JP7045226B2 - 電車線路用架線の可動支持装置及びこれを用いた線路切替工法 - Google Patents
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Description
既存軌道上の可動ブラケット等の支持設備から取り外した架線をそれの隣接位置で別の架線支持装置に移し替え、軌道作業に支障しない遠隔位置からの操作によって、上下、左右に移動させ、新設軌道上の適正位置に配置できれば、既存軌道の撤去作業、新設軌道の設置作業の完了前に、架線の位置決め作業ができるため、間合いの拡大をせず、所定の夜間の作業間合い内で作業が完了できる。しかし、従来、そのような架線支持設備はなかった。
一方、既設線路区域の片側に隣接して、土木工事を行う際、工事の妨げとならないように既設線路区域の架線を反対側へ退避させる架線の側方退避装置が特許文献1に記載されている。この装置は、既設線路区域とそれに隣接する工事区域とを横断して上方空間に配置され両端を柱に支持されたビームと、ビーム下面へ平行に固着され柱附近から所要の長さ伸長するレールと、柱の下部に定置されたウインチと、ウインチのプーリから立上がりレールの両端のプーリに掛け回されたエンドレスワイヤと、レールに沿い進退可能でエンドレスワイヤの一部に係止された移送車と、碍子を介し移送車から懸垂された架線とから成る。
また、車高の異なる2種以上の電車を同じ軌道上で、牽引車両なしで走行させることができるように、車高に合わせて架線を上下の異なる高さ位置で支持する電車線支持装置が特許文献2に記載されている。この装置は、垂直に立設された支柱と、この支柱に昇降自在に係合し支持部材を介して架線を支持する昇降部材と、この昇降部材を昇降させる駆動手段とを具備する。昇降部材で、高さの異なる所定の上下位置において架線を支持する。昇降部材は、支柱に沿って上下方向に伸びるように設けられたガイドレールに昇降自在に係合しており、そこから軌道側へ張り出す可動ブラケットや、これに支持される曲引き金具等の支持部材を介して架線を支持する。支柱に取り付けられたモータと、このモータと昇降部材とをつなぐチェーン伝動機構により昇降部材が昇降する。
したがって、本発明は、既存軌道上から取り外した架線を容易に移し替えることができ、この架線を適時に、軌道作業に支障しない遠隔位置からの操作で上下、左右に移動させ、使用に耐える適正位置へ配置できる架線支持装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するための、本発明の架線支持装置は、軌道を移設するための軌道作業と、それの上方に架設される吊架線M、トロリ線T等の架線を移設する架線作業とを含む線路切替工事箇所に設置されるもので、既設軌道R1上から取り外した架線M,Tを支持すると共に、軌道作業の進行中、あるいはその完了後の適時に、架線M,Tを所望の位置へ移動する装置である。この架線支持装置は、線路切替工事箇所の上方に、軌道R1,R2をその延長方向左右に横断するように水平に架設されるビームBと、ビームB上に水平方向左右及び垂直方向上下に移動自在に支持される垂直伸縮ブーム7、屈曲アーム11のような可動支持部材13とを具備する。可動支持部材13は、架線M,Tを吊支し、油圧シリンダ4のような水平駆動手段と油圧シリンダ8のような垂直駆動手段により、地上からの遠隔制御で水平方向、垂直方向に移動し、架線M,Tを新設軌道R2上の適正位置に配置して支持する。
図1において、既存軌道R1の工事箇所と新設軌道R2の工事箇所とを軌道の延長方向左右に横切ってビームBが水平に配置され、その両端は支柱Pに支えられている。吊架線(き電吊架線を含む)M及びトロリ線Tは、それぞれ軌道R1、R2の上方をビームBと直角に伸長する。軌道R1上の吊架線M及びトロリ線Tは、ビームB上の支持フレーム1に支持された、水平方向左右及び垂直方向上下に移動自在の可動支持部材13に支持される。
以上、単一の架線支持装置に注目して説明したが、線路切替工事箇所の延線方向の距離に応じて、この架線支持装置を延線方向に所定間隔を置いて複数設置して工事を行うことができる。
1a レール材
2 取り付け金具
3 ブラケット
4 水平油圧シリンダ
4a ピストンロッド
5 油圧ポンプユニット
6 水平移動部材
7 垂直伸縮ブーム
7a 基本ブーム
7b 第2ブーム
7c 第3ブーム
7d ブラケット
7e ブラケット
7f 引き手
8 垂直油圧シリンダ
8a ピストンロッド
8 垂直油圧シリンダ
9 接続部材
10 吊架線支持部材
11 屈曲アーム
11a 水平部
11b 垂直部
12 トロリ線引き止め部材
13 可動支持部材
B ビーム
P 柱
R1 既設軌道
R2 新設軌道
M 吊架線(き電吊架線)
T トロリ線
Claims (4)
- 軌道を移設する軌道作業と架線を移設する架線作業とを含む線路切替工事箇所において、前記軌道作業に支障しない位置で前記架線を支持すると共に、前記軌道作業の進行中及び又は完了後に前記架線を適正な移設位置へ移動する装置であって、
前記線路切替工事箇所の上方に、前記軌道をその延長方向左右に横断するように水平に架設されるビームと、
前記ビーム上に水平方向左右及び垂直方向上下に移動自在に支持され、前記架線を吊支する可動支持部材と、
地上からの遠隔制御で前記可動支持部材を水平方向に移動させる水平駆動手段と、
地上からの遠隔制御で前記可動支持部材を垂直方向に移動させる垂直駆動手段とを具備することを特徴とする電車線路用架線の可動支持装置。 - 前記ビーム上に固定される支持フレームと、
前記支持フレーム上に、左右方向に水平に移動自在に支持される水平移動部材と、
前記支持フレーム上に支持され、地上からの遠隔制御で前記水平移動部材を移動させる前記水平駆動手段と、
前記水平移動部材に垂直方向に移動自在に支持される垂直移動部材と、
前記水平移動部材に支持され、地上からの遠隔制御で前記垂直移動部材を移動させる前記垂直駆動手段とを具備し、
前記可動支持部材が、前記垂直移動部材に支持されることを特徴とする請求項1に記載の電車線路用架線の可動支持装置。 - 前記支持フレーム上に左右方向に水平に延びるように固定され、地上から遠隔で作動油の送排油が制御される水平油圧シリンダと、
前記水平油圧シリンダのピストンロッドに結合され前記支持フレーム上に左右方向に水平に移動自在に支持される前記水平移動部材と、
上部において前記水平移動部材に固定され、垂直方向に下方へ伸縮自在の垂直伸縮ブームと、
前記水平移動部材に垂直方向に延びるように固定され、ピストンロッドが前記垂直伸縮ブームの下端部に連結され、地上から遠隔で作動油の送排油が制御される垂直油圧シリンダと、
前記垂直伸縮ブームの下端部に係止され、当該垂直伸縮ブームの下方位置において前記架線のうち吊架線を吊支する吊架線吊支部材と、
基端側が前記垂直伸縮ブームの下端部の左右いずれかの側面に選択的に結合可能に構成され、前記垂直伸縮ブームの側方へ水平に延出する水平部と当該水平部の先端から屈曲して垂直下方へ延びる垂直部とを具備する屈曲アームと、
前記屈曲アームの垂直部に係止され、前記吊架線の垂直下方位置において前記架線のうちトロリ線を把持するトロリ線引き止め部材とを具備することを特徴とする請求項2に記載の電車線路用架線の可動支持装置。 - 既設の前記軌道の上方に架設されている前記架線の支持を外す工程と、
支持を外された前記架線を前記可動支持部材に支持する工程と、
前記軌道作業の進行中及び又は完了後、地上の遠隔位置から前記水平駆動手段と前記垂直駆動手段を制御し、前記可動支持部材を上下左右に移動させることによって、当該可動支持部材に支持された前記架線を新設の前記軌道上の適正位置に配置する工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の架線支持装置を用いた線路切替工事方法。
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