JP7023727B2 - 緩急針、時計用ムーブメント及び時計 - Google Patents

緩急針、時計用ムーブメント及び時計 Download PDF

Info

Publication number
JP7023727B2
JP7023727B2 JP2018012016A JP2018012016A JP7023727B2 JP 7023727 B2 JP7023727 B2 JP 7023727B2 JP 2018012016 A JP2018012016 A JP 2018012016A JP 2018012016 A JP2018012016 A JP 2018012016A JP 7023727 B2 JP7023727 B2 JP 7023727B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
whiskers
slow
movable piece
balance
axis
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018012016A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019128333A (ja
Inventor
康弘 荒川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Instruments Inc
Original Assignee
Seiko Instruments Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Instruments Inc filed Critical Seiko Instruments Inc
Priority to JP2018012016A priority Critical patent/JP7023727B2/ja
Publication of JP2019128333A publication Critical patent/JP2019128333A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7023727B2 publication Critical patent/JP7023727B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Surgical Instruments (AREA)

Description

本発明は、緩急針、時計用ムーブメント及び時計に関する。
機械式時計の調速機構において、てんぷは、振動周期が予め決められた規定値内に設定されていることが重要とされている。振動周期が規定値からずれてしまうと、機械式時計の歩度(時計の遅れ、進みの度合い)が変化するためである。歩度を調整するための方法として、内端部がてんぷのてん真に固定され、外端部がひげ持ちに固定されたひげぜんまいの長さ(有効長さ)を緩急針で調整する方法が知られている。
緩急針は、てんぷの中心軸線回りに回転可能とされ、ひげぜんまいの径方向外側に配置されるひげ受と、ひげぜんまいの径方向内側に配置されるひげ棒と、を主に備えている(例えば特許文献1参照)。これにより、ひげぜんまいは、ひげ受とひげ棒との間に位置し、これらの間で径方向に振動するように構成されている。
緩急針を利用して歩度を調整する場合には、一般的には、ひげぜんまいの外端部を固定しているひげ持ちの位置を調整した後、緩急針をてんぷの中心軸線回りに回転させて、ひげ受及びひげ棒の位置をひげぜんまいの長さ方向に調整する。これにより、ひげぜんまいが振動した際、ひげ受又はひげ棒に接触したときの接触点とひげぜんまいの内端部との間の有効長さを調整することができ、歩度調整を行うことが可能とされている。
さらに歩度調整を行う際、ひげ受とひげ棒との間の間隙(あおり幅)を調整することで、歩度の等時性の調整(あおり調整)を行うことができる緩急針も知られている。
ひげぜんまいは、てんぷが一往復する間、ひげ受に接触、ひげ受から離間、ひげ棒に接触、ひげ棒から離間という動作を繰り返し行うので、有効長さが短い状態と長い状態とを交互に繰り返す。そして、ひげぜんまいは、巻き上げ量に応じて振動の強弱が変化するので、ひげ受又はひげ棒に接触する時間が変化する。そのため、例えば有効長さが短い状態の時間が長くなってしまう場合があり、歩度の等時性に影響を与えるおそれがある。そのため、高精度の機械式時計を組み立てる場合には、あおり調整を行うことが重要視されている。
あおり調整を行うことができる緩急針として、例えばてんぷの径方向に沿って延びると共にひげ受が固定された緩急針体と、緩急針体に回転可能に取り付けられたひげ棒と、を備える緩急針が知られている(例えば特許文献2参照)。
ひげ棒は、てんぷの中心軸線に対して平行な中心線を有する穴部に回転可能に取り付けられ、穴部の中心線に対して偏心した軸線を有するひげ棒本体を有している。従って、ひげ棒を回転させることで、ひげ棒本体とひげ受との間の間隔(あおり幅)を変化させることができ、あおり調整を行うことが可能とされている。
特公昭52-26466号公報 特開2006-234528号公報
しかしながら、上記従来の緩急針を利用してあおり調整を行う場合には、ひげ棒本体が偏心しているので、ひげ棒の回転によって、ひげ棒本体がひげぜんまいの長さ方向に移動(すなわち、てんぷの中心軸線回りに移動)してしまう。そのため、ひげ棒の回転量とあおり幅の変化量とを直感的に把握することが難しく、あおり調整を狙い通りに行うことが難しいものであった。従って、あおり調整を容易且つ精度良く行うことが難しく、改善の余地があった。
さらに、ひげ棒の回転量を大きく(ひげ棒本体の偏心量を大きく)した場合には、ひげ棒とひげ受との位置関係がてんぷの中心軸線回りに大きくずれてしまうので、あおり幅の調整量を大きくすることが難しい。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、あおり調整を容易且つ精度良く行うことができると共に、従来よりも大きな調整量であおり調整を行うことができる緩急針、及び時計用ムーブメント及び時計を提供することである。
(1)本発明に係る緩急針は、てんぷの中心軸線回りに回転可能な緩急針体と、ひげぜんまいを間に挟んで前記てんぷの径方向に向い合うように配置されたひげ棒及びひげ受と、前記緩急針体に対して相対移動可能に連結された可動片と、前記緩急針体に対して前記可動片を相対移動させる操作部材と、を備え、前記ひげ棒及び前記ひげ受のうちのいずれか一方の部材は前記緩急針体に取り付けられていると共に、他方の部材は前記可動片に取り付けられ、前記操作部材は、前記他方の部材を、前記可動片を介して前記一方の部材に対して前記てんぷの径方向に移動させ、前記緩急針体は、前記てんぷの径方向に延びると共に前記一方の部材が取り付けられた第1アーム部と、前記第1アーム部に一体に形成され、前記てんぷの中心軸線回りを周回する周方向に延びる第2アーム部と、を備え、前記可動片は、前記周方向に延びるように形成されると共に前記第2アーム部に対して重ねられ、且つ前記第2アーム部に前記中心軸線に平行な第1軸線回りに回転可能に連結され、前記操作部材は、前記第2アーム部に前記中心軸線に平行な第2軸線回りに回転可能に連結された偏心ピンを備え、前記偏心ピンは、前記第2軸線に対して偏心した偏心軸を有し、前記第2軸線回りの回転によって前記可動片を前記第1軸線回りに回転させることを特徴とする。
本発明に係る緩急針によれば、緩急針体をてんぷの中心軸線回りに回転させることで、ひげ棒及びひげ受の位置をひげぜんまいの長さ方向に移動させることができるので、ひげぜんまいの有効長さの調整を行うことができる。これにより、歩度調整を適切に行うことができる。歩度調整を行った後、操作部材を利用して可動片を緩急針体に対して相対移動させることで、緩急針体に取り付けられている一方の部材に対して、可動片に取り付けられている他方の部材をてんぷの径方向に概ね沿わせながら移動させることができる。これにより、ひげ棒とひげ受との間の間隔を変化させることができ、ひげ棒とひげぜんまいとの間の間隔、或いはひげ受とひげぜんまいとの間の間隔を変化させることができ、ひげぜんまいの振り幅を調整することができる。その結果、あおり幅を調整することができ、あおり調整(歩度の等時性調整)を行うことができる。
特に、あおり幅をてんぷの径方向に概ね沿わせながら変化させることができるので、操作部材による可動片の移動量とあおり幅の変化量とを従来に比べて直感的に把握し易い。従って、あおり調整を容易且つ直感的に調整することができ、高精度なあおり調整を行うことができる。しかも、あおり幅をてんぷの径方向に概ね沿わせながら変化させることができるので、あおり幅を大きく変化させたとしても、ひげ棒とひげ受との位置関係がてんぷの中心軸線回り(すなわち、ひげぜんまいの長さ方向)にずれ難い。従って、従来よりも大きな調整量であおり調整を行うことができる。
さらに、偏心ピンを第2軸線回りに回転させることで、第2アーム部に重ねられた可動片を第1軸線回りに回転させることができ、第1アーム部に取り付けられた一方の部材に対して可動片に取り付けられた他方の部材を、てんぷの径方向に概ね沿わせながら移動させることができる。これにより、ひげ棒とひげ受との間の間隔を変化させることができ、あおり幅を調整することができる。
特に、偏心ピンを回転させるだけの簡便な作業であおり幅を調整することができるので、あおり調整をよりスムーズに行うことができるうえ、あおり幅を僅かに変化させながら狙い通りにあおり調整を行い易い。さらに、可動片は第2アーム部に対して重ねられているので、例えば時計の組み立て時において、歩度調整及びあおり調整後に可動片に接触する等して可動片を不意に動かしてしまうといった不都合を生じさせ難い。従って、歩度調整及びあおり調整の各調整作業を行い易い緩急針とすることができる。
)前記可動片のうち周方向の一方側に位置する第1周端部は、前記第2アーム部に対して前記第1軸線回りに回転可能に連結され、前記偏心ピンは、前記可動片のうち前記周方向の他方側に位置する第2周端部を介して前記可動片を前記第1軸線回りに回転させ、前記他方の部材は、前記可動片のうち前記第1周端部と前記第2周端部との間に位置する部分に取り付けられても良い。
この場合には、他方の部材が可動片のうち第1周端部と第2周端部との間に位置する部分に取り付けられているので、偏心ピンを第2軸線回りに回転させたときに、可動片のうち第1軸線回りに大きく移動する第2周端部よりも、他方の部材の移動量を小さくすることができる。従って、他方の部材をてんぷの径方向に沿わせるように移動させ易く、あおり幅をてんぷの径方向に沿わせながら変化させることができる。
)前記第2周端部は、前記偏心軸を挟持する一対の弾性アームを備えても良い。
この場合には、一対の弾性アームが偏心軸を挟持しているので、偏心ピンと可動片との間にがたつき等が生じることを抑制でき、偏心ピンの回転に伴って可動片を安定且つスムーズに動かすことができる。従って、あおり調整をより高精度に行い易い。さらに、可動片をがたつき少なく安定した姿勢に保持することができるので、歩度調整及びあおり調整後の緩急針の状態を適切に維持することができる。
)本発明に係る時計用ムーブメントは、上記緩急針、及びてんぷを有する調速機を備えている。
)本発明に係る時計は、上記時計用ムーブメントを備えている。
この場合には、上述した緩急針を備えているので、歩度の誤差が少ない高品質な時計用ムーブメント及び時計とすることができる。
本発明によれば、本発明によれば、あおり調整を容易且つ精度良く行うことができると共に、従来よりも大きな調整量であおり調整を行うことができる。
本発明に係る実施形態を示す図であって、時計の外観図である。 図1にムーブメントの平面図である。 図2に示す輪列受及び表輪列を構成する歯車の一部を取り外した状態のムーブメントの平面図である。 図3に示す調速機の平面図である。 図4に示すA-A線に沿った調速機の断面図である。 図4に示すB-B線に沿った調速機の断面図である。 図4に示す緩急針の平面図である。 図7に示す緩急針体の平面図である。 図7に示すC-C線に沿った緩急針の断面図である。 図7に示す可動片及びひげ受の平面図である。 図7に示すD-D線に沿った緩急針の断面図である。 図7に示すひげ棒及びひげ受の周辺を拡大した平面図である。 図7に示す状態から偏心ピンを回転させた状態を示す平面図である。 図13に示す状態から、偏心ピンをさらに回転させた状態を示す平面図である。 図14に示す状態から、ひげ受を回転させた状態を示す平面図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、時計の一例として機械式時計を例に挙げて説明する。
(時計の基本構成)
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側(すなわち、文字板のある方の側)をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側(すなわち、文字板と反対の側)をムーブメントの「表側」と称する。
なお本実施形態では、文字板からケース裏蓋に向かう方向を上側、その反対側を下側として説明する。
図1に示すように、本実施形態の時計1のコンプリートは、図示しないケース裏蓋及びガラス2からなる時計ケース内に、ムーブメント(本発明に係る時計用ムーブメント)10と、少なくとも時に関する情報を示す目盛り等を有する文字板3と、時を示す時針4、分を示す分針5、及び秒を示す秒針6を含む指針と、を備えている。
図2及び図3に示すように、ムーブメント10は、地板11と、地板11よりも表側に配置された輪列受12及びてんぷ受13と、を備えている。地板11と輪列受12及びてんぷ受13との間には、表輪列14と、表輪列14の回転を制御する脱進機15と、脱進機15を調速する調速機16と、が主に配設されている。なお、地板11の裏側には、文字板3がガラス2を通じて視認可能に配置されている。
表輪列14は、主に香箱車20、二番車、三番車、四番車を備えている。なお本実施形態では、図面を見易くするために二番車、三番車及び四番車の図示を省略している。
香箱車20の内部には、図示しないぜんまい(動力源)が収容されている。ぜんまいは、角穴車21が回転することによって巻き上げられる。なお角穴車21は、図1に示すリュウズ22に連結された巻真23の回転によって回転する。
二番車、三番車及び四番車は、巻き上げられたぜんまいの弾性復元力によって回転する香箱車20の回転に伴って順に回転する。
図1に示す秒針6は、四番車の回転に基づいて回転すると共に脱進機15及び調速機16によって調速された回転速度、すなわち1分間で1回転する。分針5は、二番車の回転、或いは二番車の回転に伴って回転する分車の回転に基づいて回転すると共に脱進機15及び調速機16によって調速された回転速度、すなわち1時間で1回転する。時針4は、日の裏車を介して二番車の回転に伴って回転する筒車の回転に基づいて回転すると共に、脱進機15及び調速機16によって調速された回転速度、すなわち12時間或いは24時間で1回転する。
脱進機15は、四番車に噛み合うと共にぜんまいから伝達される動力によって回転するがんぎ車25と、がんぎ車25を脱進させて規則正しく回転させるアンクル26と、を備え、後述するてんぷ30からの規則正しい振動で表輪列14を制御する。
調速機16は、中心軸線O1回りに往復回転(正逆回転)するてんぷ30と、ひげぜんまい31と、ひげぜんまい31の外端部31aを保持するひげ持受ユニット32と、中心軸線O1回りに回転可能に配設された緩急針33と、を備えている。
なお本実施形態では、平面視で中心軸線O1に交差する方向を径方向といい、中心軸線O1回りに周回する方向を周方向という。
図4~図6に示すように、てんぷ30は、中心軸線O1回りに回転可能とされたてん真40と、てん真40に取り付けられたてん輪41と、を備え、ひげぜんまい31を動力源として、中心軸線O1回りに香箱車20の出力トルクに応じた定常振幅(振り角)で正逆回転する。
てん真40は、上ほぞ部40aが上軸受42に軸支されていると共に、下ほぞ部40bが図2及び図3に示す地板11に形成された図示しない下軸受に軸支されている。てん真40における上下方向の中間部分には、てん輪41に連結された連結アーム部43が固定されていると共に、ひげ玉44及び振り座45が固定されている。
連結アーム部43は、てん真40とてん輪41とを径方向に連結する部材であり、内端部がてん真40に例えば圧入等により固定された環状のボス部46に連結され、且つ外端部がてん輪41の内周面に連結されている。これにより、てん輪41は連結アーム部43を介しててん真40に取り付けられ、てん真40と共に中心軸線O1回りに正逆回転する。ただし、連結アーム部43の数、配置や形状は、適宜変更して構わない。
ひげ玉44は、ボス部46よりも上方に配置され、てん真40に例えば圧入等により固定されている。
振り座45は、ボス部46よりも下方に配置され、てん真40に例えば圧入等により固定されている。振り座45は、大つば45a、及び大つば45aよりも下方に位置する小つば45bを有している。大つば45aには、ルビー等の人工宝石から形成され、アンクル26を作動(揺動)させるための振り石47が例えば圧入固定されている。
上軸受42は、円筒状に形成された軸受枠50と、軸受枠50内に取り付けられ、てん真40の上ほぞ部40aを回転可能に支持する上穴石51と、上穴石51の上方に配置され、てん真40の上ほぞ部40aを軸方向から支える上受石52と、上受石52のさらに上方に配置され、上受石52を軸受枠50に固定する受石押さえばね53と、を備えた耐振軸受とされている。
ただし、上軸受42の構成は、上述の場合に限定されるものではなく、てん真40の上ほぞ部40aを回転可能に支持できれば、その他の構成を採用しても構わない。
軸受枠50は、上部枠50a、及び上部枠50aよりも外径が小さい下部枠50bを備え、外径が異なる2段筒状に形成されている。軸受枠50は、てんぷ受13の台座プレート13aに形成された軸受筒部55の内側に、下部枠50bが例えば圧入等により固定されることで取り付けられている。
なお、軸受枠50及び軸受筒部55は、中心軸線O1と同軸に配設されている。また上部枠50aは、下方から上方に向かうにしたがって漸次外径が拡径する断面テーパ状に形成されている。
てんぷ受13は、例えば弓形状に形成され、その一部に上記台座プレート13aが段差状に凹むように形成され、且つその両端部に取付孔56が形成されている。てんぷ受13は、図2に示すように、取付孔56を利用した固定ねじ57によって地板11に固定されている。ただし、てんぷ受13の形状は、上述の場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
図4~図6に示すように、台座プレート13aには、台座プレート13aを上下に貫通する第1貫通孔60及び第2貫通孔61が形成されている。第1貫通孔60は中心軸線O1と同軸に形成され、第2貫通孔61は中心軸線O1とは離れた位置に形成されている。
軸受筒部55は、第1貫通孔60の開口周縁に沿うように台座プレート13aから上方に向けて起立するように形成され、その内側が第1貫通孔60に連通している。従って、軸受枠50の下部枠50bは、軸受筒部55の内側及び第1貫通孔60内に例えば圧入によって固定されている。なお、軸受枠50の上部枠50aは、軸受筒部55の開口端上に配置されており、軸受筒部55の外径よりも大きく形成されている。
第2貫通孔61の内側には、てんぷ受13の下方から円筒状の軸受ブッシング62が第2貫通孔61の中心軸線O2と同軸に例えば圧入によって固定されている。
ひげ持受ユニット32は、てんぷ受13の軸受筒部55に嵌合されたひげ持受70と、ひげ持受70に組み合わされたひげ持71と、ひげ持受70に対してひげ持71を固定するひげ持ねじ72と、を備えている。
ひげ持受70は、軸受筒部55の外側に嵌合された連結リング73と、連結リング73から径方向外側に向けて延びると共に、その先端部側(外端部側)でひげ持71を保持するひげ持アーム74と、を有している。
ひげ持アーム74には、該ひげ持アーム74を上下に貫通する保持孔75が形成されている。さらにひげ持アーム74のうち保持孔75より先端部側に位置する部分には、ひげ持アーム74の先端面に開口するねじ孔76が保持孔75に連通するように径方向に沿って形成されている。
ひげ持71は、ひげ持アーム74の保持孔75内に嵌合されている。ひげ持ねじ72は、ねじ孔76に螺着され、保持孔75内に嵌合されたひげ持71を固定している。これにより、ひげ持71は、抜け止めされた状態で保持孔75内に安定に保持されている。そしてひげ持71は、ひげぜんまい31の外端部31aを、例えば接着或いは加締め等によって保持している。
ひげぜんまい31は、渦巻き状に巻回され、内端部31bがひげ玉44に固定され、且つ外端部31aがひげ持71に固定されている。
なお、ひげぜんまい31のうち最外周側に位置する一部分は、図4に示すように、癖付け部31cを介して径方向外側に離間した外側弧状部31dとされている。この外側弧状部31dの周端部が、ひげぜんまい31の外端部31aとされて、ひげ持71に固定されている。
図4~図6に示すように、軸受枠50における上部枠50aには、上部枠50aに対して中心軸線O1回りに相対回転可能に微動緩急針レバー80(なお、以下単に緩急針レバー80と称する)が取り付けられている。
緩急針レバー80は、上部枠50aを径方向外側から囲むと共に上部枠50aに例えば嵌合された嵌合部81と、嵌合部81から第2貫通孔61側に向かって径方向外側に延びると共に、周方向に分岐するように形成された二股状の係合フォーク82と、を備えている。
嵌合部81は、ひげ持受70上に重なるように配置されていると共に、上部枠50aに対応して、その内径が下方から上方に向かうにしたがって漸次拡径する断面テーパ状に形成されている。これにより、嵌合部81は、上方への抜け止めがされた状態で上部枠50aに嵌合されると共に、上部枠50aに対して中心軸線O1回りに回転可能とされている。図示の例では、嵌合部81は周方向の一部が分断された平面視C形状に形成されているが、環状に形成されていても構わない。
係合フォーク82の内側には、調整ピン85が配設されている。
調整ピン85は、軸受ブッシング62の内側に第2貫通孔61の中心軸線O2回りに回転可能に嵌合され、第2貫通孔61の中心軸線O2と同軸に配置された軸部86と、軸部86の上端部に一体に形成され、その中心が中心軸線O2に対して偏心した頭部87と、を備えている。
頭部87は、台座プレート13aに対して上方から接触していると共に、その外周面は係合フォーク82の内面に対して摺動可能に接触している。そのため、調整ピン85を第2貫通孔61の中心軸線O2回りに回転させることで、頭部87を介して緩急針レバー80の全体をてんぷ30の中心軸線O1回りに回転させることが可能とされている。
なお頭部87には、例えばマイナス溝87aが形成されている。これにより、例えばドライバー等によりマイナス溝87aを利用して調整ピン85を回転操作することが可能とされている。ただし、マイナス溝87aに限定されるものではなく、調整ピン85を任意に回転操作できる手段が調整ピン85に形成されていれば良い。
(緩急針)
図4、図5及び図7に示すように、緩急針33は、中心軸線O1回りに回転可能とされた緩急針体90と、ひげぜんまい31の外側弧状部31dを間に挟んで径方向に向い合うように配置されたひげ棒91及びひげ受92と、緩急針体90に対して相対移動可能に連結された可動片93と、緩急針体90に対して可動片93を相対移動させる操作部材94と、を備えている。
ひげ棒91は、ひげぜんまい31の外側弧状部31dよりも径方向内側に配置され、緩急針体90に取り付けられている。これに対してひげ受92は、ひげぜんまい31の外側弧状部31dよりも径方向外側に配置され、可動片93に取り付けられている。
緩急針体90は、ひげ持受70上に重なるように配置されると共に、緩急針レバー80の嵌合部81を径方向外側から囲む連結部100と、連結部100から径方向外側に向けて延びると共に、ひげ棒91が取り付けられた第1アーム部101と、第1アーム部101に一体に形成され、周方向に延びる第2アーム部102と、を備えている。
連結部100は、緩急針レバー80の嵌合部81に対して例えば嵌合されている。これにより、緩急針33は、緩急針レバー80の回転に伴って中心軸線O1回りに回転可能とされている。
なお、緩急針33の連結部100は、緩急針レバー80の嵌合部81に対して中心軸線O1回りに回転可能に嵌合されていても構わない。この場合には、緩急針レバー80に対して緩急針33を中心軸線O1回りに相対回転させることが可能となる。これにより、緩急針レバー80に対する緩急針33の相対的な周方向位置を調整することが可能となる。この場合であっても、例えば緩急針33の連結部100と緩急針レバー80の嵌合部81との間の摩擦抵抗力や摺動抵抗力等を予め調整しておくことで、緩急針レバー80の回転に伴って緩急針33が中心軸線O1回りに回転するように構成すれば良い。
図示の例では、連結部100は周方向の一部が分断された平面視C形状に形成されているが、環状に形成されていても構わない。
図7及び図8に示すように、第2アーム部102は、第1アーム部101の先端部(外端部)に一体に形成され、周方向に延びる平面視円弧状に形成されている。本実施形態では、第2アーム部102における周方向の中央部分が、第1アーム部101の先端部に接続されている。これにより、第2アーム部102は、第1アーム部101よりも、中心軸線O1を中心として上方から見て時計回りに回転する時計方向側、及び反時計回りに回転する反時計方向側に向けてそれぞれ延びるように形成されている。
第2アーム部102のうち、反時計方向側(周方向の一方側)に位置する周端部は第1周端部102aとされ、時計方向側(周方向の他方側)に位置する周端部は第2周端部102bとされている。第2アーム部102のうち周方向の中央に位置する部分には、該第2アーム部102を上下に貫通すると共に、径方向外側に向けて開口する開口部103が形成されている。
第2アーム部102に開口部103が形成されていることで、第2アーム部102は第1アーム部101から径方向外側に向けて、第1周端部102a側及び第2周端部102b側に分岐するような二股状に形成されている。
なお、開口部103は、可動片93に取り付けられたひげ受92との接触を回避するための逃げ孔とされている。ただし、開口部103は必須なものではなく、例えば可動片93を第2アーム部102の下面側に配置する場合には省略して構わない。
第1アーム部101には、該第1アーム部101を上下に貫通する第1取付孔104が形成されている。第2アーム部102における第1周端部102a側には、第2アーム部102を上下に貫通する第2取付孔105が形成されている。第2アーム部102における第2周端部102b側には、第2アーム部102を上下に貫通する第3取付孔106が形成されている。
図5、図7及び図9に示すように、ひげ棒91は、第1取付孔104の中心軸線O3と同軸に配置された円柱状のひげ棒本体91aと、ひげ棒本体91aの上端部に形成され、第1取付孔104の内側に固定されたひげ棒固定部91bと、を備えている。
ひげ棒本体91aは、第1アーム部101よりも下方に向けて延びており、ひげぜんまい31の外側弧状部31dよりも径方向内側に配置されている。なお、ひげ棒本体91aの下端部は、ひげぜんまい31の外側弧状部31dよりも下方に突出している。
このひげ棒91は、例えば第1取付孔104内に下方或いは上方から挿入された後、ひげ棒固定部91bの上端部を加締めることで、第1取付孔104の内側に一体に固定されている。ただし、加締めによる方法に限定されるものではなく、例えば第1取付孔104の内側にひげ棒固定部91bを圧入しても構わない。
図7、図10及び図11に示すように、可動片93は、周方向に延びる平面視円弧状のプレートとされ、緩急針体90における第2アーム部102の上面に重なるように配置されている。なお可動片93は、第2アーム部102の略全面を覆うように、その外径が第2アーム部102の外形に対応して形成されている。
可動片93のうち、反時計方向側(周方向の一方側)に位置する周端部は第1周端部93aとされ、時計方向側(周方向の他方側)に位置する周端部は第2周端部93bとされている。従って、可動片93の第1周端部93aは第2アーム部102の第1周端部102aの上面に重なるように配置され、可動片93の第2周端部93bは第2アーム部102の第2周端部102bの上面に重なるように配置されている。
可動片93の第1周端部93a側には、可動片93を上下に貫通する第4取付孔110が形成されている。第4取付孔110は、第2アーム部102に形成された第2取付孔105の中心軸線(本発明に係る第1軸線)O4と同軸に配置され、且つ第2取付孔105と同等のサイズに形成されている。
可動片93の第2周端部93bは、中心軸線O4回りを周回する周方向に分岐すると共に、後述する偏心ピン140の偏心軸141を挟持する一対の弾性アーム111を備えている。一対の弾性アーム111は、先端部が互いに接近するように予め付勢され、且つ先端部が互いに離間する方向に弾性変形可能とされている。これにより、一対の弾性アーム111は偏心軸141を挟持することが可能とされている。
可動片93のうち周方向の中央に位置する部分には、可動片93を上下に貫通する第5取付孔112が形成されている。第5取付孔112は、第2アーム部102に形成された開口部103の上方に位置していると共に、図7に示すように、平面視においててんぷ30の中心軸線O1と第1アーム部101に形成された第1取付孔104の中心軸線O3とを結ぶ仮想線L上に中心軸線O5が位置するように形成されている。
上述のように構成された可動片93は、図7及び図11に示すように、第2アーム部102に対して連結ピン120を介して連結されていると共に、第2アーム部102にてんぷ30の中心軸線O1に平行な第2取付孔105及び第4取付孔110の中心軸線O4回りに回転可能に連結されている。従って、可動片93は中心軸線O4回りに回転することで、緩急針体90に対して相対移動可能とされている。
連結ピン120は、第2取付孔105内及び第4取付孔110内に配設されたピン本体121と、ピン本体121の上端部に形成され、可動片93の上面に配置されたピンヘッド122と、を備えている。
ピン本体121は、その内径が第2取付孔105及び第4取付孔110の直径と同径とされていると共に、第2取付孔105及び第4取付孔110に対して中心軸線O4回りに回転可能とされている。ピンヘッド122は、その外径が第4取付孔110の直径よりも大きく形成されている。
この連結ピン120は、例えば第2取付孔105内及び第4取付孔110内に上方から挿入された後、ピン本体121の下端部を加締めることで、第2アーム部102に対して可動片93を一体に連結している。ただし、連結ピン120の取り付けは、加締めによる方法に限定されるものではない。
図7、図9~図11に示すように、ひげ受92は、第5取付孔112を介して可動片93に取り付けられている。
ひげ受92は、可動片93の下方であって且つ開口部103の内側に配設されたひげ受本体92aと、ひげ受本体92aに一体に形成され、第5取付孔112の中心軸線O5と同軸に配置された多段軸状のひげ受軸部92bと、を備えている。
ひげ受軸部92bは、第5取付孔112内に中心軸線O5回りに回転可能に配置されている。ひげ受本体92aは、ひげ棒91側に向けて延びるように形成され、その一部はひげぜんまい31の外側弧状部31dよりも径方向外側に配置されている。
これにより、ひげ棒91及びひげ受92は、ひげぜんまい31を間に挟んで径方向に向い合うように配置されている。そして、ひげぜんまい31は、ひげ棒91におけるひげ棒本体91aと、ひげ受92におけるひげ受本体92aとの間で径方向に拡縮変形可能とされている。
図9及び図11に示すように、ひげ受92は、例えば第5取付孔112内に下方から挿入された後、ひげ受軸部92bの上端部を加締めることで、第5取付孔112の内側に中心軸線O5回りに回転可能に固定されている。ただし、ひげ受92の取り付けは、加締めによる方法に限定されるものではない。
図7及び図11に示すように、操作部材94は、ひげ受92を、可動片93を介してひげ棒91に対して径方向に移動させることが可能とされている。
操作部材94は、第2アーム部102の第3取付孔106内に配置された連結ピン130を利用して、第2アーム部102に取り付けられると共に、てんぷ30の中心軸線O1に平行な第3取付孔106の中心軸線(本発明に係る第2軸線)O6回りに回転可能に連結された偏心ピン140を備えている。
偏心ピン140は、第2アーム部102における第2周端部102bの上面に配置され、その中心線が中心軸線O6に対して偏心した偏心軸141を有している。偏心ピン140には、該偏心ピン140を上下に貫通する第6取付孔142が第3取付孔106の中心軸線O6と同軸に形成されている。
連結ピン130は、第3取付孔106内及び第6取付孔142内に配設されたピン本体131と、ピン本体131の上端部に形成され、ピン本体131よりも拡径した断面テーパ状のピンヘッド132と、を備えている。ピン本体131は、第3取付孔106及び第6取付孔142に対して中心軸線O6回りに回転可能に配置されている。
図11に示すように、連結ピン130は、例えば第3取付孔106内及び第6取付孔142内に上方から挿入された後、ピン本体131の下端部を加締めることで、第2アーム部102に対して偏心ピン140を一体に連結している。ただし、連結ピン130の取り付けは、加締めによる方法に限定されるものではない。
図7に示すように、可動片93における一対の弾性アーム111は偏心軸141を挟持している。これにより、偏心ピン140を中心軸線O6回りに回転させることで、一対の弾性アーム111を有する第2周端部102bを介して可動片93を中心軸線O4回りに回転させることが可能とされている。
そして、可動片93が中心軸線O4回りに回転することで、可動片93に取り付けられているひげ受92を、ひげ棒91に対して径方向に概ね沿わせながら(すなわち、図7に示す仮想線Lに概ね沿わせながら)移動させることが可能とされている。
(ひげぜんまいの調整)
次に、上述のように構成された時計1において、ひげぜんまい31の歩度調整を行う場合について説明する。
なお初期状態として、図4に示すように、ひげ持71の位置(ひげぜんまい31の外端部31aの位置)が適切に調整され、例えば片振り調整(ひげぜんまい31の振動中心の位置調整)が終了しているものとする。また、緩急針33が初期位置に位置しているものとする。なお、歩度の粗調整を行う場合には、緩急針33は歩度の粗調整が終了した位置にあるものとする。このとき、図12に示すように、例えばひげぜんまい31はひげ棒91のひげ棒本体91aよりも、ひげ受92のひげ受本体92a側に僅かに寄った状態とされている。すなわち、ひげぜんまい31とひげ棒91との間の間隔は、ひげぜんまい31とひげ受92との間の間隔よりも僅かに大きい状態とされている。
このような初期状態のもと、歩度調整を行う場合には、調整ピン85を中心軸線O2回りに回転させる。これにより、ひげ持受ユニット32の位置を動かさずに、調整ピン85を介して緩急針レバー80及び緩急針体90をてんぷ30の中心軸線O1回りに回転させることができる。そのため、ひげ棒91及びひげ受92の位置をひげぜんまい31の長さ方向に移動することができるので、ひげぜんまい31の有効長さの調整を行うことができる。これにより、歩度調整を行うことができる。
なお、歩度調整時、図4に示すように、緩急針レバー80をてんぷ受13に明示された指標部150のプラス側領域に向かう方向に移動させることで、ひげぜんまい31の有効長さを短くすることができ、歩度が進む方向に調整することが可能である。その反対に、緩急針レバー80を指標部150のマイナス側領域に向かう方向に移動させることで、ひげぜんまい31の有効長さを長くすることができ、歩度が遅れる方向に調整することが可能である。
次いで、ひげぜんまい31の有効長さの調整を行った後、操作部材94を利用して可動片93を緩急針体90に対して相対移動させることで、緩急針体90に取り付けられているひげ棒91に対して、可動片93に取り付けられているひげ受92をてんぷ30の径方向に概ね沿わせながら移動させることができる。
具体的には、図13に示すように、偏心ピン140を中心軸線O6回りに回転させる。なお、偏心ピン140を回転操作する場合には、例えばピンセット或いは小型レンチ等の工具を利用して行うことが可能である。偏心ピン140を回転させることで、一対の弾性アーム111を介して可動片93の全体を中心軸線O4回りに回転させることができる。これにより、緩急針体90の第1アーム部101に取り付けられたひげ棒91に対して、可動片93に取り付けられたひげ受92を、てんぷ30の径方向に概ね沿わせながら移動させることができる。従って、図13に示すように、例えばひげ受92をひげ棒91から離間するように、仮想線Lに概ね沿わせながら径方向外側に向けて移動させることができる。
これにより、ひげ棒91とひげ受92との間の間隔を変化させることができ、ひげ棒91とひげぜんまい31との間の間隔、或いはひげ受92とひげぜんまい31との間の間隔を変化させることができ、ひげぜんまい31の振り幅を調整することができる。図示の例では、ひげぜんまい31とひげ棒91との間の間隔を変化させずに、ひげぜんまい31とひげ受92との間の間隔を、図12に示す初期状態よりも大きくすることができる。その結果、あおり幅を調整することができ、あおり調整(歩度の等時性調整)を行うことができる。
特に、あおり幅をてんぷ30の径方向に概ね沿わせながら変化させることができるので、偏心ピン140の回転量に対応した可動片93の移動量と、あおり幅の変化量とを従来に比べて直感的に把握し易い。従って、あおり調整を容易且つ直感的に調整することができ、高精度なあおり調整を行うことができる。
しかも、あおり幅をてんぷ30の径方向に概ね沿わせながら変化させることができるので、あおり幅を大きく変化させたとしても、ひげ棒91とひげ受92との位置関係がてんぷ30の中心軸線O1回り(すなわち、ひげぜんまい31の長さ方向)にずれ難い。
例えば図14に示すように、偏心ピン140のさらなる回転によって、ひげ受92をひげ棒91からさらに離間するように移動させたとしても、ひげ受92を仮想線Lに概ね沿わせながら径方向外側に向けて移動させることができるので、ひげ棒91とひげ受92との位置関係が周方向にずれ難い。従って、従来よりも大きな調整量であおり調整を行うことができる。
なお、大きな調整量であおり調整を行った後、図15に示すように、ひげ受92を中心軸線O5回りに僅かに回転させてひげ受本体92aの姿勢を仮想線Lにさらに沿った姿勢に修正することも可能である。
以上説明したように、本実施形態の緩急針33によれば、あおり調整を容易且つ従来に比べて直感的に行うことができ、あおり調整を高精度に行うことができると共に、従来よりも大きな調整量であおり調整を行うことができる。
特に、偏心ピン140を回転させるだけの簡便な作業であおり幅を調整することができるので、あおり調整をよりスムーズに行うことができるうえ、あおり幅を僅かに変化させながら狙い通りにあおり調整を行い易い。さらに、可動片93は第2アーム部102に対して重ねられているので、例えば時計1の組み立て時において、歩度調整及びあおり調整後に可動片93に接触する等して可動片93を不意に動かしてしまうといった不都合を生じさせ難い。従って、歩度調整及びあおり調整の各調整作業を行い易い緩急針33とすることができる。
さらに、ひげ受92が可動片93のうち第1周端部93aと第2周端部93bとの間に位置する部分に取り付けられているので、偏心ピン140を中心軸線O6回りに回転させたときに、中心軸線O4回りに大きく移動する第2周端部93bよりも、ひげ受92の移動量を小さくすることができる。従って、ひげ受92をてんぷ30の径方向に沿わせるように移動させ易く、あおり幅をてんぷ30の径方向に沿わせながら変化させることができる。
さらに、一対の弾性アーム111が偏心軸141を挟持しているので、偏心ピン140と可動片93との間にがたつき等が生じることを抑制でき、偏心ピン140の回転に伴って可動片93を安定且つスムーズに動かすことができる。従って、あおり調整をより高精度に行い易い。さらに、可動片93をがたつき少なく安定した姿勢に保持することができるので、歩度調整及びあおり調整後の緩急針33の状態を適切に維持することができる。
また、本実施形態のムーブメント10及び時計1によれば、上記緩急針33を具備しているので、歩度の誤差が少ない高品質なムーブメント10及び時計1とすることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
例えば、上記実施形態では、偏心ピン140の回転によって可動片93を中心軸線O1回りに回転させることで、緩急針体90に対して可動片93を相対移動させたが、この場合に限定されるものではない。例えば操作部材94によって可動片93をてんぷ30の径方向に沿ってスライド移動させても構わない。また、偏心ピン140に例えば操作レバーを一体に形成し、操作レバーを手動で回転操作することで、偏心ピン140を回転させても構わない。
さらに、上記実施形態では、第2アーム部102の上面に可動片93を重ねるように配置したが、この場合に限定されるものではなく、第2アーム部102の下面に可動片93を重ねるように配置しても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏功することができる。
さらに、上記実施形態では、緩急針体90の第1アーム部101にひげ棒91を取り付けると共に、第2アーム部102の上面に配置した可動片93にひげ受92を取り付けたが、この場合に限定されるものではない。
例えば、緩急針体90の第1アーム部101にひげ受92を取り付けると共に、可動片93にひげ棒91を取り付けても構わない。この場合には、第1アーム部101の中間部分に第2アーム部102を形成し、第1アーム部101の先端部側にひげ受92を取り付ければ良い。そして、第2アーム部102の上面或いは下面に可動片93を重ねるように配置して、可動片93にひげ棒91を取り付ければ良い。
このように構成した場合であっても、操作部材94による可動片93の移動によって、ひげ棒91とひげ受92との間隔を調整することができるので、上記実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
O1…てんぷの中心軸線
O4…中心軸線(第1軸線)
O6…中心軸線(第2軸線)
1…時計
10…ムーブメント(時計用ムーブメント)
16…調速機
30…てんぷ
31…ひげぜんまい
33…緩急針
90…緩急針体
91…ひげ棒
92…ひげ受
93…可動片
93a…可動片の第1周端部
93b…可動片の第2周端部
94…操作部材
101…第1アーム部
102…第2アーム部
111…弾性アーム
140…偏心ピン
141…偏心軸

Claims (5)

  1. てんぷの中心軸線回りに回転可能な緩急針体と、
    ひげぜんまいを間に挟んで前記てんぷの径方向に向い合うように配置されたひげ棒及びひげ受と、
    前記緩急針体に対して相対移動可能に連結された可動片と、
    前記緩急針体に対して前記可動片を相対移動させる操作部材と、を備え、
    前記ひげ棒及び前記ひげ受のうちのいずれか一方の部材は前記緩急針体に取り付けられていると共に、他方の部材は前記可動片に取り付けられ、
    前記操作部材は、前記他方の部材を、前記可動片を介して前記一方の部材に対して前記てんぷの径方向に移動させ
    前記緩急針体は、前記てんぷの径方向に延びると共に前記一方の部材が取り付けられた第1アーム部と、前記第1アーム部に一体に形成され、前記てんぷの中心軸線回りを周回する周方向に延びる第2アーム部と、を備え、
    前記可動片は、前記周方向に延びるように形成されると共に前記第2アーム部に対して重ねられ、且つ前記第2アーム部に前記中心軸線に平行な第1軸線回りに回転可能に連結され、
    前記操作部材は、前記第2アーム部に前記中心軸線に平行な第2軸線回りに回転可能に連結された偏心ピンを備え、
    前記偏心ピンは、前記第2軸線に対して偏心した偏心軸を有し、前記第2軸線回りの回転によって前記可動片を前記第1軸線回りに回転させることを特徴とする緩急針。
  2. 請求項に記載の緩急針において、
    前記可動片のうち周方向の一方側に位置する第1周端部は、前記第2アーム部に対して前記第1軸線回りに回転可能に連結され、
    前記偏心ピンは、前記可動片のうち前記周方向の他方側に位置する第2周端部を介して前記可動片を前記第1軸線回りに回転させ、
    前記他方の部材は、前記可動片のうち前記第1周端部と前記第2周端部との間に位置する部分に取り付けられている、緩急針。
  3. 請求項に記載の緩急針において、
    前記第2周端部は、前記偏心軸を挟持する一対の弾性アームを備えている、緩急針。
  4. 請求項1からのいずれか1項に記載の緩急針、及びてんぷを有する調速機を備えている、時計用ムーブメント。
  5. 請求項に記載の時計用ムーブメントを備えている、時計。
JP2018012016A 2018-01-26 2018-01-26 緩急針、時計用ムーブメント及び時計 Active JP7023727B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018012016A JP7023727B2 (ja) 2018-01-26 2018-01-26 緩急針、時計用ムーブメント及び時計

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018012016A JP7023727B2 (ja) 2018-01-26 2018-01-26 緩急針、時計用ムーブメント及び時計

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019128333A JP2019128333A (ja) 2019-08-01
JP7023727B2 true JP7023727B2 (ja) 2022-02-22

Family

ID=67472183

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018012016A Active JP7023727B2 (ja) 2018-01-26 2018-01-26 緩急針、時計用ムーブメント及び時計

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7023727B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4157008A (en) 1975-12-12 1979-06-05 Eta A.G. Ebauches-Fabrik Mechanical watch movement
JP5113098B2 (ja) 2009-01-23 2013-01-09 日立オートモティブシステムズ株式会社 車両横転防止制御装置および車両横転防止制御方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5113098Y1 (ja) * 1969-11-17 1976-04-08

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4157008A (en) 1975-12-12 1979-06-05 Eta A.G. Ebauches-Fabrik Mechanical watch movement
JP5113098B2 (ja) 2009-01-23 2013-01-09 日立オートモティブシステムズ株式会社 車両横転防止制御装置および車両横転防止制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019128333A (ja) 2019-08-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20170124525A (ko) 일체형 시계 조절기, 시계 무브먼트 및 상기 시계 조절기를 구비한 시계
CN106896698B (zh) 擒纵叉、调速擒纵器、陀飞轮、机芯和钟表
JP2019219249A (ja) 脱進機、時計用ムーブメント及び時計
JP6703203B1 (ja) ひげぜんまい調整機構、てんぷ受ユニット、ムーブメント及び時計
JP6032676B2 (ja) てんぷ、時計用ムーブメントおよび時計
JP7023727B2 (ja) 緩急針、時計用ムーブメント及び時計
JP6566432B1 (ja) 定トルク機構、時計用ムーブメント及び時計
JP2006214822A (ja) 緩急可能なひげぜんまいを含む機械式時計
JP5953629B2 (ja) 温度補償型てんぷ、時計用ムーブメント及び機械式時計
JP6465660B2 (ja) ひげぜんまい調整機構、ムーブメント、及び時計
JP6591883B2 (ja) 定力ばね調整機構、定力装置、および機械式時計
JP7407028B2 (ja) ひげぜんまい調整機構、てんぷ受ユニット、ムーブメント及び時計
JP6869759B2 (ja) 脱進機、時計用ムーブメント及び時計
JP2021148480A (ja) ひげぜんまい固定機構、てんぷ受ユニット、ムーブメント及び時計
JP6901877B2 (ja) 脱進機、時計用ムーブメント及び時計
JP7038491B2 (ja) 緩急針、ムーブメント、及び時計
JP6548240B1 (ja) ひげぜんまい、調速機、時計用ムーブメント及び時計
JP7476768B2 (ja) テンプ、ムーブメント、機械式時計およびテンプの製造方法
JP6444059B2 (ja) てんぷ、調速機、ムーブメントおよび時計
JP6239390B2 (ja) 時計部品用接着剤、ムーブメントおよび時計
JP2018179648A (ja) アラーム機構、時計用ムーブメント及び時計
JP7159077B2 (ja) 温度補償型てんぷ、ムーブメント及び時計
JP6748318B1 (ja) 脱進調速機、時計用ムーブメントおよび時計
JP2018155523A (ja) 時計部品、ムーブメントおよび時計
JP2023132511A (ja) 緩急針、ムーブメント及び時計

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201111

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210907

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210928

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211104

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220201

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220209

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7023727

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150