JP7032192B2 - 側面衝撃対応の車体構造 - Google Patents
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Description
これにより、ピラーに対して他の自動車が当たる場合に、ピラーが内側へ曲がり難くなるように剛性を高めることができる。
そこで、サイドシルにおいても、ピラーと同様に、補強部材を設けることが考えられる。
しかしながら、サイドシルの内部に補強部材を設けた場合、サイドシルの剛性が変形し難くなるように高まる。その結果、ピラーに対して他の自動車が当たる場合に、ピラーとサイドシルとの接合部が剥がれてしまう可能性がある。
特に、車体では、衝撃が大きくなる可能性がある他の自動車がピラーに衝突する際の衝撃への対応性能を確保しつつ、サイドシルに対して直接的に衝撃が入力される場合への対応性能を高めることが求められている。
補強部材は、たとえば、ピラーについてのサイドシルの外側に重なる基部とサイドシルの上部との接合位置より下側となるように、中空の閉断面構造のサイドシルの下部に設けられる。
よって、サイドシルから上向きに立設することで車室の側面において立設されるピラーに対して他の自動車が衝突し、ピラーを内側へ曲げるように側面から入力がある場合、ピラーおよびサイドシルの上部は、補強部材が設けられていない場合と同様に内側へ変形して衝撃を吸収することができる。
これに対して、仮にたとえばサイドシルの中空の上部に補強部材が設けられる場合、サイドシルは側面入力があっても内側へ変形し難くなる。その結果、ピラーが内側へ変形しようとする際に、内側へ変形し難いサイドシルからピラーが外れてしまう可能性がある。
また、中空の閉断面構造のサイドシルの下部には、補強部材を設け、クロスメンバは、サイドシルの下部の内側に隣接してまたは近接して設けられ、補強部材についての車幅方向の内側に位置する。
よって、たとえば電柱などがサイドシルに直接に衝突することでサイドシルが内側へ移動するように変形する場合、その変形を補強部材により抑えることができる。しかも、側面からの衝撃の一部を、補強部材を通じてクロスメンバへ効果的に逃がすことができる。
その結果、本発明では、車体の側面に対して他の自動車が衝突した場合での衝撃吸収性能を好適に確保しつつ、サイドシルに対して直接的に衝撃が入力される場合への対応性能を高めることができる。
図1の自動車1は、車両の一例である。自動車1は、車体2の中央部に、乗員が乗車する車室3を有する。
サイドシル11は、車室3の外縁に沿ってフロアパネル16の高さにおいて前後方向に延在する。
ルーフレール12は、車室3の外縁に沿ってルーフの高さにおいて前後方向に延在する。
Aピラー13は、Bピラー14、およびCピラー15は、車体2の側面において前後方向に並べて上下方向に延在する。
Aピラー13は、Bピラー14、およびCピラー15は、サイドシル11とルーフレール12とに連結される。
Aピラー13とBピラー14との間には、図示外の前ドアが開閉可能に配置される。
Bピラー14とCピラー15との間には、図示外の後ドアが開閉可能に配置される。
乗員は、前ドアまたは後ドアを開閉して、車室3に乗降する。
バッテリモジュール20は、左右のサイドシル11の間に収まる略立方体形状のモジュールケース21を有する。モジュールケース21内には、車幅方向に延在する複数のモジュールクロスメンバ22を有する。バッテリモジュール20は、複数のモジュールクロスメンバ22により、車体2の床面の下側に取り外し可能に取り付けられる。車体2に取り付けられたモジュールクロスメンバ22は、左右のサイドシル11の間に位置することで、車体2のクロスメンバとして機能し得る。
自動車1の車体2は、各種の衝突において、車室3に乗っている乗員を保護できるようにすることが望ましい。
図2において、他の自動車61の車体2は、左方向から車体2の左側面へ向かって衝突する。
この場合、車体2では、他の自動車61のフロントバンパーの高さ位置にあるBピラー14に衝撃が入力される。
このため、車体2では、Bピラー14が内側へ曲がって車室3へ入り込み難くなるように、Bピラー14の内部に補強部材18を設けることがある。
図3では、右方向へ滑るように移動する車体2の左側面に電柱62が衝突する。
この場合、電柱62は、Bピラー14から前後にずれた位置において、サイドシル11に衝突する可能性がある。
このため、車体2では、Bピラー14と同様に、サイドシル11の内部に補強部材18を設けることが考えられる。
すなわち、たとえばサイドシル11の内部に補強部材18を設けた場合、当然にサイドシル11の剛性は変形し難くなるように高まる。
その結果、Bピラー14に対して他の自動車61が衝突する場合に、Bピラー14の基部42とサイドシル11との溶接などによる接合部43に対して未対策の場合よりも大きな力が作用し、接合部43が剥がれて破断してしまう可能性が高まる。
このように車体2では、側面に対する複数種類の衝撃入力に対して好適に対応できるようにすることが求められている。
図4(A)は、車体2の構造を前方から見た説明図である。図4(B)は、車体2の構造を前上方から見た説明図である。
図4には、車体2の構造の骨格部材として、サイドシル11、Bピラー14、フロアクロスメンバ17、バッテリモジュール20のモジュールクロスメンバ22、が図示されている。
内側ハット部材31および外側ハット部材32は、断面が略ハット形の長尺鋼材である。中央板33は、板状の長尺鋼材である。
内側ハット部材31と外側ハット部材32とは、中央板33を間に挟んでハット形状が向かい合うように重ねて、たとえばスポット溶接により互いに接合される。これにより、断面の外形が略四角形となる基本骨格部34が形成される。
サイドシル11は、内側ハット部材31が車体2の内側となるように、車室3の床面を構成するフロアパネル16の高さにおいて、車室3の外縁に沿って前後方向に延在させて設けられる。
下突出部35は、たとえば外側ハット部材32のハット形状部分を、内側ハット部材31より下へ突出させることにより形成できる。
この場合、サイドシル11は、下突出部35を含めた全体が、中空の閉断面構造となる。
下突出部35は、断面外形が略四角形のサイドシル11の基本骨格部34の車幅方向の幅より狭い幅で、基本骨格部34から下向きに突出する。
下突出部35は、サイドシル11の略前後長さに併せて、車体2の前後方向に延在するように形成される。
下突出部35は、フロアクロスメンバ17の高さ位置より下側へ向けて、または車室3のフロアパネル16の高さ位置より下側へ向けて下向きに突出する。
また、断面外形が略四角形のサイドシル11には、下突出部35の内側に、本体下面36が形成される。
基部42の外側部分は、サイドシル11の基本骨格部34の外側に被さる状態で、サイドシル11の基本骨格部34の上部外面と、たとえばスポット溶接により接合される。
基部42の内側部分は、サイドシル11の基本骨格部34の内側に被さる状態で、サイドシル11の基本骨格部34の上部内面と、たとえばスポット溶接により接合される。
これにより、Bピラー14は、サイドシル11に基部42が接合された状態で、サイドシル11から上向きに立設する。
モジュールクロスメンバ22は、たとえばフロアクロスメンバ17の下側に重ねて、フロアクロスメンバ17とネジ56によりねじ止めされる。
取り付けた状態においてモジュールクロスメンバ22の端部は、サイドシル11の下突出部35の内側に隣接してまたは近接して位置する。モジュールクロスメンバ22は、車体2の両側に設けられる一対のサイドシル11の下突出部35の間において、車幅方向に延在する。
この場合、モジュールクロスメンバ22の端面は、サイドシル11の下突出部35の内面と対向する荷重受面51として機能する。
また、モジュールクロスメンバ22の端面である荷重受面51の高さは、サイドシル11の下突出部35の内面より一回り小さい。これにより、サイドシル11が内側へ向かって変形する場合、モジュールクロスメンバ22はその端面である荷重受面51の全体に対してサイドシル11が当たることになる。
内側へ向かって変形しようとするサイドシル11の荷重は、モジュールクロスメンバ22の端面の全体に作用できる。
これに対し、モジュールクロスメンバ22の端面である荷重受面51の一部に荷重が作用する場合には、モジュールクロスメンバ22の荷重受面51が部分的に変形し、モジュールクロスメンバ22が軸方向の入力に対して有する剛性を、サイドシル11の荷重を受けるために利用し難くなる。なお、モジュールクロスメンバ22の荷重受面51の高さがサイドシル11の下突出部35の内面の高さ以下であれば、同様の効果を期待できると考えられる。
補強部材18は、サイドシル11の下突出部35に収まるサイズの断面略四角形の鋼材である。補強部材18は、サイドシル11の前端から後端までの全体にかけて前後方向に沿って延在するように長尺に形成される。
このように、補強部材18を、閉断面構造のサイドシル11の内部の全体にではなく、基本骨格部34を除いたサイドシル11の下部である下突出部35のみの内部に設けることにより、サイドシル11の基本骨格部34は、補強部材18が無い場合と同様に変形することができる。
また、補強部材18は、Bピラー14の基部42とサイドシル11の上部外面との接合部43の位置より下側に収まる。
サイドシル11の下突出部35およびそこに収まる補強部材18は、モジュールクロスメンバ22と、ネジ56によりねじ止めにより連結される。これにより、サイドシル11は、初期変形においてモジュールクロスメンバ22の上下へずれるように内側へ変形し難くなる。
また、モジュールクロスメンバ22は、下突出部35の内側に位置する本体下面36において、サイドシル11の基本骨格部34の下側に、ネジ56によりねじ止めされる。
このようにモジュールクロスメンバ22とサイドシル11とを、サイドシル11の変形方向に対して交差する方向でねじ止めすることにより、サイドシル11が変形し始めた後において、モジュールクロスメンバ22の位置を、サイドシル11の下突出部35の内側に維持することができる。
しかも、サイドシル11が変形しようとする場合には、サイドシル11をモジュールクロスメンバ22の端面である荷重受面51の全体に当たるように変形させ、さらにサイドシル11が変形しようする場合にはサイドシル11をモジュールクロスメンバ22により支えて、サイドシル11そのものが内側へ向けて大きく変形してしまうことを抑制できる。サイドシル11に対して入力される力の一部は、モジュールクロスメンバ22に伝わり、モジュールクロスメンバ22から逃がすことができる。
図5(A)に示すように、他の自動車61は、バンパーの高さ位置において、Bピラー14に衝突する。
これにより、Bピラー14は、ルーフレール12とサイドシル11との間で内側へ向けて折れるように変形し始める。
変形し始めたBピラー14が他の自動車61の荷重によりさらに内側へ向けて変形する場合、図5(B)に示すように、Bピラー14の基部42と接合されたサイドシル11では、その上部の基本骨格部34が内上方向へ向けて引き上げられるように変形する。
これにより、Bピラー14は、その基部42とサイドシル11との接合が破断しない状態のまま、内側へ向けて変形することができる。
図6の比較例は、図5(B)に対応する変形状態である。
比較例の補強部材60は、断面外形が略四角形となる閉断面構造のサイドシル11の外側部分の全体に収まるように設けられる。
この比較例の場合、補強部材60が設けられることにより、サイドシル11の剛性が上がり、図4のように電柱62がサイドシル11に直接あたる場合でも、サイドシル11が内側へ向けて変形し難くなる。
しかしながら、Bピラー14の基部42と接合されるサイドシル11の上部の剛性も補強部材60により向上している。
このため、図6に示すように他の自動車61がBピラー14に衝突する場合、サイドシル11の上部は、Bピラー14の変形につられて内側へ向けて変形し難くなる。
その結果、Bピラー14の基部42とサイドシル11との接合部43に過大な引っ張り力が作用し、接合部43が破断し易くなる。
補強部材18は、たとえば、Bピラー14についてのサイドシル11の外側に被さる基部42とサイドシル11の上部外面との接合部43の位置より下側となるように、中空の閉断面構造のサイドシル11の下部に設ける。
よって、サイドシル11に基部42が接合された状態でサイドシル11から上向きに立設することで車室3の側面において立設されるBピラー14に対して他の自動車61が衝突し、Bピラー14を内側へ曲げるように側面から入力がある場合、Bピラー14およびサイドシル11の上部は、補強部材18が設けられない状態と同様に内側へ変形して衝撃を吸収することができる。
これに対して、仮にたとえばサイドシル11の中空の上部についても前後方向に沿って延在する補強部材18を設けた場合、側面入力に対してサイドシル11は全体的に内側へ変形し難くなる。その結果、ピラーが内側へ変形しようとする際に、サイドシル11とBピラー14の基部42との接合が破断して、内側へ変形し難いサイドシル11からピラーが剥がれてしまう可能性がある。
また、中空の閉断面構造のサイドシル11の下部には、補強部材18を設け、モジュールクロスメンバ22についての車幅方向の端面は、サイドシル11の下突出部35の内側に隣接してまたは近接して設けられ、補強部材18についての車幅方向の内側に位置する。よって、たとえば電柱62などがサイドシル11に直接に衝突することでサイドシル11が内側へ移動するように変形する場合、その変形を補強部材18およびモジュールクロスメンバ22により抑えることができる。側面からの衝撃を、モジュールクロスメンバ22へ効果的に逃がすことができる。
その結果、本実施形態では、車体2の側面に対して他の自動車61が衝突した場合にはBピラー14がサイドシル11から外れてしまうことを抑制してその衝撃をBピラー14およびサイドシル11の変形により吸収でき、しかも、車体2の側面のサイドシル11に対して直接に電柱62などが衝突した場合にはその衝撃を、補強部材18を通じてモジュールクロスメンバ22へ効果的に逃がすことができる。衝撃が大きくなる可能性がある他の自動車61がBピラー14に当たる際の衝撃への対応性能を好適に確保しつつ、それ以外の側面への衝撃入力に対しても好適に対応することができる。
そして、図7に示す各変形例においても、本実施形態と同様の効果を期待できる。
Claims (9)
- 車体の車室の外縁に沿ってフロアパネルの高さにおいて前後方向に延在するサイドシルと、
前記サイドシルから上向きに立設するピラーと、
前記サイドシルの内側において車幅方向に延在するように前記フロアパネルの下側に設けられるクロスメンバと、
を有し、
前記サイドシルを中空の閉断面構造に形成して、中空の前記サイドシルの上部を除いた下部に補強部材を設け、
前記クロスメンバは、前記補強部材についての車幅方向の内側に位置するように、前記サイドシルの下部の内側に隣接してまたは近接して設けられる、
側面衝撃対応の車体構造。
- 前記サイドシルは、下向きに突出する下突出部を有する中空の閉断面構造に形成され、
前記補強部材は、前記下突出部に設けられる、
請求項1記載の側面衝撃対応の車体構造。
- 前記クロスメンバは、前記フロアパネルの下側に取り外し可能に取り付けられるバッテリモジュールに設けられるモジュールクロスメンバである、
請求項1または2記載の側面衝撃対応の車体構造。
- 前記モジュールクロスメンバは、前記サイドシルについての前記補強部材が設けられる下部の内面または前記サイドシルにおいて下向きに突出する下突出部の内面に隣接してまたは近接する位置に、前記内面と対向する荷重受面を有する、
請求項3記載の側面衝撃対応の車体構造。
- 前記モジュールクロスメンバの前記荷重受面の高さは、前記内面の高さ以下である、
請求項4記載の側面衝撃対応の車体構造。
- 前記サイドシルは、前記サイドシルにおいて下向きに突出して前記補強部材が設けられる下突出部の内側に、本体下面を有し、
前記モジュールクロスメンバは、前記本体下面の下側において前記下突出部の内面に隣接してまたは近接する端面を有する、
請求項3から5のいずれか一項記載の側面衝撃対応の車体構造。
- モジュールクロスメンバは、前記サイドシルの内部に設けられる前記補強部材と、前記サイドシルの前記本体下面とに、連結される、
請求項6記載の側面衝撃対応の車体構造。
- 前記車体は、車幅方向に延在するように前記車体に固定されるフロアクロスメンバを有し、
前記バッテリモジュールの前記モジュールクロスメンバは、前記フロアクロスメンバの下側に取り外し可能に取り付けられる、
請求項3から7のいずれか一項記載の側面衝撃対応の車体構造。
- 前記ピラーは、前記サイドシルの外側に被さる基部を有し、
前記基部は、前記サイドシルの上部と接合され、
前記補強部材は、前記基部と前記サイドシルとの接合位置より下側となる下部に設けられる、
請求項1から8のいずれか一項記載の側面衝撃対応の車体構造。
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