JP7034229B2 - プレキャスト構造部材と断面修復の補修部分の現場打ち経時硬化材の連結構造の構築方法 - Google Patents
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Description
また、本発明を劣化部分の補修作業に応用することができ、補修部分の剥離落下事故を防ぐことができ、構造体の耐久性及び安全性をさらに向上させることができる。
先ず、図1~図3を用いて、本発明の第1実施形態に係るプレキャスト構造部材と経時硬化材の連結構造について説明する。図1は、本実施形態に係るプレキャスト構造部材と経時硬化材の連結構造1の構成を示す鉛直断面図である。図1に示すように、本実施形態に係るプレキャスト構造部材と経時硬化材の連結構造1(以下、単に連結構造という。)は、プレキャスト構造部材として2枚のプレキャスト鉄筋コンクリート床版2,2と、これらの2枚のプレキャスト鉄筋コンクリート床版2,2間に形成された隙間である目地部Aに打設された経時硬化材3と、この経時硬化材3に埋設された緊張力導入用鋼材4など、から構成されている。
図2は、本実施形態に係る連結構造1のプレキャスト構造部材であるプレキャスト鉄筋コンクリート床版2を示す図であり、(a)は、鉛直断面図、(b)は、平面図である。
図2に示すように、プレキャスト鉄筋コンクリート床版2は、予め工場等で所定の鉄筋が配筋されてコンクリートが打設され、適切な養生期間が経過し所定の強度が発現した矩形盤状の鉄筋コンクリート製のスラブからなる床版である。
本実施形態に係る連結構造1の経時硬化材3は、所定の鉄筋を配筋した後、現場打ちのコンクリートを打設した場所打ち鉄筋コンクリートである。この経時硬化材3は、図2に示す2枚のプレキャスト鉄筋コンクリート床版2間に形成された目地部Aに打設される。
図3は、本実施形態に係る緊張力導入用鋼材4を箱抜き部21に設置した状態を示す説明図である。図3に示すように、本実施形態に係る連結構造1の緊張力導入用鋼材4は、PC鋼棒40の両端にねじが切られてナット41が螺着されたPC鋼材であり、ナットを締め付けることにより、プレキャスト鉄筋コンクリート床版2間に緊張力を付与する機能を有している。
先ず、本連結構造1の構築方法では、鋼桁などの橋桁上の所定の位置に、プレキャスト構造部材である前述の複数のプレキャスト鉄筋コンクリート床版2を敷き並べるプレキャスト構造部材設置工程を行う。図2に示すように、連結する2枚のプレキャスト鉄筋コンクリート床版2の間が、目地部Aとなる。
次に、本連結構造1の構築方法では、図3に示すように、一定間隔をおいて形成された対向する箱抜き部21に緊張力導入用鋼材4の長手方向の端部をそれぞれ設置する緊張力導入用鋼材設置工程を行う。
次に、本連結構造1の構築方法では、図3に示す緊張力導入用鋼材4のナット41をそれぞれ回動させて締め付けることにより、一体化する2枚のプレキャスト鉄筋コンクリート床版2間に緊張力を付与する緊張力付与工程を行う。
次に、本連結構造1の構築方法では、目地部Aの下面及び側面に型枠を設置して前述の経時硬化材3としてコンクリートを流し込んで打設する打設工程を行う。そして、一定時間が経過して経時硬化材3が所定の強度が発現した後、型枠を脱型して図1に示す連結構造1の構築が完了する。勿論、目地部Aが橋桁や他の構造物上となり型枠が不要な場合は、設置しなくてもよいことは云うまでもない。
次に、図4~図11を用いて、本発明の第2実施形態に係るプレキャスト構造部材と経時硬化材の連結構造1’について説明する。本実施形態に係る連結構造1’は、特許文献2に記載のプレキャスト床版の目地構造と略同構成であり、前述の第1実施形態に係る連結構造1と相違する点は、主に、箱抜き部21に相当する部分に、後述の埋設金具が設けられている点なので、その点を説明し、他の説明を省略する。
本実施形態に係るプレキャスト構造部材であるプレキャスト鉄筋コンクリート床版2’は、図2に示した前述のプレキャスト鉄筋コンクリート床版2と略同構成の床版であり、相違する点は、接合する端部付近に図4~図6に示す埋設金具5が埋設されている点である。
図7は、本実施形態に係る連結構造1’の嵌合金具6を示す斜視図であり、図8は、嵌合金具6の平面図、図9は、嵌合金具6の側面図である。図7~図9に示すように、本実施形態に係る緊張力導入用鋼材である嵌合金具6は、前述の嵌合凹部52と嵌合する平面視D字状の左右一対の嵌合部60が形成され、前述のスリット53に相当する連結部61で左右の嵌合部60が連結した平面視で眼鏡状となった金具である。
先ず、本連結構造1’の構築方法では、第1実施形態に係る連結構造1の構築方法と同様に、鋼桁などの橋桁上の所定の位置に、プレキャスト構造部材である前述の複数のプレキャスト鉄筋コンクリート床版2’を敷き並べるプレキャスト構造部材設置工程を行う。
次に、本連結構造1’の構築方法では、図10、図11に示すように、対向する前述の埋設金具5の2つの嵌合凹部52に嵌合金具6の嵌合部60を嵌合させて埋設金具5に嵌合金具6を装着する嵌合金具装着工程を行う。
次に、本連結構造1’の構築方法では、前述の連結構造1の構築方法と同様に、目地部A’の下面及び側面に型枠を設置して経時硬化材3’を流し込んで打設する打設工程を行う。そして、一定時間が経過して経時硬化材3’が所定の強度が発現した後、型枠を脱型して図1に示す連結構造1の構築が完了する。
次に、図12、図13を用いて、本発明の第3実施形態に係るプレキャスト構造部材と経時硬化材の連結構造1”について説明する。本実施形態に係る連結構造1”は、本発明を断面修復の補修部分の現場打ち経時硬化材とプレキャスト構造部材との連結構造に適用した場合である。
本実施形態に係るプレキャスト鉄筋コンクリート床版2”は、図2に示した前述のプレキャスト鉄筋コンクリート床版2と略同構成の床版であり、相違する点は、図13に示すように、床版の下面に劣化部分Bがある点である。プレキャスト鉄筋コンクリート床版2”は、後述のように、劣化部分Bが取り除かれて撤去され、凹部A”が形成されている。
そして、この凹部A”に経時硬化材3”が充填される。この経時硬化材3”は、前述の経時硬化材3と同様であるが、下面に充填するので、所定の粘度を有したモルタルが好ましい。
また、この凹部A”の内側面には、ケミカルアンカー(登録商標)やホールインアンカーなどの後施工アンカーA1が設置され、これらの後施工アンカーA1同士を接続する緊張力導入用鋼材として、全ねじボルト41”とターンバックル42”が装着されている。
先ず、本連結構造1’の構築方法では、図13に示した劣化部分Bを斫り機等で斫り取って撤去し、図14に示す凹部A”を形成する劣化部分撤去工程を行う。
図15は、連結構造1”の構築方法のアンカー設置工程を示す工程説明図である。
次に、図15に示すように、本連結構造1’の構築方法では、前工程で形成した凹部A”の対向する内側面に削孔機等で一直線状に対向する2つの孔を削孔した後、薬剤カプセルやホールインアンカーなどを打ち込んで後施工アンカーA1をそれぞれ設置する。
図16は、連結構造1”の構築方法の緊張力導入用鋼材設置工程及び緊張力付与工程を示す工程説明図である。
次に、図16に示すように、本連結構造1’の構築方法では、緊張力導入用鋼材を設置する設置工程を行う。本工程では、緊張力導入用鋼材として前工程で設置した後施工アンカーA1に螺合する2本の全ねじボルト41”を装着し、それらを繋ぐターンバックル42”(緊結治具)を取り付ける。
次に、本連結構造1”の構築方法では、前工程で装着したターンバックル42”を回転させて、図16の矢印で示すように、プレキャスト鉄筋コンクリート床版2”の凹部A”間に緊張力を付与する緊張力付与工程を行う。
次に、本連結構造1”の構築方法では、凹部A”にモルタル等の経時硬化材3”を打設・充填する打設工程を行う。勿論、凹部A”の下面に型枠を設置してグラウトやモルタルを打設・充填してもよいことは云うまでもない。
2,2’,2” :プレキャスト鉄筋コンクリート床版(プレキャスト構造部材)
21 :箱抜き部
B :劣化部分
A1 :後施工アンカー
3,3’,3” :経時硬化材
4,4” :緊張力導入用鋼材
40 :PC鋼棒
41 :ナット
41” :全ねじボルト
42” :ターンバックル(緊結治具)
5 :埋設金具
50 :金具本体
51 :定着部
52 :嵌合凹部
53 :スリット
54 :テーパー面
55 :ボルト孔
56 :リブ
57 :先端部
58 :ズレ防止リブ
59 :楔用の孔
6 :嵌合金具(緊張力導入用鋼材)
60 :嵌合部
61 :連結部
62 :ボルト孔
63 :テーパー面
64 :ズレ防止溝
A,A’ :目地部
A” :凹部
B1 :止付けボルト
C :楔
Claims (4)
- プレキャスト構造部材の劣化部分を撤去することにより形成された凹部に経時硬化材を打設してプレキャスト構造部材と経時硬化材を連結一体化してプレキャスト構造部材と断面修復の補修部分の現場打ち経時硬化材の連結構造の構築方法であって、
経時硬化材を打設する前に、前記凹部の対向する内側面にそれぞれ後施工アンカーを設置するアンカー設置工程を行った後、前記後施工アンカー同士を接続する緊張力導入用鋼材を設置する緊張力導入用鋼材設置工程を行い、その後、前記凹部に緊張力を付与する緊張力付与工程を行い、その後、前記凹部に経時硬化材を打設する打設工程を行って、プレキャスト構造部材と経時硬化材を連結一体化すること
を特徴とするプレキャスト構造部材と断面修復の補修部分の現場打ち経時硬化材の連結構造の構築方法。 - 前記緊張力を緩めるリリース工程を有していないこと
を特徴とすること請求項1に記載のプレキャスト構造部材と断面修復の補修部分の現場打ち経時硬化材の連結構造の構築方法。 - 前記凹部は、前記プレキャスト構造部材の下面に形成されていること
を特徴とする請求項1又は2に記載のプレキャスト構造部材と断面修復の補修部分の現場打ち経時硬化材の連結構造の構築方法。 - 前記緊張力付与工程では、前記凹部の対向する2つの側壁にそれぞれ埋設された後施工アンカー同士を緊結するターンバックルなどの緊結治具で互いに緊結することにより前記凹部に緊張力を付与すること
を特徴する請求項1ないし3のいずれかに記載のプレキャスト構造部材と断面修復の補修部分の現場打ち経時硬化材の連結構造の構築方法。
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