JP7049169B2 - タップドインダクタ方式のスイッチング電源 - Google Patents

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Description

本発明は、スイッチング電源に関し、特にタップドインダクタ方式のスイッチング電源に関する。
スイッチング電源の一つである非絶縁の降圧コンバータの基本的な回路を図7(a)に示す。非絶縁型のコンバータでは、一周期Tに対するスイッチング素子のオン時間Tonの割合であるデューティ比D(=Ton/T)を変えることにより出力電圧Voの制御を行うことができる。降圧コンバータの場合、D=Vo/Vinである。従って、図7(b)に示すように、オン時間Tonに印加される入力電圧Vinを一周期Tで平均化すると出力電圧Vo(破線で示す)となる。
入力電圧Vinに対する出力電圧Voの比(Vo/Vin)が小さくなる(例えば400Vを12Vに変換)と、デューティ比Dを極端に小さくする必要がある。このような状況は、MOSFET等のスイッチング素子に急峻なスイッチング動作を要求することとなり、スイッチング損失が増したり、制御困難となったりする問題を生じる。また、デューティ比が1に近い範囲では、入力電圧Vinがほぼ直接負荷に印加されることとなり低電圧仕様の負荷の場合は好ましくない。制御に適したデューティ比Dの範囲は、例えば0.2~0.8程度である。
この問題に対処するために、特許文献1のタップドインダクタ方式の降圧コンバータが知られている。タップドインダクタ方式の降圧コンバータでは、リアクトルに中間タップを設け、転流ダイオードを中間タップに接続することにより、同じデューティ比でより小さな電圧まで降圧することができる。
特許文献2では、タップドインダクタ方式のスイッチング電源において、二次コイルの終端に第2のダイオードを接続すると共に中間タップから出力を取り出すことによって、一次コイルと二次コイルのトランス作用によりオン期間にもオフ期間にも大きな電流出力を得ることができる。これにより、負荷の急峻な電流の立ち上がりに対応可能としている。
特開2005-101406号公報(図5、0026、0027) 特開2007-68278号公報
特許文献2のタップドインダクタ方式のスイッチング電源は、出力電流の広範囲の変動に対して速やかにかつ安定して対応するには十分ではない。
以上の現状から、本発明は、タップドインダクタ方式のスイッチング電源において、スイッチング素子の負担を軽減すると共に、出力電流の広範囲の変動に対して速やかにかつ安定に対応可能とすることを目的とする。
上記の目的を達成するべく、本発明は、以下の構成を提供する。
・ 本発明の態様は、入力端と接地端との間に印加される直流電力を変換し出力端と該接地端との間に出力するタップドインダクタ方式のスイッチング電源において、
一次コイルと二次コイルを具備すると共に前記一次コイルの終端と前記二次コイルの始端との接続点に中間タップを具備しかつ前記中間タップが前記出力端に接続されたリアクトルと、
前記入力端と前記一次コイルの始端との間の電流路を導通又は遮断するべくオンオフ制御されるスイッチング素子と、
前記接地端から前記一次コイルの始端へ流れる電流を導通させる第1の整流要素と、
前記接地端から前記二次コイルの終端へ流れる電流を導通させる第2の整流要素と、
前記出力端と前記接地端との間に接続された平滑コンデンサと、
前記接地端と前記二次コイルの終端との間の電流路において前記第2の整流要素と直列接続されておりかつ前記接地端と前記二次コイルの終端との間の電流路を導通又は遮断可能なスイッチ要素と、を有し、
前記スイッチング素子のオンオフ制御におけるデューティ比が所定の値より小さい範囲において前記スイッチ要素が遮断されることを特徴とする。
本発明によるタップドインダクタ方式のスイッチング電源は、スイッチング素子の負担を軽減すると共に、出力電流の広範囲の変動に対して速やかにかつ安定に対応することができる。これにより、例えば、通常の出力電流が流れている状態の負荷に対して速やかにその数倍の大電流を流すことが要求される用途にも対応することができる。
図1は、本発明のタップドインダクタ方式のスイッチング電源の回路例を概略的に示した図である。 図2(a)は、図1の回路において、スイッチ要素のオンモードにおけるオン期間の電流を、(b)はオフ期間の電流を示す図である。 図3は、図1の回路において、異なる中間タップの位置における電圧及び電流の波形を示す図である。 図4は、図1の回路において、異なる中間タップの位置におけるデューティ比と出力電圧及び出力電流との関係を示すグラフである。 図5(a)は、図1の回路において、スイッチ要素のオフモードにおけるオン期間の電流を、(b)はオフ期間の電流を示している。 図6は、図5の場合におけるデューティ比と出力電流との関係を示すグラフである。 図7(a)は基本的な降圧コンバータを概略的に示した図であり、(b)は入出力電圧とデューティ比の関係を示す図である。
以下、図面を参照して本発明によるタップドインダクタ方式のスイッチング電源の実施形態を説明する。以下では、例えば直流400Vを直流12Vに降圧するような入出力電圧比の比較的大きい降圧コンバータを想定して説明する。しかしながら、本発明の適用対象をこのような場合に限定するものではない。
(1)回路構成
図1は、本発明のタップドインダクタ方式のスイッチング電源の回路例を概略的に示した図である。
図1のスイッチング電源は、入力端1と接地端eとの間に印加される直流電力を変換し、出力端2と接地端eとの間に出力する非絶縁型の降圧コンバータである。入力端1と接地端eの間に直流の入力電圧Vinが印加される。入力端1とリアクトルNの間の電流路には、スイッチング素子Qが直列接続されている。スイッチング素子Qは、入力電圧VinによりリアクトルNに流れる電流を導通又は遮断するべくオンオフ制御される。
スイッチング素子Qは、ここではnチャネルMOSFETであり、ドレインが入力端1にソースがリアクトルNの一端に接続されている。ゲートにオンオフ制御電圧であるPWM信号が印加される。PWM信号は、所定のデューティ比を有する。PWM信号は、PWMIC等を含む制御部(図示せず)により生成される。制御部は、入力電圧Vin、出力電圧Vo及び/又は出力電流Io等を検知し、それらに応じてPWM信号のデューティ比を制御する。FETのゲートとソースの間に接続されたツェナーダイオードZは、高電圧に対する保護のためである。
リアクトルNは、コアに一次コイルN1と二次コイルN2が同極性に巻かれており、互いに磁気結合している。ここでは、一次コイルN1及び二次コイルN2の各々における入力端に近い側を始端とし、その反対側を終端と称することとする。リアクトルNは、実質的にトランス的な動作を行う。一次コイルN1と二次コイルN2の磁気結合は密結合でもよく、リーケージインダクタンスを設けた疎結合でもよい。
一次コイルN1の始端が、スイッチング素子Qに接続されている。一次コイルN1の終端と二次コイルN2の始端が接続されており、その接続点に中間タップTが設けられている。一次コイルN1と二次コイルN2の巻数比は必要に応じて設定され、それに基づいて中間タップTの位置が決定される。中間タップTにおける電圧を符号Vtで示す。
出力端2と接地端eの間に負荷(図示せず)が接続されている。負荷に対して直流の出力電圧Voが印加され、直流の出力電流Ioが流れる。中間タップTは、出力端2に接続されている。さらに、出力端2と接地端eの間には、平滑コンデンサCが接続されている。
中間タップTにおける電圧Vt及び中間タップTから出る電流は、スイッチング素子Qのオンオフにより時間的に変動するが、平滑コンデンサCにより平滑化されて直流電圧Vo及び直流電流Ioとして出力される。従って、中間タップTにおける電圧Vtの時間平均が出力電圧Voとなる。また、中間タップTから出る電流の時間平均が出力電流Ioとなる。
さらに、接地端eと一次コイルN1の始端との間の電流路に第1の整流要素D1が接続されている。第1の整流要素D1は、接地端eから一次コイルN1の始端へ流れる電流を導通させ、その逆向きの電流は遮断する。第1の整流要素D1はここではダイオードであり、アノードが接地端eに、カソードが一次コイルN1の始端に接続されている。
さらに、接地端eと二次コイルN2の終端との間の電流路に第2の整流要素D2が接続されている。第2の整流要素D2は、接地端eから二次コイルN2の終端へ流れる電流を導通させ、その逆向きの電流は遮断する。第2の整流要素D2はここではダイオードであり、アノードが接地端eに、カソードが二次コイルN2の終端に接続されている。
別の例では、第1及び第2の整流要素D1、D2として、ダイオード以外の素子を用いることもできる。例えば、同期整流方式を採用する場合は、FET等のスイッチング素子を用いることもできる。
図示しないが、第2の整流要素D2と並列にコンデンサを接続してもよい。コンデンサを接続することにより、第2の整流要素D2が低周波用の場合に、その応答遅れを補ってコンデンサから速やかに電流供給することができる。第2の整流要素D2が高周波用である場合はコンデンサは不要である。
さらに、スイッチ要素Sが、接地端eと二次コイルN2の終端との間の電流路において第2の整流要素D2と直列接続されている。スイッチ要素Sは、接地端eと二次コイルN2の終端との間の電流路を、選択的に導通又は遮断することができる。スイッチ要素Sは、自動又は手動で電流路を開閉可能な素子であればよい。スイッチ要素Sは、例えばリレー等の機械的スイッチでもよく、FETやトランジスタ等のスイッチング素子でもよい。図1の例では、スイッチ要素Sが、接地端eと第2の整流要素D2との間に挿入されているが、それに替えて、第2の整流要素D2と二次コイルN2の終端との間に挿入されてもよい。
スイッチ要素Sは、必要に応じて二次コイルN2の機能を停止させるためのものである。スイッチ要素Sが閉じているとき、すなわちスイッチ要素Sのオンモードのとき、本回路はリアクトルNの一次コイルN1と二次コイルN2が協働する動作を行う。一方、スイッチ要素Sが開いたとき、すなわちスイッチ要素Sのオフモードのとき、本回路はリアクトルNの一次コイルN1のみによって動作する。その場合、図7に示した基本的な降圧コンバータと同じ構成となる。
(2)回路動作
(2-1)スイッチ要素Sのオンモードにおける動作
図2を参照して、図1の回路において、スイッチ要素Sのオンモードにおける動作を説明する。図2(a)は、スイッチング素子Qのオン期間の電流を、(b)はスイッチング素子Qのオフ期間の電流をそれぞれ矢印付き実線で示している。
<スイッチング素子Qのオン期間の動作>
スイッチング素子Qがオンになると、入力電圧Vinにより入力端1から一次コイルN1に電流i1が流れ、中間タップTから出て出力端2へ出力される。一次コイルN1の始端は正電位となるのでダイオードD1は逆バイアスとなり電流は流れない。電流i1により一次コイルN1は励磁されて磁気エネルギーが蓄積される。
一方、一次コイルN1に電流i1が流れる結果、磁気結合した二次コイルN2に相互誘導による起電力が発生する。この起電力は、二次コイルN2の終端が負電位となる向きであるからダイオードD2が順バイアスとなり、電流i2が流れる。電流i2は、二次コイルN2を流れ、中間タップTから出て出力端2へ出力される。電流i2は、リアクトルNのトランス的な相互誘導によるフォワード電流と云える。電流i2により二次コイルN2は励磁されて磁気エネルギーが蓄積される。
従って、スイッチング素子Qのオン期間には、電流i1と電流i2の総和が出力電流Ioに寄与することとなる。
入力電圧Vinと中間タップTにおける電圧Vtの比は、一次コイルN1と二次コイルN2の巻数比となる。一方、電流i1と電流i2は、一次コイルN1と二次コイルN2の巻数比の逆数となる。従って、以下の式が成り立つ。
Vin/Vt=(N1+N2)/N2
i1/i2=N2/(N1+N2)
例えば、巻数比N1/N2が9のとき、Vin=400V、Vt=40V、i1=1A、i2=9Aのような組合せとなる。中間タップTの位置が二次コイルN1の終端に近づくほど、電圧Vtが入力電圧Vinに比べて小さくなる一方、電流i2が電流i1に比べて大きくなる。すなわち、中間タップTの位置を変えることにより、電流i1と電流i2の総和は同じであっても電流i1と電流i2の割合が変化する。電流i1が小さくなることは、電流i1が流れるスイッチング素子Qの負担が軽減されることを意味する。
なお、出力電圧Voは、中間タップTにおける電圧Vtの時間平均として、以下の式で得られる。
Vo=D・Vt=D・Vin・N2/(N1+N2)
(Dはデューティ比)
<スイッチング素子Qのオフ期間の動作>
スイッチング素子Qがオフになると、入力電圧Vinによる一次コイルN1の電流i1が遮断され、一次コイルN1に逆起電力が発生する。この逆起電力により、一次コイルN1の始端が負電位となるのでダイオードD1は順バイアスとなり、電流i3がダイオードD1から一次コイルN1を通って中間タップTから出て出力端2へ出力される。これによりオン期間に蓄積された磁気エネルギーが放出される。
一方、二次コイルN2にも逆起電力が発生するが、一次コイルN1に電流i3が流れることによってオン期間の電流i2と同じ方向の電流が維持される作用が働き、電流i4が流れる。電流i4は、ダイオードD2から二次コイルN2を通って中間タップTから出て出力端2へ出力される。これによりオン期間に蓄積された磁気エネルギーが放出される。
従って、スイッチング素子Qのオフ期間には、電流i3と電流i4の総和が出力電流Ioに寄与することとなる。
<デューティ比と電圧及び電流との関係>
次に、図3を参照して、中間タップTの位置と、デューティ比と、回路上の各箇所の電圧及び電流との関係を説明する。
図3の(A)及び(B)の四角形の枠内には、それぞれ図1の回路におけるリアクトルNの部分を概略的に示している。(A)と(B)は、中間タップTの異なる位置の例である。(A)では、中間タップTがリアクトルNのほぼ中央にあり、一次コイルN1と二次コイルN2の巻数がほぼ同じである。(B)では、中間タップTが右側に寄った位置にあり、二次コイルN2の巻数が一次コイルN1の巻数より少ない。
図3では、オン期間Tonをデューティ比Dに置き換えて示している。(A)において、デューティ比Dが小さいとき(a1)(a2)(a3)と、デューティ比Dが大きいとき(a4)(a5)(a6)について、入力電圧Vin、中間タップ電圧Vt及び出力電圧Vo、電流i1~i4の波形をそれぞれ模式的に示している。出力電圧Voは、中間タップ電圧Vtの一周期の時間平均であり破線で示している。
(A)の場合、デューティ比Dが大きくなると、入力電圧Vinが長く印加されることによって中間タップ電圧Vtの期間が長くなる。この結果、中間タップ電圧Vtの時間平均である出力電圧Voも大きくなる((a2)と(a5)を比較)。同様に、デューティ比Dが大きくなると、オン期間の電流i1と電流i2のピーク値が大きくなり、それにより電流i3と電流i4も大きくなる((a3)と(a6)を比較)。
(B)の場合も、デューティ比Dが小さいとき(b1)(b2)(b3)と、デューティ比Dが大きいとき(b4)(b5)(b6)について、各電圧及び各電流の関係は(A)の場合と同様である。
次に(A)と(B)を比較する。(A)に比べて(B)では、一次コイルに対する二次コイルの巻数比がより小さくなる。この結果、中間タップ電圧Vtは、中間タップ電圧Vtよりも小さくなる((a2)と(b2)を比較、又は、(a5)と(b5)を比較)。そして、電流i1と電流i3が、電流i1と電流i3よりも小さくなる一方、その減少分だけ電流i2と電流i4が、電流i2と電流i4よりも大きくなる((a3)と(b3)を比較、又は、(a6)と(b6)を比較)。
このように、中間タップTの位置を変えて二次コイルN2の巻数を少なくするほど、出力電圧をVoが小さくなる。つまり、同じデューティ比Dの場合、二次コイルN2の巻数を少なくするほど、出力電圧Voをより小さくすることができる。また、中間タップTの位置を変えて二次コイルN2の巻数を少なくするほど、電流i1とi3は減少し、電流i2とi4は増大することが判る。つまり、二次コイルN2の巻数を少なくするほど、電流i1が流れるスイッチング素子Qの負担を軽減することができる。
図4(a)は、図3で示した中間タップTの位置(A)と位置(B)において、それぞれデューティ比Dを0~1の間で変化させた場合の出力電圧VoおよびVoを示したグラフであり、図4(b)は、出力電流Ioの変化を示したグラフである。出力電流Ioは、電流i1~i4を合わせた一周期の時間平均である。位置(A)と位置(B)でそれぞれ同じ大きさの出力電流Ioを出力するものとする。
図4(a)に示すように、所定の出力電圧Voxを出力する場合、中間タップTの位置(A)におけるデューティ比Dよりも、位置(B)におけるデューティ比Dを大きくすることができる。デューティ比Dが極端に小さい値の場合にスイッチング素子のオンオフ制御が困難となることがあるが、デューティ比Dが適度な値(例えば0.2~0.8の範囲、又は、例えば0.5前後)の場合は、オンオフ制御が容易である。
図4(b)に示すように、所定の出力電流Ioxを出力する場合、中間タップTの位置(A)における電流i1よりも、位置(B)における電流i1を小さくすることができる。これにより、電流i1が流れるスイッチング素子Qの負担を軽減できる。
(2-2)スイッチ要素Sのオフモードにおける動作
図5を参照して、図1の回路において、スイッチ要素Sのオフモードにおける動作を説明する。図5(a)は、スイッチング素子Qのオン期間の電流を、(b)はスイッチング素子Qのオフ期間の電流をそれぞれ矢印付き実線で示している。
<スイッチング素子Qのオン期間の動作>
スイッチング素子Qがオンになると、入力電圧Vinにより入力端1から一次コイルN1に電流i1が流れ、中間タップTから出て出力端2へ出力される。一次コイルN1の始端は正電位となるのでダイオードD1は逆バイアスとなり電流は流れない。電流i1により一次コイルN1は励磁されて磁気エネルギーが蓄積される。二次コイルN2は、電流路が遮断されているので電流は流れない。
従って、スイッチング素子Qのオン期間には、電流i1のみが出力電流Ioに寄与することとなる。
<スイッチング素子Qのオフ期間の動作>
スイッチング素子Qがオフになると、入力電圧Vinによる一次コイルN1の電流i1が遮断され、一次コイルN1に逆起電力が発生する。この逆起電力により、一次コイルN1の始端が負電位となるのでダイオードD1は順バイアスとなり、電流i3がダイオードD1から一次コイルN1を通って中間タップTから出て出力端2へ出力される。これによりオン期間に蓄積された磁気エネルギーが放出される。二次コイルN2は、電流路が遮断されているので電流は流れない。
従って、スイッチング素子Qのオフ期間には、電流i3のみが出力電流Ioに寄与することとなる。
図1の回路において、スイッチ要素Sのオフモードの動作は、一次コイルN1のみをリアクトルとする通常の降圧コンバータ(図7参照)の動作と同じになる。
図6は、図1の回路において、デューティ比Dを0~1の間で変化させた場合の出力電流Ioの変化の一例を示したグラフである。図6では、所定のデューティ比Dsよりも大きい範囲ではスイッチ要素Sをオンとし、小さい範囲ではスイッチ要素Sをオフとする場合を示している。
スイッチ要素Sのオンモード(D>Ds)では、一次コイルN1を流れる電流i1、i3及び二次コイルN2を流れる電流i2、i4が加算され、それらの時間平均として出力電流Ioが得られる。一方、スイッチ要素Sのオフモード(D<Ds)では、一次コイルN1を流れる電流i1、i3のみの時間平均として出力電流Ioが得られる。
図6に示すように、所定の出力電流Ioxを出力する場合、スイッチ要素Sのオンモードであればデューティ比D(on)は極めて小さい値となるが、スイッチ要素Sをオフモードにすることによりデューティ比D(off)を大きい値とすることができる。これにより、スイッチング素子Qのスイッチング損失を軽減でき、スイッチング制御が容易となる。
以上述べた通り、本発明のタップドインダクタ方式のスイッチング電源により、微小な出力電流の場合であっても、オンオフ制御を安定に行えるデューティ比の範囲でスイッチング素子を制御できる。これにより、本発明によれば、広範囲な電流制御が可能となる。さらに、スイッチング素子のスイッチング損失が軽減される。
以上に説明した本発明のタップドインダクタ方式のスイッチング電源は、図示の構成例に限られず、本発明の主旨に沿う範囲において多様な変形が可能である。
1 入力端
2 出力端
e 接地端
Q スイッチング素子(MOSFET)
N リアクトル
N1 一次コイル
N2 二次コイル
D1、D2 整流要素(ダイオード)
C 平滑コンデンサ
S スイッチ要素

Claims (1)

  1. 入力端と接地端との間に印加される直流電力を変換し出力端と該接地端との間に出力するタップドインダクタ方式のスイッチング電源において、
    一次コイルと二次コイルを具備すると共に前記一次コイルの終端と前記二次コイルの始端との接続点に中間タップを具備しかつ前記中間タップが前記出力端に接続されたリアクトルと、
    前記入力端と前記一次コイルの始端との間の電流路を導通又は遮断するべくオンオフ制御されるスイッチング素子と、
    前記接地端から前記一次コイルの始端へ流れる電流を導通させる第1の整流要素と、
    前記接地端から前記二次コイルの終端へ流れる電流を導通させる第2の整流要素と、
    前記出力端と前記接地端との間に接続された平滑コンデンサと、
    前記接地端と前記二次コイルの終端との間の電流路において前記第2の整流要素と直列接続されておりかつ前記接地端と前記二次コイルの終端との間の電流路を導通又は遮断可能なスイッチ要素と、を有し、
    前記スイッチング素子のオンオフ制御におけるデューティ比が所定の値より小さい範囲において前記スイッチ要素が遮断されることを特徴とするタップドインダクタ方式のスイッチング電源。
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