JP7046428B2 - 硬質表面用液体洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
特許文献1には特定のアミンオキシド型界面活性剤とソルビタン脂肪酸エステルを特定の比率で含有する洗浄剤組成物が記載されているが、変性油汚れに対して優れた洗浄効果を有することを示唆するものではない。
本願明細書において、変性油とは、熱、日光、空気中の酸素等の作用により変質した油性分を含むものをいう。また熱変性油とは、熱により変性した油であり、熱により酸化した油成分を含むものをいう。
(a)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比(a)/(b)が、0.4以上である、
硬質表面用液体洗浄剤組成物に関する。
熱変性油は、熱による油の酸化により油成分の一部が極性基に変化した油成分、2量化、3量化した油成分、また酸化反応が逐次的に進んだ高分子量の油成分を含んでいると考えられるため粘性が高く、この粘性の高い熱変性油を除去するには、この熱変性油に界面活性剤が浸透するとともに、界面活性剤により油を乳化あるいは可溶化させることが必要であると考えられる。
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物が、変性油、特に熱変性油を含む油汚れの洗浄力に優れる理由は必ずしも定かではないが、本発明の(a)成分と(b)成分の両方を用いることで、熱変性油に浸透し易くなり、効果的に熱変性油を乳化等させることができるため、高い洗浄効果が得られたものと推定される。
本発明の(a)成分は、炭素数13以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1つ有するアミンオキサイド型界面活性剤である。
(a)成分は、洗浄力の観点から、炭素数13以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を1つ有するアミンオキサイドが好ましく、炭素数13以上18以下のアルキル基を1つ有するアミンオキサイドがより好ましく、炭素数13以上16以下のアルキル基を1つ有するアミンオキサイドが更に好ましく、炭素数14のアルキル基を1つ有するアミンオキサイドがより更に好ましい。
また、q=1かつp=1であり、Dが-NHC(=O)-基の場合、もしくはq=0かつp=0の場合、R1aは、洗浄力の観点から、好ましくは炭素数14以上18以下のアルキル基であり、より好ましくは炭素数14以上16以下のアルキル基、更に好ましくは炭素数14のアルキル基である。
R2a及びR3aは、洗浄力の観点から、好ましくは炭素数1のメチル基である。
q及びpは、洗浄力の観点から、好ましくはq=0かつp=0である。
(1)ミリスチルジメチルアミンオキサイド、ステアリルジメチルアミンオキサイド、オレイルジメチルアミンオキサイド等のアルキル(炭素数14以上18以下)ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミンオキサイド又はアルケニル(炭素数14以上18以下)ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミンオキサイド、
(2)ミリスチル酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド等の脂肪酸(炭素数14以上18以下)アミドプロピルジアルキル(炭素数1以上3以下)アミンオキサイド
が挙げられ、洗浄力の観点から(1)アルキル(炭素数14以上18以下)ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミンオキサイド又はアルケニル(炭素数14以上18以下)ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミンオキサイドがより好ましい。
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物において、(a)成分の含有量は、炭素数が8以上24以下であるアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1つ有するアミンオキサイド中、洗浄力の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下であり、また100質量%であってもよい。ここで、前記炭素数が8以上24以下であるアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1つ有するアミンオキサイドは、前述の一般式(a1)において、R1aが炭素数8以上24以下のアルキル基又はアルケニル基であることを除いて、同じ構造であることが好ましい。
本発明の(b)成分は、脂肪酸残基の炭素数が10以上18以下であるソルビタン脂肪酸エステルである。
本発明において、脂肪酸残基は、原料脂肪酸のカルボキシル基のOHを除いたものをいう。
脂肪酸残基の原料脂肪酸としては、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、及びカプリン酸から選ばれる1種以上が挙げられ、洗浄力の観点から、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、及びラウリン酸から選ばれる1種以上が好ましく、オレイン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸から選ばれる1種以上がより好ましく、オレイン酸、及びステアリン酸から選ばれる1種以上は更に好ましい。また脂肪酸残基の原料脂肪酸は、パーム油、オリーブ油などの植物油、牛脂、豚脂などの動物油由来の混合脂肪酸であっても差し支えない。
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物において、脂肪酸残基の炭素数が8以上24以下であるソルビタン脂肪酸エステル中、(b)成分の含有量は、洗浄力の観点から、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下であり、また100質量%であってもよい。
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物中、(a)成分及び(b)成分以外の界面活性剤の含有量は、洗浄力の観点から、好ましくは5質量%未満、より好ましくは3質量%未満、更に好ましくは1質量%未満である。
すなわち本発明は、界面活性剤、及び水を含有する硬質表面用液体洗浄剤組成物であって、界面活性剤として、(a)成分と(b)成分を含有し、界面活性剤中、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量との合計含有量が、50質量%以上である、硬質表面用液体洗浄剤組成物であってもよい。
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(a)成分、(b)成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、アクリル酸-マレイン酸共重合体又はその塩、メタクリル酸-マレイン酸共重合体又はその塩、及びジイソブチレン-マレイン酸共重合体又はその塩等の汚れの再付着防止剤;EDTA,MGDA、クエン酸等のキレート剤;溶剤、ハイドロトロープ剤、分散剤、pH調整剤、増粘剤、粘度調整剤、香料、着色剤、酸化防止剤、防腐剤、漂白剤、漂白活性化剤などの他の成分を配合することができる。
「食品加工設備及び/又は調理設備」とは、食品加工工場において、食品を加工する際及び/又は調理する際に用いられる機器及び設備を意味する。かかる機器としては、例えば、パイプ、部品、コンベアベルトやフライヤー、フリーザー、スライサー、精米機等の食品製造又は調理機器が挙げられる。また、かかる設備としては、例えば、床、壁、作業台などが挙げられる。
具体的には、本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、好ましくは硬質物品の硬質表面への塗布用洗浄剤、より好ましくは食品加工設備又は調理設備の硬質表面への塗布用洗浄剤である。
また、具体的には、本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、好ましくは硬質物品の硬質表面への噴霧用洗浄剤、より好ましくは食品加工設備又は調理設備の硬質表面への噴霧用洗浄剤である。
台所周りの硬質物品は、台所の周辺で使用される物品であり、具体的には、
(1)冷蔵庫、食器棚などの食品、食器、調理器具の保存場所、
(2)排水溝、調理台、レンジフード、シンク、ガスレンジ、電子レンジなどの食品の調理場所、及び
(3)その周辺の床や壁、及び食堂、ダイニング周辺の食卓、床、壁、畳、柱、スリッパ等
である。本発明では、これらを便宜上「台所周りの硬質物品」とする。
また、本発明の洗浄対象である硬質表面、更に台所周りの硬質表面は、プラスチック(シリコーン樹脂などを含む)、金属、陶器、木、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
本発明の硬質表面の洗浄方法は、本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物を用いて、該組成物を硬質表面に接触させて洗浄する、硬質表面の洗浄方法である。
該組成物の好ましい態様は、前記した本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物と同じである。
具体的には、前記硬質表面用液体洗浄剤組成物を、原液で、硬質表面に接触させる、又は前記硬質表面用液体洗浄剤組成物を、原液で、希釈せずに硬質表面に接触させる、つまり、前記硬質表面用液体洗浄剤組成物を、希釈することなく、硬質表面に接触させる洗浄方法が好ましく挙げられる。更に、前記硬質表面用液体洗浄剤組成物を、希釈することなく、変性油、特に熱変性油を含む油汚れが付着した硬質表面に接触させる洗浄方法が挙げられる。
機械力をかけずに放置するとは、例えば、組成物の接触以外に、洗浄のための意図的な操作を行わないことである。例えば、接触させた組成物が硬質表面を自然に流下することや、洗浄を意図しない振動が硬質表面に伝わることなどは、機械力をかけずに放置すると理解できる。
放置した後は、通常、水ですすぐ。すすぐ際は、手などで機械力(物理的力)を掛けてもよく、単に水流ですすいでもよい。
なお、放置する際の温度は、室温でよく、例えば、10℃以上30℃以下が挙げられる。
前記硬質表面用液体洗浄剤組成物を、油汚れ等が付着した硬質表面に接触させる方法は、噴霧又は塗布が好ましく、液滴状にして噴霧する又は泡状にして塗布する方法が好ましい。具体的には、スプレー手段を用いる。すなわち本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物を、スプレイヤーを具備する容器に充填してなる硬質表面用洗浄剤物品を用いるのが好ましい。本発明は、本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物を、スプレイヤーを具備する容器に充填してなる、スプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品を提供する。
液滴状に噴霧する機構を備えたトリガー式スプレーを用いる場合、本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品は、1回の操作で、好ましくは0.1mL以上、より好ましくは0.3mL以上、そして、好ましくは5mL以下、より好ましくは2mL以下の組成物を噴霧する。
硬質物品、及び食品加工設備及び/又は調理設備は、前述のものが挙げられる。
本発明の硬質表面の洗浄方法の対象とする硬質表面の材質は、プラスチック(シリコーン樹脂などを含む)、金属、陶器、木、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
そして、本発明の硬質表面の洗浄方法は、これら硬質表面に付着した変性油、特に熱変性油を含む油汚れを効果的に洗浄することができる。
本発明の硬質表面の洗浄方法は、前記硬質表面用液体洗浄剤組成物を接触させた硬質表面を、水で濯ぐ工程、好ましくは前記硬質表面用液体洗浄剤組成物を接触させた硬質表面を、放置後、水で濯ぐ工程を含むことができる。
(a)成分
・ミリスチルジメチルアミンオキシド:アンヒトール40N(花王(株)製)、一般式(a1)において、R1aがミリスチル基、R2a、R3aがメチル基、q=0かつp=0の化合物
・ラウリルジメチルアミンオキサイド:アンヒトール20N(花王(株)製)、一般式(a1)において、R1aがラウリル基、R2a、R3aがメチル基、q=0かつp=0の化合物
・ソルビタントリオレエート:レオドール SP-O30V(花王(株)製)
・ソルビタンモノステアレート:レオドール SP-S10V(花王(株)製)
・ソルビタンモノパルミテート:レオドール SP-P10(花王(株)製)
・ソルビタンモノラウレート:レオドール SP-L10(花王(株)製)
ナタネ油(和光純薬工業(株)製)を180℃で8時間静置して加熱することにより熱変性油を調製した。各熱変性油を、予め下4桁の電子天秤を用いて秤量したテストピース(エンジニアリングテストサービス社製、SUS304、1mm×25mm×70mm)(x)に約1mg/cm2塗布した後、下4桁天秤を用いて秤量した(y)。
以下の式で洗浄率を求めた。8時間加熱した熱変性油を塗布した場合の洗浄率の結果を表1に示す。
洗浄率(%)={(y)-(z)}/{(y)-(x)}×100
Claims (8)
- (a)下記一般式(a1)で表されるアミンオキサイド型界面活性剤[以下、(a)成分という]、(b)脂肪酸残基の炭素数が10以上18以下であるソルビタン脂肪酸エステル[以下、(b)成分という]、及び水を含有する硬質表面用液体洗浄剤組成物であって、
(a)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比(a)/(b)が、0.4以上であって、
(a)成分及び(b)成分以外の界面活性剤の含有量が5質量%未満である、
硬質表面用液体洗浄剤組成物。
〔式中、R 1a は炭素数13以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を示し、R 2a 及びR 3a は、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基を示す。Dは-NHC(=O)-基又は-C(=O)NH-基を示し、Eは炭素数1以上5以下のアルキレン基を示す。q及びpは、q=0かつp=0又はq=1かつp=1を示す。〕 - (a)下記一般式(a1)で表されるアミンオキサイド型界面活性剤[以下、(a)成分という]、(b)脂肪酸残基の炭素数が10以上18以下であるソルビタン脂肪酸エステル[以下、(b)成分という]、及び水を含有する硬質表面用液体洗浄剤組成物であって、
(a)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比(a)/(b)が、0.4以上であって、
全界面活性剤中、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量との合計含有量が、50質量%以上100質量%以下である、
硬質表面用液体洗浄剤組成物。
〔式中、R 1a は炭素数13以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を示し、R 2a 及びR 3a は、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基を示す。Dは-NHC(=O)-基又は-C(=O)NH-基を示し、Eは炭素数1以上5以下のアルキレン基を示す。q及びpは、q=0かつp=0又はq=1かつp=1を示す。〕 - (a)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比(a)/(b)が、0.7以上20以下である、請求項1又は2に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
- (a)成分の含有量と(b)成分の含有量との合計含有量が、0.02質量%以上40質量%以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
- (b)成分の脂肪酸残基の炭素数が18である、請求項1~4の何れか1項に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
- 25℃におけるpHが5以上9以下である、請求項1~5の何れか1項に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
- 食品加工設備又は調理設備用である、請求項1~6の何れか1項に記載の硬質表面用液体洗浄剤組成物。
- 請求項1~7の何れか1項に記載の洗浄剤組成物を、変性油を含む油汚れが付着した硬質表面に接触させる、硬質表面の洗浄方法。
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