以下、本発明の入力装置を適用した実施の形態について説明する。
<実施の形態>
図1は、実施の形態の入力装置100を示す斜視図である。図2は、図1におけるA-A矢視断面を示す図である。以下では、各図において共通のXYZ座標を用いて説明する。また、XZ面視することを平面視と称す。また、以下では説明の便宜上、Y軸正方向を上、Y軸負方向を下と称す場合があるが、普遍的な上下関係を表すものではない。
入力装置100は、基部110、隔壁115、台座120、モータ130、インナーロータ140、アウターロータ150、コイルバネ160、歯車170A、170B、及び磁気センサ180A、180Bを含む。
また、以下では、図1及び図2に加えて、図3乃至図5を用いて説明する。図3は、図1からアウターロータ150を取り除いた構成を示す図である。図4は、図3からインナーロータ140を取り除いた構成を示す図である。図5は、図1及び図2から基部110、隔壁115、台座120を取り除いた構成を示す図である。
また、以下では、中心軸C(図1参照)とは、基部110、隔壁115、台座120、インナーロータ140、及びアウターロータ150に共通の中心軸である。これらの部材は平面視で中心軸Cが中心を通る円形である。中心軸CはY軸に平行である。
入力装置100は、一例として、車両に搭載され、ダッシュボード周辺に配設されるディスプレイパネルに表示されるナビゲーション装置やエアコンディショナ等の様々な装置の操作画面に表示されるGUI(Graphic User Interface)の操作部等を遠隔操作する際に利用される入力装置である。入力装置100は、例えば、車両のセンターコンソールのように運転者又は助手席の乗員の手元に配設される。ただし、入力装置100の利用形態は、このような利用形態に限られるものではない。
基部110は、入力装置100のベースの部分であり、平面視で中心軸Cを中心軸とする円板状の部材である。基部110は、中央にY軸正方向(上方向)に延在する円筒部111を有する。円筒部111は、中心軸Cを中心軸とする円筒状の部材である。このような基部110は、例えば、成型樹脂で構成される。
隔壁115は、基部110のY軸正方向側(上側)に設けられ、中心軸Cを中心軸とする円板状の部材であり、中央に設けられる開口部115Aに円筒部111が挿通されている。また、隔壁115は、開口部115Aの外側で歯車170A、170Bの回転軸171A、171Bを軸支している。このような隔壁115は、例えば、成型樹脂で構成される。
台座120は、基部110及び隔壁115のY軸正方向側(上側)に設けられており、外周部121、円板部122、軸部123A、123B、及び円筒部124を有する。このような台座120は、例えば、成型樹脂で構成される。外周部121、円板部122、及び円筒部124の中心軸は中心軸Cである。
台座120は、モータ130が取り付けられ、回転軸を有するベース部材の一例である。ただしベース部材はこのような形態に限られるものではなく、例えば台座120の周辺にある基部110や隔壁115などの部材と一体または別体となって同様の機能を有する集合体の形態であってもよい。
外周部121は、基部110の外径と等しい外径を有する円筒状の部分である。外周部121は、入力装置100の側面におけるY軸負方向側(下側)で表出しており、外周部121のY軸負方向側の端部(下端)は、基部110の外周部と当接している。外周部121のY軸正方向側(上側)には、XZ平面に平行な円板部122が連続的に設けられている。
円板部122は、基部110の外径と等しい外径を有する円板状の部分である。円板部122の径方向の最も外側のY軸負方向側(下側)には外周部121が一体的に設けられており、径方向の最も内側のY軸正方向側(上側)には円筒部124が一体的に設けられている。また、円板部122の径方向の中間部のY軸負方向側(下側)には軸部123A、123Bが設けられており、円板部122の径方向の中間部のY軸正方向側(上側)には、4個のモータ130が固定される固定部122Aが設けられている。
軸部123Aは、歯車170Aの回転軸171Aを回転自在に軸支する軸であり、軸部123Bは、歯車170Bの回転軸171Bを回転自在に軸支する軸である。軸部123Aと軸部123Bは、X軸上において、中心軸Cに対して互いに反対側に設けられている。
円筒部124は、中心軸Cを回転中心としてインナーロータ140を回転自在に案内する回転軸の一例である。円筒部124の内周面には、インナーロータ140の軸部142の外周面が摺動する。
モータ130は、4個あり、台座120の円板部122のY軸正方向側(上側)の表面に設けられる4個の固定部122Aに固定されている。モータ130は、一例として、サーボモータである。4個のモータ130は、平面視で台座120の円周方向に等間隔で配設されている。すなわち、4個のモータ130の駆動軸は、平面視で中心軸Cに対して90°間隔に配設されている。また、モータ130の駆動軸が延びている方向は、中心軸Cに垂直な方向で、かつ、中心軸Cから離れていく方向(外周方向)である。
モータ130の駆動軸には、歯車131が設けられており、歯車131は、インナーロータ140の外周部のフェースギア143に係合する平歯車または、はす歯歯車である。なお駆動軸に歯車131が直接形成されていてもよいし、別体の歯車131が駆動軸に固定されていてもよい。モータ130の駆動軸は、後述する制御部によって駆動されていない状態では回転自在であるが、制御部によって駆動されると、インナーロータ140に回転方向の駆動力を付与する。
インナーロータ140は、台座120のY軸正方向側(上側)に設けられており、円板部141、軸部142、及びフェースギア143を有する。円板部141、軸部142、及びフェースギア143の回転中心は中心軸Cである。このようなインナーロータ140は、例えば、成型樹脂で構成される。インナーロータ140は、第1ロータの一例である。
円板部141は、平面視で円板状の部材であり、中央に軸部142が設けられ、外周部にフェースギア143が設けられている。また、円板部141の径方向の中間部には、4個の収容部141Aが設けられている。収容部141Aは、平面視で円板部141の回転方向において等間隔で設けられている。
収容部141Aは、直線状のコイルバネ160の下半分を収容するスペースであり、中心軸Cから所定の径方向距離の位置における円周の接線方向に延在している。収容部141Aは、接線方向に中心軸を有する円筒の下半分に対応した形状を有する凹部であり、円板部141の上面から半円筒状に凹んでいる。
収容部141Aの接線方向の長さは、コイルバネ160の伸縮方向における自然長以下であればよい。ここでは一例として、収容部141Aの接線方向の長さは、コイルバネ160の自然長よりの所定長さ短く設定される。すなわち、収容部141Aにコイルバネ160を収容すると、コイルバネ160は自然長よりも収縮した状態になり、コイルバネ160の両端は、収容部141Aの両端に係合する。収容部141Aの接線方向は、収容部141Aの長手方向である。なお、収容部141Aは、第1バネ係合部の一例である。
軸部142は、円板部141の中心からY軸負方向側(下側)に延在するように設けられる円筒状の部分である。すなわち、軸部142は、中心軸Cの周囲が所定の径方向の位置(軸部142の内周面の位置)までくり抜かれた中空状の軸(中空軸)である。軸部142は、第1中空軸の一例である。
軸部142は、台座120の円筒部124の内部に軸支されており、円筒部124に対して回転自在である。これにより、インナーロータ140は、台座120に対して回転自在になっている。軸部142の直径は、円筒部124の直径よりも小さく、円筒部124の内周面に摺動するように設定されている。
軸部142の外周面の下端には、歯車部142Aが設けられている。歯車部142Aは、軸部142の外周面に一周にわたって設けられている。歯車部142Aには、歯車170Aが係合する。
フェースギア143は、円板部141の外周部の下面に円周方向に一周にわたって設けられている。フェースギア143は、モータ130の歯車131に係合する。フェースギア143は、係合部の一例である。
アウターロータ150は、インナーロータ140の上側を覆うように設けられている。アウターロータ150は、円板部151、軸部152、及び外周部153を有する。円板部151、軸部152、及び外周部153の回転中心は中心軸Cである。このため、アウターロータ150は、台座120の円筒部124(回転軸の一例)に同軸上に設けられている。
このようなアウターロータ150は、例えば、成型樹脂で構成される。アウターロータ150は、第2ロータの一例である。アウターロータ150の直径は、約50mm程度である。
アウターロータ150は、入力装置100の操作者が直接的に触れて回転操作するロータである。このため、アウターロータ150は、ノブとして利用される部材である。ここでは、操作者がアウターロータ150に直接的に触れて操作する形態について説明するが、アウターロータ150を覆うカバー状の部材が設けられてもよく、この場合には、操作者はカバー状の部材に触れて間接的にアウターロータ150を回転操作することになる。
円板部151は、平面視で円板状の部材であり、中央に軸部152が設けられ、外周側に外周部153が設けられている。また、円板部151の径方向の中間部には、4個の収容部151Aが設けられている。収容部151Aは、平面視で円板部151の回転方向において等間隔で設けられている。また、円板部151の上面の外周側を除いた中央側は、Y軸負方向側に凹んだ凹部151Bになっている。
収容部151Aは、インナーロータ140の収容部141Aに対応するスペースであり、円板部151の下面から円筒の上半分に対応するように凹んだ凹部である。収容部151Aのサイズは、収容部141Aと等しく、収容部141Aを天地方向に反転させた形状である。収容部151Aの接線方向は、収容部151Aの長手方向である。収容部151Aの上端は、凹部151Bに連通しているが、連通していなくてもよい。
収容部151Aは、インナーロータ140とアウターロータ150とを回転方向において位置合わせした状態で、円筒状のスペースを構築する。収容部151Aと収容部141Aとによって構築されるスペースに、コイルバネ160が収容される。収容部151Aと収容部141Aの両端の位置が回転方向において一致している場合には、コイルバネ160の両端は、収容部151Aと収容部141Aの両端に係合する。収容部151Aは、第2バネ係合部の一例である。
インナーロータ140とアウターロータ150とを回転方向において位置合わせした状態で、4個の収容部141Aの長手方向の両端と、4個の収容部151Aの長手方向の両端とは、それぞれ位置が合わせられた状態になる。この状態でインナーロータ140とアウターロータ150とは、回転方向における基準角度にあることとし、インナーロータ140とアウターロータ150との実際の相対角度が0度であることとして取り扱う。また本実施例の入力装置100においては、操作前の初期状態ではインナーロータ140とアウターロータ150とは、回転方向における基準角度の状態にある。なお、インナーロータ140とアウターロータ150との実際の相対角度は、第1相対角度の一例である。相対角度は、インナーロータ140に対してアウターロータ150が平面視で時計回りの方向にずれている場合に正の値をとり、インナーロータ140に対してアウターロータ150が平面視で反時計回りの方向にずれている場合に負の値をとるものとして取り扱うが、動作原理上は回転方向による差異は無いため、以下の説明では特に時計回りか反時計回りかについては明示していない。
操作者によって基準角度にあるアウターロータ150に回転方向の力が入力され、インナーロータ140に回転方向のトルクが付加されるとアウターロータ150とインナーロータ140との相対角度の絶対値が0度よりも大きくなり、収容部151Aと収容部141Aの両端の相対位置がずれ、平面視で収容部151Aと収容部141Aの共通領域に設けられるコイルバネ160を収容可能な円筒状の区間の長さが短くなるため、コイルバネ160が収縮する。この状態で、コイルバネ160の一端は、収容部151Aの一端に係合し収容部141Aの一端とは離間し、他端は収容部141Aの他端に係合し収容部151Aの他端とは離間して、収縮状態からの復元力を係合する端部にのみ付勢することで、相対角度の絶対値が0度となる方向の回転トルクをアウターロータ150とインナーロータ140とに付与する。相対角度の絶対値が0度となると、コイルバネ160の両端が収容部151Aの端部と収容部141Aの端部の両方に係合するので、付勢力がどちらの回転方向へも同じ力となり、アウターロータ150とインナーロータ140とが基準角度の状態で留まる。
軸部152は、円板部151の中心からY軸負方向側(下側)に延在するように設けられる円筒状の部分である。軸部152は、第2中空軸の一例である。
軸部152の直径は、軸部142の直径よりも小さく、軸部142の内周面に摺動するように設定されている。軸部152は、中心軸Cの周囲が所定の径方向の位置(軸部152の内周面の位置)までくり抜かれた中空状の軸(中空軸)である。例えば、円板部151の上面の凹部151Bにタッチパッドを配設する場合に、軸部152の内部にタッチパッドの配線を挿通させることができる。
軸部152は、インナーロータ140の軸部142の内部に軸支されており、アウターロータ150とインナーロータ140との間にコイルバネ160が存在しなければ、軸部142に対して回転自在である。実際には、アウターロータ150とインナーロータ140との間にはコイルバネ160が設けられているため、アウターロータ150のインナーロータ140対する回転は、コイルバネ160による制約を受ける。
軸部152の外周面の下端には、歯車部152Aが設けられている。歯車部152Aは、軸部152の外周面に一周にわたって設けられている。歯車部152Aには、歯車170Bが係合する。
外周部153は、円板部151の外周からY軸方向(上側および下側)に延在するように設けられる円筒状の部分である。外周部153の直径は、インナーロータ140のフェースギア143の直径よりも少し大きく、フェースギア143を収容している。
コイルバネ160は、4個設けられており、インナーロータ140の収容部141Aと、アウターロータ150の収容部151Aとによって構築される4個の円筒状のスペース内に配設されている。コイルバネ160は、弾性部材の一例である。
操作者が基準角度にあるアウターロータ150を手で操作して回転させ、インナーロータ140にはモータ130の駆動軸の回転トルクに基づく回転トルクが付加されると、インナーロータ140の回転角度とアウターロータ150に相対角度を生じる。コイルバネ160のバネ定数は、操作者によってアウターロータ150が回転され、インナーロータ140への回転トルクがアウターロータ150の回転操作と異なって互いに相対角度が生じたときに、収縮するようなバネ定数に設定されている。
これにより、操作者がアウターロータ150を手で操作して回転させ、インナーロータ140との間で相対角度が生じると、コイルバネ160が収縮されて復元力を発生するように構成されている。コイルバネ160の復元力は、実際の相対角度(第1相対角度)に応じて、相対角度が小さくなる方向にインナーロータ140及びアウターロータ150を付勢する。コイルバネ160が復元力は、付勢力の一例である。 歯車170Aは、磁石172Aを備えて台座120の軸部123Aに回転自在に軸支され、インナーロータ140の歯車部142Aに係合する平歯車である。歯車170Aの回転量は、一体に回転する磁石の磁束変化として磁気センサ180Aによって検出され、制御部に入力される。
歯車170Bは、磁石172Bを備えて台座120の軸部123Bに回転自在に軸支され、アウターロータ150の歯車部152Aに係合する平歯車である。歯車170Bの回転量は、一体に回転する磁石の磁束変化として磁気センサ180Bによって検出され、制御部に入力される。
磁気センサ180Aは、歯車170Aの基準角度に対する回転量を検出し、制御部に出力する角度センサである。歯車170Aの回転量は、インナーロータ140の回転量に比例し、インナーロータ140の基準角度に対する角度のずれ量(第1回転角度の一例)を表すため、制御部は磁気センサ180Aから入力される回転量に基づいて、インナーロータ140の基準角度に対する角度のずれ量を検出する。
磁気センサ180Bは、歯車170Bの基準角度に対する回転量を検出し、制御部に出力する角度センサである。歯車170Bの回転量は、アウターロータ150の回転量に比例し、アウターロータ150の基準角度に対する角度のずれ量(第2回転角度の一例)を表すため、制御部は磁気センサ180Bから入力される回転量に基づいて、アウターロータ150の基準角度に対する角度のずれ量を検出する。
そして、制御部は、磁気センサ180Aから入力される回転量と、磁気センサ180Bから入力される回転量とに基づいて、インナーロータ140及びアウターロータ150の基準角度に対する相対角度を求める。制御部が求める相対角度は、第2相対角度の一例である。すなわち本実施形態では、第2相対角度は、制御部の計算上の処理により求められる第1相対角度に相当する値である。
なお、磁気センサ180A、180B、歯車170A、歯車170B、磁石172A及び磁石172Bは、角度検出部の一例であり、磁気センサ180A、歯車170A及び磁石172Aは、第1角度検出部の一例であり、磁気センサ180B、歯車170B及び磁石172Bは、第2角度検出部の一例である。 以上のような構成の入力装置100において、操作者がアウターロータ150を操作すると、インナーロータ140とアウターロータ150との相対角度の絶対値が0度よりも大きくなり、コイルバネ160は収縮する。
このときに、制御部は、コイルバネ160の復元力をアシストする方向、又は、復元力を制限する方向にモータ130を駆動することによって、アウターロータ150を操作する操作者の手に力覚を提供する。
図6は、入力装置100の制御系を示す図である。図6には、入力装置100の制御部190、モータ130、及び磁気センサ180A、180Bに加えて、上位装置10を示す。
図6では、モータ130と磁気センサ180A、180Bとの間の構成(インナーロータ140、アウターロータ150、コイルバネ160、歯車170A、170B)を省くが、モータ130を回転駆動することにより、インナーロータ140及びコイルバネ160を介してアウターロータ150に駆動力が伝達されるとともに、歯車170A、170Bが回転し、回転角度が磁気センサ180A、180Bによって検出される。
上位装置10は、例えば、車両に搭載されるナビゲーション装置やエアコンディショナ等の様々な装置のECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)である。上位装置10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力インターフェース、及び内部バス等を含むコンピュータによって実現される。
上位装置10は、入力装置100の入力モードに応じて、入力装置100に操作が行われた際に提供する力覚に応じた力覚指令を表すデータをメモリに格納しており、選択された入力モードに応じた力覚指令を制御部190に出力する。なお、入力モードとは、例えば、ナビゲーション装置やエアコンディショナ等のいずれかの操作を行うモードであり、入力モードによって、ダッシュボードに設けられているディスプレイの表示内容がナビゲーション装置やエアコンディショナ等に切り替えられる。これらの入力モードに応じた力覚指令により、例えば、強いクリック感や弱いクリック感、または連続する所定の回転負荷トルクなどの力覚が提供される。
制御部190は、力覚パターン発生部191、トルク制御部192、及び角度追従制御部193を有する。
力覚パターン発生部191は、磁気センサ180A、180Bによって検出される回転量から、それぞれ、インナーロータ140、アウターロータ150の基準角度に対する角度を求め、インナーロータ140とアウターロータ150の基準角度に対する相対角度を求める。力覚パターン発生部191は、上位装置10から入力される力覚指令と、相対角度とに基づいてトルク指令を生成し、トルク制御部192に出力する。力覚パターン発生部191は、トルク指令を生成する。例えば、操作者がアウターロータ150を操作し始めて相対角度の絶対値が0度を超えると、アウターロータ150の回転を抑制する方向のトルク指令を生成する。
また、制御部190は、力覚指令の種類に応じたFS特性を内部メモリに格納している。
力覚パターン発生部191が相対角度を用いてトルク指令を生成する際には、所定のFS(Force-Stroke)特性を利用して変換を行う。力覚パターン発生部191は、力覚指令の種類に応じたFS特性を読み出し、相対角度をストロークに変換し、変換したストロークをFS特性に当て嵌めてトルクに変換することによって、トルク指令を生成する。
トルク制御部192は、力覚パターン発生部191から入力されるトルク指令を角度に変換する変換処理を行うことによって、角度指令を生成する。トルク制御部192は、角度指令を角度追従制御部193に出力する。トルク制御部192は、コイルバネ160の復元力をアシストする方向、又は、復元力を制限する方向の角度指令を生成する。
角度追従制御部193は、磁気センサ180Aによって検出される回転量からインナーロータ140の基準角度に対する角度を求め、磁気センサ180Bによって検出される回転量からアウターロータ150の基準角度に対する角度を求めることで、インナーロータ140とアウターロータ150の基準角度に対する相対角度を求める。角度追従制御部193は、トルク制御部192から入力される角度指令と、現在のインナーロータ140とアウターロータ150との相対角度とに基づいてフィードバック制御を行うことによって、モータ130の駆動制御を行う駆動信号を生成する。
角度追従制御部193は、インナーロータ140の角度が、角度指令が表す角度に一致するように、駆動信号を生成する。駆動信号は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号であり、角度追従制御部193は、フィードバック制御によってデューティ比を決定する。なお、角度追従制御部193は、共通の駆動信号で4個のモータ130を駆動する。
例えば、エアコンディショナからの力覚指令が、風量の選択のための回転操作に複数回繰り返される強いクリック感を伴う力覚パターンの要求であった場合には、力覚パターン発生部191から入力されるトルク指令には、回転操作時の負荷トルクが大きいものと小さいものとが繰り返し変化することが必要である。したがって負荷トルクを発生するためのコイルバネ160も収縮量が大きい(負荷トルクが大きい)ものと収縮量が小さい(負荷トルクが小さい)ものとが繰り返して変化する必要がある。よってトルク制御部192は、インナーロータ140とアウターロータ150の相対角度が大きい(コイルバネ160の収縮量が大きい)ものと相対角度が小さい(コイルバネ160の収縮量が小さい)ものとが繰り返して変化するように角度指令を生成する。つまり、コイルバネ160の復元力をアシスト(コイルバネ160の収縮量を小さく)する方向、又は、復元力を制限(コイルバネ160の収縮量を大きいままに)する方向の角度指令を生成して角度追従制御部193に出力する。以後は、トルク制御部192から入力される角度指令と、磁気センサ180A及び磁気センサ180Bから得られる現在のインナーロータ140とアウターロータ150の相対角度とに基づいてフィードバック制御を行うことによって、モータ130を駆動制御するものである。
なお本実施形態の入力装置100では、上記のようなアウターロータ150に対する操作者による回転操作及び、インナーロータ140に対するモータ130の回転トルクの付加制御が終了すると、コイルバネ160の復元力により、インナーロータ140とアウターロータ150とは、互いの相対角度が0度の基準角度の初期状態に常に戻るように設定されているため、入力装置100に対する上記制御を行う際には、常に初期状態から実施することができる。
他の力覚パターンについても、上記と同様の方法で制御可能である。
以上のように、入力装置100は、アウターロータ150とインナーロータ140との間に、回転方向に沿ってコイルバネ160を設けるとともに、インナーロータ140に回転方向の駆動トルクを与えるモータ130を含む。
そして、アウターロータ150が操作された際に、インナーロータ140とアウターロータ150の相対角度に応じて、コイルバネ160の復元力をアシストする方向、又は、復元力を制限する方向のトルクをモータ130に発生させる。
このような構成の入力装置100によって操作者の手に提供される力覚は、コイルバネ160の復元力により発生する回転トルクにより実現され、モータ130はコイルバネ160の復元力のアシスト又は制限するトルクとして実現される。コイルバネの復元力をアシスト又は制限することにトルクが利用されるモータ130は、従来の装置のようにモータを操作ツマミに連結して操作ツマミを直接駆動し、モータの発生するトルク変化によって力覚を実現する場合に比べて、モータ130の駆動トルクを大幅に低減することができ、さらにはモータのトルク制御に必要だった構造をモータに具備する必要が無くなり、モータの構造を簡素化できる。
このため、入力装置100は、従来の装置よりも低トルクで簡素な構造の小型のモータ130を用いる構成で、力覚を提供することができる。
また、4個のモータ130を用いることにより、力覚の実現に必要なモータ130のトルクを4分割できるので、さらに小さなモータ130を用いることができ、入力装置100をより小型化することができる。
従って、実施の形態によれば、小型化した入力装置100を提供することができる。
また、モータ130の駆動トルクを時系列的に変化させることによって、様々な力覚を実現することができる。例えば、ナビゲーション装置やエアコンディショナ等の様々な装置の種類や操作内容によって力覚が異なるようにモータ130の駆動パターンを設けておけば、操作者は、力覚だけで操作内容の確認や操作の完了を知覚することができる。
なお、以上では、複数含む例として4個のモータ130を含む形態について説明したが、モータ130の数は、4個よりも少なくてもよく、多くてもよい。小型化の見地から問題がなければ、モータ130は1個であってもよい。
また、以上では、モータ130の駆動軸が中心軸Cに垂直である形態について説明したが、モータ130の駆動軸は、中心軸Cに垂直ではなくてもよい。
また、以上では、4個のコイルバネ160を含む形態について説明したが、コイルバネ160の数は、4個よりも少なくてもよく、多くてもよい。コイルバネ160は、少なくとも1個以上あればよい。
また、以上では、入力装置100が歯車131、歯車部142A、フェースギア143、歯車部152A、歯車170A、170Bを含む形態について説明したが、これらの歯の構成は、上述した構成に限られず、他の構成であってもよい。
また、以上では、制御部190がインナーロータ140とアウターロータ150の相対角度を求めるために、歯車170A、170B及び磁気センサ180A、180Bを用いる形態について説明した。
しかしながら、このような形態には限定されず、例えば、歯車170A、170Bを用いずに、インナーロータ140とアウターロータ150のそれぞれが異なる磁石を有する構成として回転量(回転角度)を磁気センサ180A、180Bで直接的に求めてもよい。
また、磁気センサ180A、180Bの代わりに、例えば、ロータリエンコーダのようなセンサを用いてもよい。インナーロータ140とアウターロータ150の回転量を検出できるセンサであれば、どのようなセンサであってもよい。
また、以上では、角度追従制御部193が共通の駆動信号で4個のモータ130を駆動する形態について説明した。しかしながら、例えば、中心軸Cを挟んで対角線上に位置する2個のモータ130の一方を時計回りに駆動し、他方を反時計回りに駆動すると、インナーロータ140及びアウターロータ150に中心軸Cを傾ける方向のトルクを発生させることができる。このように中心軸Cを挟んで対角線上に位置する2個のモータ130を駆動すれば、操作者にアウターロータ150が傾く方向に振動する力覚を付与することができる。
また、角度追従制御部193が4個のモータ130のうちの3個以下を様々な駆動信号で駆動することや、角度追従制御部193が4個のモータ130を2種類以上の駆動信号で駆動することにより、様々な力覚を実現することができる。
従って、角度追従制御部193が共通の駆動信号で4個のモータ130を駆動する形態に限らず、様々な方法で駆動してもよい。
また、以上では、コイルバネ160を用いる形態について説明したが、インナーロータ140とアウターロータ150の回転方向に弾性を有する弾性部材であれば、コイルバネ以外のバネであってもよく、バネ以外の弾性体であってもよい。以下では、図7乃至図9を用いて、実施の形態の変形例の入力装置について説明する。
図7乃至図9は、実施の形態の変形例の入力装置100M1、100M2、100M3を示す図である。図7乃至図9では、図1乃至図5に示す実施の形態の入力装置100と同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
図7に示す入力装置100M1は、入力装置100のインナーロータ140とコイルバネ160をインナーロータ140M1と板バネ160M1に置き換えた構成を有する。図7では、アウターロータを省略する。
インナーロータ140M1は、円板部141M1、軸部142、及びフェースギア143を有する。円板部141M1は、半円筒状の収容部141Aの代わりに、V字型の板バネ160M1の下半分を収容する三角形状の凹部によって実現される収容部141M1Aを有する。
板バネ160M1は、平面視でV字状に湾曲されたバネであり、湾曲部が中心軸Cの側に設けられ、折り曲げ部の両側がインナーロータ140M1の径方向に沿って外側に延在するように、下半分が収容部141M1Aの内部に配設されている。すなわち、板バネ160M1は、両端間のなす角度が大きくなる方向に復元力を発生するように折り曲げられた板バネである。
図7では図示しないが、入力装置100M1のアウターロータは、収容部141M1Aに対応する三角形状の凹部によって実現される収容部を有しており、板バネ160M1の上半分を収容する。
このような入力装置100M1は、入力装置100と同様に、操作者によってアウターロータが操作されると、板バネ160M1の両端間のなす角度が大きくなる方向の復元力をアシスト又は制限する方向にモータ130がトルクを発生し、操作者に力覚を提供する。
図8に示す入力装置100M2は、入力装置100のインナーロータ140とコイルバネ160をインナーロータ140M2とトーションバネ160M2に置き換えた構成を有する。図8では、アウターロータを省略する。
インナーロータ140M2は、円板部141M2、軸部142、及びフェースギア143を有する。円板部141M2は、4個の収容部141Aの代わりに、2個の突出部141M2Aを有する。
トーションバネ160M2は、円周状に巻回されたトーションバネであり、巻回された部分が平面視で軸部142を囲むように設けられ、両端が2個の突出部141M2Aにそれぞれ係合している。
図8では図示しないが、入力装置100M2のアウターロータは、2個の突出部141M2Aに対応する2個の突出部151M2Aを有する。ここでは、インナーロータ140M2とアウターロータとを基準角度に合わせた状態における2個の突出部151M2Aを破線で示す。
2個の突出部151M2Aは、アウターロータの下面から下方向に突出しており、インナーロータ140M2とアウターロータとを基準角度に合わせた状態で、突出部141M2Aと151M2Aとはトーションバネ160M2の両端部に沿った一直線状に配列される。すなわち、インナーロータ140M2とアウターロータとを基準角度に合わせた状態で、トーションバネ160M2の一端は、片方の突出部141M2A及び151M2Aに係合し、他端は、他方の突出部141M2A及び151M2Aに係合する。
このため、操作者がアウターロータを回転させると、突出部141M2Aと突出部151M2Aの回転方向の位置がずれ、トーションバネ160M2の両端部が両端部のなす角度が小さくなる方向に移動して両端部のなす角度が大きくなる方向への復元力を発生する。
このような入力装置100M2は、入力装置100と同様に、操作者によってアウターロータが操作されると、トーションバネ160M2の両端部のなす角度が大きくなる方向への復元力をアシスト又は制限する方向にモータ130がトルクを発生し、操作者に力覚を提供する。
図9に示す入力装置100M3は、入力装置100のインナーロータ140とコイルバネ160をインナーロータ140M3とトーションバネ160M3に置き換えた構成を有する。図10は、入力装置100M3のアウターロータ150M3を示す図である。
インナーロータ140M3は、円板部141M3、軸部142、及びフェースギア143を有する。円板部141M3は、4個の収容部141Aの代わりに、4個の収容部141M3Aと、8個の突出部141M3Bとを有する。
トーションバネ160M3は、円周状に巻回されたトーションバネであり、巻回された部分が中心軸Cの側に設けられ、巻回された部分の両側がインナーロータ140M3の径方向に沿って外側に延在するように、収容部141M3Aの内部に配設されている。
収容部141M3Aは、円板部141M3の上面から凹む凹部であり、平面視で三角形状の部分と、径方向における外側で回転方向に拡がって凹んだ部分とを有する。また、径方向の中心側には、三角形状の部分の両側で円板部141M3の上面から突出する2個の突出部141M3Bが設けられている。
トーションバネ160M3は、収容部141M3Aの三角形状の部分に収容された状態で、両端が突出部141M3Bに係合している。
また、図10に示すように、アウターロータ150M3は、インナーロータ140M3の4個の収容部141M3Aと、8個の突出部141M3Bと同様の4個の収容部151M3Aと、8個の突出部151M3Bとを有する。
収容部151M3Aは、円板部151M3の下面から凹む凹部であり、平面視で三角形状の部分と、径方向における中心側で回転方向に拡がって凹んだ部分とを有する。また、径方向の外側には、三角形状の部分の両側で円板部151M3の下面から突出する2個の突出部151M3Bが設けられている。
トーションバネ160M3は、収容部151M3Aの三角形状の部分に収容された状態で、両端が突出部151M3Bに係合している。
インナーロータ140M3とアウターロータ150M3とが組み付けられた状態では、突出部151M3Bは、収容部141M3Aの径方向における外側で回転方向に拡がって凹んだ部分に収容され、突出部141M3Bは、収容部151M3Aの径方向における中心側で回転方向に拡がって凹んだ部分に収容される。トーションバネ160M3は両端部のなす角が大きくなる方向に弾性力を有しており、インナーロータ140M3とアウターロータ150M3の両方に弾性力が付勢されている。
このような入力装置100M3は、入力装置100と同様に、操作者によってアウターロータ150M3が操作されると、トーションバネ160M3の両端部のなす角が大きくなる方向への復元力をアシスト又は制限する方向にモータ130がトルクを発生し、操作者に力覚を提供する。
以上、本発明の例示的な実施の形態の入力装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。