JP2019062107A - 樹脂膜形成用複合シート - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体ウエハ若しくは半導体チップの裏面に保護膜を形成可能であり、エキスパンド性が良好で、且つピックアップ時の樹脂膜の飛散を防止できる樹脂膜形成用複合シートの提供。【解決手段】本発明の樹脂膜形成用複合シート1Aは、支持シート10上に前記支持シート10よりもサイズの小さい樹脂膜形成用フィルム13を備えてなり、前記支持シート10の幅(TD方向の最大長さ)に対する前記樹脂膜形成用フィルム13の幅(TD方向の最大長さ)の比が0.55以上0.92以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂膜形成用複合シートに関する。
近年、いわゆるフェースダウン(face down)方式と呼ばれる実装法を適用した半導体装置の製造が行われている。フェースダウン方式においては、回路面上にバンプ等の電極を有する半導体チップが用いられ、前記電極が基板と接合される。このため、半導体チップの回路形成面とは反対側の裏面は剥き出しとなることがある。
この剥き出しとなった半導体チップの裏面には、保護膜として、有機材料を含有する樹脂膜が形成され、保護膜付き半導体チップとして半導体装置に取り込まれることがある。保護膜は、ダイシング工程やパッケージングの後に、半導体チップにおいてクラックが発生するのを防止するために利用される。
このような保護膜を形成するためには、例えば、硬化によって保護膜を形成するように構成された保護膜形成用フィルムが使用され、通常、保護膜形成用フィルムは、支持シート上に設けられ、保護膜形成用複合シートの状態とされて使用される。保護膜形成用複合シートにおいては、保護膜形成用フィルムが硬化によって保護膜を形成可能であり、さらに支持シートをダイシングシートとして利用可能であって、保護膜形成用フィルムとダイシングシートとが一体化されたものとすることが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載の保護膜形成用複合シートは、基材上に粘着剤層を備え、粘着剤層上に保護膜形成用フィルムを備えてなるものである。支持シートは、基材及び粘着剤層の積層体であり、保護膜形成用複合シートは、換言すると、支持シートの一方の表面上に保護膜形成用フィルムが積層された構成を有する。
また、特許文献1に記載の保護膜形成用複合シートにおいては、基材の一方の表面に粘着剤層が積層され、粘着剤層の表面の全面に保護膜形成用フィルムが積層され、保護膜形成用フィルムの表面の一部、すなわち、周縁部近傍の領域に治具用接着剤層が積層されている。
国際公開第2015/105002号
特許文献1に記載の保護膜形成用複合シートを用いて、保護膜付き半導体チップを製造する場合、例えば、まず、半導体ウエハに保護膜形成用複合シートを貼付する。次いで、保護膜形成層の保護性能を高めるために、必要に応じて熱又はエネルギー線による硬化を経て、ダイシングにより半導体ウエハをチップに分割する。次いで、ピックアップを容易とするため、ダイシングシートを周縁部より引っ張り、チップ間隔を拡張するいわゆるエキスパンドを行う。しかしながら、特許文献1に記載の保護膜形成用複合シートでは、粘着剤層の表面の全面に保護膜形成用フィルムが積層されているため、エキスパンドの際に拡張する部分がないため、エキスパンドしにくく、充分なカーフ幅(チップ間の距離)が得られない。さらに、無理やり伸ばそうとすると、エキスパンド装置でトルクオーバーが発生する。また、エキスパンド後にピックアップを行う際に、半導体ウエハ外周の貼付されていない保護膜が飛散する問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、半導体ウエハ若しくは半導体チップの裏面に保護膜を形成可能であり、エキスパンド性が良好で、且つピックアップ時の樹脂膜の飛散を防止できる樹脂膜形成用複合シートを提供する。
上記課題を解決するため、本発明は、支持シート上に前記支持シートよりもサイズの小さい樹脂膜形成用フィルムを備えてなり、前記支持シートの幅(TD方向の最大長さ)に対する前記樹脂膜形成用フィルムの幅(TD方向の最大長さ)の比が0.55以上0.92以下である、樹脂膜形成用複合シートを提供する。
本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいては、前記支持シートが粘着剤層を有し、前記樹脂膜形成用フィルムと前記粘着剤層とが直接接触していることが好ましい。
本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいては、前記樹脂膜が保護膜であることが好ましい。
本発明によれば、半導体ウエハ若しくは半導体チップの裏面に保護膜を形成可能であり、エキスパンド性が良好で、且つピックアップ時の樹脂膜の飛散を防止できる樹脂膜形成用複合シートが提供される。
本発明の樹脂膜形成用複合シートの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の樹脂膜形成用複合シートの他の実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の樹脂膜形成用複合シートのさらに他の実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の樹脂膜形成用複合シートのさらに他の実施形態を模式的に示す断面図である。
◇樹脂膜形成用複合シート
本発明の樹脂膜形成用複合シートは、支持シート上に前記支持シートよりもサイズの小さい樹脂膜形成用フィルムを備えてなり、前記支持シートの幅(TD方向の最大長さ)に対する前記樹脂膜形成用フィルムの幅(TD方向の最大長さ)の比が0.55以上0.92以下である。換言すると、支持シートの流れ方向と直行する向き(幅方向)において、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)よりも樹脂膜形成用フィルムの幅(TD方向の最大長さ)が小さく、前記支持シートの幅(TD方向の最大長さ)に対する前記樹脂膜形成用フィルムの幅(TD方向の最大長さ)の比が0.55以上0.92以下である。
なお、本明細書において、「樹脂膜形成用フィルム」とは半導体ウエハ又は半導体チップの裏面に貼付前のものを意味し、「樹脂膜」とは、樹脂膜形成用フィルムを半導体ウエハ又は半導体チップの裏面に貼付したものを意味する。また、樹脂膜形成用フィルムが硬化性を有する場合には、樹脂膜形成用フィルムを硬化させたものを「樹脂膜」と称する。
また、本明細書において、「MD方向」とは、樹脂の流れ方向(Machine Direction)を意味し、「TD方向」とは、樹脂の流れ方向(MD方向)に直交する方向(Transverse Direction)を意味する。
MD方向は、フィルム又はシートの加工時における、フィルム又はシートの流れに平行な方向であり、TD方向は、このようなフィルム又はシートの流れに直交する方向であるともいえる。フィルム又はシートを延伸加工する場合には、MD方向は、フィルム又はシートの延伸方向であり、TD方向は、このようなフィルム又はシートの延伸方向に直交する方向である。
支持シートのMD方向及びTD方向は、例えば、X線2次元回析画像の分析等、光学的な分析によって、互いに区別できる。
前記樹脂膜形成用フィルムは、半導体ウエハ又は半導体チップの裏面(電極形成面とは反対側の面)を保護するための保護膜として活用される。樹脂膜形成用フィルムは、軟質であり、貼付対象物に容易に貼付できる。そして、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)に対する樹脂膜形成用フィルムの幅(TD方向の最大長さ)の比が0.55以上0.92以下であることにより、本発明の樹脂膜形成用複合シートは、エキスパンド性が良好であり、且つピックアップ時の樹脂膜の飛散を防止することができる。より具体的には、半導体ウエハを樹脂膜形成用複合シートごとダイシングブレードによってダイシングした後に、エキスパンド装置でシート全体をエキスパンドした際に、樹脂膜のない部分が存在するため、充分なカーフ幅が得られ、さらに、エキスパンド装置におけるトルクオーバーの発生を防ぐことができる。
また、エキスパンド後のピックアップの際に、半導体ウエハ又は半導体チップの貼付していない樹脂膜がほとんどないので、樹脂膜の飛散を防止することができる。
本発明の樹脂膜形成用複合シートの使用対象である半導体ウエハ又は半導体チップの厚さは、特に限定されないが、本発明の効果がより顕著に得られることから、30μm以上1000μm以下であることが好ましく、100μm以上300μm以下であることがより好ましい。
本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいて、既存の規格の半導体ウエハを用いて半導体装置を製造する場合に、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)に対する樹脂膜形成用フィルムの幅(TD方向の最大長さ)の比が0.55以上0.92以下、好ましくは0.59以上0.91以下、より好ましくは0.66以上0.88以下の範囲を満たす支持シート及び樹脂膜形成用フィルムの幅(TD方向の最大長さ)の好適な例としては以下のとおりである。
本発明の樹脂膜形成用複合シートの使用対象である半導体ウエハのサイズが5インチ(幅:125mm)である場合、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)は190mmであることが好ましく、樹脂膜形成用フィルムの幅(TD方向の最大長さ)は125mm以上165mm以下であることが好ましい。
また、本発明の樹脂膜形成用複合シートの使用対象である半導体ウエハのサイズが6インチ(幅:150mm)である場合、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)は207mmであることが好ましく、樹脂膜形成用フィルムの幅は150mm以上190mm以下であることが好ましい。
また、本発明の樹脂膜形成用複合シートの使用対象である半導体ウエハのサイズが8インチ(幅:200mm)である場合、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)は270mmであることが好ましく、樹脂膜形成用フィルムの幅(TD方向の最大長さ)は200mm以上240mm以下であることが好ましい。
また、本発明の樹脂膜形成用複合シートの使用対象である半導体ウエハのサイズが12インチ(幅:300mm)である場合、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)は370mmであることが好ましく、樹脂膜形成用フィルムの幅(TD方向の最大長さ)は300mm以上340mm以下であることが好ましい。
また、本発明の樹脂膜形成用複合シートの使用対象である半導体ウエハのサイズが16インチ(幅:450mm)である場合、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)は520mmであることが好ましく、樹脂膜形成用フィルムの幅(TD方向の最大長さ)は450mm以上490mm以下であることが好ましい。
以下、本発明の構成について、詳細に説明する。
◎支持シート
前記支持シートは、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。支持シートが複数層からなる場合、これら複数層の構成材料及び厚さは、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
なお、本明細書においては、支持シートの場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
好ましい支持シートとしては、例えば、基材上に粘着剤層が直接接触して積層されてなるもの、基材上に中間層を介して粘着剤層が積層されてなるもの、基材のみからなるもの等が挙げられる。
本発明の樹脂膜形成用複合シートの例を、このような支持シートの種類ごとに、以下、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1は、本発明の樹脂膜形成用複合シートの一実施形態を模式的に示す断面図である。
ここに示す樹脂膜形成用複合シート1Aは、基材11上に粘着剤層12を備え、粘着剤層12上に樹脂膜形成用フィルム13を備えてなるものである。支持シート10は、基材11及び粘着剤層12の積層体であり、樹脂膜形成用複合シート1Aは、換言すると、支持シート10の一方の表面10a上に樹脂膜形成用フィルム13が積層された構成を有する。また、樹脂膜形成用複合シート1Aは、さらに樹脂膜形成用フィルム13上に剥離フィルム15を備えている。
なお、樹脂膜形成用フィルム13の平面形状は円形であり、図1の断面は、樹脂膜形成用フィルム13の中心を含む。また、図1では平面形状が円形である樹脂膜形成用フィルムが示されているが、平面形状はこれに限定されず、例えば、楕円形、多角形等の他の形状であってもよい。
樹脂膜形成用複合シート1Aにおいては、基材11の一方の表面11aに粘着剤層12が積層され、粘着剤層12の表面12aの中央側の一部の領域、すなわち、半導体ウエハ貼付領域に樹脂膜形成用フィルム13が積層され、粘着剤層12の表面12aの一部、すなわち、周縁部近傍の領域に治具用接着剤層16が積層され、樹脂膜形成用フィルム13の表面13aと、治具用接着剤層16の表面16a(上面)とに、剥離フィルム15が積層されている。
樹脂膜形成用複合シート1Aにおいて、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)Wに対する樹脂膜形成用フィルムの幅(TD方向の最大長さ)Dの比D/Wは0.55以上0.92以下である。
治具用接着剤層16は、例えば、接着剤成分を含有する単層構造のものであってもよいし、芯材となるシートの両面に接着剤成分を含有する層が積層された複数層構造のものであってもよい。
図1に示す樹脂膜形成用複合シート1Aは、剥離フィルム15が取り除かれた状態で、樹脂膜形成用フィルム13の表面13aに半導体ウエハ(図示略)の裏面が貼付され、さらに、治具用接着剤層16の表面16aのうち上面が、リングフレーム等の治具に貼付されて、使用される。
図2は、本発明の樹脂膜形成用複合シートの他の実施形態を模式的に示す断面図である。なお、図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここに示す樹脂膜形成用複合シート1Bは、治具用接着剤層16を備えていない点以外は、図1に示す樹脂膜形成用複合シート1Aと同じものである。すなわち、樹脂膜形成用複合シート1Bにおいては、基材11の一方の表面11aに粘着剤層12が積層され、粘着剤層12の表面12aの中央側の一部の領域、すなわち、半導体ウエハ貼付領域に樹脂膜形成用フィルム13が積層され、樹脂膜形成用フィルム13の表面13aの全面(上面及び側面)に剥離フィルム15が積層されている。
なお、樹脂膜形成用フィルム13の平面形状は円形であり、図2の断面は、樹脂膜形成用フィルム13の中心を含む。
樹脂膜形成用複合シート1Bにおいて、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)Wに対する樹脂膜形成用フィルムの幅(TD方向の最大長さ)Dの比D/Wは0.55以上0.92以下である。
図2に示す樹脂膜形成用複合シート1Bは、剥離フィルム15が取り除かれた状態で、樹脂膜形成用フィルム13の表面13aのうち、中央側の一部の領域に半導体ウエハ(図示略)の裏面が貼付され、さらに、樹脂膜形成用フィルム13の周縁部近傍の領域が、リングフレーム等の治具に貼付されて、使用される。
図3は、本発明の樹脂膜形成用複合シートのさらに他の実施形態を模式的に示す断面図である。
ここに示す樹脂膜形成用複合シート1Cは、粘着剤層12を備えていない点以外は、図1に示す樹脂膜形成用複合シート1Aと同じものである。すなわち、樹脂膜形成用複合シート1Cにおいては、支持シート10が基材11のみからなる。そして、基材11の一方の表面11a(支持シート10の一方の表面10a)の中央側の一部の領域、すなわち、半導体ウエハ貼付領域に樹脂膜形成用フィルム13が積層され、基材11の一方の表面11a(支持シート10の一方の表面10a)の一部、すなわち、周縁部近傍の領域に治具用接着剤層16が積層され、樹脂膜形成用フィルム13の表面13aと、治具用接着剤層16の表面16a(上面)とに、剥離フィルム15が積層されている。
なお、樹脂膜形成用フィルム13の平面形状は円形であり、図3の断面は、樹脂膜形成用フィルム13の中心を含む。
樹脂膜形成用複合シート1Cにおいて、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)Wに対する樹脂膜形成用フィルムの幅(TD方向の最大長さ)Dの比D/Wは0.55以上0.92以下である。
図3に示す樹脂膜形成用複合シート1Cは、図1に示す樹脂膜形成用複合シート1Aと同様に、剥離フィルム15が取り除かれた状態で、樹脂膜形成用フィルム13の表面13aに半導体ウエハ(図示略)の裏面が貼付され、さらに、治具用接着剤層16の表面16aのうち上面が、リングフレーム等の治具に貼付されて、使用される。
図4は、本発明の樹脂膜形成用複合シートのさらに他の実施形態を模式的に示す断面図である。
ここに示す樹脂膜形成用複合シート1Dは、治具用接着剤層16を備えていない点以外は、図3に示す樹脂膜形成用複合シート1Cと同じものである。すなわち、樹脂膜形成用複合シート1Dにおいては、基材11の一方の表面11a(支持シート10の一方の表面10a)の中央側の一部の領域、すなわち、半導体ウエハ貼付領域に樹脂膜形成用フィルム13が積層され、樹脂膜形成用フィルム13の表面13aの全面(上面及び側面)に剥離フィルム15が積層されている。
なお、樹脂膜形成用フィルム13の平面形状は円形であり、図4の断面は、樹脂膜形成用フィルム13の中心を含む。
樹脂膜形成用複合シート1Dにおいて、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)Wに対する樹脂膜形成用フィルムの幅(TD方向の最大長さ)Dの比D/Wは0.55以上0.92以下である。
図4に示す樹脂膜形成用複合シート1Dは、図2に示す樹脂膜形成用複合シート1Bと同様に、剥離フィルム15が取り除かれた状態で、樹脂膜形成用フィルム13の表面13aのうち、中央側の一部の領域に半導体ウエハ(図示略)の裏面が貼付され、さらに、樹脂膜形成用フィルム13の周縁部近傍の領域が、リングフレーム等の治具に貼付されて、使用される。
このように、本発明の樹脂膜形成用複合シートは、支持シート及び樹脂膜形成用フィルムがどのような形態であっても、治具用接着剤層を備えたものであってもよい。ただし、通常は、図1及び3に示すように、治具用接着剤層を備えた本発明の樹脂膜形成用複合シートとしては、支持シート10上に治具用接着剤層を備えたものが好ましい。
本発明の樹脂膜形成用複合シートは、図1〜4に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図1〜4に示すものの一部の構成が変更又は削除されたものや、これまでに説明したものにさらに他の構成が追加されたものであってもよい。
例えば、図3及び4に示す樹脂膜形成用複合シートにおいては、基材11と樹脂膜形成用フィルム13との間に、中間層が設けられていてもよい。中間層としては、目的に応じて任意のものを選択できる。
また、図1及び2に示す樹脂膜形成用複合シートにおいては、基材11と粘着剤層12との間に中間層が設けられていてもよい。すなわち、本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいて、支持シートは、基材、中間層、及び粘着剤層がこの順に積層されてなるものでもよい。ここで中間層とは、図3及び4に示す樹脂膜形成用複合シートにおいて設けられていてもよい中間層と同じものである。
また、図1〜4に示す樹脂膜形成用複合シートは、前記中間層以外の層が、任意の箇所に設けられていてもよい。
また、本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいては、剥離フィルムと、この剥離フィルムと直接接触している層との間に、一部隙間が生じていてもよい。
また、本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいては、各層の大きさや形状は、目的に応じて任意に調節できる。
本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいては、後述するように、粘着剤層等の、支持シートの樹脂膜形成用フィルムと直接接触している層が、エネルギー線硬化性であることが好ましい。このような樹脂膜形成用複合シートは、樹脂膜を裏面に備えた半導体チップをより容易にダイシングできる。
なお、本発明において、「非硬化性」とは、加熱又はエネルギー線の照射等により硬化しない性質を意味し、「熱硬化性」とは、加熱することにより硬化する性質を意味し、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を意味する。
本発明において、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、その例として、紫外線、放射線、電子線等が挙げられる。
紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプ、ブラックライト又はLEDランプ等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
支持シートは、透明であってもよいし、不透明であってもよく、目的に応じて着色されていてもよい。
樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性を有する場合は、支持シートはエネルギー線を透過させるものが好ましい。
例えば、支持シートにおいて、波長375nmの光の透過率は30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。前記光の透過率がこのような範囲であることで、支持シートを介して樹脂膜形成用フィルムにエネルギー線(紫外線)を照射しときに、樹脂膜形成用フィルムの硬化度がより向上する。
一方、支持シートにおいて、波長375nmの光の透過率の上限値は特に限定されないが、例えば、95%とすることが可能である。
また、支持シートにおいて、波長532nmの光の透過率は30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。前記光の透過率がこのような範囲であることで、支持シートを介して樹脂膜にレーザー光を照射して、これらに印字したときに、より明りょうに印字できる。
一方、支持シートにおいて、波長532nmの光の透過率の上限値は特に限定されないが、例えば、95%とすることが可能である。
また、支持シートにおいて、波長1064nmの光の透過率は30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。前記光の透過率がこのような範囲であることで、支持シートを介して樹脂膜にレーザー光を照射して、これらに印字したときに、より明りょうに印字できる。
一方、支持シートにおいて、波長1064nmの光の透過率の上限値は特に限定されないが、例えば、95%とすることが可能である。
次に、支持シートを構成する各層について、さらに詳細に説明する。
○基材
前記基材は、シート状又はフィルム状であり、その構成材料としては、例えば、各種樹脂が挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ノルボルネン樹脂等のポリエチレン以外のポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−ノルボルネン共重合体等のエチレン系共重合体(モノマーとしてエチレンを用いて得られた共重合体);ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂(モノマーとして塩化ビニルを用いて得られた樹脂);ポリスチレン;ポリシクロオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、すべての構成単位が芳香族環式基を有する全芳香族ポリエステル等のポリエステル;2種以上の前記ポリエステルの共重合体;ポリ(メタ)アクリル酸エステル;ポリウレタン;ポリウレタンアクリレート;ポリイミド;ポリアミド;ポリカーボネート;フッ素樹脂;ポリアセタール;変性ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン;ポリエーテルケトン等が挙げられる。
また、前記樹脂としては、例えば、前記ポリエステルとそれ以外の樹脂との混合物等のポリマーアロイも挙げられる。前記ポリエステルとそれ以外の樹脂とのポリマーアロイは、ポリエステル以外の樹脂の量が比較的少量であるものが好ましい。
また、前記樹脂としては、例えば、ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上が架橋した架橋樹脂;ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上を用いたアイオノマー等の変性樹脂も挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。(メタ)アクリル酸と類似の用語についても同様であり、例えば、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念である。
基材を構成する樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
基材は1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
基材の厚さは、50μm以上300μm以下であることが好ましく、60μm以上100μm以下であることがより好ましい。基材の厚さがこのような範囲であることで、前記樹脂膜形成用複合シートの可撓性と、半導体ウエハ又は半導体チップへの貼付性がより向上する。
ここで、「基材の厚さ」とは、基材全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる基材の厚さとは、基材を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
基材は、厚さの精度が高いもの、すなわち、部位によらず厚さのばらつきが抑制されたものが好ましい。上述の構成材料のうち、このような厚さの精度が高い基材を構成するのに使用可能な材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリエチレン以外のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
基材は、前記樹脂等の主たる構成材料以外に、充填材、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、軟化剤(可塑剤)等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
基材の光学特性は、先に説明した支持シートの光学特性を満たすようになっていればよい。すなわち、基材は、透明であってもよいし、不透明であってもよく、目的に応じて着色されていてもよいし、他の層が蒸着されていてもよい。
そして、樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性を有する場合においては、基材はエネルギー線を透過させるものが好ましい。
基材は、その上に設けられる粘着剤層等の他の層との密着性を向上させるために、サンドブラスト処理、溶剤処理等による凹凸化処理や、コロナ放電処理、電子線照射処理、プラズマ処理、オゾン・紫外線照射処理、火炎処理、クロム酸処理、熱風処理等の酸化処理等が表面に施されたものであってもよい。
また、基材は、表面がプライマー処理を施されたものであってもよい。
また、基材は、帯電防止コート層、樹脂膜形成用複合シートを重ね合わせて保存する際に、基材が他のシートに接着することや、基材が吸着テーブルに接着することを防止する層等を有するものであってもよい。
これらの中でも基材は、ダイシング時のブレードの摩擦による基材の断片の発生が抑制される点から、特に表面が電子線照射処理を施されたものが好ましい。
基材は、公知の方法で製造できる。例えば、樹脂を含有する基材は、前記樹脂を含有する樹脂組成物を成形することで製造できる。
○粘着剤層
前記粘着剤層は、シート状又はフィルム状であり、粘着剤を含有する。
前記粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、エステル系樹脂等の粘着性樹脂が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
なお、本発明において、「粘着性樹脂」とは、粘着性を有する樹脂と、接着性を有する樹脂と、の両方を含む概念であり、例えば、樹脂自体が粘着性を有するものだけでなく、添加剤等の他の成分との併用により粘着性を示す樹脂や、熱又は水等のトリガーの存在によって接着性を示す樹脂等も含む。
粘着剤層は1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
粘着剤層の厚さは1μm以上100μm以下であることが好ましく、1μm以上60μm以下であることがより好ましく、1μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
ここで、「粘着剤層の厚さ」とは、粘着剤層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる粘着剤層の厚さとは、粘着剤層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
粘着剤層の光学特性は、先に説明した支持シートの光学特性を満たすようになっていればよい。すなわち、粘着剤層は、透明であってもよいし、不透明であってもよく、目的に応じて着色されていてもよい。
そして、樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性を有する場合においては、粘着剤層はエネルギー線を透過させるものが好ましい。
粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成されたものでもよいし、非エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成されたものでもよい。エネルギー線硬化性の粘着剤を用いて形成された粘着剤層は、硬化前及び硬化後での物性を、容易に調節できる。
<<粘着剤組成物>>
粘着剤層は、粘着剤を含有する粘着剤組成物を用いて形成できる。例えば、粘着剤層の形成対象面に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に粘着剤層を形成できる。粘着剤層のより具体的な形成方法は、他の層の形成方法とともに、後ほど詳細に説明する。粘着剤組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、粘着剤層の前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15℃以上30℃以下の温度等が挙げられる。
粘着剤組成物の塗工は、公知の方法で行えばよく、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる方法が挙げられる。
粘着剤組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、粘着剤組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましく、この場合、例えば、70℃以上130℃以下で10秒以上5分以下の条件で乾燥させることが好ましい。
粘着剤層がエネルギー線硬化性である場合、エネルギー線硬化性粘着剤を含有する粘着剤組成物、すなわち、エネルギー線硬化性の粘着剤組成物としては、例えば、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)(以下、「粘着性樹脂(I−1a)」と略記することがある)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する粘着剤組成物(I−1);非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−2a)(以下、「粘着性樹脂(I−2a)」と略記することがある)を含有する粘着剤組成物(I−2);前記粘着性樹脂(I−2a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する粘着剤組成物(I−3)等が挙げられる。
<粘着剤組成物(I−1)>
前記粘着剤組成物(I−1)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する。
[粘着性樹脂(I−1a)]
前記粘着性樹脂(I−1a)は、アクリル系樹脂であることが好ましい。
前記アクリル系樹脂としては、例えば、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有するアクリル系重合体が挙げられる。
前記アクリル系樹脂が有する構成単位は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アルキルエステルを構成するアルキル基の炭素数が1〜20であるのものが挙げられ、前記アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、より具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシル等が挙げられる。
粘着剤層の粘着力が向上する点から、前記アクリル系重合体は、前記アルキル基の炭素数が2以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有することが好ましい。そして、粘着剤層の粘着力がより向上する点から、前記アルキル基の炭素数は、2以上12以下であることが好ましく、4以上8以下であることがより好ましい。また、前記アルキル基の炭素数が4以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。
前記アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有することが好ましい。
前記官能基含有モノマーとしては、例えば、前記官能基が後述する架橋剤と反応することで架橋の起点となったり、前記官能基が後述する不飽和基含有化合物中の不飽和基と反応することで、アクリル系重合体の側鎖に不飽和基の導入を可能とするものが挙げられる。
官能基含有モノマー中の前記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。
すなわち、官能基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
前記水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;ビニルアルコール、アリルアルコール等の非(メタ)アクリル系不飽和アルコール((メタ)アクリロイル骨格を有しない不飽和アルコール)等が挙げられる。
前記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するモノカルボン酸);フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸);前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物;2−カルボキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステル等が挙げられる。
官能基含有モノマーは、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマーが好ましく、水酸基含有モノマーがより好ましい。
前記アクリル系重合体を構成する官能基含有モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記アクリル系重合体において、官能基含有モノマー由来の構成単位の含有量は、構成単位の全量に対して、1質量%以上29質量%以下であることが好ましく、2質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。
前記アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位、及び官能基含有モノマー由来の構成単位以外に、さらに、他のモノマー由来の構成単位を有していてもよい。
前記他のモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等と共重合可能なものであれば特に限定されない。
前記他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
前記アクリル系重合体を構成する前記他のモノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記アクリル系重合体は、上述の非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)として使用できる。
一方、前記アクリル系重合体中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基(エネルギー線重合性基)を有する不飽和基含有化合物を反応させたものは、上述のエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−2a)として使用できる。
粘着剤組成物(I−1)が含有する粘着性樹脂(I−1a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−1)において、粘着性樹脂(I−1a)の含有量は、5質量%以上99質量%以下であることが好ましく、10質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上90質量%以下であることが特に好ましい。
[エネルギー線硬化性化合物]
粘着剤組成物(I−1)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオール(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレート;ポリエステル(メタ)アクリレート;ポリエーテル(メタ)アクリレート;エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、オリゴマーとしては、例えば、上記で例示したモノマーが重合してなるオリゴマー等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物は、分子量が比較的大きく、粘着剤層の貯蔵弾性率を低下させにくいという点では、ウレタン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
粘着剤組成物(I−1)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記粘着剤組成物(I−1)において、前記エネルギー線硬化性化合物の含有量は、1質量%以上95質量%以下であることが好ましく、5質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上85質量%以下であることが特に好ましい。
[架橋剤]
粘着性樹脂(I−1a)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I−1)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
前記架橋剤は、例えば、前記官能基と反応して、粘着性樹脂(I−1a)同士を架橋するものである。
架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらジイソシアネートのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤(イソシアネート基を有する架橋剤);エチレングリコールグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤(グリシジル基を有する架橋剤);ヘキサ[1−(2−メチル)−アジリジニル]トリフオスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤);アルミニウムキレート等の金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤);イソシアヌレート系架橋剤(イソシアヌル酸骨格を有する架橋剤)等が挙げられる。
粘着剤の凝集力を向上させて粘着剤層の粘着力を向上させる点、及び入手が容易である等の点から、架橋剤はイソシアネート系架橋剤であることが好ましい。
粘着剤組成物(I−1)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記粘着剤組成物(I−1)において、架橋剤の含有量は、粘着性樹脂(I−1a)の含有量100質量部に対して、0.01質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上20質量部以下であることがより好ましく、0.3質量部以上15質量部以下であることが特に好ましい。
[光重合開始剤]
粘着剤組成物(I−1)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I−1)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のアセトフェノン化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;ベンジルフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のスルフィド化合物;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール化合物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;チタノセン等のチタノセン化合物;チオキサントン等のチオキサントン化合物;パーオキサイド化合物;ジアセチル等のジケトン化合物;ベンジル;ジベンジル;ベンゾフェノン;2,4−ジエチルチオキサントン;1,2−ジフェニルメタン;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン;2−クロロアントラキノン等が挙げられる。
また、前記光重合開始剤としては、例えば、1−クロロアントラキノン等のキノン化合物;アミン等の光増感剤等を用いることもできる。
粘着剤組成物(I−1)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−1)において、光重合開始剤の含有量は、前記エネルギー線硬化性化合物の含有量100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.03質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、0.05質量部以上5質量部以下であることが特に好ましい。
[その他の添加剤]
粘着剤組成物(I−1)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、充填材(フィラー)、防錆剤、着色剤(顔料、染料)、増感剤、粘着付与剤、反応遅延剤、架橋促進剤(触媒)等の公知の添加剤が挙げられる。
なお、反応遅延剤とは、例えば、粘着剤組成物(I−1)中に混入している触媒の作用によって、保存中の粘着剤組成物(I−1)において、目的としない架橋反応が進行するのを抑制するものである。反応遅延剤としては、例えば、触媒に対するキレートによってキレート錯体を形成するものが挙げられ、より具体的には、1分子中にカルボニル基(−C(=O)−)を2個以上有するものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−1)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−1)において、その他の添加剤の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
[溶媒]
粘着剤組成物(I−1)は、溶媒を含有していてもよい。粘着剤組成物(I−1)は、溶媒を含有していることで、塗工対象面への塗工適性が向上する。
前記溶媒は有機溶媒であることが好ましく、前記有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン;酢酸エチル等のエステル(カルボン酸エステル);テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;シクロヘキサン、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール等が挙げられる。
前記溶媒としては、例えば、粘着性樹脂(I−1a)の製造時に用いたものを粘着性樹脂(I−1a)から取り除かずに、そのまま粘着剤組成物(I−1)において用いてもよいし、粘着性樹脂(I−1a)の製造時に用いたものと同一又は異なる種類の溶媒を、粘着剤組成物(I−1)の製造時に別途添加してもよい。
粘着剤組成物(I−1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−1)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
<粘着剤組成物(I−2)>
前記粘着剤組成物(I−2)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−2a)を含有する。
[粘着性樹脂(I−2a)]
前記粘着性樹脂(I−2a)は、例えば、粘着性樹脂(I−1a)中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基を有する不飽和基含有化合物を反応させることで得られる。
前記不飽和基含有化合物は、前記エネルギー線重合性不飽和基以外に、さらに粘着性樹脂(I−1a)中の官能基と反応することで、粘着性樹脂(I−1a)と結合可能な基を有する化合物である。
前記エネルギー線重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2−プロペニル基)等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
粘着性樹脂(I−1a)中の官能基と結合可能な基としては、例えば、水酸基又はアミノ基と結合可能なイソシアネート基及びグリシジル基、並びにカルボキシ基又はエポキシ基と結合可能な水酸基及びアミノ基等が挙げられる。
前記不飽和基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
粘着剤組成物(I−2)が含有する粘着性樹脂(I−2a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−2)において、粘着性樹脂(I−2a)の含有量は、5質量%以上99質量%以下であることが好ましく、10質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上90質量%以下であることが特に好ましい。
[架橋剤]
粘着性樹脂(I−2a)として、例えば、粘着性樹脂(I−1a)におけるものと同様の、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I−2)は、さらに架橋剤を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−2)における前記架橋剤としては、粘着剤組成物(I−1)における架橋剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−2)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記粘着剤組成物(I−2)において、架橋剤の含有量は、粘着性樹脂(I−2a)の含有量100質量部に対して、0.01質量部以上25質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上20質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以上15質量部以下であることが特に好ましい。
[光重合開始剤]
粘着剤組成物(I−2)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I−2)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
粘着剤組成物(I−2)における前記光重合開始剤としては、粘着剤組成物(I−1)における光重合開始剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−2)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−2)において、光重合開始剤の含有量は、粘着性樹脂(I−2a)の含有量100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.03質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、0.05質量部以上5質量部以下であることが特に好ましい。
[その他の添加剤]
粘着剤組成物(I−2)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−2)における前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I−1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−2)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−2)において、その他の添加剤の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
[溶媒]
粘着剤組成物(I−2)は、粘着剤組成物(I−1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−2)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−2)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−2)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
<粘着剤組成物(I−3)>
前記粘着剤組成物(I−3)は、上述の様に、前記粘着性樹脂(I−2a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する。
粘着剤組成物(I−3)において、粘着性樹脂(I−2a)の含有量は、5質量%以上99質量%以下であることが好ましく、10質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上90質量%以下であることが特に好ましい。
[エネルギー線硬化性化合物]
粘着剤組成物(I−3)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー及びオリゴマーが挙げられ、粘着剤組成物(I−1)が含有するエネルギー線硬化性化合物と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−3)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記粘着剤組成物(I−3)において、前記エネルギー線硬化性化合物の含有量は、粘着性樹脂(I−2a)の含有量100質量部に対して、0.01質量部以上300質量部以下であることが好ましく、0.03質量部以上200質量部以下であることがより好ましく、0.05質量部以上100質量部以下であることが特に好ましい。
[光重合開始剤]
粘着剤組成物(I−3)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I−3)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
粘着剤組成物(I−3)における前記光重合開始剤としては、粘着剤組成物(I−1)における光重合開始剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−3)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−3)において、光重合開始剤の含有量は、粘着性樹脂(I−2a)及び前記エネルギー線硬化性化合物の総含有量100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.03質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、0.05質量部以上5質量部以下であることが特に好ましい。
[その他の添加剤]
粘着剤組成物(I−3)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I−1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−3)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−3)において、その他の添加剤の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
[溶媒]
粘着剤組成物(I−3)は、粘着剤組成物(I−1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−3)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−3)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−3)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
<粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の粘着剤組成物>
ここまでは、粘着剤組成物(I−1)、粘着剤組成物(I−2)、及び粘着剤組成物(I−3)について主に説明したが、これらの含有成分として説明したものは、これら3種の粘着剤組成物以外の全般的な粘着剤組成物(本明細書においては、「粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の粘着剤組成物」と称する)でも、同様に用いることができる。
粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の粘着剤組成物としては、エネルギー線硬化性の粘着剤組成物以外に、非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物も挙げられる。
非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、エステル系樹脂等の、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)を含有する粘着剤組成物(I−4)が挙げられ、アクリル系樹脂を含有するものが好ましい。
粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の粘着剤組成物は、1種又は2種以上の架橋剤を含有することが好ましく、その含有量は、上述の粘着剤組成物(I−1)等の場合と同様とすることができる。
<粘着剤組成物(I−4)>
粘着剤組成物(I−4)で好ましいものとしては、例えば、前記粘着性樹脂(I−1a)と、架橋剤と、を含有するものが挙げられる。
[粘着性樹脂(I−1a)]
粘着剤組成物(I−4)における粘着性樹脂(I−1a)としては、粘着剤組成物(I−1)における粘着性樹脂(I−1a)と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−4)が含有する粘着性樹脂(I−1a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−4)において、粘着性樹脂(I−1a)の含有量は、5質量%以上99質量%以下であることが好ましく、10質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上90質量%以下であることが特に好ましい。
[架橋剤]
粘着性樹脂(I−1a)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I−4)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
粘着剤組成物(I−4)における架橋剤としては、粘着剤組成物(I−1)における架橋剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−4)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記粘着剤組成物(I−4)において、架橋剤の含有量は、粘着性樹脂(I−1a)の含有量100質量部に対して、0.01質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上20質量部以下であることがより好ましく、0.3質量部以上15質量部以下であることが特に好ましい。
[その他の添加剤]
粘着剤組成物(I−4)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I−1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−4)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−4)において、その他の添加剤の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
[溶媒]
粘着剤組成物(I−4)は、粘着剤組成物(I−1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−4)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−4)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−4)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいて、粘着剤層は非エネルギー線硬化性であることが好ましい。これは、樹脂膜形成用フィルムがエネルギー硬化性を有する場合において、粘着剤層がエネルギー線硬化性であると、エネルギー線の照射によって樹脂膜形成用フィルムを硬化させるときに、粘着剤層も同時に硬化するのを抑制できないことがあるためである。粘着剤層が樹脂膜形成用フィルムと同時に硬化してしまうと、硬化後の樹脂膜形成用フィルム及び粘着剤層がこれらの界面において剥離不能な程度に貼り付いてしまうことがある。その場合、樹脂膜を裏面に備えた半導体チップ(本明細書においては、「樹脂膜付き半導体チップ」と称することがある)を、硬化後の粘着剤層を備えた支持シートから剥離させることが困難となり、樹脂膜付き半導体チップを正常にピックアップできなくなってしまう。本発明における支持シートで、粘着剤層を非エネルギー線硬化性のものとすることで、このような不具合を確実に回避でき、樹脂膜付き半導体チップをより容易にピックアップできる。
ここでは、粘着剤層が非エネルギー線硬化性である場合の効果について説明したが、支持シートの樹脂膜形成用フィルムと直接接触している層が粘着剤層以外の層であっても、この層が非エネルギー線硬化性であれば、同様の効果を奏する。
<<粘着剤組成物の製造方法>>
粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)や、粘着剤組成物(I−4)等の粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の粘着剤組成物は、前記粘着剤と、必要に応じて前記粘着剤以外の成分等の、粘着剤組成物を構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
◎樹脂膜形成用フィルム
本発明において、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)に対する樹脂膜形成用フィルムの幅(TD方向の最大長さ)の比が0.55以上0.92以下である。比が上記範囲内であることにより、半導体ウエハを樹脂膜形成用複合シートごとダイシングブレードによってダイシングした後に、エキスパンド装置でシート全体をエキスパンドした際に、樹脂膜のない部分が存在するため、充分なカーフ幅が得られ、さらに、エキスパンド装置におけるトルクオーバーの発生を防ぐことができる。
また、エキスパンド後のピックアップの際に、半導体ウエハ外周に存在する樹脂膜が少ないため、樹脂膜の飛散を防止することができる。
なお、本発明においては、樹脂膜形成用フィルムが半導体ウエハ又は半導体チップに貼付した後であっても、支持シート及び樹脂膜形成用フィルムの積層構造が維持されている限り、この積層構造体を「樹脂膜形成用複合シート」と称する。
樹脂膜形成用フィルムは、硬化性を有していてよく、非硬化性を有していてもよい。
また、樹脂膜形成用フィルムが硬化性を有する場合、熱硬化性及びエネルギー線硬化性のいずれでもよい。
○熱硬化性樹脂膜形成用フィルム
好ましい熱硬化性樹脂膜形成用フィルムとしては、例えば、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有するものが挙げられる。重合体成分(A)は、重合性化合物が重合反応して形成されたとみなせる成分である。また、熱硬化性成分(B)は、熱を反応のトリガーとして、硬化(重合)反応し得る成分である。なお、本発明において重合反応には、重縮合反応も含まれる。
熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、上述の基材の場合と同様のことを意味する。そして、複数層が互いに異なる場合、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さは、1μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上75μm以下であることがより好ましく、5μm以上50μm以下であることが特に好ましい。熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムを保護膜として用いる場合において保護能がより高い樹脂膜を形成できる。また、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
ここで、「熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さ」とは、熱硬化性樹脂膜形成用フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さとは、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
熱硬化性樹脂膜形成用フィルムを半導体ウエハの裏面に貼付し、硬化させるときの硬化条件は、樹脂膜が十分にその機能を発揮する程度の硬化度となる限り特に限定されず、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの種類に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの硬化時の加熱温度は、100℃以上200℃以下であることが好ましく、110℃以上180℃以下であることがより好ましく、120℃以上170℃以下であることが特に好ましい。そして、前記硬化時の加熱時間は、0.5時間以上5時間以下であることが好ましく、0.5時間以上3時間以下であることがより好ましく、1時間以上2時間以下であることが特に好ましい。
<<熱硬化性樹脂膜形成用組成物>>
熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、その構成材料を含有する熱硬化性樹脂膜形成用組成物を用いて形成できる。例えば、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの形成対象面に熱硬化性樹脂膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に熱硬化性保護膜形成用フィルムを形成できる。熱硬化性樹脂膜形成用組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。ここで、「常温」とは、先に説明したとおりである。
熱硬化性樹脂膜形成用組成物の塗工は、例えば、上述の粘着剤組成物の塗工の場合と同じ方法で行うことができる。
熱硬化性樹脂膜形成用組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂膜形成用組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましく、この場合、例えば、70℃以上130℃以下で10秒以上5分以下の条件で乾燥させることが好ましい。
<熱硬化性樹脂膜形成用組成物(III−1)>
熱硬化性樹脂膜形成用組成物としては、例えば、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有する熱硬化性樹脂膜形成用組成物(III−1)(本明細書においては、単に「組成物(III−1)」と略記することがある)等が挙げられる。
[重合体成分(A)]
重合体成分(A)は、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムに造膜性や可撓性等を付与するための重合体化合物である。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する重合体成分(A)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
重合体成分(A)としては、例えば、アクリル系樹脂((メタ)アクリロイル基を有する樹脂)、ポリエステル、ウレタン系樹脂(ウレタン結合を有する樹脂)、アクリルウレタン樹脂、シリコーン系樹脂(シロキサン結合を有する樹脂)、ゴム系樹脂(ゴム構造を有する樹脂)、フェノキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド等が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
重合体成分(A)における前記アクリル系樹脂としては、公知のアクリル重合体が挙げられる。
アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000以上2000000以下であることが好ましく、100000以上1500000以下であることがより好ましい。アクリル系樹脂の重量平均分子量が前記下限値以上であることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの形状安定性(保管時の経時安定性)が向上する。また、アクリル系樹脂の重量平均分子量が前記上限値以下であることで、被着体の凹凸面へ熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが追従し易くなり、被着体と熱硬化性樹脂膜形成用フィルムとの間でボイド等の発生がより抑制される。
なお、本明細書において、重量平均分子量とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−60℃以上70℃以下であることが好ましく、−30℃以上50℃以下であることがより好ましい。アクリル系樹脂のTgが前記下限値以上であることで、樹脂膜と支持シート(粘着剤層)との接着力が抑制されて、支持シートの剥離性が向上する。また、アクリル系樹脂のTgが前記上限値以下であることで、樹脂膜の被着体との接着力が向上する。
アクリル系樹脂としては、例えば、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸エステルの重合体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン及びN−メチロールアクリルアミド等から選択される2種以上のモノマーの共重合体等が挙げられる。
アクリル系樹脂を構成する前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1〜18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イミド;
(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸N−メチルアミノエチル等の置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、「置換アミノ基」とは、アミノ基の1個又は2個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる基を意味する。
アクリル系樹脂は、例えば、前記(メタ)アクリル酸エステル以外に、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン及びN−メチロールアクリルアミド等から選択される1種又は2種以上のモノマーが共重合してなるものでもよい。
アクリル系樹脂を構成するモノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
アクリル系樹脂は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の他の化合物と結合可能な官能基を有していてもよい。アクリル系樹脂の前記官能基は、後述する架橋剤(F)を介して他の化合物と結合してもよいし、架橋剤(F)を介さずに他の化合物と直接結合していてもよい。アクリル系樹脂が前記官能基により他の化合物と結合することで、樹脂膜形成用複合シートを用いて得られたパッケージの信頼性が向上する傾向がある。
本発明においては、重合体成分(A)として、アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂(以下、単に「熱可塑性樹脂」と略記することがある)を、アクリル系樹脂を用いずに単独で用いてもよいし、アクリル系樹脂と併用してもよい。前記熱可塑性樹脂を用いることで、樹脂膜の支持シートからの剥離性が向上したり、被着体の凹凸面へ熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが追従し易くなり、被着体と熱硬化性樹脂膜形成用フィルムとの間でボイド等の発生がより抑制されることがある。
前記熱可塑性樹脂の重量平均分子量は1000以上100000以下であることが好ましく、3000以上80000以下であることがより好ましい。ここで、「重量平均分子量」とは、先に説明したとおりである。
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−30以上150℃以下であることが好ましく、−20以上120℃以下であることがより好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、フェノキシ樹脂、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレン等が挙げられる。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する前記熱可塑性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(III−1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する重合体成分(A)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの重合体成分(A)の含有量)は、重合体成分(A)の種類によらず、5質量%以上85質量%以下であることが好ましく、5質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
重合体成分(A)は、熱硬化性成分(B)にも該当する場合がある。本発明においては、組成物(III−1)が、このような重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)の両方に該当する成分を含有する場合、組成物(III−1)は、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有するとみなす。
[熱硬化性成分(B)]
熱硬化性成分(B)は、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムを硬化させて、硬質の樹脂膜を形成するための成分である。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する熱硬化性成分(B)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
熱硬化性成分(B)としては、例えば、エポキシ系熱硬化性樹脂、熱硬化性ポリイミド、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂等が挙げられ、エポキシ系熱硬化性樹脂が好ましい。
(エポキシ系熱硬化性樹脂)
エポキシ系熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)からなる。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有するエポキシ系熱硬化性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
・エポキシ樹脂(B1)
エポキシ樹脂(B1)としては、公知のものが挙げられ、例えば、多官能系エポキシ樹脂、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂等、2官能以上のエポキシ化合物が挙げられる。
エポキシ樹脂(B1)としては、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を用いてもよい。不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂は、不飽和炭化水素基を有しないエポキシ樹脂よりもアクリル系樹脂との相溶性が高い。そのため、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を用いることで、樹脂膜形成用複合シートを用いて得られた樹脂膜付き半導体チップの信頼性が向上する。
不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、多官能系エポキシ樹脂のエポキシ基の一部が不飽和炭化水素基を有する基に変換されてなる化合物が挙げられる。このような化合物は、例えば、エポキシ基へ(メタ)アクリル酸又はその誘導体を付加反応させることにより得られる。
また、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を構成する芳香環等に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合した化合物等が挙げられる。
不飽和炭化水素基は、重合性を有する不飽和基であり、その具体的な例としては、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基等が挙げられ、アクリロイル基が好ましい。
エポキシ樹脂(B1)の数平均分子量は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの硬化性、並びに硬化後の樹脂膜の強度及び耐熱性の点から、300以上30000以下であることが好ましく、300以上10000以下であることがより好ましく、300以上3000以下であることが特に好ましい。
エポキシ樹脂(B1)のエポキシ当量は、100g/eq以上1000g/eq以下であることが好ましく、150g/eq以上950g/eq以下であることがより好ましい。
エポキシ樹脂(B1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
・熱硬化剤(B2)
熱硬化剤(B2)は、エポキシ樹脂(B1)に対する硬化剤として機能する。
熱硬化剤(B2)としては、例えば、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。前記官能基としては、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシ基、酸基が無水物化された基等が挙げられ、フェノール性水酸基、アミノ基、又は酸基が無水物化された基であることが好ましく、フェノール性水酸基又はアミノ基であることがより好ましい。
熱硬化剤(B2)のうち、フェノール性水酸基を有するフェノール系硬化剤としては、例えば、多官能フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)のうち、アミノ基を有するアミン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(以下、「DICY」と略記することがある)等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)は、不飽和炭化水素基を有するものでもよい。
不飽和炭化水素基を有する熱硬化剤(B2)としては、例えば、フェノール樹脂の水酸基の一部が、不飽和炭化水素基を有する基で置換されてなる化合物、フェノール樹脂の芳香環に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合してなる化合物等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)における前記不飽和炭化水素基は、上述の不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂における不飽和炭化水素基と同様のものである。
熱硬化剤(B2)としてフェノール系硬化剤を用いる場合には、樹脂膜の支持シートからの剥離性が向上する点から、熱硬化剤(B2)は軟化点又はガラス転移温度が高いものが好ましい。
熱硬化剤(B2)のうち、例えば、多官能フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂等の樹脂成分の数平均分子量は、300以上30000以下であることが好ましく、400以上10000以下であることがより好ましく、500以上3000以下であることが特に好ましい。
熱硬化剤(B2)のうち、例えば、ビフェノール、ジシアンジアミド等の非樹脂成分の分子量は、特に限定されないが、例えば、60以上500以下であることが好ましい。
熱硬化剤(B2)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムにおいて、熱硬化剤(B2)の含有量は、エポキシ樹脂(B1)の含有量100質量部に対して、0.1質量部以上500質量部以下であることが好ましく、1質量部以上200質量部以下であることがより好ましい。熱硬化剤(B2)の前記含有量が前記下限値以上であることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの硬化がより進行し易くなる。また、熱硬化剤(B2)の前記含有量が前記上限値以下であることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの吸湿率が低減されて、樹脂膜形成用複合シートを用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムにおいて、熱硬化性成分(B)の含有量(例えば、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)の総含有量)は、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、20質量部以上500質量部以下であることが好ましく、30質量部以上300質量部以下であることがより好ましく、40質量部以上150質量部以下であることが特に好ましい。熱硬化性成分(B)の前記含有量がこのような範囲であることで、樹脂膜と支持シートとの接着力が抑制されて、支持シートの剥離性が向上する。
[硬化促進剤(C)]
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、硬化促進剤(C)を含有していてもよい。硬化促進剤(C)は、組成物(III−1)の硬化速度を調整するための成分である。
好ましい硬化促進剤(C)としては、例えば、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類(1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されたイミダゾール);トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類(1個以上の水素原子が有機基で置換されたホスフィン);テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する硬化促進剤(C)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
硬化促進剤(C)を用いる場合、組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムにおいて、硬化促進剤(C)の含有量は、熱硬化性成分(B)の含有量100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上7質量部以下であることがより好ましい。硬化促進剤(C)の前記含有量が前記下限値以上であることで、硬化促進剤(C)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、硬化促進剤(C)の含有量が前記上限値以下であることで、例えば、高極性の硬化促進剤(C)が、高温・高湿度条件下で熱硬化性樹脂膜形成用フィルム中において被着体との接着界面側に移動して偏析することを抑制する効果が高くなり、樹脂膜形成用複合シートを用いて得られた樹脂膜付き半導体チップの信頼性がより向上する。
[充填材(D)]
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、充填材(D)を含有していてもよい。熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが充填材(D)を含有することにより、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムを硬化して得られた樹脂膜は、熱膨張係数の調整が容易となり、この熱膨張係数を樹脂膜の形成対象物に対して最適化することで、樹脂膜形成用複合シートを用いて得られた樹脂膜付き半導体チップの信頼性がより向上する。また、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが充填材(D)を含有することにより、樹脂膜の吸湿率を低減したり、放熱性を向上させたりすることもできる。
充填材(D)は、有機充填材及び無機充填材のいずれでもよいが、無機充填材であることが好ましい。
好ましい無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化ケイ素、窒化ホウ素等の粉末;これら無機充填材を球形化したビーズ;これら無機充填材の表面改質品;これら無機充填材の単結晶繊維;ガラス繊維等が挙げられる。
これらの中でも、無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましい。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する充填材(D)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
充填材(D)を用いる場合、組成物(III−1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材(D)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの充填材(D)の含有量)は、5質量%以上80質量%以下であることが好ましく、7質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。充填材(D)の含有量がこのような範囲であることで、上記の熱膨張係数の調整がより容易となる。
[カップリング剤(E)]
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、カップリング剤(E)を含有していてもよい。カップリング剤(E)として、無機化合物又は有機化合物と反応可能な官能基を有するものを用いることにより、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの被着体に対する接着性及び密着性を向上させることができる。また、カップリング剤(E)を用いることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムを硬化して得られた膜は、耐熱性を損なうことなく、耐水性が向上する。
カップリング剤(E)は、重合体成分(A)、熱硬化性成分(B)等が有する官能基と反応可能な官能基を有する化合物であることが好ましく、シランカップリング剤であることがより好ましい。
好ましい前記シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有するカップリング剤(E)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
カップリング剤(E)を用いる場合、組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムにおいて、カップリング剤(E)の含有量は、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)の総含有量100質量部に対して、0.03質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以上5質量部以下であることが特に好ましい。カップリング剤(E)の前記含有量が前記下限値以上であることで、充填材(D)の樹脂への分散性の向上や、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの被着体との接着性の向上など、カップリング剤(E)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、カップリング剤(E)の前記含有量が前記上限値以下であることで、アウトガスの発生がより抑制される。
[架橋剤(F)]
重合体成分(A)として、上述のアクリル系樹脂等の、他の化合物と結合可能なビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の官能基を有するものを用いる場合、組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、前記官能基を他の化合物と結合させて架橋するための架橋剤(F)を含有していてもよい。架橋剤(F)を用いて架橋することにより、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの初期接着力及び凝集力を調節できる。
架橋剤(F)としては、例えば、有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物、金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤)、アジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤)等が挙げられる。
前記有機多価イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物及び脂環族多価イソシアネート化合物(以下、これら化合物をまとめて「芳香族多価イソシアネート化合物等」と略記することがある);前記芳香族多価イソシアネート化合物等の三量体、イソシアヌレート体及びアダクト体;前記芳香族多価イソシアネート化合物等とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。前記「アダクト体」は、前記芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物又は脂環族多価イソシアネート化合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物を意味し、その例としては、後述するようなトリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物等が挙げられる。また、「末端イソシアネートウレタンプレポリマー」とは、先に説明したとおりである。
前記有機多価イソシアネート化合物として、より具体的には、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート;2,6−トリレンジイソシアネート;1,3−キシリレンジイソシアネート;1,4−キシレンジイソシアネート;ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート;ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート;3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート;トリメチロールプロパン等のポリオールのすべて又は一部の水酸基に、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネートのいずれか1種又は2種以上が付加した化合物;リジンジイソシアネート等が挙げられる。
前記有機多価イミン化合物としては、例えば、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。
架橋剤(F)として有機多価イソシアネート化合物を用いる場合、重合体成分(A)としては、水酸基含有重合体を用いることが好ましい。架橋剤(F)がイソシアネート基を有し、重合体成分(A)が水酸基を有する場合、架橋剤(F)と重合体成分(A)との反応によって、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムに架橋構造を簡便に導入できる。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する架橋剤(F)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
架橋剤(F)を用いる場合、組成物(III−1)において、架橋剤(F)の含有量は、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上5質量部以下であることが特に好ましい。架橋剤(F)の前記含有量が前記下限値以上であることで、架橋剤(F)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、架橋剤(F)の前記含有量が前記上限値以下であることで、架橋剤(F)の過剰使用が抑制される。
[エネルギー線硬化性樹脂(G)]
組成物(III−1)は、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有していてもよい。熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有していることにより、エネルギー線の照射によって特性を変化させることができる。
エネルギー線硬化性樹脂(G)は、エネルギー線硬化性化合物を重合(硬化)して得られたものである。
前記エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、分子内に少なくとも1個の重合性二重結合を有する化合物が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物が好ましい。
前記アクリレート系化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の鎖状脂肪族骨格含有(メタ)アクリレート;ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート等の環状脂肪族骨格含有(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;オリゴエステル(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー;エポキシ変性(メタ)アクリレート;前記ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート以外のポリエーテル(メタ)アクリレート;イタコン酸オリゴマー等が挙げられる。
前記エネルギー線硬化性化合物の重量平均分子量は、100以上30000以下であることが好ましく、300以上10000以下であることがより好ましい。ここで、「重量平均分子量」とは、先に説明したとおりである。
重合に用いる前記エネルギー線硬化性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(III−1)が含有するエネルギー線硬化性樹脂(G)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(III−1)において、エネルギー線硬化性樹脂(G)の含有量は、1質量%以上95質量%以下であることが好ましく、5質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上85質量%以下であることが特に好ましい。
[光重合開始剤(H)]
組成物(III−1)は、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有する場合、エネルギー線硬化性樹脂(G)の重合反応を効率よく進めるために、光重合開始剤(H)を含有していてもよい。
組成物(III−1)における光重合開始剤(H)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のアセトフェノン化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;ベンジルフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のスルフィド化合物;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール化合物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;チタノセン等のチタノセン化合物;チオキサントン等のチオキサントン化合物;パーオキサイド化合物;ジアセチル等のジケトン化合物;ベンジル;ジベンジル;ベンゾフェノン;2,4−ジエチルチオキサントン;1,2−ジフェニルメタン;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン;2−クロロアントラキノン等が挙げられる。
また、前記光重合開始剤としては、例えば、1−クロロアントラキノン等のキノン化合物;アミン等の光増感剤等も挙げられる。
組成物(III−1)が含有する光重合開始剤(H)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(III−1)において、光重合開始剤(H)の含有量は、エネルギー線硬化性樹脂(G)の含有量100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、1質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、2質量部以上5質量部以下であることが特に好ましい。
[着色剤(I)]
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、着色剤(I)を含有していてもよい。
着色剤(I)としては、例えば、無機系顔料、有機系顔料、有機系染料等、公知のものが挙げられる。
前記有機系顔料及び有機系染料としては、例えば、アミニウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、アズレニウム系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、ピリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ナフトラクタム系色素、アゾ系色素、縮合アゾ系色素、インジゴ系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、ジオキサジン系色素、キナクリドン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、ピロール系色素、チオインジゴ系色素、金属錯体系色素(金属錯塩染料)、ジチオール金属錯体系色素、インドールフェノール系色素、トリアリルメタン系色素、アントラキノン系色素、ナフトール系色素、アゾメチン系色素、ベンズイミダゾロン系色素、ピランスロン系色素及びスレン系色素等が挙げられる。
前記無機系顔料としては、例えば、カーボンブラック、コバルト系色素、鉄系色素、クロム系色素、チタン系色素、バナジウム系色素、ジルコニウム系色素、モリブデン系色素、ルテニウム系色素、白金系色素、ITO(インジウムスズオキサイド)系色素、ATO(アンチモンスズオキサイド)系色素等が挙げられる。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する着色剤(I)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
着色剤(I)を用いる場合、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの着色剤(I)の含有量は、目的に応じて適宜調節すればよい。例えば、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの着色剤(I)の含有量を調節し、樹脂膜の光透過性を調節することにより、樹脂膜に対してレーザー印字を行った場合の印字視認性を調節できる。また、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの着色剤(I)の含有量を調節することで、樹脂膜の意匠性を向上させたり、半導体ウエハの裏面の研削痕を見え難くすることもできる。これの点を考慮すると、組成物(III−1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する着色剤(I)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの着色剤(I)の含有量)は、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上7.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。着色剤(I)の前記含有量が前記下限値以上であることで、着色剤(I)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、着色剤(I)の前記含有量が前記上限値以下であることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの光透過性の過度な低下が抑制される。
[汎用添加剤(J)]
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲内において、汎用添加剤(J)を含有していてもよい。
汎用添加剤(J)は、公知のものでよく、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ゲッタリング剤等が挙げられる。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する汎用添加剤(J)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの汎用添加剤(J)の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
[溶媒]
組成物(III−1)は、さらに溶媒を含有することが好ましい。溶媒を含有する組成物(III−1)は、取り扱い性が良好となる。
前記溶媒は特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソブチルアルコール(2−メチルプロパン−1−オール)、1−ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。
組成物(III−1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(III−1)が含有する溶媒は、組成物(III−1)中の含有成分をより均一に混合できる点から、メチルエチルケトン等であることが好ましい。
<<熱硬化性樹脂膜形成用組成物の製造方法>>
組成物(III−1)等の熱硬化性樹脂膜形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15℃以上30℃以下であることが好ましい。
○エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルム
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性成分(a)を含有する。
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムにおいて、エネルギー線硬化性成分(a)は、未硬化であることが好ましく、粘着性を有することが好ましく、未硬化でかつ粘着性を有することがより好ましい。ここで、「エネルギー線」及び「エネルギー線硬化性」とは、先に説明したとおりである。
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよく、複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さは、1μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上75μm以下であることがより好ましく、5μm以上50μm以下であることが特に好ましい。エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムを保護膜として用いる場合において保護能がより高い樹脂膜を形成できる。また、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
ここで、「エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さ」とは、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなるエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さとは、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムを半導体ウエハの裏面に貼付し、硬化させて、樹脂膜を形成するときの硬化条件は、樹脂膜が十分にその機能を発揮する程度の硬化度となる限り特に限定されず、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの種類に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの硬化時における、エネルギー線の照度は、120mW/cm以上280mW/cm以下であることが好ましい。そして、前記硬化時における、エネルギー線の光量は、200mJ/cm以上1000mJ/cm以下であることが好ましい。
<<エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物>>
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは、その構成材料を含有するエネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物を用いて形成できる。例えば、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの形成対象面にエネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位にエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムを形成できる。エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。ここで、「常温」とは、先に説明したとおりである。
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物の塗工は、例えば、上述の粘着剤組成物の塗工の場合と同じ方法で行うことができる。
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましく、この場合、例えば、70℃以上130℃以下で10秒以上5分以下の条件で乾燥させることが好ましい。
<エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物(IV−1)>
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物としては、例えば、前記エネルギー線硬化性成分(a)を含有するエネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物(IV−1)(本明細書においては、単に「組成物(IV−1)」と略記することがある)等が挙げられる。
[エネルギー線硬化性成分(a)]
エネルギー線硬化性成分(a)は、エネルギー線の照射によって硬化する成分であり、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムに造膜性や、可撓性等を付与するとともに、硬化後に硬質の樹脂膜を形成するための成分でもある。
エネルギー線硬化性成分(a)としては、例えば、エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000以上2000000以下の重合体(a1)、及びエネルギー線硬化性基を有する、分子量が100以上80000以下の化合物(a2)が挙げられる。前記重合体(a1)は、その少なくとも一部が架橋剤によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
(エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000以上2000000以下の重合体(a1))
エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000以上2000000以下の重合体(a1)としては、例えば、他の化合物が有する基と反応可能な官能基を有するアクリル系重合体(a11)と、前記官能基と反応する基、及びエネルギー線硬化性二重結合等のエネルギー線硬化性基を有するエネルギー線硬化性化合物(a12)と、が反応してなるアクリル系樹脂(a1−1)が挙げられる。
他の化合物が有する基と反応可能な前記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、置換アミノ基(アミノ基の1個又は2個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる基)、エポキシ基等が挙げられる。ただし、半導体ウエハや半導体チップ等の回路の腐食を防止するという点では、前記官能基はカルボキシ基以外の基であることが好ましい。
これらの中でも、前記官能基は、水酸基であることが好ましい。
・官能基を有するアクリル系重合体(a11)
前記官能基を有するアクリル系重合体(a11)としては、例えば、前記官能基を有するアクリル系モノマーと、前記官能基を有しないアクリル系モノマーと、が共重合してなるものが挙げられ、これらモノマー以外に、さらにアクリル系モノマー以外のモノマー(非アクリル系モノマー)が共重合したものであってもよい。
また、前記アクリル系重合体(a11)は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよく、重合方法についても公知の方法を採用できる。
前記官能基を有するアクリル系モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、置換アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
前記水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;ビニルアルコール、アリルアルコール等の非(メタ)アクリル系不飽和アルコール((メタ)アクリロイル骨格を有しない不飽和アルコール)等が挙げられる。
前記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するモノカルボン酸);フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸);前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物;2−カルボキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステル等が挙げられる。
前記官能基を有するアクリル系モノマーは、水酸基含有モノマーが好ましい。
前記アクリル系重合体(a11)を構成する、前記官能基を有するアクリル系モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記官能基を有しないアクリル系モノマーとしては、例えば、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1〜18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
また、前記官能基を有しないアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル等を含む、芳香族基を有する(メタ)アクリル酸エステル;非架橋性の(メタ)アクリルアミド及びその誘導体;(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル等の非架橋性の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等も挙げられる。
前記アクリル系重合体(a11)を構成する、前記官能基を有しないアクリル系モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記非アクリル系モノマーとしては、例えば、エチレン、ノルボルネン等のオレフィン;酢酸ビニル;スチレン等が挙げられる。
前記アクリル系重合体(a11)を構成する前記非アクリル系モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記アクリル系重合体(a11)において、これを構成する構成単位の全量に対する、前記官能基を有するアクリル系モノマーから誘導された構成単位の量の割合(含有量)は、0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜40質量%であることがより好ましく、3〜30質量%であることが特に好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、前記アクリル系重合体(a11)と前記エネルギー線硬化性化合物(a12)との共重合によって得られた前記アクリル系樹脂(a1−1)において、エネルギー線硬化性基の含有量は、樹脂膜の硬化の程度を好ましい範囲に容易に調節可能となる。
前記アクリル系樹脂(a1−1)を構成する前記アクリル系重合体(a11)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(IV−1)において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、アクリル系樹脂(a1−1)の含有量の割合(すなわち、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムのアクリル系樹脂(a1−1)の含有量)は、1質量%以上70質量%以下であることが好ましく、5質量%以上60質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上50質量%以下であることが特に好ましい。
・エネルギー線硬化性化合物(a12)
前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、前記アクリル系重合体(a11)が有する官能基と反応可能な基として、イソシアネート基、エポキシ基、及びカルボキシ基からなる群より選択される1種又は2種以上を有するものが好ましく、前記基としてイソシアネート基を有するものがより好ましい。前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、例えば、前記基としてイソシアネート基を有する場合、このイソシアネート基が、前記官能基として水酸基を有するアクリル系重合体(a11)のこの水酸基と容易に反応する。
前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、1分子中に前記エネルギー線硬化性基を1個以上5個以下有することが好ましく、1個以上3個以下有することがより好ましい。
前記エネルギー線硬化性化合物(a12)としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート;
ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;
ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物等が挙げられる。
これらの中でも、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートであることが好ましい。
前記アクリル系樹脂(a1−1)を構成する前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記アクリル系樹脂(a1−1)において、前記アクリル系重合体(a11)に由来する前記官能基の含有量に対する、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)に由来するエネルギー線硬化性基の含有量の割合は、20モル%以上120モル%以下であることが好ましく、35モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、50モル%以上100モル%以下であることが特に好ましい。前記含有量の割合がこのような範囲であることで、硬化後の樹脂膜の接着力がより大きくなる。なお、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)が一官能(前記基を1分子中に1個有する)化合物である場合には、前記含有量の割合の上限値は100モル%となるが、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)が多官能(前記基を1分子中に2個以上有する)化合物である場合には、前記含有量の割合の上限値は100モル%を超えることがある。
前記重合体(a1)の重量平均分子量(Mw)は、100000以上2000000以下であることが好ましく、300000以上1500000以下であることがより好ましい。
ここで、「重量平均分子量」とは、先に説明したとおりである。
前記重合体(a1)が、その少なくとも一部が架橋剤によって架橋されたものである場合、前記重合体(a1)は、前記アクリル系重合体(a11)を構成するものとして説明した、上述のモノマーのいずれにも該当せず、かつ架橋剤と反応する基を有するモノマーが重合して、前記架橋剤と反応する基において架橋されたものであってもよいし、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)に由来する、前記官能基と反応する基において、架橋されたものであってもよい。
組成物(IV−1)及びエネルギー線硬化性保護膜形成用フィルムが含有する前記重合体(a1)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
(エネルギー線硬化性基を有する、分子量が100以上80000以下の化合物(a2))
エネルギー線硬化性基を有する、分子量が100以上80000以下の化合物(a2)が有するエネルギー線硬化性基としては、エネルギー線硬化性二重結合を含む基が挙げられ、好ましいものとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
前記化合物(a2)は、上記の条件を満たすものであれば、特に限定されないが、エネルギー線硬化性基を有する低分子量化合物、エネルギー線硬化性基を有するエポキシ樹脂、エネルギー線硬化性基を有するフェノール樹脂等が挙げられる。
前記化合物(a2)のうち、エネルギー線硬化性基を有する低分子量化合物としては、例えば、多官能のモノマー又はオリゴマー等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物が好ましい。
前記アクリレート系化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル]プロパン、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン等の2官能(メタ)アクリレート;
トリス(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等の多官能(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。
前記化合物(a2)のうち、エネルギー線硬化性基を有するエポキシ樹脂、エネルギー線硬化性基を有するフェノール樹脂としては、例えば、「特開2013−194102号公報」の段落0043等に記載されているものを用いることができる。このような樹脂は、後述する熱硬化性成分を構成する樹脂にも該当するが、本発明においては前記化合物(a2)として取り扱う。
前記化合物(a2)は、重量平均分子量が100以上30000以下であることが好ましく、300以上10000以下であることがより好ましい。ここで、「重量平均分子量」とは、先に説明したとおりである。
組成物(IV−1)及びエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する前記化合物(a2)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)]
組成物(IV−1)及びエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは、前記エネルギー線硬化性成分(a)として前記化合物(a2)を含有する場合、さらにエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)も含有することが好ましい。
前記重合体(b)は、その少なくとも一部が架橋剤によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、例えば、アクリル系重合体、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、ゴム系樹脂、アクリルウレタン樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、前記重合体(b)は、アクリル系重合体(以下、「アクリル系重合体(b−1)」と略記することがある)であることが好ましい。
アクリル系重合体(b−1)は、公知のものでよく、例えば、1種のアクリル系モノマーの単独重合体であってもよいし、2種以上のアクリル系モノマーの共重合体であってもよいし、1種又は2種以上のアクリル系モノマーと、1種又は2種以上のアクリル系モノマー以外のモノマー(非アクリル系モノマー)と、の共重合体であってもよい。
アクリル系重合体(b−1)を構成する前記アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、「置換アミノ基」とは、先に説明したとおりである。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1〜18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
前記環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル等が挙げられる。
前記グリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。
前記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。
前記置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸N−メチルアミノエチル等が挙げられる。
アクリル系重合体(b−1)を構成する前記非アクリル系モノマーとしては、例えば、エチレン、ノルボルネン等のオレフィン;酢酸ビニル;スチレン等が挙げられる。
少なくとも一部が架橋剤によって架橋された、前記エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、例えば、前記重合体(b)中の反応性官能基が架橋剤と反応したものが挙げられる。
前記反応性官能基は、架橋剤の種類等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。例えば、架橋剤がポリイソシアネート化合物である場合には、前記反応性官能基としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられ、これらの中でも、イソシアネート基との反応性が高い水酸基が好ましい。また、架橋剤がエポキシ系化合物である場合には、前記反応性官能基としては、カルボキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられ、これらの中でもエポキシ基との反応性が高いカルボキシ基が好ましい。ただし、半導体ウエハや半導体チップの回路の腐食を防止するという点では、前記反応性官能基はカルボキシ基以外の基であることが好ましい。
前記反応性官能基を有する、エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、例えば、少なくとも前記反応性官能基を有するモノマーを重合させて得られたものが挙げられる。アクリル系重合体(b−1)の場合であれば、これを構成するモノマーとして挙げた、前記アクリル系モノマー及び非アクリル系モノマーのいずれか一方又は両方として、前記反応性官能基を有するものを用いればよい。例えば、反応性官能基として水酸基を有する前記重合体(b)としては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを重合して得られたものが挙げられ、これ以外にも、先に挙げた前記アクリル系モノマー又は非アクリル系モノマーにおいて、1個又は2個以上の水素原子が前記反応性官能基で置換されてなるモノマーを重合して得られたものが挙げられる。
反応性官能基を有する前記重合体(b)において、これを構成する構成単位の全量に対する、反応性官能基を有するモノマーから誘導された構成単位の量の割合(含有量)は、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、2質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、前記重合体(b)において、架橋の程度がより好ましい範囲となる。
エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の重量平均分子量(Mw)は、組成物(IV−1)の造膜性がより良好となる点から、10000以上2000000以下であることが好ましく、100000以上1500000以下であることがより好ましい。ここで、「重量平均分子量」とは、先に説明したとおりである。
組成物(IV−1)及びエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する、エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(IV−1)としては、前記重合体(a1)及び前記化合物(a2)のいずれか一方又は両方を含有するものが挙げられる。そして、組成物(IV−1)は、前記化合物(a2)を含有する場合、さらにエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)も含有することが好ましく、この場合、さらに前記(a1)を含有することも好ましい。また、組成物(IV−1)は、前記化合物(a2)を含有せず、前記重合体(a1)、及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)をともに含有していてもよい。
組成物(IV−1)が、前記重合体(a1)、前記化合物(a2)、及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)を含有する場合、組成物(IV−1)において、前記化合物(a2)の含有量は、前記重合体(a1)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の総含有量100質量部に対して、10質量部以上400質量部以下であることが好ましく、30質量部以上350質量部以下であることがより好ましい。
組成物(IV−1)において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、前記エネルギー線硬化性成分(a)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の合計含有量の割合(すなわち、エネルギー線硬化性保護膜形成用フィルムの前記エネルギー線硬化性成分(a)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の合計含有量)は、5質量%以上90質量%以下であることが好ましく、10質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上70質量%以下であることが特に好ましい。エネルギー線硬化性成分の含有量の前記割合がこのような範囲であることで、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムのエネルギー線硬化性がより良好となる。
組成物(IV−1)は、前記エネルギー線硬化性成分以外に、目的に応じて、熱硬化性成分、充填材、カップリング剤、架橋剤、光重合開始剤、着色剤、及び汎用添加剤からなる群より選択される1種又は2種以上を含有していてもよい。例えば、前記エネルギー線硬化性成分及び熱硬化性成分を含有する組成物(IV−1)を用いることにより、形成されるエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは、加熱によって被着体に対する接着力が向上し、このエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムから形成された保護膜の強度も向上する。
組成物(IV−1)における前記熱硬化性成分、充填材、カップリング剤、架橋剤、光重合開始剤、着色剤、及び汎用添加剤としては、それぞれ、組成物(III−1)における熱硬化性成分(B)、充填材(D)、カップリング剤(E)、架橋剤(F)、光重合開始剤(H)、着色剤(I)及び汎用添加剤(J)と同じものが挙げられる。
組成物(IV−1)において、前記熱硬化性成分、充填材、カップリング剤、架橋剤、光重合開始剤、着色剤、及び汎用添加剤は、それぞれ、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(IV−1)における前記熱硬化性成分、充填材、カップリング剤、架橋剤、光重合開始剤、着色剤、及び汎用添加剤の含有量は、目的に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。
組成物(IV−1)は、希釈によってその取り扱い性が向上することから、さらに溶媒を含有するものが好ましい。
組成物(IV−1)が含有する溶媒としては、例えば、組成物(III−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
組成物(IV−1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
<<エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物の製造方法>>
組成物(IV−1)等のエネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15℃以上30℃以下であることが好ましい。
○非硬化性樹脂膜形成用フィルム
好ましい非硬化性樹脂膜形成用フィルムとしては、例えば、非硬化性成分(c)を含有する。非硬化性樹脂膜形成用フィルムにおいて、非硬化性成分(c)は、硬化性を有さず、支持シートへの粘着性、及び半導体ウエハ又はチップを保護するために適度な硬度を有することが好ましい。ここで、「非硬化性」とは、先に説明したとおりである。
非硬化性樹脂膜形成用フィルムは1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよく、複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
非硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さは、1μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上75μm以下であることがより好ましく、5μm以上50μm以下であることが特に好ましい。非硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、非硬化性樹脂膜形成用フィルムを保護膜として用いる場合において保護能がより高い樹脂膜を形成できる。また、非硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
ここで、「非硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さ」とは、非硬化性樹脂膜形成用フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる非硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さとは、非硬化性樹脂膜形成用フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
<<非硬化性樹脂膜形成用組成物>>
非硬化性樹脂膜形成用フィルムは、その構成材料を含有する非硬化性樹脂膜形成用組成物を用いて形成できる。例えば、非硬化性樹脂膜形成用フィルムの形成対象面に非硬化性樹脂膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に非硬化性樹脂膜形成用フィルムを形成できる。非硬化性樹脂膜形成用組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、非硬化性樹脂膜形成用フィルムの前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。ここで、「常温」とは、先に説明したとおりである。
非硬化性樹脂膜形成用組成物の塗工は、例えば、上述の粘着剤組成物の塗工の場合と同じ方法で行うことができる。
非硬化性樹脂膜形成用組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、非硬化性樹脂膜形成用組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましく、この場合、例えば、70℃以上130℃以下で10秒以上5分以下の条件で乾燥させることが好ましい。
<非硬化性樹脂膜形成用組成物(V−1)>
非硬化性樹脂膜形成用組成物としては、例えば、前記非硬化性成分(c)を含有する非硬化性樹脂膜形成用組成物(V−1)(本明細書においては、単に「組成物(V−1)」と略記することがある)等が挙げられる。
非硬化性成分(c)としては、アクリル系重合体等が挙げられ、これらに限定されない。
組成物(V−1)は、前記非硬化性成分(c)以外に、目的に応じて、充填材、カップリング剤、架橋剤、着色剤、及び汎用添加剤からなる群より選択される1種又は2種以上を含有していてもよい。
組成物(V−1)における前記充填材、カップリング剤、架橋剤、着色剤、及び汎用添加剤としては、それぞれ、組成物(III−1)における充填材(D)、カップリング剤(E)、架橋剤(F)、着色剤(I)及び汎用添加剤(J)と同じものが挙げられる。
組成物(V−1)において、前記充填材、カップリング剤、架橋剤、着色剤、及び汎用添加剤は、それぞれ、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(V−1)における前記充填材、カップリング剤、架橋剤、着色剤、及び汎用添加剤の含有量は、目的に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。
組成物(V−1)は、希釈によってその取り扱い性が向上することから、さらに溶媒を含有するものが好ましい。
組成物(V−1)が含有する溶媒としては、例えば、組成物(III−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
組成物(V−1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
<<非硬化性樹脂膜形成用組成物の製造方法>>
組成物(V−1)等の非硬化性樹脂膜形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15℃以上30℃以下であることが好ましい。
◇樹脂膜形成用複合シートの製造方法
前記樹脂膜形成用複合シートは、上述の各層を対応する位置関係及び上述の支持シートの幅(TD方向の最大長さ)に対する樹脂膜形成用フィルムの幅(TD方向の最大長さ)の比となるように順次積層することで製造できる。各層の形成方法は、先に説明したとおりである。
例えば、樹脂膜形成用複合シートを製造するときに、基材上に積層済みの粘着剤層の上に、さらに樹脂膜形成用フィルムを積層する場合には、粘着剤層上に、熱硬化性樹脂膜形成用組成物、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物、又は非硬化性樹脂膜形成用組成物を塗工して、樹脂膜形成用フィルムを直接形成することが可能である。このように、いずれかの組成物を用いて、連続する2層の積層構造を形成する場合には、前記組成物から形成された層の上に、さらに組成物を塗工して新たに層を形成することが可能である。ただし、これら2層のうちの後から積層する層は、別の剥離フィルム上に前記組成物を用いてあらかじめ形成しておき、この形成済みの層の前記剥離フィルムと接触している側とは反対側の露出面を、既に形成済みの残りの層の露出面と貼り合わせることで、連続する2層の積層構造を形成することが好ましい。このとき、前記組成物は、剥離フィルムの剥離処理面に塗工することが好ましい。剥離フィルムは、積層構造の形成後、必要に応じて取り除けばよい。
すなわち、樹脂膜形成用複合シートを製造する場合には、基材上に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、基材上に粘着剤層を積層しておき、別途、剥離フィルム上に熱硬化性樹脂膜形成用組成物、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物、又は非硬化性樹脂膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム上に樹脂膜形成用フィルムを形成しておき、この樹脂膜形成用フィルムの露出面を、基材上に積層済みの粘着剤層の露出面と貼り合わせて、樹脂膜形成用フィルムを粘着剤層上に積層することで、樹脂膜形成用複合シートが得られる。
一方、基材上に粘着剤層を積層する場合には、上述の様に、基材上に粘着剤組成物を塗工する方法に代えて、剥離フィルム上に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム上に粘着剤層を形成しておき、この粘着剤層の露出面を、基材の一方の表面と貼り合わせることで、粘着剤層を基材上に積層してもよい。
いずれの方法においても、剥離フィルムは目的とする積層構造を形成後の任意のタイミングで取り除けばよい。
このように、樹脂膜形成用複合シートを構成する基材以外の層(粘着剤層、樹脂膜形成用フィルム)はいずれも、剥離フィルム上にあらかじめ形成しておき、目的とする層の表面に貼り合わせる方法で積層できるため、必要に応じてこのような工程を採用する層を適宜選択して、樹脂膜形成用複合シートを製造すればよい。
なお、樹脂膜形成用複合シートは、通常、その支持シートとは反対側の最表層(例えば、樹脂膜形成用フィルム)の表面に剥離フィルムが貼り合わされた状態で保管される。したがって、この剥離フィルム(好ましくはその剥離処理面)上に、熱硬化性樹脂膜形成用組成物、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物、又は非硬化性樹脂膜形成用組成物等の、最表層を構成する層を形成するための組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム上に最表層を構成する層を形成しておき、この層の剥離フィルムと接触している側とは反対側の露出面上に残りの各層を上述のいずれかの方法で積層し、剥離フィルムを取り除かずに貼り合わせた状態のままとすることでも、樹脂膜形成用複合シートが得られる。
◇樹脂膜形成用複合シートの使用方法
本発明の樹脂膜形成用複合シートは、例えば、樹脂膜形成用フィルムを保護膜として使用する場合、以下に示す方法で使用できる。
すなわち、半導体ウエハの裏面(電極形成面とは反対側の面)に、樹脂膜形成用複合シートをその樹脂膜形成用フィルムによって貼付する。このとき、樹脂膜形成用フィルムの表面に対して平行な方向において、半導体ウエハよりも外側であって、0mm以上20mm以下程度内側の領域の樹脂膜形成用フィルムが露出するように、樹脂膜形成用複合シートを半導体ウエハに貼付することが好ましい。これにより、良好なエキスパンド性が得られる。
次いで、樹脂膜形成用フィルムに必要に応じて加熱又はエネルギー線を照射して、樹脂膜形成用フィルムを硬化させて、保護膜とする。或いは、樹脂膜形成用フィルムに含まれる非硬化性樹脂膜形成用組成物である場合には、未硬化のまま保護膜として用いてもよい。
次いで、ダイシングによって、半導体ウエハを保護膜ごと分割して半導体チップとする。そして、半導体チップを、この保護膜が貼付された状態のまま(すなわち、保護膜付き半導体チップとして)、基材側から力を加えてエキスパンドして、半導体チップ間のカーフ幅を広げた後、支持シートから引き離してピックアップする。
以降は従来法と同様の方法で、得られた保護膜付き半導体チップを基板の回路面にフリップチップ接続した後、半導体パッケージとする。そして、この半導体パッケージを用いて、目的とする半導体装置を作製すればよい。
なお、樹脂膜形成用フィルムを加熱又はエネルギー線を照射して硬化させる場合、そのタイミングは、上述のとおり、ダイシングの前であってもよく、ダイシングの後であってもよい。中でも、樹脂膜形成用フィルムを加熱又はエネルギー線を照射して硬化させるタイミングは、ダイシングの前であることが好ましい。
また、樹脂膜形成用フィルムをフィルム状接着剤として使用する場合にも、上記と同様の方法で、フィルム状接着剤が貼付された状態の半導体チップをピックアップする。ただし、ここまでの工程では、フィルム状接着剤は硬化させない。以降は同様の方法で、半導体チップを、フィルム状接着剤によって基板の回路形成面にダイボンディグし、必要に応じて、この半導体チップにさらに別の半導体チップを1個以上積層し、ワイヤボンディングした後、全体を樹脂におり封止する。このようにして得られた半導体パッケージを用いて、目的とする半導体装置を作製すればよい。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
樹脂膜形成用組成物の製造に用いた成分を以下に示す。
・重合体成分
(A)−1:メチルアクリレート85質量部、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部を共重合してなるアクリル系重合体(重量平均分子量:37万、ガラス転移温度:6℃)
・熱硬化性成分
(B1)−1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学製jER828、エポキシ当量184〜194g/eq)
(B1)−2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学製jER1055、エポキシ当量800〜900g/eq)
(B1)−3:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製エピクロンHP−7200HH、エポキシ当量255〜260g/eq)
(B2)−1:熱活性潜在性エポキシ樹脂硬化剤(ジシアンジアミド(ADEKA製アデカハードナーEH−3636AS、活性水素量21g/eq))
・エネルギー線硬化性成分
(a2)−1:トリシクロデカンジメチロールジアクリレート(日本化薬社製「KAYARAD R−684」、2官能紫外線硬化性化合物、分子量304)
・エネルギー線硬化性基を有しない重合体
(b)−1:アクリル酸ブチル(以下、「BA」と略記する)(10質量部)、アクリル酸メチル(以下、「MA」と略記する)(70質量部)、メタクリル酸グリシジル(以下、「GMA」と略記する)(5質量部)、及びアクリル酸−2−ヒドロキシエチル(以下、「HEA」と略記する)(15質量部)を共重合してなるアクリル系樹脂
・硬化促進剤
(C)−1:2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製キュアゾール2PHZ)
・充填剤
(D)−1:シリカフィラー(アドマテックス製SC2050MA、平均粒子径0.5μm)
(D)−2:シリカフィラー(溶融石英フィラー、平均粒子径8μm)
・カップリング剤
(E)−1:シランカップリング剤(日本ユニカー製A−1110)
(E)−2:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM−503」)
・光重合開始剤
(H)−1:2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジル−1−ブタノン(BASF社製「Irgacure(登録商標)369」)
・着色剤
(I)−1:カーボンブラック(三菱化学社製 #MA650、平均粒径28nm)
(I)−2:フタロシアニン系青色色素(Pigment Blue 15:3)32質量部(固形分)と、イソインドリノン系黄色色素(Pigment Yellow 139)18質量部(固形分)と、アントラキノン系赤色色素(Pigment Red 177)50質量部(固形分)とを混合し、前記3種の色素の合計量/スチレンアクリル樹脂量=1/3(質量比)となるように顔料化して得られた顔料。
[実施例1]
<樹脂膜形成用複合シートの製造>
(樹脂膜形成用組成物(III−1)の製造)
固形重量比で、重合体成分(A)−1(150質量部)、熱硬化性成分(B1)−1(60質量部)、(B1)−2(10質量部)、(B1)−3(30質量部)、(B2)−1(2質量部)、硬化促進剤 (C)−1(2質量部)、充填剤(D)−1(320質量部)、カップリング剤(E)−1(2質量部)、及び着色剤(I)−1(1.2質量部)をメチルエチルケトンに溶解又は分散させて、23℃で撹拌することで、熱硬化性の樹脂膜形成用組成物(III−1)を得た。
(粘着剤組成物(I−2)の製造)
アクリル系重合体(100質量部、固形分)、3官能キシリレンジイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル社製「タケネートD110N」)(6.6質量部、固形分)、及び光重合開始剤(BASF製、商品名「イルガキュア127」)(3.0質量部(固形分)))を含有し、さらに溶媒としてメチルエチルケトンを含有する、固形分濃度が30質量%のエネルギー線硬化性の粘着剤組成物(I−2)を調製した。前記アクリル系重合体は、アクリル酸−2−エチルヘキシル(以下、「2EHA」と略記する)(80質量部)、及びアクリル酸−2−ヒドロキシエチル(以下、「HEA」と略記する)(20質量部)を共重合してなるプレ共重合体に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(21.4質量部、HEA中の水酸基100モル%に対してイソシアネート基が80モル%となる量)を反応させて得られた、重量平均分子量900000のエネルギー線硬化性アクリル系重合体である。
(支持シートの製造)
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理されてなる剥離フィルムの、前記剥離処理面に、上記で得られた粘着剤組成物(I−2)を塗工し、120℃で2分加熱乾燥させることにより、厚さ10μmのエネルギー線硬化性の粘着剤層を形成した。
次いで、この粘着剤層の露出面に、柔軟性ポリプロピレン製フィルム(厚さ80μm)を貼り合わせることで、支持シート(10)−1を製造した。支持シートの幅(TD方向の最大長さ)は270mmであった。
(樹脂膜形成用複合シートの製造)
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET381031」、厚さ38μm)の前記剥離処理面に、上記で得られた樹脂膜形成用組成物(III−1)をナイフコーターにより塗工し、100℃で2分乾燥させることにより、厚さ25μmの熱硬化性の樹脂膜形成用フィルム(13)−1を作製した。
次いで、上記で得られた支持シート(10)−1の粘着剤層に、上記で得られた樹脂膜形成用フィルム(13)−1の露出面を貼り合わせた。次いで、樹脂膜形成用フィルム(13)−1の剥離フィルムを剥がした露出面に、粘着剤5μm/PVCフィルム50μm/粘着剤5μmの三層構成のリングフレーム固定用の治具用粘着剤層を貼り合わせて、基材、粘着剤層、樹脂膜形成用フィルム(13)−1、及び治具用粘着剤層が、これらの厚さ方向においてこの順に積層されてなる樹脂膜形成用複合シートを作製した。なお、作製した樹脂膜形成用複合シートにおいて、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)は270mmであり、樹脂膜形成用フィルムの外径は220mmであり、治具用粘着剤層の内径は245mmであった。
<樹脂膜形成用複合シートの評価>
(ピックアップ工程(エキスパンド時)のチップ間隔の評価)
8インチの半導体ウエハ(厚み:200μm)に、作製した樹脂膜形成用複合シート及びリングフレームをテープマウンター(リンテック社製「Adwill RAD2700」)を用いて貼付し、ダイシングにより2mm×2mmの半導体チップに個片化した後
、紫外線照射装置(リンテック社製、RAD2000m/8、照射条件:照度195mW/cm、光量170mJ/cm)を用いて、支持シート側から紫外線を照射した。次いで、エキスパンドを行った。エキスパンド量(突き上げ量)は、10mmを目標に設定した。また、エキスパンドした際のチップ間隔(ワーク中心部間の距離)を測定した。トルクオーバーで10mmまで突き上げられない場合は、突き上げられる量までエキスパンドを行い、そのチップ間隔を測定した。結果を以下の表1に示す。表1において、「D/W」とは、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)Wに対する樹脂膜形成用フィルムの幅(TD方向の最大長さ)Dの比を意味する。また、「MD」とは、樹脂の流れ方向(Machine Direction)におけるチップ間隔を意味し、「TD」とは、樹脂の流れ方向(MD方向)に直交する方向(Transverse Direction)におけるチップ間隔を意味する。
なお、チップ間隔の評価基準は以下のように設定した。
A・・・60mm以上 評価OK
B・・・50mm以上60mm未満 評価OK
C・・・40mm以上50mm未満 評価NG
D・・・40mmより下 評価NG
また、樹脂膜飛散は、ウエハ外周に樹脂膜が飛散しているか否かを目視で判定した。
[実施例2]
<樹脂膜形成用複合シートの製造>
(樹脂膜形成用組成物(III−1)の製造)
実施例1と同様の方法を用いて、熱硬化性の樹脂膜形成用組成物(III−1)を得た。
(粘着剤組成物(I−2)の製造)
実施例1と同様の方法を用いて、粘着剤組成物(I−2)を得た。
(支持シートの製造)
実施例1と同様の方法を用いて、支持シート(10)−1を得た。支持シートの幅(TD方向の最大長さ)は、290mmであった。
(樹脂膜形成用複合シートの製造)
樹脂膜形成用フィルムを、その外径が200mm、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)が270mm、治具用粘着剤層の内径が250mmとなるように貼付した以外は、実施例1と同様の方法を用いて、樹脂膜形成用複合シートを作製した。
<樹脂膜形成用複合シートの評価>
(ピックアップ工程(エキスパンド時)のチップ間隔の評価)
実施例1と同様の方法を用いて、チップ間隔を評価した。結果を以下の表1に示す。
[実施例3]
<樹脂膜形成用複合シートの製造>
(樹脂膜形成用組成物(III−1)の製造)
実施例1と同様の方法を用いて、熱硬化性の樹脂膜形成用組成物(III−1)を得た。
(粘着剤組成物(I−2)の製造)
実施例1と同様の方法を用いて、粘着剤組成物(I−2)を得た。
(支持シートの製造)
実施例1と同様の方法を用いて、支持シート(10)−1を得た。支持シートの幅(TD方向の最大長さ)は、290mmであった。
(樹脂膜形成用複合シートの製造)
樹脂膜形成用フィルムを、その外径が160mm、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)が270mm、治具用粘着剤層の内径が245mmとなるように貼付した以外は、実施例1と同様の方法を用いて、樹脂膜形成用複合シートを作製した。
<樹脂膜形成用複合シートの評価>
(ピックアップ工程(エキスパンド時)のチップ間隔の評価)
6インチの半導体ウエハを用いた以外は、実施例1と同様の方法を用いて、チップ間隔を評価した。結果を以下の表1に示す。
[実施例4]
<樹脂膜形成用複合シートの製造>
(樹脂膜形成用組成物(IV−1)の製造)
エネルギー線硬化性成分(a2)−1(20質量部(固形分))、エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)−1(22質量部(固形分))、充填剤(D)−2(60質量部)、カップリング剤(E)−2(0.5質量部(固形分))、光重合開始剤(H)−1(0.6質量部)、及び着色剤(I)−2(1.5質量部(固形分))をメチルエチルケトンに溶解又は分散させて、23℃で撹拌することで、固形分濃度が50質量%であるエネルギー線硬化性の樹脂膜形成用組成物(IV−1)を得た。
(粘着剤組成物(I−4)の製造)
アクリル系重合体(100質量部、固形分)、及び3官能キシリレンジイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル社製「タケネートD110N」)(30質量部(固形分))を含有し、さらに溶媒としてメチルエチルケトンを含有する、固形分濃度が30質量%の非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物(I−4)を調製した。前記アクリル系重合体は、2EHA(80質量部)、及びHEA(20質量部)を共重合してなる重量平均分子量900000のプレ共重合体である。
(支持シートの製造)
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理されてなる剥離フィルムの、前記剥離処理面に、上記で得られた粘着剤組成物(I−4)を塗工し、120℃で2分加熱乾燥させることにより、厚さ10μmの非エネルギー線硬化性の粘着剤層を形成した。
次いで、この粘着剤層の露出面に、柔軟性ポリプロピレン製フィルム(厚さ80μm)を貼り合わせることで、支持シート(10)−2を製造した。支持シートの幅(TD方向の最大長さ)は270mmであった。
(樹脂膜形成用複合シートの製造)
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET381031」、厚さ38μm)の前記剥離処理面に、上記で得られた樹脂膜形成用組成物(IV−1)をナイフコーターにより塗工し、100℃で2分乾燥させることにより、厚さ25μmの熱硬化性の樹脂膜形成用フィルム(13)−2を作製した。
次いで、上記で得られた支持シート(10)−2のUV硬化型剥離層に、上記で得られた樹脂膜形成用フィルム(13)−2の露出面を貼り合わせた。次いで、樹脂膜形成用フィルム(13)−2の剥離フィルムを剥がした露出面に、粘着剤5μm/PVCフィルム50μm/粘着剤5μmの三層構成のリングフレーム固定用の治具用粘着剤層を貼り合わせて、基材、UV硬化型剥離層、樹脂膜形成用フィルム(13)−2、及び治具用粘着剤層が、これらの厚さ方向においてこの順に積層されてなる樹脂膜形成用複合シートを作製した。なお、作製した樹脂膜形成用複合シートにおいて、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)は270mmであり、樹脂膜形成用フィルムの外径は220mmであり、治具用粘着剤層の内径は245mmであった。
<樹脂膜形成用複合シートの評価>
(ピックアップ工程(エキスパンド時)のチップ間隔の評価)
実施例1と同様の方法を用いて、チップ間隔を評価した。結果を以下の表1に示す。
[比較例1]
<樹脂膜形成用複合シートの製造>
(樹脂膜形成用組成物(III−1)の製造)
実施例1と同様の方法を用いて、熱硬化性の樹脂膜形成用組成物(III−1)を得た。
(粘着剤組成物(I−2)の製造)
実施例1と同様の方法を用いて、粘着剤組成物(I−2)を得た。
(支持シートの製造)
実施例1と同様の方法を用いて、支持シート(10)−1を得た。支持シートの幅(TD方向の最大長さ)は、270mmであった。
(樹脂膜形成用複合シートの製造)
支持シートの流れ方向(幅方向)において、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)(270mm)と同じ大きさの樹脂膜形成用フィルム(幅(TD方向の最大長さ):270mm)を用いて、治具用粘着剤層の内径が245mmとなるように貼付した以外は、実施例1と同様の方法を用いて、樹脂膜形成用複合シートを作製した。
<樹脂膜形成用複合シートの評価>
(ピックアップ工程(エキスパンド時)のチップ間隔の評価)
実施例1と同様の方法を用いて、チップ間隔を評価した。結果を以下の表1に示す。
[比較例2]
<樹脂膜形成用複合シートの製造>
(樹脂膜形成用組成物(III−1)の製造)
実施例1と同様の方法を用いて、熱硬化性の樹脂膜形成用組成物(III−1)を得た。
(粘着剤組成物(I−2)の製造)
実施例1と同様の方法を用いて、粘着剤組成物(I−2)を得た。
(支持シートの製造)
実施例1と同様の方法を用いて、支持シート(10)−1を得た。支持シートの幅(TD方向の最大長さ)は、270mmであった。
(樹脂膜形成用複合シートの製造)
樹脂膜形成用フィルムを、その外径が250mm、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)が270mm、治具用粘着剤層の内径が245mmとなるように貼付した以外は、実施例1と同様の方法を用いて、樹脂膜形成用複合シートを作製した。
<樹脂膜形成用複合シートの評価>
(ピックアップ工程(エキスパンド時)のチップ間隔の評価)
実施例1と同様の方法を用いて、チップ間隔を評価した。結果を以下の表1に示す。
[比較例3]
<樹脂膜形成用複合シートの製造>
(樹脂膜形成用組成物(III−1)の製造)
実施例1と同様の方法を用いて、熱硬化性の樹脂膜形成用組成物(III−1)を得た。
(粘着剤組成物(I−2)の製造)
実施例1と同様の方法を用いて、粘着剤組成物(I−2)を得た。
(支持シートの製造)
実施例1と同様の方法を用いて、支持シート(10)−1を得た。支持シートの幅(TD方向の最大長さ)は、270mmであった。
(樹脂膜形成用複合シートの製造)
樹脂膜形成用フィルムを、その外径が260mm、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)が270mm、治具用粘着剤層の内径が245mmとなるように貼付した以外は、実施例1と同様の方法を用いて、樹脂膜形成用複合シートを作製した。
<樹脂膜形成用複合シートの評価>
(ピックアップ工程(エキスパンド時)のチップ間隔の評価)
実施例1と同様の方法を用いて、チップ間隔を評価した。結果を以下の表1に示す。
Figure 2019062107
表1から、支持シートの幅(TD方向の最大長さ)Wに対する樹脂膜形成用フィルムの幅(TD方向の最大長さ)Dの比D/Wが0.59〜0.81であることにより、エキスパンド量が10mmと良好であり、充分なチップ間隔(カーフ幅)が得られることが明らかとなった。また、エキスパンド時の樹脂膜飛散も抑制されていた。
本発明は、半導体装置の製造に利用可能である。
1A,1B,1C,1D・・・樹脂膜形成用複合シート、2A・・・従来の保護膜形成用複合シート、10・・・支持シート、10a・・・支持シートの表面、11・・・基材、11a・・・基材の表面、12・・・粘着剤層、12a・・・粘着剤層の表面、13・・・樹脂膜形成用フィルム、13a・・・樹脂膜形成用フィルムの表面、15・・・剥離フィルム、16・・・治具用接着剤層、16a・・・治具用接着剤層の表面、23・・・保護膜形成用フィルム、23a・・・保護膜形成用フィルムの表面

Claims (3)

  1. 支持シート上に前記支持シートよりもサイズの小さい樹脂膜形成用フィルムを備えてなり、
    前記支持シートの幅(TD方向の最大長さ)に対する前記樹脂膜形成用フィルムの幅(TD方向の最大長さ)の比が0.55以上0.92以下である、樹脂膜形成用複合シート。
  2. 前記支持シートが粘着剤層を有し、前記樹脂膜形成用フィルムと前記粘着剤層とが直接接触している、請求項1に記載の樹脂膜形成用複合シート。
  3. 前記樹脂膜が保護膜である、請求項1又は2に記載の樹脂膜形成用複合シート。
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