JP6938475B2 - 保護膜形成用複合シート - Google Patents

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Description

本発明は、保護膜形成用フィルム及び保護膜形成用複合シートに関する。
本願は、2016年4月28日に、日本に出願された特願2016−092008号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、いわゆるフェースダウン(face down)方式と呼ばれる実装法を適用した半導体装置の製造が行われている。フェースダウン方式においては、回路面上にバンプ等の電極を有する半導体チップが用いられ、前記電極が基板と接合される。このため、半導体チップの回路面とは反対側の裏面は剥き出しとなることがある。
この剥き出しとなった半導体チップの裏面には、保護膜として、有機材料を含有する樹脂膜が形成され、保護膜付き半導体チップとして半導体装置に取り込まれることがある。保護膜は、ダイシング工程やパッケージングの後に、半導体チップにおいてクラックが発生するのを防止するために利用される。
このような保護膜を形成するためには、例えば、硬化によって保護膜を形成可能な保護膜形成用フィルムが使用される。保護膜形成用フィルムとしては、例えば、その両面に剥離フィルムを備えたものや、支持シート上に設けられ、露出面に剥離フィルムを備えたものが使用される。支持シート上に保護膜形成用フィルムが設けられたものは、保護膜形成用複合シートとして、保護膜の形成に加え、ダイシングシートとしても利用できる。
このような保護膜形成用フィルムとしては、支持シートの有無によらず、加熱により硬化することで保護膜を形成するものが、これまでに主に利用されてきた。この場合、例えば、半導体ウエハの裏面(電極形成面とは反対側の面)に、熱硬化性の保護膜形成用フィルムを貼付するか、又は熱硬化性の保護膜形成用フィルムを備えた保護膜形成用複合シートを、その保護膜形成用フィルムによって貼付した後、加熱によって保護膜形成用フィルムを硬化させて保護膜とし、ダイシングによって半導体ウエハを保護膜ごと分割して半導体チップとする。そして、半導体チップをこの保護膜が貼付された状態のままピックアップする。なお、保護膜形成用フィルムの硬化とダイシングは、これとは逆の順序で行われることもある。
一方、保護膜には、通常、その半導体ウエハへの貼付面とは反対側の面(保護膜形成用複合シートにおいては、保護膜の支持シートに向かい合う面)に、レーザー光の照射によって印字(本明細書においては、「レーザー印字」と称することがある)が施される。そして、保護膜には、印字視認性に優れることが求められる。
ところが、保護膜のレーザー印字面が、レーザー印字前の段階で既に粗くなっていると、鮮明にレーザー印字できないため、印字視認性が悪くなってしまう。このように、保護膜のレーザー印字面が粗くなるのは、既に保護膜形成用フィルムの段階でレーザー印字面に相当する表面が粗くなっているか、又は熱硬化性の保護膜形成用フィルムが硬化のための加熱中に、柔らかくなって変形し易くなっていたり、充填材等の含有成分が表面方向に移動してきたりすることが原因と推測される。したがって、少なくとも、加熱ではなく、紫外線等のエネルギー線の照射により硬化可能な保護膜形成用フィルムを用いて、レーザー印字面が粗くならないように硬化させることが望ましい。
このようなエネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルムとしては、例えば、剥離フィルム上に形成されたエネルギー線硬化型保護膜(特許文献1参照)、高硬度でかつ半導体チップに対する密着性に優れた保護膜を形成できるエネルギー線硬化型チップ保護用フィルム(特許文献2参照)が開示されている。
しかし、特許文献1で開示されているエネルギー線硬化型保護膜、特許文献2で開示されているエネルギー線硬化型チップ保護用フィルムは、いずれも、保護膜に鮮明にレーザー印字することを目的としたものではない。
特許第5144433号公報 特開2010−031183号公報
本発明は、半導体ウエハ又は半導体チップの裏面に保護膜を形成可能であり、保護膜における鮮明なレーザー印字を可能とするエネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルム、及び前記フィルムを備えた保護膜形成用複合シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、エネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルムであって、前記保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して保護膜としたとき、前記保護膜において、少なくとも一方の表面(β’)の最大断面高さ(Rt)が10μm未満である、保護膜形成用フィルムを提供する。
本発明の保護膜形成用フィルムにおいては、前記表面(β’)のグロス値が45以上であることが好ましい。
本発明の保護膜形成用フィルムにおいては、エネルギー線を照射して保護膜としたとき、前記保護膜の表面(β’)となる、少なくとも一方の表面(β)の最大断面高さ(Rt)が10μm未満であることが好ましい。
また、本発明は、支持シートを備え、前記保護膜形成用フィルムを前記支持シート上に備えてなり、前記保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して保護膜としたとき、前記保護膜の表面(β’)となる、前記保護膜形成用フィルムの表面(β)が、前記支持シートに向かい合っている、保護膜形成用複合シートを提供する。
本発明の保護膜形成用フィルム及び保護膜形成用複合シートを用いることで、半導体ウエハ又は半導体チップの裏面に保護膜を形成でき、保護膜に鮮明にレーザー印字できる。
本発明の保護膜形成用フィルムの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の保護膜形成用複合シートの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の保護膜形成用複合シートの他の実施形態を模式的に示す断面図である。
◇保護膜形成用フィルム
本発明の保護膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルムであって、前記保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して保護膜としたとき、前記保護膜において、少なくとも一方の表面(β’)の最大断面高さ(Rt)が10μm未満となるものである。
後述するように、前記保護膜形成用フィルムを支持シートに設けることで、保護膜形成用複合シートを構成できる。
前記保護膜形成用フィルムは、エネルギー線の照射によって硬化し、保護膜となる。この保護膜は、半導体ウエハ又は半導体チップの裏面(電極形成面とは反対側の面)を保護するためのものである。保護膜形成用フィルムは、軟質であり、貼付対象物に容易に貼付できる。
前記保護膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性であることにより、熱硬化性の保護膜形成用フィルムよりも、短時間での硬化によって保護膜を形成できる。
なお、本明細書において、「保護膜形成用フィルム」とは硬化前のものを意味し、「保護膜」とは、保護膜形成用フィルムを硬化させたものを意味する。
前記保護膜形成用フィルムとしては、例えば、後述するエネルギー線硬化性成分(a)を含有するものが挙げられる。
エネルギー線硬化性成分(a)は、未硬化であることが好ましく、粘着性を有することが好ましく、未硬化でかつ粘着性を有することがより好ましい。
本発明において、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、その例として、紫外線、放射線、電子線等が挙げられる。
紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプ、ブラックライト又はLEDランプ等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
本発明において、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を意味し、「非エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射しても硬化しない性質を意味する。
本発明の保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して得られた保護膜の、いずれか一方又は両方の表面は、最大断面高さ(Rt)が10μm未満である表面(β’)となっている。表面(β’)は、保護膜の半導体ウエハ又は半導体チップへの貼付面とは反対側の面であって、後述するレーザー印字を行うための面とすることができる。
保護膜において、表面(β’)の最大断面高さ(Rt)が前記上限値未満であることにより、この面におけるレーザー印字は鮮明になり、印字視認性に優れたものとなる。このような効果が得られるのは、前記保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して硬化させて、保護膜を形成したからである。
なお、本明細書において「最大断面高さ(Rt)」とは、特に断りのない限り、JIS B 0601:2013(ISO 4287:1997,Amd.1:2009)に準拠して求められる、粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)を意味し、単に「Rt」と略記することがある。
保護膜の表面(β’)の最大断面高さ(Rt)は、9μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましい。
表面(β’)の最大断面高さ(Rt)の下限値は、特に限定されない。例えば、表面(β’)の最大断面高さ(Rt)は、0.5μm以上であってもよい。
保護膜の表面(β’)のグロス値は、45以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましく、例えば、60以上、70以上等であってもよい。
表面(β’)のグロス値の上限値は、特に限定されない。例えば、表面(β’)のグロス値は、95以下であってもよい。
なお、本明細書において「グロス値」とは、特に断りのない限り、JIS K 7105に準拠して求められる、測定対象の表面をその上方より見下ろす側から、前記表面の60°鏡面光沢度を測定して得られた値である。
保護膜形成用フィルムの表面(β)は、保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して保護膜としたとき、保護膜の表面(β’)となる面である。また、保護膜形成用フィルムの表面(β)は、半導体ウエハへの貼付面とは反対側の面(保護膜形成用複合シートにおいては、保護膜形成用フィルムの支持シートに向かい合う面)であって、最終的に保護膜のレーザー印字面とすることができる。
保護膜形成用フィルムのいずれか一方又は両方の表面(β)において、最大断面高さ(Rt)は、10μm未満であることが好ましく、9μm以下であることがより好ましく、8.5μm以下であることがさらに好ましく、8μm以下であることが特に好ましい。
表面(β)の最大断面高さ(Rt)の下限値は、特に限定されない。例えば、表面(β)の最大断面高さ(Rt)は、0.5μm以上であってもよい。
保護膜形成用フィルムの表面(β)の最大断面高さ(Rt)が前記上限値未満であることにより、本発明の効果がより顕著に得られる。すなわち、表面(β)を保護膜のレーザー印字面となるようにしたときに、この面(表面(β)に由来する表面)におけるレーザー印字は鮮明になり、印字視認性に優れたものとなる。このような効果が得られるのは、保護膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性であり、硬化時に加熱が不要であり、短時間で硬化が完了するためである。熱硬化性の保護膜形成用フィルムとは異なり、硬化時に加熱が不要であることにより、保護膜形成用フィルムが硬化中に柔らかくなって変形し易くなったり、保護膜形成用フィルム中で充填材等の含有成分が表面方向に移動してきたりすることが抑制される。また、短時間で硬化が完了することにより、表面(β)の最大断面高さ(Rt)が変化し得るとしても、過度に変化する前に硬化が完了する。このように硬化中の表面(β)の最大断面高さ(Rt)の増大が抑制され、硬化前の表面(β)の最大断面高さ(Rt)が上記のように小さいために、硬化によって形成された保護膜の表面(β’)において、最大断面高さ(Rt)が小さくなる。また、硬化中においては、保護膜形成用フィルム及び保護膜の構成成分について、印字視認性に悪影響を与えるような変質も抑制される。
保護膜形成用フィルムの表面(β)のグロス値は、45以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましく、例えば、60以上、70以上等であってもよい。
表面(β)のグロス値の上限値は、特に限定されない。例えば、表面(β)のグロス値は、95以下であってもよい。
本発明の保護膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性であり、エネルギー線の照射により保護膜を形成したとき、表面(β’)の最大断面高さ(Rt)が10μm未満となるものであれば、本発明の効果を奏する。
一方、熱硬化性の保護膜形成用フィルムは、加熱により保護膜を形成したとき、上述のような、本発明のエネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルムでは抑制されていた、表面形状に関する不具合が抑制されない。また、熱硬化中においては、上述のように表面形状が変形し易いだけでなく、加熱時間が長いことによって、保護膜形成用フィルム及び保護膜の構成成分について、印字視認性に悪影響を与えるような変質も生じ易い。例えば、保護膜の表面における最大断面高さ(Rt)が10μm未満となっていても、保護膜の印字視認性が不良となることもある。このように、熱硬化性の保護膜形成用フィルムを用いた場合には、熱硬化中の様々な要因によって、保護膜の印字視認性が悪化してしまう。
保護膜形成用フィルムは、後述する保護膜形成用組成物を、保護膜形成用フィルムの形成対象面に塗工し、必要に応じて乾燥させることで製造できる。そして、保護膜形成用フィルムの表面(β)の最大断面高さ(Rt)及びグロス値、並びに保護膜の表面(β’)の最大断面高さ(Rt)及びグロス値は、例えば、保護膜形成用組成物の塗工面(保護膜形成用フィルムの形成対象面)の最大断面高さ(Rt)を調節することで、適宜調節できる。
後述するように、例えば、保護膜形成用フィルムがその両面に剥離フィルムを備えたものである場合には、保護膜形成用組成物の塗工面は、これら剥離フィルムのいずれか一方の表面(好ましくは剥離処理面)とすることができる。一方、保護膜形成用フィルムが、後述する支持シート上に設けられたものである場合には、保護膜形成用組成物の塗工面は、前記支持シートの表面とすることができる。
上記のように、剥離フィルムの表面を保護膜形成用組成物の塗工面とする場合には、剥離フィルムにおける保護膜形成用組成物の塗工面の最大断面高さ(Rt)を、例えば、表面(β)の目的とする最大断面高さ(Rt)の値に対して0.5だけ小さい値から、0.5だけ大きい値の範囲内とすることが好ましい。このようにすることで、表面(β)の最大断面高さ(Rt)を目的とする値により容易に調節できる。
一方、剥離フィルムにおける、保護膜形成用組成物の塗工面ではない表面の最大断面高さ(Rt)は、特に限定されず、例えば、保護膜形成用組成物の塗工面と同様であってもよい。
剥離フィルムの表面を保護膜形成用組成物の塗工面としない場合には、剥離フィルムの表面(保護膜形成用フィルムに向かい合う面)の最大断面高さ(Rt)は、特に限定されない。
剥離フィルムの表面の最大断面高さ(Rt)は、公知の方法で調節できる。
例えば、剥離フィルムの凹凸面である表面を平滑化処理することで、最大断面高さ(Rt)を小さくする方法としては、原材料となる剥離フィルムの表面に平滑面を押圧して平滑形状を前記表面に転写する、いわゆる型押し法が挙げられる。この型押し法では、平滑面における平滑度を調節することで、剥離フィルムの表面の最大断面高さ(Rt)を調節できる。平滑形状の転写に用いる型は、ロール状(平滑面がロール面)、プレート状(平滑面が平面)、ブロック状(平滑面が平面)等、いずれの形状であってもよい。
一方、剥離フィルムの平滑面である表面を凹凸化処理することで、最大断面高さ(Rt)を大きくする方法としては、原材料となる剥離フィルムの表面に凹凸面を押圧して凹凸形状を前記表面に転写する型押し法が挙げられる。この型押し法では、凹凸面における凹凸度を調節することで、剥離フィルムの表面の最大断面高さ(Rt)を調節できる。凹凸形状の転写に用いる型は、ロール状(凹凸面がロール面)、プレート状(凹凸面が平面)、ブロック状(凹凸面が平面)等、いずれの形状であってもよい。
また、剥離フィルムの平滑面の最大断面高さ(Rt)を大きくする方法としては、上記の型押し法以外に、例えば、サンドブラスト処理法、溶剤処理法等も挙げられる。
保護膜形成用フィルムは1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよく、複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
なお、本明細書においては、保護膜形成用フィルムの場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
保護膜形成用フィルムの厚さは、1〜100μmであることが好ましく、5〜75μmであることがより好ましく、5〜50μmであることが特に好ましい。保護膜形成用フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、保護能がより高い保護膜を形成できる。また、保護膜形成用フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
ここで、「保護膜形成用フィルムの厚さ」とは、保護膜形成用フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる保護膜形成用フィルムの厚さとは、保護膜形成用フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
保護膜形成用フィルムを硬化させて保護膜を形成するときの硬化条件は、保護膜が十分にその機能を発揮する程度の硬化度となる限り特に限定されず、保護膜形成用フィルムの種類に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、保護膜形成用フィルムの硬化時における、エネルギー線の照度は、4〜280mW/cm2であることが好ましい。そして、前記硬化時における、エネルギー線の光量は、3〜1000mJ/cm2であることが好ましい。
保護膜形成用フィルムの使用対象である半導体ウエハ又は半導体チップの厚さは、特に限定されないが、本発明の効果がより顕著に得られることから、30〜1000μmであることが好ましく、100〜300μmであることがより好ましい。
図1は、本発明の保護膜形成用フィルムの一実施形態を模式的に示す断面図である。なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
ここに示す保護膜形成用フィルム13は、その一方の表面13a上に第1剥離フィルム151を備え、前記表面13aとは反対側の他方の表面13b上に第2剥離フィルム152を備えている。
このような保護膜形成用フィルム13は、例えば、ロール状として保管するのに好適である。
保護膜形成用フィルム13は、後述する保護膜形成用組成物を用いて形成できる。
保護膜形成用フィルム13において、前記表面13a及び表面13bのいずれか一方又は両方は、表面(β)である。
第1剥離フィルム151及び第2剥離フィルム152は、いずれも公知のものでよく、上記のように、表面の最大断面高さ(Rt)が調節されたものであってもよい。
第1剥離フィルム151及び第2剥離フィルム152は、互いに同じものであってもよいし、例えば、保護膜形成用フィルム13から剥離させるときに必要な剥離力が互いに異なるなど、互いに異なるものであってもよい。
図1に示す保護膜形成用フィルム13は、第1剥離フィルム151及び第2剥離フィルム152のいずれか一方が取り除かれ、生じた露出面に、半導体ウエハ(図示略)の裏面が貼付される。そして、第1剥離フィルム151及び第2剥離フィルム152の残りの他方が取り除かれ、生じた露出面が支持シートの貼付面となる。
<<保護膜形成用組成物>>
保護膜形成用フィルムは、その構成材料を含有する保護膜形成用組成物を用いて形成できる。例えば、保護膜形成用フィルムの形成対象面に保護膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に保護膜形成用フィルムを形成できる。保護膜形成用組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、保護膜形成用フィルムの前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
保護膜形成用組成物の塗工は、公知の方法で行えばよく、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる方法が挙げられる。
保護膜形成用組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、保護膜形成用組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましい。溶媒を含有する保護膜形成用組成物は、例えば、70〜130℃で10秒〜5分の条件で乾燥させることが好ましい。
<保護膜形成用組成物(IV−1)>
保護膜形成用組成物としては、例えば、前記エネルギー線硬化性成分(a)を含有する保護膜形成用組成物(IV−1)等が挙げられる。
[エネルギー線硬化性成分(a)]
エネルギー線硬化性成分(a)は、エネルギー線の照射によって硬化する成分であり、保護膜形成用フィルムに造膜性や、可撓性等を付与するための成分でもある。
エネルギー線硬化性成分(a)としては、例えば、エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000〜2000000の重合体(a1)、及びエネルギー線硬化性基を有する、分子量が100〜80000の化合物(a2)が挙げられる。前記重合体(a1)は、その少なくとも一部が、後述する架橋剤(f)によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
なお、本明細書において、重量平均分子量とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値を意味する。
(エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000〜2000000の重合体(a1))
エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000〜2000000の重合体(a1)としては、例えば、他の化合物が有する基と反応可能な官能基を有するアクリル系重合体(a11)と、前記官能基と反応する基、及びエネルギー線硬化性二重結合等のエネルギー線硬化性基を有するエネルギー線硬化性化合物(a12)と、が重合してなるアクリル系樹脂(a1−1)が挙げられる。
他の化合物が有する基と反応可能な前記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、置換アミノ基(アミノ基の1個又は2個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる基)、エポキシ基等が挙げられる。ただし、半導体ウエハや半導体チップ等の回路の腐食を防止するという点では、前記官能基はカルボキシ基以外の基であることが好ましい。
これらの中でも、前記官能基は、水酸基であることが好ましい。
・官能基を有するアクリル系重合体(a11)
前記官能基を有するアクリル系重合体(a11)としては、例えば、前記官能基を有するアクリル系モノマーと、前記官能基を有しないアクリル系モノマーと、が共重合してなるものが挙げられ、これらモノマー以外に、さらにアクリル系モノマー以外のモノマー(非アクリル系モノマー)が共重合したものであってもよい。
また、前記アクリル系重合体(a11)は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
前記官能基を有するアクリル系モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、置換アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
前記水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;ビニルアルコール、アリルアルコール等の非(メタ)アクリル系不飽和アルコール((メタ)アクリロイル骨格を有しない不飽和アルコール)等が挙げられる。
前記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するモノカルボン酸);フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸);前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物;2−カルボキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステル等が挙げられる。
前記官能基を有するアクリル系モノマーは、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマーが好ましく、水酸基含有モノマーがより好ましい。
前記アクリル系重合体(a11)を構成する、前記官能基を有するアクリル系モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記官能基を有しないアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1〜18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
また、前記官能基を有しないアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル等を含む、芳香族基を有する(メタ)アクリル酸エステル;非架橋性の(メタ)アクリルアミド及びその誘導体;(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル等の非架橋性の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等も挙げられる。
前記アクリル系重合体(a11)を構成する、前記官能基を有しないアクリル系モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記非アクリル系モノマーとしては、例えば、エチレン、ノルボルネン等のオレフィン;酢酸ビニル;スチレン等が挙げられる。
前記アクリル系重合体(a11)を構成する前記非アクリル系モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記アクリル系重合体(a11)において、これを構成する構成単位の全量に対する、前記官能基を有するアクリル系モノマーから誘導された構成単位の量の割合(含有量)は、0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜40質量%であることがより好ましく、3〜30質量%であることが特に好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、前記アクリル系重合体(a11)と前記エネルギー線硬化性化合物(a12)との共重合によって得られた前記アクリル系樹脂(a1−1)において、エネルギー線硬化性基の含有量は、保護膜の硬化の程度を好ましい範囲に容易に調節可能となる。
前記アクリル系樹脂(a1−1)を構成する前記アクリル系重合体(a11)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
保護膜形成用組成物(IV−1)において、アクリル系樹脂(a1−1)の含有量は、1〜40質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましく、3〜20質量%であることが特に好ましい。
・エネルギー線硬化性化合物(a12)
前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、前記アクリル系重合体(a11)が有する官能基と反応可能な基として、イソシアネート基、エポキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される1種又は2種以上を有するものが好ましく、前記基としてイソシアネート基を有するものがより好ましい。前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、例えば、前記基としてイソシアネート基を有する場合、このイソシアネート基が、前記官能基として水酸基を有するアクリル系重合体(a11)のこの水酸基と容易に反応する。
前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、1分子中に前記エネルギー線硬化性基を1〜5個有することが好ましく、1〜3個有することがより好ましい。
前記エネルギー線硬化性化合物(a12)としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート;
ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;
ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物等が挙げられる。
これらの中でも、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートであることが好ましい。
前記アクリル系樹脂(a1−1)を構成する前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記アクリル系樹脂(a1−1)において、前記アクリル系重合体(a11)に由来する前記官能基の含有量に対する、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)に由来するエネルギー線硬化性基の含有量の割合は、20〜120モル%であることが好ましく、35〜100モル%であることがより好ましく、50〜100モル%であることが特に好ましい。前記含有量の割合がこのような範囲であることで、硬化により形成された保護膜の接着力がより大きくなる。なお、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)が一官能(前記基を1分子中に1個有する)化合物である場合には、前記含有量の割合の上限値は100モル%となるが、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)が多官能(前記基を1分子中に2個以上有する)化合物である場合には、前記含有量の割合の上限値は100モル%を超えることがある。
前記重合体(a1)の重量平均分子量(Mw)は、100000〜2000000であることが好ましく、300000〜1500000であることがより好ましい。
前記重合体(a1)が、その少なくとも一部が架橋剤(f)によって架橋されたものである場合、前記重合体(a1)は、前記アクリル系重合体(a11)を構成するものとして説明した、上述のモノマーのいずれにも該当せず、かつ架橋剤(f)と反応する基を有するモノマーが重合して、架橋剤(f)と反応する基において架橋されたものであってもよいし、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)に由来する、前記官能基と反応する基において、架橋されたものであってもよい。
保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムが含有する前記重合体(a1)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
(エネルギー線硬化性基を有する、分子量が100〜80000の化合物(a2))
エネルギー線硬化性基を有する、分子量が100〜80000の化合物(a2)中の前記エネルギー線硬化性基としては、エネルギー線硬化性二重結合を含む基が挙げられ、好ましいものとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
前記化合物(a2)は、上記の条件を満たすものであれば、特に限定されないが、エネルギー線硬化性基を有する低分子量化合物、エネルギー線硬化性基を有するエポキシ樹脂、エネルギー線硬化性基を有するフェノール樹脂等が挙げられる。
前記化合物(a2)のうち、エネルギー線硬化性基を有する低分子量化合物としては、例えば、多官能のモノマー又はオリゴマー等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物が好ましい。
前記アクリレート系化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル]プロパン、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート(トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート)、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン等の2官能(メタ)アクリレート;
トリス(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等の多官能(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。
前記化合物(a2)のうち、エネルギー線硬化性基を有するエポキシ樹脂、エネルギー線硬化性基を有するフェノール樹脂としては、例えば、「特開2013−194102号公報」の段落0043等に記載されているものを用いることができる。このような樹脂は、後述する熱硬化性成分(h)を構成する樹脂にも該当するが、本発明においては前記化合物(a2)として取り扱う。
前記化合物(a2)の重量平均分子量は、100〜30000であることが好ましく、300〜10000であることがより好ましい。
保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムが含有する前記化合物(a2)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)]
保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムは、前記エネルギー線硬化性成分(a)として前記化合物(a2)を含有する場合、さらにエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)も含有することが好ましい。
前記重合体(b)は、その少なくとも一部が架橋剤(f)によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、例えば、アクリル系重合体、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、ゴム系樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、ブチラール樹脂、ポリエステルウレタン樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、前記重合体(b)は、アクリル系重合体(以下、「アクリル系重合体(b−1)」と略記することがある)であることが好ましい。
アクリル系重合体(b−1)は、公知のものでよく、例えば、1種のアクリル系モノマーの単独重合体であってもよいし、2種以上のアクリル系モノマーの共重合体であってもよいし、1種又は2種以上のアクリル系モノマーと、1種又は2種以上のアクリル系モノマー以外のモノマー(非アクリル系モノマー)と、の共重合体であってもよい。
アクリル系重合体(b−1)を構成する前記アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、「置換アミノ基」とは、先に説明したとおりである。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1〜18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
前記環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル等が挙げられる。
前記グリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。
前記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。
前記置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸N−メチルアミノエチル等が挙げられる。
アクリル系重合体(b−1)を構成する前記非アクリル系モノマーとしては、例えば、エチレン、ノルボルネン等のオレフィン;酢酸ビニル;スチレン等が挙げられる。
少なくとも一部が架橋剤(f)によって架橋された、前記エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、例えば、前記重合体(b)中の反応性官能基が架橋剤(f)と反応したものが挙げられる。
前記反応性官能基は、架橋剤(f)の種類等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。例えば、架橋剤(f)がポリイソシアネート化合物である場合には、前記反応性官能基としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられ、これらの中でも、イソシアネート基との反応性が高い水酸基が好ましい。また、架橋剤(f)がエポキシ系化合物である場合には、前記反応性官能基としては、カルボキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられ、これらの中でもエポキシ基との反応性が高いカルボキシ基が好ましい。ただし、半導体ウエハや半導体チップの回路の腐食を防止するという点では、前記反応性官能基はカルボキシ基以外の基であることが好ましい。
前記反応性官能基を有する、エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、例えば、少なくとも前記反応性官能基を有するモノマーを重合させて得られたものが挙げられる。アクリル系重合体(b−1)の場合であれば、これを構成するモノマーとして挙げた、前記アクリル系モノマー及び非アクリル系モノマーのいずれか一方又は両方として、前記反応性官能基を有するものを用いればよい。反応性官能基として水酸基を有する前記重合体(b)としては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを重合して得られたものが挙げられ、これ以外にも、先に挙げた前記アクリル系モノマー又は非アクリル系モノマーにおいて、1個又は2個以上の水素原子が前記反応性官能基で置換されてなるモノマーを重合して得られたものが挙げられる。
反応性官能基を有する前記重合体(b)において、これを構成する構成単位の全量に対する、反応性官能基を有するモノマーから誘導された構成単位の量の割合(含有量)は、1〜25質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、前記重合体(b)において、架橋の程度がより好ましい範囲となる。
エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の重量平均分子量(Mw)は、保護膜形成用組成物(IV−1)の造膜性がより良好となる点から、10000〜2000000であることが好ましく、100000〜1500000であることがより好ましい。
保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムが含有する、エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
保護膜形成用組成物(IV−1)としては、前記重合体(a1)及び前記化合物(a2)のいずれか一方又は両方を含有するものが挙げられる。そして、保護膜形成用組成物(IV−1)は、前記化合物(a2)を含有する場合、さらにエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)も含有することが好ましく、この場合、さらに前記(a1)を含有することも好ましい。また、保護膜形成用組成物(IV−1)は、前記化合物(a2)を含有せず、前記重合体(a1)、及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)をともに含有していてもよい。
保護膜形成用組成物(IV−1)が、前記重合体(a1)、前記化合物(a2)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)を含有する場合、保護膜形成用組成物(IV−1)において、前記化合物(a2)の含有量は、前記重合体(a1)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の総含有量100質量部に対して、10〜400質量部であることが好ましく、30〜350質量部であることがより好ましい。
保護膜形成用組成物(IV−1)において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、前記エネルギー線硬化性成分(a)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の合計含有量の割合(すなわち、保護膜形成用フィルムの前記エネルギー線硬化性成分(a)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の合計含有量)は、5〜90質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましく、15〜70質量%であることが特に好ましく、例えば、20〜60質量%、及び25〜50質量%のいずれかであってもよい。前記合計含有量の割合がこのような範囲であることで、保護膜形成用フィルムのエネルギー線硬化性がより良好となる。
保護膜形成用組成物(IV−1)が前記エネルギー線硬化性成分(a)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)を含有する場合、保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムにおいて、前記重合体(b)の含有量は、エネルギー線硬化性成分(a)の含有量100質量部に対して、3〜160質量部であることが好ましく、6〜130質量部であることがより好ましく、例えば、15〜130質量部、40〜130質量部、65〜130質量部、及び90〜130質量部のいずれかであってもよい。前記重合体(b)の前記含有量がこのような範囲であることで、保護膜形成用フィルムのエネルギー線硬化性がより良好となる。
保護膜形成用組成物(IV−1)は、エネルギー線硬化性成分(a)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)以外に、目的に応じて、光重合開始剤(c)、充填材(d)、カップリング剤(e)、架橋剤(f)、着色剤(g)、熱硬化性成分(h)、硬化促進剤(i)、及び汎用添加剤(z)からなる群より選択される1種又は2種以上を含有していてもよい。
例えば、前記エネルギー線硬化性成分(a)及び熱硬化性成分(h)を含有する保護膜形成用組成物(IV−1)を用いることにより、形成される保護膜形成用フィルムは、加熱によって被着体に対する接着力が向上し、この保護膜形成用フィルムから形成された保護膜の強度も向上する。
[光重合開始剤(c)]
光重合開始剤(c)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のアセトフェノン化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;ベンジルフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のスルフィド化合物;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール化合物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;チタノセン等のチタノセン化合物;チオキサントン等のチオキサントン化合物;ベンゾフェノン、2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジル−1−ブタノン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のベンゾフェノン化合物;パーオキサイド化合物;ジアセチル等のジケトン化合物;ベンジル;ジベンジル;2,4−ジエチルチオキサントン;1,2−ジフェニルメタン;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン;2−クロロアントラキノン等が挙げられる。
また、光重合開始剤(c)としては、例えば、1−クロロアントラキノン等のキノン化合物;アミン等の光増感剤等を用いることもできる。
保護膜形成用組成物(IV−1)が含有する光重合開始剤(c)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
光重合開始剤(c)を用いる場合、保護膜形成用組成物(IV−1)において、光重合開始剤(c)の含有量は、エネルギー線硬化性化合物(a)の含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.03〜10質量部であることがより好ましく、0.05〜5質量部であることが特に好ましい。
[充填材(d)]
保護膜形成用フィルムが充填材(d)を含有することにより、保護膜形成用フィルムを硬化して得られた保護膜は、熱膨張係数の調整が容易となる。そして、この熱膨張係数を保護膜の形成対象物に対して最適化することで、保護膜形成用複合シートを用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。また、保護膜形成用フィルムが充填材(d)を含有することにより、保護膜の吸湿率を低減したり、放熱性を向上させたりすることもできる。
充填材(d)としては、例えば、熱伝導性材料からなるものが挙げられる。
充填材(d)は、有機充填材及び無機充填材のいずれでもよいが、無機充填材であることが好ましい。
好ましい無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化ケイ素、窒化ホウ素等の粉末;これら無機充填材を球形化したビーズ;これら無機充填材の表面改質品;これら無機充填材の単結晶繊維;ガラス繊維等が挙げられる。
これらの中でも、無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましい。
充填材(d)の平均粒子径は、特に限定されないが、0.01〜20μmであることが好ましく、0.1〜15μmであることがより好ましく、0.3〜10μmであることが特に好ましい。充填材(d)の平均粒子径がこのような範囲であることで、保護膜の形成対象物に対する接着性を維持しつつ、保護膜の光の透過率の低下を抑制できる。
なお、本明細書において「平均粒子径」とは、特に断りのない限り、レーザー回折散乱法によって求められた粒度分布曲線における、積算値50%での粒子径(D50)の値を意味する。
保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムが含有する充填材(d)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
充填材(d)を用いる場合、保護膜形成用組成物(IV−1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材(d)の含有量の割合(すなわち、保護膜形成用フィルムの充填材(d)の含有量)は、5〜83質量%であることが好ましく、7〜78質量%であることがより好ましく、例えば、10〜73質量%、25〜68質量%、及び40〜63質量%のいずれかであってもよい。充填材(d)の含有量がこのような範囲であることで、上記の熱膨張係数の調整がより容易となる。
[カップリング剤(e)]
カップリング剤(e)として、無機化合物又は有機化合物と反応可能な官能基を有するものを用いることにより、保護膜形成用フィルムの被着体に対する接着性及び密着性を向上させることができる。また、カップリング剤(e)を用いることで、保護膜形成用フィルムを硬化して得られた保護膜は、耐熱性を損なうことなく、耐水性が向上する。
カップリング剤(e)は、エネルギー線硬化性成分(a)、エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)等が有する官能基と反応可能な官能基を有する化合物であることが好ましく、シランカップリング剤であることがより好ましい。
好ましい前記シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムが含有するカップリング剤(e)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
カップリング剤(e)を用いる場合、保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムにおいて、カップリング剤(e)の含有量は、エネルギー線硬化性成分(a)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の総含有量100質量部に対して、0.03〜20質量部であることが好ましく、0.05〜10質量部であることがより好ましく、0.1〜5質量部であることが特に好ましい。カップリング剤(e)の前記含有量が前記下限値以上であることで、充填材(d)の樹脂への分散性の向上や、保護膜形成用フィルムの被着体との接着性の向上など、カップリング剤(e)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、カップリング剤(e)の前記含有量が前記上限値以下であることで、アウトガスの発生がより抑制される。
[架橋剤(f)]
架橋剤(f)を用いて、上述のエネルギー線硬化性成分(a)やエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)を架橋することにより、保護膜形成用フィルムの初期接着力及び凝集力を調節できる。
架橋剤(f)としては、例えば、有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物、金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤)、アジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤)等が挙げられる。
前記有機多価イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物及び脂環族多価イソシアネート化合物(以下、これら化合物をまとめて「芳香族多価イソシアネート化合物等」と略記することがある);前記芳香族多価イソシアネート化合物等の三量体、イソシアヌレート体及びアダクト体;前記芳香族多価イソシアネート化合物等とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。前記「アダクト体」は、前記芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物又は脂環族多価イソシアネート化合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物を意味する。前記アダクト体の例としては、後述するようなトリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物等が挙げられる。また、「末端イソシアネートウレタンプレポリマー」とは、ウレタン結合を有するとともに、分子の末端部にイソシアネート基を有するプレポリマーを意味する。
前記有機多価イソシアネート化合物として、より具体的には、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート;2,6−トリレンジイソシアネート;1,3−キシリレンジイソシアネート;1,4−キシレンジイソシアネート;ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート;ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート;3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート;トリメチロールプロパン等のポリオールのすべて又は一部の水酸基に、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネートのいずれか1種又は2種以上が付加した化合物;リジンジイソシアネート等が挙げられる。
前記有機多価イミン化合物としては、例えば、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。
架橋剤(f)として有機多価イソシアネート化合物を用いる場合、エネルギー線硬化性成分(a)又はエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、水酸基含有重合体を用いることが好ましい。架橋剤(f)がイソシアネート基を有し、エネルギー線硬化性成分(a)又はエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)が水酸基を有する場合、架橋剤(f)とエネルギー線硬化性成分(a)又はエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)との反応によって、保護膜形成用フィルムに架橋構造を簡便に導入できる。
保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムが含有する架橋剤(f)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
架橋剤(f)を用いる場合、保護膜形成用組成物(IV−1)において、架橋剤(f)の含有量は、エネルギー線硬化性成分(a)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の総含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部であることが特に好ましい。架橋剤(f)の前記含有量が前記下限値以上であることで、架橋剤(f)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、架橋剤(f)の前記含有量が前記上限値以下であることで、架橋剤(f)の過剰使用が抑制される。
[着色剤(g)]
着色剤(g)としては、例えば、無機系顔料、有機系顔料、有機系染料等、公知のものが挙げられる。
前記有機系顔料及び有機系染料としては、例えば、アミニウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、アズレニウム系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、ピリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ナフトラクタム系色素、アゾ系色素、縮合アゾ系色素、インジゴ系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、ジオキサジン系色素、キナクリドン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、ピロール系色素、チオインジゴ系色素、金属錯体系色素(金属錯塩染料)、ジチオール金属錯体系色素、インドールフェノール系色素、トリアリルメタン系色素、アントラキノン系色素、ナフトール系色素、アゾメチン系色素、ベンズイミダゾロン系色素、ピランスロン系色素及びスレン系色素等が挙げられる。
前記無機系顔料としては、例えば、カーボンブラック、コバルト系色素、鉄系色素、クロム系色素、チタン系色素、バナジウム系色素、ジルコニウム系色素、モリブデン系色素、ルテニウム系色素、白金系色素、ITO(インジウムスズオキサイド)系色素、ATO(アンチモンスズオキサイド)系色素等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムが含有する着色剤(g)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
着色剤(g)を用いる場合、保護膜形成用フィルムの着色剤(g)の含有量は、目的に応じて適宜調節すればよい。例えば、着色剤(g)の含有量を調節し、保護膜の光透過性を調節することにより、印字視認性を調節する場合、保護膜形成用組成物(IV−1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する着色剤(g)の含有量の割合(すなわち、保護膜形成用フィルムの着色剤(g)の含有量)は、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.4〜7.5質量%であることがより好ましく、0.8〜5質量%であることが特に好ましい。着色剤(g)の前記含有量が前記下限値以上であることで、着色剤(g)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、着色剤(g)の前記含有量が前記上限値以下であることで、着色剤(g)の過剰使用が抑制される。
[熱硬化性成分(h)]
保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムが含有する熱硬化性成分(h)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
熱硬化性成分(h)としては、例えば、エポキシ系熱硬化性樹脂、熱硬化性ポリイミド、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂等が挙げられ、エポキシ系熱硬化性樹脂が好ましい。
(エポキシ系熱硬化性樹脂)
エポキシ系熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂(h1)及び熱硬化剤(h2)からなる。
保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムが含有するエポキシ系熱硬化性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
・エポキシ樹脂(h1)
エポキシ樹脂(h1)としては、公知のものが挙げられ、例えば、多官能系エポキシ樹脂、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂等、2官能以上のエポキシ化合物が挙げられる。
エポキシ樹脂(h1)としては、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を用いてもよい。不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂は、不飽和炭化水素基を有しないエポキシ樹脂よりもアクリル系樹脂との相溶性が高い。そのため、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を用いることで、保護膜形成用複合シートを用いて得られたパッケージの信頼性が向上する。
不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、多官能系エポキシ樹脂のエポキシ基の一部が不飽和炭化水素基を有する基に変換されてなる化合物が挙げられる。このような化合物は、例えば、エポキシ基へ(メタ)アクリル酸又はその誘導体を付加反応させることにより得られる。
また、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を構成する芳香環等に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合した化合物等が挙げられる。
不飽和炭化水素基は、重合性を有する不飽和基であり、その具体的な例としては、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基等が挙げられ、アクリロイル基が好ましい。
エポキシ樹脂(h1)の数平均分子量は、特に限定されないが、保護膜形成用フィルムの硬化性、並びに保護膜の強度及び耐熱性の点から、300〜30000であることが好ましく、400〜10000であることがより好ましく、500〜3000であることが特に好ましい。
エポキシ樹脂(h1)のエポキシ当量は、100〜1000g/eqであることが好ましく、150〜800g/eqであることがより好ましい。
エポキシ樹脂(h1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
・熱硬化剤(h2)
熱硬化剤(h2)は、エポキシ樹脂(h1)に対する硬化剤として機能する。
熱硬化剤(h2)としては、例えば、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。前記官能基としては、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシ基、酸基が無水物化された基等が挙げられ、フェノール性水酸基、アミノ基、又は酸基が無水物化された基であることが好ましく、フェノール性水酸基又はアミノ基であることがより好ましい。
熱硬化剤(h2)のうち、フェノール性水酸基を有するフェノール系硬化剤としては、例えば、多官能フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、アラルキルフェノール樹脂等が挙げられる。
熱硬化剤(h2)のうち、アミノ基を有するアミン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(以下、「DICY」と略記することがある)等が挙げられる。
熱硬化剤(h2)は、不飽和炭化水素基を有するものでもよい。
不飽和炭化水素基を有する熱硬化剤(h2)としては、例えば、フェノール樹脂の水酸基の一部が、不飽和炭化水素基を有する基で置換されてなる化合物、フェノール樹脂の芳香環に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合してなる化合物等が挙げられる。
熱硬化剤(h2)における前記不飽和炭化水素基は、上述の不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂における不飽和炭化水素基と同様のものである。
熱硬化剤(h2)としてフェノール系硬化剤を用いる場合には、保護膜の支持シートからの剥離性が向上する点から、熱硬化剤(h2)は軟化点又はガラス転移温度が高いものが好ましい。
熱硬化剤(h2)のうち、例えば、多官能フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、アラルキルフェノール樹脂等の樹脂成分の数平均分子量は、300〜30000であることが好ましく、400〜10000であることがより好ましく、500〜3000であることが特に好ましい。
熱硬化剤(h2)のうち、例えば、ビフェノール、ジシアンジアミド等の非樹脂成分の分子量は、特に限定されないが、例えば、60〜500であることが好ましい。
熱硬化剤(h2)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
熱硬化性成分(h)を用いる場合、保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムにおいて、熱硬化剤(h2)の含有量は、エポキシ樹脂(h1)の含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましい。
熱硬化性成分(h)を用いる場合、保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムにおいて、熱硬化性成分(h)の含有量(例えば、エポキシ樹脂(h1)及び熱硬化剤(h2)の総含有量)は、エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の含有量100質量部に対して、1〜500質量部であることが好ましい。
[硬化促進剤(i)]
硬化促進剤(i)は、保護膜形成用フィルムの硬化速度を調整するための成分である。
好ましい硬化促進剤(i)としては、例えば、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類(1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されたイミダゾール);トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類(1個以上の水素原子が有機基で置換されたホスフィン);テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
硬化促進剤(i)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
硬化促進剤(i)を用いる場合、保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムの硬化促進剤(i)の含有量は、特に限定されず、併用する成分に応じて適宜選択すればよい。
[汎用添加剤(z)]
汎用添加剤(z)は、公知のものでよく、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ゲッタリング剤等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムが含有する汎用添加剤(z)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
汎用添加剤(z)を用いる場合、保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムの汎用添加剤(z)の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
[溶媒]
保護膜形成用組成物(IV−1)は、さらに溶媒を含有することが好ましい。溶媒を含有する保護膜形成用組成物(IV−1)は、取り扱い性が良好となる。
前記溶媒は特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソブチルアルコール(2−メチルプロパン−1−オール)、1−ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(IV−1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
保護膜形成用組成物(IV−1)が含有する溶媒は、保護膜形成用組成物(IV−1)中の含有成分をより均一に混合できる点から、メチルエチルケトン、トルエン又は酢酸エチル等であることが好ましい。
<<保護膜形成用組成物の製造方法>>
保護膜形成用組成物(IV−1)等の保護膜形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
◇保護膜形成用フィルムの製造方法
本発明の保護膜形成用フィルムは、剥離フィルム(好ましくはその剥離処理面)上に保護膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで製造できる。このとき、剥離フィルムにおける保護膜形成用組成物の塗工面の最大断面高さ(Rt)を調節することで、前記表面(β)を有する保護膜形成用フィルムを形成できる。
なお、保護膜形成用フィルムは、例えば、図1に示すように、通常、その両面に剥離フィルムが貼り合わされた状態で保管される。そのためには、上記のように剥離フィルム上に形成した保護膜形成用フィルムの露出面(剥離フィルムを備えている側とは反対側の面)に、さらに剥離フィルム(好ましくはその剥離処理面)を貼り合わせればよい。
◇保護膜形成用フィルムの使用方法
本発明の保護膜形成用フィルムは、上述のように、支持シートに設けることで、保護膜形成用複合シートを構成できる。保護膜形成用複合シートは、その保護膜形成用フィルムにより、半導体ウエハの裏面(電極形成面とは反対側の面)に貼付されて、使用される。以降は、後述する保護膜形成用複合シートの場合と同じ方法で、保護膜形成用フィルムの硬化による保護膜の形成、ダイシング、保護膜付き半導体チップのピックアップ等を行い、目的とする半導体装置を製造すればよい。
一方、本発明の保護膜形成用フィルムは、支持シートではなく、半導体ウエハの裏面に先に設けてもよい。すなわち、保護膜形成用フィルムを半導体ウエハの裏面に貼付する。次いで、保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して、保護膜形成用フィルムを硬化させて保護膜とする。次いで、この保護膜の露出面(半導体ウエハに貼付している側とは反対側の面)に、支持シートを貼り合わせることで、保護膜形成用フィルムが保護膜となった状態の保護膜形成用複合シートとする。以降は、上記と同様に、ダイシング、保護膜付き半導体チップのピックアップ等を行い、目的とする半導体装置を製造すればよい。
なお、ここでは、保護膜形成用フィルムを硬化させて保護膜としてから、この保護膜を支持シートと貼り合わせる場合について説明したが、本発明の保護膜形成用フィルムを使用する場合、これらの工程を行う順序は、逆であってもよい。すなわち、保護膜形成用フィルムを半導体ウエハの裏面に貼付した後、保護膜形成用フィルムの露出面(半導体ウエハに貼付している側とは反対側の面)に、支持シートを貼り合わせることで、保護膜形成用フィルムが未硬化の状態の保護膜形成用複合シートとする。次いで、保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して、保護膜形成用フィルムを硬化させて保護膜とする。以降は、上記と同様に、ダイシング、保護膜付き半導体チップのピックアップ等を行い、目的とする半導体装置を製造すればよい。
◇保護膜形成用複合シート
本発明の保護膜形成用複合シートは、支持シートを備え、前記保護膜形成用フィルムを前記支持シート上に備えてなり、前記保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して保護膜としたとき、前記保護膜の表面(β’)となる、前記保護膜形成用フィルムの表面(β)が、前記支持シートに向かい合っているものである。
本発明の保護膜形成用複合シートは、ダイシングシートとしての機能が予め付与されたものである。
前記保護膜形成用複合シートにおいて、保護膜形成用フィルムの表面(β)は、支持シートに向かい合っており、エネルギー線の照射によって、保護膜の表面(β’)となる。
前記保護膜形成用複合シートは、前記保護膜形成用フィルムを備えていることで、保護膜の表面(β’)におけるレーザー印字が鮮明となり、印字視認性に優れる。
本発明においては、保護膜形成用フィルムが硬化した後であっても、支持シート及び保護膜形成用フィルムの硬化物(換言すると、支持シート及び保護膜)の積層構造が維持されている限り、この積層構造体を「保護膜形成用複合シート」と称する。
本発明の保護膜形成用複合シートの使用対象である半導体ウエハ又は半導体チップの厚さは、特に限定されないが、本発明の効果がより顕著に得られることから、30〜1000μmであることが好ましく、100〜300μmであることがより好ましい。
以下、保護膜形成用複合シートの構成について、詳細に説明する。
◎支持シート
前記支持シートは、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。支持シートが複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
好ましい支持シートとしては、例えば、基材のみからなるものが挙げられる。
本発明の保護膜形成用複合シートの例を、以下、図面を参照しながら説明する。
図2は、本発明の保護膜形成用複合シートの一実施形態を模式的に示す断面図である。
なお、図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここに示す保護膜形成用複合シート1Cは、基材11上に保護膜形成用フィルム13を備えてなるものである。支持シート10は基材11のみからなり、保護膜形成用複合シート1Cは、換言すると、支持シート10の一方の表面10a上に保護膜形成用フィルム13が積層された構成を有する。また、保護膜形成用複合シート1Cは、さらに保護膜形成用フィルム13上に剥離フィルム15を備えている。
保護膜形成用複合シート1Cにおいては、基材11の一方の表面11a(支持シート10の一方の表面10a)に保護膜形成用フィルム13が積層され、保護膜形成用フィルム13の一方の表面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)13aの一部、すなわち、周縁部近傍の領域に治具用接着剤層16が積層され、保護膜形成用フィルム13の表面(第1面)13aのうち、治具用接着剤層16が積層されていない領域と、治具用接着剤層16の表面16a(上面及び側面)に、剥離フィルム15が積層されている。
保護膜形成用複合シート1Cにおいて、保護膜形成用フィルム13の他方の表面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)、すなわち、保護膜形成用フィルム13の支持シート10に向かい合う面13bは、前記表面(β)であり、保護膜形成用フィルム13の第1面13aが前記表面(β)であってもよい。
図2に示す保護膜形成用複合シート1Cは、剥離フィルム15が取り除かれた状態で、保護膜形成用フィルム13の第1面13aに半導体ウエハ(図示略)の裏面が貼付され、さらに、治具用接着剤層16の表面16aのうち上面が、リングフレーム等の治具に貼付されて、使用される。
図3は、本発明の保護膜形成用複合シートの他の実施形態を模式的に示す断面図である。
ここに示す保護膜形成用複合シート1Dは、治具用接着剤層16を備えていない点以外は、図2に示す保護膜形成用複合シート1Cと同じものである。すなわち、保護膜形成用複合シート1Dにおいては、基材11の一方の表面11aに保護膜形成用フィルム13が積層され、保護膜形成用フィルム13の第1面13aの全面に剥離フィルム15が積層されている。
図3に示す保護膜形成用複合シート1Dは、剥離フィルム15が取り除かれた状態で、保護膜形成用フィルム13の第1面13aのうち、中央側の一部の領域に半導体ウエハ(図示略)の裏面が貼付され、さらに、周縁部近傍の領域が、リングフレーム等の治具に貼付されて、使用される。
本発明の保護膜形成用複合シートは、図2〜3に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図2〜3に示すものの一部の構成が変更又は削除されたものや、これまでに説明したものにさらに他の構成が追加されたものであってもよい。
例えば、図2〜3に示す保護膜形成用複合シートは、本発明の効果を損なわない限り、支持シート、保護膜形成用フィルム、治具用接着剤層及び剥離フィルム以外の層が、任意の箇所に設けられていてもよい。
また、本発明の保護膜形成用複合シートにおいては、剥離フィルムと、この剥離フィルムと直接接触している層との間に、一部隙間が生じていてもよい。
また、本発明の保護膜形成用複合シートにおいては、各層の大きさや形状は、目的に応じて任意に調節できる。
支持シートは、透明であってもよいし、不透明であってもよく、目的に応じて着色されていてもよい。
なかでも、保護膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性を有する本発明においては、支持シートはエネルギー線を透過させるものが好ましい。
例えば、支持シートにおいて、波長375nmの光の透過率は30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。前記光の透過率がこのような範囲であることで、支持シートを介して保護膜形成用フィルムにエネルギー線(紫外線)を照射しときに、保護膜形成用フィルムの硬化度がより向上する。
一方、支持シートにおいて、波長375nmの光の透過率の上限値は特に限定されない。例えば、前記光の透過率は95%以下であってもよい。
また、支持シートにおいて、波長532nmの光の透過率は30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。前記光の透過率がこのような範囲であることで、支持シートを介して保護膜形成用フィルム又は保護膜にレーザー光を照射して、これらに印字したときに、より明りょうに印字できる。
一方、支持シートにおいて、波長532nmの光の透過率の上限値は特に限定されない。例えば、前記光の透過率は95%以下であってもよい。
また、支持シートにおいて、波長1064nmの光の透過率は30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。前記光の透過率がこのような範囲であることで、支持シートを介して保護膜形成用フィルム又は保護膜にレーザー光を照射して、これらに印字したときに、より明りょうに印字できる。
一方、支持シートにおいて、波長1064nmの光の透過率の上限値は特に限定されない。例えば、前記光の透過率は95%以下であってもよい。
後述する製造方法のように、支持シートの表面に保護膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで保護膜形成用フィルムを形成する場合には、支持シートにおける保護膜形成用組成物の塗工面の最大断面高さ(Rt)を、例えば、表面(β)の目的とする最大断面高さ(Rt)の値に対して0.5だけ小さい値から、0.5だけ大きい値の範囲内とすることが好ましい。このようにすることで、表面(β)の最大断面高さ(Rt)を目的とする値により容易に調節できる。
支持シートにおける保護膜形成用組成物の塗工面としては、例えば、前記基材の表面が挙げられる。
後述する製造方法のように、支持シートの表面に保護膜形成用組成物を塗工することなく、保護膜形成用フィルムを形成する場合には、支持シートの表面(保護膜形成用フィルムに向かい合う面と、この面とは反対側の面)の最大断面高さ(Rt)は、特に限定されず、例えば、上述の保護膜形成用組成物の塗工面と同様であってもよい。
支持シートの表面の最大断面高さ(Rt)は、例えば、上述の剥離フィルムの表面の最大断面高さ(Rt)の場合と同じ方法で調節できる。
次に、支持シートを構成する層について、さらに詳細に説明する。
○基材
前記基材は、シート状又はフィルム状であり、その構成材料としては、例えば、各種樹脂が挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ノルボルネン樹脂等のポリエチレン以外のポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−ノルボルネン共重合体等のエチレン系共重合体(モノマーとしてエチレンを用いて得られた共重合体);ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂(モノマーとして塩化ビニルを用いて得られた樹脂);ポリスチレン;ポリシクロオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、すべての構成単位が芳香族環式基を有する全芳香族ポリエステル等のポリエステル;2種以上の前記ポリエステルの共重合体;ポリ(メタ)アクリル酸エステル;ポリウレタン;ポリウレタンアクリレート;ポリイミド;ポリアミド;ポリカーボネート;フッ素樹脂;ポリアセタール;変性ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン;ポリエーテルケトン等が挙げられる。
また、前記樹脂としては、例えば、前記ポリエステルとそれ以外の樹脂との混合物等のポリマーアロイも挙げられる。前記ポリエステルとそれ以外の樹脂とのポリマーアロイは、ポリエステル以外の樹脂の量が比較的少量であるものが好ましい。
また、前記樹脂としては、例えば、ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上が架橋した架橋樹脂;ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上を用いたアイオノマー等の変性樹脂も挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。(メタ)アクリル酸と類似の用語についても同様である。
基材を構成する樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
基材は1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
基材の厚さは、50〜300μmであることが好ましく、60〜100μmであることがより好ましい。基材の厚さがこのような範囲であることで、前記保護膜形成用複合シートの可撓性と、半導体ウエハ又は半導体チップへの貼付性がより向上する。
ここで、「基材の厚さ」とは、基材全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる基材の厚さとは、基材を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
基材は、厚さの精度が高いもの、すなわち、部位によらず厚さのばらつきが抑制されたものが好ましい。上述の構成材料のうち、このような厚さの精度が高い基材を構成するのに使用可能な材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリエチレン以外のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
基材は、前記樹脂等の主たる構成材料以外に、充填材、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、軟化剤(可塑剤)等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
基材の光学特性は、先に説明した支持シートの光学特性を満たすようになっていればよい。すなわち、基材は、透明であってもよいし、不透明であってもよく、目的に応じて着色されていてもよいし、他の層が蒸着されていてもよい。
そして、保護膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性を有する本発明においては、基材はエネルギー線を透過させるものが好ましい。
基材は、公知の方法で製造できる。例えば、樹脂を含有する基材は、前記樹脂を含有する樹脂組成物を成形することで製造できる。
◇保護膜形成用複合シートの製造方法
本発明の保護膜形成用複合シートは、上述の各層を対応する位置関係となるように順次積層することで製造できる。各層の形成方法は、先に説明したとおりである。
支持シート上に保護膜形成用フィルムが積層されてなる保護膜形成用複合シートを製造する場合には、例えば、支持シート上に保護膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、前記保護膜形成用複合シートが得られる。このとき、支持シートにおける保護膜形成用組成物の塗工面の最大断面高さ(Rt)を、先に説明したように調節することで、前記表面(β)を有する保護膜形成用フィルムを形成できる。
また、支持シート上に保護膜形成用フィルムが積層されてなる保護膜形成用複合シートを製造する場合には、剥離フィルム(好ましくはその剥離処理面)上に保護膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム上に保護膜形成用フィルムを形成しておき、この保護膜形成用フィルムの露出面を、支持シートの一方の表面と貼り合わせることでも、前記保護膜形成用複合シートが得られる。ただし、このときには、保護膜形成用フィルムの露出面(剥離フィルムが設けられている側とは反対側の表面)の最大断面高さ(Rt)を、前記表面(β)の最大断面高さ(Rt)となるように調節する。
剥離フィルムは、保護膜形成用フィルムを形成後の任意のタイミングで取り除けばよい。
なお、保護膜形成用複合シートは、通常、その支持シートとは反対側の最表層(例えば、保護膜形成用フィルム)の表面に剥離フィルムが貼り合わされた状態で保管される。したがって、この剥離フィルム(好ましくはその剥離処理面)上に、保護膜形成用組成物等の、最表層を構成する層を形成するための組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム上に最表層を構成する層を形成しておき、この層の剥離フィルムと接触している側とは反対側の露出面上に残りの各層を積層し、剥離フィルムを取り除かずに貼り合わせた状態のままとすることでも、保護膜形成用複合シートが得られる。
◇保護膜形成用複合シートの使用方法
本発明の保護膜形成用複合シートは、例えば、以下に示す方法で使用できる。
すなわち、半導体ウエハの裏面(電極形成面とは反対側の面)に、保護膜形成用複合シートをその保護膜形成用フィルムによって貼付する。次いで、保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して、保護膜形成用フィルムを硬化させて保護膜とする。次いで、ダイシングによって、半導体ウエハを保護膜ごと分割して半導体チップとする。そして、半導体チップを、この保護膜が貼付された状態のまま(すなわち、保護膜付き半導体チップとして)、支持シートから引き離してピックアップする。
以降は従来法と同様の方法で、得られた保護膜付き半導体チップの半導体チップを基板の回路面にフリップチップ接続した後、半導体パッケージとする。そして、この半導体パッケージを用いて、目的とする半導体装置を作製すればよい。
なお、ここでは、保護膜形成用フィルムを硬化させて保護膜としてから、ダイシングを行う場合について説明したが、本発明の保護膜形成用複合シートを使用する場合、これらの工程を行う順序は、逆であってもよい。すなわち、半導体ウエハの裏面に保護膜形成用複合シートを貼付した後、ダイシングによって、半導体ウエハを保護膜形成用フィルムごと分割して半導体チップとする。次いで、分割済みの保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して、保護膜形成用フィルムを硬化させて保護膜とする。以降は、上記と同様に、保護膜付き半導体チップを支持シートから引き離してピックアップし、目的とする半導体装置を作製すればよい。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
保護膜形成用組成物の製造に用いた成分を以下に示す。
・エネルギー線硬化性成分
(a2)−1:トリシクロデカンジメチロールジアクリレート(日本化薬社製「KAYARAD R−684」、2官能紫外線硬化性化合物、分子量304)
・エネルギー線硬化性基を有しない重合体
(b)−1:アクリル酸ブチル(以下、「BA」と略記する)(10質量部)、アクリル酸メチル(以下、「MA」と略記する)(70質量部)、メタクリル酸グリシジル(以下、「GMA」と略記する)(5質量部)及びアクリル酸−2−ヒドロキシエチル(以下、「HEA」と略記する)(15質量部)を共重合してなるアクリル系重合体(重量平均分子量300000、ガラス転移温度−1℃)。
(b)−2:MA(85質量部)及びHEA(15質量部)を共重合してなるアクリル系重合体(重量平均分子量370000、ガラス転移温度6℃)。
・光重合開始剤
(c)−1:2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジル−1−ブタノン(BASF社製「Irgacure(登録商標)369」)
(c)−2:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(BASF社製「Irgacure(登録商標)OXE02」)
・充填材
(d)−1:シリカフィラー(溶融石英フィラー、平均粒子径8μm)
(d)−2:球状シリカフィラー(アドマテックス社製「SC2050MA」、平均粒子径0.5μm)
・カップリング剤
(e)−1:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM−503」、シランカップリング剤)
(e)−2:3−アミノプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー社製「A−1110」、シランカップリング剤)
・着色剤
(g)−1:フタロシアニン系青色色素(Pigment Blue 15:3)32質量部と、イソインドリノン系黄色色素(Pigment Yellow 139)18質量部と、アントラキノン系赤色色素(Pigment Red 177)50質量部とを混合し、前記3種の色素の合計量/スチレンアクリル樹脂量=1/3(質量比)となるように顔料化して得られた顔料。
(g)−2:カーボンブラック(三菱化学社製「#MA650」、平均粒子径28nm)
・エポキシ樹脂
(h1)−1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「jER828」、エポキシ当量184〜194g/eq)
(h1)−2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「jER1055」、エポキシ当量800〜900g/eq)
(h1)−3:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製「エピクロンHP−7200HH」、エポキシ当量255〜260g/eq)
・熱硬化剤
(h2)−1:ジシアンジアミド(熱活性潜在性硬化剤、ADEKA社製「アデカハードナーEH−3636AS」、活性水素量21g/eq)
・硬化促進剤
(i)−1:2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製「キュアゾール2PHZ−PW」)
保護膜形成用複合シートの製造に用いた基材を以下に示す。
・基材(11)−1:厚さが80μm、一方の表面の最大断面高さ(Rt)が0.9μm、他方の表面の最大断面高さ(Rt)が1.5μmであるポリプロピレン系フィルムからなる基材。
・基材(11)−2:厚さが80μm、一方の表面の最大断面高さ(Rt)が8.0μm、他方の表面の最大断面高さ(Rt)が1.5μmであるポリプロピレン系フィルムからなる基材。
・基材(91)−1:厚さが80μm、一方の表面の最大断面高さ(Rt)が12.0μm、他方の表面の最大断面高さ(Rt)が1.5μmであるポリプロピレン系フィルムからなる基材。
・基材(91)−2:厚さが80μm、一方の表面の最大断面高さ(Rt)が16.0μm、他方の表面の最大断面高さ(Rt)が1.5μmであるポリプロピレン系フィルムからなる基材。
保護膜形成用フィルム又は保護膜形成用複合シートの製造に用いた剥離フィルムを以下に示す。
・剥離フィルム(15)−1:ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET381031」、厚さ38μm)。
・剥離フィルム(15)−3:厚さが80μm、一方の表面の最大断面高さ(Rt)が0.9μm、他方の表面の最大断面高さ(Rt)が1.5μmであるポリエチレンテレフタレートを用いた剥離フィルム。
・剥離フィルム(15)−4:厚さが80μm、一方の表面の最大断面高さ(Rt)が8.0μm、他方の表面の最大断面高さ(Rt)が1.5μmであるポリエチレンテレフタレートを用いた剥離フィルム。
・剥離フィルム(95)−1:厚さが80μm、一方の表面の最大断面高さ(Rt)が12.0μm、他方の表面の最大断面高さ(Rt)が1.5μmであるポリエチレンテレフタレートを用いた剥離フィルム。
・剥離フィルム(95)−2:厚さが80μm、一方の表面の最大断面高さ(Rt)が16.0μm、他方の表面の最大断面高さ(Rt)が1.5μmであるポリエチレンテレフタレートを用いた剥離フィルム。
[実施例1]
<保護膜形成用フィルム及び保護膜形成用複合シートの製造>
(保護膜形成用組成物(IV−1)の製造)
エネルギー線硬化性成分(a2)−1、重合体(b)−1、光重合開始剤(c)−1、光重合開始剤(c)−2、充填材(d)−1、カップリング剤(e)−1及び着色剤(g)−1を、これらの含有量(固形分量、質量部)が表1に示す値となるようにメチルエチルケトンに溶解又は分散させて、23℃で撹拌することで、固形分濃度が50質量%である保護膜形成用組成物(IV−1)を調製した。なお、表1中の含有成分の欄の「−」との記載は、保護膜形成用組成物(IV−1)がその成分を含有していないことを意味する。
(保護膜形成用フィルム及び保護膜形成用複合シートの製造)
基材(11)−1の最大断面高さ(Rt)が0.9μmである一方の表面に、上記で得られた保護膜形成用組成物(IV−1)をナイフコーターにより塗工し、100℃で2分乾燥させることにより、厚さ25μmのエネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルム(13)−1を作製した。
次いで、剥離フィルム(15)−1の剥離処理面に、上記で得られた保護膜形成用フィルム(13)−1の露出面を貼り合わせて、基材(11)−1、保護膜形成用フィルム(13)−1及び剥離フィルム(15)−1が、これらの厚さ方向においてこの順に積層されてなる保護膜形成用複合シートを作製した。得られた保護膜形成用複合シートの構成を表2に示す。
<保護膜の評価>
(保護膜の半導体ウエハへの貼付面とは反対側の表面の最大断面高さ(Rt))
紫外線照射装置(リンテック社製「RAD2000m/8」)を用いて、照度195mW/cm2、光量170mJ/cm2の条件で、上記で得られた保護膜形成用複合シートに対して支持シート側から紫外線を照射することで、保護膜形成用フィルム(13)−1を硬化させ、保護膜を形成した。
次いで、形成した保護膜から支持シートを剥離させ、保護膜の露出面、すなわち保護膜の半導体ウエハへの貼付面とは反対側の表面(基材(11)−1に向かい合っていた面)の最大断面高さ(Rt)を、JIS B 0601:2013に準拠して測定した。結果を表2に示す。表2中、「Rt」の欄で示す数値が、その測定値である。
(保護膜の半導体ウエハへの貼付面とは反対側の表面のグロス値)
上記の最大断面高さ(Rt)の測定時に、光沢計(日本電色社製グロスメーター「VG 2000」)を用いて、JIS K 7105に準拠して、保護膜について、半導体ウエハを貼付する側とは反対側から、半導体ウエハへの貼付面とは反対側の表面の60°鏡面光沢度を測定し、その測定値を保護膜の前記表面のグロス値とした。結果を表2に示す。
(保護膜のレーザー印字視認性)
上記で得られた保護膜形成用複合シートにおいて、保護膜形成用フィルム(13)−1を、最大断面高さ(Rt)の測定時と同じ方法で硬化させ、保護膜を形成した。
次いで、印字装置(KEYENCE社製「MD−S9910A」)を用いて、出力1.2W、周波数40kHz、走査速度100mm/秒の条件で、保護膜の半導体ウエハへの貼付面とは反対側から保護膜の表面に対して、波長532nmのレーザー光を照射して、レーザー印字を行った。
基材(11)−1を介して、保護膜のこの印字を目視観察し、すべての印字を鮮明に読み取れた場合にはレーザー印字視認性を「A」と判定し、少なくとも一部の印字を鮮明に読み取れなかった場合にはレーザー印字視認性を「B」と判定した。結果を表2に示す。
<保護膜形成用フィルム及び保護膜形成用複合シートの製造、並びに保護膜の評価>
[実施例2]
基材(11)−1に代えて基材(11)−2を用いた点以外は、実施例1と同じ方法で、保護膜形成用フィルム及び保護膜形成用複合シートを製造し、保護膜を評価した。保護膜形成用組成物(IV−1)は、基材(11)−2の最大断面高さ(Rt)が8.0μmである一方の表面に塗工した。結果を表2に示す。
[実施例3]
<保護膜形成用フィルムの製造>
(保護膜形成用組成物(IV−1)の製造)
実施例1と同じ方法で、保護膜形成用組成物(IV−1)を製造した。
(保護膜形成用フィルムの製造)
剥離フィルム(15)−3の最大断面高さ(Rt)が0.9μmである一方の表面に、上記で得られた保護膜形成用組成物(IV−1)をナイフコーターにより塗工し、100℃で2分乾燥させることにより、厚さ25μmのエネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルム(13)−1を作製した。
次いで、剥離フィルム(15)−1の剥離処理面に、上記で得られた保護膜形成用フィルム(13)−1の露出面を貼り合わせて、剥離フィルム(15)−3、保護膜形成用フィルム(13)−1及び剥離フィルム(15)−1が、これらの厚さ方向においてこの順に積層されてなる積層シートを作製した。得られた積層シートの構成を表2に示す。
<保護膜形成用フィルム及び保護膜の評価>
(保護膜形成用フィルムの半導体ウエハへの貼付面とは反対側の表面の最大断面高さ(Rt))
上記で得られた積層シートから剥離フィルム(15)−3を取り除き、保護膜形成用フィルム(13)−1の露出面、すなわち、保護膜形成用フィルム(13)−1の半導体ウエハへの貼付面とは反対側の表面について、最大断面高さ(Rt)を、JIS B 0601:2013に準拠して測定した。結果を表2に示す。表2中、「Rt」の欄で示す数値が、その測定値である。
(保護膜形成用フィルムの半導体ウエハへの貼付面とは反対側の表面のグロス値)
光沢計(日本電色社製グロスメーター「VG 2000」)を用いて、JIS K 7105に準拠して、上記で得られた保護膜形成用フィルム(13)−1について、半導体ウエハを貼付する側とは反対側から、半導体ウエハへの貼付面とは反対側の表面の60°鏡面光沢度を測定し、その測定値を保護膜形成用フィルム(13)−1の前記表面のグロス値とした。結果を表2に示す。
(保護膜の半導体ウエハへの貼付面とは反対側の表面の最大断面高さ(Rt))
紫外線照射装置(リンテック社製「RAD2000m/8」)を用いて、照度195mW/cm2、光量170mJ/cm2の条件で、上記で得られた保護膜形成用フィルム(13)−1に対して紫外線を照射することで、保護膜形成用フィルム(13)−1を硬化させ、保護膜を形成した。
次いで、形成した保護膜について、半導体ウエハへの貼付面とは反対側の表面の最大断面高さ(Rt)を、JIS B 0601:2013に準拠して測定した。結果を表2に示す。
(保護膜の半導体ウエハへの貼付面とは反対側の表面のグロス値)
上記の最大断面高さ(Rt)の測定時に、光沢計(日本電色社製グロスメーター「VG 2000」)を用いて、JIS K 7105に準拠して、保護膜について、半導体ウエハを貼付する側とは反対側から、半導体ウエハへの貼付面とは反対側の表面の60°鏡面光沢度を測定し、その測定値を保護膜の前記表面のグロス値とした。結果を表2に示す。
(保護膜のレーザー印字視認性)
上記で得られた積層シートにおいて、保護膜形成用フィルム(13)−1を、実施例1の場合と同じ方法で硬化させ、保護膜を形成した。
次いで、印字装置(KEYENCE社製「MD−S9910A」)を用いて、出力1.2W、周波数40kHz、走査速度100mm/秒の条件で、保護膜の半導体ウエハへの貼付面とは反対側から保護膜の表面に対して、波長532nmのレーザー光を照射して、レーザー印字を行った。
剥離フィルム(15)−3を介して、保護膜のこの印字を目視観察し、実施例1の場合と同じ方法で保護膜のレーザー印字視認性を評価した。結果を表2に示す。
<保護膜形成用フィルムの製造、並びに保護膜形成用フィルム及び保護膜の評価>
[実施例4]
剥離フィルム(15)−3に代えて剥離フィルム(15)−4を用いた点以外は、実施例3と同じ方法で、保護膜形成用フィルム及び積層シートを製造し、保護膜形成用フィルム及び保護膜を評価した。保護膜形成用組成物(IV−1)は、剥離フィルム(15)−4の最大断面高さ(Rt)が8.0μmである一方の表面に塗工した。また、保護膜形成用フィルム(13)−1の露出面は、剥離フィルム(15)−1の剥離処理面に貼り合わせた。結果を表2に示す。
<保護膜形成用フィルム及び保護膜形成用複合シートの製造、並びに保護膜形成用フィルム及び保護膜の評価>
[比較例1]
基材(11)−1に代えて基材(91)−1を用いた点以外は、実施例1と同じ方法で、保護膜形成用フィルム及び保護膜形成用複合シートを製造し、保護膜形成用フィルム及び保護膜を評価した。保護膜形成用組成物(IV−1)は、基材(91)−1の最大断面高さ(Rt)が12.0μmである一方の表面に塗工した。結果を表3に示す。
[比較例2]
基材(11)−1に代えて基材(91)−2を用いた点以外は、実施例1と同じ方法で、保護膜形成用フィルム及び保護膜形成用複合シートを製造し、保護膜形成用フィルム及び保護膜を評価した。保護膜形成用組成物(IV−1)は、基材(91)−2の最大断面高さ(Rt)が16.0μmである一方の表面に塗工した。結果を表3に示す。
<保護膜形成用フィルムの製造、並びに保護膜形成用フィルム及び保護膜の評価>
[比較例3]
剥離フィルム(15)−3に代えて剥離フィルム(95)−1を用いた点以外は、実施例3と同じ方法で、保護膜形成用フィルム及び積層シートを製造し、保護膜形成用フィルム及び保護膜を評価した。保護膜形成用組成物(IV−1)は、剥離フィルム(95)−1の最大断面高さ(Rt)が12.0μmである一方の表面に塗工した。また、保護膜形成用フィルム(13)−1の露出面は、剥離フィルム(15)−1の剥離処理面に貼り合わせた。結果を表3に示す。
[比較例4]
剥離フィルム(15)−3に代えて剥離フィルム(95)−2を用いた点以外は、実施例3と同じ方法で、保護膜形成用フィルム及び積層シートを製造し、保護膜形成用フィルム及び保護膜を評価した。保護膜形成用組成物(IV−1)は、剥離フィルム(95)−2の最大断面高さ(Rt)が16.0μmである一方の表面に塗工した。また、保護膜形成用フィルム(13)−1の露出面は、剥離フィルム(15)−1の剥離処理面に貼り合わせた。結果を表3に示す。
[参考例1]
<保護膜形成用フィルムの製造>
(保護膜形成用組成物の製造)
重合体(b)−2、エポキシ樹脂(h1)−1、エポキシ樹脂(h1)−2、エポキシ樹脂(h1)−3、熱硬化剤(h2)−1、硬化促進剤(i)−1、充填材(d)−2、カップリング剤(e)−2及び着色剤(g)−2を、これらの含有量(固形分量、質量部)が表1に示す値となるようにメチルエチルケトンに溶解又は分散させて、23℃で撹拌することで、固形分濃度が50質量%である保護膜形成用組成物を調製した。エポキシ樹脂(h1)−1、エポキシ樹脂(h1)−2、エポキシ樹脂(h1)−3、及び熱硬化剤(h2)−1は、熱硬化性成分(h)であり、得られた組成物は熱硬化性の保護膜形成用組成物である。
上記で得られた熱硬化性の保護膜形成用組成物を用いた点以外は、実施例3と同じ方法で、保護膜形成用フィルム(93)−1及び積層シートを製造した。
<保護膜形成用フィルム及び保護膜の評価>
実施例3の場合と同じ方法で、保護膜形成用フィルム及び保護膜の半導体ウエハへの貼付面とは反対側の表面の最大断面高さ(Rt)、並びに保護膜形成用フィルム及び保護膜の半導体ウエハへの貼付面とは反対側の表面のグロス値を測定した。結果を表3に示す。
上記で得られた積層シートにおいて、保護膜形成用フィルム(93)−1を、130℃で2時間加熱して硬化させ、保護膜を形成した。
次いで、実施例3の場合と同じ方法で保護膜にレーザー印字を行い、レーザー印字視認性を評価した。結果を表3に示す。
Figure 0006938475
Figure 0006938475
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上記結果から明らかなように、実施例1〜4の保護膜形成用フィルムを用いた場合、保護膜の表面(β’)の最大断面高さ(Rt)が7.5μm以下であることにより、保護膜はレーザー印字の視認性に優れていた。実施例3〜4の保護膜形成用フィルムの表面(β)の最大断面高さ(Rt)は、7.7μm以下と小さいことが確認された。
また、実施例1〜4の保護膜形成用フィルムを用いた場合、保護膜の表面(β’)の最大断面高さ(Rt)が0.8〜7.5μmと小さいのに対応して、保護膜の表面(β’)のグロス値は、50〜90と十分に大きかった。
これに対して、比較例1〜4の保護膜形成用フィルムを用いた場合、保護膜の表面(β’)の最大断面高さ(Rt)が11.4μm以上であることにより、保護膜はレーザー印字の視認性に劣っていた。比較例3〜4の保護膜形成用フィルムの表面(β)の最大断面高さ(Rt)は、11.5μm以上と大きいことが確認された。
また、比較例1〜4の保護膜形成用フィルムを用いた場合、保護膜の表面(β’)の最大断面高さ(Rt)が11.4〜15.1μmと大きいのに対応して、保護膜の表面(β’)のグロス値は、23〜30と小さかった。
一方、参考例1の保護膜形成用フィルムは、表面(β)の最大断面高さ(Rt)が0.8μmと小さかった。しかし、この保護膜形成用フィルムを加熱により硬化させて保護膜を形成したことにより、保護膜の表面(β’)の最大断面高さ(Rt)は、5.5μmにとどまったものの、グロス値が40と小さく、保護膜はレーザー印字の視認性に劣っていた。これは先に説明した、加熱硬化による保護膜での不具合(構成成分の変質等も含む)の発生によるものである。
本発明は、半導体装置の製造に利用可能である。
1C,1D・・・保護膜形成用複合シート、10・・・支持シート、10a・・・支持シートの表面、11・・・基材、11a・・・基材の表面、13・・・保護膜形成用フィルム、13a・・・保護膜形成用フィルムの表面(一方の表面)、13b・・・保護膜形成用フィルムの表面(他方の表面)、15・・・剥離フィルム、151・・・第1剥離フィルム、152・・・第2剥離フィルム、16・・・治具用接着剤層、16a・・・治具用接着剤層の表面

Claims (4)

  1. 支持シートを備え、保護膜形成用フィルムを前記支持シート上に備えてなり、
    前記支持シートが基材のみからなり、
    前記保護膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性であり、
    前記保護膜形成用フィルムが、エネルギー線硬化性成分(a)と、エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)と、光重合開始剤(c)を含有し、前記エネルギー線硬化性成分(a)が、エネルギー線硬化性基を有する、分子量が100〜80000の化合物(a2)であり、
    前記保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して保護膜としたとき、前記保護膜において、少なくとも一方の表面(β’)の最大断面高さ(Rt)が10μm未満であり、
    前記保護膜の表面(β’)となる、前記保護膜形成用フィルムの表面(β)が、前記支持シートに向かい合っている、保護膜形成用複合シート。
  2. 前記基材が、ポリエチレン、前記ポリエチレン以外のポリオレフィン、エチレン系共重合体、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン、ポリシクロオレフィン、ポリエステル、2種以上の前記ポリエステルの共重合体、ポリウレタン、ポリウレタンアクリレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリアセタール、変性ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン及びポリエーテルケトンからなる群より選択される1種又は2種以上を構成材料とする、請求項1に記載の保護膜形成用複合シート。
  3. 前記表面(β’)のグロス値が45以上である、請求項1又は2に記載の保護膜形成用複合シート。
  4. 前記保護膜形成用フィルムにおいて、エネルギー線を照射して保護膜としたとき、前記保護膜の表面(β’)となる、少なくとも一方の表面(β)の最大断面高さ(Rt)が10μm未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の保護膜形成用複合シート。
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