JP7044780B2 - 樹脂膜形成用フィルム及び樹脂膜形成用複合シート - Google Patents
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Description
本願は、2017年7月6日に、日本に出願された特願2017-132980号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
これに対して、樹脂膜形成用フィルムの使用対象となる半導体チップとしては、回路面に電極であるバンプを備えたものと、備えていないものが挙げられる。
一方、回路面にバンプを備えた半導体チップは、バンプによって、基板の回路形成面にフリップチップ接続される。しかし、この場合の半導体チップは、そのままでは、その裏面が剥き出しとなるため、この裏面には、通常、前記樹脂膜として保護膜を備える。すなわち、この場合の樹脂膜は保護膜であり、樹脂膜形成用フィルムは保護膜形成用フィルムである。
本発明の樹脂膜形成用フィルムは、充填材を含有し、前記樹脂膜形成用フィルムにおいて、前記樹脂膜形成用フィルムの総質量に対する、前記充填材の含有量の割合が、25~75質量%であってもよい。
本発明は、支持シートを備え、前記支持シート上に、樹脂膜形成用フィルムを備えてなり、前記樹脂膜形成用フィルムが、上述の本発明の樹脂膜形成用フィルムである、樹脂膜形成用複合シートを提供する。
本発明の樹脂膜形成用フィルムは、前記フィルムから作製した下記第1試験片の吸水率が0.55%以下となり、かつ、前記フィルムから作製した下記第2試験片の粘着力変化率が60%以下となるものである。
前記樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合、第1試験片は、複数枚の前記樹脂膜形成用フィルムが積層されてなり、大きさが50mm×50mm、厚さが200μmの第1積層体である。前記樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合、第1試験片は、前記第1積層体をエネルギー線硬化させた第1硬化物である。
前記樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合、第2試験片は、前記樹脂膜形成用フィルムがシリコンミラーウエハに貼付されてなる第2積層体であり、前記樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合、第2試験片は、前記第2積層体中の前記樹脂膜形成用フィルムをエネルギー線硬化させて第2硬化物とした後の硬化済み第2積層体である。
第1試験片の吸水率(%)は、式「(WB-WA)/WA×100」により算出する。ここで、WAは純水中へ浸漬する前の第1試験片の質量であり、WBはWAを測定した第1試験片を純水中に2時間浸漬した後の第1試験片の質量である。
樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合、第2試験片の粘着力変化率(%)は、式「(|PB2-PA2|)/PA2×100」により算出する。ここで、PA2は、第2試験片を、温度23℃、相対湿度50%の環境下で30分静置して経時させたときの、第2試験片中の樹脂膜形成用フィルムとシリコンミラーウエハとの間の粘着力(経時後粘着力)である。また、PB2は、この経時後の第2試験片を、純水中に2時間浸漬したときの、この浸漬後の第2試験片中の樹脂膜形成用フィルムとシリコンミラーウエハとの間の粘着力(浸漬後粘着力)である。
一方、樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合、第2試験片の粘着力変化率(%)は、式「(|PB1-PA1|)/PA1×100」により算出する。ここで、PA1は、第2試験片を、温度23℃、相対湿度50%の環境下で30分静置して経時させたときの、第2試験片中の第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間の粘着力(経時後粘着力)である。また、PB1は、この経時後の第2試験片を、純水中に2時間浸漬したときの、この浸漬後の第2試験片中の第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間の粘着力(浸漬後粘着力)である。
上述の吸水率及び粘着力変化率については、後ほど、より詳しく説明する。
一方、半導体チップが回路面にバンプを備えている場合であれば、このような半導体チップは、バンプによって基板の回路形成面にフリップチップ接続されるのであり、半導体チップの裏面は、そのままでは剥き出しとなる。このような半導体チップに対して用いる場合の前記樹脂膜形成用フィルムとしては保護膜形成用フィルムが挙げられ、前記樹脂膜としては、前記裏面を保護するための保護膜が挙げられる。
すなわち、本発明の樹脂膜形成用フィルムは、前記フィルム状接着剤又は保護膜の形成用として、用いることができる。
本発明の樹脂膜形成用フィルムは、上述のとおり、前記吸水率及び粘着力変化率の条件をともに満たしている。このような樹脂膜形成用フィルムを用いることにより、ブレードダイシング後に、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを、支持シートからピックアップするときにおいて、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存を抑制できる。本発明の樹脂膜形成用フィルムが、このような優れたピックアップ適性を示す理由は定かではないが、以下のように推測される。
このような問題点は、樹脂膜形成用フィルムで顕著であるが、樹脂膜であっても、完全に硬化していないものなど、硬化度の低いものでも顕著である。例えば、後述するような、エネルギー線硬化性及び熱硬化性をともに有する樹脂膜形成用フィルムのエネルギー線照射による硬化物(エネルギー線硬化物)では、上述の問題点が認められる。
また、本明細書において、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を意味し、「非エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射しても硬化しない性質を意味する。
硬化性の樹脂膜形成用フィルムは、熱硬化性及びエネルギー線硬化性のいずれであってもよく、熱硬化性及びエネルギー線硬化性の両方の特性を有していてもよい。
前記樹脂膜形成用フィルムは、その構成材料を含有する樹脂膜形成用組成物を用いて形成できる。
なお、本明細書において、「非硬化性」とは、加熱やエネルギー線の照射等、如何なる手段によっても、硬化しない性質を意味する。
前記樹脂膜形成用フィルムは、第1試験片を純水中に2時間浸漬したとき、前記第1試験片の吸水率が0.55%以下となる。なお、本明細書において、吸水率の単位「%」は、すべて「質量%」を意味する。以下に、第1試験片の吸水率について、詳しく説明する。
樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合、第1試験片とは、前記第1積層体にエネルギー線を照射して、第1積層体をエネルギー線硬化させた第1硬化物である。
樹脂膜形成用フィルムが熱硬化性である場合、この樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性及び非エネルギー線硬化性のいずれであるかによらず、前記第1積層体及び第1硬化物は、いずれも熱硬化していないことが好ましい。
複数枚の前記樹脂膜形成用フィルムの厚さは、すべて同じであってもよいし、すべて異なっていてもよいし、一部のみ同じであってもよいが、すべて同じであることが好ましい。
樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合には、作製した第1積層体に、さらにエネルギー線を照射して、第1積層体中のすべての樹脂膜形成用フィルムをエネルギー線硬化させて、得られた第1硬化物を第1試験片として用いる。
通常、第1積層体の硬化時における、エネルギー線の照度は、120~280mW/cm2であることが好ましく、エネルギー線の光量は、100~1000mJ/cm2であることが好ましい。
そして、これらWA及びWBの値を用いて、式「(WB-WA)/WA×100」により、第1試験片の吸水率(%)を算出する。
前記樹脂膜形成用フィルムは、第1試験片の吸水率が上述の条件を満たすとともに、さらに、第2試験片の粘着力変化率が60%以下となるものである。以下に、第2試験片の粘着力変化率について、詳しく説明する。この粘着力変化率は、第2試験片を特定条件下で純水中に浸漬した前後での、粘着力の変化の度合いを示す。
樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合、第2試験片とは、前記第2積層体中の樹脂膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して、樹脂膜形成用フィルムをエネルギー線硬化させて第2硬化物とした後の、硬化済み第2積層体(すなわち、第2積層体の硬化物)である。
樹脂膜形成用フィルムが熱硬化性である場合、この樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性及び非エネルギー線硬化性のいずれであるかによらず、前記第2積層体及び第2硬化物は、いずれも熱硬化していないことが好ましい。
シリコンミラーウエハの厚さは、350~760μmであることが好ましい。このようにすることで、後述する粘着力をより高精度に測定できる。
ただし、シリコンミラーウエハとの間の粘着力の測定対象である(換言すると、シリコンミラーウエハから剥離させる)樹脂膜形成用フィルムの幅は、25mmであることが好ましい。前記測定対象である樹脂膜形成用フィルムの長さは、粘着力を高精度に測定できる限り特に限定されないが、150~250mmであることが好ましい。前記経時後粘着力(後述する浸漬前粘着力)の測定対象である樹脂膜形成用フィルムの大きさと、前記浸漬後粘着力の測定対象である樹脂膜形成用フィルムの大きさは、同じとする。
樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合には、作製した第2積層体中の樹脂膜形成用フィルムに、このフィルムのシリコンミラーウエハを備えている側とは反対側から、さらにエネルギー線を照射して、第2積層体中の樹脂膜形成用フィルムをエネルギー線硬化させて、第2硬化物とした後の硬化済み第2積層体(すなわち、樹脂膜形成用フィルムの硬化物を備えたシリコンミラーウエハ)を、第2試験片として用いる。
通常、前記第2硬化物の作製時における、エネルギー線の照度及び光量は、いずれも、上述の第1積層体の硬化時における、エネルギー線の照度及び光量と同じとすることができる。
樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合には、第2試験片の粘着力変化率を求めるためには、まず、第2試験片を、温度23℃、相対湿度50%の環境下で30分静置して経時させる。次いで、この経時後の第2試験片において、23℃の環境下で、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間の経時後粘着力(本明細書においては「浸漬前粘着力」と称することもある)PA1を測定する。このとき、作製後の第2試験片が、明確な特性変化を示していない状態で、経時後粘着力PA1を測定することが好ましい。このようにすることで、後述する粘着力変化率をより高精度に求められる。
1個の同一の第2試験片において、経時後粘着力PA1及び浸漬後粘着力PB1を順次測定する場合には、例えば、1個の同一の第2試験片における、互いに異なる箇所で、経時後粘着力PA1及び浸漬後粘着力PB1を別々に測定すればよい。
例えば、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間で界面破壊が生じている場合であれば、上述の「2面の剥離面の為す角度」とは、「第2硬化物のシリコンミラーウエハへの貼付面と、シリコンミラーウエハの第2硬化物への貼付面と、の為す角度」である。第2硬化物中で凝集破壊が生じている場合であれば、上述の「2面の剥離面の為す角度」とは、「第2硬化物における凝集破壊面2面の為す角度」である。
すなわち、浸漬後粘着力PB1の測定時には、上述の経時後の第2試験片を純水中に2時間浸漬した後、第2試験片において第2硬化物を引き剥がしたときに生じる2面の剥離面の為す角度が180°となるように、剥離速度300mm/minで第2硬化物を引き剥がす、いわゆる180°剥離を行う。そして、このときの剥離力(mN/25mm)を測定して、この値を浸漬後粘着力PB1とすることができる。
ここで、「2面の剥離面の為す角度」とは、上述の経時後粘着力PA1の測定時の場合と同様である。
樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合には、第2積層体をそのまま第2試験片として用いる(換言すると、シリコンミラーウエハとの間の粘着力の測定対象が、第2硬化物ではなく、樹脂膜形成用フィルムである)点以外は、上述の樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合と同様の方法で、第2試験片の粘着力変化率(%)を求められる。
より具体的には、以下のとおりである。
1個の同一の第2試験片において、経時後粘着力PA2及び浸漬後粘着力PB2を順次測定する場合には、例えば、1個の同一の第2試験片における、互いに異なる箇所で、経時後粘着力PA2及び浸漬後粘着力PB2を別々に測定すればよい。
例えば、樹脂膜形成用フィルムとシリコンミラーウエハとの間で界面破壊が生じている場合であれば、上述の「2面の剥離面の為す角度」とは、「樹脂膜形成用フィルムのシリコンミラーウエハへの貼付面と、シリコンミラーウエハの樹脂膜形成用フィルムへの貼付面と、の為す角度」である。樹脂膜形成用フィルム中で凝集破壊が生じている場合であれば、上述の「2面の剥離面の為す角度」とは、「樹脂膜形成用フィルムにおける凝集破壊面2面の為す角度」である。
すなわち、浸漬後粘着力PB2の測定時には、上述の経時後の第2試験片を純水中に2時間浸漬した後、第2試験片において樹脂膜形成用フィルムを引き剥がしたときに生じる2面の剥離面の為す角度が180°となるように、剥離速度300mm/minで樹脂膜形成用フィルムを引き剥がす、いわゆる180°剥離を行う。そして、このときの剥離力(mN/25mm)を測定して、この値を浸漬後粘着力PB2とすることができる。
ここで、「2面の剥離面の為す角度」とは、上述の経時後粘着力PA2の測定時の場合と同様である。
前記樹脂膜形成用フィルムは、第3試験片を純水中に2時間浸漬したとき、JIS K 7127に準拠した引張試験で、試験速度を200mm/minとして測定された、浸漬後の前記第3試験片のヤング率が、15MPa以上となるものが好ましい。
樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合、第3試験片とは、前記第3積層体にエネルギー線を照射して、第3積層体をエネルギー線硬化させた第3硬化物である。
樹脂膜形成用フィルムが熱硬化性である場合、この樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性及び非エネルギー線硬化性のいずれであるかによらず、前記第3積層体及び第3硬化物は、いずれも熱硬化していないことが好ましい。
複数枚の前記樹脂膜形成用フィルムの厚さは、すべて同じであってもよいし、すべて異なっていてもよいし、一部のみ同じであってもよいが、すべて同じであることが好ましい。
樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合には、作製した第3積層体に、さらにエネルギー線を照射して、第3積層体中のすべての樹脂膜形成用フィルムをエネルギー線硬化させて、得られた第3硬化物を第3試験片として用いる。
通常、前記第3硬化物の作製時における、エネルギー線の照度及び光量は、いずれも、上述の第1積層体の硬化時における、エネルギー線の照度及び光量と同様とすることができる。
本発明においては、JIS K 7127に準拠した引張試験で、試験速度を200mm/minとして測定された、純水中に浸漬する前の第3試験片のヤング率は、20~200MPaであることが好ましく、30~190MPaであることがより好ましく、40~180MPaであることが特に好ましい。浸漬前の第3試験片の前記ヤング率がこのような範囲であることで、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存を抑制する効果がより高くなる。
前記樹脂膜形成用フィルムは、第3試験片を純水中に2時間浸漬したとき、JIS K 7127に準拠した引張試験で、試験速度を200mm/minとして測定された、浸漬後の前記第3試験片の破断伸度が、15~410%となるものが好ましく、20~390%となるものがより好ましい。浸漬後の第3試験片の破断伸度がこのような範囲であることで、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存を抑制する効果がより高くなる。
第3試験片の破断伸度は、上述の第3試験片のヤング率の測定時に、第3試験片が破断したときの第3試験片の伸びから求められる。これは、第3試験片を純水中に浸漬する前及び浸漬した後のいずれにおいても同様である。
本発明においては、JIS K 7127に準拠した引張試験で、試験速度を200mm/minとして測定された、純水中に浸漬する前の第3試験片の破断伸度は、20~550%であることが好ましく、25~500%であることがより好ましい。浸漬前の第3試験片の破断伸度がこのような範囲であることで、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存を抑制する効果がより高くなる。
前記樹脂膜形成用フィルムは、第3試験片を純水中に2時間浸漬したとき、JIS K 7127に準拠した引張試験で、試験速度を200mm/minとして測定された、浸漬後の前記第3試験片の破断応力が、0.8~7MPaとなるものが好ましく、0.8~5.5MPaとなるものがより好ましい。浸漬後の第3試験片の破断応力がこのような範囲であることで、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存を抑制する効果がより高くなる。
第3試験片の破断応力は、上述の第3試験片のヤング率の測定時に、第3試験片が破断したときに第3試験片に加えられていた力から求められる。これは、第3試験片を純水中に浸漬する前及び浸漬した後のいずれにおいても同様である。
本発明においては、JIS K 7127に準拠した引張試験で、試験速度を200mm/minとして測定された、純水中に浸漬する前の第3試験片の破断応力は、1.1~8MPaであることが好ましく、1.1~6.5MPaであることがより好ましい。浸漬前の第3試験片の破断応力がこのような範囲であることで、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存を抑制する効果がより高くなる。
好ましい熱硬化性樹脂膜形成用フィルムとしては、例えば、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有するものが挙げられ、重合体成分(A)、熱硬化性成分(B)及び充填材(D)を含有するものがより好ましい。重合体成分(A)は、重合性化合物が重合反応して形成されたとみなせる成分である。また、熱硬化性成分(B)は、熱を反応のトリガーとして、硬化(重合)反応し得る成分である。なお、本発明において重合反応には、重縮合反応も含まれる。
ここで、「熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さ」とは、熱硬化性樹脂膜形成用フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さとは、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
例えば、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの熱硬化時の加熱温度は、100~200℃であることが好ましく、110~180℃であることがより好ましく、120~170℃であることが特に好ましい。そして、前記硬化時の加熱時間は、0.5~5時間であることが好ましく、0.5~3時間であることがより好ましく、1~2時間であることが特に好ましい。
熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、その構成材料を含有する熱硬化性樹脂膜形成用組成物を用いて形成できる。例えば、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの形成対象面に熱硬化性樹脂膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に熱硬化性樹脂膜形成用フィルムを形成できる。
好ましい熱硬化性樹脂膜形成用組成物としては、例えば、重合体成分(A)、熱硬化性成分(B)及び充填材(D)を含有する熱硬化性樹脂膜形成用組成物(III-1)(本明細書においては、単に「組成物(III-1)」と略記することがある)等が挙げられる。
重合体成分(A)は、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムに造膜性や可撓性等を付与するための成分である。
組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する重合体成分(A)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000~2000000であることが好ましく、100000~1500000であることがより好ましい。アクリル系樹脂の重量平均分子量が前記下限値以上であることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの形状安定性(保管時の経時安定性)が向上する。また、アクリル系樹脂の重量平均分子量が前記上限値以下であることで、被着体の凹凸面へ熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが追従し易くなり、被着体と熱硬化性樹脂膜形成用フィルムとの間でボイド等の発生がより抑制される。
なお、本明細書において、重量平均分子量とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イミド;
(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸N-メチルアミノエチル等の置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、「置換アミノ基」とは、アミノ基の1個又は2個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる基を意味する。
熱硬化性成分(B)は、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムを硬化させるための成分である。
組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する熱硬化性成分(B)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
エポキシ系熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)からなる。
組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有するエポキシ系熱硬化性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
エポキシ樹脂(B1)としては、公知のものが挙げられ、例えば、多官能系エポキシ樹脂、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂等、2官能以上のエポキシ化合物が挙げられる。
また、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を構成する芳香環等に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合した化合物等が挙げられる。
不飽和炭化水素基は、重合性を有する不飽和基であり、その具体的な例としては、エテニル基(ビニル基)、2-プロペニル基(アリル基)、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基等が挙げられ、アクリロイル基が好ましい。
エポキシ樹脂(B1)のエポキシ当量は、100~1000g/eqであることが好ましく、150~950g/eqであることがより好ましい。
熱硬化剤(B2)は、エポキシ樹脂(B1)に対する硬化剤として機能する。
熱硬化剤(B2)としては、例えば、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。前記官能基としては、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシ基、酸基が無水物化された基等が挙げられ、フェノール性水酸基、アミノ基、又は酸基が無水物化された基であることが好ましく、フェノール性水酸基又はアミノ基であることがより好ましい。
熱硬化剤(B2)のうち、アミノ基を有するアミン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド等が挙げられる。
不飽和炭化水素基を有する熱硬化剤(B2)としては、例えば、フェノール樹脂の水酸基の一部が、不飽和炭化水素基を有する基で置換されてなる化合物、フェノール樹脂の芳香環に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合してなる化合物等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)における前記不飽和炭化水素基は、上述の不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂における不飽和炭化水素基と同様のものである。
熱硬化剤(B2)のうち、例えば、ビフェノール、ジシアンジアミド等の非樹脂成分の分子量は、特に限定されないが、例えば、60~500であることが好ましい。
熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、充填材(D)を含有することにより、前記吸水率及び粘着力変化率を目的とする範囲内に調節することが、より容易となる。また、熱硬化性樹脂膜形成用フィルム及びその硬化物(樹脂膜)は、充填材(D)を含有することにより、熱膨張係数の調節がより容易となる。そして、この熱膨張係数を、熱硬化性樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の形成対象物に対して最適化することで、樹脂膜形成用複合シートを用いて得られた樹脂膜付き半導体チップの信頼性がより向上する。また、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、充填材(D)を含有することにより、樹脂膜の吸湿率を低減したり、放熱性を向上させたりすることもできる。
好ましい無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化ケイ素、窒化ホウ素等の粉末;これら無機充填材を球形化したビーズ;これら無機充填材の表面改質品;これら無機充填材の単結晶繊維;ガラス繊維等が挙げられる。
これらの中でも、無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましく、シリカであることがより好ましい。
組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、硬化促進剤(C)を含有していてもよい。硬化促進剤(C)は、組成物(III-1)の硬化速度を調整するための成分である。
好ましい硬化促進剤(C)としては、例えば、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類(1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されたイミダゾール);トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類(1個以上の水素原子が有機基で置換されたホスフィン);テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、カップリング剤(E)を含有していてもよい。カップリング剤(E)として、無機化合物又は有機化合物と反応可能な官能基を有するものを用いることにより、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの被着体に対する接着性及び密着性を向上させることができる。また、カップリング剤(E)を用いることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの硬化物(樹脂膜)は、耐熱性を損なうことなく、耐水性が向上する。
好ましい前記シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3-(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-アニリノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。
重合体成分(A)として、上述のアクリル系樹脂等の、他の化合物と結合可能なビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の官能基を有するものを用いる場合、組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、架橋剤(F)を含有していてもよい。架橋剤(F)は、重合体成分(A)中の前記官能基を他の化合物と結合させて架橋するための成分であり、このように架橋することにより、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの初期接着力及び凝集力を調節できる。
組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有していてもよい。熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有していることにより、エネルギー線の照射によって特性を変化させることができる。
前記エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、分子内に少なくとも1個の重合性二重結合を有する化合物が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物が好ましい。
組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有する場合、エネルギー線硬化性樹脂(G)の重合反応を効率よく進めるために、光重合開始剤(H)を含有していてもよい。
また、前記光重合開始剤としては、例えば、1-クロロアントラキノン等のキノン化合物;アミン等の光増感剤等も挙げられる。
組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、着色剤(I)を含有していてもよい。
着色剤(I)としては、例えば、無機系顔料、有機系顔料、有機系染料等、公知のものが挙げられる。
組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲内において、汎用添加剤(J)を含有していてもよい。
汎用添加剤(J)は、公知のものでよく、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ゲッタリング剤等が挙げられる。
組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの汎用添加剤(J)の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
組成物(III-1)は、さらに溶媒を含有することが好ましい。溶媒を含有する組成物(III-1)は、取り扱い性が良好となる。
前記溶媒は特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソブチルアルコール(2-メチルプロパン-1-オール)、1-ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。
組成物(III-1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
このような好ましい組成物(III-1)の一実施形態としては、例えば、組成物(III-1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する重合体成分(A)の含有量の割合が、3~85質量%であり、かつ、熱硬化性成分(B)の含有量が、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、5~600質量部であり、かつ、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材(D)の含有量の割合が、25~75質量%であるものが挙げられる。
また、このような好ましい組成物(III-1)の一実施形態としては、例えば、組成物(III-1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する重合体成分(A)の含有量の割合が、3~35質量%であり、かつ、熱硬化性成分(B)の含有量が、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、300~600質量部であり、かつ、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材(D)の含有量の割合が、28~72質量%であるものが挙げられる。
このようなより好ましい組成物(III-1)の一実施形態としては、例えば、組成物(III-1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する重合体成分(A)の含有量の割合が、3~35質量%であり、かつ、熱硬化性成分(B)の含有量が、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、300~600質量部であり、かつ、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材(D)の含有量の割合が、28~72質量%であり、かつ、硬化促進剤(C)の含有量が、熱硬化性成分(B)の含有量100質量部に対して、0.01~10質量部であり、かつ、カップリング剤(E)の含有量が、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)の総含有量100質量部に対して、0.03~20質量部であり、かつ、架橋剤(F)の含有量が、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、0.01~20質量部であり、かつ、光重合開始剤(H)の含有量が、エネルギー線硬化性樹脂(G)の含有量100質量部に対して、2~5質量部であり、かつ、組成物(III-1)の総質量に対する、エネルギー線硬化性樹脂(G)の含有量の割合が、1~10質量%であるものが挙げられる。
組成物(III-1)等の熱硬化性樹脂膜形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15~30℃であることが好ましい。
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムとしては、エネルギー線硬化性成分(a)を含有するものが挙げられ、エネルギー線硬化性成分(a)及び充填材を含有するものが好ましい。
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムにおいて、エネルギー線硬化性成分(a)は、未硬化であることが好ましく、粘着性を有することが好ましく、未硬化でかつ粘着性を有することがより好ましい。ここで、「エネルギー線」及び「エネルギー線硬化性」とは、先に説明したとおりである。
ここで、「エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さ」とは、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなるエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さとは、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
例えば、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの硬化時における、エネルギー線の照度は、120~280mW/cm2であることが好ましい。そして、前記硬化時における、エネルギー線の光量は、100~1000mJ/cm2であることが好ましい。
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは、その構成材料を含有するエネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物を用いて形成できる。例えば、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの形成対象面にエネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位にエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムを形成できる。
好ましいエネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物としては、例えば、前記エネルギー線硬化性成分(a)及び充填材を含有するエネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物(IV-1)(本明細書においては、単に「組成物(IV-1)」と略記することがある)等が挙げられる。
エネルギー線硬化性成分(a)は、エネルギー線の照射によって硬化する成分であり、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムに造膜性や、可撓性等を付与するとともに、硬化後に硬質の樹脂膜を形成するための成分でもある。
エネルギー線硬化性成分(a)としては、例えば、エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000~2000000の重合体(a1)、及びエネルギー線硬化性基を有する、分子量が100~80000の化合物(a2)が挙げられる。前記重合体(a1)は、その少なくとも一部が架橋剤によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000~2000000の重合体(a1)としては、例えば、他の化合物が有する基と反応可能な官能基を有するアクリル系重合体(a11)と、前記官能基と反応する基、及びエネルギー線硬化性二重結合等のエネルギー線硬化性基を有するエネルギー線硬化性化合物(a12)と、が反応してなるアクリル系樹脂(a1-1)が挙げられる。
これらの中でも、前記官能基は、水酸基であることが好ましい。
前記官能基を有するアクリル系重合体(a11)としては、例えば、前記官能基を有するアクリル系モノマーと、前記官能基を有しないアクリル系モノマーと、が共重合してなるものが挙げられ、これらモノマー以外に、さらにアクリル系モノマー以外のモノマー(非アクリル系モノマー)が共重合したものであってもよい。
また、前記アクリル系重合体(a11)は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよく、重合方法についても公知の方法を採用できる。
前記アクリル系重合体(a11)を構成する前記非アクリル系モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、前記アクリル系重合体(a11)が有する官能基と反応可能な基として、イソシアネート基、エポキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される1種又は2種以上を有するものが好ましく、前記基としてイソシアネート基を有するものがより好ましい。前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、例えば、前記基としてイソシアネート基を有する場合、このイソシアネート基が、前記官能基として水酸基を有するアクリル系重合体(a11)のこの水酸基と容易に反応する。
ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;
ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物等が挙げられる。
これらの中でも、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートであることが好ましい。
ここで、「重量平均分子量」とは、先に説明したとおりである。
エネルギー線硬化性基を有する、分子量が100~80000の化合物(a2)中の前記エネルギー線硬化性基としては、エネルギー線硬化性二重結合を含む基が挙げられ、好ましいものとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
前記アクリレート系化合物としては、例えば、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル]プロパン、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジ(メタ)アクリロキシプロパン等の2官能(メタ)アクリレート;
トリス(2-(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等の多官能(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。
組成物(IV-1)及びエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは、前記エネルギー線硬化性成分(a)として前記化合物(a2)を含有する場合、さらにエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)も含有することが好ましい。
前記重合体(b)は、その少なくとも一部が架橋剤によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
これらの中でも、前記重合体(b)は、アクリル系重合体(以下、「アクリル系重合体(b-1)」と略記することがある)であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル等が挙げられる。
前記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等が挙げられる。
前記置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸N-メチルアミノエチル等が挙げられる。
前記反応性官能基は、架橋剤の種類等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。例えば、架橋剤がポリイソシアネート化合物である場合には、前記反応性官能基としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられ、これらの中でも、イソシアネート基との反応性が高い水酸基が好ましい。また、架橋剤がエポキシ系化合物である場合には、前記反応性官能基としては、カルボキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられ、これらの中でもエポキシ基との反応性が高いカルボキシ基が好ましい。ただし、半導体ウエハや半導体チップの回路の腐食を防止するという点では、前記反応性官能基はカルボキシ基以外の基であることが好ましい。
充填材を含有するエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは、充填材(D)を含有する熱硬化性樹脂膜形成用フィルムと同様の効果を奏する。
また、前記エネルギー線硬化性成分及び着色剤を含有する組成物(IV-1)を用いることにより、形成されるエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは、先に説明した熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが着色剤(I)を含有する場合と同様の効果を発現する。
組成物(IV-1)が含有する溶媒としては、例えば、組成物(III-1)における溶媒と同じものが挙げられる。
組成物(IV-1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
組成物(IV-1)等のエネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15~30℃であることが好ましい。
前記非硬化性樹脂膜形成用フィルムは、硬化による特性の変化を示さないが、本発明においては、半導体ウエハの前記裏面等、目的とする箇所に貼付された段階で、樹脂膜を形成したとみなす。
75μmであることがより好ましく、5~50μmであることが特に好ましい。非硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、厚さの均一性がより高くなる。また、非硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、半導体ウエハのブレードダイシング時に発生する樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の切削屑の発生量が抑制される。
ここで、「非硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さ」とは、非硬化性樹脂膜形成用フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる非硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さとは、非硬化性樹脂膜形成用フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
非硬化性樹脂膜形成用フィルムは、その構成材料を含有する非硬化性樹脂膜形成用組成物を用いて形成できる。例えば、非硬化性樹脂膜形成用フィルムの形成対象面に非硬化性樹脂膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に非硬化性樹脂膜形成用フィルムを形成できる。
好ましい非硬化性樹脂膜形成用組成物としては、例えば、前記熱可塑性樹脂及び充填材を含有する非硬化性樹脂膜形成用組成物(V-1)(本明細書においては、単に「組成物(V-1)」と略記することがある)等が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂は、特に限定されない。
前記熱可塑性樹脂として、より具体的には、例えば、上述の組成物(III-1)の含有成分として挙げた、アクリル系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、フェノキシ樹脂、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレン等の硬化性ではない樹脂と同様のものが挙げられる。
充填材を含有する非硬化性樹脂膜形成用フィルムは、充填材(D)を含有する熱硬化性樹脂膜形成用フィルムと、同様の効果を奏する。
前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
例えば、前記熱可塑性樹脂及び着色剤を含有する組成物(V-1)を用いることにより、形成される非硬化性樹脂膜形成用フィルムは、先に説明した熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが着色剤(I)を含有する場合と同様の効果を発現する。
組成物(V-1)が含有する溶媒としては、例えば、上述の組成物(III-1)における溶媒と同じものが挙げられる。
組成物(V-1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
組成物(V-1)等の非硬化性樹脂膜形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15~30℃であることが好ましい。
本発明の樹脂膜形成用複合シートは、支持シートを備え、前記支持シート上に、樹脂膜形成用フィルムを備えてなり、前記樹脂膜形成用フィルムが、上述の本発明の樹脂膜形成用フィルムとなっているものである。
以下、本発明の樹脂膜形成用複合シートの、樹脂膜形成用フィルム以外の構成について、詳細に説明する。
前記支持シートは、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。支持シートが複数層からなる場合、これら複数層の構成材料及び厚さは、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
なお、本明細書においては、支持シートの場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
ここに示す樹脂膜形成用複合シート101は、基材11上に粘着剤層12を備え、粘着剤層12上に樹脂膜形成用フィルム13を備えている。支持シート1は、基材11及び粘着剤層12の積層体であり、樹脂膜形成用複合シート101は、換言すると、支持シート1の一方の表面1a上に樹脂膜形成用フィルム13が積層された構成を有する。また、樹脂膜形成用複合シート101は、さらに樹脂膜形成用フィルム13上に剥離フィルム15を備えている。
なお、治具用接着剤層16においては、その上面及び側面の境界が明確に区別できない場合もある。
ここに示す樹脂膜形成用複合シート103は、粘着剤層12を備えていない点以外は、図1に示す樹脂膜形成用複合シート101と同じものである。すなわち、樹脂膜形成用複合シート103においては、支持シート1が基材11のみからなる。そして、基材11の一方の表面11a(換言すると、支持シート1の一方の表面1a)に樹脂膜形成用フィルム13が積層され、樹脂膜形成用フィルム13の表面13aの一部、すなわち、周縁部近傍の領域に治具用接着剤層16が積層され、樹脂膜形成用フィルム13の表面13aのうち、治具用接着剤層16が積層されていない面と、治具用接着剤層16の表面16a(上面及び側面)に、剥離フィルム15が積層されている。
ここに示す樹脂膜形成用複合シート104は、治具用接着剤層16を備えていない点以外は、図3に示す樹脂膜形成用複合シート103と同じものである。すなわち、樹脂膜形成用複合シート104においては、基材11の一方の表面11aに樹脂膜形成用フィルム13が積層され、樹脂膜形成用フィルム13の一方の表面13aの全面に剥離フィルム15が積層されている。
ここに示す樹脂膜形成用複合シート105は、樹脂膜形成用フィルムの形状が異なる点以外は、図2に示す樹脂膜形成用複合シート102と同じものである。すなわち、樹脂膜形成用複合シート105は、基材11上に粘着剤層12を備え、粘着剤層12上に樹脂膜形成用フィルム23を備えている。支持シート1は、基材11及び粘着剤層12の積層体であり、樹脂膜形成用複合シート105は、換言すると、支持シート1の一方の表面1a上に樹脂膜形成用フィルム23が積層された構成を有する。また、樹脂膜形成用複合シート105は、さらに樹脂膜形成用フィルム23上に剥離フィルム15を備えている。
また、図1、図2及び図5に示す樹脂膜形成用複合シートにおいては、基材11と粘着剤層12との間に中間層が設けられていてもよい。すなわち、本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいて、支持シートは、基材、中間層及び粘着剤層がこの順に積層されてなるものであってもよい。ここで中間層とは、図3及び図4に示す樹脂膜形成用複合シートにおいて設けられていてもよい中間層と同じものである。
また、図1~図5に示す樹脂膜形成用複合シートは、前記中間層以外の層が、任意の箇所に設けられていてもよい。
また、本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいては、剥離フィルムと、この剥離フィルムと直接接触している層との間に、一部隙間が生じていてもよい。
また、本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいては、各層の大きさや形状は、目的に応じて任意に調節できる。
前記基材は、シート状又はフィルム状であり、その構成材料としては、例えば、各種樹脂が挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ノルボルネン樹脂等のポリエチレン以外のポリオレフィン;エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-ノルボルネン共重合体等のエチレン系共重合体(モノマーとしてエチレンを用いて得られた共重合体);ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂(モノマーとして塩化ビニルを用いて得られた樹脂);ポリスチレン;ポリシクロオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート、すべての構成単位が芳香族環式基を有する全芳香族ポリエステル等のポリエステル;2種以上の前記ポリエステルの共重合体;ポリ(メタ)アクリル酸エステル;ポリウレタン;ポリウレタンアクリレート;ポリイミド;ポリアミド;ポリカーボネート;フッ素樹脂;ポリアセタール;変性ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン;ポリエーテルケトン等が挙げられる。
また、前記樹脂としては、例えば、前記ポリエステルとそれ以外の樹脂との混合物等のポリマーアロイも挙げられる。前記ポリエステルとそれ以外の樹脂とのポリマーアロイは、ポリエステル以外の樹脂の量が比較的少量であるものが好ましい。
また、前記樹脂としては、例えば、ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上が架橋した架橋樹脂;ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上を用いたアイオノマー等の変性樹脂も挙げられる。
ここで、「基材の厚さ」とは、基材全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる基材の厚さとは、基材を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合、基材はエネルギー線を透過させるものが好ましい。
前記粘着剤層は、シート状又はフィルム状であり、粘着剤を含有する。
前記粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、エステル系樹脂等の粘着性樹脂が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
ここで、「粘着剤層の厚さ」とは、粘着剤層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる粘着剤層の厚さとは、粘着剤層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合、粘着剤層はエネルギー線を透過させるものが好ましい。
粘着剤層は、粘着剤を含有する粘着剤組成物を用いて形成できる。例えば、粘着剤層の形成対象面に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に粘着剤層を形成できる。粘着剤層のより具体的な形成方法は、他の層の形成方法とともに、後ほど詳細に説明する。
前記粘着剤組成物(I-1)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する。
前記粘着性樹脂(I-1a)は、アクリル系樹脂であることが好ましい。
前記アクリル系樹脂としては、例えば、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有するアクリル系重合体が挙げられる。
前記アクリル系樹脂が有する構成単位は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、より具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシル等が挙げられる。
前記官能基含有モノマーとしては、例えば、前記官能基が後述する架橋剤と反応することで架橋の起点となったり、前記官能基が後述する不飽和基含有化合物中の不飽和基と反応することで、アクリル系重合体の側鎖に不飽和基の導入を可能とするものが挙げられる。
すなわち、官能基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
前記他のモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等と共重合可能なものであれば特に限定されない。
前記他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
一方、前記アクリル系重合体中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基(エネルギー線重合性基)を有する不飽和基含有化合物を反応させたものは、上述のエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-2a)として使用できる。
粘着剤組成物(I-1)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-へキサンジオール(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレート;ポリエステル(メタ)アクリレート;ポリエーテル(メタ)アクリレート;エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、オリゴマーとしては、例えば、上記で例示したモノマーが重合してなるオリゴマー等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物は、分子量が比較的大きく、粘着剤層の貯蔵弾性率を低下させにくいという点では、ウレタン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
粘着性樹脂(I-1a)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I-1)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらジイソシアネートのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤(イソシアネート基を有する架橋剤);エチレングリコールグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤(グリシジル基を有する架橋剤);ヘキサ[1-(2-メチル)-アジリジニル]トリフオスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤);アルミニウムキレート等の金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤);イソシアヌレート系架橋剤(イソシアヌル酸骨格を有する架橋剤)等が挙げられる。
粘着剤の凝集力を向上させて粘着剤層の粘着力を向上させる点、及び入手が容易である等の点から、架橋剤はイソシアネート系架橋剤であることが好ましい。
粘着剤組成物(I-1)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I-1)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
また、前記光重合開始剤としては、例えば、1-クロロアントラキノン等のキノン化合物;アミン等の光増感剤等を用いることもできる。
粘着剤組成物(I-1)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、充填材(フィラー)、防錆剤、着色剤(顔料、染料)、増感剤、粘着付与剤、反応遅延剤、架橋促進剤(触媒)等の公知の添加剤が挙げられる。
なお、反応遅延剤とは、例えば、粘着剤組成物(I-1)中に混入している触媒の作用によって、保存中の粘着剤組成物(I-1)において、目的としない架橋反応が進行するのを抑制するものである。反応遅延剤としては、例えば、触媒に対するキレートによってキレート錯体を形成するものが挙げられ、より具体的には、1分子中にカルボニル基(-C(=O)-)を2個以上有するものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-1)は、溶媒を含有していてもよい。粘着剤組成物(I-1)は、溶媒を含有していることで、塗工対象面への塗工適性が向上する。
前記粘着剤組成物(I-2)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-2a)を含有する。
前記粘着性樹脂(I-2a)は、例えば、粘着性樹脂(I-1a)中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基を有する不飽和基含有化合物を反応させることで得られる。
前記エネルギー線重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2-プロペニル基)等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
粘着性樹脂(I-1a)中の官能基と結合可能な基としては、例えば、水酸基又はアミノ基と結合可能なイソシアネート基及びグリシジル基、並びにカルボキシ基又はエポキシ基と結合可能な水酸基及びアミノ基等が挙げられる。
粘着性樹脂(I-2a)として、例えば、粘着性樹脂(I-1a)におけるものと同様の、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I-2)は、さらに架橋剤を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I-2)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-2)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I-2)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
粘着剤組成物(I-2)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-2)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I-2)における前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I-1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-2)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-2)は、粘着剤組成物(I-1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I-2)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I-1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-2)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-2)の溶媒の含有量は、特に限定されず、適宜調節すればよい。
前記粘着剤組成物(I-3)は、上述の様に、前記粘着性樹脂(I-2a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する。
粘着剤組成物(I-3)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー及びオリゴマーが挙げられ、粘着剤組成物(I-1)が含有するエネルギー線硬化性化合物と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-3)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-3)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I-3)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
粘着剤組成物(I-3)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-3)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I-1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-3)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-3)は、粘着剤組成物(I-1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I-3)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I-1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-3)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-3)の溶媒の含有量は、特に限定されず、適宜調節すればよい。
ここまでは、粘着剤組成物(I-1)、粘着剤組成物(I-2)及び粘着剤組成物(I-3)について主に説明したが、これらの含有成分として説明したものは、これら3種の粘着剤組成物以外の全般的な粘着剤組成物(本明細書においては、「粘着剤組成物(I-1)~(I-3)以外の粘着剤組成物」と称する)でも、同様に用いることができる。
非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、エステル系樹脂等の、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)を含有する粘着剤組成物(I-4)が挙げられ、アクリル系樹脂を含有するものが好ましい。
粘着剤組成物(I-4)で好ましいものとしては、例えば、前記粘着性樹脂(I-1a)と、架橋剤と、を含有するものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-4)における粘着性樹脂(I-1a)としては、粘着剤組成物(I-1)における粘着性樹脂(I-1a)と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-4)が含有する粘着性樹脂(I-1a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着性樹脂(I-1a)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I-4)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
粘着剤組成物(I-4)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-4)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I-1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-4)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-4)は、粘着剤組成物(I-1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I-4)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I-1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-4)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-4)の溶媒の含有量は、特に限定されず、適宜調節すればよい。
粘着剤組成物(I-1)~(I-3)や、粘着剤組成物(I-4)等の粘着剤組成物(I-1)~(I-3)以外の粘着剤組成物は、前記粘着剤と、必要に応じて前記粘着剤以外の成分等の、粘着剤組成物を構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15~30℃であることが好ましい。
本発明の樹脂膜形成用複合シートは、上述の各層を対応する位置関係となるように順次積層することで製造できる。各層の形成方法は、先に説明したとおりである。
例えば、支持シートを製造するときに、基材上に粘着剤層を積層する場合には、基材上に上述の粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させればよい。
いずれの方法においても、剥離フィルムは目的とする積層構造を形成後の任意のタイミングで取り除けばよい。
本発明の樹脂膜形成用複合シートは、例えば、以下に示す方法で使用できる。
すなわち、まず、半導体ウエハの裏面に、樹脂膜形成用複合シートを、その樹脂膜形成用フィルムによって貼付する。
また、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムをエネルギー線硬化させずに、ブレードダイシングを行った場合には、ブレードダイシング後のいずれかの段階で、半導体チップの裏面に貼付されている樹脂膜形成用フィルムをエネルギー線硬化させて、樹脂膜としてもよいし、エネルギー線硬化させなくてもよい。
例えば、樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜をフィルム状接着剤として用いる場合には、半導体チップを基板の回路面にフィルム状接着剤によってダイボンディングし、必要に応じて、この半導体チップにさらに半導体チップを1個以上積層して、ワイヤボンディングを行った後、全体を樹脂により封止することで、半導体パッケージとする。そして、この半導体パッケージを用いて、目的とする半導体装置を作製する。
例えば、樹脂膜形成用フィルムを保護膜形成用フィルムとして(換言すると、樹脂膜を保護膜として)用いる場合には、保護膜付き半導体チップを基板の回路面にフリップチップ接続した後、半導体パッケージとする。そして、この半導体パッケージを用いて、目的とする半導体装置を作製すればよい。なお、この場合には、樹脂膜形成用フィルムの硬化による樹脂膜(保護膜)の形成は、ブレードダイシングの前後のいずれのタイミングでも行うことができる。
樹脂膜形成用組成物の製造に用いた原料を以下に示す。
[重合体成分(A)]
(A)-1:アクリル酸n-ブチル(55質量部)、アクリル酸メチル(10質量部)、メタクリル酸グリシジル(20質量部)及びアクリル酸2-ヒドロキシエチル(15質量部)を共重合してなるアクリル系樹脂(重量平均分子量800000、ガラス転移温度-28℃)。
[熱硬化性成分(B)]
・エポキシ樹脂(B1)
(B1)-1:液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びアクリルゴム微粒子の混合物(日本化薬社製「BPA328」、エポキシ当量235g/eq)
(B1)-2:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(日本化薬社製「XD-1000-L」、エポキシ当量248g/eq)
(B1)-3:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製「エピクロンHP-7200HH」、エポキシ当量255~260g/eq)
・熱硬化剤(B2)
(B2)-1:ジシアンジアミド(熱活性潜在性エポキシ樹脂硬化剤、ADEKA社製「アデカハードナーEH-3636AS」、活性水素量21g/eq)
[硬化促進剤(C)]
(C)-1:2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製「キュアゾール2PHZ」)
[充填材(D)]
(D)-1:球状シリカ(アドマテックス社「SC2050」)
[カップリング剤(E)]
(E)-1:γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを付加させたシリケート化合物(三菱化学社製「MKCシリケートMSEP2」)
[架橋剤(F)]
(F)-1:トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート三量体付加物(トーヨーケム社製「BHS8515」)
[エネルギー線硬化性樹脂(G)]
(G)-1:トリシクロデカンジメチロールジアクリレート(日本化薬社製「KAYARAD R-684」、紫外線硬化性樹脂)
[光重合開始剤(H)]
光重合開始剤(H)-1:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン社製「IRGACURE 184」)
[実施例1]
(熱硬化性樹脂膜形成用組成物(III-1)の製造)
表1に示すように、重合体成分(A)-1(9.56質量部)、エポキシ樹脂(B1)-1(12.75質量部)、エポキシ樹脂(B1)-2(12.75質量部)、エポキシ樹脂(B1)-3(25.50質量部)、熱硬化剤(B2)-1(1.08質量部)、硬化促進剤(C)-1(1.08質量部)、充填材(D)-1(30.00質量部)、カップリング剤(E)-1(0.38質量部)、架橋剤(F)-1(0.32質量部)、エネルギー線硬化性樹脂(G)-1(6.37質量部)、及び光重合開始剤(H)-1(0.20質量部)を混合し、さらにメチルエチルケトンで固形分の濃度が55質量%となるように希釈して、熱硬化性樹脂膜形成用組成物(III-1)を得た。なお、ここに示すメチルエチルケトン以外の成分の配合量は、すべて固形分量である。
ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理されてなる剥離フィルム(リンテック社製「SP-PET381031」、厚さ38μm)の前記剥離処理面に、上記で得られた組成物(III-1)を塗工し、100℃で1分乾燥させることにより、厚さが20μmである樹脂膜形成用フィルムを形成した。
さらに、この樹脂膜形成用フィルムの露出面(前記剥離フィルムを備えている側とは反対側の表面)に、別途、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理されてなる剥離フィルム(リンテック社製「SP-PET502150」、厚さ50μm)の前記剥離処理面を貼り合わせて、樹脂膜形成用フィルムの両面に剥離フィルムが積層された積層フィルムを作製した。
上記で得られた積層フィルムから、後から貼り合わせた剥離フィルムを取り除いて、樹脂膜形成用フィルムを露出させた。
エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)製フィルム(厚さ40μm)及びポリプロピレン(PP)製フィルム(厚さ50μm)が積層されてなる2層構造のフィルム(2層の合計の厚さ90μm)を基材として用い、そのポリプロピレン製フィルム側の表面に、上記の樹脂膜形成用フィルムの新たに露出させた面を貼り合わせることで、基材(支持シート)及び樹脂膜形成用フィルムが積層されてなる樹脂膜形成用複合シートを得た。
(第1試験片の吸水率)
上記で得られた複数枚の樹脂膜形成用フィルムを積層して貼り合わせ、合計の厚さが200μmである積層体を作製した。次いで、この積層体を、50mm×50mmの大きさに打ち抜く(切断する)ことで、大きさが50mm×50mm、厚さが200μmの第1積層体を作製した。次いで、紫外線照射装置(リンテック社製「RAD-2000 m/12」)を用いて、照度220mW/cm2、光量120mJ/cm2の条件で、この第1積層体に紫外線を照射することで、第1積層体を紫外線硬化させて、熱硬化していない第1硬化物を作製した。この第1硬化物を第1試験片として用い、直ちにその質量WAを測定した。次いで、この第1試験片を23℃の純水中に2時間浸漬し、純水中から取り出し、表面に付着している余分の水滴を除去した後、この浸漬後の第1試験片の質量WBを測定した。次いで、式「(WB-WA)/WA×100」により、第1試験片の吸水率(%)を算出した。なお、第1試験片の純水中への浸漬時には、第1試験片全体が純水に完全に浸るように、十分な量の純水を用いた。結果を表1に示す。
6インチシリコンミラーウエハ(厚さ350μm)の全面に、上記で得られた樹脂膜形成用フィルムを40℃に加熱して貼付した。そして、シリコンミラーウエハからはみ出している樹脂膜形成用フィルムを切り取り、除去した。さらに、樹脂膜形成用フィルムの露出面(換言すると、シリコンミラーウエハを備えている側とは反対側の表面)の複数個所に、幅25mm、長さ200mm、厚さ70μmの強粘着テープを貼付し、この強粘着テープの外周に沿って、樹脂膜形成用フィルムに切り込みを形成した。以上により、第2積層体を作製した。次いで、紫外線照射装置(リンテック社製「RAD-2000 m/12」)を用いて、照度220mW/cm2、光量120mJ/cm2の条件で、第2積層体中の樹脂膜形成用フィルムに紫外線を照射することで、樹脂膜形成用フィルムを紫外線硬化させて、熱硬化していない第2硬化物とした。この第2硬化物を備えた第2積層体(硬化済み第2積層体)を第2試験片として用い、直ちにこの第2試験片を、温度23℃、相対湿度50%の環境下で30分静置して経時させた。次いで、直ちにこの経時後の第2試験片のうち、1箇所の強粘着テープの貼付箇所において、23℃の環境下で、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間の経時後粘着力(浸漬前粘着力)PA1を測定した。次いで、この経時後の第2試験片を23℃の純水中に2時間浸漬した。次いで、この第2試験片を純水中から取り出し、表面に付着している余分の水滴を除去した後、直ちにこの浸漬後の第2試験片のうち、他の1箇所の強粘着テープの貼付箇所において、23℃の環境下で、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間の浸漬後粘着力PB1を測定した。次いで、式「(|PB1-PA1|)/PA1×100」により、第2試験片の粘着力変化率(%)を算出した。このように、浸漬前粘着力及び浸漬後粘着力は、同一の第2試験片中の異なる箇所で連続的に測定した。また、第2試験片の純水中への浸漬時には、第2試験片全体が純水に完全に浸るように、十分な量の純水を用いた。
上記で得られた複数枚の樹脂膜形成用フィルムを積層し、合計の厚さが200μmである積層体を作製した。次いで、この積層体を、15mm×150mmの大きさに打ち抜く(切断する)ことで、大きさが15mm×150mm、厚さが200μmの第3積層体を作製した。次いで、紫外線照射装置(リンテック社製「RAD-2000 m/12」)を用いて、照度220mW/cm2、光量120mJ/cm2の条件で、この第3積層体に紫外線を照射することで、第3積層体を紫外線硬化させて、熱硬化していない第3硬化物を作製した。この第3硬化物を第3試験片として用い、この第3試験片について、23℃の環境下で、JIS K 7127に準拠して、試験速度を200mm/minとして引張試験を行い、ヤング率(浸漬前ヤング率)(MPa)を測定した。
別途、同じ第3試験片を23℃の純水中に2時間浸漬した。次いで、直ちにこの浸漬後の第3試験片について、23℃の環境下で、同じ方法で引張試験を行い、ヤング率(浸漬後ヤング率)(MPa)を測定した。なお、第3試験片の純水中への浸漬時には、第3試験片全体が純水に完全に浸るように、十分な量の純水を用いた。結果を表1に示す。
(樹脂膜付き半導体チップのピックアップ適性(樹脂膜付き半導体チップの製造適性))
テープラミネーター(リンテック社製「RAD3510」)を用いて、8インチシリコンミラーウエハに、バックグラインドテープ(リンテック社製「ADWILL E-8180HR」)を貼付した。次いで、グラインダー(ディスコ社製「DGP8760」)を用いて、8インチシリコンミラーウエハのバックグラインドテープが貼付されている側とは反対側の面を研削し、シリコンミラーウエハの厚さを350μmとした。そして、このシリコンミラーウエハを、研削後72時間放置した。次いで、ウエハマウンター(リンテック社製「RAD2700」)を用いて、この放置後のシリコンミラーウエハの研削面に、上記で得られた樹脂膜形成用複合シートを40℃に加熱して、その樹脂膜形成用フィルムによって、20mm/secの貼付速度で貼付した。次いで、バックグラインドテープを取り除いた後、紫外線照射装置(リンテック社製「RAD-2000 m/12」)を用いて、照度230mW/cm2、光量120mJ/cm2の条件で、この樹脂膜形成用複合シート中の樹脂膜形成用フィルムに紫外線を照射することで、樹脂膜形成用フィルムを紫外線硬化させて、熱硬化していない樹脂膜を作製した。次いで、ダイシング装置(ディスコ社製「DFD6361」)を用いて、シリコンミラーウエハを樹脂膜ごと、1.0L/minの流量で冷却水をかけながらダイシングすることにより、大きさが2mm×2mmのシリコンチップへと個片化した。
[実施例2~3、比較例1~2]
熱硬化性樹脂膜形成用組成物(樹脂膜形成用フィルム)の各成分の含有量を、表1に示すとおりとした点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、樹脂膜形成用フィルム及び樹脂膜形成用複合シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
なお、表1中の含有成分の欄の「-」との記載は、熱硬化性樹脂膜形成用組成物がその成分を含有していないことを意味する。
すなわち、実施例1~3の樹脂膜形成用フィルムのエネルギー線硬化物は、吸水率が低く、浸漬(吸水)前後での粘着力の変化が抑制されており、浸漬後においても、ピックアップ適性が優れていた。
一方、実施例1~3の場合と同様に、浸漬前粘着力(経時後粘着力)PA1の測定時と、浸漬後粘着力PB1の測定時に、目視により第2試験片の剥離箇所を観察したところ、浸漬後においては、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間で界面破壊が生じていたが、浸漬前においては、第2硬化物と強粘着テープとの間で界面破壊が生じており、第2硬化物とシリコンミラーウエハとは、密着したままであった。すなわち、比較例1では、浸漬前の剥離力が、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間の粘着力を表してはおらず、剥離力の測定値が23584(mN/25mm)であったことから、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間の粘着力は、23584(mN/25mm)より大きく、第2試験片の粘着力変化率が66.0%よりも大きいことを確認するにとどまった。ただし、前記粘着力変化率が高水準であることは確認できた。
すなわち、比較例1の樹脂膜形成用フィルムのエネルギー線硬化物は、吸水率が高目であり、浸漬(吸水)前後での粘着力の変化が抑制されておらず、浸漬後において、ピックアップ適性の点で、好ましい特性を有していなかった。
一方、比較例2でも、比較例1の場合と同様に、浸漬後においては、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間で界面破壊が生じていたが、浸漬前においては、第2硬化物と強粘着テープとの間で界面破壊が生じており、第2硬化物とシリコンミラーウエハとは、密着したままであった。すなわち、比較例2でも、浸漬前の剥離力が、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間の粘着力を表してはおらず、剥離力の測定値が25877(mN/25mm)であったことから、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間の粘着力は、25877(mN/25mm)より大きく、第2試験片の粘着力変化率が69.0%よりも大きいことを確認するにとどまった。ただし、前記粘着力変化率が高水準であることは確認できた。
すなわち、比較例2の樹脂膜形成用フィルムのエネルギー線硬化物も、吸水率が高目であり、浸漬(吸水)前後での粘着力の変化が抑制されておらず、浸漬後において、ピックアップ適性の点で、好ましい特性を有していなかった。
Claims (4)
- 樹脂膜形成用フィルムであって、
複数枚の前記樹脂膜形成用フィルムが積層されてなる、大きさが50mm×50mm、厚さが200μmの第1積層体を作製し、
前記樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合には、前記第1積層体をエネルギー線硬化させた第1硬化物を第1試験片とし、前記樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合には、前記第1積層体を第1試験片として、前記第1試験片を純水中に2時間浸漬したとき、前記第1試験片の吸水率が0.55%以下であり、かつ、
前記樹脂膜形成用フィルムがシリコンミラーウエハのミラー面に貼付されてなる第2積層体を作製し、
前記樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合には、前記第2積層体中の前記樹脂膜形成用フィルムをエネルギー線硬化させて第2硬化物とした後の硬化済み第2積層体を第2試験片とし、前記第2試験片を温度23℃、相対湿度50%の環境下で30分静置して経時させ、経時後の前記第2試験片において前記第2硬化物を引き剥がしたときに生じる2面の剥離面の為す角度を180°として、前記第2硬化物と前記シリコンミラーウエハとの間の経時後粘着力を測定し、経時後の前記第2試験片を純水中に2時間浸漬し、浸漬後の前記第2試験片において前記第2硬化物を引き剥がしたときに生じる2面の剥離面の為す角度を180°として、前記第2硬化物と前記シリコンミラーウエハとの間の浸漬後粘着力を測定したとき、前記経時後粘着力及び浸漬後粘着力から算出される前記第2試験片の粘着力変化率が、60%以下であるか、又は、
前記樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合には、前記第2積層体を第2試験片とし、前記第2試験片を温度23℃、相対湿度50%の環境下で30分静置して経時させ、経時後の前記第2試験片において前記樹脂膜形成用フィルムを引き剥がしたときに生じる2面の剥離面の為す角度を180°として、前記樹脂膜形成用フィルムと前記シリコンミラーウエハとの間の経時後粘着力を測定し、経時後の前記第2試験片を純水中に2時間浸漬し、浸漬後の前記第2試験片において前記樹脂膜形成用フィルムを引き剥がしたときに生じる2面の剥離面の為す角度を180°として、前記樹脂膜形成用フィルムと前記シリコンミラーウエハとの間の浸漬後粘着力を測定したとき、前記経時後粘着力及び浸漬後粘着力から算出される前記第2試験片の粘着力変化率が、60%以下である、樹脂膜形成用フィルム。 - 複数枚の前記樹脂膜形成用フィルムが積層されてなる、大きさが15mm×150mm、厚さが200μmの第3積層体を作製し、前記樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合には、前記第3積層体をエネルギー線硬化させた第3硬化物を第3試験片とし、前記樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合には、前記第3積層体を第3試験片として、前記第3試験片を純水中に2時間浸漬したとき、JIS K 7127に準拠した引張試験で、試験速度を200mm/minとして測定された、浸漬後の前記第3試験片のヤング率が、15MPa以上である、請求項1に記載の樹脂膜形成用フィルム。
- 前記樹脂膜形成用フィルムが充填材を含有し、
前記樹脂膜形成用フィルムにおいて、前記樹脂膜形成用フィルムの総質量に対する、前記充填材の含有量の割合が、25~75質量%である、請求項1又は2に記載の樹脂膜形成用フィルム。 - 支持シートを備え、前記支持シート上に、樹脂膜形成用フィルムを備えてなり、
前記樹脂膜形成用フィルムが、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂膜形成用フィルムである、樹脂膜形成用複合シート。
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