JP7039947B2 - ポリイミドフィルム、ポリイミド前駆体、ポリイミドフィルムの製造方法、及び表示装置用部材 - Google Patents
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Description
このような薄い板ガラスの代替として、ポリイミド樹脂が注目されている。
また、ディスプレイ装置の基板は、上記した電子素子や機能層を形成する際の加熱プロセスにおいて高温に曝されるため、高い耐熱性や寸法安定性が求められる。例えばTFT素子を酸化物半導体により形成する際には、アニール処理する際に、最低でも300℃以上の高温で加熱処理する必要があるため、このような高温での加熱処理に耐え得るような、高い耐熱性、寸法安定性を有することが求められる。また、酸化物半導体は、形成温度を高めるほどその結晶性が高まり、TFTとして用いたときの性能が向上する。このため、例えばディスプレイ装置の基板としては、望ましくは、300℃より高温での加熱処理に耐え得るような、より高い耐熱性を有することが求められる。
また、特許文献2には、透明性が高く、厚さ方向の位相差が小さく、耐熱性に優れたポリイミド膜として、CpODAと、必要に応じてs-BPDA、ODPA及びCBDAからなる群から選択される少なくとも一つとを含むテトラカルボン酸成分と、CHDAと、必要に応じてTFMB又はODAとを含むジアミン成分とを反応させて得られた、ポリイミド膜が開示されている。
また、特許文献3には、高透明性、高耐熱性、低線膨張係数の透明導電性フィルムとして、PMDAとTFMBとを有する構造単位aと、6FDAとTFMBとを有する構造単位bとを、所定の存在比率で含有するポリイミドフィルムを用いた透明導電性フィルムが開示されている。
また、特許文献2に記載のポリイミド膜は、透過率及びガラス転移温度に関しては、ある程度高い値が得られているものの、Rth(厚さ方向の位相差)が大きく、ディスプレイ用基板として用いるのに、必ずしも適したものではなかった。
また、特許文献3に記載のポリイミドフィルムは、ガラス転移温度はある程度向上しているものの、透過率が低く、ディスプレイ用基板として、十分な光学特性を得られるものではなかった。
また、本発明は、前記ポリイミドフィルムの製造に用いられるポリイミド前駆体、前記ポリイミドフィルムの製造方法、及び、前記ポリイミドフィルムを有する表示装置用部材を提供することを目的とする。
(但し、一般式(1)中、R1~R6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~12の直鎖又は分岐のアルキル基であり、一般式(1)中、x1、y1は、それぞれ0≦x1≦3、0≦y1≦3、x1+y1=3を満たす整数であり、x2、y2は、それぞれ0≦x2≦3、0≦y2≦3、x2+y2=3を満たす整数である。但し、x1+x2>0である。)
(但し、一般式(4)中、R1~R6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~12の直鎖又は分岐のアルキル基であり、一般式(4)中、x1、y1は、それぞれ0≦x1≦3、0≦y1≦3、x1+y1=3を満たす整数であり、x2、y2は、それぞれ0≦x2≦3、0≦y2≦3、x2+y2=3を満たす整数である。但し、x1+x2>0である。)
(但し、一般式(5)中、R1~R6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~12の直鎖又は分岐のアルキル基であり、一般式(5)中、x1、y1は、それぞれ0≦x1≦3、0≦y1≦3、x1+y1=3を満たす整数であり、x2、y2は、それぞれ0≦x2≦3、0≦y2≦3、x2+y2=3を満たす整数である。但し、x1+x2>0である。)
また、本発明は、前記ポリイミドフィルムの製造に用いられるポリイミド前駆体、前記ポリイミドフィルムの製造方法、及び、前記ポリイミドフィルムを有する表示装置用部材を提供することができる。
本発明のポリイミドフィルムは、必須のポリイミド構造単位として、下記一般式(1)で表されるポリイミド構造単位Aと、下記一般式(2)で表されるポリイミド構造単位Bとを含むポリイミドからなり、前記ポリイミドは、前記ポリイミド構造単位Aと前記ポリイミド構造単位Bとの存在比率が、モル比率でA:B=85:15~60:40の範囲である、ポリイミドフィルムである。
(但し、一般式(1)中、R1~R6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~12の直鎖又は分岐のアルキル基であり、一般式(1)中、x1、y1は、それぞれ0≦x1≦3、0≦y1≦3、x1+y1=3を満たす整数であり、x2、y2は、それぞれ0≦x2≦3、0≦y2≦3、x2+y2=3を満たす整数である。但し、x1+x2>0である。)
なお、後述するポリイミドの製造方法においては、イミド化を熱イミド化により行う方法について説明するが、本発明のポリイミドは、熱イミド化により得られたものであってもよく、化学イミド化により得られたものであってもよい。
従って、全ポリイミド構造単位の総量のうち、前記ポリイミド構造単位Aが占める割合が増加するに従い、ポリイミドフィルムの全光線透過率が高まり、黄色度(YI値)、及びヘイズ値が低下する傾向にある。
従って、全ポリイミド構造単位の総量のうち、前記ポリイミド構造単位Bが占める割合が増加するに従い、ポリイミドフィルムのガラス転移温度(Tg)が高まり、線膨張係数が低下する傾向にある。
光学特性及び耐熱特性がより優れたポリイミドフィルムを得る点から、前記ポリイミド構造単位Aと前記ポリイミド構造単位Bとの存在比率は、モル比率でA:B=80:20~60:40の範囲であることが好ましく、A:B=75:25~70:30の範囲であることが好ましい。
例えば、ポリイミド前駆体溶液をガラス板に塗布して100℃で5分乾燥後、固形分10mgをジメチルスルホキシド-d6溶媒7.5mlに溶解した調整液を準備し、NMR測定を行い、芳香族環に結合している水素原子のピーク強度を、構造単位A、構造単位Bのそれぞれの分子構造に対応させて比較することで、構造単位A及び構造単位Bの量を算出することができる。
本発明のポリイミドフィルムを構成するポリイミドの必須の構造単位であるポリイミド構造単位Aは、上記一般式(1)により表される構造単位である。
また、x2、y2も同様に、0≦x2≦3、0≦y2≦3、x2+y2=3を満たし、かつx1+x2>0を満たす範囲で任意の整数とすることができるが、ポリイミドフィルムの全光線透過率の向上及び黄色度及びヘイズ値を低減させる点からは、x2=3、y2=0であることが好ましい。
ポリイミドフィルムにおいて、これらの光学特性を向上させる観点からは、x1、y1、x2、y2は、x1=3、y1=0であり、かつx2=3、y2=0であることが好ましい。
ポリイミド構造単位Aに含まれる、ジアミン由来の構造単位は、具体的には、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン残基(以下、4,4’-DDS残基という)、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン残基(以下、3,4’-DDS残基という)、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン残基(以下、3,3’-DDS残基という)が挙げられる。以下、4,4’-DDS残基、3,4’-DDS残基、3,3’-DDS残基をまとめて、DDS残基ということがある。
厚さ方向の位相差をより低減する点から、ポリイミド構造単位Aに含まれる、ジアミン由来の構造単位は、4,4’-DDS残基であることが好ましい。
全光線透過率が高く、かつ黄色度(YI値)及びヘイズ値が低いポリイミドフィルムを得る点から、ポリイミド構造単位Aと後述するポリイミド構造単位Bとの合計量に対する、ポリイミド構造単位Aの存在比率=A/(A+B)は、70/100以上であることが好ましい。
ポリイミド構造単位Bに含まれる、ジアミン由来の構造単位は、具体的には、4,4’-DDS残基、3,4’-DDS残基、3,3’-DDS残基が挙げられる。厚さ方向の位相差をより低減する点から、ポリイミド構造単位Bに含まれる、ジアミン由来の構造単位は、4,4’-DDS残基であることが好ましい。
よりガラス転移温度(Tg)が高く、かつ線膨張係数が低いポリイミドフィルムを得る点から、ポリイミド構造単位Aと後述するポリイミド構造単位Bとの合計量に対する、ポリイミド構造単位Bの存在比率=B/(A+B)は、25/100以上であることが好ましい。
より望ましくは、前記ポリイミド中における、前記ポリイミド構造単位Aと前記ポリイミド構造単位Bの合計量が、全ポリイミド構造単位の90モル%以上であることが好ましい。
このような酸二無水物成分としては、例えば、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3-ビス〔(3,4-ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、1,4-ビス〔(3,4-ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、2,2-ビス{4-〔4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、2,2-ビス{4-〔3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、ビス{4-〔4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4-〔3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、4,4’-ビス〔4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、4,4’-ビス〔3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、ビス{4-〔4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4-〔3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4-〔4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4-〔3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4-〔4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4-〔3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキサン-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ぺリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
このようなジアミン成分としては、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、o-フェニレンジアミン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ジ(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ジ(4-アミノフェニル)プロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ジ(3-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ジ(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,1-ジ(3-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ジ(4-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1-(3-アミノフェニル)-1-(4-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6-ビス(3-アミノフェノキシ)ピリジン、N,N’-ビス(4-アミノフェニル)テレフタルアミド、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジトリフルオロメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、[0041]ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[3-(3-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4-フェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4-ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’-ビス(3-アミノフェノキシ)-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン、6,6’-ビス(4-アミノフェノキシ)-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(4-アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω-ビス(3-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス(3-アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2-アミノエチル)エーテル、ビス(3-アミノプロピル)エーテル、ビス(2-アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2-(2-アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2-(3-アミノプロトキシ)エチル]エーテル、シクロヘキサンジアミン等が挙げられる。
本発明のポリイミドフィルムは、前記ポリイミドの他に、必要に応じて更に添加剤を含有していてもよい。前記添加剤としては、例えば、無機粒子、巻き取りを円滑にするためのシリカフィラーや、製膜性や脱泡性を向上させる界面活性剤等が挙げられる。
(全光線透過率)
本発明のポリイミドフィルムは、厚み10μmにおいて、JIS K7361-1に準拠して測定する全光線透過率が、90%以上である。全光線透過率が90%以上であることにより、透明性が良好となり、ガラス代替材料として好適に用いることができる。本発明のポリイミドフィルムの前記JIS K7361-1に準拠して測定する全光線透過率は、更に93%以上であることが好ましく、より更に95%以上であることが好ましく、特に98%以上であることが好ましい。
具体的には、ランベルトベールの法則によれば、透過率Tは、
Log10(1/T)=kcb
(k=物質固有の定数、c=濃度、b=光路長)で表される。
フィルムの透過率の場合、膜厚が変化しても密度が一定であると仮定するとcも定数となるので、上記式は、定数fを用いて
Log10(1/T)=fb
(f=kc)と表すことができる。ここで、ある膜厚の時の透過率がわかれば、各物質の固有の定数fを求めることができる。従って、T=1/10f・b の式を用いて、fに固有の定数、bに目標の膜厚を代入すれば、所望の膜厚の時の透過率を求めることができる。
本発明のポリイミドフィルムは、JIS K7373-2006に準拠して算出される黄色度(YI値)が、3.5以下であることが好ましく、3.3以下であることが更に好ましく、3.1以下であることがより更に好ましい。黄色度が3.5以下であると、黄色味の着色が抑制され、光透過性が向上し、ガラス代替材料として好適に用いることができる。
黄色度(YI値)は、前記JIS K7373-2006に準拠して、紫外可視近赤外分光光度計(例えば、日本分光(株)製 V-7100)を用い、JIS Z8722に規定する分光測色方法により測定される透過率をもとに算出することができる。
また、本発明のポリイミドフィルムのヘイズ値は、0.5未満であることが好ましく、0.1以下であることが更に好ましい。ヘイズ値が0.5未満であることにより、光透過性が良好となる。当該ヘイズ値は、ポリイミドフィルムの厚みが10μm以上100μm以下において達成できることが好ましい。
ヘイズ値は、JIS K-7105に準拠した方法で測定することができ、例えば、(株)村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM150により測定することができる。
本発明のポリイミドフィルムは、370℃以上の温度領域にガラス転移温度を有することが好ましい。ガラス転移温度を有する温度領域は、耐熱性に優れる点から、372℃以上であることがより好ましく、ベーク温度を低減することができる点から、389℃以下であることがより好ましい。また、本発明のポリイミドフィルムは、380℃以上389℃以下の温度領域に1つのガラス転移温度を有することが好ましい。
ガラス転移温度は、動的粘弾性測定によって、tanδ(tanδ=損失弾性率(E’’)/貯蔵弾性率(E’))のピーク温度から求められるものである。動的粘弾性測定としては、例えば、動的粘弾性測定装置 RSA III(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株))によって、測定範囲を-150℃~400℃として、周波数1Hz、昇温速度5℃/minにより行うことができる。また、サンプル幅を5mm、チャック間距離を20mmとして測定することができる。
本発明のポリイミドフィルムは、線熱膨張係数が50ppm/℃以下であることが好ましく、40ppm/℃以下であることがより好ましい。
線熱膨張係数が50ppm/℃以下であると、寸法安定性に優れるため、高温条件下でも、フィルム形状が変形し難い。従って、ポリイミドフィルム上に例えば酸化物半導体等の機能層を形成するときに、高温で熱処理することができる。
線熱膨張係数は、熱機械分析装置(例えばTMA-60(島津製作所株式会社製)によって、昇温速度を10℃/分、評価サンプルの断面積当たりの荷重が同じになるように引張り荷重を9g/0.15mm2として、100℃~150℃の範囲の線熱膨張係数を算出して得られる値である。例えば、サンプル幅を5mm、チャック間距離を15mmとして測定することができる。
本発明のポリイミドフィルムは、10μm当たりの厚さ方向の位相差Rthが50nm未満であり、好ましくは、40nm以下であり、更に好ましくは35nm以下である。10μm当たりの厚さ方向の位相差が50nm未満であると、ポリイミドフィルムを介して観察される像が歪み難い。したがって、本発明のポリイミドフィルムは、光学用のフィルムに好適である。
本発明のポリイミドフィルムの厚さは、用途に応じて適宜設定することができるが、強度の点から、1μm以上であることが好ましく、更に5μm以上であることが好ましく、より更に10μm以上であることが好ましい。一方、例えば後述する表示装置用部材に適用したときの屈曲耐性の点から、ポリイミドフィルムの厚さは、200μm以下であることが好ましく、更に150μm以下であることが好ましく、より更に100μm以下であることが好ましい。
本発明のポリイミドフィルムの用途は特に限定されるものではなく、従来薄い板ガラス等のガラス製品が用いられていた基材や表面材等の部材として用いることができ、特に、薄くて曲げられるフレキシブルタイプのフレキシブルデバイス用の基材や、フレキシブルデバイス用の部材に好適に用いることができる。
本発明のポリイミドフィルムは、光透過性が高く、耐熱性及び寸法安定性に優れ、厚さ方向の位相差が小さいものであるため、中でも、フレキシブルディスプレイ用の基材や表面材等の部材として好適に用いることができ、折り畳み可能なディスプレイ用の表面材としても好適に用いることができる。
また、本発明のポリイミドフィルムは、具体的には例えば、薄くて曲げられるフレキシブルタイプの有機ELディスプレイや、スマートフォンや腕時計型端末などの携帯端末、自動車内部の表示装置、腕時計などに使用するフレキシブルパネル等に好適に用いることができる。また、本発明のポリイミドフィルムは、液晶表示装置、有機EL表示装置等の画像表示装置用部材や、タッチパネル用部材、フレキシブルプリント基板、表面保護膜や基板材料等の太陽電池パネル用部材、光導波路用部材、その他半導体関連部材等に適用することもできる。
本発明のポリイミド前駆体は、必須のポリイミド前駆体の構造単位として、下記一般式(4)又は下記一般式(5)で表されるポリイミド前駆体の構造単位A´と、下記一般式(6)又は下記一般式(7)で表されるポリイミド前駆体の構造単位B´とを含むポリイミド前駆体からなり、前記ポリイミド前駆体の構造単位A´と前記ポリイミド前駆体の構造単位B´との存在比率が、モル比率でA´:B´=85:15~60:40の範囲である。
(但し、一般式(4)中、R1~R6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~12の直鎖又は分岐のアルキル基であり、一般式(4)中、x1、y1は、それぞれ0≦x1≦3、0≦y1≦3、x1+y1=3を満たす整数であり、x2、y2は、それぞれ0≦x2≦3、0≦y2≦3、x2+y2=3を満たす整数である。但し、x1+x2>0である。)
(但し、一般式(5)中、R1~R6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~12の直鎖又は分岐のアルキル基であり、一般式(5)中、x1、y1は、それぞれ0≦x1≦3、0≦y1≦3、x1+y1=3を満たす整数であり、x2、y2は、それぞれ0≦x2≦3、0≦y2≦3、x2+y2=3を満たす整数である。但し、x1+x2>0である。)
本発明のポリイミドフィルムの製造方法としては、例えば、上記II.で説明した本発明のポリイミド前駆体と、有機溶剤とを含むポリイミド前駆体樹脂組成物を調製する工程(以下、ポリイミド前駆体樹脂組成物調製工程という)と、
前記ポリイミド前駆体樹脂組成物を支持体に塗布して、ポリイミド前駆体樹脂塗膜を形成する工程(以下、ポリイミド前駆体樹脂塗膜形成工程という)と、
前記ポリイミド前駆体樹脂塗膜を加熱することにより、前記ポリイミド前駆体をイミド化する工程(以下、イミド化工程という)と、を含むポリイミドフィルムの製造方法が挙げられる。
以下、各工程について詳細に説明する。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法において調製するポリイミド前駆体樹脂組成物は、上記II.で説明した本発明のポリイミド前駆体と、有機溶剤とを含有するポリイミド前駆体溶液に、必要に応じて添加剤等を含有していてもよい。
前記ポリイミド前駆体は、前記一般式(4)~(5)の、テトラカルボン酸二無水物由来の構造単位であるテトラカルボン酸残基となるテトラカルボン酸成分(例えば4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物)と、前記一般式(4)~(5)の、ジアミン由来の構造単位であるジアミン残基となるジアミン成分(例えば4,4´-ジアミノジフェニルスルホン)との反応によって得られるポリイミド前駆体の構造単位A´を、必須のポリイミド前駆体の構造単位として含むものである。
また、前記ポリイミド前駆体は、前記一般式(6)~(7)の、テトラカルボン酸二無水物由来の構造単位であるテトラカルボン酸残基となるテトラカルボン酸成分(具体的には、ピロメリット酸二無水物)と、前記一般式(6)~(7)の、ジアミン由来の構造単位であるジアミン残基となるジアミン成分(例えば4,4´-ジアミノジフェニルスルホン)との反応によって得られるポリイミド前駆体の構造単位B´を、必須のポリイミド前駆体の構造単位として含むものである。
ポリイミド前駆体の数平均分子量は、NMR(例えば、BRUKER製、AVANCEIII)により求めることができる。例えば、ポリイミド前駆体溶液をガラス板に塗布して100℃で5分乾燥後、固形分10mgをジメチルスルホキシド-d6溶媒7.5mlに溶解し、NMR測定を行い、芳香族環に結合している水素原子のピーク強度比から数平均分子量を算出することができる。
ポリイミド前駆体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定できる。具体的には、ポリイミド前駆体を0.5重量%の濃度のN-メチルピロリドン(NMP)溶液とし、展開溶媒は、含水量500ppm以下の10mmol%LiBr-NMP溶液を用い、東ソー製GPC装置(HLC-8120、使用カラム:SHODEX製GPC LF-804)を用い、サンプル打ち込み量50μL、溶媒流量0.5mL/分、40℃の条件で測定を行う。重量平均分子量は、サンプルと同濃度のポリスチレン標準サンプルを基準に求める。
まず、ポリイミド前駆体の構造単位A´のブロック共重合体と、ポリイミド前駆体の構造単位B´のブロック共重合体とを、溶剤中で予め合成した上で、これらの共重合体を、ポリイミド前駆体の構造単位A´とポリイミド前駆体の構造単位B´との存在比率が、モル比率でA´:B´=85:15~60:40の範囲となるように、溶剤中で混合し、さらにこの溶剤中に、必須のテトラカルボン酸成分以外のテトラカルボン酸成分又は必須のジアミン成分以外のジアミン成分を、適宜混合することにより、ポリイミド前駆体の構造単位A´とポリイミド前駆体の構造単位B´との存在比率が、上記した範囲に制御されたポリイミド前駆体を調製することができる。
また、前記ポリイミド前駆体溶液(ポリアミド酸溶液)を合成する溶剤中における、前記一般式(1)のジアミン由来の構造単位に対応するジアミンのモル数をXa、前記一般式(2)のジアミン由来の構造単位に対応するジアミンのモル数をXbとしたとき、(Ya+Yb)/(Xa+Xb)を0.9以上1.1以下とすることが好ましく、0.95以上1.05以下とすることがより好ましく、0.97以上1.03以下とすることがさらに好ましく、0.99以上1.01以下とすることが特に好ましい。このような範囲とすることにより得られるポリアミド酸の分子量(重合度)を適度に調整することができる。
重合反応の手順は、公知の方法を適宜選択して用いることができ、特に限定されない。
また、合成反応により得られたポリイミド前駆体溶液をそのまま用い、そこに必要に応じて他の成分を混合しても良いし、ポリイミド前駆体溶液の溶剤を乾燥させ、別の溶剤に溶解して用いても良い。
前記ポリイミド前駆体樹脂組成物としては、前記ポリイミド前駆体溶液を用いてもよいし、必要に応じて添加剤を含有していてもよい。前記添加剤としては、例えば、無機粒子、巻き取りを円滑にするためのシリカフィラーや、製膜性や脱泡性を向上させる界面活性剤等が挙げられ、前述のポリイミドフィルムにおいて説明したものと同様のものを用いることができる。
また、前記ポリイミド前駆体樹脂組成物中の前記ポリイミド前駆体の濃度は、均一でムラの少ない塗膜によりポリイミドフィルムを形成する点から、5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
前記ポリイミド前駆体樹脂組成物中の有機溶剤は、均一な塗膜及びポリイミドフィルムを形成する点から、樹脂組成物中に40質量%以上であることが好ましく、更に50質量%以上であることが好ましく、また99質量%以下であることが好ましい。
なお、ポリイミド前駆体樹脂組成物の含有水分量は、カールフィッシャー水分計(例えば、三菱化学株式会社製、微量水分測定装置CA-200型)を用いて求めることができる。
前述のように含有水分量1000ppm以下とするには、使用する有機溶剤を脱水したり、水分量が管理されたものを用いた上で、湿度5%以下の環境下で取り扱うことが好ましい。
ポリイミド前駆体樹脂組成物の粘度は、粘度計(例えば、TVE-22HT、東機産業株式会社)を用いて、25℃で、サンプル量0.8mlとして測定することができる。
前記ポリイミド前駆体樹脂組成物を支持体に塗布して、ポリイミド前駆体樹脂塗膜を形成する工程において、用いられる支持体としては、表面が平滑で耐熱性及び耐溶剤性のある材料であれば特に制限はない。例えばガラス板などの無機材料、表面を鏡面処理した金属板等が挙げられる。また支持体の形状は塗布方式によって選択され、例えば板状であってもよく、またドラム状やベルト状、ロールに巻き取り可能なシート状等であってもよい。
塗布は、枚葉式の塗布装置により行ってもよく、ロールtoロール方式の塗布装置により行ってもよい。
光学特性の高度な管理が必要な場合、溶剤の乾燥時の雰囲気は、不活性ガス雰囲気下であることが好ましい。不活性ガス雰囲気下としては、窒素雰囲気下であることが好ましく、酸素濃度が500ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましく、50ppm以下であることが最も好ましい。大気下で熱処理を行うと、フィルムが酸化され、着色したり、性能が低下する可能性がある。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法においては、加熱をすることにより、前記ポリイミド前駆体をイミド化する。
当該製造方法において、延伸工程を有する場合、イミド化工程は、延伸工程前の前記ポリイミド前駆体樹脂塗膜中のポリイミド前駆体に対して行っても良いし、延伸工程後の前記ポリイミド前駆体樹脂塗膜中のポリイミド前駆体に対して行っても良いし、延伸工程前の前記ポリイミド前駆体樹脂塗膜中のポリイミド前駆体及び延伸工程後の膜中に存在するポリイミド前駆体の両方に対して行っても良い。
通常、昇温開始温度を30℃以上とすることが好ましく、100℃以上とすることがより好ましい。一方、イミド化反応率を高めつつ、加熱による色味の劣化を防ぐ点から、昇温終了温度は350~450℃とすることが好ましく、360~420℃とすることがより好ましい。
ポリイミドフィルムの製造効率の点から、5℃/分以上とすることが好ましく、6℃/分以上とすることが更に好ましい。一方、昇温速度の上限は、好ましくは10℃/分以下、さらに好ましくは8℃/分以下である。上記昇温速度とすることが、フィルムの外観不良や強度低下の抑制、イミド化反応に伴う白化をコントロールでき、光透過性が向上する点から好ましい。
なお、イミド化率の測定は、赤外測定(IR)によるスペクトルの分析等により行うことができる。
イミド化を90%以上、さらには100%まで反応を進行させるには、昇温終了温度で一定時間保持することが好ましく、当該保持時間は、通常1分~180分、更に、5分~150分とすることが好ましい。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法は、前記ポリイミド前駆体樹脂塗膜、及び、前記ポリイミド前駆体樹脂塗膜をイミド化したイミド化後塗膜の少なくとも一方を延伸する延伸工程を有していてもよい。当該延伸工程を有する場合は、中でも、イミド化後塗膜を延伸する工程を含むことが、ポリイミドフィルムの表面硬度が向上する点から好ましい。
延伸時の加熱温度は、ポリイミド乃至ポリイミド前駆体のガラス転移温度±50℃の範囲内であることが好ましく、ガラス転移温度±40℃の範囲内であることが好ましい。延伸温度が低すぎるとフィルムが変形せず充分に配向を誘起できない恐れがある。一方で、延伸温度が高すぎると延伸によって得られた配向が温度で緩和し、充分な配向が得られない恐れがある。
延伸工程は、イミド化工程と同時に行っても良い。イミド化率80%以上、更に90%以上、より更に95%以上、特に実質的に100%イミド化を行った後のイミド化後塗膜を延伸することが、ポリイミドフィルムの表面硬度を向上する点から好ましい。
本発明の表示装置用部材は、前述した本発明のポリイミドフィルムと、機能層とを有するものである。
機能層としては、例えば、ガスバリア性能を付与するためのバリア層、カラーフィルタにおける遮光層、着色層、及び、柱状スペーサの少なくともいずれかを備えたカラーフィルタ層、タッチパネルにおけるセンサ電極及び必要に応じて形成される絶縁層を備えたタッチパネル層、加飾効果を付与して外観を向上させる加飾層、光学機能を付与するための光学機能層、薄膜トランジスタ(以下、TFTという)層等を挙げることができる。
図1は、ポリイミドフィルム上に機能層としてバリア層を備える表示装置用部材の一例を示す概略部分断面図である。
図1において、表示装置用部材11は、ポリイミド層12と、バリア層13と、光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の少なくとも1つを含有する硬化性樹脂組成物の硬化物層14とがこの順に隣接して位置している積層体である。
次に、表示装置用部材11を構成するポリイミド層12、バリア層13、硬化物層14について説明する。
ポリイミド層12としては、前述した本発明のポリイミドフィルムを用いる。
バリア層13は、ガスバリア性能を付与する層であり、無機化合物により構成される層である。
このバリア層13は、例えば、炭化ケイ素(SiC)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化炭化ケイ素(SiOC)、炭化窒化ケイ素(SiCN)、窒化ケイ素(SiN)、窒化酸化ケイ素(SiON)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、及び酸化錫(SnO)からなる群から選択される1種以上を含有する層とすることができる。
一方、表示装置用部材11の屈曲耐性、光透過性の点、及び、バリア層13の形成に要する時間等から、バリア層13の厚さは、5000nm以下であることが好ましく、更に3000nm以下であることが好ましく、より更に2000nm以下であることが好ましい。
バリア層13上には、硬化物層14が形成されていることが好ましい。硬化物層14は、所望の機能層を形成するための平坦性を付与するとともに、形成した機能層に対する密着性を確保する作用をなす。このような硬化物層14は、光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の少なくとも1つを含有する硬化性樹脂組成物の硬化物で構成される。
硬化物層14に使用する光硬化性樹脂としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N-ビニルピロリドン等の単官能モノマー、及び、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリエチレン(ポリプロピレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレンジエポキシ(メタ)アクリレート等の多官能モノマーなどの光硬化性樹脂が挙げられる。
中でも反応性の高さの点から、(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系光硬化性樹脂を含有することが好ましい。
アクリル系光硬化性樹脂としては、中でも、1分子中に2~6個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物や、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートと称される分子内に数個の(メタ)アクリロイル基を有する分子量が数百から数千のオリゴマーを好ましく使用できる。
なお、本発明において(メタ)アクリロイルとはアクリロイル及びメタクリロイルの各々をあらわし、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々をあらわす。
より具体的には、ポリイミド層12とバリア層13と硬化物層14との積層体は、JIS K7361-1に準拠して測定する全光線透過率が、80%以上であることが好ましく、更に85%以上であることが好ましい。
本発明の表示装置用部材11では、ポリイミド層12として、光透過性が高く、黄色度(YI値)及びヘイズ値の低いポリイミドフィルムを用いているため、バリア層13及び硬化物層14として、光透過性を有するものを用いることで、表示装置用部材11全体として、高い光透過性を得ることができる。
そして、本発明の表示装置用部材11は、例えばフレキシブルディスプレイに使用可能である。
表示装置用部材11の製造方法の一例としては、ガラス基板上に、ポリイミド層12、バリア層13、光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の少なくとも1つを含有する硬化性樹脂組成物の硬化物層14を、この順に積層し、その後、ガラス基板とポリイミド層12を剥離する製造方法を挙げることができる。
尚、ガラス基板とポリイミド層12との剥離は、硬化物層14上に所望の層を形成した後に行ってもよい。
また、ガラス基板とポリイミド層12との剥離は、流通後、表示装置製造時に行ってもよい。
図2は、硬化物層上に機能層としてカラーフィルタ層を備える表示装置用部材の一例を示す概略部分断面図である。
図2において、表示装置用部材21は、ポリイミド層22と、バリア層23と、硬化物層24とがこの順に隣接して位置している積層体を備え、硬化物層24上にカラーフィルタ層31を備えている。
ポリイミド層22、バリア層23及び硬化物層24は、前記表示装置用部材11を構成するポリイミド層12とバリア層13と硬化物層14と同様とすることができ、ここでの説明は省略する。
カラーフィルタ層31は、遮光層32、着色層33、遮光層32と着色層33を被覆する平坦化層34、平坦化層34上に位置する柱状スペーサ35を有している。
カラーフィルタ層31は、図示しないが、公知の構成を更に有していても良い。以下、遮光層、着色層、平坦化層、柱状スペーサについて説明するが、これらの構成は下記構成に限定されるものではなく、適宜、公知の構成が用いられても良い。
遮光層32は、表示装置用部材21の硬化物層24上に配置され、複数の開口部を有する部材である。このような遮光層32としては、例えば、第1の方向及び第1の方向に交差する第2の方向に延伸するように並列に配置され、開口部が画定されたものである。開口部の形状としては、例えば、矩形形状が挙げられる。遮光層32における開口部の幅としては、一般的なカラーフィルタにおける遮光層の開口部の幅と同様とすることができ、ここでの説明は省略する。
カラーフィルタ層31を構成する遮光層32は、上述した構成材料の他にも、必要に応じてその他の材料を含有していてもよい。その他の材料としては、例えば、光重合開始剤、増感剤、塗布性改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等が挙げられる。
着色層33は、上述した遮光層32における開口部に配置される部材である。着色層33の厚みとしては、一般的なカラーフィルタに用いられる着色層の厚みと同様とすることができ、例えば、1μm~5μmの範囲内で設定することができる。
図示例の着色層33は、赤色着色層33R、緑色着色層33G、青色着色層33Bを有している。着色層33の色としては、赤、緑、青の3色を少なくとも含むものであればよく、例えば、赤、緑、青の3色、赤、緑、青、黄の4色、又は、赤、緑、青、黄、シアンの5色等とすることもできる。
また、遮光層32における開口部には、上述した色材を含有せず、バインダ樹脂を含有する白色層が形成されていてもよい。
平坦化層34は、例えば、遮光層32、着色層33を被覆するように感光性樹脂を塗布し、硬化させることにより形成することができる。感光性樹脂としては、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系若しくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が挙げられる。
柱状スペーサ35は、平坦化層34を介して、遮光層32上に位置するように配設され、対向電極基板との間に所望の厚みの液晶層を形成するための部材である。このような柱状スペーサ35は、例えば、平坦化層34上に、柱状スペーサ用の感光性樹脂組成物を塗布し、次いで、スピンチャックにより表示装置用部材21を回転し、遠心力によって不要な感光性樹脂組成物を除去して、平坦化層34上に所望の厚みで感光性樹脂組成物の塗布膜を形成し、露光・現像することにより形成することができる。柱状スペーサの高さ、柱状スペーサの配設密度は、表示装置用部材21を使用する表示装置に応じて適宜設定することができる。
図3は、硬化物層上に機能層としてタッチパネル層を備える表示装置用部材の一例を示す概略部分断面図である。図3において、表示装置用部材41は、ポリイミド層42と、バリア層43と硬化物層44とがこの順に隣接して位置している積層体を備え、硬化物層44上にタッチパネル層51を備えている。
ポリイミド層42、バリア層43及び硬化物層44は、前記表示装置用部材11を構成するポリイミド層12とバリア層13と硬化物層14と同様とすることができ、ここでの説明は省略する。
タッチパネル層51は、静電容量方式、抵抗膜方式、接触方式、磁歪方式、誘電誘導方式、光学方式、超音波方式等の各種検知方式のものであってよい。図示例のタッチパネル層51は、第1センサ電極52、絶縁層53、第2センサ電極54、外周配線55を有しており、これらを被覆するように平坦化層56を有している。
タッチパネル層51は、図示しないが、公知の構成を更に有していても良い。以下、第1センサ電極、絶縁層、第2センサ電極、外周配線、平坦化層について説明するが、これらの構成は下記構成に限定されるものではなく、適宜、公知の構成が用いられても良い。
第1センサ電極52、第2センサ電極54は、タッチパネルの位置検知を行うために用いられる部材であり、透明性を有する透明導電層であってもよく、細線によるメッシュ状のメッシュ電極であってもよい。第1センサ電極52、第2センサ電極54が、細線によるメッシュ状のメッシュ電極である場合、用いられる材料が不透明な金属材料であったとしても、見かけ上、透明なセンサ電極とすることが可能である。
また、第1センサ電極52、第2センサ電極54がメッシュ電極である場合、センサ電極の厚み、線幅、ピッチ及び開口率等については、表示装置用部材41の用途に応じて適宜設定することができ、一般的なセンサ電極と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
絶縁層53は、第1センサ電極52を被覆するように配設されている。絶縁層53の厚みは、センサ電極を絶縁して短絡を防止することができる程度の厚みであることが好ましく、センサ電極の設計に応じて適宜設定することができる。例えば、絶縁層53の厚みは、0.5μm~3μmの範囲内とすることができる。
絶縁層53の構成材料は、所望の絶縁性を有する材料であることが好ましく、タッチパネルに一般的に用いられるものを使用することができる。具体的には、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、カルド樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン樹脂等の絶縁性樹脂材料等が挙げられる。尚、絶縁層53に用いられる構成材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、絶縁層53の層構造は、1層であってもよく、2層以上を含む多層であってもよい。
外周配線55は非画像領域に位置している。この外周配線55の構成材料は、例えば、金、銀、銅、クロム、プラチナ、アルミニウム、パラジウム、モリブデン等の金属、これら金属の任意の合金を挙げることができる。このような外周配線55の線幅は、特に制限されないが、例えば、1μm~500μmの範囲内であることが好ましく、更に3μm~400μmの範囲内であることが好ましく、より更に5μm~300μmの範囲内であることが好ましい。外周配線55の線幅が1μm未満であると、電気抵抗が大きくなるおそれがある。また、外周配線55の線幅が500μmを超える場合、外周配線55を配設するための面積が大きくなり、画像領域の面積を十分に確保できなくなるおそれがある。
平坦化層56は、例えば、第2センサ電極54、外周配線55を被覆するように感光性樹脂を塗布し、硬化させることにより形成することができる。感光性樹脂としては、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系若しくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が挙げられる。この平坦化層56の厚みは、タッチパネル層51の表面が平坦面となるように適宜設定することができる。
また、本発明の表示装置用部材41では、ポリイミド層42として、ガラス転移温度が高く、線膨張係数が低く、耐熱性及び寸法安定性に優れたポリイミドフィルムを用いているため、例えば硬化物層44上に、第1センサ電極52や第2センサ電極54を形成する際に、ポリイミド層42の変性や変形を抑制しつつ、十分に高い温度をかけることができる。
図4は、硬化物層上に機能層としてTFT層を備える表示装置用部材の一例を示す概略部分断面図である。図4において、表示装置用部材61は、ポリイミド層62と、バリア層63と硬化物層64とがこの順に隣接して位置している積層体を備え、硬化物層64上にTFT層71を備えている。
ポリイミド層62、バリア層63及び硬化物層64は、前記表示装置用部材11を構成するポリイミド層12と、バリア層13と硬化物層14と同様とすることができ、ここでの説明は省略する。
TFT素子としては、トップゲート構造(正スタガ型)、ボトムゲート構造(逆スタガ型)、コプレーナ型構造を挙げることができる。トップゲート構造(正スタガ型)及びボトムゲート構造(逆スタガ型)の場合には、さらにトップコンタクト構造、ボトムコンタクト構造を挙げることができる。これらの構造は、TFTを構成する半導体層の種類に応じて適宜選択される。図4では、トップゲート・ボトムコンタクト構造のTFT素子を示している。
図示例のTFT層71は、表示装置用部材61の硬化物層64上に形成されたソース電極72S及びドレイン電極72D並びに半導体層73と、ソース電極72S及びドレイン電極72D並びに半導体層73上に形成されたゲート絶縁膜74と、ゲート絶縁膜74上に形成されたゲート電極75Gとを有している。
TFT層71は、図示しないが、公知の構成を更に有していても良い。以下、ソース電極72S及びドレイン電極72D並びに半導体層73、ゲート絶縁膜74、ゲート電極75Gについて説明するが、これらの構成は下記構成に限定されるものではなく、適宜、公知の構成が用いられても良い。
ソース電極72S及びドレイン電極72Dは、硬化物層64の上にパターン形成されている。ソース電極材料及びドレイン電極材料としては、通常、導電性の良い金属膜又は導電性酸化物膜等が用いられる。金属膜としては、チタン膜、アルミニウム膜、アルミニウム膜上にチタン膜を設けた積層膜等を挙げることができ、導電性酸化物膜としては、ITO(インジウム錫オキサイド)、酸化インジウム、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、SnO2、ZnO等の透明導電膜を挙げることができる。また、所望の導電性を有するものであれば、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子等であってもよい。
例えば、金属膜又は導電性酸化物でソース電極72S及びドレイン電極72Dを形成する場合には、成膜手段として真空蒸着法、スパッタリング法又は各種のCVD法等を適用でき、パターニング手段としてフォトリソグラフィを適用できる。
また、導電性高分子でソース電極72S及びドレイン電極72Dを形成する場合には、成膜手段として真空蒸着法やパターン印刷法等を適用でき、パターニング手段としてフォトリソグラフィを適用できる。
ソース電極72S及びドレイン電極72Dの厚さは、通常、0.1μm~0.3μm程度である。
半導体層73は、硬化物層64上に形成されたソース電極72S及びドレイン電極72Dの間を跨ぐように、パターン形成されている。半導体層73の厚さは、成膜条件によって任意に設計されるために一概には言えないが、通常10nm~150nmの範囲内であることが好ましく、30nm~100nmの範囲内であることがより好ましい。
られる。
酸化物半導体としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)、酸化マグネシウム亜鉛(MgxZn1-xO)、酸化カドミウム亜鉛(CdxZn1-xO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化インジウム(In2O3)、酸化ガリウム(Ga2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化タングステン(WO)、InGaZnO系、InGaSnO系、InGaZnMgO系、InAlZnO系、InFeZnO系、InGaO系、ZnGaO系、InZnO系が挙げられる。
ゲート絶縁膜74は、半導体層73、ソース電極72S及びドレイン電極72Dを覆うように設けられている。
ゲート絶縁膜74の厚みは、ゲート電極75Gとソース電極72S及びドレイン電極72Dとを絶縁して短絡を防止することができる程度の厚みに適宜設定することができる。例えば、ゲート絶縁膜74の厚みは、0.5μm~3μmの範囲内とすることができる。
ゲート電極75Gは、ゲート絶縁膜74上にパターン形成されている。
ゲート電極75Gの形成材料は、例えば、金、銀、銅、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、アルミニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン等の金属膜;ITO(インジウム錫オキサイド)、酸化インジウム、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、SnO2、ZnO等の透明導電膜;を好ましく挙げることができる。なお、所望の導電性を有するものであれば、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子等であってもよい。
ゲート電極75Gの厚さは、通常、0.05μm~0.2μm程度である。
この際、表示装置用部材11、表示装置用部材21、表示装置用部材41及び表示装置用部材61が、ガラス基板を備えている場合には、上記したように、例えばレーザー照射によりガラス基板を剥離した上で、剥離面を他の部材の上面と貼り合わせることにより、一体化することができる。
500mlのセパラブルフラスコに、脱水されたN-メチルピロリドン455.2g、及び、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(4,4’-DDS)57.21gを投入し、25℃でメカニカルスターラーで撹拌した。そこへ、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)86.99g、及びピロメリット酸二無水物(PMDA)7.54gを混合した混合液を、徐々に投入し、ポリイミド前駆体溶液1を合成した。ポリイミド前駆体溶液1中のポリイミド前駆体(ポリアミック酸)の濃度は、25質量%であった。
ポリイミド前駆体溶液1について、下記の測定方法に従って、ポリイミド前駆体溶液中のポリイミド前駆体の重量平均分子量、ポリイミド前駆体溶液の粘度を測定した。これらの測定結果を、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)の濃度と併せて下記表1に示した。
合成例1において、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)とピロメリット酸二無水物(PMDA)とのモル比を、表1~表2に示すように変更したこと以外は、合成例1と同様の手法で、ポリイミド前駆体溶液2~9を合成した。
ポリイミド前駆体溶液2~9について、合成例1と同様にして、ポリイミド前駆体溶液中のポリイミド前駆体の重量平均分子量、ポリイミド前駆体溶液の粘度を測定した。これらの測定結果を、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)の濃度と併せて下記表1~表2に示した。
合成例1において、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(4,4’-DDS)の代わりに、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)を用い、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)とピロメリット酸二無水物(PMDA)とのモル比を、表2に示すように変更したこと以外は、合成例1と同様の手法で、ポリイミド前駆体溶液10~12を合成した。
ポリイミド前駆体溶液10~12について、合成例1と同様にして、ポリイミド前駆体溶液中のポリイミド前駆体の重量平均分子量、ポリイミド前駆体溶液の粘度を測定した。これらの測定結果を、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)の濃度と併せて下記表2に示した。
なお、表中の略称はそれぞれ以下のとおりである。
6FDA : 4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物
PMDA : ピロメリット酸二無水物
4,4’-DDS : 4,4’-ジアミノジフェニルスルホン
TFMB : 2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
(1)試験片、ポリイミドフィルムの作製、物性計測
前記ポリイミド前駆体溶液1~12をガラス基板上に塗布し、120℃の循環オーブンで10分乾燥してポリイミド前駆体樹脂塗膜を形成した後、当該樹脂塗膜を昇温速度5℃/分で、窒素雰囲気下(酸素濃度100ppm以下)、370℃まで昇温し、370℃で1時間保持後、室温まで冷却した。ガラス基板より剥離することで、ポリイミドフィルム1~12を作製した。
このように作製したポリイミドフィルム1~12について、下記の測定方法にしたがって、全光線透過率、YI値(黄色度)、ヘイズ値、10μm当たりの厚さ方向の位相差、ガラス転移温度(Tg)、線膨張係数を測定して、下記の表3~表4に示した。
<ポリイミド前駆体の重量平均分子量>
ポリイミド前駆体の重量平均分子量は、ポリイミド前駆体を0.5重量%の濃度のN-メチルピロリドン(NMP)溶液とし、展開溶媒として、含水量500ppm以下の10mmol%LiBr-NMP溶液を用い、GPC装置(東ソー製、HLC-8120、使用カラム:SHODEX製GPC LF-804)を用い、サンプル打ち込み量50μL、溶媒流量0.5mL/分、40℃の条件で測定を行い、サンプルと同濃度のポリスチレン標準サンプルを基準に重量平均分子量を求めた。
ポリイミド前駆体溶液の粘度は、粘度計(例えば、TVE-22HT、東機産業株式会社)を用いて、25℃で、サンプル量0.8mlとして測定した。
JIS K7361-1に準拠して、ヘイズメーター((株)村上色彩技術研究所製
HM150)により測定した。
YI値は、JIS K7373-2006に準拠して、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製 V-7100)を用い、JIS Z8720に規定する分光測色方法により測定した透過率をもとに算出した。
JIS K-7105に準拠して、ヘイズメーター((株)村上色彩技術研究所製 HM150)により測定した。
位相差測定装置(王子計測機器株式会社製、製品名「KOBRA-WR」)を用いて、25℃、波長590nmの光で、ポリイミドフィルムの厚さ方向の位相差値(Rth)を測定した。厚さ方向の位相差値(Rth)は、0度入射の位相差値と、斜め40度入射の位相差値を測定し、これらの位相差値から厚さ方向の位相差値Rthを算出した。前記斜め40度入射の位相差値は、位相差フィルムの法線から40度傾けた方向から、波長590nmの光を位相差フィルムに入射させて測定した。
動的粘弾性測定装置 RSA III(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株))を用い、測定範囲を-150℃~400℃として、周波数1Hz、昇温速度5℃/min、サンプル幅を5mm、チャック間距離を20mmとして動的粘弾性測定を行い、tanδ(tanδ=損失弾性率(E’’)/貯蔵弾性率(E’))のピーク温度から、ガラス転移温度を求めた。
<線熱膨張係数、寸法収縮率>
線熱膨張係数は、熱機械分析装置(例えばTMA-60(島津製作所株式会社製)によって、昇温速度を10℃/分、評価サンプルの断面積当たりの荷重が同じになるように引張り荷重を9g/0.15mm2として、25℃から400℃までの寸法変化を測定した。線熱膨張係数は、昇温時の100℃~150℃の範囲の線熱膨張係数を算出して得た。
サンプル幅を5mm、チャック間距離を15mmとして測定した。
一方、比較例1~2においては、6FDAとPMDAとの合計量に対するPMDAの存在比率が、15/100未満であるため、ガラス転移温度(Tg)が370℃未満であり、十分な耐熱性を得られなかった。
また、比較例3~4においては、6FDAとPMDAとの合計量に対する6FDAの存在比率が、60/100未満であるため、全光線透過率が90%未満であり、また、黄色度(YI値)も3.5を超えており、十分な光学特性を得られなかった。
また、比較例5~7においては、ジアミン成分として、TFMBを用いているため、比較例6~7において、厚さ方向の位相差値が高くなっていた。また、比較例5においては、ガラス転移温度(Tg)が低くなっており、比較例7においては、全光線透過率が90%未満、黄色度(YI)が3.5を超えていた。
以上より、比較例1~7では、全光線透過率が90%以上、10μm当たりにおける厚さ方向の位相差(Rth)が50nm未満、ガラス転移温度が370℃以上の要求性能を、全て満たすものは得られなかった。
12,22,42,62…ポリイミド層
13,23,43,63…バリア層
14,24,44,64…硬化物層
31…カラーフィルタ層
51…タッチパネル層
71…TFT層
Claims (12)
- 必須のポリイミド構造単位として、下記一般式(1)で表されるポリイミド構造単位Aと、下記一般式(2)で表されるポリイミド構造単位Bとを含むポリイミドからなり、
前記ポリイミドは、ジアミン由来の構造単位の全てがジアミノジフェニルスルホン残基であり、
前記ポリイミドは、前記ポリイミド構造単位Aと前記ポリイミド構造単位Bとの存在比率が、モル比率でA:B=85:15~60:40の範囲であり、前記ポリイミド構造単位Aと前記ポリイミド構造単位Bの合計量が、全ポリイミド構造単位の90モル%以上である、ポリイミドフィルム。
- JIS K7361-1に準拠して測定される全光線透過率が、厚み10μmで、90%以上であり、10μm当たりの厚さ方向の位相差Rthが50nm未満であり、370℃以上の温度領域にガラス転移温度を有する、請求項1又は2に記載のポリイミドフィルム。
- JIS K7373-2006に準拠して算出される黄色度が、3.5以下である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリイミドフィルム。 - JIS K7105に準拠して測定されるヘイズ値が0.5未満である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリイミドフィルム。
- 線膨張係数が50ppm/℃以下である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリイミドフィルム。
- フレキシブルデバイス用基材又はフレキシブルデバイス用部材に用いられる、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
- 必須のポリイミド前駆体の構造単位として、下記一般式(4)又は下記一般式(5)で表されるポリイミド前駆体の構造単位A´と、下記一般式(6)又は下記一般式(7)で表されるポリイミド前駆体の構造単位B´とを含むポリイミド前駆体からなり、
前記ポリイミド前駆体は、ジアミン由来の構造単位の全てがジアミノジフェニルスルホン残基であり、
前記ポリイミド前駆体の構造単位A´と前記ポリイミド前駆体の構造単位B´との存在比率が、モル比率でA´:B´=85:15~60:40の範囲であり、前記ポリイミド前駆体の構造単位A´と前記ポリイミド前駆体の構造単位B´の合計量が、全ポリイミド前駆体の構造単位の90モル%以上である、ポリイミド前駆体。
- 重量平均分子量が25,000~500,000である、請求項8に記載のポリイミド前駆体。
- 請求項8又は9に記載のポリイミド前駆体と、有機溶剤とを含むポリイミド前駆体樹脂組成物を支持体に塗布して、ポリイミド前駆体樹脂塗膜を形成する工程と、
前記ポリイミド前駆体樹脂塗膜を加熱することにより、前記ポリイミド前駆体をイミド化する工程と、を含むポリイミドフィルムの製造方法。 - 前記ポリイミド前駆体樹脂塗膜を、N2雰囲気下で350~450℃の温度範囲で加熱する、請求項10に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
- 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の前記ポリイミドフィルム上に、機能層として、バリア層、カラーフィルター層、タッチパネル層及びTFT素子からなる群から選択される少なくとも一つを有する、表示装置用部材。
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