JP7023044B2 - 樹脂凸版用現像液 - Google Patents
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樹脂凸版の一般的な製版方法は、所望とするパターンを有するネガフィルム等のマスク材を介して印刷版材料の感光性樹脂層に紫外線を照射し、パターンに応じて感光性樹脂層を選択的に硬化させる工程(露光工程)と、次いで、現像液を用いて感光性樹脂層の未硬化部(未露光部)を除去し、所望とするパターンのレリーフ部(凸部)を形成する工程(現像工程)とを有する。最近では、マスク材として、感光性樹脂層の上にアブシュレーション層を設け、コンピュータ画像形成のプロセスにて、パターンに応じて赤外線レーザー等を照射し、アブシュレーション層を選択的に除去することも行われている。
樹脂凸版は、その凸部にインクを保持し、次いで被印刷面にインクを転写することによって印刷物を形成する。そのため、製版方法において、凸部を形成する現像工程は非常に重要である。
本発明の別の実施形態は、上記ナフテン系炭化水素及び上記パラフィン系炭化水素が、それぞれ150℃~300℃の沸点を有する、現像液に関する。
本発明の別の実施形態は、現像液の全重量を基準として、上記ナフテン系炭化水素と上記パラフィン系炭化水素との合計含有量が55~94重量%である、現像液に関する。
本発明の別の実施形態は、上記アルコール成分が、芳香環含有アルコールと、炭素数8~12の脂肪族アルコールとを含む、現像液に関する。
本発明の別の実施形態は、現像液の全重量を基準として、上記芳香環含有アルコールの含有量が5~30重量%であり、上記炭素数8~12の脂肪族アルコールの含有量が1~15重量%である、現像液に関する。
本発明の別の実施形態は、上記芳香環含有アルコールがベンジルアルコールを含み、上記炭素数8~12の脂肪族アルコールが1-オクタノールを含む、現像液に関する。
本発明の現像液で使用するナフサ成分は、代表的に、ナフテン系炭化水素と、パラフィン系炭化水素とからなり、実質的に芳香族炭化水素を含まないことが好ましい。より具体的には、現像液中に存在する芳香族炭化水素の含有量が、現像液の全重量を基準として5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることがより好ましく、1重量%未満であることがさらに好ましい。このように、実質的に芳香族炭化水素を含まない現像液を構成することによって、現像時にレリーフ部への膨潤作用を抑制することが容易となる。また、芳香族炭化水素は、その有毒性のため法的規制の対象となる場合がある。そのため、現像液が実質的に芳香族炭化水素を含まないことによるメリットは非常に大きい。
上記化合物は、好ましくは150℃~300℃、より好ましくは160℃~260℃、さらに好ましくは170℃~220℃の沸点を有することが望ましい。150℃以上の沸点を有する化合物を使用した場合、現像液が揮散し難く、またレリーフ部の膨潤を抑制することが容易となる。300℃以下の沸点を有する化合物を使用した場合、火災等の危険を回避しやすく、また長時間の乾燥時間を必要としない点でも好ましい。
本発明で使用するパラフィン系炭化水素は、好ましくは150℃~300℃の範囲、より好ましくは160℃~260℃の範囲、さらに好ましくは170℃~220℃の範囲の沸点を有することが望ましい。
本発明の現像液は、上述のナフサ成分に加えて、アルコール成分を含む。アルコール成分の含有量は、現像液の全重量を基準として、6~45重量%の範囲が好ましく、8~30重量%の範囲がより好ましく、10~20重量%の範囲がさらに好ましい。アルコール成分の配合量を上記範囲に調整することによって、感光性樹脂層の未硬化部に対する溶解力と、ブラックマスクに対する溶解力とを両立することが容易になる。
本発明の現像液は、先に記載したナフサ成分及びアルコール成分の他に、現像液の溶解力及び膨潤制御などの効果を低下させない範囲で、その他の炭化水素、防腐剤、防カビ剤、防錆剤等の各種添加剤を含んでもよい。
樹脂凸版の製版に使用できる印刷版材料は、代表的に、ポリエチレンテレフタレート等の支持フィルムと、支持フィルム上に配置された感光性樹脂層と、保護フィルムとを有する。樹脂凸版の製造方法は、通常、印刷版材料の保護フィルムを剥離する工程と、感光性樹脂層に対して画像パターン形成を行う工程と、感光性樹脂層を露光する工程と、次いで、現像する工程と、さらに必要に応じて乾燥工程及び後露光工程とを有する。現像工程では、現像液を用いて印刷版材料における感光性樹脂層の未露光部(未硬化部)を溶解除去することによって、所望とするパターンのレリーフ部を形成する。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
印刷版材料として、DuPont(商標)社から入手可能な「Cyrel(登録商標)DPN」を使用した。赤外線レーザー照射装置として、Esko社製の「CDI Spark4260」を使用し、印刷版材料のアブシュレーション層に対して選択的に赤外線レーザーを照射し、ブラックマスクを形成した。照射条件は、波長1060nm、強度22mW/cm2、及び照射時間600秒であった。
次いで、露光装置として、DuPont(商標)社製の「Cyrel(登録商標)2001E」を使用し、ブラックマスクを有する印刷版材料に対して、紫外線を照射することにより露光工程を実施した。照射条件は、波長400~315nm、強度10.67mW/cm2、及び照射時間5505秒であった。
一方、JX日鉱日石エネルギー株式会社製の商品名「ニューソルeco20」を88重量部、ベンジルアルコールを10重量部、及び1-オクタノールを2重量部含有する現像液を調製した。次に、調製した現像液15gに、露光工程後の印刷版材料0.3gを浸漬することによって印刷版を得る現像工程を実施し、ブラックマスク及び感光性樹脂層の未露光部に対する溶解力について評価した。ここで、溶解力の評価は、現像液から取り出した印刷版の状態を目視にて観察することにより実施した。現像液の温度は23℃、浸漬時間は5時間であった。
次に、上記と同様にして、露光工程後の別の印刷版材料と、現像液とを準備した。現像液15gに、露光工程後の印刷版材料0.1gを浸漬することによって印刷版を得る現像工程を実施し、レリーフ部の膨潤度合について評価した。ここで、膨潤度合の評価は、現像液から取り出した印刷版のレリーフ部の状態を目視にて観察することにより実施した。現像液の温度は23℃、浸漬時間は2時間であった。
印刷版材料として、旭化成イーマテリアルズ株式会社製の「AFP(登録商標)DSF」を使用した。赤外線レーザー照射装置として、Esko社製の「CDI Spark4260」を使用し、印刷版材料のアブシュレーション層に対して選択的に赤外線レーザーを照射し、ブラックマスクを形成した。照射条件は、波長1060nm、強度23mW/cm2、及び照射時間720秒であった。
次いで、露光装置として、DuPont(商標)社製の「Cyrel(登録商標)2001E」を使用し、ブラックマスクを有する印刷版材料に対して、紫外線を照射することにより露光工程を実施した。照射条件は、波長400~315nm、強度10.67mW/cm2、及び照射時間8605秒であった。これ以外は全て実施例1-Iと同様にして、溶解力及び膨潤度合の評価を行った。
JX日鉱日石エネルギー株式会社製の商品名「ニューソルeco20」を78重量部、デカヒドロナフタレン(デカリン)を10重量部、ベンジルアルコールを10重量部、及び1-オクタノールを2重量部含有する現像液を調製した。この現像液を使用したことを除き、実施例1-I又は1-IIと全て同様にして、溶解力及び膨潤度合の評価を行った。
JX日鉱日石エネルギー株式会社製の商品名「ニューソルeco20」を68重量部、デカヒドロナフタレン(デカリン)を20重量部、ベンジルアルコールを10重量部、及び1-オクタノールを2重量部含有する現像液を調製した。この現像液を使用したことを除き、実施例1-I又は1-IIと全て同様にして、溶解力及び膨潤度合の評価を行った。
JX日鉱日石エネルギー株式会社製の商品名「ニューソルeco20」を58重量部、デカヒドロナフタレン(デカリン)を30重量部、ベンジルアルコールを10重量部、及び1-オクタノールを2重量部含有する現像液を調製した。この現像液を使用したことを除き、実施例1-I又は1-IIと全て同様にして、溶解力及び膨潤度合の評価を行った。
JX日鉱日石エネルギー株式会社製の商品名「ニューソルeco20」を54重量部、デカヒドロナフタレン(デカリン)を27重量部、ベンジルアルコールを14重量部、及び1-オクタノールを5重量部含有する現像液を調製した。この現像液を使用したことを除き、実施例1-I又は1-IIと全て同様にして、溶解力及び膨潤度合の評価を行った。
JX日鉱日石エネルギー株式会社製の商品名「ニューソルeco20」を61重量部、デカヒドロナフタレン(デカリン)を32重量部、ベンジルアルコールを5重量部、及び1-オクタノールを2重量部含有する現像液を調製した。この現像液を使用したことを除き、実施例1-I又は1-IIと全て同様にして、溶解力及び膨潤度合の評価を行った。
JX日鉱日石エネルギー株式会社製の商品名「ニューソルeco20」を46重量部、デカヒドロナフタレン(デカリン)を24重量部、ベンジルアルコールを25重量部、及び1-オクタノールを5重量部含有する現像液を調製した。この現像液を使用したことを除き、実施例1-I又は1-IIと全て同様にして、溶解力及び膨潤度合の評価を行った。
JX日鉱日石エネルギー株式会社製の商品名「ニューソルeco20」を58重量部、デカヒドロナフタレン(デカリン)を30重量部、フェネチルアルコールを10重量部及び1-オクタノールを2重量部含有する現像液を調製した。この現像液を使用したことを除き、実施例1-I又は1-IIと全て同様にして、溶解力及び膨潤度合の評価を行った。
JX日鉱日石エネルギー株式会社製の商品名「ニューソルeco20」を33重量部、デカヒドロナフタレン(デカリン)を17重量部、ベンジルアルコールを42重量部、及び1-オクタノールを8重量部含有する現像液を調製した。この現像液を使用したことを除き、実施例1-I又は1-IIと全て同様にして、溶解力及び膨潤度合の評価を行った。
ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DGDE)を65重量部、酢酸ベンジルを20重量部、及びn-ブチルアルコールを15重量含有する現像液を調製した。この現像液を使用したことを除き、実施例1-I又は1-IIと全て同様にして、溶解力及び膨潤度合の評価を行った。
エクソン化学株式会社製の商品名「ソルベッソ150」(S-150)を50重量部、イソ酪酸イソブチルを10重量部、及びベンジルアルコールを40重量部含有する現像液を調製した。この現像液を使用したことを除き、実施例1-I又は1-IIと全て同様にして、溶解力及び膨潤度合の評価を行った。なお、S-150は、芳香族炭化水素の溶剤である。
エクソン化学株式会社製の商品名「ソルベッソ150」(S-150)を45重量部、エクソンモービル株式会社製の商品名「エクソールD40(登録商標)」を45重量部、ベンジルアルコールを10重量部含有する現像液を調製した。この現像液を使用したことを除き、実施例1-I又は1-IIと全て同様にして、溶解力及び膨潤度合の評価を行った。
なお、S-150は、芳香族炭化水素の溶剤である。また、「エクソールD40(登録商標)」は、ナフテン系炭化水素60重量%と、パラフィン系炭化水素40重量%の混合溶剤であり、147~199℃の沸点を有する。
AA:浸漬時間内にブラックマスク層又は感光性樹脂層が完全溶解する。完全溶解までに要する時間はAよりも短い。
A:浸漬時間内にブラックマスク層又は感光性樹脂層が完全溶解する。
B:浸漬時間内にブラックマスク層又は感光性樹脂層は溶解するが、一部溶解せずに残存する。但し、ブラシによる掻き取り等の現像方法を併用すれば、現像液として適用可能な範囲である。
C:浸漬時間内にブラックマスク層又は感光性樹脂層は溶解するが、一部溶解せずに残存する。Bよりも溶解に要する時間が長く、現像液として適さない可能性がある。
D:浸漬時間内にブラックマスク層又は感光性樹脂層は全く溶解しない。
A:膨潤が確認できない。
B:多少膨潤が見られるが、許容できる範囲である。
C:かなりの膨潤が見られる。
Claims (5)
- 樹脂凸版の製版時に、ブラックマスクを有する印刷版材料に対して使用される現像液であり、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素と、アルコール成分とを含み、
前記アルコール成分が、芳香環含有アルコールと、炭素数8~12の脂肪族アルコールとを含み、
現像液の全重量を基準として、前記ナフテン系炭化水素の含有量が40~90重量%であり、前記ナフテン系炭化水素と前記パラフィン系炭化水素との合計含有量を基準として、前記ナフテン系炭化水素の割合が69重量%以上である、現像液。 - 前記ナフテン系炭化水素及び前記パラフィン系炭化水素が、それぞれ150℃~300℃の沸点を有する、請求項1に記載の現像液。
- 現像液の全重量を基準として、前記ナフテン系炭化水素と前記パラフィン系炭化水素との合計含有量が55~94重量%である、請求項1又は2に記載の現像液。
- 現像液の全重量を基準として、前記芳香環含有アルコールの含有量が5~30重量%であり、前記炭素数8~12の脂肪族アルコールの含有量が1~15重量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の現像液。
- 前記芳香環含有アルコールがベンジルアルコールを含み、前記炭素数8~12の脂肪族アルコールが1-オクタノールを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の現像液。
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