<実施形態1>
以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態1について詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態1では、本発明に係る弾球遊技機として、パチンコ遊技機を例にとって説明する。
<1.構成の概要:図1および図2>
図1及び図2において、遊技機本体1は、木製の外枠2と、この外枠2の前側に配置された前枠3とを備えている。前枠3は、左端側に配置された上下一対の第1ヒンジ4を介して、外枠2に開閉自在及び着脱自在に枢着されており、左右方向における第1ヒンジ4と反対の右端側に設けられた施錠手段5によって外枠2に対して閉状態で施錠可能となっている。
前枠3は、本体枠6と、その本体枠6の前側に配置されたガラス扉7とを備えている。ガラス扉7は、左端側に配置された上下一対の第2ヒンジ8を介して、本体枠6に開閉自在及び着脱自在に枢着されており、施錠手段5によって本体枠6に対して閉状態で施錠可能となっている。なお、第1ヒンジ4と第2ヒンジ8とは同一軸心となるように配置されている。
外枠2は、図2に示すように左右一対の縦枠材2a、2bと、上下一対の横枠材2c、2dとで矩形状に形成されている。外枠2の前側下部には、合成樹脂製の前カバー部材9が左右の縦枠材2a、2bの前側下部を連結するように装着されている。前カバー部材9は、左右の縦枠材2a、2bよりも前側に突出しており、その上側に本体枠6が配置されている。
本体枠6は合成樹脂製であって、前カバー部材9の上側で外枠2の前縁側に略当接可能な矩形状に構成されており、上部側に矩形開口状に設けられた遊技盤装着部14と、この遊技盤装着部14の下側に設けられた下部装着部15とを一体に備えている。
遊技盤装着部14には、遊技盤16が前側から着脱自在に装着され、下部装着部15の前側には、図2に示すように、発射装置本体である発射機構17や、下部スピーカ18等が配置されている。
本体枠6には、図2に示すように、遊技盤装着部14の外周から後方に突出する囲繞壁317が一体又は別体に設けられている。囲繞壁317は遊技盤装着部14に装着された遊技盤16の裏側機構を外周側から囲繞して保護するものである。
ガラス扉7は、図2に示すように、本体枠6の前面側に対応する矩形状に形成された樹脂製の扉ベース22を備えている。この扉ベース22には、遊技盤16に形成された遊技領域23の前側に対応して表示窓(ガラス窓)24の窓孔24aが形成されると共に、窓孔24aの周囲に上下左右等の所定箇所に複数の上部スピーカ25が配置され、それら各スピーカ25を前側から略覆う上装飾カバー27が装着されている。
また、扉ベース22の下部前側には、本体枠6の後側に配置された払い出し手段28から払い出された遊技球を貯留して発射機構17に供給する上皿30、その上皿30が満杯のときの余剰球等を貯留する下皿31、発射機構17を作動させるために操作する発射ハンドル32等が配置され、更に上皿30、下皿31等を前側から略覆う下装飾カバー33が装着されている。下装飾カバー33は、前向きの膨出状に形成されており、その上部側に、遊技者が押下操作可能な演出ボタン34、十字操作手段35等の操作手段が設けられている。十字操作手段35は、後側の上キー35a、前側の下キー35b、左側の左キー35c、右側の右キー35dの4つの操作部を備えている。
扉ベース22の背面側には、窓孔24aを後側から略塞ぐようにガラスユニット36が着脱自在に装着されると共に、第1、第2ヒンジ4、8側の縁部に沿って配置される上下方向のヒンジ端側補強板金37と、開閉端側の縁部に沿って配置される上下方向の開閉端側補強板金38と、窓孔24aの下側に配置される左右方向の下部補強板金39とがねじ止め等により着脱自在に固定されている。また、扉ベース22には、第2ヒンジ8を構成するガラス扉上ヒンジ金具40が左上部に、同じくガラス扉下ヒンジ金具41が左下部に夫々配置されている。
また、下部補強板金39の背面側には、球送りユニット42、下皿案内ユニット43等が装着されている。球送りユニット42は、上皿30内の遊技球を1個ずつ発射機構17に供給するためのもので、発射機構17の前側に対応して配置されている。下皿案内ユニット43は、上皿30が満杯となったときの余剰球、及び発射機構17により発射されたにも拘わらず遊技領域23に達することなく戻ってきたファール球を下皿31に案内するためのもので、球送りユニット42に隣接してその第1、第2ヒンジ4、8側に配置されている。
<2.遊技盤:図4、図5>
図4に示すように、遊技盤16はベニヤ板等の非透光性材料で形成又は合成樹脂等の透明性材料により略矩形状に構成されたベース板45からなり、そのベース板45の前側に、発射機構17(図2)から発射された遊技球を遊技領域23の上部側へと案内するガイドレール46が環状に装着されると共に、そのガイドレール46の内側の遊技領域23(図3、図4参照)に、中央表示枠ユニット(以下、センターケースと称する)47、始動入賞ユニット48、大入賞ユニット49、普通入賞ユニット50等の遊技部品の他、風車や多数の遊技釘(図示省略)が配置される。
また、それら複数のユニット部品47~50上に、普通図柄表示装置51、普通保留個数表示器52、第1特別図柄表示装置53、第2特別図柄表示装置54等の各種表示手段の他、普通図柄始動口55、第1特別図柄始動口56、第2特別図柄始動口57、大入賞口58、複数の普通入賞口59等が設けられている。また、ベース板45の後側には、図4に示すように、画像表示手段としての液晶表示装置(LCD)60が裏取付ベース61を介して装着されている。
裏取付ベース61は、図4に示すように、ベース板45と略平行に形成され且つその略中央に矩形状の開口部66aが形成された背壁部66と、その背壁部66の外縁部からベース板45の背面まで前向きに延設された周壁部67と、その周壁部67の前縁部からベース板45の背面に沿って突設され且つ固定ねじ等によりベース板45に固定される固定部68(図示せず)とを一体に備えており、背壁部66の背面側に、縦長状の液晶表示装置60が収容ケース69に収容された状態で着脱自在に固定されている。
※
(2-1.ベース板45:図5)
図5は遊技盤16の分解斜視図である。
ベース板45は、図5に示すように正面視略矩形状に形成されると共に、センターケース47、始動入賞ユニット48、大入賞ユニット49、普通入賞ユニット50等を装着するための複数、例えば3つの装着孔62~64、アウト口65等が前後方向貫通状に形成されている。装着孔62は、センターケース47を装着するためのもので、遊技領域23内の略中央部に設けられている。また、装着孔63は始動入賞ユニット48(第1特別図柄始動口56)を、装着孔64は普通入賞ユニット50(普通入賞口59)を夫々装着するためのもので、装着孔62の下側に設けられている。アウト口65は遊技領域23の最下部に配置されている。
(2-2.ガイドレール46:図5)
図5を参照して、ガイドレール46は、遊技領域23の外周側を取り囲むように遊技盤16のベース板45の前面側に配置されており、発射機構17(図2)から発射された遊技球を、第1、第2レール46a、46bで挟まれた発射案内通路104を経て、遊技領域23の上部側へと案内するようになっている。遊技領域23には、多数の遊技釘(図示省略)が配置されており、ガイドレール46を経て遊技領域23の上部に打ち込まれた遊技球は、センターケース47の頂点201より左側の左流下経路108aまたは右側の右流下経路108bのいずれかに振り分けられて遊技盤面を流下するようになっている。
ガイドレール46は、図5に示すように3つの第1~第3レール部材101~103により形成されている。第1レール部材101は合成樹脂製で、ベース板45の左縁部と上縁部とに沿ってその前面側に着脱自在に装着されており、その遊技領域23側に形成された正面視略円弧状の側面(内側側面)が、ガイドレール46の一部(外側のガイド面)を構成する第1レール46aとなっている。
第2レール部材102は金属製で、遊技盤16の左上部から左下部にかけて第1レール46aの内側に並行するように正面視略円弧状に配置され、ベース板45の前面側に略一定幅で立設されており、ガイドレール46の一部を構成する第2レール46bを形成している。これら第1レール46aと第2レール46bとで挟まれた部分が、発射機構17によって発射された遊技球を遊技領域23に案内する発射案内通路104となっている。
この第2レール部材102の上端、つまり発射案内通路104の出口には、戻り防止片200が設けられている。戻り防止片200は、発射案内通路104の出口を出て一旦遊技領域23に入った遊技球が、再び発射案内通路104に戻る動作を阻止し、次に行われる遊技球の発射動作を妨害することを避けるための部材である。
第3レール部材103は合成樹脂製で、第1レール部材101の右上部側端部と第2レール部材102の左下部側端部とを接続するように、ベース板45の右縁部と下縁部とに沿ってその前面側に着脱自在に装着されており、その遊技領域23側の側面が、ガイドレール46の一部を構成する第3レール46cとなっている。なお、第1レール部材101及び第3レール部材103は、レール長手方向に沿って複数に分割されていてもよい。
第1レール部材101は、左側柱部101a、この左側柱部101aの上部から一体的に続く横上部101b、この横上部101bから一体的に続く右上隅部101cとを有する。そして、第1レール部材101の右上隅部101cが、第3レール部材103の右側柱部を形成する部分の上部に接続している。この第1レール部材101の左側柱部101a、横上部101b、右上隅部101cの内面(第1ガイドレール46a)と、この第3レール部材103の上部約2/3程の部位の内面(第3ガイドレール46c)は、全体として一つの大半径の円弧に沿った曲面となっており、ガイドレール46の外側ガイドレールを形作っている。この外側ガイドレール46aの右側上部(右上隅部101c)には、跳返体(緩衝部材)202として機能する段差部が設けられている。この跳返体202は、発射機構17の槌85で打ち出された遊技球が衝突した場合にその衝撃を吸収して遊技盤部材を保護するとともに、遊技球を遊技領域16の中央の側に向けて跳ね返すことによって、槌85で打ち出された遊技球が第3レール46cに沿ってアウト口65に直接的に取り込まれる不都合を解消する働きをする。
本実施形態の場合、跳返体202は、合成樹脂により第1レール部材101と一体に造られている。しかし軟質合成樹脂やゴム等によって、第1レール部材101と別個の部材として跳返体202を設けることもできる。
(2-3.センターケース47:図4、図5)
図4に示すように、遊技領域3a内には、液晶表示装置60の前側で表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンターケース47が設けられている。センターケース47は、液晶表示装置60の表示枠を構成するもので、装着孔62の内周に沿ってベース板45の前側から着脱自在に装着されている。このセンターケース47は、図3~図5に示すように、ベース板45の前面に沿って装着孔62の外側に配置され且つその前側を遊技球が通過可能な前面装着板105と、液晶表示装置60の前側における左右両側から上部側にわたる正面視略門形状に配置され且つ前面装着板105の内周側で前向きに突設された鎧枠部106と、その鎧枠部106の左右の下端部間に配置されるステージ107(図3、図4参照)とを備えている。
センターケース47は、周囲の遊技球から液晶表示装置60の表示面を保護するとともに、遊技球の打ち出しの強さまたはストローク長により、遊技球の流路を左右に振り分けることを可能とする流路振分手段として働く。本実施形態では、センターケース47の鎧枠部106の上面と球誘導レール(第1レール46a)との間に遊技球が通過可能な遊動領域が形成されており、発射機構17により遊技領域3aの上部側に打ち込まれた遊技球は、鎧枠部106の上部外周面の頂点201で左右に振り分けられ、センターケース47の左側の左流下経路108aと右側の右流下経路108bとのいずれかを流下する。
センターケース47には、左流下経路108a側と右流下経路108b側との少なくとも一方側、例えば左流下経路108a側に、遊技球が流入可能なワープ入口(左通過口)109が設けられている。ワープ入口109に流入した遊技球は、鎧枠部106内に入り、ステージ107上で左右方向に自由に転動した後、遊技領域23の左右方向中央に対応して設けられた中央落下部110(ステージ凹部)とそれ以外の部分との何れかから前側に落下する。
また、ステージ107の上側には、跳ね返り等による後側への遊技球の進入を阻止するための進入防止手段(スロープ)111が設けられている。進入防止部材111はその全体が透明であり、前側からその進入防止部材111を介して後側を視認可能となっている。
(2-4.第1ユニット47aと第2ユニット47b)
図5を参照して、センターケース47は、液晶表示装置60の外周側を前側から覆い且つ内側に液晶表示装置60に対応する表示窓24を形成するものである。このセンターケース47は、表示窓24を取り囲むように周方向に二分割された第1ユニット47aと第2ユニット47bとを備え、表示窓24の外周部分が装着孔62内に位置するように、遊技盤16の前側にねじ等で着脱自在に装着されている。なお、センターケース47は周方向に二分割された第1ユニット47aと第2ユニット47bとを備えているが、必要に応じて全体を三分割以上に分割してもよいし、前後方向に複数に分割してもよい。
第1ユニット47aは、図5に示すように、装着孔62の外側で遊技盤16の前面に沿って配置され且つその前側を遊技球が通過可能な板状その他の前面装着板105と、この前面装着板105の前側に(頂点201側から左右両側にわたって)正面視略門形状に設けられ且つ前面装着板105の内周側で前向きに突設された装飾用の鎧枠部106とを有し、鎧枠部106には、その内周から後方に屈曲して装着孔62内に配置され且つ表示窓24を外周から取り囲む窓枠部106aが形成されている。
前面装着板105と鎧枠部106は、センターケース47の外周側の遊技領域23を区画している。この鎧枠部106の上辺外周面には、ガイドレール46を経て遊技領域23の上部に打ち込まれた遊技球を、左流下経路108aまたは右流下経路108bに振り分ける分流点となる頂点201が形成されている。この頂点201は、具体的には遊技盤16(ベース板45)の盤面内にセンターケース47を配設した場合に、最高部位(頂上部)となる凸部または段差から構成される。本実施形態の場合、鎧枠部106の上辺外周面が左側よりも右側の方が高い段差壁(ほぼ遊技球1個分の段差)により頂点201が形成されている。
この第1ユニット47aの前面側に、普通図柄表示装置51と普通保留個数表示器52と第1特別図柄表示装置53と第2特別図柄表示装置54等の各種表示手段が適当位置に配置されている。
第2ユニット47bには、遊技球を遊技盤16の前側から第1特別図柄始動口56へと落下させるステージ107と、左流下経路108a側を流下する遊技球をステージ107へと誘導するワープ入口109とが設けられている。
この第2ユニット47bは、第1ユニット47aの窓枠部106a等の左右の下端部間に配置されており、装着孔62の下部側で遊技盤16の前面に当接する板状等の前面装着板105と、前面装着板105の上側に配置されたステージ107と、ステージ107の上側から後側に配置された進入防止部材111とを備え、左右両端部が第1ユニット47aの左右の両下端部にねじ等で着脱自在に接続されている。
(2-5.センターケース47の付帯物:図5)
普通図柄始動口55は、普通図柄表示装置51による普通図柄の変動表示を開始させるためのもので、遊技球が通過可能な通過ゲート等により構成され、遊技球の通過を検出する通過検出手段(図示省略)を備えている。この普通図柄始動口55は、センターケース47の右部における前面装着板105の前側に設けられており、右流下経路108bを流下する遊技球が通過可能となっている。
センターケース47には、鎧枠部106の右側袖部分に、複数個(この例では2個)のLEDを配置してなる普通図柄表示装置51(普通図柄表示手段)と、複数個(この例では4個)のLEDを配置してなる普通保留個数表示器52とが設けられている。
本実施形態に係る普通図柄表示装置51では、2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作により普通図柄変動表示ゲームが実行される。たとえば、変動表示動作として、LEDによる普通図柄がシーソー的に交互に点灯と消灯を繰り返し、いずれかの側が点灯した状態で停止することで、普通図柄変動表示ゲームの当否が判明するようになっている。そしてこの普通図柄表示装置51の変動後の停止図柄が当たり態様(補助当り)となった場合には普通利益状態が発生する。この「普通利益状態」となった場合には、開閉板112が開放状態となり、第2特別図柄始動口57が開放または拡大されて遊技球が流入し易い状態(始動口開状態)となり、通常状態よりも遊技者に有利な利益状態が発生する。
また普通保留個数表示器52は次のように作用する。普通図柄表示装置51の図柄変動中と普通利益状態中とを含む普通保留期間中に普通図柄始動口55が遊技球を検出した場合には、それによって取得された普通乱数情報が予め定められた上限保留個数の4個を限度として保留記憶され、普通保留期間が終了する毎に1個ずつ消化されて、普通保留個数表示器52にて普通図柄の変動が行われる。この普通乱数情報の記憶個数(普通保留個数)が普通保留個数表示器52により表示され遊技者に報知される。
第1特別図柄始動口56は、第1特別図柄表示装置53による図柄変動(第1特別図柄の変動表示(第1特別図柄変動表示ゲーム))を開始させるためのもので、開閉手段を有しない非開閉式入賞手段により構成され、入賞した遊技球を検出する遊技球検出手段(図示省略)を備えている。この第1特別図柄始動口56は、始動入賞ユニット48に設けられ、ステージ107の中央落下部110に対応してその下側に上向き開口状に配置されており、左流下経路108a側のワープ入口109からステージ107を経て入賞するルートが存在すること等により、右流下経路108bを流下してきた遊技球よりも左流下経路108aを流下してきた遊技球の方が高い確率で入賞可能となっている。
第2特別図柄始動口57は、第2特別図柄表示装置54による図柄変動(第2特別図柄の変動表示(第2特別図柄変動表示ゲーム))を開始させるためのもので、開閉部112の開閉動作によって遊技球が入賞可能な開状態と、入賞不可能(又は開状態よりも入賞困難)な閉状態とに変化可能な開閉式入賞手段(いわゆる電チュー)により構成され、入賞した遊技球を検出する遊技球検出手段(図示省略)を備えている。この第2特別図柄始動口57の入賞領域は、開閉部112の作動状態(作動または非作動)に応じて、入賞を容易とする開状態(入賞容易状態)と、その開状態よりも入賞を困難にし、または入賞を不可能にする閉状態(入賞困難状態)とに変換される。本実施形態では、開閉部112が非作動の場合、第2特別図柄始動口57への入賞が不可能とする閉状態(入賞不可能状態)を保持している。開閉部112は、普通図柄表示装置51における普通図柄の変動後の停止図柄(普通図柄変動表示ゲームの結果)が当たり態様(所定態様)となって普通利益状態が発生したときに、開閉部112が所定の開放パターンで開閉動作を実行し、所定時間、閉状態から開状態に変化するようになっている。
この第2特別図柄始動口57は、センターケース47の第1ユニット47aの右部における前面装着板105上で且つ普通図柄始動口55の下流側に配置されており、右流下経路108bを流下してきた遊技球が入賞可能となっている。なお開閉板112は下部側に設けられた左右方向の回転軸廻りに揺動可能であり、閉状態では前面装着板105と略面一となって遊技球が前側を通過可能となり、開状態では前面装着板105の前側で後ろ下がりの傾斜状に突出(開放)して遊技球を後向きに入賞させるようになっている。
第1特別図柄表示装置53は、1個又は複数個(この例では1個)の第1特別図柄を変動表示可能な7セグメントLED表示器により構成されており、第1特別図柄始動口56が遊技球を検出することを条件に第1特別図柄を所定時間変動表示して、第1特別図柄始動口56による遊技球検出時に取得された第1特別乱数情報に含まれる大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致する場合には第1大当たり態様で、それ以外の場合には第1外れ態様で夫々停止するようになっている。第1特別図柄表示装置53の変動後の停止図柄が第1大当たり態様となった場合には第1特別利益状態が発生する。
第2特別図柄表示装置54は、1個又は複数個(この例では1個)の第2特別図柄を変動表示可能な7セグメントLED表示器により構成されており、第2特別図柄始動口57が遊技球を検出することを条件に第2特別図柄を所定時間変動表示して、第2特別図柄始動口57による遊技球検出時に取得された第2特別乱数情報に含まれる大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致する場合には第2大当たり態様で、それ以外の場合には第2外れ態様で夫々停止するようになっている。第2特別図柄表示装置54の変動後の停止図柄が第2大当たり態様となった場合には第2特別利益状態が発生する。
センターケース47における第1ユニット47aの左側袖部には、鎧枠部106に第1特別図柄表示装置53が配置され、また第1ユニット47aの右側袖部には、鎧枠部106に第2特別図柄表示装置54が配置されている。第1、第2特別図柄は数字図柄等ではなく、それ自体としては特別な意味を持たない線と点の組み合わせよりなる複数種類の図柄で構成され、それらの図柄のうちの1又は複数が第1、第2大当たり態様、それ以外が第1、第2外れ態様となっている。
また、第1特別図柄表示装置53の図柄変動中、第2特別図柄表示装置54の図柄変動中及び第1、第2特別利益状態中を含む特別保留期間中に第1、第2特別図柄始動手段56、57が遊技球を検出した場合には、それによって取得された第1、第2特別乱数情報が夫々予め定められた上限保留個数、例えば各4個を限度として保留記憶される。そして、特別保留期間が終了した時点で第2特別図柄側の保留記憶が1以上の場合(第2特別図柄に関する図柄変動開始条件が成立した場合)にはその第2特別図柄の保留記憶が消化されて第2特別図柄の変動が行われ、第1特別図柄側の保留記憶のみが1以上の場合(第1特別図柄に関する図柄変動開始条件が成立した場合)にはその第1特別図柄の保留記憶が消化されて第1特別図柄の変動が行われる。
このように本実施形態では、第1特別図柄と第2特別図柄とが共に変動中になることはなく、また、第1特別図柄側と第2特別図柄側との両方に保留記憶がある場合には、第2特別図柄の変動が優先的に行われるようになっている。なお、第1、第2特別乱数情報の記憶個数(第1、第2特別保留個数)は、液晶表示装置60にアイコン画像数等によって遊技者に報知される。
大入賞口58は、遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに切り換え可能な開閉板113を備えた開閉式入賞手段で、大入賞ユニット49に設けられる。この大入賞口58は、センターケース47の右側袖外周部の球流下路下部で第2特別図柄始動口57の下流側に配置されており、左流下経路108aを流下してきた遊技球よりも右流下経路108bを流下してきた遊技球の方が高い確率で入賞可能となっている。この大入賞口58は、第1、第2特別図柄表示装置53、54の第1、第2特別図柄が変動後に第1、第2大当たり態様で停止した場合に発生する第1、第2特別利益状態中に、開閉板113が所定の開放パターンに従って前側に開放して、その上に落下した遊技球を内部へと入賞させるようになっている。
<3.発射ハンドル32と発射装置>
発射装置は発射ハンドル32と発射機構17と制御装置90とにより構成されている。
(1)発射ハンドル32の構造:図6
図6は、発射ハンドル(セット)32の構成を示す。発射ハンドル32は、発射レバー(操作ハンドル)71と、発射停止ボタン72と、タッチセンサ73と、発射強度VR(可変抵抗器)74および発射停止スイッチ75から構成されている。
発射ハンドル32は、前枠3の前面下部、正確には扉ベース22の前面下部に固定される握り部70(図2)と、該握り部70に回動自在に設けられる発射レバー71とを具備している。握り部70は、前枠3に固着される後半体と、これに固定的に結合される前半体との二部材で構成される。前半体内には、タッチセンサ73、発射強度VR74、発射停止スイッチ75、復帰バネ78が組み込まれている。
発射レバー71は、その回動軸76に設けたギアG1が発射強度VR74の回動軸87に設けたギアG2と連結されて(または直接に連結されて)発射強度VR74と連動している。図6(A)は発射レバー71を操作していない状態にある。この発射レバー71を、図6(B)に矢印で示すように、復帰バネ78の力に抗して右回りに回動操作すると、ギア列G1、G2の力伝達機構を介して発射強度VR74の回動軸77が回動され、発射強度VR74の抵抗値が可変されて、打球の発射力が調節可能になっている。
また、発射停止ボタン72は発射ハンドル32に対し半径方向に進退可能に設けられており、押圧操作をすることで内部の発射停止スイッチをON・OFF操作することができる。タッチセンサ73は、発射ハンドル32の発射レバー71を握ったことを感知することを目的とするものであり、メッキ加工などを施して導電性を持たせた面状または環状部材からなり、本例では握り部70の表面または裏面に設けられるが、握り部70周囲に環状に設けることもできる。
タッチセンサ73は制御装置90に入力されている。制御装置90は、このメッキ部分に電気的に接続され、静電気容量の変化から、メッキ部分に遊技者が接触したか否かを検出するタッチ判定部を有している。そして制御装置90は、タッチセンサ73から接触検知信号を受信している間だけ発射機構17が遊技球の発射動作を行うように構成されている。これにより、握り部70を握らないで行う遊技者の不正な発射操作を防止することができる。
(2)発射機構17の構造:図7
図2に示すように、本体枠6の下部装着部15には発射機構17が設けられている。図7に、この発射機構17の構成を示す。
図7において、80は本体枠6の下部装着部15に取り付けられる取付基板であり、発射機構17は、この取付基板80に以下のような要素を設けて構成されている。
図7(A)において、発射レール81は取付基板80に斜め左上がりに配設された部材であり、この発射レール81は、ファール球落下口(レール欠損部)を跨いで、発射案内通路104の第1レール46aに続くように設けられている。突起82は発射レール81に隙間をおいて対向配置された部材であり、この突起82と発射レール81との間に形成される隙間は遊技球84よりも小径であり、遊技球84が載る遊技球定置部83を形成している。この遊技球定置部83に、遊技球84が上皿30から球送りユニット42を経て供給され、図7(A)に示すように待機される。
槌(ハンマー)85は逆L字状の部材であり、その先端部85aには弾性部材が設けられている。発射ソレノイド87は発射駆動源であり、この実施形態ではロータリソレノイドからなる。この発射ソレノイド87の回動出力軸86に槌85の基部が固定されており、発射ソレノイド87の励磁力と図示してない復帰バネの力により図7(A)の矢印方向に往復回動可能になっている。ストッパ88、89は、槌85の往復回動運動を所定の回動角度範囲に制限して槌85の非回動位置と回動位置とを定める部材である。
図7(A)は遊技球84が槌85により発射される前の待機状態を示す。この待機状態では、遊技球84が発射レール81上の遊技球定置部83に供給されて停留しており、槌85は先端部85aが遊技球定置部83から離れた位置、正確には復帰バネによりストッパ88に当接する位置にて静止している。
図7(B)は遊技球84が槌85により発射された後の状態を示す。発射ソレノイド87が通電されると、図示してない復帰バネに逆らって槌85が回動され、正確には槌85がストッパ89に当接する位置まで回動される。これにより槌85の先端部85aが遊技球定置部83に入り込んで遊技球84を打撃することで、遊技球84が弾き出される。
※
(3)発射制御装置:図8
図8は、発射装置の制御系を示したものである。90はマイクロコンピュータを主体として構成された主制御装置(主制御基板:図示せず)に接続された発射制御装置(発射制御基板)であり、発射強度設定回路91、発射タイミング作成回路92、発射駆動回路93、球送り制御回路94を含んで構成される。この発射制御装置90の入力側には、タッチセンサ73、発射強度VR74および発射停止スイッチ75が接続され、出力側に発射ソレノイド87および球送りソレノイド42aが接続されている。なお、図示はしていないが、本実施形態に係る遊技機1の制御装置は、遊技動作全般に係る制御(遊技動作制御)を統括的に司る主制御基板(主制御手段)と、主制御基板から演出制御コマンドを受けて、演出手段による演出の実行(現出)制御を統括的に司る演出制御基板(演出制御手段)と、賞球の払い出し制御を行う払出制御基板(払出制御手段)と、外部電源から遊技機の各基板に対して必要な電源(バックアップ電源を含む)を生成し供給する電源基板(電源制御手段)と、を中心に構成される。また演出制御基板には、画像表示装置としての液晶表示装置60や演出用LED(光演出手段)やスピーカ18、25等の演出手段が接続されている。液晶表示装置60は、演出制御基板の制御の下、所定の表示領域(図柄変動表示領域)において、独立して数字やキャラクタや記号などによる複数種類の装飾図柄(たとえば、左図柄、中図柄、右図柄の3つの装飾図柄)の変動表示動作(変動表示および停止表示)を含む、種々の演出を画像により表示する。
また、特別図柄表示装置53、54では、「特別図柄(特別図柄1、2)」の変動表示動作による‘特別図柄変動表示ゲーム(第1特別図柄変動表示ゲーム、第2特別図柄変動表示ゲーム)’が実行されるようになっている。そして上記の液晶表示装置60では、この特別図柄表示装置53、54による特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄の変動表示が行われ、種々の予告演出(演出画像)とともに‘装飾図柄変動表示ゲーム’が実行されるようになっている。
上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、液晶表示装置60に装飾図柄(演出的な遊技図柄)を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が展開される。そして特別図柄変動表示ゲームが終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了し、特別図柄表示装置には大当り抽選結果を示す所定の特別図柄が、また液晶表示装置60には当該大当り抽選結果を反映した装飾図柄が導出表示されるようになっている。すなわち、装飾図柄の変動表示動作を含む演出的な装飾図柄変動表示ゲームにより、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映表示するようになっている。
したがってたとえば、特別図柄変動表示ゲームの結果(大当り抽選の結果)が「大当り」である場合、装飾図柄変動表示ゲームではその結果を反映させた演出が展開される。そして特別図柄表示装置において、特別図柄が大当りを示す表示態様(たとえば、7セグが「7」の表示状態)で停止表示されると、液晶表示装置60には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、装飾図柄が「大当り」を反映させた表示態様(当り図柄:たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示態様)で停止表示される。この「大当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了して、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了し、その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後、大当り遊技が開始される。この大当り遊技では、開閉板113による大入賞口58の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、29.8秒)経過するまでか、または大入賞口58への入賞球数が最大入賞数(役物の1回の作動によりその入口が開き、または拡大した入賞口に対して許容される入賞球数の上限個数:たとえば、10個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満した場合に大入賞口が閉鎖される(ラウンド遊技終了条件(閉鎖条件)の成立)、といった「ラウンド遊技」が、あらかじめ定められた規定のラウンド数(たとえば、最大10ラウンド)繰り返される。
図8の説明に戻り、発射強度VR74は、電位付与側端子aと接地側端子bと摺動子側端子(可変出力端子)cの3端子を有する。この3端子が、接続線を介して発射制御装置90の発射強度設定回路91に接続されている。図11(a)に示すように、発射強度設定回路91内にて、電位付与側端子aには第1抵抗R1を介して直流電位が付与され、接地側端子bは第2抵抗R2を介して接地される。これらの第1抵抗R1、第2抵抗R2は省くこともできる。そして、摺動子側端子cと接地側端子bとの間の電位が、発射強度VR74の可変抵抗値による出力電圧として、発射強度設定回路91のオペアンプの第1入力端子に入力されるようになっている。このオペアンプの第2入力端子には、発射駆動回路93における電流検出回路の信号が入力されている。このため発射強度設定回路91のオペアンプは、発射駆動回路93における電流検出回路の信号を参照しながら、発射強度VR74の可変抵抗値に応じて自己の出力信号を加減する。このオペアンプの出力により、発射駆動回路93を介して、発射ソレノイド87の駆動電流の大きさが決定される。このため、発射ソレノイド87は、発射ハンドル32(発射レバー71)の操作量(回動角度θ)に応じた大きさの直流電流で駆動されることになる。
また、発射制御装置90は発射タイミング作成回路92を有しており、この発射タイミング作成回路92には、図示してない主制御装置からの発射制御信号(発射タイミング信号)95が入力されている。この発射制御信号95は、予め定められたタイミング(たとえば1分間に99発以内の遊技球を発射する)を得るための発射タイミング信号であり、図示してない主制御装置内に形成された発射タイミング信号生成回路から送られて来る信号である。
発射タイミング作成回路92には、上記発射制御信号95の他、タッチセンサ73および発射停止スイッチ75からの信号も入力されており、発射タイミング作成回路92はタッチセンサ73がON(発射ハンドル32の握り部70を握っている)であり、発射停止スイッチ75がOFFであること(発射停止ボタン72が押されていない)を条件として、発射制御信号(発射タイミング信号)95に基づいて、遊技球の発射を許容すべく発射駆動回路93を通電制御する。
さらに発射制御装置90は球送り制御回路94を具備しており、この球送り制御回路94により球送りユニット42の球送りソレノイド42aを駆動制御する。
(4)通常状態下(非電サポ状態)における右打ち不利の構成
本実施形態の遊技機1では、左流下経路108a中に第1特別図柄始動口56があり、右流下経路108b中に、普通図柄始動口55、開閉板112を備えた第2特別図柄始動口57(いわゆる電チュー)、および開閉板113を備えた大入賞口58がある。遊技性としては、遊技状態が通常状態である場合には、第1特別図柄始動口56に入球させて第1特別図柄に係る大当り抽選を行い、第1特別図柄の変動表示を行って、大当り抽選結果を表示するゲーム(第1特別図柄変動表示ゲーム)を行う。この第1特別図柄に係る大当り抽選に当選した場合、大当り遊技が発生する。
大当り遊技が終了すると大入賞口58は閉鎖され、遊技状態は「電サポ有り状態(電サポ状態)」を伴う遊技状態(たとえば、確変状態または時短状態)に移行されうる。本実施形態では、確変状態への移行契機となる「確変大当り」および/または時短状態への移行契機となる「時短大当り」が1または複数種類設けられている。確変状態では、大当り抽選確率が所定の通常確率(通常状態における低確率:たとえば、1/300)から高確率(たとえば、1/30)に変動するとともに、電サポ有り状態(特典遊技状態)が発生する。また時短状態では、大当り抽選確率が所定の通常確率(低確率)のままであるが、電サポ有り状態が発生する。また、確変状態および時短状態では、特別図柄変動表示ゲームの平均実行時間が通常状態よりも短縮される「特別図柄時短状態」が発生するようになっている。なお、確変状態や時短状態は、大当りに当選することなく、特別図柄変動表示ゲームの実行回数(第1特別図柄変動表示ゲームの実行回数と第2特別図柄変動表示ゲームの実行回数の合計回数)が所定の上限回数(たとえば、100回)に達した場合に終了し、通常状態に移行するようになっている。
上記「電サポ有り状態」を伴う遊技状態になると、第2特別図柄始動口57の開閉板112が少なくとも通常状態(通常遊技状態)よりも有利な開閉パターンで動作するようになっている。詳しくは、普通図柄始動口55に入球を契機に、普通乱数情報に基づく「補助当り抽選」が行われ、この抽選結果に基づき、普通図柄表示装置51における普通図柄を変動表示させて普通図柄変動表示ゲームを開始し、所定の変動時間経過後に、その結果をLEDの点灯と非点灯の組合せにて停止表示する。たとえば、普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置51の表示部を特定の点灯状態(たとえば、2個のLED39が全て点灯状態)にて停止表示させる。この「補助当り」となった場合、第2特別図柄始動口57の開閉板112が所定の開閉パターンで開閉動作するが、電サポ有り状態下では、普通利益状態に関し、開閉板112が通常状態よりも有利な開閉パターンで開閉動作が行われ、通常状態よりも有利な普通利益状態が発生するようになっている。また、電サポ有り状態下では、補助当り抽選による補助当り抽選確率が所定の通常確率(通常状態における低確率:たとえば、1/256)から高確率(たとえば、255/256)に変動し、また、普通図柄変動表示ゲームの平均実行時間が通常状態よりも短縮される「普通図柄時短状態」が発生するようになっている。したがって、電サポ有り状態下では、補助当りが生起され易くなり、普通利益状態が頻繁に発生し、通常状態よりも単位時間当りの開閉板112の作動率が向上する作動率向上状態となり、高ベース遊技状態となる。これにより「電サポ有り状態」を伴う遊技状態下では、第2特別図柄始動口56に入球が容易になり、第2特別図柄に係る大当り抽選を行い、第2特別図柄の変動表示を行って、第2特別図柄変動表示ゲームを行う。なお、第1特別図柄に係る大当り抽選に確変大当りおよび/または時短大当りを1または複数種類設けてもよいし、第2特別図柄に係る大当り抽選に確変大当りおよび/または時短大当りを1または複数種類設けてもよい。本実施形態の場合、第1特別図柄に係る大当り抽選よりも第2特別図柄に係る大当り抽選の方が相対的に高い利益の大当りの種類が選択される確率が高く、遊技者にとって有利な抽選となっている。つまり、第1特別図柄変動表示ゲームよりも第2特別図柄変動表示ゲームによる抽選を受ける方が遊技者にとって有利なゲーム展開とされる。特に、電サポ有り状態下では、始動口57側の入賞確率が飛躍的に向上して第2特別図柄変動表示ゲームの実行機会も増えるため、電サポ有り状態中は、高ベース遊技状態であるだけでなく、大当り抽選の観点からも遊技者にとって有利な遊技状態とされる。
本実施形態では、遊技者が大入賞口58側に発射位置を狙い定めた場合(遊技球が右流下経路108bを通過するように狙いを定めた場合)、普通図柄始動口55に遊技球は入賞し易いが、第1特別図柄始動口56側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。また、通常状態(大当り遊技や電サポ有り状態などの遊技者に有利な状態になっていない状態)であれば、普通図柄始動口55に入球したとしても普通図柄変動表示ゲームでの補助当り抽選が低確率状態であり、その遊技球の殆どが無効球(死に玉)となる。また右打ちによって、左流下経路108a中に在る第1特別図柄始動口56へ入賞させることもまず不可能である。よって、通常状態(電サポ無し状態(非電サポ中))における右打ちは遊技者にとり不利である(左打ちが遊技者にとり有利となる)。これに対し、電サポ有り状態下であれば、遊技球が左流下経路108aを通過するように狙いを定める「左打ち」ではなく、遊技球が右流下経路108bを通過するように狙いを定める「右打ち」が有利とされる。すなわち、遊技状態に応じて、左流下経路3bおよび右流下経路3cのいずれの流下経路に遊技球を流下させるかにより遊技進行が遊技者にとって有利または不利に作用するようになっている。
(5)流下経路
上記理由により、通常状態下では、センターケース47の頂点201より右側領域に遊技球を流下させる「右打ち」は採用せず、センターケース47の頂点201より左側領域に遊技球を流下させる「左打ち」を採用することになる。図9は、左打ちを採用した場合の左流下経路108aとなる流下経路(ルート)a、b、c、dと、右打ちを採用した場合の右流下経路108bとなる流下経路(ルート)eとを、矢印にて分かり易く示したものである。このうちルートdは、遊技球が頂点201で跳ね返る経路を示している。遊技球の発射強度が戻り球防止片200を超え頂点201で跳ね返る範囲の強度であれば、左打ちとなり、遊技球はルートa、b、c、dのいずれかを経て流下することとなる。
遊技領域23のセンターケース47の左側領域においては、釘や突起や段差等による遊技球流下案内手段が1以上設けられて、遊技球が流下可能な複数の流下経路(ルートa、b、c、d)が形成され、発射強度の調整によりいずれの流下経路を流下させるかを選択可能な構成になっている。またセンターケース47の右側領域においては、頂点201を超えた後の遊技球を共通に案内する共通流下経路(ルートe)が設けられ、その下流側に複数の流下経路(ルートf、g)が形成され、発射強度の調整によりいずれの流下経路を流下させるかを選択することが不可能または困難な構成になっている。
ここで左側領域に設けられる「遊技球流下案内手段」は、釘や突起や段差等の遊技球の流下方向に影響を与える要素であり、釘や突起や段差が単独にまたは組み合わせとして用いられる。それ故、左側領域に流下経路が形成される形態としては、(i)1または複数個の「釘」により横方向に左側領域が区分されて複数の流下経路が形成される形態、(ii)1または複数個の「突起」により左側領域が区分されて複数の流下経路が形成される形態、(iii)1段または複数段の「段差」により左側領域が区分されて複数の流下経路が形成される形態、(iv)「釘」と「突起」の組み合わせにより左側領域が区分されて複数の流下経路が形成される形態、(v)「突起」と「段差」の合わせにより左側領域が区分されて複数の流下経路が形成される形態、(vi)「段差」と「突起」の合わせにより左側領域が区分されて複数の流下経路が形成される形態等がある。これらのうち最高位に在る遊技球流下案内手段(たとえば段差12)と頂点201との間にも1つの流下経路が形成されることになる(図9のルートd参照)。
図4、図5を参照して、本実施形態の場合、センターケース47の左上部の前面装着板(取付板)105に流路案内突起10、11が遊技球の進行方向(横方向)に前後して設けられている。また、センターケース47の鎧枠部106の左側壁に、1段の段差による障壁12が設けられている。これらの流路案内突起10、11および段差による障壁12が遊技球流下案内手段として作用する。結局、左側領域において、戻り防止片200と頂点201との間には、遊技球の流下方向に影響を与える要素(遊技球流下案内手段)として2つの流路案内突起10、11と1段の段差による障壁12とが、遊技球の進行方向に前後して設けられている。これにより左流下経路108aは、図3、図9に示す4つの流下経路a、b、c、dに分けられる。左から右に進む遊技球の進行方向に見て、戻り防止片200と流路案内突起10aとの間の空間を入口とする第1ルートaと、流路案内突起10、11間の空間を入口とする第2ルートbと、流路案内突起11と障壁12との間の空間を入口とする第3ルートcと、頂点201で跳ね返ってルートa、b、cのいずれかに行き着くルートdとである。
遊技領域おけるセンターケース47の頂点201より左側領域に遊技球を流下させる「左打ち」をする場合においては、ルートa、b、c、dのいずれかを選択するように発射強度を調整することになる。ルートa、b、c、dのいずれかとなるように発射強度を調整し、上記の4つのルートa、b、c、dのいずれに遊技球を向かわせるかは、目的とする第1特別図柄始動口56に遊技球を入球させることができるかどうかに関わるため、遊技者にとり非常に重要である。4つのルートa、b、c、dのうちの1つを選択することとした場合でも、打球の勢いがあまり弱くては第1特別図柄始動口56まで遊技球が届かない。打球の勢いが強すぎても、釘や風車に撥ねられて旨く入球させることができない。これは同じルート内であっても、遊技球が流下する方向および強度は一定しないためであり、遊技者には発射ハンドルの操作として発射強度のさらに微妙な加減が要求される。
これに対し、遊技領域のセンターケース47の右側領域(右流下経路108b)においては、センターケース47の頂点201を超えた後の遊技球を共通に案内する共通流下経路(ルートe)が形成され、この共通流下経路eを通過した後の遊技球の流下経路(ルートf、g)を発射強度の調整によって選択することが不可能または困難になっている。つまり、遊技領域おけるセンターケース47の頂点201を超えて右側領域に遊技球を流下させる「右打ち」をした場合、図3、図9に示すように、遊技球は跳返体202に当たってからほぼ一つの共通流下経路(ルートe)を通って流下するだけとなるので、そのルートeより先で枝分かれする流下経路(ルートf、g)を遊技者側から選択する手段はない。
このように、遊技領域23にはセンターケース47の左側領域、右側領域ともに流下経路が複数存在する。このうち、センターケース47の左側領域(左流下経路108a)についてのルートa、b、c、dについては、発射ハンドルの操作量による発射強度の調整によって、これらのルートの1つを選択することが可能である。しかしセンターケース47の右側領域(右流下経路108b)については、頂点201を超えた後は一つの共通流下経路(ルートe)を経た後で複数の流下経路(ルートf、g)に分かれる形態となるので、これらのルートf、gについては、発射強度の調整によって選択することができない。この点でセンターケース47の左側領域(左流下経路108a)を選択した場合と、センターケース47の右側領域(右流下経路108b)を選択した場合とで大きく相違する。
(6)ハンドル回転角θと発射強度F
ハンドル回転角θA(図10参照)の時点で発射装置が通電されると、発射装置本体(発射機構17)内に在る発射ソレノイド87に電流が流れ、発射装置本体内の槌85が反復的な打ち出し動作を開始する。この槌85の反復的な打ち出し動作は、発射レール81上に送り込まれた遊技球84を往復回動運動する槌85で打撃して遊技球84を発射レール81に沿って弾き出す、という動作を1分間に所定回数だけ繰り返す。
この遊技球を発射レールに沿って弾き出す力(発射強度)は、発射装置本体内の発射ソレノイド87に流れる電流強度に依存する。そして、この発射ソレノイド87に流れる電流強度は、ハンドル操作により加減される発射強度VR74(電流加減素子)の抵抗値によって変化する。すなわち、槌85が打ち出す遊技球の発射強度は発射装置のハンドル操作量(ハンドル回転角θ)に依存する。
図10の発射特性の場合、直線グラフで示したように発射強度Fとハンドル回転角θとが比例関係にあり、ハンドル操作量θをハンドル回転角θ1からθMAXまで徐々に大きくして行くと、これに比例して発射強度Fが大きくなる。その理由として、発射強度VR74(可変抵抗器)に、回転角に対して抵抗値が直線的に変化するBカーブのものを使用しているためである。
ハンドル操作量がハンドル回転角θ=θA~θ1未満の場合、まだ発射強度が弱く戻り球防止片を超えることができない。このため、遊技盤の遊技領域に遊技球を打ち込むためには、ハンドル操作量をハンドル回転角θ1以上に大きくすることが必要である。その後、遊技者はハンドル回転角θ=θ1~θMAXの範囲で、発射装置の発射強度を左打ちまたは右打ちに適するように調整することになる。
ハンドル回転角θBはハンドル操作量が丁度半分(最大ハンドル回転角θMAXの50%)となる位置である。ハンドル回転角θ3は、遊技盤面の右側流路の入口に在る跳返体202(緩衝部材)に発射球が当たる発射強度F3となる位置である。
(5)発射装置の発射特性とセンターケース47の頂部の配置
上記のように、発射強度VR74には、回転角に対して抵抗値が直線的に変化するBカーブの可変抵抗器を使用している。このため発射制御装置90は、発射ハンドル32(発射レバー71)の回転操作量(回転角度)、つまり発射強度VR74の抵抗値に従って、遊技球の発射強度を変化させることになる。
図9は、かかる発射装置を有する遊技機の組立過程において、ベース板45にガイドレール46を設けた遊技盤16に対し、センターケース47を、その頂点201が遊技盤16の適正位置に配置されるように配慮して取り付けた状態を示す。遊技球が飛翔ないし転動する通路を分かりよくするため、ガイドレール46の内周面(第1、第2、第3レール46a、46b、46c)とセンターケース47の外周面の輪郭を、それぞれ太線で描いてある。このセンターケース47の取付け位置は、その鎧枠部106の頂点201が、発射強度Fに対するハンドル回転角θでみたとき、ハンドル回転角θMAXの50%を超える位置関係になるように定められる。
詳述するに、図10はハンドル回転角θと発射強度F(盤面部品)の関係を示したものであり、横軸には発射ハンドル32の操作量であるハンドル回転角θ(0~MAX)をとってあり、縦軸には遊技球を発射レール81に沿って弾き出す力である発射強度Fをとってある。ここで発射強度Fは、その大きさを盤面部品の位置を目安にして表してある。すなわち発射強度Fは、その大きさを、戻り防止片200の位置(戻り防止片200に達する強さ)、センターケース47の頂点201の位置(頂点201に達する強さ)、跳返体202の位置(跳返体202に達する強さ)を目安にして表してある。
ハンドル回転角θに対する発射強度Fの関係を示すθ-Fグラフ97は、この例では直線である。つまり発射強度VR74の抵抗値がハンドル操作量(ハンドル回転角θ)に応じて直線的に増大する関係となっており、ハンドル回転角θが大きくなるにつれて発射強度Fが直線的に増大する関係にある。
図10のθ-Fグラフ97は、センターケース47を取り付ける際、鎧枠部106の頂点201を、回転角θと発射強度Fとの関係において、どのような位置に配置すればよいのかの指針を示すものである。
いま配置すべき頂点201の回転角位置をθ2とする。つまり、発射された遊技球がセンターケース47の頂点201に達する発射強度F2が得られる回転角位置をθ2とする。頂点201を何処に配置するかは、この頂点201についての発射強度F2と回転角位置θ2との交点P1をθ-Fグラフ97上で移動させることに等しい。
いま仮に、発射ハンドル32を最大操作可能範囲(θ0~θMAX)の中央位置θBまで、つまり発射強度VR74(可変抵抗器)の最大回動可能範囲の50%位置まで、発射ハンドル32を回動させた場合に、遊技球が頂点201に達する発射強度F2が得られる関係になるように頂点201を配置したとする、つまりθ-Fグラフ97上の交点P1を交点P2の位置に定めた場合を考える。このように交点P1を交点P2の位置に定めた場合の問題点は、遊技球を左流下経路108aへ流すための調整がし難くなるという点である。すなわち、遊技球を左流下経路108aへ流すように発射ハンドル32を加減調整し得る操作可能域は、発射ハンドル32の最大操作可能範囲θ0~θMAXの半分、つまり発射強度VR74の最大回動可能範囲の50%までの範囲(θ0~θB)に限られるので、遊技者が遊技球を左流下経路108aへ流すように発射強度を加減調整しようとした場合、単位角度当りの変化度合が粗くなり、ハンドル操作による左打ちの力加減が難くなってしまう。
そこで、この問題を解決するため、本実施形態(図10(イ)の実施形態1)では、センターケース47の頂点201を配置する位置(θ-Fグラフ97上の交点P1の位置)を、つまり頂点201に対応するハンドル回転角θ2の位置を、発射ハンドル32の最大操作可能範囲θ0~θMAXの50%(θ0~θB)を超える位置に来るように定める。
すなわち、図10中に(イ)実施形態1として示すように、
レンジA1=発射ハンドルの回転角ゼロの位置θ0から、遊技球が頂点201に達するハンドル回転角θ2までをレンジA1(θ0~θ2の範囲)とし、
レンジB1=発射ハンドルの回転角ゼロの位置θ0から、発射ハンドルを回転操作し得る最大操作可能範囲θ0~θMAXの50%に対応するハンドル回転角θBまでをレンジB1(θ0~θBの範囲)
としたとき、下記(1)式
レンジA1(θ0~θ2)>レンジB1(θ0~θB)‥‥(1)
の関係となるように、センターケースの頂部201を配置する。
ここで一方の「レンジA1」(θ0~θ2の範囲)は、頂点201に対応するハンドル回転角θ2までのハンドル回転角度(ハンドル操作量)に相当するが、これは頂点201に対応するハンドル回転角θ2の位置(θ-Fグラフ97上の交点P1)を移動させるとした場合の仮想の移動範囲であり、実際にθ-Fグラフ97の直線が連続しているか、図10のように回転角θAで終わっているかは問題としていない。ここでは説明の便宜上、θ-Fグラフ97は回転角θ0から直線的に立ち上がっているものとしている。他方の「レンジA1」の比較対象である「レンジB1」(θ0~θBの範囲)は、発射ハンドル32の最大操作可能範囲θ0~θMAXの50%に相当するハンドル回転角θBまでのハンドル回転量(ハンドル操作量)であり、ハンドル回転角度のみを尺度として定まる値であるが、発射強度Fも考慮して説明すべき時に備えてθ-Fグラフ97上でP2と記している。
次に「レンジA1」の上限、つまり上記P1(センターケースの頂点201に達する回転角度位置θ2)の位置をθ-Fグラフ97上でどこまで右側に移動させ得るかについては、P1の位置を、遊技球が跳返体202(緩衝部材)を直撃してしまう回転角度位置θ3(θ-Fグラフ97上のP3)よりも、手前の角度範囲に止める。レンジA1(θ0~θ2)を広くすることは好ましいことであるが、P1の位置をθ-Fグラフ97上であまり右側に移動させすぎると、たとえばθ-Fグラフ97上でP1の位置をP3の近くまで右側に寄せてしまうと、右打ちした場合に、頂点201を超えた遊技球が直ぐに跳返体202(緩衝部材)に当たってしまうことになる。その結果、頂点201を超えて右側に入った遊技球が左側に跳ね返るとか、右流下経路108bを流下する遊技球の勢いが極端に殺がれる等の事象を招来する恐れがある。よって、P1の位置を右移動させ得る最大角度位置は、θ-Fグラフ97上でP2とP3の中間までとするのが好ましい。たとえば回転角度位置θBから測って回転角度位置θ3迄の間隔長をXとすると、P1の最大角度位置は間隔長Xの1/2~2/3程度までに止めるのが好ましい。図10の場合、θB-θ3間の間隔長Xの1/3の位置に、センターケースの頂点201を配置するθ-Fグラフ97上のP1の位置(回転角度位置θ2)を定めてある。なお、「レンジA1」の下限、つまり上記P1(センターケースの頂点201に達する回転角度位置θ2)の位置をθ-Fグラフ97上でどこまで左側に移動させ得るかについては、上記レンジA1>レンジB1の関係式より定まる。
上記のように上記(1)式の「レンジA1(θ0~θ2の範囲)>レンジB1(θ0~θBの範囲)」の関係となるようにセンターケースの頂点201を配置すれば、「最大操作可能範囲の50%位置で遊技球が頂点201に達する発射強度F2が得られる関係」となるように頂点201を配置した場合に比べ、遊技球が左流下経路108aに流下するように発射強度Fを加減するときの回転角度の調整範囲(回転角度範囲)が広がり、左打ち時の発射強度Fの調整が容易になる。したがって、流路をルートa、b、cのいずれにするか、また流路をルートa、b、cの一つに定めた後の力加減(ハンドル操作量)をどの程度にするかについての調整がし易くなる。
<実施形態2>
次に実施形態2について説明する。上記実施形態1では、ハンドル回転角ゼロの位置θ0を基準にしてレンジA1とレンジB1を考え、レンジA1>レンジB1の関係をセンターケースの頂点201を配置する上での条件とした。この実施形態2は、戻り防止片200を超えて遊技領域に達するハンドル回転角θ1(θ-Fグラフ97上のP4)を基準とする「レンジA2」と「レンジB2」を考え、レンジA2>レンジB2の関係を、センターケースの頂点201を配置する条件とするものである。
図10において、横軸のハンドル回転角θ1は、発射球が戻り球防止片200を超えて遊技領域に到達する発射強度F1に対応する回転角度位置(θ-Fグラフ97上のP4)を示す。図10(ロ)の実施形態2は、この戻り球防止片200に対応するハンドル回転角θ1(θ-Fグラフ97上のP4)を基準にして、「レンジA2」と「レンジB2」を考えるものである。また「レンジA2」の比較対象である「レンジB2」については、遊技球が戻り防止片200を超えて遊技領域に達する発射ハンドルの回転角位置θ1(θ-Fグラフ97上のP4)から、遊技球が跳返体202に達するハンドル回転角θ3(θ-Fグラフ97上のP3)までのハンドル回転角範囲(θ1~θ3)の50%に対応する回転角度位置θCに着目するものである。
すなわち、図10(ロ)の実施形態2は、
「レンジA2」=遊技球が戻り防止片200を超えて遊技領域に達する発射ハンドルの回転角位置θ1から、遊技球がセンターケースの頂点201に達する発射ハンドルの回転角位置θ2までをレンジA2(θ1~θ2の範囲)とし、
「レンジB2」=遊技球が戻り防止片200を超えて遊技領域に達する発射ハンドルの回転角位置θ1から、遊技球が跳返体202に達するハンドル回転角θ3(θ-Fグラフ97上のP3)までのハンドル回転角範囲(θ1~θ3)の50%に対応する回転角度位置θCまでをレンジB2(θ1~θCの範囲)としたとき、
下記(2)式
レンジA2(θ1~θ2)>レンジB2(θ1~θC)‥‥(2)
の関係となるように、センターケースの頂点201を配置するものである。
レンジA2の上限と下限については、既に実施形態1でレンジA1について述べたところと同じである。
このように上記(2)式の「レンジA2>レンジB2」の関係となるようにセンターケースの頂点201を配置すれば、上記(1)式の場合と同様に、最大操作可能範囲の50%位置で遊技球が頂点201に達するように頂点201を配置した場合に比べ、左流下経路108aへ遊技球を流下させるときの回転角度の調整範囲が拡大されるため、左打ち時の発射強度Fの調整が容易になるという作用効果が得られる。
<実施形態3>
次に実施形態3について説明する。図10(ハ)の実施形態3は、レンジA3として(イ)の実施形態1のレンジA1と同じものを採用し、その比較対象として新たに次のようにレンジB3を考えるものである。
すなわち、図10(イ)の実施形態1では、ハンドル回転角ゼロ(θ0)から最大操作可能範囲の50%(ハンドル回転角θB)までをレンジB1とし、このレンジB1をレンジA1の比較対象として、センターケースの頂点201を配置する条件(レンジA1>レンジB1)を考えるものであった。これに対し、図10(ハ)の実施形態3は、実施形態1のレンジA1と同じものを「レンジA3」として採用し、頂点201に対応するハンドル回転角θ2からハンドル回転角θMAX(θ-Fグラフ97上のP5)までのハンドル回転角範囲を「レンジB3」とし、このレンジB3をレンジA3(=レンジA1)の比較対象として、センターケースの頂点201を配置する条件(レンジA3>レンジB3)を考えるものである。
図10において、横軸のハンドル回転角θMAXは、ハンドルをこれ以上回転操することができない操作限界である最大回転角度位置(θ-Fグラフ97上のP5)を示す。実施形態3では、センターケースの頂点201に対応するハンドル回転角θ2から最大回転角度位置θMAXまでの操作レンジ(θ2~θMAXの範囲)とを「レンジB3」とする。
すなわち、図10(ハ)の実施形態3は、
レンジA3=レンジA1=発射ハンドルの回転角ゼロの位置θ0から、遊技球がセンターケースの頂点201に達する発射ハンドルの回転角位置θ2までをレンジA3(θ0~θ2の範囲)とし、
レンジB3=技球がセンターケースの頂点201に達する発射ハンドルの回転角位置θ2から、発射ハンドルを回転操作し得る最大回転角度位置θMAXまでをレンジB3(θ2~θMAXの範囲)としたとき、
下記(3)式
レンジA3(θ0~θ2)>レンジB3(θ2~θMAX)‥‥(3)
の関係となるように、センターケースの頂点を定めるものである。
レンジA3の上限と下限については、既にレンジA1について述べたところと同じである。
このように上記(3)式の「レンジA3>レンジB3」の関係となるようにセンターケースの頂点201を配置すると、実施形態1および2の場合と同様に、左流下経路108aへ遊技球を流下させようとする左打ち時において、ハンドルの回転角度調整範囲が広がるため、左打ちの発射強度Fの調整が容易になる、という作用効果を得ることができる。
<実施形態4>
次に図10(ニ)の実施形態4について説明する。この実施形態4は、図10(ロ)の実施形態2のレンジA2と同じものを「レンジA4」として採用し、その比較対象として新たに次のように「レンジB4」を考えるものである。
すなわち、図10(ロ)の実施形態2では、遊技球が戻り防止片200を超えて遊技領域に達するハンドル回転角θ1を基準にし、このθ1から遊技球が跳返体202に達するハンドル回転角θ3までのハンドル回転角範囲(θ1~θ3)の50%のハンドル回転角θCまで(θ-Fグラフ97上のP4からP22まで)を「レンジB2」とし、このレンジB2を、θ1から遊技球が頂点201に達するハンドル回転角θ2までの「レンジA2」の比較対象として、センターケースの頂点201を配置する条件(レンジA2>レンジB2)を考えた。
これに対し、図10(ニ)の実施形態4は、実施形態2のレンジA2と同じものを「レンジA4」として採用し、遊技球が頂点201に達するハンドル回転角θ2から、遊技球が跳返体202に達するハンドル回転角θ3(θ-Fグラフ97上のP5)までのハンドル回転角範囲を「レンジB4」とし、このレンジB4をレンジA4(=レンジA2)の比較対象として、センターケースの頂点201を配置する条件(レンジA4>レンジB4)を考えるものである。
すなわち、図10(ニ)の実施形態4は、
「レンジA4」=遊技球が戻り防止片200を超えて遊技領域に達する発射ハンドルの回転角位置θ1から、遊技球がセンターケースの頂点201に達する発射ハンドルの回転角位置θ2までをレンジA4(θ1~θ2の範囲)とし、
「レンジB4」=遊技球がセンターケースの頂点201に達する発射ハンドルの回転角位置θ2から、遊技球が跳返体202に達する発射ハンドルの回転角位置θ3までをレンジB4(θ2~θ3の範囲)としたとき、
下記(4)式
レンジA4(θ1~θ2)>レンジB4(θ2~θ3)‥‥(4)
の関係となるように、センターケースの頂点201を配置するものである。
レンジA4(P1点)の上限と下限については、既に実施形態1でレンジA1について述べたところと同じである。
このように上記(4)式の「レンジA4(θ1~θ2)>レンジB4(θ2~θ3)」の関係となるようにセンターケースの頂点201を配置すれば、上記(1)~(3)式の場合と同様に、最大操作可能範囲の50%位置で遊技球が頂点201に達するように頂点201を配置した場合に比べ、左流下経路108aへ遊技球を流下させるときの回転角度の調整範囲が拡大されるので、左打ち時の発射強度Fの調整が容易になるという作用効果が得られる。
<実施形態5>
次に図10(ホ)の実施形態5について説明する。
発射ハンドル32を操作した場合、発射ソレノイド87および球送りソレノイド42aは直ちには通電されず、少し右に回した時から通電される。図10において、初期段階のハンドル回転角θ0~θA未満の範囲は、発射機構17の発射ソレノイド87がまだ通電されない区間、つまり「遊び区間」であり、遊技球は、ハンドル操作量がこの遊び区間(θ0~θA未満)を過ぎてから発射される。
発射機構17の槌85により発射レール81から発射された遊技球のうち、遊技盤面に到達しなかった遊技球、つまり戻り防止片200より先に飛び出すことのできなかった遊技球は、所謂ファール球となり、発射案内通路104(ガイドレール)内に留まってから、上皿裏面のファール球樋より上皿30に戻される。発射ハンドル32をハンドル回転角θ1まで操作すると、遊技球が戻り防止片200を超えて遊技領域に達する発射強度F1になり、上記のファール球はなくなる。
ハンドル操作量が「ハンドル回転角θA」に至ると、その時点から発射装置の発射ソレノイド87が通電される。本例の場合、発射装置が通電されるハンドル回転角θAの位置は図10では全操作範囲の15~25%の範囲内に設定されている。
図10(ホ)の実施形態5は、
レンジC=発射ハンドルの回転角ゼロの位置θ0から、発射手段である発射機構17の発射ソレノイド87に通電がなされて発射動作が開始されるハンドル回転角の位置θAまでをレンジCとし、
レンジD=通電が開始されるハンドル回転角の位置θAから遊技球が戻り防止片200を超えて遊技領域に達するハンドル回転角の位置θ1までをレンジDとしたとき、
下記(5)式
レンジC(θ0~θA)>レンジD(θA~θ1)‥‥(5)
の関係になるように、発射制御装置90において発射ソレノイド87の励磁を制御するものである。
換言すれば、ハンドル回転角ゼロ(θ0)から遊技球が戻り防止片200を超えるハンドル回転角θ1までの間を区間長Yとし、これを二分割したとき、その右側半分(Y/2)の区間内の任意の位置に、通電が開始されるハンドル回転角θAを置く。
つまり、
θ1=遊技球が戻り防止片200を超えて遊技領域に達するハンドル回転角、
θ4=ハンドル回転角θ0からハンドル回転角θ1までの区間長Yの1/2に対応する回転角度位置、
θA=通電が開始されるハンドル回転角角度位置、としたとき、
下記(6)式
θ4<θA≦θ1‥‥(6)
の関係になるように、θA(通電が開始されるハンドル回転角)を置く。
このようにすると、遊技球が戻り防止片200を超えることができない発射強度の範囲(F0~F1)に対応する発射回転角範囲(θ0~θ1)のうち、発射回転角θ0~θ4までの範囲(区間長Yの左側半分の区間)のみならず、発射回転角θ4~θAまでの範囲においても通電がされなくなるので、この発射回転角θ4~θAの区間において通電を開始してしまう場合に比べ、遊技開始時のファール球を減らすことができる。なお、通電が開始されるハンドル回転角角度位置θAは、最大でθ1の位置まで広げることができる、つまり区間長Yの右側半分の区間の全域を通電が開始されない区間とすることができる。
上記では図10(ホ)の実施形態5を単独のものとして説明したが、図10(イ)~(ニ)の実施形態1~4において、それらの1以上に付加する形で、実施形態5の「θ4<θA≦θ1」の関係の制御をなす構成を付加することができる。
<具体例>
図12は、図13に示すベース板45にガイドレール46、センターケース47を順次設けて構成した遊技盤16を示す。ガイドレール46を設けた遊技盤16に対し、センターケース47(図13)を取り付ける場合、上記(1)~(4)式のいずれかを満たす位置に頂点201が来るように配慮される。すなわち、この遊技盤16は、センターケース47の頂点201が、どのような発射装置であっても画一的に同じ位置に来るように設計されるのではなく、搭載される発射装置を構成する発射ハンドル32と発射機構17と発射制御装置90の特性を考慮して、上記の(1)~(4)式のいずれかを満たす位置に頂点201が来るように設計されるという点に、特色がある。図12は上記の(1)~(4)式のいずれかを満たす位置に頂点201が配置された結果としての遊技盤16を示すものである。
また図12に示す遊技盤16に関して、上記(5)式を満たすように通電される回転角度位置θAが制御され、ファール球の発生が極力抑えられる。
<変形例1>
上記実施形態1~5では、発射強度VR74として、回転角に対して抵抗値が直線的に変化するBカーブの可変抵抗器を使用し(図11(a)参照)、発射ハンドル32の回転角度に対する発射強度が、図10に示した直線のθ-Fグラフ97の特性のものであるとして説明した。しかし、発射強度VR74としては、回転角に対して抵抗値が対数的に変化するAカーブの可変抵抗器を用いることもできる。
また、図11(b)に示すように、発射強度VR74の電位付与側端子aと摺動子側端子cとの間に抵抗R3を接続し、接地側端子bと摺動子側端子cとの間に抵抗R4を接続することで、Bカーブ以外の非直線的な特性、たとえばAカーブの可変抵抗器の特性に類似した曲線の特性を得ることもできる。このようにすると、抵抗値の低い側つまり発射回転角度の小さい領域~中領域を超えた所まで抵抗値の増加率を小さくすることができる。かかる発射強度VR74の総合的な抵抗値の特性によって、左打ちのハンドル操作の角度範囲を、最大角度範囲の50%超の領域までさらに拡げて、左打ち時の発射力の加減操作を容易にすることができる。
<変形例2>
上記実施形態では、頂点201を、ガイドレール46の円弧の半径方向に見て、左側が低く右側が高い段差により構成したが、打球を左流路と右流路とに分ける分岐点として作用することができればよく、段差以外によって頂点201を構成することができる。たとえば、鎧枠部106の外周面における最も高い所を、頂点201とすることができる。