JP7038491B2 - 緩急針、ムーブメント、及び時計 - Google Patents
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Description
ひげぜんまいと摩擦によって支持された部材(ひげ棒肩部)が、ひげぜんまいと接触し、次第に摩耗し形状が変化してしまう。ひげぜんまいを支持する部分の形状が変化してしまうと、予め調整したひげぜんまいの有効長さが変わってしまい、振動周期も変わる結果、歩度が増加してしまうという問題点があった。
本発明に係る緩急針は、ひげぜんまいの両端より内側に接触可能な突出部を備えることを特徴とする。また、前記緩急針は、前記ひげぜんまいを挟み込んだ状態で備えられるひげ棒構造体を有し、前記ひげ棒構造体に前記ひげぜんまいの両端より内側に接触可能な突出部が備えられることを特徴とする。
この構成によれば、前記ひげぜんまいと、ひげ棒構造体との接触において、ひげぜんまいの角での接触を防ぎ、かかる部品の磨耗を抑制することができる。したがって、かかる部品の形状変化を防ぐことができる。
この構成によれば、前記ひげぜんまいと、前記ひげ棒又は、前記ひげ受との接触において、ひげぜんまいの角での接触を防ぎ、かかる部品の磨耗を抑制することができる。したがって、かかる部品の形状変化を防ぐことができる。
この構成によれば、前記ひげぜんまいと、例えばひげを受けるひげ棒構造体等の緩急針を構成する部品との接触において、ひげぜんまいの角での接触を防ぎ、かかる部品の磨耗を抑制することができる。したがって、かかる部品の形状変化を防ぐことができる。さらに、時計内部に塵等の異物が発生することを防止できる。
この構成によれば、前記ひげぜんまいと、例えばひげを受けるひげ棒構造体等の緩急針を構成する部品との接触において、ひげぜんまいの角での接触を防ぎ接触面積を増やすことができるので、かかる部品にかかる力が分散し、かかる部品の磨耗をより抑制することができる。したがって、かかる部品の形状変化を防ぐことができる。さらに、時計内部に塵等の異物が発生することを防止できる。
この構成によれば、前記ひげぜんまいと、例えばひげを受けるひげ棒構造体等の緩急針を構成する部品との接触において、ひげぜんまいの角での接触を防ぎ接触点を増やすことができるので、かかる部品にかかる力が分散し、かかる部品の磨耗をより抑制することができる。したがって、かかる部品の形状変化を防ぐことができる。さらに、時計内部に塵等の異物が発生することを防止できる。
この構成によれば、前記ひげぜんまいと、例えばひげを受けるひげ棒構造体等の緩急針を構成する部品との接触において、かかる部品の硬度が前記ひげぜんまいの硬度より大きくなり、かかる部品の磨耗をより抑制することができる。したがって、かかる部品の形状変化を防ぐことができる。さらに、時計内部に塵等の異物が発生することを防止できる。
この構成によれば、前記ひげぜんまいと、例えばひげを受けるひげ棒構造体等の緩急針を構成する部品との接触において、かかる部品の硬度が前記ひげぜんまいの硬度より大きくなり、かかる部品の磨耗をより抑制することができる。したがって、かかる部品の形状変化を防ぐことができる。さらに、時計内部に塵等の異物が発生することを防止できる。
本発明に係る時計は、上記本発明のムーブメントを備えていることを特徴とする。
この構成によれば、上記本発明の緩急針を備えているため、例えばひげを受けるひげ棒構造体等の緩急針を構成する部品の形状変化を抑制し、歩度の精度が高いムーブメント及び時計を提供することができる。
なお、以下に示す図面において同一の部材番号を付した部材は、少なくとも同一の機能、作用、又は効果を示すものとする。
1.第1実施形態
[時計]
図1を参照して、本発明のひげぜんまい調整機構を備えるムーブメントが組み込まれた時計について説明する。
まず、図1を参照して、本発明のひげぜんまい調整機構を備えるムーブメントが組み込まれた時計の外観について説明する。
図1は、本発明のひげぜんまい調整機構を備えるムーブメントが組み込まれた時計の外観を示す図である。
図1に示すように、本発明の時計1は、ケース蓋(不図示)及びガラス2を有する時計ケース3内に、ムーブメント8や、時刻に関する情報を示す目盛り等を有する文字板4、各種指針(時針5、分針6及び秒針7)等が組み込まれて構成されている。
次に、図2を参照して、本発明のムーブメントについて説明する。
図2は、ムーブメント8を表側から見た平面図である。なお、図2では、図面を見やすくするため、ムーブメント8を構成する時計用部品のうち一部の図示を省略しているとともに、各時計用部品を簡略化して図示している。また、以下の説明では、ムーブメント8の基板を構成する地板10に対して時計ケース3のガラス2側(文字板4側)をムーブメント8の「裏側」と称し、ケース蓋側(文字板4側とは反対側)をムーブメント8の「表側」と称する。
上述した表輪列のうち、四番車には上述した秒針7が取り付けられ、二番車には分針6が取り付けられる。また、二番車の回転に伴って回転する筒車に、上述した時針5が取り付けられる。
図3はてんぷ13を表側から見た平面図であり図4は図3のA-A線に沿う断面図である。
図3に示すように、てんぷ13は、てんぷ13の中心軸01周りに回転自在とされたてん真14と、てん真14を軸支する軸受15と、てん真14に取り付けられたてん輪16と、てん真14とてん輪16との間に配置されたひげぜんまい17と、中心軸01周りに回転可能とされたひげ持受18と、中心軸01周りに回転可能とされた緩急針19とを備えている。
なお、以下の説明では、中心軸01に沿う方向を軸方向といい、中心軸01に直交する方向を径方向といい、中心軸01周りに周回する方向を周方向という場合がある。
取付基部22には、軸方向に貫通する取付孔24が複数形成されている。てんぷ受20は取付孔24内に各別に挿通された固定ねじ25(図2参照)を介して地板10に固定されている。
台座プレート23は、取付基部22に対して裏側に一段下がって形成されている。台座プレート23には、軸受15を保持する軸受筒部26(図4参照)が中心軸01と同軸上に形成されている。
ひげ持受18は、径方向の外側に向けて延在し、その先端部でひげ持33を保持する一対のひげ持アーム34を有している。各ひげ持アーム34は、周方向に間隔を配設され、ひげ持33を挟持している。
ひげぜんまい17は、その内端部がひげ玉35(図4参照)を介して、てん真14に連結され、外端部が上述したひげ持33に連結されている。なお、ひげぜんまい17の外端部は径方向の外側に膨出した弧状部とされている。
次に、図3、図4を参照して、本発明の緩急針について説明する。
図3、図4に示すように、緩急針19は、中心軸01周りに回転可能な緩急針体36と、緩急針体36に保持されたひげ棒ユニット37と、を備えている。
保持アーム39は、ベース部38から径方向の外側に向けて突設されている。各保持アーム39は、周方向に間隔をあけて配設され、互いに接近離間する方向に弾性変形可能とされている。
まず、図4を参照して、本発明のひげ棒ユニットの概要について説明する。
図4に示すように、ひげ棒ユニット37は、緩急針体36の保持アーム39に挟持された軸体40と、軸体40からひげぜんまい17側(裏側)に向けて二又状に延びるひげ棒部41及び、ひげ受部42と、を備えている。
軸体40は、中心軸01に対して平行な軸線02に沿って延びる柱状とされ、保持アーム39間において、径方向に移動可能で、かつ軸線02周りに回転可能に挟持されている。
図5は本実施形態にかかる緩急針の側面図である。
一般的なひげ棒ユニットでは、ひげ棒部及び、ひげ受部は高速で収縮運動を行うひげぜんまいと接触する為、摩耗が発生し、ひげ棒部及び、ひげ受部の形状が変化してしまう。特に外乱の影響により、ひげぜんまいの角とひげ棒部及び、ひげ受部が接触してしまう場合、接触応力が大きくなり、ひげ棒部及び、ひげ受部の摩耗量も多くなる。
図6は、歩度調節の種類と、その種類に応じたひげぜんまい17の収縮運動時におけるひげぜんまい17と、突出部43、44の位置関係を示す図である。
機械式時計では、仕様を満たす歩度を調整することが行われる。歩度調節には緩急針19を回転させて行う粗調整とひげ棒ユニット37を回転させて行う微調整がある。
粗調整では、緩急針19をてんぷの中心軸01周りに回転させ、ひげ棒部41及び、ひげ受部42の位置をひげぜんまい17の長さ方向(ひげぜんまいの周方向)に移動させる。これにより、ひげぜんまい17が振動する際の有効長さ(ひげぜんまいの内端部と、ひげぜんまいとひげ棒部及び、ひげ受部との接触部分と、の間の長さ)を調整することができ、歩度が調整される。
図6において、収縮とはひげぜんまい17が最も収縮した状態を示し、中立初期とはひげぜんまい17が自然長状態(てんぷの振り角が0度の時のひげぜんまい17の状態)を示し、拡大とはひげぜんまい17が最も拡径した状態を示す。
ここで、図6の片あおりでは、ひげぜんまいの収縮時に、ひげ棒部41とひげぜんまい17が接触し、ひげぜんまいの中立初期、拡大時には、ひげぜんまいとひげ棒部41及び、ひげ受部42は接触しない。
また、両あおりでは、ひげぜんまいの収縮時には、ひげ棒部41とひげぜんまい17が接触し、ひげぜんまいの中立初期時には、ひげぜんまいとひげ棒部41及び、ひげ受部42は接触せず、ひげぜんまいの拡大時にはひげ受部42とひげぜんまい17が接触する。
最後に、あおり止めでは、ひげぜんまいの収縮、中立初期、拡大時に、ひげ棒部41とひげぜんまい17が常に接触している。
あおり止めでは、図6のあおり止めの欄に示されるように、ひげぜんまい17の収縮運動期間中、常にひげ棒部41にひげぜんまい17が接触する。常に接触することによって、ひげぜんまいの有効長さをひげぜんまいの内端部からひげぜんまいとひげ受部42の接触部分に調整することができる。
また、図7に示すように、外乱などでひげぜんまいが傾いた際にも、突出部43の円弧部分が、ひげぜんまいの平面部に当接するので、ひげぜんまいの角17とひげ棒部41接触を防止している。
片あおり、両あおりの際も同様に、ひげぜんまい17がひげ棒部41及びひげ受部42と接触する際には、突出部43、44がひげぜんまいの平面部に当接することでひげぜんまいの角45がひげ棒部41及び、ひげ受部42と接触することを防止している。
なお、片あおりに調節された場合には、ひげぜんまい17の拡大時に、ひげ受部42とひげぜんまい17が接触することとなるが、この場合にも、ひげぜんまいの角45とひげ棒部41、又はひげ受部42の接触を防止することができることとなる。
なお、本実施形態では、径方向の内側にひげ棒部41が配置され、径方向の外側にひげ受部42が配置されているが、径方向の外側にひげ棒部41が配置され、径方向の内側にひげ受部42を配置するようにしてもよい。また、突出部はひげ棒部41及び、ひげ受部42のどちらか一方でも良い。
次に、図8を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。
図8は第2実施形態にかかる緩急針201の側面図である。
図8に示すように、本実施形態にかかる緩急針201は緩急針体202と、緩急針体202に保持されたひげ棒203とひげ受204を供えている。
ひげ棒203は、緩急針201に垂直な軸線04を中心とした柱状とされひげ受204は軸線04に平行な軸線05に沿って伸びる柱状とされている。
ひげ棒203及び、ひげ受204の突出部209、210は、ひげぜんまいの中心線06上に仮想中心211、212をもつ円弧形状をしており、ひげぜんまいの角208との接触を防ぐようになっている。
次に、図9を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。
図9は第3実施形態にかかる緩急針301の側面図である。
本実施形態にかかる緩急針301は、緩急針体302と、緩急針体302に保持された二つのひげ棒303、304を供えている。
ひげぜんまい305は、その外端部が二つのひげ棒303、304間で径方向に振動可能、かつ二つのひげ棒303、304と接触可能とされている。
ひげ棒303、304は、緩急針301に垂直な軸線07、08を中心とした柱状とされ、緩急針体302とともに、径方向(例えば、図1の中心軸01)に移動可能に挟持されている。
ひげ棒の突出部307、308は、ひげぜんまい305の中心線09上に仮想中心309、310をもつ円弧形状をしており、ひげぜんまいの角306との接触を防ぐようになっている。
なお、本実施形態では突出部はひげ棒303、304のどちらか一方でも良い。
例えば、図10に示すように、突出部401、402に直線形状410、420を設けてもかまわない。ただし、直線形状はひげぜんまいの平面部並行であり、平面部長さよりも短いものとする。
また、図11に示すように、突出部501、502の形状にはひげぜんまいとの接触部を複数設けたもの510、520を適用してもかまわない。ただし、接触部は円弧形状をしており、接触点はひげぜんまい平面部に限定する。
さらに、突出部は硬質表面処理の積層で形成してもかまわない。また、突出部はルビーやジルコニア等の貴石でもかまわない。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせても構わない。
10…ムーブメント
17、205、305…ひげぜんまい
25、201、301…緩急針
37…ひげ棒ユニット
41…ひげ棒部
42…ひげ受部
203、303、304…ひげ棒
204…ひげ受
43、44、307、308、401、402…突出部
45、208、306…ひげぜんまいの角
Claims (7)
- ひげぜんまいの長手方向の両端より内側に接触可能な突出部を備える緩急針であって、
前記緩急針は、前記ひげぜんまいを挟み込んだ状態で備えられるひげ棒構造体を有し、
前記ひげ棒構造体に前記突出部が備えられ、
前記突出部は、前記ひげぜんまいの中心線上に仮想中心をもつ円弧形状をしていることを特徴とする緩急針。 - ひげぜんまいの長手方向の両端より内側に接触可能な突出部を備える緩急針であって、
前記緩急針は、ひげ棒とひげ受を備え、
前記ひげ棒又は前記ひげ受のうち少なくとも一つに前記突出部が備えられ、
前記突出部は、前記ひげぜんまいの中心線上に仮想中心をもつ円弧形状をしていることを特徴とする緩急針。 - ひげぜんまいの長手方向の両端より内側に接触可能な突出部を備える緩急針であって、
前記緩急針は、ひげ棒を2つ備え、
前記ひげ棒のうち少なくとも一つに前記突出部が備えられ、
前記突出部は、前記ひげぜんまいの中心線上に仮想中心をもつ円弧形状をしていることを特徴とする緩急針。 - 請求項1から3の何れか1項に記載の緩急針であって、
前記突出部は複数層の硬質表面処理で形成されることを特徴とする緩急針。 - 請求項1から4の何れか1項に記載の緩急針であって、
前記突出部は貴石であることを特徴とする緩急針。 - 請求項1から請求項5の何れか1項に記載の緩急針を備えていることを特徴とするムーブメント。
- 請求項6に記載のムーブメントを備えることを特徴とする時計。
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