JP7033444B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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そこで、発明者は、鋭意検討の結果、従来のSDBGプロセスにおいて、エキスパンドテープ70(第2接着シート)に貼付された保護テープ17(第1接着シート)付きの半導体チップから、当該第1接着シートを剥離して当該半導体チップの転写(以下、単に「転写」ともいう)を行うと、半導体チップは、単に相互に接触しているだけではなく、第2接着シート上で相互に押し合いを起こし、その結果、チッピング現象を助長するSDBGプロセス特有の不都合が発生することをつきとめた。このような働きは、半導体ウエハを研削後、当該半導体ウエハに振動等の外力を付与して半導体チップを形成するSDBGプロセスの場合も同様に起り得る。
このチッピング現象を助長する働きを図3を用いて説明すると、従来のSDBGプロセスにおけるテープ貼付工程(第2シート貼付工程)では、図3(A)に示すように、第2接着シートAS2は、貼付後に弛まないように所定の張力F1が付与されつつ、半導体チップCPとリングフレームRFとの両方に、同時に貼付される。その結果、第2接着シートAS2は、縮もうとしながら半導体チップCPとリングフレームRFとに貼付されるが、半導体チップCPには複数個に跨って第1接着シートAS1が貼付されているため、この縮もうとする力は、当該第1接着シートASの抗力によって封じられ、図3(B)に示すように、内部応力F2となって第2接着シートAS2に残留した状態となる。このような状態で、半導体チップCPから第1接着シートAS1を剥離すると、当該第1接着シートASによって封じられていた第2接着シートAS2の内部応力F2が解放され、図3(C)に示すように、第2接着シートAS2上で半導体チップCPが相互に押し合いを起こし、当該押し合いによってチッピング現象CGを助長するようになるからである。
ここで、例えば、特許文献2に記載されているようなブレードを用いて溝を形成する通常のダイシングプロセスや、所謂DBG(Dicing Before Grinding)プロセス(以下、単に「DBGプロセス」ともいう)等では、転写を行っても、半導体チップの相互間隔(カーフ幅)が30~40μm程度あるため、上述のSDBGプロセス特有の不都合を発生することはなかった。
また、例えば、特許文献3に記載されているような半導体ウエハを研削した後に改質層を形成し、当該半導体ウエハに張力を付与して半導体チップを形成する所謂ステルスダイシングプロセスでは、改質層を形成した後に当該改質層間隔を広げて半導体チップを形成するため、これもまた上述のSDBGプロセス特有の不都合を発生することはなかった。
なお、例えば、特許文献4には、ウエハWF(半導体チップ)に接着シートAS(第2接着シート)を貼付する工程の前段において、当該第2接着シートの外縁にリングフレームRF(支持部材)を貼付する工程を実施する方法が開示されているが、上述のSDBGプロセス特有の不都合を解消する方法を提示したものではない。
さらに、研削工程にてチップ形成工程をも実施すれば、半導体装置の製造工程を簡略化することができる。
また、間隔拡張工程を実施すれば、万が一、チップ形成工程で隣接する半導体チップと繋がったままの半導体チップがあった場合にでも、それらを引き離すことができる。
さらに、張力付与工程を実施すれば、支持部材取付工程で支持部材に取り付けた第2接着シートの張力が不足していても、当該第2接着シートの張力を上昇させ、所定の張力の第2接着シートを半導体チップに貼付することができる。
また、張力緩和工程を実施すれば、支持部材取付工程で支持部材に取り付けた第2接着シートの張力が過剰であったとしても、当該第2接着シートの張力を低下させ、所定の張力の第2接着シートを半導体チップに貼付することができる。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な図1中手前方向から観た場合を基準とし、図を指定することなく方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸と平行な図1中手前方向で「後」がその逆方向とする。また、図1~図3は、各図の(A)に記載した方向と同じ方向から観た図なので、各図の(A)以外における方向を示す矢印は省略する。
なお、支持部材取付工程PC5は、第2シート貼付工程PC6の前段であればどの段階で実施してもよく、例えば、第1シート貼付工程PC1の前段で実施してもよいし、第1シート貼付工程PC1と改質層形成工程PC2との間で実施してもよいし、改質層形成工程PC2と研削工程PC3との間で実施してもよいし、研削工程PC3とチップ形成工程PC4との間で実施してもよいし、第1シート貼付工程PC1と同時期に実施してもよいし、改質層形成工程PC2と同時期に実施してもよいし、研削工程PC3と同時期に実施してもよいし、チップ形成工程PC4と同時期に実施してもよい。
一方、検査対象物EX2に対しては、本発明転写法を適用し、図2(B-2)、(B-3)に示すように、支持部材取付工程PC5、第2シート貼付工程PC6および第1シート剥離工程PC7を経て、第2接着シートAS2上に複数のチップCPが転写されたサンプルSP2を作成した。
なお、従来転写法において、チップCPとリングフレームRFとの両方に、同時に第2接着シートAS2を貼付した際、当該第2接着シートAS2に付与した張力と、本発明転写法において、リングフレームRFに第2接着シートAS2を貼付した際、当該第2接着シートAS2に付与した張力とは、同じ張力となっている。
このような張力付与工程PC9は、第2接着シートAS2として、所定の第1エネルギーとしての紫外線が付与されることで収縮するものを採用し、第1エネルギー付与手段としての発光源91で紫外線を発光し、リングフレームRFに貼付された第2接着シートAS2に当該紫外線を付与する。紫外線は、発光源91とリングフレームRFに貼付された第2接着シートAS2との一方の移動を規制した状態で他方を移動させたり、それら両方を移動させたり、それら両方の移動を規制した状態で第2接着シートAS2に付与される。
このような張力緩和工程PC10は、第2接着シートAS2として、所定の第2エネルギーとしての赤外線が付与されることで伸びるものを採用し、第2エネルギー付与手段としての発光源101で赤外線を発光し、リングフレームRFに貼付された第2接着シートAS2に当該赤外線を付与する。赤外線は、発光源101とリングフレームRFに貼付された第2接着シートAS2との一方の移動を規制した状態で他方を移動させたり、それら両方を移動させたり、それら両方の移動を規制した状態で第2接着シートAS2に付与される。
なお、張力緩和工程PC10は、支持部材取付工程PC5と張力付与工程PC9との間で実施してもよいし、張力付与工程PC9と第2シート貼付工程PC6との間で実施してもよいし、張力付与工程PC9と交互に繰り返して実施し、第2接着シートAS2に付与する張力が所定の張力となるようにしてもよい。
改質層形成手段は、レーザ光、電磁波、振動、熱、薬品、化学物質等の付与によって、ウエハWFの特性、特質、性質、材質、組成、構成、寸法等を変更することで、ウエハWFを脆弱化、粉砕化、液化または空洞化し、ウエハWFに直接的または間接的に外力を付与することで、当該ウエハが個片化する起点となればどのような改質層MLを形成してもよい。
支持部材は、環状または環状でないものが採用されてもよいし、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他の形状であってもよい。
前記実施形態において、ローラ等の回転部材が採用されている場合、当該回転部材を回転駆動させる駆動機器を備えてもよいし、回転部材の表面や回転部材自体をゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、回転部材の表面や回転部材自体を変形しない部材で構成してもよいし、押圧ローラや押圧ヘッド等の押圧手段や押圧部材といった被押圧物を押圧するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、ローラ、丸棒、ブレード材、ゴム、樹脂、スポンジ等の部材を採用したり、大気やガス等の気体の吹き付けにより押圧する構成を採用したりしてもよいし、押圧するものをゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、変形しない部材で構成してもよいし、剥離板や剥離ローラ等の剥離手段や剥離部材といった被剥離物を剥離するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、板状部材、丸棒、ローラ等の部材を採用してもよいし、剥離するものをゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、変形しない部材で構成してもよいし、支持(保持)手段や支持(保持)部材等の被支持部材を支持または保持するものが採用されている場合、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で被支持部材を支持(保持)する構成を採用してもよい。
AS2…第2接着シート
CP…半導体チップ
ML…改質層
PC1…第1シート貼付工程
PC2…改質層形成工程
PC3…研削工程
PC4…チップ形成工程
PC5…支持部材取付工程
PC6…第2シート貼付工程
PC7…第1シート剥離工程
PC8…間隔拡張工程
PC9…張力付与工程
PC10…張力緩和工程
RF…リングフレーム(支持部材)
WF…半導体ウエハ
Claims (4)
- 半導体ウエハの一方の面に第1接着シートを貼付する第1シート貼付工程と、
外力の付与により、前記半導体ウエハが個片化する起点となる改質層を当該半導体ウエハに形成する改質層形成工程と、
前記半導体ウエハの他方の面側から当該半導体ウエハを研削する研削工程と、
前記半導体ウエハに外力を付与し、当該半導体ウエハを個片化して半導体チップを形成するチップ形成工程と、
前記半導体チップの他方の面に第2接着シートを貼付する第2シート貼付工程と、
前記第2接着シートに貼付された前記半導体チップから前記第1接着シートを剥離する第1シート剥離工程とを有し、
前記第2シート貼付工程の前段において、前記第2接着シートにおける前記半導体チップが貼付される貼付予定領域の外側に、当該第2接着シートを介して前記半導体チップを支持する支持部材を取り付ける支持部材取付工程を実施し、
前記支持部材取付工程の後段であって、前記第2シート貼付工程の前段において、前記支持部材に取り付けられた前記第2接着シートに張力を付与する張力付与工程を実施することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 半導体ウエハの一方の面に第1接着シートを貼付する第1シート貼付工程と、
外力の付与により、前記半導体ウエハが個片化する起点となる改質層を当該半導体ウエハに形成する改質層形成工程と、
前記半導体ウエハの他方の面側から当該半導体ウエハを研削する研削工程と、
前記半導体ウエハに外力を付与し、当該半導体ウエハを個片化して半導体チップを形成するチップ形成工程と、
前記半導体チップの他方の面に第2接着シートを貼付する第2シート貼付工程と、
前記第2接着シートに貼付された前記半導体チップから前記第1接着シートを剥離する第1シート剥離工程とを有し、
前記第2シート貼付工程の前段において、前記第2接着シートにおける前記半導体チップが貼付される貼付予定領域の外側に、当該第2接着シートを介して前記半導体チップを支持する支持部材を取り付ける支持部材取付工程を実施し、
前記支持部材取付工程の後段であって、前記第2シート貼付工程の前段において、前記支持部材に取り付けられた前記第2接着シートの張力を緩和させる張力緩和工程を実施することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記チップ形成工程は、前記研削工程における前記半導体ウエハを研削する力を外力とし、当該研削工程にて実施されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記第1シート剥離工程の後段において、前記第2接着シートに張力を付与し、前記半導体チップの相互間隔を広げる間隔拡張工程を実施することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
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