JP7048309B2 - 加熱調理具および加熱調理器 - Google Patents

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Description

本発明は、調理プレートや調理容器などの加熱調理具、およびそれを備えた加熱調理器に関する。
従来、食材を受ける容器本体と、容器本体の上部開口を上方から覆う蓋体とで構成された加熱調理具において、蓋体の内側下面部に、外周側から中央へ向かってリブ(駒部材)が形成されており、容器本体に蓋体を被蓋させた状態のときに、容器本体と蓋体との周縁相互間に、外部から容器本体の内側の空間、即ち、食材収容部に熱気を導入するための間隙が画成されるように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2011-240063号公報
しかしながら、上記従来の加熱調理具では、調理中に食材や容器本体の内底部から飛散し、蓋体の内側下面部に付着した油や水分が、蓋体の側面部を伝って上記間隙から外部に漏出する虞があった。また、間隙の大きさによっては、油や水分が表面張力によって上記間隙に付着滞留し、食材収容部への熱気の導入が妨げられてしまう虞もあった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、調理具本体と蓋体とで構成される加熱調理具、およびそれを備えた加熱調理器において、使い勝手および調理性能の向上を図ることにある。
本発明は、食材を受ける調理具本体と、外周に調理具本体の周縁より外周側へ張り出す庇部を有し、調理具本体を上方から覆う蓋体とで構成され、調理具本体に蓋体を被蓋させた状態のときに、調理具本体の周縁と前記庇部との間に、調理具本体および蓋体相互の空間に熱気を導入するための所定の間隙が設けられる加熱調理具であって、蓋体の内側下面部における、前記庇部に対向する調理具本体の周縁の鉛直上方位置より中央側に、下向きに突出する凸部が設けられ、蓋体は、外周に外側下方へ向かって延びる側面部を有し、側面部における対向する一方の側面部が前記所定の間隙を設けるための庇部となり、前記庇部に沿って前記凸部が設けられ、側面部における対向する他方の側面部の少なくとも一側面部に、前記空間に導入された熱気を外部に排出するための排熱孔が設けられ、前記他方の側面部の下端縁部は前記調理具本体の周縁と当接されるものである。
このものでは、たとえ蓋体の内側下面部に多量に油や水分が付着しても、それら油や水分は、庇部を伝って調理具本体の周縁と庇部との間隙に達する前に、凸部を伝って流下し、調理具本体の庇部側に面する周縁より中央側の内側上面部上に回収される。これにより、調理中や調理後に上記間隙から油や水分が外部に漏出するのを防止できる。また、上記間隙に油や水分が付着滞留し難いため、食材収容部となる調理具本体および蓋体相互の空間へ円滑に熱気を導入することもできる。
食材を加熱するための熱気は、調理具本体の周縁と庇部との間隙から上記空間に導入される一方、上記空間内に導入された熱気は、庇部と異なる蓋体の側面部(一側面部)に設けられた排熱孔から外部に排出されるから、食材収容部となる上記空間に効率良く熱気を循環供給させることができる。よって、調理の仕上がり状態を一層良好にすることが可能である。
上記加熱調理具において、好ましくは、凸部は、最下端が調理具本体の内側上面部の外周域の上方に対向して配される。
蓋体の内側下面部に付着した油や水分が、調理具本体の内側上面部に載置された食材上に直接流下すると、調理の仕上がり状態に悪影響を与える虞がある。しかしながら、本発明では、調理具本体の内側上面部の外周域の上方に対向する位置に凸部の最下端が配されているため、蓋体の内側下面部に付着した油や水分は、凸部を伝ってその最下端から上記外周域に流下する。これにより、食材上に油や水分が直接流下するのを抑制でき、調理の仕上がり状態を良好にすることが可能である。
また、本発明は、上記加熱調理具と、加熱調理具を収容する加熱庫と、加熱庫内に熱気を放出するバーナとを備えた加熱調理器であって、バーナから放出された熱気により前記加熱調理具の調理具本体および蓋体を加熱すると共に、前記熱気を、前記間隙を通じて調理具本体および蓋体相互の空間に導入するように構成されたものである。
このものでは、上記のように、加熱調理具から外部に油や水分が漏出するのを防止できるから、加熱庫内が汚れ難い。しかも、バーナから放出された熱気によって調理具本体および蓋体が加熱され、且つ、上記熱気が、調理具本体の周縁と庇部との間隙を通じて加熱調理具内に導入されるから、食材を効率良く加熱することもできる。
以上のように、本発明によれば、調理中や調理後に加熱調理具から油や水分が漏出するのを防止できるから、使い勝手が向上する。また、食材収容部へ円滑に熱気を導入することもできるから、調理性能も向上する。
図1は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の概略斜視図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の側方視概略縦断面図である。 図3は、本発明の実施の形態に係る加熱調理器の加熱庫の前方視概略縦断面図である。 図4は、本発明の実施の形態に係る加熱調理具の概略斜視図である。 図5は、本発明の実施の形態に係る加熱調理具の前方視概略縦断面図である。 図6は、本発明の実施の形態に係る加熱調理具の側方視概略縦断面図である。
次に、上記した本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
図1および図2に示すように、本発明の実施の形態に係る加熱調理器1は、キッチンのテーブルに載置して使用されるガスコンロ、所謂テーブルコンロであり、調理器本体10の上面を構成する天板101の上面には、鍋やフライパンを加熱する単数又は複数のコンロバーナ11が設けられている。また、調理器本体10の内部には、食材のグリル調理を行うためのグリル2が設けられている。
グリル2は、調理プレートや調理容器などの加熱調理具3を収容可能な略矩形箱状の加熱庫20と、加熱庫20内に収容された加熱調理具3や食材を加熱する単数又は複数のグリルバーナ21と、加熱調理具3の出入口となる加熱庫20の前面開口部(以下、「調理具出入口」という)200を被閉するグリル扉22とで構成されている。
加熱庫20は、調理器本体10の前面(以下、「本体前面」という)103に調理具出入口200を有し、本体前面103から調理器本体10の内部後方へ向かって延設されている。グリルバーナ21は、加熱庫20の後壁204から前方へ向かって略水平に延設されている。尚、本明細書では、本体前面103を加熱調理器1の正面とし、加熱調理器1を正面側から見たときの調理器本体10の奥行き方向を前後方向、幅方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。
本体前面103には、コンロバーナ11の点火および消火を行うための単数或いは複数のコンロ点消火操作子13と、グリルバーナ21の点火および消火を行うためのグリル点消火操作子23とが配設されている。
尚、図示しないが、調理器本体10の内部には、コンロ点消火操作子13の点火操作や消火操作に連動して開閉するコンロバーナ11用のバルブユニットや、グリル点消火操作子23の点火操作や消火操作に連動して開閉するグリルバーナ21用のバルブユニット、ガス供給元管から上記各バルブユニットへガスを導くガス配管等が組み込まれている。
調理器本体10内における加熱庫20の後方には、グリルバーナ21から加熱庫20内に放出されたガスの燃焼排気(熱気)や食材から発生した油煙、臭気成分等を、天板101に設けられた排気口14へ導く排気筒24が配設されている。
排気筒24は、加熱庫20の外側上壁201と後壁204の上端縁との間に設けられた間隙(以下、「排気筒入口」という)240から後上方へ向かって形成されており、上端の排気筒出口241を排気口14に下方から臨ませている(図2参照)。
グリル扉22の後面には、グリル扉22を支持する支持枠25が連結されている。支持枠25は、グリル扉22の後面から加熱庫20の底壁203の上面に沿って後方へ略水平に延設されており、加熱庫20内における側壁205の下部に設けられた係合部26に前後摺動可能な状態で係合支持されている。即ち、グリル扉22は、本体前面103から前方へ引き出すようにして開くように構成されている(図1参照)。
支持枠25の前後端の上部にはそれぞれ、左右方向に長い略平板状の板枠部251が設けられており、加熱調理具3は、上記板枠部251の上面に取り外し可能な状態で載置される。従って、加熱調理具3は、グリル扉22を開くことで加熱庫20内から前方へ引き出され、グリル扉22を閉じることで加熱庫20の内部に収容される。
尚、上記加熱調理器1では、本発明の実施の形態に係る加熱調理具3として、平皿状の調理具本体(以下、「調理プレート」という)31と、円蓋状の蓋体(以下、「プレートカバー」という)32とで構成されたものが用いられるが、上記加熱調理具3に代えて、焼き網を用いることもできるし、蓋体を備えていない平皿状の調理プレートや深皿状の調理容器を用いることもできる。また、蓋付きの調理容器を用いることもできる。
調理プレート31は、アルミニウム系金属で形成されており、表面には、フッ素樹脂加工等の仕上げ塗装が施されている。尚、調理プレート31は、プレート上面部31Aに載置される食材に対して十分な熱量を伝導可能な素材であれば、鉄系や銅系、ステンレス系などの金属で形成されたものであってもよいし、セラミック系材料で形成されたものであってもよい。
プレートカバー32は、鉄系金属で形成されており、表面には、セラミック塗装や琺瑯等の仕上げ塗装が施されている。尚、プレートカバー32は、十分な耐熱性を有する素材であれば、アルミニウム系や銅系、ステンレス系などの金属で形成されたものであってもよいし、セラミック系材料で形成されたものであってもよい。また、プレート上面部31Aの食材を輻射熱によって加熱することも考慮して、十分な熱量を輻射可能な素材で形成したり表面塗装を施したりしてもよい。
調理プレート31およびプレートカバー32は何れも、上記金属製の板材で絞り加工により成形されたものであるが、上記金属系材料やセラミック材料を用いて鋳造により成形されたものであってもよい。この場合、剛性や放熱性、吸熱性等を考慮して、適所の厚みを異ならせて形成することが比較的容易にできる。
図2および図3に示すように、加熱庫20の上部は、外側上壁201と内側上壁202とからなる二重構造をなしており、外側上壁201および内側上壁202相互間に画成された空間20Cが排気筒入口240に繋がり、加熱庫20内の熱気を調理器本体10の外部に排出するための排気通路となる。加熱調理具3は、上記内側上壁202の下方の空間20Eに収容される。即ち、内側上壁202の下方の空間20Eが調理具収容部となる。
内側上壁202は、前方視略M字状に形成されており、左右の側壁205からそれぞれ加熱庫20の左右間の中央上方へ向かって傾斜する傾斜面部271と、左右の傾斜面部271の上縁相互間から下向きに膨出する膨出面部272とを有している。
従って、加熱庫20内を側壁205に沿って上昇する熱気は、傾斜面部271に沿って加熱庫20の内側上方(左右間の中央側)へ導かれた後、膨出面部272の外側面部に沿って下向きに変流され、プレートカバー32の中央面部61に至る。このように、加熱庫20の内側上壁202は、その下方の空間20Eにおいて、加熱庫20内の左右外側から中央上方を通って降下する熱気の対流を生じさせる。これにより、プレートカバー32が側方および上方から加熱され、プレート上面部31Aの食材がプレートカバー32からの輻射熱によって上面側から加熱される。
傾斜面部271および膨出面部272の前後間の中央より前寄りの所定領域にはそれぞれ、外側上壁201および内側上壁202相互の空間(以下、「排気通路」という)20Cと、内側上壁202の下方の空間(以下、「調理具収容部」という)20Eとを連通する排気導出孔270が開設されている。
従って、グリルバーナ21から放出され、側壁205に沿って調理具収容部20Eの上域へ導かれた熱気や、加熱調理具3内の食材から発生し、プレートカバー32の排熱孔33から調理具収容部20Eの上域に排出された油煙、臭気成分は、排気導出孔270を通じて排気通路20Cに導出され、排気筒24を通って排気口14から調理器本体10の外部に排出される。
グリルバーナ21は、二つの樋状体を上下に重ね合わせて形成された直管状のバーナであり、加熱調理具3の下方の空間(以下、「バーナ収容部」という)20Aに、加熱庫20の左右間の中央を通る縦中心線を基準として左右対称位置にそれぞれ配設されている。
炎孔210は、グリルバーナ21の外側端面に沿って設けられており、グリルバーナ21に供給されたガスを外側方(側壁205側)へ向けて層状に噴出させるように構成されている。尚、図示しないが、各グリルバーナ21の炎孔210の近傍にはそれぞれ、点火プラグが配設されており、グリル点消火操作子23の点火操作に連動して上記各点火プラグから特定の炎孔210の周辺で火花放電させ、炎孔210から噴出されるガスを着火させる。
グリルバーナ21は、上方から前方視略コ字状のバーナカバー28で覆われており、加熱調理具3は、バーナカバー28の上方に所定の間隙20Bを存して配設される。即ち、バーナカバー28は、調理具収容部20Eとバーナ収容部20Aとを上下に分離している。
バーナカバー28の側板281における上記炎孔210との対向位置には、グリルバーナ21から放出された熱気を側板281と側壁205との間の空間20Fに導出するためのガス導出口280が開設されている。従って、バーナ収容部20Aにてグリルバーナ21から放出された熱気は、ガス導出口280から上記空間20Fに導出され、さらに加熱調理具3の側方を通って調理具収容部20Eの上域へ導かれる。また、側板281の外側の空間20Fに導出された熱気の一部は、加熱調理具3とバーナカバー28との間隙20Bに導入される。これにより、調理プレート31が側方および下方から加熱され、プレート上面部31Aの食材が調理プレート31からの伝導熱によって下面側から加熱される。
側壁205の内側面における加熱調理具3との側方対向位置には、加熱庫20の外側方へ凹没する凹面部40が形成されている。凹面部40は、前方視略台形状に形成されており、ガス導出口280の側方対向位置から加熱庫20の外側上方へ向かって傾斜する下傾斜面部41と、下傾斜面部41の上縁から上方へ向かって起立する垂直面部42と、垂直面部42の上縁から加熱庫20の内側上方へ向かって傾斜する上傾斜面部43とを有している。
従って、グリルバーナ21から上記空間20Fへ向けて導出された熱気は、下傾斜面部41に沿って外側上方に変流され、さらに垂直面部42から上傾斜面部43に沿って流れる間に内側上方に変流されて、内側上壁202の傾斜面部271に導かれる。即ち、加熱調理具3と側壁205との間には、加熱庫20の下方から上方へ向かう熱気の流れ(上昇流)が生じ、これにより、調理プレート31およびプレートカバー32が側方から加熱される。
図4から図6に示すように、調理プレート31の周縁(以下、「プレート周縁部」という)310は、全周に亘って外側上方へ向かって略L字状に折曲形成されている。
食材との接触面積を小さくするため、プレート上面部31Aの中央域には、左右方向に延在する上方へ凸のリブ51が前後方向に略等間隔で複数並設されている。また、食材から滲出した油や焼き汁を回収するため、プレート上面部31Aの外周域には、リブ51の形成域の外側を囲うように下方へ凹没する溝部52が形成されている。
プレートカバー32は、プレート上面部31Aの上方対向位置にて略水平に延在する中央面部61と、中央面部61の外周から外側下方へ向かって湾曲する側面部62とを有しており、上記中央面部61および側面部62によってプレート上面部31Aの上方に、食材を収容可能な所定の空間(以下、「食材収容部」という)30が画成されている。
プレートカバー32の中央面部61は、加熱庫20に収容された状態において、内側上壁202に下方から所定の間隙を存して対向配設される(図2および図3参照)。中央面部61の中央域には、下向きに膨出する段差部610が形成されており、内側上壁202の膨出面部272に沿って下向きに導かれ、上記段差部610に達した熱気は、段差部610の上面に沿って後方から前方へ導かれる。
プレートカバー32の側面部62における前側の側面部(以下、「カバー前面部」という)621および後側の側面部(以下、「カバー後面部」という)622は、中央面部61から外側斜め下方へ向かって延出形成されており、その左右間の中央域には、食材収容部30の熱気や水蒸気を加熱調理具3の外部に排出するための排熱孔33が形成されている。
排熱孔33は、プレートカバー32の左右方向に長いスリット状の長孔であり、上下左右に複数並設されている。尚、本実施の形態では、排熱孔33は、カバー前面部621又はカバー後面部622の縦中心線を挟んで左右に二列、上下に三列で並設されているが、食材収容部30の熱気や水蒸気を適切に外部に排出可能であれば、数や配置に限定されない。
また、本実施の形態では、排熱孔33は、カバー前面部621およびカバー後面部622にそれぞれ設けられているが、カバー前面部621又はカバー後面部622の何れか一方にのみ設けられたものとしてもよい。上記加熱調理器1において、カバー後面部622にのみ排熱孔33が設けられたものを用いた場合、食材収容部30の熱気や水蒸気は、排熱孔33を通じて加熱庫20内の後方に導出された後、内側上壁202とプレートカバー32の中央面部61との間隙を通って前方の排気導出孔270側へ向かって導かれ、排気導出孔270から排気通路20Cに導出される。これにより、プレートカバー32がより効果的に加熱され、食材収容部30の温度がより速やかに上昇する。
カバー前面部621およびカバー後面部622の各下端縁部、即ち、プレートカバー32の前縁部321および後縁部322は、外側下方へ向かって略L字状に折曲形成されており、プレートカバー32は、前縁部321および後縁部322の各水平面部32Cにプレート周縁部310の上端部31Cが下方から当接することで、調理プレート31に支持される。
プレートカバー32の側面部62における左右の側面部(以下、「庇部」という)623は、中央面部61から外側下方へ向かって縦断面略円弧状に湾曲形成されており、その各下端縁、即ち、プレートカバー32の左右の周縁(以下、「庇下縁部」という)323は、調理プレート31にプレートカバー32を被蓋させた状態のときに、プレート周縁部310より外周側へ離間した位置に配される。このように、プレートカバー32は、外周の左右両側にプレート周縁部310より外周側へ張り出す庇部623を有しており、調理プレート31に被蓋させた際、プレート周縁部310と左右の庇下縁部323との間には、所定の間隙(以下、「熱気導入孔」)34が画成される。グリルバーナ21から放出された熱気は、上記熱気導入孔34から食材収容部30の側方域に導入される。
プレートカバー32の内側下面部には、庇部623に沿って下向きに突出する凸部35が形成されている。凸部35は、プレート周縁部310の水平面部31Dの鉛直上方対向位置にて前後方向に延設されている。即ち、凸部35は、プレートカバー32の内側下面部において、庇部623側に面する左右のプレート周縁部310の鉛直上方位置より内側(左右間の中央側)に設けられている。
従って、熱気導入孔34から庇部623の内側に沿って食材収容部30の側方域に導入された熱気は、凸部35にてプレート上面部31Aの中央域へ向けて変流される。このように、凸部35は、加熱調理具3内に、プレート上面部31Aの中央域へ向かう熱気の流れを生じさせる。その結果、プレート上面部31Aの食材が上面側からより効果的に加熱される。
凸部35は、絞り加工により前方視断面略J字状に垂下形成されており、下曲面部の頂部(以下、「下頂部」という)350が凸部35において最も低位置(最下端)となり、プレート周縁部310の水平面部31Dの鉛直上方に対向して配される。
従って、調理中に食材収容部30の食材やプレート上面部31Aから飛散し、プレートカバー32の内側下面部に付着した油や水分は、庇部623を伝って熱気導入孔34に達する前に、凸部35を伝って下頂部350から流下し、プレート周縁部310の水平面部31D上に滴下する。そしてさらに、水平面部31Dからその内側の溝部52に回収される。
尚、本実施の形態では、凸部35は、プレート周縁部310の水平面部31Dの鉛直上方対向位置に設けられているが、水平面部31Dより内側の溝部52の鉛直上方対向位置に設けられたものとしてもよいし、溝部52より内側のプレート上面部31Aの外周、即ち、リブ51の左右端部の鉛直上方対向位置に設けられたものとしてもよい。また、凸部35は、絞り加工によりプレートカバー32の内側下面部の一部を湾曲させて形成されているが、鋳造等によりプレートカバー32の内側下面部の厚みを一部異ならせて隆起形成されたものとしてもよい。
図3に示すように、熱気導入孔34は、側壁205に形成された凹面部40の下傾斜面部41の上方位置にて下向きに開設されている。即ち、熱気導入孔34は、グリルバーナ21からガス導出口280の外側の空間20Fに導出された熱気の流れ方向に対向して配されている。従って、上記空間20Fに導出された熱気は、熱気導入孔34から庇部623の内側に沿って円滑に食材収容部30に導入される。
このように、上記加熱調理具3によれば、たとえプレートカバー32の内側下面部に多量に油や水分が付着しても、それら油や水分は、庇部623を伝ってプレート周縁部310と庇下縁部323との間に設けられた熱気導入孔34に達する前に、凸部35を伝って流下し、庇部623側に面するプレート周縁部310より中央側の内側上面部上に回収されるから、調理中や調理後に熱気導入孔34から油や水分が外部に漏出するのを防止できる。よって、使い勝手が向上する。
また、プレートカバー32の内側下面部に付着した油や水分を上記のようにプレート上面部31Aに回収させることで、熱気導入孔34に油や水分が付着滞留し難いため、熱気導入孔34から食材収容部30へ円滑に熱気を導入することもできる。よって、調理性能も向上する。
しかも、このものでは、プレート周縁部310の水平面部31Dの上方対向位置、即ち、プレート上面部31Aの外周域の上方対向位置に凸部35の最下端となる下頂部350を配したことで、プレートカバー32の内側下面部に付着した油や水分は、凸部35を伝って下頂部350から上記外周域(水平面部31D)に流下する。これにより、食材上に油や水分が直接流下するのを抑制でき、調理の仕上がり状態を良好にすることが可能である。よって、調理性能が一層向上する。
さらに、このものでは、グリルバーナ21から放出され熱気を、排熱孔33を有しない左右の庇部623の下方に設けられた熱気導入孔34から食材収容部30に導入させる一方、食材収容部30の熱気は、庇部623に隣接するカバー前面部621およびカバー後面部622の排熱孔33から外部に排出させるから、食材収容部30に効率良く熱気を循環供給させることができる。また、食材収容部30の油煙や水蒸気も同様に、上記熱気の流れに伴って排熱孔33から外部へ円滑に排出されるから、プレートカバー32の内側下面部に油や水分が付着残留し難い。これにより、食材上に油や水分が流下するのを一層抑制できる。よって、調理の仕上がり状態を一層良好にすることが可能であり、調理性能がより一層向上する。
また、上記のように、加熱調理具3からの油や水分の漏出を防止できるから、調理中に加熱庫20内が汚れ難い加熱調理器1を提供できる。よって、加熱庫20内の清掃の手間を大幅に軽減できる。しかも、上記加熱調理器1では、グリルバーナ21から放出された熱気によって調理プレート31およびプレートカバー32が加熱されると共に、上記熱気が、熱気導入孔34を通じて加熱調理具3の食材収容部30に導入されるから、食材収容部30の温度が速やかに上昇する。これにより、プレート上面部31Aの食材を、加熱調理具3内に導入される熱気や調理プレート31からの伝導熱によって効率良く加熱することができ、調理の仕上がり状態を良好にすることが可能である。よって、調理性能も向上する。
上記実施の形態では、加熱調理具3の下方の空間(バーナ収容部)20Aにグリルバーナ21が炎孔210を外向きにして配設され、グリルバーナ21から外側方へ向けて熱気を放出するように構成されたものを説明したが、加熱調理具3および食材収容部30内に収容された食材を適切に加熱可能な構成であれば、側壁205にグリルバーナ21が炎孔210を内向き(左右間の中央向き)にして配設され、グリルバーナ21から内側方へ向けて熱気を放出するように構成されたものとしてもよいし、加熱調理具3の外側にグリルバーナ21が炎孔210を上向きにして配設され、グリルバーナ21から上方へ向けて熱気を放出するように構成されたものとしてもよい。
上記実施の形態では、二つの直管状のグリルバーナ21が加熱庫20の縦中心線を挟んで左右対称位置にそれぞれ延設されたものを説明したが、上方視略U字状に形成された一つのグリルバーナであって、その左右両側の直管部が上記グリルバーナ21と同様、加熱庫20の縦中心線を挟んで左右対称位置にそれぞれ延設されたものとしてもよい。
本発明は、キッチンのテーブルに載置して使用されるテーブルコンロに限らず、キッチンのカウンタトップに開設されたコンロ取付孔に落とし込み状態で装着されるビルトインコンロや、天板101にコンロバーナ11を有しないグリル装置にも適用できる。
1 加熱調理器
20 加熱庫
21 グリルバーナ
3 加熱調理具
30 食材収容部
31 調理プレート(調理具本体)
31A プレート上面部(内側上面部)
32 プレートカバー(蓋体)
34 熱気導入孔(間隙)
35 凸部

Claims (3)

  1. 食材を受ける調理具本体と、外周に調理具本体の周縁より外周側へ張り出す庇部を有し、調理具本体を上方から覆う蓋体とで構成され、調理具本体に蓋体を被蓋させた状態のときに、調理具本体の周縁と前記庇部との間に、調理具本体および蓋体相互の空間に熱気を導入するための所定の間隙が設けられる加熱調理具であって、
    蓋体の内側下面部における、前記庇部に対向する調理具本体の周縁の鉛直上方位置より中央側に、下向きに突出する凸部が設けられ
    蓋体は、外周に外側下方へ向かって延びる側面部を有し、
    側面部における対向する一方の側面部が前記所定の間隙を設けるための庇部となり、前記庇部に沿って前記凸部が設けられ、
    側面部における対向する他方の側面部の少なくとも一側面部に、前記空間に導入された熱気を外部に排出するための排熱孔が設けられ、前記他方の側面部の下端縁部は前記調理具本体の周縁と当接される、加熱調理具。
  2. 請求項1に記載の加熱調理具において、
    凸部は、最下端が調理具本体の内側上面部の外周域の上方に対向して配された、加熱調理具。
  3. 請求項1又は2に記載の加熱調理具と、加熱調理具を収容する加熱庫と、加熱庫内に熱気を放出するバーナとを備えた加熱調理器であって、
    バーナから放出された熱気により前記加熱調理具の調理具本体および蓋体を加熱すると共に、前記熱気を、前記間隙を通じて調理具本体および蓋体相互の空間に導入するように構成された、加熱調理器。
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