JP2018179648A - アラーム機構、時計用ムーブメント及び時計 - Google Patents

アラーム機構、時計用ムーブメント及び時計 Download PDF

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【課題】安定的にアラーム音を鳴らすことができるアラーム機構を提供する。【解決手段】第1回転軸線O1回りに回転可能とされた太陽車と、動力源からの動力が伝達され、第2回転軸線O2回りを自転可能とされた遊星車32と、遊星車32を回転可能に支持する回転体33と、太陽車又は回転体33に回転抵抗を付与する抵抗付与部と、アラーム針が取り付けられ、抵抗付与部による回転抵抗を超える回転トルクが遊星車32を介して太陽車又は回転体33に入力されたときに回転可能とされたアラーム車35と、遊星車32の自転及び公転に伴う回転体33の回転、又は遊星車32の自転に伴う太陽車の回転に基づいて回転するアラームレバー36と、ゴング37を叩打する打音部106aを有するハンマー38と、を備え、アラームレバー36は、指針がアラーム針に達したときにハンマー38を回動させて、ゴング37に対して打音部を叩打させる。【選択図】図3

Description

本発明は、アラーム機構、時計用ムーブメント及び時計に関する。
従来から、ゴングを叩くことでアラーム音を発生させるアラーム機構を具備する時計が知られている。この種のアラーム機構は、各種の時計に組み込まれているが基本的な構成はほぼ共通している。
すなわちアラーム機構は、ゴングを叩くハンマーと、アラーム用ぜんまいから伝えられた動力によってハンマーを回動させるアラーム作動車と、アラーム機能のON/OFFに基づいてハンマーの回動の規制及びその解除を切り換える規制レバーと、筒車側に形成された突起が離脱可能に係合するスロット孔が形成された目安車(リリース車)と、ハンマーに離脱可能に係合する爪部を有し、突起とスロット孔との係合時に爪部をハンマーから離脱させ、ハンマーの回動を許容する始動レバーと、を備えている(例えば非特許文献1参照)。
規制レバーは、アラーム機能のOFF時にハンマーに当接することで該ハンマーが回動することを規制すると共に、アラーム機能のON時にハンマーから離間することで該ハンマーが回動することを許容する。筒車及び目安車は、始動レバーを介して伝えられた始動レバーばねからのばね力、又は目安車(リリース車)に当接したばねのばね力等によって、互いに押し付けられた状態で摺動可能に組み合わされている。筒車の突起は、設定されたアラーム時刻に達するとスロット孔内に入り込んで係合する。これにより、筒車及び目安車は、突起がスロット孔内に入り込んだ分だけさらに接近するように変位する。この変位によって始動レバーの爪部がハンマーから離脱する。
従って、アラーム機能がONの場合には爪部がハンマーから離脱することで、該ハンマーが、アラーム用ぜんまいからの動力によって回転するアラーム作動車に伴って回動してゴングを叩く。その結果、アラーム時刻でアラーム音を鳴らすことが可能とされている。
「時計学理論(The Theory of Horology)」、スイス時計大学偏、英語版、1999年、p217−224、[ISBN:2−940025−12−6]
しかしながら、上記従来のアラーム機構を具備する時計は、脱進及び調速を行うための動力ぜんまいとは別に、ハンマーを回動させるためのアラーム用ぜんまいを必要とするものであった。従って、アラーム音を鳴らすためにはアラーム用ぜんまいを巻き上げて動力を予め蓄えておく必要がある。そのため、例えばアラーム用ぜんまいを巻き忘れてしまった場合や、アラーム用ぜんまいが巻き解かれてしまった場合には、アラーム音を鳴らすことができなかった。
また、筒車と目安車とが互いに押し付けられた状態で摺動可能に組み合わされているので、通常運針時、筒車には目安車との接触抵抗による負荷が作用する。そのため、その分だけ、筒車を回転させるための動力が失われてしまい、動力損失が大きかった。さらに、アラーム用ぜんまいは、動力ぜんまいと同様に地板に設けられるものであるので、ムーブメント自体がアラーム機構に特化した専用の設計となってしまう。そのため、例えば他の一般的なムーブメントとの間で時計部品を兼用するといったことが難しく、部品コスト及び製造コストの高コスト化を招き易い。
なお、アラーム用ぜんまいは時計用部品としては大きい部品であるので、例えばアラーム用ぜんまいを含むアラーム機構をユニット化して、既存のムーブメントに取り付けるといったことも難しい。従って、上述のようにムーブメント自体がアラーム機構に特化した設計となってしまう。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、安定的にアラーム音を鳴らすことができ、アラーム性能の信頼性が向上したアラーム機構、時計用ムーブメント及び時計を提供することである。
(1)本発明に係るアラーム機構は、第1回転軸線回りに回転可能とされた太陽車と、指針が取り付けられた時表示車を介して動力源からの動力が伝達され、前記太陽車に噛み合った状態で第2回転軸線回りを自転可能とされた遊星車と、前記第1回転軸線回りに前記太陽車に対して相対回転可能に配置され、前記遊星車を前記第2回転軸線回りに回転可能に支持する回転体と、前記太陽車に前記動力源からの動力に抗する回転抵抗を付与することで、前記遊星車を自転させながら前記太陽車に沿って前記第1回転軸線回りに公転させる、又は、前記回転体に前記動力源からの動力に抗する回転抵抗を付与することで、前記遊星車の自転によって前記太陽車を前記第1回転軸線回りに回転させる抵抗付与部と、アラーム時刻を表示するアラーム針が取り付けられると共に、前記抵抗付与部による回転抵抗を超える回転トルクが前記遊星車を介して前記太陽車又は前記回転体に入力されたときに、第3回転軸線回りに回転可能とされたアラーム車と、前記遊星車の自転及び公転に伴う前記回転体の回転、又は前記遊星車の自転に伴う前記太陽車の回転に基づいて、前記第3回転軸線回を回転するアラームレバーと、ゴングを叩打する打音部を有すると共に、回動軸線回りに回動可能とされたハンマーと、を備え、前記アラームレバーは、前記指針が前記アラーム針に達したときに前記ハンマーを回動させて、前記ゴングに対して前記打音部を叩打させる。
本発明に係るアラーム機構によれば、動力源から伝達された動力によって指針(例えば時針)が取り付けられた時表示車(例えば筒車)が回転すると、時表示車を介して遊星車に動力を伝達できる。このとき、太陽車又は回転体には抵抗付与部によって動力に抗する回転抵抗が付与されている。
従って、太陽車に回転抵抗が付与されている場合には、遊星車は自転しながら太陽車の回りを公転する。そのため、遊星車を支持する回転体を、遊星車の公転に伴って第1回転軸線回りに回転させることができる。これにより、遊星車の自転及び公転に伴う回転体の回転に基づいて、アラームレバーを第3回転軸線回りに回転させることができる。
これに対して、回転体に回転抵抗が付与されている場合には、遊星車は公転することなく自転だけを行うので、太陽車を第1回転軸線回りに回転させることができる。これにより、遊星車の自転に伴う太陽車の回転に基づいて、アラームレバーを第3回転軸線回りに回転させることができる。
いずれの場合であっても、指針を運針させる動力源からの動力を利用して、アラームレバーを回転させることができる。なお、指針が通常運針されている段階では、抵抗付与部による回転抵抗によって、アラーム車及びアラーム針は回転することがない。そしてアラームレバーは、所定のアラーム時刻に達したとき(すなわち指針がアラーム針に達したとき)に、ハンマーを回動させてゴングに対して打音部を叩打させる。これにより、ゴングを振動させてアラーム音を発生させることができる。
上述したように、指針を運針させる動力源からの動力を利用してアラーム音を発生させることができるので、従来のアラーム用ぜんまいのようなアラーム用の動力源が不要である。従って、アラーム用ぜんまいの巻き忘れ等に起因してアラーム音が鳴らないといった不具合をなくすことができ、安定的にアラーム音を鳴らすことができる。これにより、アラーム性能の信頼性を向上することができる。
また、太陽車及び遊星車による差動機構を利用するので、時表示車に伝わった動力を効率良くアラームレバーの回転に利用できると共に、時表示車にかかる余計な負荷を抑制でき、従来に比べて動力損失を低減することができる。さらに、従来のアラーム用ぜんまいが不要であるので、アラーム機構自体をユニット化することが可能であり、例えば時表示車に組み合わせて使用することが可能である。従って、既存のムーブメントにアラーム機構を組み合わせて使用するといったことが可能であり、製造コスト等を抑制することができる。
(2)前記第1回転軸線及び前記第3回転軸線は共通の回転軸線とされ、前記太陽車、前記アラーム車及び前記時表示車は、同軸に配置されても良い。
この場合には、太陽車、アラーム車及び時表示車が同軸に配置されているので、平面的な広がりを抑制しながらアラーム機構を構成でき、アラーム機構のコンパクト化を図ることができる。よって、アラーム機構をユニット化する場合には特に好適である。
(3)前記抵抗付与部は、前記太陽車に前記回転抵抗を付与し、前記遊星車は、前記動力源からの動力によって自転しながら公転し、前記回転体は、前記遊星車の公転に伴って前記第1回転軸線回りを回転し、前記アラームレバーは、前記回転体に取り付けられると共に前記回転体の回転に基づいて回転し、前記アラーム車は、前記抵抗付与部による回転抵抗を超える回転トルクが前記遊星車を介して前記太陽車に入力されたときに、前記太陽車の回転に基づいて回転しても良い。
この場合には、遊星車の自転及び公転を利用して回転体を回転させることができると共に、回転体に取り付けられたアラームレバーを回転させることができる。特に、アラームレバーが回転体に直接取り付けられるので、例えば回転体とアラームレバーとの間に複数の中間車等を配置する必要がない。そのため、部品点数を削減することができ、アラーム機構の構成の簡略化を図ることができる。
(4)前記アラームレバーは、前記回転体の径方向に沿って延びると共に、その内端部が前記回転体に回動可能に支持されたレバー本体と、前記レバー本体の外端部に形成され、前記アラームレバーの回転方向側に係合面が向いた係合部と、を有し、前記係合部は、前記アラームレバーの回転に伴って前記ハンマーに係合し、前記ゴングから前記打音部が離間するように前記ハンマーを回動させると共に、所定のアラーム時刻に達したときに前記ハンマーから離脱して前記ハンマーを逆方向に回動させ、前記ゴングに対して前記打音部を叩打させても良い。
この場合には、アラームレバーの係合部がハンマーに係合することで、ゴングから打音部を一旦離間させるようにハンマー回動させ、その後、係合部をハンマーから離脱させることでハンマーを逆方向に回動させて、ゴングに打音部を叩打させることができる。このように、打音部をゴングから一旦離間させた後にゴングに対して叩打させることができるので、打音部を勢いよくゴングに叩きつけることができる。従って、明瞭且つ大きな音量のアラーム音を発生させることができる。
(5)前記アラームレバーの回転軌跡上に配置され、前記係合部が離脱可能に係合する被係合部と、前記回転体に一端部が固定されると共に、前記レバー本体に他端部が固定された弾性部材と、を備え、前記弾性部材は、前記被係合部と前記係合部との係合後、前記回転体の回転に伴って弾性変形すると共に、前記係合部が前記被係合部から離脱したときに、弾性復元変形によって前記レバー本体を前記アラームレバーの回転方向側に向けて付勢し、前記係合部は、前記被係合部からの離脱後に前記ハンマーに係合しても良い。
この場合には、係合部が被係合部に係合した後、レバー本体の内端部が回転体に伴って回転しはじめるので、レバー本体は内端部が外端部よりも回転方向側に先行するように回動する。そのため、アラームレバーは倒れ込んだ状態となる。すると弾性部材は、回転体に固定されている一端部における回転方向側に向けた移動量が、レバー本体に固定されている他端部における回転方向側に向けた移動量よりも大きくなるので弾性変形しはじめる。これにより、レバー本体の係合部が被係合部から離脱したときに、弾性部材の弾性復元変形によりレバー本体を回転方向側に付勢することができる。従って、倒れ込んだ状態のアラームレバーを元の状態に復帰させながら、係合部をハンマーに向けて勢い良く移動させることができる。
従って、ハンマーを瞬時に回動させることができ、ゴングに対して打音部をさらに勢いよく叩きつけることができる。よって、さらに明瞭且つ大きな音量のアラーム音を発生させることができる。
(6)前記係合部は、前記回転体の周方向に沿って間隔をあけて複数形成されても良い。
この場合には、各係合部を利用してハンマーを間欠的に回動させることができるので、アラーム音を係合部の数だけ繰り返し発生させることができる。
(7)アラーム調整車と、前記抵抗付与部による回転抵抗を超える回転トルクで前記アラーム調整車を回転させるトルク入力部と、を有するアラーム時刻調整機構を備え、前記アラーム調整車は、前記太陽車及び前記遊星車を介して前記回転トルクで前記アラーム車を回転させると共に、前記アラーム車の回転に同期させて前記アラームレバーを回転させても良い。
この場合には、任意のタイミングでアラーム時刻の調整(設定或いは修正等)を行うことができる。特に、太陽車及び遊星車による差動機構を利用しているので、アラーム時刻の調整時であっても、時表示車に余計な負荷をかけることなくアラーム時刻の調整作業を行うことができる。
(8)本発明に係る時計用ムーブメントは、上記アラーム機構と、前記動力源からの動力を前記時表示車に伝える輪列と、を備えている。
(9)本発明に係る時計は、上記時計用ムーブメントを備えている。
この場合には、安定的にアラーム音を鳴らすことができ、アラーム性能の信頼性が向上したアラーム機構を具備しているので、良好なアラーム機能を有する高性能、高品質な時計用ムーブメント及び時計とすることができる。
本発明によれば、安定的にアラーム音を鳴らすことができ、アラーム性能の信頼性が向上したアラーム機構、時計用ムーブメント及び時計とすることができる。
本発明の第1実施形態を示す時計の外観図である。 図1に示すムーブメントの平面図である。 図2から、主に支持歯車、第2地板、アラームブロック及びアラーム時刻調整機構を取り外した状態を示すムーブメントの平面図である。 図3に示すA−A線に沿ったアラーム機構の断面図である。 図3に示すB−B線に沿ったアラーム機構の断面図である。 図3に示すC−C線に沿ったアラーム機構の断面図である。 図3に示すD−D線に沿ったアラーム機構の断面図である。 図2に示すアラーム時刻調整機構の周辺の斜視図である。 図2に示す筒車における筒車かな、第1遊星車、第2遊星車、第1中間歯車及び第2中間歯車の噛み合いの関係を示す平面図である。 図9に示す状態から、筒車かな及び第2遊星歯車を取り外した状態を示す平面図である。 図4に示すE−E線に沿った断面図である。 図2から、主にアラーム時刻調整機構を取り外した状態を示すムーブメントの平面図である。 図12に示すハンマー周辺の斜視図である。 図2に示すアラーム機構のブロック図である。 図12に示す状態から支持歯車の回転に伴ってアラームレバーが回動した状態を示す平面図である。 図15に示す状態からハンマーを回動させてゴングを叩き終わった状態を示す平面図である。 本発明の第2実施形態を示すアラーム機構の斜視図である。 図17に示すアラーム機構の上面図である。 図18に示すF−F線に沿ったアラーム機構の断面図である。 図18に示すG−G線に沿ったアラーム機構の断面図である。 図18に示すH−H線に沿ったアラーム機構の断面図である。 図17に示すアラーム機構を下方から見た斜視図である。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、時計の一例として機械式時計を例に挙げて説明する。また、各図面において、各部品を視認可能な大きさとなるために、必要に応じて各部品の縮尺を適宜変更している。
(時計の基本構成)
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。
時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側(すなわち、文字板のある方の側)をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側(すなわち、文字板と反対の側)をムーブメントの「表側」と称する。
なお、本実施形態では、文字板からケース裏蓋に向かう方向を上方、その反対側を下方と定義して説明する。また、各回転軸線を中心として、上方から見て(ケース裏蓋側から見て)時計回りに回転する方向を時計方向といい、上方から見て反時計回りに回転する方向を反時計方向という。
図1に示すように、本実施形態の時計1のコンプリートは、図示しないケース裏蓋及びガラス2からなる時計ケース内に、ムーブメント(本発明に係る時計用ムーブメント)10と、少なくとも時に関する情報を示す目盛りを有する文字板3と、時針5、分針6及び秒針7を含む指針4と、アラーム時刻を表示するアラーム針8と、を備えている。
なお、時刻を表示する指針4、及び設定されたアラーム時刻を表示するアラーム針8は同軸上に配置されている。
図示の例では、アラーム針8が文字板3の3時位置を指している。この場合、アラーム針8は午前3時或いは午後3時を指すが、本実施形態では後述する支持歯車33が24時間に1回転するように構成されている。そのため、アラーム針8は午前3時又は午後3時を指していることを意味している。本実施形態では、アラーム時刻は午後3時に設定され、アラーム針8は午後3時を指しているものとする。
なお、アラーム針8が取り付けられた後述するアラーム車35を例えば24時間に1回転するように構成することで、アラーム針8を24時間針としても構わない。この場合には、例えば図1に示す場合には、アラーム針8は午前6時を指していることを意味する。なお、このように構成した場合、例えば時計ケース内に24時間目盛入りのアラーム用ベゼルを取り付けても構わない。
図2及び図3に示すように、ムーブメント10は、図示しない第1地板と、第1地板よりも表側に配置された図示しない輪列受と、第1地板と輪列受との間に配置され、通常の時刻表示を行うための表輪列(本発明に係る輪列)11と、第1地板よりも裏側に配置された第2地板12と、第1地板と第2地板12との間に配置されたアラーム機構30と、を備えている。
なお、第2地板12の裏側には、文字板3がガラス2を通じて視認可能に配置されている。
図2に示す表輪列11は、主に香箱車13、二番車、三番車、四番車及び筒車14を備えている。なお、本実施形態では、図面を見易くするために、二番車、三番車及び四番車の図示を省略すると共に香箱車13の図示を簡略化している。また、図2では、図面を見易くするために、図1に示す巻真17の図示を省略し、後述するアラーム用巻真131(図1参照)を図示している。
香箱車13は、第1地板と図示しない香箱受との間に軸支されており、内部にぜんまい(動力源)15が収容されている。ぜんまい15は、図示しない角穴車が回転することによって巻き上げられる。なお、角穴車は、図1に示す第1リュウズ16に連結された巻真17の回転によって回転する。
図示の例では、第1リュウズ16は文字板3の4時位置に配置されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、第1リュウズ16の位置は自由に変更して構わない。
二番車、三番車及び四番車は、第1地板と輪列受との間に軸支されている。これら二番車、三番車及び四番車は、巻き上げられたぜんまい15の弾性復元力によって香箱車13が回転すると、この回転に基づいて順に回転する。
すなわち、二番車は香箱車13と噛合しており、香箱車13の回転に基づいて回転する。なお、二番車が回転すると、この回転に基づいて図示しない筒かなが回転する。筒かなには、図1に示す分針6が取り付けられており、筒かなの回転によって分針6が「分」を表示する。分針6は、図示しない脱進機及び調速機によって調速された回転速度、すなわち1時間で1回転する。
二番車が回転すると、この回転に基づいて図示しない日の裏車が回転し、さらに日の裏車の回転に基づいて筒車14が回転する。なお、日の裏車は、筒車14と同様に表輪列11を構成する時計部品である。
筒車14には、図1に示す時針5が取り付けられており、筒車14の回転によって時針5が「時」を表示する。時針5は、脱進機及び調速機によって調速された回転速度、例えば12時間で1回転する。
三番車は、二番車と噛合しており、二番車の回転に基づいて回転する。四番車は、三番車に噛合しており、三番車の回転に基づいて回転する。四番車には、図1に示す秒針7が取り付けられており、四番車の回転に基づいて秒針7が「秒」を表示する。秒針7は、脱進機及び調速機によって調速された回転速度、例えば1分間で1回転する。
四番車には、脱進機を構成する図示しないがんぎ車が噛合している。これにより、がんぎ車には、主に二番車、三番車及び四番車を介して香箱車13内に収容されたぜんまい15からの動力が伝達される。
調速機は、主にてんぷを備えている。てんぷは、ぜんまい15を動力源として香箱車13の出力トルクに応じた定常振幅(振り角)で往復回転(正逆回転)する。
筒車(本発明に係る時表示車)14について詳細に説明する。
図2、図3及び図4に示すように、筒車14は、上述のように日の裏車及び二番車を介して香箱車13側から伝えられた動力によって第1回転軸線O1回りに回転する。筒車14は、下端部に時針5が取り付けられた円筒状の筒車本体20と、筒車本体20の上端部に一体に形成され、日の裏車に噛み合う筒歯車21と、筒車本体20に固定された筒車かな22と、を備えている。
図示の例では、筒車本体20と筒歯車21とは一体に形成されているが、この場合に限定されるものではなく、例えば両者を別体に形成した後に一体に組み合わせても構わない。筒車かな22は、筒歯車21の下方に重なった状態で筒車本体20に対して例えば圧入等によって一体に組み合わされている。なお、筒車かな22は筒歯車21よりも直径が小さく形成されている。
なお、筒車本体20の内部には、二番車及び四番車の一部がそれぞれ第1回転軸線O1回りに回転可能に収容される。これにより、二番車に取り付けられた分針6、及び四番車に取り付けられた秒針7は、図1に示すように時針5と同軸に配置される。ただし、図1以外の各図面では、図面を見易くするために二番車、四番車、分針6及び秒針7の図示を省略している。
なお、分針6は時針5よりもガラス2側である下方に配置され、秒針7は分針6よりもさらに下方に配置される。
(アラーム機構の構成)
図2〜図7に示すように、アラーム機構30は筒車14と同軸に配置され、第1回転軸線O1回りに回転可能な太陽車31と、太陽車31に噛み合った状態で第2回転軸線O2回りに回転可能な第1遊星車(本発明に係る遊星車)32と、第1遊星車32を第2回転軸線O2回りに回転可能に支持する支持歯車(本発明に係る回転体)33と、太陽車31に回転抵抗を付与するアラーム車押さえ(本発明に係る抵抗付与部)34と、筒車14及び太陽車31と同軸に配置され、第1回転軸線O1回りに回転可能なアラーム車35と、支持歯車33に取り付けられたアラームレバー36と、ゴング37を叩打するハンマー38と、アラーム時刻調整機構39と、を備えている。
第2地板12について先に説明する。
図2及び図8に示すように、第2地板12は時計の形状に対応して平面視円形状に形成され、その外周縁部には上方に向かって突出した壁部40が第2地板12の周方向に沿って形成されている。第2地板12の外周縁部のうち壁部40が形成されていない部分は、ゴング37、及び後述するハンマーばね110を取り付けるための土台部41とされている。
第1回転軸線O1は、第2地板12の中央部分を上下に貫くように配置されている。図4に示すように、第2地板12の中央部分には、太陽車31を収容する貫通孔42が第2地板12を上下に貫通するように形成されている。貫通孔42は、第1回転軸線O1と同軸に配置され、太陽車31の直径よりも直径が僅かに大きく形成されている。
図4〜図7に示すように、第2地板12の下面には、下方に向けて開口する平面視円形状の第1収容凹部43、第2収容凹部44及び第3収容凹部45が形成されている。
第1収容凹部43は、アラーム車35を収容する凹部であって、第1回転軸線O1と同軸に配置されている。第1収容凹部43の直径は、アラーム車35の直径よりも僅かに大きく形成されている。
第2収容凹部44は、後述する第1中間歯車80を収容する凹部であって、第1回転軸線O1からずれた位置に形成されている。なお、第2収容凹部44は、第1収容凹部43に対して部分的に重なるように形成されている。
第3収容凹部45は、後述する第2中間歯車85を収容する凹部であって、第1回転軸線O1からずれた位置に形成されている。なお、第3収容凹部45は、第1収容凹部43及び第2収容凹部44に対して部分的に重なるように形成されている。
図4に示すように、太陽車31は、第2地板12に形成された貫通孔42の内側に収容された状態で、筒車本体20のうち筒車かな22よりも下方に位置する部分に、該筒車本体20に対して相対回転可能に取り付けられている。図示の例では、太陽車31はアラーム車35上に回転可能に載置されている。太陽車31の外周縁には、後述する第1遊星車32の第1遊星歯車56、及び後述する第2中間歯車85の第2中間歯85aが噛み合う太陽歯31aが全周に亘って形成されている。
図2〜図7に示すように、支持歯車33は筒車14及び太陽車31と同軸に配置され、筒車本体20のうち筒車かな22と太陽車31との間に位置する部分に、該筒車本体20に対して相対回転可能に取り付けられている。これにより、支持歯車33は第1回転軸線O1回りに太陽車31に対して相対回転可能とされている。
支持歯車33は、例えば第1遊星車32及び第2遊星車60を少なくとも上方から覆う程度の直径で形成され、その外周縁には後述するアラーム調整車120が噛み合う支持歯33aが全周に亘って形成されている。また、支持歯車33には、第1遊星車32を支持する第1支持孔50、第2遊星車60を支持する第2支持孔51、及びアラームレバー36を支持する第3支持孔52が形成されている。これら第1支持孔50、第2支持孔51及び第3支持孔52は、支持歯車33を上下に貫通するようにそれぞれ形成されている。
図3〜図5に示すように、第1遊星車32は、支持歯車33に形成された第1支持孔50内に例えば圧入等によって固定された第1遊星軸部55と、支持歯車33の下面側に配置され、第1遊星軸部55に回転可能に取り付けられた第1遊星歯車56と、を備えている。なお、第1遊星軸部55の中心を上下に貫く軸線が第2回転軸線O2とされている。
第1遊星軸部55は、支持歯車33の下方側から第1支持孔50内に嵌合され、その上端部は支持歯車33よりも上方に突出することなく、第1支持孔50内に収まっている。図示の例では、第1遊星軸部55は中空の円筒状に形成されているが、この場合に限定されるものではなく、例えば中実の円柱状に形成されていても構わない。
このように、第1遊星軸部55が第1支持孔50内に嵌合しているので、第1遊星車32は支持歯車33によって第2回転軸線O2回りに自転可能に支持されている。
また図示の例では、第1遊星軸部55を第1支持孔50内に固定したが、この場合に限定されるものではない。例えば、第1遊星軸部55が第1支持孔50内に回転可能に取り付けられていても構わない。この場合には、第1遊星軸部55に対して第1遊星歯車56を例えば圧入等によって一体に固定すれば良い。
第1遊星歯車56の外周縁には、太陽歯31aに噛み合う第1遊星歯56aが全周に亘って形成されている。これにより、第1遊星車32は、太陽車31に噛み合った状態で第2回転軸線O2回りに自転しながら、太陽車31に沿って第1回転軸線O1回りを公転可能とされている。
上述した第1遊星車32は、第2遊星車60及び筒車14を介して伝えられた香箱車13側からの動力によって自転及び公転する。また、第1遊星車32が第1回転軸線O1回りを公転することで、支持歯車33が第1遊星車32の公転に伴って第1回転軸線O1回りを回転する。
図3及び図5に示すように、第2遊星車60は、支持歯車33に形成された第2支持孔51内に回転可能に支持された第2遊星軸部61と、支持歯車33の上面側に配置され、第2遊星軸部61の上端部に例えば圧入等によって一体に固定された第2遊星歯車62と、支持歯車33の下面側に配置され、第2遊星軸部61の下端部に例えば圧入等によって一体に固定された第2遊星かな63と、を備えている。なお、第2遊星軸部61の中心を上下に貫く軸線は第3回転軸線O3とされている。
このように、第2遊星軸部61が第2支持孔51内に嵌合しているので、第2遊星車60は支持歯車33によって第3回転軸線O3回りに回転可能に支持されている。
図5及び図9に示すように、第2遊星歯車62の外周縁には、筒車かな22に噛み合う第2遊星歯62aが全周に亘って形成されている。図5及び図10に示すように、第2遊星かな63は、第1遊星車32の第1遊星歯56aに対して噛み合っている。
これにより、第2遊星車60は筒車14の回転に伴って第3回転軸線O3回りを回転すると共に、筒車14から伝えられた動力を第1遊星車32に伝えて、第1遊星車32を上述のように自転及び公転させる。
なお、第2遊星車60は太陽車31に対して直接的に噛み合っていないが、第1遊星車32の公転に伴って第1回転軸線O1回りを回転する支持歯車33に支持されているので、支持歯車33と共に第1回転軸線O1回りを回転する。従って、第2遊星車60は、第3回転軸線O3回りを自転しながら、太陽車31に沿って第1回転軸線O1回りを公転可能とされ、一般的な遊星車としての動きをする。
図3、図4及び図7に示すように、アラーム車35は、第2地板12に形成された第1収容凹部43の内側に収容された状態で、筒車本体20のうち太陽車31と時針5との間に位置する部分に、該筒車本体20に対して相対回転可能に取り付けられている。
アラーム車35は、下端部にアラーム針8が取り付けられた円筒状のアラーム車本体70と、アラーム車本体70の上端部に一体に形成されたアラーム歯車71と、を備えている。
図示の例では、アラーム車本体70とアラーム歯車71とは一体に形成されているが、この場合に限定されるものではなく、例えば両者を別体に形成した後に一体に組み合わせても構わない。
アラーム歯車71は、例えば太陽車31の直径よりも大きく、且つ支持歯車33の直径よりも小さい直径で形成され、その外周縁には第1中間歯車80に噛み合うアラーム歯71aが全周に亘って形成されている。これにより、アラーム車35は、第1中間歯車80側から伝えられる動力に基づいて第1回転軸線O1回りを回転可能とされている。なお、アラーム車35は、アラーム車押さえ34によって下方から押さえられており、第1収容凹部43の内側に安定的に配置されている。
アラーム針8は、時針5よりも文字板3側に位置しており、アラーム車35の回転に伴って回転可能とされている。アラーム針8が指す時刻がアラーム時刻となる。
図3、図4及び図7に示すように、第1中間歯車80は、第2地板12に形成された第2収容凹部44の内側に収容された状態で、第2地板12に形成された軸部81に対して回転可能に取り付けられている。第1中間歯車80は、例えばアラーム歯車71の直径よりも小さい直径で形成され、その外周縁にはアラーム車35のアラーム歯71aに噛み合う第1中間歯80aが全周に亘って形成されている。
なお、第1中間歯車80は、アラーム車押さえ34によって下方から押さえられており、第2収容凹部44の内側に安定的に配置されている。
図3、図4及び図10に示すように、第2中間歯車85は、第2地板12に形成された第3収容凹部45の内側に収容された状態で、第2地板12に形成された軸部86に対して回転可能に取り付けられている。第2中間歯車85は、例えばアラーム歯車71の直径よりも小さい直径で形成され、その外周縁には第1中間歯車80の第1中間歯80a及び太陽車31の太陽歯31aに噛み合う第2中間歯85aが全周に亘って形成されている。
なお、第2中間歯車85は、アラーム車押さえ34によって下方から押さえられており、第3収容凹部45の内側に安定的に配置されている。
上述のように、アラーム車35は第1中間歯車80及び第2中間歯車85を介して太陽車31に連係しているので、太陽車31が第1回転軸線O1回りに回転したときに、太陽車31の回転に基づいて第1回転軸線O1回りを回転する。すなわち、アラーム車35は、第1中間歯車80及び第2中間歯車85を介して太陽車31から伝えられる動力によって回転可能とされている。
アラーム車35、第1中間歯車80、第2中間歯車85及び太陽車31は互いに連係している関係であるので、アラーム車35、第1中間歯車80、第2中間歯車85及び太陽車31のうち少なくともいずれか1つの車に回転抵抗を付与することで、太陽車31に対して回転抵抗を付与することができる。
本実施形態では、アラーム車押さえ34がアラーム車35に回転抵抗を付与することで、結果的に太陽車31に回転抵抗を付与している。
図4及び図11に示すように、アラーム車押さえ34は、第2地板12の形状に対応した平面視円形状に形成され、第2地板12の下面に重なるように配置されている。なお、アラーム車押さえ34は、第2地板12に対して例えば接着、固着、公知の締結手段等に固定されている。
アラーム車押さえ34の中央部には、アラーム車本体70の直径よりも大きい径で形成され、アラーム車本体70及び筒車本体20を下方に向けて突出させる平面視円形状の開口部34aが第1回転軸線O1と同軸に形成されている。そしてアラーム車押さえ34は、開口部34aの内側に配置された一対の押さえばね34bを備えている。
一対の押さえばね34bは、アラーム車押さえ34の径方向に延びた帯状に形成され、アラーム車本体70を挟んで互いに平行に配置された状態で、両端部が開口部34aの内周縁部に接続されている。一対の押さえばね34bは、アラーム車本体70を径方向の外側から所定のばね力(弾性力)で挟み込んでいる。これにより、アラーム車押さえ34はアラーム車35に対して回転抵抗を付与している。
より具体的には、アラーム車押さえ34は、香箱車13側から筒車14を介してアラーム機構30に伝えられる動力に抗する回転抵抗を付与する。これにより、先に述べたように太陽車31に対して、香箱車13側から筒車14を介してアラーム機構30に伝えられる動力に抗する回転抵抗を付与することができる。そのため、通常運針時、太陽車31はアラーム車押さえ34による回転抵抗によって第1回転軸線O1回りの回転が規制されている。従って、通常運針時、太陽車31の回転を規制しながら、第1遊星車32を自転及び公転させることが可能となる。
なお、アラーム車押さえ34による回転抵抗を超える回転トルクが第1遊星車32を介して太陽車31に入力された場合には、太陽車31、第2中間歯車85、第1中間歯車80及びアラーム車35の順に上記回転トルクが伝わり、アラーム車35が一対の押さえばね34bに対してスリップしながら回転する。従って、太陽車31、第2中間歯車85、第1中間歯車80及びアラーム車35をそれぞれ回転させることが可能となる。これにより、アラーム針8を第1回転軸線O1回りに回転させてアラーム時刻の調整(設定、修正等)を行うことができる。
図2、図3及び図6に示すように、アラームレバー36は支持歯車33に取り付けられ、第1遊星車32の自転及び公転に伴う支持歯車33の回転に伴って、第1回転軸線O1回りを回転する。なお、本実施形態では、通常運針時、支持歯車33は第1回転軸線O1回りを反時計方向に回転する。そのため、アラームレバー36も同様に反時計方向に回転する。
アラームレバー36は、支持歯車33の径方向に沿って延びたレバー本体90と、レバー本体90の外端部90aに形成された係合爪部(本発明に係る係合部)91と、を備えている。
レバー本体90は、支持歯車33の下面側に配置されると共に、第1遊星車32よりも反時計方向側であって、且つ第1中間歯車80よりも時計方向側に位置するように配置されている。レバー本体90の内端部90bは、レバー軸部92を介して支持歯車33に回動可能に支持されている。なお、レバー軸部92の中心を上下に貫く軸線は第1回動軸線M1とされている。
図6に示すように、レバー軸部92は、支持歯車33に形成された第3支持孔52内に例えば圧入等によって固定されている。レバー軸部92は、支持歯車33の下方側から第3支持孔52内に嵌合され、その上端部は支持歯車33よりも上方に突出することなく、第3支持孔52内に収まっている。図示の例では、レバー軸部92は中空の円筒状に形成されているが、この場合に限定されるものではなく、例えば中実の円柱状に形成されていても構わない。
図示の例では、レバー軸部92を第3支持孔52内に固定したが、この場合に限定されるものではない。例えば、レバー軸部92が第3支持孔52内に回転可能に取り付けられていても構わない。この場合には、レバー軸部92に対してレバー本体90の内端部90bを例えば圧入等によって一体に固定すれば良い。
レバー本体90の内端部90bは、レバー軸部92に回転可能に取り付けられている。これにより、レバー本体90は、支持歯車33によって第1回動軸線M1回りに回動可能に支持されている。
なお、第3支持孔52は、支持歯車33のうち太陽車31よりも径方向の外側に位置する部分に形成されている。そのため、レバー本体90は太陽車31に干渉することなく回動可能とされている。
図3、図12及び図13に示すように、レバー本体90の外端部90aは、支持歯車33よりも径方向の外側に位置していると共に、土台部41よりも径方向の内側に位置している。
係合爪部91は、レバー本体90の外端部90aに支持歯車33の周方向に沿って一定の間隔をあけて複数形成されている。図示の例では、係合爪部91はレバー本体90の外端部90aに3つ形成されている。
ただし、係合爪部91の数は、3つに限定されるものではなく、例えば1つだけ形成されていても構わないし、2つ或いは4つ以上形成されていても構わない。
3つの係合爪部91は、通常運針時におけるアラームレバー36の回転方向(すなわち反時計方向)とは反対の方向(時計方向)に並ぶように配置されている。
各係合爪部91は、径方向の外側に向けて突出するように形成され、通常運針時におけるアラームレバー36の回転方向である反時計方向側を向いた係合面91aを備えている。係合面91aは、ハンマー38及び後述するアラームブロック100に対してそれぞれ係脱可能とされ、支持歯車33の径方向に対して略平行となるように形成されている。
上述のように構成されたアラームレバー36と支持歯車33との間には、図3及び図12に示すように、アラームばね(本発明に係る弾性部材)95が取り付けられている。
アラームばね95は、例えば支持歯車33の周方向に沿って延びたリングばねであって、レバー本体90と支持歯車33との間に配置されている。アラームばね95は、その一端部(すなわち一方の周端部)95aが、支持歯車33のうち第2遊星歯車62よりも径方向の外側に位置する部分に固定され、その他端部(すなわち他方の周端部)95bが、反時計方向側からレバー本体90に固定されている。そのため、図示の例ではアラームばね95は、支持歯車33の略3/4周程度に亘って延びるように形成されている。
また、支持歯車33には、図12に示すように、レバー本体90よりも反時計方向に位置する部分に、下方に向けて位置決めピン96が突設されている。位置決めピン96は、支持歯車33に対して例えば下方から圧入等によって固定されている。なお、位置決めピン96は、その下端部がレバー本体90の下面と同等の高さ位置となるように下方に向けて突出している。
アラームレバー36は、上述のアラームばね95によって反時計方向側に引っ張られることで、位置決めピン96に対して当接している。従って、アラームレバー36は、第1回動軸線M1回りに反時計方向側に回動することが規制された状態で位置決めされている。通常運針時、アラームレバー36は、ハンマー38及び後述するアラームブロック100に係合するまで、上述の位置決め状態を維持しながら、支持歯車33と共に第1回転軸線O1回りを反時計方向に回転する。
図12及び図13に示すように、アラームブロック(本発明に係る被係合部)100は、アラームレバー36の回転軌跡上に位置するように、例えば第2地板12の上面に固定されている。より具体的には、アラームブロック100は、土台部41の径方向の内側であって、係合爪部91の回転軌跡上に位置するように配置されている。
アラームブロック100のうち、時計方向側を向いた周面は、アラームレバー36の係合面91aが離脱可能に係合するブロック面100aとされている。ブロック面100aは、係合面91aと同様に、支持歯車33の径方向に対して略平行となるように形成されている。
なお、アラームブロック100は、その上端面が係合爪部91における高さ方向の中央部分に達する程度の高さとされている。これにより、係合爪部91の係合面91aは、全面に亘ってブロック面100aに係合するのではなく、係合面91aのうち下側半分がブロック面100aに係合する。
図6、図12及び図13に示すように、ハンマー38は、ハンマー爪部105、ハンマーヘッド106及びハンマー軸部107を備え、第2回動軸線(本発明に係る回動軸線)M2回りに回動可能とされている。
ハンマー軸部107は、第2地板12に第2回動軸線M2回りに回動可能に支持にされている。ハンマー軸部107は、第2地板12のうち、アラームブロック100よりも径方向の外側に位置し、且つ土台部41よりも径方向の内側に位置する部分に配置されている。
ハンマー爪部105は、ハンマー軸部107の上端部に例えば圧入等によって固定されている。ハンマー爪部105は、ハンマー軸部107側から径方向の内側に向かって延びており、アラームブロック100の上方に配置されている。ハンマー爪部105の突端部は、アラームブロック100よりも径方向の内側に突出している。
ハンマー爪部105のうち、時計方向側を向いた周面は、アラームレバー36の係合面91aが離脱可能に係合するハンマー面105aとされている。ハンマー面105aは、係合面91aと同様に、支持歯車33の径方向に対して略平行となるように形成されている。
なお、係合爪部91の係合面91aは、全面に亘ってハンマー面105aに係合するのではなく、係合面91aのうち上側半分が係合面91aに係合する。
このように構成されたハンマー爪部105は、ハンマー面105aがアラームブロック100のブロック面100aよりも僅かに反時計方向側に位置している。そのため、係合爪部91の係合面91aは、ブロック面100aから離脱した後に、ハンマー爪部105における突端部側のハンマー面105aに対して係合する。
ハンマーヘッド106は、ハンマー軸部107の下端部に例えば圧入等によって固定され、ハンマー軸部107側から時計方向側に向けて土台部41に沿って延びている。
なお、ハンマーヘッド106は、第2地板12とアラームレバー36との間に配置されている。これによりハンマーヘッド106は、アラームレバー36に対して干渉することがない。
ハンマーヘッド106の周端部には、土台部41側に向けて突出した打音突起(本発明に係る打音部)106aが形成されている。打音突起106aは、先鋭化するように形成され、土台部41とハンマーヘッド106との間に配置されたゴング37を例えば点接触に近い状態で叩打(タップ)することが可能とされている。
ハンマーヘッド106のうちハンマー軸部107に近い部分には、ハンマーピン108が例えば圧入等により固定されている。ハンマーピン108は、ハンマーヘッド106よりも僅かに上方に突出している。そして、ハンマー38にはハンマーピン108を介してハンマーばね110が連結されている。
図12及び図13に示すように、ハンマーばね110は、土台部41に固定された保持プレート111と、保持プレート111に支持され、ハンマーピン108に連結されたばね本体112と、を備えている。
保持プレート111は、ハンマー38よりも時計方向側に配置され、例えば図示しない固定ねじ等の締結手段によって土台部41に固定されている。
ばね本体112は、保持プレート111からハンマー38に向かって延びるように、例えば保持プレート111に一体に形成され、その先端部がハンマーピン108に対して連結されている。図示の例では、ばね本体112の先端部は、二股状に形成され、ハンマーピン108に対して嵌合するように連結されている。また、図示の例では、ばね本体112と保持プレート111とを一体に形成したが、この場合に限定されるものではなく、例えばばね本体112と保持プレート111とを別体に形成した後に組み合わせても構わない。いずれにしても、ばね本体112が保持プレート111に支持されていれば良い。
ばね本体112は、ハンマーピン108を介して該ハンマー38を所定のばね力で押圧し、ハンマー面105aがブロック面100aよりも反時計方向側に僅かに位置した状態を維持するように、ハンマー38を位置決めしている。このため、ハンマー38が上述の位置決めされた位置から第2回動軸線M2回りに回動して変位した場合には、ばね本体112が弾性変形する。これにより、ばね本体112の弾性復元変形を利用して、ハンマー38を上述の位置決めされた位置に復帰させることが可能とされている。
上述のようにハンマー38が構成されているので、通常運針時、第1回転軸線O1回りを反時計方向にアラームレバー36が回転すると、係合爪部91の係合面91aは、アラームブロック100のブロック面100aから離脱した直後に、ハンマー爪部105のハンマー面105aに係合する。これにより、ゴング37から打音突起106aを離間させるように、第2回動軸線M2を中心としてハンマー38を時計方向に回動させることができる。そして、係合爪部91の係合面91aをハンマー面105aから離脱させることで、ばね本体112の弾性復元変形によってハンマー38を逆方向に回動させることができ、ゴング37に対して打音突起106aを叩打させることが可能となる。
この点は、後に詳細に説明する。
図12及び図13に示すように、ゴング37は、土台部41に固定されたゴングプレート115に一体に形成されている。ゴングプレート115は、ハンマー38よりも反時計方向側に配置され、例えば図示しない固定ねじ等の締結手段によって土台部41に固定されている。
ゴング37は、第2地板12の周方向に沿って延びるように形成され、ゴングプレート115によって片持ち支持されている。図示の例では、ゴング37は、自由端とされた周端部がゴングプレート115の近傍に位置したリング状に形成されている。ただし、ゴング37の形状はこの場合に限定されるものではなく、例えば円弧状に形成されていても構わない。
ゴング37は、壁部40及び第2地板12に対して非接触とされ、中空に浮いた状態でゴングプレート115に片持ち支持されている。
なお、ゴング37はハンマーばね110のばね本体112の下側を通過しており、ばね本体112に対しても非接触とされている。ゴング37の材質としては、例えばアラーム音の音色、音質、剛性、耐食性等を考慮しながら自由に選択して構わない。
図2及び図8に示すように、アラーム時刻調整機構39は、アラーム車押さえ34によって付与された回転抵抗を超える回転トルクを太陽車31に入力することで、アラーム針8が取り付けられたアラーム車35及びアラームレバー36を同期させながら回転させて、アラーム時刻の調整を行うための機構であって、支持歯車33を回転させるアラーム調整車120と、アラーム車押さえ34による回転抵抗を超える回転トルクでアラーム調整車120を回転させるトルク入力部121と、を備えている。
アラーム調整車120は、アラーム調整歯車125、及びアラーム調整歯車125の下方に配置されたアラーム調整かな126を有し、第1地板に回転可能に支持されている。アラーム調整かな126は、支持歯車33の支持歯33aに対して噛み合っている。
トルク入力部121は、図1に示す第2リュウズ130に連結されたアラーム用巻真131と、アラーム用巻真131の回転に基づいてアラーム調整車120を回転させるアラーム調整輪列132と、を備えている。
アラーム用巻真131は、アラームレバー36の上方に位置するように配置され、第2リュウズ130の回転によって回転する。図示の例では、第2リュウズ130は文字板3の2時位置に配置されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、第2リュウズ130の位置は自由に変更して構わない。
アラーム用巻真131には、該アラーム用巻真131の軸線回りに回転する第1調整伝え歯車133が取り付けられている。第1調整伝え歯車133とアラーム調整車120との間には、第2調整伝え歯車134、第3調整伝え歯車135及び第4調整伝え歯車136が配置されている。
第2調整伝え歯車134は、第1地板に回転可能に支持され、第1調整伝え歯車133に噛み合っている。第3調整伝え歯車135は、第1地板に回転可能に支持され、第2調整伝え歯車134に噛み合っている。第4調整伝え歯車136は、第1地板に回転可能に支持され、第3調整伝え歯車135及びアラーム調整歯車125に対して噛み合っている。
従って、第2リュウズ130を介してアラーム用巻真131を回転させることで、第1調整伝え歯車133、第2調整伝え歯車134、第3調整伝え歯車135及び第4調整伝え歯車136を介してアラーム調整車120を回転させることができ、支持歯車33を第1回転軸線O1回りに例えば反時計方向側に回転させることが可能となる。
なお、第1調整伝え歯車133、第2調整伝え歯車134、第3調整伝え歯車135及び第4調整伝え歯車136は、アラーム調整輪列132を構成する。
なお、本実施形態では、アラーム用巻真131が1段位置、すなわちアラーム用巻真131がムーブメント10の内側に最も入り込んだ0段位置から第2リュウズ130を1段引いた位置で、第1調整伝え歯車133が第2調整伝え歯車134に噛合する場合を例に挙げて説明している。
ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば1段位置から第2リュウズ130をさらに1段引いた2段位置で、第1調整伝え歯車133が第2調整伝え歯車134に噛み合うように構成しても構わない。
さらに、例えばアラーム用巻真131を0段位置で回転させたときに、香箱車13内のぜんまい15の巻き上げが可能となるように構成しても良い。このようにすることで、第1リュウズ16及び巻真17を省略することができ、1つのリュウズ及び巻真でぜんまい15の巻き上げ、時刻調整、アラーム時刻調整等を行うことが可能となる。
(アラーム機構の作用)
上述したように構成されたアラーム機構30の作用について説明する。
(通常運針時)
はじめに、各指針4による時刻表示が行われる通常運針について説明する。なお、アラーム用巻真131が0段位置にセットされ、第1調整伝え歯車133と第2調整伝え歯車134との噛み合いが切り離されているものとする。
この場合では、ぜんまい15からの動力が表輪列11に伝わるので、該動力を二番車及び四番車に伝えることができ、分針6及び秒針7を回転させることができる。上記動力は、図14に示す矢印P1のように筒車14にも伝わるので、該筒車14を第1回転軸線O1回りに反時計方向に回転させることができる。これにより、筒車14に取り付けられている時針5を、時計をガラス2側から見たときに時計方向に回転させることができる。
以上のことにより、各指針4を運針させることができ時刻表示を行える。
上述した時刻表示を行っている間、筒車かな22には第2遊星歯車62が噛み合っているので、図14に示す矢印P2のように筒車14に伝わった動力を第2遊星車60に伝えることができる。これにより、筒車14の回転に伴って、第2遊星車60を第3回転軸線O3回りに時計方向に回転させることができる。
第2遊星車60の第2遊星かな63には第1遊星歯車56が噛み合っているので、図14に示す矢印P3のように第2遊星車60に伝わった動力を第1遊星車32に伝えることができる。これにより、第2遊星車60の回転に伴って、第1遊星車32を第2回転軸線O2回りに反時計方向に回転させることができる。
第1遊星車32の第1遊星歯車56は太陽車31に噛み合っているので、図14に示す矢印P4のように第1遊星車32に伝わった動力を太陽車31に伝えることができる。しかしながら、太陽車31には、ぜんまい15からの動力に抗する回転抵抗(アラーム車押さえ34によって生じた回転抵抗)が、第2中間歯車85、第1中間歯車80及びアラーム車35を介して付与されている。そのため、第1遊星車32から伝えられる動力によって太陽車31が回転することを規制することができる。
従って、太陽車31を固定した状態で、第1遊星車32を第2回転軸線O2回りに反時計方向に自転させながら、太陽車31に沿って第1回転軸線O1回りを反時計方向に公転させることができる。これにより、第1遊星車32を支持する支持歯車33を、第1遊星車32の公転に伴って第1回転軸線O1回りに反時計方向に回転させることができる。
なお本実施形態では、支持歯車33は24時間で1回転するように設定されている。この場合には、例えば筒車かな22の歯数、第2遊星歯車62の歯数、第2遊星かな63の歯数、第1遊星歯車56の歯数、及び太陽車31の歯数に基づいて、筒車14の回転数と支持歯車33の回転数との関係を調整できるので、支持歯車33が24時間で1回転するように設定することが可能である。
そのため、支持歯車33の回転に伴って、アラームレバー36を第1回転軸線O1回りに反時計方向に回転させることができる。特に、指針4を運針させるぜんまい15からの動力を利用して、アラームレバー36を回転させることができる。
なお、アラームレバー36は、支持歯車33の回転に伴って徐々にハンマー38に接近し、24時間毎にハンマー38に対する係脱を繰り返すことになる。また、通常運針時、上述のように太陽車31は回転が規制されているので、アラーム車35及びアラーム針8は回転することがない。
そして、アラームレバー36は、所定のアラーム時刻に達する直前(すなわち時針5が3時を指すアラーム針8に達する直前)、図12及び図13に示すように、アラームレバー36における係合爪部91のうち、最も反時計方向側に位置する係合爪部91の係合面91aがアラームブロック100のブロック面100aに係合する。
すると、最も反時計方向側に位置する係合爪部91の係合面91aがブロック面100aに係合した状態で、レバー本体90の内端部90bが支持歯車33に伴って反時計方向に回転しはじめるので、図15に示すように、レバー本体90は内端部90bが外端部90aよりも反時計方向側に先行するように第1回動軸線M1回りを時計方向に回動する。
これにより、アラームレバー36は第1回動軸線M1を中心として時計方向側に倒れ込んだ状態となり、位置決めピン96から離間する。なお、係合爪部91の係合面91aは、アラームレバー36の傾倒が進むにしたがって、ブロック面100a上を摺動しながら該ブロック面100aから徐々に離脱しはじめる。
上述のようにアラームレバー36が倒れはじめると、アラームばね95は、支持歯車33に固定されている一端部95aにおける反時計方向への移動量X1の方が、レバー本体90に固定されている他端部95bにおける反時計方向への移動量X2よりも大きくなるので弾性変形しはじめる。図示の例では、アラームばね95は弾性変形によって径方向の内側に撓んだ状態となっている。
そして、支持歯車33がさらに回転し、その後、所定のアラーム時刻に達すると、最も反時計方向側に位置する係合爪部91の係合面91aがブロック面100aから離脱する。そのため、アラームばね95が弾性復元変形するので、アラームレバー36を反時計方向側に引っ張るように付勢することができる。これにより、倒れ込んだ状態のアラームレバー36を元の状態に復帰させながら係合爪部91をハンマー爪部105の突端部に向けて勢いよく移動させることができる。
従って、ハンマー38を第2回動軸線M2回りに瞬時に回動させることができる。
詳細には、最も反時計方向側に位置する係合爪部91の係合面91aをハンマー爪部105のハンマー面105aに対して、強く押し当てるように係合させることができ、図15に示す矢印S1に示すように、ハンマーヘッド106の打音突起106aをゴング37から一旦離間させるようにハンマー38を瞬時に回動させることができる。すると、ハンマー38は、ハンマーばね110におけるばね本体112の弾性復元変形により、図15に示す矢印S2に示すように逆方向に瞬時に回動する。
従って、ゴング37に対して打音突起106aを勢いよく叩きつけることができ、ゴング37を振動させて、明瞭且つ大きな音量でアラーム音を発生させることができる。
本実施形態では、アラームレバー36は係合爪部91を3つ有しているので、2番目の係合爪部91及び3番目の係合爪部91(最も時計方向側に位置する係合爪部91)を利用して、上述したハンマー38の回動を間欠的に繰り返し行うことができる。従って、アラーム音を繰り返し発生させることができる。すなわち、所定のアラーム時刻で合計3回のアラーム音を繰り返し発生させることができる。
そして、アラームレバー36は、合計3回のアラーム音を発生させた後、図16に示すようにアラームばね95による付勢によって反時計方向に回動し、位置決めピン96に接触して位置決めされる。これにより、アラームレバー36を元の状態に復帰させることができる。
これ以降、アラームレバー36は支持歯車33と共に第1回転軸線O1回りを反時計方向に回転する。そして、次回のアラーム時刻に達する直前で、最も反時計方向側に位置する係合爪部91の係合面91aがブロック面100aに係合し、上述した動作が繰り返される。これにより、アラーム時刻毎に3回のアラーム音を発生させることができる。
(アラーム時刻調整)
次に、アラーム時刻の調整(設定、修正等)を行う場合について説明する。
この場合には、第2リュウズ130を1段引いて、アラーム用巻真131を0段位置から1段位置に移行させる。これにより、図8に示すように、アラーム用巻真131に取り付けられた第1調整伝え歯車133を、第2調整伝え歯車134に噛み合わせることができる。
次いで、第2リュウズ130を介してアラーム用巻真131を、例えば時計ケースを外側から見た視点で時計方向に回転させる。このとき、アラーム車押さえ34による回転抵抗を超える回転トルクでアラーム用巻真131を回転させる。
これにより、第1調整伝え歯車133を介して第2調整伝え歯車134を反時計方向に回転させ、第3調整伝え歯車135を時計方向に回転させ、第4調整伝え歯車136を反時計方向に回転させ、アラーム調整車120を時計方向に回転させることができる。
従って、図14に示す矢印P5のように、上記回転トルクの動力を支持歯車33に伝えることができ、支持歯車33を第1回転軸線O1回りに反時計方向に回転させることができる。これにより、第2遊星車60に回転トルクの動力を伝えることができ、支持歯車33の回転に伴って第2遊星車60を第3回転軸線O3回りに時計方向に自転させながら、筒車かな22に沿って第1回転軸線O1回りを反時計方向に公転させることができる。
これにより、図14に示す矢印P6のように、第2遊星車60を介して第1遊星車32に回転トルクの動力を伝えることができ、第1遊星車32を第2回転軸線O2回りに半時計方向に自転させながら、第1回転軸線O1回りを反時計方向に公転させることができる。
上述のように支持歯車33を反時計方向に回転させることができるので、アラームレバー36を反時計方向に回転させることができ、ハンマー38に対するアラームレバー36の相対位置を調整することができる。
これと同時に、アラーム車35をアラームレバー36と同期して回転させることができ、アラーム針8の位置を調整することができる。
すなわち、第1遊星車32が自転及び公転するので、図14に示す矢印P7のように第1遊星車32から太陽車31に回転トルクの動力を伝えることができる。この回転トルクは、アラーム車押さえ34による回転抵抗を超える回転トルクであるので、第1遊星車32の自転及び公転に伴って太陽車31を第1回転軸線O1回りに時計方向に回転させることができる。
そのため、図14に示す矢印P8、P9、P10のように、太陽車31から第2中間歯車85及び第1中間歯車80を介してアラーム車35に回転トルクの動力を伝えることができる。これにより、第2中間歯車85を反時計方向に回転させ、第1中間歯車80を時計方向に回転させ、アラーム車35を反時計方向に回転させることができる。このとき、アラーム車35は一対の押さえばね34bに対してスリップするように回転する。
このようにアラーム車35を回転させることができるので、アラーム針8を例えば時計をガラス2側から見て時計方向に回転させることができ、アラーム針8の位置調整を行える。このとき、アラーム車35に同期してアラームレバー36が回転するので、アラーム針8の位置に対応して、ハンマー38に対するアラームレバー36の相対位置を調整できる。従って、アラーム時刻の調整を行うことができる。
なお、第2遊星車60は筒車かな22に噛み合っているが、筒車14は表輪列11によって回転が制御されているので、第2遊星車60の自転に影響されることがない。従って、通常運針をさせながら、上述したアラーム時刻の調整作業を行うことが可能である。
また、本実施形態では、支持歯車33を反時計方向に回転させながらアラーム時刻の調整を行う場合を説明したが、この場合に限定されるものではなく、支持歯車33を時計方向に回転させながらアラーム時刻の調整を行っても構わない。
以上説明したように、本実施形態のアラーム機構30によれば、指針4を運針させるぜんまい15からの動力を利用してアラーム音を発生させることができるので、従来のアラーム用ぜんまいのようなアラーム用の動力源が不要である。従って、アラーム用ぜんまいの巻き忘れ等に起因してアラーム音が鳴らないといった不具合をなくすことができ、安定的にアラーム音を鳴らすことができる。
その結果、アラーム性能の信頼性が向上したアラーム機構30とすることができる。
また、太陽車31及び第1遊星車32による差動機構を利用するので、筒車14に伝わった動力を効率良く利用できると共に、筒車14にかかる余計な負荷を抑制でき、従来に比べて動力損失を低減することができる。また、従来のアラーム用ぜんまいが不要であるので、アラーム機構30自体をユニット化することが可能であり、例えば筒車14に組み合わせて使用することが可能である。従って、例えば既存のムーブメントにアラーム機構30を組み合わせて使用するといったことが可能であり、製造コスト等を抑制することができる。
また、太陽車31、アラーム車35及び筒車14が同軸に配置されているので、平面的な広がりを抑制しながらアラーム機構30を構成でき、アラーム機構30のコンパクト化を図ることができる。よって、アラーム機構30をユニット化する場合には特に好適である。
しかも、アラームレバー36が支持歯車33に直接取り付けられるので、例えば支持歯車33とアラームレバー36との間に複数の中間車等を配置する必要がない。そのため、部品点数を削減することができ、アラーム機構30の構成の簡略化を図ることができる。
また、本実施形態のムーブメント10及び時計1によれば、安定的にアラーム音を鳴らすことができ、アラーム性能の信頼性が向上したアラーム機構30を具備しているので、良好なアラーム機能を有する高性能、高品質なムーブメント及び時計となる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、筒車14及びアラーム車35が、太陽車31と同軸の第1回転軸線O1上に配置されていたが、本実施形態では、筒車14及びアラーム車35が、第1回転軸線O1とは平面方向にずれた位置に配置された回転軸線上に配置されている。
図17〜図22に示すように、本実施形態のアラーム機構140は、第1回転軸線O1回りに回転可能な太陽車141と、太陽車141に噛み合った状態で第2回転軸線O2回りに回転可能な遊星車142と、遊星車142を第2回転軸線O2回りに回転可能に支持する支持歯車33と、支持歯車33に回転抵抗を付与するアラーム車押さえ34と、筒車14と同軸に配置され、第3回転軸線O3回りに回転可能なアラーム車35と、を備えている。
なお、本実施形態では、第1実施形態における第2地板12、アラームばね95、アラームブロック100、ハンマー38、ゴング37、アラーム時刻調整機構39等の各構成を省略し、主に動力の伝達に関連する構成を中心として説明する。
図17及び図19に示すように、太陽車141は、第1回転軸線O1と同軸に配置された太陽軸部150と、太陽軸部150の上端部側に、太陽軸部150に対して回転可能に取り付けられた第1太陽歯車151と、太陽軸部150の下端部側に、太陽軸部150に対して回転可能に取り付けられた第2太陽歯車152と、を備えている。
図示の例では、第1太陽歯車151の直径は、第2太陽歯車152の直径よりも僅かに小さく形成されている。
第1太陽歯車151は、筒歯車21に噛み合っている。そのため、第1太陽歯車151にはぜんまい15からの動力が筒車14を介して伝えられる。これにより、第1太陽歯車151は、筒車14の回転に基づいて回転する。
図17及び図19に示すように、支持歯車33は太陽車141と同軸に配置され、太陽軸部150のうち第1太陽歯車151と第2太陽歯車152との間に位置する部分に、太陽軸部150に圧入等によって固定されている。これにより、支持歯車33は、太陽軸部150と共に第1回転軸線O1回りを回転可能とされている。支持歯車33の直径は、第1太陽歯車151及び第2太陽歯車152の直径よりも大きく形成されている。
なお、支持歯車33には、第1実施形態と同様にアラーム調整車120が噛み合っている。そのため、支持歯車33はアラーム調整車120の回転に基づいて回転可能とされている。先に述べたように、アラーム調整車120の図示は省略している。
太陽軸部150の上端部には、アラーム調整かな153が例えば圧入等により固定されている。これにより、アラーム調整かな153は、太陽軸部150及び支持歯車33と共に第1回転軸線O1回りを回転可能とされている。なお、アラーム調整かな153は第1太陽歯車151よりも上方に位置している。
図17、図19及び図22に示すように、遊星車142は、支持歯車33に形成された支持孔154内に回転可能に取り付けられた遊星軸部155と、支持歯車33の上面側に配置され、遊星軸部155に例えば圧入等によって固定された遊星歯車156と、支持歯車33の下面側に配置され、遊星軸部155に例えば圧入等によって固定された遊星かな157と、を備えている。なお、遊星軸部155の中心を上下に貫く軸線が第2回転軸線O2とされている。
遊星歯車156は、第1太陽歯車151に噛み合っている。遊星かな157は、遊星歯車156の直径よりも僅かに小さい直径で形成され、第2太陽歯車152に噛み合っている。そのため、遊星車142には、ぜんまい15からの動力が第1太陽歯車151を介して伝えられる。これにより、遊星車142は、第1太陽歯車151の回転に基づいて第2回転軸線O2回りを自転可能とされている。
このとき、遊星車142は、第2回転軸線O2回りに自転しながら太陽車141に沿って第1回転軸線O1回りを公転しようとする。
本実施形態では、後述するようにアラーム車押さえ34による回転抵抗が支持歯車33に付与されている。そのため、通常運針時、支持歯車33はアラーム車押さえ34による回転抵抗によって、第1回転軸線O1回りの回転が規制されている。これにより、通常運針時、遊星車142は公転が規制され、第2回転軸線O2回りの自転だけが許容されている。
なお、支持歯車33にアラーム車押さえ34による回転抵抗を超える回転トルクが入力された場合には、支持歯車33を第1回転軸線O1回りに回転することが可能となる。これにより、支持歯車33の回転に伴って遊星歯車156を自転及び公転させることが可能となる。
図21及び図22に示すように、アラーム車35は筒車14と同軸に配置され、筒車本体20に対して第3回転軸線O3回りに相対回転可能に取り付けられている。
アラーム車35は、第1実施形態と同様に、アラーム針8が取り付けられた円筒状のアラーム車本体70と、アラーム車本体70の上端部に一体に形成されたアラーム歯車71と、を備えている。アラーム歯車71は、筒歯車21の直径よりも小さい直径で形成され、後述する第3調整中間歯車167に噛み合っている。
図20及び図22に示すように、アラーム車本体70にはアラーム車35及び筒車14と同軸に配置されたアラームレバー車160が、アラーム車本体70に対して第3回転軸線O3回りに回転可能に取り付けられている。アラームレバー車160は、支持歯車33よりも下方に配置されると共にアラーム歯車71の直径よりも小さい直径で形成され、駆動中間歯車161に噛み合っている。
本実施形態のアラームレバー36は、図22に示すように、アラームレバー車160に第1回動軸線M1回りに回動可能に取り付けられている。これにより、アラームレバー36は、アラームレバー車160の回転に伴って第3回転軸線O3回りを回転可能とされている。
図20及び図22に示すように、駆動中間歯車161は、支持歯車33よりも下方に配置され、第2太陽歯車152に噛み合っている。これにより、遊星車142に伝えられたぜんまい15からの動力を、第2太陽歯車152及び駆動中間歯車161を介してアラームレバー車160に伝えることができ、アラームレバー車160及びアラームレバー36を第3回転軸線O3回りに回転させることが可能とされている。
図17及び図21に示すように、アラーム調整かな153は、第1調整中間歯車165に噛み合っている。第1調整中間歯車165は、第1太陽歯車151よりも上方に配置され、第2調整中間歯車166に噛み合っている。第2調整中間歯車166は、第3調整中間歯車167に噛み合っている。第3調整中間歯車167は、支持歯車33よりも上方に配置され、アラーム車35に噛み合っている。
従って、アラーム車35は、第3調整中間歯車167、第2調整中間歯車166、第1調整中間歯車165、アラーム調整かな153及び太陽軸部150を介して支持歯車33に連係しているので、支持歯車33が第1回転軸線O1回りに回転したときに第3回転軸線O3回りを回転する。すなわち、アラーム車35は、第3調整中間歯車167、第2調整中間歯車166、第1調整中間歯車165、アラーム調整かな153及び太陽軸部150を介して支持歯車33から伝えられる動力によって回転可能とされている。
上述のように、アラーム車35、第3調整中間歯車167、第2調整中間歯車166、第1調整中間歯車165、アラーム調整かな153、太陽軸部150及び支持歯車33は、互いに連係している関係であるので、アラーム車35、第3調整中間歯車167、第2調整中間歯車166、第1調整中間歯車165、アラーム調整かな153、太陽軸部150及び支持歯車33のうち少なくともいずれか1つの部品に回転抵抗を付与することで、支持歯車33に対して回転抵抗を付与することができる。
本実施形態では、アラーム車押さえ34がアラーム車35に回転抵抗を付与することで、結果的に支持歯車33に回転抵抗を付与している。
(アラーム機構の作用)
上述のように構成されたアラーム機構140であっても、動力の伝達経路が異なるだけで第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。以下に詳細に説明する。
(通常運針時)
通常運針の場合には、図17〜図22に示すように、筒歯車21に第1太陽歯車151が噛み合っているので、筒車14に伝えられたぜんまい15からの動力を第1太陽歯車151に伝えることができる。これにより、筒車14の回転に伴って、第1太陽歯車151を第1回転軸線O1回りに回転させることができる。
第1太陽歯車151には、遊星歯車156が噛み合っているので、第1太陽歯車151に伝わった動力を遊星車142に伝えることができる。これにより、第1太陽歯車151の回転に伴って、遊星車142を第2回転軸線O2回りに自転させることができる。
支持歯車33には、ぜんまい15からの動力に抗する回転抵抗(アラーム車押さえ34によって生じた回転抵抗)が付与されているので、遊星車142を介して伝えられる動力によって支持歯車33が第1回転軸線O1回りに回転することを規制することができる。従って、遊星車142が第1回転軸線O1回りに公転することを規制することができるので、遊星車142を第2回転軸線O2回りに自転させることができる。
遊星かな157には、第2太陽歯車152及び駆動中間歯車161を介してアラームレバー車160が噛み合っているので、遊星車142に伝わった動力を、第2太陽歯車152、駆動中間歯車161及びアラームレバー車160に伝えることができる。これにより、遊星車142の回転に伴って、第2太陽歯車152及び駆動中間歯車161を回転させることができると共に、アラームレバー車160を第3回転軸線O3回りに回転させることができる。
従って、アラームレバー車160の回転に伴って、アラームレバー36を第3回転軸線O3回りに回転させることができる。そのため、本実施形態の場合であっても、指針4を運針させるぜんまい15からの動力を利用して、アラームレバー36を回転させることができる。
なお、通常運針時、上述のように支持歯車33は回転が規制されているので、アラーム車35及びアラーム針8は回転することがない。
上述のようにアラームレバー36を回転させることができるので、第1実施形態と同様に、所定のアラーム時刻で、ゴング37に対して打音突起106aを勢いよく叩きつけることができ、明瞭且つ大きな音量でアラーム音を発生させることができる。その際、第1実施形態と同様に、合計3回のアラーム音を繰り返し発生させることができる。
(アラーム時刻調整)
次に、アラーム時刻の調整を行う場合について説明する。
この場合には、第1実施形態と同様に、アラーム用巻真131を1段位置に移行させた後、アラーム車押さえ34による回転抵抗を超える回転トルクでアラーム用巻真131を回転させる。これにより、アラーム調整車120を回転させることができ、アラーム調整車120を介して上記回転トルクの動力を支持歯車33に伝えることができる。
これにより、支持歯車33を第1回転軸線O1回りに回転させることができ、支持歯車33から遊星車142に回転トルクの動力を伝えることができる。そのため、支持歯車33の回転に伴って遊星車142を第2回転軸線O2回りに方向に自転させながら、太陽車141に沿って第1回転軸線O1回りを公転させることができる。
遊星車142の自転及び公転によって、遊星車142に伝わった回転トルクの動力を、第2太陽歯車152、駆動中間歯車161及びアラームレバー車160に伝えることができるので、アラームレバー車160を第3回転軸線O3回りに回転させることができる。これにより、第1実施形態と同様に、アラームレバー36を回転させることができ、ハンマー38に対するアラームレバー36の相対位置を調整することができる。
これと同時に、アラーム車35をアラームレバー36と同期して回転させることができ、アラーム針8の位置を調整することができる。
すなわち、支持歯車33が回転するので、太陽軸部150を介してアラーム調整かな153に回転トルクの動力を伝えることができる。この回転トルクは、アラーム車押さえ34による回転抵抗を超える回転トルクであるので、アラーム調整かな153を第1回転軸線O1回りに回転させることができる。
従って、第1調整中間歯車165、第2調整中間歯車166及び第3調整中間歯車167を介して、アラーム車35に回転トルクの動力を伝えることができる。これにより、アラーム車35を第3回転軸線O3回りに回転させることができ、アラーム針8の位置調整を行える。なお、アラーム車35は一対の押さえばね34bに対してスリップするように回転する。
上述したように、アラーム車35に同期してアラームレバー36を回転させることができるので、アラーム針8の位置に対応して、ハンマー38に対するアラームレバー36の相対位置を調整できる。従って、本実施形態の場合であっても、第1実施形態と同様にアラーム時刻の調整を行うことができる。
なお、遊星車142は、第1太陽歯車151を介して筒車14に噛み合っているが、筒車14には表輪列11によって回転が制御されているので、遊星車142の自転及び公転に影響されることがない。従って、通常運針をさせながら、上述したアラーム時刻の調整作業を行うことが可能である。
以上説明したように、本実施形態のアラーム機構140であっても、指針4を運針させるぜんまい15からの動力を利用してアラーム音を発生させることができるので、従来のアラーム用ぜんまいのようなアラーム用の動力源が不要である。
従って、アラーム用ぜんまいの巻き忘れ等に起因してアラーム音が鳴らないといった不具合をなくすことができ、安定的にアラーム音を鳴らすことができる。その結果、アラーム性能の信頼性が向上したアラーム機構140とすることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
例えば上記各実施形態では、香箱車13内に収容されたぜんまい15の動力をアラーム機構30、140に伝達する構成を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えば香箱車13以外に設けられた動力源から、アラーム機構30、140に動力が伝達されるように構成されても構わない。
また、上記各実施形態では、3つの係合爪部91を有するアラームレバー36によって、3回のアラーム音を繰り返し発生させたが、先に述べたように1つの係合爪部91でアラーム音を1回だけ発生させても構わない。
ただし、複数回のアラーム音を発生させた場合には、アラーム時刻を使用者に報知し易くなるので、より好ましい。
特に、係合爪部91を複数設ける場合には、係合爪部91がアラームブロック100のブロック面100aから離脱した後、位置決めピン96に当接するまでの間、アラームレバー36の回転速度を抑制する回転抑制部を設けることが好ましい。
例えば、回転抑制部は、アラームレバー36の回動に伴って回転するロータ等の回転体と、ロータに対して回転抵抗を付与する粘性流体(抵抗体)と、で主に構成することが可能である。
ロータは、例えばキャビティ内に配置され、キャビティ内に充填された粘性流体中で回転可能とされている。粘性流体は、例えば所定の粘性を有するシリコンオイルであって、ロータに対して角速度に比例した回転抵抗(粘性抵抗)を付与する。従って、ロータは、回転速度が増加するほど大きな回転抵抗が付与されながら回転が抑制される。
これにより、係合爪部91がアラームブロック100のブロック面100aから離脱した後、アラームばね95によって付勢されるアラームレバー36の回転速度を抑制することができ、3つの係合爪部91をハンマー38に対してより確実に順番に係合させることができ、アラーム音を繰り返し発生させ易くなる。
なお、抵抗体としては粘性流体に限定されるものではなく、例えば、空気や特定のガス等の気体を利用しても構わない。この場合であっても、例えばロータの形状等を適宜工夫することで、回転抵抗をロータに付与することができ、アラームレバー36の回転速度を抑制することが可能となる。
また、抵抗体としては、例えば固体摩擦抵抗を利用したものでも構わない。固体摩擦抵抗を利用した抵抗体は、例えば、シリンダ状部材と、該シリンダ状部材内に設けられ、アラームレバー36の回動に伴って回転する回転軸と、回転軸に該回転軸の半径方向外側に移動可能に取り付けられた錘と、で主に構成することが可能である。この場合、回転軸の回転による遠心力によって、錘がシリンダ状部材の内面に押し付けられることで回転抵抗(固体摩擦抵抗)を発生させることができるので、この回転抵抗(固体摩擦抵抗)を回転軸に付与することができ、アラームレバー36の回転速度を抑制することが可能となる。
O1…第1回転軸線
O2…第2回転軸線
O3…第3回転軸線
M2…第2回動軸線(回動軸線)
1…時計
4…指針
8…アラーム針
10…ムーブメント(時計用ムーブメント10)
11…表輪列(輪列)
14…筒車(時表示車)
15…ぜんまい(動力源)
30、140…アラーム機構
31、141…太陽車
32…第1遊星車(遊星車)
33…支持歯車(回転体)
34…アラーム車押さえ(抵抗付与部)
35…アラーム車
36…アラームレバー
37…ゴング
38…ハンマー
39…アラーム時刻調整機構
90…レバー本体
90a…レバー本体の外端部
90b…レバー本体の内端部
91…係合爪部(係合部)
91a…係合面
95…アラームばね(弾性部材)
100…アラームブロック(被係合部)
106a…ハンマーの打音突起(ハンマーの打音部)
120…アラーム調整車
121…トルク入力部
142…遊星車

Claims (9)

  1. 第1回転軸線回りに回転可能とされた太陽車と、
    指針が取り付けられた時表示車を介して動力源からの動力が伝達され、前記太陽車に噛み合った状態で第2回転軸線回りを自転可能とされた遊星車と、
    前記第1回転軸線回りに前記太陽車に対して相対回転可能に配置され、前記遊星車を前記第2回転軸線回りに回転可能に支持する回転体と、
    前記太陽車に前記動力源からの動力に抗する回転抵抗を付与することで、前記遊星車を自転させながら前記太陽車に沿って前記第1回転軸線回りに公転させる、又は、前記回転体に前記動力源からの動力に抗する回転抵抗を付与することで、前記遊星車の自転によって前記太陽車を前記第1回転軸線回りに回転させる抵抗付与部と、
    アラーム時刻を表示するアラーム針が取り付けられると共に、前記抵抗付与部による回転抵抗を超える回転トルクが前記遊星車を介して前記太陽車又は前記回転体に入力されたときに、第3回転軸線回りに回転可能とされたアラーム車と、
    前記遊星車の自転及び公転に伴う前記回転体の回転、又は前記遊星車の自転に伴う前記太陽車の回転に基づいて、前記第3回転軸線回を回転するアラームレバーと、
    ゴングを叩打する打音部を有すると共に、回動軸線回りに回動可能とされたハンマーと、を備え、
    前記アラームレバーは、前記指針が前記アラーム針に達したときに前記ハンマーを回動させて、前記ゴングに対して前記打音部を叩打させる、アラーム機構。
  2. 請求項1に記載のアラーム機構において、
    前記第1回転軸線及び前記第3回転軸線は共通の回転軸線とされ、
    前記太陽車、前記アラーム車及び前記時表示車は、同軸に配置されている、アラーム機構。
  3. 請求項1又は2に記載のアラーム機構において、
    前記抵抗付与部は、前記太陽車に前記回転抵抗を付与し、
    前記遊星車は、前記動力源からの動力によって自転しながら公転し、
    前記回転体は、前記遊星車の公転に伴って前記第1回転軸線回りを回転し、
    前記アラームレバーは、前記回転体に取り付けられると共に前記回転体の回転に基づいて回転し、
    前記アラーム車は、前記抵抗付与部による回転抵抗を超える回転トルクが前記遊星車を介して前記太陽車に入力されたときに、前記太陽車の回転に基づいて回転する、アラーム機構。
  4. 請求項3に記載のアラーム機構において、
    前記アラームレバーは、
    前記回転体の径方向に沿って延びると共に、その内端部が前記回転体に回動可能に支持されたレバー本体と、
    前記レバー本体の外端部に形成され、前記アラームレバーの回転方向側に係合面が向いた係合部と、を有し、
    前記係合部は、前記アラームレバーの回転に伴って前記ハンマーに係合し、前記ゴングから前記打音部が離間するように前記ハンマーを回動させると共に、所定のアラーム時刻に達したときに前記ハンマーから離脱して前記ハンマーを逆方向に回動させ、前記ゴングに対して前記打音部を叩打させる、アラーム機構。
  5. 請求項4に記載のアラーム機構において、
    前記アラームレバーの回転軌跡上に配置され、前記係合部が離脱可能に係合する被係合部と、
    前記回転体に一端部が固定されると共に、前記レバー本体に他端部が固定された弾性部材と、を備え、
    前記弾性部材は、前記被係合部と前記係合部との係合後、前記回転体の回転に伴って弾性変形すると共に、前記係合部が前記被係合部から離脱したときに、弾性復元変形によって前記レバー本体を前記アラームレバーの回転方向側に向けて付勢し、
    前記係合部は、前記被係合部からの離脱後に前記ハンマーに係合する、アラーム機構。
  6. 請求項4又は5に記載のアラーム機構において、
    前記係合部は、前記回転体の周方向に沿って間隔をあけて複数形成されている、アラーム機構。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のアラーム機構において、
    アラーム調整車と、
    前記抵抗付与部による回転抵抗を超える回転トルクで前記アラーム調整車を回転させるトルク入力部と、を有するアラーム時刻調整機構を備え、
    前記アラーム調整車は、前記太陽車及び前記遊星車を介して前記回転トルクで前記アラーム車を回転させると共に、前記アラーム車の回転に同期させて前記アラームレバーを回転させる、アラーム機構。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載のアラーム機構と、
    前記時表示車を含み、前記動力源からの動力を前記時表示車に伝える輪列と、を備えている、時計用ムーブメント。
  9. 請求項8に記載の時計用ムーブメントを備えている、時計。
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