以下、図面を用いて、本発明の実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態の冷蔵庫全体を示す正面図である。図2は、図1に示す冷蔵庫1の縦断面図である。
図1と図2に示す冷蔵庫1は、本体1Aを有している。この冷蔵庫1の本体1Aは、外側側板からなる外箱と、内側側板からなる内箱を有し、その外箱と内箱の間には、断熱材が配置されている断熱性を有するキャビネットにより構成されている。この本体1Aの内部には、複数の貯蔵室が形成されている。
複数の貯蔵室としては、図1と図2に示すように、上から順に冷蔵区画としての冷蔵室2、野菜室3が設けられ、この野菜室3の下には、冷凍区画としての製氷室4と上冷凍室5が左右に並べて設けられ、最下部には冷凍区画としての下冷凍室6が設けられている。
図1と図2に示すように、冷蔵室2の前面には、冷蔵室2の前面開口部を開閉する左右の扉7,8が設けられている。左右の扉7,8は、観音開き式扉であり、左側の扉7の左端部が図示しないヒンジにより回動可能に取り付けられている。同様にして、右側の扉8の右端部が図示しないヒンジにより回動可能に取り付けられている。野菜室3、製氷室4、上冷凍室5、下冷凍室6の各前面には、各前面開口部を開閉する引出し式の扉9,10,11,12が設けられている。
次に、図2を参照して、冷蔵庫1の本体1Aの構造例を説明する。
図2に示すように、本体1Aの下冷凍室6の背面位置には、機械室22が設けられており、この機械室22には、圧縮器23等が配置されている。本体1Aの背面位置には、野菜室3の後側に、冷蔵用冷気循環ファン26と、冷蔵室・野菜室用冷却器24と、送風ダクト25が配置されている。
また、本体1Aの背面位置には、製氷室(貯蔵室)4と上冷凍室(貯蔵室)5と下冷凍室6の後側に、冷凍用冷気循環ファン29と、冷凍室用冷却器27と、送風ダクト28が配置されている。
冷蔵室・野菜室用冷却器24と冷凍用冷却器27は、圧縮機23から供給される冷媒によって冷却される。冷蔵室2と野菜室3は、冷蔵用冷気循環ファン26と冷蔵室・野菜室用冷却器24の動作により、それぞれ所定の設定温度に冷却して保持される。製氷室4と上冷凍室5と下冷凍室6は、冷凍用冷気循環ファン29と冷凍室用冷却器27の動作により、それぞれ所定の設定温度に冷却して保持される。また、冷凍用冷気循環ファン29付近の冷気流路内には、貯蔵室用ダンパ29Aが設けられており、制御部はこの貯蔵室用ダンパ29Aの角度調整を行う。
次に、図1と図3を参照して、操作パネルユニット215について説明する。
図3は、本体部1Aの左側の扉7に配置されている操作パネルユニット215等を示す正面図である。図1と図3に示すように、左側の扉7には、操作パネルユニット215が設けられている。図3に示すように、操作パネルユニット215は、操作領域220と、表示領域221を有している。
まず、図3に示す操作領域220の構成例を説明する。
図3に示すように、操作領域220は、第1操作部231と、第2操作部232と、操作部233,234,235,236と、キーロック説明用表示部237を有している。各操作部は、操作ボタンともいう。第1操作部231は、最も下部の位置に配置されており、第2操作部232は、最も上部の位置に配置されている。
第1操作部231は、いわゆるホームボタンと呼ばれている。第2操作部232は、「冷蔵」操作ボタンである。操作部233は、「冷凍」操作ボタンであり、操作部234は、「急速冷却」操作ボタンである。操作部235は、「製氷」操作ボタンであり、操作部236は、「節電」操作ボタンである。
次に、図3に示す表示領域221の構成例を説明する。
図3に示すように、表示領域221には、冷却強さ表示部240と、冷凍機能表示部241と、製氷機能表示部242と、節電機能表示部243と、エコモード表示部244と、半ドア表示部245と、キーロック表示部246と、自動扉オフ表示部247が設けられている。
図3に示すように、冷却強さ表示部240は、冷蔵温度帯の貯蔵室もしくは冷凍温度帯の貯蔵室の冷却強さをグラフィック的に表示するもので、第2操作部232と、操作部233についての共用の表示部分になっている。
冷凍機能表示部241は、複数の冷凍機能を表示しており、操作部233の操作に基づいて、各冷凍機能を切り替えて表示することができる。製氷機能表示部242は、複数の製氷機能を表示しており、操作部235の操作に基づいて、各製氷機能を切り替えて表示することができる。
節電機能表示部243は、複数の節電機能を表示しており、操作部236の操作に基づいて、各節電機能を切り替えて表示することができる。
エコモード表示部244は、エコモードの際に表示される。半ドア表示部245は、上述した各扉のいずれかが所定時間「開」状態であることを検出した時に、点灯表示される。キーロック表示部246は、操作部231が3秒以上長押し操作されることに基づいて表示され、操作部233,234,235,236の操作が無効状態になる。
図3において、使用者が操作部(急速冷却機能)234を押すと、制御部100は、圧縮機23を動作させて冷蔵室・野菜室用冷却器24に冷媒を送り、冷蔵用冷気循環ファン26を高回転で動作させることで、野菜室3内を急速冷却できるようになっている。
図3に示す温度センサ101は、野菜室3内の温度を測定して温度情報を制御部100に供給し、湿度センサ102は、野菜室3内の湿度を測定して湿度情報を制御部100に供給する。扉開成検知センサ110は、例えば左側の扉7が開くと、扉開成検知信号SRを制御部100に送る。
次に、図2と図4を参照して、野菜室3内の好ましい構造例を説明する。図4は、図1に示す野菜室3付近の構造例を、模式的に示している。図4では、野菜室3内では、透湿シート50により透湿された水蒸気粒子(湯気、水分)は、その存在が分かり易いようにするために、小さい丸い粒で例示しており、水蒸気粒子は模式的に湿度に比例して例示している。
図2と図4に示すように、野菜室3の中には、下段の容器(第1容器)30と上段の容器(第2容器)40が、上下位置に重ねるようにして収容されている。下段の容器30と上段の容器40は、好ましくは透明あるいは半透明のプラスチック製の密閉された密閉容器であり、下段の容器30の収納容量は、上段の容器40の収納容量に比べて大きい。
下段の容器30は、4辺の側面部31と底面部32を有する箱型の容器であり、上部開口部分33を有する。上段の容器40は、4辺の側面部41と底面部42と容器カバー45を有する箱型の容器であり、上部開口部分43を有する。上段の容器40の底面部42の面積は、下段の容器30の上部開口部分43の面積に比べて小さい。
下段の容器30の上部開口部分33の一部分は、上段の容器40の底面部42により、開閉可能に覆われている。ただし、下段の容器30の上部開口部分33の後側、すなわち下段の容器30の奥側の天井面は、後側領域開口部分34として、開放されている。この後側領域開口部分34は、下段の容器30の後側の側面部31と左右の側面部31と、上段の容器40の底面部42により囲まれるように形成されている。上段の容器40の容器カバー45には、上部開口部分43が設けられている。
図4に例示するように、野菜室3は、冷却器室である冷却ダクト25の前側に設けられている。冷却ダクト25には、冷蔵用冷気循環ファン26と冷蔵室・野菜室用冷却器24が配置され、この冷却ダクト25は、冷気CLを取り入れるための冷気取入れ口25Aと、野菜室3内において循環された戻りの冷気CL3を取り入れるための冷気取入れ口25Bを有している。また、冷蔵室2の底板2Rは、底板2Rの後側の位置において、冷蔵室2から野菜室3へ冷気CLを通すための冷気取入れ口2Sが設けられている。
下段の容器30の後側領域開口部分34には、透湿シート50が、下段の容器30の奥側の天井面としての後側領域開口部分34を塞ぐようにして、水平方向に向けて配置されている。下段の容器30の後側領域開口部分34は、冷気CL2が入らないように透湿シート50により閉じている。
図5は、この透湿シート50が後側領域開口部分34に配置される好ましい構造例を示している。図5に示すように、下段の容器30は、容器カバー39を有している。この容器カバー39は、下段の容器30の側面部31から上段の容器40の底面部42に達する位置まで形成されている。容器カバー39の先端部分39Aは、底面部42のリブ42Fに当接している。容器カバー39は、後側領域開口部分34を有しており、この後側領域開口部分34には、透湿シート50が配置されている。
図2と図4に示す野菜室3内において、下段の容器30内に収納されている野菜の鮮度保持を向上させるためには、下段の容器30内の野菜の環境を高湿度にして、冷気(風)は、下段の容器30内の野菜に対して直接当てないように密閉することが望ましい。しかも、下段の容器30内の野菜の鮮度を向上させるためには、下段の容器30内の酸素濃度を調整し、低温状態で、野菜や食品から発生した臭気物質や植物老化ホルモンであるエチレンの気体の除去分解を行うことが有効である。
このような下段の容器30内の野菜の鮮度保持を向上させるための項目の中で特に重要なのは、下段の容器30内の野菜の環境を高湿度にして、冷気(風)を直接当てない構造を採用することである。また、野菜室3内の湿度は、外部の湿度よりも高くならないと、野菜室3内の外には出てこないので、冷蔵庫1の蒸発器(エバポレータ)の着霜の防止になる。
まず、図2と図4に示す透湿シート50について説明する。
図1と図2に示す透湿シート50は、例えばポリエステル長繊維不織布とポリエチレン多孔質フィルムをラミネートした透湿防水シートであり、安定した防水性の機能と、透湿性の機能と、そして風(冷気)を通さない機能を有する。このポリエステル長繊維不織布は、ポリエチレン多孔質フィルムを配置するための基材である。
この透湿シート50は、複数の孔を有しており、これらの孔は、例えば直径の0.5μm~3μmの複数の孔を有しており、例えば0.0004μm以下の水蒸気粒子を通過させるが、0.5μm~3μmよりも大きい水の分子は通過させない。このため、透湿シート50は、相反する透湿性の機能と、防水性の機能の両方を兼ね備えている。 図4に示す冷気CLは、冷蔵用冷気循環ファン26が作動して、冷蔵室・野菜室用冷却器24から送風ダクト25を通じて冷蔵室2内に送られてくる。この冷気CLは、冷蔵室2から冷気取入れ口2Sを通じて野菜室3内に流入する。冷気取入れ口2Sの下方の位置には、下段の容器30の後側領域開口部分34が位置されている。
このため、図4に示す野菜室3内の下段の容器30の後側領域開口部分34には、冷気CLから分かれた冷気CL1と冷気CL2の内の冷気CL2が向かう。このように冷気CL2が後側領域開口部分34側に向かうのは、後側領域開口部分34が冷気取入れ口2Sの近傍で下方の位置にあるからである。
しかし、図4に示すように、後側領域開口部分34には透湿シート50が配置されているために、透湿シート50が、下段の容器30内への冷気CL2の流入を阻止することから、野菜室3内に流入した冷気CL2が、後側領域開口部分34を通じて下段の容器30内には流入することがない。
これにより、冷気CL2が一番入り易い下段の容器30の後側領域開口部分34を通じては、下段の容器30内には流入しないので、下段の容器30内の野菜には、冷気CL2が直接当たらず、冷気CL2の影響により乾燥してしまうことがない。しかも、透湿シート50を通じて湿気だけを、下段の容器30内に入れることができるので、野菜が萎れない。このため、野菜は下段の容器30において、鮮度良く保存できる。特に、冷気が当たると劣化が激しい葉物野菜を、鮮度良く保存することができる。
しかも、透湿シート50には、例えば直径の0.5μm~3μmの複数の孔が開いており、水蒸気粒子はこれらの複数の孔を通過することができる。このため、下段の容器30内の温度が下がっても、水蒸気分子は、後側領域開口部分34の透湿シート50を通って、下段の容器30内から野菜室3内へ出ることができ、下段の容器30内では飽和水蒸気量を越えることがなく、下段の容器30内の結露も防ぐことができる。
ところで、後側領域開口部分34の透湿シート50の複数の孔より小さな臭気物質や、植物老化ホルモンであるエチレン等の気体は、後側領域開口部分34の透湿シート50の孔を緩やかに通過する。このために、下段の容器30内における臭気物質濃度やエチレン等の気体濃度が高まれば、臭気物質やエチレン等の気体が、後側領域開口部分34の透湿シート50を通過して、下段の容器30を収容している野菜室3内に、そして冷蔵庫1の全体に流出するおそれがある。
そこで、図4に例示するように、透湿シート50の近傍には、好ましくは、透湿シート50を配置することに加えて、空気浄化手段60をそれぞれ設けることで、空気浄化手段60が下段の容器30内の臭気物質やエチレン等の気体に接触し易くなる。これにより、空気浄化手段60は、下段の容器30内の臭気物質やエチレン等の気体を、より効率よく浄化して、脱臭やエチレン分解を行うことができる。
ここで、図1と図2に示すこの空気浄化手段60の好ましい構造例について説明する。
空気浄化手段60は、臭気物質やエチレン等の気体を分解可能な触媒であり、好ましくは熱触媒である。熱触媒としては、臭気物質やエチレン等の気体を分解可能な貴金属や金属酸化物等である。
空気浄化手段60を取り付ける位置は、臭気物質やエチレン等の気体が流出する透湿シート50の位置の近傍にあれば、下段の容器30の内部であっても、下段の容器30の外部であっても良い。空気浄化手段60を取り付ける位置は、食品や野菜が下段の容器30内に収納され、臭気物質やエチレン等の気体が高濃度になり易い下段の容器30の内部に取り付けるのが、より好ましい。
空気浄化手段60としては、光が当たることにより触媒作用を示す例え酸化チタンや酸化タングステン等の光触媒や、酸化作用を示すラジカルやオゾンを応用したものでも良い。この場合に、空気浄化手段60の光触媒に対して光を当てる発光素子としては、例えばLED(発光ダイオード)を用いることができるが、特に限定されない。
また、上述した空気浄化手段60の熱触媒としては、PtやPdやAu等の貴金属類や二酸化マンガン、酸化銅等の金属酸化物からなる熱触媒を用いることによって、熱触媒は、光触媒とは異なり、触媒作用を起こすための光源や高電圧等の電気の用意が不要になる。このために、熱触媒を用いることで、冷蔵庫1の構造の簡素化が図れる。
次に、図4を参照して、野菜室3内における冷気CL、CL1、CL2、CL3の流れの例と、野菜室3内を急速冷却する動作例について説明する。図4では、野菜室3内における冷気CL、CL1、CL2、CL3の流れの例を、矢印で示している。
例えば、使用者が、図3に示す急速冷却の指示用の操作部234を押すと、操作部234から制御部100に信号が送られ、図3に示す圧縮機23が、制御部100により動作される。これにより、冷蔵室・野菜室用冷却器24が圧縮機23から供給される冷媒によって冷却されるとともに、ファン31は制御部100の指令により、通常の冷却時の回転数に比べて、高回転される。
これにより、図4に示す送風ダクト25を通った冷気CLが、冷蔵室2に供給され、この冷気CLは、冷蔵室2の冷気取入れ口2Sから野菜室3内に流入して、冷気CL1と冷気CL2に分かれる。
冷気CL1は、上段の容器40の容器カバー(蓋部)45の付近を、前方に向けて通過する。冷気CL2は、下段の容器30の後側領域開口部分34の透湿シート50に向かうが、冷気CL2は透湿シート50では通過することができずに、跳ね返されて冷気CL1側に戻って冷気CL1とともに下段の容器40の周囲の付近を通過する。そして、冷気CL1、CL2は、野菜室3内を回って冷気CL3として送風ダクト25内に戻る。
図4に示すように、野菜室3の構造上、冷気CL2が一番入り易い下段の容器30の奥側天井面である後側領域開口部分34には、透湿シート50が配置されている。このため、この透湿シート50が、冷気CL2の流入を阻止するので、野菜室3内に流入した冷気が、下段の容器30内には流入することがない。これにより、下段の容器30内の野菜は、冷気により乾燥してしまうことがなく、野菜が萎れず、野菜の鮮度保持が効果的にできる。
しかも、下段の容器30内の温度が下がっても、水蒸気分子は、透湿シート50を通って、下段の容器30内から野菜室3内へ出ることができる。このため、下段の容器30内では飽和水蒸気量を越えることがなく、下段の容器30内の結露も防ぐことができる。
後側領域開口部分34の透湿シート50の複数の孔より小さな臭気物質や、植物老化ホルモンであるエチレン等の気体は、後側領域開口部分34の透湿シート50の孔を緩やかに通過しようとする。しかし、空気浄化手段60は、下段の容器30内の臭気物質やエチレン等の気体に接触し易くなるので、下段の容器30内の臭気物質やエチレン等の気体を、より効率よく浄化して、脱臭やエチレン分解を行うことができる。
上述したように、野菜室3内を急速冷却することにより、下段の容器30内の野菜等の食品の水分の蒸散を抑え、呼吸量を減らして野菜の鮮度保持を図ることができる。
一般に、野菜の呼吸とは、空気中の酸素を取り入れて内部の糖類や有機酸を燃焼してエネルギを作り出し、二酸化炭素を放出する生命活動である。収穫後は、時間が経つほど蓄積していた養分を消耗して、その分甘みや酸味は低下し、栄養的にも減少する。青果物は、収穫後も呼吸促進や葉緑素分解、成熟促進等を引き起こすエチレンガス等の成熟ホルモンを作り出すことから、野菜の消耗に拍車をかけることになる。
図6は、野菜室3内に収納された野菜等の食品の冷却スピードを示す例と、通常の野菜の水分蒸散量の時間経過による変化の例を示す図である。
図6では、冷却スピードを示す例として、急速冷却時における野菜室内の温度の変化を示す急速冷却曲線G1と、通常冷却時における野菜室内の温度の変化を示す通常冷却曲線G2を示している。急速冷却曲線G1と通常冷却曲線G2を比較すると、急速冷却曲線G1では、例えば初期温度の20℃から急激に温度が低下しており、ある特定の保存時間(時)の時点では、急速冷却曲線G1における急速冷却温度は、通常冷却曲線G2における通常冷却温度に比べて、低く設定される。
また、図6に例示するように、例えば野菜の投入直後における初期の野菜の水分蒸散量が最大で2gであるが、野菜の水分蒸散量は、時間(分)が経過すると、0.5g程度まで下がる。
このため、野菜室3では、野菜を下段の容器30内に投入した直後における冷却速度(能力)を最大にすることで、野菜室3内の温度をより早く下げることで、野菜の水分蒸散量を抑えることができる。野菜室3の下段の容器30の全体を、同じ湿度に保つことができる。
上述したように、本発明の第1実施形態の冷蔵庫1では、野菜等の収納物に対して冷気CL2が直接入り易い容器の部分(後側領域開口部分34)から、容器内に冷気CL2が入らないようにして、貯蔵された野菜等の鮮度を向上させることができる。
次に、本発明の別の実施形態を説明する。
以下に説明する本発明の各実施形態における要素が、図4に示す第1実施形態における要素と同様である場合には、同じ符号を記し、その説明を省略する。
<第2実施形態>
次に、図7を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
図7は、第1実施形態の図4と同様に、図1と図2に示す野菜室3付近の構造例を、模式的に示す図である。
図7に示す第2実施形態では、透湿シート50が、野菜室3内の下段の容器30と、上段の容器40に対して、それぞれ配置されている。1枚の透湿シート50の配置例としては、図4に示す第1実施形態と同様に、下段の容器30の後側領域開口部分34には、透湿シート50が、下段の容器の奥側の天井面にある後側領域開口部分34を塞ぐようにして、水平方向に向けて配置されている。
しかも、2枚目の透湿シート50が、上段の容器40の天井面である容器カバー45の上部開口部分43を覆うようにして、水平方向に向けて配置されている。これにより、下段の容器30の後側領域開口部分34は、1枚の透湿シート50により密閉されており、上段の容器40も別の1枚の透湿シート50により密閉されている。
図7において、冷気CL2が、下段の容器30に透湿シート50が配置されていることで、冷気CL2が一番入り易い下段の容器30の後側領域開口部分34を通じては、下段の容器30内には流入しない。このため、下段の容器30内の野菜には、冷気CL2が直接当たらず、冷気CL2により乾燥してしまうことがなく、湿気だけを下段の容器30内に入れることができるので、野菜が萎れない。従って、野菜は下段の容器30において、鮮度良く保存できる。特に冷気が当たると劣化が激しい葉物野菜を、鮮度良く保存することができる。
また、図7において、上段の容器40に透湿シート50が配置されていることで、冷気CL1が、上段の容器40の上部開口部分43を通じては上段の容器40内には流入しない。このため、上段の容器40内の野菜には、冷気CL1が直接当たらず、冷気CL1により乾燥してしまうことがなく、湿気だけを上段の容器40内に入れることができるので、野菜が萎れない。このため、野菜は上段の容器40において、鮮度良く保存できる。特に冷気が当たると劣化が激しい葉物野菜を、鮮度良く保存することができる。
このように、複数枚の透湿シート50が、野菜室3内の下段の容器30と上段の容器40に対して配置されていることで、例えば下段の容器30内の野菜と上段の容器40内の野菜のいずれも保存したいといった目的を達成することができる。
さらに好ましくは、透湿シート50には、空気浄化手段60をそれぞれ設けることで、空気浄化手段60が下段の容器30内の臭気物質やエチレン等の気体に接触し易くなる。これにより、空気浄化手段60は、下段の容器30内の臭気物質やエチレン等の気体を、より効率よく浄化して、脱臭やエチレン分解を行うことができる。
<第3実施形態>
次に、図8を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
図8は、第1実施形態の図4と同様に、図1と図2に示す野菜室3付近の構造例を、模式的に示す図である。
図8に示す第3実施形態では、3枚の透湿シート50が、野菜室3内の下段の容器30と上段の容器40に対して配置されている。透湿シート50の配置例としては、図4に示す第1実施形態と同様に、下段の容器30の後側領域開口部分34には、1枚の透湿シート50が、下段の容器の奥側の天井面にある後側領域開口部分34を塞ぐようにして、水平方向に向けて配置されている。
また、別の1枚の透湿シート50が、下段の容器30内において縦方向に形成されている手前側の遮蔽板に対して配置されている。この手前側の遮蔽板には、開口部31Cが形成されており、別の透湿シート50はこの開口部31Cを内側から塞ぐようにして配置されている。
下段の容器30では、手前側の遮蔽板は、さらに手前側の側面部31と平行になっており、手前側の遮蔽板と手前側の側面部31と底面部32は、例えばペットボトル等の収納物の収納空間SPを形成している。
さらに、別の1枚の透湿シート50が、上段の容器40の天井面である容器カバー45の上部開口部分43を覆うようにして、水平方向に向けて配置されている。
これにより、下段の容器30は2枚の透湿シート50により密閉されており、上段の容器40も1枚の透湿シート50により密閉されている。
図8において、下段の容器30に透湿シート50が配置されていることで、冷気CL2が一番入り易い下段の容器30の後側領域開口部分34を通じては、下段の容器30内には流入しない。このため、下段の容器30内の野菜には、冷気CL2が直接当たらず、冷気CL2により乾燥してしまうことがなく、湿気だけを下段の容器30内に入れることができるので、野菜が萎れない。野菜は下段の容器30において、鮮度良く保存できる。特に冷気が当たると劣化が激しい葉物野菜を、鮮度良く保存することができる。
さらに、下段の容器30内では、手前側の側面部31側に遮蔽板を配置して収納空間SPを確保している。例えばペットボトルをこの収納空間SP内に置いたときに、下段の容器30内に収納されている野菜の量が少ないときに下段の容器30内の湿度が低い場合には、ペットボトルや下段の容器30の内面には結露が生じない。しかし、下段の容器30内に収納されている野菜の量が多いときに下段の容器30内の湿度が高い場合には、下段の容器30内でペットボトルや下段の容器30の内面には結露が発生してしまう。また、野菜を下段の容器30内に入れたときには、湿度が低いと野菜は直ぐに劣化してしまう。
そこで、上述したように、遮蔽板には開口部31Cを設けて、この開口部31Cに対応して別の1枚の透湿シート50を配置することにより、下段の容器30内の湿度をコントロールすることができるので、下段の容器30におけるペットボトルや下段の容器30の内面に結露が発生するのを防止して、野菜の劣化を防止できる。
また、図8において、冷気CL1が、上段の容器40に透湿シート50が配置されていることで、上段の容器40の上部開口部分43を通じては上段の容器40内には流入しない。このため、上段の容器40内の野菜には、冷気CL1が直接当たらず、冷気CL1により乾燥してしまうことがなく、湿気だけを上段の容器40内に入れることができるので、野菜が萎れない。従って、野菜は上段の容器40において、鮮度良く保存できる。特に冷気が当たると劣化が激しい葉物野菜を、鮮度良く保存することができる。
このように、複数の透湿シート50が、野菜室3内の下段の容器30と上段の容器40に対して配置されていることで、例えば下段の容器30内の野菜と上段の容器40内の野菜のいずれも保存したいといった目的を達成することができる。
図8に示すように、上段の容器40の底面部42には、通気口96が設けられている。この通気口96は、上段の容器40の内部と、下段の容器30の内部とをつなげている。これにより、上段の容器40内に入った湿気は、この通気口96を通じて下段の容器30内に移す(落す)ことで、下段の容器30内の湿度が高くなり、下段の容器30内の野菜の鮮度保持が効果的に行える。
また、上段の容器40側から下段の容器30内に移した(落とした)その湿度は、手前側の遮蔽板の透湿シート50を通して下段の容器30内の手前側(扉9側)に運ぶことで、下段の容器30内の手前側に保存されている野菜の鮮度の保持が行える。
さらに好ましくは、透湿シート50には、空気浄化手段60をそれぞれ設けることで、空気浄化手段60が下段の容器30内の臭気物質やエチレン等の気体に接触し易くなる。これにより、空気浄化手段60は、下段の容器30内の臭気物質やエチレン等の気体を、より効率よく浄化して、脱臭やエチレン分解を行うことができる。
<第4実施形態>
次に、図9を参照して、本発明の第4実施形態を説明する。
図9は、第1実施形態の図4と同様に、図1と図2に示す野菜室3付近の構造例を、模式的に示す図である。
図9に示す第4実施形態では、3つの透湿シート50が、野菜室3内の下段の容器30と上段の容器40に対して配置されている。透湿シート50の配置例としては、図4に示す第1実施形態と同様に、下段の容器30の後側領域開口部分34には、1枚の透湿シート50が、下段の容器の奥側の天井面にある後側領域開口部分34を塞ぐようにして、水平方向に向けて配置されている。
また、別の1枚の透湿シート50が、下段の容器30内に形成されている手前側の上面開口部31Dに対して配置されている。別の透湿シート50が、この手前側の上面開口部31Dを塞ぐようにして配置されている。
このように、下段の容器30の後側領域開口部分34には、透湿シート50が、下段の容器の奥側の天井面にある後側領域開口部分34を塞ぐようにして配置され、しかも別の透湿シート50が、下段の容器30の手前側の上面開口部31Dを塞ぐようにして配置されているので、下段の容器30の内部の全体を、同じ湿度に保つことができる。
図9の第4実施形態では、図8の第3実施形態と同様にして、別の1枚の透湿シート50が、上段の容器40の天井面である容器カバー45の上部開口部分43を覆うようにして、水平方向に向けて配置されている。
また、図9の第4実施形態では、図8の第3実施形態と同様にして、上段の容器40の底面部42には、通気口96が設けられている。この通気口96は、上段の容器40の内部と、下段の容器30の内部とをつなげている。これにより、上段の容器40内に入った湿気は、この通気口96を通じて下段の容器30内に移す(落す)ことで、下段の容器30内の湿度が高くなり、下段の容器30内の野菜の鮮度保持が効果的に行える。
ところで、上述したように、各実施形態では、空気浄化手段60が、透湿シート50に接するようにして、あるいは透湿シート50の位置の近傍に、好ましくは配置することができる。これにより、空気浄化手段60は、例えば下段の容器30内の脱臭やエチレンガスの除去分解が行える。また、空気浄化手段60は、例えば光触媒にLED等の光を当てることで、除菌装置して機能させるようにして良い。これにより、野菜の鮮度保持がさらに良くなる。
また、透湿シート50には、防カビ処理または脱臭処理または抗菌処理の少なくとも1つを施しても良い。これにより、湿気からのカビの発生を抑えたり、野菜の臭いを分解できるので、下段の容器30と上段の容器40内は、いつまでも清潔に保てる。
図3を参照すると、温度センサ101は、野菜室3内の温度を測定して温度情報を制御部100に供給し、湿度センサ102は、野菜室3内の湿度を測定して湿度情報を制御部100に供給するようになっている。制御部100に供給された野菜室3内の温度値または湿度値が、予め定めた閾値を越えて変化した場合には、制御部100は、野菜室3に対する急速冷却の動作を開始させる。これにより、使用者が、わざわざ急速冷却動作を、ボタンを押して開始させることが不要になる。
図3を参照すると、扉開成検知センサ110は、例えば左側の扉7が開くと、扉開成検知信号SRを制御部100に送るようになっている。この扉開成検知センサ110は、図4等に例示する各実施形態では、野菜室3の扉9の内側の位置に取り付けられている。
使用者がこの扉9を引き出すと、扉開成検知センサ110はオンして、扉開成検知信号SRを制御部100に送ることで、制御部100は、急速冷却の動作を開始させる。これにより、使用者が扉9を開ければ、自動的に野菜室3内の急速冷却動作が開始するので、使用者が、わざわざ急速冷却動作を、ボタンを押して開始させることが不要になる。
また、本発明の各実施形態では、例えば図3に示すような発光素子77が、野菜室3内を照射するようにしても良い。発光素子77としては例えば野菜が新鮮に見える色目のLEDを採用できる。発光素子77により野菜室3を照射することで、下段の容器30や上段の容器40内に収納されている野菜が新鮮に見えるので、透湿カバー50による野菜の鮮度保持の効果を目視できる。
上述したように、野菜の水分蒸散等を抑えるためには、野菜を投入した後に、野菜室3を素早く急速に冷却する必要がある。ただし、野菜室3内に配置されている下段の容器30と上段の容器40を密閉容器とすると、下段の容器30と上段の容器40内の野菜等には、冷気が直接入らずに間接冷却となるために、下段の容器30と上段の容器40内の温度の低下が遅い。また、下段の容器30と上段の容器40内が開放状態であれば、冷気は直接下段の容器30と上段の容器40内に入ってしまうので、野菜が乾燥して鮮度劣化が早くなる。
そこで、本発明の実施形態では、透湿シート50は、冷気の風路に配置することで、下段の容器30と上段の容器40内には冷気が直接入らずに、冷たい湿気だけが下段の容器30と上段の容器40内に入る。このため、冷気が下段の容器30と上段の容器40の周囲から冷やすとともに、下段の容器30と上段の容器40内の野菜の水分蒸散を抑えて、呼吸量を減らして、野菜の鮮度を保持できる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な態様で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
図1に示す冷蔵庫1の構造は、一例であり、任意の構造を採用することができる。例えば、冷蔵庫1の冷蔵室2の扉は、片側開き式の扉であっても良い。また、各実施形態の構成要素は、任意に組み合わせて、冷蔵庫を構成することができる。