JP7034864B2 - 機能性材料及びその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維にカチオン性物質が吸着した機能性材料、及びその利用に関する。
繊維は、その表面に無機材料を付着させることによって、様々な特性を発揮させることができる。例えば、特許文献1では、ポリウレタン繊維などにハイドロタルサイトなどの金属水酸化物を担持させた消臭性布帛が提案されている。
また、例えば、特許文献2及び3には、ハイドタルサイトを含有している消臭剤組成物が提案されている。
特開2012-144829号公報(2012年8月2日公開) 特開2015-193000号公報(2015年11月5日公開) 特開2013-085568号公報(2013年5月13日公開)
特許文献1~3には、消臭性を有している機能性材料が報告されている。しかしながら、カチオン性物質を付着させることによって、さらなる機能を付与した新規な機能性材料は、カチオン性物質に由来する着色が少なく、様々な分野における用品を製造するための材料として有用である。
本発明はこのような事情に鑑みて成された発明であり、繊維にカチオン性物質である銅塩を付着させることによって抗ウイルス性が付与されながらも、着色が少ない新規な機能性材料を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、繊維にカチオン性物質である銅塩を吸着させた機能性材料の製造に至った。
すなわち、本発明は、これに限定されるものでないが、以下の発明を包含する。
(1)繊維にカチオン性物質である銅塩が吸着してなる、機能性材料。
本発明によれば、繊維にカチオン性物質である銅塩を付着させることによって抗ウイルス性が付与されながらも、着色が少ない新規な機能性材料を提供することができるという効果を奏する。
本発明の実施例におけるハイドロタルサイトとセルロース繊維との複合繊維の合成に用いた反応装置の概略の構成を示す模式図である。
<機能性材料(第1の態様)>
本発明の一態様に係る機能性材料は、カチオン性物質がその表面に吸着した繊維を含んでいる。
〔カチオン性物質〕
本発明の一態様に係る機能性材料において、カチオン性物質とは、金属カチオンを形成し得る塩化合物であって、このような塩化合物から生成されるカチオン自身のことをカチオン性物質と称することもある。
カチオン性物質が形成し得る金属カチオンとしては、例えば、Ag、Cu++、Zn++、Hg++、Sn++、Ti+++及びPd++等を挙げることができ、より高い抗菌性を有しているという観点からAg、及びCu++がより好ましく、なかでも、より高い抗ウイルス性を有しているという観点から金属カチオンは、Cu++であることが最も好ましい。従って、本明細書中において、カチオン性物質とは典型的には銅塩のことを意味する。
カチオン性物質は、ハロゲン化塩、水酸化物塩、硫酸塩、硝酸塩、及びカルボン酸塩等を形成している上述の金属カチオン又はアンモニウムの塩化合物であり、ここで、カルボン酸塩には、例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、及び安息香酸塩等が挙げられる。
より具体的には、カチオン性物質には、銅塩として、例えば、無水酢酸銅、無水ギ酸銅、及び無水安息香酸銅等の有機酸の銅塩、当該有機酸の銅塩の水和物もしくは水化物、酸化銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、及び炭酸銅等の無機酸の銅塩、当該無機酸の銅塩の水和物もしくは水化物、又は水酸化銅が挙げられ、無機酸の銅塩が好ましく、特に硫酸銅及び塩化銅が好ましい。
本発明の一態様に係る機能性材料に含まれる、カチオン性物質は繊維に吸着している。その吸着の種類は、ファンデルワールス力による物理吸着、又は共有結合、水素結合、配位結合若しくはイオン結合による化学吸着であり得る。
〔繊維〕
本発明の一態様に係る機能性材料に含まれる繊維について説明する。
機能性材料に含まれる繊維は、例えば、セルロース繊維が好ましい。セルロース繊維の原料としては、パルプ繊維(木材パルプ、非木材パルプ)、バクテリアセルロース、ホヤ等の動物由来セルロース、藻類が例示され、木材パルプは、木材原料をパルプ化して製造すればよい。木材原料としては、アカマツ、クロマツ、トドマツ、エゾマツ、ベニマツ、カラマツ、モミ、ツガ、スギ、ヒノキ、カラマツ、シラベ、トウヒ、ヒバ、ダグラスファー、ヘムロック、ホワイトファー、スプルース、バルサムファー、シーダ、パイン、メルクシマツ、ラジアータパイン等の針葉樹、及びこれらの混合材、ブナ、カバ、ハンノキ、ナラ、タブ、シイ、シラカバ、ハコヤナギ、ポプラ、タモ、ドロヤナギ、ユーカリ、マングローブ、ラワン、アカシア等の広葉樹及びこれらの混合材が例示される。
木材原料をパルプ化する方法は、特に限定されず、製紙業界で一般に用いられるパルプ化法が例示される。木材パルプはパルプ化法により分類でき、例えば、クラフト法、サルファイト法、ソーダ法、ポリサルファイド法等の方法により蒸解した化学パルプ;リファイナー、グラインダー等の機械力によってパルプ化して得られる機械パルプ;薬品による前処理の後、機械力によるパルプ化を行って得られるセミケミカルパルプ;古紙パルプ;脱墨パルプ等が挙げられる。木材パルプは、未晒(漂白前)の状態であってもよいし、晒(漂白後)の状態であってもよい。
非木材由来の原料としては、綿、ヘンプ、サイザル麻、マニラ麻、亜麻、藁、竹、バガス、ケナフ、サトウキビ、トウモロコシ、稲わら、楮(こうぞ)、みつまた等が例示される。
また、パルプ繊維は、未叩解及び叩解のいずれでもよく、機能性材料の物性に応じて選択すればよいが、叩解を行う方が好ましい。また、セルロース原料はさらに処理を施すことで、微粉砕セルロース、酸化セルロース等の化学変性セルロースとして使用することもできる。
また、セルロース繊維の他にも様々な、天然繊維、化学繊維、再生繊維、合成繊維、半合繊維、無機繊維が挙げられる。天然繊維としては、例えば、ウール、絹糸、コラーゲン繊維等の蛋白系繊維、キチン・キトサン繊維、アルギン酸繊維等の複合糖鎖系繊維等が挙げられる。合成繊維としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、アクリル繊維、半合繊維としてはレーヨン、リヨセル、アセテート等が挙げられる。無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、各種金属繊維等が挙げられる。
また、合成繊維とセルロース繊維との複合繊維も本発明の一態様において使用することができ、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、アクリル繊維、ガラス繊維、炭素繊維、各種金属繊維等とセルロース繊維との複合繊維も使用することができる。
以上に示した例の中でも、木材パルプを含むか、若しくは、木材パルプと非木材パルプ及び/又は合成繊維との組み合わせを含むことが好ましく、木材パルプのみであることがより好ましい。また、繊維長が長く強度の向上に有利なことから、針葉樹クラフトパルプがさらに好ましい。
以上に例示した繊維については単独でも2種類以上の組み合わせで用いてもよい。なお、機能性材料は、パルプ繊維等の繊維を使用する態様において歩留剤等を含み得る。
また、カチオンを吸着させる繊維の繊維長は特に制限されないが、例えば、平均繊維長が0.1μm~15mm程度とすることができ、1μm~12mm、100μm~10mm、500μm~8mm等としてもよい。
本態様に係る機能性材料の坪量は、目的に応じて適宜調整できる。機能性材料の坪量は、例えば、例えば、10g/m以上、500g/m以下、好ましくは、20g/m以上、300g/m以下の坪量のものが挙げられる。
また、機能性材料は、0.01重量%以上、10重量%以下の範囲内の含有量にて、カチオン性物質を含んでいることがより好ましい。これにより、カチオン性物質に由来する機能を機能性材料に好適に付与することができる。
なお、機能性材料の機能の1つである抗ウイルス特性は、JIS L 1922:2016 繊維製品の抗ウイルス性試験方法にて評価するとよい。抗ウイルス性試験方法の評価方法及び、好ましい抗ウイルス活性値については、実施例にてより詳細に説明される。なお、抗ウイルス性とは、ウイルス表面のたんぱく質を変性させ得る又は構造に損傷を与え得る性能である。当該ウイルスとして、ネコカリシウイルス、ノロウイルス又はインフルエンザウイルスが挙げられる。
また、一態様に係る機能性材料は、カチオン性物質を繊維の表面に吸着していることにより、抗ウイルス性以外の機能である抗菌性及び消臭性等の機能を有している。
<機能性材料の製造方法(第1の態様)>
本態様に係る機能性材料の製造方法では、繊維を含むスラリー中において、無機粒子を合成しないようにして、当該繊維の表面にカチオン性物質を吸着させる。
〔1:スラリーの製造〕
スラリーの製造において、当該スラリーに含まれる繊維は、未叩解及び叩解のいずれでもよく、機能性材料の物性に応じて選択すればよいが、叩解を行う方が好ましい。これにより、繊維の強度の向上及びカチオン性物質の定着促進が期待できる。また、繊維を叩解することにより、シート状の機能性材料とする態様において、そのBET比表面積の向上効果が期待できる。
例えば、公知の叩解機を用いて繊維を機械的(力学的)に処理することが挙げられる。叩解機としては、パルプ繊維を叩解する場合に通常使用される叩解機を使用することができ、例えば、ナイアガラビーター、PFIミル、ディスクリファイナー、コニカルリファイナー、ボールミル、石臼型ミル、サンドグラインダーミル、インパクトミル、高圧ホモジナイザー、低圧ホモジナイザー、ダイノーミル、超音波ミル、カンダグラインダ、アトライタ、振動ミル、カッターミル、ジェットミル、離解機、家庭用ジューサーミキサー、乳鉢である。中でも、ナイアガラビーターやディスクリファイナー、コニカルリファイナーを好適に用いることができる。
例えば、スラリーに含まれる繊維の濾水度は、限定されるものではないが、上限値が600mL以下である。繊維の濾水度が600mL以下であれば、繊維に対してカチオン性物質を吸着させることができ、カチオン性物質に由来する機能を好適に付与することができる。濾水度の下限値は、10mL以上であり、さらに好ましくは200mL以上である。また、繊維の濾水度が250mL以上であれば、連続抄紙の操業性が良好である。尚、パルプ繊維の叩解の程度はJIS P 8121-2:2012に規定されるカナダ標準濾水度(Canadian Standard freeness:CSF)によって表わすことができる。叩解が進むにつれてパルプ繊維の水切れ状態が低下し、濾水度は低くなる。
スラリーを調製するための水としては、通常の水道水、工業用水、地下水、井戸水などを用いることができる他、イオン交換水や蒸留水、超純水、工業廃水、製造工程中に得られる水を好適に用いることができる。
叩解は、バッチ式で行ってもよく、連続式で行ってもよい。好ましい一態様において、繊維を含むスラリーを流動させながら連続式で叩解する。これにより、繊維の叩解を効率よく行うことができる。
スラリーに含まれる繊維の含有量は、限定されるものではないが、0.1重量%~30重量%として叩解処理することが好ましく、スラリー中の繊維の濃度を0.3重量%~25重量%として処理することがより好ましく、0.5重量%~20重量%として処理することがさらに好ましい。
〔2:カチオン性物質の添加〕
本態様に係る製造方法では、繊維を含むスラリーにカチオン性物質の水溶液を添加する。なお、水溶媒におけるカチオン性物質の濃度は、スラリーに含まれる繊維の含有量に応じて適宜すればよい。
スラリーに含まれる繊維へのカチオン性物質の吸着は、20℃~80℃の範囲内の温度、より好ましくは40℃~60℃の範囲内の温度にて行なうとよい。この範囲内の温度で吸着を行うことにより、カチオン性物質の繊維への歩留りがよくなる。また、繊維へのカチオン性物質の吸着は、1時間~12時間の範囲内で行うとよい。
なお、カチオン性物質を吸着した繊維のスラリーには、抄紙を妨げない限りにおいて、その後の工程において、適宜、表面にカチオン性物質が吸着していない繊維、歩留剤、繊維と複合化していない無機粒子、有機粒子及びその他の添加剤等を配合してもよい。
(i)表面にカチオン性物質が吸着していない繊維
スラリー中には、上述のカチオン性物質が吸着していない繊維が含まれていてもよい。当該繊維は、長さ加重平均繊維長が1.0mm以上、2.0mm以下であるものが好ましい。スラリーにおける、長さ加重平均繊維長が1.0mm以上、2.0mm以下である繊維を更に含むことによって、機能性材料の紙力を向上させることができる。
(ii)歩留剤
スラリーには、填料の繊維への定着を促したり、填料及び繊維の歩留を向上させたりするために、歩留剤を添加することもできる。例えば、歩留剤として、カチオン性又はアニオン性、両性ポリアクリルアミド系物質を用いることができる。また、これらに加えて少なくとも一種以上のカチオンやアニオン性のポリマーを併用する、いわゆるデュアルポリマーと呼ばれる歩留りシステムを適用することもでき、少なくとも一種類以上のアニオン性のベントナイトやコロイダルシリカ、ポリ珪酸、ポリ珪酸もしくはポリ珪酸塩ミクロゲル及びこれらのアルミニウム改質物等の無機微粒子や、アクリルアミドが架橋重合したいわゆるマイクロポリマーといわれる粒径100μm以下の有機系の微粒子を一種以上併用する多成分歩留りシステムであってもよい。特に単独又は組合せで使用するポリアクリルアミド系物質が、極限粘度法による重量平均分子量が200万ダルトン以上である場合、良好な歩留りを得ることができ、好ましくは、500万ダルトン以上であり、更に好ましくは1000万ダルトン以上、3000万ダルトン未満の前記アクリルアミド系物質である場合に非常に高い歩留りを得ることが出来る。このポリアクリルアミド系物質の形態はエマルジョン型でも溶液型であっても構わない。この具体的な組成としては、該物質中にアクリルアミドモノマーユニットを構造単位として含むものであれば特に限定はないが、例えば、アクリル酸エステルの4級アンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合物、あるいはアクリルアミドとアクリル酸エステルを共重合させた後、4級化したアンモニウム塩が挙げられる。該カチオン性ポリアクリルアミド系物質のカチオン電荷密度は特には限定されない。
歩留剤は、スラリー中の繊維の全重量に対して、好ましくは0.001重量%~0.1重量%、より好ましくは0.005重量%~0.05重量%の量で添加することができる。
(iii)繊維と複合化していない無機粒子
繊維のスラリーには、当該繊維と複合化していない無機粒子を更に添加することができる。このような無機粒子は、複合繊維を構成している無機粒子のように水素結合等によってセルロース繊維と結着せず、繊維と混在している点で区別される。繊維と複合化していない無機粒子(以下、「非複合化無機粒子」という。)の種類は、目的に応じて適宜選択すればよく、一般に無機填料と呼ばれる粒子を選択することができる。無機填料としては上述した無機粒子の他に、金属単体、白土、ベントナイト、珪藻土、クレー(カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン)、タルク、脱墨工程から得られる灰分を再生して利用する無機填料及び再生する過程でシリカ又は炭酸カルシウムと複合物を形成した無機填料等が挙げられる。これらは単独でも2種類以上の組み合わせで用いてもよい。
非複合化無機粒子を添加する場合、繊維と非複合化無機粒子との重量比は、適宜設定すればよく、例えば、99.5/0.5~70/30が好ましい。少量の添加で効果が得られるものもあれば、用途によっては多量に添加が必要なものがある。また、添加量を30%以下とすることで良好に歩留りする。
シート化の際においてスラリーには、有機粒子を添加してもよい。有機粒子とは有機化合物を粒子状にしたものである。有機粒子としては、例えば、難燃性を高めるための有機系の難燃材料(リン酸系、ホウ素系等)、尿素-ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子、アクリルアミド複合繊維、木材由来の物質(微細繊維、ミクロフィブリル繊維、粉体ケナフ)、印刷適性を向上させるための変性不溶化デンプン、未糊化デンプン、ラテックス等が挙げられる。これらは単独でも2種類以上の組み合わせで用いてもよい。
有機粒子を添加する場合、スラリー中の繊維と有機粒子との重量比は、適宜設定すればよく、例えば、99.5/0.5~70/30が好ましい。また、添加量を30%以下とすることで良好に歩留りする。
(iv)その他の添加剤
スラリーには、その他の添加剤として、湿潤及び/又は乾燥紙力剤(紙力増強剤)を添加することができる。これにより、機能性材料の強度を向上させることができる。紙力剤としては例えば、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド、ポリアミン、エピクロロヒドリン樹脂、植物性ガム、ラテックス、ポリエチレンイミン、グリオキサール、ガム、マンノガラクタンポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルアミン、ポリビニルアルコール等の樹脂;前記樹脂から選ばれる2種以上からなる複合ポリマー又は共重合ポリマー;澱粉及び加工澱粉;カルボキシメチルセルロース、グアーガム、尿素樹脂等が挙げられる。紙力剤の添加量は特に限定されない。
その他、目的に応じて、濾水性向上剤、内添サイズ剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等が挙げられる。各添加剤の使用量は特に限定されない。
〔3:機能性材料の成形〕
本態様に係る機能性材料は、適宜、成形物(体)を製造することも可能である。シート製造に用いる抄紙機(抄造機)としては、例えば長網抄紙機、丸網抄紙機、ギャップフォーマ、ハイブリッドフォーマ、多層抄紙機、又はこれらの機器の抄紙方式を組合せた公知の抄造機などが挙げられる。抄紙機におけるプレス線圧、後段でカレンダー処理を行う場合のカレンダー線圧は、いずれも操業性及び/又はシートの性能に支障を来さない範囲内で定めることができる。また、形成されたシートに対して含浸又は塗布により、澱粉、各種ポリマー、顔料及びそれらの混合物を付与しても良い。
シート化以外の成形法を用いることも可能であり、例えば、パルプモールドと呼ばれるように鋳型に原料を流し込んで吸引脱水・乾燥させる方法や、樹脂や金属などの成形物の表面に塗り広げて乾燥後、基材から剥離する方法などによって、種々の形状を有する成形物を得ることができる。また、樹脂を混ぜてプラスチック様に成形することもできるし、シリカやアルミナ等の鉱物を添加し、焼成することでセラミック様に成形することもできる。以上に示した配合・乾燥・成形において、1種類の複合体のみを用いることもできるし、2種類以上の複合体を混合して用いることもできる。2種類以上の複合体を用いる場合は、予めそれらを混合したものを用いることもできるし、それぞれを配合・乾燥・成形したものを後から混合することもできる。
<機能性材料(第2の態様)>
本発明の一態様に係る機能性材料は、カチオン性物質が吸着する繊維が、無機粒子を含む複合繊維である。言い換えれば、本態様に係る機能性材料は、銅塩等のカチオン性物質が機能性材料における最表層に存在し、銅塩等のカチオン性物質とは異なる種類の金属塩等から構成される無機粒子の層が、繊維とカチオン性物質との間に介在する機能性材料である。ここで、無機粒子は、ハイドロタルサイトであることが好ましい。
(ハイドロタルサイトと繊維との複合繊維)
一般に、ハイドロタルサイトは、[M2+ 1-x3+ (OH)][An- x/n・mHO](式中、M2+は2価の金属イオンを、M3+は3価の金属イオンを表し、An- x/nは層間陰イオンを表す。また0<x<1であり、nはAの価数、0≦m<1である)という一般式で示される。ここで、2価の金属イオンであるM2+は、例えば、Mg2+、Co2+、Ni2+、Zn2+、Fe2+、Ca2+、Ba2+、Cu2+、Mn2+など、3価の金属イオンであるM3+は、例えば、Al3+、Fe3+、Cr3+、Ga3+など、層間陰イオンであるAn-は、例えば、OH、Cl、CO 、SO などのn価の陰イオンを挙げることができ、xは一般に0.2~0.33の範囲である。このうち、2価の金属イオンとしては、Mg2+、Zn2+、Fe2+、Mn2+が好ましく、抗菌性を機能性材料に付与することができるという観点から特にZn2+が好ましい。結晶構造は、正の電荷をもつ正八面体のbrucite単位が並んだ二次元基本層と負の電荷を持つ中間層からなる積層構造をとっている。
ハイドロタルサイトは、その陰イオン交換機能を生かした様々な用途への展開、例えば、イオン交換材、吸着剤、脱臭剤等の用途に使用されてきた。また、その他、構成する金属イオンの組み合わせを生かし、各構成金属イオンが良好な混合状態にあるハイドロタルサイトを加熱脱水し、又は、さらに加熱焼成することにより、均一な組成の複合酸化物を容易に得られ、触媒用途等に使用する例なども見られる。
本態様に係る機能性材料に含まれる複合繊維に占めるハイドロタルサイトの比率は、10%以上とすることが可能であり、20%以上とすることもでき、好ましくは40%以上とすることもできる。ハイドロタルサイトと繊維との複合繊維の灰分は、JIS P 8251:2003に従って測定することができる。本発明において、ハイドロタルサイトと繊維との複合繊維の灰分は10%以上とすることが可能であり、20%以上とすることもでき、好ましくは40%以上とすることができる。また、本発明のハイドロタルサイトと繊維との複合繊維は、灰分中、マグネシウム、鉄、マンガン又は亜鉛を10%以上含むことが好ましく、40%以上含むことがより好ましい。灰分中のマグネシウム又は亜鉛の含有量は、蛍光X線分析により定量することができる。
本態様に係る機能性材料が含む、ハイドロタルサイトと繊維との複合繊維の好ましい態様において、繊維表面の15%以上がハイドロタルサイトによって被覆されている。好ましい態様において複合繊維は、ハイドロタルサイトによる繊維の被覆率(面積率)が25%以上であり、より好ましくは40%以上であるが、本発明によれば被覆率が60%以上、又は80%以上の複合繊維を製造することも可能である。また、当該複合繊維は、好ましい態様において、ハイドロタルサイトが繊維の外表面及び/又はルーメンの内側に定着するだけでなく、ミクロフィブリルの内側にも生成することが電子顕微鏡観察の結果から明らかとなっている。
本態様に係る機能性材料の坪量は、目的に応じて適宜調整できる。機能性材料の坪量は、例えば、例えば、10g/m以上、500g/m以下、好ましくは、20g/m以上、300g/m以下の坪量のものが挙げられる。
また、本態様において、ハイドロタルサイトと繊維との複合繊維に吸着したカチオン性物質の含有量は、第1の態様に準じている。
(別の無機粒子と繊維との複合繊維)
また、一態様に係る機能性材料は、カチオン性物質が吸着する繊維は、ハイドロタルサイトとは別の無機粒子を含む複合繊維であってもよい。
複合繊維に含まれる無機粒子(つまり、非極性化学繊維に複合化される無機粒子)の種類は、目的に応じて適宜選択することができる。複合繊維生成工程において無機粒子の合成を水系で行う場合があり、また、複合繊維を水系で使用することもあるため、無機粒子が水に不溶性又は難溶性であることが好ましい。
無機粒子には、例えば金属化合物が挙げられる。金属化合物とは、金属の陽イオン(例えば、Na、Ca2+、Mg2+、Al3+、Ba2+等)と陰イオン(例えば、O2-、OH、CO 2-、PO 3-、SO 2-、NO 、Si 2-、SiO 2-、Cl、F、S2-等)がイオン結合によって結合してできた、一般に無機塩と呼ばれるものをいう。無機粒子の具体例としては、例えば、金、カルシウム、ケイ酸、マグネシウム、バリウム、アルミニウム、チタン、銅、銀、亜鉛、白金、鉄、パラジウム及びジルコニウムから成る群より選択される1種以上を含む化合物が挙げられる。これらの化合物を複合繊維が含む場合、機能性材料の最表層に存在するカチオン性物質と、カチオン性物質の層と繊維との間に介在する無機粒子の層を形成するこれら化合物とは異なる種類の化合物である。
また、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム)、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、リン酸カルシウム、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、二酸化チタン、ケイ酸ナトリウムと鉱酸から製造されるシリカ(ホワイトカーボン、シリカ/炭酸カルシウム複合物、シリカ/二酸化チタン複合物)、硫酸カルシウム、ゼオライト、ハイドロタルサイトが挙げられる。炭酸カルシウム-シリカ複合物としては、炭酸カルシウム及び/又は軽質炭酸カルシウム-シリカ複合物以外に、ホワイトカーボンのような非晶質シリカを併用してもよい。以上に例示した無機粒子については、繊維を含む溶液中で、互いに合成する反応を阻害しない限り、単独でも2種類以上の組み合わせで用いてもよい。
本発明の一実施形態において、無機粒子は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム及びハイドロタルサイトからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含み得る。
<製造方法(第2の態様)>
本発明の一態様(第2の態様)に係る機能性材料の製造方法を以下に示す。
本発明においては、繊維の存在下で溶液中において無機粒子を合成することによって、無機粒子と繊維との複合繊維を製造する。なお、スラリーの調製、カチオン性物質の添加、及び機能性材料の成形は、上述の態様(第1の態様)と同じであるためその説明を省略する。
〔1-1:ハイドロタルサイトと繊維との複合繊維の合成〕
無機粒子として複合繊維に含まれるハイドロタルサイトの合成方法は公知の方法によることができる。例えば、反応容器内に中間層を構成する炭酸イオンを含む炭酸塩水溶液とアルカリ溶液(水酸化ナトリウムなど)に繊維を浸漬し、次いで、酸溶液(基本層を構成する二価金属イオン及び三価金属イオンとを含む金属塩水溶液)を添加し、温度、pHなどを制御して共沈反応により、ハイドロタルサイトを合成する。また、反応容器内において、酸溶液(基本層を構成する二価金属イオン及び三価金属イオンを含む金属塩水溶液)に繊維を浸漬し、次いで、中間層を構成する炭酸イオンを含む炭酸塩水溶液とアルカリ溶液(水酸化ナトリウム等)を滴下し、温度、pH等を制御して共沈反応により、ハイドロタルサイトを合成することもできる。常圧での反応が一般的ではるが、それ以外にも、オートクレーブなどを使用しての水熱反応により得る方法もある(特開昭60-6619号公報)。
本発明においては、基本層を構成する二価金属イオンの供給源として、マグネシウム、亜鉛、バリウム、カルシウム、鉄、銅、コバルト、ニッケル、マンガンの各種塩化物、硫化物、硝酸化物、硫酸化物を用いることができる。また、基本層を構成する三価金属イオンの供給源として、アルミニウム、鉄、クロム、ガリウムの各種塩化物、硫化物、硝酸化物、硫酸化物を用いることができる。
複合繊維の製造においては、スラリーの調製などに水を使用するが、この水としては、通常の水道水等、上述の態様(第1の態様)に係る製造方法と同様の水を使用することができる。
本発明においては、層間陰イオンとして陰イオンとして炭酸イオン、硝酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオン、又はリン酸イオンなどを用いることができる。炭酸イオンを層間陰イオンとする場合、炭酸ナトリウムが供給源として使用される。ただし炭酸ナトリウムは、二酸化炭素(炭酸ガス)を含む気体で代替可能で、実質的に純粋な二酸化炭素ガス又は他のガスとの混合物であってもよい。例えば、製紙工場の焼却炉、石炭ボイラー、重油ボイラーなどから排出される排ガスを二酸化炭素含有気体として好適に用いることができる。その他にも、石灰焼成工程から発生する二酸化炭素を用いて炭酸化反応を行うこともできる。
複合繊維を製造する際には、さらに公知の各種助剤を添加することができる。例えば、キレート剤を中和反応に添加することができ、具体的には、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などのポリヒドロキシカルボン酸、シュウ酸などのジカルボン酸、グルコン酸などの糖酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸などのアミノポリカルボン酸及びそれらのアルカリ金属塩、ヘキサメタリン酸、トリポリリン酸などのポリリン酸のアルカリ金属塩、グルタミン酸、アスパラギン酸などのアミノ酸及びこれらのアルカリ金属塩、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸アリルなどのケトン類、ショ糖などの糖類、ソルビトールなどのポリオールが挙げられる。また、表面処理剤としてパルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、アビエチン酸等の樹脂酸、それらの塩又はエステル及びエーテル、アルコール系活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル類、アミド系又はアミン系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム、長鎖アルキルアミノ酸、アミンオキサイド、アルキルアミン、第四級アンモニウム塩、アミノカルボン酸、ホスホン酸、多価カルボン酸、縮合リン酸などを添加することができる。また、必要に応じ分散剤を用いることもできる。この分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アクリル酸-マレイン酸共重合体アンモニウム塩、メタクリル酸-ナフトキシポリエチレングリコールアクリレート共重合体、メタクリル酸-ポリエチレングリコールモノメタクリレート共重合体アンモニウム塩、ポリエチレングリコールモノアクリレートなどがある。これらを単独または複数組み合わせて使用することができる。また、添加のタイミングは中和反応の前でも後でも良い。このような添加剤は、ハイドロタルサイトに対して、好ましくは0.001~20%、より好ましくは0.1~10%の量で添加することができる。
(反応条件)
本発明の一態様において、無機粒子を合成する際の反応温度は、例えば、30~100℃とすることができるが、40~80℃が好ましく、50~70℃がより好ましく、60℃程度とすると特に好ましい。温度が高すぎたり低すぎたりすると、反応効率が低下しコストが高くなる傾向がある。
また、本発明において中和反応はバッチ反応とすることもでき、連続反応とすることもできる。一般に、中和反応後の残存物を排出する便利さから、バッチ反応工程を行うことが好ましい。反応のスケールは特に制限されないが、100L以下のスケールで反応させてもよいし、100L超のスケールで反応させてもよい。反応容器の大きさは、例えば、10L~100L程度とすることもできるし、100L~1000L程度としてもよい。
さらに、中和反応は、反応懸濁液のpHをモニターすることにより制御することができ、反応液のpHプロファイルに応じて、例えばpH9未満、好ましくはpH8未満、より好ましくはpH7のあたりに到達するまで炭酸化反応を行うことができる。
一方、反応液の電導度をモニターすることにより中和反応を制御することも出来る。電導度が100mS/cm以下に低下するまで炭酸化反応を行うことが好ましい。
さらにまた、合成反応は、反応時間によって制御することができ、具体的には、反応物が反応槽に滞留する時間を調整して制御することができる。その他、本発明においては、反応槽の反応液を攪拌する事、及び/又は中和反応を多段反応とすることによって反応を制御することもできる。
本発明の一態様において、反応生成物である複合繊維が懸濁液として得られるため、必要に応じて、貯蔵タンクへの貯蔵、濃縮、脱水、粉砕、分級、熟成、及び分散などの処理を行うことができる。これらは公知の工程によることができ、用途及びエネルギー効率などを考慮して適宜決定すればよい。例えば濃縮・脱水処理は、遠心脱水機、沈降濃縮機などを用いて行われる。この遠心脱水機の例としては、デカンター、スクリューデカンターなどが挙げられる。濾過機及び/又は脱水機を用いる場合についてもその種類に特に制限はなく、一般的なものを使用することができるが、例えば、フィルタープレス、ドラムフィルター、ベルトプレス、チューブプレス等の加圧型脱水機、オリバーフィルター等の真空ドラム脱水機などを好適に用いて炭酸カルシウムケーキとすることができる。粉砕の方法としては、ボールミル、サンドグラインダーミル、インパクトミル、高圧ホモジナイザー、低圧ホモジナイザー、ダイノーミル、超音波ミル、カンダグラインダ、アトライタ、石臼型ミル、振動ミル、カッターミル、ジェットミル、離解機、叩解機、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等が挙げられる。分級の方法としては、メッシュ等の篩、アウトワード型もしくはインワード型のスリットもしくは丸穴スクリーン、振動スクリーン、重量異物クリーナー、軽量異物クリーナー、リバースクリーナー、篩分け試験機等が挙げられる。分散の方法としては、高速ディスパーザー、低速ニーダーなどが挙げられる。
本発明の一態様において、複合繊維は、完全に脱水せずに懸濁液の状態で填料及び/又は顔料に配合することもできるが、乾燥して粉体とすることもできる。この場合の乾燥機についても特に制限はないが、例えば、気流乾燥機、バンド乾燥機、噴霧乾燥機などを好適に使用することができる。
また、本発明の一態様において、複合繊維は公知の方法によって改質することが可能である。例えば、ある態様においては、その表面を疎水化し、樹脂などとの混和性を高めたりすることが可能である。
〔1-2:別の無機粒子と繊維との複合繊維の合成〕
なお、ハイドロタルサイトに代えて他の無機粒子を含む複合繊維については、繊維を含むスラリー中で無機粒子を合成することによって、所望の無機粒子が繊維に複合化している複合繊維を合成することができる。繊維を含むスラリー中で無機粒子を合成する方法としては、気液法と液液法のいずれでもよい。気液法の一例としては炭酸ガス法があり、例えば水酸化マグネシウムと炭酸ガスを反応させることで、炭酸マグネシウムを合成することができる。反応は、キャビテーション発生装置を用いてもよく、開放系又は加圧反応容器内でウルトラファインバブルを発生させて行ってもよい。液液法の例としては、塩酸若しくは硫酸などの酸と水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムなどの塩基とを中和によって反応させたり、無機塩と酸とを、若しくは塩基とを反応させたり、無機塩同士を反応させたりする方法が挙げられる。例えば、水酸化バリウムと硫酸とを反応させることで硫酸バリウムを得たり、硫酸アルミニウムと水酸化ナトリウムとを反応させることで水酸化アルミニウムを得たり、炭酸カルシウムと硫酸アルミニウムとを反応させることでカルシウムとアルミニウムが複合化した無機粒子を得ることができる。また、このようにして無機粒子を合成する際、反応液中に任意の金属及び/又は金属化合物を共存させることもでき、この場合はそれらの金属若しくは金属化合物が無機粒子中に効率よく取り込まれ、複合化できる。例えば、炭酸カルシウムにリン酸を添加してリン酸カルシウムを合成する際に、二酸化チタンを反応液中に共存させることで、リン酸カルシウムとチタンの複合粒子を得ることができる。
2種類以上の無機粒子を繊維に複合化させる場合には、繊維の存在下で1種類の無機粒子の合成反応を行なった後、当該合成反応を止めて別の種類の無機粒子の合成反応を行なってもよく、互いに反応を邪魔しなかったり、一つの反応で目的の無機粒子が複数種類合成されたりする場合には2種類以上の無機粒子を同時に合成してもよい。
無機粒子を合成する際の条件を調整することによって、種々の大きさ及び/又は形状を有する無機粒子を繊維と複合化することができる。例えば、鱗片状の無機粒子が繊維に複合化している複合繊維とすることもできる。複合繊維を構成する無機粒子の形状は、電子顕微鏡による観察により確認することができる。
<衛生用品>
本発明によって得られた機能性材料は、様々な、衛生用品に使用することができる。衛生用品としては、限定されるものではないが、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁者用パッド、及び母乳パッド等の衛生用品、並びに不純物除去、消臭、除湿等の吸着剤として好適に使用することができる。また、脂取り紙などの化粧紙、並びに、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、ワイパー(対人用、工業用)、タオル、ハンドタオル、ペーパータオル、キッチンペーパー、クッキングペーパー、ナプキン、ボディシート、洗顔シート、掃除用シート、おむつ、生理用品、シーツ、マクラカバー、携帯トイレ、マスク、ウェットティッシュ、綿棒、介護用品、リハビリ用品、ペット用品(トイレシート、トイレ砂)及び医療用品の包装紙等の衛生紙等に抗ウイルス性を付与した各種抗ウイルス用衛生用品として、特に好ましく使用することができる。なお、上記衛生用品は、紙製であっても、不織布製であっても良く、また、シニア・ミドル用、子供用、ペット用のいずれにも用いることができる。
(その他の用途)
また、機能性材料は、種々の用途に用いることができ、例えば、紙、繊維、不織布、セルロース系複合材料、フィルター材料、塗料、プラスチック及びその他の樹脂、ゴム、エラストマー、セラミック、ガラス、金属、タイヤ、建築材料(アスファルト、アスベスト、セメント、ボード、コンクリート、れんが、タイル、合板、繊維板など)、各種担体(触媒担体、医薬担体、農薬担体、微生物担体など)、しわ防止剤、粘土、研磨材、改質剤、補修材、断熱材、防湿材、撥水材、耐水材、遮光材、シーラント、シールド材、防虫剤、接着剤、インキ、化粧料、医用材料、ペースト材料、食品添加剤、錠剤賦形剤、分散剤、保形剤、保水剤、濾過助材、精油材、油処理剤、油改質剤、電波吸収材、絶縁材、遮音材、防振材、半導体封止材、放射線遮断材、化粧品、肥料、飼料、香料、塗料・接着剤・樹脂用添加剤、変色防止剤、導電材、伝熱材等のあらゆる用途に広く使用することができる。また、前記用途における各種充填剤、コーティング剤などに用いることができる。
本発明の機能性材料は、製紙用途に適用してもよく、抗ウイルス性を付与した各種抗ウイルス用紙として、特に好ましく使用することができる。例えば、印刷用紙、新聞紙、インクジェット用紙、PPC用紙、クラフト紙、上質紙、コート紙、微塗工紙、包装紙、薄葉紙、色上質紙、キャストコート紙、ノンカーボン紙、ラベル用紙、感熱紙、各種ファンシーペーパー、水溶紙、剥離紙、工程紙、壁紙用原紙、不燃紙、難燃紙、積層板原紙、プリンテッドエレクトロニクス用紙、バッテリー用セパレータ、クッション紙、トレーシングペーパー、含浸紙、ODP用紙、建材用紙、化粧材用紙、封筒用紙、テープ用紙、熱交換用紙、化繊紙、減菌紙、耐水紙、耐油紙、耐熱紙、光触媒紙、たばこ用紙、板紙(ライナー、中芯原紙、白板紙など)、紙皿原紙、カップ原紙、ベーキング用紙、研磨紙、合成紙、消臭紙、抗菌紙などが挙げられる。
〔まとめ〕
本発明は、これに制限されるものではないが、以下の発明を包含する。
(1)繊維にカチオン性物質である銅塩が吸着してなる、機能性材料。
(2)前記銅塩が塩化銅、又は硫酸銅である、(1)に記載の機能性材料。
(3)前記繊維は、無機粒子を含む複合繊維である、(1)又は(2)に記載の機能性材料。
(4)前記無機粒子は、ハイドロタルサイトを含む、(3)に記載の機能性材料。
(5)前記ハイドロタルサイトを構成する2価の金属イオンがマグネシウムイオン、又は亜鉛イオンである、(4)に記載の機能性材料。
(6)前記繊維が、化学繊維、再生繊維、又は天然繊維である、(1)~(5)の何れか1項に記載の機能性材料。
(7)前記繊維が、セルロース繊維である、(6)に記載の機能性材料。
(8)(1)~(7)の何れかに記載の機能性材料を含む、衛生用品。
(9)(1)~(8)の何れかに記載の機能性材料を含む、抗ウイルス用衛生用品。
(10)繊維を含むスラリーに、銅塩の溶液を添加する、機能性材料の製造方法。
(11)前記銅塩が塩化銅である、(10)に記載の製造方法。
(12)前記スラリー中にて無機粒子を合成し、その後、前記溶液を添加する、(11)に記載の機能性材料の製造方法。
(13)前記無機粒子は、ハイドロタルサイトを含む、(12)に記載の機能性材料の製造方法。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は係る実施例に限定されるものではない。また、本明細書において特に記載しない限り、濃度及び部などは重量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
〔実施例1:ハイドロタルサイトと繊維との複合繊維〕
(1)アルカリ溶液と酸溶液の調製
ハイドロタルサイト(HT)を合成するための溶液を準備した。アルカリ溶液(A溶液)として、炭酸ナトリウム(和光純薬)及び水酸化ナトリウム(和光純薬)の混合水溶液を調製した。また、酸溶液(B溶液)として、塩化亜鉛(和光純薬)及び塩化アルミニウム(和光純薬)の混合水溶液を調製した。A溶液中の炭酸ナトリウム濃度は0.05mol/L、水酸化ナトリウム濃度は0.8mol/Lであり、B溶液中の塩化亜鉛の濃度は0.3mol/L、塩化アルミニウムの濃度は0.1mol/Lであった。
(2)複合繊維の合成
(サンプル1:ZnAl(OH)16CO・4HOとパルプ繊維との複合繊維)
複合体化する繊維として、セルロース繊維を使用した。具体的には、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、日本製紙製)と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、日本製紙製)を8:2の重量比で含み、シングルディスクリファイナー(SDR)を用いてカナダ標準濾水度を390mLに調整したパルプ繊維を用いた。
アルカリ溶液にパルプ繊維を添加し、パルプ繊維を含む水性懸濁液を準備した(繊維濃度は1.56%、pHは約12.4)。この水性懸濁液(パルプ固形分30g)を100L容の応溶液に入れ、水性懸濁液を攪拌しながら、酸溶液を滴下してハイドロタルサイト微粒子と繊維との複合繊維を合成した。図1に示すような装置を用いて、反応温度は60℃、滴下速度は15mL/minであり、反応液のpHが約7になった段階で滴下を停止した。滴下終了後、30分間、反応液を攪拌し、10倍量の水を用いて水洗して塩を除去した。
(サンプル2:サンプル1を塩化銅溶液で処理した複合繊維)
サンプル1を塩化銅溶液で処理し、塩化銅溶液を吸着したZn系HT複合繊維(ZnAl(OH)16CO・4HOとパルプ繊維との複合繊維)を得た(サンプル2)。
具体的には、塩化銅を水に溶解し0.1mol/Lの塩化銅溶液を調製した。この塩化銅溶液をサンプル1のスラリー(濃度1.5重量%)に対し、固形分当り銅の重量%濃度が2.0%になるように添加し、3時間、20~60℃の条件で攪拌した。
(サンプル3:サンプル1を塩化銅溶液で処理したパルプ)
サンプル1で使用したLBKPとNBKPのスラリー(L:N=8:2)に対して、サンプル2と同様に塩化銅溶液で処理した(サンプル3)
〔実施例2:マットの製造〕
続いて、JIS P 8222に基づいて、製造したサンプル(サンプル1~3)からマットを製造した(坪量:約100g/m、灰分:46%)。具体的には、複合体の水性スラリー(濃度:約0.5重量%)をろ紙(JIS P3801、定量分析用、5種B)を用いてろ過し、得られたサンプルを1MPaで5分間圧力をかけて脱水した後、50℃で2時間緊張乾燥させて、マットを製造した。
〔実施例3:抗ウイルス性試験〕
製造したマットについて、抗ウイルス特性を評価した。抗ウイルス性試験は、JIS L 1922:2016 繊維製品の抗ウイルス性試験方法にて実施した。試験に供したマットの重さは0.4g、対照試料には標準綿布を用いた。試験ウイルス種としてネコカリシウイルス(Feline calicivirus;Strain:F-9 ATCC VR-782)を使用した。試験手順を以下に示す。
1.試験片0.4gをバイアル瓶に入れ、試験ウイルス液0.2mlを滴下後、バイアル瓶のふたをした。
2.バイアル瓶を25℃で2時間静置した。
3.洗い出し液20mlを加えて試験片からウイルスを洗い出し、プラーク測定法により感染価を算出した。
4.次の式によって抗ウイルス活性値(Mv)を計算した。なお、JISでは抗ウイルス効果を、Mv≧2.0で効果が有り、Mv≧3.0で十分に効果があると定められている。
抗ウイルス活性値(Mv) = Log(Vb)-Log(Vc)
Mv:抗ウイルス活性値
Log(Vb):対照試料の2時間作用後の3検体の感染価常用対数(3検体の平均値)Log(Vc):抗ウイルス試料の2時間作用後の3検体の感染価常用対数(3検体の平均値)
結果を表1に示す。
Figure 0007034864000001
表に示す通り、パルプ及びZn系HT複合体に対して、塩化銅溶液を用いて表面処理することで、抗ウイルス活性が得られることがわかった。
本発明の一態様は、例えば、機能性材料として利用することができる。

Claims (11)

  1. 無機粒子と繊維との複合繊維にカチオン性物質である銅塩が吸着してなる、機能性材料であって、
    前記カチオン性物質が前記機能性材料における最表層に存在し、
    前記カチオン性物質とは異なる種類の金属塩から構成される前記無機粒子の層が、前記繊維と前記カチオン性物質との間に介在する、機能性材料。
  2. 前記銅塩が塩化銅、又は硫酸銅である、請求項1に記載の機能性材料。
  3. 前記無機粒子は、ハイドロタルサイトを含む、請求項1又は2に記載の機能性材料。
  4. 前記ハイドロタルサイトを構成する2価の金属イオンがマグネシウムイオン、又は亜鉛イオンである、請求項に記載の機能性材料。
  5. 前記繊維が、化学繊維、再生繊維、又は天然繊維である、請求項1~の何れか1項に記載の機能性材料。
  6. 前記繊維が、セルロース繊維である、請求項に記載の機能性材料。
  7. 請求項1~6の何れか1項に記載の機能性材料を含む、衛生用品。
  8. 請求項1~6の何れか1項に記載の機能性材料を含む、抗ウイルス用衛生用品。
  9. 繊維を含むスラリー中にて無機粒子を合成し、その後、銅塩の溶液を添加する、機能性材料の製造方法。
  10. 前記銅塩が塩化銅である、請求項に記載の機能性材料の製造方法。
  11. 前記無機粒子は、ハイドロタルサイトを含む、請求項に記載の機能性材料の製造方法。
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