸、D-キシロノラクトン、D-キシロネート、2-ケト-3-デオキシ-キシロネート、グリコールアルデヒド、DHAP、ピルベート、アセトアセチルCoA、またはアセト酢酸からのフラックスを増加させ、それによって、MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物の合成または蓄積の増加をもたらすため、MEGおよび3炭素化合物の生合成経路に関与する内在性または外来性の酵素の発現を増加させることが有用であり得る。
合成または蓄積の増加は、例えば、前記のMEGおよび3炭素化合物の生合成経路酵素のうちの1種類または複数種類をコードする核酸の過剰発現によって達成され得る。MEGおよび3炭素化合物の生合成経路酵素の過剰発現は、例えば、内在性の遺伝子の発現の増加を通して、または外来性の遺伝子の発現もしくは発現の増加を通して起こり得る。従って、天然に存在する生物は、MEGおよび3炭素化合物の生合成経路酵素をコードする1種類または複数種類の核酸分子の過剰発現を通して、非天然のMEGおよび3炭素化合物を生成する微生物が作製されるよう、容易に改変され得る。さらに、MEGおよび3炭素化合物の生合成経路の酵素の活性の増加をもたらす内在性の遺伝子の変異誘発によって、天然に存在しない生物を作製することができる。
本開示の組換え微生物は、MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物を生成するために十分な量、MEGおよび3炭素化合物の生合成経路酵素をコードする少なくとも1種類の核酸を外因的に発現するよう、前記に例示される当技術分野において周知の方法を使用して構築され得るため、本開示を与えられた当業者は、本明細書中に記載された組換え微生物を容易に構築することができるであろう。
天然に存在しないMEGおよび3炭素化合物を生成する宿主を構築し、その発現レベルを試験する方法は、例えば、当技術分野において周知の組換えおよび検出の方法によって実施され得る。そのような方法は、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Third Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,New York(2001)Ausubo et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Baltimore,Md.(1999)に見出され得る。
外来性または内在性の遺伝子を発現させるかまたは過剰発現させるため、当技術分野において公知の多様な機序を使用することができる。例えば、宿主生物において機能性の発現調節配列に機能的に連結された、本明細書中に例示される1種類または複数種類のMEGおよび3炭素化合物の生合成経路酵素をコードする核酸を保有するよう、発現ベクターを構築することができる。本発明の微生物宿主生物において使用するために適用可能な発現ベクターには、例えば、宿主染色体への安定的な組み込みのために機能性のベクターおよび選択配列またはマーカーを含む、プラスミド、ファージベクター、ウイルスベクター、エピソーム、および人工染色体が含まれる。例えば、抗生物質もしくは毒素に対する耐性を提供するか、栄養要求欠損を補完するか、または培養培地中に存在しない重要栄養素を供給する選択可能マーカー遺伝子も、含まれ得る。発現調節配列には、当技術分野において周知の構成性プロモーターおよび誘導性プロモーター、転写エンハンサー、転写ターミネーター等が含まれ得る。2種以上の外来性のコード核酸を共発現させたい時には、例えば、単一の発現ベクターに、または別々の発現ベクターに、両核酸を挿入することができる。単一ベクター発現の場合、コード核酸は、1個の共通の発現調節配列に機能的に連結されていてもよいし、または1個の誘導性プロモーターおよび1個の構成性プロモーターのような異なる発現調節配列に連結されていてもよい。代謝経路または合成経路に関与する外来性の核酸配列の形質転換は、当技術分野において周知の方法を使用して確認され得る。
当業者によって理解されるように、特定の宿主における発現を増強するため、コード配列を改変することは有利であり得る。遺伝暗号は64種類の可能なコドンを含み重複しているが、大部分の生物は、典型的には、これらのコドンのサブセットを使用する。種において最も高頻度に利用されるコドンは、最適コドンと呼ばれ、さほど高頻度に利用されないものは、希少または低頻度使用コドンとして分類される。宿主の好ましいコドン使用頻度を反映するため、コドンを置換することができ、その過程は、時に、「コドン最適化」または「種コドンバイアスの調節」と呼ばれる。
例えば、翻訳の速度を増加させるか、または最適化されていない配列から産生される転写物と比較して、より長い半減期のような、望ましい特性を有する組換えRNA転写物を生成するため、特定の原核生物または真核生物の宿主にとって好ましいコドンを含有している最適化されたコード配列(Murray et al.(1989)Nucl.Acids Res.17:477-508を参照すること)を調製することができる。翻訳終止コドンも、宿主の好みを反映するために改変され得る。例えば、出芽酵母および哺乳動物のための典型的な終止コドンは、それぞれ、UAAおよびUGAである。単子葉植物のための典型的な終止コドンは、UGAであるが、昆虫および大腸菌は、一般的に、UAAを終止コドンとして使用する(Dalphin et al.(1996)Nucl.Acids Res.24:216-218)。
当業者は、遺伝暗号の縮重性のため、多様な核酸配列が、本開示の所定の酵素をコードするために使用され得ることを認識するであろう。生合成酵素をコードする核酸配列は、本開示の態様を例示するために本明細書中に参照されるに過ぎず、本開示は、本開示の酵素のポリペプチドおよびタンパク質のアミノ酸配列をコードする任意の核酸配列を含む。同様に、ポリペプチドは、典型的には、所望の活性を失うことなくまたは有意に失うことなく、アミノ酸配列内の1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失、および挿入を許容することができる。本開示は、改変されたポリペプチドまたはバリアントポリペプチドが、参照ポリペプチドの酵素的な同化活性または異化活性を有する限り、本明細書中に記載された特定のタンパク質と異なるアミノ酸配列を有するそのようなポリペプチドを含む。さらに、本明細書に示された核酸配列によってコードされたアミノ酸配列は、本開示の態様を例示するものに過ぎない。
発現調節配列は、当技術分野において公知であり、例えば、宿主細胞におけるポリヌクレオチド配列の発現を提供するプロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、転写ターミネーター、配列内リボソーム進入部位(IRES)等を含む。発現調節配列は、転写に関与する細胞タンパク質と特異的に相互作用する(Maniatis et al.,Science,236:1237-1245(1987))。例示的な発現調節配列は、例えば、Goeddel,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology,Vol.185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)に記載されている。
様々な態様において、発現調節配列は、ポリヌクレオチド配列に機能的に連結されていてよい。「機能的に連結された」とは、適切な分子(例えば、転写活性化タンパク質)が発現調節配列に結合した時に遺伝子発現が可能になるような方式で、ポリヌクレオチド配列と発現調節配列とが接続されていることを意味する。機能的に連結されたプロモーターは、転写および翻訳の方向に関して、選択されたポリヌクレオチド配列の上流に位置する。機能的に連結されたエンハンサーは、選択されたポリヌクレオチドの上流、内部、または下流に位置し得る。
いくつかの態様において、組換え微生物は、MEGおよび1種類または複数種類の3炭素化合物の生成のための生合成経路と競合する経路の反応を触媒する1種類または複数種類の内在性の酵素を欠失させ、破壊し、変異させ、かつ/またはその活性を低下させるため、操作される。
いくつかの態様において、組換え微生物は、D-キシルロースのD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒する1種類または複数種類の内在性の酵素を欠失させ、破壊し、変異させ、かつ/またはその活性を低下させるため、操作される。いくつかのそのような態様において、D-キシルロースのD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒する酵素は、D-キシルロース-5-キナーゼである。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、xylB遺伝子またはその相同体によってコードされる。いくつかの態様において、操作は、D-キシルロースのD-キシルロース-5-リン酸への変換を防止し、代わりに、D-キシルロースのD-キシルロース-1-リン酸への変換に反応を向ける。
いくつかの態様において、組換え微生物は、グリコールアルデヒドのグリコール酸への変換を触媒する1種類または複数種類の内在性の酵素を欠失させ、破壊し、変異させ、かつ/またはその活性を低下させるため、操作される。いくつかのそのような態様において、グリコールアルデヒドのグリコール酸への変換を触媒する酵素は、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼである。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、aldA遺伝子またはその相同体によってコードされる。いくつかの態様において、操作は、グリコールアルデヒドからのグリコール酸の生成を防止し、代わりに、グリコールアルデヒドのMEGへの変換に反応を向ける。
いくつかの態様において、組換え微生物は、ピルベートのラクテートへの変換を触媒する1種類または複数種類の内在性の酵素を欠失させ、破壊し、変異させ、かつ/またはその活性を低下させるため、操作される。いくつかのそのような態様において、ピルベートのラクテートへの変換を触媒する酵素は、乳酸デヒドロゲナーゼである。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、ldhA遺伝子またはその相同体によってコードされる。いくつかの態様において、操作は、ピルベートからのラクテートの生成を防止し、代わりに、3炭素化合物の生成に反応を向ける。
いくつかの態様において、組換え微生物は、D-キシルロースのD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒する1種類または複数種類の内在性の酵素を欠失させ、破壊し、変異させ、かつ/またはその活性を低下させるため、操作される。いくつかのそのような態様において、D-キシルロースのD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒する酵素は、D-キシルロース-5-キナーゼである。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、出芽酵母に由来する。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、XKS1遺伝子またはその相同体によってコードされる。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、ピキア・スチピチスに由来する。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、XYL3遺伝子またはその相同体によってコードされる。いくつかの態様において、操作は、D-キシルロースのD-キシルロース-5-リン酸への変換を防止し、代わりに、D-キシルロースのD-キシルロース-1-リン酸への変換に反応を向ける。
いくつかの態様において、組換え微生物は、D-キシルロース-5-リン酸のD-キシルロースへの変換を触媒する1種類または複数種類の内在性の酵素を欠失させ、破壊し、変異させ、かつ/またはその活性を低下させるため、操作される。いくつかのそのような態様において、D-キシルロース-5-リン酸のD-キシルロースへの変換を触媒する酵素は、アルカリホスファターゼである。いくつかの態様において、アルカリホスファターゼは、出芽酵母に由来する。いくつかの態様において、アルカリホスファターゼは、PHO13遺伝子またはその相同体によってコードされる。いくつかの態様において、操作は、D-キシルロース-5-リン酸のD-キシルロースへの変換を防止する。
いくつかの態様において、組換え微生物は、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を触媒する1種類または複数種類の内在性の酵素を欠失させ、破壊し、変異させ、かつ/またはその活性を低下させるため、操作される。いくつかのそのような態様において、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を触媒する酵素は、D-キシロースイソメラーゼである。いくつかの態様において、D-キシロースイソメラーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、D-キシロースイソメラーゼは、xylA遺伝子またはその相同体によってコードされる。いくつかの態様において、操作は、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を防止し、代わりに、D-キシロースのD-キシロネートへの変換に反応を向ける。
実施例1a. 大腸菌におけるエチレングリコールの生成
大腸菌K12株MG1655を、MEG+IPA経路から炭素フラックスを流用することができる2つの遺伝子aldAおよびxylBの欠失のための宿主として使用した。これらの遺伝子を首尾よく欠失させ、欠失を配列決定によって確認した。この経路の第1の酵素(核酸配列SEQ ID NO:2によってコードされるD-タガトース3-エピメラーゼ、SEQ ID NO:3)をコードするdte遺伝子を含むプラスミドを、pUCベクター骨格の下、proDプロモーターの制御下で発現させた。このプラスミドを、MoCloシステムを使用して構築し、配列決定によって確認した。確認されたプラスミドを、欠失株に形質転換させた。形質転換により得られたコロニーを、プレ培養のために3 mLのLB培地に植菌した。16時間の培養後、プレ培養物の10%を、15 g/Lのキシロースを含む50 mLのLB培地に移した。このフラスコを、キシロースが完全に消費されるまで、37℃、250 rpmでインキュベートした。この培養物の初期ODは、0.4であった。キシロースは、96時間の培養後に完全に消費された。27時間の培養後に少量のMEGが検出された。最高のMEG濃度は、100時間の培養後に測定され、2.1 g/Lに達した。MEG産物の全収率は、13.7 wt%であった(図7)。
実施例1b. 大腸菌における改善されたエチレングリコール生成
aldAおよびxylB遺伝子を欠失させた大腸菌K12株MG1655(実施例1aと同じ株)を、完全なMEG経路の実装のための宿主として使用した。proDプロモーターの制御下にdte(核酸配列SEQ ID NO:2によってコードされる、D-タガトース3-エピメラーゼ酵素、SEQ ID NO:3)、fucA(核酸配列SEQ ID NO:10によってコードされる、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ酵素、SEQ ID NO:11)、fucO(核酸配列SEQ ID NO:27によってコードされる、アルデヒドレダクターゼ酵素、SEQ ID NO:28)およびfucK(核酸配列SEQ ID NO:7によってコードされる、D-リブロキナーゼ酵素、SEQ ID NO:8)遺伝子を含むオペロンを、pET28a骨格の下で構築した。このプラスミドは、市販キットIn-fusionを用いて構築し、配列決定によって確認した。確認されたプラスミドを、MG1655変異株に形質転換させた。形質転換により得られたコロニーを、プレ培養のために3 mLのLB培地に植菌した。16時間の培養後、プレ培養物を、初期ODが0.3となるよう、15 g/Lのキシロースを含む50 mLのLB培地に移した。このフラスコを、キシロースが完全に消費されるまで、37℃、250 rpmでインキュベートした。4時間の培養後、およそ100 mg/LのMEGを検出することができた。144時間の培養後、4.3 g/LのMEGが生成され、すべてのキシロースが消費された(図8)。全収率および生産性は、それぞれ、0.3 g/gおよび0.03 g/L.hであった。
実施例2:出芽酵母におけるエチレングリコールおよびイソプロパノールの同時生成
S288c由来の出芽酵母研究用株BY4730を、MEG+IPA経路の発現のための宿主として使用した。最初の工程は、IPA経路を出芽酵母のゲノムに組み込むことであった。1コピーの各遺伝子を、以下のプロモーターの制御下での相同組換えによって組み込んだ:thl遺伝子(核酸配列SEQ ID NO:34によってコードされる、チオラーゼ、SEQ ID NO:35)についてはADH1;atoA遺伝子についてはTEF1;atoD遺伝子(核酸配列SEQ ID NO:42および45によってコードされる、それぞれ、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼ、配列番号43および46)についてはPGK1;adc遺伝子(核酸配列SEQ ID NO:48によってコードされる、アセト酢酸デカルボキシラーゼ、SEQ ID NO:49)についてはTDH3;およびadh遺伝子(核酸配列SEQ ID NO:105によってコードされる、二級アルコールデヒドロゲナーゼ、SEQ ID NO:106)についてはTPl1。この組み込みを、PCRおよび配列決定によって確認した。第2の工程は、キシロースを消費することができる遺伝子を酵母ゲノムに導入することであった。キシロース消費のために選択した経路は、2つの遺伝子Xyl1およびXyl2から構成される。TEF1プロモーターの制御下の3コピーのXyl1遺伝子(核酸配列SEQ ID NO:83によってコードされる、SEQ ID NO:84)およびこれもまたTEF1プロモーターの制御下の3コピーのXyl2(核酸配列SEQ ID NO:89によってコードされる、SEQ ID NO:90)遺伝子を、相同組換えを通じて酵母ゲノムに組み込んだ。この組み込みをPCRおよび配列決定によって確認した。第3の工程は、MEG経路の組み込みであった。それぞれTEF1およびTDH3プロモーターの制御下の2コピーのD-タガトース3-エピメラーゼ酵素(核酸配列SEQ ID NO:2によってコードされる、dte遺伝子、SEQ ID NO:3)を、以下の遺伝子と共にゲノムに組み込んだ:PGK1プロモーターの制御下の1コピーのfucO遺伝子(核酸配列SEQ ID NO:27によってコードされる、グリコールアルデヒドレダクターゼ、SEQ ID NO:28);PGK1プロモーターを用いた1コピーのfucA遺伝子(核酸配列SEQ ID NO:10によってコードされる、D-リブロース-リン酸アルドラーゼ、SEQ ID NO:11)およびPGK1プロモーター下の1コピーのfucK遺伝子(核酸配列SEQ ID NO:7によってコードされる、D-リブロキナーゼ、SEQ ID NO:8)。最終株を、PCRおよび配列決定によって確認した。この株を、20 g/Lのグルコースを含むYPD培地に植菌し、30℃、200 rpmでインキュベートした。16時間の成長後、プレ培養物を、30 g/Lのグルコースおよび10 g/Lのキシロースを含むYPDX培地中にOD 2.0となるよう植菌した。このフラスコを、30℃、100 rpmでインキュベートした。酵母におけるC5およびC6消費の典型的挙動が観察された。30 g/Lのグルコースが、60時間以内に消費され、初期キシロースの90%がわずか200時間後に消費された。ODは、200時間の培養後に55の値に達した。最初の60時間の培養ですでにイソプロパノールが生成され、MEGは、160時間の培養後にのみ検出された。最高の同時生成は、183時間の培養で得られ、58 mg/LのMEGおよび2.81 g/Lのイソプロパノールが生成された。グルコースおよびキシロースからの同時生成の全収率は、7.4%であった(図6)。
実施例3. リブロース-1-リン酸経路を用いた大腸菌におけるエチレングリコール(MEG)、アセトンおよびイソプロパノール(IPA)の同時生成
大腸菌K12株MG1655を、MEG+IPA経路から炭素フラックスを流用することができる2つの遺伝子aldAおよびxylBの欠失のための宿主として使用した。これらの遺伝子を首尾よく欠失させ、欠失を配列決定によって確認した。MEG生成のためのリブロース-1-リン酸経路を、3つの異なるベクター骨格pZA31、pZS
*13およびpET28aの下で構築した。リブロース-1-リン酸経路を通じたMEGの生成は、以下の4つの遺伝子の発現を必要とする:dte(D-タガトース3-エピメラーゼ酵素)、fucA(D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ酵素)、fucO(アルデヒドレダクターゼ酵素)およびfucK(D-リブロキナーゼ酵素)。dte遺伝子を大腸菌に対してコドン最適化させ(SEQ ID NO:3に示されるDteアミノ酸配列)、合成した。他の遺伝子はすべて、大腸菌由来のネイティブのものであり、これらを以下のプライマー:
fucAおよびfucO
ならびにfucK
を用いてPCR増幅した。proDプロモーター(構成性プロモーター)の制御下にdte(D-タガトース3-エピメラーゼ酵素)、fucA(D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ酵素)、fucO(アルデヒドレダクターゼ酵素)、fucK(D-リブロキナーゼ酵素)遺伝子およびT7ターミネーターを含むオペロンを、pET28a骨格の下で構築した。遺伝子ごとに個別のRBS配列を使用した。このプラスミドを、市販キットIn-fusionを用いて構築し、配列決定により確認した。proDプロモーターの制御下のオペロン全体を、制限・連結法を用いてpZA31およびpZS
*13骨格の下にサブクローニングした。
イソプロパノール経路も、3つの異なるベクター骨格pZA31、pZS
*13およびpET28aの下で構築した。イソプロパノールの生成は、以下の5つの遺伝子の発現を必要とする:thl(チオラーゼ)、atoA/D(酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼ)、adc(アセト酢酸デカルボキシラーゼ)およびadh(二級アルコールデヒドロゲナーゼ)。atoA/D遺伝子は、大腸菌由来のネイティブのものであり、これをPCR増幅
した。thl(SEQ ID NO:35に示されるThlアミノ酸配列)、adc(SEQ ID NO:49に示されるAdcアミノ酸配列)およびadh(SEQ ID NO:106に示されるAdhアミノ酸配列)を、大腸菌に対してコドン最適化させ、合成した。誘導性プロモーターpLLacOの制御下にthl(チオラーゼ)、adh(二級アルコールデヒドロゲナーゼ)、adc(アセト酢酸デカルボキシラーゼ)、atoA/D(酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼ)遺伝子およびT1ターミネーターを含むオペロンをpET28a骨格の下で構築した。遺伝子ごとに個別のRBS配列を使用した。このプラスミドを、市販キットIn-fusionおよび制限・連結法を用いて数工程で構築した。正確な構築を配列決定により確認した。誘導性プロモーターpLLacOの制御下のオペロン全体を、制限・連結法を用いてpZA31およびpZS
*13骨格の下にサブクローニングした。
xylBおよびaldAを欠失させた株において様々なMEGおよびIPAプラスミドの同時形質転換を行い、すべての可能性のあるプラスミドの組み合わせを有する株を作製した。表2は、構築された株を示している。
形質転換により得られたコロニーを、プレ培養のために3 mLのTB培地に植菌した。16時間の培養後、プレ培養物の100%を、15 g/Lのキシロースを含む100 mLのTB培地に移した。このフラスコを、キシロースが完全に消費されるまで、37℃、250 rpmでインキュベートした。この培養物の初期ODは、0.3であった。pLLacOプロモーターの誘導のために、2時間後(OD=1)に1 mMのIPTGを培養物に添加した。
株1~4では、キシロースが32時間の培養後に完全に消費された。株5は、55時間後にのみキシロースを完全に消費し、株6は、144時間後でもすべてのキシロースを消費できなかった。
同時生成の全収率は、消費されたキシロース1グラムあたりに生成されたエチレングリコール、イソプロパノールおよびアセトンの量に基づき計算した。最高の収率は、48時間の発酵後に得られた。すべての株の収率(g生成物/gキシロース)が、図9に示されている。
株2および3は、MEG、イソプロパノールおよびアセトンを同時生成したが、株1および4はMEGおよびアセトンのみを同時生成した。株5および6は、MEGのみを生成した。
株2は、全体的な収率(0.28 g/g)が最高であっただけでなく、エチレングリコール(0.25 g/g)およびイソプロパノール(0.03 g/g)生成に関しても、最高の収率を示した。株4は、アセトン生成に関して最高の収率を示した(0.01 g/g)。
実施例4. キシルロース-1-リン酸経路を用いた大腸菌におけるエチレングリコール(MEG)、アセトンおよびイソプロパノール(IPA)の同時生成
大腸菌K12株MG1655を、MEG+IPA経路の発現のための宿主として使用した。MEG+IPA経路から炭素フラックスを流用することができる2つの遺伝子aldAおよびxylBを、欠失の標的とした。xylBを欠失させつつ同時に安定的な組み込みを実現するため、MEG経路をxylB遺伝子座に組み込んだ。キシルロース-1-リン酸経路を通じたMEGの生成は、以下の3つの遺伝子の発現を必要とする:khkC(D-キシルロース-1-キナーゼ酵素)、aldoB(D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ酵素)およびfucO(アルデヒドレダクターゼ酵素)。khkC(SEQ ID NO:55に示されるKhkCアミノ酸配列)およびaldoB(SEQ ID NO:58に示されるAldoBアミノ酸配列)遺伝子を、大腸菌に対してコドン最適化させ、合成した。fucO遺伝子は、大腸菌由来のネイティブのものであり、これをPCR増幅
した。
MEG組み込みカセットは、xylB遺伝子の上流および下流と相同な領域が隣接する、proDプロモーター(構成性プロモーター)の制御下にkhkC(D-キシルロース-1-キナーゼ酵素)、aldoB(D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ酵素)、fucO(アルデヒドレダクターゼ酵素)遺伝子およびrplMターミネーターを含むオペロンから構成されるものであった。遺伝子ごとに個別のRBS配列を使用した。形質転換体の選択のために、抗生物質マーカーもこのカセットに加えた。このカセットを、市販キットIn-fusionを用いて構築し、配列決定によって確認し、大腸菌K12 MG1655株に形質転換させた。MEG経路が組み込まれたxylB欠失株を生じる、xylB遺伝子座におけるMEG経路の適切な組み込みを、配列決定によって確認した。
xylB遺伝子座にMEG経路を有する株を、aldAを欠失させつつ同時に安定的な組み込みを実現するaldA遺伝子座におけるIPA経路の組み込みのための宿主として使用した。イソプロパノールの生成は、以下の5つの遺伝子の発現を必要とする:thl(チオラーゼ)、atoA/D(酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼ)、adc(アセト酢酸デカルボキシラーゼ)およびadh(二級アルコールデヒドロゲナーゼ)。atoA/D遺伝子は、大腸菌由来のネイティブのものであり、これをPCR増幅
した。thl(SEQ ID NO:35に示されるThlアミノ酸配列)、adc(SEQ ID NO:49に示されるAdcアミノ酸配列)およびadh(SEQ ID NO:106に示されるAdhアミノ酸配列)を、大腸菌に対してコドン最適化させ、合成した。
IPA組み込みカセットは、aldA遺伝子の上流および下流と相同な領域が隣接する、中程度の強度の構成性プロモーター(RecAから改変)の制御下にthl(チオラーゼ)、adh(二級アルコールデヒドロゲナーゼ)、adc(アセト酢酸デカルボキシラーゼ)、atoA/D(酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼ)遺伝子およびT1ターミネーターを含むオペロンから構成されるものであった。遺伝子ごとに個別のRBS配列を使用した。形質転換体の選択のために、抗生物質マーカーもこのカセットに加えた。このカセットを、市販キットIn-fusionを用いて構築し、配列決定によって確認し、大腸菌K12 MG1655株に形質転換させた。IPA経路が組み込まれたaldA欠失株を生じる、aldA遺伝子座におけるIPA経路の適切な組み込みを、配列決定によって確認した。
ゲノム内にMEGおよびIPA経路が組み込まれたxylB aldA欠失株を、プレ培養のために3 mLのTB培地に植菌した。16時間の培養後、プレ培養物の100%を、15 g/Lのキシロースを含む100 mLのTB培地に移した。このフラスコを、キシロースが完全に消費されるまで、37℃、250 rpmでインキュベートした。この培養物の初期ODは、0.3であった。
キシロースは、30時間の培養後に完全に消費された(図10)。エチレングリコール、アセトンおよびイソプロパノールは、それぞれ、3.5 g/L、70 mg/Lおよび400 mg/Lの最大価に達した。
同時生成の全収率は、消費されたキシロース1グラムあたりに生成されたエチレングリコール、イソプロパノールおよびアセトンの量に基づき計算した。MEGが、最高の収率である0.237 g/gを示した生成物であり、イソプロパノールの0.029 g/gおよびアセトンの0.006 g/gがそれに続く(図11)。48時間の発酵後に得られた最大の同時生成収率は、0.27 g生成物/gキシロース(理論上の最大収率の44%)であった。
実施例5. キシロネート経路を用いた大腸菌におけるエチレングリコール(MEG)、アセトンおよびイソプロパノール(IPA)の同時生成
大腸菌K12株MG1655を、MEG+IPA経路の発現のための宿主として使用した。MEG+IPA経路から炭素フラックスを流用することができる2つの遺伝子であるaldAおよびxylA遺伝子を、欠失の標的とした。xylAを欠失させつつ同時に安定的な組み込みを実現するため、MEG経路をxylA遺伝子座に組み込んだ。キシロネート経路を通じたMEGの生成は、以下の2つの遺伝子の発現を必要とし:カウロバクター・カウロバクター・クレセンタス由来のxdh(SEQ ID NO:61に示されるXdhアミノ酸配列)は、大腸菌に対してコドン最適化させ、合成した。fucO遺伝子は、大腸菌由来のネイティブのものであり、これをPCR増幅
した。2つの他のネイティブ酵素であるD-キシロン酸デヒドラターゼ(yjhG、yagFまたはそれらのホモログ)およびアルドラーゼ(yjhH、yagEまたはそれらのホロモル)を過剰発現させて、キシロネート経路を通じたMEG生成を向上させることができた。
MEG組み込みカセットは、xylA遺伝子の上流および下流と相同な領域が隣接する、proDプロモーター(構成性プロモーター)の制御下にxdh(D-キシロースデヒドロゲナーゼ)、fucO(アルデヒドレダクターゼ酵素)遺伝子およびrnpBターミネーターを含むオペロンから構成されるものであった。遺伝子ごとに個別のRBS配列を使用した。形質転換体の選択のために、抗生物質マーカーもこのカセットに加えた。このカセットを、市販キットIn-fusionを用いて構築し、配列決定によって確認し、大腸菌K12 MG1655株に形質転換させた。MEG経路が組み込まれたxylA欠失株を生じる、xylA遺伝子座におけるMEG経路の適切な組み込みを、配列決定によって確認した。
xylA遺伝子座にMEG経路を有する株を、aldAを欠失させつつ同時に安定的な組み込みを実現するaldA遺伝子座におけるIPA経路の組み込みのための宿主として使用した。イソプロパノールの生成は、以下の5つの遺伝子の発現を必要とする:thl(チオラーゼ)、atoA/D(酢酸:アセチルCoAトランスフェラーゼ)、adc(アセト酢酸デカルボキシラーゼ)およびadh(二級アルコールデヒドロゲナーゼ)。atoA/D遺伝子は、大腸菌由来のネイティブのものであり、これをPCR増幅
した。thl(SEQ ID NO:35に示されるThlアミノ酸配列)、adc(SEQ ID NO:49に示されるAdcアミノ酸配列)およびadh(SEQ ID NO:106に示されるAdhアミノ酸配列)を、大腸菌に対してコドン最適化させ、合成した。
IPA組み込みカセットは、aldA遺伝子の上流および下流と相同な領域が隣接する、中程度の強度の構成性プロモーター(RecAから改変)の制御下にthl(チオラーゼ)、adh(二級アルコールデヒドロゲナーゼ)、adc(アセト酢酸デカルボキシラーゼ)、atoA/D(酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼ)遺伝子およびT1ターミネーターを含むオペロンから構成されるものであった。遺伝子ごとに個別のRBS配列を使用した。形質転換体の選択のために、抗生物質マーカーもこのカセットに含めた。このカセットを、市販キットIn-fusionを用いて構築し、配列決定によって確認し、大腸菌K12 MG1655株に形質転換させた。IPA経路が組み込まれたaldA欠失株を生じる、aldA遺伝子座におけるIPA経路の適切な組み込みを、配列決定によって確認した。
ゲノム内にMEGおよびIPA経路が組み込まれたxylA aldA欠失株を、プレ培養のために3 mLのTB培地に植菌した。16時間の培養後、プレ培養物の100%を、15 g/Lのキシロースを含む100 mLのTB培地に移した。このフラスコを、キシロースが完全に消費されるまで、37℃、250 rpmでインキュベートした。この培養物の初期ODは、0.3であった。
キシロースは、24時間の培養後に完全に消費された(図12)。エチレングリコール、アセトンおよびイソプロパノールは、それぞれ、5 g/L、170 mg/Lおよび420 mg/Lの最大価に達した。
同時生成の全収率は、消費されたキシロース1グラムあたりに生成されたエチレングリコール、イソプロパノールおよびアセトンの量に基づき計算した。MEGが、最高収率である0.339 g/gを示した生成物であり、イソプロパノールの0.028 g/gおよびアセトンの0.008 g/gがそれに続く(図13)。48時間の発酵後に得られた最大の同時生成収率は、0.375 g生成物/gキシロース(理論上の最大収率の61%)であった。
実施例6. グルコースからのプロピレンの直接生成
plLacOプロモーター下のオペロンにIPA経路を含むベクターpZs
*13およびLinD遺伝子を含むpET28aを、エレクトロポレーションを用いてBL21Star(DE3)に同時形質転換した。イソプロパノールの生成は、以下の5つの遺伝子の発現を必要とする:thl(チオラーゼ)、atoA/D(酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼ)、adc(アセト酢酸デカルボキシラーゼ)およびadh(二級アルコールデヒドロゲナーゼ)。atoA/D遺伝子は、大腸菌由来のネイティブのものであり、これをPCR増幅
した。thl(SEQ ID NO:35に示されるThlアミノ酸配列)、adc(SEQ ID NO:49に示されるAdcアミノ酸配列)およびadh(SEQ ID NO:106に示されるAdhアミノ酸配列)を、大腸菌に対してコドン最適化させ、合成した。誘導性プロモーターpLLacOの制御下にthl(チオラーゼ)、adh(二級アルコールデヒドロゲナーゼ)、adc(アセト酢酸デカルボキシラーゼ)、atoA/D(酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼ)遺伝子およびT1ターミネーターを含むオペロンをpZS
*13骨格の下で構築した。候補の選択を、LB培地中でカナマイシンおよびアンピリシンを用いて行った。ここではこの株をIPA+LinDと呼んだ。このプラスミドの組み合わせは、グルコースからイソプロパノールを生成することができ、かつリナロールイソメラーゼデヒドラターゼ酵素を発現することもできる株を提供する。
IPA+LinD、pZs*13_IPAおよびpET28a_LinDの単一コロニーを、37℃、220 rpmの下で、カナマイシン(50μg/mL)およびアンピシリン(100μg/mL)を補充した10 g/Lグリセロールを含むTB培地に植菌した。20時間後、新たな植菌を、37℃、220 rpmの下、適切な抗生物質を補充した1.5 g/Lグリセロールを含むTB培地において、0.2の光学密度を用いて行った。3時間後、600 nmにおいてODが1.0に達し、IPTGを、1 mMの終濃度となるよう添加した。このフラスコを、18℃、220 rpmでインキュベートした。
16時間後、ODを測定し、培養物を、各アッセイについて記載されているように以下の培地を用いてOD 20に達するまで濃縮した:
(a)pZs*13_IPAをTB 20 g/Lグルコース中で(イソプロパノール生成の対照)
(b)IPA+LinDをTB 10 g/Lグリセロールおよび3 g/Lイソプロパノール中で(プロピレン生成の対照)
(c)IPA+LinDをTB 20 g/Lグルコースおよび3 g/Lイソプロパノール中で(プロピレン生成の対照)
(d)IPA+LinDをTB 20 g/Lグルコース中で(プロピレン生成の候補1)
(e)IPA+LinDをTB 20 g/Lグルコース中で(プロピレン生成の候補2)
すべての培養物の1つのアリコートを発現分析のための溶解産物とし、4℃、5000 rpmで20分間の遠心分離によって細胞を収集した。このペレットを-80℃で1時間維持し、その後に氷上で解凍して、Tris-HCl 50 mM pH 7.5中に当初量の10%となるよう再懸濁した。この溶解を、氷上での超音波処理(3~5サイクル、10/10分間、25%振幅)により行い、その後に可溶性画分を分離するために、4℃、5000 rpmで30分間遠心分離した。このサンプルを95℃で10分間加熱し、SDS-PAGEで分析した(図14)。
各培養物の1.0 mLアリコートを、三連にして、2 mLヘッドスペースバイアルに入れ、37℃、225 rpmでインキュベートした。116時間のインキュベート後に、振とうインキュベーターからバイアルを取り出し、プロピレンおよびイソプロパノール濃度をGC-MSで分析した。インキュベート期間の終了時の混入を検証するために、TB培地20 g/Lグルコースのみを含む対照を用いた。1.0 mLのヘッドスペース相を、電子衝撃質量分析検出装置(ISQ - Thermo)を装着したガスクロマトグラフ(Focus GC - Thermo)に注入した。キャリアガスとして、1.5 mL/分の流速でヘリウムを使用し、使用したスプリット比を10とし、スプリットフローを15 mL/分とした。揮発性化合物を、初期温度を90℃で10分間維持し、その後に13.3℃/分で130℃までの第1ランプおよび45℃/分で200℃までの第2ランプを行い、1分間維持するHP-Plot/Q(Agilent)カラムにおいて分離した。これらの条件下でのプロピレンの保持時間は、1.51分であり、イソプロパノールのそれは4.3分であった。生成反応を、プロピレンおよびイソプロパノール標準との比較ならびに断片化質量のデータベースとの比較の両方によって特定した。
アッセイ(a)、(d)および(c)におけるイソプロパノールの生成は、期待通り0.5 g/Lであり、(b)および(c)では3.0 g/Lであった。プロピレンの陽性対照であるアッセイ(b)において4 10-5 mMのプロピレンの生成が観察され、IPA+LinDが同時形質転換された候補であるアッセイ(d)および(e)において有意な生成が観察された(図15)。TB培地のみを含む対照反応においては、プロピレンが観察されなかった。
上記の詳細な説明は、理解を明確にするために提供されるものにすぎず、その改変物は当業者に明らかであろうから、そこからいかなる不必要な制約も導かれるべきでない。
本開示は、その具体的態様に関連して記載されているが、さらなる改変が可能であること、および本願は、概ね本開示の原理にしたがう、および本開示の属する技術分野における公知または慣習的な実務の中で可能であり、本明細書に示される本質的特徴に適用され得、添付の特許請求の範囲にしたがうそのような本開示からの逸脱を含む、本開示のあらゆる派生物、用法または適用を網羅することが意図されていることが理解されるであろう。
本明細書で引用されている特許、特許出願および公報の各々の特許請求の範囲、表図および/または図面を含む開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
本開示の番号が付された態様
本開示により想定される具体的内容を、以下の番号が付された態様により示す。
1. 外来性D-キシロースからモノエチレングリコール(MEG)およびアセトンを同時生成することができる組換え微生物であって、
(a)D-キシルロースからD-リブロースへの変換を触媒するD-タガトース3-エピメラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(b)(a)由来のD-リブロースからD-リブロース-1-リン酸への変換を触媒するD-リブロキナーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(c)(b)由来のD-リブロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-リブロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(d)(c)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(e)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(f)(e)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;ならびに/または
(g)(f)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子、
の1つまたは複数を発現し、
生成された中間体DHAPが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつ
MEGおよびアセトンが同時生成される、
前記微生物。
2. (g)由来のアセトンからイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの内在性または外来性核酸分子をさらに含む、クレーム1記載の組換え微生物。
3. イソプロパノールからプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1つの内在性または外来性核酸分子をさらに含む、クレーム2記載の組換え微生物。
4. (a)D-キシルロースからD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
(b)グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、および
(c)ピルベートからラクテートへの変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
からなる群より選択される1つまたは複数の改変をさらに含む、クレーム1~3のいずれか一つに記載の組換え微生物。
5. 内在性D-キシロースイソメラーゼが、D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒する、クレーム1~4のいずれか一つに記載の組換え微生物。
6. 外来性D-キシロースからモノエチレングリコール(MEG)およびアセトンを同時生成することができる組換え微生物であって、
(a)D-キシルロースからD-キシルロース-1-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース1-キナーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(b)(a)由来のD-キシルロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(c)(b)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(d)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(e)(d)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;ならびに/または
(f)(e)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子、
の1つまたは複数を発現し、
生成された中間体DHAPが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつ
MEGおよびアセトンが同時生成される、
前記微生物。
7. (f)由来のアセトンからイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子をさらに含む、クレーム6記載の組換え微生物。
8. イソプロパノールからプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子をさらに含む、クレーム7記載の組換え微生物。
9. (a)D-キシルロースからD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
(b)グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、および
(c)ピルベートからラクテートへの変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
からなる群より選択される1つまたは複数の改変をさらに含む、クレーム6~8のいずれか一つに記載の組換え微生物。
10. 内在性D-キシロースイソメラーゼが、D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒する、クレーム6~9のいずれか一つに記載の組換え微生物。
11. 外来性D-キシルロースおよびグルコースからモノエチレングリコール(MEG)およびアセトンを同時生成することができる組換え微生物であって、
(a)D-キシロースからキリトールへの変換を触媒するキシロースレダクターゼもしくはアルドースレダクターゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子、およびキシリトールからD-キシルロースへの変換を触媒するキシリトールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(b)D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒するD-キシロースイソメラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子、
の1つまたは複数を発現し、さらに
(c)(a)もしくは(b)由来のD-キシルロースからD-リブロースへの変換を触媒するD-タガトース3-エピメラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(d)(c)由来のD-リブロースからD-リブロース-1-リン酸への変換を触媒するD-リブロキナーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(e)(d)由来のD-リブロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-リブロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(f)(e)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼもしくはメチルグリオキサールレダクターゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(g)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(h)(g)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;ならびに/または
(i)(h)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子、
の1つまたは複数を発現し、
生成された中間体DHAPが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつ
MEGおよびアセトンが同時生成される、
前記微生物。
12. (i)由来のアセトンからイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子をさらに含む、クレーム11記載の組換え微生物。
13. イソプロパノールからプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子をさらに含む、クレーム12記載の組換え微生物。
14. (a)D-キシルロースからD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、および
(b)D-キシルロース-5-リン酸からD-キシルロースへの変換を触媒するアルカリホスファターゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
からなる群より選択される1つまたは複数の改変をさらに含む、クレーム11~13のいずれか一つに記載の組換え微生物。
15. 真菌である、クレーム11~14のいずれか一つに記載の組換え微生物。
16. 外来性D-キシロースからモノエチレングリコール(MEG)およびアセトンを同時生成することができる組換え微生物であって、
(a)D-キシロースからD-キシロノラクトンへの変換を触媒するキシロースデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(b)(a)由来のD-キシロノラクトンからD-キシロネートへの変換を触媒するキシロノラクトナーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(c)(b)由来のD-キシロネートから2-ケト-3-デオキシ-キシロネートへの変換を触媒するキシロン酸デヒドラターゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(d)(c)由来の2-ケト-3-デオキシ-キシロネートからグリコールアルデヒドおよびピルベートへの変換を触媒する2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(e)(d)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(f)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(g)(f)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;ならびに/または
(h)(g)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子、
の1つまたは複数を発現し、
生成された中間体ピルベートが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつ
MEGおよびアセトンが同時生成される、
前記微生物。
17. (h)由来のアセトンからイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子をさらに含む、クレーム16記載の組換え微生物。
18. イソプロパノールからプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子をさらに含む、クレーム17記載の組換え微生物。
19. (a)D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒するD-キシロースイソメラーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
(b)グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、および
(c)ピルベートからラクテートへの変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
からなる群より選択される1つまたは複数の改変をさらに含む、クレーム16~18のいずれか一つに記載の組換え微生物。
20. 外来性D-キシロースからモノエチレングリコール(MEG)およびアセトンを同時生成することができる組換え微生物であって、
(a)D-キシロースからD-キシロネートへの変換を触媒するキシロースデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(b)(a)由来のD-キシロネートから2-ケト-3-デオキシ-キシロネートへの変換を触媒するキシロン酸デヒドラターゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(c)(b)由来の2-ケト-3-デオキシ-キシロネートからグリコールアルデヒドおよびピルベートへの変換を触媒する2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(d)(c)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(e)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(f)(e)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;ならびに/または
(g)(f)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子、
の1つまたは複数を発現し、
生成された中間体ピルベートが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつ
MEGおよびアセトンが同時生成される、
前記微生物。
21. (g)由来のアセトンからイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子をさらに含む、クレーム20記載の組換え微生物。
22. イソプロパノールからプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子をさらに含む、クレーム21記載の組換え微生物。
23. (a)D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒するD-キシロースイソメラーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
(b)グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、および
(c)ピルベートからラクテートへの変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
からなる群より選択される1つまたは複数の改変をさらに含む、クレーム20~22のいずれか一つに記載の組換え微生物。
24. D-タガトース3-エピメラーゼが、シュードモナス属の種、メソリゾビウム属の種またはロドバクター属の種から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム1または11に記載の組換え微生物。
25. シュードモナス・シコリイ、シュードモナス属種ST-24、メソリゾビウム・ロティまたはロドバクター・スフェロイデスから選択される、クレーム24記載の組換え微生物。
26. 1つまたは複数の核酸分子が、dteおよび/またはC1KKR1である、クレーム24記載の組換え微生物。
27. D-リブロキナーゼが、大腸菌から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム1または11記載の組換え微生物。
28. 1つまたは複数の核酸分子がfucKである、クレーム27記載の組換え微生物。
29. D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼが、大腸菌から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム1または11に記載の組換え微生物。
30. 1つまたは複数の核酸分子がfucAである、クレーム29記載の組換え微生物。
31. グリコールアルデヒドレダクターゼが、大腸菌または出芽酵母から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム1、6、11、16または20のいずれか一つに記載の組換え微生物。
32. 1つまたは複数の核酸分子が、fucO、yqhD、dkgA(yqhE)、dkgB(yafB)、yeaE、yghZ、gldAおよび/またはGRE2から選択される、クレーム31記載の組換え微生物。
33. チオラーゼが、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、大腸菌およびマリノバクター属の種から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム1、6、11、16または20のいずれか一つに記載の組換え微生物。
34. クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・サーモサッカロリチカム、バチルス・セレウス、大腸菌およびマリノバクター・ヒドロカルボノクラスチカスから選択される、クレーム33記載の組換え微生物。
35. 1つまたは複数の核酸分子が、thlAおよび/またはatoBである、クレーム33記載の組換え微生物。
36. 酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼが、クロストリジウム属の種または大腸菌から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム1、6、11、16または20のいずれか一つに記載の組換え微生物。
37. クロストリジウム・アセトブチリカムである、クレーム36記載の組換え微生物。
38. 酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、atoAおよび/またはatoDである、クレーム36記載の組換え微生物。
39. 酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、ctfAおよび/またはctfBである、クレーム36記載の組換え微生物。
40. アセト酢酸デカルボキシラーゼが、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、クロモバクテリウム属の種およびシュードモナス属の種から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム1、6、11、16または20のいずれか一つに記載の組換え微生物。
41. クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・ベイジェリンキイ、クロストリジウム・セルロリティカム、バチルス・ポリミキサ、クロモバクテリウム・ビオラセウムおよびシュードモナス・プチダから選択される、クレーム40記載の組換え微生物。
42. アセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、adcである、クレーム40記載の組換え微生物。
43. 二級アルコールデヒドロゲナーゼが、バークホルデリア属の種、アルカリゲネス属の種、クロストリジウム属の種、サーモアナエロバクター属の種、フィトモナス属の種、ロドコッカス属の種、メタノバクテリウム属の種、メタノゲニウム属の種、エントアメーバ属の種、トリコモナス属の種およびトリトリコモナス属の種から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム2、7、12、17または21のいずれか一つに記載の組換え微生物。
44. バークホルデリア属種AIU652、アルカリゲネス・ユートロファス、クロストリジウム・ラグスダレイ、クロストリジウム・ベイジェリンキイ、サーモアナエロバクター・ブロッキイ、サーモアナエロバクター・エタノリカス(クロストリジウム・サーモヒドロスルフリカム)、ロドコッカス・ルーバー、メタノバクテリウム・パルストレ、メタン生成古細菌メタノゲニウム・リミナタンス、寄生性原生生物エントアメーバ・ヒストリティカ、、寄生性原生動物トリトリコモナス・フィータスおよびヒト寄生生物トリコモナス・バギナリスから選択される、クレーム43記載の組換え微生物。
45. 二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、adhBまたはEhAdh1である、クレーム43記載の組換え微生物。
46. D-キシルロース1-キナーゼが、ホモ・サピエンスから得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム6記載の組換え微生物。
47. D-キシルロース1-キナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、ケトヘキソキナーゼC(khk-C)である、クレーム46記載の組換え微生物。
48. D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼが、ホモ・サピエンスから得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム6記載の組換え微生物。
49. D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、アルドラーゼB(ALDOB)である、クレーム48記載の組換え微生物。
50. キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼが、ヒポクレア属の種、サッカロミセス属の種、パキソレン属の種、ピキア属の種、カンジダ属の種、アスペルギルス属の種、ニューロスポラ属の種およびクリプトコッカス属の種から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム11記載の組換え微生物。
51. ヒポクレア・ジェコリナ、出芽酵母、パキソレン・タンノフィルス、ピキア・スチピチス、ピキア・クエルカム、カンジダ・シェハテ、カンジダ・テヌイス、カンジダ・トロピカリス、アスペルギルス・ニガー、ニューロスポラ・クラッサおよびクリプトコッカス・ラクタチボルスから選択される、クレーム50記載の組換え微生物。
52. キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、xyl1またはGRE3である、クレーム50記載の組換え微生物。
53. キシリトールデヒドロゲナーゼが、ピキア属の種、サッカロミセス属の種、グルコノバクター属の種、ガラクトカンジダ属の種、ニューロスポラ属の種およびセラチア属の種から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム11記載の組換え微生物。
54. ピキア・スチピチス、出芽酵母、グルコノバクター・オキシダンス、ガラクトカンジダ・マストターミチス、ニューロスポラ・クラッサおよびセラチア・マルセッセンスから選択される、クレーム53記載の組換え微生物。
55. キシリトールデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、xyl2またはxdh1である、クレーム53記載の組換え微生物。
56. キシロースイソメラーゼが、大腸菌から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム11記載の組換え微生物。
57. キシロースイソメラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、xylAである、クレーム56記載の組換え微生物。
58. キシロースデヒドロゲナーゼが、カウロバクター属の種、ハロアルキュラ属の種、ハロフェラックス属の種、ハロルブラム属の種およびトリコデルマ属の種から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム16または20記載の組換え微生物。
59. 微生物が、カウロバクター・クレセンタス、ハロアーキュラ・マリスモーツイ、ハロフェラックス・ボルカニイ、ハロルブラム・ラクスプロファンディ(Halorubrum lacusprodundi)およびトリコデルマ・リーゼイから選択される、クレーム58記載の組換え微生物。
60. キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、xylB、xdhまたはxyd1から選択される、クレーム58記載の組換え微生物。
61. キシロノラクトナーゼが、カウロバクター属の種およびハロフェラックス属の種から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム16記載の組換え微生物。
62. カウロバクター・クレセンタス、ハロフェラックス・ボルカニイおよびハロフェラックス・ギボンシイから選択される、クレーム61記載の組換え微生物。
63. キシロノラクトナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、xylCである、クレーム61記載の組換え微生物。
64. キシロン酸デヒドラターゼが、カウロバクター属の種、ハロフェラックス属の種、スルホロブス属の種および大腸菌から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム16または20記載の組換え微生物。
65. カウロバクター・クレセンタス、ハロフェラックス・ボルカニイ、大腸菌およびスルホロブス・ソルファタリカスから選択される、クレーム64記載の組換え微生物。
66. キシロン酸デヒドラターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、xylD、yjhG、yagFおよびxadから選択される、クレーム64記載の組換え微生物。
67. 2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼが、シュードモナス属の種および大腸菌から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム16または20記載の組換え微生物。
68. 大腸菌である、クレーム67記載の組換え微生物。
69. 2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、yjhHおよびyagEから選択される、クレーム67記載の組換え微生物。
70. MEGが、C2分枝経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じて生成され、アセトンが、C3分枝経路におけるDHAPまたはピルベートの変換を通じて生成される、クレーム1、6、11、16または20のいずれか一つに記載の組換え微生物。
71. MEGが、C2分枝経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じて生成され、IPAが、C3分枝経路におけるDHAPまたはピルベートの変換を通じて生成される、クレーム2、7.12、17または21のいずれか一つに記載の組換え微生物。
72. MEGが、C2分枝経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じて生成され、プロペンが、C3分枝経路におけるDHAPまたはピルベートの変換を通じて生成される、クレーム3、8、13、18または22のいずれか一つに記載の組換え微生物。
73. C3分枝経路で生成された余分なNADHの少なくとも一部が、C2分枝経路において還元当量の供給源として使用される、クレーム70~72のいずれか一つに記載の組換え微生物。
74. C3分枝経路で生成された余分なNADHの少なくとも一部が、ATPを生成するために使用される、クレーム70~72のいずれか一つに記載の組換え微生物。
75. 同時生成されるMEGおよびアセトンが、炭素固定なしでの理論上の最大生産力の90%を超える生産力を示す、クレーム1、6、11、16または20のいずれか一つに記載の組換え微生物。
76. 同時生成されるMEGおよびIPAが、炭素固定なしでの理論上の最大生産力の90%を超える生産力を示す、クレーム2、7、12、17または21のいずれか一つに記載の組換え微生物。
77. 同時生成されるMEGおよびプロペンが、炭素固定なしでの理論上の最大生産力の90%を超える生産力を示す、クレーム3、8、13、18または22のいずれか一つに記載の組換え微生物。
78. 余分なバイオマス形成が最小化され、MEGおよびアセトンの生成が最大化される、クレーム1、6、11、16または20のいずれか一つに記載の組換え微生物。
79. 余分なバイオマス形成が最小化され、MEGおよびIPAの生成が最大化される、クレーム2、7、12、17または21のいずれか一つに記載の組換え微生物。
80. 余分なバイオマス形成が最小化され、MEGおよびプロペンの生成が最大化される、クレーム3、8、13、18または22のいずれか一つに記載の組換え微生物。
81. 前記クレームのいずれか記載の組換え微生物を用いてMEGおよび3炭素化合物を生成する方法であって、MEGおよび3炭素化合物が生成されるまで炭素源を供給する原料を含む培養培地中で該組換え微生物を培養する工程を含む、方法。
82. 外来性D-キシロースからMEGおよびアセトンを生成または蓄積する組換え微生物を作製する方法であって、
(a)D-キシルロースからD-リブロースへの変換を触媒するD-タガトース3-エピメラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(b)(a)由来のD-リブロースからD-リブロース-1-リン酸への変換を触媒するD-リブロキナーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(c)(b)由来のD-リブロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-リブロース-1Pアルドラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(d)(c)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(e)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(f)(e)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;ならびに/または
(g)(f)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子、
の1つまたは複数を組換え微生物に導入するおよび/または組換え微生物内で過剰発現させる工程を含み、
生成された中間体DHAPが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつ
MEGおよびアセトンが同時生成される、
前記方法。
83. (g)由来のアセトンからイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子を組換え微生物に導入する工程をさらに含む、クレーム82記載の方法。
84. イソプロパノールからプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子を組換え微生物に導入する工程をさらに含む、クレーム83記載の方法。
85. (a)D-キシルロースからD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
(b)グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、および
(c)ピルベートからラクテートへの変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
からなる群より選択される1つまたは複数の改変を組換え微生物に導入する工程をさらに含む、クレーム82~84のいずれか一つに記載の方法。
86. 内在性D-キシロースイソメラーゼが、D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒する、クレーム82~85のいずれか一つに記載の方法。
87. 外来性D-キシロースからMEGおよびアセトンを生成または蓄積する組換え微生物を作製する方法であって、
(a)D-キシルロースからD-キシルロース-1-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース1-キナーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(b)(a)由来のD-キシルロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(c)(b)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(d)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(e)(d)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;ならびに/または
(f)(e)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子、
の1つまたは複数を組換え微生物に導入するおよび/または組換え微生物内で過剰発現させる工程を含み、
生成された中間体DHAPが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつ
MEGおよびアセトンが同時生成される、
前記方法。
88. (f)由来のアセトンからイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子を組換え微生物に導入する工程をさらに含む、クレーム87記載の方法。
89. イソプロパノールからプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子を組換え微生物に導入する工程をさらに含む、クレーム88記載の方法。
90. (a)D-キシルロースからD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
(b)グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、および
(c)ピルベートからラクテートへの変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
からなる群より選択される1つまたは複数の改変を組換え微生物に導入する工程をさらに含む、クレーム87~89のいずれか一つに記載の方法。
91. 内在性D-キシロースイソメラーゼが、D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒する、クレーム87~89のいずれか一つに記載の方法。
92. 外来性D-キシロースおよびグルコースからMEGおよびアセトンを生成または蓄積する組換え微生物を製造する方法であって、
(a)D-キシロースからキリトールへの変換を触媒するキシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子、およびキシリトールからD-キシルロースへの変換を触媒するキシリトールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(b)D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒するD-キシロースイソメラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子、
の1つまたは複数を組換え微生物に導入するおよび/または組換え微生物内で過剰発現させる工程を含み、かつ
(c)(a)もしくは(b)由来のD-キシルロースからD-リブロースへの変換を触媒するD-タガトース3-エピメラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(d)(c)由来のD-リブロースからD-リブロース-1-リン酸への変換を触媒するD-リブロキナーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(e)(d)由来のD-リブロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-リブロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(f)(e)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼもしくはメチルグリオキサールレダクターゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(g)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(h)(g)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;および/または
(i)(h)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子、
の1つまたは複数を組換え微生物に導入するおよび/または組換え微生物内で過剰発現させる工程をさらに含み、
生成された中間体DHAPが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつ
MEGおよびアセトンが同時生成される、
前記方法。
93. (i)由来のアセトンからイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子を組換え微生物に導入する工程をさらに含む、クレーム92記載の方法。
94. イソプロパノールからプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子を組換え微生物に導入する工程をさらに含む、クレーム93記載の方法。
95. (a)D-キシルロースからD-キシルロース-5-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース-5-キナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、および
(b)D-キシルロース-5-リン酸からD-キシルロースへの変換を触媒するアルカリホスファターゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
からなる群より選択される1つまたは複数の改変を組換え微生物に導入する工程をさらに含む、クレーム92~94のいずれか一つに記載の方法。
96. 微生物が真菌である、クレーム92~95のいずれか一つに記載の方法。
97. 外来性D-キシロースからMEGおよびアセトンを生成または蓄積する組換え微生物を製造する方法であって、
(a)D-キシロースからD-キシロノラクトンへの変換を触媒するキシロースデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(b)(a)由来のD-キシロノラクトンからD-キシロネートへの変換を触媒するキシロノラクトナーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(c)(b)由来のD-キシロネートから2-ケト-3-デオキシ-キシロネートへの変換を触媒するキシロン酸デヒドラターゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(d)(c)由来の2-ケト-3-デオキシ-キシロネートからグリコールアルデヒドおよびピルベートへの変換を触媒する2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(e)(d)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(f)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(g)(f)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;ならびに/または
(h)(g)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子、
の1つまたは複数を組換え微生物に導入するおよび/または組換え微生物内で過剰発現させる工程を含み、
生成された中間体ピルベートが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつ
MEGおよびアセトンが同時生成される、
前記方法。
98. (h)由来のアセトンからイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子を組換え微生物に導入する工程をさらに含む、クレーム97記載の方法。
99. イソプロパノールからプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子を組換え微生物に導入する工程をさらに含む、クレーム98記載の方法。
100. (a)D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒するD-キシロースイソメラーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
(b)グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、および
(c)ピルベートからラクテートへの変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
からなる群より選択される1つまたは複数の改変を組換え微生物に導入する工程をさらに含む、クレーム97~99のいずれか一つに記載の方法。
101. 外来性D-キシロースからMEGおよびアセトンを生成または蓄積する組換え微生物を作製する方法であって、
(a)D-キシロースからD-キシロネートへの変換を触媒するキシロースデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(b)(a)由来のD-キシロネートから2-ケト-3-デオキシ-キシロネートへの変換を触媒するキシロン酸デヒドラターゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(c)(b)由来の2-ケト-3-デオキシ-キシロネートからグリコールアルデヒドおよびピルベートへの変換を触媒する2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;
(d)(c)由来のグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(e)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子;
(f)(e)由来のアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒する酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼもしくはヒドロラーゼをコードする少なくとも1つの内在性もしくは外来性核酸分子;ならびに/または
(g)(f)由来のアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子、
の1つまたは複数を組換え微生物に導入するおよび/または組換え微生物内で過剰発現させる工程を含み、
生成された中間体ピルベートが該微生物の内在性解糖経路を通じてアセチルCoAに変換され、かつ
MEGおよびアセトンが同時生成される、
前記方法。
102. (g)由来のアセトンからイソプロパノールへの変換を触媒する二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子を組換え微生物に導入する工程をさらに含む、クレーム101記載の方法。
103. イソプロパノールからプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼをコードする少なくとも1つの外来性核酸分子を組換え微生物に導入する工程をさらに含む、クレーム102記載の方法。
104. (a)D-キシロースからD-キシルロースへの変換を触媒するD-キシロースイソメラーゼをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
(b)グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼAをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、および
(c)ピルベートからラクテートへの変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼAをコードする遺伝子における欠失、挿入または機能喪失変異、
からなる群より選択される1つまたは複数の改変を組換え微生物に導入する工程をさらに含む、クレーム101~103のいずれか一つに記載の方法。
105. D-タガトース3-エピメラーゼが、シュードモナス属の種、メソリゾビウム属の種またはロドバクター属の種から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム82または92に記載の方法。
106. 微生物が、シュードモナス・シコリイ、シュードモナス属種ST-24、メソリゾビウム・ロティまたはロドバクター・スフェロイデスから選択される、クレーム105記載の方法。
107. 1つまたは複数の核酸分子が、dteおよび/またはC1KKR1である、クレーム105記載の方法。
108. D-リブロキナーゼが、大腸菌から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム82または92記載の方法。
109. 1つまたは複数の核酸分子がfucKである、クレーム108記載の方法。
110. D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼが、大腸菌から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム82または92記載の方法。
111. 1つまたは複数の核酸分子がfucAである、クレーム110記載の方法。
112. グリコールアルデヒドレダクターゼが、大腸菌または出芽酵母から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム82、87、92、97または101のいずれか一つに記載の方法。
113. 1つまたは複数の核酸分子が、fucO、yqhD、dkgA(yqhE)、dkgB(yafB)、yeaE、yghZ、gldAおよび/またはGRE2から選択される、クレーム112記載の方法。
114. チオラーゼが、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、大腸菌またはマリノバクター属の種から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム82、87、92、97または101のいずれか一つに記載の方法。
115. 微生物が、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・サーモサッカロリチカム、バチルス・セレウス、大腸菌およびマリノバクター・ヒドロカルボノクラスチカスから選択される、クレーム114記載の方法。
116. 1つまたは複数の核酸分子が、thlAおよび/またはatoBである、クレーム114記載の方法。
117. 酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはヒドロラーゼが、クロストリジウム属の種または大腸菌から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム82、87、92、97または101のいずれか一つに記載の方法。
118. 微生物が、クロストリジウム・アセトブチリカムである、クレーム117記載の方法。
119. 酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、atoAおよび/またはatoDである、クレーム117記載の方法。
120. 酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、ctfAおよび/またはctfBである、クレーム117記載の方法。
121. アセト酢酸デカルボキシラーゼが、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、クロモバクテリウム属の種およびシュードモナス属の種から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム82、87、92、97または101のいずれか一つに記載の方法。
122. 微生物が、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・ベイジェリンキイ、クロストリジウム・セルロリティカム、バチルス・ポリミキサ、クロモバクテリウム・ビオラセウムおよびシュードモナス・プチダから選択される、クレーム121記載の方法。
123. アセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、adcである、クレーム121記載の方法。
124. 二級アルコールデヒドロゲナーゼが、バークホルデリア属の種、アルカリゲネス属の種、クロストリジウム属の種、サーモアナエロバクター属の種、フィトモナス属の種、ロドコッカス属の種、メタノバクテリウム属の種、メタノゲニウム属の種、エントアメーバ属の種、トリコモナス属の種およびトリトリコモナス属の種から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム83、88、93、98または102のいずれか一つに記載の方法。
125. 微生物が、バークホルデリア属種AIU652、アルカリゲネス・ユートロファス、クロストリジウム・ラグスダレイ、クロストリジウム・ベイジェリンキイ、サーモアナエロバクター・ブロッキイ、サーモアナエロバクター・エタノリカス(クロストリジウム・サーモヒドロスルフリカム)、ロドコッカス・ルーバー、メタノバクテリウム・パルストレ、メタン生成古細菌メタノゲニウム・リミナタンス、寄生性原生生物エントアメーバ・ヒストリティカ、、寄生性原生動物トリトリコモナス・フィータスおよびヒト寄生生物トリコモナス・バギナリスから選択される、クレーム124記載の方法。
126. 二級アルコールデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、adhBまたはEhAdh1である、クレーム124記載の方法。
127. D-キシルロース1-キナーゼが、ホモ・サピエンスから得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム87記載の方法。
128. D-キシルロース1-キナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、ケトヘキソキナーゼC(khk-C)である、クレーム127記載の方法。
129. D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼが、ホモ・サピエンスから得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム87記載の方法。
130. D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、アルドラーゼB(ALDOB)である、クレーム129記載の方法。
131. キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼが、ヒポクレア属の種、サッカロミセス属の種、パキソレン属の種、ピキア属の種、カンジダ属の種、アスペルギルス属の種、ニューロスポラ属の種およびクリプトコッカス属の種から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム92記載の方法。
132. 微生物が、ヒポクレア・ジェコリナ、出芽酵母、パキソレン・タンノフィルス、ピキア・スチピチス、ピキア・クエルカム、カンジダ・シェハテ、カンジダ・テヌイス、カンジダ・トロピカリス、アスペルギルス・ニガー、ニューロスポラ・クラッサおよびクリプトコッカス・ラクタチボルスから選択される、クレーム131記載の方法。
133. キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、xyl1またはGRE3である、クレーム131記載の方法。
134. キシリトールデヒドロゲナーゼが、ピキア属の種、サッカロミセス属の種、グルコノバクター属の種、ガラクトカンジダ属の種、ニューロスポラ属の種およびセラチア属の種から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム92記載の方法。
135. 微生物が、ピキア・スチピチス、出芽酵母、グルコノバクター・オキシダンス、ガラクトカンジダ・マストターミチス、ニューロスポラ・クラッサおよびセラチア・マルセッセンスから選択される、クレーム134記載の方法。
136. キシリトールデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、xyl2またはxdh1である、クレーム134記載の方法。
137. キシロースイソメラーゼが、大腸菌から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム92記載の方法。
138. キシロースイソメラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、xylAである、クレーム137記載の方法。
139. キシロースデヒドロゲナーゼが、カウロバクター属の種、ハロアルキュラ属の種、ハロフェラックス属の種、ハロルブラム属の種およびトリコデルマ属の種から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム97または101記載の方法。
140. 微生物が、カウロバクター・クレセンタス、ハロアーキュラ・マリスモーツイ、ハロフェラックス・ボルカニイ、ハロルブラム・ラクスプロファンディおよびトリコデルマ・リーゼイから選択される、クレーム139記載の方法。
141. キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、xylB、xdhまたはxyd1から選択される、クレーム139記載の方法。
142. キシロノラクトナーゼが、カウロバクター属の種およびハロフェラックス属の種から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム97記載の方法。
143. 微生物が、カウロバクター・クレセンタス、ハロフェラックス・ボルカニイおよびハロフェラックス・ギボンシイから選択される、クレーム142記載の方法。
144. キシロノラクトナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、xylCである、クレーム142記載の方法。
145. キシロン酸デヒドラターゼが、カウロバクター属の種、ハロフェラックス属の種、スルホロブス属の種および大腸菌から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム97または101記載の方法。
146. 微生物が、カウロバクター・クレセンタス、ハロフェラックス・ボルカニイ、大腸菌およびスルホロブス・ソルファタリカスから選択される、クレーム145記載の方法。
147. キシロン酸デヒドラターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、xylD、yjhG、yagFおよびxadから選択される、クレーム145記載の方法。
148. 2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼが、シュードモナス属の種および大腸菌から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる、クレーム97または101記載の方法。
149. 微生物が大腸菌である、クレーム148記載の方法。
150. 2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子が、yjhHおよびyagEから選択される、クレーム148記載の方法。
151. モノエチレングリコール(MEG)および3炭素化合物を同時生成する、組換え微生物。
152. 3炭素化合物がアセトンである、クレーム151記載の組換え微生物。
153. 3炭素化合物がイソプロパノールである、クレーム151記載の組換え微生物。
154. 3炭素化合物がプロペンである、クレーム151記載の組換え微生物。