JP3575836B2 - 高紫外線透過性弗燐酸塩ガラス及びその製造方法 - Google Patents

高紫外線透過性弗燐酸塩ガラス及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、約400nm以下の紫外線光及び紫外線レーザーに使用されるレンズ、窓部材、ミラー、プリズム、フィルタ、エタロン板、光ファイバ用母材ガラスに好適な紫外線透過性弗燐酸塩ガラス及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決すべき課題】
近年LSIの微細化、高集積化の進展はきわめて著しく、すでにチップ当たりの素子数が百万以上のVLSIの時代に入っている。これにともないウエハ上に回路パターンを描画する光リソグラフィ技術においてもその開発が急速に進み、より微細な線幅、例えば1MビットDRAMに対応する線幅1μm及び4MビットDRAMに対応する0.8μmが開発されている。そして今、サブミクロンの線幅、例えば16−256MビットDRAMの範囲に対応する0.5−0.2μmの線幅で描画できるリソグラフィ技術の開発が急がれている。最近の光学系、光源、フォトレジストなどの着実な進歩から見てやはり光リソグラフィが主流になるものと推定される。しかし、400nm以下の紫外線を用いた場合は、従来の光学ガラスを用いたレンズでは使用波長が354nm(i線)付近より光透過率が急激に低下して、光吸収による発熱が生じ、レンズの焦点位置の変化や収差が生じることになる。このため、石英ガラスレンズが用いられるが、その場合、色収差の補正が問題となる。また、KrFエキシマレーザー(波長248nm)のような強力単色光を用いる場合、光誘起欠陥による吸収が生じるため、長時間の使用ができない。また、他の材料ではアルカリハロゲン化物結晶、アルカリ土類ハロゲン化物結晶はその物質の特性上非常によい透過性を有するが、単結晶は光学均質性が低く、化学的耐久性も十分ではないので、高性能、高精密な光学系においてはレンズなどの光学部品とは成りにくい。また、紫外線伝送用のファイバとして石英ファイバが用いられるが、開口数が大きくできないため、新規な高開口数ガラスファイバが求められる。
【0003】
光学的均質性をもち紫外線透過性のよいガラスとしては、従来の光学ガラスの中では弗燐酸塩系ガラスが比較的に優れていると考えられている。このガラスには、酸素イオンよりも紫外線吸収が短波長にある弗素が含有されているため、酸化物ガラスよりもはるかに優れた紫外線透過性を有している。しかし、大量の弗素を含有した弗燐酸塩ガラスは失透に対する安定性が低く、工業的規模で光学的均質性をもつガラスを製造することが非常に難しい。
現在、紫外線透過少量燐酸含有弗化物ガラスとしては、Pが0.5−8%、A1が0.1−2%、BaOが0.5−7%、A1Fが29−42%MgFが5−13%、CaFが15−30.5%、SrFが10−22%、BaFが0−11%、BaClが0.5−16.5%及びNaFが0−7.5%である弗燐酸塩ガラスが知られているに過ぎない〔特開平2−283635号〕。ところが、このガラスは弗素イオンを大量に含有したガラスであるが、ガラスの失透に対する安定性を向上させるために多量の塩素イオンを導入しており、その結果、波長350nm以下の紫外線領域では十分な透過性が得られなかった。
【0004】
そこで本発明の目的は、波長350nm以下の紫外線領域でも十分に高い透過性を示し、かつ光学的均質性を有する弗燐酸塩ガラス及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記従来の少量燐酸を含有する弗化物のガラスの諸欠点を分析してみると、塩素イオンを除いた場合のガラスの紫外線透過率の低下は燐酸系ガラスと同様に
P−O−R(R=Mg、Ca、Sr、Na、Li、K)
のような結合がガラス構造中に存在したからであると本発明者らは考えた。さらに、ガラスの紫外線透過率の改善に対しては、このような結合をガラス構造から除去することが最大のポイントとなると推察し、種々検討を行った。その結果、比較的少量の燐酸を含有するガラスに少量OHイオンを導入することで、ガラス構造中のP−O−R結合をP−O−H結合で置き換えた少量OHドープ弗燐酸塩ガラスが、今までにない優れた紫外線透過性を有し、かつ光学的均質性を有することを見出して本発明を完成した。
【0006】
本発明は、ガラスを構成する陽イオンとして、P、Al、Y、Mg、Ca、Sr及びBaを含み、前記各陽イオンの割合がモル%で表示して、Pイオンが0.15−20%の範囲、Alイオンが22−40%の範囲、Yイオンが4−15%の範囲、Mgイオンが3−12%の範囲、Caイオンが14−30%の範囲、Srイオンが7〜16%の範囲、Baイオンが4−20%の範囲であり、且つガラスを構成する陰イオンとして、OイオンとFイオンとを含み、前記各陰イオンの割合がモル%で表示して、Oイオンが0.5−27%の範囲、Fイオンが73−99.5%の範囲であり、さらにOHイオンを含み、波長3μm付近のOHイオンにもとづく吸収ピークの吸収係数α(cm−1)からC(cm−3)=α×1019で算出されるOH濃度が0.04−3×1019/cmの範囲であることを特徴とする紫外線透過性弗燐酸塩ガラスに関する。
【0007】
さらに本発明は、ガラス原料を溶解し、得られたガラス融液を冷却してガラスを製造する方法であって、前記ガラス原料の溶解雰囲気を不活性ガスと水蒸気との混合ガス雰囲気とすることを特徴とする前記本発明のOHイオンを含有する弗燐酸塩ガラスの製造方法、及びガラス原料を溶解し、得られたガラス融液を冷却してガラスを製造する方法であって、ガラス原料として5%以下の水酸化物又は水を含有する化合物を含む混合物を用いることを特徴とする前記本発明のOHイオンを含有する弗燐酸塩ガラスの製造方法に関する。
【0008】
尚、本発明の弗燐酸塩ガラスは、OHイオンを導入したことにより、ガラスの紫外線透過率だけでなく、ガラスの失透に対する安定性も向上した。図1に示したように(A1Fの鎖状構造からなる弗化物ガラスにPイオンとOHイオンを導入することによって、
P−O−H−−−F−A1−
のような強い水素結合が形成され、(A1Fの鎖状構造3次元的に結合するため、ガラスの結晶化が抑制されるものと考えられる。
本発明のガラスの各成分について以下に説明する。
【0009】
Pイオンは、ガラス形成酸化物として働き、ガラス構造の安定化即ち失透に対する安定性を増す成分である。また化学的耐久性を向上させるためにもPイオンは不可欠な成分である。さらにPイオンは他の陽イオンに比べ優先的にOHイオンと結合する特性をもつので、Pイオンを弗化物ガラス導入することによってガラス中にあるOHイオンのほとんどがP−O−Hのように結合される。このような結合はA1−O−Hのような結合に比べ、ガラスの紫外線透過率の向上に寄与することが本発明者らの実験で確認された。ただし、Pイオンはガラスの成分として20%よりも多くなると、紫外線の透過率を低下させるP−O−Rのような結合が相対的に多くなるので、得られたガラスの紫外線透過率が悪化する。これに対し、Pイオンの含有量が0.5%より少ないとガラスの失透に対する安定性が悪くなり、化学的耐久性も低下してしまう。従って、Pイオンの組成範囲は、0.5−20%の範囲であることが適当である。特に、1−19%の範囲であることが好ましい。
【0010】
A1イオンはガラスの高紫外線透過率の性質を付与する成分としても、Pイオンと共にガラス構造の安定化及びガラス融液の粘性を高め化学的耐久性の向上に寄与する成分としても非常に重要である。ガラスに高紫外線透過率の光学特性を付与するためにも、失透に対する安定性を向上させるためにも22%以上が必要である。しかし、40%を超えると逆に失透しやすくなる。従って、A1イオンの組成範囲は、22−40%の範囲であることが適当である。特に、23−38%の範囲であることが好ましい。
【0011】
Yイオンはガラスの失透に対する安定性や屈折率及び化学的耐久性の向上に寄与する成分である。但し、適量範囲を超えて導入するとかえって失透しやすくなるので、4−15%の範囲であることが適当である。特に、5−13%の範囲であることが好ましい。
【0012】
Mgイオンはガラスの紫外線透過率を高めるには非常に有用な成分である。但し、12%を超えるとガラスの失透に対する安定性が低くなり、3%より少ないとガラスの高温溶解性が悪くなるので、3−12%の範囲が適当である。特に、4−10%の範囲であることが好ましい。
【0013】
Caイオンはガラスに高紫外線透過率を付与すると共に、失透に対して安定なガラス化範囲を広げるのに有効な成分である。但し、30%を超え、或いは14%未満ではガラスの失透に対する安定性が低下するので、14−30%の範囲であることが適当である。特に、14.5−28%の範囲であることが好ましい。
【0014】
アルカリ土類金属の中でSr、Baのような原子番号の比較的大きなイオンは、いずれもガラスの失透に対する安定性と屈折率を向上させるために導入される成分である。但し、SrイオンとBaイオンの導入量は、それぞれ16%及び20%を超えるとガラスの失透に対する安定性が悪化するのに対し、7%及び4%未満では高温溶解性が悪くなり、十分安定なガラスも得られない。従って、SrイオンとBaイオンの導入量はそれぞれ7−16%及び4−20%の範囲であることが適当である。特に、Srイオンは8−15%、Baイオンは4−19%の範囲であることが好ましい。
【0015】
アルカリ金属イオンは、必須の成分ではないが、ガラスの熔融性及び転移温度を調整する時に非常に有用な成分ではある。但し、5%を超えるとガラスの失透に対する安定性が悪化し、化学的耐久性も低下する。そのため、5%以下、好ましくは3.5%以下であることが適当である。
【0016】
ガラスを構成する陰イオン中の酸素イオンは、ガラスの失透に対する安定性を向上させる成分である。酸素イオンが0.5%未満ではガラスの失透傾向を抑える効果が低下するのに対し、27%を超えると高い紫外線透過性が得られなくなる。そのため、酸素イオンの割合は0.5−27%の範囲とすることが適当である。特に、1−26%の範囲が好ましい。
【0017】
ガラスを構成する陰イオン中のフッ素イオンは、大量に含有させることによりガラスの紫外線透過率を向上させることができる成分である。フッ素イオンが73%未満では高い紫外線透過率が得られないのに対し、99.5%を超えると十分安定なガラスが得られなくなる。そのため、フッ素イオンの割合は73−99.5%の範囲とすることが適当である。特に、74−99%の範囲が好ましい。
【0018】
本発明のガラスは、上記成分に加えて、OHイオンを含み、かつ波長3μm付近のOHイオンにもとづく吸収ピークの吸収係数α(cm−1)からC(cm−3)=α×1019で算出されるOH濃度が0.04−3×1019/cmの範囲であることが特徴である。
弗燐酸塩ガラスに所定量のOHイオンを導入することで、ガラス化範囲を広げることができ、かつ失透に対する安定性を高めるのに非常に有効である。図1に示すように、導入されたOHイオンは、数は少ないが、(P−O−H−−−F−A1−F)のような強い水素結合で数多くの(A1F鎖状構造を連結し、ガラス構造を強固にすると考えられる。
ガラスのOHイオンの含有量は0.04×1019/cm未満では失透に対する安定性の増加に効果がなく、ガラスの紫外線透過性も悪化するので、0.04×1019/cm以上のOHイオンを導入することが必要となる。また、OHイオンはいずれもPイオンとP−O−H−−−Fのような結合を形成するために導入される成分であるので、燐酸含有量の増加とともにOHイオンの導入量を増やすことが必要となる。これはガラスの紫外線透過率を増大するためである。ところが、OHイオンの含有量は3×1019/cmを超えるとガラスの失透に対する安定性は悪化する。従って、3×1019cm以下とすることが適当である。特に、0.05−2.5×1019cmの範囲となることが好ましい。
【0019】
ガラスの失透に対する安定性を高めるには、前述のように図1からも分かるように、燐酸の含有量に応じて適量のOHイオンを導入することが適当である。例えば、図2の写真に示したように、アルゴン雰囲気で溶解して得られるOHイオンを含まないガラスは失透した。これに対し、アルゴンと水蒸気との混合ガス雰囲気で溶解した場合、わずか0.087×1019/cmのOHイオンを溶解雰囲気から混入させることによって結晶のない透明なガラスが得られる。
【0020】
本発明のOHイオンを含有する弗燐酸塩ガラスは、ガラス原料を溶解し、得られたガラス融液を冷却してガラスを製造する方法であって、(1)前記ガラス原料の溶解雰囲気を不活性ガスと水蒸気との混合ガス雰囲気とする方法か、または(2)ガラス原料として5%以下の水酸化物又は結晶水等として水を含有する化合物を含む混合物を用いる方法により製造することができる。
上記(1)の方法は、溶解雰囲気中の水蒸気とガラス融液との反応を利用してOHイオンをガラスに混入させる方法である。不活性ガスとしては、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等のガスを用いることができる。これらの不活性ガスを水の入っているガス洗浄瓶に流し、洗浄瓶の中の水蒸気で飽和させ、ある程度の水蒸気分圧を得てからガラス溶解炉に供給して、ガラス溶解の雰囲気とする。例えば、その様子を図3に溶解炉への水蒸気導入のプロセスとして示す。水蒸気の導入量は図3に示した洗浄瓶中の水の温度で調整する。即ちガス洗浄瓶中の水温で溶解炉雰囲気の水蒸気分圧を調整することによってガラス中のOHイオンの含有量を調整することができる。
この方法においては、ガラス原料は、通常ガラス原料として用いられているものを、OHイオンを除いて所望の組成になるように混合したものを用いることができる。但し、水酸化物や結晶水を含む化合物を使用できないことを意味するものではなく、原料の一部に水酸化物や結晶水を含む化合物を使用した場合には、水蒸気とガラス融液との反応を適宜調整することで所望量のOHイオンを含むガラスを製造することができる。
【0021】
上記(2)の方法は、ガラス原料として5%以下の水酸化物又は水を含有する化合物を含む混合物を用いる方法である。即ち、通常のガラス原料であるフッ化物、酸化物やリン酸塩、炭酸塩、硝酸塩等の化合物に加えて、所望のOHイオンを含むようにHPO、A1(OH)、アルカリ土類金属の水酸化物及びアルカリ金属の水酸化物等や結晶水を含む酸化物等の水を含む化合物を含む混合物をガラス原料として用いることで、OHイオンを導入した本発明の弗燐酸塩ガラスを製造することができる。但し、ガラスの失透性に対する安定性を考慮するとOHを含む各化合物の添加量を5%(モル%)以下とすることが適当である。特に、4.5%以下であることが好ましい。
【0022】
ガラスを製造する際に用いるるつぼとしては、グラシィーカーボン製が好ましいが、白金るつぼを用いることも可能である。ただし、白金るつぼを用いる場合にはガラスに白金インクルージョンの混入を避ける注意が必要である。また、ガラスの溶解雰囲気としては、上記(1)の方法では不活性ガスと水蒸気との混合ガスを用い、上記(2)の方法では不活性ガスを用いる。不活性ガスは前記のものである。不活性ガスを用いることで、ガラス中の弗素及びOHの揮発を防ぐためであり、溶解雰囲気からOHイオンをガラスに混入させるためでもある。
【0023】
【発明の効果】
本発明のOHドープ弗燐酸塩ガラスは、今までにない優れた紫外線透過性を持ち、またガラスとしても比較的安定に得ることができる。そのため、工業的規模での生産が可能であり、石英ガラス及びCaF結晶に代わる光学材料として非常に有望である。さらに、光学機器に用いられる光学部品としても、紫外線光、可視光伝送用ファイバの母材としても有望である。特に、0.2以上大きい開口数を有する紫外線伝送用ファイバの作成に有用である。
【0024】
【実施例】
以下、本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜36
表1〜表3には実施例のガラス組成を陽イオン及び陰イオンの割合を示し、表4〜表6には表1〜表3に示した組成に対応する各種化合物の割合をモル%で示した。これらのガラスを溶解する際の出発原料としては、A1(PO、Mg(PO、Ca(PO、Sr(PO、Ba(PO、HPO、A1(OH)、Mg(OH)、Ca(OH)、Sr(OH)、Ba(OH)、A1F、YF、MgF、CaF、SrF、BaF NaF、LiF及びKFなどを用いた。これらの原料を、表4〜6に示した所定の割合に50〜100g秤取し、十分混合して調合原料と成した。得られた調合原料をカーボンるつぼに入れ、950〜1100℃でアルゴンと水蒸気との混合ガス雰囲気で1〜2時間ガラスの溶解を行った。熔融後、ガラス融液をカーボンるつぼに入れたまま室温まで放冷してガラスを得た。得られたガラスは無色透明で光学顕微鏡で観察できる結晶は析出していなかった。
【0025】
ガラス中へのOHイオンの導入は、ガラス溶解雰囲気への水蒸気の導入又は原料への水酸化物及び/又は結晶水を含む化合物の混合(又はその両方)により行った。
水蒸気の導入については、アルゴンガスを洗浄瓶の中の水蒸気で飽和させ、ある程度の水蒸気分圧を得てからこの混合ガスを溶解炉に供給し、ガラス溶解の雰囲気とした。溶解炉雰囲気の水蒸気分圧は、図3に示す洗浄瓶中の水の温度で調整し、これを通じてガラス中のOHイオンの含有量を調整した。例えば、洗浄瓶の水の温度を25、45、85℃とした水蒸気分圧の混合雰囲気で溶解した実施例26、27、28のガラス中のOHイオンの濃度は、それぞれ0.21、0.46、0.88×1019/cmとなった。
その他、実施例1、2、4、7、11、12、13、14、15、16、17、18、20、23、24、26、27、29、34、35、36は溶解雰囲気中への水蒸気の導入によりOHイオンの導入を行った。
また、実施例30、32は、原料への水酸化物の混合によりOHイオンの導入を行った。
さらに、実施例3、5、6、8、9、10、19、21、22は、溶解雰囲気中への水蒸気の導入及び原料への水酸化物の混合によりOHイオンの導入を行った。
各ガラスのOHイオン含有量は表1〜3に示す。
【0026】
【表1】
Figure 0003575836
【0027】
【表2】
Figure 0003575836
【0028】
【表3】
Figure 0003575836
【0029】
【表4】
Figure 0003575836
【0030】
【表5】
Figure 0003575836
【0031】
【表6】
Figure 0003575836
【0032】
ガラスの赤外線スペクトル及び紫外線スペクトルの測定は、それぞれ日本電子−330型分光光度計と日本分光VALOR−III型赤外線分光光度計で厚さ10mmのサンプルガラスを用いて行った。
ガラス中のOHイオンの濃度は、ガラスの赤外線吸収スペクトルを用い、次の式(Journal of Non−Crystalline Solids,163(1993)p74−80の文献を参照)で定量した。
OH濃度(cm−3)=α(OH)×1019
ここで吸収係数のα(OH)(cm−1)は吸収スペクトルから次式で計算することができる。
α(OH)=(1/L)×Ln(I/I
ここでLはサンプルの厚さ、Iはサンプルの最高透過率(通常は波長1400nmの透過率を用いる)、Iは波長3000−3200nm範囲にあるOHイオンの吸収ピークとなる波長での透過率である。
【0033】
図4には(A)アルゴンと水蒸気との混合ガス雰囲気で溶解した実施例7のガラスと(B)乾燥したアルゴンガス雰囲気で溶解した同組成のガラス(比較例)の紫外線透過スペクトルを示した。水蒸気を含有する雰囲気で溶解した本発明のガラスの紫外線透過率は、乾燥アルゴンガス雰囲気で溶解した比較例のガラスのそれよりも高いことが図4から分かる。
また、石英ガラスと比較するため、図5には市販のSuprasil−P20石英ガラスと実施例14のガラスの紫外線透過スペクトルを示した。本発明のガラスは波長200−400nmの紫外線領域で石英ガラスと同程度或いはそれより少し高い透過率を有することが図5からはっきり分かる。
さらに他の実施例のガラスについての紫外線透過性は、表1〜3に示す。
以上の実施例より本発明のガラスは200〜400nm波長範囲の紫外線光用レンズ、窓材、ミラー、フィルターなどの光学材料または紫外線光伝送ファイバ用母材として期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A1Fの鎖状構造からなる弗化物ガラスにP−O−H−−−F−A1−のような強い水素結合が形成されて(A1Fの鎖状構造3次元的に結合することを説明する図。
【図2】OHイオンを含まない失透したガラス(比較例)と、アルゴンと水蒸気との混合ガス雰囲気で溶解したOHイオンを含む透明な本発明のガラスの図面に代わる写真。
【図3】溶解炉への水蒸気導入のプロセスの概略図。
【図4】(A)アルゴンと水蒸気との混合ガス雰囲気で溶解した実施例7のガラスと(B)乾燥したアルゴンガス雰囲気で溶解した同組成のガラス(比較例)の紫外線透過スペクトル。
【図5】市販のSuprasil−P20石英ガラスと実施例14のガラスの紫外線透過スペクトル。

Claims (4)

  1. ガラスを構成する陽イオンとして、P、Al、Y、Mg、Ca、Sr及びBaを含み、前記各陽イオンの割合がモル%で表示して、Pイオンが0.15−20%の範囲、Alイオンが22−40%の範囲、Yイオンが4−15%の範囲、Mgイオンが3−12%の範囲、Caイオンが14−30%の範囲、Srイオンが7〜16%の範囲、Baイオンが4−20%の範囲であり、且つガラスを構成する陰イオンとして、OイオンとFイオンとを含み、前記各陰イオンの割合がモル%で表示して、Oイオンが0.5−27%の範囲、Fイオンが73−99.5%の範囲であり、さらにOHイオンを含み、波長3μm付近のOHイオンにもとづく吸収ピークの吸収係数α(cm−1)からC(cm−3)=α×1019で算出されるOH濃度が0.04−3×1019/cmの範囲であることを特徴とする紫外線透過性弗燐酸塩ガラス。
  2. Li、Na及びKから選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属イオンをモル%で表示して5%以下含有する請求項1記載のガラス。
  3. ガラス原料を溶解し、得られたガラス融液を冷却してガラスを製造する方法であって、前記ガラス原料の溶解雰囲気を不活性ガスと水蒸気との混合ガス雰囲気とすることを特徴とする請求項1に記載のOHイオンを含有する弗燐酸塩ガラスの製造方法。
  4. ガラス原料を溶解し、得られたガラス融液を冷却してガラスを製造する方法であって、ガラス原料として5%以下の水酸化物又は水を含有する化合物を含む混合物を用いることを特徴とする請求項1に記載のOHイオンを含有する弗燐酸塩ガラスの製造方法。
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