JP6914698B2 - 樹脂膜形成用複合シート - Google Patents

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本発明は、樹脂膜形成用複合シートに関する。
近年、いわゆるフェースダウン(face down)方式と呼ばれる実装法を用いた半導体装置の製造が行われている。フェースダウン方式においては、回路面上にバンプ等の電極を有する半導体チップが用いられ、前記電極が基板と接合される。このため、半導体チップの回路面とは反対側の裏面は剥き出しとなることがある。
この剥き出しとなった半導体チップの裏面には、有機材料からなる樹脂膜が保護膜として形成され、このように保護膜を形成して得られた保護膜(樹脂膜)付き半導体チップが、半導体装置に取り込まれることがある。保護膜は、ダイシング工程以降の工程において、半導体チップにおいて割れや欠けが発生する、いわゆるチッピングを防止するために利用される。
このような保護膜の形成には、支持シート上に保護膜(樹脂膜)形成用フィルムを備えてなる保護膜(樹脂膜)形成用複合シートが用いられる。前記支持シートとしては、例えば、樹脂製の基材上に粘着剤層等が積層されてなる積層シート等が用いられる。前記保護膜形成用複合シートは、保護膜形成用フィルムが保護膜形成能を有しているのに加え、支持シートがダイシングシートとして機能可能であり、保護膜形成用フィルムとダイシングシートとが一体化されたものとすることができる。
ここまでは、回路面上にバンプ等の電極を有する半導体チップを用い、その半導体チップの裏面に樹脂膜形成用フィルムとして保護膜形成用フィルムを貼付する場合について説明したが、バンプ等の電極を有しない半導体チップを用いる場合にも、半導体チップの裏面に、他の樹脂膜形成用フィルムを設けることがある。このような樹脂膜形成用フィルムとしては、半導体チップを基板の回路形成面にダイボンディングするために用いるフィルム状接着剤が挙げられる。
このようなフィルム状接着剤を用いる場合にも、支持シート上にフィルム状接着剤(樹脂膜)を備えてなる樹脂膜形成用複合シートとして、ダイシングダイボンディングシートが用いられる。ダイシングダイボンディングシートにおいても、支持シートがダイシングシートとして機能する。
ところで、樹脂膜形成用フィルムが保護膜形成用フィルム、フィルム状接着剤等のいずれであっても、上述の樹脂膜形成用複合シートは、支持シートとは反対側の最表層に剥離フィルムを備えた状態で保管される(特許文献1参照)。ここで最表層とは、通常、前記樹脂膜形成用フィルムである。そして、樹脂膜形成用複合シートは、その使用時に前記剥離フィルムを取り除き、露出した状態の樹脂膜形成用フィルムによって、半導体ウエハの裏面に貼付される。
特開2005−350520号公報
しかし、特許文献1で開示されているものなど、従来の樹脂膜形成用複合シートのうち、樹脂膜形成用フィルムが支持シートよりもサイズが小さいものには、剥離フィルムの、樹脂膜形成用フィルムが設けられている側の表面に、本来は不要な切り込みを有するものがある。この切り込みは、樹脂膜形成用複合シートの製造過程において、支持シートよりもサイズが小さくなるように、樹脂膜形成用フィルムを切断するときに不可避的に形成される。そして、このような樹脂膜形成用複合シートを用いた場合には、剥離フィルムを取り除いたときに、樹脂膜形成用フィルムが支持シートから剥がれてしまうことがあるという問題点があった。このように樹脂膜形成用フィルムが剥がれてしまうと、その部分の樹脂膜形成用複合シートは、半導体ウエハへ正常に貼付できなくなってしまい、樹脂膜付き半導体チップの製造効率が低下してしまう。
以下、この問題点について、図面を参照しながら、より具体的に説明する。
図13は、剥離フィルムにこのような不要な切り込みを有する、従来の樹脂膜形成用複合シートの一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す樹脂膜形成用複合シート9は、基材11上に粘着剤層12を備え、粘着剤層12上に樹脂膜形成用フィルム13を備え、樹脂膜形成用フィルム13上に剥離フィルム95を備えている。樹脂膜形成用複合シート9は、さらに、粘着剤層12の樹脂膜形成用フィルム13を備えている側の表面(第1面)12aのうち、樹脂膜形成用フィルム13が積層されていない領域、すなわち、周縁部近傍の領域に、治具用接着剤層15を備えている。
樹脂膜形成用複合シート9において、基材11及び粘着剤層12の積層物は、支持シート10である。
樹脂膜形成用複合シート9においては、樹脂膜形成用フィルム13が支持シート10よりもサイズが小さくなっている。そして、剥離フィルム95は、その樹脂膜形成用フィルム13が設けられている側の表面(第2面)95bに、切り込み951を有する。切り込み951は、剥離フィルム95の第2面95bのうち、樹脂膜形成用フィルム13の周縁部13cが配置されている部位に、連続して又は間欠的に周回して形成されている。ここでは、剥離フィルム95の第2面95bのうち、前記周縁部13cが配置されている部位を、符号Rを付して示している。
切り込み951は、剥離フィルム95の第2面95bにおいて、剥離フィルム95を切削して形成されている。切り込み951の形状は、必ずしも一定になる訳ではなく、ここに示す形状は一例に過ぎない。
切り込み951は、典型的には、剥離フィルム95の第2面95bから比較的浅く形成されている。このような切り込み951の深さの一例は1〜40μmであり、さらに他の一例では8〜25μmである。
剥離フィルム95に切り込み951が形成されてしまう理由は、樹脂膜形成用複合シート9の製造過程において、樹脂膜形成用フィルム13が支持シート10よりもサイズが小さくなるように、剥離フィルム95上に形成済みの樹脂膜形成用フィルム13を、ブレード(図示略)を用いて切断するときに、剥離フィルム95にまでブレードが到達してしまうためである。そして、このときさらに、この切り込み951の内部に、樹脂膜形成用フィルム13の一部が押し込まれてしまう。このように、切り込み951の内部に樹脂膜形成用フィルム13が押し込まれ、樹脂が存在すると、切断後の樹脂膜形成用フィルム13と剥離フィルム14との間の粘着力が大きくなってしまう。そのため、樹脂膜形成用複合シート9の使用時に、剥離フィルム95を取り除こうとすると、剥離フィルム95は、樹脂膜形成用フィルム13からは全く剥がれないか、又は樹脂膜形成用フィルム13からの剥がれが不完全となり、その一方で、樹脂膜形成用フィルム13が剥離フィルム95ごと支持シート10から剥がれてしまうのである。これは、切り込み951の幅及び深さの値が極めて小さく、特に注意して樹脂膜形成用複合シート9を観察しない限り、切り込み951の存在を認識できないことも影響している。切り込み951の存在を認識できないことで、剥離フィルム95を取り除くときに、何らかの工程異常が発生するとは、作業者は予測し難く、したがって、剥離フィルム95の取り除きが、注意深く行われることはなく、そもそも、樹脂膜形成用複合シート9の製造は通常、自動化されているため、このように注意深く剥離フィルム95を取り除くこと自体が困難である。
このように、樹脂膜形成用複合シート9において、樹脂膜形成用フィルム13が支持シート10から剥がれてしまった状態の一例を、図14に示す。樹脂膜形成用複合シートの製造過程については、後ほど別途、詳細に説明する。
なお、ここに示す樹脂膜形成用複合シート9に限定されず、上述のような、剥離フィルム上に形成済みの樹脂膜形成用フィルムを、ブレードを用いて切断する工程を経た樹脂膜形成用複合シートは、すべてこのような問題点を有する可能性がある。
一方、半導体チップを得る方法としては、ダイシングブレードを用いて半導体ウエハをダイシングする方法が広く利用されている。この方法では、通常、樹脂膜形成用フィルムを備えた半導体ウエハを、樹脂膜形成用フィルムごとダイシングブレードによって分割し、個片化する。
これに対して、近年は、ダイシングブレードを用いない半導体ウエハの分割方法も種々検討されている。このような方法で代表的なものとしては、半導体ウエハの内部に設定された焦点に集束するように、レーザー光を照射して、半導体ウエハの内部に改質層を形成し、この改質層を形成した半導体ウエハに対して力を加えることにより、改質層の部位において半導体ウエハを分割する方法が挙げられる。このような、半導体ウエハの改質層の形成を伴う分割では、ダイシングブレードを用いる分割とは異なり、半導体ウエハにおいて、ダイシングブレードによる切削部の形成を伴うことがなく、半導体ウエハかからより多くの半導体チップが得られるという利点を有する。
また、この分割方法を採用した場合、樹脂膜形成用フィルムは、好ましくは冷却下、その表面方向にエキスパンドすることによって切断できる。このような、樹脂膜形成用フィルムのエキスパンドによる切断では、樹脂膜形成用フィルムの切断面が荒れ難くなるという利点を有する。さらに、このような樹脂膜形成用フィルムの切断は、レーザーの照射を必要としないため、短時間で安価に行えるという利点も有する。
したがって、このような半導体ウエハの分割方法及び樹脂膜形成用フィルムの切断方法に適用可能な樹脂膜形成用複合シートは、極めて有用性が高い。
そこで本発明は、支持シートと、支持シートよりもサイズが小さい樹脂膜形成用フィルムと、剥離フィルムと、を備えた樹脂膜形成用複合シートであって、剥離フィルムを取り除いたときに、樹脂膜形成用フィルムの支持シートからの剥がれを抑制でき、半導体ウエハに改質層を形成し、その部位において半導体ウエハを分割する方法と、樹脂膜形成用フィルムをエキスパンドにより切断する方法と、に適用可能な、樹脂膜形成用複合シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、支持シートを備え、前記支持シート上に、樹脂膜形成用フィルム及び剥離フィルムがこの順に積層されてなり、前記樹脂膜形成用フィルムとして、前記支持シートよりもサイズが小さいものを備え、前記剥離フィルムは、前記樹脂膜形成用フィルムが設けられている側の表面のうち、前記樹脂膜形成用フィルムの周縁部が配置されている部位に、切り込みを有しない、樹脂膜形成用複合シートを提供する。
本発明の樹脂膜形成用複合シートは、半導体ウエハの分割と、前記樹脂膜形成用フィルムの切断と、のために用いるものであり、前記剥離フィルムを取り除いた前記樹脂膜形成用複合シートを、前記樹脂膜形成用フィルムによって、半導体ウエハの回路面とは反対側の裏面へ貼付した後、半導体ウエハの内部に設定された焦点に集束するように、レーザー光を照射して、半導体ウエハの内部に改質層を形成し、この改質層を形成した半導体ウエハに対して力を加えることにより、改質層の部位において、前記半導体ウエハの分割を行い、前記樹脂膜形成用フィルムを、その表面方向にエキスパンドすることによって、前記樹脂膜形成用フィルムの切断を行うことが好ましい。
本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいては、前記支持シートの前記樹脂膜形成用フィルムと接触している層が非硬化性である場合には、前記支持シートと、前記樹脂膜形成用フィルムと、の間の粘着力が、80〜2000mN/25mmであり、前記支持シートの前記樹脂膜形成用フィルムと接触している層が硬化性である場合には、前記硬化性の層を硬化後の前記支持シートと、前記樹脂膜形成用フィルムと、の間の粘着力が、80〜2000mN/25mmであることが好ましい。
本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいては、前記支持シートが、基材を備え、前記基材上に粘着剤層が積層されたものであり、前記粘着剤層が、エネルギー線硬化性又は非エネルギー線硬化性であることが好ましい。
本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいては、前記樹脂膜形成用フィルムが着色剤を含有することが好ましい。
本発明によれば、支持シートと、支持シートよりもサイズが小さい樹脂膜形成用フィルムと、剥離フィルムと、を備えた樹脂膜形成用複合シートであって、剥離フィルムを取り除いたときに、樹脂膜形成用フィルムの支持シートからの剥がれを抑制でき、半導体ウエハに改質層を形成し、その部位において半導体ウエハを分割する方法と、樹脂膜形成用フィルムをエキスパンドにより切断する方法と、に適用可能な、樹脂膜形成用複合シートが提供される。
本発明の樹脂膜形成用複合シートの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいて、剥離フィルムが正常に剥がれた状態の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の樹脂膜形成用複合シートの他の実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の樹脂膜形成用複合シートのさらに他の実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の樹脂膜形成用複合シートのさらに他の実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の樹脂膜形成用複合シートのさらに他の実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の樹脂膜形成用複合シートのさらに他の実施形態を模式的に示す断面図である。 一実施形態の樹脂膜形成用複合シートの製造方法の一例を、途中の工程まで模式的に示す断面図である。 一実施形態の樹脂膜形成用複合シートの製造方法の一例を、さらに途中の工程まで模式的に示す断面図である。 一実施形態の樹脂膜形成用複合シートの製造方法の一例を、さらに最終の工程まで模式的に示す断面図である。 他の実施形態の樹脂膜形成用複合シートの製造方法の一例を、途中の工程まで模式的に示す断面図である。 他の実施形態の樹脂膜形成用複合シートの製造方法の一例を、さらに最終の工程まで模式的に示す断面図である。 剥離フィルムに切り込みを有する、従来の樹脂膜形成用複合シートの一例を模式的に示す断面図である。 従来の樹脂膜形成用複合シートにおいて、剥離フィルムを取り除くときに、樹脂膜形成用フィルムが支持シートから剥がれてしまった状態の一例を模式的に示す断面図である。
◇樹脂膜形成用複合シート
本発明の樹脂膜形成用複合シートは、支持シートを備え、前記支持シート上に、樹脂膜形成用フィルム及び剥離フィルムがこの順に積層されてなり、前記樹脂膜形成用フィルムとして、前記支持シートよりもサイズが小さいものを備え、前記剥離フィルムは、前記樹脂膜形成用フィルムが設けられている側の表面(本明細書においては「第2面」と称することがある)のうち、前記樹脂膜形成用フィルムの周縁部が配置されている部位に、切り込みを有しないものである。
本発明の樹脂膜形成用複合シートは、上述のように、剥離フィルムの前記第2面のうち、樹脂膜形成用フィルムの周縁部が配置されている部位という特定の領域に、切り込みを有しないことにより、剥離フィルムを取り除いたときに、樹脂膜形成用フィルムの支持シートからの剥がれを抑制できる。
本発明の樹脂膜形成用複合シートが剥離フィルムにおいて有しない切り込みとは、例えば、図13を参照して先に説明した切り込み951と同様のものである。
なお、本明細書においては、「樹脂膜形成用フィルムの支持シートからの剥がれ」とは、樹脂膜形成用フィルムが支持シートから完全に剥がれて、分離している状態だけでなく、樹脂膜形成用フィルムが支持シートから部分的に剥がれて(樹脂膜形成用フィルムが支持シートから部分的に浮いており)、分離していない状態も含む。
本発明の樹脂膜形成用複合シートを用いた場合には、剥離フィルムを取り除いたときに、樹脂膜形成用フィルムが支持シートから全く剥がれないか、又は、樹脂膜形成用フィルムが支持シートから剥がれても、その程度がわずかに抑えられる。このように、本発明の樹脂膜形成用複合シートは、剥離フィルムを取り除いたときに、樹脂膜形成用フィルムの支持シートからの剥がれを抑制できるため、半導体ウエハへの貼付適性に優れる。また、樹脂膜形成用フィルムが支持シートから剥がれても、その程度(浮き)がわずかであるため、この剥がれ(浮き)部分を起点とした、工程異常の発生を抑制できる。ここで工程異常としては、例えば、ダイシング時のいわゆるメクレ等が挙げられる。
本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいて、支持シートは、ダイシングシート等の、半導体ウエハの加工用シートとして用いることができる。
本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいて、樹脂膜形成用フィルムは、例えば、保護膜形成用フィルム、フィルム状接着剤等として用いることができるが、樹脂膜形成用フィルムの用途は、これらに限定されない。
なお、本明細書において、「保護膜形成用フィルム」とは、回路形成面上にバンプ等の電極を有する半導体チップを、基板の回路形成面にフリップチップ接続するときに、半導体チップの回路形成面とは反対側の裏面に接着させ、この裏面を保護するための保護膜を形成するフィルムを意味する。また、「フィルム状接着剤」とは、半導体チップを基板の回路形成面にダイボンディングするための、接着性を有するフィルムを意味する。
以下、まず、図面を参照しながら、本発明の樹脂膜形成用複合シートの全体の構成について説明する。なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1は、本発明の樹脂膜形成用複合シートの一実施形態を模式的に示す断面図である。
ここに示す樹脂膜形成用複合シート1は、支持シート10を備え、支持シート10上に、樹脂膜形成用フィルム13及び剥離フィルム14がこの順に積層されてなる。
支持シート10は、基材11を備え、基材11上に粘着剤層12が積層されたものである。樹脂膜形成用フィルム13は、粘着剤層12に直接接触して積層されている。
樹脂膜形成用フィルム13は、支持シート10よりもサイズが小さい。すなわち、樹脂膜形成用フィルム13及び支持シート10を、剥離フィルム14側(上方)から見下ろすように平面視したときに、樹脂膜形成用フィルム13の表面、すなわち剥離フィルム14が設けられている側の表面(本明細書においては「第1面」と称することがある)13aの面積は、支持シート10の表面、すなわち樹脂膜形成用フィルム13が設けられている側の表面(本明細書においては「第1面」と称することがある)10aの面積よりも小さくなっている。ここで、支持シート10の第1面10aとは、換言すれば、粘着剤層12の、樹脂膜形成用フィルム13が設けられている側の表面(本明細書においては「第1面」と称することがある)12aである。
樹脂膜形成用複合シート1は、さらに、粘着剤層12の第1面12aのうち、樹脂膜形成用フィルム13が積層されていない領域に、例えば、樹脂膜形成用フィルム13の周縁部(側面)13cに沿って、治具用接着剤層15を備えている。そして、剥離フィルム14は、樹脂膜形成用フィルム13及び治具用接着剤層15上に積層されている。
このように、樹脂膜形成用複合シート1は、基材11、粘着剤層12、樹脂膜形成用フィルム13及び剥離フィルム14がこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなり、粘着剤層12の第1面12aのうち、樹脂膜形成用フィルム13が積層されていない領域に、さらに治具用接着剤層15が積層されてなる。
粘着剤層12の第1面12aのうち、樹脂膜形成用フィルム13が積層されていない領域には、剥離フィルム14が積層されていてもよいし、積層されていなくてもよい。
なお、剥離フィルム14は、後述する樹脂膜形成用複合シート1等の製造方法においては、他の剥離フィルムと区別するために、「第1剥離フィルム14」と称することがある。
樹脂膜形成用複合シート1において、樹脂膜形成用フィルム13の第1面13aは、例えば、円形状である。一方、上記のように平面視したときに、治具用接着剤層15の剥離フィルム14が設けられている側の表面(本明細書においては「第1面」と称することがある)15aは、例えば、リング状である。
剥離フィルム14は、樹脂膜形成用フィルム13が設けられている側の表面(第2面)14bのうち、樹脂膜形成用フィルム13の周縁部13cが配置されている部位に、切り込みを有しない。ここでは、剥離フィルム14の第2面14bのうち、前記周縁部13cが配置されている部位を、符号Rを付して示している。
樹脂膜形成用複合シート1の製造過程においては、後ほど詳しく説明するように、剥離フィルム14とは異なる剥離フィルム上に、あらかじめ樹脂膜形成用フィルムを形成しておき、この形成済みの樹脂膜形成用フィルムを、ブレードを用いて目的とする形状及びサイズとなるように切断する。このようにすることで、形成された樹脂膜形成用フィルム13を支持シート10よりも小さいサイズとする。
本明細書において、「剥離フィルムの表面のうち、樹脂膜形成用フィルムの周縁部が配置されている部位」とは、このように樹脂膜形成用フィルムを切断したと仮定したときに、剥離フィルムの表面のうち、ブレードの先端部が当たる領域を意味している。ブレードは、所定の幅を有しているため、前記周縁部13cが配置されている部位Rを、ここでは、幅を有するように表示している。これは、樹脂膜形成用複合シート1に限らず、本明細書で説明している他の樹脂膜形成用複合シートでも同様である。
樹脂膜形成用複合シート1においては、剥離フィルム14が前記切り込みを有しないことにより、当然に、切り込みの内部に、樹脂膜形成用フィルムの一部が押し込まれてしまうこともなく、樹脂膜形成用フィルム13と剥離フィルム14との間の粘着力を大きくする要因がない。したがって、樹脂膜形成用複合シート1の使用時に、剥離フィルム14を取り除くときに、剥離フィルム14は、樹脂膜形成用フィルム13から容易に剥がれ、樹脂膜形成用フィルム13が剥離フィルム14ごと支持シート10から剥がれてしまうことが抑制される。
このように、樹脂膜形成用複合シート1において、樹脂膜形成用フィルム13が剥離フィルム14ごと支持シート10から剥がれてしまうことが抑制され、剥離フィルム14が正常に剥がれた状態の一例を、図2に示す。なお、図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
樹脂膜形成用複合シート1は、通常、このように剥離フィルム14を備えた状態で保管される。樹脂膜形成用複合シート1は、剥離フィルム14が取り除かれた状態で、樹脂膜形成用フィルム13の第1面13aにより、半導体ウエハ(図示略)の回路が形成されている面(本明細書においては「回路形成面」と略記することがある)とは反対側の面(本明細書においては「裏面」と略記することがある)に貼付され、さらに、治具用接着剤層15の第1面15aがリングフレーム等の治具に貼付されて、使用される。
図3は、本発明の樹脂膜形成用複合シートの他の実施形態を模式的に示す断面図である。
ここに示す樹脂膜形成用複合シート2は、支持シート10を備え、支持シート10上に、樹脂膜形成用フィルム23及び剥離フィルム14がこの順に積層されてなる。
樹脂膜形成用フィルム23は、樹脂膜形成用フィルム23をその厚さ方向に貫通する切削部230を有する。樹脂膜形成用フィルム23の切削部230は、支持シート10上において、連続して又は間欠的に周回して形成されている。本明細書において、「樹脂膜形成用フィルムの切削部が、支持シート上において、間欠的に周回して形成されている」とは、樹脂膜形成用フィルムの切削部が、支持シート上において、一部は形成されず、不連続に、周回するように形成されていることを意味する。
切削部230によって、樹脂膜形成用フィルム23は、支持シート10の幅方向(図3における左右方向)における中央寄りの第1部位231と、端部寄りの第2部位232と、に分けられている。なお、切削部230が間欠的に周回して形成されている場合には、切削部230が連続して形成されていると仮定した場合には存在しない部位を、第1部位231及び第2部位232のいずれであってもよいとして、第1部位231及び第2部位232を定義する。
樹脂膜形成用フィルム23の第1部位231は、半導体ウエハへ貼付する部位であり、上記のように平面視したときの形状は、例えば、円形状である。樹脂膜形成用フィルム23の第2部位232は、半導体ウエハへは貼付しない部位であり、上記のように平面視したときの形状は、例えば、円をくり貫いた形状である。
樹脂膜形成用複合シート2は、樹脂膜形成用フィルム23のうち、第2部位232における第1面23aに、治具用接着剤層15を備えている。そして、剥離フィルム14は、樹脂膜形成用フィルム23(ここでは、第1部位231)及び治具用接着剤層15上に積層されている。
樹脂膜形成用フィルム23は、粘着剤層12に直接接触して積層されている。
樹脂膜形成用複合シート2は、上記の点以外は、図1に示す樹脂膜形成用複合シート1と同じである。
樹脂膜形成用フィルム23のうち、第1部位231は、支持シート10よりもサイズが小さい。すなわち、樹脂膜形成用複合シート2は、樹脂膜形成用フィルムとして、支持シート10よりもサイズが小さいもの(第1部位231)を備えている。
このように、樹脂膜形成用複合シート2は、基材11、粘着剤層12、樹脂膜形成用フィルム23及び剥離フィルム14がこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなり、樹脂膜形成用フィルム23のうち、第2部位232における第1面23aに、さらに治具用接着剤層15が積層されてなる。
剥離フィルム14は、樹脂膜形成用フィルム23が設けられている側の表面(第2面)14bのうち、樹脂膜形成用フィルム23の周縁部23c(ここでは、第1部位231の周縁部231c)が配置されている部位に、切り込みを有しない。ここでは、剥離フィルム14の第2面14bのうち、前記周縁部231cが配置されている部位を、符号Rを付して示している。
樹脂膜形成用複合シート2においては、剥離フィルム14が前記切り込みを有しないことにより、当然に、切り込みの内部に、樹脂膜形成用フィルムの一部が押し込まれてしまうこともなく、樹脂膜形成用フィルム23(ここでは、第1部位231)と剥離フィルム14との間の粘着力を大きくする要因がない。したがって、樹脂膜形成用複合シート2の使用時に、剥離フィルム14を取り除くときに、剥離フィルム14は、樹脂膜形成用フィルム23から容易に剥がれ、樹脂膜形成用フィルム23が剥離フィルム14ごと支持シート10から剥がれてしまうことが抑制される。
樹脂膜形成用複合シート2の使用時においては、樹脂膜形成用複合シート1の使用時の場合と同様に、剥離フィルム14が正常に剥がれる。
樹脂膜形成用複合シート2は、通常、このように剥離フィルム14を備えた状態で保管される。樹脂膜形成用複合シート2は、剥離フィルム14が取り除かれた状態で、樹脂膜形成用フィルム23のうち、第1部位231の第1面23aにより、半導体ウエハ(図示略)の裏面に貼付され、さらに、治具用接着剤層15の第1面15aがリングフレーム等の治具に貼付されて、使用される。
図4は、本発明の樹脂膜形成用複合シートのさらに他の実施形態を模式的に示す断面図である。
ここに示す樹脂膜形成用複合シート3は、治具用接着剤層15を備えていない点以外は、図1に示す樹脂膜形成用複合シート1と同じである。樹脂膜形成用フィルム13は、支持シート10よりもサイズが小さい。
樹脂膜形成用複合シート3において、剥離フィルム14は、樹脂膜形成用フィルム13上と、支持シート10(粘着剤層12)のうち、樹脂膜形成用フィルム13が積層されていない領域上と、に積層されている。
樹脂膜形成用フィルム13は、粘着剤層12に直接接触して積層されている。
剥離フィルム14は、樹脂膜形成用フィルム13が設けられている側の表面(第2面)14bのうち、樹脂膜形成用フィルム13の周縁部13cが配置されている部位に、切り込みを有しない。ここでは、剥離フィルム14の第2面14bのうち、前記周縁部13cが配置されている部位を、符号Rを付して示している。
樹脂膜形成用複合シート3においては、剥離フィルム14が前記切り込みを有しないことにより、当然に、切り込みの内部に、樹脂膜形成用フィルムの一部が押し込まれてしまうこともなく、樹脂膜形成用フィルム13と剥離フィルム14との間の粘着力を大きくする要因がない。したがって、樹脂膜形成用複合シート3の使用時に、剥離フィルム14を取り除くときに、剥離フィルム14は、樹脂膜形成用フィルム13から容易に剥がれ、樹脂膜形成用フィルム13が剥離フィルム14ごと支持シート10から剥がれてしまうことが抑制される。
樹脂膜形成用複合シート3の使用時においては、樹脂膜形成用複合シート1の使用時の場合と同様に、剥離フィルム14が正常に剥がれる。
樹脂膜形成用複合シート3は、通常、このように剥離フィルム14を備えた状態で保管される。樹脂膜形成用複合シート3は、剥離フィルム14が取り除かれた状態で、樹脂膜形成用フィルム13の第1面13aにより、半導体ウエハ(図示略)の裏面に貼付され、さらに、粘着剤層12の第1面12aのうち、樹脂膜形成用フィルム13が積層されていない領域が、リングフレーム等の治具に貼付されて、使用される。
図5は、本発明の樹脂膜形成用複合シートのさらに他の実施形態を模式的に示す断面図である。
ここに示す樹脂膜形成用複合シート4は、粘着剤層12を備えていない点以外は、図1に示す樹脂膜形成用複合シート1と同じである。樹脂膜形成用フィルム13は、支持シート10よりもサイズが小さい。
支持シート10は、基材11からなる。樹脂膜形成用フィルム13は、基材11に直接接触して積層されている。
樹脂膜形成用複合シート4は、さらに、基材11の樹脂膜形成用フィルム13を備えている側の表面(本明細書においては「第1面」と称することがある)11aのうち、樹脂膜形成用フィルム13が積層されていない領域に、例えば、樹脂膜形成用フィルム13の周縁部(側面)13cに沿って、治具用接着剤層15を備えている。そして、剥離フィルム14は、樹脂膜形成用フィルム13及び治具用接着剤層15上に積層されている。
このように、樹脂膜形成用複合シート4は、基材11、樹脂膜形成用フィルム13及び剥離フィルム14がこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなり、基材11の第1面11aのうち、樹脂膜形成用フィルム13が積層されていない領域に、さらに治具用接着剤層15が積層されてなる。
剥離フィルム14は、樹脂膜形成用フィルム13が設けられている側の表面(第2面)14bのうち、樹脂膜形成用フィルム13の周縁部13cが配置されている部位に、切り込みを有しない。ここでは、剥離フィルム14の第2面14bのうち、前記周縁部13cが配置されている部位を、符号Rを付して示している。
樹脂膜形成用複合シート4においては、剥離フィルム14が前記切り込みを有しないことにより、当然に、切り込みの内部に、樹脂膜形成用フィルムの一部が押し込まれてしまうこともなく、樹脂膜形成用フィルム13と剥離フィルム14との間の粘着力を大きくする要因がない。したがって、樹脂膜形成用複合シート4の使用時に、剥離フィルム14を取り除くときに、剥離フィルム14は、樹脂膜形成用フィルム13から容易に剥がれ、樹脂膜形成用フィルム13が剥離フィルム14ごと支持シート10から剥がれてしまうことが抑制される。
樹脂膜形成用複合シート4の使用時においては、樹脂膜形成用複合シート1の使用時の場合と同様に、剥離フィルム14が正常に剥がれる。
樹脂膜形成用複合シート4は、通常、このように剥離フィルム14を備えた状態で保管される。樹脂膜形成用複合シート4は、剥離フィルム14が取り除かれた状態で、樹脂膜形成用フィルム13の第1面13aにより、半導体ウエハ(図示略)の裏面に貼付され、さらに、治具用接着剤層15の第1面15aがリングフレーム等の治具に貼付されて、使用される。
図6は、本発明の樹脂膜形成用複合シートのさらに他の実施形態を模式的に示す断面図である。
ここに示す樹脂膜形成用複合シート5は、粘着剤層12を備えていない点以外は、図3に示す樹脂膜形成用複合シート2と同じである。樹脂膜形成用複合シート5は、樹脂膜形成用フィルムとして、支持シート10よりもサイズが小さいもの(第1部位231)を備えている。
支持シート10は、基材11からなる。樹脂膜形成用フィルム23は、基材11に直接接触して積層されている。
樹脂膜形成用複合シート5は、支持シート10を備え、支持シート10上に、樹脂膜形成用フィルム23及び剥離フィルム14がこの順に積層されてなる。
樹脂膜形成用複合シート5は、樹脂膜形成用フィルム23のうち、第2部位232における第1面23aに、例えば、樹脂膜形成用フィルム23の周縁部(側面)23cに沿って、治具用接着剤層15を備えている。そして、剥離フィルム14は、樹脂膜形成用フィルム23(ここでは、第1部位231)及び治具用接着剤層15上に積層されている。
このように、樹脂膜形成用複合シート5は、基材11、樹脂膜形成用フィルム23及び剥離フィルム14がこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなり、樹脂膜形成用フィルム23のうち、第2部位232における第1面23aに、さらに治具用接着剤層15が積層されてなる。
剥離フィルム14は、樹脂膜形成用フィルム23が設けられている側の表面(第2面)14bのうち、樹脂膜形成用フィルム23の周縁部23c(ここでは、第1部位231の周縁部231c)が配置されている部位に、切り込みを有しない。ここでは、剥離フィルム14の第2面14bのうち、前記周縁部23c(231c)が配置されている部位を、符号Rを付して示している。
樹脂膜形成用複合シート5においては、剥離フィルム14が前記切り込みを有しないことにより、当然に、切り込みの内部に、樹脂膜形成用フィルムの一部が押し込まれてしまうこともなく、樹脂膜形成用フィルム23(ここでは、第1部位231)と剥離フィルム14との間の粘着力を大きくする要因がない。したがって、樹脂膜形成用複合シート5の使用時に、剥離フィルム14を取り除くときに、剥離フィルム14は、樹脂膜形成用フィルム23から容易に剥がれ、樹脂膜形成用フィルム23が剥離フィルム14ごと支持シート10から剥がれてしまうことが抑制される。
樹脂膜形成用複合シート5の使用時においては、樹脂膜形成用複合シート2の使用時の場合と同様に、剥離フィルム14が正常に剥がれる。
樹脂膜形成用複合シート5は、通常、このように剥離フィルム14を備えた状態で保管される。樹脂膜形成用複合シート5は、剥離フィルム14が取り除かれた状態で、樹脂膜形成用フィルム23のうち、第1部位231の第1面23aにより、半導体ウエハ(図示略)の裏面に貼付され、さらに、治具用接着剤層15の第1面15aがリングフレーム等の治具に貼付されて、使用される。
図7は、本発明の樹脂膜形成用複合シートのさらに他の実施形態を模式的に示す断面図である。
ここに示す樹脂膜形成用複合シート6は、支持シート10を備え、支持シート10上に、樹脂膜形成用フィルム33及び剥離フィルム14がこの順に積層されてなる。
樹脂膜形成用フィルム33は、樹脂膜形成用フィルム33をその厚さ方向に貫通する切り込み330を有する。樹脂膜形成用フィルム33の切り込み330は、支持シート10上において、連続して又は間欠的に周回して形成されている。本明細書において、「樹脂膜形成用フィルムの切り込みが、支持シート上において、間欠的に周回して形成されている」とは、樹脂膜形成用フィルムの切り込みが、支持シート上において、一部は形成されず、不連続に、周回するように形成されていることを意味する。
樹脂膜形成用フィルム33の切り込み330は、例えば、図3に示す樹脂膜形成用複合シート2の樹脂膜形成用フィルム23における切削部230が、明確な幅を持たなくなったものに相当する。
切り込み330によって、樹脂膜形成用フィルム33は、支持シート10の幅方向(図7における左右方向)における中央寄りの第1部位331と、端部寄りの第2部位332と、に分けられている。なお、切り込み330が間欠的に周回して形成されている場合には、切り込み330が連続して形成されていると仮定した場合と同様に、第1部位331及び第2部位332を定義する。
樹脂膜形成用フィルム33の第1部位331は、半導体ウエハへ貼付する部位であり、上記のように平面視したときの形状は、例えば、円形状である。樹脂膜形成用フィルム33の第2部位332は、半導体ウエハへは貼付しない部位であり、上記のように平面視したときの形状は、例えば、円をくり貫いた形状である。
樹脂膜形成用複合シート3は、樹脂膜形成用フィルム33のうち、第2部位332における第1面33aに、治具用接着剤層15を備えている。そして、剥離フィルム14は、樹脂膜形成用フィルム33(ここでは、第1部位331)及び治具用接着剤層15上に積層されている。
樹脂膜形成用フィルム33は、粘着剤層12に直接接触して積層されている。
樹脂膜形成用複合シート6は、上記の点以外は、図1に示す樹脂膜形成用複合シート1と同じである。
換言すると、樹脂膜形成用複合シート6は、切削部230を有する樹脂膜形成用フィルム23に代えて、切り込み330を有する樹脂膜形成用フィルム33を備えている点以外は、図3に示す樹脂膜形成用複合シート2と同じである。
樹脂膜形成用フィルム33のうち、第1部位331は、支持シート10よりもサイズが小さい。すなわち、樹脂膜形成用複合シート6は、樹脂膜形成用フィルムとして、支持シート10よりもサイズが小さいもの(第1部位331)を備えている。
このように、樹脂膜形成用複合シート6は、基材11、粘着剤層12、樹脂膜形成用フィルム33及び剥離フィルム14がこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなり、樹脂膜形成用フィルム33のうち、第2部位332における第1面33aに、さらに治具用接着剤層15が積層されてなる。
剥離フィルム14は、樹脂膜形成用フィルム33が設けられている側の表面(第2面)14bのうち、樹脂膜形成用フィルム33の周縁部33c(ここでは、第1部位331の周縁部331c)が配置されている部位に、切り込みを有しない。ここでは、剥離フィルム14の第2面14bのうち、前記周縁部331cが配置されている部位を、符号Rを付して示している。
樹脂膜形成用複合シート6においては、剥離フィルム14が前記切り込みを有しないことにより、当然に、切り込みの内部に、樹脂膜形成用フィルムの一部が押し込まれてしまうこともなく、樹脂膜形成用フィルム33(ここでは、第1部位331)と剥離フィルム14との間の粘着力を大きくする要因がない。したがって、樹脂膜形成用複合シート6の使用時に、剥離フィルム14を取り除くときに、剥離フィルム14は、樹脂膜形成用フィルム33から容易に剥がれ、樹脂膜形成用フィルム33が剥離フィルム14ごと支持シート10から剥がれてしまうことが抑制される。
樹脂膜形成用複合シート6の使用時においては、樹脂膜形成用複合シート1の使用時の場合と同様に、剥離フィルム14が正常に剥がれる。
樹脂膜形成用複合シート6は、通常、このように剥離フィルム14を備えた状態で保管される。樹脂膜形成用複合シート6は、剥離フィルム14が取り除かれた状態で、樹脂膜形成用フィルム33のうち、第1部位331の第1面33aにより、半導体ウエハ(図示略)の裏面に貼付され、さらに、治具用接着剤層15の第1面15aがリングフレーム等の治具に貼付されて、使用される。
本発明の樹脂膜形成用複合シートは、図1〜図7に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図1〜図7に示すものの一部の構成が変更又は削除されたものや、これまでに説明したものにさらに他の構成が追加されたものであってもよい。
このような樹脂膜形成用複合シートの例としては、例えば、図7に示す樹脂膜形成用複合シート6において、粘着剤層12を備えておらず、支持シート10が基材11からなり、樹脂膜形成用フィルム33が基材11に直接接触して積層されているものが挙げられる。ただし、図1〜図7に示すもの以外の樹脂膜形成用複合シートは、これに限定されない。
本発明の樹脂膜形成用複合シートは、剥離フィルムを取り除いた状態で、その樹脂膜形成用フィルムによって、半導体ウエハの前記裏面へ貼付して使用される。樹脂膜形成用フィルムを備えた半導体ウエハは、分割されて、半導体チップへと個片化(ダイシング)されるが、その分割方法としては、ダイシングブレードを用いるダイシング以外に、半導体ウエハの改質層形成を経由する分割方法も好適である。この分割方法は、半導体ウエハの内部に設定された焦点に集束するように、レーザー光を照射して、半導体ウエハの内部に改質層を形成し、この改質層を形成した半導体ウエハに対して力を加えることにより、改質層の部位において半導体ウエハを分割する方法である。この分割方法では、ダイシングブレードを用いる分割方法とは異なり、半導体ウエハにおいて、ダイシングブレードによる切削部の形成を伴うことがなく、半導体ウエハかからより多くの半導体チップが得られるという利点を有する。また、この改質層形成を経由する分割方法を採用した場合、樹脂膜形成用フィルムは、通常、その表面方向にエキスパンドすることによって切断する。この樹脂膜形成用フィルムの切断は、通常、樹脂膜形成用フィルムを冷却した状態で行われる。この切断方法は、樹脂膜形成用フィルムの切断面が荒れ難くなるという利点を有する。
本発明の樹脂膜形成用複合シートは、このような分割方法及び切断方法を採用するときに、用いるものとして好適である。
すなわち、本発明の樹脂膜形成用複合シートは、半導体ウエハの分割と、前記樹脂膜形成用フィルムの切断と、のために用いるものであることが好ましく、前記剥離フィルムを取り除いた前記樹脂膜形成用複合シートを、前記樹脂膜形成用フィルムによって、半導体ウエハの回路面とは反対側の裏面へ貼付した後、半導体ウエハの内部に設定された焦点に集束するように、レーザー光を照射して、半導体ウエハの内部に改質層を形成し、前記改質層を形成した半導体ウエハに対して力を加えることにより、前記改質層の部位において、前記半導体ウエハの分割を行い、前記樹脂膜形成用フィルムを、その表面方向にエキスパンドすることによって、前記樹脂膜形成用フィルムの切断を行うことが好ましい。
上述のように、半導体ウエハの改質層形成を経由する分割を行うときに、本発明の樹脂膜形成用複合シートを用いる場合、樹脂膜形成用複合シート中の、支持シート及び樹脂膜形成用フィルムの積層シート(以下、「第1積層シート」と称することがある)は、波長1064nmの光の透過率が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。前記光の透過率が前記下限値以上であることで、支持シート及び樹脂膜形成用フィルムを介して、支持シート側から半導体ウエハに対してレーザー光を照射したときに、半導体ウエハの内部に、より良好に改質層を形成できる。一方、波長1064nmの光の透過率の上限値は、特に限定されず、例えば、98%であってもよい。
また、同様の理由から、前記第1積層シートの波長1342nmの光の透過率は、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。そして、波長1342nmの光の透過率の上限値は、特に限定されないが、例えば、98%であってもよい。
第1積層シートの光の透過率は、例えば、樹脂膜形成用フィルムの含有成分の種類及び量、支持シートの含有成分の種類及び量、並びに樹脂膜形成用フィルム及び支持シートの厚さ等を調節することで、適宜調節できる。
ただし、これら調節方法は一例に過ぎない。
上述のように、樹脂膜形成用フィルムのエキスパンドによる切断を行うときに、本発明の樹脂膜形成用複合シートを用いる場合、樹脂膜形成用複合シート中の、支持シートと樹脂膜形成用フィルムとの間の、0℃での粘着力は、70mN/25mm以上であることが好ましく、100mN/25mm以上であることがより好ましい。前記粘着力が前記下限値以上であることで、前記第1積層シートを、好ましくは冷却下でその表面方向(樹脂膜形成用フィルムの表面方向)にエキスパンドして、樹脂膜形成用フィルムを切断するときに、樹脂膜形成用フィルムと支持シートとの間の剥離が抑制されて、樹脂膜形成用フィルムをより良好に切断できる。
なお、冷却下で樹脂膜形成用フィルムをエキスパンド及び切断するときの、樹脂膜形成用フィルムの温度は、0℃であってもよいし、0℃以外の温度であってもよい。
前記粘着力(mN/25mm)は、以下の方法で測定できる。すなわち、幅が25mmで長さが任意の、測定対象の前記第1積層シートを用意する。次いで、半導体ウエハとしてミラーウエハを用い、0℃の条件下で、樹脂膜形成用フィルムによって、この第1積層シートを半導体ウエハ(ミラーウエハ)へ貼付する。貼付は、2kgのゴムロールを一往復させて荷重をかけることで行う。また、貼付は、樹脂膜形成用フィルムを加熱(例えば、50℃程度に加熱)して行ってもよい。そして、この温度(0℃)のまま、半導体ウエハ及び樹脂膜形成用フィルムの積層物から支持シートを、樹脂膜形成用フィルム及び支持シートの互いに接触していた面同士が180°の角度を為すように、剥離速度300mm/minで引き剥がす、いわゆる180°剥離を行い、このときの剥離力(mN/25mm)を測定して、これを前記粘着力とする。測定に供する第1積層シートの長さは、剥離力(粘着力)を安定して測定できる範囲であれば、特に限定されない。
支持シートと樹脂膜形成用フィルムとの間の前記粘着力は、例えば、樹脂膜形成用フィルムの含有成分の種類、その量及び厚さ、並びに支持シートの樹脂膜形成用フィルムと接触している層の含有成分の種類、その量及び厚さ等を調節することで、適宜調節できる。
ただし、これら調節方法は一例に過ぎない。
次に、本発明の樹脂膜形成用複合シートの製造方法について説明する。
◇樹脂膜形成用複合シートの製造方法
本発明の樹脂膜形成用複合シートの製造方法としては、例えば、
第2剥離フィルムを備え、前記第2剥離フィルム上に、樹脂膜形成用フィルムが積層されてなる第1中間シートにおいて、前記樹脂膜形成用フィルムの表面に対して平行な方向において周回するように、前記樹脂膜形成用フィルムを、その第2剥離フィルムを備えている側とは反対側の面から切り込むことにより、前記樹脂膜形成用フィルムを切断する工程(本明細書においては「樹脂膜形成用フィルム切断工程」と略記することがある)と、
前記樹脂膜形成用フィルムについて、前記切断する工程で形成された一続きの周回する切断部のみによって特定される領域が少なくとも残るようにして、サイズが縮小された前記樹脂膜形成用フィルムを前記第2剥離フィルム上に備えた第2中間シートを作製する工程(本明細書においては「樹脂膜形成用フィルム縮小工程」と略記することがある)と、
前記第2中間シートの前記切断後の樹脂膜形成用フィルムと、前記切断後の樹脂膜形成用フィルムよりもサイズが大きい支持シートと、を貼り合わせることにより、第3中間シートを作製する工程(本明細書においては「支持シート貼り合わせ工程」と略記することがある)と、
前記第3中間シートから前記第2剥離フィルムを取り除き、生じた露出面に、第1剥離フィルムを貼り合わせて、前記支持シート上に、樹脂膜形成用フィルム及び第1剥離フィルムがこの順に積層されてなる樹脂膜形成用複合シートを作製する工程(本明細書においては「剥離フィルム貼り換え工程」と略記することがある)と、を有し、
前記樹脂膜形成用複合シートを作製する工程(剥離フィルム貼り換え工程)において、樹脂膜形成用複合シート中の前記第1剥離フィルムは、前記樹脂膜形成用フィルムが設けられている側の表面のうち、樹脂膜形成用フィルムの周縁部が配置されている部位に、切り込みを有しないように、前記露出面に前記第1剥離フィルムを貼り合わせる、製造方法が挙げられる。
<<樹脂膜形成用フィルム切断工程>>
前記樹脂膜形成用フィルム切断工程は、最終的に目的とする樹脂膜形成用複合シートが、樹脂膜形成用フィルムとして、支持シートよりもサイズが小さいものを備えるように、樹脂膜形成用フィルムを切断する工程である。
樹脂膜形成用フィルムの切り込みは、ブレード等を用いて行うことができる。
「樹脂膜形成用フィルムの表面に対して平行な方向において周回するように」とは、樹脂膜形成用複合シートにおいて、樹脂膜形成用フィルムが目的とする形状となるように調節することを意味する。これは、例えば、樹脂膜形成用複合シートにおいて、樹脂膜形成用フィルムを、その表面の上方から見下ろすようにして平面視したときに、樹脂膜形成用フィルムの形状(平面形状)が円形状となるように調節することを含む。
本工程においては、樹脂膜形成用フィルムを、その第2剥離フィルムを備えている側とは反対側の面から切り込むことにより、樹脂膜形成用フィルムを切断したときに、通常、第2剥離フィルムの樹脂膜形成用フィルムを備えている側の面(第2面)にも、切り込みが形成される。
<<樹脂膜形成用フィルム縮小工程>>
前記樹脂膜形成用フィルム縮小工程は、第2剥離フィルム上において、樹脂膜形成用フィルムとして、支持シートよりもサイズが小さいものが少なくとも残るように、縮小された樹脂膜形成用フィルムを形成する工程である。本工程により、最終的に目的とする樹脂膜形成用複合シートにおける、樹脂膜形成用フィルムの形状及びサイズが確定する。
「前記切断する工程で形成された一続きの周回する切断部のみによって特定される領域」とは、樹脂膜形成用複合シートにおいて、支持シートよりもサイズが小さくされた樹脂膜形成用フィルムに相当する。樹脂膜形成用フィルムの、支持シートよりもサイズが小さい部分以外の余剰部分の領域は、一続きの周回する切断部のみでは特定されない。なお、前記余剰部分の領域は、第2剥離フィルム上から取り除いてもよいし、取り除かなくてもよい。
樹脂膜形成用複合シートにおける樹脂膜形成用フィルムの前記形状が円形状である場合、「一続きの周回する切断部」は、上記のように平面視したときには、円周を形成している。
<<支持シート貼り合わせ工程>>
前記支持シート貼り合わせ工程は、最終的に目的とする樹脂膜形成用複合シートの基本構造、すなわち、支持シート及び樹脂膜形成用フィルムの積層構造を形成する工程である。
本工程で得られた第3中間シートは、従来の樹脂膜形成用複合シートに相当し、第2剥離フィルムは、樹脂膜形成用フィルムが設けられている側の表面(第2面)のうち、樹脂膜形成用フィルムの周縁部が配置されている部位に、切り込みを有する。
<<剥離フィルム貼り換え工程>>
前記剥離フィルム貼り換え工程は、前記切り込みを有する第2剥離フィルムを、同様の箇所に切り込みを有しない第1剥離フィルム(本発明の上述の樹脂膜形成用複合シート中の剥離フィルム)に貼り換えて、目的とする樹脂膜形成用複合シートを作製する工程である。
第1剥離フィルムとしては、樹脂膜形成用複合シート中において、樹脂膜形成用フィルムが設けられている側の表面のうち、樹脂膜形成用フィルムの周縁部が配置されている部位に、切り込みを有しないように配置可能なものであれば、特に限定されない。したがって、第1剥離フィルムは、前記部位を除く他の部位(領域)に切り込みを有していてもよいが、表面に切り込みを一切有しないものが好ましい。
第2剥離フィルムを、第1剥離フィルムに貼り換えて得られたものは、そのまま直ちに目的とする樹脂膜形成用複合シートとしてもよいし、不要な箇所を取り除くなど、何らかの処理又は加工を行ったものを、目的とする樹脂膜形成用複合シートとしてもよい。
上述の製造方法は、目的とする樹脂膜形成用複合シートの構成に応じて、前記樹脂膜形成用フィルム切断工程、樹脂膜形成用フィルム縮小工程、支持シート貼り合わせ工程及び剥離フィルム貼り換え工程以外の他の工程を有していてもよい。
以下、図1に示す樹脂膜形成用複合シート1を例に挙げて、その製造方法について、詳細に説明する。図8は、一実施形態の樹脂膜形成用複合シートの製造方法の一例を、途中の工程まで模式的に示す断面図である。
樹脂膜形成用複合シート1の製造時には、まず、図8(a)に示すように、第2剥離フィルム99、樹脂膜形成用フィルム13’及び第3剥離フィルム98がこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなる積層シート(1−1)101を用意する。積層シート(1−1)101は、前記第1中間シートに相当する。
樹脂膜形成用フィルム13’は、目的とするサイズの樹脂膜形成用フィルム13となるように切断する前の樹脂膜形成用フィルムである。
積層シート(1−1)101において、第2剥離フィルム99と樹脂膜形成用フィルム13’との間の粘着力は、第3剥離フィルム98と樹脂膜形成用フィルム13’との間の粘着力よりも大きいことが好ましい。すなわち、第2剥離フィルム99は、いわゆる重剥離フィルムであり、かつ第3剥離フィルム98は、いわゆる軽剥離フィルムであることが好ましい。
積層シート(1−1)101を用意した後は、図8(b)に示すように、目的とする樹脂膜形成用複合シート1において、樹脂膜形成用フィルム13が支持シート10よりもサイズが小さくなるように、樹脂膜形成用フィルム13’を切断する(樹脂膜形成用フィルム切断工程)。
より具体的には、積層シート(1−1)101の第3剥離フィルム98が設けられている側から、積層シート(1−1)101にブレード91を押し当てて、樹脂膜形成用フィルム13’を第3剥離フィルム98とともに切断する。このとき、樹脂膜形成用フィルム13’及び第3剥離フィルム98は、いずれも、これらを上方から見下ろすように平面視したときの形状が、例えば、円形状等の目的とする形状となるように調節する。
なお、ここでは、ブレード91を2枚示しているが、これは、切断状態を判り易く説明するためであり、使用するブレードは1枚以上であればよく、2枚以上のブレードの同時使用は必須ではない。
樹脂膜形成用フィルム13’の切断後は、図8(c)に示すように、その第2剥離フィルム99の幅方向(図8における左右方向)における中央寄りの部位を残すように、樹脂膜形成用フィルム13’及び第3剥離フィルム98を、前記切断部を境にして、前記切断後の積層シート(1−1)101から取り除く(樹脂膜形成用フィルム縮小工程)。これにより、樹脂膜形成用フィルム13’は、樹脂膜形成用複合シート1において、支持シート10よりも小さくなるようにサイズが調節された樹脂膜形成用フィルム13となり、積層シート(1−2)102が得られる。
積層シート(1−2)102において、第2剥離フィルム99は、その樹脂膜形成用フィルム13が設けられている側の表面(本明細書においては「第1面」と称することがある)99aに、切り込み991を有する。切り込み991は、第2剥離フィルム99の第1面99aのうち、樹脂膜形成用フィルム13の周縁部13cが配置されている部位に、連続して又は間欠的に周回して形成されている。ここでは、第2剥離フィルム99の第1面99aのうち、前記周縁部13cが配置されている部位を、符号R102を付して示している。そして、典型的には、第2剥離フィルム99は、この切り込み991の内部に、樹脂膜形成用フィルム13(樹脂膜形成用フィルム13’)由来の樹脂を有する。これは、先に説明したように、樹脂膜形成用フィルム13’を第3剥離フィルム98とともに切断したときに、図8(b)に示すように、第2剥離フィルム99にまでブレード91が到達してしまうためである。このとき、さらに典型的には、切り込み991の内部にブレード91によって、樹脂膜形成用フィルム13(樹脂膜形成用フィルム13’)の一部が押し込まれてしまう。このように、切り込み991の内部に樹脂膜形成用フィルム13が押し込まれている状態では、樹脂膜形成用フィルム13と第2剥離フィルム99との間の粘着力は、大きくなっている。
積層シート(1−2)102の作製後は、図8(d)に示すように、第4剥離フィルム97及び接着剤シート15’が積層されてなる接着剤積層シート150’を、その接着剤シート15’によって、積層シート(1−2)102の第3剥離フィルム98側の露出面に貼付して、積層シート(1−3)103を作製する。ここで、前記露出面とは、第2剥離フィルム99の第1面99aのうち、切断後の樹脂膜形成用フィルム13及び第3剥離フィルム98が設けられずに露出している領域と、切断後の第3剥離フィルム98の樹脂膜形成用フィルム13を備えている側とは反対側の表面(本明細書においては「第1面」と称することがある)98aと、を意味する。樹脂膜形成用フィルム13及び第3剥離フィルム98の切断面には、接着剤積層シート150’が貼付されていてもよいし、貼付されていなくてもよい。
引き続き、図9を参照しながら、図1に示す樹脂膜形成用複合シート1の製造方法について説明する。図9は、本実施形態の樹脂膜形成用複合シートの製造方法の一例を、さらに途中の工程まで模式的に示す断面図である。
積層シート(1−3)103の作製後は、図9(a)に示すように、樹脂膜形成用フィルム13及び第3剥離フィルム98の積層構造を取り囲んだ状態で、接着剤積層シート150’のサイズが小さくなるように、接着剤積層シート150’を切断する。
より具体的には、接着剤積層シート150’の第4剥離フィルム97が設けられている側から、ブレード91を用いて、接着剤積層シート150’を切断する。このとき、接着剤積層シート150’(第4剥離フィルム97及び接着剤シート15’)は、これを上方から見下ろすように平面視したときの形状が、樹脂膜形成用フィルム13及び第3剥離フィルム98の積層構造の形状と同様となるように、例えば、円形状等の目的とする形状となるように調節する。
なお、ここでは、ブレード91を2枚示しているが、これは、切断状態を判り易く説明するためであり、使用するブレードは1枚以上であればよく、2枚以上のブレードの同時使用は必須ではない。
接着剤積層シート150’の切断後は、図9(b)に示すように、第4剥離フィルム97のうち、第2剥離フィルム99の幅方向(図9における左右方向)における中央寄りの部位を、前記切断部を境にして、前記切断後の積層シート(1−3)から取り除く。
上記の第2剥離フィルム99を取り除く方法は、公知の方法でよく、例えば、後述する粘着テープ96等の粘着テープを、第2剥離フィルム99の取り除き対象の部位に貼付し、この部位を接着剤シート15’から剥離させて取り除く方法が挙げられる。ただし、これは一例である。
なお、接着剤積層シート150’を切断後、第2剥離フィルム99は、通常、その第1面99aにおいて、切り込み991を取り囲むように、連続して又は間欠的に周回している切り込み151’を有する。そして、典型的には、第2剥離フィルム99は、この切り込み151’の内部に、接着剤シート15’由来の接着剤を有する。第2剥離フィルム99がこのような切り込み151’を有する理由は、切り込み991を有する理由と同じである。
第4剥離フィルム97の前記中央寄りの部位を取り除いた後は、図9(c)に示すように、接着剤シート15’のうち、第2剥離フィルム99の幅方向(図9における左右方向)における中央寄りの突出部位と、第4剥離フィルム97のうち、前記幅方向における中央寄りの部位を取り除いた後に残った部位(残部)、の両方に、粘着テープ96を貼付して、積層シート(1−4)104を作製する。ここで、接着剤シート15’の前記突出部位とは、例えば、樹脂膜形成用フィルム13及び第3剥離フィルム98の積層構造上に積層され、樹脂膜形成用フィルム13から第3剥離フィルム98へ向かう方向に突出している部位である。
引き続き、図10を参照しながら、図1に示す樹脂膜形成用複合シート1の製造方法について説明する。図10は、本実施形態の樹脂膜形成用複合シートの製造方法の一例を、さらに最終の工程まで模式的に示す断面図である。
積層シート(1−4)104の作製後は、図10(a)に示すように、第4剥離フィルム97と接着剤シート15’のそれぞれの粘着テープ96が貼付されている部位と、第3剥離フィルム98とを、粘着テープ96とともに、積層シート(1−4)104から取り除く。ここで、第4剥離フィルム97の粘着テープ96が貼付されている部位とは、上述の第4剥離フィルム97の残部である。また、接着剤シート15’の粘着テープ96が貼付されている部位とは、接着剤シート15’のうち、第2剥離フィルム99の幅方向(図10における左右方向)における、前記切断部を境にした中央寄りの部位である。これにより、接着剤シート15’は、第2剥離フィルム99の第1面99a上において、樹脂膜形成用フィルム13を取り囲むように配置された治具用接着剤層15となる。すなわち、本工程により、第2剥離フィルム99の第1面99aに、樹脂膜形成用フィルム13と、樹脂膜形成用フィルム13の周縁部(側面)13cに沿って配置された治具用接着剤層15と、を備えた積層シート(1−5)105が得られる。
なお、本工程において、接着剤シート15’の前記中央寄りの部位を取り除くことができる理由は、この部位の接着剤シート15’は、第3剥離フィルム98上に積層されているからである。
積層シート(1−5)105の作製後は、図10(b)に示すように、基材11及び粘着剤層12が積層されてなるシート、すなわち支持シート10の粘着剤層12と、積層シート(1−5)105の樹脂膜形成用フィルム13と、を貼り合わせて、積層シート(1−6)106を作製する(支持シート貼り合わせ工程)。積層シート(1−6)106は、第3中間シートに相当し、支持シート10(基材11及び粘着剤層12)、樹脂膜形成用フィルム13及び第2剥離フィルム99がこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなり、樹脂膜形成用フィルム13は、支持シート10よりもサイズが小さく、粘着剤層12の第1面12aのうち、樹脂膜形成用フィルム13が積層されていない領域に、さらに治具用接着剤層15が積層されてなるものである。
積層シート(1−6)106の作製後は、図10(c)に示すように、積層シート(1−6)106から第2剥離フィルム99を取り除く。これにより、支持シート10(基材11及び粘着剤層12)及び樹脂膜形成用フィルム13がこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなり、樹脂膜形成用フィルム13は、支持シート10よりもサイズが小さく、粘着剤層12の第1面12aのうち、樹脂膜形成用フィルム13が積層されていない領域に、さらに治具用接着剤層15が積層されてなる、積層シート(1−7)107が得られる。積層シート(1−7)107は、切り込み991を有する第2剥離フィルム99が取り除かれている。したがって、ブレード91の使用時に形成され、樹脂膜形成用複合シート1の使用時において工程異常の原因となる構造上の問題点が、積層シート(1−7)107では排除されている。
第2剥離フィルム99を取り除くときには、樹脂膜形成用フィルム13と治具用接着剤層15が、支持シート10(粘着剤層12)から剥離しないように、第2剥離フィルム99を、樹脂膜形成用フィルム13と治具用接着剤層15から剥離させればよい。このようにすることができれば、第2剥離フィルム99を取り除く方法は特に限定されず、公知の方法を適宜選択できる。
第2剥離フィルム99は、上述のように、切り込み991を有することにより、樹脂膜形成用フィルム13との間の粘着力が大きいが、このことをあらかじめ考慮していれば、樹脂膜形成用フィルム13と治具用接着剤層15を支持シート10(粘着剤層12)から剥離させずに、第2剥離フィルム99を積層シート(1−6)106から取り除くことは、十分に可能である。
積層シート(1−7)107の作製後は、図10(d)に示すように、第1剥離フィルム14を、積層シート(1−7)107の樹脂膜形成用フィルム13側の露出面に貼付して、樹脂膜形成用複合シート1を作製する(図10(c)〜図10(d)に示す工程は、剥離フィルム貼り換え工程に相当する)。ここで、積層シート(1−7)107の樹脂膜形成用フィルム13側の露出面とは、例えば、樹脂膜形成用フィルム13の第1面13aと、治具用接着剤層15の第1面15aである。
第1剥離フィルム14を積層シート(1−7)107の前記露出面に貼付する方法は、特に限定されず、公知の方法を適宜選択できる。
以上により、目的とする樹脂膜形成用複合シート1が得られるが、上述の製造方法においては、積層シート(1−7)107への第1剥離フィルム14の貼付後、得られた積層シートについては、さらに必要に応じて、その幅方向の両端部近傍の部位において、例えば、第1剥離フィルム14及び樹脂膜形成用フィルム13以外の積層構造(支持シート10及び治具用接着剤層15の積層構造)を切断して、取り除いてもよい。
樹脂膜形成用複合シート1の製造方法は、ここまでに説明したものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、上記のいずれかの工程が変更又は削除されたものや、これまでに説明した工程以外に、さらに他の工程が追加されたものであってもよい。
上述の製造方法においては、図9(b)〜図10(a)に示すように、接着剤積層シート150’を切断後の積層シート(1−3)103から、第4剥離フィルム97の前記中央寄りの部位を取り除き、次いで、第4剥離フィルム97と接着剤シート15’のそれぞれの粘着テープ96が貼付されている部位と、第3剥離フィルム98とを、粘着テープ96とともに、積層シート(1−4)104から取り除くことで、積層シート(1−5)105を作製している。これに代わり、例えば、粘着テープ96等の粘着テープを第4剥離フィルム97に貼付し、第4剥離フィルム97と、接着剤シート15’のうち、前記切断部を境にした中央寄りの部位と、第3剥離フィルム98とを、まとめて積層シート(1−3)103から取り除き、工程を短縮して、積層シート(1−5)105を作製してもよい。
従来の樹脂膜形成用複合シートの製造方法においては、上述の製造方法における、図10(c)〜図10(d)に示すような、第2剥離フィルム99の取り除きと、第1剥離フィルム14の貼付、すなわち、剥離フィルムの貼り換えは行われず、図10(b)に示す積層シート(1−6)106がそのまま、樹脂膜形成用複合シートとして使用されている。または、上述の樹脂膜形成用複合シート1の場合と同様に、さらに必要に応じて、積層シート(1−6)106の幅方向の両端部近傍の部位において、例えば、剥離フィルム99及び樹脂膜形成用フィルム13以外の積層構造(支持シート10及び治具用接着剤層15の積層構造)を切断して、取り除いたものが、樹脂膜形成用複合シートとして使用されている。この積層シート(1−6)106は、図13に示す樹脂膜形成用複合シート9と同様の構成を有しており、先に説明したように、その使用時に、従来の方法で剥離フィルム99を取り除こうとすると、剥離フィルム99は、切り込み991を有していることにより、樹脂膜形成用フィルム13からは全く剥がれないか、又は樹脂膜形成用フィルム13からの剥がれが不完全となり、その一方で、樹脂膜形成用フィルム13が剥離フィルム99ごと支持シート10から剥がれてしまう。
図1に示す樹脂膜形成用複合シート1以外の、本発明の樹脂膜形成用複合シートも、例えば、上述の製造方法において、一部の工程を変更若しくは削除、又は、さらに他の工程を追加して行うことで、製造できる。
例えば、図4に示す樹脂膜形成用複合シート3は、以下の方法で製造できる。図11は、他の実施形態の樹脂膜形成用複合シートの製造方法の一例を、途中の工程まで模式的に示す断面図である。
まず、樹脂膜形成用複合シート1の場合と同じ方法で、図11(c)に示すように、積層シート(1−2)102を作製する(図11(b)〜図11(c)に示す工程は、樹脂膜形成用フィルム切断工程〜樹脂膜形成用フィルム縮小工程に相当する)。
積層シート(1−2)102の作製後は、図11(d)に示すように、第3剥離フィルム98を積層シート(1−2)102から取り除き、積層シート(3−3)303を得る。
上記の第3剥離フィルム98を取り除く方法は、公知の方法でよく、例えば、上述の粘着テープ96等の粘着テープを、第3剥離フィルム98に貼付し、第3剥離フィルム98を、この粘着テープとともに樹脂膜形成用フィルム13から剥離させて取り除く方法が挙げられる。ただし、これは一例である。
引き続き、図12を参照しながら、図4に示す樹脂膜形成用複合シート3の製造方法について説明する。図12は、本実施形態の樹脂膜形成用複合シートの製造方法の一例を、さらに最終の工程まで模式的に示す断面図である。
積層シート(3−3)303の作製後は、図12(a)に示すように、基材11及び粘着剤層12が積層されてなるシート、すなわち支持シート10の粘着剤層12を、積層シート(3−3)303の樹脂膜形成用フィルム13及び第2剥離フィルム99と貼り合わせて、積層シート(3−4)304を作製する(支持シート貼り合わせ工程)。積層シート(3−4)304は、支持シート10(基材11及び粘着剤層12)、樹脂膜形成用フィルム13及び第2剥離フィルム99がこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなり、樹脂膜形成用フィルム13は、支持シート10よりもサイズが小さいものであり、第3中間シートに相当する。また、積層シート(3−4)304は、治具用接着剤層15を備えていない点以外は、上述の積層シート(1−6)106と同じである。
積層シート(3−4)304の作製後は、図12(b)に示すように、積層シート(3−4)304から第2剥離フィルム99を取り除く。これにより、支持シート10(基材11及び粘着剤層12)及び樹脂膜形成用フィルム13がこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなり、樹脂膜形成用フィルム13は支持シート10よりもサイズが小さい、積層シート(3−5)305が得られる。積層シート(3−5)305は、治具用接着剤層15を備えていない点以外は、上述の積層シート(1−7)107と同じである。積層シート(3−5)305は、切り込み991を有する第2剥離フィルム99が取り除かれている。したがって、ブレード91の使用時に形成され、樹脂膜形成用複合シート3の使用時において工程異常の原因となる構造上の問題点が、積層シート(3−5)305では排除されている。
第2剥離フィルム99を取り除くときには、樹脂膜形成用フィルム13が支持シート10(粘着剤層12)から剥離しないように、第2剥離フィルム99を樹脂膜形成用フィルム13から剥離させればよい。このようにすることができれば、第2剥離フィルム99を取り除く方法は特に限定されず、公知の方法を適宜選択でき、例えば、上述の積層シート(1−7)107の作製時と同じ方法を適用できる。
第2剥離フィルム99は、上述のように、切り込み991を有することにより、樹脂膜形成用フィルム13との間の粘着力が大きいが、このことをあらかじめ考慮していれば、樹脂膜形成用フィルム13を支持シート10(粘着剤層12)から剥離させずに、第2剥離フィルム99を積層シート(1−6)106から取り除くことは、十分に可能である。
積層シート(3−5)305の作製後は、図12(c)に示すように、第1剥離フィルム14を、積層シート(3−5)305の樹脂膜形成用フィルム13側の露出面に貼付して、樹脂膜形成用複合シート3を作製する(図12(b)〜図12(c)に示す工程は、剥離フィルム貼り換え工程に相当する)。ここで、積層シート(3−5)305の樹脂膜形成用フィルム13側の露出面とは、例えば、樹脂膜形成用フィルム13の第1面13aと、粘着剤層12の第1面12aのうち、樹脂膜形成用フィルム13が積層されていない領域である。
第1剥離フィルム14を積層シート(1−7)107の前記露出面に貼付する方法は、特に限定されず、公知の方法を適宜選択でき、例えば、上述の樹脂膜形成用複合シート1の作製時と同じ方法を適用できる。
以上により、目的とする樹脂膜形成用複合シート3が得られるが、上述の製造方法においても、樹脂膜形成用複合シート1の製造方法の場合と同様に、積層シート(3−5)305への第1剥離フィルム14の貼付後、得られた積層シートについては、さらに必要に応じて、その幅方向の両端部近傍の部位において、例えば、第1剥離フィルム14及び樹脂膜形成用フィルム13以外の構造(支持シート10)を切断して、取り除いてもよい。
樹脂膜形成用複合シート3の製造方法は、ここまでに説明したものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、上記のいずれかの工程が変更又は削除されたものや、これまでに説明した工程以外に、さらに他の工程が追加されたものであってもよい。
上述の製造方法においては、図11(c)〜図11(d)に示すように、樹脂膜形成用フィルム13’の切断後は、その第2剥離フィルム99の幅方向(図11における左右方向)における中央寄りの部位を残すように、樹脂膜形成用フィルム13’及び第3剥離フィルム98を、前記切断部を境にして、前記切断後の積層シート(1−1)101から取り除き、次いで、第3剥離フィルム98を積層シート(1−2)102から取り除くことで、積層シート(3−3)303を作製している。これに代わり、例えば、樹脂膜形成用フィルム13’及び第3剥離フィルム98の上記の部位と、第3剥離フィルム98と、をまとめて、前記切断後の積層シート(1−1)101から取り除き、工程を短縮して、積層シート(3−3)303を作製してもよい。
従来の樹脂膜形成用複合シートの製造方法においては、上述の製造方法における、図12(b)〜図12(c)に示すような、第2剥離フィルム99の取り除きと、第1剥離フィルム14の貼付、すなわち、剥離フィルムの貼り換えは行われず、図12(a)に示す積層シート(3−4)304がそのまま、樹脂膜形成用複合シートとして使用される。または、上述の樹脂膜形成用複合シート1の場合と同様に、さらに必要に応じて、積層シート(3−4)304の幅方向の両端部近傍の部位において、例えば、剥離フィルム99及び樹脂膜形成用フィルム13以外の構造(支持シート10)を切断して、取り除いたものが、樹脂膜形成用複合シートとして使用される。この積層シート(3−4)304も、図13に示す樹脂膜形成用複合シート9と同様に、剥離フィルム99が切り込み991を有しており、先に説明したように、その使用時に、従来の方法で剥離フィルム99を取り除こうとすると、剥離フィルム99は、樹脂膜形成用フィルム13からは全く剥がれないか、又は樹脂膜形成用フィルム13からの剥がれが不完全となり、その一方で、樹脂膜形成用フィルム13が剥離フィルム99ごと支持シート10から剥がれてしまう。
ここまでは、前記樹脂膜形成用フィルム縮小工程において、樹脂膜形成用フィルムの余剰部分の領域を第2剥離フィルム上から取り除く場合について説明したが、取り除かないようにすることで、例えば、図7示すような、切削部ではなく切り込みを有する樹脂膜形成用フィルムを備えた樹脂膜形成用複合シートを製造できる。
次に、本発明の樹脂膜形成用複合シートの各層の構成について説明する。
◎支持シート
前記支持シートは、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。支持シートが複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
なお、本明細書においては、支持シートの場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
好ましい支持シートとしては、例えば、基材上に粘着剤層が積層されてなるもの、基材のみからなるもの等が挙げられる。
例えば、基材上に粘着剤層が積層されてなる支持シートは、後述する方法で、基材上に粘着剤層を設けることで製造できる。
○基材
前記基材は、シート状又はフィルム状であり、その構成材料としては、例えば、各種樹脂が挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ノルボルネン樹脂等のポリエチレン以外のポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−ノルボルネン共重合体等のエチレン系共重合体(モノマーとしてエチレンを用いて得られた共重合体);ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂(モノマーとして塩化ビニルを用いて得られた樹脂);ポリスチレン;ポリシクロオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、すべての構成単位が芳香族環式基を有する全芳香族ポリエステル等のポリエステル;2種以上の前記ポリエステルの共重合体;ポリ(メタ)アクリル酸エステル;ポリウレタン;ポリウレタンアクリレート;ポリイミド;ポリアミド;ポリカーボネート;フッ素樹脂;ポリアセタール;変性ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン;ポリエーテルケトン等が挙げられる。
また、前記樹脂としては、例えば、前記ポリエステルとそれ以外の樹脂との混合物等のポリマーアロイも挙げられる。前記ポリエステルとそれ以外の樹脂とのポリマーアロイは、ポリエステル以外の樹脂の量が比較的少量であるものが好ましい。
また、前記樹脂としては、例えば、ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上が架橋した架橋樹脂;ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上を用いたアイオノマー等の変性樹脂も挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。(メタ)アクリル酸と類似の用語についても同様であり、例えば、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念である。
基材を構成する樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
基材は1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
基材の厚さは、50〜300μmであることが好ましく、60〜100μmであることがより好ましい。基材の厚さがこのような範囲であることで、前記樹脂膜形成用複合シートの可撓性と、半導体ウエハ又は半導体チップへの貼付性がより向上する。
ここで、「基材の厚さ」とは、基材全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる基材の厚さとは、基材を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
基材は、厚さの精度が高いもの、すなわち、部位によらず厚さのばらつきが抑制されたものが好ましい。上述の構成材料のうち、このような厚さの精度が高い基材を構成するのに使用可能な材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリエチレン以外のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
基材は、前記樹脂等の主たる構成材料以外に、充填材、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、軟化剤(可塑剤)等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
基材は、透明であってもよいし、不透明であってもよく、目的に応じて着色されていてもよいし、他の層が蒸着されていてもよい。
樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合、基材はエネルギー線を透過させるものが好ましい。
基材は、その上に設けられる粘着剤層又は樹脂膜形成用フィルムとの接着性を向上させるために、サンドブラスト処理、溶剤処理等による凹凸化処理;コロナ放電処理、電子線照射処理、プラズマ処理、オゾン・紫外線照射処理、火炎処理、クロム酸処理、熱風処理等の酸化処理等が表面に施されたものであってもよい。また、基材は、表面がプライマー処理されたものであってもよい。
基材は、公知の方法で製造できる。例えば、樹脂を含有する基材は、前記樹脂を含有する樹脂組成物を成形することで製造できる。
○粘着剤層
前記粘着剤層は、シート状又はフィルム状であり、粘着剤を含有する。
前記粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、エステル系樹脂等の粘着性樹脂が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
なお、本発明において、「粘着性樹脂」とは、粘着性を有する樹脂と、接着性を有する樹脂と、の両方を含む概念であり、例えば、樹脂自体が粘着性を有するものだけでなく、添加剤等の他の成分との併用により粘着性を示す樹脂や、熱又は水等のトリガーの存在によって接着性を示す樹脂等も含む。
粘着剤層は1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
粘着剤層の厚さは1〜100μmであることが好ましく、1〜60μmであることがより好ましく、1〜30μmであることが特に好ましい。
ここで、「粘着剤層の厚さ」とは、粘着剤層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる粘着剤層の厚さとは、粘着剤層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
粘着剤層は、透明であってもよいし、不透明であってもよく、目的に応じて着色されていてもよい。
樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合、粘着剤層はエネルギー線を透過させるものが好ましい。
粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成されたものでもよいし、非エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成されたものでもよい。すなわち、粘着剤層は、エネルギー線硬化性及び非エネルギー線硬化性のいずれであってもよい。エネルギー線硬化性の粘着剤層は、硬化前及び硬化後での物性を容易に調節できる。
なお、本明細書において、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、その例として、紫外線、放射線、電子線等が挙げられる。紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプ、ブラックライト又はLEDランプ等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
また、本明細書において、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を意味し、「非エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射しても硬化しない性質を意味する。
<<粘着剤組成物>>
粘着剤層は、粘着剤を含有する粘着剤組成物を用いて形成できる。例えば、粘着剤層の形成対象面に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に粘着剤層を形成できる。粘着剤層のより具体的な形成方法は、他の層の形成方法とともに、後ほど詳細に説明する。
粘着剤組成物の塗工は、公知の方法で行えばよく、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる方法が挙げられる。
基材上に粘着剤層を設ける場合には、例えば、基材上に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、基材上に粘着剤層を積層すればよい。また、基材上に粘着剤層を設ける場合には、例えば、剥離フィルム上に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム上に粘着剤層を形成しておき、この粘着剤層の露出面を、基材の一方の表面と貼り合わせることで、基材上に粘着剤層を積層してもよい。この場合の剥離フィルムは、樹脂膜形成用複合シートの製造過程のいずれかのタイミングで、取り除けばよい。
粘着剤組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、粘着剤組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましい。そして、溶媒を含有する粘着剤組成物は、例えば、70〜130℃で10秒〜5分の条件で乾燥させることが好ましい。
粘着剤層がエネルギー線硬化性である場合、エネルギー線硬化性粘着剤を含有する粘着剤組成物、すなわち、エネルギー線硬化性の粘着剤組成物としては、例えば、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)(以下、「粘着性樹脂(I−1a)」と略記することがある)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する粘着剤組成物(I−1);非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−2a)(以下、「粘着性樹脂(I−2a)」と略記することがある)を含有する粘着剤組成物(I−2);前記粘着性樹脂(I−2a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する粘着剤組成物(I−3)等が挙げられる。
<粘着剤組成物(I−1)>
前記粘着剤組成物(I−1)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する。
[粘着性樹脂(I−1a)]
前記粘着性樹脂(I−1a)は、アクリル系樹脂であることが好ましい。
前記アクリル系樹脂としては、例えば、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有するアクリル系重合体が挙げられる。
前記アクリル系樹脂が有する構成単位は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アルキルエステルを構成するアルキル基の炭素数が1〜20であるのものが挙げられ、前記アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、より具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシル等が挙げられる。
粘着剤層の粘着力が向上する点から、前記アクリル系重合体は、前記アルキル基の炭素数が4以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有することが好ましい。そして、粘着剤層の粘着力がより向上する点から、前記アルキル基の炭素数は、4〜12であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。また、前記アルキル基の炭素数が4以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。
前記アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有することが好ましい。
前記官能基含有モノマーとしては、例えば、前記官能基が後述する架橋剤と反応することで架橋の起点となったり、前記官能基が後述する不飽和基含有化合物中の不飽和基と反応することで、アクリル系重合体の側鎖に不飽和基の導入を可能とするものが挙げられる。
官能基含有モノマー中の前記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。
すなわち、官能基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
前記水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;ビニルアルコール、アリルアルコール等の非(メタ)アクリル系不飽和アルコール((メタ)アクリロイル骨格を有しない不飽和アルコール)等が挙げられる。
前記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するモノカルボン酸);フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸);前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物;2−カルボキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステル等が挙げられる。
官能基含有モノマーは、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマーが好ましく、水酸基含有モノマーがより好ましい。
前記アクリル系重合体を構成する官能基含有モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記アクリル系重合体において、官能基含有モノマー由来の構成単位の含有量は、構成単位の全量に対して、1〜35質量%であることが好ましく、2〜32質量%であることがより好ましく、3〜30質量%であることが特に好ましい。
前記アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位、及び官能基含有モノマー由来の構成単位以外に、さらに、他のモノマー由来の構成単位を有していてもよい。
前記他のモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等と共重合可能なものであれば特に限定されない。
前記他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
前記アクリル系重合体を構成する前記他のモノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記アクリル系重合体は、上述の非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)として使用できる。
一方、前記アクリル系重合体中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基(エネルギー線重合性基)を有する不飽和基含有化合物を反応させたものは、上述のエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−2a)として使用できる。
粘着剤組成物(I−1)が含有する粘着性樹脂(I−1a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−1)において、粘着性樹脂(I−1a)の含有量は、5〜99質量%であることが好ましく、10〜95質量%であることがより好ましく、15〜90質量%であることが特に好ましい。
[エネルギー線硬化性化合物]
粘着剤組成物(I−1)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオール(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレート;ポリエステル(メタ)アクリレート;ポリエーテル(メタ)アクリレート;エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、オリゴマーとしては、例えば、上記で例示したモノマーが重合してなるオリゴマー等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物は、分子量が比較的大きく、粘着剤層の貯蔵弾性率を低下させにくいという点では、ウレタン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
粘着剤組成物(I−1)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記粘着剤組成物(I−1)において、前記エネルギー線硬化性化合物の含有量は、1〜95質量%であることが好ましく、5〜90質量%であることがより好ましく、10〜85質量%であることが特に好ましい。
[架橋剤]
粘着性樹脂(I−1a)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I−1)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
前記架橋剤は、例えば、前記官能基と反応して、粘着性樹脂(I−1a)同士を架橋するものである。
架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらジイソシアネートのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤(イソシアネート基を有する架橋剤);エチレングリコールグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤(グリシジル基を有する架橋剤);ヘキサ[1−(2−メチル)−アジリジニル]トリフオスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤);アルミニウムキレート等の金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤);イソシアヌレート系架橋剤(イソシアヌル酸骨格を有する架橋剤)等が挙げられる。
粘着剤の凝集力を向上させて粘着剤層の粘着力を向上させる点、及び入手が容易である等の点から、架橋剤はイソシアネート系架橋剤であることが好ましい。
粘着剤組成物(I−1)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記粘着剤組成物(I−1)において、架橋剤の含有量は、粘着性樹脂(I−1a)の含有量100質量部に対して、0.01〜50質量部であることが好ましく、0.1〜20質量部であることがより好ましく、0.3〜15質量部であることが特に好ましい。
[光重合開始剤]
粘着剤組成物(I−1)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I−1)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のアセトフェノン化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;ベンジルフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のスルフィド化合物;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール化合物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;チタノセン等のチタノセン化合物;チオキサントン等のチオキサントン化合物;パーオキサイド化合物;ジアセチル等のジケトン化合物;ベンジル;ジベンジル;ベンゾフェノン;2,4−ジエチルチオキサントン;1,2−ジフェニルメタン;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン;2−クロロアントラキノン等が挙げられる。
また、前記光重合開始剤としては、例えば、1−クロロアントラキノン等のキノン化合物;アミン等の光増感剤等を用いることもできる。
粘着剤組成物(I−1)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−1)において、光重合開始剤の含有量は、前記エネルギー線硬化性化合物の含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.03〜10質量部であることがより好ましく、0.05〜5質量部であることが特に好ましい。
[その他の添加剤]
粘着剤組成物(I−1)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、充填材(フィラー)、防錆剤、着色剤(顔料、染料)、増感剤、粘着付与剤、反応遅延剤、架橋促進剤(触媒)等の公知の添加剤が挙げられる。
なお、反応遅延剤とは、例えば、粘着剤組成物(I−1)中に混入している触媒の作用によって、保存中の粘着剤組成物(I−1)において、目的としない架橋反応が進行するのを抑制するものである。反応遅延剤としては、例えば、触媒に対するキレートによってキレート錯体を形成するものが挙げられ、より具体的には、1分子中にカルボニル基(−C(=O)−)を2個以上有するものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−1)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−1)において、その他の添加剤の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
[溶媒]
粘着剤組成物(I−1)は、溶媒を含有していてもよい。粘着剤組成物(I−1)は、溶媒を含有していることで、塗工対象面への塗工適性が向上する。
前記溶媒は有機溶媒であることが好ましく、前記有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン;酢酸エチル等のエステル(カルボン酸エステル);テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;シクロヘキサン、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール等が挙げられる。
前記溶媒としては、例えば、粘着性樹脂(I−1a)の製造時に用いたものを粘着性樹脂(I−1a)から取り除かずに、そのまま粘着剤組成物(I−1)において用いてもよいし、粘着性樹脂(I−1a)の製造時に用いたものと同一又は異なる種類の溶媒を、粘着剤組成物(I−1)の製造時に別途添加してもよい。
粘着剤組成物(I−1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−1)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
<粘着剤組成物(I−2)>
前記粘着剤組成物(I−2)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−2a)を含有する。
[粘着性樹脂(I−2a)]
前記粘着性樹脂(I−2a)は、例えば、粘着性樹脂(I−1a)中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基を有する不飽和基含有化合物を反応させることで得られる。
前記不飽和基含有化合物は、前記エネルギー線重合性不飽和基以外に、さらに粘着性樹脂(I−1a)中の官能基と反応することで、粘着性樹脂(I−1a)と結合可能な基を有する化合物である。
前記エネルギー線重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2−プロペニル基)等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
粘着性樹脂(I−1a)中の官能基と結合可能な基としては、例えば、水酸基又はアミノ基と結合可能なイソシアネート基及びグリシジル基、並びにカルボキシ基又はエポキシ基と結合可能な水酸基及びアミノ基等が挙げられる。
前記不飽和基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
粘着剤組成物(I−2)が含有する粘着性樹脂(I−2a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−2)において、粘着性樹脂(I−2a)の含有量は、5〜99質量%であることが好ましく、10〜95質量%であることがより好ましく、10〜90質量%であることが特に好ましい。
[架橋剤]
粘着性樹脂(I−2a)として、例えば、粘着性樹脂(I−1a)におけるものと同様の、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I−2)は、さらに架橋剤を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−2)における前記架橋剤としては、粘着剤組成物(I−1)における架橋剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−2)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記粘着剤組成物(I−2)において、架橋剤の含有量は、粘着性樹脂(I−2a)の含有量100質量部に対して、0.01〜50質量部であることが好ましく、0.1〜20質量部であることがより好ましく、0.3〜15質量部であることが特に好ましい。
[光重合開始剤]
粘着剤組成物(I−2)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I−2)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
粘着剤組成物(I−2)における前記光重合開始剤としては、粘着剤組成物(I−1)における光重合開始剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−2)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−2)において、光重合開始剤の含有量は、粘着性樹脂(I−2a)の含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.03〜10質量部であることがより好ましく、0.05〜5質量部であることが特に好ましい。
[その他の添加剤]
粘着剤組成物(I−2)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−2)における前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I−1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−2)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−2)において、その他の添加剤の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
[溶媒]
粘着剤組成物(I−2)は、粘着剤組成物(I−1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−2)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−2)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−2)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
<粘着剤組成物(I−3)>
前記粘着剤組成物(I−3)は、上述の様に、前記粘着性樹脂(I−2a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する。
粘着剤組成物(I−3)において、粘着性樹脂(I−2a)の含有量は、5〜99質量%であることが好ましく、10〜95質量%であることがより好ましく、15〜90質量%であることが特に好ましい。
[エネルギー線硬化性化合物]
粘着剤組成物(I−3)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー及びオリゴマーが挙げられ、粘着剤組成物(I−1)が含有するエネルギー線硬化性化合物と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−3)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記粘着剤組成物(I−3)において、前記エネルギー線硬化性化合物の含有量は、粘着性樹脂(I−2a)の含有量100質量部に対して、0.01〜300質量部であることが好ましく、0.03〜200質量部であることがより好ましく、0.05〜100質量部であることが特に好ましい。
[光重合開始剤]
粘着剤組成物(I−3)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I−3)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
粘着剤組成物(I−3)における前記光重合開始剤としては、粘着剤組成物(I−1)における光重合開始剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−3)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−3)において、光重合開始剤の含有量は、粘着性樹脂(I−2a)及び前記エネルギー線硬化性化合物の総含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.03〜10質量部であることがより好ましく、0.05〜5質量部であることが特に好ましい。
[その他の添加剤]
粘着剤組成物(I−3)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I−1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−3)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−3)において、その他の添加剤の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
[溶媒]
粘着剤組成物(I−3)は、粘着剤組成物(I−1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−3)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−3)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−3)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
<粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の粘着剤組成物>
ここまでは、粘着剤組成物(I−1)、粘着剤組成物(I−2)及び粘着剤組成物(I−3)について主に説明したが、これらの含有成分として説明したものは、これら3種の粘着剤組成物以外の全般的な粘着剤組成物(本明細書においては、「粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の粘着剤組成物」と称する)でも、同様に用いることができる。
粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の粘着剤組成物としては、エネルギー線硬化性の粘着剤組成物以外に、非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物も挙げられる。
非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、エステル系樹脂等の、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)を含有する粘着剤組成物(I−4)が挙げられ、アクリル系樹脂を含有するものが好ましい。
粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の粘着剤組成物は、1種又は2種以上の架橋剤を含有することが好ましく、その含有量は、上述の粘着剤組成物(I−1)等の場合と同様とすることができる。
<粘着剤組成物(I−4)>
粘着剤組成物(I−4)で好ましいものとしては、例えば、前記粘着性樹脂(I−1a)と、架橋剤と、を含有するものが挙げられる。
[粘着性樹脂(I−1a)]
粘着剤組成物(I−4)における粘着性樹脂(I−1a)としては、粘着剤組成物(I−1)における粘着性樹脂(I−1a)と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−4)が含有する粘着性樹脂(I−1a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−4)において、粘着性樹脂(I−1a)の含有量は、5〜99質量%であることが好ましく、10〜95質量%であることがより好ましく、15〜90質量%であることが特に好ましい。
[架橋剤]
粘着性樹脂(I−1a)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I−4)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
粘着剤組成物(I−4)における架橋剤としては、粘着剤組成物(I−1)における架橋剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−4)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記粘着剤組成物(I−4)において、架橋剤の含有量は、粘着性樹脂(I−1a)の含有量100質量部に対して、0.01〜50質量部であることが好ましく、0.1〜47質量部であることがより好ましく、0.3〜44質量部であることが特に好ましい。
[その他の添加剤]
粘着剤組成物(I−4)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I−1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−4)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−4)において、その他の添加剤の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
[溶媒]
粘着剤組成物(I−4)は、粘着剤組成物(I−1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−4)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−4)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−4)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいては、後述する樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合、粘着剤層は非エネルギー線硬化性であることが好ましい。これは、粘着剤層がエネルギー線硬化性であると、エネルギー線の照射によって樹脂膜形成用フィルムを硬化させるときに、粘着剤層も同時に硬化するのを抑制できないことがあるためである。粘着剤層が樹脂膜形成用フィルムと同時に硬化してしまうと、樹脂膜形成用フィルムの硬化物及び粘着剤層がこれらの界面において剥離不能な程度に貼り付いてしまうことがある。その場合、樹脂膜形成用フィルムの硬化物、すなわち樹脂膜を裏面に備えた半導体チップ(樹脂膜付き半導体チップ)を、粘着剤層の硬化物を備えた支持シートから剥離させることが困難となり、樹脂膜付き半導体チップを正常にピックアップできなくなってしまう。本発明における支持シートで、粘着剤層を非エネルギー線硬化性のものとすることで、このような不具合を確実に回避でき、樹脂膜付き半導体チップをより容易にピックアップできる。
ここでは、粘着剤層が非エネルギー線硬化性である場合の効果について説明したが、支持シートの樹脂膜形成用フィルムと直接接触している層が粘着剤層以外の層であっても、この層が非エネルギー線硬化性であれば、同様の効果を奏する。
<<粘着剤組成物の製造方法>>
粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)や、粘着剤組成物(I−4)等の粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の粘着剤組成物は、前記粘着剤と、必要に応じて前記粘着剤以外の成分等の、粘着剤組成物を構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
◎樹脂膜形成用フィルム
前記樹脂膜形成用フィルムは、硬化性であってもよいし、非硬化性であってもよい。硬化性の樹脂膜形成用フィルムは、例えば、前記保護膜形成用フィルム又はフィルム状接着剤として、特に好適である。保護膜形成用フィルムの硬化物は、先に説明したとおり、回路形成面上にバンプ等の電極を有する半導体チップの、回路形成面とは反対側の裏面を保護するための保護膜として利用できる。また、非硬化性の樹脂膜形成用フィルムも、保護膜形成用フィルム又はフィルム状接着剤として、利用可能である。
硬化性の樹脂膜形成用フィルムは、熱硬化性及びエネルギー線硬化性のいずれであってもよい。
樹脂膜形成用フィルムは、その構成材料を含有する樹脂膜形成用組成物を用いて形成できる。
なお、本明細書において、「非硬化性」とは、加熱やエネルギー線の照射等、如何なる手段によっても、硬化しない性質を意味する。
本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいては、前記支持シートの前記樹脂膜形成用フィルムと接触している層が非硬化性である場合には、前記支持シートと、前記樹脂膜形成用フィルムと、の間の粘着力は、80〜2000mN/25mmであることが好ましく、90〜1000mN/25mmであることがより好ましく、100〜500mN/25mmであることが特に好ましい。前記粘着力が前記下限値以上であることで、剥離フィルムを取り除いて、樹脂膜形成用複合シートを、その樹脂膜形成用フィルムにより半導体ウエハに貼付するときに、樹脂膜形成用フィルムの支持シートからの剥がれを抑制する効果がより高くなる。また、ダイシング工程等、樹脂膜形成用複合シートを半導体ウエハに貼付した後から、半導体チップをピックアップするまでのいずれかの工程で、支持シートからの樹脂膜形成用フィルムの剥がれや、支持シート上での樹脂膜形成用フィルムのずれ等の発生を抑制する効果がより高くなる。一方、前記粘着力が前記上限値以下であることで、裏面に樹脂膜形成用フィルム又はその硬化物(樹脂膜)を備えた半導体チップ、すなわち、樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを、支持シートからより容易にピックアップでき、ピックアップ時の半導体チップの破損を抑制する効果がより高くなる。
本発明の樹脂膜形成用複合シートは、このような粘着力を、常温で示すことが好ましく、例えば、15〜32℃で示すことがより好ましく、18〜28℃で示すことが特に好ましい。このような条件を満たす樹脂膜形成用複合シートは、実用性に特に優れる。
本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいては、前記支持シートの前記樹脂膜形成用フィルムと接触している層が硬化性である場合には、前記硬化性の層を硬化後の前記支持シートと、前記樹脂膜形成用フィルムと、の間の粘着力は、80〜2000mN/25mmであることが好ましく、90〜1000mN/25mmであることがより好ましく、100〜500mN/25mmであることが特に好ましい。前記粘着力がこのような範囲内であることで、上述のように、支持シートの樹脂膜形成用フィルムと接触している層が非硬化性である場合と、同様の効果が得られる。
本発明の樹脂膜形成用複合シートは、このような粘着力を、常温で示すことが好ましく、例えば、15〜32℃で示すことがより好ましく、18〜28℃で示すことが特に好ましい。このような条件を満たす樹脂膜形成用複合シートは、実用性に特に優れる。
支持シートの樹脂膜形成用フィルムと接触している層は、硬化性及び非硬化性のいずれであっても、粘着剤層であることが好ましい。
支持シートの樹脂膜形成用フィルムと接触している層が、硬化性及び非硬化性のいずれであるかによらず、上述の支持シートと樹脂膜形成用フィルムとの間の粘着力は、先に説明した、樹脂膜形成用複合シート中の、支持シートと樹脂膜形成用フィルムとの間の、0℃での粘着力の場合と同様の方法で測定できる。ただし、測定時の温度は0℃に限定されず、目的とする温度で測定すればよい。
上述の支持シートと樹脂膜形成用フィルムとの間の粘着力は、例えば、樹脂膜形成用フィルムの含有成分の種類、その量及び厚さ、並びに支持シートの樹脂膜形成用フィルムと接触している層の含有成分の種類、その量及び厚さ等を調節することで、適宜調節できる。
本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいては、前記支持シートが、基材を備え、前記基材上に粘着剤層が積層されたものであり、前記粘着剤層が、エネルギー線硬化性又は非エネルギー線硬化性であることが好ましい。
なお、先に説明したように、樹脂膜形成用フィルムを、そのエキスパンドによって切断する場合には、樹脂膜形成用複合シートは、支持シートと樹脂膜形成用フィルムとの間の、−15℃での粘着力が、先に説明した範囲となるものが好ましい。
○熱硬化性樹脂膜形成用フィルム
好ましい熱硬化性樹脂膜形成用フィルムとしては、例えば、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有するものが挙げられる。重合体成分(A)は、重合性化合物が重合反応して形成されたとみなせる成分である。また、熱硬化性成分(B)は、熱を反応のトリガーとして、硬化(重合)反応し得る成分である。なお、本発明において重合反応には、重縮合反応も含まれる。
熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。
熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さは、1〜100μmであることが好ましく、3〜75μmであることがより好ましく、3〜50μmであることが特に好ましい。熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムを用いたことによる効果を、より顕著に得られる。また、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
ここで、「熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さ」とは、熱硬化性樹脂膜形成用フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さとは、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
熱硬化性樹脂膜形成用フィルムを半導体ウエハの裏面に貼付し、硬化させるときの硬化条件は、硬化物が十分にその機能を発揮する程度の硬化度となる限り特に限定されず、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの種類に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの硬化時の加熱温度は、100〜200℃であることが好ましく、110〜180℃であることがより好ましく、120〜170℃であることが特に好ましい。そして、前記硬化時の加熱時間は、0.5〜5時間であることが好ましく、0.5〜3時間であることがより好ましく、1〜2時間であることが特に好ましい。
<<熱硬化性樹脂膜形成用組成物>>
熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、その構成材料を含有する熱硬化性樹脂膜形成用組成物を用いて形成できる。例えば、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの形成対象面に熱硬化性樹脂膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に熱硬化性樹脂膜形成用フィルムを形成できる。
熱硬化性樹脂膜形成用組成物の塗工は、例えば、上述の粘着剤組成物の塗工の場合と同じ方法で行うことができる。
熱硬化性樹脂膜形成用組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂膜形成用組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましい。そして、溶媒を含有する熱硬化性樹脂膜形成用組成物は、例えば、70〜130℃で10秒〜5分の条件で乾燥させることが好ましい。
<熱硬化性樹脂膜形成用組成物(III−1)>
熱硬化性樹脂膜形成用組成物としては、例えば、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有する熱硬化性樹脂膜形成用組成物(III−1)(本明細書においては、単に「組成物(III−1)」と略記することがある)等が挙げられる。
[重合体成分(A)]
重合体成分(A)は、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムに造膜性や可撓性等を付与するための重合体化合物である。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する重合体成分(A)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
重合体成分(A)としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル、ウレタン系樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂、フェノキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド等が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
重合体成分(A)における前記アクリル系樹脂としては、公知のアクリル重合体が挙げられる。
アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000〜2000000であることが好ましく、100000〜1500000であることがより好ましい。アクリル系樹脂の重量平均分子量が前記下限値以上であることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの形状安定性(保管時の経時安定性)が向上する。また、アクリル系樹脂の重量平均分子量が前記上限値以下であることで、被着体の凹凸面へ熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが追従し易くなり、被着体と熱硬化性樹脂膜形成用フィルムとの間でボイド等の発生がより抑制される。
なお、本明細書において、重量平均分子量とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−60〜70℃であることが好ましく、−30〜50℃であることがより好ましい。アクリル系樹脂のTgが前記下限値以上であることで、例えば、樹脂膜形成用フィルムの硬化物と支持シートとの接着力が抑制されて、支持シートの剥離性が適度に向上する。また、アクリル系樹脂のTgが前記上限値以下であることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルム及びその硬化物の被着体との接着力が向上する。
アクリル系樹脂としては、例えば、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸エステルの重合体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン及びN−メチロールアクリルアミド等から選択される2種以上のモノマーの共重合体等が挙げられる。
アクリル系樹脂を構成する前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1〜18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イミド;
(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸N−メチルアミノエチル等の置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、「置換アミノ基」とは、アミノ基の1個又は2個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる基を意味する。
アクリル系樹脂は、例えば、前記(メタ)アクリル酸エステル以外に、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン及びN−メチロールアクリルアミド等から選択される1種又は2種以上のモノマーが共重合してなるものでもよい。
アクリル系樹脂を構成するモノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
アクリル系樹脂は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の他の化合物と結合可能な官能基を有していてもよい。アクリル系樹脂の前記官能基は、後述する架橋剤(F)を介して他の化合物と結合してもよいし、架橋剤(F)を介さずに他の化合物と直接結合していてもよい。アクリル系樹脂が前記官能基により他の化合物と結合することで、樹脂膜形成用複合シートを用いて得られたパッケージの信頼性が向上する傾向がある。
本発明においては、重合体成分(A)として、アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂(以下、単に「熱可塑性樹脂」と略記することがある)を、アクリル系樹脂を用いずに単独で用いてもよいし、アクリル系樹脂と併用してもよい。前記熱可塑性樹脂を用いることで、保護膜の支持シートからの剥離性が向上したり、被着体の凹凸面へ熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが追従し易くなり、被着体と熱硬化性樹脂膜形成用フィルムとの間でボイド等の発生がより抑制されることがある。
前記熱可塑性樹脂の重量平均分子量は1000〜100000であることが好ましく、3000〜80000であることがより好ましい。
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−30〜150℃であることが好ましく、−20〜120℃であることがより好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、フェノキシ樹脂、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレン等が挙げられる。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する前記熱可塑性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(III−1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する重合体成分(A)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの重合体成分(A)の含有量)は、重合体成分(A)の種類によらず、5〜85質量%であることが好ましく、5〜80質量%であることがより好ましい。
重合体成分(A)は、熱硬化性成分(B)にも該当する場合がある。本発明においては、組成物(III−1)が、このような重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)の両方に該当する成分を含有する場合、組成物(III−1)は、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有するとみなす。
[熱硬化性成分(B)]
熱硬化性成分(B)は、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムを硬化させるための成分である。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する熱硬化性成分(B)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
熱硬化性成分(B)としては、例えば、エポキシ系熱硬化性樹脂、熱硬化性ポリイミド、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂等が挙げられ、エポキシ系熱硬化性樹脂が好ましい。
(エポキシ系熱硬化性樹脂)
エポキシ系熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)からなる。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有するエポキシ系熱硬化性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
・エポキシ樹脂(B1)
エポキシ樹脂(B1)としては、公知のものが挙げられ、例えば、多官能系エポキシ樹脂、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂等、2官能以上のエポキシ化合物が挙げられる。
エポキシ樹脂(B1)としては、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を用いてもよい。不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂は、不飽和炭化水素基を有しないエポキシ樹脂よりもアクリル系樹脂との相溶性が高い。そのため、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を用いることで、樹脂膜形成用複合シートを用いて得られた保護膜付き半導体チップの信頼性が向上する。
不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、多官能系エポキシ樹脂のエポキシ基の一部が不飽和炭化水素基を有する基に変換されてなる化合物が挙げられる。このような化合物は、例えば、エポキシ基へ(メタ)アクリル酸又はその誘導体を付加反応させることにより得られる。
また、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を構成する芳香環等に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合した化合物等が挙げられる。
不飽和炭化水素基は、重合性を有する不飽和基であり、その具体的な例としては、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基等が挙げられ、アクリロイル基が好ましい。
エポキシ樹脂(B1)の数平均分子量は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの硬化性、並びに硬化後の保護膜の強度及び耐熱性の点から、300〜30000であることが好ましく、300〜10000であることがより好ましく、300〜3000であることが特に好ましい。
エポキシ樹脂(B1)のエポキシ当量は、100〜1000g/eqであることが好ましく、150〜950g/eqであることがより好ましい。
エポキシ樹脂(B1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
・熱硬化剤(B2)
熱硬化剤(B2)は、エポキシ樹脂(B1)に対する硬化剤として機能する。
熱硬化剤(B2)としては、例えば、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。前記官能基としては、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシ基、酸基が無水物化された基等が挙げられ、フェノール性水酸基、アミノ基、又は酸基が無水物化された基であることが好ましく、フェノール性水酸基又はアミノ基であることがより好ましい。
熱硬化剤(B2)のうち、フェノール性水酸基を有するフェノール系硬化剤としては、例えば、多官能フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)のうち、アミノ基を有するアミン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(以下、「DICY」と略記することがある)等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)は、不飽和炭化水素基を有するものでもよい。
不飽和炭化水素基を有する熱硬化剤(B2)としては、例えば、フェノール樹脂の水酸基の一部が、不飽和炭化水素基を有する基で置換されてなる化合物、フェノール樹脂の芳香環に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合してなる化合物等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)における前記不飽和炭化水素基は、上述の不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂における不飽和炭化水素基と同様のものである。
熱硬化剤(B2)としてフェノール系硬化剤を用いる場合には、保護膜の支持シートからの剥離性が向上する点から、熱硬化剤(B2)は軟化点又はガラス転移温度が高いものが好ましい。
熱硬化剤(B2)のうち、例えば、多官能フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂等の樹脂成分の数平均分子量は、300〜30000であることが好ましく、400〜10000であることがより好ましく、500〜3000であることが特に好ましい。
熱硬化剤(B2)のうち、例えば、ビフェノール、ジシアンジアミド等の非樹脂成分の分子量は、特に限定されないが、例えば、60〜500であることが好ましい。
熱硬化剤(B2)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムにおいて、熱硬化剤(B2)の含有量は、エポキシ樹脂(B1)の含有量100質量部に対して、0.1〜500質量部であることが好ましく、1〜200質量部であることがより好ましい。熱硬化剤(B2)の前記含有量が前記下限値以上であることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの硬化がより進行し易くなる。また、熱硬化剤(B2)の前記含有量が前記上限値以下であることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの吸湿率が低減されて、樹脂膜形成用複合シートを用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムにおいて、熱硬化性成分(B)の含有量(例えば、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)の総含有量)は、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、5〜500質量部であることが好ましく、5〜300質量部であることがより好ましく、5〜150質量部であることが特に好ましい。熱硬化性成分(B)の前記含有量がこのような範囲であることで、例えば、樹脂膜形成用フィルムの硬化物と支持シートとの接着力が抑制されて、支持シートの剥離性が向上する。
[硬化促進剤(C)]
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、硬化促進剤(C)を含有していてもよい。硬化促進剤(C)は、組成物(III−1)の硬化速度を調整するための成分である。
好ましい硬化促進剤(C)としては、例えば、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類(1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されたイミダゾール);トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類(1個以上の水素原子が有機基で置換されたホスフィン);テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する硬化促進剤(C)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
硬化促進剤(C)を用いる場合、組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムにおいて、硬化促進剤(C)の含有量は、熱硬化性成分(B)の含有量100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜7質量部であることがより好ましい。硬化促進剤(C)の前記含有量が前記下限値以上であることで、硬化促進剤(C)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、硬化促進剤(C)の含有量が前記上限値以下であることで、例えば、高極性の硬化促進剤(C)が、高温・高湿度条件下で熱硬化性樹脂膜形成用フィルム中において被着体との接着界面側に移動して偏析することを抑制する効果が高くなり、樹脂膜形成用複合シートを用いて得られた樹脂膜付き半導体チップの信頼性がより向上する。
[充填材(D)]
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、充填材(D)を含有していてもよい。熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが充填材(D)を含有することにより、熱硬化性樹脂膜形成用フィルム及びその硬化物(樹脂膜)は、熱膨張係数の調整が容易となり、この熱膨張係数を、熱硬化性樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の形成対象物に対して最適化することで、樹脂膜形成用複合シートを用いて得られた樹脂膜付き半導体チップの信頼性がより向上する。また、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが充填材(D)を含有することにより、樹脂膜の吸湿率を低減したり、放熱性を向上させたりすることもできる。
充填材(D)は、有機充填材及び無機充填材のいずれでもよいが、無機充填材であることが好ましい。
好ましい無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化ケイ素、窒化ホウ素等の粉末;これら無機充填材を球形化したビーズ;これら無機充填材の表面改質品;これら無機充填材の単結晶繊維;ガラス繊維等が挙げられる。
これらの中でも、無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましい。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する充填材(D)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
充填材(D)を用いる場合、組成物(III−1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材(D)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの充填材(D)の含有量)は、5〜80質量%であることが好ましく、7〜60質量%であることがより好ましい。充填材(D)の含有量がこのような範囲であることで、上記の熱膨張係数の調整がより容易となる。
[カップリング剤(E)]
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、カップリング剤(E)を含有していてもよい。カップリング剤(E)として、無機化合物又は有機化合物と反応可能な官能基を有するものを用いることにより、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの被着体に対する接着性及び密着性を向上させることができる。また、カップリング剤(E)を用いることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの硬化物(樹脂膜)は、耐熱性を損なうことなく、耐水性が向上する。
カップリング剤(E)は、重合体成分(A)、熱硬化性成分(B)等が有する官能基と反応可能な官能基を有する化合物であることが好ましく、シランカップリング剤であることがより好ましい。
好ましい前記シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有するカップリング剤(E)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
カップリング剤(E)を用いる場合、組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムにおいて、カップリング剤(E)の含有量は、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)の総含有量100質量部に対して、0.03〜20質量部であることが好ましく、0.05〜10質量部であることがより好ましく、0.1〜5質量部であることが特に好ましい。カップリング剤(E)の前記含有量が前記下限値以上であることで、充填材(D)の樹脂への分散性の向上や、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの被着体との接着性の向上など、カップリング剤(E)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、カップリング剤(E)の前記含有量が前記上限値以下であることで、アウトガスの発生がより抑制される。
[架橋剤(F)]
重合体成分(A)として、上述のアクリル系樹脂等の、他の化合物と結合可能なビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の官能基を有するものを用いる場合、組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、架橋剤(F)を含有していてもよい。架橋剤(F)は、重合体成分(A)中の前記官能基を他の化合物と結合させて架橋するための成分であり、このように架橋することにより、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの初期接着力及び凝集力を調節できる。
架橋剤(F)としては、例えば、有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物、金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤)、アジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤)等が挙げられる。
前記有機多価イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物及び脂環族多価イソシアネート化合物(以下、これら化合物をまとめて「芳香族多価イソシアネート化合物等」と略記することがある);前記芳香族多価イソシアネート化合物等の三量体、イソシアヌレート体及びアダクト体;前記芳香族多価イソシアネート化合物等とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。前記「アダクト体」は、前記芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物又は脂環族多価イソシアネート化合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物を意味する。前記アダクト体の例としては、後述するようなトリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物等が挙げられる。また、「末端イソシアネートウレタンプレポリマー」とは、先に説明したとおりである。
前記有機多価イソシアネート化合物として、より具体的には、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート;2,6−トリレンジイソシアネート;1,3−キシリレンジイソシアネート;1,4−キシレンジイソシアネート;ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート;ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート;3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート;トリメチロールプロパン等のポリオールのすべて又は一部の水酸基に、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネートのいずれか1種又は2種以上が付加した化合物;リジンジイソシアネート等が挙げられる。
前記有機多価イミン化合物としては、例えば、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。
架橋剤(F)として有機多価イソシアネート化合物を用いる場合、重合体成分(A)としては、水酸基含有重合体を用いることが好ましい。架橋剤(F)がイソシアネート基を有し、重合体成分(A)が水酸基を有する場合、架橋剤(F)と重合体成分(A)との反応によって、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムに架橋構造を簡便に導入できる。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する架橋剤(F)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
架橋剤(F)を用いる場合、組成物(III−1)の架橋剤(F)の含有量は、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部であることが特に好ましい。架橋剤(F)の前記含有量が前記下限値以上であることで、架橋剤(F)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、架橋剤(F)の前記含有量が前記上限値以下であることで、架橋剤(F)の過剰使用が抑制される。
[エネルギー線硬化性樹脂(G)]
組成物(III−1)は、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有していてもよい。熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有していることにより、エネルギー線の照射によって特性を変化させることができる。
エネルギー線硬化性樹脂(G)は、エネルギー線硬化性化合物を重合(硬化)して得られたものである。
前記エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、分子内に少なくとも1個の重合性二重結合を有する化合物が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物が好ましい。
前記アクリレート系化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の鎖状脂肪族骨格含有(メタ)アクリレート;ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート等の環状脂肪族骨格含有(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;オリゴエステル(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー;エポキシ変性(メタ)アクリレート;前記ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート以外のポリエーテル(メタ)アクリレート;イタコン酸オリゴマー等が挙げられる。
前記エネルギー線硬化性化合物の重量平均分子量は、100〜30000であることが好ましく、300〜10000であることがより好ましい。
重合に用いる前記エネルギー線硬化性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(III−1)が含有するエネルギー線硬化性樹脂(G)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
エネルギー線硬化性樹脂(G)を用いる場合、組成物(III−1)のエネルギー線硬化性樹脂(G)の含有量は、1〜95質量%であることが好ましく、5〜90質量%であることがより好ましく、10〜85質量%であることが特に好ましい。
[光重合開始剤(H)]
組成物(III−1)は、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有する場合、エネルギー線硬化性樹脂(G)の重合反応を効率よく進めるために、光重合開始剤(H)を含有していてもよい。
組成物(III−1)における光重合開始剤(H)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のアセトフェノン化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;ベンジルフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のスルフィド化合物;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール化合物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;チタノセン等のチタノセン化合物;チオキサントン等のチオキサントン化合物;パーオキサイド化合物;ジアセチル等のジケトン化合物;ベンジル;ジベンジル;ベンゾフェノン;2,4−ジエチルチオキサントン;1,2−ジフェニルメタン;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン;2−クロロアントラキノン等が挙げられる。
また、前記光重合開始剤としては、例えば、1−クロロアントラキノン等のキノン化合物;アミン等の光増感剤等も挙げられる。
組成物(III−1)が含有する光重合開始剤(H)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
光重合開始剤(H)を用いる場合、組成物(III−1)の光重合開始剤(H)の含有量は、エネルギー線硬化性樹脂(G)の含有量100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましく、2〜5質量部であることが特に好ましい。
[着色剤(I)]
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、着色剤(I)を含有していてもよい。
着色剤(I)としては、例えば、無機系顔料、有機系顔料、有機系染料等、公知のものが挙げられる。
前記有機系顔料及び有機系染料としては、例えば、アミニウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、アズレニウム系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、ピリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ナフトラクタム系色素、アゾ系色素、縮合アゾ系色素、インジゴ系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、ジオキサジン系色素、キナクリドン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、ピロール系色素、チオインジゴ系色素、金属錯体系色素(金属錯塩染料)、ジチオール金属錯体系色素、インドールフェノール系色素、トリアリルメタン系色素、アントラキノン系色素、ジオキサジン系色素、ナフトール系色素、アゾメチン系色素、ベンズイミダゾロン系色素、ピランスロン系色素及びスレン系色等が挙げられる。
前記無機系顔料としては、例えば、カーボンブラック、コバルト系色素、鉄系色素、クロム系色素、チタン系色素、バナジウム系色素、ジルコニウム系色素、モリブデン系色素、ルテニウム系色素、白金系色素、ITO(インジウムスズオキサイド)系色素、ATO(アンチモンスズオキサイド)系色素等が挙げられる。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する着色剤(I)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
着色剤(I)を用いる場合、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの着色剤(I)の含有量は、目的に応じて適宜調節すればよい。例えば、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの着色剤(I)の含有量を調節し、樹脂膜の光透過性を調節することにより、樹脂膜に対してレーザー印字を行った場合の印字視認性を調節できる。また、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの着色剤(I)の含有量を調節することで、樹脂膜の意匠性を向上させたり、半導体ウエハの裏面の研削痕を見え難くすることもできる。これの点を考慮すると、組成物(III−1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する着色剤(I)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの着色剤(I)の含有量)は、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜7.5質量%であることがより好ましく、0.1〜5質量%であることが特に好ましい。着色剤(I)の前記含有量が前記下限値以上であることで、着色剤(I)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、着色剤(I)の前記含有量が前記上限値以下であることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの光透過性の過度な低下が抑制される。
[汎用添加剤(J)]
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲内において、汎用添加剤(J)を含有していてもよい。
汎用添加剤(J)は、公知のものでよく、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ゲッタリング剤等が挙げられる。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する汎用添加剤(J)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの汎用添加剤(J)の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
[溶媒]
組成物(III−1)は、さらに溶媒を含有することが好ましい。溶媒を含有する組成物(III−1)は、取り扱い性が良好となる。
前記溶媒は特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソブチルアルコール(2−メチルプロパン−1−オール)、1−ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。
組成物(III−1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(III−1)が含有する溶媒は、組成物(III−1)中の含有成分をより均一に混合できる点から、メチルエチルケトン等であることが好ましい。
<<熱硬化性樹脂膜形成用組成物の製造方法>>
組成物(III−1)等の熱硬化性樹脂膜形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
○エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルム
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性成分(a)を含有する。
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムにおいて、エネルギー線硬化性成分(a)は、未硬化であることが好ましく、粘着性を有することが好ましく、未硬化でかつ粘着性を有することがより好ましい。ここで、「エネルギー線」及び「エネルギー線硬化性」とは、先に説明したとおりである。
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよく、複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さは、1〜100μmであることが好ましく、5〜75μmであることがより好ましく、5〜50μmであることが特に好ましい。エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムを用いたことによる効果を、より顕著に得られる。また、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
ここで、「エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さ」とは、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなるエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さとは、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムを半導体ウエハの裏面に貼付し、硬化させるときの硬化条件は、硬化物が十分にその機能を発揮する程度の硬化度となる限り特に限定されず、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの種類に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの硬化時における、エネルギー線の照度は、120〜280mW/cmであることが好ましい。そして、前記硬化時における、エネルギー線の光量は、200〜1000mJ/cmであることが好ましい。
<<エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物>>
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは、その構成材料を含有するエネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物を用いて形成できる。例えば、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの形成対象面にエネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位にエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムを形成できる。
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物の塗工は、例えば、上述の粘着剤組成物の塗工の場合と同じ方法で行うことができる。
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましい。そして、溶媒を含有するエネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物は、例えば、70〜130℃で10秒〜5分の条件で乾燥させることが好ましい。
<エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物(IV−1)>
エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物としては、例えば、前記エネルギー線硬化性成分(a)を含有するエネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物(IV−1)(本明細書においては、単に「組成物(IV−1)」と略記することがある)等が挙げられる。
[エネルギー線硬化性成分(a)]
エネルギー線硬化性成分(a)は、エネルギー線の照射によって硬化する成分であり、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムに造膜性や、可撓性等を付与するとともに、硬化後に硬質の保護膜を形成するための成分でもある。
エネルギー線硬化性成分(a)としては、例えば、エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000〜2000000の重合体(a1)、及びエネルギー線硬化性基を有する、分子量が100〜80000の化合物(a2)が挙げられる。前記重合体(a1)は、その少なくとも一部が架橋剤によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
(エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000〜2000000の重合体(a1))
エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000〜2000000の重合体(a1)としては、例えば、他の化合物が有する基と反応可能な官能基を有するアクリル系重合体(a11)と、前記官能基と反応する基、及びエネルギー線硬化性二重結合等のエネルギー線硬化性基を有するエネルギー線硬化性化合物(a12)と、が反応してなるアクリル系樹脂(a1−1)が挙げられる。
他の化合物が有する基と反応可能な前記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、置換アミノ基(アミノ基の1個又は2個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる基)、エポキシ基等が挙げられる。ただし、半導体ウエハや半導体チップ等の回路の腐食を防止するという点では、前記官能基はカルボキシ基以外の基であることが好ましい。
これらの中でも、前記官能基は、水酸基であることが好ましい。
・官能基を有するアクリル系重合体(a11)
前記官能基を有するアクリル系重合体(a11)としては、例えば、前記官能基を有するアクリル系モノマーと、前記官能基を有しないアクリル系モノマーと、が共重合してなるものが挙げられ、これらモノマー以外に、さらにアクリル系モノマー以外のモノマー(非アクリル系モノマー)が共重合したものであってもよい。
また、前記アクリル系重合体(a11)は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよく、重合方法についても公知の方法を採用できる。
前記官能基を有するアクリル系モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、置換アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
前記水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;ビニルアルコール、アリルアルコール等の非(メタ)アクリル系不飽和アルコール((メタ)アクリロイル骨格を有しない不飽和アルコール)等が挙げられる。
前記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するモノカルボン酸);フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸);前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物;2−カルボキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステル等が挙げられる。
前記官能基を有するアクリル系モノマーは、水酸基含有モノマーが好ましい。
前記アクリル系重合体(a11)を構成する、前記官能基を有するアクリル系モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記官能基を有しないアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1〜18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
また、前記官能基を有しないアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル等を含む、芳香族基を有する(メタ)アクリル酸エステル;非架橋性の(メタ)アクリルアミド及びその誘導体;(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル等の非架橋性の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等も挙げられる。
前記アクリル系重合体(a11)を構成する、前記官能基を有しないアクリル系モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記非アクリル系モノマーとしては、例えば、エチレン、ノルボルネン等のオレフィン;酢酸ビニル;スチレン等が挙げられる。
前記アクリル系重合体(a11)を構成する前記非アクリル系モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記アクリル系重合体(a11)において、これを構成する構成単位の全量に対する、前記官能基を有するアクリル系モノマーから誘導された構成単位の量の割合(含有量)は、0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜40質量%であることがより好ましく、3〜30質量%であることが特に好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、前記アクリル系重合体(a11)と前記エネルギー線硬化性化合物(a12)との共重合によって得られた前記アクリル系樹脂(a1−1)において、エネルギー線硬化性基の含有量は、保護膜の硬化の程度を好ましい範囲に容易に調節可能となる。
前記アクリル系樹脂(a1−1)を構成する前記アクリル系重合体(a11)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
樹脂層形成用組成物(IV−1)において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、アクリル系樹脂(a1−1)の含有量の割合(すなわち、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムのアクリル系樹脂(a1−1)の含有量)は、1〜70質量%であることが好ましく、5〜60質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることが特に好ましい。
・エネルギー線硬化性化合物(a12)
前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、前記アクリル系重合体(a11)が有する官能基と反応可能な基として、イソシアネート基、エポキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される1種又は2種以上を有するものが好ましく、前記基としてイソシアネート基を有するものがより好ましい。前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、例えば、前記基としてイソシアネート基を有する場合、このイソシアネート基が、前記官能基として水酸基を有するアクリル系重合体(a11)のこの水酸基と容易に反応する。
前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、1分子中に前記エネルギー線硬化性基を1〜5個有することが好ましく、1〜3個有することがより好ましい。
前記エネルギー線硬化性化合物(a12)としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート;
ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;
ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物等が挙げられる。
これらの中でも、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートであることが好ましい。
前記アクリル系樹脂(a1−1)を構成する前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記アクリル系樹脂(a1−1)において、前記アクリル系重合体(a11)に由来する前記官能基の含有量に対する、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)に由来するエネルギー線硬化性基の含有量の割合は、20〜120モル%であることが好ましく、35〜100モル%であることがより好ましく、50〜100モル%であることが特に好ましい。前記含有量の割合がこのような範囲であることで、硬化後の保護膜の接着力がより大きくなる。なお、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)が一官能(前記基を1分子中に1個有する)化合物である場合には、前記含有量の割合の上限値は100モル%となるが、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)が多官能(前記基を1分子中に2個以上有する)化合物である場合には、前記含有量の割合の上限値は100モル%を超えることがある。
前記重合体(a1)の重量平均分子量(Mw)は、100000〜2000000であることが好ましく、300000〜1500000であることがより好ましい。
ここで、「重量平均分子量」とは、先に説明したとおりである。
前記重合体(a1)が、その少なくとも一部が架橋剤によって架橋されたものである場合、前記重合体(a1)は、前記アクリル系重合体(a11)を構成するものとして説明した、上述のモノマーのいずれにも該当せず、かつ架橋剤と反応する基を有するモノマーが重合して、前記架橋剤と反応する基において架橋されたものであってもよいし、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)に由来する、前記官能基と反応する基において、架橋されたものであってもよい。
組成物(IV−1)及びエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する前記重合体(a1)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
(エネルギー線硬化性基を有する、分子量が100〜80000の化合物(a2))
エネルギー線硬化性基を有する、分子量が100〜80000の化合物(a2)が有するエネルギー線硬化性基としては、エネルギー線硬化性二重結合を含む基が挙げられ、好ましいものとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
前記化合物(a2)は、上記の条件を満たすものであれば、特に限定されないが、エネルギー線硬化性基を有する低分子量化合物、エネルギー線硬化性基を有するエポキシ樹脂、エネルギー線硬化性基を有するフェノール樹脂等が挙げられる。
前記化合物(a2)のうち、エネルギー線硬化性基を有する低分子量化合物としては、例えば、多官能のモノマー又はオリゴマー等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物が好ましい。
前記アクリレート系化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル]プロパン、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン等の2官能(メタ)アクリレート;
トリス(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等の多官能(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。
前記化合物(a2)のうち、エネルギー線硬化性基を有するエポキシ樹脂、エネルギー線硬化性基を有するフェノール樹脂としては、例えば、「特開2013−194102号公報」の段落0043等に記載されているものを用いることができる。このような樹脂は、後述する熱硬化性成分を構成する樹脂にも該当するが、本発明においては前記化合物(a2)として取り扱う。
前記化合物(a2)は、重量平均分子量が100〜30000であることが好ましく、300〜10000であることがより好ましい。
組成物(IV−1)及びエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する前記化合物(a2)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)]
組成物(IV−1)及びエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは、前記エネルギー線硬化性成分(a)として前記化合物(a2)を含有する場合、さらにエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)も含有することが好ましい。
前記重合体(b)は、その少なくとも一部が架橋剤によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、例えば、アクリル系重合体、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、ゴム系樹脂、アクリルウレタン樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、前記重合体(b)は、アクリル系重合体(以下、「アクリル系重合体(b−1)」と略記することがある)であることが好ましい。
アクリル系重合体(b−1)は、公知のものでよく、例えば、1種のアクリル系モノマーの単独重合体であってもよいし、2種以上のアクリル系モノマーの共重合体であってもよいし、1種又は2種以上のアクリル系モノマーと、1種又は2種以上のアクリル系モノマー以外のモノマー(非アクリル系モノマー)と、の共重合体であってもよい。
アクリル系重合体(b−1)を構成する前記アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、「置換アミノ基」とは、先に説明したとおりである。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1〜18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
前記環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル等が挙げられる。
前記グリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。
前記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。
前記置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸N−メチルアミノエチル等が挙げられる。
アクリル系重合体(b−1)を構成する前記非アクリル系モノマーとしては、例えば、エチレン、ノルボルネン等のオレフィン;酢酸ビニル;スチレン等が挙げられる。
少なくとも一部が架橋剤によって架橋された、前記エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、例えば、前記重合体(b)中の反応性官能基が架橋剤と反応したものが挙げられる。
前記反応性官能基は、架橋剤の種類等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。例えば、架橋剤がポリイソシアネート化合物である場合には、前記反応性官能基としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられ、これらの中でも、イソシアネート基との反応性が高い水酸基が好ましい。また、架橋剤がエポキシ系化合物である場合には、前記反応性官能基としては、カルボキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられ、これらの中でもエポキシ基との反応性が高いカルボキシ基が好ましい。ただし、半導体ウエハや半導体チップの回路の腐食を防止するという点では、前記反応性官能基はカルボキシ基以外の基であることが好ましい。
前記反応性官能基を有する、エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、例えば、少なくとも前記反応性官能基を有するモノマーを重合させて得られたものが挙げられる。アクリル系重合体(b−1)の場合であれば、これを構成するモノマーとして挙げた、前記アクリル系モノマー及び非アクリル系モノマーのいずれか一方又は両方として、前記反応性官能基を有するものを用いればよい。例えば、反応性官能基として水酸基を有する前記重合体(b)としては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを重合して得られたものが挙げられ、これ以外にも、先に挙げた前記アクリル系モノマー又は非アクリル系モノマーにおいて、1個又は2個以上の水素原子が前記反応性官能基で置換されてなるモノマーを重合して得られたものが挙げられる。
反応性官能基を有する前記重合体(b)において、これを構成する構成単位の全量に対する、反応性官能基を有するモノマーから誘導された構成単位の量の割合(含有量)は、1〜20質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、前記重合体(b)において、架橋の程度がより好ましい範囲となる。
エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の重量平均分子量(Mw)は、組成物(IV−1)の造膜性がより良好となる点から、10000〜2000000であることが好ましく、100000〜1500000であることがより好ましい。ここで、「重量平均分子量」とは、先に説明したとおりである。
組成物(IV−1)及びエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する、エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(IV−1)としては、前記重合体(a1)及び前記化合物(a2)のいずれか一方又は両方を含有するものが挙げられる。そして、組成物(IV−1)は、前記化合物(a2)を含有する場合、さらにエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)も含有することが好ましく、この場合、さらに前記(a1)を含有することも好ましい。また、組成物(IV−1)は、前記化合物(a2)を含有せず、前記重合体(a1)、及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)をともに含有していてもよい。
組成物(IV−1)が、前記重合体(a1)、前記化合物(a2)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)を含有する場合、組成物(IV−1)において、前記化合物(a2)の含有量は、前記重合体(a1)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の総含有量100質量部に対して、10〜400質量部であることが好ましく、30〜350質量部であることがより好ましい。
組成物(IV−1)において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、前記エネルギー線硬化性成分(a)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の合計含有量の割合(すなわち、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの前記エネルギー線硬化性成分(a)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の合計含有量)は、5〜90質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましく、20〜70質量%であることが特に好ましい。エネルギー線硬化性成分の含有量の前記割合がこのような範囲であることで、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムのエネルギー線硬化性がより良好となる。
組成物(IV−1)は、前記エネルギー線硬化性成分以外に、目的に応じて、熱硬化性成分、充填材、カップリング剤、架橋剤、光重合開始剤、着色剤及び汎用添加剤からなる群より選択される1種又は2種以上を含有していてもよい。
組成物(IV−1)における前記熱硬化性成分、充填材、カップリング剤、架橋剤、光重合開始剤、着色剤及び汎用添加剤としては、それぞれ、組成物(III−1)における熱硬化性成分(B)、充填材(D)、カップリング剤(E)、架橋剤(F)、光重合開始剤(H)、着色剤(I)及び汎用添加剤(J)と同じものが挙げられる。
例えば、前記エネルギー線硬化性成分及び熱硬化性成分を含有する組成物(IV−1)を用いることにより、形成されるエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは、加熱によって被着体に対する接着力が向上し、このエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムから形成された保護膜の強度も向上する。
また、前記エネルギー線硬化性成分及び着色剤を含有する組成物(IV−1)を用いることにより、形成されるエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは、先に説明した熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが着色剤(I)を含有する場合と同様の効果を発現する。
組成物(IV−1)において、前記熱硬化性成分、充填材、カップリング剤、架橋剤、光重合開始剤、着色剤及び汎用添加剤は、それぞれ、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(IV−1)における前記熱硬化性成分、充填材、カップリング剤、架橋剤、光重合開始剤、着色剤及び汎用添加剤の含有量は、目的に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。
例えば、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの着色剤の含有量を調節し、樹脂膜の光透過性を調節することにより、樹脂膜に対してレーザー印字を行った場合の印字視認性を調節できる。また、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの着色剤の含有量を調節することで、樹脂膜の意匠性を向上させたり、半導体ウエハの裏面の研削痕を見え難くすることもできる。これの点を考慮すると、組成物(IV−1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する着色剤の含有量の割合(すなわち、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの着色剤の含有量)は、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜7.5質量%であることがより好ましく、0.1〜5質量%であることが特に好ましい。着色剤の前記含有量が前記下限値以上であることで、着色剤を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、着色剤の前記含有量が前記上限値以下であることで、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの光透過性の過度な低下が抑制される。
組成物(IV−1)は、希釈によってその取り扱い性が向上することから、さらに溶媒を含有するものが好ましい。
組成物(IV−1)が含有する溶媒としては、例えば、組成物(III−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
組成物(IV−1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
<<エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物の製造方法>>
組成物(IV−1)等のエネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
○非硬化性樹脂膜形成用フィルム
前記非硬化性樹脂膜形成用フィルムは、硬化による特性の変化を示さないが、本発明においては、半導体ウエハの前記裏面等、目的とする箇所に貼付された段階で、樹脂膜を形成したとみなす。
好ましい非硬化性樹脂膜形成用フィルムとしては、例えば、熱可塑性樹脂を含有するものが挙げられる。
非硬化性樹脂膜形成用フィルムは1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよく、複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
非硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さは、1〜100μmであることが好ましく、5〜75μmであることがより好ましく、5〜50μmであることが特に好ましい。非硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、非硬化性樹脂膜形成用フィルムを用いたことによる効果を、より顕著に得られる。また、非硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
ここで、「非硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さ」とは、非硬化性樹脂膜形成用フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる非硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さとは、非硬化性樹脂膜形成用フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
<<非硬化性樹脂膜形成用組成物>>
非硬化性樹脂膜形成用フィルムは、その構成材料を含有する非硬化性樹脂膜形成用組成物を用いて形成できる。例えば、非硬化性樹脂膜形成用フィルムの形成対象面に非硬化性樹脂膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に非硬化性樹脂膜形成用フィルムを形成できる。
非硬化性樹脂膜形成用組成物の塗工は、例えば、上述の粘着剤組成物の塗工の場合と同じ方法で行うことができる。
非硬化性樹脂膜形成用組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、非硬化性樹脂膜形成用組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましい。そして、溶媒を含有する非硬化性樹脂膜形成用組成物は、例えば、70〜130℃で10秒〜5分の条件で乾燥させることが好ましい。
<非硬化性樹脂膜形成用組成物(V−1)>
非硬化性樹脂膜形成用組成物としては、例えば、前記熱可塑性樹脂を含有する非硬化性樹脂膜形成用組成物(V−1)(本明細書においては、単に「組成物(V−1)」と略記することがある)等が挙げられる。
[熱可塑性樹脂]
前記熱可塑性樹脂は、特に限定されない。
前記熱可塑性樹脂として、より具体的には、例えば、上述の組成物(III−1)の含有成分として挙げた、アクリル系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、フェノキシ樹脂、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレン等の硬化性ではない樹脂と同様のものが挙げられる。
組成物(V−1)及び非硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する前記熱可塑性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(V−1)において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、前記熱可塑性樹脂の含有量の割合(すなわち、非硬化性樹脂膜形成用フィルムの前記熱可塑性樹脂の含有量)は、5〜90質量%であることが好ましく、例えば、10〜80質量%及び20〜70質量%等のいずれであってもよい。
組成物(V−1)は、前記熱可塑性樹脂以外に、目的に応じて、他の成分を含有していてもよい。
前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
例えば、前記熱可塑性樹脂及び着色剤を含有する組成物(V−1)を用いることにより、形成される非硬化性樹脂膜形成用フィルムは、先に説明した熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが着色剤(I)を含有する場合と同様の効果を発現する。
組成物(V−1)において、前記他の成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(V−1)における前記他の成分の含有量は、目的に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。
例えば、非硬化性樹脂膜形成用フィルムの着色剤の含有量を調節し、樹脂膜の光透過性を調節することにより、樹脂膜に対してレーザー印字を行った場合の印字視認性を調節できる。また、非硬化性樹脂膜形成用フィルムの着色剤の含有量を調節することで、樹脂膜の意匠性を向上させたり、半導体ウエハの裏面の研削痕を見え難くすることもできる。これの点を考慮すると、組成物(V−1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する着色剤の含有量の割合(すなわち、非硬化性樹脂膜形成用フィルムの着色剤の含有量)は、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜7.5質量%であることがより好ましく、0.1〜5質量%であることが特に好ましい。着色剤の前記含有量が前記下限値以上であることで、着色剤を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、着色剤の前記含有量が前記上限値以下であることで、非硬化性樹脂膜形成用フィルムの光透過性の過度な低下が抑制される。
組成物(V−1)は、希釈によってその取り扱い性が向上することから、さらに溶媒を含有するものが好ましい。
組成物(V−1)が含有する溶媒としては、例えば、上述の組成物(III−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
組成物(V−1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
<<非硬化性樹脂膜形成用組成物の製造方法>>
組成物(V−1)等の非硬化性樹脂膜形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
前記樹脂膜形成用フィルムは、熱硬化性、エネルギー線硬化性及び非硬化性のいずれであっても、着色剤を含有することが好ましい。着色剤を含有する樹脂膜形成用フィルムは、先に説明したように、優れた効果を発現する。
前記樹脂膜形成用フィルムは、樹脂膜形成用組成物の含有成分を調節することで、その用途に適した特性を有するように調節できる。例えば、このように調節することで、樹脂膜形成用フィルムを、容易に前記保護膜形成用フィルム又はフィルム状接着剤とすることができる。
◎剥離フィルム
前記剥離フィルムは、先に説明したように、その第2面のうち、樹脂膜形成用フィルムの周縁部が配置されている部位に、切り込みを有しないものであれば、特に限定されず、例えば、従来の剥離フィルムであってもよい。
前記剥離フィルムとして、より具体的には、例えば、剥離フィルム用基材の一方の面又は両面が、剥離処理面であるものが挙げられる。
前記剥離処理面は、剥離フィルム用基材の表面を、剥離処理剤によって剥離処理することで形成できる。
前記剥離フィルム用基材の構成材料としては、例えば、前記支持シートにおける基材の構成材料と同様のもの、すなわち各種樹脂が挙げられる。
剥離フィルム用基材の構成材料である前記樹脂で好ましいものとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリイミド等が挙げられる。
なお、本明細書において、単なる「基材」との記載は、剥離フィルム用基材ではなく、支持シートにおける基材を意味する。
剥離フィルム用基材を構成する樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記剥離処理剤は、公知のものでよく、好ましい剥離処理剤としては、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系又はワックス系等の剥離処理剤が挙げられる。
剥離処理剤は、耐熱性を有する点では、アルキッド系、シリコーン系又はフッ素系の剥離処理剤であることが好ましい。
剥離フィルムは1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
剥離フィルムの厚さは、2〜300μmであることが好ましく、4〜200μmであることがより好ましく、6〜190μmであることが特に好ましい。剥離フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、樹脂膜形成用複合シートの半導体ウエハへの貼付時における、剥離フィルムの破損を抑制する効果がより高くなる。また、剥離フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、樹脂膜形成用複合シート全体の剛性が高くなり過ぎない。その結果、例えば、樹脂膜形成用複合シートをロール状に巻き取って保管したときに、剥離フィルムと樹脂膜形成用フィルムとの間での層間剥離が、主としてシートの幅方向に延びて生じる、いわゆるトンネリングの発生を抑制する効果がより高くなる。
ここで、「剥離フィルムの厚さ」とは、剥離フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる剥離フィルムの厚さとは、剥離フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
剥離フィルムは、公知の方法で製造できる。例えば、支持シートにおける基材の場合と同様に、前記樹脂を含有する樹脂組成物を成形して、剥離フィルム用基材を作製した後、この剥離フィルム用基材の一方の面又は両面を、剥離処理剤で処理することで、剥離フィルムを製造できる。
◎治具用接着剤層
前記治具用接着剤層は、公知のものでよい。
治具用接着剤層は、上述の製造方法で説明したとおり、接着剤シートから作製される。治具用接着剤層は、形状が異なる点以外は、前記接着剤シートと同じである。
接着剤シート(治具用接着剤層)としては、例えば、接着剤成分を含有する単層構造のものであってもよいし、シート状の芯材の両面に、接着剤成分を含有する層が積層された複数層構造のものであってもよい。
前記芯材の構成材料としては、例えば、前記支持シートにおける基材の構成材料と同様のもの、すなわち各種樹脂が挙げられる。
芯材の構成材料である前記樹脂で好ましいものとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、フッ素樹脂等が挙げられ、ポリ塩化ビニル又はポリプロピレンフィルムであることがより好ましい。
芯材を構成する樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記接着剤成分としては、例えば、アクリル系接着剤、ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤、ビニルエーテル系接着剤等が挙げられる。
また、接着剤成分は、例えば、エネルギー線硬化型接着剤、熱膨張性接着剤等のいずれであってもよい。
接着剤シート(治具用接着剤層)の厚さは、1〜80μmであることが好ましく、5〜70μmであることがより好ましく、10〜60μmであることが特にましい。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
<樹脂膜形成用組成物の製造原料>
樹脂膜形成用組成物の製造に用いた原料を以下に示す。
[重合体成分(A)]
(A)−1:アクリル酸n−ブチル(10質量部)、アクリル酸メチル(70質量部)、メタクリル酸グリシジル(5質量部)、及びアクリル酸−2−ヒドロキシエチル(15質量部)を共重合してなるアクリル系樹脂(重量平均分子量800000、ガラス転移温度−1℃)。
(A)−2:アクリル酸メチル(85質量部)及びアクリル酸−2−ヒドロキシエチル(15質量部)を共重合してなるアクリル系樹脂(重量平均分子量400000)。
[熱硬化性成分(B)]
・エポキシ樹脂(B1)
(B1)−1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「jER828」、エポキシ当量184〜194g/eq、数平均分子量370)
(B1)−2:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製「エピクロンHP−7200HH」、エポキシ当量255〜260g/eq)
(B1)−3:アクリロイル基が付加されたクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製「CNA−147」、エポキシ当量518g/eq、数平均分子量2100、不飽和基含有量はエポキシ基と等量)
・熱硬化剤(B2)
(B2)−1:ジシアンジアミド(熱活性潜在性エポキシ樹脂硬化剤、ADEKA社製「アデカハードナーEH−3636AS」、活性水素量21g/eq)
(B2)−2:アラルキルフェノール樹脂(三井化学社製「ミレックスXLC−4L」、数平均分子量1100)
[充填材(D)]
(D)−1:シリカフィラー(アドマテックス社「SC2050MA」、エポキシ系化合物で表面修飾されたもの、平均粒子径0.5μm)
(D)−2:球状シリカ(アドマテックス社製「YA050C−SV2」)
[カップリング剤(E)]
(E)−1:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤、信越シリコーン社製「KBM−403」)
[架橋剤(F)]
(F)−1:トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート三量体付加物(トーヨーケム社製「BHS8515」)
[着色剤(I)]
(I)−1:フタロシアニン系青色顔料(「Pigment Blue 15:3」を3質量倍のスチレン−アクリル樹脂で固着した顔料)と、イソインドリノン系黄色顔料(「Pigment Yellow 139」を3質量倍のスチレン−アクリル樹脂で固着した顔料)と、ジケトピロロピロール系赤色顔料(「Pigment Red264」を3質量倍のスチレン−アクリル樹脂で固着した顔料)とを、前記青色顔料:前記黄色顔料:前記赤色顔料=38:18:44(質量比)の比率で混合して得られた顔料。
<樹脂膜形成用複合シートの製造>
[実施例1]
(熱硬化性樹脂膜形成用組成物(III−1)の製造)
重合体成分(A)−1(130質量部)、エポキシ樹脂(B1)−1(90質量部)、エポキシ樹脂(B1)−2(20質量部)、熱硬化剤(B2)−1(2質量部)、充填材(D)−1(320質量部)、カップリング剤(E)−1(2質量部)、及び着色剤(I)−1(11.8質量部)を混合し、さらにメチルエチルケトンで固形分の濃度が45質量%となるように希釈して、熱硬化性樹脂膜形成用組成物(III−1)を得た。なお、ここに示すメチルエチルケトン以外の成分の配合量は、すべて固形分量である。
(樹脂膜形成用フィルムの形成)
ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理されてなる剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET381031」、厚さ38μm、前記第2剥離フィルムに相当)の前記剥離処理面に、上記で得られた組成物(III−1)を塗工し、100℃で3分乾燥させることにより、厚さが25μmである樹脂膜形成用フィルムを形成した。この樹脂膜形成用フィルムは、前記保護膜形成用フィルムとして、特に好適なものであり、以下、「樹脂膜形成用フィルム−1」と称することがある。
さらに、この樹脂膜形成用フィルムの露出面(剥離フィルムを備えている側とは反対側の表面)に、別途、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理されてなる剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET502150」、厚さ50μm、前記第3剥離フィルムに相当)を貼り合わせて、樹脂膜形成用フィルムの両面に剥離フィルムが積層された積層シート(前記積層シート(1−1)に相当)を作製した。
(粘着剤組成物(I−4)の製造)
アクリル系樹脂(100質量部、固形分)、及び3官能キシリレンジイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル社製「タケネートD110N」)(42.9質量部、固形分)を含有し、さらに溶媒としてメチルエチルケトンを含有する、固形分濃度が30質量%の非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物(I−4)を調製した。前記アクリル系樹脂は、アクリル酸−2−エチルヘキシル(80質量部)、及びアクリル酸−2−ヒドロキシエチル(20質量部)を共重合してなる、重量平均分子量1100000のアクリル系樹脂である。
(支持シートの製造)
ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理されてなる剥離フィルムの、前記剥離処理面に、上記で得られた粘着剤組成物(I−4)を塗工し、120℃で2分加熱乾燥させることにより、厚さ10μmの非エネルギー線硬化性の粘着剤層を形成した。
次いで、この粘着剤層の露出面に、ポリプロピレン(PP)製フィルム(厚さ80μm、三菱樹脂社製)を貼り合わせることで、支持シートを製造した。
(樹脂膜形成用複合シートの製造)
図11〜図12を参照して説明した製造方法により、図4に示す樹脂膜形成用複合シート3を製造した。具体的には、以下のとおりである。
まず、上記で得られた積層シートにおいて、第3剥離フィルムに相当する剥離フィルムが設けられている側から、ブレードを用いて、樹脂膜形成用フィルムとこの剥離フィルムをともに切断した(樹脂膜形成用フィルム切断工程)。このとき、樹脂膜形成用フィルム及び剥離フィルムは、いずれも、これらを上方から見下ろすように平面視したときの形状が円形状となるように切断した。
次いで、剥離フィルムの幅方向における中央寄りの部位を残すように、樹脂膜形成用フィルム及び剥離フィルムを、前記切断部を境にして、前記切断後の積層シートから取り除いた(樹脂膜形成用フィルム縮小工程)。これにより、樹脂膜形成用フィルムを、樹脂膜形成用複合シートにおいて、支持シートよりも小さくなるようにサイズを調節した積層シート(第2中間シート、積層シート(1−2)に相当)を作製した。なお、樹脂膜形成用フィルムの直径は、220mmであった。
次いで、第3剥離フィルムに相当する剥離フィルムに粘着テープを貼付し、上記で得られた、樹脂膜形成用フィルムのサイズを調節(縮小)した積層シートから、この剥離フィルムを取り除き、第2剥離フィルムに相当する剥離フィルム上に樹脂膜形成用フィルムが積層された積層シート(積層シート(3−3)に相当)を得た。
次いで、この積層シートの樹脂膜形成用フィルムと、上記で得られた支持シートの粘着剤層と、を貼り合わせて、支持シート(基材及び粘着剤層)、樹脂膜形成用フィルム及び剥離フィルムがこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなり、樹脂膜形成用フィルムは支持シートよりもサイズが小さい、積層シート(第3中間シート、積層シート(3−4)に相当)を作製した(支持シート貼り合わせ工程)。
次いで、得られた積層シートから、剥離フィルムを取り除き、剥離フィルムを備えていない積層シート(積層シート(3−5)に相当)を得た。さらに、ここで得られた積層シートの樹脂膜形成用フィルムの露出面に、表面に切り込みを一切有しない剥離フィルム(第1剥離フィルムに相当)を貼付して、樹脂膜形成用複合シートを作製した(剥離フィルム貼り換え工程)。剥離フィルム(第1剥離フィルム)としては、上述のリンテック社製「SP−PET381031」(厚さ38μm)を用いた。
得られた樹脂膜形成用複合シートは、さらに樹脂膜形成用フィルムを備えていない、その幅方向の両端部近傍の部位において、支持シートを切断して取り除き、目的とする樹脂膜形成用複合シートとした。
[実施例2]
実施例1と同じ方法で、熱硬化性樹脂膜形成用組成物(III−1)、樹脂膜形成用フィルム、粘着剤組成物(I−4)及び支持シートを製造した。
次いで、図8〜図10を参照して説明した製造方法により、図1に示す樹脂膜形成用複合シート1を製造した。具体的には、以下のとおりである。
まず、実施例1の場合と同じ方法で、樹脂膜形成用フィルムを、樹脂膜形成用複合シートにおいて、支持シートよりも小さくなるようにサイズを調節した積層シート(第2中間シート、積層シート(1−2)に相当)を作製した。
次いで、第4剥離フィルムに相当する剥離フィルムと、接着剤シートと、が積層されてなる接着剤積層シートを、その接着剤シートによって、上記で得られた積層シートの剥離フィルム(第3剥離フィルムに相当)側の露出面に貼付して、層数が増加した積層シート(積層シート(1−3)に相当)を作製した。
接着剤シートとしては、ポリ塩化ビニル製フィルム(厚さ40μm)の両面に、接着剤フィルム(厚さ5μm)が積層されてなる3層構造のものを用いた。
次いで、得られた積層シート(積層シート(1−3))において、樹脂膜形成用フィルム及び剥離フィルム(第3剥離フィルム)の積層構造を取り囲んだ状態で、接着剤積層シートのサイズが小さくなるように、ブレードを用いて、接着剤積層シートを切断した。
次いで、剥離フィルム(第4剥離フィルム)のうち、その幅方向における中央寄りの部位に粘着テープを貼付し、この部位を、前記切断部を境にして、前記切断後の積層シート(積層シート(1−3))から取り除いた。
次いで、この積層シートにおける、接着剤シートの突出部位と、第4剥離フィルムに相当する剥離フィルムの残部と、の両方に、粘着テープを貼付して、層数が増加した積層シート(積層シート(1−4)に相当)を作製した。
次いで、得られた積層シートから、剥離フィルム(第4剥離フィルム)と接着剤シートのそれぞれの前記粘着テープが貼付されている部位と、第3剥離フィルムとを、この粘着テープとともに取り除いた。これにより、接着剤シートからリング状の治具用接着剤層を形成し、新たに積層シート(積層シート(1−5)に相当)とした。治具用接着剤層の内径は245mmであり、外径は270mmであった。
次いで、この積層シートの樹脂膜形成用フィルムと、上記で得られた支持シートの粘着剤層と、を貼り合わせて、支持シート(基材及び粘着剤層)、樹脂膜形成用フィルム及び剥離フィルムがこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなり、樹脂膜形成用フィルムは支持シートよりもサイズが小さく、粘着剤層の第1面のうち、樹脂膜形成用フィルムが積層されていない領域に、さらに治具用接着剤層が積層されてなる積層シート(第3中間シート、積層シート(1−6)に相当)を作製した(支持シート貼り合わせ工程)。
次いで、得られた積層シートから、剥離フィルムを取り除き、剥離フィルムを備えていない積層シート(積層シート(1−7)に相当)を得た。さらに、ここで得られた積層シートの樹脂膜形成用フィルムの露出面に、表面に切り込みを一切有しない剥離フィルム(第1剥離フィルムに相当)を貼付して、樹脂膜形成用複合シートを作製した(剥離フィルム貼り換え工程)。剥離フィルム(第1剥離フィルム)としては、上述のリンテック社製「SP−PET381031」(厚さ38μm)を用いた。
得られた樹脂膜形成用複合シートは、さらに樹脂膜形成用フィルムを備えていない、その幅方向の両端部近傍の部位において、支持シート及び治具用接着剤層を切断して取り除き、目的とする樹脂膜形成用複合シートとした。
[実施例3]
(熱硬化性樹脂膜形成用組成物の製造)
重合体成分(A)−2(100質量部)、エポキシ樹脂(B1)−3(5質量部)、熱硬化剤(B2)−2(2質量部)、充填材(D)−2(28質量部)、及び架橋剤(F)−1(0.7質量部)を混合し、さらにメチルエチルケトンで固形分の濃度が20質量%となるように希釈して、熱硬化性樹脂膜形成用組成物を得た。なお、ここに示すメチルエチルケトン以外の成分の配合量は、すべて固形分量である。
(樹脂膜形成用フィルムの形成)
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理されてなる剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET381031」、厚さ38μm、前記第2剥離フィルムに相当)の前記剥離処理面に、上記で得られた組成物を塗工し、100℃で3分乾燥させることにより、厚さが5μmである樹脂膜形成用フィルムを形成した。この樹脂膜形成用フィルムは、前記フィルム状接着剤として、特に好適なものであり、以下、「樹脂膜形成用フィルム−2」と称することがある。
さらに、この樹脂膜形成用フィルムの露出面(剥離フィルムを備えている側とは反対側の表面)に、別途、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理されてなる剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET502150」、厚さ50μm、前記第3剥離フィルムに相当)を貼り合わせて、樹脂膜形成用フィルムの両面に剥離フィルムが積層された積層シート(前記積層シート(1−1)に相当)を作製した。
(粘着剤組成物(I−4)の製造)
アクリル系樹脂(100質量部、固形分)、及びトリレンジイソシアネート系架橋剤(トーヨーケム社製「BHS8515」(0.5質量部、固形分)を含有し、さらに溶媒としてメチルエチルケトンを含有する、固形分濃度が30質量%の非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物(I−4)を調製した。前記アクリル系樹脂は、アクリル酸−2−エチルヘキシル(80質量部)、及びアクリル酸−2−ヒドロキシエチル(20質量部)を共重合してなる、重量平均分子量1100000のアクリル系樹脂である。
(支持シートの製造)
上記で得られた粘着剤組成物(I−4)を用い、さらに、ポリプロピレン(PP)製フィルム(厚さ80μm、三菱樹脂社製)に代えて、エチレンメタクリル酸共重合体(EMAA)製フィルム(厚さ80μm)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、支持シートを製造した。
(樹脂膜形成用複合シートの製造)
上記で得られた積層シート及び支持シートを用いた点以外は、実施例1と同じ方法で、樹脂膜形成用複合シートを製造した。
[実施例4]
(熱硬化性樹脂膜形成用組成物(III−1)及び樹脂膜形成用フィルムの製造)
実施例3の場合と同じ方法で、熱硬化性樹脂膜形成用組成物(III−1)及び樹脂膜形成用フィルムを製造した。
(粘着剤組成物(I−4)の製造)
前記トリレンジイソシアネート系架橋剤(トーヨーケム社製「BHS8515」)の含有量を、0.5質量部(固形分)に代えて、0.7質量部(固形分)とした点以外は、実施例3の場合と同じ方法で、非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物(I−4)を得た。
(支持シートの製造)
上記で得られた粘着剤組成物(I−4)を用いた点以外は、実施例3と同じ方法で、支持シートを製造した。
(樹脂膜形成用複合シートの製造)
上記で得られた、支持シートを用いた点以外は、実施例2と同じ方法で、樹脂膜形成用複合シートを製造した。
[実施例5]
(熱硬化性樹脂膜形成用組成物(III−1)及び樹脂膜形成用フィルムの製造)
実施例2の場合と同じ方法で、熱硬化性樹脂膜形成用組成物(III−1)及び樹脂膜形成用フィルムを製造した。
(粘着剤組成物(I−4)の製造)
アクリル系樹脂(100質量部、固形分)、及び3官能キシリレンジイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル社製「タケネートD110N」)(25.8質量部、固形分)を含有し、さらに溶媒としてメチルエチルケトンを含有する、固形分濃度が30質量%の非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物(I−4)を調製した。前記アクリル系樹脂は、アクリル酸−2−エチルヘキシル(80質量部)、及びアクリル酸−2−ヒドロキシエチル(20質量部)を共重合してなる、重量平均分子量1100000のアクリル系樹脂である。
(支持シートの製造)
上記で得られた粘着剤組成物(I−4)を用いた点以外は、実施例2と同じ方法で、支持シートを製造した。
(樹脂膜形成用複合シートの製造)
上記で得られた、支持シートを用いた点以外は、実施例2と同じ方法で、樹脂膜形成用複合シートを製造した。
[実施例6]
第1剥離フィルムに相当する剥離フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理されてなる剥離フィルム(厚さ12μm)を用いた点以外は、実施例2と同じ方法で、樹脂膜形成用複合シートを製造した。
[実施例7]
第1剥離フィルムに相当する剥離フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理されてなる剥離フィルム(厚さ188μm)を用いた点以外は、実施例2と同じ方法で、樹脂膜形成用複合シートを製造した。
[比較例1]
剥離フィルム貼り換え工程を行わなかった点以外は、実施例2と同じ方法で、樹脂膜形成用複合シートを製造した。すなわち、本比較例においては、支持シート貼り合わせ工程により、積層シート(1−6)に相当する積層シート(第3中間シート)を作製した後、剥離フィルム貼り換え工程を行わず、この積層シートについて、その幅方向の両端部近傍の部位において、支持シート及び治具用接着剤層を切断して取り除き、目的とする樹脂膜形成用複合シートとした。
[参考例1]
(熱硬化性樹脂膜形成用組成物(III−1)及び樹脂膜形成用フィルムの製造)
実施例3の場合と同じ方法で、熱硬化性樹脂膜形成用組成物(III−1)及び樹脂膜形成用フィルムを製造した。
(粘着剤組成物(I−4)の製造)
前記トリレンジイソシアネート系架橋剤(トーヨーケム社製「BHS8515」)の含有量を、0.5質量部(固形分)に代えて、0.75質量部(固形分)とした点以外は、実施例3の場合と同じ方法で、非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物(I−4)を得た。
(支持シートの製造)
上記で得られた粘着剤組成物(I−4)を用いた点以外は、実施例3と同じ方法で、支持シートを製造した。
(樹脂膜形成用複合シートの製造)
上記で得られた、支持シートを用いた点以外は、実施例2と同じ方法で、樹脂膜形成用複合シートを製造した。
<樹脂膜形成用複合シートの評価>
上記で得られた樹脂膜形成用複合シートについて、支持シートと樹脂膜形成用フィルムとの間の粘着力、半導体ウエハへの貼付適性、ダイシング時の樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップの飛散抑制適性、樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップのピックアップ適性を、それぞれ下記方法により評価した。
[支持シートと樹脂膜形成用フィルムとの間の23℃での粘着力]
上記で得られた樹脂膜形成用複合シートを幅25mmに切り出し、剥離フィルム(第1剥離フィルム)を取り除いて、試験片を作製した。
次いで、23℃の条件下で、樹脂膜形成用フィルムによって、この試験片をミラーウエハへ貼付した。貼付は、2kgのゴムロールを一往復させて荷重をかけることで行った。そして、この温度(23℃)のまま、ミラーウエハ及び樹脂膜形成用フィルムの積層物から支持シートを、樹脂膜形成用フィルム及び支持シートの互いに接触していた面同士が180°の角度を為すように、剥離速度300mm/minで引き剥がす、いわゆる180°剥離を行い、このときの剥離力(mN/25mm)を測定して、これを前記粘着力とした。結果を表1〜2に示す。本項目の評価結果は、表1〜2中、「粘着力(23℃)」の欄に示している。
[支持シートと樹脂膜形成用フィルムとの間の0℃での粘着力]
試験片のミラーウエハへの貼付から、支持シートの180°剥離までの工程を、23℃ではなく0℃の条件下で行った点以外は、上述の23℃での粘着力の場合と同じ方法で、支持シートと樹脂膜形成用フィルムとの間の0℃での粘着力を測定した。結果を表1〜2に示す。本項目の評価結果は、表1〜2中、「粘着力(0℃)」の欄に示している。
[第1積層シートの光の透過率]
上記で得られた樹脂膜形成用複合シートから剥離フィルム(第1剥離フィルム)を取り除いて、支持シート及び樹脂膜形成用フィルムの積層シート(第1積層シート)を作製した。
次いで、分光光度計(SHIMADZU社製「UV−VIS−NIR SPECTROPHOTOMETER UV−3600」)を用いて、前記第1積層シートの光の透過率を測定し、波長1064nm及び波長1342nmの光の透過率(%)を抽出した。光の透過率の測定は、付属の大形試料室MPC−3100を用い、支持シート側から光を照射し、内蔵の積分球を使用せずに行った。結果を表1〜2に示す。
[半導体ウエハへの貼付適性]
#2000研磨を行った8インチシリコンウエハ(厚さ200μm)の研磨面に、テープマウンター(リンテック社製「Adwill RAD2700 F/12」)を用いて、下記貼付条件によって、上記で得られた樹脂膜形成用複合シートを加熱して貼付し、リングフレーム(DISCO社製金属製フレーム)をマウントした。このとき、樹脂膜形成用複合シートを5枚用意し、上記の操作を5回行い、下記評価基準に従って、5回の操作結果から、樹脂膜形成用複合シートの半導体ウエハへの貼付適性を評価した。そして、5回の評価結果がすべてA又はBであった場合を「合格」と判定し、評価結果が1回以上C又はDであった場合を「不合格」と判定した。結果を表1〜2に示す。本項目の評価結果は、表1〜2中、「貼付適性」の欄に示している。
(貼付条件)
貼付速度:20mm/min
テーブル設定温度(樹脂膜形成用複合シートの加熱温度):70℃
ローラ圧力:0.3MPa
(評価基準)
A:樹脂膜形成用複合シートをシリコンウエハに貼付でき、このとき、樹脂膜形成用フィルムが支持シートから完全に剥がれている状態、及び、樹脂膜形成用フィルムが支持シートからわずかに剥がれ、樹脂膜形成用フィルムの端部が支持シートから浮き上がっている状態、のいずれもが観測されなかった。
B:樹脂膜形成用複合シートをシリコンウエハに貼付でき、このとき、樹脂膜形成用フィルムが支持シートから完全に剥がれている状態は観測されなかったものの、樹脂膜形成用フィルムが支持シートからわずかに剥がれ、樹脂膜形成用フィルムの端部が支持シートから浮き上がっている状態が観測された。
C:樹脂膜形成用複合シートをシリコンウエハに貼付でき、このとき、樹脂膜形成用フィルムが支持シートから完全に剥がれている状態は観測されなかったものの、樹脂膜形成用フィルムが支持シートからかなりの程度剥がれ、樹脂膜形成用フィルムの端部だけでなく、中心に近い部位も、支持シートから浮き上がっている状態が観測された。
D:樹脂膜形成用フィルムが支持シートから完全に剥がれてしまい、剥離フィルム(第1剥離フィルム)と一体化したままであった。
[ダイシング時の樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップの飛散抑制適性]
上記の「半導体ウエハへの貼付適性」の評価時に、樹脂膜形成用複合シートをシリコンウエハに貼付できたものについて、引き続き、ダイシング装置(ディスコ社製「DFD6361」)を用いて、ブレード速度50mm/sec、ブレード回転数40000rpmの条件で、23℃の条件下でダイシングを行い、シリコンウエハを8mm×8mmの大きさのシリコンチップに個片化した。そして、裏面に前記樹脂膜形成用フィルムを備えたシリコンチップ(樹脂膜形成用フィルム付きシリコンチップ)の飛散の有無を確認し、飛散した樹脂膜形成用フィルム付きシリコンチップが1個も見られなかった場合を「合格」と判定し、飛散した樹脂膜形成用フィルム付きシリコンチップが1個以上見られた場合を「不合格」と判定した。結果を表1〜2に示す。本項目の評価結果は、表1〜2中、「飛散抑制適性」の欄に示している。
[樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップのピックアップ適性]
上記の「ダイシング時の樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップの飛散抑制適性」の評価時に、飛散しなかった樹脂膜形成用フィルム付きシリコンチップについて、ピックアップ・ダイボンディング装置(キャノンマシナリー社製「BESTEM−D02」)を用いて、23℃の条件下でピックアップを試みた。このとき、常温下で、突き上げ速度を20mm/sec、保持時間を300msecとして、5本のピンによる1段の突き上げ方式によって、ダイシング後の樹脂膜形成用複合シートに対して、その基材(支持シート)側から力を加えて、樹脂膜形成用フィルム付きシリコンチップを突き上げるとともに、コレットを用いて、樹脂膜形成用フィルム付きシリコンチップの支持シートからの引き離し(ピックアップ)を試みた。そして、20個の樹脂膜形成用フィルム付きシリコンチップのピックアップを連続して試み、ピックアップがすべて成功した場合を「合格」と判定し、ピックアップの失敗が1個以上あった場合を「不合格」と判定した。結果を表1〜2に示す。本項目の評価結果は、表1〜2中、「ピックアップ適性」の欄に示している。
Figure 0006914698
Figure 0006914698
上記結果から明らかなように、実施例1〜7の樹脂膜形成用複合シートを用いた場合には、剥離フィルムを取り除いたときに、樹脂膜形成用フィルムの支持シートからの剥がれが抑制されており、剥離フィルムを取り除いた後の樹脂膜形成用複合シートをシリコンウエハに良好に貼付できた。これら実施例の樹脂膜形成用複合シートにおいて、剥離フィルムは、その樹脂膜形成用フィルムが設けられている側の表面に、一切切り込みを有していなかった。
なお、実施例1〜7の樹脂膜形成用複合シートを用いた場合には、ダイシング時の樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップの飛散抑制適性と、樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップのピックアップ適性も良好であり、これら複合シートは、保護膜形成用複合シート又はダイシングダイボンディングシートとして、良好な特性を有していた。
実施例1〜7の樹脂膜形成用複合シートは、0℃での前記粘着力が75〜1000mN/25mmであり、さらに第1積層シートの波長1064nmの光の透過率が63.8〜83.5%であり、波長1342nmの光の透過率が73.1〜86.0%であって、上述の半導体ウエハの改質層形成を経由する分割と、樹脂膜形成用フィルムのエキスパンドによる切断と、を行うときに用いるのに好適なものであった。
また、実施例1〜7の樹脂膜形成用複合シートは、23℃での前記粘着力が110〜1500mN/25mmであり、常温でも粘着力が良好であった。
これに対して、比較例1の樹脂膜形成用複合シートを用いた場合には、剥離フィルムを取り除いたときに、樹脂膜形成用フィルムの支持シートからの剥がれを抑制できず、樹脂膜形成用フィルムが剥離フィルムと一体化したままのものがあった。このように、樹脂膜形成用フィルムが支持シートから完全に剥がれてしまったものは、シリコンウエハに貼付できず、樹脂膜形成用フィルムが支持シートから完全には剥がれていないものも、支持シートから浮き上がっている領域が広く、剥離フィルムを取り除いた後の樹脂膜形成用複合シートをシリコンウエハに良好に貼付できなかった。本比較例の樹脂膜形成用複合シートの製造時には、剥離フィルム貼り換え工程を行っていないため、この複合シートにおいて、剥離フィルムは、その樹脂膜形成用フィルムが設けられている側の表面、特に樹脂膜形成用フィルムの周縁部が配置されている部位に、明りょうに切り込みを有していた。本比較例の樹脂膜形成用複合シートは、ダイシング時の樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップの飛散抑制適性と、樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップのピックアップ適性とを、いずれも評価できなかった。
一方、参考例1の樹脂膜形成用複合シートを用いた場合には、実施例1〜7の樹脂膜形成用複合シートを用いた場合と同様に、剥離フィルムを取り除いたときに、樹脂膜形成用フィルムの支持シートからの剥がれが抑制されており、剥離フィルムを取り除いた後の樹脂膜形成用複合シートをシリコンウエハに良好に貼付できた。本参考例の樹脂膜形成用複合シートにおいて、剥離フィルムは、その樹脂膜形成用フィルムが設けられている側の表面に、一切切り込みを有していなかった。
一方、参考例1の樹脂膜形成用複合シートを用いた場合には、ダイシング時の樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップの飛散抑制適性が劣っており、その結果、樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップのピックアップ適性を評価できなかった。これは、23℃での前記粘着力が85mN/25mmであり、常温での粘着力が低いためであると推測された。
さらに、参考例1の樹脂膜形成用複合シートは、第1積層シートの波長1064nm及び1342nmの光の透過率が良好であったが、0℃での前記粘着力が50mN/25mmであり、冷却下での粘着力も低かった。すなわち、本参考例の樹脂膜形成用複合シートは、樹脂膜形成用フィルムのエキスパンドによる切断を行うときに用いるものとしては、好適ではなかった。
本発明は、半導体装置の製造に利用可能である。
1,2,3,4,5,6・・・樹脂膜形成用複合シート、10・・・支持シート、11・・・基材、12・・・粘着剤層、13,23,33・・・樹脂膜形成用フィルム、14・・・剥離フィルム(第1剥離フィルム)、14b・・・剥離フィルムの第2面

Claims (7)

  1. 半導体ウエハへの貼付用である樹脂膜形成用複合シートであって、
    前記樹脂膜形成用複合シートは、支持シートを備え、前記支持シート上に、樹脂膜形成用フィルム及び剥離フィルムがこの順に積層されてなり、
    前記樹脂膜形成用フィルムとして、前記支持シートよりもサイズが小さいものを備え、
    前記剥離フィルムは、前記樹脂膜形成用フィルムが設けられている側の表面のうち、前記樹脂膜形成用フィルムの周縁部が配置されている部位に、切り込みを有しない、樹脂膜形成用複合シート。
  2. 前記樹脂膜形成用フィルムのうち、前記支持シートの幅方向における端部寄りの部位の、前記剥離フィルム側の表面か、又は、前記支持シートの、前記樹脂膜形成用フィルムを備えている側の表面のうち、前記樹脂膜形成用フィルムが積層されていない領域に、前記樹脂膜形成用フィルムの周縁部に沿って、治具用接着剤層を備えている、請求項1に記載の樹脂膜形成用複合シート。
  3. 前記支持シートが、基材を備え、前記基材上に粘着剤層が積層されたものであり、
    前記粘着剤層が、粘着剤としてアクリル系樹脂を含有する、請求項1に記載の樹脂膜形成用複合シート。
  4. 前記樹脂膜形成用複合シートが、半導体ウエハの分割と、前記樹脂膜形成用フィルムの切断と、のために用いるものであり、
    前記剥離フィルムを取り除いた前記樹脂膜形成用複合シートを、前記樹脂膜形成用フィルムによって、半導体ウエハの回路面とは反対側の裏面へ貼付した後、半導体ウエハの内部に設定された焦点に集束するように、レーザー光を照射して、半導体ウエハの内部に改質層を形成し、前記改質層を形成した半導体ウエハに対して力を加えることにより、前記改質層の部位において、前記半導体ウエハの分割を行い、
    前記樹脂膜形成用フィルムを、その表面方向にエキスパンドすることによって、前記樹脂膜形成用フィルムの切断を行う、請求項1に記載の樹脂膜形成用複合シート。
  5. 前記支持シートの前記樹脂膜形成用フィルムと接触している層が非硬化性である場合には、前記支持シートと、前記樹脂膜形成用フィルムと、の間の粘着力が、80〜2000mN/25mmであり、
    前記支持シートの前記樹脂膜形成用フィルムと接触している層が硬化性である場合には、前記硬化性の層を硬化後の前記支持シートと、前記樹脂膜形成用フィルムと、の間の粘着力が、80〜2000mN/25mmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂膜形成用複合シート。
  6. 前記支持シートが、基材を備え、前記基材上に粘着剤層が積層されたものであり、
    前記粘着剤層が、エネルギー線硬化性又は非エネルギー線硬化性である、請求項1〜のいずれか一項に記載の樹脂膜形成用複合シート。
  7. 前記樹脂膜形成用フィルムが着色剤を含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の樹脂膜形成用複合シート。
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