以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1.
(基本的構造)
本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の基本的構成を、図1~図5に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の外観を示す正面図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器を、蓋体を開放した状態で示した斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の縦断面図である。図4は、同じく実施の形態1の加熱調理器であって、蓋体を途中まで開放させた状態を示した縦断面概略図である。図5は、図1の加熱調理器の蓋体を、最大限度の略垂直位置まで開放した状態で示した縦断面図である。
図1~図5に示すように、本実施の形態1に係る加熱調理器100は、加熱調理器本体1と、加熱調理器本体1の後面(背面)側に設けられたヒンジ部19を介して、加熱調理器本体1の上部に、開閉自在に取り付けられた蓋体2と、を備えている。つまり、蓋体2は、前記ヒンジ部19を中心にして図5に示すように、略垂直位置まで開く構造である。垂直位置まで開いた状態の蓋体2の重量は、前記ヒンジ部19で受ける。
図1に示している通り、加熱調理器本体10に対して蓋体2が開放する(上下の)境界線PLは、加熱調理器100の最大高さ寸法Hmax(図9参照)の中心点よりも少し下の位置にある。図1に矢印で「上」と示している方向が上方向である。逆に矢印で「下」と示した方向が下方向である。前記境界線PLは、後述する第1の重合面P1と、第2の重合面P2の中間にある。
加熱調理器本体1の外観は、4つの角部が曲面となっている箱形である。
加熱調理器本体1の内部は、薄い金属板から形成された遮蔽板10によって、上部空間と下部空間とに区切られている。
前記上部空間には、第1のプレートとなる加熱プレート(「底プレート」と呼ぶ場合もある)11と、底面加熱装置12と、断熱部材13と、ヒーター押え板14と、第1の温度検知部15とが設けられている。前記下部空間には、入力操作部16の操作基板17と、制御装置90と、コードリール91と、冷却ファン46と、がそれぞれ設けられている。
蓋体2は、プラスチック製の外郭ケース2Cを備えている。以後、この「外郭ケース」は「蓋体ケース」と呼ぶ。この蓋体ケース2Cは、下面全体が大きく開口している。
前記蓋体2の内部には、金属の薄い板をプレス加工して全体が一体に形成された内筐体20と、この内筐体20の上部に形成した凹み部20Aの下方を閉鎖している第2のプレート(天井板)28と、上面加熱装置21と、断熱部材22と、金属製のヒーター押え板23と、金属製の遮蔽板24と、弾力性に富む材料、例えばシリコンゴムから形成されたシール部材25と、が設けられている。蓋体2の正面(表面)部には、前方へ突出した持ち手部26が設けられている。
前記持ち手部26は、蓋体2の前方側を持ち上げる際にユーザー(使用者)が指先を掛け、あるいは摘まむことができるように設けている。
前記第2のプレート28は、その全体が1枚の薄く、平坦な金属板から形成されている。この実施の形態1では、第2のプレート28は、熱伝導性が良い材料、例えばアルミニウムの薄い板やアルミニウムのメッキ鋼板を使用している。なお、熱放射性を増大させるために、耐熱性が高く、放射率の高い塗料によって第2のプレート28の下面を塗装しても良く、この塗装は、第2のプレート28の上面に施してもよい。
図1において、前記操作部16の表面には、発光ダイオード(LED)からなる焼き色発光表示部(焼き色LED)41を設けている。この焼き色発光表示部(焼き色LED)41は、薄めの焼き色発光部41a、普通の焼き色発光部D41b、濃いめ焼き色発光部41c、延長/高温報知発光部LED41dを、それぞれ有している。なお、以下の説明では、焼き色発光表示部41は、「焼き色LED」41と呼ぶ。同様に、薄めの焼き色発光部41aは「薄めLED」41a、普通の焼き色発光部D41bは「普通LED」41b、濃いめ焼き色発光部41cは「濃いめLED」41b、延長/高温報知発光部LED41dは、「延長/高温報知LED」41dと、それぞれ呼ぶことにする。
41mは、前記操作部16の表面に印刷や刻印等で形成された文字による高温注意表示文である。この高温注意表示文は、延長/高温報知発光部LED41dに接近した位置に表示されており、図1に示すように「点滅:高温注意」と表示されている。
図2に示しているように、加熱調理器本体1の前方側に、ユーザーが操作できる前記入力操作部16があり、反対に後方側に前記ヒンジ部19(図3参照)が配置されている。このため、前記蓋体2は、後方側が前記ヒンジ部19で回動自在に支持されたまま加熱調理器本体1の真上に垂直状態となるまで開放できる(図5参照)。なお、垂直状態を超えて後方にある程度(例えば10度)だけ傾いた状態になっても良く、その状態でも加熱調理器本体1は、その自重によって蓋体2を安定的に支えることができ、後方に転倒しない。
図2に矢印で「前」と示している方向が加熱調理器100の前方向である。逆に矢印で「後」と示した方向が後方である。同じように「右」という矢印方向が右側方向を示し、「左」は左側方向を示している。以下の説明でも、この前後・左右方向の定義に則り、本発明の加熱調理器100を説明する。
図2に示すように、加熱調理器100は、前記第1のプレート11を有する加熱調理器本体1と、前記上面加熱装置21を内蔵した蓋体2とが、上下に重なった形態である。
加熱調理器本体10の上面には、前記第1のプレート11の前後左右を囲った第1の重合面P1を有し、また前記蓋体2の下面には、前記内筐体20の前後左右を囲った第2の重合面P2を有している構成である。
前記蓋体2を完全に閉じると、蓋体2が前記加熱調理器本体1の上面を覆うように重なった状態となる。図3に示しているように、前記第1の重合面P1と前記第2の重合面P2が「微小間隙」を挟んで向かい合った状態になる。つまり、前記第1の重合面P1と前記第2の重合面P2が近接した位置になり、後述する第1のプレート11と第2のプレート28との間で形成される空間が加熱調理室31となる。なお、以下、「加熱調理室」は、「加熱室」と省略する。
加熱室31は、蓋体2を閉じた状態では外部と遮断された状態になる。なお、ここでいう「外部と遮断された状態」とは、空気の移動を全く許容しないような気密状態を意味するものではなく、積極的に空気を流通させない程度をいう。加熱室31の内部が高温度になって内部の空気の体積が膨張した場合、それに伴って加熱室31内部の空気が自然に外部へ漏れ出る程度は、こでいう「外部と遮断された状態」である。なお、上記「微小間隙」は、この実施の形態1では3mm以下である。また以下の説明では、「密封状態の空間(加熱室)」と「外部と遮断された状態の空間(加熱室)」という意味は、特に断りがない限り、同じである。
図4において、WPは、前記第1の重合面P1の幅寸法を示している。この第1の重合面P1では、前後・左右の全てにおいて、少なくとも10mm以上(この実施の形態1では、20mm)の幅寸法WPを有している。
また、第2の重合面P2の幅寸法WPも、前記第1の重合面P1の幅寸法WPと同じである。つまり、蓋体2と加熱調理器本体1は、蓋体2を閉じた場合、少なくとも幅寸法20mmの範囲にわたり、「微小間隙」を挟んで向かい合った状態になる。
図3において、20Fは、前記内筐体20の前方側壁面を示す。また20Bは、前記内筐体20の前方壁面を示す。
前記加熱室31は、前記前方壁面20Fと、後方壁面20Bと、右側方壁面20R(図示せず)と左側方壁面20L(図示せず)とによって前後左右の範囲が確定され、また平坦な第2のプレート28の下面によって天井面が形成されている。この第2のプレート28の下面(天井面)は「第2の加熱面」28Uとなる。
図3において、G1は、加熱室31の中に食パン等の被調理物30を横にして置いた際に、被調理物30の後方端面と後方壁面20Bとの間に確保される空隙であり、数mm~20mm程度の大きさである。
図3と図4において、前記遮蔽板(遮熱板)10は、下部空間に配置した操作基板17、制御装置90、冷却ファン46、及びコードリール91等が、高温にならないように保護するためのものである。遮蔽板10は、例えば反射率が高く、耐熱温度も高いアルミニウムのメッキ鋼板が好適である。
前記第1のプレート11は、加熱調理器本体1の上面に設けられ、食パンなどの被調理物30が載置されるものである。この第1のプレート11は、アルミニウムなどの熱伝導性の高い金属製の薄い板材を、プレス加工して形成している。第1のプレート11の表面は、平坦でもよいし、細かい凹凸のある形態でもよい。第1のプレート11の構成については、図9と図10を参照しながら、あとで詳しく説明する。
また、第1のプレート11には、耐熱性が高く、放射率の高い塗料がコーティングされている。塗料は、例えばシリコーン系又はフッ素系の耐熱塗料である。塗料は、セラミック塗料でもよい。
底面加熱装置12は、第1のプレート11の下面側に密着状態又は近接状態に設けられている。底面加熱装置12は、第1のプレート11を、その下方から加熱する。このため、第1のプレート11の上面(「第1の加熱面」ともいう)11Uに直接接触する被調理物30は、第1のプレート11の第1の加熱面11Uからの熱伝導により、下方から加熱される。言い換えると、被調理物30が食パンであった場合、その食パンの下面(「第1の側面」ともいう)30Uは、第1のプレート11の上面、すなわち第1の加熱面11Uからの伝導熱で加熱される。
底面加熱装置12は、例えば面状ヒーターであり、加熱調理器本体1の上部内壁面に固定されたヒーター押え板14によって下方から支持されている。底面加熱装置12とヒーター押え板14との間には、例えばガラスウール等の断熱部材13が設けられている。
底面加熱装置12の面状ヒーターとしては、マイカ板に電熱体を巻いた面状ヒーター、又は電熱体をセラミックで挟んで形成したセラミックヒーターなどがある。面状ヒーターの形態で構成した底面加熱装置12は、加熱調理器本体1を小型化することができるとともに、被調理物30の均一加熱が可能となるため、焼きムラを少なくすることができる。
底面加熱装置12が第1のプレート11を真下から直接加熱する範囲は、被調理物30を載せることができる範囲と同程度である。詳しくは、図9と図10を参照して後で詳しく説明する。
また、底面加熱装置12と第1のプレート11の間には、底面加熱装置12の熱効率を上げ、加熱効率を上げることができるように、黒鉛シートを設けてもよい。
図3と図4において、前記第1の温度検知部15は、第1のプレート11の下面側にあって、頂部にある熱感知部が第1のプレート11の下面に密着している。このため、第1のプレート11の温度変化を迅速に検知することができるものである。この第1の温度検知部15は、例えばサーミスタなどの接触式の温度センサーである。第1の温度検知部15は、バネ等の弾性体で第1のプレート11の下面に押しつけられている。第1のプレート11に対する接触圧を一定とし、正確に加熱温度を検知するためである。なお、第1の温度検知部15は、第1のプレート11の前後・左右方向の中心部下面に向けて設置してある。
入力操作部16は、加熱調理動作に関するユーザーからの入力指令を受け付けるものである。入力操作部16は、図2に示すように、加熱調理器本体1の前面に設けられ、2つのモード切替ボタン16aと、焼き色調整ダイヤル16bと、調理開始ボタン16cと、食パン等の被調理物30のサイズ設定ボタン16dと、を備えている。この入力操作部16を、ユーザーが操作することにより、被調理物30の色々な加熱調理条件の設定が行われる。
モード切替ボタン16aは、使用者が「加熱モード」を設定するために使用するものである。ここで、「加熱モード」には、例えば「常温パン」、「フレンチトースト」、「具材のせパン」、「冷凍パン」などがあり、調理する被調理物30の種類に応じて設定される。
モード切替ボタン16aを操作することによって、「常温パン」、「フレンチトースト」、「具材のせパン」、「冷凍パン」の何れか1つを特定する信号(以下、「モード設定信号」という)が、入力操作部16から後述する制御装置90に入力される。
ここで、「常温パン」とは、常温(例えば、室温15℃~25℃)で保存された状態の食パンである。
「フレンチトースト」とは、食パン内部に溶き卵、牛乳などの単一の液体または複数の食材を混合した液体をしみこませた後、加熱して仕上げる料理である。なお、必ずしも液体をパンの中心まで浸み込ませる必要はなく、一部でもよい。また、浸み込ませる液体の量も問わないが、加熱前の水分量は加熱前のパン単体の水分量よりも多くなる。そのため、その水分量に応じて加熱調理に要する時間も長くなる。
「具材のせパン」とは、食パンの上にチーズなどの、パン以外の具材がのせられたものである。なお、具材については、マヨネーズなどの調味料、野菜、肉、魚、果物などでもよく、または、それらを複数組み合わせたものでもよい。
「冷凍パン」とは、冷凍庫内で保存され、凍った状態の食パンである。なお、冷凍庫内での保管方法、保管期間などは問わない。温度が低いため加熱調理に要する時間も長くなる。
また、焼き色調整ダイヤル16bは、ユーザーが被調理物30の「焼き色」を設定するものである。焼き色調整ダイヤル16bを回すことによって、「濃い」、「普通」、「薄い」の3種類の内から、何れか1つをユーザーが任意に選択できる。選択した場合、「焼き色」を特定する信号(以下、「焼き色設定信号」という)が、後述する制御装置90に入力される。
ユーザーが、前記サイズ設定操作部16dを操作することにとって、加熱調理する食パンのサイズを選択することができる。ここでいう「サイズ」には、「山型食パン」、「角型食パン」などがあり、これらの食パンの外形形状によって、調理する被加熱物30のサイズを選択するものである。サイズ設定操作部16dを操作することによって、食パンのサイズを選択した結果を特定する信号(以下、「サイズ設定信号」という)が、入力操作部16から制御装置90に入力される。
一般的には「サイズ」と呼ぶ場合には、食パンの大きさを意味するが、この実施の形態1では、食パンのタイプ(山型、角型・・)を選択することによって、必然的にその食パンの大きさが定まるという前提のもので、「サイズ」という用語を用いている。
図1に示している調理開始ボタン16cは、加熱調理器100による加熱調理を開始させるものである。押し釦式又はタッチ入力式スイッチ等によって構成されており、ユーザーが調理開始を意図して特定の操作をした場合、調理開始を特定する信号(「調理開始設定信号」ともいう)が、入力操作部16から制御装置90に入力される。
図3と図4において、操作基板17は、加熱調理器本体1の内部の前面側に設けられている。つまり、前記入力操作部16の設置位置の真後ろに、垂直に配置されている。
前記操作基板17は、入力操作部16から入力された信号を処理するための回路(図示せず)が実装されたものであり、上記の「モード設定信号」、「焼き色設定信号」、「サイズ設定信号」及び「調理開始設定信号」を、それぞれ処理した後、制御装置90に出力するものである。
制御装置90は、前記入力操作部16の設置位置に対応して、加熱調理器本体1の内部の前方部分に設けられ、入力操作部16からの入力、つまり、ユーザーにより設定された「加熱モード」、「焼き色」、および、「サイズ」に基づく「モード設定信号」、「焼き色設定信号」、「サイズ設定信号」を受信して、電源基板114(図11参照)に対して制御信号を出力するものである。制御装置90は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、マイコンなどの演算装置とその動作を規定するソフトウェアで構成することもできる。
前記電源基板114には、商用交流電源ACからの電力を高周波電力に変換して底面加熱装置12および上面加熱装置21に供給するための回路(図示せず)が実装されている。電源基板114は、インバーター回路を構成するスイッチング素子(電力制御用半導体スイッチング素子)などの多数の電気部品や電子部品を実装している。
図3と図4において、91は、コードリールであり、商用交流電源ACと接続する電源コード(図示せず)を巻き取るものである。コードリール91は、加熱調理器本体1の内部の背面側に設けられている。コードリール91は、加熱調理器100を運ぶ際に電源コードが邪魔にならないようにするために設けられている。コードリール91は、その全体が平らな円形ケースの中に格納されている。
コードリール91は、電源コード(図示せず)を、内蔵したバネの力により巻き取るものである。最も巻き取った状態では、図3に示すように電源プラグ96の部分だけが本体ケース1Cの外側へ突出する。加熱調理器100を使用する場合には、前記電源プラグ96部分を持って引っ張れば、コードリール91に巻かれた電源コードを引き出すことができる。
前記コードリール91は、蓋体2を最大限に開いた際に加熱調理器本体1が転倒しないように、重心位置を考慮し、加熱調理器本体1の中心部からできるだけ後方側の位置に配置されている。なお、コードリール91に代えてマグネットプラグを設けて電源コードを接続する構成、又はコードリール91を省略してもよい。
図3と図4に示しているように、加熱調理器本体1の後部には、前記ヒンジ部19の外郭を形成するヒンジケース18が設けてある。ヒンジケース18は、上下が開放された円筒形状を呈している。また、ヒンジケース18は、図2に示すように横に長い形状である。
前記ヒンジケース18の中にヒンジ部19が設けられている。ヒンジ部19の回動中心軸は、加熱調理器本体1の左右方向に沿って水平に延びている。この回転軸は、鋼製の丸棒材で形成されている。
ヒンジケース18は、金属等の剛性に富む材料で形成され、前記蓋体2の後部の真下に配置され、加熱調理器本体1の後部にボルトとナット等の固定具(図示せず)で強固に固定されている。
蓋体2は、内部の中央部分が上方に向かって凹み、前記内筐体20を収容している。
内筐体20は、例えばアルミメッキ鋼板を絞り加工(プレス加工)して形成されている。内筐体20には、耐熱性が高く、放射率の高い塗料が塗装されている。塗料は、例えばセラミック塗料、又はシリコーン系若しくはフッ素系の耐熱塗料である。内筐体20の塗装は、内面側にのみ施してもよいし、内面及び外面の両面に施してもよい。
蓋体2は、内筐体20が接触する部分があれば、蓋体2の全体を耐熱温度の高いプラスチック材料で形成することが望ましい。耐熱温度の高い樹脂とは、例えばフェノール、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂又はナイロン等である。しかしながら、この実施の形態1では、そのような「内筐体20が直接接触する部分」はない。後述するように蓋体2と内筐体20との間には、第6の空隙G6等の空隙が確保されている。
図3と図4から明らかなように、加熱室31は、蓋体2の内筐体20によって周囲を囲まれている。このため、蓋体2を開放することで第1のプレート11は、その上方と前後・左右の方向が開放されるから、ユーザーは、第1のプレート11の上面(第1の加熱面)11Uに載置した被調理物30を取り出し易い。
上面加熱装置21は、内筐体20の上部を上下に仕切っている第2のプレート28を、上方から加熱するものである。このため、第2のプレート28が、加熱室31の天井面でありながら、実質的な第2の加熱面28Uとしても機能する。
以上の説明から明らかなように、蓋体2を閉じた状態で、被調理物30の上面(「第2の側面」と呼ぶ場合がある)30Tが対面する第2のプレート28の下面は、第2の加熱面28Uとして機能する。第2のプレート28の下面からの輻射熱により被調理物30の上面(第2の側面)30Tは、上方から加熱される。
上面加熱装置21は、例えば底面加熱装置12と同様の面状ヒーターであり、加熱調理器本体1の内壁面に固定されたヒーター押え板23によって上面の周縁部が、上方から押えつけられて固定されている。
上面加熱装置21とヒーター押え板23との間には、例えばガラスウール等の断熱部材22が設けられている。面状ヒーターとしては、マイカ板に電熱体を巻いた面状ヒーター、又は電熱体をセラミックで挟んで形成したセラミックヒーターなどがある。面状ヒーターで成る上面加熱装置21は、加熱調理器本体1を小型化することができるとともに、被調理物30の均一加熱が可能となるため、焼きムラを少なくすることができる。
上面加熱装置21を設置する範囲は、加熱室31に収容される被調理物30の平面的な寸法と同程度である。例えば、スライスされた食パンの大きさが、縦125mm、横125mmであった場合、上面加熱装置21を設置する範囲は、平面的に見て、前後方向に120mm程度、左右方向に120mm程度で良いし、これよりも大きくても良い。
上面加熱装置21は、第2のプレート28の上面と対応する範囲に黒鉛シートを設けてもよい。黒鉛シートによって、上面加熱装置21の熱効率が上がり、加熱効率を上げることができるからである。
遮蔽板24は、ヒーター押え板23の全体を上方から覆っている。遮蔽板24は、ヒーター押え板23の上方に水平に配置されている。遮蔽板24は、上面加熱装置21によって蓋体2の天面が高温にならないように保護するために設けられている。遮蔽板24は、例えば反射率が高く、耐熱温度も高いアルミメッキ鋼板が好適である。
25は、シール部材であり、内筐体20の前後・左右の側壁面の下端に沿って、全周に亘って一連に設けられている。つまり、シール部材25は、蓋体2が閉じられた状態において、蓋体2の自重により加熱プレート11の周縁部と密着し、密閉度の高い加熱室31を形成するために設けられている。シール部材は、例えば全体が1つのリング状に一体に形成されている。
シール部材25は、例えばシリコーン又はフッ素ゴム等のような、耐熱性と弾力性のある材料で形成されている。なお、蓋体2と加熱調理器本体1との間にラッチ機構のように機械的に蓋体2を閉じる構成を設けても良い。このように構成すると、前記シール部材25と加熱プレート11の周縁部とは、強く密着する状態に維持される。つまり、加熱室31の気密性を上げるために、引っ張りバネ(図示せず)等の機械的手段によって加熱調理器本体1側へ蓋体2を引っ張る構成にしても良い。
図3において、112Aは、第2のプレート28の上方に配置された第1温度センサーである。この温度センサーは接触式センサーであり、例えばサーミスタである。
112Bは、第1温度センサーと同様な第2温度センサーであり、前記内筐体20の前方壁面20Fに密着状態に設置してある。
前記第1温度センサー112Aと第2温度センサー112Bによって、第2の温度検出部112が構成されている。この第2の温度検出部112は、前記第1の温度検知部15と同様な温度検出部である(図11参照)。
113は、加熱調理器本体1の外郭を構成するプラスチック製の本体ケース1C底面に、一体に形成された脚部である。この脚部は、前後方向に離れて少なくとも2個所設けてあり、各々の脚部113は、左右方向に長い直線形状に設けられている。この脚部113は、加熱調理器100が食卓等の家具の上に置かれた場合、その家具上面に接触する部分となる。
次に蓋体2の内部における各種空隙、空間について説明する。
前述したが、食パンのサイズには、「山型食パン」、「角型食パン」などがあり、これらの食パン種類に応じて外形寸法は変化する。
そこで、通常の「山型食パン」や「角型食パン」を前記加熱プレート11の第1の加熱面11Uの上に置いた場合、前記第1の空隙G1が確保されるよう、加熱室31の寸法が決定されている。
G2は、普通の大きさの食パンを収容した場合、その食パンの前方端面と、前方側にある前方壁面20Fとの間に形成される第2の空隙である。つまり、加熱室31の前後方向の有効長さは、普通の大きさの食パンを収容した場合、前方も後方も内筐体20と接触しないような寸法である。
同様に、図示はしていないが、加熱室31の左右方向の有効長さは、普通の大きさの食パンを収容した場合、内筐体20右側壁面20Rと左側壁面20Lの両方と、食パンの左右端面とが接触しないような寸法になっている。
前記第1の空隙G1と第2の空隙G2は、前記第1の加熱面11Uの周囲(前後・左右)にある傾斜部(傾斜面)11B(図9参照)の存在も関係しており、その傾斜部11Bの前後・左右方向の寸法を大きく確保すれば、それら第1、第2の空隙G1、G2も大きくなる。
図3において、45は、前記第1のプレート11の全周囲を囲むように形成された平面形状がリング(額縁)状の支持枠であり、耐熱性のプラスチックで全体が形成されている。この支持枠45の上面は、全体に亘り面一に形成されており、この上面は、前記蓋体2の第2の重合面P2と微小間隙を挟んで対面する第1の重合面P1となる。
33は、上枠であり、前記支持枠45の全周囲(但し、後方のヒンジケース18部分を除く)を囲んでいる。この上枠33は、平面形状がリング(額縁)状である。この上枠18の上面は、蓋体2が閉じた状態で、当該蓋体2の下面と対面する。上枠18は、耐熱性を有するプラスチック材料によって全体が一体に構成されている。
前記上枠33の上面と支持枠45の上面は、同じ水平面を構成するように高さが一致している。そして、上枠33と支持枠45は、本体ケース1Cの上端部に強固に固定されている。
図3と図4において、29は、蓋体2の下面全周縁に及ぶような額縁状の蓋枠であり、全体が耐熱性のプラスチックで一体に形成されている。
蓋体2を閉じた状態で、前記蓋枠29の下面が、前記上枠33と支持枠45の上面に、それぞれ対面する。
29Aは、蓋枠29の全周にわたって垂直に形成した凸壁であり、前記内筐体20の全周囲を囲むように、上方に大きく突出している。その突出量は、内筐体20の高さの半分を超える程度である。
図3において、G3は、前記蓋枠29と、蓋体2の前方側の側壁との間に形成される第3の空隙である。G4は、同じく前記蓋枠29と蓋体2の後方側の側壁との間に形成される第4の空隙である。また図示していないが、蓋枠29の右側方と左側方も、それぞれ蓋体2の側壁面との間に空隙を有しているため、結局、蓋枠29の全周囲で蓋体2の側壁面との間に空隙がある。しかも、それら空隙は、空気の流通を許容できる程度に連通しており、局部的に高温の熱気が滞留することを防止している。なお、この熱気の排出については、冷却ファン46の役目である。
図3において、G5は、前記蓋枠29に形成された垂直状態の凸壁29Aの側面と、前記内筐体20の前後・左右の側壁面20F、20B、20L、20Rとの間に形成される第5の空隙である。
前記第5の空隙G5と前記第3及び第4の空隙G3、G4によって、加熱室31の周囲を形成する内筐体20は、前記蓋体ケース2Cに対する断熱性を高めることができる。
図3において、G6は、前記ヒーター押え板23の上面と前記蓋体2の上壁面(天井壁面)との間に形成される第6の空隙である。この第6の空隙G6によって、ヒーター押え板23は、前記蓋体ケース2Cに対する断熱性を高めることができる。なお、上面加熱装置21の上方に断熱部材22を水平方向に設置してあるため、ヒーター押え板23自体の温度も低く抑えられている。
図3において、H3は、前記上部加熱装置21の上面から前記蓋体ケース2Cの上壁面(天井壁面)までの高さ寸法を示している。この実施の形態1では、H3は約30mmである。この高さ寸法H3は、上部加熱装置21からの高熱の影響で、前記蓋体ケース2Cの上壁面が高温度にならないように、実験によって設定している。
以上の構成によって蓋体2が構成されている。
図3に示すように、前記蓋体2の回動中心となるヒンジ部19の回動中心軸は、境界線PLよりも上方に位置している。この構成であるから、蓋体2を開閉する際に、加熱室31の後部最下端角部31K(図4参照)は、蓋体2を開放するに伴って第1のプレート11から遠ざかる軌跡の円を描く。従って、被調理物30の後方端面が蓋体2の後部壁面まで接近した位置にあっても、蓋体2の開閉時にその被調理物30の後方端面と蓋体2とが接触することはない。
この実施の形態1の構成によれば、加熱室31の容積を小さく設計しても、蓋体2を閉じる際や開ける際に、被調理物30の後方端部と蓋体2が衝突したり、接触したりする不具合を防止できる。
上記構成の加熱調理器100において、蓋体2を回動させて加熱室31を開放した際に、開いた状態の蓋体2が自重で勝手に閉じてしまうと、加熱調理器本体1と蓋体2との間に使用者の手が挟まる虞がある。
また、蓋体2を回動させて加熱室31を開放した際に、蓋体2の重さで加熱調理器本体1が後方に転倒してしまう虞がある。
そこで、実施の形態1の加熱調理器100では、ヒンジ部19を回転軸として回動する蓋体2を、目標の回動位置で支持する支持機構3が設けられている。
次に図6~図11について説明する。
図6は、図1の加熱調理器における蓋体の支持機構を示した要部拡大縦断面図である。図7は、図1の加熱調理器の保持部材の凸部の形状を拡大して示した説明図1である。図8は、図1の加熱調理器の保持部材の凸部の形状を拡大して示した説明図2である。図9は、図1の加熱調理器の縦断面模式図である。図10は、図1の加熱調理器における第1のプレート(底プレート)の平面図である。図11は、図1の加熱調理器の機能ブロック図である。
前記支持機構3は、図6に示すように、ヒンジ部19の外周面を被覆するように取り付けられ、ヒンジ部19の回動に連動して同一方向に回動する筒状の保持部材4と、保持部材4の回動を止めるロック機構部5と、を有している。
前記支持機構3は、加熱調理器本体1の後部において、前記ヒンジケース18の内側空間に設けられている。具体的には、図6に詳細を示しているように、支持台9の上面に設けられている。
前記支持台9は、全体がプラスチック材又は金属材料から形成されている。34は、スペーサーである。前記支持台9には、前記スペーサー34と前記ヒンジケース18との間で前後から挟んで固定するために、段差部9aが設けられている。
前記支持台9は、前記ヒンジケース18の内部空間を上下2つの空間に仕切っているが、その一部には上下に貫通した連通孔9Hを形成している。この連通孔9Hは、後述するように前記冷却ファン46からの冷却風CFの通路となる。なお、連通孔9Hは、横に並んで複数個形成されている。
ヒンジ部19の回動軸部分には、円を直線で切り欠いたDカット部19dが形成されている。保持部材4は、内面をヒンジ部19のDカット部19dに適合する形状とすることで、ヒンジ部19の回転に連動して回動させることができる。なお、詳細に図示することは省略したが、ヒンジ部19にキー溝を形成し、保持部材4の内面をキー溝に嵌る形状としてもよい。また、ヒンジ部19と保持部材4とを、ネジ等の結合部材を使用して連結してもよい。
保持部材4の外面には、外方へ突き出す凸部40がヒンジ部19の周方向に沿って4つ設けられている。
凸部40は、保持部材4の外面に一体に形成されている。そしてこの凸部40は、ロック機構部5で回動を止められる。回動を止められることで、保持部材4の回動も止められ、ヒンジ部19を介して蓋体2が目標の回動位置で保持できる。具体的には、凸部40は、蓋体2を略30度、略60度及び略90度で保持できるように、保持部材4の周囲に、間隔を置いて複数個所に設けられている。
図示した実施の形態1では、凸部40を4つ設けた構成を示したが、これに限定されない。凸部40の個数及び位置は、蓋体2の大きさ又は重さ等に応じて、適宜変更して設けるものとする。
次に図7と図8について説明する。
図7と図8は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100の蓋体2を保持部材する機構を示しており、保持部材4の凸部40の形状を拡大して示した説明図である。
凸部40は、図7及び図8に示すように、前面側から頂部に向かう傾斜面の傾斜角度θ1が、背面側から頂部に向かう傾斜面の傾斜角度θ2よりも小さくしている。図7に示すように、前面側から頂部に向かう傾斜面の傾斜角度θ1を小さくすることで、蓋体2を開ける際に、凸部40による負荷を軽減させて、蓋体2を開けやすくすることができる。
一方、図8に示すように、背面側から頂部に向かう傾斜面の傾斜角度θ2を大きくすることで、蓋体2が不用意に閉じたりする事態を防止することができる。なお、傾斜角度θ1は、一例として20度から30度程度である。また、傾斜角度θ2は、一例として45度から60度程度である。
ロック機構部5は、図6に示すように、隣接する凸部40と凸部40との間に嵌る固定部50と、固定部50を上下移動可能に支持し、固定部50を保持部材4に向かって押しつける付勢部材(圧縮ばね)51と、を有している。
付勢部材51によって保持部材4に押し付けられた固定部50が、隣接する凸部40と凸部40との間に嵌って、保持部材4の回動を止める構成である。なお、付勢部材51によって保持部材4の回動を止める力は、蓋体2が自重で閉じる方向に回動する力よりも大きいものとする。
固定部50は、隣接する凸部40と凸部40との間に嵌る突起部50aと、突起部50aの下部に設けられ、付勢部材51を納める収納部50bとで構成されている。付勢部材51は、例えば金属製のばね材から形成されており、上端部が収納部50bに取り付けられ、下端部が支持台9に取り付けられている。なお、付勢部材51は、図示した圧縮ばねに限定されず、ゴム材等の弾性部材でもよい。
前記収納部50bは、前記スペーサー34と段差部9aとの間の空間に収められており、上下方向に移動自在である。なお、図6から明らかなように、前記冷却風CFが通過する連通孔9Hの真上には前記保持部材4が配置されていないので、冷却風CFの流れを保持部材4が妨げない。
実施の形態1の加熱調理器100は、蓋体2を閉じた状態から開いて、背面側に向かって上方に回動させると、図3に示すように最初の凸部40が突起部50aに突き当たる。
そして、突起部50aが付勢部材51によって付勢されつつ上下移動を繰り返して、途中の凸部40を順に乗り越えていき、図5に示すように、略90度回動させた位置で、ロック機構部5の固定部50が保持部材4の凸部40間に嵌まる。
付勢部材51で付勢された固定部50によって保持部材4が、その位置で固定されるので、ヒンジ部19もその位置で固定され、蓋体2の位置を保持することができる。なお、図5では、蓋体2を開いて90度の位置で保持した構成を説明したが、蓋体2を途中位置に設けた凸部40と凸部40との間に嵌め込むことで、例えば略30度又は略60度の位置で保持することができる。
蓋体2は、図5に示した開いた状態から、前面側に向かって下方に回動させると、凸部40が順番に突起部50aを乗り越えていき、図3に示すように最後の凸部40が突起部50aを乗り越えた時点で、自重により閉まる。
上記したように、実施の形態1の加熱調理器100は、ヒンジ部19の回動軸を中心にして回動する蓋体2を有し、この蓋体2を目標の回動位置で支持する支持機構3を備えている。
このため、広い加熱調理空間と密閉性を両立させた構造であっても、開いた蓋体2が自重で勝手に閉じることがない。このため、蓋体2の開いた角度の変化に起因して、蓋体2に重心位置の変化が起こって、加熱調理器本体1が転倒する事態を防止することができ、安全に且つ安心して使用できる。
また、支持機構3は、ヒンジ部19の外周面に取り付けられ、ヒンジ部19の回動に連動して同一方向に回動する保持部材4と、保持部材4の回動を止めるロック機構部5と、を有している。保持部材4は、外方へ向かって突き出し、ヒンジ部19の周方向に沿って間隔をあけて形成された複数の凸部40を有している。ロック機構部5は、隣接する凸部40間に嵌る固定部50と、固定部50を上下移動可能に支持し、固定部50を保持部材4に向かって押しつける付勢部材51と、を有している。よって、実施の形態1の加熱調理器100の支持機構3は、部材点数が少なく簡易な構造なので、製造コストを削減に寄与することができる。
また、凸部40は、蓋体2の回動範囲に対して、蓋体2を閉じた状態から30%回動させた位置に最初の頂部が設けられている。つまり、実施の形態1の加熱調理器100は、蓋体2を閉じる際に、凸部40の頂部が固定部50の突起部50aを乗り越えて、蓋体2がある程度閉じた時点で自重により閉まるので、利便性を高めることができる。
次に図3に戻って、冷却風CFの供給手段について説明する。
前記冷却ファン46は、そのファンケース46Cの下側面に、空気の吸込口46A(図3には示していない)を有している。
冷却ファン46は、加熱調理器本体1の後部に斜めに設置してある。
前記冷却ファン46と近い本体ケース1Cの底壁面には、複数の吸気孔48を形成している。この吸気孔48から加熱調理器100の外部の新鮮な空気が冷却ファン46に吸引される。
前記冷却ファン46は、遠心ファンが採用されており、回転軸46Bは斜め下方向に向けて設置されている。この回転軸46Bの周囲に回転翼46F(図示せず)が取り付けられている。なお、冷却ファン46は、遠心ファン以外の他の形式のファンでも良く、例えば軸流式ファンでも良い。
図3において、47は、冷却ファン46の吹出口側に一端(下端)開口部が接続された筒状のダクトである。このダクト47の上端は、前記通気孔9Hの下方に伸び、ヒンジケース18と支持台9の下面に密着している。これによって冷却ファン46から通気孔9Hまでの間に冷却風CFの専用風路が区画形成される。
図1と図3において、49は、縦断面形状が半円形の排気カバーである。この排気カバー49は、蓋体2の左右中央部で、かつ前方部に取り付けてある。この排気カバー49には、図3に示しているように、下面から上面に向かって斜めに形成した排気孔49Aを複数個設けている。排気カバー49は、前記排気孔49Aから放出される空気の進行方向を後方側にするためのものである。また、この排気カバー49は、蓋体2の上に万一液体がこぼれても、その液体が排気孔49Aに容易に浸入しないことを期待して設置されており、さらに、排気孔49Aの下方(侵入した液体の流路)に電気部品を配置しないことで信頼性を高めている。
次に図9と図10について説明する。
前記第1のプレート11は、1枚の金属製薄板をプレス加工によって薄い皿形状にしたものであり、外周部を除いて大きな平面部11C(図10参照)を備えている。この平面部11Cの上面が前記第1の加熱面11Uとして機能する。
図9において、11Bは、前記第1の加熱面11Uの周囲(前後・左右)にある傾斜部(傾斜面)である。前記平面部11Cと傾斜部11Bは、一連に形成されている。
前記傾斜面11Bの角度は、第1のプレート11の外周側に向かって高くなるように仰角45度前後であるが、30度でも良いし、逆に75度のような急傾斜でも良い。但し、この実施の形態1では、平面部(第1の加熱面)11Cの前後・左右における傾斜面11Bの角度は、全て統一しており、45度である。
図9において、HAは、前記境界線PLを基準にして、前記第2の加熱面28Uまでの直線距離であり、この直線距離HAは、前記第1の加熱面11Uまでの距離HBに比較して3倍以上も大きい。
図9において、DPは、前記境界線PLを基準にして、前記第1の加熱面11Uまでの直線距離である。つまり第1のプレート11の上面から第1の加熱面11Uまでの「深さ」を示しており、2mm~10mmの範囲に設定されている。この「深さ」が大きいと、食パン等の被調理物30を収容したあと、その横方向への不用意な移動を防止できる利点がある。
しかし、境界線PLを基準にして前記第1の加熱面11Uまでの直線距離DPが大きすぎると、加熱調理後のトースト等を取り出す場合、通常6枚切りの食パンの厚さは約20mmであるので、トーストをユーザーが指先で掴みにくくなり、取り出しの容易性を損なう懸念もある。
図9において、28Uは、前記加熱室31の天井面でもある第2の加熱面であり、前述したように第2のプレート28の下面によって形成されている。
図9において、ALは、底面加熱装置12を構成する面状ヒーターの前後方向の長さを示している。実際には、前述したマイカ板の前後方向の最大長さに相当しており、このマイカ板の前後方向端部まで電熱帯があるので、電熱線で加熱される「加熱域」に相当する範囲を示している。
図9に示すように、第1の加熱面11Uの前後方向の長さよりも少し長い範囲まで、底面加熱装置12を構成する面状ヒーターが向かい合っているため、底面加熱装置12への通電によって、第1の加熱面11Uの前方端部から後方端部まで加熱される。
第1の加熱面11Uの左右方向についても、底面加熱装置12の面状ヒーターの横幅寸法が、第1の加熱面11Uの左右方向の長さ(横幅寸法)よりも少し大きいので、結局、第1の加熱面11Uの前後方向と左右方向の端部までも、底面加熱装置12の面状ヒーターで加熱できる。
図9において、BLは、前記上面加熱装置21を構成する面状ヒーターの前後方向の長さを示している。実際には、前述したマイカ板の前後方向の最大長さに相当しており、このマイカ板の前後方向端部まで電熱帯があるので、電熱線で加熱される「加熱域」に相当する範囲を示している。
図9に示すように、第2の加熱面28Uの前後方向の端部まで、上面加熱装置21を構成する面状ヒーターが存在しているため、上面加熱装置21への通電によって、第2の加熱面28Uの前方端部から後方端部まで加熱される。
第2の加熱面28Uの左右方向についても、上面加熱装置21の面状ヒーターの横幅寸法が少し大きいので、結局、第2の加熱面28Uの前後方向と左右方向の端部までも、上面加熱装置21の面状ヒーターで上方から加熱できる状態である。
本実施の形態1に係る加熱調理器100で調理される被調理物30は、主に食パンである。食パンには、食パンの材料を所定の型の中に入れて焼き上げる際に、その型の上に蓋をして、四角く仕上げた「角型」と、焼き上げる際に蓋をせずに仕上げた「山型」とがあり、それらの一般的なサイズは、角型食パンは横12cm×縦12cm、山型食パンは横12cm×縦16cm程度となっている。つまり、山型食パンは角形食パンよりも細長い形状である。
また、食パンの大きさは、日本では計量の単位として「一斤」が使用されている。そして一斤の食パンを、切る(スライスする)枚数によって厚さが異なっており、例えば4枚切りの厚さは約30mm/枚、6枚切りの厚さは約20mm/枚となっている。
加熱室31の縦横のサイズは、少なくとも山型の食パンのサイズよりも大きく、山型の食パンのサイズよりも20~40mm程度大きい寸法が望ましい。加熱室31の縦横のサイズは、例えば横14cm×縦18cmである。これは、加熱室31内で第1のプレート11に載置された山型の食パンと、加熱室31の側壁(内筐体20の壁面20Bなど)とが接触しない寸法である。
前記第1のプレート11の第1の加熱面11Uの平面寸法は、「山型」の食パンの平面的な寸法(左右方向の横方向幅12cm、縦方向長さ16cm)よりも大きく設定されている。
また、加熱室31の高さは、少なくとも4枚切りの食パンよりも大きく、4枚切りの食パンに「具材」をのせても、第2の加熱面28Uに、当該「具材」が接触しない程度の寸法が望ましい。加熱室31の高さ寸法H2(図9参照)は、例えば45mmである。
例えば、第1のプレート11の上に、市販されている最も厚い4枚切り(厚さ約30mm)の食パンの上に、チーズなどの具材を厚さ10mm程度までのせた状態で蓋体2を閉めても、食パンの上の具材と、加熱室31の天井面を構成する第2の加熱面28Uとが、接触しない寸法に設定してあり、食パンの上面(第2の側面)30Tから、第2の加熱面28Uが、数mm~15mm程度離れた状態となる。
次に図10について説明する。
被調理物が載置される第1のプレート11は、平面形状が長方形である。これはこの加熱調理器100が対象としている被調理物30が、山型食パンも含むためである。つまり、第1のプレート11は、山型食パンの一般的な形状である長方形に合わせてある。
図10において、W1は、山型食パンの縦方向(前後方向)寸法を示し、例えば約160mmである。L1は、その山型食パンの横幅(左右方向)寸法を示し、例えば約120mmである。
図10において、W4は、第1のプレート11の前後方向(縦方向)の寸法を示し、L4は、その第1のプレート11の最大横幅寸法を示すものである。
W2は、第1のプレート11の中で、前記食パン等が載せられる平面部11Cの縦方向寸法を示し、L2は、その最大横幅寸法を示すものである。
W3は、第1のプレート11の中で、前記平面部11Cの前後左右の周囲に形成された傾斜部11Bの縦方向寸法を示し、L3は、その最大横幅寸法を示すものである。傾斜部11Bは、前記平面部(第1の加熱面)11Cの前方、後方及び左右側方に、それぞれ同じ平面的な大きさで形成されている。言い換えると、平面部11Cの中心部Oを通る左右中心線HLと、前後中心線VLを基準に、前後・左右に対称的に形成してある。
W4は、第1のプレート11の中で、最大外形寸法となる前後方向の長さを示し、L4は、その最大横幅寸法を示すものである。
前記第1の加熱面11Uは、前述した説明から明らかなように、金属製の板で全体が形成されており、非通気性構造であり、かつ水平に設置されている。
「非通気性構造」とは、金属製の網や多数の貫通孔が形成されたパンチングメタル等のような通気性を目的とした構造物ではないものをいう。
前記平面部11Cの平面的な大きさは、図10に示しているように最大縦方向(前後方向)寸法がW2、最大横幅(左右方向)寸法がL2であり、通常の各種トーストの平面的な大きさよりも大きい。つまり、この第1の加熱面11Uの平面的な大きさは、主な被調理物30である食パンの外形寸法よりも大きく形成されている。
因みに、平面部(第1の加熱面)11Cの縦方向寸法W2は、177mm、L2は127mmである。また、前記底面加熱装置12の定格消費電力は300Wであり、被調理物30を加熱することに寄与する実質的な面積で除した結果求められる「1平方センチメートル当たりの消費電力(1平方センチメートル当たりの「ワット密度」)は、1.3Wである。
前記加熱室31の容積VL1は、被調理物30としての食パンの外形寸法から求めた最大体積VL2の1.5倍以上~3倍以下の範囲にある。
具体的には、実施の形態1では、食パンの外形寸法から求めた最大体積VL2は、16センチメートル(cm)×16cm×3cm=768立法センチメートルである。前記加熱室31の容積VL1は、この1.5倍~3倍以下である。つまり、1152~2304立法センチメートルである。加熱室31が、完全な立方体形状で、傾斜部11Bの存在も無視した場合、加熱室31の前後・左右方向の内側寸法がそれぞれ20cmであるとすると、高さ寸法H2は、3cm(2.88cm)~6cm(5.76cm)未満になる。前述した通り、この実施の形態1では、高さH1は、約2.5cm(25mm)、H2は、約4.5cm(45mm)である。
次に図11について説明する。図11は、実施の形態1に係る加熱調理器100の機能ブロック図である。
図11に示すように、上面加熱装置21と底面加熱装置12に対して通電する範囲を決め、食パンのサイズに応じた加熱範囲を選択できる通電範囲切替装置60が、前記電源基板114に実装されている。
入力操作部16にあるサイズ設定操作部16Dを、ユーザーが操作して「サイズ設定信号」が前記制御装置90に入力されると、制御装置90は、その「サイズ設定信号」に対応した「通電範囲指定信号」を電源基板114の通電範囲切替装置60に対して出力する。
本実施の形態1に係る制御装置90は、メイン制御部92と、演算部93と、タイマー部94と、記憶部95と、制限部98を備えている。
メイン制御部92は、温度検知装置99、蓋体開閉検知装置97、操作基板17を介して入力操作部16から入力される各種情報に基づいて、底面加熱装置12および上面加熱装置21を制御するものである。当該各種情報とは、「モード設定信号」、「焼き色設定信号」、「サイズ設定信号」、「加熱開始信号」である。
演算部93は、後述する加熱終了時刻や、各種制御パラメータを演算するものである。記憶部95は、例えばフラッシュROMで構成され、複数の「焼き色」に対応した重量減少率のデータが複数記憶されているものである。重量減少率のデータは、制御装置90が通電開始から通電終了までの「通電時間」を決めることに利用する。「サイズ設定信号」のために、食パンの形状や大きさ(縦横寸法)に対応した通電範囲の切替パターンが、対応表(テーブル)等の形式で記憶されているものである。また、使用者が使用した調理毎に、モードや焼き色等の設定情報や、温度情報、調理時間などの各種情報を記憶するように構成されているものである。
前記「通電時間」は、被加熱物30の「加熱モード」と「サイズ」にも依存する。例えば、同じサイズの食パンでも、常温の食パンと、冷凍パンとを比較すると、後者の方の加熱時間は長い。従って、前記演算部93では、これら「加熱モード」や「サイズ」の情報も、入力操作部16から取得し、最終的な「通電時間」を決める。この場合、上記したように、事前の実験結果等から対応表(テーブル)の形式で記憶されているものを利用する方法でも良いし、その都度、演算によって時間を算出することでも良い。
制限部98は、入力操作部16より入力された調理条件のほか、温度検知装置99、演算部93、タイマー部94、記憶部95からの情報に基づいて、メイン制御部92で制御する対象の、底面加熱装置12および上面加熱装置21に対する通電を制限するものである。この場合の「制限」とは、通電を禁止する場合と、通電の量、言い換えると単位時間あたりの加熱量(火力)を制限し、加熱能力を抑制することも含む。
電源基板114は、制御装置90から出力された制御信号に基づいて、底面加熱装置12および上面加熱装置21への通電をONまたはOFFする。
底面加熱装置12により加熱された第1のプレート11の温度は、温度検知装置99の第1の温度検知部15により検知され、その検知した温度情報は制御装置90に入力される。また、蓋体2の開閉は蓋体開閉検知装置97により検知され、その検知した開閉情報は制御装置90に入力される。
さらに、底面加熱装置12と上面加熱装置21によって加熱される加熱調理器室31の温度は、上面加熱装置21と第2の温度検出部112A、112Bにより検知され、その検知した温度情報は制御装置90に入力される。
ここで、前記蓋体開閉検知装置97について説明する。
蓋体開閉検知装置97は、光学式、磁気感知式又は機械検知式の何れでも良い。機械検知式は例えば、蓋体2の回動中心となるヒンジ部19の回動中心軸にセンサーを配置し、その回動中心軸の回動角度を当該センサーで検知させ、蓋体2の開放を検知する。
磁気感知式は、蓋体2と加熱調理器本体1の、何れか一方に磁力を発生する永久磁石を設け、他方にはその永久磁石の磁力を受けて開閉する電気接点を有した磁気感応素子(リードスイッチ)を設けて構成する。
光学式は、蓋体2と加熱調理器本体1の、何れか一方に赤外線発光素子と受光感知部を、他方にはその赤外線発光素子からの赤外線信号を反射する反射部を設ける。
蓋体2が閉じている場合には、赤外線発光素子から放射された赤外線信号が、蓋体2の内部の反射部で反射して受光感知部まで戻ってくる。そのため、蓋体2が閉じている状態では、受光感知部の検知信号は受光を示し、この検知信号を前記制御装置90が判別して、蓋体2が閉じていることを検知できる。
図11において、35は報知部であり、加熱調理の条件や加熱調理工程の進捗度合等を、文字や図形で示す表示画面、または音声で知らせる音声合成装置とスピーカ等からなる音声報知部から構成されている。この実施の形態では、光の発光やその発光形態(例えば、連続発光や点滅等)で報知する発光報知手段も備えている。
前記発光報知手段として、図1に図示したように前記操作部16の表面に発光ダイオード(LED)からなる、薄めLED41a、普通LED41b、濃いめLED41c、延長/高温報知LED41dからなる焼き色LED41を設けている。その他のLEDは図示していないが、焼き色LED41と同様に前記操作部16の表面に発光ダイオード(LED)を配置しており、加熱動作中には、そのLEDを発光させる。また、加熱調理器本体1の内部には、音声合成装置とスピーカを有する音声報知部(図示せず)も備えている。
36は、前記制御装置90からの指令信号を受けて前記冷却ファン46の運転開始、停止の信号(駆動電力)を冷却ファン46に供給する駆動回路である。46Mは、ファンモータである。
図12は、本発明の実施の形態1に係る角型食パン30aが載置された第1のプレート11を平面視した模式図である。図13は、本発明の実施の形態1に係る山型食パン30bが載置された第1のプレート11を平面視した模式図である。図14は、本発明の実施の形態1に係る通電範囲切替装置60の回路構成を示す模式図である。
図12~図14に示すように、底面加熱装置12には、電気絶縁材としてのマイカ板の全体に、2つの電熱帯12H1、12H2を重ねた面状ヒーターが使用されている。
前記2つの電熱帯12H1、12H2は、マイカ板の表面上に、一方向に沿って帯状に配置されている。2つの電熱帯12H1、12H2は、第1のプレート11の、特に第1の加熱面11Uの全体を、均等に加熱するように配線パターンが工夫されている。
同様に、上面加熱装置21には、図示していないが、電気絶縁材としてのマイカ板の全体に、2つの電熱帯21H1、21H2を重ねた面状ヒーターが使用されている。
前記電熱帯21H1と21H2は、マイカ板の表面上に、一方向に沿って帯状に配置されている。
図12及び図13では、底面加熱装置12の電熱帯12H1、12H2を図示しているが、上面加熱装置21の電熱帯21H1、21H2も同様の構成である。
上面加熱装置21の電熱帯21H1、21H2は、底面加熱装置12の電熱帯12H1、12H2と上下方向で見た場合、対応する位置にそれぞれ設けられている。つまり、食パンを下方向から加熱する電熱帯12H1、12H2と、上方向から加熱する電熱帯21H1、21H2は、上下方向で見た投影面積は同じである。例えば、上面加熱装置23の電熱帯21H1、21H2が設けてある範囲が、縦方向(前後方向)で16cm、横(幅)方向で12cmであった場合、底面加熱装置12の電熱帯12H1、12H2も同様に16cm×12cmの大きさである。
このように上下で、合計4つの電熱帯12H1、12H2、21H1、21H2は、平面視では重なっている状態である。
第1のプレート11の面上に配置された電熱帯12H1、12H2が、均一の間隔(配線密度)で配置されている場合、第1のプレート11の中央部に熱が集中するため、第1のプレート11の中央部と外側部(外周縁部)とで温度差が生じやすい。そして、第1のプレート11の中央部と外側部とで温度差が生じると、被調理物30を加熱する際、中央部のみ焼き色が濃くなり、焼きムラができてしまう。そのため、電熱帯12H1、12H2の配置間隔を、第1のプレート11の中央部で広くし、周辺部では狭くすることにより、中央部と周辺との温度差が生じにくくなり、被調理物30を加熱する際の焼きムラを少なくすることができる。
次に図14について説明する。
前記通電範囲切替装置60は、第1切替部61と第2切替部62を有している。前記第1切替部61と第2切替部62は、底面加熱装置12と上面加熱装置21に、それぞれ1組ずつ設けてある。
図12、図14に示している通り、前記底面加熱装置12は、第1加熱部12aと第2加熱部12bとで構成されている。第1切替部61をONにすると第1加熱部12aのみに通電され、第2切替部62をONにすると第1加熱部12a及び第2加熱部12bに通電されるようになっている。
言い換えると、第1切替部61をONにすると、前記第1加熱部12aのみに加熱するように、前記した1つの電熱帯12H1が通電される。また第2切替部62をONにすると、前記した2つの電熱帯12H1、12H2が全て通電される。
また、上面加熱装置21は、図示は省略しているが、第1加熱部と第2加熱部とで構成されている。第1切替部61をONにすると第1加熱部のみに通電され、第2切替部62をONにすると第1加熱部12a及び第2加熱部に通電されるようになっている。この加熱領域の切り替え原理は、前記底面加熱装置12と同じである。
制御装置90は、サイズ設定操作部16Dにより設定された被加熱物30の「サイズ」に応じて、2つの通電範囲切替装置60の第1切替部61及び第2切替部62をONまたはOFFに切り替える。そうすることで、底面加熱装置12及び上面加熱装置21への通電範囲が切り替えられ、加熱室31内の第1の加熱面11U、第2の加熱面28Uの加熱範囲が変更される。
本実施の形態1に係る加熱調理器100では、1つの底面加熱装置12を備え、その底面加熱装置12が、1つの面状ヒーター(2つの電熱帯12H1、12H2)で構成されているものとしたが、それに限定されない。例えば、図15は、本発明の実施の形態1に係る変形例を示している。この図15は、角型食パン30aが載置された状態の、第1のプレート11を平面視した模式図である。
この図15に示すように、加熱調理器100が、複数の底面加熱装置12を備え、通電範囲切替装置60によって、各底面加熱装置12の電熱帯12H1、12H2への通電の有無を切り替える構成としてもよい。また、上面加熱装置21についても同様に、加熱調理器100が複数の面状ヒーターから構成された上面加熱装置21を備え、通電範囲切替装置60によって、各上面加熱装置21の面状ヒーター(2つの電熱帯21H1、21H2)への通電の有無を切り替える構成としてもよい。
本実施の形態1に係る加熱調理器100では、1つの底面加熱装置12を備え、その底面加熱装置12が複数の面状ヒーター(電熱帯12H1、12H2)で構成されていたが、これに限定されなくとも良い。図15に示すように、加熱調理器100が、複数の面状ヒーター12H1、12H2からなる底面加熱装置12を備え、通電範囲切替装置60によって、底面加熱装置12の各面状ヒーター(電熱帯12H1、12H2)への通電の有無を切り替える構成としてもよい。
また、上面加熱装置21についても同様に、複数の面状ヒーターから構成し、通電範囲切替装置60によって、各面状ヒーターへの通電の有無を切り替える構成としてもよい。
次に、本実施の形態1に係る加熱調理器100による被調理物30の調理について説明する。
図16は、制御装置90の動作ステップを示したフローチャートである。また、図17は、図16の動作ステップの中の「是正処理」の動作を示したフローチャートである。
ユーザーが加熱調理器100を使用して食パンを焼く場合を例にして以下説明する。
まず、電源プラグ96を持って、コードリール91から電源コード(図示せず)を引き出し、電源プラグ96を商用交流電源の接続口に接続する。
すると、制御装置90は、商用交流電源が電源基板114に実装された電源回路(図示せず)に供給されたことを把握する。そして、報知部35を起動する(ステップS1)。この場合、制御装置90は、例えば「食パン等を、加熱プレート(第1のプレート11のこと)の上に載せて、調理条件を設定して下さい」というような音声ガイドを行うように、報知部35に対し指令信号を発しても良い。
次に制御装置90は、蓋体2が閉じられたかどうかを判定する(S2)。もし、蓋体2を開けたままの状態であった場合、ステップS3に進み、経過時間を計測するために時間の計測を開始する。そして、ステップS3に進んでから例えば3分経過しても、蓋体2が閉じられない場合には、何らかの事情で加熱調理に準備を要している可能性もあるため、一旦リセットし、長時間放置されないように、主電源を強制的に切る旨の報知を行い(S5)、一連の動作を終了する。
一方、ユーザーが、食パンなどの被調理物30を第1のプレート11に載置した後、蓋体2を閉めると、蓋体2を閉じたことがステップS2で判定される。すると、次に制御装置90は、自身の異常有無をチェックする。例えば、この段階で温度検知装置99に最新の計測データの提供を要求する。
温度検知装置99から、例えば本体ケース1Cの内部温度が異常に高いことを示す温度計測情報が提供された場合には、異常ありと判定し(ステップS6)、ステップS14へ進み、加熱動作を開始しないまま停止するとの報知を、報知部35で行い、主電源を強制的に遮断して終了する。このように、本体ケース1Cの内部温度が異常に高い場合には、異常ありと判定し(ステップS6)、加熱動作を開始しないことを決定するのは、前記制限部98である。
ステップS6で「異常なし」と判定された場合には、次のステップS7に進む。
次に、ユーザーは、モード切替ボタン16aによって、調理する被加熱物30の種類に応じた「加熱モード」を設定する。
また、ユーザーは、焼き色調整ダイヤル16bによって、被調理物30の「焼き色」を任意に設定する。
さらに、ユーザーは、サイズ設定操作部16dにより、調理する被調理物30のサイズに応じて「サイズ」を設定する。その後、ユーザーは、操作部16に設けられた調理開始ボタン16cを押し、加熱開始を指令する。このようにステップS7においてユーザーの入力を完了させると、制御装置90は、底面加熱装置12と上面加熱装置21に対して加熱開始の指令信号を送って、加熱を開始する。
なお、被調理物30を第1のプレート11に載置する前に、被調理物30の「サイズ」を設定しても良いが、蓋体2が開いている間に、調理開始ボタン16cを押しても、加熱開始を指令は、制御装置90から行われない。前記した蓋体開閉検知装置97からの信号によって、蓋体2が開放状態であるかどうか制御装置90で把握しているためである。これにより、蓋体2の開放中に加熱調理動作が開始されるということが防止され、安全性の高い加熱調理器100を実現している。
調理開始ボタン16cが押されて、操作基板17から「調理開始の指令信号」を制御装置90が受けると、制御装置90は、底面加熱装置12および上面加熱装置21への通電を開始し(ステップS8)、ユーザーにより設定された「加熱モード」、「焼き色」、および、「サイズ」に基づいて、それらを制御する。
制御装置90は、サイズ設定操作部15Cで選択した「サイズ」が、「角型食パン」を指定したものである場合、2つの第1切替部61を共にONとし、2つの第2切替部62を共にOFFとし、底面加熱装置12および上面加熱装置21への通電を開始する。そうすることで、加熱範囲が角型食パン30aに対応したサイズとなる。
また、制御装置90は、サイズ設定操作部16Dで選択した「サイズ」が「山型食パン」である場合、2つの第1切替部61を共にOFFとし、2つの第2切替部62を共にONとし、底面加熱装置12および上面加熱装置21への通電を、それぞれ開始する。そうすることで、加熱範囲が山型食パン30bに対応したサイズとなる。つまり、「角型食パン」よりも大きな長方形の範囲全体の電熱帯12H1、12H2が、同時に加熱開始される。
このように、サイズ設定操作部16Dで、「角型食パン」や「山型食パン」を選択することで、それらの大きさに合致した加熱範囲が定まる。つまり、「角型食パン」や「山型食パン」等の被調理物30のサイズに応じて底面加熱装置12および上面加熱装置21への通電範囲を切り替えることで、調理中の不要な電力消費を抑えられるため、省エネ化を図ることができる。
底面加熱装置12および上面加熱装置21への通電が開始された後、制御装置90は、ユーザーにより設定された「サイズ」、「加熱モード」および「焼き色」に基づいて、それらを制御する信号を発信する。そして、底面加熱装置12により加熱された第1のプレート11からの熱伝導により被調理物30の下面(第1の側面)30Uを下方から直接加熱する動作と、上面加熱装置21によって高温度になった第2のプレート28の全体からの輻射熱によって被調理物30の上面(第2の側面)30Tを上方から加熱する動作、とをそれぞれ集中制御する。
被調理物30の底面の加熱が進むと、水分が蒸発して水分含有量が低下し、水分含有量が一定の数値以下になると被調理物30の底面に硬化した部分であるクラスト層が形成される。このとき、被調理物30の底面は第1のプレート11の第1の加熱面11Uに密着しているため、蒸発した水分は非通気性構造物である被調理物30の底面から外部(加熱室31の外部)には排出されにくく、被調理物30の内部に移動する。つまり、第1のプレート11を水分が透過して加熱室31の外部へ拡散することはない。このように、第1のプレート11が「非通気性構造」であることの意義がある。
一方、被調理物30の上面の加熱が進むと、水分が蒸発して水分含有量が低下し、水分含有量が一定の数値以下になると被調理物30の上面に硬化した部分であるクラスト層が形成される。このとき、蒸発した水分は被調理物30の上面から外部(加熱室31の外部)には排出されにくく、被調理物30の内部に移動する。つまり、蒸発した水分が第2のプレート28の第2の加熱面28Uや、内筐体20各側壁20B、20F、20L、20Rを透過して加熱室31の外部へ積極的に拡散したり、又は強制的に拡散されたりすることはない。
被調理物30の上面から外部に放出された水分は、密閉度の高い加熱室31に閉じ込められることになる。そして、被調理物30は、水分が充満した高湿度の密閉空間である加熱室31で加熱されることになり、加熱が進んでも被調理物30から外部に水分が排出されにくくなり、被調理物30から外部に排出される水分を抑えることができる。そのため、この加熱調理器100では、被調理物30が食パンである場合、食パンの内部に水分が保たれた状態に焼き上げることができる。
また、加熱調理器100は、第1のプレート11に載置された被調理物30を、第1のプレート11からの熱伝導により下方から加熱するとともに、第2のプレート28の全体からの輻射熱により上方から加熱する。そのため、被調理物30が食パンである場合、焼きムラの少ない状態に焼き上げることができる。
制御装置90は、調理中の上面加熱装置21へ供給する電力量を底面加熱装置12へ供給する電力量よりも大きくする。これは、上面加熱装置21へ供給する電力量と底面加熱装置12へ供給する電力量とを同じとした場合、第1のプレート11からの熱伝導による加熱の方が第2のプレート28からの輻射熱による加熱よりも被加熱物30に熱が伝わりやすく、被調理物30が焼けやすいためである。
加熱調理中の上面加熱装置21へ供給する電力量を、底面加熱装置12へ供給する電力量よりも大きくする方法として、例えば、上面加熱装置21と底面加熱装置12への通電時間を同じにし、上面加熱装置21に供給する電力を底面加熱装置12に供給する電力よりも大きくしてもよい。
また、上面加熱装置21と底面加熱装置12に供給する電力を同じにし、上面加熱装置21への通電時間を底面加熱装置12への通電時間よりも大きくしてもよい。さらに、上面加熱装置21または底面加熱装置12への通電を間欠的にオン、オフして、上面加熱装置21に供給する、オン/オフのデューティ比で決まる平均的な電力を底面加熱装置12に供給するオン/オフのデューティ比で決まる平均的な電力よりも大きくしてもよい。
制御装置90は、加熱動作が開始されたあと、温度検知装置99によって、加熱室31の壁面温度を監視し、また第1のプレート(底プレート)の温度と、加熱室31の天井板(第2のプレート)28の温度も、一定の時間間隔で繰り返し計測する。例えば、数秒間隔で温度を計測する。
ステップS9で「異常なし」と判定された場合には、次のステップS10に進む。
ステップS10は、冷却ファン46を運転することや高温報知等の「是正処理」が必要であるかどうかを判定するステップである。
図16に示しているように、主に3つの観点で是正処理の要否(特定条件A=特定条件1、2、3の少なくとも何れか1つを満たすかどうか)を、前記制限部98によって判定する。
(1)特定条件1:規定の温度を超過すること。
(2)特定条件2:規定の加熱調理回数を超過すること。
(3)特定条件3:規定の加熱調理累積時間を超過すること。
上記特定条件1~3の何れか1つでも満たした場合(一致した場合=Yes)には、ステップS15に進み、是正処理のプログラムに移行する。
特定条件1(規定の温度を超過すること)
例えば蓋体2の温度が異常に高くなっていないかどうかを推定するものである。これは、第1温度センサー112Aと第2温度センサー112Bによる計測温度データに基づいて、制御装置90の制限部98で判定される。例えば、事前の実験データ等から、第1温度センサー112Aの検知温度と蓋体ケース2Cの実際の温度の関係を把握してデータベースにして制御装置90の記憶部95に記憶させておけば良い。このようにすれば、第1温度センサー112Aの検知温度から蓋体ケース2Cの表面温度を制御装置90で推測できる。
特定条件2(規定の加熱調理回数を超過すること)
例えば、ステップS8の回数をカウントしておき、例えば(例えば30分間に)、連続して9回を超えるかどうかを判定することで実現できる。なお、単純な回数ではなく、設定された「サイズ」、「加熱モード」および「焼き色」に基づいて重み付けをした値(例えば焼き色について、薄めは1点、普通は2点、濃いめは3点といった具合)を用いてカウントしてもよい。このようにすることで、「サイズ」、「加熱モード」および「焼き色」などの設定条件によって、電力量や制御温度が異なる場合でも、精度よい判定基準を設けることができる。
特定条件3(規定の加熱調理累積時間を超過すること)
例えば、ステップS8~ステップS12までの経過時間を毎回カウントしておき、記憶部95に蓄積することで実現できる。例えば、累積30分を超えるかどうかを判定することである。なお、調理時間そのものではなく、上面加熱装置21や底面加熱装置12に通電した時間をカウントするように構成してもよい。
なお、以上の特定条件1~3を適宜組わせても良い。例えば、ステップS8~S12までの連続加熱時間を、調理の都度蓄積し、仮に1回目の加熱調理終了から2回目の加熱調理の開始までの空白時間(非加熱時間)が、例えば5分以上の場合、加熱回数と加熱時間のカウントはしない(過去の加熱回数と加熱時間のデータを消去する)、という判定プログラムにしても良い。例えば実験によって、5分間休止した場合、加熱室31の温度は加熱開始前の状態に復帰している場合、このような変更が可能である。
ステップS10において、特定条件を満たしていないとして「No」の判定になると、平常運転で良いと判定されたケースになる。この場合は、ステップS11に進む。一方、ステップS10が「Yes」であった場合、ステップS15に進み、事前に規定されている是正処理が開始される。
是正処理は、図17に1つの例を示している。まず、最初のステップSP1において、冷却ファン46の運転を開始することである。これにより、冷却ファン46は、吸気孔48から外部の新鮮な空気を吸引し、ダクト47と、ヒンジ部19の近くに設けた通気孔9Hとを介して、冷却用の空気を蓋体2の内部に供給する。これにより蓋体2の内部空間、特に第6の空隙G6の中を冷却風CFが流れる。そして加熱室31の周囲と上方に滞留していた熱気を、排気カバー49の排気孔49Aから室内へ放出できる。
なお、ステップSP1のあとで蓋体2が開放された場合、蓋体開閉検知装置97が蓋体2の開放を検知し、蓋体開放信号を制御装置90に送信する。そのため、ステップSP2では蓋体開放と判定し、冷却ファン46は直ちに停止する(SP3)。そして加熱調理の運転を途中で終了する。
蓋体2が依然として閉じているままである場合には、ステップS11に進み、制御装置90が定めた加熱調理時間が到来するかどうかの判定が行われる。つまり、ステップS9~S11は、一定の時間間隔で繰り返し行われる。なお、加熱が進み、加熱室31の温度が所定値を超えた以降は、温度検知装置99による温度計測のタイミングを、短くするように変更しても良い。
また、是正処理が行われると、図17におけるステップSP4以降の処理を行う。まず、最初のステップSP4において、特定条件Bを満足しているかを判定する。ここで、特定条件Bとは、各部の温度が過熱されるのを防止するための判定基準であり、図16に示している特定条件Aと同様に、主に3つの観点で是正処理の要否を、前記制限部98が判定する。
(1)特定条件4:規定の温度を超過すること。
(2)特定条件5:規定の加熱調理回数を超過すること。
(3)特定条件6:規定の加熱調理累積時間を超過すること。
上記特定条件4~6は、前述の特定条件1~3と比較し、各々同等か、より大きな値が設定されている。すなわち、特定条件Aの状態から更に継続使用した場合に特定条件Bの状態となるように構成されている。特定条件4~6の構成のしかたや考え方は、特定条件1~3と同様である。
ステップSP4において、上記特定条件4~6をいずれも満足していない場合、各部の温度は過度に上昇していないと判断し、ステップSP5に進み、高温報知を行う。高温報知は、メイン制御部92によって、延長/高温報知LED41dを点灯させて行う。本実施の形態では、高温報知の点滅は、調理の焼き色が不足した際に設定し使用される“延長”モードの選択LEDと共用している。設定操作中は、“延長”を選択している場合を除き消灯し、“延長”選択中は点灯表示する。また、高温報知中は、ゆっくりとした点滅(例えば、0.2秒点灯、1.3秒消灯の繰り返しなど)をして、注意喚起をするように構成されている。
設定操作中は、高温報知の点滅を一時的に中断している為、設定操作の邪魔にならず使い勝手を損ねることが無いように構成されている。
高温報知の注意喚起が行われても、ステップS11に進み調理は継続されるが、高温報知は、特定条件Aを満足しなくなるまで継続して行われる。
ステップSP4において、上記特定条件4~6の何れか1つでも満たした場合には、ステップSP6に進み、制限部98によって制限動作を実行することを示すための表示を行う。制限動作表示は、高温報知よりも早い点滅(例えば、0.2秒点灯、0.2秒消灯、0.2秒点灯、0.2秒消灯、0.2秒点灯、1.0秒消灯の繰り返しなど)をおこなうことでより強い注意喚起を行う。
さらにステップSP7では、メイン制御部92は、制御部98によって、上面加熱装置21及び底面加熱装置12による加熱制限を行う。ここで、制御部98による加熱制限とは、上面加熱装置21及び底面加熱装置12を制御する(目標温度又は基準となる)温度を低下させること、通電する時間(単位時間あたりで通電する比率)を下げること等を意味している。例えば、平常時は前記底面加熱装置12の定格消費電力は、前述したように300Wであるが、これを例えば、250W又は200Wとなるように、消費電力を下げて加熱能力を下げることである。これらの制限によって、各部の温度が過度に上昇することを抑制している。以降はステップS11に進み調理が継続される。
規定の時間が経過するとステップS11からステップS12に進み、底面加熱装置12と上面加熱装置21による加熱を停止し、また冷却ファン46の運転も停止する。
次のステップS13では、制御装置90は、ステップS8~S12までの一連の動作に関するデータを、加熱履歴情報として記憶部95に、その都度記憶させる。つまり、記憶部95には、このようにして加熱履歴情報が時系列に蓄積され、制御装置90が必要に応じて読み出すことができる。なお、履歴情報を記憶する記憶部95をEEPROMやフラッシュマイコンなどの不揮発性メモリで構成し、電源投入時に履歴情報を参照するように構成すれば、使用者が使用後に一旦電源プラグを抜いて電源が供給されなくなった場合でも、再び使用しようとした際に、制御装置90は冷却ファン46の制御や高温報知をおこなうことができる。
最後に、報知部35は、加熱調理を終了したことを報知する(ステップS14)。そして、このステップS14のまま一定時間(例えば10分間)経過すると、制御装置90は、主電源を自動的に遮断する。主電源が切断されると、電源プラグ96が商用電源に接続されていても、そのまま蓋体2を開けたり、閉じたりしても加熱調理は開始できず、入力操作部16において、何らかの入力操作をして、調理開始ボタン16cを押す必要がある。
なお、冷却ファン46は、第1温度センサー112Aと第2温度センサー112Bによる計測温度データが所定の温度以上になった場合に動作し、前記所定の温度未満になるまで動作するように構成しても良く、冷却ファン46の制御仕様は適宜設計することができる。この構成においても、電源投入時に履歴情報や第1温度センサー112Aと第2温度センサー112Bによる計測温度データを参照するように構成すれば、使用者が使用後に一旦電源プラグを抜いて電源が供給されなくなった場合でも、再び使用しようとした際にも、電源投入直後から冷却ファン46による冷却を行うことができる。
同様に、高温報知や制限動作表示も調理終了後も継続して報知し、第1温度センサー112Aと第2温度センサー112Bによる計測温度データが所定の温度未満になるまで動作するように構成するとともに、電源投入時に履歴情報や第1温度センサー112Aと第2温度センサー112Bによる計測温度データを参照するように構成すれば、使用者が使用後に一旦電源プラグを抜いて電源が供給されなくなった場合でも、再び使用しようとした際にも、電源投入直後から注意喚起を行うことができる。
高温報知や制限動作表示(加熱制限制御)を終了する温度は、同一温度でも異なる温度どちらでもよく、適宜設計することができる。
以上の説明から明らかなように、本実施の形態1に係る加熱調理器100の制御装置90は、調理開始後、底面加熱装置12、及び上面加熱装置21に対する通電を制御する。そして、第1のプレート11からの熱伝導で被調理物30を下方から加熱する動作を制御するとともに、第2のプレート28からの輻射熱により被調理物30を上方から加熱する動作を制御するものである。そして、ユーザーが指定した被調理物30のサイズに応じて、底面加熱装置12および上面加熱装置21への通電範囲を決定できるものである。
本実施の形態1に係る加熱調理器100は、加熱室31の周囲にある加熱調理器本体1の上面部が、図4に示しているように所定の幅WPの平坦な重合面P1であり、一方、蓋体2の周辺部下面も、その重合面P1に対応する幅で重合面P2を備えている。
蓋体2が閉じられた状態においては、前記重合P1と、重合面P2とが密着状態になるか、又はその間に隙間が形成されても、その隙間の寸法は微小である。更に、このような重合部における気密性を上げるために、重合面P1、P2の双方に、ラビリンス構造のための凸条と、この凸状が挿入される溝を形成しても良い。例えば、その凸条と溝は、第1のプレート11の前後左右を囲むように、重合面P1、P2の全体に環状に、一列又は複数列形成すれば、更に気密性を向上させることができる。
本実施の形態1に係る加熱調理器100は、以下の具体的な構成を備えていた。すなわち、
加熱調理器本体1と、この加熱調理器本体1に支持機構3を介して開閉自在に支持された蓋体2と、を備え、
前記蓋体2を閉じた状態では、前記加熱調理器本体1と前記蓋体2との間に加熱室31が区画形成され、
前記加熱調理器本体1には、被調理物30を水平に載置できる非通気性構造の第1の加熱面11Uと、前記第1の加熱面11Uを下方から加熱する底面加熱装置12と、を備え、
前記蓋体2には、前記被調理物30を挟んで前記第1の加熱面11Uと反対側にあり、当該被調理物30との間に空隙を置いて対面する非通気性構造の第2の加熱面28Uと、前記第2の加熱面28Uを、その上方から加熱する上面加熱装置21と、を有し、
前記加熱調理器本体1には、前記加熱室31の外側の空間に対して、外部から導入した冷却用空気を供給するための、冷却ファン46を配置した配置した構成である。
この実施の形態1の構成によれば、被加熱物が食パンである場合、食パンの内部の水分が保たれた状態に焼き上げることができる。
また、加熱調理器本体1と蓋体2とを連結している支持機構3を利用して、冷却ファン46から冷却用空気を供給しているので、構成を複雑化することなく、過熱状態を回避できる加熱調理器100を提供できる。このため、過熱による故障を減少させ、また安全性の高い加熱調理器を提供できる。
さらに、冷却ファン46が本体ケース1C内部に空気を吸引したからの冷却風CFは、支持台9の連通孔9Hを利用して蓋体2の内部に供給される。図2、図5及び図6に示しているように、蓋体2を閉じた状態においては、連通孔9Hの直ぐ横には、ヒンジケース18の壁があるため、連通孔9Hを下方から上方に通過する冷却風CFは、蓋体2の内部に案内される。言い換えると、連通孔9Hを通過した直後に、蓋体2に到達せず、外部へ漏洩することは殆どない。仮に漏洩したとしても少量であり、蓋体2の冷却効果に影響はない。
この実施の形態1の構成によれば、被加熱物が食パンである場合、食パンの内部の水分が保たれた状態に焼き上げることができる。
また、加熱調理器本体1と蓋体2とを連結している支持機構3を利用して、冷却ファン46から冷却用空気を供給しているので、構成を複雑化することなく、過熱状態を回避できる加熱調理器100を提供できる。このため、過熱による故障を減少させ、また安全性の高い加熱調理器を提供できる。
さらに、図5と図6から明らかなように、蓋体2を閉じている状態だけではなく、蓋体2を最大限開放した状態でも、前記連通孔9Hがヒンジケース18の前方に露出することはない。言い換えると、連通項9Hが常にユーザー側から見えない場所にあり、また指等で触れることができない位置にあるので、美観や安全性、清掃性を損なうこともない。
本実施の形態1に係る加熱調理器100は、以下の具体的な構成を具備していた。すなわち、
加熱調理器本体1と、この加熱調理器本体1に支持機構3を介して開閉自在に支持された蓋体2と、を備え、
前記蓋体2を閉じた状態では、前記加熱調理器本体1と前記蓋体2との間に加熱室31が区画形成され、
前記加熱調理器本体1には、被調理物30を水平に載置できる水平方向に伸びた非通気性構造物である第1のプレート11と、前記第1のプレート11を、その下側から加熱する底面加熱装置(第1の加熱装置)12とを備え、
前記蓋体2には、前記被調理物30を挟んで前記第1のプレート11と反対側にあって、当該被調理物30と空隙を置いて対面する非通気性構造物である第2のプレート28と、前記第2のプレート28をその上方から加熱する上面加熱装置(第2の加熱装置)21とを有し、
前記加熱調理器本体1の内部には、前記加熱室31の外側の空間(第4の空隙G4と第6の空隙G6)に対して、前記加熱調理器本体1の外部から導入した冷却風CFを、前記支持機構3の内部を経由して供給するための、冷却ファン46を配置し、
さらに、前記第1の加熱装置12、前記第2の加熱装置21及び前記冷却ファン46に対する通電を制御する制御装置90と、当該制御装置90に加熱調理の指令を与える入力操作部15とを、備え、
前記制御装置90は、前記第1の加熱装置12と前記第2の加熱装置21による加熱動作中に、事前に定めた特定条件が満たされた場合、前記冷却ファン46の運転を開始する是正処理のプログラムを保有していることを特徴とする構成である。
本実施の形態1に係る加熱調理器100は、以下の具体的な構成を具備していた。すなわち、
加熱調理器本体1と、この加熱調理器本体1に支持機構3を介して開閉自在に支持された蓋体2と、を備え、
前記蓋体2を閉じた状態では、前記加熱調理器本体1と前記蓋体2との間に加熱室31が区画形成され、
前記加熱調理器本体1には、被調理物30を水平に載置できる水平方向に伸びた第1のプレート11と、前記第1のプレート11を、その下側から加熱する底面加熱装置(第1の加熱装置)12とを備え、前記蓋体2には、前記被調理物30を挟んで前記第1のプレート11と反対側にあって、当該被調理物30と空隙を置いて対面する第2のプレート28と、前記第2のプレート28をその上方から加熱する上面加熱装置(第2の加熱装置)21とを有し、
前記第1の加熱装置12、前記第2の加熱装置21に対する通電を制御する制御装置90と、当該制御装置90に加熱調理の指令を与える入力操作部15と、報知部35とを、備え、
前記制御装置90は、前記第1の加熱装置12と前記第2の加熱装置21による加熱動作中に、事前に定めた特定条件が満たされた場合、前記報知部による注意喚起を開始する是正処理のプログラムを保有していることを特徴とする構成である。
また、事前に定めた第2の特定条件が満たされた場合、前記報知部による注意喚起を異なる第2の注意喚起に変更して報知するとともに前記第1の加熱装置12、前記第2の加熱装置21の加熱を制限する加熱制限処理のプログラムを保有していることを特徴とする構成である。
また、前記報知部による制限動作表示の注意喚起は、次の調理から加熱制限処理が働くことを使用者に伝達するべく、調理終了時点から行うように構成されている。
この実施の形態1の構成によれば、調理器本体が過熱することを防止できるとともに、調理器本体の過熱を防止するために加熱制限する際には、加熱制限により調理の仕上がり状態が悪くなるおそれがあることを使用者に報知するので、使用者は所望する仕上がり状態を得ることができる。
また、前記報知部による注意喚起は、調理終了後にも継続して報知するとともに、温度検知装置99による計測温度データが所定の温度未満になるまで動作するように構成するとともに、電源投入時に履歴情報や温度検知装置99による計測温度データを参照することを特徴とする構成である。
この実施の形態1の構成によれば、使用後に一度電源プラグを抜かれた場合でも、再度通電された時点から注意喚起をおこなうことができる。
前記報知部による注意喚起は、ゆっくりとした点滅周期の第1の注意喚起(高温報知)と、早い点滅周期の第2の注意喚起(制限動作表示)からなり、第1の注意喚起に変えて、第2の注意喚起を報知するように構成されている。
さらに、前記報知部による注意喚起は、使用者が調理条件を設定する際に、選択した条件を確認するために点灯表示するパイロットサインを用いて行い、調理条件の設定操作中は、調理条件を点灯/消灯にて表現し、調理中及び調理終了後は、点滅表示して注意喚起を行うように構成されている。
この実施の形態1の構成によれば、使用者が誤認や誤操作をすることなく、限られた報知部のなかで、注意喚起を的確に行うことができる。
さらに、本実施の形態1に係る加熱調理器100は、以下のように特徴的な構成を備えている。
(1)特徴1:
被加熱物30を載せる第1の加熱面11Uが上面に露出している加熱調理器本体1と、
前記加熱調理器本体1の上面を開閉自在に覆うように配置され、下面に第2の加熱面28Uが露出している蓋体2と、を備え、
前記第1の加熱面と第2の加熱面は、非通気性構造物であり、
前記蓋体2で前記加熱調理器本体1上面を閉じた状態では前記第1の加熱面11Uと第2の加熱面28Uは、互いに上下から向かい合い、かつその両者の間には、被調理物30を収容可能で、かつ外部と空気流通を(シール材25やラビリンス構造、第1の重合面P1、第2の重合面P2等によって)遮断した構成の加熱室31が形成され、
前記第2の加熱面28Uは、前記加熱室31の天井面を構成して放射熱を前記第1の加熱面11U側に向けて放射し、
前記第1の加熱面11Uは、その最外周縁より外側に、前記被調理物30の水平方向の載置位置を規制する傾斜面11Bが連続し、かつ前記加熱室31の底面を構成していることを特徴とする加熱調理器である。
この構成により、傾斜面11Bによって、食パン等の被調理物30の載置位置が明確になり、ユーザーの利便性が向上する。
(2)特徴2:
前記傾斜面11Bは、前記第1の加熱面11Uとして機能する平面部11Cの前後・左右方向の中心部から、前後方向と左右方向に、同じ傾斜角度(例えば、仰角45度)で形成されている、特徴1に記載の加熱調理器。
(3)特徴3:
前記第1の加熱面11Uと前記傾斜面11Bは、単一の金属製板によって構成され、かつ当該第1の加熱面11Uは全体が1つの平坦な面11Cである、特徴1に記載の加熱調理器。
(4)特徴4:
前記蓋体2を閉じた状態では、前記第2の加熱面28Uは、前記被調理物30の上面(第2の側面)30Tに高さH1の空隙を介して接近した状態となり、かつ、当該蓋体2の周縁部と前記調理器本体1上部との重合部(第1、第2の重合面P1、P2)に配置したシール材25又はラビリンス構造の少なくとも何れか一方によって前記加熱室31が密封状態の空間となる、特徴1~特徴3の何れか1つに記載の加熱調理器。
(5)特徴5:
前記蓋体2は、その外郭を構成する蓋体ケース2Cを有し、
前記蓋体2の内部には、前記第2のプレート28と前記蓋体ケース2Cの内壁面との間に空隙G6を形成している、特徴1~特徴4の何れか1つに記載の加熱調理器。
(6)特徴6:
前記蓋体2は、その外郭を構成する蓋体ケース2Aを有し、
前記蓋体2の内部には、前記蓋体ケース2Cの内壁面との間に空隙G3を形成する蓋枠29を設けている、特徴1~特徴4の何れか1つに記載の加熱調理器。
(7)特徴7:
前記蓋体2は、その外郭を構成する蓋体ケース2Cを有し、
前記蓋体2の内部には、前記加熱室31の外郭となる内筐体20と、この内筐体20の周囲にあって、前記蓋体ケース2Cの内壁面との間に空隙G3を形成する蓋枠29とを設け、
前記蓋枠29は、前記蓋体2を閉じた状態において、前記加熱調理器本体1と対面する重合面(第2の重合面P2)となる、特徴1~特徴4の何れか1つに記載の加熱調理器。
実施の形態1の総括.
本実施の形態1に係る加熱調理器100は、以下のような構成によって第1の発明を開示している。
すなわち、この実施の形態1の加熱調理器100は、加熱調理器本体1と、この加熱調理器本体1に支持機構3を介して開閉自在に支持された蓋体2と、を備え、
前記蓋体2を閉じた状態では、前記加熱調理器本体1と前記蓋体2との間に加熱室31が区画形成され、
前記加熱調理器本体1には、被調理物を水平に載置できる第1の加熱面11Uを備え、
前記蓋体2には、前記被調理物を挟んで前記第1の加熱面11Uと反対側にあり、当該被調理物との間に空隙を置いて対面する第2の加熱面28Uを備え、
前記加熱調理器本体1には、前記加熱室31の温度検知装置99と、前記第1の加熱面11U及び前記第2の加熱面28Uを加熱する加熱手段(底面加熱装置12と、上面加熱装置21)と、前記温度検知装置99から温度検出信号を受け取り、前記加熱手段12、21を制御する制御装置90と、報知部35と、を備え、
前記制御装置90には、前記温度検知装置99からの温度検出信号によって、前記加熱手段(底面加熱装置12と上面加熱装置21)の加熱を、加熱動作開始前又は加熱動作中に制限する制限部98を有し、
前記制限部98によって前記加熱手段(底面加熱装置12と上面加熱装置21)の通電を制限する場合(図17のステップSP7参照)、前記報知部35によって制限部98の動作について報知する構成(図17のステップSP6参照)である。
この構成であるから、底面加熱装置12と上面加熱装置21の少なくとも何れかの加熱能力が制限され、加熱調理器本体1の温度上昇を抑制するという「保護動作」を実行している場合、そのような保護動作を、ユーザーに対して報知部35を介して発光や音声によって伝えることができる。このため、ユーザーが加熱調理器100の動作に疑問を抱いたり、不安を抱いたりするという懸念を回避できる。
本実施の形態1に係る加熱調理器100は、以下のような構成によって第2の発明を開示している。
すなわち、この実施の形態1の加熱調理器100は、加熱調理器本体1と、この加熱調理器本体1に支持機構3を介して開閉自在に支持された蓋体2と、を備え、
前記蓋体2を閉じた状態では、前記加熱調理器本体1と前記蓋体2との間に加熱室31が区画形成され、
前記加熱調理器本体1には、被調理物を水平に載置できる第1の加熱面11Uを備え、
前記蓋体2には、前記被調理物を挟んで前記第1の加熱面11Uと反対側にあり、当該被調理物との間に空隙を置いて対面する第2の加熱面28Uを備え、
前記加熱調理器本体1には、前記加熱室31の温度検知装置99と、前記第1の加熱面11U及び前記第2の加熱面28Uを加熱する加熱手段(底面加熱装置12と、上面加熱装置21)と、前記温度検知装置99から温度検出信号を受け取り、前記加熱手段12、21を制御する制御装置90と、報知部35と、を備え、
前記制御装置90には、前記温度検知装置99からの温度検出信号によって、前記加熱手段(底面加熱装置12と、上面加熱装置21)の加熱を制限する制限部98を有し、
前記報知部35は、前記加熱調理器本体1の温度が高温であることを第1の形態(図17のステップSP5参照)で報知し、かつ前記制限部98が前記加熱手段(底面加熱装置12と、上面加熱装置21)の通電を制限する場合、当該制限部98の動作を第2の形態(図17のステップSP6参照)で報知する構成である。
この構成であるから、加熱調理器本体1が高温である場合の「高温報知」は、延長/高温報知発光部LED41dの(点滅1)報知によってユーザーに知らされ、また底面加熱装置12と上面加熱装置21の少なくとも何れかの加熱能力が制限され、加熱調理器本体1の温度上昇を抑制するという「保護動作」を実行している場合には、そのような保護動作を、ユーザーに対して報知部35の一部である、延長/高温報知発光部LED41dによる(高温報知よりも早い)点滅によって、伝えることができる。このため、ユーザーが加熱調理器100の動作に疑問を抱いたり、不安を抱いたりするという懸念を回避できる。
本実施の形態1に係る加熱調理器100は、以下のような構成によって第3の発明を開示している。
すなわち、この実施の形態1の加熱調理器100は、
加熱調理器本体1と、この加熱調理器本体1に支持機構3を介して開閉自在に支持された蓋体2と、を備え、
前記蓋体2を閉じた状態では、前記加熱調理器本体1と前記蓋体2との間に加熱室31が区画形成され、
前記加熱調理器本体1には、被調理物を水平に載置できる第1の加熱面11Uを備え、
前記蓋体2には、前記被調理物を挟んで前記第1の加熱面11Uと反対側にあり、当該被調理物との間に空隙を置いて対面する第2の加熱面28Uを備え、
前記加熱調理器本体1には、前記加熱室31の温度検知装置99と、前記第1の加熱面11U及び前記第2の加熱面28Uを加熱する加熱手段(底面加熱装置12と、上面加熱装置21)と、前記温度検知装置99から温度検出信号を受け取り、前記加熱手段12、21を制御する制御装置90と、報知部35と、を備え、
前記制御装置90には、前記温度検知装置99からの温度検出信号によって、前記加熱手段(底面加熱装置12と、上面加熱装置21)の通電量(火力)を制限する制限部98を有し、
前記制限部98は、加熱調理開始指令を受けたあと、前記加熱手段(底面加熱装置12と、上面加熱装置21)への通電量(火力)を減少させる機能を有し、前記報知部35は、前記制限部98が前記加熱手段(底面加熱装置12と、上面加熱装置21)の通電を制限する場合、前記制限部98による制限動作を報知(図17のステップSP6参照)する構成である。
この構成であるから、底面加熱装置12と上面加熱装置21の少なくとも何れかの加熱能力が制限され、加熱調理器本体1の温度上昇を抑制するという「保護動作」を実行している場合には、そのような保護動作を、ユーザーに対して報知することができる。このため、第2の発明と同様に、保護動作が行われていることに伴って、ユーザーが加熱調理器100の動作に疑問を抱いたり、不安を抱いたりするという懸念を回避できる。
本実施の形態1に係る加熱調理器100は、以下のような構成によって第4の発明を開示している。
すなわち、この実施の形態1の加熱調理器100は、
加熱調理器本体1と、この加熱調理器本体1に支持機構3を介して開閉自在に支持された蓋体2と、を備え、
前記蓋体2を閉じた状態では、前記加熱調理器本体1と前記蓋体2との間に加熱室31が区画形成され、
前記加熱調理器本体1には、被調理物を水平に載置できる第1の加熱面11Uを備え、
前記蓋体2には、前記被調理物を挟んで前記第1の加熱面11Uと反対側にあり、当該被調理物との間に空隙を置いて対面する第2の加熱面28Uを備え、
前記加熱調理器本体1には、前記加熱室31の温度検知装置99と、前記第1の加熱面11U及び前記第2の加熱面28Uを加熱する加熱手段(底面加熱装置12と、上面加熱装置21)と、前記温度検知装置99から温度検出信号を受け取り、前記加熱手段12、21を制御する制御装置90と、報知部35と、を備え、前記加熱室の内部又は前記蓋体の内部には、冷却用空気を供給するための冷却ファン46を設け、前記制御装置90には、前記温度検知装置99からの温度検出信号によって、前記加熱手段(底面加熱装置12と、上面加熱装置21)の加熱を制限する制限部98を有し、
前記制限部98は、加熱調理開始指令を受けたあと、前記加熱手段(底面加熱装置12と、上面加熱装置21)に対して「加熱動作の累積時間」を制限する機能(図17のステップSP4参照)と、1回の加熱調理の期間中、前記加熱室の温度が上限値を超えた場合に前記通電時間内の途中段階で前記加熱手段への通電量(火力)を減少させ、かつ前記冷却ファン46の運転開始を指令する機能(図17のステップSP4、SP7参照)とを有し、
前記報知部35は、前記制限部98が前記加熱手段(底面加熱装置12と、上面加熱装置21)の通電を制限する場合、その制限部98の動作を報知(図17のステップSP6参照)する構成である。
この構成であるから、冷却ファン46の運転によって加熱調理器本体1の温度を積極的に下げることができ、また加熱能力が制限され、加熱調理器本体1の温度上昇を抑制するという「保護動作」を実行できる。しかも、このような保護動作を、ユーザーに対して報知することができる。このため、第2の発明と同様に、保護動作が行われていることに伴って、ユーザーが加熱調理器100の動作に疑問を抱いたり、不安を抱いたりするという懸念を回避できる。
本実施の形態1に係る加熱調理器100は、以下のような構成によって第5の発明を開示している。
すなわち、この実施の形態1の加熱調理器100は、
加熱調理器本体1と、この加熱調理器本体1に支持機構3を介して開閉自在に支持された蓋体2と、を備え、
前記蓋体2を閉じた状態では、前記加熱調理器本体1と前記蓋体2との間に加熱室31が区画形成され、
前記加熱調理器本体1には、被調理物を水平に載置できる第1の加熱面11Uを備え、
前記蓋体2には、前記被調理物を挟んで前記第1の加熱面11Uと反対側にあり、当該被調理物との間に空隙を置いて対面する第2の加熱面28Uを備え、
前記加熱調理器本体1には、前記加熱室31の温度検知装置99と、前記第1の加熱面11U及び前記第2の加熱面28Uを加熱する加熱手段(底面加熱装置12と、上面加熱装置21)と、前記温度検知装置99から温度検出信号を受け取り、前記加熱手段12、21を制御する制御装置90と、報知部35と、を備え、前記加熱室の内部又は前記蓋体の内部には、冷却用空気を供給するための冷却ファン46を設け、前記制御装置90には、前記温度検知装置99からの温度検出信号によって、前記加熱手段(底面加熱装置12と、上面加熱装置21)の加熱を制限する制限部を有し、前記制御装置は、前記加熱手段の累積加熱調理時間と累積加熱調理回数、及び前記温度検知装置から取得した前記加熱室の検知温度の内、少なくとも何れか1つが、特定条件A(図16のステップS10参照)を満たす場合前記冷却ファン46の運転を開始し、かつ特定条件B(図17のステップSP4参照)を満たす場合には、前記報知手段は、前記制限部が前記加熱手段(底面加熱装置12と、上面加熱装置21)の通電を制限(図17のステップSP7参照)することを報知する構成である。
この構成であるから、冷却ファン46の運転によって加熱調理器本体1の温度を積極的に下げることができ、また加熱能力が制限され、加熱調理器本体1の温度上昇を抑制するという「保護動作」を実行できる。しかも、このような保護動作を、ユーザーに対して報知することができる。このため、第2の発明と同様に、保護動作が行われていることに伴って、ユーザーが加熱調理器100の動作に疑問を抱いたり、不安を抱いたりするという懸念を回避できる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器100を、図18と図19に基づいて説明する。図18は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器を、蓋体を閉じた状態で示した縦断面図である。図19は、図18の加熱調理器の制御動作を示すフローチャートである。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には同一の符号を付し、重複した説明は適宜省略する。
図18において、46は、加熱調理器本体1の前方寄りの位置に設置した冷却ファンである。この冷却ファン46は、回転軸46Bが水平に伸び、その回転軸46Bを中心に回転翼46Fが回転する多翼式ファンである。冷却ファン46は、より冷たい空気を吸気するため、また、調理後に、電源プラグを抜かれるなどして、冷却が行えなくなった場合でも、冷却ファン46の周囲温度が上昇しないように加熱調理器1内に配置されている。
47は、冷却ファン46の吹出口に接続された筒状のダクトである。このダクト47の上端開口部は、前記支持枠45の下面に密着している。45Hは、支持枠45を上下に貫通するように形成された通気孔である。
ダクト47は、上端部に行くに従って口径が小さくなっている「先細」形状である。ダクト47の下方端部には、前記冷却ファン46のファンケース46Cの吹出口が接続されている。
47Hは、ダクト47の底面の一部に形成した貫通孔である。この実施の形態1では、貫通孔47Hを、冷却ファン46の吹出口近くに形成している。
38は、前記貫通孔47Hの外側に上端開口部を接続した排水パイプであり、本体ケース1Cの底壁面に形成した排水孔39に至るまで、垂直に設置されている。
43は、支点43Aを中心に一定角度だけ回動するダンパー(シャッター)である。このダンパーは、前記冷却ファン46に前記通気孔45から侵入した液体がかからないようにするためのものであり、バネ等の力で常に閉鎖するようにしたものでも良いし、または、ダンパー自身の弾力性で閉じているものでも良い。
ダンパー43は、冷却ファン46が動作すると排水孔39につながる貫通孔47Hを塞ぐように構成されており、冷却ファン46動作時は、冷却風が排水孔39から漏れることが無いように構成されている。
一方、冷却ファン46停止時は、ダンパー43は冷却ファン側を塞ぐようになっており、通気孔45から侵入した液体は、冷却ファン46にかかることなく、貫通孔47Hを介して排水孔39から排水される。
前記ダンパー43は、前記排水孔39を塞ぐように構成しても良く、このような構成にすると、冷却ファン46の動作中も浸入した液体が冷却ファン46にかからないようにすることができる。この構成においては、貫通孔47Hから水が滴下した場合に、その水量が増えた場合に水の重さで開放し、排水するよう構成するか、又は、水の存在を感知するセンサーを設けて、水が排水パイプ38に溜まった場合に、電磁的動力で強制的にダンパー43を開けるようにしても良い。
また、貫通孔47と排水孔39の口径は小さいので、仮に冷却ファン46から供給された風の一部が、貫通孔47から漏れても、蓋体2の冷却機能を大きく損なうことはない。
29は、蓋体2の下面開口の口縁部に固定された蓋枠であり、平面形状がほぼ円形(環状)である。但し、ヒンジケース18の部分には設けていない。
29Hは、前記蓋枠29に形成した連通孔である。この連通孔29Hの位置は、前記通気孔45Hの真上である。
37は、案内筒であり、耐熱性プレスチック又は金属で全体が形成されている。この案内筒は、上下両方の面が開放されているパイプ状である。そして、この案内筒は、前記連通孔29Hの口縁部の真上に密着状態に設置してある。
44は、蓋体ケース2Cの背面(後方壁面)の上部に形成した排気孔であり、蓋体ケース2Cの背面の左右方向に点在するよう、複数個設けてある。
以上の構成であるから、冷却ファン46からダクト47に供給された冷却風CFは、図18に示すように前記連通孔29Hを通過して案内筒37の中に押し込まれ、最終的に矢印で示しているように、排気カバー49の真下近くまで供給される。これにより、特に持ち手部26に近い蓋体ケース2Cの前方部が積極的に冷却される。
また、蓋体2の内部に形成された第6の空隙G6と、第4の空隙G4にある空気は、前後加熱室31の熱を受けて温度上昇する。ところで、蓋体2は、その前方側に案内筒37を介して冷却風CFが供給されるため、蓋体2の中心部よりも後方部分にある空気を、前記排気孔44を介して外部へ押し出す効果もある。また、排気孔49Aの開口面積を排気孔44の開口面積と比較して小さく構成しておくことで、冷却風CFはその多くが蓋体2の内部の空隙を介して排気孔44から排出されるので、蓋体2内部を効率よく冷却することができる。
以上のような動作によって、蓋体ケース2C全体の温度上昇は抑制されるので、ユーザーが持ち手部26を持ち上げた際や、蓋体ケース2Cの表面に触れた際に、熱さを感ずることもなく、不安感を与えるおそれもない。また、通気孔45Hから浸入した液体が冷却ファン46にかかることがないように構成されているので、冷却ファン46の故障を防ぐことができ、信頼性が高い。また、冷却ファン46を蓋体2内に配置せず、加熱調理器本体1内に配置したので、例えば一度調理終了した後に、別の場所に移動させて再び使用する場合など、一時的に、電源供給がなくなった場合でも、冷却ファン46は、周囲温度が著しく上昇することはないので、再び使用する際に、冷却ファン46が動作しないといった不具合を防止できる。
次に、本実施の形態2に係る加熱調理器100による被調理物30の調理について説明する。
図19は、制御装置90の動作ステップを示したフローチャートである。実施の形態1で説明した動作と同じ動作については、同一の符号を付けている。
ユーザーが電源プラグ96を商用交流電源の接続口に接続すると、制御装置90は、商用交流電源が電源基板114に実装された電源回路(図示せず)に供給されたことを把握する。そして、報知部35を起動する(ステップS1)。
次に制御装置90は、蓋体2が閉じられたかどうかを判定する(S2)。もし、蓋体2を開けたままの状態であった場合、ステップS3に進み、経過時間を計測するために時間の計測を開始する。
一方、ユーザーが、食パンなどの被調理物30を第1のプレート11に載置した後、蓋体2を閉めると、蓋体2を閉じたことがステップS2で判定される。すると、次に制御装置90は、自身の異常有無をチェックする。例えば、この段階で温度検知装置99に最新の計測データの提供を要求する。
温度検知装置99から、例えば本体ケース1Cの内部温度が異常に高いことを示す温度計測情報が提供された場合には、異常ありと判定し(ステップS6)、ステップS14へ進み、加熱動作を開始しないまま運転を停止するとの報知を、報知部35で行い、主電源を強制的に遮断して終了する。
ステップS6で「異常なし」と判定された場合には、次のステップSA6に進む。このステップSA6が実施の形態1と異なる点である。
このステップSA6では、前回の加熱調理時の動作が記憶部95に「加熱履歴情報」として記憶されているので、その加熱履歴情報を読み出す。
次に、ユーザーは、モード切替ボタン16aによって、調理する被加熱物30の種類に応じた「加熱モード」を設定する。また、ユーザーは、焼き色調整ダイヤル16bによって、被調理物30の「焼き色」を任意に設定する。
さらに、ユーザーは、サイズ設定操作部16dにより、調理する被調理物30のサイズに応じて「サイズ」を設定する。その後、ユーザーは、操作部16に設けられた調理開始ボタン16cを押し、加熱開始を指令する。
このようにステップS7においてユーザーの入力を完了させると、制御装置90は、底面加熱装置12と上面加熱装置21に対して加熱開始の指令信号を送って、加熱を開始する。
調理開始ボタン16cが押されて、操作基板17から「調理開始の指令信号」を制御装置90が受けると、制御装置90は、底面加熱装置12および上面加熱装置21への通電を開始し(ステップS8)、ユーザーにより設定された「加熱モード」、「焼き色」、および、「サイズ」に基づいて、それらを制御する。
制御装置90は、サイズ設定操作部15Cで選択した「サイズ」が、「角型食パン」を指定したものである場合、2つの第1切替部61を共にONとし、2つの第2切替部62を共にOFFとし、底面加熱装置12および上面加熱装置21への通電を開始する。そうすることで、加熱範囲が角型食パン30aに対応したサイズとなる。
また、制御装置90は、サイズ設定操作部16Dで選択した「サイズ」が「山型食パン」である場合、2つの第1切替部61を共にOFFとし、2つの第2切替部62を共にONとし、底面加熱装置12および上面加熱装置21への通電を、それぞれ開始する。そうすることで、加熱範囲が山型食パン30bに対応したサイズとなる。つまり、「角型食パン」よりも大きな長方形の範囲全体の電熱帯12H1、12H2が、同時に加熱開始される。
このように、サイズ設定操作部16Dで、「角型食パン」や「山型食パン」を選択することで、それらの大きさに合致した加熱範囲が定まる。つまり、「角型食パン」や「山型食パン」等の被調理物30のサイズに応じて底面加熱装置12および上面加熱装置21への通電範囲を切り替えることで、調理中の不要な電力消費を抑えられるため、省エネ化を図ることができる。
底面加熱装置12および上面加熱装置21への通電が開始された後、制御装置90は、ユーザーにより設定された「サイズ」、「加熱モード」および「焼き色」に基づいて、それらを制御する信号を発信する。そして、底面加熱装置12により加熱された第1のプレート11からの熱伝導により被調理物30の下面(第1の側面)30Uを下方から直接加熱する動作と、上面加熱装置21によって高温度になった第2のプレート28の全体からの輻射熱によって被調理物30の上面(第2の側面)30Tを上方から加熱する動作、とをそれぞれ集中制御する。
被調理物30の上面の加熱が進むと、水分が蒸発して水分含有量が低下し、水分含有量が一定の数値以下になると被調理物30の上面に硬化した部分であるクラスト層が形成される。このとき、蒸発した水分は被調理物30の上面から外部(加熱室31の内部空間)に排出されるとともに、被調理物30の内部にも移動する。この場合も、蒸発した水分が第2のプレート28の第2の加熱面28Uや、内筐体20各側壁20B、20F、20L、20Rを透過して加熱室31の外部へ積極的に拡散したり、又は強制的に拡散されたりすることはない。
被調理物30の上面から外部には排出された水分は、密閉度の高い加熱室31に閉じ込められることになる。そして、被調理物30は、水分が充満した高湿度の密閉空間である加熱室31で加熱されることになり、加熱が進んでも被調理物30から水分が排出されにくくなり、被調理物30から排出される水分を抑えることができる。そのため、この加熱調理器100では、被調理物30が食パンである場合、食パンの内部に水分が保たれた状態に焼き上げることができる。
また、加熱調理器100は、第1のプレート11に載置された被調理物30を、第1のプレート11からの熱伝導により下方から加熱するとともに、第2のプレート28の全体からの輻射熱により上方から加熱する。そのため、被調理物30が食パンである場合、焼きムラの少ない状態に焼き上げることができる。
制御装置90は、加熱動作が開始されたあと、温度検知装置99によって、加熱室31の壁面温度を監視し、また第1のプレート(底プレート)の温度と、加熱室31の天井板(第2のプレート)28の温度も、一定の時間間隔で繰り返し計測する。例えば、数秒間隔で温度を計測する。
ステップS9で「異常なし」と判定された場合には、次のステップS10に進む。
ステップS10は、冷却ファン46を運転すること等の「是正処理」が必要であるかどうかを判定するステップである。
実施の形態1で説明したように、この実施の形態2においても、3つの観点で是正処理の要否を判定する。
(1)条件1:規定温度超過していること。
(2)条件2:規定の加熱調理回数を超えていること。
(3)条件3:規定の加熱調理累積時間を超過していること。
上記条件1~3の何れか1つでも満たした場合には、ステップS15に進み、是正処理のプログラムに移行する。
条件1~条件3は、実施の形態1と同じであるので、詳細な説明は省略する。
この実施の形態2では、ステップSA6にて「加熱履歴情報」を記憶部95から読み出しているので、条件2(規定の加熱調理回数を超えているかどうか)では、今回の加熱動作で回数が1回増える。
例えば、是正処理を必要としない条件が「加熱調理回数は8回を超えること」と規定されている場合で説明する。前回までに8回の加熱調理が行われていた場合には、前記ステップSA6では、加熱調理回数は8回である。
次に、ステップS8の段階で「加熱調理回数」が1回加算される。そのため、ステップS10では、加熱調理回数は9回になる。このため、ステップS10では、上記特定条件(加熱調理の回数が8回を超えること)を満たす。
このため、ステップS10においては、判定は「Yes」となる。このため、ステップS15に進み、事前に規定されている是正処理が開始される。なお、是正処理の内容は、実施の形態1で説明したものと同じであるので、説明は省略する。
ステップS15においては、是正処理が開始されたあと、次のステップS16に進む。このステップS16では、ユーザーに対して制御装置90が是正処理の内容を報知する。例えば「連続的な加熱調理回数が8回を超えたので、自動的に冷却ファンの運転を開始したこと」を報知部35によって音声ガイド等で報知し、ユーザーの無用な混乱を招かないようにする。なお、電源プラグ96を商用電源ACの接続部から引き抜いても、制御装置90の記憶部95には、加熱調理の全部の工程がその都度記憶される。つまり、確実に「加熱履歴情報」を記憶部95に格納する。
本実施の形態2に係る加熱調理器100は、以下の具体的な構成を開示していた。
すなわち、加熱調理器本体1と、この加熱調理器本体1に支持機構3を介して連結される蓋体2と、を備え、
前記加熱調理器本体1には、被調理物30の下面に接触又は近接して当該被調理物に熱を伝える非通気性構造の第1の加熱面11Uと、前記第1の加熱面を加熱する第1の加熱装置12と、を有し、
前記蓋体2には、前記第1の加熱面11Uの上方空間を開閉自在に覆う非通気性構造の第2の加熱面28Uと、前記第2の加熱面28Uを加熱する第2の加熱装置21と、を備え、
前記加熱調理器本体1には、前記第1の加熱装置12および前記第2の加熱装置21を制御する制御装置90と、を備え、
前記蓋体2を閉じた状態では、前記第1の加熱面11Uの上方空間を前記第2の加熱面28Uが覆い、前記被調理物30を収容する加熱室31が形成されるものであり、
前記制御装置90は、加熱調理開始指令を受けたあと、前記第1の加熱装置12および前記第2の加熱装置21に対して通電開始し、
また前記制御装置90(の制限部98)は、前記第1の加熱装置12および前記第2の加熱装置21に対して1回の加熱調理における通電時間を制限する機能と、1回の加熱調理の期間中、前記加熱室31の温度が上限値を超えた場合に前記通電時間内の途中段階で前記第1の加熱装置12および前記第2の加熱装置21への通電を遮断する機能(図19のステップS9、S12参照)と、を有し、
さらに前記制御装置90(の制限部98)は、電源プラグ96を商用電源ACに接続している期間中は、複数回の加熱調理を前記通電時間毎に実行し、かつ1回毎の加熱調理の期間中、特定条件(図19のステップS10参照)を満たした場合には、前記加熱調理器本体1又は前記蓋体2の少なくとも何れか一方に内蔵させた冷却ファン46に対し、運転開始指令を発信する構成である
この実施の形態2の構成によれば、被加熱物が食パンである場合、食パンの内部の水分が保たれた状態に焼き上げることができる。
また、加熱調理中の過熱状態を回避し、さらに温度が上昇した場合には、冷却ファン46を自動的に運転開始し、過熱による故障を減らすことができる。そのため安全性や信頼性の高い加熱調理器を提供できる。
なお、実施の形態2では、加熱調理器本体1と蓋体2との重合面P1、P2を貫通するように冷却風CFの通路を形成して、冷却ファン46から冷却用空気を供給しているので、構成を複雑化することなく、過熱状態を回避できる加熱調理器100を提供できる。このため、過熱による故障の発生を減少させ、また安全性の高い加熱調理器を提供できる。
また、加熱調理器本体1と蓋体2が対面している部分に、連通孔29Hと通気孔45Hとを対応させて形成し、冷却風CFが本体ケース1C側から蓋体ケース2C側に直線的に吹き込まれるようにしているので、構成を複雑化することなく、過熱状態を回避できる加熱調理器100を提供できる。このため、過熱による故障を減少させ、また安全性の高い加熱調理器を提供できる。
実施の形態2の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態2においても、実施の形態1と同等の効果を期待することができる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3に係る加熱調理器100を、図20~図24に基づいて説明する。図20は、本発明の実施の形態3に係る加熱調理器を、蓋体を閉じた状態で示した正面図である。図21は、図20のX-X線縦断面図である。図22は、図20の加熱調理器の、前半部分を示す横断面図である。図23は、図22のY-Y線縦断面図である。なお、実施の形態1及び2と同一又は相当部分には同一の符号を付し、重複した説明は適宜省略する。
図21に示すように、この実施の形態3では、冷却ファン46の冷却風CFは、加熱室31よりも前方の空隙G3に供給されるところが特徴である。
冷却ファン46の吹出口側には、冷却風CFを案内するダクト47が接続されている。
前記ダクト47の終端部である前端部は、基板ケース64に接続されている。つまり、ダクト47は基板ケース64の壁面を貫通して、ダクト47の内部空間に連通している。前記基板ケース64は、前方側が大きく開放した横長の箱形状を呈している。この基板ケース64の内部には、入力操作部16の入力制御回路(図示せず)を実装した回路基板17が縦に設置されている。基板ケース64は、回路基板17の後方(背面)と上下及び左右の合計6つの面を囲んでいる。
前記回路基板17には、モード設定操作部16Aと、焼き色設定操作部16Bと、サイズ設定操作部15C、サイズ設定操作部16D用の電気回路部品63が、それぞれ実装されている。
前記回路基板17の前方側と後方(背面)側には、空隙が確保されているため、当該空隙内を冷却ファン46からの冷却風CFの一部が通過する。
58は、切り欠き部である。この切り欠き部は、本体ケース1Cの底面に環状に形成した脚部113に、複数個が一定の間隔で設けられている。この切り欠き部58は、吸気孔48に吸い込まれる空気の通路となる。
65は、制御装置90を実装した回路基板であり、加熱調理器本体1の後部に水平に設置してある。なお、制御装置90の支持構造については図示を省略している。
57は、底面加熱装置12の下方全体に対応するように水平に設置された断熱材である。この断熱材57は、電気絶縁性と断熱性に富む断熱材から形成されており、例えばグラスウール製である。
さらに図21を参照しながら、蓋体2について説明する。
この実施の形態3では、実施の形態1の天井板(第2のプレート)28に相当する板材は設けていない。内筐体20の天井部壁面(天井面20T)自体が第2のプレート28に代わる構造物となっている。
55Fは、加熱室31の前方側にある空隙G5を埋めるように挿入された断熱材である。この断熱材55Fは、電気絶縁性と断熱性に富む断熱材から形成されており、例えばグラスウール製である。この断熱材55Fは、内筐体20の前方壁面20Fにできるだけ密着又は近接するように設置されている。
55Bは、加熱室31の後方側にある空隙G5を埋めるように挿入された断熱材である。この断熱材55Fは、電気絶縁性と断熱性に富む断熱材から形成されており、例えばグラスウール製である。この断熱材55Bは、内筐体20の後方壁面20Bにできるだけ密着又は近接するように設置されている。
図示していないが、前記断熱材55B、55Fと同様な断熱材55L、55Rが、前記加熱室31の左右側面にそれぞれ設置されている。このため、加熱室31は、その前後及び左右が4つの断熱材55B、55F、55L、55Rによって囲われている。
112Cは、温度過昇センサーであり、ある一定の温度を検知した場合に所定の信号を温度検知装置99に発信する。
加熱室31の後部に設置した温度センサー112Bは、一定時間又は所定時間毎に温度を計測し、計測データを前記制御装置90に発信する。しかし、温度過昇センサー112Cは、ある特定の温度を検出した際に、特定の信号を発信するものである。つまり、一定時間又は所定時間毎に温度計測データを制御装置90には送信しない。
56は、上枠33の下方に形成した密閉空間である。
次に図22について説明する。
図22は、前記加熱調理器本体1の前半部分を水平に切断した断面図である。
66は、基板ケース64の左側に隣接し、垂直方向に伸びている筒体であり、図22に示すように横断面形状が正方形である。67は、基板ケース64の右側に隣接し、垂直方向に伸びている筒体であり、図22に示すように横断面形状が正方形である。
前記筒体66、67の内部には、前記冷却ファン46から基板ケース64に供給された冷却風を上方へ案内できるよう、トンネル状の通風路69L、69Rが形成されている。
66Lは、貫通孔である。この貫通孔66Lと向かい合った位置には、基板ケース64の左側壁面に貫通孔64Lが形成されている。
67Rは、貫通孔である。この貫通孔67Rと向かい合った位置には、基板ケース64の右側壁面に貫通孔64Rが形成されている。
次に図23について説明する。
図23は、図22のY-Y線で、前記筒体66の部分を垂直に切断して示した要部の縦断面図である。
前記筒体67の上端部開口は、前記上枠33の下面に接続されている。33Hは、上枠33を上下に貫通する通気孔である。
前記通気孔33Hの真上の位置には、前記上枠29に連通孔29Hが形成されている。図23に示しているように、蓋体2を閉じた状態では、前記筒体67の通風路69Rは、前記通気孔33Hと前記連通孔29Hを介して蓋体2の内部空間と連通している。
基板ケース64の左側に隣接している筒体66においても、筒体67と同様な構成で、蓋体2の内部空間に連通している。このため、基板ケース64の左右両側において冷却ファン46からの冷却風CFが、蓋体2の内部へ同時並行的に供給される構成となっている。
蓋体2を開けた状態では、重合面P2において前記連通孔29Hが露出した状態になる。このため、この連通孔29Hから、水等の液体が滴下する懸念がある。しかしながら、連通孔29Hの真下にあるのは筒体66、67である。そのため、そのような液体は、縦に長く形成した筒体66、67の内部に入っても、貫通孔66L、67Rから前記基板ケース64の内部に流れることはない。なお、筒体66、67の底部には、水等の液体が溜まった場合、その重量で開放されるダンパー(図示せず)を設けてあり、当該ダンパーが開放すれば、液体は本体ケース1Cの外部へ排出される。
次に図24について説明する。
図24は、図21の加熱調理器の是正処理の動作ステップを示すフローチャートである。制御装置90の制限部98の動作プログラムの中に、図24に示した動作ステップが規定されている。
加熱調理が開始された以後において、実施の形態1で示したような各種条件の、何れか1つを満たした場合、是正処理が開始される。
冷却ファン46の運転が開始されると(ステップSP1)、被調理物30に対する底面加熱装置12と上面加熱装置21による加熱条件は全く変化させずに、冷却風CFが蓋体2の内部へ供給される。
温度検知装置99は、加熱室31の壁面の温度を直接計測する温度センサー112Bからの信号を一定時間毎に受け、加熱室31の温度が一定の範囲内にあるかどうかを監視している(SP2)。そして、計測された温度が事前に決めてある温度を超えていると判定された場合、ステップSP3は「Yes」となり、次のステップSP4に進む。
ステップSP4では、蓋体2が閉じられているかどうかの判定を行い、閉じていることが蓋体開閉検知装置97によって検知された場合には、再びステップSP2に戻るという動作を繰り返す。
なお、温度過昇センサー112Cは、ある特定の温度を検出した際に、「特定の信号」を温度検知装置99に発信するものであるため、蓋体2の天井部分に近くの温度を検知する温度過昇センサー112Cの情報もステップSP3の判定に使用される。
例えば、ステップSP3において、冷却ファン46の運転を継続するかどうかを決定する閾値(温度)が65℃以上であった場合で説明する。
温度センサー112Bの計測温度は、60℃であったと仮定する。
一方、温度過昇センサー112Cが前記「特定の信号」を発する温度が65℃に設定されている場合であって、当該特定の信号を温度検知装置99が受信した場合、ステップSP3においては、前記温度過昇センサー112Cからの前記「特定の信号」を受けて、「Yes」の判定をする。
一方、前記ステップSP3で、計測された温度が冷却ファン46の運転を継続する温度(65℃)未満であった場合には、ステップSP5に進み、冷却ファン46の運転は停止される。
また、蓋体2が加熱調理中に開けられた場合も、ステップSP4が「No」の判定になるため、同様にステップSP5に進み、冷却ファン46の運転は停止される。
以上のように、この実施の形態3においては、計測された蓋体2の温度が冷却ファン46の運転を開始する温度(例えば、65℃)を超えた場合には、冷却ファン46の運転が開始されて、蓋体2の温度を下げるように制御される。そして、蓋体2の温度が規定温度(例えば、65℃)よりも下がらない限り、冷却ファン46の運転は継続される。また、温度が下がれば冷却ファン46の運転は自動的に停止するので、無駄に電力を消費することもない。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4に係る加熱調理器100を、図25~図26に基づいて説明する。図25は、本発明の実施の形態4に係る加熱調理器を、蓋体を閉じた状態で示した縦断面図である。図26は、図25の加熱調理器の動作ステップの説明図である。なお、実施の形態1~3と同一又は相当部分には同一の符号を付し、重複した説明は適宜省略する。
図25に示すように、この実施の形態4では、冷却ファン46を蓋体2の内部に設置しているところが特徴である。加熱調理器本体1の内部には、実施の形態1~3で示したような冷却ファン46を設置していない。
図25に示すように、軸流ファン等から構成された1つ又は複数の冷却ファン46を、蓋体ケース2Cの天井面に近い位置に設置してある。その冷却ファン46の吸込口側の近くには、円形又は楕円形等の小さな孔の集合体である吸気口52を形成している。
53は、内筐体20の前後・左右の周囲を周回するように配置した側面ヒーターであり、シーズヒーターから構成されている。この側面ヒーター53は、加熱室31の上部の加熱不足を補う目的で設置されている。すなわち、図25に示しているように、被調理物30の上方には、被調理物30から上方に高さH1の空隙を確保するようにしている。この実施の形態4では、このH1は約30mm~40mmである。そこで、この高さH1の空隙を側面側からも加熱するために側面ヒーター53を設けている。
前記側面ヒーター53は、上面加熱装置21の電熱帯21H、21H2と同期して通電されるもので、この側面ヒーター53だけが独立して通電されることはない。つまり、上面加熱装置21の加熱開始と加熱終了の時期と、側面ヒーター53の加熱開始と加熱終了の時期は一致している。
54は、排気孔である。この排気孔54は、前記冷却ファン46を挟んで前記吸気口52と反対側に設けてある。つまり、吸気口52から見て最も遠い蓋体ケース2Cの前面側近くに形成してある。
この実施の形態4では、実施の形態1の天井板(第2のプレート)28に相当する板材は設けていない。実施の形態3と同様に、内筐体20の天井部壁面(天井面20T)自体が第2のプレート28に代わる構造物となっている。
以上の構成であるから、加熱調理中において、特に側面ヒーター53の熱も加わって蓋体2の内部空間の温度が上がった場合、冷却ファン46が運転されて吸気口52から外部の低い温度の空気が導入され、冷却風CFとなって、図25に示すように前記排気孔54側へ供給される。これにより、特に持ち手部26に近い蓋体ケース2Cの前面部が冷却される。
また、蓋体2の内部に形成された第6の空隙G6と、第4の空隙G4にある空気は、前後加熱室31の熱を受けて温度上昇するが、蓋体2の中心部よりも後方部分から前方に向けて冷却ファン46による冷却風が流れるので、それら空隙G4、G6に存在する空気も誘引されて前記排気孔54を介して外部へ放出される効果もある。
以上のような動作によって、蓋体ケース2C全体の温度上昇は抑制されるので、ユーザーが持ち手部26を持ち上げた際や、蓋体ケース2Cの表面に触れた際に、熱さを感ずることもなく、不安感を与えるおそれもない。
次に図26について説明する。図26は、実施の形態4の加熱調理器100の動作ステップの説明図である。ここに示された動作ステップは、制御装置90(制限部98を含む)の制御プログラムによって規定されている。
この図26に示した例は、食パン等の被調理物30を、1枚ずつ連続して数枚(数回)加熱する場面のものである。
ステップST1は、実施の形態1のステップS12に相当する。また次のステップST2は、同じくステップS13に相当する。
図26に示している通り、最初(1回目)の加熱調理を行って、底面加熱装置12、上面加熱装置21、側面ヒーター53の通電を停止し(ST1)、1回目の加熱調理の履歴情報を制御装置90が取得して記憶する(ST2)と、最後に報知部35によって加熱調理が終了したことを報知する(ST3)。
このあと、電源プラグ96を抜かないままにしておくと、加熱調理器100は、自然に冷却される。そして10分1秒が経過すると、自動的に主電源が遮断される安全設計になっている。つまり、この10分間は、加熱調理開始が直ぐできることから、この期間を以下、「休止期間」と呼ぶ。
ところで、前記休止期間中に、1回目の加熱調理が終了してから直ぐに2回目の加熱調理が行われた場合、加熱調理器本体1と蓋体2は十分に温度が下がらない内に、2回目の加熱調理を指令される場合が想定される。
図26に示している通り、最初(1回目)の加熱調理を行って、報知部35によって加熱調理が終了したことを報知(ST3)したあと、例えば1分以内に再び調理開始ボタン16cが押された場合(ST4)、制御装置90の制限部98は、ステップST2で取得した(前回までの最新の)履歴情報に基づき、実施の形態1の図16に示したステップS10と同様に、例えば「規定の加熱調理の累積時間」を確認する。
そして仮に特定条件の1つの「規定加熱累積時間」が「15分間を超えること」であった場合、前回の加熱調理までの累積加熱時間に、2回目の加熱調理時間を加算し、15分間を超えるかどうかを判定する。なお、毎回の加熱調理時間はユーザーの入力によって多少変化する。例えば、冷凍パンを設定すると、加熱時間が自動的に長くなる。
制御装置90では、例えば各種「加熱モード」の標準的な加熱時間を決めてある。例えば、「常温パン」の場合には、1回の加熱調理は2分間と事前に決めてある。そのため、ステップST4の段階までにユーザーが「常温パン」の加熱モードを選択した場合には、前回の累積時間に2回目の加熱調理時間の「2分間」を加算する。
このような各種条件を制御装置90が収集して計算した結果を受けて、制限部98は、ステップST5かST10の何れかに判別する。
そして、特定条件(累積運転時間が15分間を超えること)に該当しない場合(ST5)には、加熱装置の通電開始(ST6)に進み、「常温パン」の加熱モードの規定時間(2分間)が経過すると、加熱動作を停止し(ST7)、加熱調理の履歴情報を制御装置90が取得し(ST8)、加熱調理終了の報知を行う。そして、3回目の加熱調理の開始指令を待つ(ST9)。
一方、加熱調理開始の指令を受けた結果、特定条件(累積の運転時間が15分間を超えること)に該当することになった場合(ST10)、制御装置90の制限部98は加熱調理開始の禁止処理を行い(ST11)、入力操作部16による入力を受付けないことになる。言い換えると、ステップST10では、「15分間を超える」という「特定条件」を満たさないため、加熱調理の開始は禁止される。
そして、加熱調理を行えないことをユーザーに知らせるため、報知部35は報知を行い(ST12)、終了する。なお、この報知の直後の段階では、主電源を強制的に遮断して(ST13)終了にしても良い。しかし、主電源を遮断せずに、前記ステップST12の時点から例えば更に10分間は、待機状態にして、10分経過後に主電源を遮断するようにしても良い。また、履歴情報を記憶する記憶部95をEEPROMやフラッシュマイコンなどの不揮発性メモリで構成し、電源投入時に履歴情報を参照するように構成すれば、使用者が使用後に一旦電源プラグを抜いて電源が供給されなくなった場合でも、再び使用しようとした際に、制御装置90の制限部98は加熱調理開始の禁止処理をおこなうことができる。
本実施の形態4に係る加熱調理器100は、以下の具体的な構成を開示していた。すなわち、
実施の形態4の加熱調理器100は、加熱調理器本体1と、この加熱調理器本体1に支持機構3を介して開閉自在に支持された蓋体2と、を備え、
前記蓋体2を閉じた状態では、前記加熱調理器本体1と前記蓋体2との間に加熱室31が区画形成され、
前記加熱調理器本体1には、被調理物30を水平に載置できる非通気性構造の第1の加熱面11Uと、前記第1の加熱面を下方から加熱する底面加熱装置21と、を備え、
前記蓋体2には、前記被調理物30を挟んで前記第1の加熱面11Uと反対側にあり、当該被調理物との間に空隙を置いて対面する非通気性構造の第2の加熱面20U(内筐体20の天井面20T)と、前記第2の加熱面20Uを、その上方から加熱する上面加熱装置21と、を有し、
前記蓋体2には、前記加熱室31の上方で、かつ外側の空間に対して、外部から導入した冷却用空気を供給するための、冷却ファン46を配置した構成である。
、
さらに、実施の形態4の加熱調理器100は、前記第1の加熱装置(底面加熱装置12)、前記第2の加熱装置(上面加熱装置21)及び前記冷却ファン46に対する通電を制御する制御装置90と、当該制御装置90に加熱調理の指令を与える入力操作部16とを、備え、
前記制御装置90は、前記第1の加熱装置(底面加熱装置12)と前記第2の加熱装置(上面加熱装置21)とによる加熱履歴データを収集し、冷却ファン46を運転するための特定条件(累積の運転時間が15分間を超えること)に該当することを制限部98が判定した場合、前記入力操作部16による加熱調理の実行を制限する是正処理のプログラムを保有している構成である。
この実施の形態4の構成によれば、被加熱物が食パンである場合、食パンの内部の水分が保たれた状態に焼き上げることができる。
また、蓋体2内部に冷却ファン46を有し、当該冷却ファン46によって外部から冷却用空気を導入し、蓋体2の内部を冷却しているので、構成を複雑化することなく、過熱状態を回避できる加熱調理器100を提供できる。
さらに前記制御装置90は、前記第1の加熱装置(底面加熱装置12)と前記第2の加熱装置(上面加熱装置21)とによる加熱履歴データを収集して、前記入力操作部16による加熱調理の実行を制限するので、過去の加熱調理実態を反映した過熱防止動作を期待できる。
以上の通り、この実施の形態4においては、過熱による故障を減少させ、また安全性の高い加熱調理器を提供できる。なお、加熱調理の実行を制限する是正処理のプログラムは、加熱調理器本体1内に冷却ファン46を配置した実施の形態1などにも適用できる。
本実施の形態4に係る加熱調理器100は、以下の具体的な構成も開示していた。すなわち、
加熱調理器本体1と、この本体に支持機構3を介して連結される蓋体2と、を備え、
前記加熱調理器本体1には、被調理物30の下面に接触又は近接して当該被調理物に熱を伝える非通気性構造の底プレート(第1のプレート)11と、前記底プレート11を加熱する底面加熱装置(第1の加熱装置)12と、を有し、
前記蓋体2には、前記底プレート11の上方空間を開閉自在に覆う非通気性構造の加熱室31天井面(内筐体の天井面20T)と、前記加熱室31天井面を加熱する上面加熱装置(第2の加熱装置)21と、を備え、
前記加熱調理器本体1には、前記底面加熱装置12および前記上面加熱装置21を制御する制御装置90と、を備え、
前記蓋体2の内部には、外部から冷却用空気を導入できる冷却ファン46を配置し、
前記蓋体2を閉じた状態では、前記底プレート11の上方空間を前記加熱室天井面が覆い、被調理物を収容する加熱室31が形成されるものであり、
前記制御装置90は、加熱調理開始指令を受けたあと、前記底面加熱装置12および前記上面加熱装置21に対して通電開始し、
前記通電開始のあと、前記底プレート11は、前記加熱室31に収容された前記被調理物を下方から加熱し、前記加熱室天井面は前記被調理物30に輻射熱を放射し、
前記制御装置90には制限部98を備え、当該制限部98は、前記底面加熱装置12および前記上面加熱装置21に対して1回の加熱調理における通電時間を制限する機能と、1回の加熱調理の期間中、前記加熱室30の温度が上限を超えた場合に前記通電時間内の途中段階で前記底面加熱装置11および前記上面加熱装置21への通電を遮断する機能と、を有し、
さらに前記制御装置90の制限部98は、電源プラグ96を商用電源に接続している期間中は、複数回の加熱調理を前記通電時間毎に実行し、かつ1回毎の加熱調理の期間中、過熱事態を回避するために設定した「特定条件」を満たした場合には、前記冷却ファン46に対して、運転開始指令を発信する構成である。
さらに、前記制御装置90の制限部98には、加熱調理器本体1の温度が上昇している場合、前記底面加熱装置12および前記上面加熱装置21に対する通電を制御する動作プログラムが格納されており、
前記動作プログラムにおいて前記過熱防止機能は、前記1回目の加熱調理の前記通電時間と2回目以降における加熱調理期間の前記底面加熱装置12および前記上面加熱装置21に対する通電時間の積算値が、限度値を超えた場合に適用される設定である。
さらに前記制御装置90は、前記第1の加熱装置(底面加熱装置12)と前記第2の加熱装置(上面加熱装置21)とによる加熱履歴データを収集して、前記入力操作部16による加熱調理の実行を制限するので、過去の加熱調理実態を反映した過熱防止動作を期待できる。このように、複数回の加熱調理を連続して行う場合も想定した過熱防止機能を有している。
以上の通り。この実施の形態4においては、過熱による故障を減少させ、また安全性の高い加熱調理器を提供できる。なお、加熱調理の実行を制限する是正処理のプログラムは、加熱調理器本体1内に冷却ファン46を配置した実施の形態1などにも適用できる。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5に係る加熱調理器を、図27~図31に基づいて説明する。図27は、本発明の実施の形態5に係る加熱調理器を、蓋体を閉じた状態で示した縦断面図である。図28は、本発明の実施の形態5に係る加熱調理器を、蓋体を開けた状態で示した縦断面図である。図29は、本発明の実施の形態5に係る加熱調理器の加熱調理室の主要部を、前方側から見た縦断面模式図である。図30は、本発明の実施の形態5において、面状ヒーターを平面視した模式図である。図31は、図27の加熱調理器の構成を示すブロック図である。なお、実施の形態1~4で説明した加熱調理器と同一又は相当する構成については、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
この実施の形態5に係る加熱調理器100は、被調理物30を、加熱調理室31から真上の方向から挿入し、また真上の方向に取り出す形態である。
図27と図28において、1は、加熱調理器本体であり、横断面形状が正方形又は長方形を呈している縦長の箱形状である。2は、蓋体であり、前記加熱調理器本体1にヒンジ部19を介して回動自在に固定されている。
前記ヒンジ部19は、加熱調理器本体1の上面に設けている額縁状の支持枠45の後部に固定されている。この支持枠は、全体が耐熱性のプラスチック射出成形材料で一体に形成されている。この支持枠45の上面全体には1つの平面を有し、この平面が第1の重合面P1になる。
前記蓋体2は、加熱調理器本体1の横断面形状に合致する横断面形状を有している。この蓋体2は、プレスチック射出成形材料で一体に形成されており、下面全体に大きな開口を有している。
129は、前記蓋体2の下面開口を閉鎖するように、耐熱性のプラスチック射出成形材料で一体に形成された額縁状の蓋枠である。この蓋枠129の下面全体には1つの平面を有し、この平面が第2の重合面P2になる。
140は、上ケースであり、下面に大きな開口140Bを有した第2凹部140Aを有している。この第2凹部140Aの横断面形状は左右方向に長い長方形である。また、この第2凹部140Aの前後方向の直径A1は、40mm~50mm程度である。但し、この直径A1は、被調理物30の厚さとして30mm程度を想定している場合であり、加熱調理する被調理物30の最大厚さよりも10mm~20mm程度大きく設計してある。
例えば、厚さが45mm程度の被調理物30が想定される場合には、第2凹部140Aの前後方向の直径A1は、少なくとも55~65mm程度である。この寸法を過剰に大きくすると後述する加熱調理室31の内部空間(容積)が大きくなり、内部空間の温度を上げるために要する時間が長くなってしまう。つまり、加熱調理時間が長くなり、好ましくない。
この実施の形態5においては、上記の観点から、角型食パン30aの外形寸法から求めた最大体積VL2に対し、前記加熱調理室31の容積VL1は、2倍~3倍の範囲に設定してある。
前記上ケース140は、アルミニウムなどの熱伝導性の高い金属製の板材を、プレス成形して形成している。この上プレート140の表面は、平坦でもよいし、細かい凹凸のある形態でもよい。この上プレート140には、耐熱性が高く、放射率の高い塗料がコーティングされている。塗料は、例えばシリコーン系又はフッ素系の耐熱塗料である。塗料は、セラミック塗料でもよい。
前記上ケース140の開口140Bの周囲には、フランジ部(鍔部)が一体に形成されている。そのフランジ部は、弾力性のあるシール材145を介在させ、ネジによって前記蓋枠129上面に密着状態に固定されている。
蓋体2の内側の上部には、操作基板17が配置されている。蓋体2の上面には、タッチ式の入力操作部144があり、ユーザーが指を触れるだけで必要な入力操作が実行できる。
前記蓋体2を構成する蓋体ケース2Cの内部には、前記上ケース140の前後・左右と上方に大きな空隙G7が形成されている。この空隙G7は、上ケース140の熱が蓋体ケース2Cに伝わり難くする目的で形成しているものである。なお、更に断熱性を上げるために、空隙G7の中に断熱材を充填しても良い。
141は、下ケースであり、上面に前記開口140Bと同じ大きさの開口141Bを有している。この下ケース141の内部には、前記開口141Bと開口140Bを介して、前記第2凹部140Aと連通する第1凹部141Aを有している。
前記下ケース141は、アルミニウムなどの熱伝導性の高い金属製の板材を、プレス成形して形成している。この下ケース141の表面は、平坦でもよいし、細かい凹凸のある形態でもよい。この下ケース141には、耐熱性が高く、放射率の高い塗料がコーティングされている。塗料は、例えばシリコーン系又はフッ素系の耐熱塗料である。塗料は、セラミック塗料でもよい。
前記凹部141Aの横断面形状は左右方向に長い長方形である。また、この凹部141Aの前後方向の直径A2は、40mm~50mm程度である。但し、この直径A2は、前記第2凹部140Aの前後方向の直径A1と同程度か、又はそれよりも数mm程度小さい。
図27に示しているように、被調理物30として例えば厚さが30mmの食パン(スライスした食パン)を、前記第1凹部141Aに入れた場合、その食パンの前方側の側面30Fと下ケース141の前方側垂直壁141Fとの間に空隙G9が形成される。
この空隙G9の大きさは、数mm以下である。また食パンの後方側の側面30Bと下ケース141の後方側垂直壁141Bとの間にも空隙G8が形成され、その空隙G8の大きさも、数mm以下である。
31は、前記第2凹部140Aと第1凹部141Aが開口140B、141Bを介して連通することによって形成される加熱室である。H5は、加熱室31の最大高さ寸法である。なお、図27において符号HDは、凹部141Aの深さを示すものである。
図27に示しているように、前記加熱室31の中に、例えばスライスされた角型パン130aとして、縦寸法H4が125mm、横幅125mmの食パンを、入れた場合には、その食パン130aの上面と上ケース140の天井面との間には、空隙G10が確保される。
また前記加熱室31の中に、スライスされた山型食パン130bとして、縦寸法H4が160mm、横幅125mmの食パンを横に倒して入れた場合にも、その食パン130bの上面と上ケース140の天井面との間には、数mm~10mm程度の大きさの空隙G10が確保される。つまり、山型食パン130bと角型食パン130aの何れを入れた場合でも、上記空隙G10の大きさは同程度である。
この加熱室31の最大高さ寸法H5は、山型食パンと角型食パンの平均的な大きさ(横幅寸法=125mm)を考慮して設計されている。なお、加熱室31の左右方向(横幅)寸法は、山型食パン平均的な高さ寸法(160mm程度)よりも数mm~10mm程度大きく設定されている。
以上のような理由で、この実施の形態5では、前記加熱室31の最大高さ寸法H5は170mmである。また凹部141Aの深さHDは、110mmである
加熱室31の中に上記した標準的な角型食パン130aを入れた場合、その食パンは、横幅寸法H4が125mmであり、一方、前記凹部141Aの深さHDが110mmであるから、角型食パン130aは第1の重合面P1から15mm程度の高さH7だけ上方向に突出する。この突出部は、加熱調理を終えた食パンをユーザーが掴んで取り出す際に、便利である。特別なポップアップ機構を設けなくても良いので、全体の構成を簡略化でき、コスト的にも有利である。なお、山型食パン130bを横にして加熱室31の中に入れた場合でも、山型食パン130bは第1の重合面P1から15mm程度の高さH7だけ上方向に突出する。
G11は、本体ケース1Cの内側面と、前記下ケース141の後方側垂直壁141Bとの間に形成された空隙である。
G13は、本体ケース1Cの内側面と、前記下ケース141の前方側垂直壁141Fとの間に形成された空隙である。
図27、図28から明らかなように、前記ヒンジ部19を設けている関係で、前記下ケース141は、本体ケース1Cの前後方向の中心よりも前方側に偏っている。つまり、前記前方の空隙G13の方が後方の空隙G11よりも狭くなっている。
142Fは、加熱室31の前面側を加熱する加熱装置としての、前面側ヒーターである。この前面側ヒーター142Fは、前記下ケース141の前方側垂直壁141Fの前面側に密着するように取り付けてある。つまり、前面側ヒーター142Fは、第1の加熱面となる前方側垂直壁141Fを加熱する「第1の加熱装置」に相当する。
142Bは、加熱室31の後面側を加熱するための後面側ヒーターである。この後面側ヒーター142Bは、前記下ケース141の後方側垂直壁141Bの後面側(背面側)に密着するように取り付けてある。つまり、後面側ヒーター142Bは、第2の加熱面となる後方側垂直壁141Bを加熱する「第2の加熱装置」に相当する。
前記2つのヒーター142B、142Fは、電気的に直列に接続され、制御装置90によって通電が制御される。
前記後面側ヒーター142Bと前面側ヒーター142Fは、マイカ板に細い電熱体(電熱線)を巻いた面状ヒーターである。なお、電熱体をセラミックで挟んで形成したセラミックヒーターでも良い。
この実施の形態5では、面状ヒーターの形態で構成したため、加熱調理器本体1を小型化することができるとともに、被調理物30の前方側面と後方側面の両方に対して、均一加熱が可能となるため、焼きムラを少なくすることができる。詳しくは図30で説明する。
150は、温度検知部である。この温度検知部150は、頂部にある熱感知部が下ケース141の下面と密着するように設置されている。このため、下ケース141の温度変化を迅速に検知することができるものである。この温度検知部150は、例えばサーミスタなどの接触式の温度センサーである。温度検知部15の温度検知データは、実施の形態1の温度検知装置99と同様な温度検知装置(図示せず)を介して制御装置90に伝えられる。
131は、蓋体2の内部に配置された温度検知部である。この温度検知部131は、蓋体2の持ち手部26の近い位置で、かつ蓋体ケース2Cの内側面に設置されている。このため、蓋体ケース2Cの温度変化を迅速に検知することができるものである。この温度検知部131は、例えばサーミスタなどの接触式の温度センサーである。温度検知部131の温度検知データは、実施の形態1の温度検知装置99と同様な温度検知装置(図示せず)を介して制御装置99に伝えられる。
前記温度検知部131は、蓋体2の内部に設置してあるが、この蓋体2の内部にも加熱室31の上部が存在しているため、加熱室31の温度をこの温度検知部131が検出できる。 なお、加熱室31の下方に設けた温度検知部150と、この蓋体2の温度検知部131の両方の温度検出データから、制御装置90は、冷却ファン46の運転の要否を判断するようにしても良い。
図27と図28において、143は、加熱調理器本体1を、前記下ケース141の下方において上下に区画する遮蔽板(遮熱板)である。この遮蔽板143は、例えば反射率が高く、耐熱温度も高いアルミメッキ鋼板が好適である。
前記遮蔽板143は、下部空間に配置した制御装置90及びコードリール91(図示せず)等が、後面側ヒーター142Bと前面側ヒーター142Fからの熱を受けて高温にならないように保護するためのものである。なお、前記下ケース141の周囲(前後左右)は、断熱材151が巻かれており、加熱室31の周囲への熱放射を抑制する構成になっている。
46は、前記遮蔽板(遮熱板)143の下面に近接して設置された冷却ファンである。46Mは、ファンモータである。なお、この冷却ファン46は、回転軸46B(図示せず)が垂直に伸びている軸流ファンである。また、この冷却ファン46から吹き出された冷却風を通過させるために、前記遮蔽板143には、冷却ファン46に対応した位置に大きな開口(図示せず)を形成している。
図31において、152は、通信モジュール(無線通信部)である。この通信モジュール152は、加熱調理器1の遮蔽板143よりも下方の空間に設置されている。114は、電源基板であり、前記制御装置90も実装している。
前記通信モジュール152は、制御装置90からの通信指令を受けると、この加熱調理器100が使用されている家庭内の無線通信機器に無線通信でアクセスし、当該無線通信機器を介して公衆無線通信網(「インターネット回線」ともいう)に対し、各種情報を送信する。
また、前記制御装置90からの通信指令を受けると、前記無線通信機器からの情報を受信し、当該受信情報を制御装置90に伝送する。
制御装置90に対して、事前に入力操作部16で所定の設定をしておくと、前記無線通信モジュール152からは、加熱調理器100の動作情報が随時送信される。そのため、加熱調理器100が使用されている家庭内だけではなく、遠隔地においても、公衆無線通信網を介して携帯無線通信機器(例えば、「スマートフォン」と呼ばれる端末機器)で、加熱調理器100の動作を知ることができる。
前記加熱調理器100の加熱調理動作が開始されると、無線通信モジュール152からは、少なくとも加熱調理開始時点と加熱調理の終了の時点で、それぞれ「開始」と「終了」の情報が送信される。例えば、実施の形態1の図16で説明したステップS5、S14、実施の形態4の図26で説明したステップST9、ST12の、それぞれの時点で加熱調理終了の通知が、前記した携帯無線通信機器に対して行われる。このため、加熱調理器100の近くの場所から、遠くの部屋にユーザーが移動していた場合等でも、当該ユーザーの携帯無線通信機器によって、加熱調理の終了をタイムリーに知ることができ、便利である。
さらに、前記携帯無線通信機器に対して、加熱調理器100から自動的に通知する機能を追加し、加熱調理器本体1の温度上昇を抑制するための「保護動作」の1つとして、加熱制限処理(制限動作)を実行する場合、前記制御装置90は、加熱調理を終えるまでの所要時間が長くなるかどうかを判別し、当該加熱制限処理を行う際に、前記携帯無線通信機器に対してその旨通知すると更に良い。このようにすれば、離れた所に居るユーザーが加熱調理の終了時期を予測でき、利便性が向上する。
また、加熱調理動作が開始された後で、何らかの異常によって停止した場合、また是正処理によって加熱調理動作が制限され、あるいは途中で停止した場合にも、それらを識別できる情報が随時送信される。このため、仮に加熱調理器100と離れた部屋にユーザーが居るときに、前記したような各種停止があった場合にも、ユーザーは、スマートフォン等の携帯無線通信機器によって、加熱調理器100の最新状態を知ることができる。また、前記加熱調理器100の加熱調理動作中にスマートフォン等の携帯無線通信機器から情報を送信し、送信された情報を無線通信モジュール152で受け取り、少なくとも加熱調理動作を終了させることができる。
133は、前記冷却ファン46からの冷却風を蓋体2の中に案内する筒体である。図示していないが、前記蓋枠129と支持枠45には、互いに向かい合う位置に貫通した通風孔がそれぞれ形成されている。その通風孔は、前記冷却ファン46から供給された冷却風CFの通路になる。蓋枠129の前記通風孔の真上に前記筒体133が設置されている。
前記蓋体2の背面側には、蓋体ケース2Cの外部へ冷却風CFを放出されるための排気孔(図示せず)が形成されている。
なお、前記遮蔽板(遮熱板)143よりも下方の本体ケース1Cには、壁面を貫通するように吸気孔(図示せず)が形成されている。その吸気孔は、前記冷却ファン46の運転時に外部から導入される空気の入口となる。
図29は、加熱調理器100の加熱室31の主要部を、前方側から見た縦断面模式図である。
146は、加熱室31の内側壁面を構成する右側垂直壁141Rに取り付けた規制体である。147は、同じく、加熱室31の内側壁面を構成する左側垂直壁141Lに取り付けた規制体である。これら規制体146、147は、加熱室31の上下方向に離れて複数個ずつ設けてあるが、1つでも良い。
前記規制体146、147は、耐熱性を有するプラスチック材料で形成されているが、アルミニウム等の金属で形成しても良い。
148と149は、底部規制体であり、前記規制体146、147と同様な材料で形成されている。図29に示すように、底部規制体148、149は、加熱室31の底面と左右側面の隅角部にそれぞれ配置されている。
図29は、角型食パン30aを加熱室31の中に挿入した状態を示している。この図29から明らかなように、角型食パン30aを正しい位置に挿入した場合、その角型食パン30aの右側端面と右側垂直壁141Rとの間には、数mm程度の対向間隔の微小な空隙G12が形成される。なお、図29には示していないが、山型食パン30bを加熱室31の中に挿入した状態では、前記空隙G12が形成されることに加え、左側の前記規制体147の突出高さによって、同様に数mm程度の微小な空隙G12が、山型食パンと左側垂直壁141Lとの間にも形成される。
前記規制体146、147と、底部規制体148、149は、食パン等の被調理物30の位置を規制する機能がある。またこれら規制体は、左側垂直壁141Lや右側垂直壁141Rに、部分的に設けており、加熱室31を上下に仕切るものではない。そのため、加熱室31の底部近くから天井部に向かって自然に上昇する熱気の上昇を妨げることもない。
次に図30について説明する。
図30は、下ケース141の前方側垂直壁141Fに密着状態に設置される前面側ヒーター142Fを模式的に示した模式図であり、前方から見た側面図である。
前記後面側ヒーター142Bは、この前面側ヒーター142Fと、対称形に形成されているので、説明を省略する。
図30で、一点鎖線で示す範囲Z1が、角型食パン30aに対応した範囲Z1であり、破線で示した範囲Z2が山型食パン30bに対応した範囲である。これら2つの範囲Z1、Z2では、別々に電熱体(電熱線)を巻いている。
図30において、1つの前面側ヒーター142Fは、左右の2つの電熱帯12H1、12H2から構成されている。2つの電熱帯12H1、12H2の何れも、上下方向の中間地点から上方の部分(図29では「上部」と表示)と、下方の部分(図29では「下部」と表示)との間では、電熱帯121H1、121H2の単位面積当たりの密度が異なっている。下部の方が上部よりも密に巻いてあり、単位面積当たりの発熱量が大きい。
前面側ヒーター142Fは、加熱時に暖められた空気が熱気となって自然に上昇するので、上部の方が、下部の方よりも強く加熱されやすい。そこでこの実施の形態5では、電熱帯121H1,121H2の密度を調節し、できるだけ1つの前面側ヒーター142Fの加熱強度は、全体において均等になるようにしている。これは別の後面側ヒーター142Bでも同じように採用されている構成である。
実施の形態1で説明したように、制御装置90は、サイズ設定操作部16Dにより設定された被加熱物30の「サイズ」に応じて、2つの通電範囲切替装置60の第1切替部61及び第2切替部62を、ONまたはOFFに切り替える。そうすることで、2つのヒーター142F、142Bへの通電が切り替えられ、加熱室31内の後方側垂直壁141Bと、前方側垂直壁141Fを加熱する範囲Z1、Z2が変更される。
次に図31について説明する。図31は、本発明の実施の形態5の加熱調理器の構成を示すブロック図である。
図31において、152は、前記した無線通信モジュールである。前記後面側ヒーター142Bと前面側ヒーター142Fは、実施の形態1で説明したように、1つの電源基板114からの通電を受けて動作する。なお、当該電源基板114は、前記遮蔽板(遮熱板)143の下方に設置してある。
以上の構成であるから、ユーザーが食パン等の被調理物30を加熱調理する場合には、図28に示しているように蓋体2を開けて、例えば角型食パン30aを開口141Bから下ケース141の凹部141の中に入れる。なお、角型食パン30aと山型食パン30bの、適切な挿入位置を示すために、前記凹部141Aの入口部に、文字や記号等で、挿入位置を示す表示を設けておくと良い。
次に、ユーザーは、蓋体2を閉める。そして、モード切替ボタン16aで、調理する角型食パン30aに応じた「加熱モード」を設定し、焼き色調整ダイヤル16bにより、ユーザーの好みに応じて「焼き色」を設定する。
なお、角型食パン30aを凹部141Bの中に置く前に、被調理物30の「サイズ」を設定しても良いが、凹部141Bの中に置いて蓋体2を閉めてから、「サイズ」を設定しても良い。蓋体開閉検知装置97からの信号によって、蓋体2が開放状態であるかどうか制御装置90で把握しているため、蓋体2の開放中には、加熱調理動作が開始されるということが防止される。
調理開始ボタン16cが押されて、操作基板17から「調理開始の指令信号」を制御装置90が受けると、制御装置90は、加熱調理室31を加熱する加熱装置としての、前面側ヒーター142Fと後面側ヒーター142Bの両方に、同時に通電を開始する。
制御装置90は、ユーザーにより設定された「加熱モード」、「焼き色」、および、「サイズ」に基づいて、前面側と後面側のヒーター142F、142Bを制御する。
制御装置90は、サイズ設定操作部15Cで選択した「サイズ」が、「角型食パン」を指定したものである場合、角型食パン30aに対応した範囲Z1だけに通電するように、通電範囲切替装置60が動作する。つまり、範囲Z1にある電熱帯12H1への通電を開始する。
前面側ヒーター142F、後面側ヒーター142Bによって前方側垂直壁141Fと後方側垂直壁141Bは、急速に温度上昇する。凹部141Bの中に置かれた角型食パン30aは、その前方側垂直壁141Fと後方側垂直壁141Bによって加熱されるが、角型食パン30aから見て、前方側垂直壁141Fと後方側垂直壁141Bまでの距離は微小であり、僅か数mmから10mm程度しかないので、そのような狭い空隙G9、G8を介して角型食パン30aは凹部141Bの中で短時間に焼き上げられる。これは山型食パン30bの場合でも同じである。
また、角型食パン30aや山型食パン30bの体積に比較して、加熱室31の容積は、大きくない(前述したように3倍以下)ので、加熱室31の内部雰囲気温度を上昇させるまでの所要時間も短くできる。
角型食パン30aの前方側面と後方側面の加熱が進むと、水分が蒸発して水分含有量が低下し、水分含有量が一定の数値以下になると、角型食パン30bの前後両側面に硬化した部分であるクラスト層が形成される。このとき、蒸発した水分はクラスト層になった前後両側面から外部には排出されにくく、角型食パン30aの内部に移動する。
ところで、加熱室31を構成する周囲の壁面は、下ケース141と上ケース140で構成されている。そして下ケース141と上ケース140は、ともに非通気性構造であるから、水分を外部へ拡散させることはない。
以上の説明から明らかなように、角型食パン30aから外部には排出された水分は、密閉度の高い加熱室31に閉じ込められることになる。そして、角型食パン30aは、水分が充満した高湿度の密閉空間である加熱室31で加熱されることになり、加熱が進んでも角型食パン30aから外部に水分が排出されにくい。そのため、この加熱調理器100では、角型食パン30aを、その内部に水分が保たれた状態に焼き上げることができる。
また、加熱室31では、凹部141Aの前方と後方全体からの輻射熱により加熱する。そのため、角型食パン30a等の被調理物30を、焼きムラの少ない状態に焼き上げることができる。
また、角型食パン30aや山型食パン30b等の被調理物30のサイズに応じて、後面側ヒーター142Bと、前面側ヒーター142Fへの通電範囲を切り替えることで、調理中の不要な電力消費を抑えられるため、省エネ化を図ることができる。
以上の構成であるから、前記後面側ヒーター142Bと前面側ヒーター142Fに対して制御装置90が通電を指令すると、それら2つのヒーター142B、142Fによって加熱室31が加熱され、被調理物30を前後から加熱することができる。
図27で説明したように、前記ヒンジ部19を設けている関係で、前記下ケース141は、前記前方の空隙G13の方が後方の空隙G11よりも狭くなっている。そのため、断熱材151が存在していても、下ケース141の前面側の温度が上がりやすい。
そこで、この実施の形態5では、遮蔽板(遮熱板)143の下方に設置された冷却ファン46からの冷却風を、前記した前方側の空隙G13に供給している。このため、図27に矢印で示しているように、空隙G13を下方から上方に向かう冷却風CFの流れが出来る。
以上のような冷却風CFの流れによって、加熱室31の前方側にある断熱材151よりも前方にある空間(空隙G11)の温度を低く維持できる。
さらに、蓋体2の内部に対しても、その前方側から案内筒133を介して冷却風CFが供給される。そして、蓋体2においても上ケース140の上方空間を冷却風CFが流れて最後に外部へ排出される。このため、蓋体2の外郭を構成する蓋体ケース2Cの温度も低く維持できる。
また前面に設けた持ち手部26の温度も低くできるので、ユーザーに熱さや不安感を与えることも避けることができる。さらに、ユーザーが指を触れるだけで必要な入力操作が実行できる入力操作部144の温度も下げることができ、熱による故障の発生を防止し、また、ユーザーへ不安感を与えることも防止できる。
実施の形態5の総括.
本実施の形態5に係る加熱調理器100は、以下の構成を備えていた。
すなわち、実施の形態5における加熱調理器100は、
加熱調理器本体1と、
前記加熱調理器本体1に支持機構3を介して回動自在に支持される蓋体2と、を備え、
前記加熱調理器本体1には、上面に被調理物を挿入できる第1の開口を設けた上下方向に細長い第1凹部141Aを設け、
前記蓋体2には、下面に前記被調理物を挿入できる第2の開口を設けた第2凹部140Aを設けており、
前記第1凹部141Aには、被調理物30の第1の側面に近接して当該被調理物30に熱を伝えるための非通気性構造の第1の加熱面(前方側垂直壁)141Fと、前記第1の側面と反対側にある第2の側面に近接して当該第2の側面を加熱するための、非通気性構造の第2の加熱面(後方側垂直壁)141Bと、を備え、
前記蓋体を閉じた状態では、前記第1凹部141Aと前記第2凹部140Aが、前記第1の開口と前記第2の開口とを介して連通した状態となり、かつ当該第1凹部141Aと前記第2凹部140Aの間に、加熱室31が形成され、
前記加熱調理器本体1の内部には、前記加熱室31の周辺空間と前記蓋体2の内部空間に対して、前記加熱調理器本体1の外部から導入した冷却用空気を供給するための、冷却ファン46を配置した構成である。
この実施の形態5の構成によれば、被加熱物が食パンである場合、食パンの内部の水分が保たれた状態に、短時間に焼き上げることができる。
また食パン等の被調理物30は、規制体146、147、148、149によって適切な位置に置かれて加熱される。このため、食パン等の被調理物30の全体を加熱調理できる。
さらに本体ケース1Cや蓋体2の外郭を構成する蓋体ケース2Cの温度も低く維持できる。過熱による部品の故障や異常の発生を防止し、また、ユーザーへ不安感を与えることも防止できる。
以上の通り、この実施の形態5の加熱調理器100によれば、冷却ファン46によって外部から冷却用空気を導入し、加熱調理器本体1内部と蓋体2の内部を冷却しているので、構成を複雑化することなく、過熱状態を回避できる。このため、過熱による故障を減少させ、また安全性の高い加熱調理器を提供できる。
実施の形態6.
以下、本発明の実施の形態6について説明するが、実施の形態1~5と重複するものについては説明を適宜省略する。また、実施の形態1~5と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付す。
図32は、本発明の実施の形態6に係る加熱調理器100において、蓋体2が開いた状態の外観斜視図である。図33は、図32の加熱調理器の動作ステップの説明図である。
図32に示すように、本実施の形態6では、加熱調理器本体1は、横長形状である。そして、蓋体2の内部には垂直方向に伸びる仕切り板70が設けられている。
前記仕切り板70は、蓋体2の内筐体20の略中央部に設けられており、蓋体2が閉じられた状態において加熱室31を、左右2つの空間31L、31Rに分割する。また、加熱調理器本体1の前面には、2つの空間31L、31Rと同数の入力操作部16が設けられている。
2つの空間31L、31Rで別々の加熱条件で同時に加熱調理ができる。そのために、底面加熱装置12および上面加熱装置21は、加熱空間31L、31R毎に制御可能に構成されている。例えば、底面加熱装置12および上面加熱装置21をそれぞれ加熱空間31L、31Rと同数備え、それら底面加熱装置12および上面加熱装置21を、個別に制御可能に構成している。
制御装置90は、2つの入力操作部16L、16Rから設定された内容に基づいて、底面加熱装置12および上面加熱装置21を制御する。そして、操作された入力操作部16L、16Rに対応する加熱空間31L、31Rで調理を行う。
このように、本実施の形態6に係る加熱調理器100では、加熱空間31L、31Rと入力操作部16L、16Rを、同じ数(複数個)備えているため、被調理物30を複数同時に調理することができ、加熱空間31L、31R毎に調理条件の設定を変えることができる。そのため、種類の異なる被調理物30を同時に調理でき、また、被調理物30毎に異なる仕上がりとすることができる。
この実施の形態6においては、蓋体ケース2Cの左右のどちらか一方の側面に、吸気口52を設け、また他方の側面に排気孔54を設け、蓋体2の内部には、図示していないが、冷却ファン46を設けている。冷却ファン46によって蓋体2の外部から導入された冷却用空気は、前記した2つの加熱空間31L、31Rの外側を流れるようになっている。
上記の構成であるから、冷却ファン46の運転により、前記吸気口52から空気を導入し、蓋体2の内部空間を冷却したあとの冷却風を、前記排気孔54から放出させることができる。
この実施の形態6の構成によれば、食パンを加熱調理した場合、食パンの内部の水分が保たれた状態に、短時間に焼き上げることができる。
また、蓋体2に内蔵させた冷却ファン46によって外部から冷却用空気を導入し、当該蓋体2の内部(但し、加熱空間31L、31Rの外側空間)を冷却しているので、構成を複雑化することなく、過熱状態を回避できる。このため、過熱による故障を減少させ、また安全性の高い加熱調理器を提供できる。
本実施の形態6の加熱調理器100によれば、被調理物30を複数同時に調理することができ、加熱空間31L、31R毎に調理条件の設定を変えることができる。そのため、種類の異なる被調理物30を同時に調理でき、また、被調理物30毎に異なる仕上がりとすることができる。
次に図33について説明する。この図33に示した例は、食パン等の被調理物30を、1枚ずつ連続して数枚(9回)加熱する場面のものである。この例では、連続調理回数が8回を超過すると、加熱調理器本体1の温度上昇を抑制するという「保護動作」の1つとして、加熱制限処理が行われるように構成されている。
ステップSS1は、実施の形態1(図17参照)のステップSP4に相当する。また次のステップSS2は、同じくステップS12(図16参照)に相当する。
図33に示している通り、8回目の加熱調理終了までに、特定条件Aに該当し、延長/高温報知LED41dは、ゆっくりとした点滅(例えば、0.2秒点灯、1.3秒消灯の繰り返しなど)により高温報知を表示している(SS1)。また、この例では、連続調理回数が8回を超過すると規定条件Bに該当し、次の調理から加熱制限処理が行われるように構成されている。1回の加熱調理として事前に決めてある標準的な加熱動作時間である「規定時間」(例えば「常温パン」の加熱モードの場合は、2分間)が経過した時点で、制御装置90は、底面加熱装置12、上面加熱装置21、側面ヒーター53の通電を停止し(SS2)、8回目の加熱調理の履歴情報を制御装置90が取得して記憶する(SS3)と、最後に報知部35によって加熱調理が終了したことを報知する(SS4)。
このとき、制御装置90の制御部98は、連続調理回数が8回に達し規定条件Bに該当していることに基づき、加熱調理が終了した時点から報知部35によって延長/高温報知LED41dを、高温報知よりも早い点滅(例えば、0.2秒点灯、0.2秒消灯、0.2秒点灯、0.2秒消灯、0.2秒点灯、1.0秒消灯の繰り返しなど)に変更し、制限動作(保護動作)の表示を行う。この制限動作表示は、高温報知よりも早い周期の点滅であるが、1サイクル中に長い消灯時間(本実施例における1.0秒消灯を意味する。使用者に複数回の点滅の繰り返しと認識されるように構成されている)を入れることにより、より強く注意喚起をおこないつつも、過度の緊迫感を与えないように構成されている。前記の制限動作表示の注意喚起は、次の調理から加熱制限処理が働くことを使用者に伝達するべく、調理終了時点から行うように構成されている。
このあと、電源プラグ96を抜かないままにしておくと、加熱調理器100は、自然に冷却される。そして10分1秒が経過すると、自動的に主電源が遮断される安全設計になっている。つまり、この10分間は、加熱調理開始が直ぐできることから、この期間を以下、「休止期間」と呼ぶ。また、この間、特定条件Aを満足しなくなるまで制限動作表示(または高温報知)を継続するように構成している。
前記休止期間中、自動的に主電源が遮断されるまでに9回目の加熱調理が行われた場合、加熱調理器本体1と蓋体2は十分に温度が下がらないまま、9回目の加熱調理を指令される場合が想定される。図33は、このような場合の例である。
ステップSS5において、入力操作部16による(9回目の加熱調理のための)操作を受け付けると、制御装置90は制限動作表示を中断し、延長/高温報知LED41dを消灯させる。これは、設定操作中も点滅表示を継続すると、設定操作時に誤認し易いため、一時的に注意喚起を中断することで使い勝手を向上させるための配慮である。なお、本実施の形態6では、焼き色調整部16bにより“延長”を選択した場合の例を示すが、当然ながら、“延長”が選択された場合には、延長/高温報知LED41dを点灯表示させ、“延長”が選択されていることを使用者が認識しやすいように構成されている。
ステップSS6で、調理開始司令部16cの入力を受け付け、加熱が開始されると、制御装置90は制限部98によって、底面加熱装置12、上面加熱装置21、側面ヒーター53の通電を制限する。ここで、加熱制限とは、上面加熱装置21及び底面加熱装置12を制御する温度を低下させること、通電する時間(比率)を下げること等を意味している。これらの制限によって、各部の温度が過度に上昇することを抑制している。
また、制御装置90は延長/高温報知LED41dを、前述したように早い周期で点滅させ、過熱防止のための制限動作の表示を再開する。入力操作部16による操作中に一時中断していた制限動作表示を加熱開始時点から再開するのである。加熱開始時点から再び制限動作表示(高温表示の場合も含む)を行うことで、調理開始後に加熱調理器100が高温になっていることを、別の使用者にも注意喚起を行うことができる。
ステップSS6以降は、8回目の調理終了時と同様である。すなわち、ステップSS7で、9回目の調理規定時間が経過した時点で、制御装置90は、底面加熱装置12、上面加熱装置21、側面ヒーター53の通電を停止し、9回目の加熱調理の履歴情報を制御装置90が取得して記憶する(SS8)と、最後に報知部35によって加熱調理が終了したことを報知する(SS9)。このあと、電源プラグ96を抜かないまま、そして10分1秒が経過すると、自動的に主電源が遮断される(SS10)。
このように構成することで、調理器本体が過熱することを防止できるとともに、調理器本体の過熱を防止するために加熱制限する際には、加熱制限により調理の仕上がり状態が悪くなるおそれがあることを使用者に報知するので、使用者は所望する仕上がり状態を得ることができる。
また、このように高温報知や制限動作表示は調理終了後も継続して報知し、計測温度データが所定の温度未満になるまで動作するように構成するとともに、電源投入時に履歴情報や温度検知装置99による計測温度データを参照するように構成しているので、使用者が使用後に一旦電源プラグを抜いて電源が供給されなくなった場合でも、再び使用しようとした際にも、電源投入直後から注意喚起を行うことができる。なお、高温報知や制限動作表示(加熱制限制御)を終了する温度は、同一温度でも異なる温度どちらでもよく、適宜設計することができる。
また、前記報知部による注意喚起は、ゆっくりとした点滅周期の第1の注意喚起(高温報知)と、早い点滅周期の第2の注意喚起(制限動作表示)からなり、第1の注意喚起に変えて、第2の注意喚起を報知するように構成されている。
さらに、前記報知部による注意喚起は、使用者が調理条件を設定する際に、選択した条件を確認するために点灯表示するパイロットサインを用いて行い、調理条件の設定操作中は、調理条件を点灯/消灯にて表現し、調理中及び調理終了後は、点滅表示して注意喚起を行うように構成されているので、使用者が誤認や誤操作をすることなく、限られた報知部35のなかで、注意喚起を的確に行うことができる。
他の実施形態及び変形例.
実施の形態1~6で具体的に記載した各種構成については、以下の通り変更できる。また本発明はこれら形態に限定することを何ら意図していない。
(1)第1の重合面P1は、その横幅寸法WPが実施の形態1では、少なくとも10mm以上で、実施の形態1では20mmあったが、この横幅寸法を、加熱調理器本体1の前後・左右で同一寸法にする必要はなく、異ならせても良い。
また、第1の重合面P1は、必ずしも1つの平坦面である必要はなく、例えば重合面Aと、この重合面Aよりも数mm~10mm程度に高い重合面Bとの2つにより、第1の重合面P1を構成しても良い。この場合、重合面Aは重合面Bの外周側にあっても、また逆に内周側に配置させても良い。なお、第2の重合面P2についても、同様な変形が可能である。また、第2の重合面P2の幅寸法WPについても、上記のような各種変形が可能である。
(2)実施の形態1~6において、前記蓋体2が閉じられた状態では、前記第1の加熱面11Uと第2の加熱面21は、互いに上下から向かい合っていると説明したが、この意味は、前記第1の加熱面11Cと第2の加熱面20U、28Uの間に、何も構造物が介在しないという意味ではない。例えば、実施の形態1における前記空隙H1の中に、水平に広がった通気性のある枠体や、大きな網目の網状板、又は単純な棒(以下、これらを総称して「設置ガイド材」という)101を設置しても良い。
この設置ガイド材101は、例えば図34に破線で示しているように、四角な枠でも良く、加熱調理器本体1の後部上面に支持してあり、蓋体2を開けたときは垂直になるように跳ね上げた状態に自己保持させ、食パン等を置く場合には、水平位置に下して、加熱調理できる最高限度の高さを目安的に示すようにしても良い。なお、この載置用のガイド材101は、蓋体2を閉じる場合には、被調理物の上に水平に伸びた形になるが、細い線材で形成されており、第2の加熱面20U、28Uからの放射熱を遮るような悪影響はない。
図34に示した加熱調理器100では、蓋体2には吸気口52と排気孔54を、それぞれ設けている。
また加熱調理器本体1には、本体ケース1Cの側面に、吸気孔48と排気孔102とを、それぞれ設けている。
蓋体2の内部には、(第1の)冷却ファン146を設け、加熱調理器本体1には(第2の)冷却ファン46を設けている。つまり、このように蓋体2と加熱調理器本体1側に、それぞれ専用の冷却ファン46、146を設置して、より効果的に冷却するように構成しても良い。
なお、図34において、33Dは、蓋体2の前面に設けた表示部であり、報知部35の一部分を構成している。また、97Aは、蓋体2の開閉を検知するための突起であり、加熱調理器本体1に上下方向に移動自在に設けてある。この突起97Aは、蓋体2が閉鎖された際に押されて、蓋体開閉検知装置97の検知回路に挿入されたスイッチ(図示せず)を閉じることから、蓋体開閉検知装置97の一部分を構成している。
次に図35について説明する。
この図35に示した変形例は、実施の形態6と同様に、食パン等の被調理物30を、1枚ずつ連続して数枚(9回)加熱する場面のものである。この例では、連続調理回数が8回を超過すると、加熱調理器本体1の温度上昇を抑制するという「保護動作」の1つとして、加熱制限処理が行われるように構成されている。
ステップSS1は、実施の形態1(図17参照)のステップSP4に相当する。また次のステップSS2は、同じくステップS12(図16参照)に相当する。
この図35に示している通り、この変形例では8回目の加熱調理終了までに、特定条件Aに該当し、延長/高温報知LED41dは、連続点灯により高温報知を表示している(SS1)。また、この例では、連続調理回数が8回を超過すると規定条件Bに該当し、次の調理から加熱制限処理が行われるように構成されている。
次の加熱調理が行われるまでの待機中(10分間よりも短い時間)には、ゆっくりとした点滅(例えば、0.2秒点灯、1.3秒消灯の繰り返しなど)により高温報知(点滅形態は、「点滅1」)を行っている(SS1)。
9回目の加熱調理の指令を、ユーザーが入力操作部16によって行うと、前記点滅1の時よりも早い点滅(例えば、0.2秒点灯、0.2秒消灯、0.2秒点灯、0.2秒消灯、0.2秒点灯、1.0秒消灯の繰り返しなど)に変更され、制限動作(保護動作)を行っている旨の表示を行う。
その他の動作は、図32で説明したものと同じである。なお、このような点滅形態の変化ではなく、報知部35の音声報知機能によって音声で報知しても良い。例えば、制限動作の際には「本体が熱くなっていますので、火力を自動調節します。出来上がり時間が少し延びます」等のように、ユーザーに状況が明確に理解できるように報知する。また、制御装置90側で加熱条件の変更に伴って、加熱終了までの加熱所要時間が計算又は事前に記憶してあるデータテーブルを参照して推定できる場合には、概算値として、その時間を報知しても良い。例えば「加熱時間は、おおよそ20秒間長くなります」のように報知すれば良い。
その他の構成.
実施の形態1で採用した蓋体開閉検知装置97を、実施の形態5でも採用して良い。蓋体開閉検知装置97を採用すれば、前記加熱装置(前面側ヒーター142F)と前記加熱装置(後面側ヒーター142B)に対する通電を制御する制御装置90は、前記蓋体開閉検知装置97が前記蓋体2の開放を検知している状態では、第1の加熱面に対応した加熱装置(後面側ヒーター142B)と前記第2の加熱面に対応した加熱装置(後面側ヒーター142B)に対する通電を自動的に停止することができる。このため、安全性を更に向上させた加熱調理器を提供できる。
実施の形態1~6及び図34と図35の変形において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともできる。また手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
また図示した各回路、部品、装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくとも良い。例えば、制御装置90は、この装置の機能の分散・統合が可能であり、具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、機能や動作状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、制御部98を、別個の独立した電子回路(例えば、マイクロコンピュータを実装した集積回路)等で構成しても良い。また、温度検知装置99の機能を、制御装置90によって実行できるようにしても良い。
例えば、図11に示した制御装置90の記憶部95のデータや制御動作用コンピュータプログラム(以下、「動作プログラム」という)の一部は、加熱調理器1が保持せずに、外部の記録媒体(ストレージサーバ等)に保持されてもよい。この場合、加熱調理器1は、外部の記録媒体(ストレージサーバ)に、前記した無線通信部49を通じてアクセスすることで、必要なデータや動作プログラムの情報を取得することでも良い。
さらに特に図11で説明した制御装置90の動作プログラムは、ユーザーの希望により、又は加熱調理器1の製造業者等の希望によって、適宜改善されたものに更新するようにしても良い。この場合、例えば、無線通信部49を通じて修正(更新)済の動作プログラムを入手するようにしても良い。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の実質的な範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。
以上の通り、本発明を色々な実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施の形態の構成に限定されるものではない。図示した加熱調理器100の構成は、一例であって、上述した内容に限定されるものではなく、他の構成要素を含んだ加熱調理器であっても同様に実施することができる。要するに、いわゆる当業者が必要に応じてなす種々なる変更、応用、利用の範囲をも本発明の要旨(技術的範囲)に含むことを念のため申し添える。