JP6963024B2 - 保護膜形成用フィルム、保護膜形成用複合シート、及び半導体チップの製造方法 - Google Patents
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Description
本願は、2017年10月27日に、日本に出願された特願2017−208436号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
保護膜は、ダイシング工程やパッケージングの後に、半導体チップにおいてクラックが発生するのを防止するために利用される。
本発明の一実施形態に係る保護膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルムであって、前記保護膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性成分と、エネルギー線硬化性基を有しない重合体とを含み、前記エネルギー線硬化性基を有しない重合体の重量平均分子量が45万以上であり、前記エネルギー線硬化性基を有しない重合体の分散度が3.0以下である。
前記保護膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性であることにより、熱硬化性の保護膜形成用フィルムよりも、短時間での硬化によって保護膜を形成できる。
紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプ、ブラックライト又はLEDランプ等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
本発明において、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を意味し、「非エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射しても硬化しない性質を意味する。
なお、本明細書においては、保護膜形成用フィルムの場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
ここで、「保護膜形成用フィルムの厚さ」とは、保護膜形成用フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる保護膜形成用フィルムの厚さとは、保護膜形成用フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
また、「保護膜形成用フィルムの厚さ」は以下のように測定することができる。保護膜形成用フィルムの任意の5点について接触式厚み計を用いて保護膜形成用フィルムの表面と裏面との距離を測定する。測定された5点の平均値を保護膜形成用フィルムの厚さとする。
以降に説明される保護膜形成用フィルム、剥離フィルム、支持シート、粘着剤層、半導体ウエハ、及び基材等の厚さについても上述の方法によって測定される。
例えば、保護膜形成用フィルムの硬化時における、エネルギー線の照度は、4〜280mW/cm2であることが好ましい。そして、前記硬化時における、エネルギー線の光量は、3〜1000mJ/cm2であることが好ましい。
本実施形態の保護膜形成用フィルムを硬化させて形成された保護膜は、加熱前のグロス値に対する加熱後のグロス値の低下率が30%以下であり、25%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。本実施形態の保護膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性基を有しない重合体の重量平均分子量が45万以上であり、かつ分散度が3.0以下であるため、比較的低分子量の成分であるブリードアウト成分の割合が少ない。よって、保護膜が加熱された場合においても保護膜表面の光沢が低下しにくい。
保護膜の加熱前のグロス値に対する加熱後のグロス値の低下率は、小さいほど好ましい。
このような保護膜形成用フィルム13は、例えば、ロール状として保管するのに好適である。
保護膜形成用フィルム13は、エネルギー線硬化性である。
第1剥離フィルム151及び第2剥離フィルム152は、互いに同じものであってもよいし、例えば、保護膜形成用フィルム13から剥離させるときに必要な剥離力が互いに異なるなど、互いに異なるものであってもよい。
前記保護膜形成用フィルムは、その構成材料を含有する保護膜形成用組成物を用いて形成できる。例えば、保護膜形成用フィルムの形成対象面に保護膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に保護膜形成用フィルムを形成できる。
保護膜形成用組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、保護膜形成用フィルムの前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
保護膜形成用組成物としては、少なくともエネルギー線硬化性成分(a)及び重量平均分子量が45万以上であり、分散度が3.0以下であるエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)を含有する保護膜形成用組成物(IV−1)等が挙げられる。
エネルギー線硬化性成分(a)は、エネルギー線の照射によって硬化する成分であり、保護膜形成用フィルムに造膜性や、可撓性等を付与するための成分でもある。
エネルギー線硬化性成分(a)としては、例えば、エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000〜2000000の重合体(a1)、及びエネルギー線硬化性基を有する、絶対分子量又は重量平均分子量が100〜80000の化合物(a2)が挙げられる。前記重合体(a1)は、その少なくとも一部が、後述する架橋剤(f)によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
なお、本明細書において、重量平均分子量とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値を意味する。
エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000〜2000000の重合体(a1)としては、例えば、他の化合物が有する基と反応可能な官能基を有するアクリル系重合体(a11)と、前記官能基と反応する基、及びエネルギー線硬化性二重結合等のエネルギー線硬化性基を有するエネルギー線硬化性化合物(a12)と、が重合してなるアクリル系樹脂(a1−1)が挙げられる。
これらの中でも、前記官能基は、水酸基であることが好ましい。
前記官能基を有するアクリル系重合体(a11)としては、例えば、前記官能基を有するアクリル系モノマーと、前記官能基を有しないアクリル系モノマーと、が共重合してなるものが挙げられ、これらモノマー以外に、さらにアクリル系モノマー以外のモノマー(非アクリル系モノマー)が共重合したものであってもよい。
また、前記アクリル系重合体(a11)は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
前記アクリル系重合体(a11)を構成する前記非アクリル系モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、前記アクリル系重合体(a11)が有する官能基と反応可能な基として、イソシアネート基、エポキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される1種又は2種以上を有するものが好ましく、前記基としてイソシアネート基を有するものがより好ましい。前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、例えば、前記基としてイソシアネート基を有する場合、このイソシアネート基が、前記官能基として水酸基を有するアクリル系重合体(a11)のこの水酸基と容易に反応する。
これらの中でも、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートであることが好ましい。
エネルギー線硬化性基を有する、分子量が100〜80000の化合物(a2)中の前記エネルギー線硬化性基としては、エネルギー線硬化性二重結合を含む基が挙げられ、好ましいものとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
前記アクリレート系化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル]プロパン、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート(トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレートともいう)、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、及び2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン等の2官能(メタ)アクリレート;
トリス(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等の多官能(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムは、重量平均分子量が45万以上であり、分散度が3.0以下であるエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)を含有する。
前記重合体(b)は、その少なくとも一部が後述する架橋剤(f)によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
これらの中でも、前記重合体(b)は、アクリル系重合体(以下、「アクリル系重合体(b−1)」と略記することがある)であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル等が挙げられる。
前記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、及び(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。
前記置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸N−メチルアミノエチル等が挙げられる。
前記反応性官能基は、架橋剤(f)の種類等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。例えば、架橋剤(f)がポリイソシアネート化合物である場合には、前記反応性官能基としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられ、これらの中でも、イソシアネート基との反応性が高い水酸基が好ましい。また、架橋剤(f)がエポキシ系化合物である場合には、前記反応性官能基としては、カルボキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられ、これらの中でもエポキシ基との反応性が高いカルボキシ基が好ましい。ただし、半導体ウエハや半導体チップの回路の腐食を防止するという点では、前記反応性官能基はカルボキシ基以外の基であることが好ましい。
エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の重量平均分子量の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の重量平均分子量は、450000以上2000000以下であることが好ましく、470000以上2000000以下であることがより好ましく、500000以上2000000以下であることが特に好ましい。
エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の分散度の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の分散度は、1.4以上3.0以下であることが好ましく、1.4以上2.8以下であることがより好ましく、1.4以上2.6以下であることが特に好ましい。
例えば、前記エネルギー線硬化性成分(a)及び熱硬化性成分(h)を含有する保護膜形成用組成物(IV−1)を用いることにより、形成される保護膜形成用フィルムは、加熱によって被着体に対する接着力が向上し、この保護膜形成用フィルムから形成された保護膜の強度も向上する。
光重合開始剤(c)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、及びベンゾインジメチルケタール等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、及び2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のアセトフェノン化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;ベンジルフェニルスルフィド、及びテトラメチルチウラムモノスルフィド等のスルフィド化合物;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール化合物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;チタノセン等のチタノセン化合物;チオキサントン等のチオキサントン化合物;ベンゾフェノン、及び2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジル−1−ブタノン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のベンゾフェノン化合物;パーオキサイド化合物;ジアセチル等のジケトン化合物;ベンジル;ジベンジル;2,4−ジエチルチオキサントン;1,2−ジフェニルメタン;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン;及び2−クロロアントラキノン等が挙げられる。
また、光重合開始剤(c)としては、例えば、1−クロロアントラキノン等のキノン化合物;及びアミン等の光増感剤等を用いることもできる。
保護膜形成用フィルムが充填材(d)を含有することにより、保護膜形成用フィルムを硬化して得られた保護膜は、熱膨張係数の調整が容易となる。そして、この熱膨張係数を保護膜の形成対象物に対して最適化することで、保護膜形成用複合シートを用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。また、保護膜形成用フィルムが充填材(d)を含有することにより、保護膜の吸湿率を低減したり、放熱性を向上させたりすることもできる。
充填材(d)としては、例えば、熱伝導性材料からなるものが挙げられる。
好ましい無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化ケイ素、及び窒化ホウ素等の粉末;これら無機充填材を球形化したビーズ;これら無機充填材の表面改質品;これら無機充填材の単結晶繊維;及びガラス繊維等が挙げられる。
これらの中でも、無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましい。
なお、本明細書において「平均粒子径」とは、特に断りのない限り、レーザー回折散乱法によって求められた粒度分布曲線における、積算値50%での粒子径(D50)の値を意味する。
カップリング剤(e)として、無機化合物又は有機化合物と反応可能な官能基を有するものを用いることにより、保護膜形成用フィルムの被着体に対する接着性及び密着性を向上させることができる。また、カップリング剤(e)を用いることで、保護膜形成用フィルムを硬化して得られた保護膜は、耐熱性を損なうことなく、耐水性が向上する。
好ましい前記シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、及びイミダゾールシラン等が挙げられる。
架橋剤(f)を用いて、上述のエネルギー線硬化性成分(a)やエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)を架橋することにより、保護膜形成用フィルムの初期接着力及び凝集力を調節できる。
着色剤(g)としては、例えば、無機系顔料、有機系顔料、及び有機系染料等、公知のものが挙げられる。
保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムが含有する熱硬化性成分(h)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
エポキシ系熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂(h1)及び熱硬化剤(h2)からなる。
保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムが含有するエポキシ系熱硬化性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
エポキシ樹脂(h1)としては、公知のものが挙げられ、例えば、多官能系エポキシ樹脂、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びフェニレン骨格型エポキシ樹脂等の、2官能以上のエポキシ化合物が挙げられる。
また、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を構成する芳香環等に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合した化合物等が挙げられる。
不飽和炭化水素基は、重合性を有する不飽和基であり、その具体的な例としては、エテニル基(ビニル基ともいう)、2−プロペニル基(アリル基ともいう)、(メタ)アクリロイル基、及び(メタ)アクリルアミド基等が挙げられ、アクリロイル基が好ましい。
本明細書において、「数平均分子量」は、特に断らない限り、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定される標準ポリスチレン換算の値で表される数平均分子量を意味する。
エポキシ樹脂(h1)のエポキシ当量は、100〜1000g/eqであることが好ましく、150〜800g/eqであることがより好ましい。
本明細書において、「エポキシ当量」とは1グラム当量のエポキシ基を含むエポキシ化合物のグラム数(g/eq)を意味し、JIS K 7236:2001の方法に従って測定することができる。
熱硬化剤(h2)は、エポキシ樹脂(h1)に対する硬化剤として機能する。
熱硬化剤(h2)としては、例えば、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。前記官能基としては、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシ基、及び酸基が無水物化された基等が挙げられ、フェノール性水酸基、アミノ基、又は酸基が無水物化された基であることが好ましく、フェノール性水酸基又はアミノ基であることがより好ましい。
熱硬化剤(h2)のうち、アミノ基を有するアミン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド等が挙げられる。
不飽和炭化水素基を有する熱硬化剤(h2)としては、例えば、フェノール樹脂の水酸基の一部が、不飽和炭化水素基を有する基で置換されてなる化合物、及びフェノール樹脂の芳香環に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合してなる化合物等が挙げられる。
熱硬化剤(h2)における前記不飽和炭化水素基は、上述の不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂における不飽和炭化水素基と同様のものである。
熱硬化剤(h2)のうち、例えば、ビフェノール、ジシアンジアミド等の非樹脂成分の分子量は、特に限定されないが、例えば、60〜500であることが好ましい。
硬化促進剤(i)は、保護膜形成用フィルムの硬化速度を調整するための成分である。
好ましい硬化促進剤(i)としては、例えば、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、及びトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、及び2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類;トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、及びトリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、及びトリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
硬化促進剤(i)を用いる場合、保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムの硬化促進剤(i)の含有量は、特に限定されず、併用する成分に応じて適宜選択すればよい。
汎用添加剤(z)は、公知のものでよく、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ゲッタリング剤等が挙げられる。
汎用添加剤(z)を用いる場合、保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムの汎用添加剤(z)の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
保護膜形成用組成物(IV−1)は、さらに溶媒を含有することが好ましい。溶媒を含有する保護膜形成用組成物(IV−1)は、取り扱い性が良好となる。
前記溶媒は特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソブチルアルコール(2−メチルプロパン−1−オール)、及び1−ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、及びメチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、及びN−メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(IV−1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
保護膜形成用組成物(IV−1)等の保護膜形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
前記保護膜形成用フィルムは、剥離フィルム(好ましくはその剥離処理面)上に保護膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで製造できる。このときの製造方法は、先に説明したとおりである。
なお、保護膜形成用フィルムは、例えば、図1に示すように、通常、その両面に剥離フィルムが貼り合わされた状態で保管される。そのためには、上記のように剥離フィルム上に形成した保護膜形成用フィルムの露出面(剥離フィルムを備えている側とは反対側の面)に、さらに剥離フィルム(好ましくはその剥離処理面)を貼り合わせればよい。
前記保護膜形成用フィルムは、上述のように、支持シート上に設けることで、保護膜形成用複合シートを構成できる。保護膜形成用複合シートは、その保護膜形成用フィルムにより、半導体ウエハの裏面(電極形成面とは反対側の面)に貼付される。以降、この状態から、後述する製造方法により、目的とする半導体チップ及び半導体装置を製造できる。
本発明の一実施形態に係る保護膜形成用複合シートは、支持シートを備え、前記支持シート上に、前記保護膜形成用フィルムを備えたものである。
以下、保護膜形成用複合シートの構成について、詳細に説明する。
前記支持シートは、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。支持シートが複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
本発明の保護膜形成用複合シートの例を、このような支持シートの種類ごとに、以下、図面を参照しながら説明する。
なお、図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここに示す保護膜形成用複合シート1Bは、治具用接着剤層16を備えていない点以外は、図2に示す保護膜形成用複合シート1Aと同じである。すなわち、保護膜形成用複合シート1Bにおいては、基材11の第1面11aに粘着剤層12が積層され、粘着剤層12の第1面12aの全面に保護膜形成用フィルム13が積層され、保護膜形成用フィルム13の第1面13aの全面に剥離フィルム15が積層されている。
ここに示す保護膜形成用複合シート1Cは、粘着剤層12を備えていない点以外は、図2に示す保護膜形成用複合シート1Aと同じである。すなわち、保護膜形成用複合シート1Cにおいては、支持シート10が基材11のみからなる。そして、基材11の第1面11a(支持シート10の第1面10a)に保護膜形成用フィルム13が積層され、保護膜形成用フィルム13の第1面13aの一部、すなわち、周縁部近傍の領域に治具用接着剤層16が積層され、保護膜形成用フィルム13の第1面13aのうち、治具用接着剤層16が積層されていない領域と、治具用接着剤層16の表面16a(上面及び側面)に、剥離フィルム15が積層されている。
ここに示す保護膜形成用複合シート1Dは、治具用接着剤層16を備えていない点以外は、図4に示す保護膜形成用複合シート1Cと同じである。すなわち、保護膜形成用複合シート1Dにおいては、基材11の第1面11aに保護膜形成用フィルム13が積層され、保護膜形成用フィルム13の第1面13aの全面に剥離フィルム15が積層されている。
ここに示す保護膜形成用複合シート1Eは、保護膜形成用フィルムの形状が異なる点以外は、図3に示す保護膜形成用複合シート1Bと同じものである。すなわち、保護膜形成用複合シート1Eは、基材11を備え、基材11上に粘着剤層12を備え、粘着剤層12上に保護膜形成用フィルム23を備えてなる。支持シート10は、基材11及び粘着剤層12の積層体であり、保護膜形成用複合シート1Eは、換言すると、支持シート10の第1面10a上に保護膜形成用フィルム23が積層された構成を有する。また、保護膜形成用複合シート1Eは、さらに保護膜形成用フィルム23上に剥離フィルム15を備えている。
また、図2、図3及び図6に示す保護膜形成用複合シートにおいては、基材11と粘着剤層12との間に中間層が設けられていてもよい。すなわち、本発明の保護膜形成用複合シートにおいて、支持シートは、基材、中間層及び粘着剤層がこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなるものであってもよい。ここで中間層とは、図4及び図5に示す保護膜形成用複合シートにおいて設けられていてもよい中間層と同じである。
また、図2〜図6に示す保護膜形成用複合シートは、前記中間層以外の層が、任意の箇所に設けられていてもよい。
また、保護膜形成用複合シートにおいては、剥離フィルムと、この剥離フィルムと直接接触している層との間に、一部隙間が生じていてもよい。
また、保護膜形成用複合シートにおいては、各層の大きさや形状は、目的に応じて任意に調節できる。
なかでも、保護膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性を有する本発明においては、支持シートはエネルギー線を透過させるものが好ましい。
一方、支持シートにおいて、波長375nmの光の透過率の上限値は特に限定されない。例えば、前記光の透過率は95%以下であってもよい。
支持シートの波長375nmの光の透過率の下限値及び上限値は、任意に組み合わせることができる。例えば、支持シートの波長375nmの光の透過率は、30%以上95%以下であることが好ましく、50%以上95%以下であることがより好ましく、70%以上95%以下であることが特に好ましい。
なお、本明細書における光線透過率は、積分球を使用して測定した値とし、測定器具としては分光光度計を使用する。
前記光の透過率がこのような範囲であることで、支持シートを介して保護膜形成用フィルム又は保護膜にレーザー光を照射して、これらに印字したときに、より明りょうに印字できる。
一方、支持シートにおいて、波長532nmの光の透過率の上限値は特に限定されない。例えば、前記光の透過率は95%以下であってもよい。
支持シートの波長532nmの光の透過率の下限値及び上限値は、任意に組み合わせることができる。例えば、支持シートの波長532nmの光の透過率は、30%以上95%以下であることが好ましく、50%以上95%以下であることがより好ましく、70%以上95%以下であることが特に好ましい。
一方、支持シートにおいて、波長1064nmの光の透過率の上限値は特に限定されない。例えば、前記光の透過率は95%以下であってもよい。
支持シートの波長1064nmの光の透過率の下限値及び上限値は、任意に組み合わせることができる。例えば、支持シートの波長1064nmの光の透過率は、30%以上95%以下であることが好ましく、50%以上95%以下であることがより好ましく、70%以上95%以下であることが特に好ましい。
一方、支持シートにおいて、波長1342nmの光の透過率の上限値は特に限定されない。例えば、前記光の透過率は95%以下であってもよい。
次に、支持シートを構成する各層について、さらに詳細に説明する。
前記基材は、シート状又はフィルム状であり、その構成材料としては、例えば、各種樹脂が挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、及び高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、及びノルボルネン樹脂等のポリエチレン以外のポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、及びエチレン−ノルボルネン共重合体等のエチレン系共重合体(モノマーとしてエチレンを用いて得られた共重合体);ポリ塩化ビニル、及び塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂(モノマーとして塩化ビニルを用いて得られた樹脂);ポリスチレン;ポリシクロオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、及びすべての構成単位が芳香族環式基を有する全芳香族ポリエステル等のポリエステル;2種以上の前記ポリエステルの共重合体;ポリ(メタ)アクリル酸エステル;ポリウレタン;ポリウレタンアクリレート;ポリイミド;ポリアミド;ポリカーボネート;フッ素樹脂;ポリアセタール;変性ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン;及びポリエーテルケトン等が挙げられる。
また、前記樹脂としては、例えば、前記ポリエステルとそれ以外の樹脂との混合物等のポリマーアロイも挙げられる。前記ポリエステルとそれ以外の樹脂とのポリマーアロイは、ポリエステル以外の樹脂の量が比較的少量であるものが好ましい。
また、前記樹脂としては、例えば、ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上が架橋した架橋樹脂;ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上を用いたアイオノマー等の変性樹脂も挙げられる。
ここで、「基材の厚さ」とは、基材全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる基材の厚さとは、基材を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
そして、保護膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性を有する本発明においては、基材はエネルギー線を透過させるものが好ましい。
また、基材は、表面がプライマー処理を施されたものであってもよい。
また、基材は、帯電防止コート層;保護膜形成用複合シートを重ね合わせて保存する際に、基材が他のシートに接着することや、基材が吸着テーブルに接着することを防止する層等を有するものであってもよい。
前記粘着剤層は、シート状又はフィルム状であり、粘着剤を含有する。
前記粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、及びポリカーボネート、エステル系樹脂等の粘着性樹脂が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
ここで、「粘着剤層の厚さ」とは、粘着剤層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる粘着剤層の厚さとは、粘着剤層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
そして、保護膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性を有する本発明においては、粘着剤層はエネルギー線を透過させるものが好ましい。
粘着剤層は、粘着剤を含有する粘着剤組成物を用いて形成できる。例えば、粘着剤層の形成対象面に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に粘着剤層を形成できる。粘着剤層のより具体的な形成方法は、他の層の形成方法とともに、後ほど詳細に説明する。粘着剤組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、粘着剤層の前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
前記粘着剤組成物(I−1)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する。
前記粘着性樹脂(I−1a)は、アクリル系樹脂であることが好ましい。
前記アクリル系樹脂としては、例えば、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有するアクリル系重合体が挙げられる。
前記アクリル系樹脂が有する構成単位は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、より具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリルともいう)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチルともいう)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチルともいう)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリルともいう)、(メタ)アクリル酸ノナデシル、及び(メタ)アクリル酸イコシル等が挙げられる。
前記官能基含有モノマーとしては、例えば、前記官能基が後述する架橋剤と反応することで架橋の起点となったり、前記官能基が後述する不飽和基含有化合物中の不飽和基と反応したりすることで、アクリル系重合体の側鎖に不飽和基の導入を可能とするものが挙げられる。
すなわち、官能基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、及びエポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
前記他のモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等と共重合可能なものであれば特に限定されない。
前記他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、及びアクリルアミド等が挙げられる。
一方、前記アクリル系重合体中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基(エネルギー線重合性基)を有する不飽和基含有化合物を反応させたものは、上述のエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−2a)として使用できる。
粘着剤組成物(I−1)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及び1,6−へキサンジオール(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレート;ポリエステル(メタ)アクリレート;ポリエーテル(メタ)アクリレート;及びエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、オリゴマーとしては、例えば、上記で例示したモノマーが重合してなるオリゴマー等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物は、分子量が比較的大きく、粘着剤層の貯蔵弾性率を低下させにくいという点では、ウレタン(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
粘着性樹脂(I−1a)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I−1)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、及びこれらジイソシアネートのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤(イソシアネート基を有する架橋剤);エチレングリコールグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤(グリシジル基を有する架橋剤);ヘキサ[1−(2−メチル)−アジリジニル]トリフオスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤);アルミニウムキレート等の金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤);イソシアヌレート系架橋剤(イソシアヌル酸骨格を有する架橋剤)等が挙げられる。
粘着剤の凝集力を向上させて粘着剤層の粘着力を向上させる点、及び入手が容易である等の点から、架橋剤はイソシアネート系架橋剤であることが好ましい。
粘着剤組成物(I−1)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I−1)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
また、前記光重合開始剤としては、例えば、1−クロロアントラキノン等のキノン化合物;アミン等の光増感剤等を用いることもできる。
粘着剤組成物(I−1)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、充填材(フィラー)、防錆剤、着色剤(顔料、染料)、増感剤、粘着付与剤、反応遅延剤、及び架橋促進剤(触媒)等の公知の添加剤が挙げられる。
なお、反応遅延剤とは、例えば、粘着剤組成物(I−1)中に混入している触媒の作用によって、保存中の粘着剤組成物(I−1)において、目的としない架橋反応が進行するのを抑制するものである。反応遅延剤としては、例えば、触媒に対するキレートによってキレート錯体を形成するものが挙げられ、より具体的には、1分子中にカルボニル基(−C(=O)−)を2個以上有するものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−1)は、溶媒を含有していてもよい。粘着剤組成物(I−1)は、溶媒を含有していることで、塗工対象面への塗工適性が向上する。
前記粘着剤組成物(I−2)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−2a)を含有する。
前記粘着性樹脂(I−2a)は、例えば、粘着性樹脂(I−1a)中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基を有する不飽和基含有化合物を反応させることで得られる。
前記エネルギー線重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基(エテニル基ともいう)、及びアリル基(2−プロペニル基ともいう)等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
粘着性樹脂(I−1a)中の官能基と結合可能な基としては、例えば、水酸基又はアミノ基と結合可能なイソシアネート基及びグリシジル基、並びにカルボキシ基又はエポキシ基と結合可能な水酸基及びアミノ基等が挙げられる。
粘着性樹脂(I−2a)として、例えば、粘着性樹脂(I−1a)におけるものと同様の、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I−2)は、さらに架橋剤を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−2)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−2)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I−2)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
粘着剤組成物(I−2)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−2)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−2)における前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I−1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−2)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−2)は、粘着剤組成物(I−1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−2)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−2)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−2)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
前記粘着剤組成物(I−3)は、上述の様に、前記粘着性樹脂(I−2a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する。
粘着剤組成物(I−3)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー及びオリゴマーが挙げられ、粘着剤組成物(I−1)が含有するエネルギー線硬化性化合物と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−3)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−3)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I−3)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
粘着剤組成物(I−3)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−3)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I−1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−3)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−3)は、粘着剤組成物(I−1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−3)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−3)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−3)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
ここまでは、粘着剤組成物(I−1)、粘着剤組成物(I−2)及び粘着剤組成物(I−3)について主に説明したが、これらの含有成分として説明したものは、これら3種の粘着剤組成物以外の全般的な粘着剤組成物(本明細書においては、「粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の粘着剤組成物」と称する)でも、同様に用いることができる。
非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、エステル系樹脂等の、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)を含有する粘着剤組成物(I−4)が挙げられ、アクリル系樹脂を含有するものが好ましい。
粘着剤組成物(I−4)で好ましいものとしては、例えば、前記粘着性樹脂(I−1a)と、架橋剤と、を含有するものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−4)における粘着性樹脂(I−1a)としては、粘着剤組成物(I−1)における粘着性樹脂(I−1a)と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−4)が含有する粘着性樹脂(I−1a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着性樹脂(I−1a)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I−4)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
粘着剤組成物(I−4)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−4)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I−1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−4)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−4)は、粘着剤組成物(I−1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−4)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−4)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−4)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)や、粘着剤組成物(I−4)等の粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の粘着剤組成物は、前記粘着剤と、必要に応じて前記粘着剤以外の成分等の、粘着剤組成物を構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
前記保護膜形成用複合シートは、上述の各層を対応する位置関係となるように積層することで製造できる。各層の形成方法は、先に説明したとおりである。
例えば、支持シートを製造するときに、基材上に粘着剤層を積層する場合には、基材上に上述の粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させればよい。
ただし、これら2層のうちの後から積層する層は、別の剥離フィルム上に前記組成物を用いてあらかじめ形成しておき、この形成済みの層の前記剥離フィルムと接触している側とは反対側の露出面を、既に形成済みの残りの層の露出面と貼り合わせることで、連続する2層の積層構造を形成することが好ましい。このとき、前記組成物は、剥離フィルムの剥離処理面に塗工することが好ましい。剥離フィルムは、積層構造の形成後、必要に応じて取り除けばよい。
いずれの方法においても、剥離フィルムは目的とする積層構造を形成後の任意のタイミングで取り除けばよい。
前記保護膜形成用フィルム及び保護膜形成用複合シートは、半導体チップの製造に用いることができる。
このときの半導体チップの製造方法としては、例えば、前記保護膜形成用複合シートを構成していない保護膜形成用フィルム、又は前記保護膜形成用複合シート中の保護膜形成用フィルムを、半導体ウエハに貼付する工程(以下、「貼付工程」と略記することがある)と、前記半導体ウエハに貼付した後の前記保護膜形成用フィルムに紫外線を照射して、保護膜を形成する工程(以下、「保護膜形成工程」と略記することがある)と、前記半導体ウエハを、前記保護膜又は保護膜形成用フィルムとともに切断することにより分割し、複数個の半導体チップを得る工程(以下、「分割工程」と略記することがある)と、を有するものが挙げられる。
まず、保護膜形成用複合シートを構成していない保護膜形成用フィルムを用いる場合の製造方法の一実施形態について、保護膜形成用フィルムが図1に示すものである場合を例に挙げて、説明する(本実施形態を「製造方法(1)」と称することがある)。
次に、保護膜形成用フィルムを予め支持シートと一体化させた保護膜形成用複合シートを用いる場合の製造方法の一実施形態について、保護膜形成用複合シートが図2に示すものである場合を例に挙げて、説明する(本実施形態を「製造方法(2)」と称することがある)。
保護膜形成用複合シート1Aは、剥離フィルム15を取り除いて用いる。
なお、ここでは、保護膜形成用フィルム13が保護膜13’となった後の保護膜形成用複合シートを、符号1A’で示している。これは、以降の図においても同様である。
以上により、目的とする半導体チップ9’が、保護膜付き半導体チップとして得られる。
例えば、保護膜形成用複合シートを用いる場合には、図3〜図6に示す保護膜形成用複合シート1B〜1Eや、さらに前記中間層を備えた保護膜形成用複合シート等、図2に示す保護膜形成用複合シート1A以外のものを用いても、同様に半導体チップを製造できる。
また、支持シートは、先に説明したような、基材のみからなるものや、中間層が積層されてなるもの等、図2に示す支持シート10以外のものを用いても、同様に半導体チップを製造できる。
このように、他の実施形態の保護膜形成用複合シートや支持シートを用いる場合には、これらシートの構造の相違に基づいて、上述の製造方法において、適宜、工程の追加、変更、削除等を行って、半導体チップを製造すればよい。
上述の製造方法により、半導体チップを得た後は、この半導体チップを、分割後の保護膜が貼付された状態のまま(すなわち、保護膜付き半導体チップとして)、支持シートから引き離してピックアップする(図示略)。
得られた保護膜付き半導体チップの半導体チップを、フェースダウン方式により基板の回路面に配置し、半導体チップの保護膜が形成された面を100〜280℃で加熱することによりフリップチップ接続した後、半導体パッケージとする。そして、この半導体パッケージを用いて、目的とする半導体装置を作製すればよい(図示略)。
保護膜形成用組成物の製造に用いた原料を以下に示す。
[エネルギー線硬化性成分(a2)]
(a2)−1:ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート(新中村化学工業社製「A−9300−1CL」、3官能紫外線硬化性化合物)[エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)]
(b)−1:アクリル酸メチル(85質量部)及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル(15質量部)を共重合してなるアクリル系重合体(重量平均分子量600000、分散度2.0、ガラス転移温度6℃)。
[光重合開始剤(c)]
(c)−1:2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジル−1−ブタノン(BASF社製「Irgacure(登録商標)369」)。
[充填材(d)]
(d)−1:シリカフィラー(溶融石英フィラー、平均粒子径8μm)。
[カップリング剤]
(e)−1:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM−503」、シランカップリング剤)。
[着色剤(g)]
(g)−1:フタロシアニン系青色色素(Pigment Blue 15:3)32質量部と、イソインドリノン系黄色色素(Pigment Yellow 139)18質量部と、アントラキノン系赤色色素(Pigment Red 177)50質量部とを混合し、前記3種の色素の合計量/スチレンアクリル樹脂量=1/3(質量比)となるように顔料化して得られた顔料。
<保護膜形成用複合シートの製造>
(保護膜形成用組成物(IV−1)の製造)
エネルギー線硬化性成分(a2)−1、重合体(b)−1、光重合開始剤(c)−1、充填材(d)−1、カップリング剤(e)−1、及び着色剤(g)−1が表1に示す値となるようにメチルエチルケトンに溶解又は分散させて、23℃で撹拌することで、固形分濃度が50質量%である保護膜形成用組成物(IV−1)を調製した。なお、表1中の含有成分の欄の「−」との記載は、保護膜形成用組成物(IV−1)がその成分を含有していないことを意味する。
アクリル系重合体(100質量部、固形分)、及びイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製「コロネートL」、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート三量体付加物)(5質量部、固形分)を含有し、さらに溶媒としてメチルエチルケトンを含有する、固形分濃度が30質量%の非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物(I−4)を調製した。前記アクリル系重合体は、メタクリル酸−2−エチルヘキシル(80質量部)、及びHEA(20質量部)を共重合してなる、重量平均分子量が600000のものである。
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET381031」、厚さ38μm)の前記剥離処理面に、上記で得られた粘着剤組成物(I−4)を塗工し、120℃で2分間加熱乾燥させることにより、厚さ10μmの非エネルギー線硬化性の粘着剤層を形成した。
次いで、この粘着剤層の露出面に、基材としてポリプロピレン系フィルム(厚さ80μm)を貼り合せることにより、基材、粘着剤層及び剥離フィルムがこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなる支持シートを得た。
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(第2剥離フィルム、リンテック社製「SP−PET382150」、厚さ38μm)の前記剥離処理面に、上記で得られた保護膜形成用組成物(IV−1)を塗工し、100℃で2分間乾燥させることにより、厚さ25μmのエネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルムを製造した。
さらに、得られた保護膜形成用フィルムの、第2剥離フィルムを備えていない側の露出面に、剥離フィルム(第1剥離フィルム、リンテック社製「SP−PET381031」、厚さ38μm)の剥離処理面を貼り合わせることにより、保護膜形成用フィルムの一方の表面に第1剥離フィルムを備え、他方の表面に第2剥離フィルムを備えた積層フィルムを得た。
(保護膜のグロス値(光沢性)の測定)
上記で得られた積層フィルムから第1剥離フィルムを取り除き、これにより生じた保護膜形成用フィルムの露出面を、8インチシリコンウエハ(厚さ300μm)の#2000研磨面に貼付した。
次いで、この保護膜形成用フィルムから第2剥離フィルムを取り除き、保護膜形成用フィルムを露出させた。また、上記で得られた支持シートの粘着剤層から剥離フィルムを取り除き、粘着剤層を露出させた。そして、粘着剤層の露出面を、保護膜形成用フィルムの露出面と貼り合わせるとともに、リングフレームに貼付することにより、基材、粘着剤層、保護膜形成用フィルム及びシリコンウエハがこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなる積層体を、リングフレームに固定して、30分間静置した。
(b)−1を(b)−2:アクリル酸メチル(85質量部)及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル(15質量部)を共重合してなるアクリル系重合体(重量平均分子量800000、分散度2.6、ガラス転移温度6℃)とした点以外は、実施例1と同じ方法で、保護膜形成用フィルム及び保護膜形成用複合シートを製造し、保護膜を評価した。結果を表1に示す。
保護膜形成用組成物(IV−1)の製造時におけるエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)−1を(b)−3:アクリル酸メチル(85質量部)及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル(15質量部)を共重合してなるアクリル系重合体(重量平均分子量350000、分散度5.0、ガラス転移温度6℃)とした点以外は、実施例1と同じ方法で、保護膜形成用フィルム及び保護膜形成用複合シートを製造し、保護膜を評価した。結果を表1に示す。
Claims (3)
- エネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルムであって、
前記保護膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性成分と、エネルギー線硬化性基を有しない重合体とを含み、
前記エネルギー線硬化性基を有しない重合体の重量平均分子量が45万以上であり、
前記エネルギー線硬化性基を有しない重合体の分散度が3.0以下であり、
前記保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して、硬化させて保護膜としてから、前記保護膜を260℃で5分間加熱したときの保護膜表面のグロス値の低下率が、前記保護膜を加熱する前における前記保護膜表面のグロス値に対して30%以下である保護膜形成用フィルム。 - 支持シートを備え、前記支持シート上に、請求項1に記載の保護膜形成用フィルムを備えた、保護膜形成用複合シート。
- 請求項1に記載の保護膜形成用フィルム、又は請求項2に記載の保護膜形成用複合シート中の保護膜形成用フィルムを、半導体ウエハに貼付する工程と、
前記半導体ウエハに貼付した後の前記保護膜形成用フィルムに紫外線を照射して、保護膜を形成する工程と、前記半導体ウエハを、前記保護膜又は保護膜形成用フィルムとともに切断することにより前記半導体ウエハを分割し、複数個の半導体チップを得る工程と、を有する、半導体チップの製造方法。
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