以下、添付図面を参照して、本実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1及び図2を参照して、本実施形態に係る積層型電子部品を説明する。図1は、本実施形態に係る積層型電子部品を示す斜視図である。図2は、図1に示すII-II線に沿った断面図である。
図1に示すように、積層型電子部品1は、素体2と、素体2の両端部にそれぞれ配置された一対の外部電極4,5と、を備えている。
素体2は、直方体形状を呈している。素体2は、その外表面として、互いに対向する一対の端面2a,2bと、一対の端面2a,2bを連結するように一対の端面2a,2bの対向方向に延びる4つの側面2c,2d,2e,2fと、を有している。側面2dは、たとえば積層型電子部品1を図示しない他の電子機器(たとえば、回路基板又は電子部品)に実装する際、他の電子機器と対向する面として規定される。
各端面2a,2bの対向方向と、各側面2c,2dの対向方向と、各側面2e,2fの対向方向とは、互いに略直交している。なお、直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。
図2に示すように、素体2は、複数の絶縁体層11と、複数の導体層12とが交互に積層されて構成されている。各絶縁体層11は、素体2の各側面2c,2dの対向方向に積層されている。すなわち、各絶縁体層11の積層方向は、素体2の各側面2c,2dの対向方向と一致している。以下、各側面2c,2dの対向方向を「積層方向」ともいう。各絶縁体層11は、積層方向からみて略矩形形状を呈している。
素体2は、積層方向における中央側の領域に形成された内層部16と、内層部16の積層方向における両端側に形成された外層部17,18と、を備える。内層部16は、絶縁体層11と導体層12とが交互に積層された部分である。本実施形態において、内層部16は、コンデンサとして機能する。従って、内層部16は、外部電極4に電気的に接続された板状の導体層12と、外部電極5に電気的に接続された板状の導体層12が絶縁体層11を介して交互に対向している。導体層12の材料として、例えばNi、Cuなどを含んでよい。
各絶縁体層11は、例えばBaTiO3、(Ba,Ca)TiO3、BaZrO3などの材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体2では、各絶縁体層11は、その層間の境界が視認できない程度に一体化されている。なお、内層部16と外層部17,18は、同じ材料のセラミックグリーンシートによって構成されてもよく、異なる材料で構成されてもよい。
外部電極4は、素体2の端面2a側に配置されており、外部電極5は、素体2の端面2b側に配置されている。すなわち、各外部電極4,5は、一対の端面2a,2bの対向方向に互いに離間して位置している。各外部電極4,5は、導電材(たとえば、Ag又はPdなど)を含んでいる。各外部電極4,5は、導電性金属粉末(たとえば、Ag粉末又はPd粉末など)及びガラスフリットを含む導電性ペーストの焼結体として構成される。各外部電極4,5には、電気めっきが施されることにより、その表面にはめっき層が形成されている。電気めっきには、たとえばNi、Snなどが用いられる。
外層部17の絶縁体層11の内部には、積層方向において互いに異なる位置に形成された複数の識別パターン20,21が埋設されている。なお、図2では、外層部17は、所定の層に形成された識別パターン20A,20Bと、他の層に形成された識別パターン21A,21Bを有している。識別パターン20A,20B,21A,21Bは、特定の情報を示す文字、数字、図形、記号などの形状に構成されてよい。または、識別パターン20A,20B,21A,21Bは、特定の法則に基づいたパターン形状をなすことで、特定の意味を示してもよい。例えば、識別パターン20A,20B,21A,21Bは、線分又は点のパターンによって、二進法による数字を示してもよい。その他、図12に示すような形状で情報を示してもよい。例えば、図12(a)では、マークパターンにて情報を示している。例えば、領域150内の余白部152に対するマーク151のパターンにて、情報が示される。また、図12(b)では、線の長さによって情報を示している。例えば、長さの異なる線160,161,162は、互いに異なる情報を示してよい。図12(c)では、マークの面積によって情報を示している。例えば、領域170内のマーク171の面積(または余白部172の面積)によって情報を示している識別パターン20A,20B,21A,21Bは、導体層12と同様な材料で構成されてもよいが、識別可能である限り、異なる材料であってもよく、非導電性の材料であってもよい。
ここで、図3に示すように、積層型電子部品1の製造工程においては、多数の素体2のベースとなるシート50が形成される。そして、シート50を行方向D1及び列方向D2に切断することで複数の素体2を得る。シート50の行及び列の数は1000近くに及ぶ場合もあり、また、シート50自体も多数の枚数が用いられる。識別パターンは、積層型電子部品1がシート50のどの位置のものであるか、更には、どのシート50から切断されたものであるかの特定情報を示してよい。従って、識別パターン20は積層型電子部品1が取得される製造工程におけるシート50の行情報、列情報、及びシート識別情報の何れか一つを含み、識別パターン21はシート50の行情報、列情報、及びシート識別情報の他の一つを含んでよい。行情報とは、積層型電子部品1の素体2がシート50内の行方向D1におけるどの位置に存在していたかを示す情報である。列情報とは、積層型電子部品1の素体2がシート50内の列方向D2におけるどの位置に存在していたかを示す情報である。行情報及び列情報は、例えば、基準位置から何番目に存在していたかなどを示す番号で示される。シート識別情報とは、積層型電子部品1の素体2がどのシート50から切断されたものであるかを示す情報であり、例えばロットナンバーなどで示される。識別パターン20,21は、その他に、「ロット内の何番目の基板であるか」などの情報を含んでいてもよい。
識別パターン20と識別パターン21とでは、情報の表示方式が互いに異なっていてよい。表示方式とは、パターンが所定の情報を示す場合に、パターン自体の形状やサイズなどのような様式である。例えば、識別パターン20,21がいずれも直線の集合によって情報を表現する場合、識別パターン20が実線の直線で情報を示し、識別パターン21が破線の直線で情報を示してよい。その他、文字や数字で情報を示す場合に、識別パターン20,21間でフォントやサイズや太さなどを異なるものとしてよい。
識別パターン20及び識別パターン21は、積層方向から見て、互いに異なる位置に配置されてよい。または、識別パターン20Aと識別パターン21Aのように、識別可能である限り、一部または全部が重なるように設けられてもよい。
ただし、同じ層内に形成される識別パターンの数は特に限定されず、一つであってもよく、三つ以上でもよい。また、同じ層内において異なる位置に複数の識別パターンが形成されている場合、互いに異なる情報を示していてもよく、それらが組み合わせられることで一つの情報を示してもよい。なお、一つの識別パターンは、外層部17内の一層のみで構成されてもよいが、複数層が組み合わせられてもよい。すなわち、複数層にわたるパターンを組み合わせることで、一つの情報を示す識別パターンが構成されてもよい。ただし、複数層によって識別パターンが形成される場合、「積層方向において異なる位置に形成された複数の識別パターン」とは、それぞれの識別パターンの積層方向における位置が完全に異なっている場合のみならず、互いの識別パターンが積層方向において一部重なっている場合も含むものとする。また、図2では識別パターンは、積層方向において2箇所の異なる位置(異なる層又は層群)に形成されているが、三箇所以上設けられてもよい。
図2に示す例では、外層部18には識別パターンが形成されていないが、図4に示すように、一部の識別パターン21A,21Bを外層部18に形成してもよい。または、外層部17には図2と同様の識別パターン20,21が形成され、外層部18には追加で別の識別パターンが形成されてもよい。また、外層部17に識別パターンが形成されず、外層部18にのみ識別パターンが形成されてもよい。
識別パターン20,21Bを判別する方法は特に限定されない。ただし、識別パターン20,21は、素体2の内部に形成されているため、外観検査を用いることはできず、非接触による透過型の観察方法を採用する必要がある。例えば、X線照射による観察、IRカメラによる観察、磁場測定による観察などが挙げられる。これらの観察方法は、いずれも指向性を有している。従って、識別パターン20,21を観察しようとした時に、内層部16の幅広なコンデンサの導体層12と重なり合うことで、観察が困難となる場合がある。従って、識別パターン20,21を観察する際は、導体層12と干渉しないように観察すればよい。
例えば、識別パターン20,21の判別を行うときは、積層方向断面側を含む方向からX線を照射することによって判別してよい。積層方向断面側を含む方向とは、積層方向と直交する方向(例えば図7(b)参照)からX線を照射する他、当該方向に対して傾斜する方向(例えば図7(c)参照)からX線を照射する場合も含まれる。
また、IRカメラを用いる場合は、例えば図11に示すように、積層型電子部品1を所定温度まで加熱してよい。このとき、図11(a)に示すように、高温の伝熱部材140に素体2を載せることで加熱してよい。または、図11(b)に示すように、上方から近赤外線装置145で近赤外線を照射することで素体2を加熱してよい。加熱後、IRカメラによって熱分布を測定することによって、識別パターン60A,60Bを判別する。
製造工程における識別パターンの設定方法について説明する。前述のように、積層型電子部品1の製造工程は、切断前の素体2を行方向と列方向にそれぞれ複数有するシート50を作成する工程を備える(図3参照)。シート50を作成する工程では、複数の素体2の外層部17,18の内部に、識別パターン20及び識別パターン21を埋設する。ここで、識別パターン20は行情報及び列情報の何れか一方を含み、識別パターン21は行情報及び列情報の何れか他方を含む。識別パターン20及び識別パターン21は、対象となる素体2の行及び列に基づいて、積層方向における位置が設定される。これにより、埋設する行情報及び列情報次第では、識別パターン20と識別パターン21とが、素体2中において積層方向に同じ高さの層に形成される場合もあれば、異なる層に形成される場合もある。
次に、識別パターンの種々の具体例について説明する。図5(a)は積層方向から素体2を見た図であり、図5(b)は正面側から素体2を見た図である。例えば、図5(a),(b)に示す例では、素体2は、行情報を示す識別パターン30Aと、列情報を示す識別パターン30Cと、シート識別情報を示す識別パターン30Bと、を備える。なお、各識別パターン及び導体層12は、素体2の内部に配置されるものであるが、理解を容易とするために、内部に配置される各識別パターン及び内部導体を実線で示している。このうち、識別パターン30Aと識別パターン30Cとが積層方向における同じ位置に形成される。識別パターン30Bは、識別パターン30A,30Cと積層方向における異なる位置に形成される。
図5(a)に示すように、識別パターン30A,30B,30Cは、積層方向から見て互いに異なる位置に形成されており、それぞれの位置で、対応する情報を文字や数字で表している。この場合、識別パターン30A,30B,30Cは、図7(a)に示すように、IRカメラ120、または熱センサー、磁気センサーで判別されてよい。カメラ120は、積層方向における上方から各識別パターンを観察してよい。識別パターンを構成する材料と導体層12との材料が異なると、加熱された各識別パターンは、他の導体層12とは異なる温度態様となるため、IRカメラ120の画像上の温度分布に基づいて、識別パターン30A,30B,30Cがどのような情報を示しているかを判別可能となる。また、磁気センサーを用いる場合、各識別パターン30A,30B,30Cでの磁場の分布に基づいて、識別パターン30A,30B,30Cの情報を取得することができる。
図5(c),(d)に示す例について説明する。図5(c)は積層方向から素体2を見た図であり、図5(d)は正面側から素体2を見た図である。例えば、図5(c),(d)に示す例では、素体2は、行情報を示す識別パターン32Aと、列情報を示す識別パターン32Cと、シート識別情報を示す識別パターン32Bと、を備える。このうち、識別パターン32Aと識別パターン32Cとが積層方向における同じ位置に形成される。識別パターン32Bは、識別パターン32A,32Cと積層方向における異なる位置に形成される。積層方向から見て、識別パターン32A,32B,32Cは、素体2の長手方向に沿ってこの順序で並んでおり、互いに重ならないように異なる位置に設けられている。各識別パターンは、複数の直線又は点によって、二進法で各情報を示している。
一例として、識別パターンは、次のような表現方法で二進法による情報を示している。二進法による情報の判別は、パターンでみたときに、そのパターンがあるか無いかというような情報に基づいて行われる。例えば、パターンが存在する場合を1、存在しない場合を0とし、最大限パターンが存在する例を11111111として8ケタで表す場合を想定する。この場合、10進数では256通りのパターンとなるため、各ケタ数で0か1かを組み合わせることで256通りのうちの、どのパターンに相当するかを特定可能になる。また、二進数による情報を定義する際には、例えば、「○」パターンを1、「△」パターンを0とすることも可能である。なお、パターンと定義するための基準テーブルを準備してもよいが、パターンの種類を2種類に限定し、それぞれを1と0に対応させることで、基準データテーブルを用いずに判別できる。また、このような情報が複数層(n層)にわたって形成されると「256×n」のパターンを形成できるため、膨大な数の情報取得が可能となる。また、点線・破線・実線のように線種での区別も可能であるため、用いる線種の数をmとすると、更にmを乗じたパターン数(すなわち「256×n×m」)の判別が可能となる。
なお、識別パターン32A,32B,32Cは、それぞれ情報の表示方式が異なっている。識別パターン32Aは実線で情報を示し、識別パターン32Bは細かい破線で情報を示し、識別パターン32Cは、ピッチの大きい破線で情報を示している。なお、各識別パターンが二進法で情報を示す点は、後述の例についても同様である。
この場合、識別パターン32A,32B,32Cは、図7(b)に示すように、X線の照射によって判別されてよい。X線照射装置130が積層方向と直交する方向から素体2へX線を照射すると、導体層12で阻害されることなく、識別パターン32A,32B,32Cを判別することができる。X線照射装置130は、素体2の短手方向に沿ってX線を照射する。この場合、作業者は、図5(d)で示されているパターンから、各識別パターン32A,32B,32Cが示している行情報、列情報、及びシート識別情報を判別することができる。また、X線照射装置130が積層方向と直交する方向から若干上側へ傾斜した方向(例えば図7(c)に示す方向)から素体2へX線を照射しても、導体層12で阻害されることなく、識別パターン32A,32B,32Cを判別することができる。
図6(a),(b),(c)に示す例について説明する。図6(a)(c)は積層方向から素体2を見た図であり、図6(b)は正面側から素体2を見た図である。この例では、素体2は、行情報を示す識別パターン34Aと、列情報を示す識別パターン34Bと、シート識別情報を示す識別パターン34Cと、を備える。このうち、識別パターン34Aと識別パターン34Bとが上側の外層部に形成される。識別パターン34Cは、下側の外層部に形成されており、識別パターン34A,34Bと積層方向における異なる位置に形成される。積層方向から見て、識別パターン34Aと識別パターン34Bは、素体の短手方向において異なる位置に形成されている。
この場合、識別パターン32A,32B,32Cは、図7(c)に示すように、X線の照射によって判別されてよい。X線照射装置130が積層方向と直交する方向に対して上側に傾斜する方向から素体2へX線を照射すると、導体層12及び識別パターン34A,34Cで阻害されることなく、識別パターン34Bを判別することができる。なお、識別パターン34A,34Cを判別する際も、同様趣旨の方法でX線を傾斜させてよい。
図7(c)では、斜め方向からX線を照射することで、識別パターン34A,34B,34Cを一つずつ判別していた。一方、図8に示す識別パターン36A,36B,36Cは、一回のX線の照射で各パターンの識別を行うことができる。識別パターン36A,36B,36Cは、上側の外層部において素体2の長手方向に沿ってこの順で配置されており、且つ、素体2の短手方向の一方側に配置されている。また、当該短手方向において、識別パターン36A,36B,36Cは、互いに僅かずつずれている。X線照射装置130が積層方向と直交する方向に対して上側に傾斜する方向から素体2へX線を照射すると、導体層12で阻害されることなく、識別パターン36A,36B,36Cを判別することができる。
図9(a),(c)及び図10(a),(c)は積層方向から素体2を見た図であり、図9(b),(d)及び図10(b),(d)は正面側から素体2を見た図である。図9(a),(b)に示す識別パターン40A,40B,40Cと、図9(c),(d)に示す識別パターン42A,42B,42Cと、図10(a),(b)に示す識別パターン44A,44B,44Cと、図10(c),(d)に示す識別パターン46A,46B,46Cとは、いずれも上側の外層部に配置され、素体2の長手方向に並んでいる。ただし、各図における識別パターンは、素体2の短手方向における位置の組み合わせが互いに異なっている。X線照射を用いると、識別パターンが奥行き方向におけるどの位置に配置されているかを把握することができる。従って、識別パターンは、奥行き方向における位置も、情報の表現方法のバリエーションとして用いてよい。なお、図9(a),(b)の識別パターン40A,40B,40Cと図10(a),(b)の識別パターン44A,44B,44Cは、奥行き方向における位置は同一であるが、識別パターン44A,44Bの積層方向における導体の層数が、識別パターン40A、40Bよりも少ないことにより、異なる内容を示している。
本実施形態に係る積層型電子部品1では、外層部17の内部には、積層方向において互いに異なる位置に形成された複数の識別パターン20,21が埋設されている。このように、識別パターン20,21を同一の層だけに設けるのではなく、積層方向において異なる位置に形成することで、一つの積層型電子部品1内に反映することのできる識別情報量を増加させることができる。
例えば、図5(a)の識別パターン30Aなどにおいて、当該識別パターン30Aの積層方向における位置も、識別情報の表現方法の一つとすることができる。この場合、識別パターン30Aがある数字を示していたとしても、積層方向における位置をn段階に変えることで、識別パターン30Aの数字はn倍の行情報を有することとなる。このように、他の例においても、識別パターンの積層方向における位置を多段階とすることで、当該識別パターンが有する情報量を増やすことができる。また、例えば図7(c)の識別パターン34Bでは、X線の照射角度を調整することで、正確な識別を行うことが可能となっている。例えば一層にしか識別パターンを形成できない場合、X線の照射角度を調整したとしても、判別可能な範囲はある程度限られる。一方、識別パターンを積層方向に多段階で設けることで、X線の照射方向などを調整することで、限られたスペースを有効に利用して外層部に情報を盛り込むことができる。以上により、本実施形態に係る積層型電子部品1では、識別パターンが表すことのできる情報量を膨大にすることができる。
外層部17は、少なくとも識別パターン(第1の識別パターン)20及び識別パターン(第2の識別パターン)21を有し、識別パターン20は積層型電子部品1が取得される製造工程におけるシート50の行情報、列情報、及びシート識別情報の何れか一つを含み、識別パターン20はシートの行情報、列情報、及びシート識別情報の他の一つを含んでよい。このように、積層方向におけるそれぞれの位置に配置された識別パターン20,21に行情報、列情報、及びシート識別情報のいずれかを対応させることで、各項目に関する情報量を増加させることができる。
識別パターン20A及び識別パターン20Bは、積層方向から見て、互いに異なる位置に配置されていてよい。これにより、X線を照射して識別パターン20A,20Bを判別する際に、他の識別パターンと干渉することを抑制することができる。
識別パターン20と識別パターン21とでは、情報の表示方式が互いに異なっていてよい。これにより、どの識別パターンを判別しているかが分かり易くなる。その結果、識別パターンの誤判別を抑制することができる。更に、データ判別を行う際に、データ処理上の負荷を軽減することができる。
本実施形態に係る積層型電子部品1の判別方法は、絶縁体層11と導体層12とが交互に積層された内層部16と、内層部16の積層方向における両端側に形成された外層部17,18と、を備える積層型電子部品1の判別方法であって、外層部17,18の内部には、積層方向において互いに異なる位置に形成された複数の識別パターン20,21が埋設されており、少なくとも積層方向断面側を含む方向からX線を照射することによって、複数の識別パターンを判別する。
この方法によれば、内層部16中の導体層12がX線と干渉することを回避した状態で、X線によって各識別パターン20,21を判別することができる。これにより、膨大な情報量を有する各識別パターン20,21を正確に判別することができる。また、正確な判別を行うことが可能であることにより、識別パターン20,21が含む情報が多すぎることにより誤判別がなされることを抑制できるため、識別パターン20,21が表すことのできる情報量を増加させることができる。
本実施形態に係る積層型電子部品1の判別方法は、絶縁体層11と導体層12とが交互に積層された内層部16と、内層部16の積層方向における両端側に形成された外層部17,18と、を備える積層型電子部品1の判別方法であって、外層部17,18の内部には、積層方向において互いに異なる位置に形成された複数の識別パターン20,21が埋設されており、積層型電子部品1を所定温度まで加熱した後、IRカメラによって熱分布を測定することによって、複数の識別パターン20,21を判別する。
この方法によれば、識別パターン20,21の温度分布を内層部16中の導体層12の温度分布と異なるものとすることにより、導体層12が存在する素体2の中から、各識別パターン20,21を判別することができる。これにより、膨大な情報量を有する各識別パターン20,21を正確に判別することができる。また、正確な判別を行うことが可能であることにより、識別パターン20,21が含む情報が多すぎることにより誤判別がなされることを抑制できるため、識別パターン20,21が表すことのできる情報量を増加させることができる。
本実施形態に係る積層型電子部品1の製造方法は、絶縁体層11と導体層12とが交互に積層された内層部16と、内層部16の積層方向における両端側に形成された外層部17,18と、を有する素体2を備える積層型電子部品1の製造方法であって、切断前の素体2を行方向と列方向にそれぞれ複数有するシート50を作成する工程を備え、シート50を作成する工程では、複数の素体2の外層部17,18の内部に、少なくとも識別パターン20,21を埋設し、識別パターン20は行情報及び列情報の何れか一方を含み、識別パターン21は行情報及び列情報の何れか他方を含み、識別パターン20及び識別パターン21は、対象となる素体2の行及び列に基づいて、積層方向における位置が設定される。
この方法によれば、各識別パターン20,21が行情報及び列情報を表現するための表現方法の一つとして、識別パターン20,21の積層方向における位置を用いることができる。これにより、一つの面に全ての行情報及び列情報を反映させる場合に比して、識別パターン20,21に含まれる情報を大幅に増加させることができる。これにより、識別パターン20,21が表すことのできる情報量を増加させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、上述の識別パターンの具体例は一例に過ぎず、本発明の趣旨の範囲内であれば、更に様々な識別パターンを採用してもよい。