JP6626594B1 - 渦巻ばね、トルク発生装置、時計用ムーブメント及び時計 - Google Patents

渦巻ばね、トルク発生装置、時計用ムーブメント及び時計 Download PDF

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Abstract

【課題】自己接触、または周囲の部品への接触を抑制して所望のトルクを発生させることができる渦巻ばね、トルク発生装置、時計用ムーブメント及び時計を提供する。【解決手段】定力ばね100は、第1回転軸線O1回りに巻き上げられてトルクを発生させる時計用の渦巻ばねであって、キャリアに取り付けられる外端部101と、定力下段筒に取り付けられる内端部102と、を備える。外端部101がキャリアに取り付けられ、かつ内端部102が定力下段筒に取り付けられ、かつトルクを発生していない巻上前状態で、第1回転軸線O1に直交する径方向において隣り合うばね間のピッチが第1回転軸線O1回りの周方向の位置に応じて変化している。【選択図】図8

Description

本発明は、渦巻ばね、トルク発生装置、時計用ムーブメント及び時計に関するものである。
一般に機械式時計において、香箱車から脱進機に伝えられるトルク(動力)がぜんまいの巻き解けに応じて変動してしまうと、トルクの変動に対応しててんぷの振り角が変化して、時計の歩度(時計の遅れ或いは進みの度合い)の変化を招いてしまう。そこで、脱進機に伝えられるトルクの変動を抑制するため、香箱車から脱進機への動力伝達経路に定トルク機構を設けることが知られている。
定トルク機構には、脱進機側輪列に回転力を付与する定力ばねが配置される。定力ばねは、巻き上げ等により一定のトルクを発生させる状態とされ、脱進機側輪列に動力を伝えることで失った動力の損失分を、香箱車から伝わる動力によって周期的に補充されるように構成されている。定トルク機構としては様々なタイプのものが提案されており、例えば周期制御に着目した場合、カム方式、輪列方式及び遊星車方式の3つの方式に主に大別される。
カム方式の定トルク機構は、例えば脱進機側輪列に接続されたカムに係合すると共にカムの回転に対応して揺動するフォロア或いはフォークを有し、フォロア或いはフォークに設けられた係脱爪を動力源側輪列に接続された脱進車に周期的に係脱させることで、係脱周期を制御する。これにより、動力源側輪列と脱進機側輪列との間の定力ばねを巻き上げることが可能とされている。
輪列方式の定トルク機構は、動力源側輪列と脱進機側輪列とを差動機構で接続し、ストップ車に係脱する係脱爪をストップ車の軌跡に出入りさせることで位相差を周期制御することが可能とされている。
遊星車方式の定トルク機構は、例えば下記特許文献1に記載されるように、ストップ車を遊星車として利用した遊星機構を有し、遊星機構によって動力源側輪列と脱進機側輪列との位相差を周期制御することが可能とされている。遊星車は、脱進機側輪列に接続された出力車に設けられた係脱爪を追従するように自転しつつ公転する。
スイス国特許出願公開第707938号明細書
しかしながら、渦巻ばねを定力ばねとして用いる場合、巻き上げに伴う渦巻ばねの変形によって、発生させるトルクに変動が生じる可能性がある。例えば、渦巻ばねを巻き締めてトルクを発生させる場合には、巻き締める際の回転中心を挟んで渦巻ばねの外端部とは反対側の部分において、隣り合うばね同士の間隔が狭まり、ばね同士の接触が発生する可能性がある。また、渦巻ばねを巻き広げてトルクを発生させる場合には、巻き広げる際の回転中心を挟んで渦巻ばねの外端部とは反対側の部分において、隣り合うばね同士の間隔が広がって渦巻ばねの外径が増加し、渦巻ばねが周囲の部品に接触する可能性がある。渦巻ばねに接触が生じると、接触部における摩擦力によって、渦巻ばねが所望のトルクを発生させることができない場合がある。
そこで本発明は、自己接触、または周囲の部品への接触を抑制して所望のトルクを発生させることができる渦巻ばね、トルク発生装置、時計用ムーブメント及び時計を提供するものである。
本発明の渦巻ばねは、軸線回りに巻き上げられてトルクを発生させる時計用の渦巻ばねであって、第1部品に取り付けられる外端部と、第2部品に取り付けられる内端部と、を備え、前記外端部が前記第1部品に取り付けられ、かつ前記内端部が前記第2部品に取り付けられ、かつトルクを発生していない巻上前状態で、前記軸線に直交する径方向において隣り合うばね間のピッチが前記軸線回りの周方向の位置に応じて変化しており、前記巻上前状態から巻き締めることによりトルクを発生させるように形成され、前記巻上前状態において、前記軸線の軸方向から見て、前記軸線から前記外端部に向かって延びる第1半直線上における前記ピッチは、前記軸線から前記第1半直線とは反対側に延びる第2半直線上における前記ピッチよりも狭い、ことを特徴とする。
本発明によれば、隣り合うばね間のピッチを周方向の位置に応じて適宜調整して変化させることで、巻き上げられた状態の渦巻ばねの形状を任意に調整することが可能となる。
このため、渦巻ばねの巻き上げに伴う変形によって、ばね間のピッチが狭まってばね同士が接触することや、ばね間のピッチが広がって渦巻ばねの最外周部が周囲の部品に接触すること等を抑制できる。これにより、巻き上げられた状態の渦巻ばねの接触に伴う摩擦力により、渦巻ばねが発生させるトルクが減少することを抑制できる。したがって、渦巻ばねは、自己接触、または周囲の部品への接触を抑制して所望のトルクを発生させることができる。
また、渦巻ばねは、巻上前状態から巻き締められると、軸線を挟んで外端部とは反対側の部分においてばね間のピッチが狭まるように変形する。このため、巻上前状態で軸線から外端部に向かって延びる第1半直線上におけるばね間のピッチを、軸線から第1半直線とは反対側に延びる第2半直線上におけるばね間のピッチよりも狭くしておくことで、軸線を挟んで外端部とは反対側の部分においてばね間のピッチが狭まっても、ばね同士の接触を抑制することができる。したがって、巻上前状態から巻き締めることによりトルクを発生させる渦巻ばねにおいて、所望のトルクを発生させることが可能となる。
本発明の渦巻ばねは、軸線回りに巻き上げられてトルクを発生させる時計用の渦巻ばねであって、第1部品に取り付けられる外端部と、第2部品に取り付けられる内端部と、を備え、前記外端部が前記第1部品に取り付けられ、かつ前記内端部が前記第2部品に取り付けられ、かつトルクを発生していない巻上前状態で、前記軸線に直交する径方向において隣り合うばね間のピッチが前記軸線回りの周方向の位置に応じて変化しており、前記巻上前状態から巻き広げることによりトルクを発生させるように形成され、前記巻上前状態において、前記軸線の軸方向から見て、前記軸線から前記外端部に向かって延びる第1半直線上における前記ピッチは、前記軸線から前記第1半直線とは反対側に延びる第2半直線上における前記ピッチよりも広い、ことを特徴とする。
本発明によれば、隣り合うばね間のピッチを周方向の位置に応じて適宜調整して変化させることで、巻き上げられた状態の渦巻ばねの形状を任意に調整することが可能となる。
このため、渦巻ばねの巻き上げに伴う変形によって、ばね間のピッチが狭まってばね同士が接触することや、ばね間のピッチが広がって渦巻ばねの最外周部が周囲の部品に接触すること等を抑制できる。これにより、巻き上げられた状態の渦巻ばねの接触に伴う摩擦力により、渦巻ばねが発生させるトルクが減少することを抑制できる。したがって、渦巻ばねは、自己接触、または周囲の部品への接触を抑制して所望のトルクを発生させることができる。
また、渦巻ばねは、巻上前状態から巻き広げられると、軸線を挟んで外端部とは反対側の部分においてばね間のピッチが広がるように変形する。このため、巻上前状態で軸線から外端部に向かって延びる第1半直線上におけるばね間のピッチを、軸線から第1半直線とは反対側に延びる第2半直線上におけるばね間のピッチよりも広くしておくことで、軸線を挟んで外端部とは反対側の部分においてばね間のピッチが広がっても、渦巻ばねの最外周部が軸線を挟んで外端部とは反対側の部分においてその周囲よりも径方向の外側に大きく膨出することを抑制できる。よって、渦巻ばねの最外周部が周囲の部品に接触することを抑制できる。したがって、巻上前状態から巻き広げることによりトルクを発生させる渦巻ばねにおいて、所望のトルクを発生させることが可能となる。
上記の渦巻ばねにおいて、前記渦巻ばねの少なくとも一部は、前記渦巻ばねに負荷がかかっていない状態でアルキメデス曲線に沿って延びている、ことが望ましい。
本発明によれば、巻き上げられた状態の渦巻ばねの形状を、アルキメデス曲線に近似される渦巻曲線にすることが可能となる。このため、巻き上げられた状態の渦巻ばねにおいて、隣り合うばね間のピッチを周方向及び径方向の位置によらず略一定とすることができるので、隣り合うばね同士の接触を抑制することができる。したがって、渦巻ばねは、所望のトルクを発生させることができる。
上記の渦巻ばねにおいて、前記渦巻ばねの少なくとも一部は、前記渦巻ばねに負荷がかかっていない状態でアルキメデス曲線に沿って延び、前記アルキメデス曲線の中心は、前記軸線を挟んで前記内端部とは反対側に設けられている、ことが望ましい。
本発明によれば、巻き上げられた状態の渦巻ばねの形状を、アルキメデス曲線に近似される渦巻曲線にすることが可能となる。ここで、渦巻ばねが巻き締められると、渦巻ばねの最内周部が縮径するので、渦巻ばねが巻き締められるに従い渦巻曲線の中心は内端部に近寄るように変位する。このため、渦巻ばねに負荷がかかっていない状態でのアルキメデス曲線の中心を、軸線を挟んで内端部とは反対側に設けることで、渦巻ばねが巻き締められた状態で渦巻曲線の中心が軸線に近付く。これにより、渦巻ばねの最内周部の全体を軸線に均等に近付けて、渦巻ばねの最外周部と最内周部との間隔を周方向の全体でより広くすることが可能となる。よって、隣り合うばね間のピッチも広げることができ、ばね同士の接触を抑制することができる。したがって、渦巻ばねは、所望のトルクを安定して発生させることができる。
本発明のトルク発生装置は、上記の渦巻ばねと、前記渦巻ばねの前記外端部が取り付けられた前記第1部品と、前記渦巻ばねの前記内端部が取り付けられた前記第2部品と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、所望のトルクを発生させる渦巻ばねを備えるので、第1部品と第2部品との間に与えられるトルクが不足することを抑制できる。
上記のトルク発生装置において、定トルク機構であって、前記第1部品および前記第2部品のいずれか一方を含み、動力源からの動力によって回転して前記渦巻ばねに動力を補充する入力回転体と、前記第1部品および前記第2部品の他方を含み、前記渦巻ばねからの動力によって回転し、脱進機に前記渦巻ばねの動力を伝える出力回転体と、前記出力回転体の回転に基づいて、前記出力回転体に対して前記入力回転体を間欠的に回転させる周期制御機構と、を備えることが望ましい。
本発明によれば、入力回転体と出力回転体との間に与えられるトルクが安定するので、出力回転体から脱進機に伝達されるトルクの変動を抑制できる。
上記のトルク発生装置において、指針を初期位置と終期位置との間で往復移動させるレトログラード機構であって、前記第1部品および前記第2部品のいずれか一方を含み、前記指針に同期して回動する回動部と、前記第1部品および前記第2部品の他方を含み、前記回動部を回動可能に支持する支持部と、を備えることが望ましい。
本発明によれば、回動部品に与えられるトルクが不足して指針の反復移動が乱れることを抑制できる。
上記のトルク発生装置において、文字板の日窓に明示された日文字を切り替えるカレンダ機構であって、前記第1部品および前記第2部品のいずれか一方を含み、筒車の回転に同期して回転する日回し歯車と、前記第1部品および前記第2部品の他方並びに前記日文字が表示された日車の歯部に係脱可能に設けられた日回しつめを有し、前記日回し歯車に対して前記日回し歯車と同軸で回動可能に設けられた日回しつめユニットと、を備えることが望ましい。
本発明によれば、日回しつめユニットに与えられるトルクの不足により日車に伝達される回転力が不足することを抑制できる。したがって、確実な日送り動作が可能なカレンダ機構とすることができる。
本発明の時計用ムーブメントは、上記のトルク発生装置を備えることを特徴とする。
本発明の時計は、上記の時計用ムーブメントを備えることを特徴とする。
本発明によれば、動作の安定した高精度の時計用ムーブメント及び時計とすることができる。
本発明によれば、自己接触、または周囲の部品への接触を抑制して所望のトルクを発生させることができる渦巻ばね、トルク発生装置、時計用ムーブメント及び時計を提供できる。
第1実施形態を示す時計の外観図である。 第1実施形態のムーブメントのブロック図である。 第1実施形態のムーブメントの一部を上方から見た斜視図である。 第1実施形態のムーブメントの一部を示す断面図である。 第1実施形態のムーブメントの一部を上方から見た平面図である。 第1実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。 第1実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。 第1実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。 第2実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。 第2実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。 第2実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。 第3実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。 第3実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。 第4実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。 第4実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。 第4実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。 第5実施形態を示す時計の外観図である。 レトログラード機構の平面図である。 レトログラード機構の平面図である。 第6実施形態を示す時計の外観図である。 カレンダ機構を下方から見た平面図である。 日回し車を下方から見た平面図である。 日回し車を上方から見た平面図である。 図22のXXIV−XXIV線における断面図である。 カレンダ機構の動作説明図であって、カレンダ機構の一部を下方から見た平面図である。 カレンダ機構の動作説明図であって、カレンダ機構の一部を下方から見た平面図である。 カレンダ機構の動作説明図であって、カレンダ機構の一部を下方から見た平面図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。本実施形態では、時計の一例として機械式時計を例に挙げて説明する。
[第1実施形態]
(時計の基本構成)
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。
時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側(すなわち、文字板のある方の側)をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側(すなわち、文字板と反対の側)をムーブメントの「表側」と称する。
なお、本実施形態では、文字板からケース裏蓋に向かう方向を上方、その反対側を下方と定義して説明する。また、各回転軸線を中心として、上方から見て時計回りに回転する方向を時計方向といい、上方から見て反時計回りに回転する方向を反時計方向という。
図1は、第1実施形態を示す時計の外観図である。
図1に示すように、本実施形態の時計1のコンプリートは、図示しないケース裏蓋及びガラス2からなる時計ケース内に、ムーブメント10(時計用ムーブメント)と、少なくとも時に関する情報を示す目盛りを有する文字板3と、時針5、分針6及び秒針7を含む指針4と、を備えている。
図2は、第1実施形態のムーブメントのブロック図である。
図2に示すように、ムーブメント10は、動力源である香箱車11と、香箱車11に繋がる動力源側輪列12と、調速機13によって調速される脱進機14と、脱進機14に繋がる脱進機側輪列15と、動力源側輪列12と脱進機側輪列15との間に配置された定トルク機構30と、を備えている。
なお、定トルク機構30は、一般に二番車や三番車、四番車等を含む表輪列の一部を構成している。本実施形態における動力源側輪列12とは、定トルク機構30から見て、定トルク機構30よりも動力源である香箱車11側に位置する輪列をいう。同様に、本実施形態における脱進機側輪列15とは、定トルク機構30から見て、定トルク機構30よりも脱進機14側に位置する輪列をいう。
香箱車11の内部には、ぜんまい16が収容されている。ぜんまい16は、図1に示すリュウズ17に連結された図示しない巻真の回転によって巻き上げられる。香箱車11は、ぜんまい16の巻き解きに伴う動力(トルク)によって回転し、動力源側輪列12を介して該動力を定トルク機構30に伝える。なお、本実施形態では、動力源側輪列12を介して香箱車11からの動力を定トルク機構30に伝える場合を例にして説明するが、この場合に限定されるものではない。例えば動力源側輪列12を介さずに、香箱車11からの動力を定トルク機構30に直接伝えても良い。
例えば、動力源側輪列12は、第1伝達車18を備えている。第1伝達車18は、例えば三番車である。第1伝達車18は、地板23(図4参照)と輪列受(不図示)との間に軸支されている。第1伝達車18は、香箱車11の回転に基づいて回転する。なお、第1伝達車18が回転すると、この回転に基づいて図示しない筒かなが回転する。筒かなには、図1に示す分針6が取り付けられており、筒かなの回転によって分針6が「分」を表示する。分針6は、脱進機14及び調速機13によって調速された回転速度、すなわち1時間で1回転する。
また、第1伝達車18が回転すると、この回転に基づいて図示しない日の裏車が回転し、さらに日の裏車の回転に基づいて図示しない筒車が回転する。筒車には、図1に示す時針5が取り付けられており、筒車の回転によって時針5が「時」を表示する。時針5は、脱進機14及び調速機13によって調速された回転速度、例えば12時間で1回転する。
脱進機側輪列15は、主に第2伝達車19を備えている。第2伝達車19は、例えば四番車である。第2伝達車19は、地板23と輪列受との間に軸支され、定トルク機構30の後述する定力下段車60(図3参照)の回転に基づいて回転する。第2伝達車19が四番車である場合、第2伝達車19には、図1に示す秒針7が取り付けられており、第2伝達車19の回転に基づいて秒針7が「秒」を表示する。秒針7は、脱進機14及び調速機13によって調速された回転速度、例えば1分間で1回転する。
脱進機14は、主にがんぎ車及びアンクル(いずれも不図示)を備えている。
がんぎ車は、地板23と輪列受との間に軸支され、例えば第2伝達車19に噛み合っている。これにより、がんぎ車には、脱進機側輪列15を介して定トルク機構30における後述の定力ばね100(図3参照)からの動力が伝達される。これにより、がんぎ車は、定力ばね100からの動力によって回転する。
アンクルは、地板23とアンクル受(不図示)との間で回動可能(揺動可能)に支持され、図示しない一対の爪石を有している。一対の爪石は、調速機13によってがんぎ車におけるがんぎ歯に対して所定の周期で交互に係脱される。これにより、がんぎ車は所定の周期で脱進可能とされる。
調速機13は、主にてんぷ(不図示)を備えている。
てんぷは、てん真、てん輪及びひげぜんまいを備え、地板23とてんぷ受(不図示)との間に軸支されている。てんぷは、ひげぜんまいを動力源として一定の周期で往復回転(正逆回転)する。
(定トルク機構の構成)
定トルク機構30は、脱進機14に伝達される動力の変動(トルク変動)を抑制する機構である。
図3は、第1実施形態のムーブメントの一部を上方から見た斜視図である。
図3に示すように、定トルク機構30は、上下に延びる第1回転軸線O1を中心軸線とする固定歯車31と、第1回転軸線O1回りに回転する定力上段車40(入力回転体)と、定力上段車40と同軸に配置され、第1回転軸線O1回りに定力上段車40に対して相対回転可能な定力下段車60(出力回転体)と、定力上段車40と定力下段車60とを連係する係脱レバーユニット80と、蓄えた動力を定力上段車40及び定力下段車60に伝える定力ばね100と、定力ばね100のトルクを調整するトルク調整機構110と、を備える。第1回転軸線O1は、上述した第1伝達車18及び第2伝達車19(図2参照)の回転軸線に対して地板23(図4参照)の面内方向にずれた位置に配置されている。
図4は、第1実施形態のムーブメントの一部を示す断面図である。
図4に示すように、固定歯車31は、地板23と定力ユニット受24との間に配置されている。定力ユニット受24は、地板23よりも上方に配置されている。固定歯車31は、第1回転軸線O1と同軸に配置された筒体32と、筒体32に一体に形成された歯車本体33と、を備える。
筒体32は、定力ユニット受24から下方に突出する固定歯車ピン34によって、定力ユニット受24の下面に固定されている。筒体32には、中心孔35及び窓部36が形成されている。中心孔35は、第1回転軸線O1を中心として一定の内径で上下に延び、筒体32を上下に貫通している。窓部36は、上下方向から見て第1回転軸線O1と第1伝達車18の回転軸線とが並ぶ方向で中心孔35に隣接している(図3参照)。窓部36は、筒体32を上下方向に貫通するとともに、中心孔35に連なっている。これにより、固定歯車31を上下に貫通する孔は、上下方向から見て長孔となっている。
歯車本体33は、第1回転軸線O1と同軸に形成され、筒体32の下端部から径方向の外側に向かって張り出している。歯車本体33の外周面には、全周に亘って固定歯33aが形成されている。すなわち、固定歯車31は、外歯タイプの歯車である。
定力上段車40は、地板23と定力ユニット受24との間に軸支されている。定力上段車40は、第1回転軸線O1回りに回転する回転軸41と、第1回転軸線O1回りを公転する遊星車43と、遊星車43を軸支するキャリア47(第1部品)と、を備えている。
回転軸41は、第1回転軸線O1に沿って延びている。回転軸41は、地板23及び定力ユニット受24によって、穴石25A,25Bを介して軸支されている。穴石25A,25Bは、例えばルビー等の人工宝石から形成されている。なお、穴石25A,25Bは人工宝石で形成される場合に限定されるものではなく、例えばその他の脆性材料や鉄系合金等の金属材料で形成しても構わない。回転軸41の上部には、定力上段かな41aが形成されている。定力上段かな41aは、第1伝達車18に噛み合っている。これにより、回転軸41には、動力源側輪列12を介して香箱車11(図2参照)からの動力が伝達される。回転軸41には、香箱車11からトルクTbの動力が伝達される。以降、トルクTbを香箱車11の回転トルクTbと称する。回転軸41は、香箱車11からの動力によって時計方向に回転する。
キャリア47は、回転軸41に固定的に支持されている。キャリア47には、回転軸41からの時計方向の回転トルクTbが伝達される。これにより、キャリア47は、香箱車11からの動力によって、回転軸41とともに第1回転軸線O1回りを時計方向に回転する。キャリア47は、回転軸41に一体に連結された下座48と、下座48の上方に配置され、下座48に固定された上座54と、を備える。
下座48は、固定歯車31の下方に配置されている。下座48は、遊星車43を支持する遊星車支持部49と、定力ばね100を支持するばね支持部50と、遊星車支持部49とばね支持部50とを連結する連結部51と、を備える。
図5は、第1実施形態のムーブメントの一部を上方から見た平面図である。なお、図5では、固定歯車31の一部を破断して図示している。
図3及び図5に示すように、遊星車支持部49は、上下方向から見て第1回転軸線O1回りの周方向に沿って円弧状に延びている。遊星車支持部49は、上下方向から見た中間部が両端部よりも下方に一段下がるように形成されている。
図4に示すように、ばね支持部50は、第1回転軸線O1を挟んで遊星車支持部49とは反対側に設けられている。ばね支持部50には、後述する定力ばねピン103が挿通されたピン挿通孔50aが形成されている。連結部51には、回転軸41が挿通された中心孔が形成されている。連結部51は、回転軸41における定力上段かな41aよりも下部に固定されている。これにより、下座48は、回転軸41と一体に回転する。下座48には、キャリア窓部52が形成されている。キャリア窓部52は、遊星車支持部49に対する第1回転軸線O1側に形成されている。キャリア窓部52は、下座48を上下に貫通している。キャリア窓部52は、下座48と後述する係合爪石86との接触を回避する。
図3に示すように、上座54は、下座48の遊星車支持部49の上方、かつ固定歯車31の歯車本体33よりも上方に配置されている。上座54は、上下方向から見て第1回転軸線O1回りの周方向に沿って円弧状に延びている。上座54は、複数のカラー55により下座48の遊星車支持部49に対して間隔をあけた状態で積層されている。上座54の両端部は、複数のカラー55に挿通された複数のボルト56により、遊星車支持部49の両端部に固定されている。
図4に示すように、遊星車43は、キャリア47に自転可能に支持されている。具体的に、遊星車43は、下座48の遊星車支持部49及び上座54によって、穴石59A,59Bを介して軸支され、第2回転軸線O2回りに回転可能とされている。第2回転軸線O2は、第1回転軸線O1に対して地板23の面内方向にずれた位置であって、キャリア47に対して固定された位置に配置されている。遊星車43は、上下方向から見た下座48の遊星車支持部49の中間部と、上下方向から見た上座54の中間部と、の間に配置されている(図3参照)。遊星車43は、遊星かな44及び遊星歯車45を備える。
遊星かな44は、固定歯車31の固定歯33aに噛み合う。固定歯車31が外歯タイプとされているので、遊星車43は、遊星かな44と固定歯車31との噛み合いにより、キャリア47の時計方向の回転に伴って、第2回転軸線O2回りを時計方向に自転しつつ、第1回転軸線O1回りを時計方向に公転する。
遊星歯車45は、遊星かな44よりも下方に形成され、固定歯車31に接触することなく回転可能(自転及び公転可能)とされている。遊星歯車45は、係合爪石86に対して係脱可能な複数のストップ歯45aを有する。ストップ歯45aの歯数は8歯とされている。ただし、この場合に限定されるものではなく、歯数を適宜変更して構わない。
図5に示すように、ストップ歯45aは、上下方向から見て第2回転軸線O2から離間するに従い第2回転軸線O2回りの時計方向に延びている。ストップ歯45aの歯先は、係合爪石86に対して係脱する作用面とされている。以下では、遊星車43の自転に伴ってストップ歯45aの歯先が描く回転軌跡Mを、遊星歯車45の回転軌跡Mという。
図4に示すように、定力下段車60は、地板23と定力ユニット受24との間において、定力上段車40の回転軸41に回転可能に支持されている。定力下段車60は、定力上段車40のキャリア47よりも下方であって、キャリア47と地板23との間に配置されている。定力下段車60は、回転軸41に外挿された定力下段筒61(第2部品)と、定力下段筒61に一体に連結された定力下段歯車62と、を備える。なお、定力下段車60は、定力ばね100から伝えられる動力によって第1回転軸線O1回りを時計方向に回転する。
定力下段筒61内には、回転軸41が上方から挿通されて定力下段筒61の下方に突出している。定力下段筒61における上端部及び下端部の内側には、リング状の穴石69A,69Bが圧入されている。回転軸41は、これら穴石69A,69Bの内側を挿通している。
定力下段歯車62は、定力下段筒61の下端部に一体に連結されている。定力下段歯車62の外周面には、第2伝達車19が噛み合う定力下段歯62aが全周に亘って形成されている。これにより、定力下段車60は、脱進機14に繋がる第2伝達車19、すなわち脱進機側輪列15に対して定力ばね100からの動力を伝えることが可能とされている。
なお、本実施形態では、脱進機側輪列15を介して定力ばね100からの動力を脱進機14に伝える場合を例にして説明するが、この場合に限定されるものではない。例えば、脱進機側輪列15を設けず、定力ばね100からの動力を脱進機14に直接伝達するように構成しても良い。
係脱レバーユニット80は、遊星歯車45のストップ歯45aに係脱する係合爪石86を含み、係合爪石86を第1回転軸線O1回りに回転可能に支持する。係脱レバーユニット80は、定力下段筒61に対して相対回転不能に設けられたレバーブッシュ81と、レバーブッシュ81の時計方向の回転に伴って時計方向に回転可能に設けられた係脱レバー84と、を備える。
レバーブッシュ81は、第1回転軸線O1と同軸の円筒状に形成されている。レバーブッシュ81は、定力下段車60の定力下段筒61の上端部に外挿され、定力下段筒61に一体に連結されている。これにより、レバーブッシュ81は、定力下段車60の回転に同期して、第1回転軸線O1回りを時計方向に回転する。
係脱レバー84は、レバー本体85と、レバー本体85に支持された係合爪石86と、を備える。
レバー本体85は、遊星車43の遊星歯車45よりも下方に配置されている。レバー本体85は、レバーブッシュ81に支持されている。レバー本体85の一端部には、係合爪石86が取り付けられている。
係合爪石86は、例えばルビー等の人工宝石から形成されている。なお、係合爪石86は、上述した穴石と同様に人工宝石で形成される場合に限定されるものではなく、例えばその他の脆性材料や鉄系合金等の金属材料で形成しても構わない。また、係合爪石86は、レバー本体85と別体ではなく、レバー本体85と一体に形成されても構わない。係合爪石86は、レバー本体85よりも遊星歯車45側(上方)に突出した状態でレバー本体85に保持されている。係合爪石86は、定力上段車40のキャリア47のキャリア窓部52の内側に配置されている。
図5に示すように、係合爪石86の突出した部分のうち、第1回転軸線O1とは反対側を向いた側面は、遊星歯車45のストップ歯45aの歯先が係脱可能とされている。係合爪石86は、遊星歯車45の回転軌跡M内で遊星歯車45に係合して遊星車43の自転を規制する。また、係合爪石86は、遊星車43に対して第1回転軸線O1回りの時計方向に変位して遊星歯車45の回転軌跡Mから退避することで、ストップ歯45aから離脱して遊星歯車45との係合を解除する。
図3に示すように、定力ばね100は、例えば鉄やニッケル等の金属や合金、シリコン等の非金属からなる渦巻ばねである。定力ばね100は、係脱レバーユニット80よりも下方であって、係脱レバーユニット80と定力下段歯車62との間に配置されている。
図6は、第1実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。図6では、定力ばね100の後述するトルク発生状態を示している。また、図6では、図面を見やすくするために、定力ばね100、固定片105及び固定リング104にハッチングを付している(以下の平面図でも同様)。
図6に示すように、定力ばね100は、一方の周端部である外端部101と、他方の周端部である内端部102と、を備える。図4に示すように、定力ばね100の外端部101は、固定片105及び定力ばねピン103を介して定力上段車40のキャリア47の下座48に取り付けられている。定力ばね100の内端部102は、固定リング104及びトルク調整機構110を介して定力下段車60に取り付けられている。これにより、定力ばね100は、蓄えた動力を定力上段車40及び定力下段車60にそれぞれ伝えることが可能とされている。定力ばね100の詳細な形状に関しては後述する。
図6に示すように、固定片105は、定力ばね100の外端部101に接続している。図示の例では、固定片105は、定力ばね100と一体的に形成されている。固定片105には、定力ばねピン103(図4参照)が挿通される貫通孔105aが形成されている。
図4に示すように、固定片105は、定力上段車40のばね支持部50の下方に配置されている。定力ばねピン103は、定力上段車40のばね支持部50に形成されたピン挿通孔50aよりも下方に突出した状態で、ばね支持部50に保持されている。定力ばねピン103の突出した部分は、固定片105の貫通孔105aに上方から挿入されている。これにより、定力ばねピン103は、固定片105と定力上段車40とを接続している。
図6に示すように、固定リング104は、第1回転軸線O1と同軸の円環状に形成されている。固定リング104の外周面の一部は、径方向の外側に突出し、定力ばね100の内端部102に接続している。図示の例では、固定リング104は、定力ばね100と一体的に形成されている。固定リング104は、トルク調整機構110の後述する定力ばねブッシュ111に一体に連結されている(図4参照)。
定力ばね100は、内端部102を巻出し位置として、外端部101に向けて時計方向に所定の巻き量で巻かれている。定力ばね100には、巻き上げによって予負荷が加えられている。そのため、定力ばね100にはトルクTcの動力が発生し、該動力が蓄えられている。本実施形態では、定力ばね100は、内端部102に対して外端部101を時計方向に巻き締めることによって、縮径するように弾性変形し、トルクを発生させる。
定力ばね100に蓄えられた動力は、定力ばね100の弾性復元変形に伴って定力上段車40及び定力下段車60に伝えられる。これにより、定力上段車40及び定力下段車60は、定力ばね100から伝えられる動力によって、第1回転軸線O1回りを互いに反対方向に回転可能とされている。具体的に、定力下段車60が時計方向に回転可能とされ、かつ定力上段車40が反時計方向に回転可能とされている。以降、上記トルクTcを定力ばね100の回転トルクTcと称する。なお、香箱車11内のぜんまい16が所定の巻き量で巻き上げられている場合、回転トルクTcは、回転軸41の回転トルクTbよりも小さいトルクとされている。
図4に示すように、トルク調整機構110は、定力ばね100に予負荷を加えて、定力ばね100の回転トルクTcを調整する。トルク調整機構110は、定力下段車60の定力下段筒61に支持された定力ばねブッシュ111と、定力ばねブッシュ111に一体に連結された第1トルク調整歯車112と、定力下段筒61に一体に連結された第2トルク調整歯車113と、第1トルク調整歯車112と第2トルク調整歯車113とを連係するトルク調整ジャンパ114と、を備える。
定力ばねブッシュ111は、第1回転軸線O1と同軸の円筒状に形成されている。定力ばねブッシュ111は、定力下段歯車62と係脱レバーユニット80との間で、定力下段筒61に外挿されている。定力ばねブッシュ111は、定力下段筒61に対して第1回転軸線O1回りに回転自在に設けられている。定力ばねブッシュ111の上下中間部には、上述した固定リング104が外挿され、定力ばねブッシュ111および固定リング104が一体に連結している。
第1トルク調整歯車112は、定力ばねブッシュ111の下端部に一体に連結されている。第1トルク調整歯車112の外周面には、第1トルク調整歯112aが全周に亘って形成されている。第1トルク調整歯112aには、図示しないトルク調整用の歯車が噛み合う。
第2トルク調整歯車113は、定力下段歯車62と、定力ばねブッシュ111及び第1トルク調整歯車112と、の間に配置されている。第2トルク調整歯車113は、定力下段筒61に一体に連結されている。第2トルク調整歯車113は、第1トルク調整歯車112よりも小径に形成されている。第2トルク調整歯車113の外周面には、第2トルク調整歯113aが全周に亘って形成されている。第2トルク調整歯113aには、トルク調整ジャンパ114が離脱可能に係合する。
トルク調整ジャンパ114は、第1トルク調整歯車112に支持され、第2トルク調整歯車113の周囲を第1回転軸線O1回りに公転可能とされている。トルク調整ジャンパ114は、第2トルク調整歯車113に対して第1トルク調整歯車112が時計方向に回転することを規制可能とされている。また、トルク調整ジャンパ114は、第2トルク調整歯車113に対して第1トルク調整歯車112が反時計方向に回転することを許容可能とされている。
これにより、定力ばねブッシュ111及び第1トルク調整歯車112が定力ばね100から時計方向の動力を受けると、該動力がトルク調整ジャンパ114を介して第2トルク調整歯車113に伝わる。すると、トルク調整ジャンパ114は、第2トルク調整歯車113に対する第1トルク調整歯車112の時計方向の回転を規制し、第1トルク調整歯車112及び第2トルク調整歯車113が一体的に時計方向に回転する。その結果、定力下段車60も第2トルク調整歯車113とともに時計方向に回転する。
また、定力ばね100に予負荷を加える際には、図示しないトルク調整用の歯車を第1トルク調整歯車112に噛み合わせ、トルク調整用の歯車を回転させることで、第1トルク調整歯車112を反時計方向に回転させる。すると、トルク調整ジャンパ114は、第2トルク調整歯車113に対する第1トルク調整歯車112の反時計方向の回転を許容するので、定力下段車60を回転させることなく、定力ばねブッシュ111及び固定リング104を反時計方向に回転させる。これにより、定力ばね100の内端部102を反時計方向に回転させることができる。その結果、定力ばね100の巻き上げを行うことができ、定力ばね100の予負荷を増大させて、回転トルクTcが増大するように調整することができる。
(定力ばねの形状)
次に、上述した定力ばね100の形状について説明する。なお、以下の説明では、定力ばね100が定力上段車40及び定力下段車60に取り付けられておらず、定力ばね100に負荷がかかっていない状態を定力ばね100の自然状態と称する。また、定力ばね100の外端部101が定力上段車40に取り付けられ、定力ばね100の内端部102が定力下段車60に取り付けられた状態を、定力ばね100の取付状態と称する。さらに、定力ばね100の取付状態のうち、定力ばね100が巻き上げられる前であって、トルクを発生していない状態を巻上前状態と称し、定力ばね100が巻き上げられて、所定のトルクを発生させている状態をトルク発生状態と称する。後述する他の実施形態でも同様である。
図7は、第1実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。図7では、定力ばね100の自然状態を示している。
図7に示すように、定力ばね100は、自然状態で、固定リング104の中心軸線Xを中心としたアルキメデス曲線に沿って延びている。これにより、隣り合うばね間のピッチは、一定となっている。固定リング104の中心軸線Xは、固定リング104がトルク調整機構110を介して定力下段車60に取り付けられた状態で、第1回転軸線O1と一致する軸線である。すなわち、固定リング104の中心軸線Xは、定力ばね100の巻き上げ時の回転中心である。定力ばね100は、自然状態で、外端部101が内端部102に対して固定リング104の中心軸線X回りの反時計方向に90°ずれるように形成されている。
図8は、第1実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。図8では、定力ばね100の巻上前状態を示している。
図8に示すように、定力ばね100の外端部101は、定力ばね100の巻上前状態で、自然状態の位置Aよりも第1回転軸線O1に近い位置に配置されている。外端部101と内端部102との距離は、自然状態よりも巻上前状態で小さくなっている。本実施形態では、定力ばね100の外端部101は、定力ばね100の巻上前状態で、自然状態の位置Aと第1回転軸線O1との間に配置されている。これにより、巻上前状態の定力ばね100では、第1回転軸線O1に直交する径方向において隣り合うばね間のピッチは、第1回転軸線O1回りの周方向の位置に応じて変化している。
具体的に、上下方向から見て、第1回転軸線O1から外端部101に向かって延びる第1半直線L1上におけるばね間のピッチP1は、第1回転軸線O1から第1半直線L1とは反対側に延びる第2半直線L2上におけるばね間のピッチP2よりも小さい。第1半直線L1上におけるばね間のピッチP1は、自然状態におけるばね間のピッチよりも小さく、かつ第1回転軸線O1から離れるに従い小さくなっている。第2半直線L2上におけるばね間のピッチP2は、自然状態におけるばね間のピッチよりも大きく、かつ第1回転軸線O1から離れるに従い大きくなっている。なお、定力ばね100の巻上前状態では、隣り合うばね同士が互いに接触していてもよい。
定力ばね100は、巻上前状態から、トルク調整機構110によって内端部102を反時計方向に所定角度(図示の例では360°)回転させ、定力ばね100を巻き締めることによって、図6に示すトルク発生状態となる。トルク発生状態では、定力ばね100は、第1回転軸線O1から内端部102側にずれた位置を中心としたアルキメデス曲線に近似される渦巻曲線に沿って延びている。トルク発生状態では、定力ばね100は、隣り合うばね同士が互いに離間し、自己接触を回避している。
(定トルク機構の動作)
次に、上述したように構成された定トルク機構30の動作について説明する。
なお、初期状態として、香箱車11内のぜんまい16が所定の巻き量で巻き上げられ、香箱車11から動力源側輪列12を介して定力上段車40のキャリア47に回転トルクTbの動力が伝達されているものとする。また、定力ばね100が所定の巻き量で巻き上げられ、定力ばね100から定力上段車40のキャリア47及び定力下段車60に、回転トルクTbよりも小さい回転トルクTcの動力が伝達されているものとする。
本実施形態の定トルク機構30によれば、定力ばね100を有しているので、定力ばね100に蓄えた動力を定力下段車60に伝えて、定力下段車60を第1回転軸線O1回りの時計方向に回転させることができる。詳細には、定力ばね100からの動力は、固定リング104を介してトルク調整機構110に伝わる。トルク調整機構110に伝わった動力は、定力下段車60に伝わる。これにより、定力下段車60には、回転トルクTcで第1回転軸線O1回りを時計方向に回転するような動力が定力ばね100から伝達される。さらに、定力下段車60から第2伝達車19に定力ばね100の動力を伝えることができ、定力下段車60の回転に伴って第2伝達車19を回転させることができる。つまり、定力下段車60を介して脱進機側輪列15に定力ばね100からの動力を伝えることができ、脱進機14を作動させることができる。
また、定力ばね100からの動力は、固定片105及び定力ばねピン103を介して定力上段車40にも伝わるので、定力上段車40を回転トルクTcで第1回転軸線O1回りの反時計方向に回転させようとする。
しかしながら、定力上段車40には、動力源側輪列12から第1回転軸線O1回りを時計方向に回転するような回転トルクTbが伝達されている。回転トルクTbは回転トルクTcよりも大きいので、定力上段車40は、第1回転軸線O1回りを反時計方向に回転することが防止されている。
なお、定力上段車40には、動力源側輪列12から伝えられた回転トルクTbと、定力ばね100から伝えられた回転トルクTcとの差分の動力(回転トルクTb−回転トルクTc)が作用する。ところが、係脱レバーユニット80の係合爪石86は、定力上段車40の遊星歯車45の回転軌跡M内で遊星歯車45に係合しているので、遊星車43の自転および公転が規制される。これにより、定力上段車40と定力下段車60とを連係させることができ、定力上段車40が第1回転軸線O1回りを時計方向に回転することが防止されている。
以上のことから、遊星歯車45と係合爪石86とが係合している段階では、定力上段車40は第1回転軸線O1回りに回転することが防止されている。なお、定力上段車40には、上述した差分の動力が作用するので、遊星歯車45のストップ歯45aの歯先が係合爪石86に対して強く押し当たった状態で係合する。
定力ばね100からの動力によって定力下段車60が回転すると、これに伴って係脱レバーユニット80のレバーブッシュ81及び係脱レバー84が第1回転軸線O1回りを時計方向に回転する。係脱レバー84が時計方向に回転すると、係脱レバー84が有する係合爪石86は、第1回転軸線O1回りの時計方向に変位する。これにより、係脱レバーユニット80は、係合爪石86を遊星歯車45の回転軌跡Mから退避させるように、遊星歯車45から徐々に離脱させることができる。これにより、係合爪石86の離脱に伴ってストップ歯45aの歯先が係合爪石86に摺動しながら係合爪石86に対して第1回転軸線O1回りの反時計方向に移動する。そして、ストップ歯45aの歯先が係合爪石86の爪先を超えた時点で、ストップ歯45aと係合爪石86との係合が解除される。これにより、係合爪石86及び遊星車43を介した定力上段車40と定力下段車60との連係が解除される。
従って、定力上段車40は、動力源側輪列12から伝えられた回転トルクTbと、定力ばね100から伝えられた回転トルクTcとの差分の動力(回転トルクTb−回転トルクTc)によって第1回転軸線O1回りを時計方向に回転する。
定力上段車40が第1回転軸線O1回りを時計方向に回転することで、キャリア47に固定された定力ばねピン103を介して、定力ばね100を巻き上げることができ、定力ばね100に動力を補充することができる。つまり、定力下段車60に動力を伝えることで失った動力の損失分を、動力源である香箱車11側から伝えられた動力を利用して補充することができる。これにより、定力ばね100の動力を一定に維持することができ、定トルクで脱進機14を作動させることができる。
なお、定力ばね100に対する動力の補充を行っている場合であっても、定力下段車60は定力ばね100からの動力によって回転し、脱進機側輪列15に定力ばね100からの動力を伝えている。
また、上述した定力ばね100に対する動力の補充が行われている際、定力上段車40の第1回転軸線O1回りの回転に伴って、遊星車43が第2回転軸線O2回りを時計方向に自転しながら、第1回転軸線O1回りを時計方向に公転して、係合爪石86を追従する。そして、ストップ歯45aの1歯分だけ遊星車43が自転することで係合爪石86に追いつき、ストップ歯45aの歯先が係合爪石86に再び係合する。
これにより、定力上段車40と定力下段車60とが再び連係するので、定力上段車40の回転が防止され、定力ばね100への動力の補充が終了する。
以上を繰り返すことで、遊星歯車45と係合爪石86との係脱を間欠的に行うことができる。すなわち、遊星歯車45及び係合爪石86は、定力下段車60の回転に基づいて、定力下段車60に対して定力上段車40を間欠的に回転させることができる。これにより、間欠的に定力ばね100への動力の補充を行うことができる。
(定力ばねの作用)
次に、上述したように構成された定力ばね100の作用について説明する。
定力ばね100等の渦巻ばねは、自然状態から巻き締めによって軸線回りに巻き上げられると、軸線を中心として縮径しようとする。このため、軸線と外端部及び内端部との距離を一定に保ちつつ渦巻ばねを巻き上げると、渦巻ばねが外端部及び内端部から径方向の力を受けて変形する。本実施形態の定力ばね100のように、巻上前状態から巻き締める場合には、渦巻ばねの全体が外端部によって引っ張られるように変形し、軸線を挟んで外端部とは反対側の部分において、巻上前状態と比較して隣り合うばね間のピッチが狭まる。
本実施形態の定力ばね100は、巻上前状態で、第1回転軸線O1に直交する径方向において隣り合うばね間のピッチが第1回転軸線O1回りの周方向の位置に応じて変化している。この構成によれば、隣り合うばね間のピッチを周方向の位置に応じて適宜調整して変化させることで、トルク発生状態の定力ばね100の形状を任意に調整することが可能となる。このため、定力ばね100の巻き上げに伴う変形によって、ばね間のピッチが狭まってばね同士が接触することを抑制できる。これにより、トルク発生状態の定力ばね100の接触に伴う摩擦力により、定力ばね100が発生させるトルクが減少することを抑制できる。したがって、定力ばね100は、自己接触、または周囲の部品への接触を抑制して所望のトルクを発生させることができる。
また、定力ばね100は、巻上前状態から巻き締めることによりトルクを発生させるように形成され、巻上前状態において、上下方向から見て、第1回転軸線O1から外端部101に向かって延びる第1半直線L1上におけるばね間のピッチP1は、第1回転軸線O1から第1半直線L1とは反対側に延びる第2半直線L2上におけるばね間のピッチP2よりも狭い。この構成によれば、定力ばね100は、巻上前状態から巻き締められると、第1回転軸線O1を挟んで外端部101とは反対側の部分においてばね間のピッチが狭まるように変形する。このため、巻上前状態で第1回転軸線O1から外端部101に向かって延びる第1半直線L1上におけるばね間のピッチP1を、第1回転軸線O1から第1半直線L1とは反対側に延びる第2半直線L2上におけるばね間のピッチP2よりも狭くしておくことで、第1回転軸線O1を挟んで外端部101とは反対側の部分においてばね間のピッチが狭まっても、ばね同士の接触を抑制することができる。したがって、巻上前状態から巻き締めることによりトルクを発生させる定力ばね100において、所望のトルクを発生させることが可能となる。
また、定力ばね100は、定力ばね100に負荷がかかっていない自然状態でアルキメデス曲線に沿って延びている。この構成によれば、トルク発生状態の定力ばね100の形状を、アルキメデス曲線に近似される渦巻曲線にすることが可能となる。このため、トルク発生状態の定力ばね100において、隣り合うばね間のピッチを周方向及び径方向の位置によらず略一定とすることができるので、隣り合うばね同士の接触を抑制することができる。したがって、定力ばね100は、所望のトルクを発生させることができる。
そして、本実施形態の定トルク機構30は、所望のトルクを発生させる定力ばね100を備えるので、定力上段車40と定力下段車60との間に与えられるトルクが不足することを抑制でき、定力下段車60から脱進機14に伝達されるトルクの変動を抑制できる。
また、本実施形態の時計1及びムーブメント10は、脱進機14に伝達されるトルクの変動を抑制された定トルク機構30を備えるので、高精度のムーブメント10及び時計1とすることができる。
[第2実施形態]
次に、図9から図11を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、定力ばね200のうち最外周部分の一部がクランク部206を介して径方向の外側に離間している点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図9は、第2実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。図9では、定力ばね200の自然状態を示している。
図9の示すように、定力ばね200は、固定片105が接続された外端部201と、固定リング104が接続された内端部202と、クランク部206と、を備える。クランク部206は、定力ばね200の外端部201を含む最外周部の一部を、径方向の外側に変位させている。これにより、定力ばね200のうち最外周部の一部を除く部分は、自然状態で、固定リング104の中心軸線Xを中心とするアルキメデス曲線に沿って延びている。また、定力ばね200の外端部201を含む最外周部の一部は、隣り合うばね間のピッチが他の部分よりも広くなっている。
図10は、第2実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。図10では、定力ばね200の巻上前状態を示している。
図10に示すように、定力ばね200の外端部201は、定力ばね200の巻上前状態で、自然状態の位置Bよりも第1回転軸線O1に近い位置に配置されている。これにより、巻上前状態の定力ばね200では、第1実施形態の定力ばね100と同様に、第1回転軸線O1に直交する径方向において隣り合うばね間のピッチは、第1回転軸線O1回りの周方向の位置に応じて変化している。
具体的に、上下方向から見て、第1回転軸線O1から外端部201に向かって延びる第1半直線L1上におけるばね間のピッチP1は、第1回転軸線O1から第1半直線L1とは反対側に延びる第2半直線L2上におけるばね間のピッチP2よりも小さい。第1半直線L1上におけるばね間のピッチP1は、自然状態におけるばね間のピッチよりも小さく、かつ最外周部を除いて第1回転軸線O1から離れるに従い小さくなっている。第2半直線L2上におけるばね間のピッチP2は、自然状態におけるばね間のピッチよりも大きく、かつ第1回転軸線O1から離れるに従い大きくなっている。
図11は、第2実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。図11では、定力ばね200のトルク発生状態を示している。
定力ばね200は、巻上前状態から、トルク調整機構110(図4参照)によって内端部202を反時計方向に所定角度(図示の例では360°)回転させ、定力ばね200を巻き締めることによって、図11に示すトルク発生状態となる。トルク発生状態では、定力ばね200は、第1回転軸線O1から内端部202側にずれた位置を中心としたアルキメデス曲線に近似された渦巻曲線に沿って延びている。トルク発生状態では、定力ばね200は、隣り合うばね同士が互いに離間し、自己接触を回避している。
以上説明したように、本実施形態の定力ばね200は、外端部201を含む最外周部の一部を径方向の外側に変位させるクランク部206を備える。この構成によれば、定力ばねがクランク部を備えない場合と比較して、定力ばね200の外端部201を自然状態で径方向の外側に設けることができる。このため、クランク部を備えない定力ばねの外端部が自然状態の位置で取り付けられる従来の定トルク機構に対して、クランク部206を備える定力ばね200を取り付けることで、定力ばね200の外端部201を第1回転軸線O1に寄せることができる。これにより、第1実施形態と同様に、巻上前状態において、上下方向から見て、第1回転軸線O1から外端部201に向かって延びる第1半直線L1上におけるばね間のピッチP1は、第1回転軸線O1から第1半直線L1とは反対側に延びる第2半直線L2上におけるばね間のピッチP2よりも狭くなる。したがって、定力ばね200は、従来技術の定力ばねを取り付けるように形成された定トルク機構に取り付けられることで、所望のトルクを安定して発生させることができる。
[第3実施形態]
次に、図12及び図13を参照して、第3実施形態について説明する。第1実施形態では、図7に示す定力ばね100の自然状態において、定力ばね100の形状に沿うアルキメデス曲線の中心が固定リング304の中心軸線Xと一致している。これに対して、第3実施形態では、定力ばね300の自然状態において、定力ばね300の形状に沿うアルキメデス曲線の中心Yが固定リング304の中心軸線Xに対してずれている点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図12は、第3実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。図12では、定力ばね300の自然状態を示している。
図12に示すように、定力ばね300は、固定片105が接続された外端部301と、固定リング304が接続された内端部302と、を備える。定力ばね300は、自然状態で、上下方向から見て固定リング304の中心軸線Xを挟んで内端部302とは反対側に設けられた点を中心Yとしたアルキメデス曲線に沿って延びている。固定リング304は、第1回転軸線O1と同軸の円環状に形成されている。固定リング304の外周面は、略一定の外径に形成され、定力ばね300の内端部302に接続している。
図13は、第3実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。図13では、定力ばね300のトルク発生状態を示している。
定力ばね300の外端部301は、定力ばね300の巻上前状態で、第1実施形態と同様に、自然状態の位置Cよりも第1回転軸線O1の近くに位置するように、固定片105を介して定力上段車40に取り付けられる。定力ばね300は、巻上前状態から、トルク調整機構110によって内端部302を反時計方向に所定角度(図示の例では360°)回転させ、定力ばね300を巻き締めることによって、図13に示すトルク発生状態となる。トルク発生状態では、定力ばね300は、第1回転軸線O1を中心としたアルキメデス曲線に近似された渦巻曲線に沿って延びている。すなわち、定力ばね300は、トルク発生状態で固定リング304と同心に配置されている。
以上説明したように、本実施形態の定力ばね300は、定力ばね300に負荷がかかっていない自然状態でアルキメデス曲線に沿って延び、自然状態において定力ばね300の形状に沿うアルキメデス曲線の中心Yが固定リング304の中心軸線Xを挟んで内端部302とは反対側に設けられている。この構成によれば、トルク発生状態の定力ばね300の形状を、アルキメデス曲線に近似される渦巻曲線にすることが可能となる。ここで、定力ばね300が巻き締められると、定力ばね300の最内周部が縮径するので、定力ばね300が巻き締められるに従い渦巻曲線の中心は内端部302に近寄るように変位する。このため、自然状態でのアルキメデス曲線の中心Yを、固定リング304の中心軸線Xを挟んで内端部302とは反対側に設けることで、トルク発生状態で渦巻曲線の中心が第1回転軸線O1に近付く。これにより、定力ばね300の最内周部の全体を第1回転軸線O1に均等に近付けて、定力ばね300の最内周部と固定リング304との隙間を削減しつつ、定力ばね300の最外周部と最内周部との間隔を周方向の全体でより広くすることが可能となる。よって、隣り合うばね間のピッチも広げることができ、ばね同士の接触を抑制することができる。したがって、定力ばね300は、所望のトルクを発生させることができる。
[第4実施形態]
次に、図14から図16を参照して、第4実施形態について説明する。第1実施形態の定力ばね100は、内端部102に対して外端部101を時計方向に巻き締めることによって縮径するように弾性変形し、トルクを発生させる。これに対して第4実施形態の定力ばね400は、内端部402に対して外端部401を時計方向に巻き広げることによって拡径するように弾性変形し、トルクを発生させる点で、第1実施形態と異なっている。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図14は、第4実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。図14では、定力ばね400の自然状態を示している。
図14に示すように、定力ばね400は、固定片105が接続された外端部401と、固定リング104が接続された内端部402と、を備える。定力ばね400は、内端部402を巻出し位置として、外端部401に向けて反時計方向に所定の巻き量で巻かれている。定力ばね400は、自然状態で、固定リング104の中心軸線Xを中心としたアルキメデス曲線に沿って延びている。これにより、隣り合うばね間のピッチは、一定となっている。定力ばね400には、巻き上げによって予負荷が加えられる。
図15は、第4実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。図15では、定力ばね400の巻上前状態を示している。
図15に示すように、定力ばね400の外端部401は、定力ばね400の巻上前状態で、自然状態の位置Dよりも第1回転軸線O1から離れた位置に配置されている。外端部401と内端部402との距離は、自然状態よりも巻上前状態で大きくなっている。本実施形態では、定力ばね400の外端部401は、定力ばね400の巻上前状態で、自然状態の位置を挟んで第1回転軸線O1とは反対側の位置に配置されている。これにより、巻上前状態の定力ばね400では、第1回転軸線O1に直交する径方向において隣り合うばね間のピッチは、第1回転軸線O1回りの周方向の位置に応じて変化している。
具体的に、上下方向から見て、第1回転軸線O1から外端部401に向かって延びる第1半直線L1上におけるばね間のピッチP1は、第1回転軸線O1から第1半直線L1とは反対側に延びる第2半直線L2上におけるばね間のピッチよりも大きい。第1半直線L1上におけるばね間のピッチP1は、自然状態におけるばね間のピッチよりも大きく、かつ第1回転軸線O1から離れるに従い大きくなっている。第2半直線L2上におけるばね間のピッチは、自然状態におけるばね間のピッチよりも小さい。図示の例では、第2半直線L2上において隣り合うばね同士が互いに接触しており、第2半直線L2上におけるばね間のピッチは0である。なお、第2半直線L2上において隣り合うばね同士は互いに接触していなくてもよい。
図16は、第4実施形態の定力ばね、固定片及び固定リングを示す平面図である。図16では、定力ばね400のトルク発生状態を示している。
定力ばね400は、巻上前状態から、トルク調整機構110によって内端部402を反時計方向に所定角度(図示の例では360°)回転させ、定力ばね400を巻き広げることによって、図16に示すトルク発生状態となる。トルク発生状態では、定力ばね400は、第1回転軸線O1から内端部402とは反対側にずれた位置を中心としたアルキメデス曲線に近似された渦巻曲線に沿って延びている。トルク発生状態では、定力ばね400は、隣り合うばね同士が互いに離間し、自己接触を回避している。
(定力ばねの作用)
次に、上述したように構成された定力ばね400の作用について説明する。
定力ばね400等の渦巻ばねは、自然状態から巻き広げによって軸線回りに巻き上げられると、軸線を中心として拡径しようとする。このため、軸線と外端部及び内端部との距離を一定に保ちつつ渦巻ばねを巻き上げると、渦巻ばねが外端部及び内端部から径方向の力を受けて変形する。本実施形態の定力ばね400のように、巻上前状態から巻き広げる場合には、渦巻ばねの全体が外端部によって押されるように変形し、軸線を挟んで外端部とは反対側の部分において、巻上前状態と比較して隣り合うばね間のピッチが広がる。
本実施形態によれば、隣り合うばね間のピッチを周方向の位置に応じて適宜調整して変化させることで、トルク発生状態の定力ばね400の形状を任意に調整することが可能となる。このため、定力ばね400の巻き上げに伴う変形によって、ばね間のピッチが広がって定力ばね400の最外周部が周囲の部品に接触することを抑制できる。これにより、トルク発生状態の定力ばね400の接触に伴う摩擦力により、定力ばね400が発生させるトルクが減少することを抑制できる。したがって、定力ばね400は、所望のトルクを発生させることができる。
また、定力ばね400は、巻上前状態から巻き広げることによりトルクを発生させるように形成され、巻上前状態において、上下方向から見て、第1回転軸線O1から外端部401に向かって延びる第1半直線L1上におけるばね間のピッチP1は、第1回転軸線O1から第1半直線L1とは反対側に延びる第2半直線L2上におけるばね間のピッチよりも広い。この構成によれば、定力ばね400は、巻上前状態から巻き広げられると、第1回転軸線O1を挟んで外端部401とは反対側の部分においてばね間のピッチが広がるように変形する。このため、巻上前状態で第1回転軸線O1から外端部401に向かって延びる第1半直線L1上におけるばね間のピッチP1を、第1回転軸線O1から第1半直線L1とは反対側に延びる第2半直線L2上におけるばね間のピッチよりも広くしておくことで、第1回転軸線O1を挟んで外端部401とは反対側の部分においてばね間のピッチが広がっても、定力ばね400の最外周部が第1回転軸線O1を挟んで外端部401とは反対側の部分においてその周囲よりも径方向の外側に大きく膨出することを抑制できる。よって、定力ばね400の最外周部が周囲の部品に接触することを抑制できる。したがって、巻上前状態から巻き広げることによりトルクを発生させる定力ばね400において、所望のトルクを発生させることが可能となる。
[第5実施形態]
次に、図17から図19を参照して、第5実施形態について説明する。第5実施形態の時計501は、日針8を運針するレトログラード機構511を備える点で、第1実施形態の時計1と異なっている。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図17は、第5実施形態を示す時計の外観図である。
図17に示すように、時計501には、日付を表示するカレンダ表示部501aが設けられている。カレンダ表示部501aは、指針4に含まれる日針8と、文字板3に設けられた扇状の目盛りと、を備える。日針8は、時針5、分針6及び秒針7とは異なる軸線回りに、所定の角度範囲内で回動可能に設けられている。扇状の目盛りは、日付を表す「1」から「31」の数字によって構成されている。扇状の目盛りは、日針8の回動範囲に合わせて設けられ、日針8によって指示される。
図18および図19は、レトログラード機構の平面図である。
図18に示すように、ムーブメント510は、日針8を駆動するレトログラード機構511を備える。レトログラード機構511は、日針8を所定の角度範囲内で往復移動させる。レトログラード機構511は、日回し車512と、日回し伝え車520と、日復針レバー540と、日針車550と、戻しばね560と、を備える。
日回し車512は、上述した動力源側輪列12(図2参照)に連係して1日(24時間)で1回転する。日回し車512には、日回しつめ513が設けられている。日回しつめ513は、平面視で円弧状に形成されたばね部514と、ばね部514の先端に設けられた当接部515と、を有している。日回しつめ513は、日回し車512に対して平面視で重なるように配置される。日回しつめ513は、日回し車512と一体的に設けられており、日回し車512と同期して回転する。ばね部514は、日回し車512の周方向および径方向に弾性変形可能とされている。当接部515は、日回し車512の回転に伴って日回し車512の回転軸線回りを回転することにより、1回転毎に1度だけ日回し伝え車520に係合して日回し伝え車520を回転させる。
日回し伝え車520は、円盤状に形成されており、外周縁に複数の歯521が形成されている。複数の歯521は、1ヶ月の日数である31日に対応して、31歯形成されている。複数の歯521の1つは、1日で1回転する日回しつめ513の当接部515によって、1日で1回押される。これにより、日回し伝え車520は、複数の歯521のピッチ角と同じ角度ピッチで、1日に1ステップずつ回転し、1ヶ月(すなわち31日)で1回転する。
日回し伝え車520には、日作動カム525が設けられている。日作動カム525は、日回し伝え車520と同期して、1ヶ月で1回転する。日作動カム525の外周面は、日回し伝え車520の回転方向とは反対方向に向かうに従い渦巻き状に半径が大きくなるように形成されたカム面526となっている。カム面526は、日回し伝え車520の回転軸線からの離間距離が最大となる最外部526aと、日回し伝え車520の回転軸線からの離間距離が最小となる最内部526bと、を有している。
日回し伝え車520には、日ジャンパ530が当接している。日ジャンパ530は、日回し伝え車520の回転方向の位置を規正する。日ジャンパ530は、先端部が自由端とされた弾性変形可能な日ジャンパばね部531を備えている。日ジャンパばね部531の先端部は、日回し伝え車520の歯521に係合可能となっている。日ジャンパ530は、先端部が日回し伝え車520の歯521に係合することにより、日回し伝え車520の回転を規正する。これにより、日回し伝え車520は、複数の歯521のピッチ角と同じ角度ピッチで、1日に1ステップずつ回転可能となっている。
日復針レバー540は、日回し伝え車520の回転軸線からずれた軸線を中心として往復回動可能に設けられている。日復針レバー540は、日針車550に噛み合う扇形歯車部541と、扇形歯車部541と一体的に回動するカム腕部542と、を備える。カム腕部542は、先端部が日作動カム525のカム面526に当接するカム従節になっている。以下、カム腕部542の先端部が日作動カム525のカム面526の最内部526bに当接するときの日復針レバー540の位置を「初期位置」という。また、カム腕部542の先端部が日作動カム525のカム面526の最外部526aに当接するときの日復針レバー540の位置を「終期位置」という。前述のとおり日作動カム525は、1ヶ月で1回転する。したがって、日復針レバー540は、初期位置と終期位置との間を1ヶ月で1回往復移動する。なお、図18においては、日復針レバー540が初期位置にある状態を図示している。また、図19においては、日復針レバー540が終期位置にある状態を図示している。
日針車550は、日針8と連結されて日針8を回転させる。日針車550は、日復針レバー540の回動に同期して回転軸線O3回りを回転する。日針車550は、日復針レバー540が初期位置にあるとき、最も一方向(図中の反時計回り方向)に回転した状態となる。このとき、日針8は、カレンダ表示部501a(図17参照)の目盛りの「1」を指示する。また、日針車550は、日復針レバー540が終期位置にあるとき、最も他方向に回転した状態となる。このとき、日針8は、カレンダ表示部501aの目盛りの「31」を指示する。これにより、日針8は、日作動カム525の回転および日復針レバー540の移動に対応して、1日ごとにステップ運針される。
戻しばね560は、日針車550を介して日復針レバー540を日作動カム525に接近する方向に付勢している。戻しばね560は、上述した定力ばね100と同様に形成された渦巻ばねである。戻しばね560の内端部562は、日針車550に取り付けられ、日針車550に固定的に設けられている。戻しばね560の外端部561は、日針車550を回転可能に支持する部材(例えば地板23等)に取り付けられている。
戻しばね560には、巻き上げによって予負荷が加えられている。本実施形態では、戻しばね560は、外端部561に対して内端部562を巻き締めることによって縮径するように弾性変形し、トルクを発生させる。戻しばね560は、日復針レバー540が初期位置にある状態で、巻上前状態から巻き上げられている。なお、戻しばね560の巻上前状態は、戻しばね560の外端部561が地板23等に取り付けられ、戻しばね560の内端部562が日針車550に取り付けられ、かつトルクを発生していない状態である。戻しばね560は、日復針レバー540が終期位置にある状態で、日復針レバー540が初期位置にある状態よりもさらに巻き上げられている。これにより、戻しばね560は、日復針レバー540が初期位置から終期位置に亘るいずれの位置にある状態でもトルクを発生させており、日復針レバー540を日作動カム525に接近する方向に付勢している。
戻しばね560の外端部561は、図8に示す定力ばね100と同様に、戻しばね560の巻上前状態で、自然状態の位置よりも日針車550の回転軸線O3に近い位置に配置されている。外端部561と内端部562との距離は、自然状態よりも巻上前状態で小さくなっている。これにより、巻上前状態の戻しばね560では、回転軸線O3に直交する径方向において隣り合うばね間のピッチは、回転軸線O3回りの周方向の位置に応じて変化している。
図19に示すように、戻しばね560は、巻き上げられてトルクを発生させている状態で、日針車550の回転軸線O3から内端部562側にずれた位置を中心としたアルキメデス曲線に近似される渦巻曲線に沿って延びている。日復針レバー540が初期位置から終期位置に亘るいずれの位置にある状態でも、戻しばね560は、隣り合うばね同士が互いに離間し、自己接触を回避している。
(レトログラード機構の動作)
次に、上述したように構成されたレトログラード機構511の動作について説明する。
上述したように、日回し車512は、1日で1回転する。日回し車512に設けられた日回しつめ513は、日回し車512と同期して、1日で1回転する。
日回しつめ513の当接部515は、回転により日回し伝え車520の歯521に当接した後、時刻の経過に伴い歯521を押す。なお、日回しつめ513の当接部515が日回し伝え車520の歯521に当接する時間は、一般に日が替わる午前0時前の所定時間(例えば午後23時から翌日午前0時までの間)に設定される。そして、日回し伝え車520の歯521が日回しつめ513の当接部515により押されて所定角度だけ回転すると、日ジャンパばね部531の先端部が歯521を乗り越えて、隣の歯521に係合する。これにより、日回し伝え車520は、所定の角度ピッチで1日に1ステップずつ回転し、1ヶ月で1回転する。
日作動カム525は、日回し伝え車520と同期して1日に1ステップずつ回転し、1ヶ月で1回転する。
ここで、日復針レバー540は、カム腕部542が日作動カム525の回転によってカム面526の最内部526bから最外部526aに向かって相対的に移動することにより、初期位置から終期位置に向かって移動する。これにより、日復針レバー540の扇形歯車部541と噛み合う日針車550は、1日で1ステップずつ回転する。また、日針車550に取り付けられた日針8は、日針車550の回転に対応して、日が替わる午前0時頃に1日分だけ運針される。このように、レトログラード機構511は、月の初日から末日かけて日針8を1ステップずつ運針させる。
以上に説明したように、本実施形態の戻しばね560は、巻上前状態で、回転軸線O3に直交する径方向において隣り合うばね間のピッチが回転軸線O3回りの周方向の位置に応じて変化している。この構成によれば、第1実施形態の定力ばね100と同様の作用効果を奏することができる。
また、本実施形態のレトログラード機構511は、所望のトルクを発生させる戻しばね560を備えるので、日針車550に与えられるトルクが不足することを抑制できる。これにより、日針車550に与えられるトルクが不足して日針8の反復移動が乱れることを抑制できる。
[第6実施形態]
次に、図20から図27を参照して、第6実施形態について説明する。第6実施形態の時計601は、日車9を瞬間的に駆動するカレンダ機構611を備える点で、第1実施形態の時計1と異なっている。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図20は、第6実施形態を示す時計の外観図である。
図20に示すように、時計601には、日付を表示するカレンダ表示部601aが設けられている。カレンダ表示部601aは、文字板3に形成された日窓3aと、後述する日車9に表示されて日窓3aを通じて明示される日文字9aと、を備える。
図21は、カレンダ機構を下方から見た平面図である。なお、図21では、カレンダ機構の構成部品の一部を破断して図示している。
図21に示すように、ムーブメント610は、上述した日車9と、日車9を瞬間的に駆動するカレンダ機構611と、を備える。日車9は、地板23に対して回転自在に取り付けられたリング状部材である。日車9には周方向に沿って1〜31の日を表す日文字(図20参照)が順番に表示されている。日車9の内周面には、複数の歯部9bが形成されている。複数の歯部9bは、径方向の内側に突出するとともに周方向に間隔をあけて形成されている。
カレンダ機構611は、主に日回し車612と、日回し車規制ばね690と、日ジャンパ695と、を備える。
日回し車612は、筒車20の回転に基づいて1日(24時間)で1回転する。日回し車612は、ムーブメント610の通常運針時において、回転軸線O4回りを図中の矢印A方向に回転する。以下、通常運針時における日回し車612の回転方向を正転方向と称する。日回し車612には、互いに噛み合う第1日回し中間車613および第2日回し中間車614を介して、筒車20の回転が伝達される。日回し車612は、筒車20の回転に同期して1日で1回転する日回し歯車620と、日回し歯車620に対して回転軸線O4回りに回転可能に設けられた日回しつめユニット630と、日回し歯車620と日回しつめユニット630との間にトルクを与える日回し作動ばね680(図23参照)と、を備える。
図22は、日回し車を下方から見た平面図である。図23は、日回し車を上方から見た平面図である。図24は、図22のXXIV−XXIV線における断面図である。なお、図22では、日回し車の一部を破断して図示している。
図23および図24に示すように、日回し歯車620は、第2日回し中間車614(図21参照)に噛み合う歯車本体621と、歯車本体621に支持されたばねピン622と、を備える。歯車本体621は、回転軸線O4回りに回転可能に設けられている。歯車本体621の中心には、後述する日回し真631が挿通される貫通孔が形成されている。ばねピン622は、回転軸線O4に対して偏心した位置で歯車本体621に支持されている。これにより、ばねピン622は、歯車本体621の回転に同期して回転軸線O4回りを公転する。ばねピン622は、歯車本体621に固定された軸部623と、軸部623から径方向外側に張り出すフランジ部624と、を備える。軸部623は、歯車本体621から上方に突出している。フランジ部624は、円盤状に形成されている。フランジ部624は、軸部623における上下方向の中間部に設けられている。
図22および図24に示すように、日回しつめユニット630は、日回し真631と、日回しつめ640と、日回しつめばね650と、つめ押さえ660と、ばね押さえ670と、を備える。
図24に示すように、日回し真631は、日回し歯車620の歯車本体621と同軸に設けられた中心パイプ632と、中心パイプ632から張り出したつめ座633と、を備える。中心パイプ632は、歯車本体621の貫通孔に相対回転可能に挿通されている。中心パイプ632は、歯車本体621に対して上下両側に突出している。つめ座633は、歯車本体621の下面に重なるように配置されている。つめ座633は、中心パイプ632から径方向外側に突出するとともに周方向に沿って全周に延びる円環状に形成されている。
図22に示すように、日回しつめ640は、つめ座633の下面に重なるように配置されている。日回しつめ640は、上下方向から見てつめ座633の外周縁に沿うように配置されている。日回しつめ640は、回転軸線O4回りの周方向における中間部においてつめ座633に回動可能に支持されている。具体的に、日回しつめ640は、つめ座633から下方に突出するピンに回動可能に支持されている。日回しつめ640は、回動中心から日回し車612の正転方向に延びるつめ本体641と、回動中心から日回し車612の逆転方向に延びるアーム642と、を備える。アーム642は、日回し真631の中心パイプ632の外周面に接触可能に形成されている。つめ本体641の先端部641aは、上下方向から見てつめ座633から径方向の外側に突出可能に形成されている。つめ本体641の先端部641aがつめ座633から最も突出した状態は、アーム642が日回し真631の中心パイプ632の外周面に接触した状態である。すなわち、アーム642は、つめ座633からのつめ本体641の突出範囲を制限している。
つめ本体641には、日回し車612の正転方向に向く係合面641bと、回転軸線O4側とは反対側に向く摺接面641cと、が設けられている。係合面641bは、つめ本体641の先端部641aから回転軸線O4側に延びている。摺接面641cは、つめ本体641の先端部641aから、回転軸線O4回りの周方向に対して緩やかに傾斜した状態で、日回し車612の逆転方向、かつ回転軸線O4側に延びている。つめ本体641は、日回しつめユニット630が正転方向に回転した際に係合面641bが日車9の歯部9bに接触することが可能な位置に配置されている(図21を併せて参照)。つめ本体641は、日回しつめユニット630が逆転方向に回転した際に摺接面641cが日車9の歯部9bに接触することで、径方向の内側に向かって変位する。
日回しつめばね650は、日回しつめ640を付勢している。日回しつめばね650は、つめ座633の下面に重なるように配置されている。日回しつめばね650は、つめ座633に固定的に支持された基部651と、基部651から日回し車612の正転方向に延びて日回つめ640のアーム642に接触するばね本体652と、を備える。基部651は、つめ座633から下方に突出したピンに支持されている。ばね本体652は、日回しつめ640のアーム642に径方向の外側から接触している。ばね本体652は、弾性変形の復元力によって、アーム642を径方向の内側に押圧している。これにより、日回しつめ640は、アーム642が日回し真631の中心パイプ632の外周面に接触する方向に付勢されている。すなわち、日回しつめ640は、つめ本体641の先端部641aが上下方向から見てつめ座633から径方向の外側に突出する方向に付勢されている。
つめ押さえ660は、日回しつめ640および日回しつめばね650の下方への移動を規制している。つめ押さえ660は、日回しつめ640および日回しつめばね650を挟んでつめ座633とは反対側に配置されている。なお、つめ押さえ660と、日回しつめ640および日回しつめばね650と、の間にはクリアランスが設けられていてもよい。つめ押さえ660は、つめ座633の外径と略同径の円盤状に形成され、つめ座633と同軸に配置されている。つめ押さえ660の中心には、日回し真631の中心パイプ632の下端部が挿入される貫通孔が形成されている。また、つめ押さえ660には、つめ座633から突出したピンが挿入される貫通孔が形成されている。つめ押さえ660は、日回し真631に対して固定的に設けられている。
図23に示すように、ばね押さえ670は、日回し歯車620の歯車本体621との間に日回し作動ばね680を保持する。ばね押さえ670は、日回し歯車620の歯車本体621の上方に配置されている。ばね押さえ670は、日回し歯車620の歯車本体621よりも小径の円盤状に形成され、日回し歯車620の歯車本体621と同軸に配置されている。ばね押さえ670の中心には、日回し真631の中心パイプ632の上端部が挿入される貫通孔が形成されている。ばね押さえ670は、日回し真631に対して固定的に設けられている。
ばね押さえ670には、ばねピン案内孔671と、規制ばね係合部672と、が形成されている。ばねピン案内孔671は、日回し歯車620におけるばねピン622の軸部623の上端部が挿入される。ばねピン案内孔671は、ばねピン622の回転軸線O4回りの変位を許容するように、回転軸線O4を中心とする円弧状に延びている。ばねピン案内孔671は、日回し車612の正転方向に設けられた下流端671aと、日回し車612の逆転方向に設けられた上流端671bと、を備える。規制ばね係合部672は、ばね押さえ670の外周面に形成された切欠である。規制ばね係合部672は、ばねピン案内孔671の下流端671aの近傍に形成されている。規制ばね係合部672は、日回し車612の正転方向に向くばね係合面672aを備える。ばね係合面672aは、ばねピン622の軸部623の上端部がばねピン案内孔671の下流端671aに位置する状態で、上下方向から見てばねピン622のフランジ部624が重なる位置に設けられている。
図23および図24に示すように、日回し作動ばね680は、日回し歯車620の歯車本体621と、日回しつめユニット630のばね押さえ670と、の間に配置されている。日回し作動ばね680は、上述した定力ばね100と同様に形成された渦巻ばねである。日回し作動ばね680の内端部682は、日回しつめユニット630に取り付けられている。具体的に、日回し作動ばね680の内端部682は、日回し真631の中心パイプ632に外挿された円環状の固定リング684を介して、日回し真631に固定的に支持されている。固定リング684は、日回し歯車620の歯車本体621とばね押さえ670との間に配置されている。日回し作動ばね680の外端部681は、日回し歯車620に取り付けられている。具体的に、日回し作動ばね680の外端部681は、ばねピン622の軸部623に外挿された円環状の固定片685を介して、ばねピン622に支持されている。固定片685は、日回し歯車620の歯車本体621とばねピン622のフランジ部624との間に配置されている。本実施形態では、日回し作動ばね680は、外端部681に対して内端部682を巻き締めることによって縮径するように弾性変形し、トルクを発生させる。
図23に示すように、日回し作動ばね680は、日回し歯車620と日回しつめユニット630との間に外部から相対的なトルクを与えていない状態で、ばねピン622がばねピン案内孔671の上流端671b近傍に位置するように、日回し歯車620および日回しつめユニット630に取り付けられている。日回し作動ばね680は、外端部681が内端部682に対して日回し車612の正転方向に移動するに従い巻き上げられ、内端部682に日回し車612の正転方向のトルクを発生させる。これにより、日回し作動ばね680は、日回しつめユニット630を日回し車612の正転方向に付勢している。
日回し作動ばね680の外端部681は、図8に示す定力ばね100と同様に、日回し作動ばね680の巻上前状態で、自然状態の位置よりも回転軸線O4に近い位置に配置されている。なお、日回し作動ばね680の巻上前状態は、日回し作動ばね680の外端部681が日回し歯車620に取り付けられ、日回し作動ばね680の内端部682が日回しつめユニット630に取り付けられ、かつトルクを発生していない状態である。外端部681と内端部682との距離は、自然状態よりも巻上前状態で小さくなっている。これにより、巻上前状態の日回し作動ばね680では、回転軸線O4に直交する径方向において隣り合うばね間のピッチは、回転軸線O4回りの周方向の位置に応じて変化している。
日回し作動ばね680は、図示しないが、巻き上げられてトルクを発生させている状態で、回転軸線O4から内端部682側にずれた位置を中心としたアルキメデス曲線に近似される渦巻曲線に沿って延びている。ばねピン622がばねピン案内孔671のいずれの位置にある状態でも、日回し作動ばね680は、隣り合うばね同士が互いに離間し、自己接触を回避している。
図21に示すように、日回し車規制ばね690は、片持ちレバー状に形成されている。日回し車規制ばね690の基端部は、地板23等に固定的に設けられている。日回し車規制ばね690の先端部690aは、ばね押さえ670の外周面に摺接可能に設けられている。日回し車規制ばね690の先端部690aは、日回し車612の逆転方向に向いている。日回し車規制ばね690の先端部690aは、ばね押さえ670の規制ばね係合部672のばね係合面672aに係合する。日回し車規制ばね690は、先端部690aがばね押さえ670の規制ばね係合部672に係合した状態で、日回し歯車620のばねピン622のフランジ部624が先端部690aに接触すること可能となるように形成されている。
日ジャンパ695は、日車9の回転方向の位置を規正する。日ジャンパ695は、先端部が自由端とされた弾性変形可能な日ジャンパばね部696を備えている。日ジャンパばね部696の先端部は、日車9の歯部9bに係合可能となっている。日ジャンパ695は、先端部が日車9の歯部9bに係合することにより、日車9の回転を規正する。これにより、日車9は、複数の歯部9bのピッチ角と同じ角度ピッチで、1日に1ステップずつ回転可能となっている。
(カレンダ機構の動作)
次に、上述のように構成されたカレンダ機構611の動作について図21、および図25から図27を参照して説明する。
図25から図27は、カレンダ機構の動作説明図であって、カレンダ機構の一部を下方から見た平面図である。
上述したように、日回し車612の日回し歯車620は、筒車20の回転に同期して正転方向に1日で1回転する。日回し歯車620が正転方向に回転すると、その回転力は日回し作動ばね680を介して日回しつめユニット630に伝達されるので、日回しつめユニット630も正転方向に回転する。
図21に示すように。日回しつめユニット630の回転が進むと、1回転毎に1度、日回し車規制ばね690の先端部690aがばね押さえ670の規制ばね係合部672に係合する。これにより、日回しつめユニット630の正転方向の回転が規制された状態となる。このため、日回し歯車620は、日回しつめユニット630に対して正転方向に回転する。この際、日回し歯車620は、日回しつめユニット630のばねピン案内孔671の上流端671b(図23参照)近傍からばねピン622の軸部623を正転方向に移動させながら回転する。日回し歯車620は、日回し作動ばね680を巻き上げながら正転方向に回転する。その結果、日回し作動ばね680は、日回しつめユニット630を正転方向に付勢するトルクを大きくしながら巻き上げられる。
そして、図25に示すように、日回し歯車620の回転がさらに進むと、ばねピン622の軸部623がばねピン案内孔671の下流端671a(図23参照)近傍に到達する。すると、ばねピン622のフランジ部624が日回し車規制ばね690の先端部690aに接触して、日回し車規制ばね690の先端部690aを径方向の外側に押圧する。そして、日回し車規制ばね690とばね押さえ670の規制ばね係合部672との係合が解除される。なお、午前0時に日回し車規制ばね690とばね押さえ670の規制ばね係合部672との係合が解除するように、日回し車612が設計されている。
これにより、巻き上げられた日回し作動ばね680が一気に巻き解けて、日回しつめユニット630が正転方向に急激に回転する。そして、図26に示すように、日回しつめ640のつめ本体641が日回し車612の正転方向に急激に移動して、係合面612bが日車9の歯部9bに接触し、日車9を回転させることができる。これにより、日ジャンパばね部696による係合を解除しながら、日車9を瞬時に回転させることができる。
そして、図27に示すように、日車9が回転すると、日ジャンパばね部696の先端部が日車9の次の歯部9bに再び係合する。これにより、日車9は回転方向の位置が再度規正される。その結果、文字板3の日窓3aに明示される日付を1日分だけ瞬時に切替えることができる。
以上に説明したように、本実施形態の日回し作動ばね680は、巻上前状態で、回転軸線O4に直交する径方向において隣り合うばね間のピッチが回転軸線O4回りの周方向の位置に応じて変化している。この構成によれば、第1実施形態の定力ばね100と同様の作用効果を奏することができる。
また、本実施形態のカレンダ機構611は、所望のトルクを発生させる日回し作動ばね680を備えるので、日回し歯車620と日回しつめユニット630との間に与えられるトルクが不足することを抑制できる。これにより、日回しつめユニット630に与えられるトルクの不足により日車9に伝達される回転力が不足することを抑制できる。したがって、確実な日送り動作が可能なカレンダ機構611とすることができる。
なお、本実施形態では、日車9には、日文字9aとして日付に対応する数字が表示されているが、これに限定されない。日車9には、日文字として曜日が表示されていてもよい。
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、定力ばね100,200,300,400が自然状態でアルキメデス曲線に沿って延びている。しかしながら、これに限定されず、定力ばねは、自然状態で隣り合うばね間のピッチが径方向外側に向かうに従い狭くなるように形成されていてもよいし、自然状態で隣り合うばね間のピッチが径方向外側に向かうに従い広くなるように形成されていてもよい。
また、上記第2実施形態では、定力ばね200がクランク部206を有し、外端部201が径方向の外側に変位している構成について説明した。これと同様に、例えば第4実施形態の定力ばね400において、クランク部によって外端部が径方向の内側に変位するように形成してもよい。これにより、クランク部を備えない定力ばねの外端部が自然状態の位置で取り付けられる従来の定トルク機構に対して、クランク部を備える定力ばねを取り付けることで、定力ばねの外端部を第1回転軸線O1から離れた位置に配置することができる。
また、上記実施形態では、本発明の渦巻ばねを定トルク機構30の定力ばねとして用いる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、本発明の渦巻ばねをひげぜんまいに適用してもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各実施形態を適宜組み合わせてもよい。例えば、第5実施形態のレトログラード機構511、または第6実施形態のカレンダ機構611に、第2実施形態から第4実施形態のいずれかの定力ばねと同様の渦巻ばねを組み合わせてもよい。
1,501,601…時計 3…文字板 3a…日窓 8…日針(指針) 9…日車 9a…日文字 9b…歯部 10,510,610…ムーブメント(時計用ムーブメント) 11…香箱車(動力源) 14…脱進機 23…地板(支持部、第2部品) 30…定トルク機構(トルク発生装置) 40…定力上段車(入力回転体) 45…遊星歯車(周期制御機構) 47…キャリア(第1部品) 60…定力下段車(出力回転体) 61…定力下段筒(第2部品) 86…係合爪石(周期制御機構) 100,200,300,400…定力ばね(渦巻ばね) 101,201,301,401…外端部 102,202,302,402…内端部 511…レトログラード機構(トルク発生装置) 550…日針車(回動部、第1部品) 560…戻しばね(渦巻ばね) 561…外端部 562…内端部 611…カレンダ機構 620…日回し歯車 622…ばねピン(第1部品) 630…日回しつめユニット 631…日回し真(第2部品) 640…日回しつめ 680…日回し作動ばね(渦巻ばね) 681…外端部 682…内端部 L1…第1半直線 L2…第2半直線 O1…第1回転軸線(軸線) O3…回転軸線(軸線) O4…回転軸線(軸線)

Claims (10)

  1. 軸線回りに巻き上げられてトルクを発生させる時計用の渦巻ばねであって、
    第1部品に取り付けられる外端部と、
    第2部品に取り付けられる内端部と、を備え、
    前記外端部が前記第1部品に取り付けられ、かつ前記内端部が前記第2部品に取り付けられ、かつトルクを発生していない巻上前状態で、前記軸線に直交する径方向において隣り合うばね間のピッチが前記軸線回りの周方向の位置に応じて変化しており、
    前記巻上前状態から巻き締めることによりトルクを発生させるように形成され、
    前記巻上前状態において、前記軸線の軸方向から見て、前記軸線から前記外端部に向かって延びる第1半直線上における前記ピッチは、前記軸線から前記第1半直線とは反対側に延びる第2半直線上における前記ピッチよりも狭い、
    ことを特徴とする渦巻ばね。
  2. 軸線回りに巻き上げられてトルクを発生させる時計用の渦巻ばねであって、
    第1部品に取り付けられる外端部と、
    第2部品に取り付けられる内端部と、を備え、
    前記外端部が前記第1部品に取り付けられ、かつ前記内端部が前記第2部品に取り付けられ、かつトルクを発生していない巻上前状態で、前記軸線に直交する径方向において隣り合うばね間のピッチが前記軸線回りの周方向の位置に応じて変化しており、
    前記巻上前状態から巻き広げることによりトルクを発生させるように形成され、
    前記巻上前状態において、前記軸線の軸方向から見て、前記軸線から前記外端部に向かって延びる第1半直線上における前記ピッチは、前記軸線から前記第1半直線とは反対側に延びる第2半直線上における前記ピッチよりも広い、
    ことを特徴とする渦巻ばね。
  3. 前記渦巻ばねの少なくとも一部は、前記渦巻ばねに負荷がかかっていない状態でアルキメデス曲線に沿って延びている、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の渦巻ばね。
  4. 前記渦巻ばねの少なくとも一部は、前記渦巻ばねに負荷がかかっていない状態でアルキメデス曲線に沿って延び、
    前記アルキメデス曲線の中心は、前記軸線を挟んで前記内端部とは反対側に設けられている、
    ことを特徴とする請求項に記載の渦巻ばね。
  5. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の渦巻ばねと、
    前記渦巻ばねの前記外端部が取り付けられた前記第1部品と、
    前記渦巻ばねの前記内端部が取り付けられた前記第2部品と、
    を備えたトルク発生装置。
  6. 定トルク機構であって、
    前記第1部品および前記第2部品のいずれか一方を含み、動力源からの動力によって回転して前記渦巻ばねに動力を補充する入力回転体と、
    前記第1部品および前記第2部品の他方を含み、前記渦巻ばねからの動力によって回転し、脱進機に前記渦巻ばねの動力を伝える出力回転体と、
    前記出力回転体の回転に基づいて、前記出力回転体に対して前記入力回転体を間欠的に回転させる周期制御機構と、
    を備えることを特徴とする請求項に記載のトルク発生装置。
  7. 指針を初期位置と終期位置との間で往復移動させるレトログラード機構であって、
    前記第1部品および前記第2部品のいずれか一方を含み、前記指針に同期して回動する回動部と、
    前記第1部品および前記第2部品の他方を含み、前記回動部を回動可能に支持する支持部と、
    を備えることを特徴とする請求項に記載のトルク発生装置。
  8. 文字板の日窓に明示された日文字を切り替えるカレンダ機構であって、
    前記第1部品および前記第2部品のいずれか一方を含み、筒車の回転に同期して回転する日回し歯車と、
    前記第1部品および前記第2部品の他方、並びに前記日文字が表示された日車の歯部に係脱可能に設けられた日回しつめを有し、前記日回し歯車に対して前記日回し歯車と同軸で回動可能に設けられた日回しつめユニットと、
    を備えることを特徴とする請求項に記載のトルク発生装置。
  9. 請求項から請求項のいずれか1項に記載のトルク発生装置を備えることを特徴とする時計用ムーブメント。
  10. 請求項に記載の時計用ムーブメントを備えることを特徴とする時計。
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