JP5831981B2 - てんぷ及び機械式時計 - Google Patents

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Description

本発明は、てんぷ及びこれを具備する機械式時計に関するものである。
機械式時計の調速機としては、一般的にてんぷ及びひげぜんまいで構成されている。このうちてんぷは、てん真及び該てん真に固定されたてん輪を備え、てん真の回転軸回りに周期的に正逆回転して振動する部材とされている。この際、てんぷの振動周期は予め決められた規定値内に設定されていることが重要とされている。仮に、振動周期が規定値からずれてしまうと、機械式時計の歩度(時計の遅れ、進みの度合い)が変化するためである。ところが、上記振動周期は各種の原因によって変化し易く、例えば温度変化によっても変化してしまう。
ここで、上記振動周期Tは、次式(1)で表される。
Figure 0005831981
上記式(1)において、Iは「てんぷの慣性モーメント」、Kは「ひげぜんまいのばね定数」を示す。従って、てんぷの慣性モーメント、又はひげぜんまいのばね定数が変化すると、振動周期も変化してしまう。
ここで、てんぷに用いられる金属材料としては、一般的に線膨張係数が正の材料とされており、温度上昇によって膨張する。そのため、てん輪が拡径し、慣性モーメントを増加させてしまう。また、ひげぜんまいに一般的に用いられる鋼材料のヤング率は負の温度係数を有しているため、温度上昇によってばね定数を低下させてしまう。
以上のことにより、温度上昇すると、これに伴って慣性モーメントが増加し且つひげぜんまいのばね定数が低下することとなる。従って、上記式(1)から明らかなように、てんぷの振動周期は、低温で短く、高温で長くなる特性となってしまう。そのため、時計の温度特性としては、低温で進み、高温で遅れるという特性になってしまうものであった。
そこで、てんぷの振動周期の温度特性を改善するための対策として、下記の2つの方法が知られている。
第1の方法としては、ひげぜんまいの材料としてコエリンバー等の恒弾性材料を採用することにより、時計の使用温度範囲(例えば、23℃±15℃)付近でのヤング率の温度係数を正の特性とする方法である。これにより、上記使用温度範囲内において、温度に対するてんぷの慣性モーメントの変化をキャンセルすることができ、てんぷの振動周期の温度依存性を低く抑えることが可能となる。
第2の方法としては、てん輪を構成するリム部の一部に、周方向の一端部が固定端、周方向の他端部が自由端とされ、熱膨張率が異なる材料からなる金属板を径方向に接合したバイメタルを用いる方法が知られている(非特許文献1参照)。
上記バイメタルのうち、例えば径方向内側に位置する金属板の材料としてはインバー等の低熱膨張材料を用い、径方向外側に位置する金属板の材料としては黄銅等の高熱膨張材料を用いる。こうすることで、温度上昇時、バイメタルは熱膨張率の差異により自由端側が径方向の内側に向けて移動するように内向き変形する。これにより、リム部の平均径を縮径させて慣性モーメントを低下させることができ、慣性モーメントの温度特性に負の傾きを持たせることができる。その結果、てんぷの振動周期の温度依存性を低く抑えることが可能となる。
スイス時計大学偏、「時計学理論(The Theory of Horology)」、英語版第2版、2003年4月、p136−137
しかしながら、上記した第1の方法では、コエリンバー等の恒弾性材料でひげぜんまいを作製する際、溶解時における組成や熱処理等の各種加工条件によってヤング率の温度係数が大きく変化する恐れがある。従って、厳密な製造管理工程が必要とされ、ひげぜんまいの製造が容易ではなかった。よって、時計の使用温度範囲付近においてヤング率の温度係数を正にすることが難しい場合があった。
また、上記した第2の方法では、バイメタルを用いたとしても、温度に対する変形量を微調整したり、全体のバランス等を微調整したりする必要があり、実際にはリム部に複数のチラねじを取り付け、これらチラねじの取付位置や捩じ込み量を調整する作業が必要とされる。例えば、温度が上昇しても時計の遅れが生じるようならば、自由端側にチラねじを移し変える等の作業を行って、慣性モーメントを補正する工程を行う。
このように、実際にはチラねじを利用した微調整作業が必要になるので、温度補正に手間及び時間がかかり、作業性が悪かった。しかも、再調整する場合には、チラねじを別の位置に移し変えたり、各チラねじの捩じ込み量を変化させたりする必要があるので、連続的な温度補正作業を行うことが難しかった。
また、チラねじが周方向にバランス良く配置されない場合もあり、てんぷの回転バランス性が低下することがあった。更に、複数のチラねじによって空気抵抗が増大してしまい、てんぷの回転性能が低下する恐れもあった。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、回転バランス性及び回転性能を低下させることなく、簡便且つ連続的に温度補正を行うことができるてんぷ、及びこれを具備する機械式時計を提供することである。
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係るてんぷは、回転可能に軸支されるてん真と、前記てん真を径方向の外側から囲むと共に前記てん真の回転軸と同軸に配置されたリム部、及び該リム部と前記てん真とを径方向に連結する連結アームを有するてん輪と、を備えるてんぷであって、前記リム部は、少なくとも一部分が、周方向に沿って円弧状に延在し、且つ前記回転軸回りに均等配置された複数のバイメタル部とされ、前記バイメタル部は、熱膨張率が異なる材料からなる金属板が径方向に接合された積層板とされると共に、周方向の一端部が温度変化に伴う屈曲変形によって径方向に移動可能とされた自由端とされ、前記バイメタル部における前記自由端の径方向への移動量を調整する調整機構を備え、前記リム部は、前記連結アームに連結され、周方向に沿って円弧状に延在した固定リム部を有し、前記複数のバイメタル部は、前記自由端側が前記固定リム部から周方向に突出した状態で、該固定リム部に対して周方向にスライド移動可能に重ねられ、前記調整機構は、前記バイメタル部を前記周方向にスライド移動させ、該バイメタル部の突出長さを変化させる可変部を備え、前記可変部は、前記複数のバイメタル部を同期させた状態でスライド移動させることを特徴とする。
本発明に係るてんぷによれば、温度変化が生じると、2つの金属板の熱膨張率の差異によってバイメタル部が径方向に屈曲変形するので、バイメタル部の自由端を径方向の内側又は外側に向かって移動させることができる。これにより、バイメタル部の自由端の位置を径方向に変化させることができる。そのため、リム部全体の平均径を縮径又は拡径させることができ、回転軸からの距離を変化させててんぷ自体の慣性モーメントを変化させることができる。これにより、慣性モーメントの温度特性の傾きを変化させることができ、温度補正を行うことができる。
この際、調整機構によって、バイメタル部の自由端の径方向への移動量を調整することができるので、温度変化に対する慣性モーメントの上記傾きを微調整して、温度補正を微調整することができる。従って、てんぷの振動周期の温度依存性を抑制でき、温度変化によって歩度が変化し難い高品質なてんぷとすることができる。
特に、従来のチラねじを用いた方法とは異なり、バイメタル部の自由端の径方向への移動量を連続的に変化させるだけの簡便な作業で温度補正を行うことができる。しかも、温度補正作業を連続的に行えるので、該温度補正作業を効率良く且つ高精度に行い易い。
更に、バイメタル部は、回転軸回りに均等配置されているので、各バイメタル部の自由端の位置を径方向に変化させたとしても、てんぷ全体の重心位置が変化し難く、てんぷの回転バランスを低下させ難い。そのうえ、従来のチラねじを利用する場合とは異なり、空気抵抗を受け難いので、回転性能も低下し難い。
さらに、可変部によってバイメタル部を周方向にスライドさせることで、固定リム部からバイメタル部の自由端までの突出長さを任意に変化させることができる。これにより、実質的に屈曲変形するバイメタル部の変形長さを変化させることができ、自由端の径方向への移動量を微調整できる。このように、バイメタル部を周方向にスライド移動させるだけの簡便な作業で、慣性モーメントの温度補正作業を連続的且つより微細に行うことができ、温度補正をより高精度に行い易い。
さらに、複数のバイメタル部を同期させた状態でスライド移動させることができるので、一度に複数のバイメタル部の変形長さを容易に変化させることができると共に、その変形長さを同じ長さに統一させることができる。従って、温度補正作業をより簡便に行うことができるうえ、優れた回転バランス性能を確保し易い。
本発明に係るてんぷは、回転可能に軸支されるてん真と、前記てん真を径方向の外側から囲むと共に前記てん真の回転軸と同軸に配置されたリム部、及び該リム部と前記てん真とを径方向に連結する連結アームを有するてん輪と、を備えるてんぷであって、前記リム部は、少なくとも一部分が、周方向に沿って円弧状に延在し、且つ前記回転軸回りに均等配置された複数のバイメタル部とされ、前記バイメタル部は、熱膨張率が異なる材料からなる金属板が径方向に接合された積層板とされると共に、周方向の一端部が温度変化に伴う屈曲変形によって径方向に移動可能とされた自由端とされ、前記バイメタル部における前記自由端の径方向への移動量を調整する調整機構を備え、前記バイメタル部は、周方向の他端部が前記連結アーム部に連結された固定端とされ、前記調整機構は、前記バイメタル部の数に応じて設けられ、その基端側が前記てん真に対して相対的に前記回転軸回りに回転可能に固定され、且つその先端側が各バイメタル部に向かって径方向の外側に向けて延在し、同期して回転する複数の回転支持アームと、該複数の回転支持アームの先端側にそれぞれ設けられ、前記バイメタル部における前記自由端と前記固定端との間で該バイメタル部に接して、前記屈曲変形の起点を形成させる接触体と、を備え、前記接触体は、前記バイメタル部に対して径方向の外側及び内側に配置されて、該バイメタル部の外周面及び内周面に接するように一対設けられ、径方向の外側に配置された前記接触体と径方向の内側に配置された前記接触体とは、周方向にずれた位置に配置されていることを特徴とする。
本発明に係るてんぷによれば、回転支持アームをてん真に対して回転軸回りに回転させることで、接触体をバイメタル部の自由端側又は固定端側に向けて移動させることができる。これにより、屈曲変形の起点の位置を調整して、実質的に屈曲変形するバイメタル部の変形長さを変化させることができ、自由端の径方向への移動量を調整できる。このように、回転支持アームを回転させるだけの簡便な作業で、慣性モーメントの温度補正作業を連続的且つより微細に行うことができ、温度補正をより高精度に行い易い。
しかも、複数の回転支持アームは同期して回転するので、一度の回転操作で複数のバイメタル部の変形長さを容易に変化させることができると共に、その変形長さを同じ長さに統一させることができる。従って、この点においても温度補正作業をより簡便に行うことができるうえ、優れた回転バランス性能を確保し易い。
さらに、高温側及び低温側の両方において慣性モーメントの温度特性の傾きを途中で変化させることができるので、歩度の温度特性における中間温度誤差(二次誤差)をさらに低減することが可能となる。
(3)上記本発明に係るてんぷにおいて、前記接触体は、回転可能に前記回転支持アームに支持されると共に、その回転に伴って前記バイメタル部を径方向に押圧して弾性変形させる偏心ピンとされていることが好ましい。
この場合には、偏心ピンとされた接触体を回転させることで、バイメタル部を径方向に弾性変形させることができるので、リム部全体の平均径を縮径又は拡径させることができる。従って、温度補正に加えて、テンプ自体の慣性モーメントを変化させることが可能となる。
本発明に係るてんぷは、回転可能に軸支されるてん真と、前記てん真を径方向の外側から囲むと共に前記てん真の回転軸と同軸に配置されたリム部、及び該リム部と前記てん真とを径方向に連結する連結アームを有するてん輪と、を備えるてんぷであって、前記リム部は、少なくとも一部分が、周方向に沿って円弧状に延在し、且つ前記回転軸回りに均等配置された複数のバイメタル部とされ、前記バイメタル部は、熱膨張率が異なる材料からなる金属板が径方向に接合された積層板とされると共に、周方向の一端部が温度変化に伴う屈曲変形によって径方向に移動可能とされた自由端とされ、前記バイメタル部における前記自由端の径方向への移動量を調整する調整機構を備え、前記バイメタル部は、周方向の他端部が前記連結アーム部に連結された固定端とされ、前記調整機構は、前記バイメタル部の数に応じて設けられ、その基端側が前記てん真に対して相対的に前記回転軸回りに回転可能に固定され、且つその先端側が各バイメタル部に向かって径方向の外側に向けて延在し、同期して回転する複数の回転支持アームと、該複数の回転支持アームの先端側にそれぞれ設けられ、前記バイメタル部における前記自由端と前記固定端との間で該バイメタル部に接して、前記屈曲変形の起点を形成させる接触体と、を備え、前記接触体は、前記バイメタル部に対して径方向の外側又は内側に配置され、該バイメタル部の外周面又は内周面に接し、前記接触体は、回転可能に前記回転支持アームに支持されると共に、その回転に伴って前記バイメタル部を径方向に押圧して弾性変形させる偏心ピンとされていることが好ましい。
本発明に係るてんぷによれば、温度変化に伴ってバイメタル部が屈曲変形する際、接触体が配置されていない側に屈曲変形する場合には何ら規制されることなく自由に変形するが、接触体が配置されている側に屈曲変形する場合には、接触体に触れるのでこの位置を起点として屈曲変形する。従って、高温側又は低温側の一方側における慣性モーメントの温度特性の傾きを途中で変化させることができ、歩度の温度特性における中間温度誤差(二次誤差)を低減することが可能となる。
)上記本発明に係るてんぷにおいて、前記バイメタル部の自由端には、錘部が設けられていることが好ましい。
この場合には、錘部によってバイメタル部の自由端の重量を増大させることができるので、該自由端の位置を径方向に変化させることで、より効果的に慣性モーメントの温度補正を行うことができる。
)本発明に係る機械式時計は、上記本発明に係るてんぷを備えていることを特徴とする。
本発明に係る機械式時計によれば、上述したように振動周期の温度依存性が抑制され、温度変化によって歩度が変化し難いてんぷを具備しているので、誤差の少ない高品質な時計とすることができる。
本発明によれば、回転バランス性及び回転性能を低下させることなく、簡便且つ連続的に温度補正作業を行うことができる。
本発明に係る第1実施形態を示す図であって、ひげぜんまいが組み合わされたてんぷの上面図である。 図1に示すA−A断面図である。 図1に示すてんぷ単体の上面図である。 図3に示すてんぷの斜視図である。 図3に示すB−B断面図である。 図3に示すてんぷの慣性モーメントの温度特性を示す図である。 図3に示すてんぷの歩度の温度特性を示す図である。 時計の使用温度範囲と歩度の温度特性とを関係図である。 図3に示すてんぷの変形例を示す上面図である。 図9に示すてんぷの斜視図である。 本発明に係る第2実施形態を示す図であって、てんぷの上面図である。 図11に示すC−C断面図である。 図12に示すてんぷの部分拡大図である。 図11に示すてんぷの変形例を示す図である。 図11に示すてんぷの別の変形例を示す図である。 図15に示すてんぷにおいて、接触ピンをバイメタル部の径方向の外側に配置した場合の図である。 図16に示すてんぷの慣性モーメントの温度特性を示す図である。 図15に示すてんぷにおいて、接触ピンをバイメタル部の径方向の外側及び内側に配置し、且つ周方向にずらして配置した場合の図である。 図15に示すてんぷにおける接触ピンが偏心ピンとされた場合の図である。
<第1実施形態>
以下、本発明に係る第1実施形態について図面を参照して説明する。
(てんぷの構成)
図1及び図2に示すように、本実施形態の機械式時計Tは、てんぷ10及びひげぜんまい2で構成される調速機1を具備している。
調速機1を構成するてんぷ10は、回転軸O回りに回転可能に軸支されるてん真11と、該てん真11に固定されたてん輪12と、を備え、図示しない脱進機から伝えられた動力によりひげぜんまい2に蓄えられた位置エネルギーによって回転軸O回りに一定の振動周期で正逆回転させられる部材とされている。
なお、本実施形態では、上記回転軸Oに直交する方向を径方向、回転軸O回りに周回する方向を周方向という。
上記てん真11は、回転軸Oに沿って上下に延在した回転軸体であり、上端部及び下端部が図示しない地板やてんぷ受等の部材によって軸支されている。てん真11における上下方向の略中間部分は、径が最も大きい大径部11aとされている。そして、この大径部11aを介して上記てん輪12がてん真11に固定されている。
また、てん真11には、大径部11aの下方に位置する部分に筒状の振り座15が回転軸Oと同軸に外装されている。この振り座15は、径方向の外側に向けて突設された環状の鍔部15aを有しており、該鍔部15aに図示しないアンクルを揺動させるための振り石16が固定されている。
上記ひげぜんまい2は、例えば一平面内で渦巻状に巻かれた平ひげであって、図示しないひげ玉を介してその内端部がてん真11における大径部11aの上方に位置する部分に固定されている。そして、このひげぜんまい2は、図示しない4番歯車から図示しないガンギ車に伝えられた動力を蓄え、てん輪12を振動させる役割を果している。
上記てん輪12は、図3及び図4に示すように、てん真11を径方向の外側から囲む略環状のリム部20と、該リム部20とてん真11とを径方向に連結する連結アーム21と、を備えている。
上記リム部20は、2つの固定リム部22及び2つのバイメタル部23で略環状に構成されている。これら固定リム部22及びバイメタル部23は、周方向に沿って1/4円弧状に延在した帯状片であり、回転軸O回りに交互に均等配置されている。つまり、2つの固定リム部22同士は回転軸Oを挟んだ径方向の反対側に配置され、2つのバイメタル部23同士は回転軸Oを挟んだ径方向の反対側に配置されている。
連結アーム21は、平面視十字状となるように、回転軸O回りに90度の間隔を開けて配置されている。そして、連結アーム21は、その基端側がてん真11の大径部11aに固定された環状の固定リング17(図2参照)に連結され、その先端側が上記した固定リム部22に向かって径方向の外側に向けて延在している。なお、本実施形態では、連結アーム21及び固定リング17は、一体的に形成された1つの部材とされている。
そして、固定リム部22の周方向の両端部は、連結アーム21の先端側に連結されている。これにより、固定リム部22は、連結アーム21を介しててん真11に支持されている。
上記バイメタル部23は、熱膨張率が異なる材料からなる金属板25、26が径方向に接合された積層板とされており、周方向の一端部が温度変化に伴う屈曲変形によって径方向に移動可能とされた自由端23aとされている。
本実施形態では、径方向の内側に位置する金属板25がインバー等の低熱膨張材料で形成され、径方向の外側に位置する金属板26が黄銅等の高熱膨張材料で形成されているものとして説明する。従って、温度上昇した場合には、上記金属板25よりも上記金属板26の方が膨張するので、バイメタル部23は径方向の内側に向けて屈曲変形する。
なお、本実施形態のひげぜんまい2は、負の温度係数を有する一般的な鋼材料からなるものとして説明する。
なお、金属板25、26の材料としては、上記材料に限定されるものではなく、種々の材料を適宜選択して用いても構わない。この際、できるだけ熱膨張率に大きな差が生じるように両者の金属板25、26の材料を選択することが好ましい。
そして、2つバイメタル部23は、それぞれ自由端23a側が固定リム部22から周方向に突出した状態で、該固定リム部22に対して周方向にスライド移動可能に重ねられている。図示の例では、固定リム部22の径方向の外側にバイメタル部23の周方向の他端部側が重ねられている。また、バイメタル部23の自由端23aには、それぞれ同質量の錘部27が径方向の外側から螺着されている。
ところで、本実施形態のてんぷ10は、バイメタル部23における自由端23aの径方向への移動量を調整する調整機構30を備えている。
具体的に説明すると、上記調整機構30は、図3〜図5に示すように、バイメタル部23を周方向にスライド移動させ、バイメタル部23の上記突出長さS(図3参照)を変化させる可変部31を備えている。
まず、バイメタル部23における周方向の他端部には、周方向に沿って延びた長穴状(スリット状)のスライド溝32が形成されている。一方、固定リム部22には、連結アーム21が連結した部分においてねじ孔22a(図5参照)が形成されている。そして、上記スライド溝32を通じてバイメタル部23の径方向の外側から調整ねじ33が挿通され、固定リム部22に形成されたねじ孔22aに螺着されている。
この調整ねじ33によって、バイメタル部23の周方向の他端部側は、固定リム部22に対して連結されている。よって、バイメタル部23の周方向の他端部は、固定端23bとして機能する。そして、調整ねじ33を緩めることで、バイメタル部23を周方向にスライド移動させることが可能とされ、固定リム部22から自由端23aまでの周方向の突出長さSを任意の長さに変化させることが可能とされている。
従って、調整ねじ33、スライド溝32及びねじ孔22aは、上記した可変部31として機能する。
(慣性モーメントの温度補正方法)
次に、上記したてんぷ10を利用した、慣性モーメントの温度補正方法について説明する。
本実施形態のてんぷ10によれば、温度変化が生じると、2つの金属板25、26の熱膨張率の差異によってバイメタル部23が径方向に屈曲変形するので、バイメタル部23の自由端23aの位置を径方向の内側又は外側に向かって移動させることができる。即ち、温度上昇した場合には、バイメタル部23が径方向の内側に屈曲変形するので、自由端23aを径方向の内側に向けて移動させることができ、温度低下した場合には、その逆に径方向の外側に向けて移動させることができる。
そのため、リム部20全体の平均径を縮径又は拡径させることができ、回転軸Oからの距離を変化させててんぷ10自体の慣性モーメントを変化させることができる。つまり、温度上昇した場合には、リム部20の平均径を縮径させて慣性モーメントを小さくすることができ、温度低下した場合には、リム部20の平均径を拡径させて慣性モーメントを大きくすることができる。これにより、図6に示すように、慣性モーメントの温度特性の傾きを負の傾きに変化させることができ、これにより温度補正を行うことができる。
ところで、本実施形態のてんぷ10によれば、調整機構30によってバイメタル部23における自由端23aの径方向の移動量を調整することができるので、慣性モーメントの温度特性の上記傾きを微調整して、温度補正を微調整することが可能である。
即ち、温度上昇した場合には、上記したようにリム部20の平均径の縮径によって慣性モーメントが小さくなるので、てんぷ10の振動周期が短くなり歩度が進みの方向となる。従って、リム部20に影響される歩度の温度特性は、図7に示す傾きL1のように正の傾きとなる。これに対して、ひげぜんまい2のばね定数は負の温度係数を有しているので、温度上昇によって歩度が遅れの方向となる。従って、ひげぜんまい2に影響される歩度の温度特性は、図7に示す傾きL2のように負の傾きとなる。
そのため、両者を合成した調速機1全体の歩度の温度特性は、図7に示す曲線Cのように進みの方向に凸となった山なりの曲線となる。通常、時計の使用温度範囲(23℃±15℃)で歩度が進みの領域に入るように設定を行う場合が多い。従って、図8に示す曲線C1のように、8℃及び38℃で歩度が0となるように温度補正を行う必要がある。
ここで、温度上昇しても、リム部20に起因する歩度に遅れが生じる場合には、慣性モーメントがより小さくなるように温度特性の傾きを微調整させる必要がある。つまり、調整ねじ33を緩めた後、バイメタル部23を周方向にスライド移動させ、固定リム部22からバイメタル部23の自由端23aまでの突出長さSを長くする。これにより、実質的に屈曲変形するバイメタル部23の変形長さ(以下、適宜変形長さSと称する)を長くすることができ、自由端23aが径方向の内側に移動する移動量を大きくすることができ、リム部20の平均径をより縮径させて慣性モーメントを小さくすることができる。
これにより、慣性モーメントの温度特性の傾きを微調整することができ、時計の使用温度範囲内での最適な歩度の設定を行うことができる。
特に、従来のチラねじを用いた方法とは異なり、バイメタル部23を周方向にスライド移動させるだけの簡便な作業で温度補正を高精度に行えるので、その調整作業が容易である。しかも、従来とは異なり、慣性モーメントの温度補正作業を連続的に行えるので、該温度補正作業を効率良く行うことができるうえ、高精度に行い易い。
また、バイメタル部23は、回転軸O回りに均等配置されているので、各バイメタル部23の自由端23aの位置を径方向に変化させたとしても、てんぷ10全体の重心位置が変化し難く、てんぷ10の回転バランスを低下させ難い。そのうえ、従来のチラねじを利用する場合とは異なり、空気抵抗を受け難いので、回転性能も低下し難い。
加えて、バイメタル部23の自由端23aは、錘部27によって重量が増大している。従って、自由端23aの位置を径方向に変化させることで、より効果的に慣性モーメントの温度補正作業を行うことができる。
また、本実施形態の機械式時計Tによれば、振動周期の温度依存性が抑制され、温度変化によって歩度が変化し難い上記したてんぷ10を具備しているので、誤差の少ない高品位な時計とすることができる。
なお、上記第1実施形態において、図9及び図10に示すように、2つのバイメタル部23の固定端23b同士を連結すると共に、てん真11に対して回転軸O回りに相対的に回転可能に連結される回転アーム24を具備させても構わない。
この回転アーム24は、連結アーム21の下方において径方向に延びる板片であり、その径方向の両端部が固定リング17の下方からバイメタル部23の固定端23bに連結されている。従って、回転アーム24を回転させることで、2つのバイメタル部23を同期させた状態で回転軸O回りに回転させることが可能とされている。
なお、回転アーム24の材料としては、温度変化による径方向への伸縮を抑制するために、金属板25と同様に低熱膨張材料で形成することが好ましい。
このように構成した場合には、2つのバイメタル部23を同期させた状態で周方向にスライドさせることができるので、一度に両バイメタル部23の変形長さSを容易に変化させることができると共に、その変形長さSを同じ長さに統一させることができる。従って、温度補正をより簡便に行うことができるうえ、優れた回転バランス性能を確保し易い。
<第2実施形態>
次に、本発明に係る第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、バイメタル部23自体を周方向にスライド移動させることで、バイメタル部23の変形長さSを変化させたが、第2実施形態では、バイメタル部23を固定した状態で変形長さSを変化させることが可能とされている。
(てんぷの構成)
図11及び図12に示すように、本実施形態のてんぷ50は、リム部20が2つのバイメタル部23によって略環状に構成されている。これらバイメタル部23は、それぞれ周方向に沿って半円状に延びており、連結アーム21によって片持ち状に支持されている。
なお、図11及び図12では、ひげぜんまい2の図示を省略している。
本実施形態の連結アーム21は、周方向に180度の間隔を開けて配置されており、その先端側がバイメタル部23の周方向の他端部に連結されている。これにより、バイメタル部23は、上記したように、連結アーム21によって片持ち状に支持されている。なお、連結アーム21に連結された周方向の他端部が固定端23bとして機能し、周方向の一端部が自由端23aとして機能する。
また、本実施形態のてんぷ50は、一対の回転支持アーム51と、これら回転支持アーム51の先端側にそれぞれ設けられ、バイメタル部23における自由端23aと固定端23bとの間でバイメタル部23に接して、屈曲変形の起点を形成させる接触壁部(接触体)52a、52bと、を有する調整機構53を具備している。
回転支持アーム51は、回転軸Oを挟んで径方向の反対側に位置するように配設されており、その基端側が回転リング54に対して一体的に連結されている。回転リング54は、てん真11の大径部11aに固定された固定リング17に対して相対的に回転可能に外装された環状のリングとされている。これにより、一対の回転支持アーム51は、同期して回転することが可能とされている。
なお、回転リング54と固定リング17との間には一定の回転抵抗力が確保されている。従って、てん真11に対して回転支持アーム51を回転させた後、不意に回転支持アーム51が回転してしまうことが規制されている。
回転支持アーム51の先端部には、図13に示すように、バイメタル部23の径方向の外側及び内側において、該バイメタル部23に対して対向する一対の上記接触壁部52a、52bが上方に向けて立設されている。これら接触壁部52a、52bは、バイメタル部23の曲率に倣った平面視円弧状に形成されており、バイメタル部23に対して周方向に移動自在に該バイメタル部23を径方向から挟んでいる。
図11に示すように、バイメタル部23は、温度変化時に、上記接触壁部52a、52bが接触した部分を起点として、自由端23a側が径方向に屈曲変形可能とされている。これに対して、バイメタル部23のうち、固定端23bと接触壁部52a、52bとの間に位置する部分は、温度変化時に、実質的に屈曲変形がなされない変形規制領域とされている。従って、一対の回転支持アーム51を回転させて、接触壁部52a、52bの位置を周方向に適宜変化させることで、バイメタル部23が屈曲する変形長さSを変化させることが可能とされている。
(慣性モーメントの温度補正方法)
このように構成された本実施形態のてんぷ50によれば、回転支持アーム51をてん真11に対して回転軸O回りに回転させることで、接触壁部52a、52bをバイメタル部23の自由端23a側又は固定端23b側に移動させることができる。これにより、バイメタル部23の屈曲変形の起点の位置を調整して、実質的に屈曲変形するバイメタルの変形長さSを変化させることができ、自由端23aが径方向の内側に移動する移動量を調整できる。
このように、回転支持アーム51を回転させるだけの簡便な作業で慣性モーメントの温度補正調整を連続的且つより微細に行うことができるので使い易い。しかも、回転支持アーム51は同期して回転するので、一度の回転操作でバイメタル部23の変形長さSを容易に変化させることができると共に、その変形長さSを同じ長さに統一させることができる。従って、本実施形態の場合であっても、温度補正作業を簡便に行うことができると共に、優れた回転バランス性能を確保し易い。
なお、上記第2実施形態において、図14に示すように、回転支持アーム51を回転させた後、固定ねじ55を径方向の外側から螺着可能に構成して、接触壁部52a、52bとバイメタル部23とを一体的に固定させても構わない。
また、図15に示すように、接触壁部52a、52bに代えて、回転支持アーム51の先端部に2本の接触ピン(接触体)56、57を立設させても構わない。これら2本の接触ピン56、57は、バイメタル部23に対して周方向に移動自在に該バイメタル部23を径方向から挟む円柱状のピンとされている。この場合であっても、同様の作用効果を奏効することができる。
なお、接触ピン56、57をバイメタル部23の径方向の外側及び内側に設けるのではなく、図16に示すように、バイメタル部23の径方向の外側に配置させ、バイメタル部23の外周面だけに接触させても構わない。
この場合には、歩度の温度特性における中間温度誤差(二次誤差)を低減することが可能となる。この点について、以下に詳細に説明する。
図16に示す場合、温度上昇に伴ってバイメタル部23が径方向の内側に屈曲変形するが、その際には接触ピン57に規制されることなく固定端23b側から滑らかに変形する。従って、高温側の慣性モーメントの傾きを急峻にすることが可能となる。
これに対して、温度低下した場合には、それに伴ってバイメタル部23が径方向の外側に屈曲変形するので、その際には特定温度で接触ピン57に触れる。そのため、特定温度以下になる場合には、接触ピン57を起点として屈曲変形する。従って、上記特定温度を境として、慣性モーメントの傾きを変化させることができる。
ここで、例えば上記特定温度を時計の使用温度範囲の中間温度である23℃に設定した場合には、図17に示すように、慣性モーメントの傾きを23℃以上で急峻にし、23℃以下で緩やかにすることができる。
このようにすることで、図8に示す曲線C2のように、使用温度範囲の中間温度である23℃で歩度が再度0となるような、歩度の温度特性とすることができる。つまり、中間温度誤差を低減化させることができる。従って、温度変化によって歩度が変化難い高性能なてんぷ50とすることが可能である。
なお、上記特定温度を23℃としたが、使用温度範囲である8℃〜38℃の間の温度であれば任意の温度に設定して構わない。
また、図18に示すように、径方向の外側に位置する接触ピン57と、径方向の内側に位置する接触ピン56と、を周方向にずらすように配置させ、高温側の慣性モーメントの傾きについても途中で変化させても構わない。
このようにすることで、使用温度範囲内において、歩度が0となるポイントを2つ設けることが可能となり、中間温度誤差をさらに低減化させることが可能となる。
なお、バイメタル部23の径方向の内側にだけ接触ピン56を配置させても構わない。この場合には、低温側の慣性モーメントの傾きを急峻にし、高温側の慣性モーメントの傾きを途中で変化させることができ、やはり中間温度誤差を低減化させることができる。
また、接触ピン56、57を2つ設ける場合、図19に示すように、回転支持アーム51に回転可能に支持された偏心ピンとしても構わない。この場合には、偏心ピンとされた接触ピン56、57を回転させることで、例えばバイメタル部23を径方向の内側に弾性変形させることができるので、温度補正に加えて、慣性モーメント自体の調整を行うことが可能となる。
なお、この場合において、2つの接触ピン56、57を、例えばベルトの巻回や歯車を利用した連結等の既知の技術を用いて同期して回転するように構成することが好ましい。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記各実施形態では、バイメタル部23の数を2つとしたが、3つ以上としても構わない。この場合であっても、各バイメタル部23を周方向に均等配置させれば良く、同様の作用効果を奏効することができる。
また、上記各実施形態では、バイメタル部23の自由端23aに錘部27を設けたが、この錘部27は必須ではなく具備しなくても構わない。
また、上記各実施形態において、ひげぜんまい2の材料としてエリンバー等の恒弾性材料を用い、バイメタル部23の金属板25を高熱膨張材料、金属板26を低熱膨張材料で形成しても構わない。この場合であっても、ひげぜんまい2の正の温度係数をキャンセルするように慣性モーメントの温度特性を微調整することが可能である。
T…機械式時計
O…回転軸
10、50…てんぷ
11…てん真
12…てん輪
20…リム部
21…連結アーム
22…固定リム部
23…バイメタル部
25、26…バイメタル部の金属板
27…錘部
30、53…調整機構
31…可変部
51…回転支持アーム
56、57…接触ピン(接触体)

Claims (6)

  1. 回転可能に軸支されるてん真と、
    前記てん真を径方向の外側から囲むと共に前記てん真の回転軸と同軸に配置されたリム部、及び該リム部と前記てん真とを径方向に連結する連結アームを有するてん輪と、を備えるてんぷであって、
    前記リム部は、少なくとも一部分が、周方向に沿って円弧状に延在し、且つ前記回転軸回りに均等配置された複数のバイメタル部とされ、
    前記バイメタル部は、熱膨張率が異なる材料からなる金属板が径方向に接合された積層板とされると共に、周方向の一端部が温度変化に伴う屈曲変形によって径方向に移動可能とされた自由端とされ、
    前記バイメタル部における前記自由端の径方向への移動量を調整する調整機構を備え
    前記リム部は、前記連結アームに連結され、周方向に沿って円弧状に延在した固定リム部を有し、
    前記複数のバイメタル部は、前記自由端側が前記固定リム部から周方向に突出した状態で、該固定リム部に対して周方向にスライド移動可能に重ねられ、
    前記調整機構は、前記バイメタル部を前記周方向にスライド移動させ、該バイメタル部の突出長さを変化させる可変部を備え、
    前記可変部は、前記複数のバイメタル部を同期させた状態でスライド移動させることを特徴とするてんぷ。
  2. 回転可能に軸支されるてん真と、
    前記てん真を径方向の外側から囲むと共に前記てん真の回転軸と同軸に配置されたリム部、及び該リム部と前記てん真とを径方向に連結する連結アームを有するてん輪と、を備えるてんぷであって、
    前記リム部は、少なくとも一部分が、周方向に沿って円弧状に延在し、且つ前記回転軸回りに均等配置された複数のバイメタル部とされ、
    前記バイメタル部は、熱膨張率が異なる材料からなる金属板が径方向に接合された積層板とされると共に、周方向の一端部が温度変化に伴う屈曲変形によって径方向に移動可能とされた自由端とされ、
    前記バイメタル部における前記自由端の径方向への移動量を調整する調整機構を備え、
    前記バイメタル部は、周方向の他端部が前記連結アーム部に連結された固定端とされ、
    前記調整機構は、
    前記バイメタル部の数に応じて設けられ、その基端側が前記てん真に対して相対的に前記回転軸回りに回転可能に固定され、且つその先端側が各バイメタル部に向かって径方向の外側に向けて延在し、同期して回転する複数の回転支持アームと、
    該複数の回転支持アームの先端側にそれぞれ設けられ、前記バイメタル部における前記自由端と前記固定端との間で該バイメタル部に接して、前記屈曲変形の起点を形成させる接触体と、を備え、
    前記接触体は、前記バイメタル部に対して径方向の外側及び内側に配置されて、該バイメタル部の外周面及び内周面に接するように一対設けられ、
    径方向の外側に配置された前記接触体と径方向の内側に配置された前記接触体とは、周方向にずれた位置に配置されていることを特徴とするてんぷ。
  3. 請求項に記載のてんぷにおいて、
    前記接触体は、回転可能に前記回転支持アームに支持されると共に、その回転に伴って前記バイメタル部を径方向に押圧して弾性変形させる偏心ピンとされていることを特徴とするてんぷ。
  4. 回転可能に軸支されるてん真と、
    前記てん真を径方向の外側から囲むと共に前記てん真の回転軸と同軸に配置されたリム部、及び該リム部と前記てん真とを径方向に連結する連結アームを有するてん輪と、を備えるてんぷであって、
    前記リム部は、少なくとも一部分が、周方向に沿って円弧状に延在し、且つ前記回転軸回りに均等配置された複数のバイメタル部とされ、
    前記バイメタル部は、熱膨張率が異なる材料からなる金属板が径方向に接合された積層板とされると共に、周方向の一端部が温度変化に伴う屈曲変形によって径方向に移動可能とされた自由端とされ、
    前記バイメタル部における前記自由端の径方向への移動量を調整する調整機構を備え、
    前記バイメタル部は、周方向の他端部が前記連結アーム部に連結された固定端とされ、
    前記調整機構は、
    前記バイメタル部の数に応じて設けられ、その基端側が前記てん真に対して相対的に前記回転軸回りに回転可能に固定され、且つその先端側が各バイメタル部に向かって径方向の外側に向けて延在し、同期して回転する複数の回転支持アームと、
    該複数の回転支持アームの先端側にそれぞれ設けられ、前記バイメタル部における前記自由端と前記固定端との間で該バイメタル部に接して、前記屈曲変形の起点を形成させる接触体と、を備え、
    前記接触体は、前記バイメタル部に対して径方向の外側又は内側に配置され、該バイメタル部の外周面又は内周面に接し、
    前記接触体は、回転可能に前記回転支持アームに支持されると共に、その回転に伴って前記バイメタル部を径方向に押圧して弾性変形させる偏心ピンとされていることを特徴とするてんぷ。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載のてんぷにおいて、
    前記バイメタル部の自由端には、錘部が設けられていることを特徴とするてんぷ。
  6. 請求項1からのいずれか1項に記載のてんぷを備えていることを特徴とする機械式時計。
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