JP7033528B2 - セメント組成物、コンクリート、コンクリート硬化体、及びコンクリート構造物 - Google Patents

セメント組成物、コンクリート、コンクリート硬化体、及びコンクリート構造物 Download PDF

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Description

本発明は、セメント組成物、当該セメント組成物を含むコンクリート、当該コンクリートの硬化体であるコンクリート硬化体、及び当該コンクリート硬化体を備えるコンクリート構造物に関する。
コンクリートを打設すると、セメントと水との水和反応によって水和熱が発生する。特に、ダムや橋桁等の建設で用いられるマスコンクリートでは、水和熱に起因する温度ひび割れが問題となっており、水和熱を低減する技術が検討されている。例えば、特許文献1には、構成成分の割合を工夫した低発熱セメントが開示されている。
特開2011-132094号公報
ところで、水和反応を緩やかに進行させることで水和熱による悪影響を低減させるという発想のもと、ダム建設等の用途において、中庸熱ポルトランドセメントにフライアッシュを混合した中庸熱フライアッシュセメントが利用されている。
しかし、中庸熱フライアッシュセメントを用いた場合であっても、温度ひび割れが生じる場合がある。この温度ひび割れの原因は、長期間継続する水和反応により、水和熱が累積的に蓄積し、コンクリート内部の温度が上昇したためと考えられる。
そこで、本発明は、水和反応の速やかな進行及び反応完結により、長期間に亘る水和熱の発生が抑えられ、水和熱の蓄積に起因するひび割れを防止することが可能な、セメント組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、上記セメント組成物を含むコンクリート、当該コンクリートの硬化体であるコンクリート硬化体、及び当該コンクリート硬化体を備えるコンクリート構造物を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、早強ポルトランドセメントと、石灰石微粉末と、を含有し、上記石灰石微粉末の含有量が、20~60質量%である、セメント組成物に関する。
上記セメント組成物は、早強ポルトランドセメントのうち一定量を石灰石微粉末に置き換えたセメント組成物ということができる。上記セメント組成物では、水和反応の速やかな進行及び反応完結により、水和反応が長期間継続することによる水和熱の蓄積が抑制される。このため、上記セメント組成物では、水和熱の蓄積に起因する硬化後のひび割れを防止することができる。
本発明の他の一側面は、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、アルミン酸三カルシウム及び鉄アルミン酸四カルシウムを含むセメントと、石灰石微粉末と、を含有し、上記ケイ酸三カルシウム100質量部に対して、上記ケイ酸二カルシウムの含有量が13~20質量部、上記アルミン酸三カルシウムの含有量が8~15質量部、鉄アルミン酸四カルシウムの含有量が8~15質量部であり、上記石灰石微粉末の含有量が20~60質量%である、セメント組成物に関する。
本発明の更に他の一側面は、上述のセメント組成物と、水と、骨材とを含む、コンクリートに関する。
一態様において、上記骨材は、細骨材を含んでいてよい。
一態様において、上記骨材は、粗骨材を更に含んでいてよい。
一態様において、単位体積当たりの上記セメント組成物の含有量は、140kg/m以上250kg/m以下であり、単位体積当たりの上記細骨材の含有量は、500~800kg/mであり、単位体積当たりの上記粗骨材の含有量は、1200~1800kg/mであり、上記セメント組成物の含有量Cに対する上記水の含有量Wの比(W/C)は、質量比で、0.5~0.8であってよい。
一態様において、単位体積当たりの上記セメント組成物の含有量は、60kg/m以上140kg/m未満であり、単位体積当たりの上記細骨材の含有量は、60~800kg/mであり、単位体積当たりの上記粗骨材の含有量は、1300~1900kg/mであり、上記セメント組成物の含有量Cに対する上記水の含有量Wの比(W/C)は、質量比で、0.6~1.5であってよい。
一態様において、断熱温度上昇量の終局値Qが、10~40℃であってよい。
本発明の更に他の一側面は、上述のコンクリートの硬化体である、コンクリート硬化体に関する。
本発明の更に他の一側面は、上述のコンクリート硬化体を備える、コンクリート構造物に関する。
一態様において、上記コンクリート硬化体は、表面までの最短距離が0.8m以上の深層部を有していてよい。
本発明によれば、水和反応の速やかな進行及び反応完結により、長期間に亘る水和熱の発生が抑えられ、水和熱の蓄積に起因するひび割れを防止することが可能な、セメント組成物が提供される。また、本発明によれば、上記セメント組成物を含むコンクリート、当該コンクリートの硬化体であるコンクリート硬化体、及び当該コンクリート硬化体を備えるコンクリート構造物が提供される。
図1(a)は、実施例1の温度応力解析によるひび割れ指数を示す画像であり、図1(b)は、比較例1の温度応力解析によるひび割れ指数を示す画像である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記の実施形態に何ら限定されるものではない。
(セメント組成物)
本実施形態に係るセメント組成物は、早強ポルトランドセメントと、石灰石微粉末と、を含有し、石灰石微粉末の含有量が、20~60質量%である。
本実施形態に係るセメント組成物は、水和反応の速やかな進行及び反応完結により、水和反応が長期間継続することによる水和熱の蓄積を抑制できる。このため、上記セメント組成物によれば、水和熱の蓄積に起因する硬化後のひび割れを防止することができる。
上記効果が奏される理由は必ずしも明らかではないが、例えば以下のように推測される。セメント組成物が早強ポルトランドセメントを含有することで、水和反応が速やかに進行し、早期に完結する。また、セメント組成物は一定量の石灰石微粉末を含有するが、石灰石微粉末は水和反応に関与しないため、水和反応による水和熱の発生が抑えられる。これらのことから、水和反応が長期間継続することによる水和熱の蓄積を抑制できると考えられる。そして、水和熱の蓄積に起因する引張応力の発生を抑制できることから、硬化後にひび割れが生じにくくなると考えられる。
本実施形態において、早強ポルトランドセメントは、ケイ酸三カルシウム(エーライト、3CaO・SiO(C3S))、ケイ酸二カルシウム(ビーライト、2CaO・SiO(C2S))、アルミン酸三カルシウム(アルミネート、3CaO・Al(C3A))及び鉄アルミン酸四カルシウム(フェライト、4CaO・Al・Fe(C4AF))を含むセメントということもできる。すなわち、本実施形態に係るセメント組成物は、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、アルミン酸三カルシウム及び鉄アルミン酸四カルシウムを含むセメントと、石灰石微粉末と、を含有し、上記ケイ酸三カルシウム100質量部に対して、上記ケイ酸二カルシウムの含有量が13~20質量部、上記アルミン酸三カルシウムの含有量が8~15質量部、鉄アルミン酸四カルシウムの含有量が8~15質量部であるものであってよい。
本実施形態において、ケイ酸二カルシウムの含有量は、強度発現性の観点から、ケイ酸三カルシウム100質量部に対して、13質量部以上が好ましく、14質量部以上がより好ましく、15質量部以上が更に好ましい。また、ケイ酸二カルシウムの含有量の上限値は、ケイ酸三カルシウム100質量部に対して、20質量部以下であれば特に限定されない。
本実施形態において、アルミン酸三カルシウムの含有量は、強度発現性の観点から、ケイ酸三カルシウム100質量部に対して、8質量部以上が好ましく、9質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましい。また、アルミン酸三カルシウムの含有量の上限値は、ケイ酸三カルシウム100質量部に対して、15質量部以下であれば特に限定されない。
本実施形態において、鉄アルミン酸四カルシウムの含有量は、強度発現性の観点から、ケイ酸三カルシウム100質量部に対して、8質量部以上が好ましく、9質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましい。また、鉄アルミン酸四カルシウムの含有量の上限値は、ケイ酸三カルシウム100質量部に対して、15質量部以下であれば特に限定されない。
早強ポルトランドセメントの含有量は、水和反応が速やかに進行する観点から、セメント組成物の全量基準で、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、55質量%以上が更に好ましい。また、早強ポルトランドセメントの含有量は、水和熱の発生をより抑制する観点から、セメント組成物の全量基準で、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、65質量%以下が更に好ましい。
本実施形態において、石灰石微粉末は、炭酸カルシウム(カルサイト、CaCO)を主成分とし、石灰石を微粉砕したものである。石灰石微粉末における炭酸カルシウムの割合は、特に限定されないが、95質量%以上であってよい。また、石灰石微粉末の比表面積は特に限定されず、3000~8000cm/gであってよい。
石灰石微粉末の含有量は、水和熱の蓄積を抑制する観点から、セメント組成物の全量基準で、20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、35質量%以上が更に好ましい。また、石灰石微粉末の含有量は、圧縮強度の観点から、セメント組成物の全量基準で、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下が更に好ましい。
本実施形態に係るセメント組成物は、早強ポルトランドセメント及び石灰石微粉末以外のその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、混和材等であってよい。混和材としては、例えば、高炉スラグ微粉末、石炭灰、ダイカルシウムシリケートγ相、フライアッシュ、シリカフューム、膨張材等が挙げられる。
(コンクリート)
本実施形態に係るコンクリートは、上述のセメント組成物と、水と、骨材とを含む。
本実施形態において、骨材は、細骨材を含んでいてもよく、粗骨材を更に含んでいてもよい。細骨材と粗骨材を分割して使用してもよく、細骨材と粗骨材が事前に混合されていてもよい。
本実施形態において、細骨材は、10mmふるいを全て通過し、5mmふるいを85質量%以上が通過する骨材であり、JIS A 5308、JIS A 5005、JIS A 5002及びJIS A 5011で定義することができる。細骨材は、公知の細骨材を特に制限無く使用してよく、例えば、砕砂、砂、川砂、海砂、石灰砕砂、再生骨材、軽量骨材、重量骨材、高炉スラグ細骨材、フェロニッケル細骨材、銅スラグ細骨材、電気炉酸化スラグ骨材等であってよい。
本実施形態において、粗骨材は、5mmふるいに85質量%以上とどまる骨材であり、JIS A 5308、JIS A 5005、JIS A 5002及びJIS A 5011で定義することができる。粗骨材は、公知の細骨材を特に制限無く使用してよく、例えば、砕石、砂利、石灰砕石、再生骨材、軽量骨材、重量骨材、高炉スラグ粗骨材、電気炉酸化スラグ骨材等であってよい。
本実施形態に係るコンクリートは、セメント組成物、水及び骨材以外のその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、混和剤等であってよい。混和剤としては、例えば、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、AE剤、流動化剤、収縮低減剤、耐寒促進剤、増粘剤等が挙げられる。
以下に、本実施形態に係るコンクリートの好適な態様について説明する。
第一の態様に係るコンクリートは、単位体積当たりのセメント組成物の含有量が140~250kg/m、単位体積当たりの細骨材の含有量が500~800kg/m、単位体積当たりの粗骨材の含有量が1200~1800kg/m、セメント組成物の含有量Cに対する水の含有量Wの比(W/C)が質量比で0.5~0.8であるコンクリートである。このようなコンクリートは、一般的に富配合と称されるコンクリートであり、ダムの外部コンクリート等の用途で好適に用いられるものである。
第一の態様において、単位体積当たりの上述のセメント組成物の含有量は、圧縮強度の観点から、140kg/m以上が好ましく、150kg/m以上がより好ましく、160kg/m以上が更に好ましい。また、単位体積当たりの上述のセメント組成物の含有量は、セメントの水和熱抑制の観点から、250kg/m以下が好ましく、240kg/m以下がより好ましく、230kg/m以下が更に好ましい。
第一の態様において、単位体積当たりの細骨材の含有量は、分離抵抗性の確保の観点から、500kg/m以上が好ましく、510kg/m以上がより好ましく、520kg/m以上が更に好ましい。また、単位体積当たりの細骨材の含有量は、施工性確保の観点から、800kg/m以下が好ましく、700kg/m以下がより好ましく、600kg/m以下が更に好ましい。
第一の態様において、単位体積当たりの粗骨材の含有量は、分離抵抗性の確保の観点から、1200kg/m以上が好ましく、1300kg/m以上がより好ましく、1400kg/m以上が更に好ましい。また、単位体積当たりの粗骨材の含有量は、施工性確保の観点から、1800kg/m以下が好ましく、1700kg/m以下がより好ましく、1600kg/m以下が更に好ましい。
第一の態様において、上述のセメント組成物の含有量Cに対する水の含有量Wの比(W/C)は、圧縮強度の観点から、質量比で、0.5以上が好ましく、0.51以上がより好ましく、0.52以上が更に好ましい。また、上記比(W/C)は、分離抵抗性の確保の観点から、質量比で、0.8以下が好ましく、0.7以下がより好ましく、0.6以下が更に好ましい。
第二の態様に係るコンクリートは、単位体積当たりのセメント組成物の含有量が60kg/m以上140kg/m未満、単位体積当たりの細骨材の含有量が60~800kg/m、単位体積当たりの粗骨材の含有量が1300~1900kg/m、セメント組成物の含有量Cに対する水の含有量Wの比(W/C)が質量比で0.6~1.5であるコンクリートである。このようなコンクリートは、一般的に貧配合と称されるコンクリートであり、ダムの内部コンクリート等の用途で好適に用いられるものである。
第二の態様において、単位体積当たりの上述のセメント組成物の含有量は、圧縮強度の観点から、60kg/m以上が好ましく、105kg/m以上がより好ましく、110kg/m以上が更に好ましい。また、単位体積当たりの上述のセメント組成物の含有量は、セメントの水和熱抑制の観点から、140kg/m未満が好ましく、125kg/m以下がより好ましく、120kg/m以下が更に好ましい。
第二の態様において、単位体積当たりの細骨材の含有量は、分離抵抗性の確保の観点から、60kg/m以上が好ましく、300kg/m以上がより好ましく、600kg/m以上が更に好ましい。また、単位体積当たりの細骨材の含有量は、施工性確保の観点から、800kg/m以下が好ましく、750kg/m以下がより好ましく、700kg/m以下が更に好ましい。
第二の態様において、単位体積当たりの粗骨材の含有量は、分離抵抗性の確保の観点から、1300kg/m以上が好ましく、1500kg/m以上がより好ましく、1600kg/m以上が更に好ましい。また、単位体積当たりの粗骨材の含有量は、施工性確保の観点から、1900kg/m以下が好ましく、1750kg/m以下がより好ましく、1700kg/m以下が更に好ましい。
第二の態様において、上述のセメント組成物の含有量Cに対する水の含有量Wの比(W/C)は、圧縮強度の観点から、質量比で、0.6以上が好ましく、0.65以上がより好ましく、0.7以上が更に好ましい。また、上記比(W/C)は、分離抵抗性の確保の観点から、質量比で、1.5以下が好ましく、0.85以下がより好ましく、0.8以下が更に好ましい。
本実施形態に係るコンクリートにおいて、断熱温度上昇量の終局値Qは、強度を十分に発現させる観点から、10℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましい。また、断熱温度上昇量の終局値Qは、硬化後のひび割れを抑制する観点から、40℃以下が好ましく、35℃以下がより好ましく、30℃以下が更に好ましい。
断熱温度上昇量の終局値は、例えば、断熱温度上昇試験装置を用いてコンクリートの断熱温度上昇量を測定し、下記式(1)に近似することで求めることができる。
Figure 0007033528000001
式(1)中、Q(t)は材齢tにおける断熱温度上昇量[℃]、Qは断熱温度上昇量の終局値[℃]、tは材齢[d]、t0、Qは発熱開始材齢[d]、並びに、γAT及びSATは実験定数[d-1]を、それぞれ示す。
断熱温度上昇試験装置の形式は、特に限定されず、隔壁構造の循環経路を有する熱媒ジャケットを、断熱材を設けずに供試体に密着させ、供試体の中心温度に熱媒ジャケット内の熱媒の温度を追随させて、供試体を断熱状態に保ち、コンクリートの断熱温度上昇量を測定する形式のものであってよい。
(コンクリート硬化体)
本実施形態に係るコンクリート硬化体は、上述のコンクリートの硬化体である。コンクリートを硬化させる方法は、特に限定されず、例えば、水中養生、蒸気養生、炭酸ガス養生、封緘養生、湛水養生、断熱養生等であってよい。
(コンクリート構造物)
本実施形態に係るコンクリート構造物は、上述のコンクリート硬化体を備えている。コンクリート構造物としては、例えば、コンクリートダム、橋梁、都市構造物、その他マスコンクリート等が挙げられる。
本実施形態に係るコンクリート構造物は、コンクリート硬化体が、表面までの最短距離が0.8m以上の深層部を有していてよい。このような深層部は、表面からの放熱の影響をうけにくく、水和熱が蓄積しやすい。このため、上記深層部が存在する場合は、本発明の効果がより顕著に奏される。
本実施形態において、深層部とは、コンクリート硬化体の内部において、コンクリート硬化体の表面までの最短距離が一定の数値以上である点の集合体ということもできる。深層部からコンクリート硬化体の表面までの最短距離は、例えば0.8m以上であってよく、3m以上であってもよく、5m以上であってもよい。また、深層部からコンクリート硬化体の表面までの距離の上限は特に限定されず、当該距離は、例えば100m以下であってよく、50m以下であってもよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1、比較例1)
<コンクリート試料の配合>
表1に示す割合で、コンクリート試料を配合した。セメント組成物に、早強ポルトランドセメント(宇部三菱セメント株式会社製、「早強ポルトランドセメント」)と石灰石微粉末(吉澤石灰工業株式会社製、「タンカル」)とを用い、セメント組成物中の石灰石微粉末の割合を40%とするコンクリート試料を、試料Aとする(実施例1)。また、セメント組成物に、フライアッシュ混合率30%の中庸熱フライアッシュセメント(MF30、宇部三菱セメント株式会社製、「MF30」)を用い、石灰石微粉末を含有しないコンクリート試料を、試料Bとする(比較例1)。なお、表1中、Gmaxとは最大粗骨材寸法、VC値とは標準VC(Vibration Compaction Value)試験による硬練りコンクリートのコンシステンシー値、W/Cとはセメント組成物の含有量Cに対する水の含有量Wの比、G1とは粒径が40~80mmの粗骨材、G2とは粒径が20~40mmの粗骨材、G3とは粒径が5~20mmの粗骨材を示す。
Figure 0007033528000002
<断熱温度上昇試験>
コンクリート試料50lを、試料容器(内径:40cm、内高:40cm)に打設温度20℃で打設し、密閉した。次いで、この試料容器を、断熱温度上昇試験装置(株式会社マルイ製、「コンクリート断熱温度上昇測定装置」)の試験槽に設置し、断熱温度上昇量[℃]を材齢91日まで測定した。
測定した断熱温度上昇量から、下記式(1)を用いて、断熱温度上昇量の終局値[℃]を求めた。結果を表2に示す。
Figure 0007033528000003
式(1)中、Q(t)は材齢tにおける断熱温度上昇量[℃]、Qは断熱温度上昇量の終局値[℃]、tは材齢[d]、t0、Qは発熱開始材齢[d]、並びに、γAT及びSATは実験定数を、それぞれ示す。
Figure 0007033528000004
表2に示すとおり、セメント組成物中の早強ポルトランドセメントのうち一定量を石灰石微粉末で置き換えると、断熱温度上昇量の終局値を低下させることができた。
<温度応力解析>
温度応力解析プログラムソフト(株式会社計算力学研究センター製、「ASTEA MACS」)を用いて、コンクリート試料の温度応力解析を行い、ひび割れ指数を求めた。結果を図1に示す。なお、ひび割れ指数とは、コンクリートの引張強度に対する引張応力の比であり、その値が小さいほどひび割れの発生確率が高いことを意味する。以下、解析条件を示す。
図1(a)は、実施例1の温度応力解析によるひび割れ指数を示し、図1(b)は、比較例1の温度応力解析によるひび割れ指数を示す。
(実施例2~4)
<コンクリート試料の配合>
表3に示す割合で、コンクリート試料を配合した。セメント組成物に、早強ポルトランドセメント(宇部三菱セメント株式会社製、「早強ポルトランドセメント」)と石灰石微粉末(吉澤石灰工業株式会社製、「タンカル」)とを用い、セメント組成物中の石灰石微粉末の割合を20%、30%、40%とするコンクリート試料を、それぞれ試料A20、試料A30、試料A40とする。
Figure 0007033528000005
<断熱温度上昇試験>
上述の方法で断熱温度上昇試験を行い、断熱温度上昇量の終局値[℃]を求めた。結果を表4に示す。
Figure 0007033528000006
表4に示すとおり、セメント組成物中の石灰石微粉末の割合を高くすると、断熱温度上昇量の終局値をより低下させることができた。
(実施例5)
<コンクリート試料の配合>
表5に示す割合で、コンクリート試料を配合した。セメント組成物に、早強ポルトランドセメント(宇部三菱セメント株式会社製、「早強ポルトランドセメント」)と石灰石微粉末(吉澤石灰工業株式会社製、「タンカル」)とを用い、セメント組成物中の石灰石微粉末の割合を40%とした。
Figure 0007033528000007
(比較例2)
<コンクリート試料の配合>
セメント組成物を、フライアッシュ混合率30%の中庸熱フライアッシュセメント(MF30、宇部三菱セメント株式会社製、「MF30」)に変更したこと以外は、実施例5と同様にしてコンクリート試料を配合した。
<断熱温度上昇試験>
実施例5及び比較例2のセメント組成物について、上述の方法で断熱温度上昇試験を行い、断熱温度上昇量の終局値[℃]を求めた。結果を表6に示す。
Figure 0007033528000008
(実施例6)
<コンクリート試料の配合>
表7に示す割合で、コンクリート試料を配合した。セメント組成物に、早強ポルトランドセメント(宇部三菱セメント株式会社製、「早強ポルトランドセメント」)と石灰石微粉末(吉澤石灰工業株式会社製、「タンカル」)とを用い、セメント組成物中の石灰石微粉末の割合を40%とした。なお、表7中、スランプとは、JIS A 1101により測定されるスランプ値を示す。
Figure 0007033528000009
(比較例3)
<コンクリート試料の配合>
セメント組成物を、フライアッシュ混合率30%の中庸熱フライアッシュセメント(MF30、宇部三菱セメント株式会社製、「MF30」)に変更したこと以外は、実施例6と同様にしてコンクリート試料を配合した。
<断熱温度上昇試験>
実施例6及び比較例3のセメント組成物について、上述の方法で断熱温度上昇試験を行い、断熱温度上昇量の終局値[℃]を求めた。結果を表8に示す。
Figure 0007033528000010

Claims (4)

  1. セメント組成物と、水と、骨材とを含む、コンクリートであって、
    前記セメント組成物が、早強ポルトランドセメントと、石灰石微粉末と、を含有し、且つ、前記石灰石微粉末の含有量が、20~60質量%であり、
    前記骨材が、細骨材と粗骨材とを含み、
    単位体積当たりの前記セメント組成物の含有量が、140kg/m以上250kg/m以下であり、
    単位体積当たりの前記細骨材の含有量が、500~800kg/mであり、
    単位体積当たりの前記粗骨材の含有量が、1200~1800kg/mであり、
    前記セメント組成物の含有量Cに対する前記水の含有量Wの比(W/C)が、質量比で、0.5~0.8である、コンクリート。
  2. セメント組成物と、水と、骨材とを含む、コンクリートであって、
    前記セメント組成物が、早強ポルトランドセメントと、石灰石微粉末と、を含有し、且つ、前記石灰石微粉末の含有量が、20~60質量%であり、
    前記骨材が、細骨材と粗骨材とを含み、
    単位体積当たりの前記セメント組成物の含有量が、60kg/m以上140kg/m未満であり、
    単位体積当たりの前記細骨材の含有量が、60~800kg/mであり、
    単位体積当たりの前記粗骨材の含有量が、1300~1900kg/mであり、
    前記セメント組成物の含有量Cに対する前記水の含有量Wの比(W/C)が、質量比で、0.6~1.5である、コンクリート。
  3. 断熱温度上昇量の終局値Qが、10~40℃である、請求項1又は2に記載のコンクリート。
  4. 請求項のいずれか一項に記載のコンクリートの硬化体である、コンクリート硬化体。
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