JP7024388B2 - 車両用前方照明装置、断線検出方法 - Google Patents
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Description
この技術では、対向車両や歩行者などが存在しない場合には、遠方まで且つ広範囲に高輝度の光を照射することによって、自車両の運転者が遠方の状況を容易に把握可能とする。その一方で、対向車両や歩行者などが検出された場合には、対向車両や歩行者などが存在する領域を担当する照明器の輝度を低下させ、あるいは照明器を消灯させることによって、対向車両の運転者や歩行者などに幻惑感を与える事態を回避することができる。
A.装置構成 :
図1(a)には、本実施例の車両用前方照明装置100を搭載した車両1が示されている。図示されるように、車両1には、左右に1つずつ車両用前方照明装置100が搭載されており、それぞれの車両用前方照明装置100は、複数の発光ダイオード(以下、LED)が列状に配置されたLEDアレイ10と、LEDアレイ10を形成する個々のLEDの点灯動作を制御する制御モジュール20とを備えている。LEDアレイ10は、車両1の前方左右に搭載されたヘッドライト2の下方に1つずつ搭載されており、制御モジュール20は、LEDアレイ10よりも内側の車両1内部に搭載されている。
また、図1(b)に示すように、制御モジュール20は、車両1に搭載されたランプECU50に接続されており、ランプECU50からの指示に従って、LEDアレイ10を形成する個々のLEDの点灯動作を制御する。また、ランプECU50は、車両1に搭載された図示しない複数の制御ECUを接続する車内LAN30に接続されており、車内LAN30を介して他の制御ECUから受け取った情報に基づいて、ランプECU50に出力する指示内容を決定する。
尚、スイッチ素子SW1~SW12には、いわゆるパワートランジスタと呼ばれるスイッチ素子が使用されている。周知のようにパワートランジスタは、3つの端子を備えており、そのうちの制御用端子をHi状態とすると、他の2つの端子間が導通状態となり、制御用端子をLow状態にすると、他の2つの端子間が切断状態となる。
尚、これらの「部」は、制御モジュール20がLED1~LED12を点灯動作させると共に、バイパス配線21a~21mでの断線の有無を検出するために、車両用前方照明装置100の制御モジュール20が備える機能に着目して、制御モジュール20の内部を便宜的に分類した抽象的な概念である。従って、車両用前方照明装置100の制御モジュール20がこれらの「部」に物理的に区分されることを表すものではない。これらの「部」は、CPUで実行されるコンピュータープログラムとして実現することもできるし、LSIやメモリーを含む電子回路として実現することもできるし、更にはこれらを組合せることによって実現することもできる。
電流値検出部23は、LEDアレイ10と直列に接続されており、LEDアレイ10に流れる電流値を検出することができる。尚、LEDアレイ10の内部にはLED1~LED12が直列に接続されているので、電流値検出部23で検出された電流値は、LED1~LED12の各々を流れる電流値となる。
電圧値制御部24は、LEDアレイ10に電圧を印加すると共に、LEDアレイ10を流れる電流値を電流値検出部23から受け取って、電流値が所定の目標電流値となるように、LEDアレイ10に印加する電圧値を制御する。
変化量取得部25は、所定の検出条件が成立する度に、制御用端子をLow状態としたスイッチ素子SW1~SW12の数を点灯制御部22から受け取って、前回に受け取った数からの変化量を取得する。更に、電圧値制御部24からは、LEDアレイ10に印加している電圧値を受け取って、前回の電圧値からの変化量を取得する。尚、検出条件としては、所定の時間が経過する度など、様々な条件とすることができる。そして、スイッチ素子SW1~SW12の数の変化量と、電圧値の変化量とを、断線有無判断部26に出力する。
断線有無判断部26は、スイッチ素子SW1~SW12の数の変化量と、電圧値の変化量とを受け取ると、両者が整合するか否かを判断する。そして、整合していない場合は、バイパス配線21a~21mの少なくとも何れかで断線が発生したものと判断する。
以下では、本実施例の車両用前方照明装置100が、バイパス配線21a~21mでの断線の有無を検出する方法について説明するが、その準備として、車両用前方照明装置100がLED1~LED12を点灯させる動作について説明する。
図3には、本実施例の車両用前方照明装置100が、LED1~LED12を点灯させ、あるいは消灯させる動作が示されている。尚、LEDアレイ10には、LED1~LD12の12個のLEDが直列に接続されているが(図2参照)、図示が煩雑となることを避けるため、図3では、LED7~LED12についての図示を省略している。そこで、図3の説明では、LEDアレイ10がLED1~LED6の6個のLEDが直列に接続されているものと、これに伴ってスイッチ素子も、スイッチ素子SW1~スイッチ素子SW6の6個が設けられているものとする。
次に、図3(b)に示したように、スイッチ素子SW2の制御用端子をHi状態にする。すると、スイッチ素子SW2が導通状態となって、LED2をバイパスするバイパス回路21(すなわち、バイパス配線21b、スイッチ素子SW2、バイパス配線21c)が接続された状態となる。そして、一般にLEDの抵抗値は、バイパス回路21の抵抗値よりも大きいから、LED2を流れていた電流は、スイッチ素子SW2を経由するバイパス回路21を流れるようになり、その結果、LED2は消灯する。
また、スイッチ素子SW4およびスイッチ素子SW5の制御用端子をHi状態にすると、スイッチ素子SW4およびスイッチ素子SW5が導通状態となる。その結果、LED4およびLED5を流れていた電流が、スイッチ素子SW4およびスイッチ素子SW5を経由するバイパス回路21(すなわち、バイパス配線21d、スイッチ素子SW4、スイッチ素子SW5、バイパス配線21f)を流れるようになって、LED4およびLED5が消灯する。
図3(a)および図3(b)から明らかなように、点灯制御部22が、あるスイッチ素子の制御用端子をLow状態にすると、そのスイッチ素子SWに対応するLEDは点灯し、逆に、制御用端子をHi状態にすると、そのスイッチ素子SWに対応するLEDは消灯する。また、何れのLEDを点灯させているかに拘わらず、それぞれのLEDに流れる電流の電流値は、電流値検出部23で検出した電流値となる。
そこで、電圧値制御部24は、LEDの電流値を電流値検出部23で検出して、電流値が目標電流値となるように、印加する電圧値を制御している。
また、こうしてLEDの電流値が一定の目標電流値となるように制御しているので、電流値を変更してLEDの輝度を変更することはできない。そこで、次のような方法でLEDの輝度を変更する。
そこで、本実施例の車両用前方照明装置100では、所定の点灯周期でLEDを定期的に点灯させた後、消灯するタイミングを変更することによって、LEDの輝度を変更する。尚、点灯周期内で点灯している時間が「0」の状態が消灯した状態となり、点灯周期の間中、点灯している状態が最大輝度の状態となる。また、本実施例の車両用前方照明装置100では、点灯周期が3msec程度の時間に設定されている。
図示したように、LED1はT1のタイミングで点灯し、LED2はT2のタイミングで点灯し、LED3はT3のタイミングで点灯する。LED4~LED12についても同様に、T4~T12のタイミングで順番に点灯していく。こうして順番に点灯したLED1~LED12は、点灯してから所定時間(ここでは、点灯デューティー比が50%に設定されているので、点灯周期の半分の時間)が経過したタイミングで、順番に消灯していく。そして、LED1が点灯してから点灯周期の経過後に、再び、LED1が点灯し、続いて、LED2~LED12が順番に点灯していく。
尚、本明細書中では、配光パターンに応じて決定されたLED1~LED12を点灯および消灯させるタイミングを、「点灯スケジュール」と称するものとする。また、本実施例では、LED1~LED12を点灯させるタイミングは予め決まっているため、実際には消灯タイミングを専ら決定している。しかし、LED1~LED12を点灯させるタイミングも、必要に応じて適宜、変更してもよい。
また、LED1~LED12の点灯スケジュールを決定すると、点灯させるLEDの個数(以下、点灯数)が時間の経過と共に変化する様子も決定される。図6(b)には、時間の経過に伴って、LEDの点灯数が刻々と変化する様子が示されている。
図3を用いて前述したように、電流が流れる経路の抵抗値は、LEDの点灯数に比例する。従って、図6に示した点灯スケジュールに従ってLED1~LED12を点灯あるいは消灯させながら、電流値検出部23で検出した電流値が所定の目標電流値となるように、電圧値制御部24の電圧値を制御すると、電圧値はLEDの点灯数に比例して変化する電圧値となる。
もっとも、LEDアレイ10のLED1~LED12と、制御モジュール20のスイッチ素子SW1~SW12とは、多数のバイパス配線21a~21mによって接続されている。そして、何れかのバイパス配線21a~21mで断線が発生すると、ランプECU50から指定された配光パターンで前方を照明することができなくなるので、断線が発生したら、そのことを速やかに検出可能としておく必要がある。
その一方で、前述したように、LEDアレイ10に搭載されるLEDの個数は年々増加する傾向にあり、LEDの個数が増加すると、バイパス配線の本数も増加するため、断線の検出は年々と困難になっている。そこで、本実施例の車両用前方照明装置100は、LEDアレイ10に搭載されるLEDの個数が増加しても、バイパス配線での断線を速やかに且つ容易に検出可能とするために、以下のような方法を採用した。
図7には、バイパス配線で断線が発生したことによって、電流が流れる経路が変化する様子が例示されている。尚、前述したように、本実施例のLEDアレイ10にはLED1~LED12の12個のLEDが接続されているが、図示が煩雑となることを避けるために、図7においても図3と同様に、LED7~LED12についての図示を省略している。このことに対応して、図7の説明でも、LEDアレイ10にはLED1~LED6の6個のLEDが直列に接続されているものと、これに伴ってスイッチ素子も、スイッチ素子SW1~スイッチ素子SW6の6個が設けられているものとする。
ここで、バイパス配線21dで断線が生じたものとする。図7(a)に示したように、バイパス配線21dは、LED4に流れる電流をバイパスさせる経路となっているから、バイパス配線21dが断線すると、電流をバイパスさせることができなくなる。その結果、スイッチ素子SW4の制御用端子がHi状態となって、スイッチ素子SW4が導通状態となっているにも拘わらず、LED4に電流が流れて、LED4が点灯することになる。
図7(b)に示した太い実線は、このときに電流が流れる経路を表している。また、図中に示した×印は、バイパス配線21dで断線が生じたことを表している。更に、図中でLED4を矩形で囲って表示しているのは、スイッチ素子SW4が導通状態となっていることに対応して本来であれば消灯しているべきであるにも拘わらず、実際にはLED4が点灯していることを表している。
断線したバイパス配線21dが、LED3をバイパスする経路の一部となっていた場合にも同様なことが当て嵌まる。
また、図8(b)に示した場合とは逆に、断線したバイパス配線21dの上流側のスイッチ素子SW3および下流側のスイッチ素子SW4が何れも切断状態となった場合は、そもそも電流がLED3およびLED4をバイパスすることはない。このため、バイパス配線21dが電流のバイパス経路の一部となることはないので、バイパス配線21dで断線が生じても、LED3およびLED4は点灯したままとなる。
従って、予め決定しておいた点灯スケジュールでLED1~LED12を点灯および消灯させようとしても、断線したバイパス配線が存在していると、実際に点灯するLEDの個数(以下、実点灯数)は、点灯スケジュールによって定まる点灯数よりも多くなる。
また、前述したように、LEDアレイ10のLED1~LED12は、T1~T12のタイミングで順番に点灯して行く。そこで、LED1~LED12が点灯するタイミングから所定時間が経過したタイミングで、実際に点灯しているLEDの個数(すなわち、実点灯数)を検出して、実点灯数が、点灯スケジュールによる点灯数と一致するか否かを判断すれば、断線の有無を判断することが可能と考えられる。
更に、図3を用いて前述したように、電圧値制御部24がLEDアレイ10に印加する電圧値は、実点灯数に比例した電圧値となっているから、LEDアレイ10に印加される電圧値を検出すれば、実点灯数を求めることができる。
これらT1~T12のタイミングから所定時間が経過したDT1~DT12のタイミング(以下、検出タイミング)で、点灯スケジュールによる点灯数、および実点灯数を求めると、図10(b)が得られる。
また、実点灯数は、LEDアレイ10に印加されている電圧値から求めることができる。すなわち、LEDの1個あたりの抵抗値をR、実点灯数をN、LEDアレイ10の各LEDに流す目標電流値をI、電圧値制御部24がLEDアレイ10に印加する電圧値をVとすれば、
V=I・(N・R) …(1)
が成り立つ。ここで、(N・R)は、電圧値制御部24から見たLEDアレイ10全体の抵抗値である。そして、Vは実測することができ、IおよびRは予め与えられているので、実点灯数Nは算出可能と考えられる。
例えば、図10(b)のDT3のタイミングでは、実際には11個のLEDが点灯しているが、たまたま、それらのLEDの抵抗値が小さかった場合には、実点灯数を誤って10個と算出してしまい、断線の発生を検出できなくなる可能性がある。また、DT2やDT4のタイミングでは、10個のLEDが点灯しているが、たまたま、それらのLEDの抵抗値が大きかった場合には、実点灯数を誤って11個と算出してしまい、断線の発生を誤検出する可能性がある。
DT9や、DT10、DT11のタイミングでは、DT3のタイミングに比べて、点灯するLEDの数が少なくなるので、断線の有無を誤検出する可能性も少なくなるが、それでも、LEDの抵抗値のバラツキが大きくなると、依然として誤検出する可能性がある。
加えて、前述したように、LEDアレイ10を形成するLEDの数は増加することが予想され、そうすると、点灯するLEDの数も多くなると考えられるので、断線の有無を誤検出する可能性がある。
図10(c)には、こうして得られた点灯数の変化量および実点灯数の変化量が示されている。例えば、DT1のタイミングとDT2のタイミングとの間では、点灯数および実点灯数の変化量は「+1」で一致しているが、DT2のタイミングとDT3のタイミングとの間では、点灯数の変化量と実点灯数の変化量とで不一致が生じている。同様に、DT3のタイミングとDT4のタイミングとの間や、DT8のタイミングとDT9のタイミングとの間や、DT11のタイミングとDT12のタイミングとの間でも、点灯数の変化量と実点灯数の変化量とで不一致が生じている。このように変化量の不一致が生じるのは、図10(b)に示したように、LEDの点灯数と実点灯数とが異なる部分が生じているためである。従って、LEDの点灯数および実点灯数を検出して、両者が一致するか否かを判断する代わりに、点灯数の変化量と実点灯数の変化量とが一致するか否かを判断しても
不一致となるか否かを判断しても同じことになる。
そこで、本実施例の車両用前方照明装置100は、以上のような原理に基づいて、LEDアレイ10と制御モジュール20とを接続するバイパス配線21a~21mでの断線の有無を検出する。
図11および図12には、本実施例の車両用前方照明装置100がLEDアレイ10を用いて車両1の前方の領域を照明するために実行する照明制御処理のフローチャートが示されている。
図示されるように、照明制御処理を開始すると先ず初めに、LEDアレイ10を用いて照明を開始するか否かを判断する(S100)。本実施例では、ランプECU50が、車内LAN30から取得した情報に基づいて照明の要否を判断して、その結果を車両用前方照明装置100に出力するようになっている。従って、照明を開始する旨の指示をランプECU50から受け取っていない場合は、照明を開始しないと判断して(S100:no)、照明を開始する旨の指示を受け取るまで、同じ判断を繰り返しながら待機状態となる。
続いて、配光パターンに応じた点灯スケジュールを生成する(S102)。前述したように点灯スケジュールとは、LEDアレイ10を形成する複数のLEDについて、どのようなタイミングで点灯させ、どのようなタイミングで消灯させるかの予定を示すデータである。図6(a)に例示したように、配光パターンが、LED1およびLED2の点灯デューティー比は30%、LED3の点灯デューティー比は50%、LED4の点灯デューティー比は60%、LED5~LED8の点灯デューティー比は80%、LED9およびLED10の点灯デューティー比は60%、LED11~LED12の点灯デューティー比は50%というパターンであった場合には、図6(a)に示すような点灯スケジュールを生成する。
各スイッチ素子SWの駆動を開始してから、まだ点灯周期が経過していない場合は、S105では「no」と判断して、断線の検出タイミングDTか否かを判断する(図12のS110)。図10を用いて前述したように、検出タイミングDTは、LEDアレイ10の各LEDを点灯させるタイミングから、所定のインターバル時間ITが経過したタイミングに設定されている。また、断線の検出タイミングDTがこのようなタイミングに設定されているのは、電圧値制御部24が電圧値を変化させるためには、ある程度の時間が必要なことを考慮したためである。
このような操作が繰り返されている間も、図11のS103で開始された各スイッチ素子SWの駆動が、点灯スケジュールに従って継続されている。
そして、所定期間内に消灯するLEDが存在していない場合は(S111:no)、断線の有無を検出するために以下の操作を開始するが、所定期間内に消灯するLEDが存在する場合は(S111:yes)、断線を検出することなく、再び、照明を終了するか否かを判断する(図11のS104)。このように、所定期間内に消灯するLEDが存在するか否かによって、操作を異ならせているのは、次のような理由による。
従って、点灯タイミング(ここではT11)からインターバル時間ITが経過するまでの期間中に消灯するLEDが存在する場合には、断線の検出タイミングDTで電圧値を検出すると、減少中の電圧値を検出することになって、正しい電圧値を検出できなくなる。
また、LED1~LED12の点灯および消灯は、配光パターンに応じて生成した点灯スケジュール(図6参照)に従って行われるので、所定期間内に消灯するLEDが存在するか否かは、点灯スケジュールを参照することで容易に判断することができる。
続いて、前回のタイミングで取得した点灯数からの変化量を取得する(S113)。上述したように、所定期間内に消灯するLEDが存在していた場合は(S111:yes)、点灯数が取得されないので、この場合は、その前に取得した点灯数が、前回のタイミングで取得した点灯数となって、その点灯数からの変化量を取得する。
続いて、前回のタイミングで取得した電圧値からの変化量を取得する(S115)。上述したように、所定期間内に消灯するLEDが存在していた場合は(S111:yes)、点灯数と同様に電圧値も取得されないので、この場合も、その前に取得した電圧値からの変化量を取得する。
dN・(R-dR)・I < dV < dN・(R+dR)・I …(2)
の範囲内にある筈である。従って、S115で取得した電圧値の変化量が、(2)式を満たす範囲内にあった場合は、点灯数の変化量と電圧値の変化量とが整合すると判断し(S116:yes)、(2)式を満たす範囲内になかった場合は、点灯数の変化量と電圧値の変化量とが整合しないと判断する(S116:no)。
これに対して、点灯数の変化量と電圧値の変化量とが整合すると判断した場合は(S116:yes)、特に検出結果を出力することなく、そのまま図11のS104に戻って、照明を終了するか否かを判断する。
そして、このような操作を繰り返しているうちに、点灯周期が経過したら(図11のS105:yes)、ランプECU50から配光パターンを取得する(S106)。
そして、新たに取得した配光パターンが、既に取得している配光パターンから変更されているか否かを判断する(S107)。その結果、配光パターンに変更がない場合は(S107:no)、再び、点灯周期が経過してS105で「yes」と判断するまで、上述した一連の処理(図12のS110~S117)を繰り返す。
そして、最終的に、照明を終了すると判断したら(図11のS104:yes)、図11および図12の照明制御処理を終了する。
また、断線の検出に際しては、LEDアレイ10中で点灯させようとしたLEDの点灯数の変化量と、LEDアレイ10に印加する電圧値の変化量とが整合するか否かを判断すればよいので、簡単に且つ迅速に、断線の有無を検出することができる。
上述した本実施例には、以下のような変形例が存在する。以下では、本実施例との相違点を中心に、変形例について簡単に説明する。
上述した本実施例では、LED1~LED12を点灯させた後の所定の検出タイミングDTで、LEDを点灯させようとする点灯数、およびLEDアレイ10に印加する電圧値を検出して、点灯数の変化量および電圧値の変化量を取得するものとして説明した。
しかし、LED1~LED12を点灯させるタイミングを基準として前後に設定された所定の検出タイミングで、点灯数および電圧値を検出して、点灯数の変化量および電圧値の変化量を取得するものとしてもよい。
例えば、図15に例示したように、LED1を点灯させるT1のタイミングに対しては、点灯前に設定された検出タイミングDT1fと、点灯後に設定された検出タイミングDT1rとを設定しておく。また、LED2を点灯させるT2のタイミングについても、点灯前の検出タイミングDT2fと、点灯後の検出タイミングDT2rとを設定しておく。以下、LED3~LED12を点灯させるT3~T12のタイミングについても同様に、点灯前の検出タイミングDT3f~DT12fと、点灯後の検出タイミングDT3r~DT12rとを設定しておく。そして、LEDを点灯させる前後で点灯数と電圧値とを検出して、点灯数の変化量と電圧値との変化量とを取得することによって、断線の有無を判断しても良い。
図示されるように、変形例の照明制御処理でも、前述した本実施例の照明制御処理と同様に、先ず初めにLEDアレイ10を用いて照明を開始するか否かを判断する(S200)。照明を開始しないと判断した場合は(S200:no)、同じ判断を繰り返しながら待機状態となるが、照明を開始すると判断したら(S200:yes)、配光パターンをランプECU50から取得する(S201)。
そして、配光パターンに応じた点灯スケジュールを生成した後(S202)、点灯スケジュールに従って、それぞれのLEDに対応するスイッチ素子SWの駆動を開始する(S203)。
その結果、検出タイミングDTfではないと判断した場合は(S210:no)、図16のS204に戻って、照明を終了するか否かを判断した後、照明を終了しない場合は(S204:no)、点灯周期が経過したか否かを判断し(S205)、点灯周期が経過していない場合は(S205:no)、再び、点灯前の検出タイミングDTfになったか否かを判断する(図17のS210)。
そして、所定期間内に消灯するLEDが存在する場合は(S211:yes)、再び、照明を終了するか否かを判断する(図16のS204)。これに対して、所定期間内に消灯するLEDが存在しない場合は(図17のS211:no)、LEDの点灯数(すなわち、点灯させようとするLEDの個数)を取得し(S212)、続いて、LEDアレイ10に印加されている電圧値を取得する(S213)。
その結果、まだ、検出タイミングDTrになっていないと判断した場合は(S214:no)、検出タイミングDTrになるまで、同じ判断を繰り返すことによって待機状態となる。
尚、LEDを点灯するタイミングから点灯後の検出タイミングDTrまでの時間は、前述した本実施例の検出タイミングDTと同様に、インターバル時間ITに所定の余裕時間dTを加えた時間に設定されている。
これに対して、点灯前の検出タイミングDTfで点灯数および電圧値を検出していた場合は(S215:yes)、今度は、所定期間内に消灯するLEDが存在するか否かを判断する(S216)。
そして、所定期間内に消灯するLEDが存在する場合は(S216:yes)、再び、照明を終了するか否かを判断するが(図16のS204)、所定期間内に消灯するLEDが存在しない場合は(図17のS216:no)、点灯後の検出タイミングDTrでのLEDの点灯数を取得し(S217)、続いて、LEDアレイ10に印加されている電圧値を取得する(S218)。
尚、前述したように、LEDを点灯するタイミングから点灯後の検出タイミングDTrまでの時間は、インターバル時間ITに所定の余裕時間dTを加えた時間に設定されている。これに対して、点灯前の検出タイミングDTfからLEDを点灯するタイミングまでの時間は、インターバル時間ITよりも短い時間に設定することができる。この理由は、S216で、検出タイミングDTfより前の所定期間内に消灯するLEDが存在するか否かを判断しており、消灯するLEDが存在しない場合は(S216:no)、変化する途中のタイミングで電圧値を検出してしまう虞が無いためである。
更に、S213で取得した点灯前の検出タイミングDTfでの電圧値と、S218で取得した点灯後の検出タイミングDTrでの電圧値とに基づいて、点灯前後での電圧値の変化量を取得する(S220)。
これに対して、点灯数の変化量と電圧値の変化量とが整合すると判断した場合は(S221:yes)、特に検出結果を出力することなく、そのまま図16のS204に戻って、照明を終了するか否かを判断する。
そして、最終的に、照明を終了すると判断したら(図16のS204:yes)、図16~図18に示した変形例の照明制御処理を終了する。
20…制御モジュール、 21…バイパス回路、 22…点灯制御部、
23…電流値検出部、 24…電圧値制御部、 25…変化量取得部、
26…断線有無判断部、 50…ランプECU、 100…車両用前方照明装置。
Claims (6)
- 複数の照明器(LED1~LED12)を用いて車両(1)の前方の領域を分担して照明する車両用前方照明装置(100)であって、
前記複数の照明器が直列に接続された照明器アレイ(10)と、
前記複数の照明器の各々に対して設けられて、前記照明器に流れる電流をバイパスさせるバイパス回路(21)と、
複数の前記バイパス回路の各々に対して設けられて、前記バイパス回路を開閉するスイッチ素子(SW1~SW12)と、
点灯させる前記照明器に対応する前記スイッチ素子は開状態とし、消灯させる前記照明器に対応する前記スイッチ素子は閉状態とすることによって、前記照明器アレイの点灯態様を制御する点灯制御部(22)と、
前記照明器アレイに流れる電流値を検出する電流値検出部(23)と、
前記照明器アレイに電圧を印加すると共に、前記照明器アレイに流れる電流値が所定の目標電流値となるように、印加する電圧値を制御する電圧値制御部(24)と、
前記開状態としたスイッチ素子の数と、前記制御された電圧値とを、所定の検出条件が成立する度に検出して、前回に検出した前記スイッチ素子の数からの変化量と、前回に検出した前記電圧値からの変化量とを取得する変化量取得部(25)と、
前記スイッチ素子の数の変化量と、前記電圧値の変化量とが整合するか否かを判断し、整合しない場合には、前記バイパス回路で断線が発生したものと判断する断線有無判断部(26)と
を備える車両用前方照明装置。 - 請求項1に記載の車両用前方照明装置であって、
前記点灯制御部は、
前記複数のスイッチ素子を所定周期で開閉させ、該所定周期中で前記開状態となる時間比率を変更することによって、前記照明器の明るさを制御しており、
前記複数のスイッチ素子を開閉させる前記所定周期の位相は、前記複数のスイッチ素子間で互いにずらして設定されている
ことを特徴とする車両用前方照明装置。 - 請求項2に記載の車両用前方照明装置であって、
前記点灯制御部は、前記複数のスイッチ素子毎に、該スイッチ素子の前記所定周期を基準として設定された所定の点灯タイミングで前記スイッチ素子を前記開状態とした後、前記スイッチ素子毎に設定された前記時間比率に応じた消灯タイミングで前記スイッチ素子を前記閉状態としており、
前記変化量取得部は、前記複数のスイッチ素子の何れかが前記点灯タイミングとなるタイミングを基準に設定された所定の検出タイミングで、前記スイッチ素子の数と前記電圧値とを検出することによって、前記スイッチ素子の数および前記電圧値についての前記変化量を取得する
ことを特徴とする車両用前方照明装置。 - 請求項3に記載の車両用前方照明装置であって、
前記変化量取得部は、前記複数のスイッチ素子の何れかが前記点灯タイミングとなるタイミングを基準として、前後に設定された所定の検出タイミングで、前記スイッチ素子の数と前記電圧値とを検出することによって、前記スイッチ素子の数および前記電圧値についての前記変化量を取得する
ことを特徴とする車両用前方照明装置。 - 請求項3または請求項4に記載の車両用前方照明装置であって、
前記変化量取得部は、前記複数のスイッチ素子の中で、前記検出タイミングを基準とする所定期間内に前記閉状態に切り換わる前記スイッチ素子が存在する場合には、前記スイッチ素子の数および前記電圧値についての前記変化量の取得を中止する
ことを特徴とする車両用前方照明装置。 - 複数の照明器(LED1~LED12)が直列に接続された照明器アレイ(10)を用いて、車両(1)の前方の領域を照明する車両用前方照明装置(100)に適用されて、前記複数の照明器を駆動する配線での断線の有無を検出する断線検出方法であって、
前記車両用前方照明装置は、
前記複数の照明器の各々に対して設けられて、前記照明器に流れる電流をバイパスさせるバイパス回路(21)と、
複数の前記バイパス回路の各々に対して設けられて、前記バイパス回路を開閉するスイッチ素子(SW1~SW12)と、
点灯させる前記照明器に対応する前記スイッチ素子は開状態とし、消灯させる前記照明器に対応する前記スイッチ素子は閉状態とすることによって、前記照明器アレイの点灯態様を制御する点灯制御部(22)と
を備えた前記車両用前方照明装置であり、
前記照明器アレイに電圧を印加して、前記照明器アレイに流れる電流値を検出し、前記照明器アレイに流れる電流値が所定の目標電流値となるように、前記照明器アレイに印加する電圧値を制御する工程(S103、S109、S203、S209)と、
所定の検出条件が成立する度に、前記開状態の前記スイッチ素子の数を検出して、前回に検出した前記スイッチ素子の数からの変化量を取得する工程(S112、S113、S212、S217、S219)と、
前記検出条件が成立する度に、前記照明器アレイに印加された電圧値を検出して、前回に検出した前記電圧値からの変化量を取得する工程(S114、S115、S213、S218、S220)と、
前記スイッチ素子の数の変化量と、前記電圧値の変化量とが整合するか否かを判断し、整合しない場合には、前記バイパス回路で断線が発生したものと判断する工程(S116、S117、S221、S222)と
を備える断線検出方法。
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