JP7024802B2 - 光学ガラス、光学ガラスを備える光学素子、レンズ鏡筒、顕微鏡用対物レンズ、光学装置 - Google Patents

光学ガラス、光学ガラスを備える光学素子、レンズ鏡筒、顕微鏡用対物レンズ、光学装置 Download PDF

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Description

本発明は、光学ガラス、光学ガラスを用いた光学素子及び光学装置に関する。本発明は2018年1月18日に出願された日本国特許の出願番号2018-006394の優先権を主張し、文献の参照による織り込みが認められる指定国については、その出願に記載された内容は参照により本出願に織り込まれる。
低屈折率・低分散性を有する蛍石は、光学装置における光学系のレンズ材料として使用される。蛍石は、例えば、特許文献1に示されるような坩堝降下法(ブリッジマン法)により製造される。
特開2005-330156号公報
本発明の第一の態様は、カチオンのモル%表示で、Al3+の含有率が30~40%、P5+の含有率が1~15%、La3+の含有率が0.83~5%、Mg2+の含有率が5~8.16%、Li の含有率が0.23~3%であり、かつ、アニオンのモル%表示で、O2-の含有率が5~16%、Fの含有率が84~95%であり、かつ、リン原子の数に対する酸素原子の数の比(O/P)が3.1以上3.4未満である、光学ガラスである。また、本発明の第二の態様は、カチオンのモル%表示で、Al3+の含有率が30~40%、P5+の含有率が1~15%、La3+の含有率が0.83~5%、Ba2+の含有率が3~7.35%、Li の含有率が0.23~3%であり、かつ、アニオンのモル%表示で、O2-の含有率が5~16%、Fの含有率が84~95%であり、かつ、リン原子の数に対する酸素原子の数の比(O/P)が3.1以上3.4未満である、光学ガラスである。
本発明の第三の態様は、第一の態様又は第二の態様の光学ガラスを備える、光学素子である。本発明の第四の態様は、第三の態様の光学素子を備える、レンズ鏡筒である。本発明の第五の態様は、第三の態様の光学素子を備える、顕微鏡用対物レンズである。
本発明の第の態様は、第三の態様の光学素子を備える、光学装置である。
本実施形態に係る撮像装置の斜視図である。 本実施形態に係る多光子顕微鏡の構成の例を示すブロック図である。 各実施例及び各比較例のO/Pに対するλ80値をプロットした図である。
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本明細書中において、特に断りがない場合、各成分の含有量は、カチオンのモル%表示、及びアニオンのモル%表示で示される。ここでいうカチオンのモル%、及びアニオンのモル%とは、ガラス中に含まれるカチオン成分の総量とアニオン成分の総量をそれぞれ100モル%とするものである。ガラス構成成分の原料として使用される炭酸塩、水酸塩、硝酸塩、含水塩等の複合塩は、熔解時に全て分解されて酸化物及び/又はフッ化物に変化すると仮定している。なお、複合塩の分解によって生じるガス成分はガラス構成成分として考慮しない。
本実施形態に係る光学ガラスは、カチオンのモル%表示で、Al3+が30~40%、P5+が1~15%であり、かつ、アニオンのモル%表示で、O2-が5~16%、Fが84~95%であり、かつ、リン原子の数に対する酸素原子の数の比(O/P)が3.4未満である、光学ガラスである。本実施形態によれば、フツリン酸塩系光学ガラスにおいて、低屈折率・低分散の光学恒数を有し、紫外及び可視光透過率の良好な光学ガラスとすることが可能となる。
例えば、蛍石はブリッジマン法により製造されるが、一度に製造できる量が限られ、時間もかかるため、大量生産に不向きであるといった問題がある。また、蛍石は、劈開性を有するため、機械的強度が乏しく、加工が困難であるという問題もある。これらの点について、本実施形態に係る光学ガラスは、蛍石相当の低屈折率・低分散性を有していながら、蛍石が抱える上記のような問題も解消できる。
(カチオン成分)
Al3+は光学ガラスの耐失透性を向上させる効果がある。その含有量が少ないと光学ガラスが失透しやすくなるが、過剰に導入しても光学ガラスが失透しやすくなる。かかる観点から、Al3+の含有量は、30~40%であり、好ましくは32~38%であり、より好ましくは34~37%である。
5+は光学ガラスの耐失透性を向上させる効果がある。その含有量が少ないと光学ガラスが失透しやすくなるが、過剰に導入すると分散が大きくなりすぎてしまう。かかる観点から、P5+の含有量は、1~15%であり、好ましくは3~12%であり、より好ましくは5~10%である。
本実施形態では、例えば、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Zn2+、Y3+、La3+、Gd3+、Zr4+等の成分を適宜含有することができる。
Liは、光学ガラスの熔解性を高める効果を有するが、過剰に導入すると耐失透性が低下することに加え、成形時におけるガラスの粘性が低下し、ガラスの成形が困難となる傾向にある。かかる観点から、Liの含有量は、好ましくは0~3%であり、より好ましくは0~2%であり、更に好ましくは0~1%である。
Naは、光学ガラスの熔解性を高める効果を有するが、過剰に導入すると耐失透性が低下することに加え、成形時におけるガラスの粘性が低下し、ガラスの成形が困難となる傾向にある。かかる観点から、Naの含有量は、好ましくは0~3%であり、より好ましくは0~2%であり、更に好ましくは0~1%である。
は、光学ガラスの熔解性を高める効果を有するが、過剰に導入すると耐失透性が低下することに加え、成形時におけるガラスの粘性が低下し、ガラスの成形が困難となる傾向にある。かかる観点から、Kの含有量は、好ましくは0~2%であり、より好ましくは0~1.5%であり、更に好ましくは0~1%である。
Mg2+は、光学ガラスの耐失透性を向上させる効果がある。その含有量が少なすぎると耐失透性を向上させる効果を十分に得ることができない。また、過剰に導入すると屈折率が低下し、かえって耐失透性も低下する傾向にある。かかる観点から、Mg2+の含有量は、好ましくは5~10%であり、より好ましくは6~9%であり、更に好ましくは7~8%である。
Ca2+は、光学ガラスの耐失透性を向上させる効果がある。その含有量が少なすぎると耐失透性を向上させる効果を十分に得ることができない。また、過剰に導入すると屈折率が低下し、かえって耐失透性も低下する傾向にある。かかる観点から、Ca2+の含有量は、好ましくは20~30%であり、より好ましくは22~28%であり、更に好ましくは23~25%である。
Sr2+は、光学ガラスの屈折率を高め、耐失透性を向上させる効果がある。その含有量が少なすぎると、屈折率を高める効果と耐失透性を向上させる効果を十分に得ることができない。また、過剰に導入すると分散性が大きくなりすぎてしまい、かえって耐失透性も低下する傾向にある。かかる観点から、Sr2+の含有量は、好ましくは10~20%であり、より好ましくは12~18%であり、更に好ましくは14~17%である。
Ba2+は、光学ガラスの屈折率を高め、耐失透性を向上させる効果がある。その含有量が少なすぎると、屈折率を高める効果と耐失透性を向上させる効果を十分に得ることができない。また、過剰に導入すると分散性が大きくなりすぎてしまい、かえって耐失透性も低下する傾向にある。かかる観点から、Ba2+の含有量は、好ましくは3~10%であり、より好ましくは4~9%であり、更に好ましくは5~8%である。
Zn2+は、光学ガラスの耐失透性を向上させる効果がある。しかしながら、過剰に導入すると分散性が大きくなりすぎる傾向にある。かかる観点から、Zn2+の含有量は、好ましくは0~3%であり、より好ましくは0~2%であり、更に好ましくは0~1%である。
3+は、光学ガラスの低分散性を維持しつつ屈折率を高めるとともに、原料の熔解性を維持し液相温度の上昇を抑制し、光学ガラスの耐失透性を向上させる効果を有する。しかしながら、過剰に導入するとガラス原料の熔解性が悪化し、かつ液相温度が上昇してガラスの耐失透性を低下させる傾向にある。かかる観点から、Y3+の含有量は、好ましくは0~5%であり、より好ましくは0~3%であり、更に好ましくは0~2%であり、より更に好ましくは0~1%である。
La3+は、光学ガラスの低分散性を維持しつつ屈折率を高めるとともに、原料の熔解性を維持し液相温度の上昇を抑制し、光学ガラスの耐失透性を向上させる効果を有する。しかしながら、過剰に導入するとガラス原料の熔解性が悪化し、かつ液相温度が上昇してガラスの耐失透性を低下させる傾向にある。かかる観点から、La3+の含有量は、好ましくは0~5%であり、より好ましくは0~3%であり、更に好ましくは0~2%であり、より更に好ましくは0~1%である。
Gd3+は、光学ガラスの低分散性を維持しつつ屈折率を高めるとともに、原料の熔解性を維持し液相温度の上昇を抑制し、光学ガラスの耐失透性を向上させる効果を有する。しかしながら、過剰に導入するとガラス原料の熔解性が悪化し、かつ液相温度が上昇してガラスの耐失透性を低下させる傾向にある。かかる観点から、Gd3+の含有量は、好ましくは0~5%であり、より好ましくは0~3%であり、更に好ましくは0~2%であり、より更に好ましくは0~1%である。
Zr4+は、光学ガラスの屈折率を高め、分散を抑えるとともに、耐失透性を向上させる効果を有する。しかしながら、過剰に導入すると分散性が大きくなりすぎてしまい、耐失透性も低下する傾向にある。かかる観点から、Zr4+の含有量は、好ましくは0~1%である。
上述した成分についての好適な含有量の組み合わせとしては、Mg2+が5~10%、Ca2+が20~30%、Sr2+が10~20%、Ba2+が3~10%である。また、Liが0~3%、Naが0~3%、Kが0~2%、Zn2+が0~3%である。また、Y3+が0~5%、La3+が0~5%、Gd3+が0~5%、Zr4+が0~1%である。
(アニオン成分)
アニオン成分であるO2-とFは、光学ガラスの屈折率、分散性、安定性等に寄与する。光学ガラスの分散と屈折率の観点から、アニオンのモル%表示でO2-は、5~16%であり、好ましくは7~14%であり、より好ましくは9~12%である。光学ガラスの分散と屈折率の観点から、アニオンのモル%表示でFは84~95%であり、好ましくは86~93%であり、より好ましくは88~91%である。
リン原子の数に対する酸素原子の数の比(O/P)は、3.4未満であれば良好な紫外透過率を維持できるが、3.4以上であると内部透過率が80%となる波長(λ80)が長波長側へシフトし、紫外域の光透過性が悪化する。かかる観点から、O/Pは、3.4未満であり、好ましくは3.2以下であり、より好ましくは3.0以下である。なお、リン原子の数に対する酸素原子の数の比(O/P)とは、原子%(at.%)表示におけるリン(P)に対する酸素(O)の比と同等の意味である。
上記成分に限らず、本実施形態に係る光学ガラスの効果が得られる範囲でその他成分を添加することもできる。
本実施形態に係る光学ガラスの製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。また、製造条件は、適宜好適な条件を選択することができる。例えば、酸化物、フッ化物等の原料を目標組成となるように調合し、好ましくは850~1150℃、より好ましくは950~1050℃にて熔解し、攪拌することで均一化し、泡切れを行った後、金型に流し成形する製造方法等を採用できる。このようにして得られた光学ガラスは、必要に応じてリヒートプレス等を行って所望の形状に加工し、研磨等を施すことで、所望の光学素子とすることができる。
次に、本実施形態に係る光学ガラスの物性値について説明する。
本実施形態に係る光学ガラスは、低屈折率・低分散(アッベ数(ν)が大きい)である。本実施形態に係る光学ガラスのアッベ数(ν)は、好ましくは92~97であり、より好ましくは93~97であり、更に好ましくは94~97である。また、本実施形態に係る光学ガラスの屈折率(n)は、好ましくは1.41~1.45であり、より好ましくは1.42~1.45であり、更に好ましくは1.43~1.45である。そして、本実施形態に係る光学ガラスの物性として好適な組み合わせは、屈折率(n)が1.41~1.45の範囲であり、かつ、アッベ数(ν)が92~97の範囲にある。
光学系の紫外及び可視光透過率の観点から、本実施形態に係る光学ガラスにおける、光路長10mmにおける内部透過率が80%となる波長(λ80)は、好ましくは340nm以下であり、より好ましくは338nm以下であり、更に好ましくは336nm以下である。
また、本実施形態に係る光学ガラスにおける、光路長10mmにおける内部透過率が5%となる波長(λ)は、好ましくは300nm以下であり、より好ましくは298nm以下であり、更に好ましくは296nm以下である。
上述した観点から、本実施形態に係る光学ガラスは、例えば、光学機器が備える光学素子として好適に用いることができる。光学装置としては、とりわけ撮像装置や多光子顕微鏡として特に好適である。
<撮像装置>
図1に、本実施形態に係る光学ガラスを母材とするレンズ103(光学素子)を備えた撮像装置1(光学機器)を示す。撮像装置1はいわゆるデジタル一眼レフカメラであり、カメラボディ101のレンズマウント(不図示)にレンズ鏡筒102が着脱自在に取り付けられる。そして、該レンズ鏡筒102のレンズ103を通した光がカメラボディ101の背面側に配置されたマルチチップモジュール106のセンサチップ(固体撮像素子)104上に結像される。このセンサチップ104は、いわゆるCMOSイメージセンサー等のベアチップであり、マルチチップモジュール106は、例えばセンサチップ104がガラス基板105上にベアチップ実装されたCOG(Chip On Glass)タイプのモジュールである。
このようなデジタルカメラ等に用いられる光学系には、より高い解像度、軽量化、小型化が求められる。これらを実現するには光学系に高屈折率な光学ガラスを用いることが有効である。かかる観点から、本実施形態に係る光学ガラスは、かかる光学機器の部材として好適である。なお、本実施形態において適用可能な光学機器としては、上述した撮像装置に限らず、例えばプロジェクタ等も挙げられる。光学素子についても、レンズに限らず、例えばプリズム等も挙げられる。
<多光子顕微鏡>
図2は、本実施形態に係る多光子顕微鏡2の構成の例を示すブロック図である。多光子顕微鏡2は、光学素子として、対物レンズ206、集光レンズ208、結像レンズ210を備える。以下、多光子顕微鏡2の光学系を中心に説明する。
パルスレーザ装置201は、例えば、近赤外波長(約1000nm)であって、パルス幅がフェムト秒単位の(例えば、100フェムト秒の)超短パルス光を射出する。パルスレーザ装置201から射出された直後の超短パルス光は、一般に所定の方向に偏光された直線偏光となっている。
パルス分割装置202は、超短パルス光を分割し、超短パルス光の繰り返し周波数を高くして射出する。
ビーム調整部203は、パルス分割装置202から入射される超短パルス光のビーム径を、対物レンズ206の瞳径に合わせて調整する機能、試料Sから発せられる多光子励起光の波長と超短パルス光の波長との軸上の色収差(ピント差)を補正するために超短パルス光の集光及び発散角度を調整する機能、超短パルス光のパルス幅が光学系を通過する間に群速度分散により広がってしまうのを補正するために、逆の群速度分散を超短パルス光に与えるプリチャープ機能(群速度分散補償機能)等を有する。
パルスレーザ装置201から射出された超短パルス光は、パルス分割装置202によりその繰り返し周波数が大きくされ、ビーム調整部203により上記した調整が行われる。そして、ビーム調整部203から射出された超短パルス光は、ダイクロイックミラー204によりダイクロイックミラー205の方向に反射され、ダイクロイックミラー205を通過し、対物レンズ206により集光されて試料Sに照射される。このとき、走査手段(不図示)を用いることにより、超短パルス光を試料Sの観察面上に走査させてもよい。
例えば、試料Sを蛍光観察する場合には、試料Sの超短パルス光の被照射領域及びその近傍では、試料Sが染色されている蛍光色素が多光子励起され、赤外波長である超短パルス光より波長が短い蛍光(以下、「観察光」という。)が発せられる。
試料Sから対物レンズ206の方向に発せられた観察光は、対物レンズ206によりコリメートされ、その波長に応じて、ダイクロイックミラー205により反射されたり、あるいは、ダイクロイックミラー205を透過したりする。
ダイクロイックミラー205により反射された観察光は、蛍光検出部207に入射する。蛍光検出部207は、例えば、バリアフィルタ、PMT(photo multiplier tube:光電子増倍管)等により構成され、ダイクロイックミラー205により反射された観察光を受光し、その光量に応じた電気信号を出力する。また、蛍光検出部207は、超短パルス光が試料Sの観察面において走査されるのに合わせて、試料Sの観察面にわたる観察光を検出する。
一方、ダイクロイックミラー205を透過した観察光は、走査手段(不図示)によりデスキャンされ、ダイクロイックミラー204を透過し、集光レンズ208により集光され、対物レンズ206の焦点位置とほぼ共役な位置に設けられているピンホール209を通過し、結像レンズ210を透過して、蛍光検出部211に入射する。
蛍光検出部211は、例えば、バリアフィルタ、PMT等により構成され、結像レンズ210により蛍光検出部211の受光面において結像した観察光を受光し、その光量に応じた電気信号を出力する。また、蛍光検出部211は、超短パルス光が試料Sの観察面において走査されるのに合わせて、試料Sの観察面にわたる観察光を検出する。
なお、ダイクロイックミラー205を光路から外すことにより、試料Sから対物レンズ206の方向に発せられた全ての観察光を蛍光検出部211で検出するようにしてもよい。
また、試料Sから対物レンズ206と逆の方向に発せられた観察光は、ダイクロイックミラー212により反射され、蛍光検出部213に入射する。蛍光検出部213は、例えば、バリアフィルタ、PMT等により構成され、ダイクロイックミラー212により反射された観察光を受光し、その光量に応じた電気信号を出力する。また、蛍光検出部213は、超短パルス光が試料Sの観察面において走査されるのに合わせて、試料Sの観察面にわたる観察光を検出する。
蛍光検出部207、211、213からそれぞれ出力された電気信号は、例えば、コンピュータ(不図示)に入力され、そのコンピュータは、入力された電気信号に基づいて、観察画像を生成し、生成した観察画像を表示したり、観察画像のデータを記憶したりすることができる。
本発明の実施例及び比較例について説明する。各表は、実施例及び比較例に係る光学ガラスの組成を、屈折率(n)、アッベ数(ν)、光路長10mmにおける内部透過率が80%となる波長(λ80)、及び光路長10mmにおける内部透過率が5%となる波長(λ)の測定結果と共に示したものである。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<光学ガラスの作製>
各実施例及び比較例に係る光学ガラスは、以下の手順で作製した。まず、各表に記載の化学組成(重量%)となるよう、酸化物、リン酸塩及びフッ化物等の光学ガラス原料を光学ガラス重量が100gとなるよう秤量した。次に、秤量した原料を混合して白金ルツボに投入して、950℃の温度で1時間程度熔解し、攪拌均質化した。その後、温度を下げてから金型等に鋳込みし、徐冷することにより、各サンプルを得た。
<光学ガラスの測定>
1.屈折率(n)とアッベ数(ν
各サンプルの屈折率(n)及びアッベ数(ν)は、屈折率測定器(株式会社島津製作所製;「KPR-2000」)を用いて測定及び算出した。nは、587.562nmの光に対する光学ガラスの屈折率を示す。νは、以下の式(1)より求めた。n、nは、それぞれ波長656.273nm、486.133nmの光に対する光学ガラスの屈折率を示す。なお、屈折率の値は、小数点以下第5位までとした。
ν=(n-1)/(n-n)・・・(1)
2.内部透過率が80%となる波長(λ80)と5%となる波長(λ
12mm厚と2mm厚の光学研磨された互いに平行な光学ガラス試料を用意し、厚み方向と平行に光が入射した際の波長200~700nmの範囲における内部透過率を測定した。そして、光路長10mmにおける内部透過率が80%となる波長をλ80とし、内部透過率が5%となる波長をλとした。
各表に各実施例及び比較例の結果を示し、図3にO/Pに対するλ80値をプロットした図を示す。なお、表中の組成の数値について、特に断りがない限り、カチオン成分についてはカチオンのモル%で、アニオン成分についてはアニオンのモル%で示している。また、表中の「失透」とは、光学ガラスを製造した際に失透が生じ、測定(即ち、光学ガラスとしての使用)が不可能であったことを示すものである。
Figure 0007024802000001
Figure 0007024802000002
Figure 0007024802000003
Figure 0007024802000004
Figure 0007024802000005
Figure 0007024802000006
Figure 0007024802000007
Figure 0007024802000008
Figure 0007024802000009
各実施例はいずれも低屈折率かつ低分散であり、透過率が良好であることが確認された。
1・・・撮像装置、101・・・カメラボディ、102・・・レンズ鏡筒、103・・・レンズ、104・・・センサチップ、105・・・ガラス基板、106・・・マルチチップモジュール、2・・・多光子顕微鏡、201・・・パルスレーザ装置、202・・・パルス分割装置、203・・・ビーム調整部、204,205,212・・・ダイクロイックミラー、206・・・対物レンズ、207,211,213・・・蛍光検出部、208・・・集光レンズ、209・・・ピンホール、210・・・結像レンズ、S・・・試料

Claims (14)

  1. カチオンのモル%表示で、
    Al3+の含有率が30~40%、
    5+の含有率が1~15%、
    La3+の含有率が0.83~5%、
    Mg2+の含有率が5~8.16%
    Li の含有率が0.23~3%であり、かつ、
    アニオンのモル%表示で、
    2-の含有率が5~16%、
    の含有率が84~95%であり、かつ、
    リン原子の数に対する酸素原子の数の比(O/P)が3.1以上3.4未満である、光学ガラス。
  2. カチオンのモル%表示で、
    Ca2+の含有率が20~30%、
    Sr2+の含有率が10~20%、
    Ba2+の含有率が3~10%である、請求項1に記載の光学ガラス。
  3. カチオンのモル%表示で、
    Al3+の含有率が30~40%、
    5+の含有率が1~15%、
    La3+の含有率が0.83~5%、
    Ba2+の含有率が3~7.35%
    Li の含有率が0.23~3%であり、かつ、
    アニオンのモル%表示で、
    2-の含有率が5~16%、
    の含有率が84~95%であり、かつ、
    リン原子の数に対する酸素原子の数の比(O/P)が3.1以上3.4未満である、光学ガラス。
  4. カチオンのモル%表示で、
    Ca2+の含有率が20~30%、
    Sr2+の含有率が10~20%、
    Mg2+の含有率が5~10%である、請求項3に記載の光学ガラス。
  5. カチオンのモル%表示で
    Na の含有率が0~3%、
    の含有率が0~2%、
    Zn2+の含有率が0~3%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学ガラス。
  6. カチオンのモル%表示で、
    3+の含有率が0~5%、
    Gd3+の含有率が0~5%、
    Zr4+の含有率が0~1%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学ガラス。
  7. 屈折率(n)が1.41~1.45の範囲である、請求項1~6のいずれか一項に記載の光学ガラス。
  8. アッベ数(ν)が92~97の範囲である、請求項1~7のいずれか一項に記載の光学ガラス。
  9. 光路長10mmにおける内部透過率が80%となる波長(λ80)が、340nm以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の光学ガラス。
  10. 光路長10mmにおける内部透過率が5%となる波長(λ)が、300nm以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載の光学ガラス。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載の光学ガラスを備える、光学素子。
  12. 請求項11に記載の光学素子を備える、レンズ鏡筒。
  13. 請求項11に記載の光学素子を備える、顕微鏡用対物レンズ。
  14. 請求項11に記載の光学素子を備える、光学装置。
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