以下、本発明の各実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の図面では説明を分かりやすくするため実際のものよりも大きく描いてある構成部材があり、各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1.
図1~図5は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100を示すものである。図1は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の外観を示す正面図、図2は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の蓋体を開放した状態を示す斜視図、図3は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の前後方向の断面図、図4は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の前後方向の断面図の蓋体開閉検知手段に関する要部を拡大した概略図、図5は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の機能ブロック図である。
図3に示すように、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100は、固定される側である加熱調理器本体10と、加熱調理器本体10の背面(後方)側のヒンジ部19に回動自在に支持されて加熱調理器本体10の上方を開閉自在に覆う可動する側である蓋体20と、で構成されている。
図1において、加熱調理器本体10に対して蓋体20が開放する(上下の)境界線PLは、加熱調理器の高さ方向で、中央よりも少し下である。図1に矢印で「上」、「下」と示した方向が加熱調理器100の高さ方向である。矢印で「上」と示した方向が高さ方向で見たときの上方向であり、「下」と示した方向が高さ方向で見たときの下方向である。前記境界線PLは、後述する第1の重合面P1と、第2の重合面P2の中間にある。
加熱調理器本体10は、ヒンジ部19の他、本発明の本実施の形態1に係る加熱調理器本体10の加熱部である底プレート11と、本発明の第1加熱手段である底面加熱手段12と、底面温度検知手段13Bと、電源基板14と、操作部15と、操作基板16と、蓋体開閉検知手段55を構成するリードスイッチ55B(図4参照)と、本発明の本実施の形態1に係る加熱調理器本体10の制御手段である制御装置50(図5参照)が実装された制御基板14と、を備えている。
蓋体20は、蓋体20を閉じた状態にしたときに、境界線PLから上方向に凹む凹部26(図2参照)を備える。凹部26は加熱室天板21と、加熱室側壁22と、シール部材24と、で構成される。
また、蓋体20は本発明の第2の加熱手段である天板加熱手段23と、天板温度検知手段13Aと、蓋体20の前方側を持ち上げる際にユーザー(使用者)が指先を掛け、あるいは摘まむ持ち手25と、を備えている。20Aは、蓋体20の外殻を構成する蓋体ケースであり、プラスチック等で一体に形成されている。19Aは、前記ヒンジ部19の外殻を構成するヒンジケースであり、金属等の剛性に富む材料で形成され、蓋体ケース20Aの後部の真下に配置され、蓋体ケース20Aと固定されている。
図2に示しているように、加熱調理器本体10の前方側には操作部15があり、反対に後方側に前記ヒンジ部19(図3参照)が配置されている。このため、蓋体20は、図2に示すように後方側が前記ヒンジ部19で回動自在に支持されたまま加熱調理器本体10の真上に垂直状態あるいは垂直状態となるまで開放できる。
なお、垂直状態を超えて後方にある程度傾いた状態になっても良く、加熱調理器本体10には電源基板14や、電源プラグ91(図3参照)に接続されている図示しない電源電線を加熱調理器本体10内に巻き取る図示しないコードリールといった重量物を内包しており、垂直状態を超えて後方にある程度傾いた状態になっても加熱調理器本体10は、その重量によって蓋体20を支えることができ、後方に転倒しない。
図2に矢印で「前」と示している方向が加熱調理器の前方向である。逆に矢印で「後」と示した方向が後方である。同じように「右」という矢印方向が右側方向を示し、「左」は左側方向を示している。以下の説明でも、この前後・左右方向の定義に則り、本発明の加熱調理器本体10を説明する。
図2に示すように、加熱調理器100は、前記底プレート11を上面に露出するように配置した加熱調理器本体10と、前記加熱室天板21を下面に露出するように配置した蓋体20とを、備えている。
加熱調理器本体10の上面には、前記底プレート11の前後左右を囲った第1の重合面P1を有し、また蓋体20の下面には、上方向から見た場合、前記加熱室天板21の前後左右を囲った第2の重合面P2を有している構成である。
図2において、XR、XL、XF及びXBは、前記第1の重合面P1の横幅又は前後方向の幅を示している。つまり、第1の重合面P1は、底プレート11の右側では横幅寸法がXRであり、左側ではXLである。
同様に、第1の重合面P1は、底プレート11の後方では前後方向の幅寸法はXBであり、前方側幅寸法はXFで示したものである。これら寸法XR、XL、XF及びXBは、この実施の形態1では、少なくとも10mm以上である。
そして、蓋体20の加熱室天板21が加熱調理器本体10の底プレート11の上面を覆うように重なった状態では、図3に示しているように、前記第1の重合面P1と前記第2の重合面P2が「微小間隙」を挟んで向かい合った状態になる。
つまり、前記第1の重合面P1と前記第2の重合面P2が近接した位置になり、後述する加熱室40の内部空間が外部と遮断された状態になる。なお、ここでいう「外部と遮断された状態」とは、空気の移動を全く許容しないような気密状態を意味するものではなく、積極的に空気を流通させない程度をいう。加熱室40の内部が高温度になって内部の空気の体積が膨張した場合、それに伴って加熱室40内部の空気が自然に外部へ漏れ出る程度は、ここでいう「外部と遮断された状態」である。なお、上記「微小間隙」は、この実施の形態1では3mm以下である。また「密封状態の空間(加熱室)」と「外部と遮断された状態の空間(加熱室)」という意味は、特に断りがない限り、同じである。
なお、図2において、YR、YL、YF及びYBは、前記第2の重合面P2の横幅又は前後方向の幅を示している。これら各寸法YR、YL、YF及びYBは、この実施の形態1では、少なくとも10mm以上である。
底プレート11は、加熱調理器本体10の上面に設けられ、食パンなどの食品である被加熱物30が載置されるものである。この底プレート11は、例えばアルミニウムや銅など(一般的な鉄に比較して)熱伝導性の高い金属製の板材で形成されている。また、底プレート11の熱効率を上げることができるように、底プレート11の少なくとも下面側には、黒色の耐熱塗装が施されている。
前記底プレート11は、図2に示すように周縁部11Cを除いて大きな平面部11Aを備えた浅い皿形状を呈している。この平面部11Aの上面が被加熱物30の載置面であり、加熱面でもある。この平面部11Aは、全体に亘り水平である。
周縁部11Cと平面部11Aは、全周にわたり平面部11A側に向かって低くなる傾斜部11Bでつながれており、平面部11Aが周縁部11Cよりも低くなることで浅い皿形状となっている。
図3に示すように本発明の第1の加熱手段である底面加熱手段12は底プレート11の平面部11Aの裏面の直下で、平面部11Aの裏面に密着して、あるいは微小な間隙を挟んで設けられており、底面加熱手段12は底プレート11を平面部11Aの裏面から加熱する。
前述のように底プレート11の平面部11Aは被加熱物30の載置面であり、被加熱物30が平面部11Aに載置され、被加熱物30の下面が平面部11Aに直に接触することで、底面加熱手段12の発する熱が底プレート11を介して被加熱物30の下面に伝えられる。
なお、底プレート11の平面部11Aは、網やパンチングメタル等のような通気性のある物体で形成されていない。通気性の無い物で形成されており、既に述べたように1例として、金属製薄板から全体が形成されているので、空気や食パンの細かい破片、屑等を全く通過させない構造である。
前述したように底面加熱手段12は底プレート11の平面部11Aの裏面の直下で、平面部11Aの裏面に密着して、あるいは微小な間隙を挟んで設けられており、底面加熱手段12は底プレート11を平面部11Aの裏面から加熱するので、底面加熱手段12の加熱により底プレート11の温度が上がると、その底プレート11からの熱伝導により被加熱物30は下方から加熱される。
つまり、本発明の実施の形態では、底プレート11は、底面加熱手段12からの熱を受けて全体が高温になり、上面の全体から輻射熱を放射する。このため被加熱物30に対しては1つの平面形状の発熱体としての働きをする。
前記底面加熱手段12は、例えば面状ヒーターであり、面状ヒーターとしては、電気絶縁性を確保するためのマイカ板に、電熱帯を巻いた面状ヒーター、および、電熱帯をセラミックで挟んで形成したセラミックヒーターなどがある。なお、上記面状ヒーターは、発熱する電熱線を、マイカ板を介在させて格子状に配置した形態や、横にある間隔で多数並べてマイカ板に敷き詰めた形態など色々なものがある。面状ヒーターは厚みの薄い加熱手段であるため、底面加熱手段12を面状ヒーターとすることで、加熱調理器本体10を小型化することができる
また、面状ヒーターは発熱する電熱帯が隣り合う電熱帯と近い距離で巻くことができるので、取り付けられた加熱面を均一加熱することができる。そのため、鋼管を折り曲げて製造するシーズヒーターなどに比べ、被加熱物30の焼きムラを少なくすることができる。
底面温度検知手段13B(本発明の底プレート温度検知手段)は、底プレート11の温度を検知するもので、図3に示すように底プレート11の平面部11Aの裏面側に設けられている。底面温度検知手段13Bは、例えば、底プレート11の平面部11Aの裏面に接触するサーミスタなどの温度センサーと、この温度センサーからの温度検出信号を後述する本発明の本実施の形態1に係る加熱調理器本体10の制御手段である制御装置50に送信する温度検出回路(図示せず)とを備えている。温度センサーの感熱部は、底プレート11の平面部11Aの裏面に直に接触、または耐熱性の絶縁性材料を介して接触している。
図3に示すように、電源基板14は、加熱調理器本体10の内部の背面側に設けられ、底面加熱手段12および天板加熱手段23に電力を供給するための回路が実装されたものである。また、前述したように本発明の本実施の形態1に係る加熱調理器本体10の制御手段である制御装置50も実装されている。
図3に示す79は、加熱調理器本体10の外殻を構成する本体ケースであり、プラスチック材料で形成されている。
次に、前述した加熱室40とその周辺の構造について説明する。蓋体20を加熱調理器本体10の上面に重なるように閉じた状態にすると、図3に示すように底プレート11の上面と、加熱室側壁22及びシール部材24と凹部26を構成する加熱室天板21との間に一定の容積の空間ができる。この図3に示す有効高さ寸法H2の空間が、被加熱物30を加熱するための加熱室40である。言い換えると、本発明の本実施の形態1に係る加熱調理器本体10の加熱部である底プレート11の上面と蓋体20の凹部26とで形成される空間が、本発明の本実施の形態1に係る加熱調理器100の加熱室40である。
加熱室天板21は、その平面視で見て周囲全体に垂直な加熱室側壁22が連続しているので、底プレート11の平面部11A上に、ある範囲の厚さの食パンを置いた場合、その食パンの上面と加熱室40の天井面となる加熱室天板21との間には、図3に示すように、ある程度の空隙H1が形成される。
加熱室天板21は、アルミニウム等のような熱伝導性の高い金属製の薄い板によって全体がプレス成形で形成されている。加熱室側壁22も、プレス成形によって加熱室天板21と一体に形成されている。
加熱室天板21は、前述の説明から明らかなように、金属製の板で全体が形成されており、非通気性であり、かつ蓋体20を閉じた状態のときに水平となるように設置されている。
底プレート11の平面部11Aと加熱室天板21は、蓋体20を閉じた状態のときに、その全体に亘り対向間隔が同一である。つまり、底プレート11の平面部11Aと加熱室天板21は、互いに平行になっているので、前述の加熱室40の有効高さ寸法H2は、底プレート11の平面部11Aの、ほぼ全域に亘って確保される。
前述のように、蓋体20は、蓋体20を閉じた状態にしたときに、境界線PLから上方向に凹む凹部26(図2参照)を備える。凹部26は、加熱室天板21の前後左右を囲った第2の重合面P2の内側、中央部に設けられている。加熱室天板21は、凹部26の上面を形成するものである。
また、加熱室側壁22は、蓋体20の内側の側面に設けられ、凹部26の側面を形成するものである。つまり、この凹部26によって蓋体20の内部に加熱室40の大部分が形成される。加熱室40の残りの部分は、底プレート11の上に形成される。言い換えると、加熱室40は、蓋体20の凹部26と加熱調理器本体10上面の底プレート11が重なり合った状態で、それら両者により形成される。
また、加熱室天板21の熱効率を上げることができるように、少なくとも加熱室天板21の上面側には、黒色の耐熱塗装が施されている。
天板加熱手段23は、加熱室天板21の上面側に設けられ、加熱室天板21を加熱することにより加熱室40を上方から加熱するものであり、加熱室天板21からの輻射熱により被加熱物30を上方から加熱する。つまり、加熱室天板21は被加熱物30を加熱する加熱部である。
天板加熱手段23は、例えば底面加熱手段12と同様の面状ヒーターであり、加熱室天板21の加熱室40側とは反対の上面直上で、加熱室天板21の加熱室40側とは反対の上面に密着して、あるいは微小な間隙を挟んで設けられている。
つまり、本発明の実施の形態では、加熱室天板21は、天板加熱手段23からの熱を受けて全体が高温になり、後述する加熱室40の下方に向けて、下面の全体から輻射熱を放射する。このため被加熱物30に対しては1つの平面形状の発熱体としての働きをする。
シール部材24は、加熱室側壁22の下端に沿って一定の幅で連続して設けられている。言い換えると、平面視で見た場合、蓋体20の凹部26の前後と左右を囲むように、第1の重合面P1の全体に亘って設けてある。このシール部材24は、その全長にわたり、前記第2の重合面P2から下方へ数mm程度突出しており、蓋体20が閉じられた状態において底プレート11の周縁部11C上面と密着し、密閉度の高い加熱室40を形成する。シール部材24は、耐熱性が高く蒸気に強いゴム材料、例えばシリコーンゴムで形成されており、柔軟性があるので底プレート11の周縁部11C上面と密着する際には、シール部材24の下端部は変形する。
なお、本発明の実施の形態1では、シール部材24を用いて密閉度の高い加熱室40を形成する構成としたが、それに限定されず、シール部材24の代わりにラビリンス構造を備え、そのラビリンス構造を用いて密閉度の高い加熱室40を形成する構成としてもよい。例えば、第1の重合面P1と第2の重合面P2の一方に溝部を形成し、他方にその溝部の中に微小間隙を保って嵌り込むような凸状を設けることである。
図3に示す、42は、平面形状が長方形の第1上ケースであり、金属製の薄板からプレス成形によって形成されている。この第1上ケース42の外周縁部42Aは、加熱室天板21の天井部の上に密着するように重なっている天板加熱手段23の上面に重ねてある。42Sは、加熱室天板21上面とこの第1上ケース42下面との間に形成された密閉空間である。
図3において、43は、平面形状が長方形の第2上ケースであり、金属製の薄板からプレス成形によって形成されている。この第2上ケース42の外周縁部43Aは、第1上ケース42の外周縁部42Aに重ね合わせてある。
図3に示す、44は、前記第1上ケース42と前記第2上ケース43の中央部を貫通するように設けた固定用のネジである。45は、電気絶縁性と断熱性に富む断熱材から形成された断熱部材であり、例えばグラスウール製である。前記ネジ44は、図3に示すように前記断熱部材45の側から前記第1上ケース42と前記第2上ケース43の中央部を貫通するように、上向きに固定されている。前記断熱部材45は、前記第1上ケース42と前記加熱室天板21との間の空隙49を、それら周縁部を除いて隙間なく埋めるように、上下方向に若干圧縮された状態で設置されている。
図3に示す46は、前記加熱室側壁22の全周囲を囲むように形成された平面形状がリング(中空円柱)状の支持枠であり、耐熱性のプラスチックで全体が形成されている。46Aは、前記支持枠46の下面であり、この下面は前記第2の重合面P2を形成する。
次に蓋体20の内部における各種空隙、空間について説明する。
なお、これ以降、被加熱物30の一例として食パンを用いて説明することがある。食パンは角型の普通の食パンであり、一般的な大きさは縦約120mm×横約120mmである。図3に示すG1は、前記底プレート11の上に置かれた普通の大きさの食パンの後方端面と、後方側の加熱室側壁22との間に形成される第1の空隙である。
G2は、普通の大きさの食パンを収容した場合、その食パンの後方端面と、前方側の加熱室側壁22との間に形成される第2の空隙である。つまり、加熱室40の前後方向の有効長さは、普通の大きさの食パンを収容した場合、前方も後方も加熱室側壁22と接触しないような寸法である。
同様に、図示はしていないが、加熱室40の左右方向の有効長さは、普通の大きさの食パンを収容した場合、右側方も左側方も加熱室側壁22と接触しないような寸法になっている。また、この第1の空隙G1と第2の空隙G2は、底プレート11において、平面部11Aの周囲(前後・左右)にある傾斜部(傾斜面)11Bの存在も関係しており、その傾斜部11Bの前後・左右方向の寸法を大きく確保すれば、それら第1、第2の空隙G1、G2も大きくなる。
図3に示す、G3は、前記支持枠46の前方にある垂直状態の壁面端面と、蓋体20の前方側の側壁との間に形成される第3の空隙である。G4は、同じく前記支持枠46の後方にある垂直状態の壁面端面と、蓋体20の後方側の側壁との間に形成される第4の空隙である。また図示していないが、支持枠46の右側方と左側方も、それぞれ蓋体20の側壁面との間に空隙を有しているため、結局、支持枠46の全周囲で蓋体20の側壁面との間に空隙がある。
図3に示す、G5は、前記支持枠46に形成された垂直状態の壁面端面と、前記加熱室側壁22の前後・左右の外側壁面との間に形成される第5の空隙である。この第5の空隙G5と前記第3及び第4の空隙G3、G4によって、加熱室側壁22の前後及び左右は、加熱調理器100の外殻となる蓋体20に対して、断熱性を高めることができる。
図3に示す、G6は、前記第2上ケース43の上面と蓋体20の上壁面(天井壁面)との間に形成される第6の空隙である。この第6の空隙G6によって、前記第2上ケース43は、加熱調理器100の外殻となる蓋体20に対して、断熱性を高めることができる。なお、前記第2上ケース43は、前述したように天板加熱手段23の上方に断熱材45を水平方向に展開しているので、この第2上ケース43自体の温度も低く抑えられている。以上の構成によって蓋体20が構成されている。
図1~図3において、操作部15は、加熱調理器本体10の前面に設けられ、ユーザーの操作により調理条件の設定が行われるものである。また、操作部15は、各種加熱条件や調理条件等を設定するための複数の設定用スイッチ、加熱の開始及び停止のための加熱開始/停止スイッチで構成され、詳しくは、1つの調理条件を設定するモード設定操作手段15Aと、他の調理条件を設定する厚さ設定操作手段15Bと、加熱条件を設定する焼き色設定操作手段15Cと、加熱開始/停止操作手段15Dと、を備えている。
なお、なお、本発明の実施の形態では、モード設定操作手段15Aと、厚さ設定操作手段15Bと、焼き色設定操作手段15Cと、加熱開始/停止操作手段15Dは、それぞれ押圧式のメカスイッチとして説明するが、これに限定されるものではなく、静電容量式のタッチスイッチあるいはダイヤル式のものであってもよく、適宜選択可能である。
モード設定操作手段15Aの操作スイッチを1回ずつ押すことによって、「常温パン」モード、「具材のせパン」モード(本発明の第1の加熱モード)、「冷凍パンモード」(本発明の第2の加熱モード)、「フレンチトースト」モード(本発明の第3の加熱モード)の何れか1つを選択すると、選択された何れか1つを特定する信号(以下、「モード設定信号」という)が、後述する制御装置50に入力される。
ここで、「常温パン」とは、常温で保存された状態の食パンである。「冷凍パン」とは、冷凍庫内で保存され、凍った状態の食パンである。なお、冷凍庫内での保管方法、保管期間などは問わない。
「具材のせパン」とは、食パンの上にチーズなどパン以外の具材がのせられたものである。なお、具材については、マヨネーズなどの調味料、野菜、肉、魚、果物などでもよく、または、それらを複数組み合わせたものでもよい。
フレンチトーストとは、食パン内部に溶き卵、牛乳などの単一の液体または複数食材を混合した液体をしみこませた後、加熱して仕上げる料理である。なお、必ずしも液体をパンの中心まで染みこませる必要はなく、一部でもよい。また、染みこませる液体の量も問わないが、加熱前の水分量は加熱前のパン単体よりも多くなる。
また、ユーザーが、厚さ設定操作手段15Bの操作スイッチを1回ずつ押すことによって、4枚切、5枚切、6枚切、8枚切の食パンの厚さを選択することができる。ここでいう「厚さ」とは、食パン一斤を切り分けるときに、4枚、5枚、6枚、8枚の何れかで切り分けられ、食パン一斤をその枚数で切り分けたときの厚さのことを言っている。例えば4枚切の厚さは約30mm/枚、6枚切の厚さは約20mm/枚となっている。
加熱室40の高さは、少なくとも4枚切の食パンよりも大きく、4枚切の食パンに具材をのせても加熱室天板21に具材が接触しない程度の寸法が望ましい。加熱室40の高さは、例えば45mmである。これは、底プレート11に載置された、市販で最も厚い4枚切約30mmの食パンの上に、チーズなどの具材を厚さ10mm程度までのせた状態で蓋体20を閉めても、食パンの上の具材と加熱室天板21とが接触しないで、数mm~15mm程度離れた状態となる寸法である。
さらに、焼き色設定操作手段15Cは、ユーザーが調理する被加熱物30である食パンなどの「焼き色」を設定する、言い換えると仕上がりを設定するものである。焼き色設定操作手段15Bの操作スイッチを1回ずつ押すことによって、「薄い」、「普通」、「濃い」の3種類の焼き色、及び焼き色を付けるために加熱時間を延長する「延長」の内から、何れか1つをユーザーが任意に選択できる。
図1に示している加熱開始/停止操作手段15Dは、加熱調理器100による調理の加熱を開始、または停止させるものである。ユーザーが加熱開始、または停止を意図して特定の操作をした場合、後述する制御装置50に入力される。
操作基板16は、加熱調理器本体10の内部の前面側に設けられ、操作部15から入力された信号を処理するための回路が実装されたものであり、制御装置50に出力するものである。
制御装置50は、加熱調理器本体10の内部に設けられた電源基板14に実装されており、操作部15からの入力、つまり、ユーザーにより設定された「調理モード」、「厚さ」、および「焼き色」に基づき制御装置50のメイン制御部51が制御するものである。メイン制御部51はマイコンである。
なお、本発明の実施の形態では制御装置50は、マイコンとその動作を規定するソフトウェアで構成するようにしたが、これに限定されるものではなく、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできる。
図3に示す矢印UTは、固定用ネジ等の締結具によって仕切り板72と第1下ケース75の外周縁部を、リング状のプラスチック製支持枠74に下方から固定する方向を示している。言い換えると、前記仕切り板72と第1下ケース75の外周縁部は、支持枠74に固定されている。75Aは、第1下ケース75の外周縁部に一連に形成した傾斜面である。
図4は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の前後方向の断面図の蓋体開閉検知手段に関する要部を拡大した概略図である。なお、この要部は、蓋体20が閉じられた状態における加熱調理器本体10と蓋体20との接触部分も含んで示している。
蓋体20と加熱調理器本体10との重合面(第1の重合面P1、第2の重合面P2)における気密性を確保するための1つの手段である「ラビリンス構造」としては、この図4に示す構成でも良い。
図4に示す28は、図3に示した平面形状がリング(中空円柱)状の支持枠46と同様な支持枠であり、耐熱性のプラスチックや金属で全体が形成されている。28aは、前記支持枠28の下面、すなわち第2の重合面P2に下方へ突出するように一体に形成した突起部である。この突起部は、リング(中空円柱)状の支持枠28の全長に亘って形成されているので、平面視ではリング状に形成されている。
17は、図3に示したリング状の支持枠74と同様な、耐熱性プラスチック又は金属製で全体が形成された支持枠である。17aは、前記支持枠74の上面、すなわち、第1の重合面P1に形成した溝であり、この溝17aは、リング(中空円柱)状の支持枠17の全長に亘って形成されているので、平面視では環状に形成されている。
蓋体20が閉じられた状態において、蓋体20側の支持枠の突起部28aが加熱調理器本体10側の支持枠17の溝17aと、緊密に嵌合するようになっている。そして、突起部28aと溝17aとが嵌合することで、密閉度の高い加熱室40を形成することができる。
なお、溝17aが形成されている位置と突起部28aが設けられている位置とを逆にしてもよい。つまり、加熱調理器本体10の支持枠17の上面に突起部(図示せず)を設け、蓋体20側の支持枠28の下面に溝(図示せず)を形成してもよい。こうすることでも、突起部と溝とが嵌合することで、密閉度の高い加熱室40を形成することができる。また溝17aと突起部28aは、加熱室40の周囲を囲むように複数列設けても良い。つまり、同心円状に溝17aと突起部28aを2重、3重、又は4重等に形成しても良い。
図4に示す81は、飾り枠であり、平面形状がリング(中空円柱)状を呈している。この飾り枠81と、プラスチック製のリング状の支持枠17とは、その上面の位置が面一となるように固定されている。
図4に示す84は、前記本体ケース79と飾り枠81との間に形成された空間である。72は、前記第1下ケース75の下方全体を覆うように水平に設置された仕切り板であり、金属製の薄板によって全体が形成されている。この仕切り板72の前方端部72Hは、前記空間84の中に入って上方に垂直に曲げられている。
図4に示す11Eは、底プレート11の前方端部であり、この水平な端部11Eは、仕切り板72と重なりあった状態で、前記支持枠17と飾り枠81によって上方から押されている。このため、飾り枠81、支持枠17、底プレート11の端部11E、第1下ケース75端部、及び仕切り板72の端部が密着した状態になっているので、底面加熱手段12の熱が、前記本体ケース79の外部に逃げることは抑制された構成である。
図4に示す75Hは、前記第1下ケース75の周縁部に形成した垂直部であり、この垂直部よりも更に外周端部が、前記支持枠17によって上方から押さえられている。77は、操作部15の周辺壁材である。この周辺壁材の上面と前記支持枠17の下面との間に、前記第1下ケース75の外周端部が挟まれて固定されている。
金属薄板製の第1下ケースと底面加熱手段12の間には、断熱部材45と同様、例えばグラスウールで形成された断熱部材73が設けられている。
図4に示す55は蓋体開閉検知手段であり、マグネット55Aとリードスイッチ55Bとで構成されている。リードスイッチ55Bは磁力の影響を受けることでスイッチを閉じ、磁力の影響を受けなくなるとスイッチが開くものである。
図4に示すようにマグネット55Aは、蓋体20側の支持枠28内に、リードスイッチ55Bは加熱調理器本体10側の飾り枠81内にそれぞれ取り付けられており、蓋体20を閉じたときにマグネット55Aがリードスイッチ55Bに最も近づくようになっていて、このときリードスイッチ55Bがマグネット55Aの磁力の影響を受けることでスイッチが閉じ信号が流れるので、制御装置50のメイン制御部51は蓋体20が閉じられたことを検知する。
反対に、蓋体20を開くとマグネット55Aがリードスイッチ55Bから遠ざかり、リードスイッチ55Bがリードスイッチ55Bの磁力の影響を受けなくなるため、スイッチが開き信号が流れなくなるので、制御装置50のメイン制御部51は蓋体20が開いたことを検知する。
次に図5について説明する。図5は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の機能ブロック図である。図5に示すように、天板加熱手段23と底面加熱手段12に対して、食パンの厚さに応じて、例えば天板加熱手段23と底面加熱手段12を同時に通電したり、交互に通電したり、どちらか一方のみ通電したり、といった加熱状態を選択できる通電切替装置60が、電源基板14に実装されている。また、電源基板14には制御装置を駆動するために商用電源から低電圧電源を作り出す電源回路56が実装されている。
加熱調理器本体10の前面に設けられた操作部15にあるモード設定操作手段15A(本発明の加熱モード設定操作手段)をユーザーが操作すると、操作基板16に実装されたモード設定操作手段15Aに対応するスイッチ16Aが入力される。モード設定操作手段15Aは前述のように、1回ずつ押すことによって、「常温パン」モード、「冷凍パン」モード(本発明の第1のモード)、「具材のせパン」モード(本発明の第2のモード)、「フレンチトースト」モード(本発明の第3のモード)の4つの調理モードの何れか1つを選択することができる。そして、制御装置50は、図1に示す4つのLEDを有する発光部16Eを、選択された加熱モードに対応させてLEDを1つ点灯させる。
また、厚さ設定操作手段15Bをユーザーが操作すると、操作基板16に実装された厚さ設定操作手段15Bに対応するスイッチ16Bが入力される。厚さ設定操作手段15Bは前述のように、1回ずつ押すことによって、4枚切、5枚切、6枚切、8枚切の食パンの厚さの何れか1つを選択することができる。そして、制御装置50は、図1に示す4つのLEDを有する発光部16Fを、選択された厚さに対応させてLEDを1つ点灯させる。
さらに、焼き色設定操作手段15Cをユーザーが操作すると、操作基板16に実装された
に対応するスイッチ16Cが入力される。焼き色設定操作手段15Cは前述のように、1回ずつ押すことによって、「薄い」、「普通」、「濃い」の3種類の焼き色、及び焼き色を付けるために加熱時間を延長する「延長」の内から、何れか1つを選択することができる。そして、制御装置50は、図1に示す4つのLEDを有する発光部16Gを、選択された焼き色設定に対応させてLEDを1つ点灯させる。
それから、加熱開始/停止操作手段15Dをユーザーが操作すると、操作基板16に実装された加熱開始/停止操作手段15Dに対応するスイッチ16Dが入力される。加熱開始/停止操作手段15Dは、加熱停止状態からユーザーが加熱開始を意図して1回押すことによって、加熱が開始されるとともに、制御装置50は、図1に示す1つのLEDを有する発光部16Hに対応するLEDを点灯させる。
このようにして設定されたモード設定、厚さ設定、焼き色設定に基づいて、加熱開始後、
制御装置50は、設定されたモード、厚さ、焼き色に対応した「通電切替信号」を電源基板14の通電切替装置60に対して出力して加熱調理を行う。
ユーザーが加熱中の状態から加熱を停止させるときは、加熱開始/停止操作手段15Dを1回押すことによって、加熱が停止されるとともに、制御装置50は、図1に示す1つのLEDを有する発光部16Hに対応するLEDを消灯させる。
本発明の実施の形態1に係る制御装置50は、マイコンであるメイン制御部51と、演算部52と、計時部53と、記憶部54と、を備えている。メイン制御部51は、上面温度検知手段13A、底面温度検知手段13B、蓋体開閉検知手段55、操作基板16を介して操作部15から入力される情報「モード設定」、「厚さ設定」、「焼き色設定」及び「調理開始設定、または調理停止設定」に基づいて、底面加熱手段12および上面加熱手段23を制御するものである。
演算部52は、各種制御パラメータを演算するものである。計時部53は調理時間を計測するものである。記憶部54は、各種調理モードや被加熱物30の厚さ、焼き色に基づく調理の制御プログラム等が記憶されているものである。電源基板14は、制御装置50から出力された制御信号に基づいて、底面加熱手段12および上面加熱手段23への通電をONまたはOFFする。底面加熱手段12により加熱された底プレート11の温度は、底面温度検知手段13Bにより検知され、その検知した温度情報は制御装置50に入力される。また、上面加熱手段23により加熱された加熱室天板21の温度は、上面温度検知手段13Aにより検知され、その検知した温度情報は制御装置50に入力される。制御装置50は、これら上面温度検知手段13A、底面温度検知手段13Bの検知温度に基づき、上面加熱手段23、底面加熱手段12の通電制御を行い、所定の温度になるよう制御する。さらに蓋体20の開閉は蓋体開閉検知手段55により検知され、その検知した開閉情報は制御装置50に入力される。
次に、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100による被加熱物30の調理のステップと動作について、図6、図7を用いて説明する。図6は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の調理工程の制御の一例を示すフローチャート、図7は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の調理工程の一例を示す概略調理工程図である。
ユーザーがモード設定操作手段15Aで、例えば「常温パン」の加熱モードを選択(S1)、厚さ設定操作手段15Bで、例えば常温パンの厚さ「6枚切」を選択(S2)、焼き色設定操作手段15Cで、例えば焼き色「普通」を選択(S3)する。
各モードの設定が完了した後、加熱開始/停止操作手段15Dで加熱開始を操作する(S4)と同時に、底面温度検知手段13Bが通電開始時の底プレート11の温度T0aを検知(S5)する。加熱を開始する操作は、蓋体開閉検知手段55が、蓋体20が閉じていることを検知していないときは操作できない。つまり、蓋体20が開放している状態では加熱は開始できないようになっている。
なお、ここではモード設定操作手段15A、厚さ設定操作手段15B、焼き色設定操作手段15Cを全て設定する例で説明したが、モード設定操作手段15A、厚さ設定操作手段15B、焼き色設定操作手段15Cの何れか1つの設定操作手段を操作するだけでもよい。また、モード設定操作手段15A、厚さ設定操作手段15B、焼き色設定操作手段15Cにはそれぞれデフォルトの設定がされているものであれば、モード設定操作手段15A、厚さ設定操作手段15B、焼き色設定操作手段15Cの設定は行わずに加熱開始/停止操作手段15Dで加熱開始を操作するようにしてもよい。
制御装置50のメイン制御部51は、通電開始時の底プレート11の温度T0aにより、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の制御基準温度T1aと天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の制御基準温度T1bと、を決定(S6)する。ここでいう制御基準温度T1aとは、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の通電をOFFするかONするかの判断基準となる温度のことである。また、制御基準温度T1bとは、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の通電をOFFするかONするかの判断基準となる温度のことである。
なお、制御基準温度T1aを決定する方法であるが、通電開始時の底プレート11の温度T0aにあらかじめ試験によって設定された係数k1を演算部52で掛け合わせ算出するというような数式を用いて決定する方法と、通電開始時の底プレート11の温度T0aから、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている通電開始時の底プレートの温度T0aと底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の制御基準温度T1aの相関テーブルにある、T0aに対応するT1aを呼び出して決定する方法があり、何れの方法を採用してもよい。
同様に、制御基準温度T1bを決定する方法も、通電開始時の底プレートの温度T0aにあらかじめ試験によって設定された係数k1を演算部52で掛け合わせ算出するというような数式を用いて決定する方法と、通電開始時の底プレートの温度T0aから、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている通電開始時の底プレートの温度T0aと天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の制御基準温度T1bの相関テーブルにある、T0aに対応するT1bを呼び出して決定する方法の、何れの方法を採用してもよい。また、制御基準温度T1aと制御基準温度T1bの算出に用いる係数k1は同じ係数でも異なる係数でもよい。
制御装置50のメイン制御部51は、加熱開始/停止操作手段15Dで加熱開始を操作する(S4)と同時に、総加熱時間t1の決定(S7)も行い、総加熱時間t1の計時も開始する。ここでいう総加熱時間とは、加熱開始から加熱終了までの時間であり、途中で制御基準温度T1aを超えて底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12がOFFしている時間、あるいは途中で制御基準温度T1bを超えて天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23がOFFしている時間も含んでいる。
なお、総加熱時間t1を決定する方法であるが、通電開始時の底プレート11の温度T0aにあらかじめ試験によって設定された係数k2を演算部52で掛け合わせ算出するというような数式を用いて決定する方法と、通電開始時の底プレートの温度T0aから、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている通電開始時の底プレートの温度T0aと総加熱時間t1の相関テーブルにある、T0aに対応するt1を呼び出して決定する方法があり、何れの方法を採用してもよい。
通電が開始された後、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12と天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23は、図7に示すように連続通電しており、底面温度検知手段(底プレート温度検知手段)13Bが検知する通電中の底プレート11の温度TXaと、天板温度検知手段13Aが検知する通電中の加熱室天板(加熱部)21の温度TXbは上昇する。なお、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12と天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23への通電は必ずしも連続通電で行わなければならない訳ではなく、図8に示すように、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23への通電を、例えば20秒の間で15秒通電、5秒通電停止というように調理に応じて断続的に行ってもよい。また、図9に示すように底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12への通電を、例えば20秒の間で15秒通電、5秒通電停止というように調理に応じて断続的に行ってもよい。また、被調理物の厚さによって通電と停止の時間を変えてもよく、焼き色によって通電と停止の時間を変えてもよい。また、所定の時間内において通電と停止を断続的に行うことは通電電力を下げることと同じ意味であるので、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12あるいは天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の通電を断続的に行うのではなく、通電電力を下げて連続通電するようにしてもよい。
制御装置50のメイン制御部51は、経過時間taが総加熱時間t1に到達しない間、通電中の底プレート11の温度TXaが制御基準温度T1aを超えたことを検知(S8)すると底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12をOFF(S9)し、通電中の底プレート11の温度TXaが制御基準温度T1aより下がったことを検知(S12)すると底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12をON(S13)する工程を繰り返す。
同様に、経過時間taが総加熱時間t1に到達しない間、通電中の加熱室天板(加熱部)21の温度TXbを超えたことを検知(S14)すると天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23をOFF(S15)し、通電中の加熱室天板(加熱部)21の温度TXbが制御基準温度T1bより下がったことを検知(S16)すると天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23をON(S17)する工程を繰り返す。
そして、制御装置50のメイン制御部51が、計時部53が計時する経過時間taが総加熱時間t1に到達したと判断(S10)すると、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12と天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23への通電を停止(S11)し調理を終了する。
以上のように本発明の実施の形態1に係る加熱調理器は、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の制御基準温度T1aと天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の制御基準温度T1bと、総加熱時間t1と、を通電開始時の底プレート11の温度T0aによって設定している。前述のように底プレート11には被加熱物30が直接載置され、底プレート11は、例えばアルミニウムや銅など(一般的な鉄に比較して)熱伝導性の高い金属製の板材で形成されているので被加熱物30の温度に近い温度が検知できるので、通電開始時の底プレート11の温度T0aを用いることで、被加熱物30の温度状態が加熱条件の設定に反映でき、調理の出来映えにムラが生じ難くなり、被加熱物30に適した加熱制御を行うことができる。
なお、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器では底プレート11の通電開始時の底プレート11の温度T0aを検知する底面温度検知手段(底プレート温度検知手段)13Bを1つで構成する例で説明したが、底面温度検知手段(底プレート温度検知手段)を複数設け、複数の底面温度検知手段(底プレート温度検知手段)の平均値を通電開始時の底プレート11の温度T0aとしてもよい。また、複数の底面温度検知手段(底プレート温度検知手段)の検知温度の最大値、あるいは最小値を通電開始時の底プレート11の温度T0aとしてもよく、適宜選定可能である。
また、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器では総加熱時間t1を、通電開始時の底プレート11の温度T0aにより設定するようにしたが、通電開始時の底プレート11の温度T0aと加熱モード、厚さ、焼き色の何れか、またはこれら全ての設定を行ったことで変更される調理の条件に応じて総加熱時間t2として設定するようにしてもよい。
実施の形態2
本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の構成は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器と同様であり、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器と、被加熱物30の調理のステップと動作が一部異なる。ここでは、図10を用い、本発明の実施の形態2の加熱調理器の被加熱物30の調理のステップと動作について説明し、本発明の実施の形態1の加熱調理器の構成と同様の構成については説明を省略する。
図10は本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の調理工程の制御の一例を示すフローチャートである。ユーザーがモード設定操作手段15Aで、例えば「常温パン」の加熱モードを選択(S21)、厚さ設定操作手段15Bで、例えば常温パンの厚さ「6枚切」を選択(S22)、焼き色設定操作手段15Cで、例えば焼き色「普通」を選択(S23)する。
各モードの設定が完了した後、加熱開始/停止操作手段15Dで加熱開始を操作する(S24)と同時に、底面温度検知手段13Bが通電開始時の底プレート11の温度T0aを検知し、天板温度検知手段13Aが通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bを検知(S25)する。加熱を開始する操作は、蓋体開閉検知手段55が、蓋体20が閉じていることを検知していないときは操作できない。つまり、蓋体20が開放している状態では加熱は開始できないようになっている。
なお、ここではモード設定操作手段15A、厚さ設定操作手段15B、焼き色設定操作手段15Cを全て設定する例で説明したが、モード設定操作手段15A、厚さ設定操作手段15B、焼き色設定操作手段15Cの何れか1つの設定操作手段を操作するだけでもよい。また、モード設定操作手段15A、厚さ設定操作手段15B、焼き色設定操作手段15Cにはそれぞれデフォルトの設定がされているものであれば、モード設定操作手段15A、厚さ設定操作手段15B、焼き色設定操作手段15Cの設定は行わずに加熱開始/停止操作手段15Dで加熱開始を操作するようにしてもよい。
制御装置50のメイン制御部51は、通電開始時の底プレート11の温度T0aにより、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の制御基準温度T1aを決定し、通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bにより、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の制御基準温度T1bと、を決定(S26)する。ここでいう制御基準温度T1aとは、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の通電をOFFするかONするかの判断基準となる温度のことである。また、制御基準温度T1bとは、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の通電をOFFするかONするかの判断基準となる温度のことである。
なお、制御基準温度T1aを決定する方法であるが、通電開始時の底プレート11の温度T0aにあらかじめ試験によって設定された係数k1を演算部52で掛け合わせ算出するというような数式を用いて決定する方法と、通電開始時の底プレート11の温度T0aから、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている通電開始時の底プレートの温度T0aと底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の制御基準温度T1aの相関テーブルにある、T0aに対応するT1aを呼び出して決定する方法があり、何れの方法を採用してもよい。
制御基準温度T1bを決定する方法は、通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bにあらかじめ試験によって設定された係数k1を演算部52で掛け合わせ算出するというような数式を用いて決定する方法と、通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bから、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bと天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の制御基準温度T1bの相関テーブルにある、T0bに対応するT1bを呼び出して決定する方法の、何れの方法を採用してもよい。また、制御基準温度T1aと制御基準温度T1bの算出に用いる係数k1は同じ係数でも異なる係数でもよい。
制御装置50のメイン制御部51は、加熱開始/停止操作手段15Dで加熱開始を操作する(S24)と同時に、総加熱時間t1の決定(S27)も行い、総加熱時間t1の計時も開始する。ここでいう総加熱時間とは、加熱開始から加熱終了までの時間であり、途中で制御基準温度T1aを超えて底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12がOFFしている時間、あるいは途中で制御基準温度T1bを超えて天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23がOFFしている時間も含んでいる。
なお、総加熱時間t1を決定する方法であるが、通電開始時の底プレート11の温度T0aにあらかじめ試験によって設定された係数k2を演算部52で掛け合わせ算出するというような数式を用いて決定する方法と、通電開始時の底プレート11の温度T0aから、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている通電開始時の底プレートの温度T0aと総加熱時間t1の相関テーブルにある、T0aに対応するt1を呼び出して決定する方法があり、何れの方法を採用してもよい。
通電が開始された後、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12と天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23が通電されることにより、底面温度検知手段(底プレート温度検知手段)13Bが検知する通電中の底プレート11の温度TXaと、天板温度検知手段13Aが検知する通電中の加熱室天板(加熱部)21の温度TXbが上昇する。
制御装置50のメイン制御部51は、経過時間taが総加熱時間t1に到達しない間、通電中の底プレート11の温度TXaが制御基準温度T1aを超えたことを検知(S28)すると底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12をOFF(S29)し、通電中の底プレート11の温度TXaが制御基準温度T1aより下がったことを検知(S32)すると底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12をON(S33)する工程を繰り返す。
同様に、経過時間taが総加熱時間t1に到達しない間、通電中の加熱室天板(加熱部)21の温度TXbを超えたことを検知(S34)すると天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23をOFF(S35)し、通電中の加熱室天板(加熱部)21の温度TXbが制御基準温度T1bより下がったことを検知(S36)すると天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23をON(S37)する工程を繰り返す。
そして、制御装置50のメイン制御部51が、計時部53が計時する経過時間taが総加熱時間t1に到達したと判断(S30)すると、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12と天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23への通電を停止(S31)し調理を終了する。
以上のように本発明の実施の形態2に係る加熱調理器は、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の制御基準温度T1aと、総加熱時間t1と、を通電開始時の底プレート11の温度T0aによって設定し、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の制御基準温度T1bを通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bによって設定している。前述のように底プレート11には被加熱物30が直接載置され、底プレート11は、例えばアルミニウムや銅など(一般的な鉄に比較して)熱伝導性の高い金属製の板材で形成されているので通電開始時の底プレート11の温度T0aは被加熱物30の温度に近い温度が検知できるので、通電開始時の底プレート11の温度T0aを用いることで、被加熱物30の温度状態が加熱条件の設定に反映でき、連続して調理しているときには通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bは被加熱物30を加熱するための加熱室40の温度に近い温度が検知できるので、通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bを用いることで、加熱室40の温度状態が加熱条件の設定に反映でき、調理の出来映えにムラが生じ難くなり、温度条件に適した加熱制御を行うことができる。
なお、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器では、総加熱時間t1を通電開始時の底プレート11の温度T0aにあらかじめ試験によって設定された係数k2を演算部52で掛け合わせ算出するというような数式を用いて決定する方法と、通電開始時の底プレートの温度T0aから、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている通電開始時の底プレートの温度T0aと総加熱時間t1の相関テーブルにある、T0aに対応するt1を呼び出して決定する方法があり、何れの方法を採用してもよいと説明したが、通電開始時の底プレートの温度T0aと通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bにより、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている通電開始時の底プレートの温度T0aと通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bの相関テーブルにある、T0aとT0bに対応するt1を呼び出して決定するようにしてもよい。また、通電開始時の底プレートの温度T0aと通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bと加熱モード、厚さ、焼き色の何れか、またはこれら全ての設定を行ったことで変更される調理の条件に応じて総加熱時間t2として設定するようにしてもよい。
また、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器では底プレート11の通電開始時の底プレート11の温度T0aを検知する底面温度検知手段(底プレート温度検知手段)13Bと、通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bを検知する天板温度検知手段13Aをそれぞれ1つで構成する例で説明したが、底面温度検知手段(底プレート温度検知手段)と天板温度検知手段を複数設け、複数の底面温度検知手段(底プレート温度検知手段)の平均値を通電開始時の底プレート11の温度T0aとし、複数の天板温度検知手段の平均値を通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bとしてもよい。また、複数の底面温度検知手段(底プレート温度検知手段)の検知温度の最大値、あるいは最小値を通電開始時の底プレート11の温度T0aとし、複数の天板温度検知手段の検知温度の最大値、あるいは最小値を通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bとしてもよく、適宜選定可能である。
実施の形態3
本発明の実施の形態3に係る加熱調理器の構成は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器と同様であり、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器と、被加熱物30の調理のステップと動作が一部異なる。ここでは、図11を用い、本発明の実施の形態3の加熱調理器の被加熱物30の調理のステップと動作について説明し、本発明の実施の形態1の加熱調理器の構成と同様の構成については説明を省略する。
図11は本発明の実施の形態3に係る加熱調理器の調理工程の制御の一例を示すフローチャートである。ユーザーがモード設定操作手段15Aで、例えば「常温パン」の加熱モードを選択(S41)、厚さ設定操作手段15Bで、例えば常温パンの厚さ「6枚切」を選択(S42)、焼き色設定操作手段15Cで、例えば焼き色「普通」を選択(S43)する。
各モードの設定が完了した後、加熱開始/停止操作手段15Dで加熱開始を操作する(S44)と同時に、底面温度検知手段13Bが通電開始時の底プレート11の温度T0aを検知し、天板温度検知手段13Aが通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bを検知し、演算部52で通電開始時の底プレート11の温度T0aから通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bを引いた値、T0xを算出(S45)する。加熱を開始する操作は、蓋体開閉検知手段55が、蓋体20が閉じていることを検知していないときは操作できない。つまり、蓋体20が開放している状態では加熱は開始できないようになっている。
なお、ここではモード設定操作手段15A、厚さ設定操作手段15B、焼き色設定操作手段15Cを全て設定する例で説明したが、モード設定操作手段15A、厚さ設定操作手段15B、焼き色設定操作手段15Cの何れか1つの設定操作手段を操作するだけでもよい。また、モード設定操作手段15A、厚さ設定操作手段15B、焼き色設定操作手段15Cにはそれぞれデフォルトの設定がされているものであれば、モード設定操作手段15A、厚さ設定操作手段15B、焼き色設定操作手段15Cの設定は行わずに加熱開始/停止操作手段15Dで加熱開始を操作するようにしてもよい。
制御装置50のメイン制御部51は、算出された通電開始時の底プレート11の温度T0aと通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bの温度差T0xにより、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の制御基準温度T1aと、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の制御基準温度T1bと、を決定(S46)する。ここでいう制御基準温度T1aとは、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の通電をOFFするかONするかの判断基準となる温度のことである。また、制御基準温度T1bとは、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の通電をOFFするかONするかの判断基準となる温度のことである。
なお、制御基準温度T1aを決定する方法であるが、算出された通電開始時の底プレート11の温度T0aと通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bの温度差T0xにあらかじめ試験によって設定された係数k1を演算部52で掛け合わせ算出するというような数式を用いて決定する方法と、算出された通電開始時の底プレート11の温度T0aと通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bの温度差T0xから、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている算出された通電開始時の底プレート11の温度T0aと通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bの温度差T0xと底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の制御基準温度T1aの相関テーブルにある、T0xに対応するT1aを呼び出して決定する方法があり、何れの方法を採用してもよい。
制御基準温度T1bを決定する方法は、算出された通電開始時の底プレート11の温度T0aと通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bの温度差T0xにあらかじめ試験によって設定された係数k1を演算部52で掛け合わせ算出するというような数式を用いて決定する方法と、算出された通電開始時の底プレート11の温度T0aと通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bの温度差T0xから、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている算出された通電開始時の底プレート11の温度T0aと通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bの温度差T0xと天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の制御基準温度T1bの相関テーブルにある、T0xに対応するT1bを呼び出して決定する方法の、何れの方法を採用してもよい。また、制御基準温度T1aと制御基準温度T1b算出に用いる係数k1は同じ係数でも異なる係数でもよい。
制御装置50のメイン制御部51は、加熱開始/停止操作手段15Dで加熱開始を操作する(S44)と同時に、総加熱時間t1の決定(S47)も行い、総加熱時間t1の計時も開始する。ここでいう総加熱時間とは、加熱開始から加熱終了までの時間であり、途中で制御基準温度T1aを超えて底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12がOFFしている時間、あるいは途中で制御基準温度T1bを超えて天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23がOFFしている時間も含んでいる。
なお、総加熱時間t1を決定する方法であるが、算出された通電開始時の底プレート11の温度T0aと通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bの温度差T0xにあらかじめ試験によって設定された係数k2を演算部52で掛け合わせ算出するというような数式を用いて決定する方法と、算出された通電開始時の底プレート11の温度T0aと通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bの温度差T0xから、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている算出された通電開始時の底プレート11の温度T0aと通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bの温度差T0xと総加熱時間t1の相関テーブルにある、T0xに対応するt1を呼び出して決定する方法があり、何れの方法を採用してもよい。
通電が開始された後、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12と天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23が通電されることにより、底面温度検知手段(底プレート温度検知手段)13Bが検知する通電中の底プレート11の温度TXaと、天板温度検知手段13Aが検知する通電中の加熱室天板(加熱部)21の温度TXbが上昇する。
制御装置50のメイン制御部51は、経過時間taが総加熱時間t1に到達しない間、通電中の底プレート11の温度TXaが制御基準温度T1aを超えたことを検知(S48)すると底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12をOFF(S49)し、通電中の底プレート11の温度TXaが制御基準温度T1aより下がったことを検知(S52)すると底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12をON(S53)する工程を繰り返す。
同様に、経過時間taが総加熱時間t1に到達しない間、通電中の加熱室天板(加熱部)21の温度TXbを超えたことを検知(S54)すると天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23をOFF(S55)し、通電中の加熱室天板(加熱部)21の温度TXbが制御基準温度T1bより下がったことを検知(S56)すると天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23をON(S57)する工程を繰り返す。
そして、制御装置50のメイン制御部51が、計時部53が計時する経過時間taが総加熱時間t1に到達したと判断(S50)すると、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12と天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23への通電を停止(S51)し調理を終了する。
以上のように本発明の実施の形態3に係る加熱調理器は、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の制御基準温度T1aと、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の制御基準温度T1bと、総加熱時間t1と、を通電開始時の底プレート11の温度T0aと通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bの温度差T0xによって設定している。前述のように底プレート11には被加熱物30が直接載置され、底プレート11は、例えばアルミニウムや銅など(一般的な鉄に比較して)熱伝導性の高い金属製の板材で形成されているので通電開始時の底プレート11の温度T0aは被加熱物30の温度に近い温度が検知でき、通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bは被加熱物30を加熱するための加熱室40の温度に近い温度が検知できるので、通電開始時の底プレート11の温度T0aと通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bの温度差T0xを用いることで、温度差が大きい時と小さい時に応じて加熱制御を行うことができるので、調理の出来映えにムラが生じ難くなり、温度条件に適した加熱制御を行うことができる。
なお、本発明の実施の形態3に係る加熱調理器では、総加熱時間t1を算出された通電開始時の底プレート11の温度T0aと通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bの温度差T0xにあらかじめ試験によって設定された係数k2を演算部52で掛け合わせ算出するというような数式を用いて決定する方法と、算出された通電開始時の底プレート11の温度T0aと通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bの温度差T0xから、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている算出された通電開始時の底プレート11の温度T0aと通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bの温度差T0xと総加熱時間t1の相関テーブルにある、T0xに対応するt1を呼び出して決定する方法があり、何れの方法を採用してもよいと説明したが、通電開始時の底プレート11の温度T0aと通電開始時の加熱室天板(加熱部)21の温度T0bの温度差T0xと加熱モード、厚さ、焼き色の何れか、またはこれら全ての設定を行ったことで変更される調理の条件に応じて総加熱時間t3として設定するようにしてもよい。
実施の形態4
本発明の実施の形態4に係る加熱調理器の構成は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器と同様であり、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器と、被加熱物30の調理のステップと動作が一部異なる。ここでは、図12を用い、本発明の実施の形態4の加熱調理器の被加熱物30の調理のステップと動作について説明し、本発明の実施の形態1の加熱調理器の構成と同様の構成については説明を省略する。
ユーザーがモード設定操作手段15Aで、「具材のせパン」の加熱モードを選択(S61)、厚さ設定操作手段15Bで、例えば具材のせパンの厚さ「6枚切」を選択(S62)、焼き色設定操作手段15Cで、例えば焼き色「普通」を選択(S63)する。
各モードの設定が完了した後、加熱開始/停止操作手段15Dで加熱開始を操作する(S64)と同時に、底面温度検知手段13Bが通電開始時の底プレート11の温度T0aを検知(S65)する。加熱を開始する操作は、蓋体開閉検知手段55が、蓋体20が閉じていることを検知していないときは操作できない。つまり、蓋体20が開放している状態では加熱は開始できないようになっている。
なお、ここではモード設定操作手段15Aで「具材のせパン」の加熱モードを設定し、厚さ設定操作手段15B、焼き色設定操作手段15Cを全て設定する例で説明したが、モード設定操作手段15Aで「具材のせパン」を設定するだけでもよい。
制御装置50のメイン制御部51は、通電開始時の底プレート11の温度T0aにより、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の制御基準温度T1aと天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の制御基準温度T1bと、を決定(S66)する。ここでいう制御基準温度T1aとは、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の通電をOFFするかONするかの判断基準となる温度のことである。また、制御基準温度T1bとは、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の通電をOFFするかONするかの判断基準となる温度のことである。
なお、制御基準温度T1aを決定する方法であるが、通電開始時の底プレート11の温度T0aにあらかじめ試験によって設定された係数k1を演算部52で掛け合わせ算出するというような数式を用いて決定する方法と、通電開始時の底プレート11の温度T0aから、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている通電開始時の底プレートの温度T0aと底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の制御基準温度T1aの相関テーブルにある、T0aに対応するT1aを呼び出して決定する方法があり、何れの方法を採用してもよい。
同様に、制御基準温度T1bを決定する方法も、通電開始時の底プレートの温度T0aにあらかじめ試験によって設定された係数k1を演算部52で掛け合わせ算出するというような数式を用いて決定する方法と、通電開始時の底プレートの温度T0aから、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている通電開始時の底プレートの温度T0aと天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の制御基準温度T1bの相関テーブルにある、T0aに対応するT1bを呼び出して決定する方法の、何れの方法を採用してもよい。また、制御基準温度T1aと制御基準温度T1bの算出に用いる係数k1は同じ係数でも異なる係数でもよい。
制御装置50のメイン制御部51は、加熱開始/停止操作手段15Dで加熱開始を操作する(S64)と同時に、総加熱時間t1の決定(S67)も行い、総加熱時間t1の計時も開始する。ここでいう総加熱時間とは、加熱開始から加熱終了までの時間であり、途中で制御基準温度T1aを超えて底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12がOFFしている時間、あるいは途中で制御基準温度T1bを超えて天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23がOFFしている時間も含んでいる。
なお、総加熱時間t1を決定する方法であるが、通電開始時の底プレート11の温度T0aにあらかじめ試験によって設定された係数k2を演算部52で掛け合わせ算出するというような数式を用いて決定する方法と、通電開始時の底プレート11の温度T0aから、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている通電開始時の底プレートの温度T0aと総加熱時間t1の相関テーブルにある、T0aに対応するt1を呼び出して決定する方法があり、何れの方法を採用してもよい。
「具材のせパン」の加熱モードが設定されて加熱開始/停止操作手段15Dで通電が開始されると、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23は連続通電され、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12は断続通電される。「具材のせパン」の加熱モードのとき、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12を断続通電にするのは、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12が被加熱物30である「具材のせパン」を直接載置した底プレート11を加熱することによる。「具材のせパン」は冷凍されることで内部まで低温となっているため、連続で通電してしまうと、内部が低温のまま外側が加熱され過ぎて焦げてしまう可能性が高い。そのため、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12を断続通電することで、「具材のせパン」の底プレート11と接触している側が焦げないように加熱を制御している。反対に天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23を連続通電するのは、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23が被加熱物30である「冷凍パン」を直接加熱するものではなく、加熱室40を構成する加熱室天板(加熱部)21を加熱する、つまり加熱室40の内部を加熱するものであり、「具材のせパン」が収容された加熱室40の温度上昇は遅くなることから、具材の表面の加熱を促進するためである。
制御装置50のメイン制御部51は、経過時間taが総加熱時間t1に到達しない間、通電中の底プレート11の温度TXaが制御基準温度T1aを超えたことを検知(S68)すると底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の断続通電をOFF(S69)し、通電中の底プレート11の温度TXaが制御基準温度T1aより下がったことを検知(S72)すると底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の断続通電をON(S73)する工程を繰り返す。
経過時間taが総加熱時間t1に到達しない間、通電中の加熱室天板(加熱部)21の温度TXbを超えたことを検知(S74)すると天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23をOFF(S75)し、通電中の加熱室天板(加熱部)21の温度TXbが制御基準温度T1bより下がったことを検知(S76)すると天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23をON(S77)する工程を繰り返す。
そして、制御装置50のメイン制御部51が、計時部53が計時する経過時間taが総加熱時間t1に到達したと判断(S70)すると、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12と天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23への通電を停止(S71)し調理を終了する。
以上のように本発明の実施の形態4に係る加熱調理器は、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12を断続通電することで、「具材のせパン」の底プレート11と接触している側が焦げないように加熱することができる。
実施の形態5
本発明の実施の形態5に係る加熱調理器の構成は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器と同様であり、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器と、被加熱物30の調理のステップと動作が一部異なる。ここでは、図13を用い、本発明の実施の形態4の加熱調理器の被加熱物30の調理のステップと動作について説明し、本発明の実施の形態1の加熱調理器の構成と同様の構成については説明を省略する。
ユーザーがモード設定操作手段15Aで、「冷凍パン」の加熱モードを選択(S81)、厚さ設定操作手段15Bで、例えば冷凍パンの厚さ「6枚切」を選択(S82)、焼き色設定操作手段15Cで、例えば焼き色「普通」を選択(S83)する。
各モードの設定が完了した後、加熱開始/停止操作手段15Dで加熱開始を操作する(S84)と同時に、底面温度検知手段13Bが通電開始時の底プレート11の温度T0aを検知(S85)する。加熱を開始する操作は、蓋体開閉検知手段55が、蓋体20が閉じていることを検知していないときは操作できない。つまり、蓋体20が開放している状態では加熱は開始できないようになっている。
なお、ここではモード設定操作手段15Aで「冷凍パン」の加熱モードを設定し、厚さ設定操作手段15B、焼き色設定操作手段15Cを全て設定する例で説明したが、モード設定操作手段15Aで「冷凍パン」を設定するだけでもよい。
制御装置50のメイン制御部51は、通電開始時の底プレート11の温度T0aにより、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の制御基準温度T1aと天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の制御基準温度T1bと、を決定(S86)する。ここでいう制御基準温度T1aとは、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の通電をOFFするかONするかの判断基準となる温度のことである。また、制御基準温度T1bとは、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の通電をOFFするかONするかの判断基準となる温度のことである。
なお、制御基準温度T1aを決定する方法であるが、通電開始時の底プレート11の温度T0aにあらかじめ試験によって設定された係数k1を演算部52で掛け合わせ算出するというような数式を用いて決定する方法と、通電開始時の底プレート11の温度T0aから、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている通電開始時の底プレートの温度T0aと底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の制御基準温度T1aの相関テーブルにある、T0aに対応するT1aを呼び出して決定する方法があり、何れの方法を採用してもよい。
同様に、制御基準温度T1bを決定する方法も、通電開始時の底プレートの温度T0aにあらかじめ試験によって設定された係数k1を演算部52で掛け合わせ算出するというような数式を用いて決定する方法と、通電開始時の底プレートの温度T0aから、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている通電開始時の底プレートの温度T0aと天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の制御基準温度T1bの相関テーブルにある、T0aに対応するT1bを呼び出して決定する方法の、何れの方法を採用してもよい。また、制御基準温度T1aと制御基準温度T1bの算出に用いる係数k1は同じ係数でも異なる係数でもよい。
制御装置50のメイン制御部51は、加熱開始/停止操作手段15Dで加熱開始を操作する(S84)と同時に、総加熱時間t1の決定(S87)も行い、総加熱時間t1の計時も開始する。ここでいう総加熱時間とは、加熱開始から加熱終了までの時間であり、途中で制御基準温度T1aを超えて底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12がOFFしている時間、あるいは途中で制御基準温度T1bを超えて天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23がOFFしている時間も含んでいる。
なお、総加熱時間t1を決定する方法であるが、通電開始時の底プレート11の温度T0aにあらかじめ試験によって設定された係数k2を演算部52で掛け合わせ算出するというような数式を用いて決定する方法と、通電開始時の底プレート11の温度T0aから、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている通電開始時の底プレートの温度T0aと総加熱時間t1の相関テーブルにある、T0aに対応するt1を呼び出して決定する方法があり、何れの方法を採用してもよい。
「冷凍パン」の加熱モードが設定されて加熱開始/停止操作手段15Dで通電が開始されると、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23は断続通電され、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12は連続通電される。「冷凍パン」の加熱モードのとき、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23を断続通電するのは、底プレート11に「冷凍パン」が直接置かれることで底プレート11の温度が低くなってしまうため、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12を連続通電しないと底プレート11と接触している側が焼けてくるのに時間が掛かる。このとき天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23を連続で通電してしまうと、冷凍パンの上面、天板側が加熱され過ぎてしまうことを抑制している。
制御装置50のメイン制御部51は、経過時間taが総加熱時間t1に到達しない間、通電中の底プレート11の温度TXaが制御基準温度T1aを超えたことを検知(S88)すると底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の通電をOFF(S89)し、通電中の底プレート11の温度TXaが制御基準温度T1aより下がったことを検知(S92)すると底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の通電をON(S93)する工程を繰り返す。
経過時間taが総加熱時間t1に到達しない間、通電中の加熱室天板(加熱部)21の温度TXbを超えたことを検知(S94)すると天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の断続通電をOFF(S95)し、通電中の加熱室天板(加熱部)21の温度TXbが制御基準温度T1bより下がったことを検知(S96)すると天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の断続通電をON(S97)する工程を繰り返す。
そして、制御装置50のメイン制御部51が、計時部53が計時する経過時間taが総加熱時間t1に到達したと判断(S90)すると、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12と天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23への通電を停止(S91)し調理を終了する。
以上のように本発明の実施の形態4に係る加熱調理器は、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23を断続通電することで、「冷凍パン」の上面だけが先に加熱されることを抑制しながら、食パンと接している側を加熱することができる。
実施の形態6
本発明の実施の形態6に係る加熱調理器の構成は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器と同様であり、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器と、被加熱物30の調理のステップと動作が一部異なる。ここでは、図14を用い、本発明の実施の形態4の加熱調理器の被加熱物30の調理のステップと動作について説明し、本発明の実施の形態1の加熱調理器の構成と同様の構成については説明を省略する。
ユーザーがモード設定操作手段15Aで、「フレンチトースト」の加熱モードを選択(S101)した後、加熱開始/停止操作手段15Dで底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12のみ、加熱開始を操作する(S102)と同時に、底面温度検知手段13Bが通電開始時の底プレート11の温度T0aを検知(S103)する。
制御装置50のメイン制御部51は、通電開始時の底プレート11の温度T0aにより、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の制御基準温度T1aと天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の制御基準温度T1bと、を決定(S104)する。ここでいう制御基準温度T1aとは、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の通電をOFFするかONするかの判断基準となる温度のことである。また、制御基準温度T1bとは、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の通電をOFFするかONするかの判断基準となる温度のことである。
なお、制御基準温度T1aを決定する方法であるが、通電開始時の底プレート11の温度T0aにあらかじめ試験によって設定された係数k1を演算部52で掛け合わせ算出するというような数式を用いて決定する方法と、通電開始時の底プレート11の温度T0aから、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている通電開始時の底プレートの温度T0aと底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の制御基準温度T1aの相関テーブルにある、T0aに対応するT1aを呼び出して決定する方法があり、何れの方法を採用してもよい。
同様に、制御基準温度T1bを決定する方法も、通電開始時の底プレートの温度T0aにあらかじめ試験によって設定された係数k1を演算部52で掛け合わせ算出するというような数式を用いて決定する方法と、通電開始時の底プレートの温度T0aから、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている通電開始時の底プレート11の温度T0aと天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の制御基準温度T1bの相関テーブルにある、T0aに対応するT1bを呼び出して決定する方法の、何れの方法を採用してもよい。また、制御基準温度T1aと制御基準温度T1bの算出に用いる係数k1は同じ係数でも異なる係数でもよい。
制御装置50のメイン制御部51は、加熱開始/停止操作手段15Dで底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の加熱開始を操作する(S102)と同時に、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の通電時間t4aと、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の通電時間t4bと、を決定し、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の通電時間t4aの計時を開始(S105)する。
なお、通電時間t4aを決定する方法であるが、通電開始時の底プレート11の温度T0aにあらかじめ試験によって設定された係数k4を演算部52で掛け合わせ算出するというような数式を用いて決定する方法と、通電開始時の底プレート11の温度T0aから、メイン制御部51が、あらかじめ記憶部54に記憶されている通電開始時の底プレートの温度T0aと通電時間t4aの相関テーブルにある、T0aに対応するt4aを呼び出して決定する方法があり、何れの方法を採用してもよい。
制御装置50のメイン制御部51は、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の通電時間t4aが経過時間tkaに到達しない間、通電中の底プレート11の温度TXaが制御基準温度T1aを超えたことを検知(S106)すると底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の通電をOFF(S107)し、通電中の底プレート11の温度TXaが制御基準温度T1aより下がったことを検知(S110)すると底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の通電をON(S111)する工程を繰り返す。
そして、制御装置50のメイン制御部51が、計時部53が計時する経過時間tkaが通電時間t4aに到達したと判断(S108)すると、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12への通電を停止(S109)する。
また、通電中の底プレート11の温度TXaが制御基準温度T1aを超えたことを検知(S106)すると、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の通電を開始し、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の通電時間t4bの計時を開始(S112)する。
制御装置50のメイン制御部51は、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の通電時間t4bが経過時間tkbに到達しない間、通電中の加熱室天板(加熱部)21の温度TXbを超えたことを検知(S113)すると天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23をOFF(S114)し、通電中の加熱室天板(加熱部)21の温度TXbが制御基準温度T1bより下がったことを検知(S117)すると天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23をON(S118)する工程を繰り返す。
そして、制御装置50のメイン制御部51が、計時部53が計時する経過時間tkbが通電時間t4bに到達したと判断(S115)すると、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23への通電を停止(S116)し調理を終了する。
図15に示すように、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12と天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23は同時に通電する期間がある。また、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23は、通電中の底プレート11の温度TXaが制御基準温度T1aを超えてから通電を開始するので、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の通電が停止されてからも天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23が通電される時間がある。
フレンチトーストは、食パン内部に溶き卵、牛乳などの単一の液体または複数食材を混合した液体をしみこませるものであるので、この液体をしみこませた食パンの温度は低くなる傾向にあり、底プレート11に被加熱物の一種であるフレンチトーストを載置すると通電開始時の底プレート11の温度T0aが低くなる傾向にある。
底プレート11の温度T0aが低くなると底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の通電時間t4aが長くなるため、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の加熱開始を底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の加熱開始と同時にしてしまうと、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の加熱によりフレンチトーストの表面側が早く加熱され、焦げやすくなってしまう。そのため、底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12の温度が十分上昇してから、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23の加熱を開始するようにしている。
以上のように本発明の実施の形態4に係る加熱調理器は、先に底面加熱手段(本発明の第1の加熱手段)12を通電し、底プレート11の温度TXaが制御基準温度T1aを超えたことを検知してから、天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23を通電するようにしたので、底プレート11の温度が十分上昇してから天板加熱手段(本発明の第2の加熱手段)23を通電でき、フレンチトーストの表面側が早く加熱され、焦げやすくなってしまうことが抑制できる。