JP7084972B2 - 保護膜形成用複合シート - Google Patents
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Description
この製造方法では、まず、図5(a)に示すように、内部にあらかじめ改質層81’が形成されている半導体ウエハ8’を、保護膜形成用複合シート901の保護膜形成用フィルム931上に設けておく。保護膜形成用複合シート901は、支持シート10上に保護膜形成用フィルム931が設けられたものである。次いで、図5(b)に示すように、加熱によって保護膜形成用フィルム931を硬化させて保護膜931’とする。次いで、半導体ウエハ8’を、この保護膜931’を形成後の保護膜形成用複合シート901’ごと、保護膜931’の表面方向(図中、矢印Iで示す方向)にエキスパンドして、図5(c)に示すように、保護膜931’を切断するとともに、改質層81’の部位において半導体ウエハ8’を分割することで、複数個の保護膜付き半導体チップ8を得る。図5中、符号9310’は切断後の保護膜を示す。
ここで示すような、半導体ウエハの内部に改質層を形成し、この改質層の部位において半導体ウエハを分割する方法は、後述するように、従来汎用されているブレードダイシング等によって半導体ウエハを分割する方法よりも有利な点を有し、その幅広い活用が望まれているものである。
また、保護膜形成用フィルム931の加熱硬化時に、保護膜931’が硬化によって収縮し、半導体ウエハ8’の少なくとも一部で分割が先行して進行し(図示略)、半導体ウエハ8’の、支持シート10上での支持性が低下し、弛みが生じ易い。
図6は、このような保護膜形成用フィルム付き半導体チップの製造方法を模式的に説明するための断面図である。
この保護膜形成用フィルムのような、有機材料を含有する樹脂膜を硬化させずに切断する手法は、半導体ウエハへ貼付する樹脂膜としてダイボンドフィルムを用いた場合について開示されている(特許文献1参照)。
また、本発明の第2の態様は、支持シート上にエネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルムが設けられ、前記保護膜形成用フィルム上に半導体ウエハが設けられてなり、前記半導体ウエハの内部には改質層が形成されている積層構造体を形成する積層構造体形成工程と、前記積層構造体形成工程後に、前記積層構造体を前記保護膜形成用フィルムの表面方向にエキスパンドして、前記保護膜形成用フィルムを切断するとともに、前記改質層の部位において前記半導体ウエハを分割し、複数個の半導体チップを得るエキスパンド工程と、切断後の前記保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して保護膜を形成することで、保護膜付き半導体チップを得る保護膜形成工程と、を有するか、又は、前記保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して保護膜を形成する保護膜形成工程と、前記保護膜を形成後の前記積層構造体を前記保護膜の表面方向にエキスパンドして、前記保護膜を切断するとともに、前記改質層の部位において前記半導体ウエハを分割し、複数個の保護膜付き半導体チップを得るエキスパンド工程と、を有し、前記支持シートが、基材上に粘着剤層が設けられたものであり、CD方向の長さが22mm、MD方向の長さが110mmの、前記基材の試験片について、前記MD方向の両端部のうちの一方において、前記試験片を吊り下げ、他方に荷重0.1g/mmを加えて、130℃、30%RHの条件で、前記試験片を2時間加熱し、23℃まで冷却したとき、前記試験片のMD方向の伸縮率が100~250%となり、MD方向の長さが22mm、CD方向の長さが110mmの、前記基材の試験片について、前記CD方向の両端部のうちの一方において、前記試験片を吊り下げ、他方に荷重0.1g/mmを加えて、130℃、30%RHの条件で、前記試験片を2時間加熱し、23℃まで冷却したとき、前記試験片のCD方向の伸縮率が100~150%となり、15mm×140mmの大きさの前記基材の試験片について、JIS K7127:1999に準拠して、23℃における引張弾性率を測定したとき、前記試験片のMD方向及びCD方向の引張弾性率が、ともに100~400MPaとなる、保護膜付き半導体チップの製造方法を提供する。
本発明の、第1の態様及び第2の態様の、保護膜付き半導体チップの製造方法においては、前記支持シートが、基材上に粘着剤層が設けられたものであり、前記粘着剤層に、前記保護膜形成用フィルムが直接接触して設けられていることが好ましい。
また、本発明の第3の態様は、前記第1の態様又は第2の態様の、保護膜付き半導体チップの製造方法により、保護膜付き半導体チップを得た後、前記保護膜付き半導体チップを、前記支持シートから引き離す引き離し工程を有する、半導体装置の製造方法を提供する。
前記積層構造体を前記保護膜形成用フィルムの表面方向にエキスパンドして、前記保護膜形成用フィルムを切断するとともに、前記改質層の部位において前記半導体ウエハを分割し、複数個の半導体チップを得るエキスパンド工程と、切断後の前記保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して保護膜を形成することで、保護膜付き半導体チップを得る保護膜形成工程と、を有する(本法を本明細書においては「製造方法(1)」と称することがある)か、又は、
前記保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して保護膜を形成する保護膜形成工程と、前記保護膜を形成後の前記積層構造体を前記保護膜の表面方向にエキスパンドして、前記保護膜を切断するとともに、前記改質層の部位において前記半導体ウエハを分割し、複数個の保護膜付き半導体チップを得るエキスパンド工程と、を有する(本法を本明細書においては「製造方法(2)」と称することがある)。
本発明の製造方法(1)と製造方法(2)とでは、エキスパンドと、保護膜の形成と、の順序が、互いに異なる。
以下、本発明の保護膜付き半導体チップの製造方法について、製造方法ごとに詳細に説明する。
本発明の保護膜付き半導体チップの製造方法(製造方法(1))は、支持シート上にエネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルムが設けられ、前記保護膜形成用フィルム上に半導体ウエハが設けられてなり、前記半導体ウエハの内部には改質層が形成されている積層構造体を形成する積層構造体形成工程と、前記積層構造体を前記保護膜形成用フィルムの表面方向にエキスパンドして、前記保護膜形成用フィルムを切断するとともに、前記改質層の部位において前記半導体ウエハを分割し、複数個の半導体チップを得るエキスパンド工程と、切断後の前記保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して保護膜を形成することで、保護膜付き半導体チップを得る保護膜形成工程と、を有する。
以下、製造方法(1)について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下で説明する各構成要素の組成及び構成材料については、別途詳細に説明する。
製造方法(1)の前記積層構造体形成工程においては、図1(a)に示すように、支持シート10上にエネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルム13が設けられ、保護膜形成用フィルム13上に半導体ウエハ8’が設けられてなり、半導体ウエハ8’の内部には改質層81’が形成されている積層構造体101を形成する。
すなわち、積層構造体101は、より具体的には、基材11の一方の表面11aに粘着剤層12が設けられ、粘着剤層12の一方の表面12aに保護膜形成用フィルム13が設けられ、保護膜形成用フィルム13の一方の表面13aに半導体ウエハ8’が設けられてなる。保護膜形成用フィルム13は、未切断の1枚のフィルムである。
本明細書において、「基材の厚さ」とは、基材全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる基材の厚さとは、基材を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
また、基材11は、表面11aがプライマー処理を施されたものであってもよい。
また、基材11は、帯電防止コート層、半導体加工用シートを重ね合わせて保存する際に、基材11が他のシートに接着することや、基材11が吸着テーブルに接着することを防止する層等を有するものであってもよい。
なお、本明細書において、「MD方向」とは、基材11の製造のライン方向を意味し、「CD方向」とは、MD方向と直交する方向、すなわち基材11の製造の幅方向を意味する。
本明細書において、「粘着剤層の厚さ」とは、粘着剤層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる粘着剤層の厚さとは、粘着剤層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
本明細書において、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、その例として、紫外線、放射線、電子線等が挙げられる。
紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプ、ブラックライト又はLEDランプ等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
本明細書において、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を意味し、「非エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射しても硬化しない性質を意味する。
ここで、「保護膜形成用フィルム13の厚さ」とは、保護膜形成用フィルム13全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる保護膜形成用フィルム13の厚さとは、保護膜形成用フィルム13を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
また、例えば、保護膜形成用フィルム13を、内部に改質層81’を形成済みの半導体ウエハ8’の裏面8b’に貼付した後、その保護膜形成用フィルム13の半導体ウエハ8’への貼付面(前記一方の表面)13aとは反対側の面(露出面、裏面)13bに、支持シート10の粘着剤層12を貼付し、保護膜形成用複合シート1を構成するようにしても、積層構造体101を形成できる。
これらはいずれも、半導体ウエハ8’の内部に改質層81’を形成してから、この半導体ウエハ8’に保護膜形成用複合シート1が貼付された状態とする方法である。
また、例えば、保護膜形成用フィルム13を半導体ウエハ8’の裏面8b’に貼付した後、その保護膜形成用フィルム13の裏面13bに、支持シート10の粘着剤層12を貼付し、保護膜形成用複合シート1を構成した後、半導体ウエハ8’の内部に改質層81’を形成することでも、積層構造体101を形成できる。
これらはいずれも、半導体ウエハ8’ に保護膜形成用複合シート1が貼付された状態としてから、この半導体ウエハ8’の内部に改質層81’を形成する方法である。
また、レーザー光の透過性を高めるために、支持シート10の保護膜形成用フィルム13が設けられている側とは反対側の最表層の面(裏面)10b(換言すると、ここでは、基材11の露出面、裏面11b)について、平滑度を向上させる必要がないため、支持シート10の保管時におけるブロッキングの発生を抑制できる。
バックグラインドテープは、例えば、後述するように、半導体ウエハ8’の裏面を研削するときに使用される。
半導体ウエハ8’において改質層81’は、例えば、半導体ウエハ8’の内部に設定された焦点に集束するように、レーザー光を照射することで形成できる。
すなわち、製造方法(1)は、前記積層構造体形成工程の前に、さらに、保護膜形成用フィルム13が設けられる前の半導体ウエハ8’に対して、その内部に設定された焦点に集束するように、レーザー光を照射して、半導体ウエハ8’の内部に改質層81’を形成する改質層形成工程を有することが好ましい。
改質層81’の形成時には、例えば、レーザー光の照射によって半導体ウエハ8’の表面や表面近傍の領域が受けるダメージを最小限にしながら、改質層81’を形成するために、開口度(NA)の大きなレーザー光を照射することが好ましい。
前記エキスパンド工程(エキスパンド工程(E1))においては、積層構造体101を保護膜形成用フィルム13の表面13a方向(図中、矢印Iで示す方向)にエキスパンドして、図1(b)に示すように、保護膜形成用フィルム13を切断するとともに、改質層81’の部位において半導体ウエハ8’を分割し、複数個の半導体チップ8を得る。
ここでは、切断後の保護膜形成用フィルム13を、符号131を付して示している。なお、本明細書においては、切断後の保護膜形成用フィルムを単に「保護膜形成用フィルム」と称することがある。
また、「保護膜形成用フィルム13の表面13a方向」とは、例えば、基材11の一方の表面11a又は粘着剤層12の一方の表面12aに対して平行な方向と同義である。
エキスパンド時の保護膜形成用フィルム13の冷却温度は、特に限定されないが、保護膜形成用フィルム13をより容易に切断できる点から、-15~10℃であることが好ましい。
前記保護膜形成工程(保護膜形成工程(C1))においては、切断後の保護膜形成用フィルム131にエネルギー線を照射して保護膜131’を形成することで、図1(c)に示すように、保護膜付き半導体チップ8(裏面8bに保護膜131’を備えた半導体チップ8)を得る。本工程により、目的とする複数個の保護膜付き半導体チップ8が一気に得られる。図1(c)においては、このような、支持シート10上に複数個の保護膜付き半導体チップ8を備えた状態の、加工後の積層構造体を、符号101’を付して示している。
例えば、保護膜形成用フィルム131の硬化時における、エネルギー線の照度は、4~280mW/cm2であることが好ましい。そして、前記硬化時における、エネルギー線の光量は、3~1000mJ/cm2であることが好ましい。
本発明において、支持シートは、基材上に粘着剤層が設けられたものが好ましく、基材に粘着剤層が直接接触して設けられたものがより好ましい。
前記その他の工程は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
本発明の保護膜付き半導体チップの製造方法(製造方法(2))は、支持シート上にエネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルムが設けられ、前記保護膜形成用フィルム上に半導体ウエハが設けられてなり、前記半導体ウエハの内部には改質層が形成されている積層構造体を形成する積層構造体形成工程と、前記保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して保護膜を形成する保護膜形成工程と、前記保護膜を形成後の前記積層構造体を前記保護膜の表面方向にエキスパンドして、前記保護膜を切断するとともに、前記改質層の部位において前記半導体ウエハを分割し、複数個の保護膜付き半導体チップを得るエキスパンド工程と、を有する。
本発明の製造方法(2)は、上述の製造方法(1)と同様の効果を奏する。
図3は、本発明の製造方法(2)の一実施形態を模式的に説明するための断面図である。
製造方法(2)の前記積層構造体形成工程においては、図3(a)に示すように、支持シート10上にエネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルム13が設けられ、保護膜形成用フィルム13上に半導体ウエハ8’が設けられてなり、半導体ウエハ8’の内部には改質層81’が形成されている積層構造体101を形成する。
製造方法(2)における積層構造体形成工程は、上述の製造方法(1)における積層構造体形成工程と同じである。
また、保護膜形成用複合シート1を構成している保護膜形成用フィルム13、又は保護膜形成用複合シート1を構成していない保護膜形成用フィルム13、の貼付対象である半導体ウエハ8’のうち、前記回路形成面8a’には、バックグラインドテープが貼付されていることが好ましい。この場合、バックグラインドテープは、積層構造体101の形成後、後述するエキスパンド工程を行う前に、半導体ウエハ8’から取り除く(剥離させる)ことが好ましい。
また、積層構造体101は、例えば、従来のダイシングシート等の場合と同様に、支持シート10においてリングフレーム等に固定化することが好ましい。
製造方法(2)における積層構造体形成工程の詳細については、説明を省略する。
半導体ウエハ8’において改質層81’は、例えば、半導体ウエハ8’の内部に設定された焦点に集束するように、レーザー光を照射することで形成できる。
すなわち、製造方法(2)は、前記積層構造体形成工程の前に、さらに、保護膜形成用フィルム13が設けられる前の半導体ウエハ8’に対して、その内部に設定された焦点に集束するように、レーザー光を照射して、半導体ウエハ8’の内部に改質層81’を形成する改質層形成工程を有することが好ましい。
製造方法(2)における改質層形成工程は、上述の製造方法(1)における改質層形成工程と同じであり、その詳細については、説明を省略する。
前記保護膜形成工程(保護膜形成工程(C2))においては、図3(b)に示すように、保護膜形成用フィルム13にエネルギー線を照射して、保護膜132を形成する。
保護膜132は、切断されていない点以外は、上述の製造方法(1)における保護膜131と同じである。
また本工程は、硬化の対象物として、切断済みの保護膜形成用フィルムに代えて、未切断の保護膜形成用フィルムを用いる点以外は、上述の製造方法(1)における保護膜形成工程(保護膜形成工程(C1))と同じ方法で行うことができる。より具体的には、以下のとおりである。
例えば、保護膜形成用フィルム13の硬化時における、エネルギー線の照度は、4~280mW/cm2であることが好ましい。そして、前記硬化時における、エネルギー線の光量は、3~1000mJ/cm2であることが好ましい。
本工程においては、このように、保護膜132の形成に加熱が不要である。
前記エキスパンド工程(エキスパンド工程(E2))においては、保護膜132を形成後の積層構造体102を保護膜132の表面132a方向(図中、矢印Iで示す方向)にエキスパンドして、図3(c)に示すように、保護膜132を切断するとともに、改質層81’の部位において半導体ウエハ8’を分割し、複数個の保護膜付き半導体チップ8(裏面8bに保護膜132’を備えた半導体チップ8)を得る。ここでは、切断後の保護膜132を、符号132’を付して示している。なお、本明細書においては、切断後の保護膜を単に「保護膜」と称することがある。
本工程により、目的とする複数個の保護膜付き半導体チップ8(裏面8bに保護膜132’を備えた半導体チップ8)が一気に得られる。図3(c)においては、このような、支持シート10上に複数個の保護膜付き半導体チップ8を備えた状態の、加工後の積層構造体を、符号102’を付して示している。
エキスパンド時の保護膜132の冷却温度は、特に限定されないが、保護膜132をより容易に切断できる点から、-15~10℃であることが好ましい。
なお、製造方法(1)の場合とは異なり、保護膜132は、場合によっては冷却せずに、常温下、又は加熱しながらエキスパンドしてもよい。
本発明において、支持シートは、基材上に粘着剤層が設けられたものが好ましく、基材に粘着剤層が直接接触して設けられたものがより好ましい。
前記その他の工程は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
前記基材は、シート状又はフィルム状であり、その構成材料としては、例えば、各種樹脂が挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ノルボルネン樹脂等のポリエチレン以外のポリオレフィン;エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-ノルボルネン共重合体等のエチレン系共重合体(モノマーとしてエチレンを用いて得られた共重合体);ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂(モノマーとして塩化ビニルを用いて得られた樹脂);ポリスチレン;ポリシクロオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート、すべての構成単位が芳香族環式基を有する全芳香族ポリエステル等のポリエステル;2種以上の前記ポリエステルの共重合体;ポリ(メタ)アクリル酸エステル;ポリウレタン;ポリウレタンアクリレート;ポリイミド;ポリアミド;ポリカーボネート;フッ素樹脂;ポリアセタール;変性ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン;ポリエーテルケトン等が挙げられる。
また、前記樹脂としては、例えば、前記ポリエステルとそれ以外の樹脂との混合物等のポリマーアロイも挙げられる。前記ポリエステルとそれ以外の樹脂とのポリマーアロイは、ポリエステル以外の樹脂の量が比較的少量であるものが好ましい。
また、前記樹脂としては、例えば、ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上が架橋した架橋樹脂;ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上を用いたアイオノマー等の変性樹脂も挙げられる。
前記粘着剤層は、シート状又はフィルム状であり、粘着剤を含有する。
前記粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、エステル系樹脂等の粘着性樹脂が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
粘着剤層は、粘着剤を含有する粘着剤組成物を用いて形成できる。例えば、粘着剤層の形成対象面に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に粘着剤層を形成できる。粘着剤層のより具体的な形成方法は、他の層の形成方法とともに、後ほど詳細に説明する。粘着剤組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、粘着剤層の前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15~25℃の温度等が挙げられる。
前記粘着剤組成物(I-1)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する。
前記粘着性樹脂(I-1a)は、アクリル系樹脂であることが好ましい。
前記アクリル系樹脂としては、例えば、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有するアクリル系重合体が挙げられる。
前記アクリル系樹脂が有する構成単位は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、より具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシル等が挙げられる。
前記官能基含有モノマーとしては、例えば、前記官能基が後述する架橋剤と反応することで架橋の起点となったり、前記官能基が後述する不飽和基含有化合物中の不飽和基と反応することで、アクリル系重合体の側鎖に不飽和基の導入を可能とするものが挙げられる。
すなわち、官能基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
前記他のモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等と共重合可能なものであれば特に限定されない。
前記他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
一方、前記アクリル系重合体中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基(エネルギー線重合性基)を有する不飽和基含有化合物を反応させたものは、上述のエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-2a)として使用できる。
粘着剤組成物(I-1)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-へキサンジオール(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレート;ポリエステル(メタ)アクリレート;ポリエーテル(メタ)アクリレート;エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、オリゴマーとしては、例えば、上記で例示したモノマーが重合してなるオリゴマー等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物は、分子量が比較的大きく、粘着剤層の貯蔵弾性率を低下させにくいという点では、ウレタン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
粘着性樹脂(I-1a)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I-1)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらジイソシアネートのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤(イソシアネート基を有する架橋剤);エチレングリコールグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤(グリシジル基を有する架橋剤);ヘキサ[1-(2-メチル)-アジリジニル]トリフオスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤);アルミニウムキレート等の金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤);イソシアヌレート系架橋剤(イソシアヌル酸骨格を有する架橋剤)等が挙げられる。
粘着剤の凝集力を向上させて粘着剤層の粘着力を低下させる点、及び入手が容易である等の点から、架橋剤はイソシアネート系架橋剤であることが好ましい。
粘着剤組成物(I-1)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I-1)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
また、前記光重合開始剤としては、例えば、1-クロロアントラキノン等のキノン化合物;アミン等の光増感剤等を用いることもできる。
粘着剤組成物(I-1)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、充填材(フィラー)、防錆剤、着色剤(顔料、染料)、増感剤、粘着付与剤、反応遅延剤、架橋促進剤(触媒)等の公知の添加剤が挙げられる。
なお、反応遅延剤とは、例えば、粘着剤組成物(I-1)中に混入している触媒の作用によって、保存中の粘着剤組成物(I-1)において、目的としない架橋反応が進行するのを抑制するものである。反応遅延剤としては、例えば、触媒に対するキレートによってキレート錯体を形成するものが挙げられ、より具体的には、1分子中にカルボニル基(-C(=O)-)を2個以上有するものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-1)は、溶媒を含有していてもよい。粘着剤組成物(I-1)は、溶媒を含有していることで、塗工対象面への塗工適性が向上する。
前記粘着剤組成物(I-2)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-2a)を含有する。
前記粘着性樹脂(I-2a)は、例えば、粘着性樹脂(I-1a)中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基を有する不飽和基含有化合物を反応させることで得られる。
前記エネルギー線重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2-プロペニル基)等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
粘着性樹脂(I-1a)中の官能基と結合可能な基としては、例えば、水酸基又はアミノ基と結合可能なイソシアネート基及びグリシジル基、並びにカルボキシ基又はエポキシ基と結合可能な水酸基及びアミノ基等が挙げられる。
粘着性樹脂(I-2a)として、例えば、粘着性樹脂(I-1a)におけるものと同様の、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I-2)は、さらに架橋剤を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I-2)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-2)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I-2)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
粘着剤組成物(I-2)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-2)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I-2)における前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I-1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-2)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-2)は、粘着剤組成物(I-1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I-2)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I-1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-2)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-2)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
前記粘着剤組成物(I-3)は、上述の様に、前記粘着性樹脂(I-2a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する。
粘着剤組成物(I-3)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー及びオリゴマーが挙げられ、粘着剤組成物(I-1)が含有するエネルギー線硬化性化合物と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-3)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-3)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I-3)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
粘着剤組成物(I-3)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-3)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I-1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-3)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-3)は、粘着剤組成物(I-1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I-3)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I-1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-3)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-3)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
ここまでは、粘着剤組成物(I-1)、粘着剤組成物(I-2)及び粘着剤組成物(I-3)について主に説明したが、これらの含有成分として説明したものは、これら3種の粘着剤組成物以外の全般的な粘着剤組成物(本明細書においては、「粘着剤組成物(I-1)~(I-3)以外の粘着剤組成物」と称する)でも、同様に用いることができる。
非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、エステル系樹脂等の、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)を含有する粘着剤組成物(I-4)が挙げられ、アクリル系樹脂を含有するものが好ましい。
粘着剤組成物(I-4)で好ましいものとしては、例えば、前記粘着性樹脂(I-1a)と、架橋剤と、を含有するものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-4)における粘着性樹脂(I-1a)としては、粘着剤組成物(I-1)における粘着性樹脂(I-1a)と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-4)が含有する粘着性樹脂(I-1a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着性樹脂(I-1a)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I-4)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
粘着剤組成物(I-4)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-4)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I-1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-4)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-4)は、粘着剤組成物(I-1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I-4)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I-1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I-4)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I-4)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
粘着剤組成物(I-1)~(I-3)や、粘着剤組成物(I-4)等の粘着剤組成物(I-1)~(I-3)以外の粘着剤組成物は、前記粘着剤と、必要に応じて前記粘着剤以外の成分等の、粘着剤組成物を構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15~30℃であることが好ましい。
前記保護膜形成用フィルムは、エネルギー線の照射によって硬化し、保護膜となる。この保護膜は、半導体ウエハ又は半導体チップの裏面(回路形成面とは反対側の面)を保護するためのものである。保護膜形成用フィルムは、軟質であり、貼付対象物に容易に貼付できる。
前記保護膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性であることにより、熱硬化性の保護膜形成用フィルムよりも、短時間での硬化によって保護膜を形成できる。
保護膜形成用フィルムを支持シートに設けることで、保護膜形成用複合シートを構成できる。
エネルギー線硬化性成分(a)は、未硬化であることが好ましく、粘着性を有することが好ましく、未硬化でかつ粘着性を有することがより好ましい。
保護膜形成用フィルムは、その構成材料を含有する保護膜形成用組成物を用いて形成できる。例えば、保護膜形成用フィルムの形成対象面に保護膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に保護膜形成用フィルムを形成できる。保護膜形成用組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、保護膜形成用フィルムの前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
保護膜形成用組成物としては、例えば、前記エネルギー線硬化性成分(a)を含有する保護膜形成用組成物(IV-1)等が挙げられる。
エネルギー線硬化性成分(a)は、エネルギー線の照射によって硬化する成分であり、保護膜形成用フィルムに造膜性や、可撓性等を付与するための成分でもある。
エネルギー線硬化性成分(a)としては、例えば、エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000~2000000の重合体(a1)、及びエネルギー線硬化性基を有する、分子量が100~80000の化合物(a2)が挙げられる。前記重合体(a1)は、その少なくとも一部が、後述する架橋剤(f)によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
なお、本明細書において、重量平均分子量とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値を意味する。
エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000~2000000の重合体(a1)としては、例えば、他の化合物が有する基と反応可能な官能基を有するアクリル系重合体(a11)と、前記官能基と反応する基、及びエネルギー線硬化性二重結合等のエネルギー線硬化性基を有するエネルギー線硬化性化合物(a12)と、が重合してなるアクリル系樹脂(a1-1)が挙げられる。
これらの中でも、前記官能基は、水酸基であることが好ましい。
前記官能基を有するアクリル系重合体(a11)としては、例えば、前記官能基を有するアクリル系モノマーと、前記官能基を有しないアクリル系モノマーと、が共重合してなるものが挙げられ、これらモノマー以外に、さらにアクリル系モノマー以外のモノマー(非アクリル系モノマー)が共重合したものであってもよい。
また、前記アクリル系重合体(a11)は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
前記アクリル系重合体(a11)を構成する前記非アクリル系モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、前記アクリル系重合体(a11)が有する官能基と反応可能な基として、イソシアネート基、エポキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される1種又は2種以上を有するものが好ましく、前記基としてイソシアネート基を有するものがより好ましい。前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、例えば、前記基としてイソシアネート基を有する場合、このイソシアネート基が、前記官能基として水酸基を有するアクリル系重合体(a11)のこの水酸基と容易に反応する。
ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;
ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物等が挙げられる。
これらの中でも、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートであることが好ましい。
エネルギー線硬化性基を有する、分子量が100~80000の化合物(a2)が有するエネルギー線硬化性基としては、エネルギー線硬化性二重結合を含む基が挙げられ、好ましいものとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
前記アクリレート系化合物としては、例えば、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル]プロパン、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート(トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート)、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジ(メタ)アクリロキシプロパン等の2官能(メタ)アクリレート;
トリス(2-(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等の多官能(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(IV-1)及び保護膜形成用フィルムは、前記エネルギー線硬化性成分(a)として前記化合物(a2)を含有する場合、さらにエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)も含有することが好ましい。
前記重合体(b)は、その少なくとも一部が架橋剤(f)によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
これらの中でも、前記重合体(b)は、アクリル系重合体(以下、「アクリル系重合体(b-1)」と略記することがある)であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル等が挙げられる。
前記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等が挙げられる。
前記置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸N-メチルアミノエチル等が挙げられる。
前記反応性官能基は、架橋剤(f)の種類等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。例えば、架橋剤(f)がポリイソシアネート化合物である場合には、前記反応性官能基としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられ、これらの中でも、イソシアネート基との反応性が高い水酸基が好ましい。また、架橋剤(f)がエポキシ系化合物である場合には、前記反応性官能基としては、カルボキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられ、これらの中でもエポキシ基との反応性が高いカルボキシ基が好ましい。ただし、半導体ウエハや半導体チップの回路の腐食を防止するという点では、前記反応性官能基はカルボキシ基以外の基であることが好ましい。
例えば、前記エネルギー線硬化性成分(a)及び熱硬化性成分(h)を含有する保護膜形成用組成物(IV-1)を用いることにより、形成される保護膜形成用フィルムは、加熱によって被着体に対する接着力が向上し、この保護膜形成用フィルムから形成された保護膜の強度も向上する。
光重合開始剤(c)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン等のアセトフェノン化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;ベンジルフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のスルフィド化合物;1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα-ケトール化合物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;チタノセン等のチタノセン化合物;チオキサントン等のチオキサントン化合物;ベンゾフェノン、2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジル-1-ブタノン、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のベンゾフェノン化合物;パーオキサイド化合物;ジアセチル等のジケトン化合物;ベンジル;ジベンジル;2,4-ジエチルチオキサントン;1,2-ジフェニルメタン;2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン;2-クロロアントラキノン等が挙げられる。
また、光重合開始剤(c)としては、例えば、1-クロロアントラキノン等のキノン化合物;アミン等の光増感剤等を用いることもできる。
保護膜形成用フィルムが充填材(d)を含有することにより、保護膜形成用フィルムを硬化して得られた保護膜は、熱膨張係数の調整が容易となり、この熱膨張係数を保護膜の形成対象物に対して最適化することで、この保護膜を用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。また、保護膜形成用フィルムが充填材(d)を含有することにより、保護膜の吸湿率を低減したり、放熱性を向上させたりすることもできる。
充填材(d)としては、例えば、熱伝導性材料からなるものが挙げられる。
好ましい無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化ケイ素、窒化ホウ素等の粉末;これら無機充填材を球形化したビーズ;これら無機充填材の表面改質品;これら無機充填材の単結晶繊維;ガラス繊維等が挙げられる。
これらの中でも、無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましい。
なお、本明細書において「平均粒子径」とは、特に断りのない限り、レーザー回折散乱法によって求められた粒度分布曲線における、積算値50%での粒子径(D50)の値を意味する。
カップリング剤(e)として、無機化合物又は有機化合物と反応可能な官能基を有するものを用いることにより、保護膜形成用フィルムの被着体に対する接着性及び密着性を向上させることができる。また、カップリング剤(e)を用いることで、保護膜形成用フィルムを硬化して得られた保護膜は、耐熱性を損なうことなく、耐水性が向上する。
好ましい前記シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3-(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-アニリノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。
架橋剤(f)を用いて、上述のエネルギー線硬化性成分(a)やエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)架橋することにより、保護膜形成用フィルムの初期接着力及び凝集力を調節できる。
着色剤(g)としては、例えば、無機系顔料、有機系顔料、有機系染料等、公知のものが挙げられる。
保護膜形成用組成物(IV-1)及び保護膜形成用フィルムが含有する熱硬化性成分(h)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
エポキシ系熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂(h1)及び熱硬化剤(h2)からなる。
保護膜形成用組成物(IV-1)及び保護膜形成用フィルムが含有するエポキシ系熱硬化性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
エポキシ樹脂(h1)としては、公知のものが挙げられ、例えば、多官能系エポキシ樹脂、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂等、2官能以上のエポキシ化合物が挙げられる。
また、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を構成する芳香環等に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合した化合物等が挙げられる。
不飽和炭化水素基は、重合性を有する不飽和基であり、その具体的な例としては、エテニル基(ビニル基)、2-プロペニル基(アリル基)、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基等が挙げられ、アクリロイル基が好ましい。
エポキシ樹脂(h1)のエポキシ当量は、100~1000g/eqであることが好ましく、150~800g/eqであることがより好ましい。
熱硬化剤(h2)は、エポキシ樹脂(h1)に対する硬化剤として機能する。
熱硬化剤(h2)としては、例えば、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。前記官能基としては、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシ基、酸基が無水物化された基等が挙げられ、フェノール性水酸基、アミノ基、又は酸基が無水物化された基であることが好ましく、フェノール性水酸基又はアミノ基であることがより好ましい。
熱硬化剤(h2)のうち、アミノ基を有するアミン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(以下、「DICY」と略記することがある)等が挙げられる。
不飽和炭化水素基を有する熱硬化剤(h2)としては、例えば、フェノール樹脂の水酸基の一部が、不飽和炭化水素基を有する基で置換されてなる化合物、フェノール樹脂の芳香環に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合してなる化合物等が挙げられる。
熱硬化剤(h2)における前記不飽和炭化水素基は、上述の不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂における不飽和炭化水素基と同様のものである。
熱硬化剤(h2)のうち、例えば、ビフェノール、ジシアンジアミド等の非樹脂成分の分子量は、特に限定されないが、例えば、60~500であることが好ましい。
硬化促進剤(i)は、保護膜形成用フィルムの硬化速度を調整するための成分である。
好ましい硬化促進剤(i)としては、例えば、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類;トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
硬化促進剤(i)を用いる場合、保護膜形成用組成物(IV-1)及び保護膜形成用フィルムの硬化促進剤(i)の含有量は、特に限定されず、併用する成分に応じて適宜選択すればよい。
汎用添加剤(z)は、公知のものでよく、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ゲッタリング剤等が挙げられる。
汎用添加剤(z)を用いる場合、保護膜形成用組成物(IV-1)及び保護膜形成用フィルムの汎用添加剤(z)の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
保護膜形成用組成物(IV-1)は、さらに溶媒を含有することが好ましい。溶媒を含有する保護膜形成用組成物(IV-1)は、取り扱い性が良好となる。
前記溶媒は特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソブチルアルコール(2-メチルプロパン-1-オール)、1-ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(IV-1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
保護膜形成用組成物(IV-1)等の保護膜形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15~30℃であることが好ましい。
本発明の半導体装置の製造方法は、上述の本発明の保護膜付き半導体チップの製造方法により、保護膜付き半導体チップを得た後、前記保護膜付き半導体チップを、前記支持シートから引き離す引き離し工程を有する。
すなわち、本発明の半導体装置の製造方法は、前記引き離し工程において、前記保護膜付き半導体チップを、ピンによる突き上げを行って前記支持シートから引き離すのに好適なものである。
[エネルギー線硬化性成分(a)]
(a2)-1:トリシクロデカンジメチロールジアクリレート(日本化薬社製「KAYARAD R-684」、2官能紫外線硬化性化合物、分子量304)
[エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)]
(b)-1:アクリル酸メチル(以下、「MA」と略記する)(85質量部)及びアクリル酸-2-ヒドロキシエチル(以下、「HEA」と略記する)(15質量部)を共重合してなるアクリル系樹脂(重量平均分子量400000、ガラス転移温度8℃)。
[光重合開始剤(c)]
(c)-1:2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジル-1-ブタノン(BASF社製「Irgacure(登録商標)369」)
(c)-2:エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)(BASF社製「Irgacure(登録商標)OXE02」)
[充填材(d)]
(d)-1:シリカフィラー(アドマテックス社「SC2050MA」、エポキシ系化合物で表面修飾されたもの、平均粒子径0.5μm)
[カップリング剤(e)]
(e)-1:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン)(シランカップリング剤、信越化学工業社製「KBM403」、メトキシ当量12.7mmol/g、分子量236.3)
[着色剤(g)]
(g)-1:フタロシアニン系青色色素(Pigment Blue 15:3)32質量部と、イソインドリノン系黄色色素(Pigment Yellow 139)18質量部と、アントラキノン系赤色色素(Pigment Red 177)50質量部とを混合し、前記3種の色素の合計量/スチレンアクリル樹脂量=1/3(質量比)となるように顔料化して得られた顔料。
[熱硬化性成分(h)]
・エポキシ樹脂(h1)
(h1)-1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「JER828」、エポキシ当量184~194g/eq)
(h1)-2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「JER1055」、エポキシ当量800~900g/eq)
(h1)-3:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製「エピクロンHP-7200HH」、エポキシ当量255~260g/eq)
・熱硬化剤(h2)
(h2)-1:ジシアンジアミド(熱活性潜在性エポキシ樹脂硬化剤、ADEKA社製「アデカハードナーEH-3636AS」、活性水素量21g/eq)
[硬化促進剤(i)]
(i)-1:2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製「キュアゾール2PHZ」)
すなわち、まず基材を、短辺がCD方向、長辺がMD方向となるように、短辺22mm、長辺110mmの大きさに裁断して、これをMD方向の伸縮率測定用の試験片とした。長さ110mmのうち、長さ方向中央部の100mmを測定間距離として試験片にマーキングし、この試験片の長さ方向の両端部(端部の5mm部分)のそれぞれに、質量2.2gのクリップを取り付けた。
伸縮率(%)=(加熱後の測定間距離/加熱前の測定間距離)×100
すなわち、まず基材を、15mm×140mmの大きさに裁断して、これを試験片とした。
次いで、JIS K7127:1999に準拠して、前記試験片の23℃における引張弾性率(ヤング率)を測定した。具体的には、前記試験片を、引張試験機(株式会社島津製作所製「オートグラフAG-IS 500N」)に設置して、チャック間距離を100mmに設定した後、200mm/minの速度で引張試験を行い、引張弾性率(MPa)を測定した。引張弾性率の測定は、基材のMD方向及びCD方向の両方について行った。
[製造例1]
(保護膜形成用組成物(IV-1)の製造)
エネルギー線硬化性成分(a2)-1、エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)-1、光重合開始剤(c)-1、光重合開始剤(c)-2、充填材(d)-1、カップリング剤(e)-1及び着色剤(g)-1を、これらの含有量(固形分量、質量部)が表1に示す値となるようにメチルエチルケトンに溶解又は分散させて、23℃で撹拌することで、固形分濃度が50質量%である保護膜形成用組成物(IV-1)を調製した。なお、表1中の含有成分の欄の「-」との記載は、保護膜形成用組成物(IV-1)がその成分を含有していないことを意味する。
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理されてなる剥離フィルムの、前記剥離処理面に、上記で得られた保護膜形成用組成物(IV-1)を塗工し、120℃で3分乾燥させることにより、厚さが15μmであるエネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルムを作製した。
アクリル系重合体(100質量部、固形分)、3官能キシリレンジイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル社製「タケネートD110N」)(6.6質量部、固形分)、及び光重合開始剤(2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、BASF社製「Irgacure(登録商標)127」)(3.0質量部、固形分)を含有し、さらに溶媒としてメチルエチルケトンを含有する、固形分濃度が30質量%のエネルギー線硬化性の粘着剤組成物(I-2)を調製した。前記アクリル系重合体は、アクリル酸-2-エチルヘキシル(以下、「2EHA」と略記する)(80質量部)、及びアクリル酸-2-ヒドロキシエチル(以下、「HEA」と略記する)(20質量部)を共重合してなるプレ共重合体に、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(21.4質量部、HEA中の水酸基100モル%に対してイソシアネート基が80モル%となる量)を反応させて得られた、重量平均分子量1100000のエネルギー線硬化性アクリル系重合体である。
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理されてなる剥離フィルムの、前記剥離処理面に、上記で得られた粘着剤組成物(I-2)を塗工し、120℃で2分加熱乾燥させることにより、厚さ5μmのエネルギー線硬化性の粘着剤層を形成した。
次いで、この粘着剤層の露出面に、柔軟性ポリプロピレン製フィルム(厚さ80μm)を貼り合わせることで、支持シートを製造した。
次いで、この支持シートの粘着剤層上の前記剥離フィルムを取り除き、露出した粘着剤層の表面に、上記で得られた保護膜形成用フィルムの露出面を貼り合わせて、基材、粘着剤層、保護膜形成用フィルム及び剥離フィルムが、これらの厚さ方向においてこの順に積層されてなる保護膜形成用複合シートを作製した。得られた保護膜形成用複合シートの構成を表2に示す。
(保護膜形成用組成物の製造)
エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)-1、充填材(d)-1、カップリング剤(e)-1、着色剤(g)-1、エポキシ樹脂(h1)-1、エポキシ樹脂(h1)-2、エポキシ樹脂(h1)-3、熱硬化剤(h2)-1及び硬化促進剤(i)-1を、これらの含有量(固形分量、質量部)が表1に示す値となるようにメチルエチルケトンに溶解又は分散させて、23℃で撹拌することで、固形分濃度が50質量%である熱硬化性の保護膜形成用組成物を調製した。
保護膜形成用組成物(IV-1)に代えて、上記で得られた熱硬化性の保護膜形成用組成物を用いた点以外は、製造例1と同じ方法で、熱硬化性の保護膜形成用フィルムを製造した。
製造例1と同じ方法で、粘着剤組成物及び支持シートを製造した。
次いで、この支持シートの粘着剤層上の前記剥離フィルムを取り除き、露出した粘着剤層の表面に、上記で得られた熱硬化性の保護膜形成用フィルムの露出面を貼り合わせて、基材、粘着剤層、保護膜形成用フィルム及び剥離フィルムが、これらの厚さ方向においてこの順に積層されてなる保護膜形成用複合シートを作製した。保護膜形成用複合シートの構成を表2に示す。
(保護膜形成用組成物及び保護膜形成用フィルムの製造)
製造例2と同じ方法で、保護膜形成用組成物及び保護膜形成用フィルムを製造した。
アクリル系重合体(100質量部、固形分)、及び3官能キシリレンジイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル社製「タケネートD110N」)(20質量部、固形分)を含有し、さらに溶媒としてメチルエチルケトンを含有する、固形分濃度が30質量%の非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物(I-4)を調製した。前記アクリル系重合体は、2EHA(60質量部)、メタクリル酸メチル(以下、「MMA」と略記する)(30質量部)、及びHEA(10質量部)を共重合してなる、重量平均分子量が600000のものである。
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理されてなる剥離フィルムの、前記剥離処理面に、上記で得られた非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物(I-4)を塗工し、120℃で2分加熱乾燥させることにより、厚さ5μmの非エネルギー線硬化性の粘着剤層を形成した。
次いで、この粘着剤層の露出面に、耐熱性ポリプロピレン製フィルム(厚さ80μm)を貼り合わせることで、支持シートを製造した。
次いで、この支持シートの粘着剤層上の前記剥離フィルムを取り除き、露出した粘着剤層の表面に、上記で得られた保護膜形成用フィルムの露出面を貼り合わせて、基材、粘着剤層、保護膜形成用フィルム及び剥離フィルムが、これらの厚さ方向においてこの順に積層されてなる保護膜形成用複合シートを作製した。得られた保護膜形成用複合シートの構成を表2に示す。
<保護膜付き半導体チップの製造>
上述の製造方法(1)により、以下に示す手順により、保護膜付き半導体チップを製造した。
回路形成面にバックグラインドテープが貼付され、前記回路形成面とは反対側の裏面が#2000研削面とされた12インチシリコンウエハ(厚さ300μm)に対して、前記研削面側から、レーザーソー(ディスコ社製「DFL7360」)を用いて、波長1064nmのレーザー光を照射し、シリコンウエハの内部に改質層を形成した。
次いで、テープマウンター(リンテック社製「ADWILL RAD-2700」)を用いて、製造例1で得られた保護膜形成用複合シートの保護膜形成用フィルムを70℃に加熱しながら、この保護膜形成用フィルムを介して保護膜形成用複合シートを前記シリコンウエハの研削面に貼付することで、積層構造体を形成した。
上記で得られた積層構造体にリングフレームをマウントした後、バックグラインドテープを取り除き、保護膜形成用フィルムを0℃で冷却しながら、エキスパンダー(ディスコ社製「DDS2300」)を用いて、突き上げ速度20mm/sec、突き上げ量20mmの条件でテーブルを突き上げることで、保護膜形成用フィルムの表面方向に積層構造体をエキスパンドした。これにより、保護膜形成用フィルムを切断するとともに、改質層の部位においてシリコンウエハを分割し、大きさが3mm×3mmの複数個の半導体チップを得た。
切断後の前記保護膜形成用フィルムに、照度230mW/cm2、光量170mJ/cm2の条件で紫外線を照射して保護膜を形成し、保護膜付き半導体チップとした。
(ヒートシュリンク性(支持シートの復元性))
上述のエキスパンド工程後、ドライヤーを用いて、温度220℃、回転速度5mm/°の条件で、熱風を支持シートの周縁部に吹き付けることで、この周縁部を加熱した。次いで、この加熱後の支持シートの周縁部を目視観察し、エキスパンドによって支持シートにおいて生じた弛みが、加熱による支持シートの収縮によって解消されているか否かを確認し、下記基準に従って評価した。結果を表2に示す。
○:弛みが解消されている。
×:弛みが解消されず、エキスパンド後の保護膜付き半導体チップ等の搬送又は収納が不可能である。
上述のエキスパンド工程、及びヒートシュリンク性の評価時において、いずれも問題が認められなかった、加工後の積層構造体を用い、以下に示す手順により、保護膜付き半導体チップのピックアップを試みた。
すなわち、プッシュプルゲージ(アイコーエンジニアリング社製「MODEL-RE」)に、突き上げに用いるピンとして5号ニードルをセットした装置を用いて、突き上げ量を1.5mmとして、支持シート越しに保護膜付き半導体チップを突き上げた。そして、保護膜を目視観察し、ニードル痕の有無を確認し、下記基準に従って評価した。結果を表2に示す。
○:ニードル痕がない。
×:ニードル痕がある。
<保護膜付き半導体チップの製造>
(積層構造体形成工程)
実施例1と同じ方法で、積層構造体を形成した。
上記で得られた積層構造体の保護膜形成用フィルムに、照度230mW/cm2、光量170mJ/cm2の条件で紫外線を照射して、保護膜を形成した。
先に説明した、保護膜形成用フィルムを備えた積層構造体に代えて、上記で得られた、保護膜を形成後の積層構造体を用い、エキスパンド時に保護膜形成用フィルムを0℃で冷却するのに代えて、保護膜の温度を30℃とした点以外は、実施例1と同じ方法で、保護膜を切断するとともに、改質層の部位においてシリコンウエハを分割し、大きさが3mm×3mmの複数個の半導体チップとし、保護膜付き半導体チップを得た。
(ヒートシュリンク性(支持シートの復元性)、及び保護膜形成用フィルムでのピンによる突き上げ痕の残存抑制)
実施例1と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
<保護膜形成用フィルム付き半導体チップの製造>
図6を参照して説明した従来法により、以下に示す手順により、保護膜形成用フィルム付き半導体チップを製造した。
次いで、実施例1と同じ方法で、得られた積層構造体をエキスパンドし、保護膜形成用フィルムを切断するとともに、改質層の部位においてシリコンウエハを分割し、大きさが3mm×3mmの複数個の半導体チップを得た。
以上により、保護膜形成用フィルム付き半導体チップを得た。
(ヒートシュリンク性(支持シートの復元性)、及び保護膜形成用フィルムでのピンによる突き上げ痕の残存抑制)
実施例1と同じ方法で評価した。なお、本比較例では、保護膜形成用フィルムを硬化させていないため、ピンによる突き上げ痕の残存抑制については、保護膜ではなく、保護膜形成用フィルムで行った。結果を表2に示す。
<保護膜付き半導体チップの製造>
図5を参照して説明した従来法により、以下に示す手順により、保護膜付き半導体チップを製造した。
次いで、得られた積層構造体を、130℃で2時間加熱することで、保護膜形成用フィルムを硬化させて、保護膜を形成した。
次いで、保護膜形成用フィルムを硬化させる前の積層構造体に代えて、この保護膜形成用フィルムを硬化させた後の積層構造体を用いた点以外は実施例1と同じ方法で、この積層構造体をエキスパンドし、保護膜を切断するとともに、改質層の部位においてシリコンウエハを分割し、大きさが3mm×3mmの複数個の半導体チップを得た。
以上により、保護膜付き半導体チップを得た。
(ヒートシュリンク性(支持シートの復元性)、及び保護膜でのピンによる突き上げ痕の残存抑制)
実施例1と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
積層構造体にリングフレームをマウントした後で、かつ上述の加熱による保護膜形成用フィルムの硬化前の段階で、保護膜形成用複合シートの配置位置を記録した。次いで、上述の加熱による保護膜形成用フィルムの硬化(保護膜の形成)を行い、保護膜形成用フィルムを冷却した後で、かつ積層構造体をエキスパンドする前の段階で、保護膜形成用複合シートの配置位置を記録した。そして、これら配置位置の記録から、保護膜形成用フィルムの硬化に伴う、保護膜形成用複合シートの沈み込み量(弛み量)を算出し、下記基準に従って評価した。結果を表2に示す。なお、表2中の評価結果の欄における「-」との記載は、その項目が未評価であることを意味する。
○:沈み込み量が0.5mm未満である。
×:沈み込み量が0.5mm以上である。
Claims (2)
- 支持シート上にエネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルムが設けられてなる保護膜形成用複合シートであって、
前記保護膜形成用複合シートは、前記保護膜形成用フィルム上に半導体ウエハが設けられてなり、前記半導体ウエハの内部には改質層が形成されている積層構造体を形成する積層構造体形成工程と、
前記積層構造体形成工程後に、前記保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して保護膜を形成する保護膜形成工程と、
前記保護膜を形成後の前記積層構造体を、常温下、又は前記保護膜を加熱しながら、前記保護膜の表面方向にエキスパンドして、前記保護膜を切断するとともに、前記改質層の部位において前記半導体ウエハを分割し、複数個の保護膜付き半導体チップを得るエキスパンド工程と、を有する、保護膜付き半導体チップの製造方法で用いるためのものであり、
前記支持シートが、基材上に粘着剤層が設けられたものであり、
CD方向の長さが22mm、MD方向の長さが110mmの、前記基材の試験片について、前記MD方向の両端部のうちの一方において、前記試験片を吊り下げ、他方に荷重0.1g/mmを加えて、130℃、30%RHの条件で、前記試験片を2時間加熱し、23℃まで冷却したとき、前記試験片のMD方向の伸縮率が100~250%となり、
MD方向の長さが22mm、CD方向の長さが110mmの、前記基材の試験片について、前記CD方向の両端部のうちの一方において、前記試験片を吊り下げ、他方に荷重0.1g/mmを加えて、130℃、30%RHの条件で、前記試験片を2時間加熱し、23℃まで冷却したとき、前記試験片のCD方向の伸縮率が100~150%となり、
15mm×140mmの大きさの前記基材の試験片について、JIS K7127:1999に準拠して、23℃における引張弾性率を測定したとき、前記試験片のMD方向及びCD方向の引張弾性率が、ともに100~400MPaとなる、保護膜形成用複合シート。 - 前記粘着剤層に、前記保護膜形成用フィルムが直接接触して設けられている、請求項1に記載の保護膜形成用複合シート。
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