JP7046658B2 - 回転伝達装置 - Google Patents

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Description

この発明は、動力伝達経路における動力の伝達と遮断の切り替えに用いられる回転伝達装置に関する。
従来、回転伝達装置として、入力側部材と、この入力側部材の外方に配置された内周部を有する出力側部材と、それら入力側部材と出力側部材間で回転トルクの伝達と遮断を行うクラッチ機構とを備えるものが知られている。そのクラッチ機構は、出力側部材の内周部に設けられた円筒面と、入力側部材に設けられ前記円筒面との間にくさび空間を形成するカム面と、円筒面とカム面との間に配置されたローラと、ローラを保持する保持器とを有する。保持器は、周方向にローラと当接可能なポケット面を有する。ローラは、カム面に対する保持器の相対回転によって円筒面及びカム面に係合する係合位置と、当該係合を解除する中立位置との間を移動可能に配置されている。保持器とカム面間の相対回転を制御する手段として、電磁アクチュエータが利用されている。
例えば、特許文献1、2のような回転伝達装置は、スイッチばねと、電磁石と、ロータと、アーマチュアとを備える。スイッチばねは、入力側部材に対する保持器の相対回転により弾性変形させられ、その復元弾性によりローラが中立位置に移動するように保持器を復帰回転させる。アーマチュアは、軸方向に移動可能に支持されており、電磁石の電磁コイルに対する通電により、保持器に対して回り止めされる。ロータは、出力側部材に回り止めされている。アーマチュアが、前述の通電により、ロータに吸着されると、保持器が、アーマチュア、ロータを介して出力側部材に接続され、その保持器と入力側部材の相対回転により、ローラが出力側部材の円筒面および入力側部材のカム面に係合させられ、入力側部材と出力側部材間において回転トルクが伝達される。前述の通電を解除すると、スイッチばねのばね力により保持器が復帰回転させられ、この保持器のポケット面に周方向に押されるローラが中立位置に移動させられ、円筒面及びカム面に対するローラの係合が解除される。
特開2007-247713号公報 特開2005-90678号公報
上述のようなクラッチ機構においては、ローラが中立位置にある状態で入力側部材が高速に回転する場合、その入力側部材のカム面と保持器のポケット面に保持されたローラが入力側部材及び保持器と共に高速に回転する。このため、ローラに作用する遠心力によりローラが出力側部材の円筒面に押し付けられ、その状態で入力側部材及び保持器と共に円筒面に対して相対的に高速回転し続けるため、円筒面とローラの接触部で引き摺りトルクが増大し、ローラや円筒面が摩耗する可能性があった。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、クラッチ機構のローラが中立位置にある状態で入力側部材及び保持器と共に出力側部材の円筒面に対して高速回転することによるローラや円筒面の摩耗を防ぐことである。
上記の課題を達成するため、この発明に係る第一の解決手段は、入力側部材と、前記入力側部材の外方に配置された内周部を有する出力側部材と、前記入力側部材と前記出力側部材間で回転トルクの伝達と遮断を行うクラッチ機構とを備え、前記クラッチ機構が、前記出力側部材の前記内周部に設けられた円筒面と、前記入力側部材に設けられ前記円筒面との間にくさび空間を形成するカム面と、前記円筒面と前記カム面との間に配置されたローラと、前記ローラを保持する保持器とを有し、前記保持器が、周方向に前記ローラと当接可能なポケット面を有し、前記ローラが、前記カム面に対する前記保持器の相対回転によって前記円筒面及び前記カム面に係合する係合位置と、当該係合を解除する中立位置との間を移動可能に配置されている回転伝達装置において、前記ポケット面の算術平均粗さRaの値が、前記円筒面の算術平均粗さRaの値以下である構成を採用することである。ここで、算術平均粗さRaは、日本工業規格(JIS) B0601:2013で規定される算術平均粗さRaのことをいう。
上記第一の解決手段の構成によれば、保持器のポケット面の算術平均粗さRaの値が出力側部材の円筒面の算術平均粗さRaの値以下であるため、中立位置のローラが入力側部材及び保持器と共に高速回転する際、円筒面とローラ間の摩擦係数に対してポケット面と当該ローラ間の摩擦係数が同等以下に低減される。このため、円筒面との間の摩擦抵抗力でローラが容易に自転させられるので、ローラと円筒面間の引き摺りトルクが低減され、ひいては、ローラや円筒面の摩耗を防止することができる。
具体的には、前記ポケット面が、前記保持器を形成する金属材に施された表面処理部からなるとよい。このようにすると、保持器形状に加工された金属材の表面に対してポケット面を低摩擦な表面性状に改質することができる。
例えば、前記表面処理が、めっきである。めっきにより、保持器素材である金属材の表面に比してポケット面の算術平均粗さRaの値を小さくすることができる。
例えば、前記表面処理が、ショットブラスト加工である。ショットブラスト加工により、保持器素材である金属材の表面に比してポケット面の算術平均粗さRaの値を小さくすることができる。
例えば、前記表面処理が、化学研磨である。化学研磨により、保持器素材である金属材の表面に比してポケット面の算術平均粗さRaの値を小さくすることができる。化学研磨は、めっき、ショットブラスト加工よりも比較的低コストに実施可能な点で好ましい表面処理手段である。
上記の課題を達成するため、この発明に係る第二の解決手段は、入力側部材と、前記入力側部材の外方に配置された内周部を有する出力側部材と、前記入力側部材と前記出力側部材間で回転トルクの伝達と遮断を行うクラッチ機構とを備え、前記クラッチ機構が、前記出力側部材の前記内周部に設けられた円筒面と、前記入力側部材に設けられ前記円筒面との間にくさび空間を形成するカム面と、前記円筒面と前記カム面との間に配置されたローラと、前記ローラを保持する保持器とを有し、前記保持器が、周方向に前記ローラと当接可能なポケット面を有し、前記ローラが、前記カム面に対する前記保持器の相対回転によって前記円筒面及び前記カム面に係合する係合位置と、当該係合を解除する中立位置との間を移動可能に配置されている回転伝達装置において、前記保持器が、周方向に前記ローラと対向する位置に前記ポケット面から深さをもった複数のポケット溝部を有し、前記ポケット溝部が、当該ポケット溝部の軸方向両側の溝終端から前記ローラの自転方向に向かって当該ポケット溝部の軸方向中央部へ油を導く形状を有する構成を採用することである。
上記第二の解決手段の構成によれば、中立位置のローラが入力側部材及び保持器と共に高速回転する際、遠心力によって円筒面に押し付けられるローラが自転させられ、クラッチ機構を潤滑する油をポケット溝部に引き込む。ポケット溝部に引き込まれた油は、自転するローラに引き摺られてポケット溝部の軸方向両側から軸方向中央部側へ進み、やがてポケット溝部の軸方向中央部で合流する。この合流部分では油圧が高まってローラとポケット面間に油膜が形成されるため、ローラとポケット面間の摩擦係数が低減される。これにより、円筒面との間の摩擦抵抗力でローラが容易に自転させられるので、ローラと円筒面間の引き摺りトルクが低減され、ひいては、ローラや円筒面の摩耗を防止することができる。
前記出力側部材が、前記円筒面から深さをもちかつ前記ローラとの間に周方向に向かって次第に狭小となる隙間を形成する外方溝部を有するとよい。このようにすると、入力側部材及び保持器と共にローラが隙間の狭小側に向かって高速回転すると、油も同時に回転する。このため、ローラと外方溝部との間において、油が外方溝部の深い側から浅い側に向かって引き摺られることに伴って油圧が高まるくさび効果が生じ、ローラと円筒面間に油膜が形成される。これにより、ローラと円筒面間の摩擦係数を低減することができる。
上述のように、この発明は、クラッチ機構のローラが中立位置にある状態で入力側部材及び保持器と共に出力側部材の円筒面に対して高速回転する際、ローラと保持器のポケット面間の摩擦係数が低減され、ローラの自転が容易化されるので、ローラと円筒面間の引き摺りトルクが低減され、これにより、ローラや円筒面の摩耗を防ぐことができる。
この発明の第一実施形態の回転伝達装置でのローラの接触態様を示す断面図 図1の回転伝達装置の全体的な構造を示す断面図 図2のIII-III線の断面図 この発明の第二実施形態に係る回転伝達装置の全体的な構造を示す断面図 図4のV-V線の断面図 図4の保持器の斜視図 図4の保持器の断面図 この発明の第三実施形態に係る回転伝達装置の全体的な構造を示す断面図 図8のIX-IX線の断面図
この発明の上記第一の解決手段に係る一例としての第一実施形態を図1~図3に基づいて説明する。図2に示すように、第一実施形態に係る回転伝達装置は、入力側部材1と、入力側部材1と同軸上に配置された出力側部材2と、入力側部材1と出力側部材2間で入力側部材1から出力側部材2への回転の伝達と遮断とを行なうクラッチ機構3とを備える。
以下、入力側部材1と出力側部材2の軸線(回転中心線)に沿った方向を「軸方向」という。また、その軸方向に直交する方向を「径方向」という。また、その軸線回りの円周方向を「周方向」という。
クラッチ機構3は、筒状のハウジング4によって覆われている。
入力側部材1は、動力伝達経路の構成要素となる軸である。入力側部材1は、中空軸状に形成されている。入力側部材1の内周側には、外部から回転トルクを伝達する入力軸Sが連結されている。入力軸Sは、ハウジング4の軸方向一方側(図2において左側)の開口部5に挿通されている。ハウジング4の開口部5と入力軸Sとの間にシールないし軸受6が設けられている。シール6の場合、軸Sとハウジング4間を密封するためのものである。軸受6の場合、入力軸Sをハウジング4に対して回転自在に支持するためのものであり、シール付転がり軸受を採用してシールを兼ねてもよい。
出力側部材2は、動力伝達経路の構成要素となる軸であって、クラッチ機構3から回転トルクを伝達される部材である。出力側部材2は、入力側部材1の外方に配置された内周部7と、ハウジング4の軸方向他方側(図2において右側)から外部へ延びる軸部8とを有する。出力側部材2の外周とハウジング4の内周との間に軸受9が設けられている。軸受9は、出力側部材2をハウジング4に対して回転自在かつ軸方向に非可動に支持するためのものである。軸部8は、動力伝達経路の他の構成要素に連結される。
なお、出力側部材2として内周部7と軸部8とが一体の部材に形成された例を示したが、出力側部材に軸部は必須でなく、他の軸を出力側部材に連結するようにしてもよい。また、入力側部材1として入力軸Sに連結されるものを例示したが、入力側部材に軸部を一体に形成し、その軸部を他の構成要素に連結するようにしてもよい。それらの連結手段は特に限定されず、例えば、セレーション嵌合、スプライン嵌合、キーによる連結等が挙げられる。
出力側部材2の外周とハウジング4の軸方向他方側との間にシール10が設けられている。シール10は、外部からの異物侵入、ハウジング4内から外部への流動性潤滑剤の漏洩を防止するためのものである。
入力側部材1は、入力側部材1の軸方向中間位置で径方向に突き出たカムリング部11と、カムリング部11に対して軸方向一方側に位置する第一端部12と、カムリング部11に対して軸方向他方側に位置する第二端部13とを有する。第二端部13の外周と出力側部材2の内周部7との間に軸受14が設けられている。軸受14は、入力側部材1を出力側部材2に対して回転自在に支持するためのものである。
クラッチ機構3は、図2、図3に示すように、出力側部材2の内周部7に設けられた円筒面15と、入力側部材1のカムリング部11の外周に設けられたカム面16と、円筒面15とカム面16との間に配置されたローラ17と、ローラ17を保持する保持器18と、保持器18の位相をばね力で保持するスイッチばね19と、クラッチ機構3の係合、解除を制御する電磁アクチュエータ20とを有する。
円筒面15は、周方向全周に連続する。出力側部材2の全体的な形状は、例えば、鍛造によって形成される。円筒面15は、例えば、鍛造品に対する研削加工によって仕上げられる。この場合、円筒面15の算術平均粗さRaは、例えば、0.8~1.0にすることができる。
カム面16は、円筒面15との間にくさび空間を形成する。そのくさび空間は、カム面16の周方向中央から周方向両端に向かって次第に狭小となっている。すなわち、カム面16と円筒面15との間の径方向の距離は、カム面16の周方向中央に位置する図3のローラ17の位置から周方向の一方向(図3において左回り)に向かって次第に小さくなり、また、当該ローラ17の位置から周方向の他方向(図3において右回り)に向かって次第に小さくなっている。なお、カム面16を単一平面で構成した例を示したが、カム面を複数の面で構成してもよいし、単一の曲面で構成することも可能である。
入力側部材1の外周には、周方向に間隔をおいて複数のカム面16が形成されている。すなわち、複数のくさび空間が形成され、各くさび空間にローラ17が配置されている。
ローラ17は、円筒ころ状に形成されている。ローラ17は、カム面16に対する保持器18の相対回転によって円筒面15及びカム面16に係合する係合位置と、円筒面15及びカム面16との係合を解除する中立位置との間を移動可能に配置されている。ローラ17は、入力側部材1に対して保持器18が相対回転した際、円筒面15およびカム面16に係合して、入力側部材1と出力側部材2間で回転トルクを伝達する。
保持器18は、周方向に並ぶ複数の柱部21と、これら柱部21の軸方向一方側に連続する第一環部22と、これら柱部21の軸方向他方側に連続する第二環部23とを有する。周方向に隣り合う柱部21間の空間が、ローラ17を収容する空間になっている。
柱部21は、図1、図3に示すように、ローラ17と周方向に当接可能なポケット面24を有する。ポケット面24は、各柱部21の周方向両側にそれぞれ形成されている。ポケット面24は、周方向に隣り合う柱部21間の空間を周方向に二等分する仮想アキシアル平面(前述の軸線を含む平面)に沿った平坦面になっている。ローラ17は、周方向に対向するポケット面24との当接により、カム面16に対する周方向位置が制限され、また、保持器18と共に強制的に回転させられる。
ポケット面24の算術平均粗さRaの値は、円筒面15の算術平均粗さRaの値以下である。
図2に示すように、保持器18の第二環部23は、内向きのフランジを有する。第二環部23は、そのフランジの内周において入力側部材1の第二端部13の外周に回転自在に嵌合されている。保持器18は、第二環部23のフランジにおいて、カムリング部11と止め輪25とにより、軸方向に位置決めされている。止め輪25は、第二端部13に形成された止め輪溝に取り付けられている。
保持器18の全体的な形状は、金属材を素材として、例えば、プレス加工によって形成され、この場合、図3に示す各柱部21は、金属材を打ち抜くことによって形成される。金属材として、例えば、鋼板が挙げられる。プレス加工で柱部を打ち抜いたワークにおいて、ポケット面形状を有する部分の算術平均粗さRaの値は、2.0程度になる。そのワークのポケット面形状部分に表面処理を施すことにより、表面処理部からなるポケット面24を得ることができる。
前述の表面処理として、例えば、パーカー処理、めっき、固体潤滑皮膜処理、ショットブラスト加工、化学研磨が挙げられる。
前述のパーカー処理は、リン酸塩の溶液を用いてワークの表面に不溶性のリン酸塩皮膜を成長させるリン酸塩皮膜処理である。
前述のめっきは、めっき液に含まれる還元剤の酸化によって放出される電子により、ワークの表面に金属皮膜を析出させる処理であり、例えば、無電解ニッケルめっきが挙げられる。めっきの場合、めっき浴中に微粒子を混入させ、金属と同時に共析させる複合めっきを採用することにより、ポケット面24の耐摩耗性や自己潤滑性をより良好にすることができる。例えば、耐摩耗性を重視する場合、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、ダイヤモンド等を共析させればよい。また、自己潤滑性を重視する場合、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化黒鉛等を共析させればよい。耐摩耗性と自己潤滑性の両方を重視する場合、SiC + BN、Si + BN、Si + CaF等を共析させればよい。
前述の固体潤滑皮膜処理は、例えば、微粒子を単独または複合的に塗料中に分散させ、ワークの表面にコーティングする処理であり、パルリューベ処理とも呼ばれる。微粒子として、例えば、フッ素・グラファイト・二硫化モリブデン等が挙げられる。
前述のショットブラスト加工は、粒体の投射材をワークに衝突させ、ワークの表面を研削する処理である。ショットブラスト加工の場合、例えば、二硫化モリブデン粒子等の自己潤滑性に優れた投射材を被加工物に転写させることによりワークの表面をコーティングしてもよい。
前述の化学研磨は、電気を使わず、酸性の化学研磨液にワークの表面を接触させることによりワークの表面を溶かして研磨する処理である。化学研磨によれば、例えば、算術平均粗さRaの値が2.0程度、この最大高さ粗さRzの値が0.9程度であるワーク表面を均一に研磨し、ポケット面24の算術平均粗さRaの値を1.0以下、この最大高さ粗さRzの値を0.4以下に改質することができ、上述の他の表面処理に比して低コストでありながら、円筒面15に比して滑らかなポケット面24を得ることができる。なお、前述の最大高さ粗さRzも、日本工業規格(JIS)B0601:2013で規定されるものである。
図2に示すスイッチばね19は、ローラ17が中立位置となるように保持器18を弾性的に保持する。スイッチばね19は、入力側部材1の第一端部12上に配置されている。クラッチ機構3は、スイッチばね19を第一端部12上に保つばね保持リング26を有する。
スイッチばね19は、C形のリング部の両端に一対の係合片27を外向きに形成した金属ばねからなる。スイッチばね19のリング部は、第一端部12の外周に通され、入力側部材1に形成された凹部28内に嵌合されている。凹部28は、カムリング部11の端面において軸方向に一定の深さをもっている。スイッチばね19の一対の係合片27は、凹部28の外側壁に形成された切欠部から、保持器18の第一環部22に形成された切欠部29内に挿入されている。スイッチばね19の一対の係合片27は、凹部28の切欠部、保持器18の切欠部29を周方向の相反する方向に向かって押圧する。その押圧によって、保持器18は、ローラ17が中立位置となる位相に保持される。
ばね保持リング26は、入力側部材1の第一端部12の外周および保持器18の第一環部22の内周に嵌合されている。ばね保持リング26は、第一端部12の外周に取り付けられた止め輪30により、軸方向一方側への移動が阻止されている。このため、凹部28からのスイッチばね19の脱出は、ばね保持リング26によって防止される。
電磁アクチュエータ20は、保持器18の第一環部22と軸方向に対向するアーマチュア31と、アーマチュア31と軸方向に対向するロータ32と、ロータ32と軸方向に対向する電磁石33と、アーマチュア31をロータ32から離反する方向に押圧する離反ばね34とを有する。
アーマチュア31は、入力側部材1の第一端部12の外周にスライド自在に嵌合されている。アーマチュア31は、保持器18に対して回り止めされている。アーマチュア31には、回り止め用の係合孔部43が形成されている。保持器18は、第一環部22から係合孔部43内へ延びる突片部44を有する。突片部44は、アーマチュア31のストロークの全範囲で係合孔部43と周方向に係合可能である。その係合により、アーマチュア31は、保持器18に対して軸方向に移動可能な状態で回り止めされている。なお、アーマチュアと保持器の回り止めは、特許文献2のようにコネクティングプレートを介在させる構造にしてもよい。
ロータ32は、内方円筒部と、この内方円筒部の外方に位置する外方円筒部とを有する。ロータ32は、その外方円筒部の外周においてロータガイド45内に圧入されている。ロータガイド45は、出力側部材2の外周端部に取り付けられている。ロータ32は、ロータガイド45を介して出力側部材2に対して回り止めされている。このため、ロータ32は、出力側部材2と一体に回転することができる。なお、ロータガイド45は、非磁性体によって形成されている。
ロータ32の内方円筒部の内周と入力軸Sの外周との間に軸受46が設けられている。軸受46は、ロータ32を入力軸Sに対して回転自在に支持するためのものである。
電磁石33は、フィールドコア47と、フィールドコア47に支持された電磁コイル48とからなる。電磁石33 は、ロータ32の内方円筒部と外方円筒部との間の空間に配置されている。フィールドコア47は、ハウジング4の閉塞端に回転不可な状態に支持されている。
離反ばね34は、アーマチュア31とロータ32の対向面間に介在している。アーマチュア31がロータ32から軸方向に離反する量は、止め輪30により制限される。なお、止め輪30は、ばね保持リング26の規制用と兼用にしたが、別途に設けてもよい。
第一実施形態に係る回転伝達装置の動作について説明する(図2、図3を適宜、参照)。先ず、電磁アクチュエータ20の電磁コイル48への通電が遮断されている状態では、ローラ17が中立位置にあり、保持器18は、スイッチばね19のばね力により、カム面16に対してローラ17を中立位置に保つ位相に保持される。このため、入力軸Sが図3における左回り又は右回りのいずれに回転したとしても、入力軸Sと一体に回転する入力側部材1の回転トルクは、出力側部材2に伝達されず、出力側部材2に対して入力側部材1が空転(フリー回転)する。つまり、クラッチ機構3は、入力側部材1から出力側部材2への回転トルクの伝達を遮断する係合解除状態にある。
この係合解除状態のとき、入力側部材1の回転は、スイッチばね19を介して保持器18に伝達され、保持器18及びローラ17が共に回転する。また、アーマチュア31は、保持器18に回り止めされているため、アーマチュア31も共に回転する。
入力側部材1が回転する状態において、電磁コイル48に通電すると、アーマチュア3 1 に吸引力が付与される。このため、アーマチュア31は、離反ばね34の弾性に抗して移動し、ロータ32に吸着される。
ロータ32とアーマチュア31の吸着面に作用する摩擦抵抗は、保持器18の回転抵抗となる。その摩擦抵抗は、スイッチばね19のばね力よりも予め大きな値に設定されている。このため、スイッチばね19が弾性変形を生じて、保持器18が入力側部材1に対して相対回転する。その相対回転により、ローラ17は、円筒面15とカム面16間のくさび空間の狭小部に押し込まれて円筒面15及びカム面16に係合する。このため、入力側部材1の回転トルクは、ローラ17を介して出力側部材2に伝達される。つまり、クラッチ機構3は、入力側部材1から出力側部材2への回転トルクを伝達する係合状態にある。
この係合状態において、電磁コイル48 に対する通電を遮断すると、離反ばね34の押圧により、アーマチュア31はロータ32から離反して、止め輪30に当接する位置まで移動する。また、アーマチュア31がロータ32から離反すると、スイッチばね19のばね力により、保持器18が入力側部材1に対して係合時の逆方向に回転し、柱部21のポケット面24に押されたローラ17が中立位置に戻る。このため、クラッチ機構3は、係合解除状態に戻る。
例えば、図1に示すように、クラッチ機構3が係合解除状態にあって入力側部材1が右回り(矢線A方向)に回転するとき、入力側部材1と保持器18がスイッチばね19によって弾性的に連結されているため、入力側部材1及び保持器18が共に右回りに回転する。その保持器18の柱部21のポケット面24に当接するローラ17も保持器18等と共に右回りに回転する。
このため、入力側部材1が高速に右回りに空転する場合、ローラ17は、遠心力により径方向外方へ移動して円筒面15に接触する。その接触部に作用する摩擦抵抗力μ・Nにより、ローラ17及び保持器18を円筒面15に対して引き摺る引き摺りトルクが発生する。この引き摺りトルクは、ローラ17を自転させようとすると共に、スイッチばね19のばね力に抗して作用し、入力側部材1に対して保持器18を相対回転させようとする。このとき、ローラ17は、右回りの回転において回転方向後ろ側となる図中左側の柱部21のポケット面24に接触する。その接触部に作用する摩擦抵抗力μ・Fは、ローラ17の自転を阻害するブレーキトルクを生む。
ここで、そのポケット面24の算術平均粗さRaの値が円筒面15の算術平均粗さRaの値よりも小さいため、そのポケット面24とローラ17の接触部における摩擦係数μは、円筒面15とローラ17の接触部における摩擦係数μよりも小さくなり、摩擦抵抗力μ・Nは、摩擦抵抗力μ・Fよりも大きくなる。このため、ローラ17は、容易に自転し、円筒面15を転がり易くなる。したがって、円筒面15との間の摩擦抵抗力μ・Nでローラ17が容易に自転させられるため、前述の引き摺りトルクが低減され、ひいては、ローラ17や円筒面15の摩耗が防止される。
このように、図1~図3に示す回転伝達装置は、クラッチ機構3のローラ17が中立位置にある状態で入力側部材1及び保持器18と共に出力側部材2の円筒面15に対して高速回転する際、前述の引き摺りトルクが低減されるので、ローラ17や円筒面15の摩耗を防止することができる。また、前述の引き摺りトルクの低減による副次的な効果として、第一実施形態に係る回転伝達装置は、入力側部材1に対する保持器18の不正回転を防止し、クラッチ機構3のミス係合の発生を防止することもできる。
この発明の第二実施形態を図4~図7に基づいて説明する。なお、以下では、第一実施形態との相違点を述べるに留める。
図4は、潤滑油の循環経路にオイルポンプを備える機械の動力伝達経路の一部として回転伝達装置100が適用された例を示す。回転伝達装置100は、機械の隔壁Wに取り付けられている。入力側部材101には、その機械に備わる出力軸(図示省略)から回転トルクが伝達される
出力側部材102の内周部103の内方にクラッチ機構104が配置されている。電磁石105は、フィールドコアにおいて隔壁Wの開口部の周囲に取り付けられている。ロータ106は、出力側部材102の内周部103に対する圧入によって出力側部材102に取り付けられている。
入力側部材101の第一端部107は、ロータ106、電磁石105の内方を通って電磁石105よりも軸方向一方側へ延びる軸部を含む。第一端部107は、その軸部において隔壁Wの開口部に挿通され、前述の機械の出力軸に連結される。第一端部107の外周とロータ106の内周との間に軸受108が配置されている。
入力側部材101の第二端部109と出力側部材102の内周部103間の軸受110は、保持器111の第二環部112と軸方向に当接し、保持器111の軸方向他方側への移動を規制する。
保持器111とアーマチュア113は、コネクティングプレート114を介して回り止めされている。コネクティングプレート114は、スイッチばね115を規制するばね保持リングを兼ねている。コネクティングプレート114は、保持器111の第一環部116の内周に嵌合された状態で、第一環部116の切欠部及びアーマチュア113の係合孔部(図示省略)に挿入されている。
このように、回転伝達装置100は、第一実施形態のハウジング、ハウジングの内周と出力側部材の外周間の軸受、入力軸とロータ間の軸受、及び保持器の第二環部を規制する止め輪が省略された簡素な構造になっている。
入力側部材101は、図4、図5に示すように、前述のオイルポンプ(図示省略)で送られる油を入力側部材101の内部に通してローラ117へ導く給油経路を有する。すなわち、入力側部材101は、第一端部107の内部を通ってローラ117、カム面118の内方に至る中心路119と、中心路119から分岐してローラ117と対向する出口路120とを有する。出口路120は、ローラ117ごとに対応して径方向に延びる。油は、中心路119から出口路120へ流入し、出口路120から対応のローラ117に向けて流出する。この油は、前述のオイルポンプの作動中、継続的に中心路119に送られる。
図5~図7に示すように、保持器111の柱部121は、周方向にローラ117と対向する位置にポケット面122から周方向に深さをもった複数の第一のポケット溝部123及び第二のポケット溝部124を有する。
第一のポケット溝部123は、保持器111の内径側に向かって尖るV字状を有する。第二のポケット溝部124は、保持器111の外径側に向かって尖る逆V字状を有する。
ここで、保持器111、カム面118が図5において右回り(矢線A方向)に回転する場合、ローラ117の自転方向は左回りになる。この場合、第一のポケット溝部123は、当該ポケット溝部123の軸方向両側の溝終端(V字両端)からローラ117の自転方向に向かって当該ポケット溝部123の軸方向中央部(V字尖端)へ油を導く形状を有することになる。
一方、保持器111、カム面118が図5において左回りに回転する場合、ローラ117の自転方向は右回りになる。この場合、第二のポケット溝部124は、当該ポケット溝部124の軸方向両側の溝終端(逆V字両端)からローラ117の自転方向に向かって当該ポケット溝部124の軸方向中央部(逆V字尖端)へ油を導く形状を有することになる。
第一のポケット溝部123は、ポケット面122の形成範囲の略全域に分布している。この分布は、軸方向及び径方向に二つ以上の第一のポケット溝部123が並ぶように配置されている。第二のポケット溝部124も、第一のポケット溝部123と同様に配置されている。また、第一のポケット溝部123と、第二のポケット溝部124は、軸方向に交互に並ぶように配置されている。
第一及び第二のポケット溝部123,124のような浅い溝部は、柱部121に対するエッチング加工、面押し加工等の適宜の方法で形成すればよい。
図4に示すクラッチ機構104が係合解除状態のとき、例えば、保持器111が入力側部材101と共に図5において右回りに回転する場合、遠心力によって円筒面125に押し付けられる中立位置のローラ117が自転させられ、出口路120から流出する油を第一及び第二のポケット溝部123,124に引き込む。ここで、各第一のポケット溝部123に引き込まれた油は、自転するローラ117に引き摺られて当該第一のポケット溝部123の軸方向両側から軸方向中央部側へ進み、やがて当該第一のポケット溝部123の軸方向中央部で合流する。この合流部分では油圧が高まってローラ117とポケット面122間に油膜が形成されるため、ローラ117とポケット面122間の摩擦係数が低減される。これにより、円筒面125との間の摩擦抵抗力でローラ117が容易に自転させられるので、ローラ117と円筒面125間の引き摺りトルクが低減され、ひいては、ローラ117や円筒面125の摩耗が防止される。なお、保持器111がカム面118と共に図5において左回りに回転する場合、第二のポケット溝部124の合流部分で油圧が高まり、ローラ117とポケット面122間の摩擦係数が低減され、やはり摩耗が防止される。
このように、回転伝達装置100は、クラッチ機構104のローラ117が中立位置にある状態で入力側部材101及び保持器111と共に出力側部材102の円筒面125に対して高速回転する際、前述の引き摺りトルクが低減されるので、ローラ117や円筒面125の摩耗を防止することができる。また、前述の引き摺りトルクの低減による副次的な効果として、回転伝達装置100は、入力側部材101に対する保持器111の不正回転を防止し、クラッチ機構104のミス係合の発生を防止することもできる。
なお、第一及び第二のポケット溝部123,124としてV字状、逆V字状を例示したが、U字状、矢線状等、他の形状に変更してもよい。要は、ローラの自転による油の引き摺りを利用して、軸方向両側の溝終端から溝中央部へ油を合流させて油圧を高める動圧発生作用により、ローラとポケット面間の油膜形成を促進することが可能であればよい。
また、ポケット面122の算術平均粗さRaの値を小さくすることは、ローラ117とポケット面122間の油膜形成に有利である。このため、第二実施形態においても、ポケット面122の算術平均粗さRaの値は、円筒面125の算術平均粗さRaの値以下にすることが好ましい。
ポケット溝部123,124を形成する場合、油膜形成の促進によってポケット面122とローラ117間の接触部における摩擦係数を小さくすることが可能なため、ポケット面122の算術平均粗さRaの値を円筒面125の算術平均粗さRaの値よりも大きくしてもよい。すなわち、ポケット溝部による摩擦低減は、ポケット面と円筒面間の算出平均粗さRaの大小関係を問わずに採用可能な技術である。
この発明の第三実施形態を図8~図9に基づいて説明する。なお、第三実施形態は、第二実施形態において出力側部材の形状のみを変更したものであるから、以下では、第二実施形態との相違点を述べるに留める。
図8、図9に示す出力側部材130は、円筒面131から径方向に深さをもって周方向に延びる複数の外方溝部132を有する。外方溝部132は、ローラ117と径方向に対向する位置にある。外方溝部132は、周方向一方側の溝終端側に最深部を有し、当該最深部から周方向他方側の溝終端まで次第に浅くなっている。すなわち、外方溝部132は、ローラ117との間に周方向一方から他方に向かって(図9において周方向の矢線A方向に向かって)次第に狭小となる楔状の空間を形成する。
外方溝部132は、ローラ117の軸方向中央部と径方向に対向する位置にだけ形成されている。これは、ローラ117の軸方向両側が均等に円筒面131に係合可能とするためである。
複数の外方溝部132は、周方向全周に連続的に形成されている。ある外方溝部132の周方向一方側の溝終端は、隣接する外方溝部132の周方向他方側の溝終端に連続する。このため、ローラ117は、周方向の殆どの位置において、いずれかの外方溝部132との間に前述の楔状の隙間を形成することになる。
図8に示すクラッチ機構104が係合解除状態のとき、保持器111が入力側部材101と共に図9において右回り(矢線A方向)に回転する場合、回転方向後ろ側である周方向一方側の柱部121がローラ117を押し、ローラ117も右回りに公転する。すなわち、ローラ117は、外方溝部132とローラ117間に形成された楔状の隙間の狭小側に向かって高速回転することになり、また、出口路120から流出した油も同時に同方向へ回転することになる。このため、ローラ117と外方溝部132との間において、油が外方溝部132の深い側から浅い側に向かって引き摺られることに伴って油圧が高まるくさび効果が生じ、ローラ117と円筒面131間に油膜が形成される。これにより、ローラ117と円筒面131間の摩擦係数を低減し、ひいては、ローラ117や円筒面131の摩耗をより防止することができる。
なお、図8、図9に示す例では、係合解除状態において入力側部材101が一方向に回転する場合に有効な外方溝部132だけを採用したが、二方向に対応するための外方溝部(すなわち周方向他方側から一方側に向かって狭小となる隙間をローラとの間に形成する外方溝部)を追加してもよい。二方向対応に変更する場合、深さ変化方向が互いに異なる外方溝部を同じ軸方向位置で周方向に交互に形成してもよいし、軸方向の異なる位置に別々に形成してもよい。
また、外方溝部は、全周で連続的に形成する必要はなく、例えば、ローラのピッチ以下のピッチで周方向の複数箇所に外方溝部を形成してもよい。
第三実施形態のように一方向対応の外方溝部のみを有する回転伝達装置は、係合解除状態のとき、入力側部材が一方向回転する時間に比して、他方向回転する時間が短い場合に適している。
今回開示された各実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,101 入力側部材
2,102,130 出力側部材
3,104 クラッチ機構
7,103 内周部
15,125,131 円筒面
16,118 カム面
17,117 ローラ
18,111 保持器
24,122 ポケット面
100 回転伝達装置
123,124 ポケット溝部
132 外方溝部

Claims (2)

  1. 入力側部材(101)と、前記入力側部材(101)の外方に配置された内周部(103)を有する出力側部材(102,130)と、前記入力側部材(101)と前記出力側部材(102,130)間で回転トルクの伝達と遮断を行うクラッチ機構(104)とを備え、
    前記クラッチ機構(104)が、前記出力側部材(102,130)の前記内周部(103)に設けられた円筒面(125,131)と、前記入力側部材(101)に設けられ前記円筒面(125,131)との間にくさび空間を形成するカム面(118)と、前記円筒面(125,131)と前記カム面(118)との間に配置されたローラ(117)と、前記ローラ(117)を保持する保持器(111)とを有し、
    前記保持器(111)が、周方向に前記ローラ(117)と当接可能なポケット面(122)を有し、前記ローラ(117)が、前記カム面(118)に対する前記保持器(111)の相対回転によって前記円筒面(125,131)及び前記カム面(118)に係合する係合位置と、当該係合を解除する中立位置との間を移動可能に配置されている回転伝達装置において、
    前記保持器(111)が、周方向に前記ローラ(117)と対向する位置に前記ポケット面(122)から深さをもった複数のポケット溝部(123,124)を有し、前記ポケット溝部(123,124)が、当該ポケット溝部(123,124)の軸方向両側の溝終端から前記ローラ(117)の自転方向に向かって当該ポケット溝部(123,124)の軸方向中央部へ油を導く形状を有することを特徴とする回転伝達装置。
  2. 前記出力側部材(130)が、前記円筒面(131)から深さをもちかつ前記ローラ(
    117)との間に周方向に向かって次第に狭小となる隙間を形成する外方溝部(132)を有する請求項に記載の回転伝達装置。
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